JPWO2008004577A1 - 無線通信システム - Google Patents

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Abstract

固定位置に配置された電波遮蔽物を有する構造物内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムにおいて、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置する。ここで、上記構造物は航空機であり、上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置する。また、上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置する。

Description

本発明は、例えば航空機などの構造物内において設けられ、複数の無線チャンネルを用いて無線通信を行う無線通信システムに関する。
従来、無線信号を送受信する無線通信装置をそれぞれ有する複数の無線局を用いた無線通信システムが実用化されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、航空機内でのオーディオ及びビデオデータ無線配信システム(以下、「オーディオ及びビデオデータ」を、「AVデータ」という。)が開示されている。また、特許文献3では、車両において無線ローカルエリアネットワーク(以下、「ローカルエリアネットワーク」を、「LAN」という。)を利用した無線通信システムが提案されている。無線LANシステムの無線通信装置としては、例えばIEEE802.11の規格(例えば、非特許文献1参照。)に準拠した製品が実用化されて販売されている。IEEE802.11の規格には、使用する周波数や伝送方式等の違いにより、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等の複数の種類の規格が決められている。
これらの無線LANシステムにおいて用いるアクセス制御方式としては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access Collision Avoidance)が採用されており、これは、自無線局のパケット送信に先立ち他の無線局からの電波を検知し、他の無線局が電波を出していれば、ある一定期間だけ送信を待ち、再び他の無線局からの電波の有無を検査し、他の無線局が電波を出していなければ自無線局が電波を送信するという方式である。すなわち、ある無線局が他の無線局の電波の影響を受けるということであり、特に複数の無線局が同一チャンネルを使用しているときには使用する周波数帯が完全に重なるため、他の無線局の電波の影響を強く受け、自局が送信できないということが発生する。これは結果的には有効帯域の減少に帰着し、通信品質が著しく低下する。具体的には、同一チャンネルの複数n個の無線局が干渉範囲内にある場合、個々の無線局の有効帯域は、確率的には1/n以下となる。
また、IEEE802.11の規格では、隣接チャンネル抑圧レベル(Adjacent Channel Rejection)が定義されており、これは、受信しようとしているチャンネルのレベルに比べてどのくらい高いレベルでの隣接チャンネルの干渉波まで許容かを示すものである。隣接チャンネルからの干渉を強く受けた場合は受信信号の波形(周波数特性)が変化し、正常にパケット受信ができずパケットエラーとなる。その結果は有効帯域の減少に帰着し、通信品質が著しく低下する。なお、CSMA/CA及び隣接チャンネル抑圧レベルの詳細については非特許文献2に詳しく記載されている。
図15はIEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F1,F2)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図であり、図16はIEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F3,F4)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。後述する本発明に係る各実施形態では、IEEE802.11aの規格において規定された周波数帯を用いた無線チャンネルの配置方法について説明する。
現在、IEEE802.11aの規格において使用可能な無線チャンネルは、
(a)36チャンネルから64チャンネルまでの8個の連続するチャンネル群と、
(b)100チャンネルから140チャンネルまでの11個の連続するチャンネル群と、(c)149チャンネルから161チャンネルまでの4個の連続するチャンネル群とを含む。これ以外の無線チャンネルの使用を検討している国もある。
なお、149チャンネルから161チャンネルまでの4個の連続するチャンネル群(F4)の使用が許可されているのは米国のみであり、現在、世界共通で使用可能となるように検討されているのは、36チャンネルから64チャンネルまでと、100チャンネルから140チャンネルまでの合計19チャンネルである。本発明に係る実施形態では、36チャンネルから64チャンネルを使用する場合を例として説明する。
上記CSMA/CA方式を用いた無線通信システムにおいて、各無線局間の通信に影響を与えるのは、主として同一チャンネル干渉の場合であり、隣接チャンネル干渉の場合においてもそれらの通信に影響を与える。同一チャンネル干渉は、図15及び図16において、例えば1つの無線局が36チャンネルを使用しており、干渉範囲内の他の無線局が同一の36チャンネルを使用している場合等において発生する。同様に、40、44、48、52、56、60、64チャンネルでも他の無線局が同一番号のチャンネルを使用する場合において同一チャンネル干渉が発生する。また、隣接チャンネル干渉は、
(a)36チャンネルに対して40チャンネルを使用する場合と、
(b)40チャンネルに対して36チャンネル及び44チャンネルを使用する場合と、
(c)44チャンネルに対して40チャンネル及び48チャンネルを使用する場合と、
(d)48チャンネルに対して44チャンネル及び52チャンネルを使用する場合と、
(e)52チャンネルに対して48チャンネル及び56チャンネルを使用する場合と、
(f)56チャンネルに対して52チャンネル及び60チャンネルを使用する場合と、
(g)60チャンネルに対して56チャンネル及び64チャンネルを使用する場合と、
(h)64チャンネルに対して60チャンネルを使用する場合と
において発生する。
無線局間の干渉を低減する方法が特許文献4において開示されている。この方法は各無線ゾーンにおいて少なくとも隣接する無線ゾーン区間では、異なる周波数帯を使用するものである。
また、固定局間及び基地局間同士の干渉を防止する方法が特許文献5において開示されている。この方法は、水平面の特定方向に対して180度の範囲にセルを持つ場合の干渉低減方法であり、隣接するセルの隣り合うセクタ同士では異なる周波数又は偏波を使用するものである。
さらに、隣接チャンネル間干渉を低減する方法が特許文献6において開示されている。この方法は受信電界強度がほぼ等しい移動局をグルーピングし、グルーピングした移動局に周波数分割及び時分割で送信することにより隣接間干渉を低減するものである。
またさらに、同一フロアで異なるシステムが混在する場合等の干渉を低減する方法が特許文献7において開示されている。この方法は使用するシステム毎に使用する周波数チャンネルをシステム毎に複数グループに分け、干渉の発生を防ぐものである。
特表2006−506899号公報。 米国特許出願公開第2004/0098745号明細書。 国際公開第03/032503号パンフレット。 特開平7−212828号公報。 特開2002−112318号公報。 特開2003−209508号公報。 特開平7−336363号公報。 ANSI/IEEE Std 802.11, 1999 Edition (R2003), "Information technology- Telecommunications and Information exchange between systems- Local and metropolitan area networks- Specific requirements- Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications", LAN MAN Standards Committee of the IEEE Computer Society, Reaffirmed on 12 June 2003, IEEE-SA Standards Boards, IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.) Standards Association,[平成18年6月29日検索],インターネット<URL:http://standards.ieee.org/getieee802/802.11.html>。 松江英明ほか監修、「802.11高速無線LAN教科書」、初版、株式会社IDGジャパン、2003年3月29日。
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような課題を有していた。
上記特許文献4の方法では、隣接チャンネルが隣接する無線ゾーン区間になることがある。つまり、無線低減がなく直接に隣接ゾーンから隣接チャンネル干渉を受ける可能性がある。また、同一チャンネルが隣接する無線ゾーン区間になくても、個々のゾーンの範囲が狭い場合は、同一チャンネル間の距離が近くなり同一チャンネルからの電波干渉を受けるという課題を有していた。
また、上記特許文献5の方法は、水平面の特定方向に対して180度の範囲にセルを持つ場合の限定的な場合においてしか有効ではなく、また偏波を用いるため特に複雑な反射波が混在する空間(例えば航空機の中)ではあらゆる偏波面を有する反射波が存在するため有効ではなかった。また、隣接するセクタ同士では異なる周波数を用いても、特許文献4と同様に同一チャンネル間の距離が近い等、同一チャンネルからの電波干渉を受けるという課題を有していた。
また、上記特許文献6の方法は、移動局の周波数を決定する方法であり、基地局間の干渉を低減するものではない。また、受信強度の計測と判定手段及び時分割送信が必要であり、複雑な構成となるという課題を有していた。
また、特許文献7の方法は、同一チャンネルの使用を排除する仕組みであり、従って、同一チャンネル間の干渉を排除するものではなく、また、隣接チャンネルは同一グループに属するため干渉が発生するという課題を有していた。
さらに、上記従来技術は、例えば航空機などの無線反射率の高い金属の胴体で囲まれた空間では、電波が外に放出される割合が低く、機内に電波が閉じこめられるため反射波により電波干渉が起こりやすく、ゾーン区分の仕組みや偏波のみでは干渉低減効果が得られないという問題点も有していた。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、構造物の特徴を利用して、同一チャンネル間の干渉及び隣接チャンネル間の干渉を低減する無線通信システム及び当該無線通信システムのための無線チャンネル配置方法を提供することにある。
第1の発明に係る無線通信システムによれば、固定位置に配置された電波遮蔽物を有する構造物内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムにおいて、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置したことを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、上記構造物は航空機であり、上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置したことを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置したことを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置したことを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする。
第2の発明に係る無線チャンネル配置方法は、固定位置に配置された電波遮蔽物を有する航空機内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムのための無線チャンネル配置方法において、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置し、かつ上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置することを含むことを特徴とする。
上記無線チャンネル配置方法において、上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置することをさらに含むことを特徴とする。
また、上記無線チャンネル配置方法において、上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置することをさらに含むことを特徴とする。
さらに、上記無線チャンネル配置方法において、上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする。
本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法によれば、電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル及び/又は隣接チャンネルの無線チャンネルを配置し、さらに好ましくは、上記互いに同一無線チャンネル及び/又は隣接無線チャンネルを有する2つの無線局をそれぞれ、航空機の異なる通路に配置することで、上記チャンネル間で相互に届く電波を低減する。これにより、チャンネル間干渉が低減され、送信待機の仕組みが働くことを抑制し、さらに電波干渉による無線のパケットエラーが少なくなることで、無線帯域を有効に利用することが可能となり、その結果、広帯域で高品質な無線伝送を保証可能となる。
また、本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法は、電波の検出や干渉を低減するための通信手順を必要とするものではなく、制御回路やソフトウェア等が必要なく簡易な装置で実現可能である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。以下の実施形態では、航空機内の無線LANシステムを用いた、いわゆるエンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムの一例について説明する。
図8は本発明の実施形態に係るAVデータ無線配信システムの装置構成を示すブロック図である。図8において、AVデータ無線配信システムは、
(a)装置コントローラ500aと、AVコンテンツデータを格納するサーバメモリ500bとを備えて構成されるAVコンテンツサーバ装置500と、
