JPWO2007142276A1 - 分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子の測定方法 - Google Patents

分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子の測定方法 Download PDF

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Abstract

簡便かつ迅速に測定することが可能な、生体試料中の分泌型HB-EGFの測定方法が求められている。本発明は、分泌型HB-EGFの異なるエピトープに反応する2種類のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、分泌型HB-EGFを測定する方法を提供することができる。

Description

本発明は、分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子(heparin binding epidermal growth factor-like growth factor;以下、HB-EGFと称す。)の測定方法に関する。
HB-EGFは1992年、東山らによりヒトマクロファージ様細胞株U−937の培養上清より精製、単離され、cDNAがクローニングされた(非特許文献1)。HB-EGFはEGFファミリーに保存されている6つのシステインを共有しEGFファミリーに属し、EGFR(ErbB1)とErbB4に結合し、線維芽細胞(BALB3T3)、平滑筋細胞(Bovine aortic smooth muscle cell)、およびケラチノサイトに対して増殖促進活性を有する。膜型HB-EGFが細胞表面でプロテアーゼによって切断されると、EGF様ドメインを含む細胞外ドメインが遊離されて、分泌型HB-EGFを生じる。分泌型HB-EGFは、表皮細胞、心筋細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージなど種々の組織、細胞より分泌され、細胞の増殖や分化、炎症反応などに関与する。膜型HB-EGFは分泌型HB-EGFの前駆体であるだけでなく、膜型HB-EGF自身も生物活性を有しているNaglichらは膜型HB-EGFがジフテリアトキシンのレセプターとして機能し、ジフテリアトキシンの細胞内への進入に関与していることを報告した(非特許文献2)。
目加田らはHB-EGFノックアウト(KO)マウスを作製して、HB-EGFの生理的機能を解析した(非特許文献3)。HB-EGF KOマウスは心室の拡張、心機能の低下、および心臓弁肥大の症状を示し、半数以上が生後数日で死亡した。このことは、HB-EGFが心臓の発達と機能維持に必須な蛋白質であることを示している。
次に目加田らはプロテアーゼによる切断部位に変異を挿入して分泌型に変換されなくなったHB-EGF(HBuc)と膜貫通領域を除去して分泌型として合成されるHB-EGF(HB△tm)の2種類のHB-EGF変異体を発現する組換えマウスを作製し、膜型および分泌型のHB-EGFの生理的機能を解析した(非特許文献4)。その結果、HBuc発現マウスはHB-EGFKOマウスに近似した症状を示したことから、分泌型HB-EGFが活性型蛋白質として機能していると考えられた。一方、HB△tm発現マウスではケラチノサイトの過形成が起こり、また心臓にも異常が認められた。したがって、HB-EGFの膜型から分泌型への変換はHB-EGFの生理機能発現に必須であり、正常な機能発現の為には、この変換のプロセスが体内で厳密にコントロールされることが重要である。
これまでに乳癌、肝癌、膵癌、膀胱癌等、種々の癌でHB-EGFの高発現が報告されている(非特許文献5〜8)。また、HB-EGFが癌の増殖に重要な因子であることが報告された(非特許文献9、10)。目加田らはヌードマウスにヒト卵巣癌細胞株を移植するモデル系において、HB-EGFのRNAinterference(RNAi)を細胞株へ導入するか、あるいはHB-EGFの特異的阻害剤であるジフテリアトキシン変異体CRM197を細胞株移植マウスに投与することにより、顕著な腫瘍増殖阻害効果が認められることを示した。また、東山らは膀胱癌の細胞株にHB-EGF遺伝子を導入した株では、in
vitroにおいて増殖速度亢進、コロニー形成能亢進、VEGF発現亢進、CyclinD1発現亢進等が認められ、invivoにおいてもヌードマウスにおける造腫瘍性が亢進や腫瘍血管新生の亢進が認められることを報告した。このような変化は膜型HB-EGFもしくは分泌型HB-EGF遺伝子を発現させた場合にのみ認められ、プロテアーゼ抵抗性膜型HB-EGF遺伝子を強制発現させた場合には認められなかった。したがって、分泌型HB-EGFは卵巣癌や膀胱癌において腫瘍増殖に関わる重要な因子である可能性が示唆された。臨床検体におけるHB-EGFの発現に関しては、目加田らが卵巣癌患者の癌組織と腹水において、EGFファミリーのうちHB-EGFのみが発現亢進しており、さらにHB-EGF高発現の患者は低発現の患者に比べて予後が悪いことを報告した(非特許文献11)。以上のように、特に、卵巣癌では、分泌型HB-EGFがオートクラインもしくはパラクラインの機序により癌の増殖に関与している。
また、癌以外にも心肥大、平滑筋過形成、肺高血圧等の疾患において、HB-EGFの関与が報告されている(非特許文献12〜14)。
目加田らはヘパリン結合担体と放射標識したジフテリアトキシンを用いて、卵巣癌患者腹水中のHB-EGF濃度を定量している(非特許文献9)。
これまでに分泌型HB-EGFに反応性を有する抗HB-EGF抗体としてポリクローナル抗体(R&D社製)および1種類のモノクローナル抗体(R&D社製)が知られている。
Science,Vol.251,936,1991 Cell,Vol.69,1051,1992 PNAS,Vol.100,3221,2003 J. of Cell Biology,Vol.163,469,2004 Breast Cancer Res. Treat.,Vol.67,81,2001 Oncol. Rep.,Vol.8,903,2001 Biochem. Biophys. Res. Commun.,Vol.202,1705,1994 Cancer Research,Vol.61,6227,2001 Cancer Research,Vol.64,5720,2004 Cancer Research,Vol.64,5283,2004 Clin Cancer Res,Vol.11,4783,2005 Nat. Med.,Vol.8,35,2002 J. Clin. Invest.,95,404,1995 Nat. Med.,8,41,2002
本発明は、簡便かつ迅速に測定することが可能な、分泌型HB-EGFの測定方法を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(7)に関する。
(1) 分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子(epidermal growth factor-like growth factor、以下、分泌型HB-EGFと称す)の異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、分泌型HB-EGFの測定方法。
(2) 分泌型HB-EGF含有被検液を、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと称す)またはその抗体断片を結合させた固相へ加えて、当該固相中の当該モノクローナル抗体またはその抗体断片と分泌型HB-EGFとを結合させ、当該固相に標識した抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aとは異なる分泌型HB-EGFのエピトープに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bと称す)またはその抗体断片を加えて免疫反応を行い、固相中の標識を測定することを特徴とする該被検液中の分泌型HB-EGFの測定方法。
(3) 2種類のモノクローナル抗体が、以下の(a)から(e)から選ばれる2つのモノクローナル抗体である、上記(1)または(2)項に記載の方法。
(a)ハイブリドーマKM3566(FERM BP−10490)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
