JPWO2008018224A1 - 転写シート及びシート片貼着方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、短時間に複数のシート片の貼着作業を行うための転写シートを提供することを目的とし、その転写シートを使用したシート片の貼着方法を提供することを目的とする。本発明は、所定の情報が形成されたシート状部材を切断してなるシート片を、ステップ部又はライザ部の凹部の底面に貼着させる前に、基材の開口間に粘着させ、開口に凸部を挿通するようにシート片と凹部の底面を接触させ、押圧部材によってシート片を凹部の底面に向かって押圧することで、ステップ部又はライザ部に貼着されたシート片は、貼着された位置がずれずにきれいに貼着できるとともに、切断前に形成されていた所定の情報を認識することができる。また、転写シートを用いることで、複数のシート片を歪みなく、ステップ部又はライザ部の凹部の底面の長手方向に対して斜行することなく、短時間にきれいに貼着することができる。

Description

本発明は、エスカレータのステップ部又はライザ部に形成される櫛目状の複数の凹部底面に、所定の上方を有する表示シートを切断したシート片を貼着するための転写シートに関するものであり、また、この転写シートを使用してシート片を貼着する方法に関するものである。
従来、エスカレータの手摺り部分に印刷した特殊シートを貼着して所定の情報を表示したものがあった。さらに、エスカレータの手摺り部分の形状に対応する形状の透明なカバーを設け、所定の情報が形成されたシートをその手摺り部分と透明なカバーとの間に挟み込むものがあった(例えば特許文献1参照。)しかしながら、手摺り部分の幅は約8cmで、多くの情報を表示したり、デザイン性のある情報を表示するには、狭すぎるという問題点があった。
また、エスカレータは、櫛目状の凹部を複数有するステップ部とライザ部とにより構成されており、ステップ部の端部とライザ部とが噛合して、ステップ部とライザ部とがエスカレータ内部に収納される。そのため、ステップ部とライザ部に単に所定の情報を形成した表示シートを貼着してもステップ部の端部とライザ部とが噛合うことで剥がれてしまい、その剥がれた表示シートが異物としてエスカレータの内部に入り込むことで、運転できなくなるという問題もあった。
そこで、本発明の発明者は、エスカレータの手摺り部分よりも広いステップ部又はライザ部に貼着され、ステップ部の端部とライザ部とが噛合しても剥がれることのない表示シートを開発した。具体的には、所定の情報が形成されたシート部材をステップ部又はライザ部の凹部底面の形状に対応する形状となるように切断された複数のシート片により構成され、シート片は、切断前のシート部材に形成された情報が認識可能なようにステップ部又はライザ部の底面に貼着されるものである。また、同様にエスカレータのステップ部又はライザ部に貼着される表示シートがある(例えば、特許文献2参照)。
特開平07−206352号公報 実開昭61−171788号公報
このような表示シートの場合、エスカレータを一旦停止させ、切断した複数のシート片を1枚ずつエスカレータのステップ部又はライザ部の凹部底面に順番に貼着させる必要がある。そのため、シート片の貼着作業が繁雑で作業時間が長くなり、それに伴い、エスカレータを停止させている時間が長くなってしまう。
そして、特許文献2には、あらかじめ、表示シートを形成するシート片の間にエスカレータのステップ部又はライザ部の凸部の幅分だけ余白を設け、この余白部分がステップ部又はライザ部の凸部の先端にくるように、シート片を位置合わせし、シート片を櫛状部材で押して貼着する方法が記載されている。しかしながら、この場合、余白部分は、ステップ部又はライザ部の凸部先端の幅となるため、シート片が粘着する離面シートの裏側から、複数のシート片を櫛状部材で同時に押しても、ステップ部又はライザ部の凹部底辺までシート片が届かないため、シート片を貼着することができない。無理に凹部底面に押し込んだ場合、シート片の位置がずれたり、歪んでしまう。また、湾曲しているライザ部にシート片を貼着しようとする場合は、位置がずれるだけでなく、シート片を備える離面シートが歪み、シート片を貼着する凹部の長手方向に対してシート片が斜行してしまう。したがって、この方法では、かえって作業が繁雑となり、長時間の作業時間が必要となる。