(b)LANケーブルを介してAVコンテンツサーバ装置500に接続される、例えばイーサネット(登録商標)スイッチであるLANスイッチ501と、
(c)LANケーブルを介してLANスイッチ501に接続される複数の無線アクセスポイント装置1000と、
(d)各無線アクセスポイント装置1000に無線接続され、出力デバイスであるビデオモニター装置505及び入力デバイスであるユーザコントローラ506を備えた複数の無線クライアント装置504とを備えて構成される。
図9は図8の無線アクセスポイント装置1000の構成を示すブロック図である。図9において、無線アクセスポイント装置1000は、無線クライアント装置504からの無線信号を送受信するアンテナ601と、無線通信回路602と、LANスイッチ603に接続されたLANインターフェース603と、これらの回路602,603の動作を制御する装置コントローラ600とを備えて構成される。
図10は図8の無線クライアント装置504の構成を示すブロック図である。図10において、無線クライアント装置504は、無線アクセスポイント装置1000からの無線信号を送受信するアンテナ701と、無線通信回路702と、無線通信回路702の動作を制御する装置コントローラ700とを備えて構成される。ここで、装置コントローラ700には、ユーザである乗客がコンテンツなどを視聴するための出力デバイスであるビデオモニター装置505と、乗客が指示情報を入力するための入力デバイスであるユーザコントローラ506とが接続される。
ユーザコントローラ506を用いて乗客が入力した要求を含むメッセージ信号は無線アクセスポイント装置1000及びLANスイッチ501を介してAVコンテンツサーバ装置500に伝送され、これに応答して、AVコンテンツサーバ装置500はAVデータを当該無線クライアント装置504に対してストリーミング配信する。すなわち、AVデータはLANスイッチ501及び無線アクセスポイント装置1000を介して、受信すべき無線クライアント装置504に伝送された後、乗客のビデオモニター装置505に出力されて表示され、乗客は所望のビデオプログラムの画像を視聴することができる。
図8の実施形態では、1つの無線クライアント装置504に2個のビデオモニター装置505を接続しているが、本発明はこれに限らず、1個又は3個以上のビデオモニター装置505を接続してもよい。なお、ビデオモニター装置505にはヘッドフォン(図示せず。)が接続されており、ビデオプログラムの画像信号に対応する音声を聞くことができる。また、音声信号のみを受信して例えば音楽だけを楽しむこともできる。
次いで、無線伝送システムについて説明する。無線アクセスポイント装置1000には、1つ又は複数の無線クライアント装置504が接続され、これらの無線アクセスポイント装置1000と接続された無線クライアント装置504は1つの無線チャンネルを用いて無線アクセスポイント装置1000と無線通信する。1つの無線チャンネルで構成された、無線アクセスポイント装置1000と無線クライアント装置504のグループは無線セルと称される。無線アクセスポイント装置1000は機内に複数個配置される。すなわち機内には複数の無線セルが存在することになる。
図11は図1の無線アクセスポイント装置1000の無線セルを示す横断面図である。図11において、航空機800の長手方向、すなわち前後方向をX方向とし、その幅方向をY方向としている。図11において、1001は航空機のシートであり、1000は無線アクセスポイント装置である。図11において、1つの無線セルのみを図示しており、黒で塗りつぶされたシート1001は無線アクセスポイント装置1000に接続されるシート群である。図11の一例では、2列シート群が4つで、4列シート群が2つの場合を例示している。各シート列には1つずつ無線クライアント装置504が取り付けられる。無線アクセスポイント装置1000がカバーするシート群は、安定した伝送を行うためにより強い電波で無線伝送を行うことができる無線アクセスポイント装置1000近傍のシート群が選ばれる。これらのシート群と無線アクセスポイント装置1000が無線セルを構成し、1つの無線チャンネルを使用して無線伝送を行う。
なお、一般的には、無線セル内に強い電波を送信し、特に機体前後方向(X方向)への電波の放射を極力小さくするために、機体前後方向(X方向)に電波の放射が小さい指向特性を有する放射パターンを有するアンテナ601を使用する。そのアンテナ601の放射パターンについては、例えば図1において図示されている。図1において、無線アクセスポイント装置1000の正方形内の数字は無線チャンネル番号を示しており、図1以外の図面においても同様である。36チャンネルの無線クライアント装置504は、Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36aと、−Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36bとを有する。また、40チャンネルの無線クライアント装置504は、Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36aと、−Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36bとを有する。
本発明の着目点は、無線干渉の本質は当該無線クライアント装置504の無線局(チャンネル)に干渉を及ぼすチャンネルを使用している他の無線クライアント装置504の無線局からの電波を極力小さくすることである。そのためには以下の2つの方法が考えられる。
第1の方法は、お互いの無線局の距離を離す方法である。この方法は基本的に航空機内においても有効な方法であるが、航空機800はその胴体が金属等の電波反射帯でできている閉空間であることから反射波が外に逃げにくく、その効果は限定的である。また、AVデータ無線配信システムの要求帯域に応じて、使用する無線アクセスポイント装置1000の数が多い場合や無線局の配置の都合上、全てのチャンネルにおいて効果的に適応できる保証はない。
第2の方法は、電波遮蔽物を、干渉する無線局間に配置することにより、電波を互いに届きにくくすることである。電波遮蔽物を配置することにより、相手無線局からの電波を低減することが可能となり、結果としてチャンネル間干渉を低減することができる。
本発明はこの点に着目し、航空機800の構造上の特徴を利用して、電波遮蔽物を利用することによりチャンネル間干渉を低減する。なお、ここで、電波遮蔽物とは、電波を吸収して減衰させる電波遮蔽シート、クッション材、液体や人体などの電波吸収率の高い物等に限らず、金属などの反射により、アンテナからの電波の放射方向(進行方向)から電波を反射させ、電波の方向が変わることにより、電波を直接的には他の無線局に到達させないことで実質的に電波を遮蔽する物を含む。これらの反射は乱反射となるため、反射を繰り返す毎に電波は弱くなり干渉源としての影響が少なくなる。
第1の実施形態.
本実施形態では、隣接チャンネルの干渉を低減する方法について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る、航空機800において配置された複数の無線アクセスポイント装置1000を備えた、いわゆる航空機内エンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムを示すとともに、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第1の配置例を示す横断面図である。本実施形態において重要な点は、隣接チャンネルを有する無線クライアント装置504が互いに異なる通路811,812に配置されていることであり、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除する。図1の航空機800の2つの通路811,812は、航空機800の長手方向(X方向)に延在しかつ互いに平行である。
図1において、各無線アクセスポイント装置1000を菱形で図示しており、その中に無線チャンネル番号を記している。また、4列シート群と2列シート群の場合を例示しており、4列シート群が機体中央に、2列シート群が両窓際に配置されている。さらに、化粧室1001には、金属製の洗面台等が設置されている。ギャレイ(航空機の調理室)1011は料理や飲み物のサービスの準備をする場所であり、電子レンジ、コーヒーメーカ、料理や飲み物を運ぶための金属製のカート等が設置されている。当然のことながら、ギャレイ1011には料理や飲み物の保管場所がある。
図2は図1の航空機800のシート1001付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号の反射状態を示す縦断面図であり、図2では、航空機800の幅方向(Y方向)に平行な線で垂直に切断してなる縦断面図である。図2において、各無線アクセスポイント装置1000と、シート1001と、無線クライアント504と、ビデオモニター505とが図1又は図8と同様に設けられている。また、ユーザコントローラ506は図2において、図示していないがシート1001の部分に配置される。
乗客荷物収納庫201は、窓側の座席の上部に各1カ所、及び中央の座席の上部に2カ所の合計4カ所設置されている。これは、2本の通路811,812を有する航空機800の標準的な構成である。乗客が機内に持ち込んだ乗客手荷物202はまず乗客荷物収納庫201に収容されるが、乗客荷物収納庫201に入れない手荷物については、航空機航行の安全上、座席の下に置くことが強く推奨されている。乗客用小物入れ203は通常乗客の前座席の後部についており、シート1001の下に入れると同様に、乗客の持ち込み手荷物を入れることができる。さらに、乗客204は通常シート1001に常時座っている。なお、通常は、シート1001の前面に乗客204が座り、シート1001の背もたれの背面にビデオモニター装置505及び乗客用小物入れ203が取り付けられることが一般的であるが、図面の都合上、図2においては同一面に図示している。無線信号の電波は3次元的に放射されるので2次元の図面に上記のように図示しても本質的な説明の妨げになるものではない。
また、貨物室205は航空機800の所定位置(通常は、客室の床下)に設けられ、乗客204が預けた荷物や貨物等をジュラルミン等のコンテナに入れて、貨物室205に収容される。さらに、機内配管206は、緊急時に酸素マスクに酸素を送り込むための酸素を通すパイプと、それに加えて酸素をためておくための酸素ボンベ(図示せず)と、羽を動かすためのワイヤ、ドアを動かすためのワイヤあるいは航行制御用の配線等を保護するためのパイプ等を含む。また、ワイヤ207は、航行時の安全に直接関係のない制御を行う配線や制御ワイヤ等であり、一部パイプに保護されていないものもある。当該ワイヤ207は航空機800の安定航行の観点から、特に金属等を材質としている重量の大きいものは、左右のバランスを保つためにできるだけ機体中央に配置される。
無線アクセスポイント装置1000は、通常は各通路811,812の上方の天井裏に配置される。これは、無線クライアント装置504がシート1001に設置されるため、例えば乗客荷物収納庫201の上方に配置した場合は、電波が放射されてすぐに乗客204の荷物で反射あるいは吸収されるため、本来強い電波を伝達すべき無線クライアント装置504への到達電波が弱くなり通信の品質が確保できないためである。つまり、無線アクセスポイント装置1000から直接的に無線クライアント装置504へ向かう方向については、強い電波を確保するために、電波遮蔽物がないことが理想的であることから、各通路811,812上方の天井裏は理想的な配置である。
また、航空機800では安全上客室に突起が出ることは好ましくないため、この点からも、無線アクセスポイント装置1000は天井裏に配置されるのが理想である。なお、客室内で支障がない場合や、無線クライアント装置504に対して強い電波が届く場合においては、天井の下(客室側)あるいは通路811,812の上部又は下部等でもよい。例えば、2階構造の航空機800の場合は、2階の通路の直下又は1階の通路の直上に各無線アクセスポイント装置1000を設けることで、1つの無線アクセスポイント装置1000で1階と2階の両方の無線クライアント装置504をカバーすることができる。
無線クライアント装置504の配置に関しては、無線アクセスポイント装置1000からの直接波を受信するために、図2においては、各通路811,812の上方に配置しているが、各通路811,812の下方に配置してもよい。この場合において、シート1001を抜けてきた電波、あるいは貨物などからの強い第1反射波により安定的に電波を受信することが可能となるので、各通路811,812の下方に配置してもよい。
図4は図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機体上部及び機体下部で反射を繰り返して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す縦断面図である。図4は、航空機800の長手方向に平行な線で垂直に切断してなる縦断面図である。図4において、例えば通路811,812の天井裏に設置された無線アクセスポイント装置1000から送信される無線信号は、機体内で反射を繰り返し、機体の幅方向(Y方向)だけでなく前後方向(X方向)にも到達する。既に図11を参照して説明したように、1つの無線アクセスポイント装置1000は航空機800の前後方向(X方向)に複数のシート1001をカバーするため、無線アクセスポイント装置1000からの電波放射方向には電波遮蔽物がないことが必要であり、この意味でも、図2のように各通路811,812上方の天井裏に配置することは理想的である。機内では反射が多いため、電波は長距離まで伝搬しやすい環境にあるが、電波は距離の3乗に反比例して小さくなるため、やがては図4の401、402のように、実質的に電波がない状態と等価になる。当然のことながらこの状態になる距離は反射の状態に依存する。
次に、図2を参照して、上記構成物が無線信号を遮蔽する様子について説明する。なお、以降の説明において、無線信号を「反射」と「吸収」という言葉を使用して説明するが、必ずしも100%の無線信号を反射や吸収を意味するわけではなく、反射率及び吸収率は物質に依存し、例えば、80%反射して20%吸収する、あるいは30%反射して70%吸収するなど、物質によって様々であってその程度の問題である。従って、反射及び吸収の用語は、説明の便宜的に用いられているだけであり、本発明の本質に関係のある「無線の進行を妨げる(遮蔽する)」という意味においては同一の意味をなす。また、以降の説明において、電波が消滅するという表現を用いる。電波はなにかの物質に完全に吸収されるまで消滅するわけではないが、無線装置が検出レベル(強度)以下になる場合やあるいは干渉の影響を及ぼすレベル以下になれば、本発明の観点においては実質的に電波が消滅していると考えられるので、消滅という用語を用いる。