(b)ハイブリドーマKM3579(FERM BP−10491)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
(c)ハイブリドーマKM3567(FERM BP−10573)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
(d)ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
(e)ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
(4) 分泌型HB-EGFの異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体またはその抗体断片を含む、分泌型HB-EGFの測定用キット。
(5) ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片
(6) ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片。
(7) 上記(5)または(6)記載のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ。
本発明によれば、分泌型HB-EGFに対して分泌型HB-EGFの異なるエピトープに反応する2種類のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする簡便かつ迅速に測定することが可能な、被検液中の分泌型HB-EGFを測定する方法を提供することができる。
バインディングELISAにおける各種抗HB-EGF抗体の反応性を示す。上段にはHB-EGFを固相化したプレートに対する各種抗体の反応性を、下段にはBSAを固相化したプレートに対する各種抗体の反応性を示す。横軸に各抗体の濃度を、縦軸に各抗体の結合活性を示す。◇はモノクローナル抗体KM511、■はモノクローナル抗体KM3566、●はモノクローナル抗体KM3567、□はモノクローナル抗体KM3579、○はモノクローナル抗体KM3580、▲はモノクローナル抗体KM3841をそれぞれ表す。 各種抗HB-EGF抗体を用いたサンドイッチELISAにおけるHB-EGFの標準曲線を示す。横軸にHB-EGFの濃度を、縦軸にOD415の値を示す。上段中、■はモノクローナル抗体KM3566とビオチン標識モノクローナル抗体KM3579の組み合わせ、●はモノクローナル抗体KM3567とビオチン標識モノクローナル抗体KM3579の組み合わせ、□はモノクローナル抗体KM3566とビオチン標識モノクローナル抗体KM3580の組み合わせ、○はモノクローナル抗体KM3567とビオチン標識モノクローナル抗体KM3580の組み合わせ、△はモノクローナル抗体KM3841とビオチン標識モノクローナル抗体KM3580の組み合わせをそれぞれ表す。下段中、■はモノクローナル抗体KM3579とビオチン標識モノクローナル抗体KM3566の組み合わせ、●はモノクローナル抗体KM3579とビオチン標識モノクローナル抗体KM3567の組み合わせ、□はモノクローナル抗体KM3580とビオチン標識モノクローナル抗体KM3566の組み合わせ、○はモノクローナル抗体KM3580とビオチン標識モノクローナル抗体KM3567の組み合わせ、△はモノクローナル抗体KM3580とビオチン標識モノクローナル抗体KM3841の組み合わせをそれぞれ表す。 以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲を限定するものでない。
HB-EGFはEGFファミリーの増殖因子であり、膜型HB-EGF、分泌型HB-EGFなどが包含される。
分泌型HB-EGFとは、膜型HB-EGFを構成しているシグナル配列、プロ領域、ヘパリン結合ドメイン、EGF様ドメイン、ジャクスタメンブランドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメインのうち、プロテアーゼにより遊離されたEGF様ドメインを含む細胞外ドメインを有するHB-EGFをいう。HB-EGFはジフテリアトキシンまたはEGF受容体ErbB1に結合する活性を有する。
分泌型HB-EGFとしては、下記(a)、(b)、(c)の蛋白質などがあげられる。
(a)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、EGF受容体ErbB1に結合する活性を有する蛋白質;
(c)配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ
酸配列からなり、且つ、EGF受容体ErbB1に結合する活性を有する蛋白質;
配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置
換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、EGF受容体ErbB1に結合する蛋白質とは、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research), 10, 6487 (1982)、プロシーディングス・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.) USA, 79, 6409 (1982)、ジーン(Gene),34, 315 (1985)、などに記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより取得できる蛋白質をいう。欠失、置換、挿入および/または付加されるアミノ酸の数は1個以上でありその数は特に限定されないが、上記部位特的変異導入法などの周知の技術により、欠失、置換、もしくは付加できる程度の数であり、例えば、1〜数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
また、配列番号1、2または3で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、かつ、EGF受容体ErbB1に結合する活性を有する蛋白質とは、配列番号1、2または3に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と少なくともと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有し、かつ、EGF受容体ErbB1に結合する活性を有する蛋白質をいう。
相同性の数値は、特に明示した場合を除き、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であって、塩基配列についてはBLAST[ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol. Biol.), 215,403(1990)]においてデフォルトパラメーターを用いて算出される数値などがあげられる。アミノ酸配列については、BLAST2[ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acid Res.), 25, 3389 (1997)];ゲノム・リサーチ(Genome Res.), 7, 649 (1997);http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/infomation3.html]においてデフォルトパラメータを用いて算出される数値などがあげられる。デフォルトパラメーターとしては、G(Cost to open gap) が塩基配列の場合は5、アミノ酸配列の場合は11、-E(Cost to extend gap) が塩基配列の場合は2、アミノ酸配列の場合は1、-q(penalty for nucleotide mismatch) が-3、-r(reward for nucleotide match) が1、-e(expect value) が10、-W (wordsize) が塩基配列の場合は11残基、アミノ酸残基の場合は3残基、-y(Dropoff (X) for blast extemsions in bits)がblastnの場合は20、blastn以外のプログラムでは25である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov /blastcgihelp.html)。また、アミノ酸配列の解析ソフトとしてはFASTA[メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology), 183, 63 (1990)]などもあげられる。