そこで、本発明は、上記実状に鑑み、シート片をステップ部又はライザ部の凹部底面に貼着する際に、シート片の位置がずれたり、歪んだりすることなく、シート片がステップ部又はライザ部の凹部底面に達し、複数のシート片を同時に凹部底面に貼着させることができる転写シートを提供することを目的とする。また、その転写シートを使用して、短時間にシート片を貼着する方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明の転写シートは、シート状の基材と、櫛目状の凹部及び凸部が交互に複数形成されたステップ部及びライザ部を有するエスカレータの複数の前記凸部が挿通可能な形状に形成された複数の開口と、一方主面に所定の情報が形成され、前記一方主面の反対側の他方主面に前記凹部の底面に貼着させる貼着層を有するシート部材を前記ステップ部又は前記ライザ部の前記凹部の底面の形状に対応する形状となるように切断してなる複数のシート片を、前記基材に形成された複数の前記開口間に粘着させる粘着層とを有することを特徴とする。
本発明の転写シートによれば、シート片が粘着される基材には、シート片を貼着させるステップ部又はライザ部の凸部が挿通可能な開口を有し、開口間に切断された複数のシート片を粘着する粘着層を有している。そのため、シート片をこの粘着層に粘着させ、開口を凸部に挿通させると、ステップ部又はライザ部と複数のシート片との位置が定まる。すなわち、転写シートにより、容易にシート片を貼着する位置が決定できる。位置が定まったシート片は、同時に凹部の底面に接触するため、このシート片を凹部の底面に向かって押圧することで、素早くシート片を貼着することができる。したがって、シート片の貼着作業が軽減され、短時間にシート片を貼着することができる。
本発明のシート片貼着方法は、一方主面に所定の情報が形成され、櫛目状の凹部及び凸部が交互に形成されたステップ部及びライザ部を有するエスカレータの前記凹部の底面に貼着させる貼着層を前記一方主面の反対側の他方主面に有するシート部材を、前記凹部の底面の形状に対応する形状となるように切断して、複数のシート片を形成する工程と、凸部が挿通可能な形状に形成された複数の開口を有する基材の前記開口間に形成された粘着層に、前記一方主面を向かい合わせるように複数の前記シート片を粘着させる工程と、前記凹部の底面に前記シート片の前記貼着層を向かい合わせるように、前記シート片が粘着された前記基材の前記開口に前記凸部を挿通する工程と、複数の前記凹部の形状に合わせた複数の突起を有する押圧部材で、前記凸部を前記開口に挿通させた前記基材を前記凹部の底面に向かって押圧し、前記シート片を前記凹部の底面に貼着させる工程とを有することを特徴とする。
本発明のシート片貼着方法によれば、所定の情報が形成されたシート状部材を切断してなるシート片を、ステップ部又はライザ部の凹部の底面に貼着させる前に、基材の開口間に粘着させる。そして、開口に凸部を挿通するようにシート片と凹部の底面を接触させ、押圧部材によってシート片を凹部の底面に向かって押圧することで、隣接するシート片の順番の入れ違い及びシート片の位置のずれがなく、同時に凹部の底面に貼着することができる。すなわち、ステップ部又はライザ部に貼着されたシート片は、貼着された位置がずれずにきれいに貼着できるとともに、切断前に形成されていた所定の情報を認識することができる。そして、シート片を貼着する位置を気にせずに、同時に凹部の底面に貼着することができるため、シート片を1枚ずつ貼着させていた従来の方法に比べて格段に素早く作業することができる。
本発明は、所定の情報が形成されたシート状部材を切断してなるシート片を、ステップ部又はライザ部の凹部の底面に貼着させる前に、基材の開口間に粘着させる。そして、開口に凸部を挿通するようにシート片と凹部の底面を接触させ、押圧部材によってシート片を凹部の底面に向かって押圧することで、隣接するシート片の順番の入れ違い及びシート片の位置がずれずに、同時に凹部の底面に貼着することができる。また、転写シートを用いることで、複数のシート片を歪みなく、ステップ部又はライザ部の凹部の長手方向に対して斜行することなく、短時間にきれいに貼着することができる。そして、シート片を貼着する位置を気にせずに、同時に凹部の底面に貼着することができるため、シート片を1枚ずつ貼着させていた従来の方法に比べて格段に素早く作業することができる。