図2において、機内の構成物を無線の反射及び吸収の観点から説明する。乗客荷物収納庫201、乗客手荷物202及び乗客用物入れ203には乗客の持ち込み荷物が収納される、荷物の一例としてはノート型パーソナルコンピュータ(PC)があり、当該パーソナルコンピュータの筐体や基板等は無線信号を反射する。また、服等の衣類、おみやげのアルコール飲料、ジュースや水などの液体は電波を吸収する。乗客204の人体は無線信号を吸収することがよく知られている。また、乗客の着用している服や機内で使用する毛布なども無線信号を吸収する。さらに、シート1001は無線信号を吸収するクッション材が使用されており、シート1001の背もたれや底板等のシートの骨組みそのものはジュラルミン等の金属で構成されている場合や、無線信号を一部反射し、また一部吸収するカーボンの複合素材等で構成されている場合などもある。
また、貨物205は上述のようにジュラルミン等でできており無線信号を反射する。なお、仮に将来的に無線信号を通過させる素材で作られるようになったとしても、中の荷物は乗客荷物収納庫等に入れられる物と本質的に同じであり、無線信号を吸収したり反射したりする物で構成される。さらに、機内配管206及びワイヤ207は無線信号を反射する。無線アクセスポイント装置1000を含む図11に示した、航空機800内でのAVデータ無線配信システムの各機器の筐体等も無線信号を反射する。なお、客室天井208及び客室床209は、機体の軽量化のためにハニカム構造により強化した紙等で構成されるため、無線信号を通過させる。
次に、図2を参照して、無線信号が遮蔽される様子を具体的に説明する。無線信号220は無線アクセスポイント装置1000から送信され、無線クライアント装置504で受信された後に、シート1001のクッション及び乗客用物入れ203内に入れられた、例えばペットボトル等の電波吸収体により電波が吸収されて電波が消滅する。また、無線信号221は無線アクセスポイント装置1000から送信され、貨物205で反射し、ビデオモニター505で反射、ワイヤ207で反射、機体の胴体で反射、機内配管206で反射し、さらに機体の胴体で反射して伝搬距離が長くなったため電波が消滅する。さらに、無線信号222は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客荷物収納庫201内のPCで反射し、乗客204の人体で吸収されて電波が消滅する。
無線信号223は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、貨物205で反射し、シート1001の底面のジュラルミンの底板と貨物205で反射を繰り返し、乗客手荷物202で反射してシート1001のクッションで吸収されて電波が消滅する。また、無線信号224は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客手荷物入れ203の乗客手荷物の例えば携帯用オーディオセットで反射し、乗客荷物収納庫201の荷物の中の例えば飲み物で吸収されて電波が消滅する。
さらに、無線信号225は無線アクセスポイント装置1000から送信され、無線クライアント装置504で受信された後に、機体で反射、その後貨物205とシート1001の底面のジュラルミンの底板とで反射を繰り返している間に伝搬距離が長くなったため電波が消滅する。また、無線信号226は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客荷物収納庫201のPCで反射し、貨物205で反射し、無線クライアント装置504で受信され、機体の胴体で反射して、乗客荷物収納庫201の乗客荷物の例えば衣類等で吸収されて電波が消滅する。
なお、図2においては、反射すると説明した物の上を電波が通過している矢印となっている場合があるが、2次元での図面作成の都合上このようになるのであって、実際の反射は3次元で起こっており、このような場合は存在する。また、1つの反射により複数の方向に複雑に乱反射するため、図2のようにある特定の反射方向に着目した場合は、反射波はかなり弱くなっている。
図3は図1の航空機800のギャレイ1011付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号が反射して伝搬する状態を示す縦断面図である。図3を参照してギャレイ1011部分での無線信号の反射について説明する。図3において、300はコーヒーサーバ装置、301はシンク(流し台)、302は食事や飲み物を運ぶためのカートである。これら全てのものは金属をベースに構成されており、無線反射率が非常に高い、またギャレイ1011の構造自身も温度の高いものを扱うため、壁、床、天井等と同様に金属で耐熱性を確保している場合が多い。ドリンク入れ303には、乗客にサービスする飲み物が格納されている。飲み物は液体であるため電波を吸収する。
次に、図3を参照して、無線信号が遮蔽される様子を具体的に説明する。図3において、無線信号320は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、シンク301、コーヒーサーバ装置300、機体の胴体、カート302、機体の胴体で反射しているうちに電波伝搬距離が長くなり電波が消滅する。また、無線信号321は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、機体胴体、貨物205、カート302、シンク301、機体胴体、貨物205、カート302で反射を繰り返しているうちに電波伝搬距離が長くなり、電波が消滅する。さらに、無線信号322は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、機体胴体、機内配管206で反射を繰り返しているうちに電波伝搬距離が長くなり電波が消滅する。無線信号322に示すように無線アクセスポイント装置1000からは一部の電波が上部にも放出される場合もある。またさらに、無線信号323は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、ドリンク入れ303の中のジュースなどの液体で電波が吸収され消滅する。
なお、図2及び図3においては、シート1001及びギャレイ1011部分での反射を2次元の模式図で示したが、実際には3次元的に、反射は起こっているため、シート1001での反射とギャレイ1011での反射が組み合わされることもある。
図5は図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機内で反射して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す横断面図である。図5において、無線信号520は無線アクセスポイント装置1000から送信された後、シート1001で2回反射を繰り返し、3回目のシート1001で電波吸収されて電波が消滅している。また、無線信号521は無線アクセスポイント装置1000から送信された後、ギャレイ1011内の例えばカート302で反射し、シート1001及び化粧室1010で反射し、さらにはシート1001で電波吸収されて電波が消滅している。
以上に説明したように、図1のように機体中央に配置されているシート1001及びギャレイ1011などの電波遮蔽物を挟んで両側に隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を配置することで、両通路811,812の各無線アクセスポイント装置間に遮蔽物があることになり、反射及び吸収を繰り返して相互の電波が届きにくい環境となることで、干渉の影響が低減可能となる。
なお、実際には上述のように電波反射は3次元において、上記以外にも様々な機中の物で反射及び吸収を繰り返しており、隣接チャンネル間の無線アクセスポイント装置1000間の電波がお互いに届く場合もあるが、干渉の影響を低減するためには、互いに届く電波をいかに少なくするかがポイントであり、本発明は干渉電波低減に有効で、隣接チャンネルを有する2つの無線アクセスポイント装置1000が互いに異なる通路811,812にそれぞれ配置されていることにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除し高品質な無線伝送が可能となる。
第2の実施形態.
図6は本発明の第2の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第2の配置例を示す横断面図であり、図6は図1と同様に航空機800の客室の横断面図である。本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、隣接チャンネルを有する各無線アクセスポイント装置1000の無線局を互いに異なる通路811,812に配置することにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除するとともに、隣接チャンネルを有する無線アクセスポイント装置1000間の機体前後方向(X方向)にも距離を遠くすることにより、さらに干渉の影響を低減する方法について以下に説明する。
図6において、菱形で示した無線アクセスポイント装置1000の中に無線チャンネル番号を示している。図中の点線の矢印は隣接チャンネルの組を示している。隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局は真ん中のシート列を挟んで両通路811,812に配置されるとともに、航空機800機体の幅方向(Y方向)に平行ではなく、前後方向(X方向)にも距離が離れている。このため、距離による電波の減衰による、機体中央の電波遮蔽物での干渉波低減に加えて、さらに干渉源の無線アクセスポイント装置1000からの電波が低減されるため、隣接チャンネル干渉の影響をさらに低減可能であり、第1の実施形態と同等以上の効果を有し、高品質な無線通信を提供できる。
第3の実施形態.
図7は本発明の第3の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第3の配置例を示す横断面図であり、図7は図1と同様に航空機800の客室の横断面図である。図7において、同一チャンネルを含む16個の無線アクセスポイント装置1000が設置されており、本実施形態においては、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を電波遮蔽物を挟んで互いに異なる通路811,812に配置することにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除する。
AVデータ無線配信システムにおいては、システム全体としての総帯域を向上させるため、多数の無線アクセスポイント1000を使用することが考えられる。例えば、本実施形態では、36チャンネルから64チャンネルまでの8チャンネル分を使用するが、8個の無線アクセスポイント装置1000では帯域が足りない場合は同一のチャンネルの無線アクセスポイント装置1000を再度使用することが考えられる。
具体的に数値例を用いて説明する。例えば1つの無線アクセスポイント装置1000が40Mbpsの帯域のデータを伝送できる場合に、8個の無線アクセスポイント装置1000では320Mbpsの総帯域を確保できるが、仮に640Mbpsの総帯域が要求される場合は、8個のチャンネルの個々のチャンネルを2回ずつ使用して、合計16個の無線アクセスポイント装置1000を設置しなければならない。
なお、総帯域を増やすためには、図10に示した、他の周波数の無線チャンネルを使用する方法が考えられる。しかしながら、当該システムで使用できる無線チャンネル数に上限がある以上、要求帯域が使用できるチャンネルで実現可能な総帯域を超える場合は、同一チャンネルを使用せざるを得ない。具体的には、図15及び図16に示された使用可能な19個の無線チャンネルを使用した場合、19個の無線アクセスポイント装置1000で760Mbpsの総帯域を確保できるが、要求帯域が760Mbpsを超える場合は同一チャンネルを使用することになる。従って本実施形態では、8個の無線チャンネルを使用する場合を例として説明するが、他の個数の無線チャンネルを使用する場合でも、本質的に問題は同様である。
図7において、菱形で示した無線アクセスポイント装置1000の中に無線チャンネル番号を示している。図7の800Aの範囲においては8個の異なるチャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局が配置されている、さらに、800Bの範囲においても上記と同じチャンネルを使用した8個の無線アクセスポイント装置1000が配置されている。このとき、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局は真ん中のシート列を挟んで両通路811,812に配置されている。これにより、同一チャンネルにおいても隣接チャンネルと同様に、第1の実施形態で図2及び図3を参照して説明したように、電波遮蔽物により電波の進行が妨げられ、これにより同一チャンネル間の電波同士がお互いに届くことを低減し、同一チャンネル間の干渉を防止する。これにより、同一チャンネル間でCSMA/CAの機能が働くことによる帯域低下は発生しない。従って高品質な無線伝送を保証することが可能となる。
なお、図7においては、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を航空機800の前後方向(X方向)にも距離を離すことによる電波低減で干渉を低減させる効果もある。
以上の各実施形態で説明したように、構造物として電波遮蔽物が配置されることがわかっている場合に、その電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル又は隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を配置することで、チャンネル間干渉を低減し、CSMA/CA等の無線方式を用いる無線システムが動作することによる帯域低下や無線干渉によるパケットエラー等に起因する帯域低下を低減することが可能となる。また、キャリアセンスをせず共存できる他の無線通信方式の場合は、干渉に起因するパケットエラーによる帯域低下を低減することができる。
また、以上の実施形態では、航空機800内の物理構成及び物理配置に基づき実現される無線チャンネル配置方法及び無線通信システムであって、電波強度の検出や干渉を低減するための通信手順を必要とするものではなく、制御回路やソフトウェア等が必要なく簡易な装置で実現可能である。さらに、干渉の可能性がある複数の無線局同士で、時分割で干渉を低減する方法ではないので、帯域を有効に使用可能である。
以上の実施形態においては、航空機800内に設けられた無線通信システムについて説明しているが、本発明はこれに限らず、航空機、電車、バス等の移動体内の無線通信システムに適用してもよい。これらの移動体は、強度の観点から金属をベースとして胴体が構成され、金属は無線反射率が高いため、電波が外に放出される割合が低く、無線チャンネルの電波が移動体の胴体で反射されて胴体の内側に残留する割合が高いため、特にチャンネル間干渉の低減が求められるため、チャンネル間干渉を低減する本実施形態の効果はこのような環境では特に大きい。特に、航空機800は機体に強固な強度が求められるために窓を小さくして胴体の部分が多いため、電波が航空機800の機内に残留する割合が非常に高い。また、窓などのないコンクリート壁等のビルの中等でも壁、天井、床からの無線の反射が大きいため同様に本発明の効果が大きい。
第4の実施形態.