本発明の分泌型HB-EGFの測定方法としては、異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体またはその抗体断片を用いることを特徴とする、免疫学的測定方法があげられる。
免疫学的測定方法としては、イムノアッセイ法、イムノブロッティング法、凝集反応、補体結合反応、溶血反応、沈降反応、金コロイド法、クロマトグラフィー法、免疫染色法など抗原抗体反応を利用した方法であればいかなるものも包含されるが、好ましくはイムノアッセイ法があげられる。
イムノアッセイ法は、各種標識を施した抗原または抗体を用いて、抗体または抗原を検出或いは定量する方法であり、抗原または抗体の標識方法に応じて、放射免疫検出法(RIA)、酵素免疫検出法(EIAまたはELISA)、蛍光免疫検出法(FIA)、発光免疫検出法(luminescent immunoassay)、物理化学的検出法(TIA,LAPIA,PCIA)、フローサイトメトリーなどがあげられるが、好ましくは酵素免疫検出法があげられる。
放射免疫検出法で用いる放射性標識体としては、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の放射性同位元素を用いることができる。例えば、32P、125I、131I等を用いることができる。
酵素免疫検出法で用いる酵素標識体としては、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素を用いることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ等を用いることができる。
さらに酵素免疫測定法は酵素の作用により生成した物質を測定することにより、測定・検出を行うが、紫外部または可視部に吸収極大を有する物質の吸光度を測定する方法、生成した蛍光物質の蛍光強度を測定する方法、生成した物質の発光強度を測定する方法など多様な測定方法をとることが出来る。例えば酵素標識体としてアルカリフォスファターゼを用いる場合は、アルカリフォスファターゼ作用により紫外部または可視部に吸収極大を有する物質を生成するようなアルカリ性ホスファターゼの基質としては、例えば4−ニトロフェニルリン酸等が挙げられる。4−ニトロフェニルリン酸はアルカリフォスファターゼにより4−ニトロフェノールに変換される。アルカリフォスファターゼ作用により発光を生成するようなアルカリフォスファターゼの基質としては、例えば3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシン)フェニル−1,2−ジオキセタン・二ナトリウム塩(AMPPD)、2−クロロ−5−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’クロロ)トリシクロ[3.3.13,7]デカン]−4−イル}フェニル ホスフェート・二ナトリウム塩(CDP−StarTM)、3−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.13,7]デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CSPDTM)、[10−メチル−9(10H)−アクリジニルイデン]フェノキシメチルリン酸・二ナトリウム塩(LumigenTMAPS−5)等が挙げられる。
また、アルカリフォスファターゼの作用により色素を生成する試薬として、アルカリフォスファターゼの基質であるNADPHを含有する酵素サイクリング反応試薬AmpliQ(ダコ社製)が挙げられる。
発光免疫検出法で用いる発光標識体としては、任意の公知[今井一洋編、生物発光と化学発光、廣川書店;臨床検査42(1998)]の発光体を用いることができる。例えば、アクリジニウムエステル、ロフィン等を用いることができる。
蛍光免疫検出法で用いる蛍光標識体としては、任意の公知(川生明著、蛍光抗体法、ソフトサイエンス社製)の蛍光を用いることができる。例えば、FITC、RITC等を用いることができる。
イムノアッセイ法における測定方法としては、競合法、サンドイッチ法[免疫学イラストレイテッド第5版(南光堂)]等があげられるが、好ましくはサンドイッチ法があげられる。
サンドイッチ法は、抗原抗体反応で結合した被検液中の目的物質と第一の抗体(抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体A)に、第二の抗体(抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体B)を同時に、または別々に反応させ、被検液中の目的物質を別々の抗体で検出または定量する方法である。多くの場合、測定操作中に被検液中の非反応のサンプル成分や測定系成分を洗浄する工程を含む。例えば、分泌型HB-EGF含有被検液を、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと称す)またはその抗体断片を結合させた固相へ加えて、当該固相中の当該モノクローナル抗体またはその抗体断片と分泌型HB-EGFとを結合させ、当該固相に標識した抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aとは異なる分泌型HB-EGFのエピトープに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bと称す)またはその抗体断片を加えて免疫反応を行い、固相中の標識を測定することを特徴とする該被検液中の分泌型HB-EGFの測定方法があげられる。
具体的には、固相に第一の抗体(抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aまたはその抗体断片)を固定した後、測定したい被検液を第一の抗体と接触させる。被検液中の非反応のサンプル成分を洗浄し、反応系から除去した後、抗原抗体反応で結合した被検液中の目的物質と第一の抗体との複合体に、第二の抗体(抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bまたはその抗体断片)を反応させ、測定系中の反応に関与しなかった第二の抗体などの成分を洗浄除去した後、反応系に存在する被検液中の目的物質を検出または定量する方法である。
サンドイッチ法に用いる、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片を固定化させる固相としては、各種高分子素材を用途に合うように整形した素材に、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片を固相化したものが用いられる。形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックスなどの微粒子、スティック等が、素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレート等の高分子素材、ガラス、セラミックスや金属等があげられる。分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片の固相化の方法としては物理的方法と化学的方法またはこれらの併用等公知の方法により調製することができる。例えば、ポリスチレン製96ウェルの免疫測定用マイクロタープレートに分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体等を疎水固相化したものがあげられる。
サンドイッチ法に用いる、反応緩衝液としては、抗体固定化固相のモノクローナル抗体またはその抗体断片と被検液中の抗原とが結合反応をする際の溶媒環境を提供するものであればいかなるものでもよいが、界面活性剤、緩衝剤、BSAやカゼインなどの蛋白質、防腐剤、安定化剤、反応促進剤等があげられる。