本発明を適用するエスカレータを説明する図である。 図1のエスカレータのステップ部とライザ部とが噛合する部分を拡大した図である。 本発明で使用する所定の情報が形成されたシート部材の一例を示す図である。 図3のシート部材の切断によりなる凹部底面に貼着させるシート片を説明する図である。 本発明の転写シートの構造を説明する図である。 本発明の押圧部材の構造を説明する図である。 本発明のシート片貼着方法の転写シートにシート片を粘着させる工程を説明する図である。 本発明のシート片貼着方法の転写シートに粘着させたシート片を押圧部材で凹部底面に貼着させる工程を説明する断面図である。 本発明のシート片貼着方法によって、シート片が貼着されたエスカレータを示す図である。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
図1は、所定の情報を有する表示シートが切断された複数のシート片を備えるステップ部又はライザ部を有するエスカレータの一例を示す図である。エスカレータ1は、複数の踏み込み台10が無端状に連結されたもので、この複数の踏み込み台10が回転することで、利用者を上層階又は下層階の方向に移動させるものである。この踏み込み台10は、櫛目状の凹部を複数有するステップ部11及びライザ部12とを複数有している。
ステップ部11は、エスカレータ1が設置される地面に対してほぼ平行の面を有し、エスカレータ1を利用する利用者が乗る面の部分である。このステップ部11は、踏み込み台10の進行方向に対して平行となるように櫛目状の凹部が所定の間隔で複数形成されている。そして、ステップ部11の端部には、ステップ部11の凹部110と凹部110との間に凸部111が形成されている。この凸部111は、隣接する上方の踏み込み台10のライザ部12の凹部と噛合するように突出している。
ライザ部12は、当該ライザ部12のある踏み込み台10のステップ部11の隣接する下方側の踏み込み台10のステップ部11を繋ぐように、当該ライザ部12のある踏み込み台10のステップ部11と接続固定されている。そしてライザ部12は、ステップ部11との接続部分が鋭角となり、隣接する下方側の踏み込み台10のステップ部11に向かって湾曲しながら傾斜した形状となっている。このライザ部12にも、踏み込み台10の進行方向に対して平行となるように櫛目状の凹部120が所定の間隔で複数形成されており、凹部120と凹部120との間に凸部121が形成されている。この凹部120は、上述のように、隣接する下方側のステップ部11の端部に突出した凸部111と、ライザ部12の凹部120が噛合するような間隔で形成されている。
ステップ部11の凹部110には、隣接する凸部111の2つの壁面との間に挟まれるように凹部底面115がある。同様に、ライザ部12の凹部120にも、隣接する凸部121の2つの壁面との間に挟まれるように凹部底面125がある。このような踏み込み台10を有するエスカレータ1は、ステップ部11の端部の凸部111とライザ部12の凹部120とが、図2のように噛合し、踏み込み台10のステップ部11と隣接する踏み込み台10のステップ部11とが平坦になるように踏み込み台10を収納する。
このとき、このステップ部11の凹部底面115は、ライザ部12の凸部121と接触せず、また、ライザ部12の凹部底面125は、ステップ部11の凸部111と接触しないように所定の隙間が形成される。なお、図1及び図2のように、ステップ部11において、ステップ部11とライザ部12との接続部分からステップ部11の端部までの長さをX1、ステップ部11の隣接する2つの凸部111間の距離、すなわち凹部底面115の幅をY1、凸部111の幅をZ1とする。そして、ライザ部12において、ライザ部12とステップ部11との接合部分から隣接する踏み込み台10のステップ部11端部までの長さをX2、ライザ部12の隣接する2つの凸部121間の距離、すなわち凹部底面125の幅をY2、凸部121の幅をZ2とする。なお、ステップ部11の凹部底面115の幅Y1は、そのステップ部11の凸部111の幅Z1よりも長い。同様に、ライザ部12の凹部底面125の幅Y2は、そのライザ部12の凸部121の幅Z2よりも長い。
上述のようなエスカレータのステップ部11の凹部底面115又はライザ部12の凹部底面125には、所定の情報が形成されたシート部材を切断してなる複数のシート片が貼着される。以下、本発明の一例としてライザ部12の凹部底面125に複数のシート片が貼着される例について説明するが、本発明は、ステップ部11の凹部底面115に複数のシート片が貼着されるものであってもよく、同様にシート片を貼着することができる。