図12は本発明の第4の実施形態に係る、無線チャンネル配置決定装置900の構成を示すブロック図であり、図13は図12の無線チャンネル配置決定装置900によって実行される無線チャンネル配置処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る無線チャンネル配置決定装置900は上記各実施形態に係る航空機800において複数の無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルを配置するための装置である。
図12において、主制御部であるCPU901は具体的にはデジタル計算機で構成されており、バス910を介して以下のハードウェア各部と接続されてそれらを制御するほか、後述する種々のソフトウェアの機能を実行する。ディスプレイ906は液晶表示装置(LCD)又はCRTディスプレイ等の表示装置であり、無線チャンネル配置処理を実行した結果を表示出力する。キーボード905は、当該無線チャンネル配置決定装置900を操作するために必要な文字キー、テンキー及び各種のファンクションキー等を備える。なお、上記ディスプレイ906をタッチパネル方式とすることにより、このキーボード905の各種キーの内の一部又は全部を代用するように構成してもよい。プリンタ907は例えば電子写真方式等のプリンタ装置であり、無線チャンネル配置処理を実行した結果を印字出力する。
ROM(Read Only Memory)902は、当該無線チャンネル配置決定装置900の動作に必要であって主制御部901によって実行される種々のソフトウェアのプログラムを予め格納し、ここで、当該プログラムは、少なくとも後述する図13の無線チャンネル配置処理のプログラムを含む。RAM(Random Access Memory)903は、SRAM(Static Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等で構成され、主制御部901のワーキングエリアとして使用されてプログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。また、ハードディスクメモリ904は、航空機800内の無線アクセスポイント装置1000の事前設計された配置位置情報を格納する装置配置テーブル904aと、図15及び図16の無線チャンネルの情報(但し、本実施形態では、F4の無線チャンネルを使用しない。すなわち、F1,F2,F3の合計19チャンネルを使用する。)を予め格納するチャンネルテーブル904bと、無線チャンネル配置決定処理の処理結果であるチャンネル配置を格納するチャンネル配置テーブル904cとを含む。
図14は図12の無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置処理を実行したときの処理例を示す航空機800内の無線チャンネル配置の横断面図である。図14において、無線アクセスポイント装置1000は長方形で示しており、その中の上段の数字は無線チャンネル番号であり、下段の括弧内の数字は使用する無線チャンネルを、各チャンネル群でシリアルに自然数で便宜的に表したチャンネルシリアル番号である。以下、図13及び図14を参照して無線チャンネル配置処理について説明する。
図13において、ステップS0において、無線アクセスポイント装置1000の配置情報を装置配置テーブル904aから読み出し、無線チャンネル情報をチャンネルテーブル904bから読み出す。次いで、ステップS1において、図14(a)に一例を示すように、各1対の隣接チャンネルがそれぞれ異なる2つの通路811,812に配置されるように振り分ける。次いで、ステップS2において、図14(b)に一例を示すように、各1対の隣接チャンネルが航空機800の長手方向(X方向)で離れるように、片方の通路(例えば812)側のチャンネルを2つ又は3つのチャンネルセットで入れ替える。さらに、ステップS3において、図14(c)に一例を示すように、1対の隣接チャンネルが航空機800の長手方向(X方向)で離れるように、8チャンネル群(F1,F2)の各チャンネルを、11チャンネル群(F3)の各チャンネルで挟むように、すなわち、前者の各チャンネルと後者の各チャンネルとが互い違いになるように配置する。さらに、ステップS4では、同一チャンネルを使用するか否かが判断され、YESのときはステップS5に進む一方、NOのときはステップS6に進む。
ステップS5において、図14(d)に一例を示すように、同一のチャンネルの各チャンネルが互いに離れるように配置する。図14(d)の950は同一のチャンネルの2回目の繰り返し配置を示す。次いで、ステップS6において、上記得られた無線チャンネル配置の情報をチャンネル配置テーブル904cに格納する。さらに、ステップS7において、上記得られた無線チャンネル配置の情報をディスプレイ906に出力して表示し、もしくはプリンタ907に出力して印字して当該処理を終了する。
以上の第2の実施形態では、上記得られた無線チャンネル配置の情報をディスプレイ906に出力して表示し、もしくはプリンタ907に出力して印字しているが、本発明はこれに限らず、当該無線チャンネル配置決定装置900をLANスイッチ501に接続してネットワーク経由で各無線アクセスポイント装置1000において決定された無線チャンネル配置に基づいて無線周波数を設定してもよい。また、航空機800のシステム構成(具体的には、無線アクセスポイント装置1000の個数や配置)が決まった時点で無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置を決定した後、その結果をネットワーク経由で各無線アクセスポイント装置1000に無線チャンネル配置に基づいて無線周波数を設定してもよい。ここで、無線チャンネル配置に基づく無線周波数の設定は、例えば無線アクセスポイント装置1000の装置コントローラ600内の不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ又はEEPROM)に書き込みこと、もしくはDIPスイッチを用いて行う。
図13の処理では、同一チャンネルの2つの無線アクセスポイント装置1000を離隔するように配置しているが、本発明はこれに限らず、異なる2つの通路811,812に配置してもよい。
変形例.
以上の実施形態では、金属胴体の航空機800内に設けられた無線通信システムの無線チャンネル配置方法について説明したが、本発明はこれに限らず、金属以外の胴体を使用する移動体でも、電波反射は起こるため、本発明を適用することができる。
以上の実施形態では、IEEE802.11aの規格に記載された周波数帯を用いて無線チャンネル配置方法について説明したが、本発明はこれに限らず、本質的に周波数同士が干渉する無線方式に適用することができる。
以上の実施形態では、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局を異なる通路811,812に配置し、もしくは互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局を異なる通路811,812に配置しているが、本発明はこれに限らず、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、異なる通路811,812に配置してもよい。
以上の実施形態では、隣接チャンネル及び同一チャンネルが全て異なる通路811,812に配置される場合について説明したが、本発明はこれに限らず、使用する無線チャンネルの組合せ、あるいは無線チャンネル数によっては、必ずしも全てのチャンネルがこれらの条件を満たす必要はなく、その場合でも電波遮蔽物が間にある無線チャンネル間に関しては本発明特有の効果を得ることができる。また、航空機800では、機内の各種装備物の配置の関係に依存して各無線アクセスポイント装置1000を必ずしも均等に配置することができないなど、機内での無線アクセスポイント装置1000の配置可能位置において制約条件が発生するが、本発明では、これを配慮して無線チャンネル配置を決定することができる。
以上の実施形態において、航空機800内における人体での電波吸収や乗客荷物での電波の吸収反射は、その位置に予めこれらのものは固定されているわけではないが、シート1001は固定的に取り付けられており、乗客204がその位置に座ることを目的とするためのものである。また、乗客荷物や貨物についても乗客荷物収納庫201等のように、固定位置が決められており、そこに荷物等が入れられる。従って、実際に電波の運用状態ではその位置に固定的に荷物等が配置されるため、位置の固定された電波遮蔽物と見なすことができる。
以上の実施形態においては、広帯域を使用するAVコテンツデータのストリーミング伝送システムであるAVデータ無線配信システムについて説明した。この場合において、無線アクセスポイント装置1000から無線クライアント504への直接波による無線伝送が支配的であるため、無線アクセスポイント装置からの送信のみを例として説明を行ったが、無線通信においては、図11の無線セル内の無線クライアント装置504からも無線送信があり、異なる無線セルの無線クライアント装置504間、及び異なる無線セルの無線アクセスポイント装置1000と無線クライアント装置504間の干渉低減に関しても本発明が有効である。
以上の実施形態において、同一チャンネル繰り返しの例が、図7及び図14では、繰り返し無しで全てのチャンネルを使用してから同一チャンネルが繰り返して配置しているが、本発明はこれに限らず、X方向に十分距離が離れていれば、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000を配置してもよい。
以上詳述したように、本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法によれば、電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル及び/又は隣接チャンネルの無線チャンネルを配置し、さらに好ましくは、上記互いに同一無線チャンネル及び/又は隣接無線チャンネルを有する2つの無線局をそれぞれ、航空機の異なる通路に配置することで、上記チャンネル間で相互に届く電波を低減する。これにより、チャンネル間干渉が低減され、送信待機の仕組みが働くことを抑制し、さらに電波干渉による無線のパケットエラーが少なくなることで、無線帯域を有効に利用することが可能となり、その結果、広帯域で高品質な無線伝送を保証可能となる。特に、本発明に係る無線通信システムは、複数無線チャンネル間の干渉低減が可能となるので、複数の無線チャンネルを用いたデータ伝送システムとして有用である。
本発明の第1の実施形態に係る、航空機800において配置された複数の無線アクセスポイント装置1000を備えた、いわゆる航空機内エンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムを示すとともに、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第1の配置例を示す横断面図である。 図1の航空機800のシート1001付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号の反射状態を示す縦断面図である。 図1の航空機800のギャレイ1011付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号が反射して伝搬する状態を示す縦断面図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機体上部及び機体下部で反射を繰り返して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す縦断面図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機内で反射して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す横断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第2の配置例を示す横断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第3の配置例を示す横断面図である。 本発明の実施形態に係るAVデータ無線配信システムの装置構成を示すブロック図である。 図8の無線アクセスポイント装置1000の構成を示すブロック図である。 図8の無線クライアント装置504の構成を示すブロック図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000の無線セルを示す横断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る、無線チャンネル配置決定装置900の構成を示すブロック図である。 図12の無線チャンネル配置決定装置900によって実行される無線チャンネル配置処理を示すフローチャートである。 図12の無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置処理を実行したときの処理例を示す航空機800内の無線チャンネル配置の横断面図である。 IEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F1,F2)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。 IEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F3,F4)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。
符号の説明
36−64,100−161…無線チャンネル番号、
36a,36b,40a,40b…放射パターン、
504…無線クライアント装置、
800…航空機、
811,812…通路、
900…無線チャンネル配置決定装置、
1000…無線アクセスポイント装置
1001…シート
1010…化粧室
1011…ギャレイ。
本発明は、例えば航空機などの構造物内において設けられ、複数の無線チャンネルを用いて無線通信を行う無線通信システムに関する。