サンドイッチ法に用いる、洗浄液としては、リン酸やトリス(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPESやMOPSなどのグッドバッファー類などの緩衝剤などに、ツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80、トリトンTMX−705などの界面活性剤、NaCl、KClや硫酸アンモニウムなどの塩、BSAやカゼインなどの蛋白質、アジ化ナトリウムなどの防腐剤、塩酸グアニジン、尿素やソディウムドデシルサルフェートなどの変性剤、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸などの安定化剤の少なくとも1種類を含む液があげられる。具体的には、0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05%ツィーン20およびpH7.4の10mmol/Lリン酸緩衝液からなるツイーンPBS、0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05%ツィーン20およびpH7.4の10mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)からなるツイーンTBSなどがあげられる。
サンドイッチ法に用いる、標識された二次抗体またはその抗体断片としては、一次抗体と異なる分泌型HB-EGFのエピトープに結合するモノクローナル抗体に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ウシ小腸アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼなどの標識用酵素をラベルしたもの、緩衝剤、BSAやカゼインなどのタンパク質、防腐剤などを混合したものがあげられる。
サンドイッチ法に用いる、標識体の検出用試薬としては前記の標識用酵素に応じて、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼであれば、テトラメチルベンジジンやオルトフェニレンジアミンなどの吸光測定用基質、ヒドロキシフェニルヒドロキシフェニルプロピオン酸やヒドロキシフェニル酢酸などの蛍光基質、ルミノールなどの発光基質が、アルカリフォスファターゼであれば、4−ニトロフェニルフォスフェートなどの吸光度測定用基質、4−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどの蛍光基質等があげられる。
本発明の試料中の分泌型HB-EGFの測定方法に用いられる抗体としては、分泌型HB-EGFの異なるエピトープに反応する2種類のモノクローナル抗体であれば、いかなるモノクローナル抗体であってもよく、Fab、Fab’、F(ab)などの抗体断片を用いてもよい。具体的には、ハイブリドーマKM3566(FERM BP−10490)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片、ハイブリドーマKM3567(FERM BP−10573)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片、ハイブリドーマKM3579(FERM BP−10491)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片、ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片、ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片からなる群から選ばれる2つのモノクローナル抗体があげられる。また、市販抗体である抗ヒトHB-EGFモノクローナル抗体(R&D社、カタログNo.MAB259)を用いてもよい。
本発明の測定方法に用いられる2種類のモノクローナル抗体の具体的な組み合わせとしては、ハイブリドーマKM3566が生産するモノクローナル抗体と、ハイブリドーマKM3579が生産するモノクローナル抗体またはハイブリドーマKM3580が生産するモノクローナル抗体の組み合わせ、ハイブリドーマKM3567が生産するモノクローナル抗体と、ハイブリドーマKM3579が生産するモノクローナル抗体またはハイブリドーマKM3580が生産するモノクローナル抗体の組み合わせ、ハイブリドーマKM3580が生産するモノクローナル抗体とハイブリドーマKM3841が生産するモノクローナル抗体の組み合わせなどがあげられ、また、これらの組み合わせのうち、少なくとも一抗体が抗体断片であってもよい。
本発明のサンドイッチ法による分泌型HB-EGFを測定する方法の具体例を以下に示す。
まず、適当な固定担体の表面に上述の抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aを吸着固定する。抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aの固定は、例えば、当該抗体を適当な緩衝液、例えばリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液等に希釈した後、これを固定担体の表面に接触させ、そして4〜37℃にて30分間以上反応させることなどにより行うことができる。
次に、固定担体表面の蛋白質結合能をブロックする。例えば、固定担体表面上の遊離結合基をブロッキング緩衝液と接触させる。
ブロッキング緩衝液としては、例えば1〜10%のウシ血清アルブミン、10〜30%ブロックエース(雪印乳業社製)を含有する緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液等があげられる。
ブロッキング処理は、4〜37℃にて30分間以上反応させることにより行うことができる。
次に、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aを被検液と接触させる。被検液は必要に応じて、例えば0.01〜1%のウシ血清アルブミンなどの蛋白質を含有する緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液等で希釈してもよい。
被検液としては、血液、血漿、血清、膵液、尿、糞便、組織液、培養液など分泌型HB-EGFを含むものであれば限定されない。
抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと被検液との接触は、4〜37℃にて30分間以上反応させることにより行うことができる。
接触させた後、必要に応じてTween20等の界面活性剤を含有する緩衝液、例えばリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液等を用いて数回洗浄する。
このとき、被検液中に存在する分泌型HB-EGFが、あらかじめ固定されている抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと特異的に結合することにより、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aを介して固定担体に固定される。
次に、分泌型HB-EGFが固定された前記担体を、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aとエピトープの異なる抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体(抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体B)を含有する溶液と接触させる。抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bは必要に応じて、前述の標識体で予め標識しておくことができる。
未吸着の抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bを除去するには、必要に応じてTween20等の界面活性剤を含有する緩衝液、例えばリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液等を用いて担体を数回洗浄する。これにより抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bは、あらかじめ結合されている抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体A及び分泌型HB-EGFを介して、固定担体に結合し、抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bの結合量が生体試料中の分泌型HB-EGFの量を反映することになる。