図3のように、凹部底面125に貼着される複数のシート片25は、所定の情報が形成されたシート部材20を切断して形成される。このシート部材20は、一方主面に図中の「ABCD」のような所定の情報が形成されている。そして、シート部材20は、その所定の情報が形成される面に対して反対側の他方主面に、凹部底面125に貼着するための貼着層29が備えられている。さらに、シート部材20は、貼着層29から比較的容易に剥離可能な剥離紙28が備えられている。
シート部材20の厚さDは特に限定するものではなく、シート片25が貼着されるエスカレータの機種などによるが、ステップ部11とライザ部12とが噛合した際の凹部底面125と凸部111との隙間は、概ね1mmから2mmであるので、例えば1mm以下の厚さが好ましい。このシート部材20の形状は、例えば、ライザ部12の長さX2よりも短い長さXを短辺とする長方形である。この場合、長方形のシート部材20の長辺は、ライザ部12の幅のよりも短い長さとなる。シート部材20は、このような長方形に限られるものではなく、この長方形よりも小さい形状のもので有ればよい。
複数のシート片25は、このシート部材20の長辺を切断してなる。このシート部材20は、ライザ部12の凹部底面125の幅Y2と略同じ長さYを幅とする短冊状のシート片25と、凸部121の幅Z2と略同じ長さZを幅とする第2のシート片26とが交互に並ぶように切断される。このとき、シート部材20の貼着層29に備えられる剥離紙28を残して切断される。シート部材20を切断して形成された長さZを有する第2のシート片26は、剥離紙28から剥がされる。すなわち、剥離紙28上には、図4のように、ライザ部12の凹部底面125に貼着される複数のシート片25が幅Zという隙間を空けた状態で配列されている。
この複数のシート片25は、本発明の転写シート3に粘着される。転写シート3は、シート片25を形成するために切断したシート部材20よりも撓みにくい程度の可撓性を有する材質のシート状の基材31で形成されている。この基材31の材質としては、後述する開口30が設けられるものであれば特に限定するものではないが、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。この転写シート3の基材31の厚さは、特に限定されるものではないが、0.7〜1.0mm程度であることが好ましい。これよりも厚い場合、撓みにくくなり、シート片25の貼着が難しくなる。
この基材31には、エスカレータのライザ部12の凸部121の幅Z2と略同じ幅Z’の開口30が複数設けられている。この開口30は、凸部121同士が平行に形成されている形状に合わせて、隣り合う開口30の長辺同士が平行となるように設けられいている。そして、この複数の開口30は、凹部底面125の幅Y2と略同じ幅Y’の間隔を空けて設けられている。この開口30の形状は、ライザ部12の凸部121を、この開口30に差し込むように挿通することができる形状であれば特限定しない。この開口30のより好ましい形状としては、シート片25の長辺の長さXより長い長辺X’と、ライザ部12の凸部121の幅Z2と略同じ短辺Z’とからなる長方形の形状が挙げられる。
また、基材31には、開口30間に、上述したシート片25を凹部底面125に貼着する前に仮留めのための粘着層35が設けられている。この粘着層35は、開口30間の幅Y’の大方を覆うように設けられており、その粘着力は、シート片25を凹部底面125に貼着するまでの間、剥がれない程度で、かつ、シート片25の貼着層29よりも弱い粘着力を有している。これにより、シート片25がこの転写シート3に粘着された後、凹部底面125に貼着する際に、シート片25を凹部底面125から剥がすことなく転写シート3をシート片25から剥がすことができる。したがって、容易に素早くシート片25を貼着することができる。
この転写シート3の粘着層35は、適度な粘着性を有する材料を塗布して形成された層で、例えば、エラストマーゲル状のウレタン樹脂(ハイパーゲルHG30 株式会社エクシールコーポレーション社製)が使用できる。このウレタン樹脂を使用すると、粘着層30は、チリやホコリ等のゴミが付着して粘着力が低下しても、そのゴミを洗い流すことで回復させることができる。したがって、転写シート3は、シート片25を何度も粘着することができ、繰り返しの使用が可能となる。