従来、無線信号を送受信する無線通信装置をそれぞれ有する複数の無線局を用いた無線通信システムが実用化されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、航空機内でのオーディオ及びビデオデータ無線配信システム(以下、「オーディオ及びビデオデータ」を、「AVデータ」という。)が開示されている。また、特許文献3では、車両において無線ローカルエリアネットワーク(以下、「ローカルエリアネットワーク」を、「LAN」という。)を利用した無線通信システムが提案されている。無線LANシステムの無線通信装置としては、例えばIEEE802.11の規格(例えば、非特許文献1参照。)に準拠した製品が実用化されて販売されている。IEEE802.11の規格には、使用する周波数や伝送方式等の違いにより、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等の複数の種類の規格が決められている。
これらの無線LANシステムにおいて用いるアクセス制御方式としては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access Collision Avoidance)が採用されており、これは、自無線局のパケット送信に先立ち他の無線局からの電波を検知し、他の無線局が電波を出していれば、ある一定期間だけ送信を待ち、再び他の無線局からの電波の有無を検査し、他の無線局が電波を出していなければ自無線局が電波を送信するという方式である。すなわち、ある無線局が他の無線局の電波の影響を受けるということであり、特に複数の無線局が同一チャンネルを使用しているときには使用する周波数帯が完全に重なるため、他の無線局の電波の影響を強く受け、自局が送信できないということが発生する。これは結果的には有効帯域の減少に帰着し、通信品質が著しく低下する。具体的には、同一チャンネルの複数n個の無線局が干渉範囲内にある場合、個々の無線局の有効帯域は、確率的には1/n以下となる。
また、IEEE802.11の規格では、隣接チャンネル抑圧レベル(Adjacent Channel Rejection)が定義されており、これは、受信しようとしているチャンネルのレベルに比べてどのくらい高いレベルでの隣接チャンネルの干渉波まで許容かを示すものである。隣接チャンネルからの干渉を強く受けた場合は受信信号の波形(周波数特性)が変化し、正常にパケット受信ができずパケットエラーとなる。その結果は有効帯域の減少に帰着し、通信品質が著しく低下する。なお、CSMA/CA及び隣接チャンネル抑圧レベルの詳細については非特許文献2に詳しく記載されている。
図15はIEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F1,F2)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図であり、図16はIEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F3,F4)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。後述する本発明に係る各実施形態では、IEEE802.11aの規格において規定された周波数帯を用いた無線チャンネルの配置方法について説明する。
現在、IEEE802.11aの規格において使用可能な無線チャンネルは、
(a)36チャンネルから64チャンネルまでの8個の連続するチャンネル群と、
(b)100チャンネルから140チャンネルまでの11個の連続するチャンネル群と、(c)149チャンネルから161チャンネルまでの4個の連続するチャンネル群とを含む。これ以外の無線チャンネルの使用を検討している国もある。
なお、149チャンネルから161チャンネルまでの4個の連続するチャンネル群(F4)の使用が許可されているのは米国のみであり、現在、世界共通で使用可能となるように検討されているのは、36チャンネルから64チャンネルまでと、100チャンネルから140チャンネルまでの合計19チャンネルである。本発明に係る実施形態では、36チャンネルから64チャンネルを使用する場合を例として説明する。
上記CSMA/CA方式を用いた無線通信システムにおいて、各無線局間の通信に影響を与えるのは、主として同一チャンネル干渉の場合であり、隣接チャンネル干渉の場合においてもそれらの通信に影響を与える。同一チャンネル干渉は、図15及び図16において、例えば1つの無線局が36チャンネルを使用しており、干渉範囲内の他の無線局が同一の36チャンネルを使用している場合等において発生する。同様に、40、44、48、52、56、60、64チャンネルでも他の無線局が同一番号のチャンネルを使用する場合において同一チャンネル干渉が発生する。また、隣接チャンネル干渉は、
(a)36チャンネルに対して40チャンネルを使用する場合と、
(b)40チャンネルに対して36チャンネル及び44チャンネルを使用する場合と、
(c)44チャンネルに対して40チャンネル及び48チャンネルを使用する場合と、
(d)48チャンネルに対して44チャンネル及び52チャンネルを使用する場合と、
(e)52チャンネルに対して48チャンネル及び56チャンネルを使用する場合と、
(f)56チャンネルに対して52チャンネル及び60チャンネルを使用する場合と、
(g)60チャンネルに対して56チャンネル及び64チャンネルを使用する場合と、
(h)64チャンネルに対して60チャンネルを使用する場合と
において発生する。
無線局間の干渉を低減する方法が特許文献4において開示されている。この方法は各無線ゾーンにおいて少なくとも隣接する無線ゾーン区間では、異なる周波数帯を使用するものである。
また、固定局間及び基地局間同士の干渉を防止する方法が特許文献5において開示されている。この方法は、水平面の特定方向に対して180度の範囲にセルを持つ場合の干渉低減方法であり、隣接するセルの隣り合うセクタ同士では異なる周波数又は偏波を使用するものである。
さらに、隣接チャンネル間干渉を低減する方法が特許文献6において開示されている。この方法は受信電界強度がほぼ等しい移動局をグルーピングし、グルーピングした移動局に周波数分割及び時分割で送信することにより隣接間干渉を低減するものである。
またさらに、同一フロアで異なるシステムが混在する場合等の干渉を低減する方法が特許文献7において開示されている。この方法は使用するシステム毎に使用する周波数チャンネルをシステム毎に複数グループに分け、干渉の発生を防ぐものである。
特表2006−506899号公報。 米国特許出願公開第2004/0098745号明細書。 国際公開第03/032503号パンフレット。 特開平7−212828号公報。 特開2002−112318号公報。 特開2003−209508号公報。 特開平7−336363号公報。 ANSI/IEEE Std 802.11, 1999 Edition (R2003), "Information technology- Telecommunications and Information exchange between systems- Local and metropolitan area networks- Specific requirements- Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications", LAN MAN Standards Committee of the IEEE Computer Society, Reaffirmed on 12 June 2003, IEEE-SA Standards Boards, IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.) Standards Association,[平成18年6月29日検索],インターネット<URL:http://standards.ieee.org/getieee802/802.11.html>。 松江英明ほか監修、「802.11高速無線LAN教科書」、初版、株式会社IDGジャパン、2003年3月29日。
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような課題を有していた。
上記特許文献4の方法では、隣接チャンネルが隣接する無線ゾーン区間になることがある。つまり、無線低減がなく直接に隣接ゾーンから隣接チャンネル干渉を受ける可能性がある。また、同一チャンネルが隣接する無線ゾーン区間になくても、個々のゾーンの範囲が狭い場合は、同一チャンネル間の距離が近くなり同一チャンネルからの電波干渉を受けるという課題を有していた。
また、上記特許文献5の方法は、水平面の特定方向に対して180度の範囲にセルを持つ場合の限定的な場合においてしか有効ではなく、また偏波を用いるため特に複雑な反射波が混在する空間(例えば航空機の中)ではあらゆる偏波面を有する反射波が存在するため有効ではなかった。また、隣接するセクタ同士では異なる周波数を用いても、特許文献4と同様に同一チャンネル間の距離が近い等、同一チャンネルからの電波干渉を受けるという課題を有していた。
また、上記特許文献6の方法は、移動局の周波数を決定する方法であり、基地局間の干渉を低減するものではない。また、受信強度の計測と判定手段及び時分割送信が必要であり、複雑な構成となるという課題を有していた。
また、特許文献7の方法は、同一チャンネルの使用を排除する仕組みであり、従って、同一チャンネル間の干渉を排除するものではなく、また、隣接チャンネルは同一グループに属するため干渉が発生するという課題を有していた。
さらに、上記従来技術は、例えば航空機などの無線反射率の高い金属の胴体で囲まれた空間では、電波が外に放出される割合が低く、機内に電波が閉じこめられるため反射波により電波干渉が起こりやすく、ゾーン区分の仕組みや偏波のみでは干渉低減効果が得られないという問題点も有していた。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、構造物の特徴を利用して、同一チャンネル間の干渉及び隣接チャンネル間の干渉を低減する無線通信システム及び当該無線通信システムのための無線チャンネル配置方法を提供することにある。
第1の発明に係る無線通信システムによれば、固定位置に配置された電波遮蔽物を有する構造物内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムにおいて、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置したことを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、上記構造物は航空機であり、上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置したことを特徴とする。
また、上記無線通信システムにおいて、上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置したことを特徴とする。
さらに、上記無線通信システムにおいて、上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置したことを特徴とする。
またさらに、上記無線通信システムにおいて、上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする。
第2の発明に係る無線チャンネル配置方法は、固定位置に配置された電波遮蔽物を有する航空機内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムのための無線チャンネル配置方法において、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置し、かつ上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置することを含むことを特徴とする。
上記無線チャンネル配置方法において、上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置することをさらに含むことを特徴とする。
また、上記無線チャンネル配置方法において、上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置することをさらに含むことを特徴とする。
さらに、上記無線チャンネル配置方法において、上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする。
本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法によれば、電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル及び/又は隣接チャンネルの無線チャンネルを配置し、さらに好ましくは、上記互いに同一無線チャンネル及び/又は隣接無線チャンネルを有する2つの無線局をそれぞれ、航空機の異なる通路に配置することで、上記チャンネル間で相互に届く電波を低減する。これにより、チャンネル間干渉が低減され、送信待機の仕組みが働くことを抑制し、さらに電波干渉による無線のパケットエラーが少なくなることで、無線帯域を有効に利用することが可能となり、その結果、広帯域で高品質な無線伝送を保証可能となる。
また、本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法は、電波の検出や干渉を低減するための通信手順を必要とするものではなく、制御回路やソフトウェア等が必要なく簡易な装置で実現可能である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。以下の実施形態では、航空機内の無線LANシステムを用いた、いわゆるエンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムの一例について説明する。
図8は本発明の実施形態に係るAVデータ無線配信システムの装置構成を示すブロック図である。図8において、AVデータ無線配信システムは、
(a)装置コントローラ500aと、AVコンテンツデータを格納するサーバメモリ500bとを備えて構成されるAVコンテンツサーバ装置500と、
(b)LANケーブルを介してAVコンテンツサーバ装置500に接続される、例えばイーサネット(登録商標)スイッチであるLANスイッチ501と、
(c)LANケーブルを介してLANスイッチ501に接続される複数の無線アクセスポイント装置1000と、
(d)各無線アクセスポイント装置1000に無線接続され、出力デバイスであるビデオモニター装置505及び入力デバイスであるユーザコントローラ506を備えた複数の無線クライアント装置504とを備えて構成される。
図9は図8の無線アクセスポイント装置1000の構成を示すブロック図である。図9において、無線アクセスポイント装置1000は、無線クライアント装置504からの無線信号を送受信するアンテナ601と、無線通信回路602と、LANスイッチ603に接続されたLANインターフェース603と、これらの回路602,603の動作を制御する装置コントローラ600とを備えて構成される。