上記のようにして固定された抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bは、抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bの標識体に応じて測定することができる。また、抗分泌型HB−EGFモノクローナル抗体Bに対して特異的な抗体を用い、該抗体を種々の方法により予め標識しておくことにより、該抗体の標識を測定することもできる。
上記のようにして、結合された二次抗体の量を測定し、標準物質を用いて検量線を作成し、被検液中の分泌型HB-EGFの量を測定することができる。
検量線は、標準物質として濃度が既知である分泌型HB-EGFを含む溶液を数点段階希釈したものを準備し、被検液とともに上述のサンドイッチ法を行うことにより得ることができる。
本発明の分泌型HB-EGFを測定する方法を用いることにより、分泌型HB-EGFが亢進する疾患の患者を検査することもできる。
分泌型HB−EGFが亢進する疾患としては、癌、心疾患、動脈硬化などがあげられる。
分泌型HB-EGFが亢進する疾患患者を検査する方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。
複数の健常者の生体から採取した生体試料について、本発明の分泌型HB-EGFの測定方法用いることにより、予め健常者の生体内の分泌型HB-EGFを定量する。
次に、被検者の生体から採取した被検液について、上記と同様の方法により分泌型HB-EGFを定量する。
健常者と被検者との被検液中の分泌型HB-EGF量を比較する。被検者の分泌型HB-EGFの存在量が健常者と比較して増加している場合には、分泌型HB-EGF関連疾患であると判定することができる。
また、本発明の測定方法を用いることにより、分泌型HB-EGFが亢進する疾患患者の予後を検査することができる。例えば、以下の方法により、分泌型HB-EGFが亢進する疾患を検査することができる。
定期的に患者の生体試料を採取し、本発明の分泌型HB-EGFの測定方法により、生体試料中の分泌型HB-EGFを測定する。分泌型HB-EGF量が前回に比較して上昇している場合には、患者の病態が悪化していると判断することができる。
また、本発明の測定方法を用いて、各種疾患患者へ投与するための薬剤を選択することができる。例えば、以下の方法により、分泌型HB-EGFが亢進する疾患患者へ投与するための薬剤を選択することができる。
定期的に各種薬剤を投与された患者の生体試料を採取し、本発明の方法により分泌型HB-EGFを測定する。分泌型HB-EGF量が前回に比較して上昇している場合には、患者に投与されている薬剤が患者へ効果を有していないと判断することができる。
本発明のキットとしては、機器または試薬の組み合わせにより構成されるが、以下に述べる各構成要素と本質的に同一、またはその一部と本質的に同一な物質が含まれていれば、構成または形態が異なっていても、本発明のキットに包含される。
試薬としては抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aあるいはその抗体断片および標識された分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bあるいはその抗体断片を含み、また、必要に応じ、被検液の希釈液、抗体固定化固相、反応緩衝液、洗浄液、標識体の検出用試薬、分泌型HB-EGFなどの標準物質なども含まれる。
被検液の希釈液としては、界面活性剤、緩衝剤などにBSAやカゼインなどのタンパク質を含む水溶液などがあげられる。
分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体Aを固定化させる固相としては、各種高分子素材を用途に合うように整形した素材に、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体を固相化したものが用いられる。形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックスなどの微粒子、スティック等が、素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレート等の高分子素材、ガラス、セラミックスや金属等があげられる。分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体Aの固相化の方法としては物理的方法と化学的方法またはこれらの併用等公知の方法により調製することができる。例えば、ポリスチレン製96ウェルの免疫測定用マイクロタープレートに分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体A等を疎水固相化したものがあげられる。
反応緩衝液は、抗体固定化固相の抗分泌型モノクローナル抗体Aと生体試料中の抗原とが結合反応をする際の溶媒環境を提供するものであればいかなるものでもよいが、界面活性剤、緩衝剤、BSAやカゼインなどの蛋白質、防腐剤、安定化剤、反応促進剤等があげられる。
洗浄液としては、リン酸やトリス(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPESやMOPSなどのグッドバッファー類などの緩衝剤などに、ツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80、トリトンTMX−705などの界面活性剤、NaCl、KClや硫酸アンモニウムなどの塩、BSAやカゼインなどの蛋白質、アジ化ナトリウムなどの防腐剤、塩酸グアニジン、尿素やソディウムドデシルサルフェートなどの変性剤、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸などの安定化剤の少なくとも1種類を含む液があげられる。具体的には、0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05%ツィーン20およびpH7.4の10mmol/Lリン酸緩衝液からなるツイーンPBS、0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05%ツィーン20およびpH7.4の10mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)からなるツイーンTBSなどがあげられる。
標識された抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bまたはその抗体断片としては、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと異なる分泌型HB-EGFのエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ウシ小腸アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼなどの標識用酵素をラベルしたもの、緩衝剤、BSAやカゼインなどのタンパク質、防腐剤などを混合したものが用いられる。
標識体の検出用試薬としては前記の標識用酵素に応じて、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼであれば、テトラメチルベンジジンやオルトフェニレンジアミンなどの吸光測定用基質、ヒドロキシフェニルヒドロキシフェニルプロピオン酸やヒドロキシフェニル酢酸などの蛍光基質、ルミノールなどの発光基質が、アルカリフォスファターゼであれば、4−ニトロフェニルフォスフェートなどの吸光度測定用基質、4−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどの蛍光基質等があげられる。
標準物質としては、配列番号1記載の分泌型HB-EGF、キットに用いられる2種類の抗体のエピトープを含有するペプチドなどがあげられる。
また、本発明は、ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体、ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体およびそれらの抗体断片に関する。
本発明に用いられるモノクローナル抗体および抗体断片の製造方法としては、公知のモノクローナル抗体の製造方法により製造することができる。