また、シート片25の貼着層29は、粘着層35に使用される材料よりも粘着力の強い材料が使用される。例えば、上述のエラストマーゲル状のウレタン樹脂と同種のもので、より粘着力の高いものを使用することで、シート片25をライザ部12の凹部底面125から剥がしても、ゴミを洗い流すことで再度シート片25を貼着することが可能となる。
転写シート3をこのような構造とすることで、シート片25を転写シート3の裏面側から押圧してライザ部12の凹部底面125に貼着する際、開口30にライザ部12の凸部121が挿通されることで、シート片25がライザ部12の凹部底面125に到達する。したがって、隣り合う複数のシート片25を同時に押圧しても、シート片25の位置が貼着する凹部底面125に対してずれたり、シート片25自身が歪むことなく貼着することができる。そして、容易に素早くシート片25を貼着することができる。
複数のシート片25が粘着された転写シート3を押圧する際、図6のような押圧部材4が使用できる。これによって、シート片25を凹部底面125に向かって押圧し、シート片25を凹部底面125に貼着させることができる。この押圧部材4は、任意の厚さを有する板状の部材で、基体45の一端に複数の突起40が略等間隔で、この複数の突起40がライザ部12の凹部に差し込めるように備えられている。より具体的にこの突起40は、ライザ部12の凹部120の幅Y2と略同じ幅Y’’と、基体45の端面からライザ部12の凹部の深さよりも長い長さを有している。そして、複数の突起40は、ライザ部12の凸部121の幅Z2と略同じ幅Z’’の間隔を空けて設けられている。
複数の突起40を備える基体45は、図6のように、略矩形の形状を有しているが、複数の突起40をライザ部12の凹部120に差し込み、シート片25を凹部底面125に貼着可能な程度に凹部底面125に向かって十分に押圧することができればよく、任意の大きさ及び形状でもよい。
上述した本発明の転写シート3と押圧部材4とを以下のように使用することで、所定の情報が形成されたシート部材を切断してなる複数のシート片25をライザ部12の凹部底面125に貼着することができる。以下、本発明のシート片25の貼着方法について、本発明の転写シート3と本発明の押圧部材4との使用方法と共に図面を参照して説明する。
上述したように、剥離紙28上に形成された複数のシート片25は、剥離紙28が外側になるように、基材31上の粘着層35に同時に粘着される。剥離紙28上の複数のシート片25は、凸部121の幅Z2と略同じ幅Zの間隔で複数並んでいる。一方、転写シート3の基材31の複数の開口30は、凹部底面125の幅Y2と略同じ幅Y’の間隔で並んでいる。そして、剥離紙28上のシート片25の幅Yと、開口30間の幅Y’とは、ライザ部12の凹部底面125の幅Yと略同じである。そして、剥離紙28上に並んだ複数のシート片25のそれぞれを基材31の開口30を塞ぐことがないように位置合わせし、基材31に対して複数のシート片25を同時に粘着する。このとき、シート片25は、所定の情報が形成されている一方主面が転写シート3の基材31に向かい合うように粘着される。シート片25は、上述のように、1つのシート部材20を切断してなるため、隣接するシート片25の順番の入れ違い及びシート片25の位置のずれがない。すなわち、ライザ部12に貼着するシート片25の順番や、貼着する位置が保たれたまま、きれいにシート片25をライザ部12の凹部底面125に貼着することができる。
複数のシート片25を粘着させた転写シート3は、シート片25から剥離紙28が剥離される。剥離紙28が剥離されることで、転写シート3は、図7のように、複数のシート片25の貼着層29が露出した状態できれいに配列した状態となる。貼着層29が露出したシート片25を複数備える転写シート3には、ライザ部12の凸部121の幅Z2と略同じ幅Z’を有する開口30が複数ある。この転写シート3は、シート片25の貼着層29がエスカレータ1のライザ部12に向かい合うように配置され、開口30にライザ部12の凸部121が挿通される。