図10は図8の無線クライアント装置504の構成を示すブロック図である。図10において、無線クライアント装置504は、無線アクセスポイント装置1000からの無線信号を送受信するアンテナ701と、無線通信回路702と、無線通信回路702の動作を制御する装置コントローラ700とを備えて構成される。ここで、装置コントローラ700には、ユーザである乗客がコンテンツなどを視聴するための出力デバイスであるビデオモニター装置505と、乗客が指示情報を入力するための入力デバイスであるユーザコントローラ506とが接続される。
ユーザコントローラ506を用いて乗客が入力した要求を含むメッセージ信号は無線アクセスポイント装置1000及びLANスイッチ501を介してAVコンテンツサーバ装置500に伝送され、これに応答して、AVコンテンツサーバ装置500はAVデータを当該無線クライアント装置504に対してストリーミング配信する。すなわち、AVデータはLANスイッチ501及び無線アクセスポイント装置1000を介して、受信すべき無線クライアント装置504に伝送された後、乗客のビデオモニター装置505に出力されて表示され、乗客は所望のビデオプログラムの画像を視聴することができる。
図8の実施形態では、1つの無線クライアント装置504に2個のビデオモニター装置505を接続しているが、本発明はこれに限らず、1個又は3個以上のビデオモニター装置505を接続してもよい。なお、ビデオモニター装置505にはヘッドフォン(図示せず。)が接続されており、ビデオプログラムの画像信号に対応する音声を聞くことができる。また、音声信号のみを受信して例えば音楽だけを楽しむこともできる。
次いで、無線伝送システムについて説明する。無線アクセスポイント装置1000には、1つ又は複数の無線クライアント装置504が接続され、これらの無線アクセスポイント装置1000と接続された無線クライアント装置504は1つの無線チャンネルを用いて無線アクセスポイント装置1000と無線通信する。1つの無線チャンネルで構成された、無線アクセスポイント装置1000と無線クライアント装置504のグループは無線セルと称される。無線アクセスポイント装置1000は機内に複数個配置される。すなわち機内には複数の無線セルが存在することになる。
図11は図1の無線アクセスポイント装置1000の無線セルを示す横断面図である。図11において、航空機800の長手方向、すなわち前後方向をX方向とし、その幅方向をY方向としている。図11において、1001は航空機のシートであり、1000は無線アクセスポイント装置である。図11において、1つの無線セルのみを図示しており、黒で塗りつぶされたシート1001は無線アクセスポイント装置1000に接続されるシート群である。図11の一例では、2列シート群が4つで、4列シート群が2つの場合を例示している。各シート列には1つずつ無線クライアント装置504が取り付けられる。無線アクセスポイント装置1000がカバーするシート群は、安定した伝送を行うためにより強い電波で無線伝送を行うことができる無線アクセスポイント装置1000近傍のシート群が選ばれる。これらのシート群と無線アクセスポイント装置1000が無線セルを構成し、1つの無線チャンネルを使用して無線伝送を行う。
なお、一般的には、無線セル内に強い電波を送信し、特に機体前後方向(X方向)への電波の放射を極力小さくするために、機体前後方向(X方向)に電波の放射が小さい指向特性を有する放射パターンを有するアンテナ601を使用する。そのアンテナ601の放射パターンについては、例えば図1において図示されている。図1において、無線アクセスポイント装置1000の正方形内の数字は無線チャンネル番号を示しており、図1以外の図面においても同様である。36チャンネルの無線クライアント装置504は、Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36aと、−Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36bとを有する。また、40チャンネルの無線クライアント装置504は、Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36aと、−Y方向に主ビームを有する例えば略扇形状の放射パターン36bとを有する。
本発明の着目点は、無線干渉の本質は当該無線クライアント装置504の無線局(チャンネル)に干渉を及ぼすチャンネルを使用している他の無線クライアント装置504の無線局からの電波を極力小さくすることである。そのためには以下の2つの方法が考えられる。
第1の方法は、お互いの無線局の距離を離す方法である。この方法は基本的に航空機内においても有効な方法であるが、航空機800はその胴体が金属等の電波反射でできている閉空間であることから反射波が外に逃げにくく、その効果は限定的である。また、AVデータ無線配信システムの要求帯域に応じて、使用する無線アクセスポイント装置1000の数が多い場合や無線局の配置の都合上、全てのチャンネルにおいて効果的に適応できる保証はない。
第2の方法は、電波遮蔽物を、干渉する無線局間に配置することにより、電波を互いに届きにくくすることである。電波遮蔽物を配置することにより、相手無線局からの電波を低減することが可能となり、結果としてチャンネル間干渉を低減することができる。
本発明はこの点に着目し、航空機800の構造上の特徴を利用して、電波遮蔽物を利用することによりチャンネル間干渉を低減する。なお、ここで、電波遮蔽物とは、電波を吸収して減衰させる電波遮蔽シート、クッション材、液体や人体などの電波吸収率の高い物等に限らず、金属などの反射により、アンテナからの電波の放射方向(進行方向)から電波を反射させ、電波の方向が変わることにより、電波を直接的には他の無線局に到達させないことで実質的に電波を遮蔽する物を含む。これらの反射は乱反射となるため、反射を繰り返す毎に電波は弱くなり干渉源としての影響が少なくなる。
第1の実施形態.
本実施形態では、隣接チャンネルの干渉を低減する方法について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る、航空機800において配置された複数の無線アクセスポイント装置1000を備えた、いわゆる航空機内エンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムを示すとともに、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第1の配置例を示す横断面図である。本実施形態において重要な点は、隣接チャンネルを有する無線クライアント装置504が互いに異なる通路811,812に配置されていることであり、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除する。図1の航空機800の2つの通路811,812は、航空機800の長手方向(X方向)に延在しかつ互いに平行である。
図1において、各無線アクセスポイント装置1000を菱形で図示しており、その中に無線チャンネル番号を記している。また、4列シート群と2列シート群の場合を例示しており、4列シート群が機体中央に、2列シート群が両窓際に配置されている。さらに、化粧室1010には、金属製の洗面台等が設置されている。ギャレイ(航空機の調理室)1011は料理や飲み物のサービスの準備をする場所であり、電子レンジ、コーヒーメーカ、料理や飲み物を運ぶための金属製のカート等が設置されている。当然のことながら、ギャレイ1011には料理や飲み物の保管場所がある。
図2は図1の航空機800のシート1001付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号の反射状態を示す縦断面図であり、図2では、航空機800の幅方向(Y方向)に平行な線で垂直に切断してなる縦断面図である。図2において、各無線アクセスポイント装置1000と、シート1001と、無線クライアント504と、ビデオモニター505とが図1又は図8と同様に設けられている。また、ユーザコントローラ506は図2において、図示していないがシート1001の部分に配置される。
乗客荷物収納庫201は、窓側の座席の上部に各1カ所、及び中央の座席の上部に2カ所の合計4カ所設置されている。これは、2本の通路811,812を有する航空機800の標準的な構成である。乗客が機内に持ち込んだ乗客手荷物202はまず乗客荷物収納庫201に収容されるが、乗客荷物収納庫201に入れない手荷物については、航空機航行の安全上、座席の下に置くことが強く推奨されている。乗客用小物入れ203は通常乗客の前座席の後部についており、シート1001の下に入れると同様に、乗客の持ち込み手荷物を入れることができる。さらに、乗客204は通常シート1001に常時座っている。なお、通常は、シート1001の前面に乗客204が座り、シート1001の背もたれの背面にビデオモニター装置505及び乗客用小物入れ203が取り付けられることが一般的であるが、図面の都合上、図2においては同一面に図示している。無線信号の電波は3次元的に放射されるので2次元の図面に上記のように図示しても本質的な説明の妨げになるものではない。
また、貨物室205は航空機800の所定位置(通常は、客室の床下)に設けられ、乗客204が預けた荷物や貨物等をジュラルミン等のコンテナに入れて、貨物室205に収容される。さらに、機内配管206は、緊急時に酸素マスクに酸素を送り込むための酸素を通すパイプと、それに加えて酸素をためておくための酸素ボンベ(図示せず)と、羽を動かすためのワイヤ、ドアを動かすためのワイヤあるいは航行制御用の配線等を保護するためのパイプ等を含む。また、ワイヤ207は、航行時の安全に直接関係のない制御を行う配線や制御ワイヤ等であり、一部パイプに保護されていないものもある。当該ワイヤ207は航空機800の安定航行の観点から、特に金属等を材質としている重量の大きいものは、左右のバランスを保つためにできるだけ機体中央に配置される。
無線アクセスポイント装置1000は、通常は各通路811,812の上方の天井裏に配置される。これは、無線クライアント装置504がシート1001に設置されるため、例えば乗客荷物収納庫201の上方に配置した場合は、電波が放射されてすぐに乗客204の荷物で反射あるいは吸収されるため、本来強い電波を伝達すべき無線クライアント装置504への到達電波が弱くなり通信の品質が確保できないためである。つまり、無線アクセスポイント装置1000から直接的に無線クライアント装置504へ向かう方向については、強い電波を確保するために、電波遮蔽物がないことが理想的であることから、各通路811,812上方の天井裏は理想的な配置である。
また、航空機800では安全上客室に突起が出ることは好ましくないため、この点からも、無線アクセスポイント装置1000は天井裏に配置されるのが理想である。なお、客室内で支障がない場合や、無線クライアント装置504に対して強い電波が届く場合においては、天井の下(客室側)あるいは通路811,812の上部又は下部等でもよい。例えば、2階構造の航空機800の場合は、2階の通路の直下又は1階の通路の直上に各無線アクセスポイント装置1000を設けることで、1つの無線アクセスポイント装置1000で1階と2階の両方の無線クライアント装置504をカバーすることができる。
無線クライアント装置504の配置に関しては、無線アクセスポイント装置1000からの直接波を受信するために、図2においては、各通路811,812の上方に配置しているが、各通路811,812の下方に配置してもよい。この場合において、シート1001を抜けてきた電波、あるいは貨物などからの強い第1反射波により安定的に電波を受信することが可能となるので、各通路811,812の下方に配置してもよい。
図4は図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機体上部及び機体下部で反射を繰り返して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す縦断面図である。図4は、航空機800の長手方向に平行な線で垂直に切断してなる縦断面図である。図4において、例えば通路811,812の天井裏に設置された無線アクセスポイント装置1000から送信される無線信号は、機体内で反射を繰り返し、機体の幅方向(Y方向)だけでなく前後方向(X方向)にも到達する。既に図11を参照して説明したように、1つの無線アクセスポイント装置1000は航空機800の前後方向(X方向)に複数のシート1001をカバーするため、無線アクセスポイント装置1000からの電波放射方向には電波遮蔽物がないことが必要であり、この意味でも、図2のように各通路811,812上方の天井裏に配置することは理想的である。機内では反射が多いため、電波は長距離まで伝搬しやすい環境にあるが、電波は距離の3乗に反比例して小さくなるため、やがては図4の401、402のように、実質的に電波がない状態と等価になる。当然のことながらこの状態になる距離は反射の状態に依存する。
次に、図2を参照して、上記構成物が無線信号を遮蔽する様子について説明する。なお、以降の説明において、無線信号を「反射」と「吸収」という言葉を使用して説明するが、必ずしも100%の無線信号を反射や吸収を意味するわけではなく、反射率及び吸収率は物質に依存し、例えば、80%反射して20%吸収する、あるいは30%反射して70%吸収するなど、物質によって様々であってその程度の問題である。従って、反射及び吸収の用語は、説明の便宜的に用いられているだけであり、本発明の本質に関係のある「無線の進行を妨げる(遮蔽する)」という意味においては同一の意味をなす。また、以降の説明において、電波が消滅するという表現を用いる。電波はなにかの物質に完全に吸収されるまで消滅するわけではないが、無線装置が検出レベル(強度)以下になる場合やあるいは干渉の影響を及ぼすレベル以下になれば、本発明の観点においては実質的に電波が消滅していると考えられるので、消滅という用語を用いる。
図2において、機内の構成物を無線の反射及び吸収の観点から説明する。乗客荷物収納庫201、乗客手荷物202及び乗客用物入れ203には乗客の持ち込み荷物が収納される、荷物の一例としてはノート型パーソナルコンピュータ(PC)があり、当該パーソナルコンピュータの筐体や基板等は無線信号を反射する。また、服等の衣類、おみやげのアルコール飲料、ジュースや水などの液体は電波を吸収する。乗客204の人体は無線信号を吸収することがよく知られている。また、乗客の着用している服や機内で使用する毛布なども無線信号を吸収する。さらに、シート1001は無線信号を吸収するクッション材が使用されており、シート1001の背もたれや底板等のシートの骨組みそのものはジュラルミン等の金属で構成されている場合や、無線信号を一部反射し、また一部吸収するカーボンの複合素材等で構成されている場合などもある。