以下に、本発明に用いるモノクローナル抗体およびその抗体断片の製造方法を詳細に説明する。
1.モノクローナル抗体の製造方法
(1)抗原の調製
抗原としては、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードするcDNAを含む発現ベクターを大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等に導入することにより得られた、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片などがあげられる。また、分泌型HB-EGFを多量に発現している各種ヒト腫瘍培養細胞またはヒト組織などから分泌型HB-EGFを精製することもできる。さらに、分泌型HB-EGFの部分配列を有する合成ペプチドを調製し、抗原に用いることもできる。
本発明で用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片としては、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)やCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、これをコードするDNAを宿主細胞中で発現させて、製造することができる。
まず、全長cDNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。この際もし必要であれば、全長cDNAをもとにして分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製し、上記全長cDNAの代わりに該DNA断片を使用してもよい。次いで、該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、大腸菌、動物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれをも用いることができる。
発現ベクターとしては、使用する宿主細胞において自律複製可能又は染色体中への組込が可能で、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードするDNAを転写できる位置に適当なプロモーターを含有しているものが用いられる。
大腸菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合には、本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードするDNAを含有してなる組換えベクターは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明において用いられるDNA及び転写終結配列を含むベクターであることが好ましい。該組換えベクターは、さらに、プロモーターを制御する遺伝子を含んでいてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもRoche Diagnostics社製)、pKK233-2 (Pharmacia社製)、pSE280 (Invitrogen社製)、pGEMEX-1 (Promega社製)、pQE-8 (QIAGEN社製)、pKYP10 (特開昭58-110600)、pKYP200 [Agricultural Biological Chemistry, 48, 669 (1984)]、pLSA1 [Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescript II SK(-) (Stratagene社製)、pTrs30 [大腸菌 JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrs32 [大腸菌 JM109/pTrS32 (FERM BP-5408)より調製]、pGHA2 [大腸菌 IGHA2(FERM BP-400)より調製、特開昭60-221091]、pGKA2 [大腸菌 IGKA2(FERM BP-6798)より調製、特開昭60-221091]、pTerm2 (US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400[J. Bacteriol., 172, 2392 (1990)]、pGEX (Pharmacia社製)、pETシステム (Novagen社製)、pME18SFL3等を挙げることができる。
プロモーターとしては、使用する宿主細胞中で機能を発揮できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターを挙げることができる。また、Ptrpを2つ直列させたタンデムプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーター等のように、人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
また、上記組換えベクターとしては、リボソーム結合配列であるシャイン・ダルガルノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードするDNAの塩基配列においては、宿主内での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することができ、これにより、目的とする分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片の生産率を向上させることができる。さらに、上記組換えベクターにおける遺伝子の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
宿主細胞としては、エシェリヒア属等に属する微生物、例えば、大腸菌 XL1-Blue、大腸菌 XL2-Blue、大腸菌 DH1、大腸菌 MC1000、大腸菌 KY3276、大腸菌 W1485、大腸菌 JM109、大腸菌 HB101、大腸菌 No.49、大腸菌 W3110、大腸菌 NY49等を挙げることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)]、Gene, 17, 107 (1982)やMolecular & General Genetics, 168, 111 (1979)に記載の方法等を挙げることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8 (フナコシ社より市販)、pAGE107 [特開平3-22979;Cytotechnology, 3, 133, (1990)]、pAS3-3 (特開平2-227075)、pCDM8 [Nature, 329, 840, (1987)]、pcDNAI/Amp(Invitrogen社製)、pREP4 (Invitrogen社製)、pAGE103[J.Biochemistry, 101, 1307 (1987)]、pAGE210、pME18SFL3等を挙げることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等を挙げることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637 (特開昭63-299)等を挙げることができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology, 3, 133 (1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、リポフェクション法[Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 84, 7413 (1987)]等を挙げることができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行うことができる。真核生物由来の細胞で発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加された分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を得ることができる。