ライザ部12の凸部121が開口30に挿通された転写シート3は、開口30によって、シート片25の貼着層29を有する面が凹部底面125と向かい合うように、凹部底面と接触している。このような状態の転写シート3に対して、図8のように、押圧部材4を使って、転写シート3を介して、複数のシート片25をライザ部12の凹部底面125に同時に押圧する。押圧部材4は、上述のように、凹部底面125の幅Y2と略同じ幅Y’’の複数の突起40が備えられているため、転写シート3を介して、押圧部材4でシート片25を凹部底面125に向かって押圧することができる。シート片25における転写シート3の粘着層35を有する面の反対側の他方主面には、貼着層29が備えられている。そのため、押圧部材4によるシート片25の押圧によって、シート片25を凹部底面125に貼着させることができる。このとき、転写シート3の開口30に凸部121を挿通することで、ライザ部12と転写シート3との位置がずれることなく定まり、貼着層29が露出した状態できれいに配列した複数のシート片25を、転写シート3上での位置を保ったまま、ライザ部12の凹部底面125に貼着することができる。すなわち、転写シート3により、容易にシート片25を貼着する位置が決定でき、素早くシート片25を貼着することができる。
押圧部材4で押圧した後、転写シート3は、複数のシート片25から剥がされる。転写シート3の基材31上の粘着層35の粘着力は、シート片25の貼着層29より弱いため、転写シート3をシート片25から剥がしても、シート片25は凹部底面125から剥がれない。これにより、図9のように、複数のシート片25をエスカレータ1のライザ部12の凹部底面125に同時に貼着することができる。転写シート3を剥がした後、押圧部材4を使用して、シート片25を押圧してもよい。これにより、より強固にシート片25を凹部底面125に貼着させることができる。
このように、本発明のシート片貼着方法は、所定の情報が形成されたシート状部材を切断してなるシート片25を、凹部底面125に貼着させる前に、転写シート3の開口30間に粘着させる。そして、開口30に凸部121を挿通するようにシート片25と凹部底面125を接触させ、押圧部材4によってシート片25を凹部底面125に向かって押圧する。これにより、隣接するシート片25の順番の入れ違い及びシート片25の位置のずれがなく、同時に凹部底面125にシート片25を貼着することができる。すなわち、ライザ部12に貼着されたシート片25は、貼着された位置がずれずにきれいに貼着できるとともに、図9のように、切断前に形成されていた所定の情報を認識することができる。そして、シート片25を貼着する位置を気にせずに、同時に凹部底面125に貼着することができるため、シート片25を1枚ずつ貼着させていた従来の方法に比べて格段に素早く作業することができる。また、踏み込み台10の一部を分解したりする必要がなく、手軽に作業することができ、エスカレータの停止時間も短くすることができる。
また、本発明の転写シート3は、開口30を塞ぐことなく、隣接するシート片25の順番の入れ違い及びシート片25の位置のずれがなく粘着される。また、この転写シート3は、凸部121の幅Y2と略同じ幅Y’の開口30を有することで、凸部121を挿通させることができる。これにより、ライザ部12と転写シート3との位置が定まる。したがって、転写シート3を使うことで、隣接する複数のシート片25の順番が入れ違ったり、複数のシート片25の位置がずれることなく、ライザ部12と複数のシート片25との位置が定まる。すなわち、転写シート3により、容易にシート片25を貼着する位置が決定できる。位置が定まったシート片25は、同時に凹部底面125に接触するため、このシート片25を凹部底面125に向かって押圧することで、素早くシート片25を貼着することができる。
また、開口30を設けることで、シート片25を貼着させる際、開口30にライザ部12の凸部121が挿通することができ、ライザ部12の湾曲した形状に合わせて開口30の長辺X'の方向に撓むだけで、開口30の長辺X’に対して直角の方向への歪みが少なくなる。そして、シート片25が歪んだり、ライザ部12の凹部底面125の長手方向に対して斜行したりすることなく、きれいに素早くシート片を貼着することができる。
さらに、開口30の長辺X’をシート片25の長手方向の長さXよりも長くすることで、開口30にライザ部12の凸部121を挿通した際に、開口30間の後述する粘着層35が備えられた部分がライザ部12の凹部120に入れ込むことが可能となる。すなわち、粘着層35に粘着されるシート片25の貼着層29のほとんどの部分が、シート片25の歪みがない状態で凹部底面125に接触する。したがって、シート片25が歪んで貼着されないように特別な注意を払うこともなく、短時間できれいにシート片25を凹部底面125に貼着させることが可能となる。