また、貨物205は上述のようにジュラルミン等でできており無線信号を反射する。なお、仮に将来的に無線信号を通過させる素材で作られるようになったとしても、中の荷物は乗客荷物収納庫等に入れられる物と本質的に同じであり、無線信号を吸収したり反射したりする物で構成される。さらに、機内配管206及びワイヤ207は無線信号を反射する。無線アクセスポイント装置1000を含む図11に示した、航空機800内でのAVデータ無線配信システムの各機器の筐体等も無線信号を反射する。なお、客室天井208及び客室床209は、機体の軽量化のためにハニカム構造により強化した紙等で構成されるため、無線信号を通過させる。
次に、図2を参照して、無線信号が遮蔽される様子を具体的に説明する。無線信号220は無線アクセスポイント装置1000から送信され、無線クライアント装置504で受信された後に、シート1001のクッション及び乗客用物入れ203内に入れられた、例えばペットボトル等の電波吸収体により電波が吸収されて電波が消滅する。また、無線信号221は無線アクセスポイント装置1000から送信され、貨物205で反射し、ビデオモニター505で反射、ワイヤ207で反射、機体の胴体で反射、機内配管206で反射し、さらに機体の胴体で反射して伝搬距離が長くなったため電波が消滅する。さらに、無線信号222は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客荷物収納庫201内のPCで反射し、乗客204の人体で吸収されて電波が消滅する。
無線信号223は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、貨物205で反射し、シート1001の底面のジュラルミンの底板と貨物205で反射を繰り返し、乗客手荷物202で反射してシート1001のクッションで吸収されて電波が消滅する。また、無線信号224は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客手荷物入れ203の乗客手荷物の例えば携帯用オーディオセットで反射し、乗客荷物収納庫201の荷物の中の例えば飲み物で吸収されて電波が消滅する。
さらに、無線信号225は無線アクセスポイント装置1000から送信され、無線クライアント装置504で受信された後に、機体で反射、その後貨物205とシート1001の底面のジュラルミンの底板とで反射を繰り返している間に伝搬距離が長くなったため電波が消滅する。また、無線信号226は無線アクセスポイント装置1000から送信され、乗客荷物収納庫201のPCで反射し、貨物205で反射し、無線クライアント装置504で受信され、機体の胴体で反射して、乗客荷物収納庫201の乗客荷物の例えば衣類等で吸収されて電波が消滅する。
なお、図2においては、反射すると説明した物の上を電波が通過している矢印となっている場合があるが、2次元での図面作成の都合上このようになるのであって、実際の反射は3次元で起こっており、このような場合は存在する。また、1つの反射により複数の方向に複雑に乱反射するため、図2のようにある特定の反射方向に着目した場合は、反射波はかなり弱くなっている。
図3は図1の航空機800のギャレイ1011付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号が反射して伝搬する状態を示す縦断面図である。図3を参照してギャレイ1011部分での無線信号の反射について説明する。図3において、300はコーヒーサーバ装置、301はシンク(流し台)、302は食事や飲み物を運ぶためのカートである。これら全てのものは金属をベースに構成されており、無線反射率が非常に高い、またギャレイ1011の構造自身も温度の高いものを扱うため、壁、床、天井等と同様に金属で耐熱性を確保している場合が多い。ドリンク入れ303には、乗客にサービスする飲み物が格納されている。飲み物は液体であるため電波を吸収する。
次に、図3を参照して、無線信号が遮蔽される様子を具体的に説明する。図3において、無線信号320は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、シンク301、コーヒーサーバ装置300、機体の胴体、カート302、機体の胴体で反射しているうちに電波伝搬距離が長くなり電波が消滅する。また、無線信号321は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、機体胴体、貨物205、カート302、シンク301、機体胴体、貨物205、カート302で反射を繰り返しているうちに電波伝搬距離が長くなり、電波が消滅する。さらに、無線信号322は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、機体胴体、機内配管206で反射を繰り返しているうちに電波伝搬距離が長くなり電波が消滅する。無線信号322に示すように無線アクセスポイント装置1000からは一部の電波が上部にも放出される場合もある。またさらに、無線信号323は、無線アクセスポイント装置1000から送信され、ドリンク入れ303の中のジュースなどの液体で電波が吸収され消滅する。
なお、図2及び図3においては、シート1001及びギャレイ1011部分での反射を2次元の模式図で示したが、実際には3次元的に、反射は起こっているため、シート1001での反射とギャレイ1011での反射が組み合わされることもある。
図5は図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機内で反射して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す横断面図である。図5において、無線信号520は無線アクセスポイント装置1000から送信された後、シート1001で2回反射を繰り返し、3回目のシート1001で電波吸収されて電波が消滅している。また、無線信号521は無線アクセスポイント装置1000から送信された後、ギャレイ1011内の例えばカート302で反射し、シート1001及び化粧室1010で反射し、さらにはシート1001で電波吸収されて電波が消滅している。
以上に説明したように、図1のように機体中央に配置されているシート1001及びギャレイ1011などの電波遮蔽物を挟んで両側に隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を配置することで、両通路811,812の各無線アクセスポイント装置間に遮蔽物があることになり、反射及び吸収を繰り返して相互の電波が届きにくい環境となることで、干渉の影響が低減可能となる。
なお、実際には上述のように電波反射は3次元において、上記以外にも様々な機中の物で反射及び吸収を繰り返しており、隣接チャンネル間の無線アクセスポイント装置1000間の電波がお互いに届く場合もあるが、干渉の影響を低減するためには、互いに届く電波をいかに少なくするかがポイントであり、本発明は干渉電波低減に有効で、隣接チャンネルを有する2つの無線アクセスポイント装置1000が互いに異なる通路811,812にそれぞれ配置されていることにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除し高品質な無線伝送が可能となる。
第2の実施形態.
図6は本発明の第2の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第2の配置例を示す横断面図であり、図6は図1と同様に航空機800の客室の横断面図である。本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、隣接チャンネルを有する各無線アクセスポイント装置1000の無線局を互いに異なる通路811,812に配置することにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除するとともに、隣接チャンネルを有する無線アクセスポイント装置1000間の機体前後方向(X方向)にも距離を遠くすることにより、さらに干渉の影響を低減する方法について以下に説明する。
図6において、菱形で示した無線アクセスポイント装置1000の中に無線チャンネル番号を示している。図中の点線の矢印は隣接チャンネルの組を示している。隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局は真ん中のシート列を挟んで両通路811,812に配置されるとともに、航空機800機体の幅方向(Y方向)に平行ではなく、前後方向(X方向)にも距離が離れている。このため、距離による電波の減衰による、機体中央の電波遮蔽物での干渉波低減に加えて、さらに干渉源の無線アクセスポイント装置1000からの電波が低減されるため、隣接チャンネル干渉の影響をさらに低減可能であり、第1の実施形態と同等以上の効果を有し、高品質な無線通信を提供できる。
第3の実施形態.
図7は本発明の第3の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第3の配置例を示す横断面図であり、図7は図1と同様に航空機800の客室の横断面図である。図7において、同一チャンネルを含む16個の無線アクセスポイント装置1000が設置されており、本実施形態においては、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を電波遮蔽物を挟んで互いに異なる通路811,812に配置することにより、通路811,812間の電波遮蔽物により干渉の影響を排除する。
AVデータ無線配信システムにおいては、システム全体としての総帯域を向上させるため、多数の無線アクセスポイント1000を使用することが考えられる。例えば、本実施形態では、36チャンネルから64チャンネルまでの8チャンネル分を使用するが、8個の無線アクセスポイント装置1000では帯域が足りない場合は同一のチャンネルの無線アクセスポイント装置1000を再度使用することが考えられる。
具体的に数値例を用いて説明する。例えば1つの無線アクセスポイント装置1000が40Mbpsの帯域のデータを伝送できる場合に、8個の無線アクセスポイント装置1000では320Mbpsの総帯域を確保できるが、仮に640Mbpsの総帯域が要求される場合は、8個のチャンネルの個々のチャンネルを2回ずつ使用して、合計16個の無線アクセスポイント装置1000を設置しなければならない。
なお、総帯域を増やすためには、図10に示した、他の周波数の無線チャンネルを使用する方法が考えられる。しかしながら、当該システムで使用できる無線チャンネル数に上限がある以上、要求帯域が使用できるチャンネルで実現可能な総帯域を超える場合は、同一チャンネルを使用せざるを得ない。具体的には、図15及び図16に示された使用可能な19個の無線チャンネルを使用した場合、19個の無線アクセスポイント装置1000で760Mbpsの総帯域を確保できるが、要求帯域が760Mbpsを超える場合は同一チャンネルを使用することになる。従って本実施形態では、8個の無線チャンネルを使用する場合を例として説明するが、他の個数の無線チャンネルを使用する場合でも、本質的に問題は同様である。
図7において、菱形で示した無線アクセスポイント装置1000の中に無線チャンネル番号を示している。図7の800Aの範囲においては8個の異なるチャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局が配置されている、さらに、800Bの範囲においても上記と同じチャンネルを使用した8個の無線アクセスポイント装置1000が配置されている。このとき、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局は真ん中のシート列を挟んで両通路811,812に配置されている。これにより、同一チャンネルにおいても隣接チャンネルと同様に、第1の実施形態で図2及び図3を参照して説明したように、電波遮蔽物により電波の進行が妨げられ、これにより同一チャンネル間の電波同士がお互いに届くことを低減し、同一チャンネル間の干渉を防止する。これにより、同一チャンネル間でCSMA/CAの機能が働くことによる帯域低下は発生しない。従って高品質な無線伝送を保証することが可能となる。
なお、図7においては、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を航空機800の前後方向(X方向)にも距離を離すことによる電波低減で干渉を低減させる効果もある。
以上の各実施形態で説明したように、構造物として電波遮蔽物が配置されることがわかっている場合に、その電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル又は隣接チャンネルの無線アクセスポイント装置1000の無線局を配置することで、チャンネル間干渉を低減し、CSMA/CA等の無線方式を用いる無線システムが動作することによる帯域低下や無線干渉によるパケットエラー等に起因する帯域低下を低減することが可能となる。また、キャリアセンスをせず共存できる他の無線通信方式の場合は、干渉に起因するパケットエラーによる帯域低下を低減することができる。
また、以上の実施形態では、航空機800内の物理構成及び物理配置に基づき実現される無線チャンネル配置方法及び無線通信システムであって、電波強度の検出や干渉を低減するための通信手順を必要とするものではなく、制御回路やソフトウェア等が必要なく簡易な装置で実現可能である。さらに、干渉の可能性がある複数の無線局同士で、時分割で干渉を低減する方法ではないので、帯域を有効に使用可能である。
以上の実施形態においては、航空機800内に設けられた無線通信システムについて説明しているが、本発明はこれに限らず、航空機、電車、バス等の移動体内の無線通信システムに適用してもよい。これらの移動体は、強度の観点から金属をベースとして胴体が構成され、金属は無線反射率が高いため、電波が外に放出される割合が低く、無線チャンネルの電波が移動体の胴体で反射されて胴体の内側に残留する割合が高いため、特にチャンネル間干渉の低減が求められるため、チャンネル間干渉を低減する本実施形態の効果はこのような環境では特に大きい。特に、航空機800は機体に強固な強度が求められるために窓を小さくして胴体の部分が多いため、電波が航空機800の機内に残留する割合が非常に高い。また、窓などのないコンクリート壁等のビルの中等でも壁、天井、床からの無線の反射が大きいため同様に本発明の効果が大きい。
第4の実施形態.