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に該分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を製造することができる。該形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地[The Journal of the American Medical Association, 199, 519 (1967)]、EagleのMEM培地[Science,122, 501 (1952)]、ダルベッコ改変MEM培地[Virology, 8, 396 (1959)]、199培地[Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 73, 1 (1950)]又はこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いることができる。培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5% CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
上記のとおり、本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片をコードするDNAを組み込んだ組換えベクターを保有する微生物、動物細胞等由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養して該分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を生成蓄積させ、該培養物より採取することにより、本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を製造することができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行うことができる。
分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片の生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、及び宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞や、生産させる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片の構造を変えることにより、適切な方法を選択することができる。
分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片が宿主細胞内又は宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法[J. Biol. Chem., 264, 17619 (1989)]、ロウらの方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86, 8227 (1989)、Genes Develop., 4, 1288(1990)]、又は特開平05-336963、WO94/23021等に記載の方法を準用することにより、該遺伝子産物を宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
また、特開平2-227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片は、例えば、以下のようにして単離・精製することができる。
分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片が細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA-75(三菱化学社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレ
ジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独又は組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
また、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分として該ポリペプチドの不溶体を回収する。回収した該蛋白質の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈又は透析することにより、該蛋白質を正常な立体構造に戻した後、上記と同様の単離精製法により分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片の精製標品を得ることができる。
分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片又はその糖修飾体等の誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清において該分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片又はその糖修飾体等の誘導体を回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理することにより可溶性画分を取得し、該可溶性画分から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
また、本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、Advanced ChemTech社、パーキン・エルマー社、Pharmacia社、Protein Technology Instrument社、Synthecell-Vega社、PerSeptive社、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターに上記のように調製した抗原を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。
免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)や水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与することにより行う。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA(ウシ血清アルブミン)やKLH(Keyhole Limpet hemocyanin)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製し、これを免疫原として用いる。
抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素免疫測定法〔Antibodies - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示したマウス、ラットまたはハムスターを脾細胞の供給源として提供する。
脾細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあたって、抗原物質の最終投与後3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスターより脾臓を摘出し、脾細胞を採取する。脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融合用脾細胞として提供する。
(3)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1(P3−U1)(Current Topics in Microbiology and Immunology、18:1-7, 1978)、P3-NS1/1-Ag41(NS-1)(European J. Immunology, 6: 511−519,1976)、SP2/O −Ag14(SP−2)(Nature,276: 269−270,1978)、P3−X63−Ag8653(653) J.Immunology, 123:1548−1550,1979)、P3−X63−Ag8(X63)(Nature, 256:495−497,1975)などが用いられる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI−1640培地にグルタミン(1.5mM)、2−メルカプトエタノール(5×10−5M)、ジェンタマイシン(10μg/ml)および牛胎児血清(FCS)を加えた培地(以下、正常培地という。)に、さらに8−アザグアニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合当日2×10個以上の細胞数を確保する。