本発明の発明者は、以前、上述のように所定の情報を有するシート部材20を切断してなるシート片25を1つずつライザ部12の凹部底面125に押し込んで貼着させていた。この方法では非常に時間が掛かるため、複数のシート片を貼着させるために、シート片の長手方向の端部を繋ぐように接続したものを使用し、シート片の貼着後にシート片25を繋ぐ部分を切断する方法を考案した。しかしながら、ライザ部12に形成される溝によって、切断後のシート片が歪み、シート片の切断箇所の形状が不均一となるため、ライザ部の凹部底面にきれいに貼着することができなかった。
本発明の転写シート3を用いた上述した本発明の方法であれば、切断されたシート片25は、ライザ部12の凸部121を開口30に差し込むように挿通させることで、開口30間に粘着されたシート片25の長辺がライザ部12の凹部底面125の長手方向に対して平行となるように、シート片25を凹部底面125に接触させることができる。すなわち、複数のシート片25を凹部底面125に真っ直ぐ貼着することができる。シート片25は、転写シート3に粘着される前に、ライザ部12の凹部底面125に貼着させる状態に切断されている。したがって、本発明の転写シート3を用いることで、きれいに切断された複数のシート片25を歪みなく同時にライザ部12の凹部底面125に貼着させることができる。
上述した情報としては、特に限定されるものではないが、文字や図形や記号などの集合体が挙げられ、具体的には、広告などが挙げられる。
また、上述の説明では、所定の情報が形成されたシート部材20を切断してなる複数のシート片25は、ライザ部12の凹部底面125に備えられるものとして説明したが、本発明は、ステップ部11の凹部底面115に備えられていてもよい。
さらに、上述の説明において、シート片25は、幅Zの間隔を空けて切断されるものであったが、シート片25は、幅Zの間隔を空けずに切断されてなるものであってもよい。この場合、シート片25は、一枚ずつ転写シート3の粘着層35に粘着させてもよい。

Claims (5)

  1. シート状の基材と、
    櫛目状の凹部及び凸部が交互に複数形成されたステップ部及びライザ部を有するエスカレータの複数の前記凸部が挿通可能な形状に形成された複数の開口と、
    一方主面に所定の情報が形成され、前記一方主面の反対側の他方主面に前記凹部の底面に貼着させる貼着層を有するシート部材を前記ステップ部又は前記ライザ部の前記凹部の底面の形状に対応する形状となるように切断してなる複数のシート片を、前記基材に形成された複数の前記開口間に粘着させる粘着層とを有することを特徴とする転写シート。
  2. 前記開口は、
    前記シート片の長手方向長さより長い長辺と、
    前記エスカレータのステップ部又はライザ部の前記凸部の幅方向の長さと略同じ短辺とからなる長方形状であることを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
  3. 前記粘着層は、複数の前記シート片の当該粘着層と接触する一方主面の反対側の他方主面に備えられた前記凹部の底面に前記シート片を貼着するための前記貼着層の粘着力よりも弱い粘着力を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写シート。
  4. 一方主面に所定の情報が形成され、櫛目状の凹部及び凸部が交互に形成されたステップ部及びライザ部を有するエスカレータの前記凹部の底面に貼着させる貼着層を前記一方主面の反対側の他方主面に有するシート部材を、前記凹部の底面の形状に対応する形状となるように切断して、複数のシート片を形成する工程と、
    凸部が挿通可能な形状に形成された複数の開口を有する基材の前記開口間に形成された粘着層に、前記一方主面を向かい合わせるように複数の前記シート片を粘着させる工程と、
    前記凹部の底面に前記シート片の前記貼着層を向かい合わせるように、前記シート片が粘着された前記基材の前記開口に前記凸部を挿通する工程と、
    複数の前記凹部の形状に合わせた複数の突起を有する押圧部材で、前記凸部を前記開口に挿通させた前記基材を前記凹部の底面に向かって押圧し、前記シート片を前記凹部の底面に貼着させる工程とを有することを特徴とするシート片貼着方法。
  5. 前記シート部材の貼着層には、剥離紙が備えられ、
    前記シート部材は、剥離紙を切断せずに前記凹部の底面の形状に対応する形状となるように切断されることを特徴とする請求項4記載のシート片貼着方法。
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