図12は本発明の第4の実施形態に係る、無線チャンネル配置決定装置900の構成を示すブロック図であり、図13は図12の無線チャンネル配置決定装置900によって実行される無線チャンネル配置処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る無線チャンネル配置決定装置900は上記各実施形態に係る航空機800において複数の無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルを配置するための装置である。
図12において、主制御部であるCPU901は具体的にはデジタル計算機で構成されており、バス910を介して以下のハードウェア各部と接続されてそれらを制御するほか、後述する種々のソフトウェアの機能を実行する。ディスプレイ906は液晶表示装置(LCD)又はCRTディスプレイ等の表示装置であり、無線チャンネル配置処理を実行した結果を表示出力する。キーボード905は、当該無線チャンネル配置決定装置900を操作するために必要な文字キー、テンキー及び各種のファンクションキー等を備える。なお、上記ディスプレイ906をタッチパネル方式とすることにより、このキーボード905の各種キーの内の一部又は全部を代用するように構成してもよい。プリンタ907は例えば電子写真方式等のプリンタ装置であり、無線チャンネル配置処理を実行した結果を印字出力する。
ROM(Read Only Memory)902は、当該無線チャンネル配置決定装置900の動作に必要であって主制御部901によって実行される種々のソフトウェアのプログラムを予め格納し、ここで、当該プログラムは、少なくとも後述する図13の無線チャンネル配置処理のプログラムを含む。RAM(Random Access Memory)903は、SRAM(Static Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等で構成され、主制御部901のワーキングエリアとして使用されてプログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。また、ハードディスクメモリ904は、航空機800内の無線アクセスポイント装置1000の事前設計された配置位置情報を格納する装置配置テーブル904aと、図15及び図16の無線チャンネルの情報(但し、本実施形態では、F4の無線チャンネルを使用しない。すなわち、F1,F2,F3の合計19チャンネルを使用する。)を予め格納するチャンネルテーブル904bと、無線チャンネル配置決定処理の処理結果であるチャンネル配置を格納するチャンネル配置テーブル904cとを含む。
図14は図12の無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置処理を実行したときの処理例を示す航空機800内の無線チャンネル配置の横断面図である。図14において、無線アクセスポイント装置1000は長方形で示しており、その中の上段の数字は無線チャンネル番号であり、下段の括弧内の数字は使用する無線チャンネルを、各チャンネル群でシリアルに自然数で便宜的に表したチャンネルシリアル番号である。以下、図13及び図14を参照して無線チャンネル配置処理について説明する。
図13において、ステップS0において、無線アクセスポイント装置1000の配置情報を装置配置テーブル904aから読み出し、無線チャンネル情報をチャンネルテーブル904bから読み出す。次いで、ステップS1において、図14(a)に一例を示すように、各1対の隣接チャンネルがそれぞれ異なる2つの通路811,812に配置されるように振り分ける。次いで、ステップS2において、図14(b)に一例を示すように、各1対の隣接チャンネルが航空機800の長手方向(X方向)で離れるように、片方の通路(例えば812)側のチャンネルを2つ又は3つのチャンネルセットで入れ替える。さらに、ステップS3において、図14(c)に一例を示すように、1対の隣接チャンネルが航空機800の長手方向(X方向)で離れるように、8チャンネル群(F1,F2)の各チャンネルを、11チャンネル群(F3)の各チャンネルで挟むように、すなわち、前者の各チャンネルと後者の各チャンネルとが互い違いになるように配置する。さらに、ステップS4では、同一チャンネルを使用するか否かが判断され、YESのときはステップS5に進む一方、NOのときはステップS6に進む。
ステップS5において、図14(d)に一例を示すように、同一のチャンネルの各チャンネルが互いに離れるように配置する。図14(d)の950は同一のチャンネルの2回目の繰り返し配置を示す。次いで、ステップS6において、上記得られた無線チャンネル配置の情報をチャンネル配置テーブル904cに格納する。さらに、ステップS7において、上記得られた無線チャンネル配置の情報をディスプレイ906に出力して表示し、もしくはプリンタ907に出力して印字して当該処理を終了する。
以上の第2の実施形態では、上記得られた無線チャンネル配置の情報をディスプレイ906に出力して表示し、もしくはプリンタ907に出力して印字しているが、本発明はこれに限らず、当該無線チャンネル配置決定装置900をLANスイッチ501に接続してネットワーク経由で各無線アクセスポイント装置1000において決定された無線チャンネル配置に基づいて無線周波数を設定してもよい。また、航空機800のシステム構成(具体的には、無線アクセスポイント装置1000の個数や配置)が決まった時点で無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置を決定した後、その結果をネットワーク経由で各無線アクセスポイント装置1000に無線チャンネル配置に基づいて無線周波数を設定してもよい。ここで、無線チャンネル配置に基づく無線周波数の設定は、例えば無線アクセスポイント装置1000の装置コントローラ600内の不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ又はEEPROM)に書き込みこと、もしくはDIPスイッチを用いて行う。
図13の処理では、同一チャンネルの2つの無線アクセスポイント装置1000を離隔するように配置しているが、本発明はこれに限らず、異なる2つの通路811,812に配置してもよい。
変形例.
以上の実施形態では、金属胴体の航空機800内に設けられた無線通信システムの無線チャンネル配置方法について説明したが、本発明はこれに限らず、金属以外の胴体を使用する移動体でも、電波反射は起こるため、本発明を適用することができる。
以上の実施形態では、IEEE802.11aの規格に記載された周波数帯を用いて無線チャンネル配置方法について説明したが、本発明はこれに限らず、本質的に周波数同士が干渉する無線方式に適用することができる。
以上の実施形態では、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局を異なる通路811,812に配置し、もしくは互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局を異なる通路811,812に配置しているが、本発明はこれに限らず、互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、異なる通路811,812に配置してもよい。
以上の実施形態では、隣接チャンネル及び同一チャンネルが全て異なる通路811,812に配置される場合について説明したが、本発明はこれに限らず、使用する無線チャンネルの組合せ、あるいは無線チャンネル数によっては、必ずしも全てのチャンネルがこれらの条件を満たす必要はなく、その場合でも電波遮蔽物が間にある無線チャンネル間に関しては本発明特有の効果を得ることができる。また、航空機800では、機内の各種装備物の配置の関係に依存して各無線アクセスポイント装置1000を必ずしも均等に配置することができないなど、機内での無線アクセスポイント装置1000の配置可能位置において制約条件が発生するが、本発明では、これを配慮して無線チャンネル配置を決定することができる。
以上の実施形態において、航空機800内における人体での電波吸収や乗客荷物での電波の吸収反射は、その位置に予めこれらのものは固定されているわけではないが、シート1001は固定的に取り付けられており、乗客204がその位置に座ることを目的とするためのものである。また、乗客荷物や貨物についても乗客荷物収納庫201等のように、固定位置が決められており、そこに荷物等が入れられる。従って、実際に電波の運用状態ではその位置に固定的に荷物等が配置されるため、位置の固定された電波遮蔽物と見なすことができる。
以上の実施形態においては、広帯域を使用するAVコテンツデータのストリーミング伝送システムであるAVデータ無線配信システムについて説明した。この場合において、無線アクセスポイント装置1000から無線クライアント504への直接波による無線伝送が支配的であるため、無線アクセスポイント装置からの送信のみを例として説明を行ったが、無線通信においては、図11の無線セル内の無線クライアント装置504からも無線送信があり、異なる無線セルの無線クライアント装置504間、及び異なる無線セルの無線アクセスポイント装置1000と無線クライアント装置504間の干渉低減に関しても本発明が有効である。
以上の実施形態において、同一チャンネル繰り返しの例が、図7及び図14では、繰り返し無しで全てのチャンネルを使用してから同一チャンネルが繰り返して配置しているが、本発明はこれに限らず、X方向に十分距離が離れていれば、同一チャンネルの無線アクセスポイント装置1000を配置してもよい。
以上詳述したように、本発明に係る無線通信システム及びその無線チャンネル配置方法によれば、電波遮蔽物を挟んで同一チャンネル及び/又は隣接チャンネルの無線チャンネルを配置し、さらに好ましくは、上記互いに同一無線チャンネル及び/又は隣接無線チャンネルを有する2つの無線局をそれぞれ、航空機の異なる通路に配置することで、上記チャンネル間で相互に届く電波を低減する。これにより、チャンネル間干渉が低減され、送信待機の仕組みが働くことを抑制し、さらに電波干渉による無線のパケットエラーが少なくなることで、無線帯域を有効に利用することが可能となり、その結果、広帯域で高品質な無線伝送を保証可能となる。特に、本発明に係る無線通信システムは、複数無線チャンネル間の干渉低減が可能となるので、複数の無線チャンネルを用いたデータ伝送システムとして有用である。
本発明の第1の実施形態に係る、航空機800において配置された複数の無線アクセスポイント装置1000を備えた、いわゆる航空機内エンターテイメントシステムであるAVデータ無線配信システムを示すとともに、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第1の配置例を示す横断面図である。 図1の航空機800のシート1001付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号の反射状態を示す縦断面図である。 図1の航空機800のギャレイ1011付近において、各無線アクセスポイント装置1000からの無線信号が反射して伝搬する状態を示す縦断面図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機体上部及び機体下部で反射を繰り返して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す縦断面図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000から送信された無線信号が、航空機800の機内で反射して航空機800の前後方向(X方向)に伝搬する状態を示す横断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第2の配置例を示す横断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る、各無線アクセスポイント装置1000の無線チャンネルの第3の配置例を示す横断面図である。 本発明の実施形態に係るAVデータ無線配信システムの装置構成を示すブロック図である。 図8の無線アクセスポイント装置1000の構成を示すブロック図である。 図8の無線クライアント装置504の構成を示すブロック図である。 図1の無線アクセスポイント装置1000の無線セルを示す横断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る、無線チャンネル配置決定装置900の構成を示すブロック図である。 図12の無線チャンネル配置決定装置900によって実行される無線チャンネル配置処理を示すフローチャートである。 図12の無線チャンネル配置決定装置900により無線チャンネル配置処理を実行したときの処理例を示す航空機800内の無線チャンネル配置の横断面図である。 IEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F1,F2)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。 IEEE802.11aの規格で使用する5GHz帯(F3,F4)の周波数帯、中心周波数及び無線チャンネル番号を示す図である。
符号の説明
36−64,100−161…無線チャンネル番号、
36a,36b,40a,40b…放射パターン、
504…無線クライアント装置、
800…航空機、
811,812…通路、
900…無線チャンネル配置決定装置、
1000…無線アクセスポイント装置
1001…シート
1010…化粧室
1011…ギャレイ。

Claims (9)

  1. 固定位置に配置された電波遮蔽物を有する構造物内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムにおいて、
    互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置したことを特徴とする無線通信システム。
  2. 上記構造物は航空機であり、上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置したことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置したことを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
  4. 上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置したことを特徴とする請求項2又は3記載の無線通信システム。
  5. 上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする請求項2乃至4のうちのいずれか1つに記載の無線通信システム。
  6. 固定位置に配置された電波遮蔽物を有する航空機内に設けられた複数の無線局を備えた無線通信システムのための無線チャンネル配置方法において、
    互いに同一無線チャンネルを有する2つの無線局と、互いに隣接無線チャンネルを有する2つの無線局との少なくとも一方を、上記電波遮蔽物の両側に配置し、かつ上記2つの無線局をそれぞれ、上記航空機の異なる通路に配置することを含むことを特徴とする無線チャンネル配置方法。
  7. 上記2つの無線局を上記航空機の長手方向で離隔するように配置することをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の無線チャンネル配置方法。
  8. 上記2つの無線局を、上記同一無線チャンネル及び隣接無線チャンネルの無線チャンネル群とは異なる無線チャンネル群の無線チャンネルを有する無線局を間に挟むように配置することをさらに含むことを特徴とする請求項6又は7記載の無線チャンネル配置方法。
  9. 上記各無線局は、上記航空機の幅方向と実質的に平行な方向に、主ビームを有する放射パターンを有することを特徴とする請求項6乃至8のうちのいずれか1つに記載の無線チャンネル配置方法。
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