(4)細胞融合
前述した抗体産生細胞と骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム1.83g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離(1,200rpm、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1,000(PEG−1,000)2g、MEM2mlおよびジメチルスルホキシド 0.7mlの混液 0.2〜1ml/10 抗体産生細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mlになるようにする。遠心分(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常培地にヒポキサンチン(10−4M)、チミジン(1.5×10−5M)およびアミノプテリン(4×10−7M)を加えた培地〕100ml中に懸濁する。この懸濁液を96穴培養用プレートに100μl/穴ずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部をとり後で述べるバインディングアッセイなどにより、本発明において用いられる分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を含む抗原に反応し、分泌型HB-EGFまたはそれらの部分断片を含まない抗原に反応しないものを選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
(5)モノクローナル抗体の調製
プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(4)で得られた抗HB-EGFモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×10〜5×10細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日でハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離(3,000rpm、5分間)して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析した後、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはゲル濾過カラムによる精製を行ない、IgGあるいは、IgM画分を集め、精製モノクローナル抗体とする。
抗体のサブクラスの決定は、サブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行う。蛋白量の定量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出する。
(6)バインディングアッセイ
抗原としては、(1)に記載の方法により得られる、分泌型HB-EGFや部分ペプチドを用いる。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA(ウシ血清アルブミン)やKLH(Keyhole Limpet hemocyanin)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製して、これを用いる。
これら抗原を96穴プレートに分注し固層化した後、第一抗体として、被免疫動物血清、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清もしくは精製抗体を分注して反応させる。PBSまたはPBS−0.05%Tweenで、よく洗浄した後、第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物等で標識した抗イムノグロブリン抗体を分注して反応させる。PBS−Tweenでよく洗浄した後、第二抗体の標識物質に応じた反応を行なう。測定機器としてFMAT(アプライドバイオシステム社)を用いる場合には、ホモジニアスバインディングアッセイが可能である為、上記の方法のうち洗浄操作は不要である。
前述したような方法で選択される、本発明において用いられる分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体の具体例としては、ハイブリドーマ細胞株KM3566が生産するモノクローナル抗体KM3566、ハイブリドーマ細胞株KM3567が生産するモノクローナル抗体KM3567、ハイブリドーマ細胞株KM3579が生産するモノクローナル抗体KM3579、ハイブリドーマ細胞株KM3580が生産するモノクローナル抗体KM3580、およびハイブリドーマ細胞株KM3841が生産するモノクローナル抗体KM3841をあげることができる。ハイブリドーマ細胞株KM3566およびKM3579は、平成18年1月24日付でブダペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にFERM BP−10490、FERM BP−10491として、またKM3567、KM3580およびKM3841は平成18年3月23日付でブダペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にFERM BP−10573、FERM BP−10574、FERM BP−10575として寄託されている。
2. 抗体断片の製造方法
抗体断片は、上記1に記載の抗体をもとに遺伝子工学的手法あるいは蛋白質化学的手法により、作製することができる。
遺伝子工学的手法としては、目的の抗体断片をコードする遺伝子を構築し、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、大腸菌などの適当な宿主を用いて発現、精製を行うなどの方法があげられる。
蛋白質化学的手法としては、ペプシン、パパインなどの蛋白質分解酵素を用いた部位特異的切断、精製などの方法があげられる。
抗体断片として、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、diabody、dsFvの製造法について以下
に具体的に説明する。
(1) Fabの作製
Fabは、蛋白質化学的にはIgGを蛋白質分解酵素パパインで処理することにより、作製することができる。パパインの処理後は、元の抗体がプロテインA結合性を有するIgGサブクラスであれば、プロテインAカラムに通すことで、IgG分子やFc断片と分離し、均一なFabとして回収することができる(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, third edition, 1995)。プロテインA結合性を持たないIgGサブクラスの抗体の場合は、イオン交換クロマトグラフィーにより、Fabは低塩濃度で溶出される画分中に回収することができる(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, third edition, 1995)。
また、Fabは遺伝子工学的には、多くは大腸菌を用いて、また、昆虫細胞や動物細胞などを用いて作製することができる。例えば、上記1より得られたハイブリドーマより抗体のV領域をコードするDNAを、Fab発現用ベクターにクローニングし、Fab発現ベクターを作製することができる。Fab発現用ベクターとしては、Fab用のDNAを組み込み発現できるものであればいかなるものも用いることができる。例えば、pIT106(Science, 240, 1041-1043, 1988)などがあげられる。Fab発現ベクターを適当な大腸菌に導入し、封入体あるいはペリプラズムにFabを生成蓄積させることができる。封入体からは、通常蛋白質で用いられるリフォールディング法により、活性のあるFabとすることができ、また、ペリプラズムに発現させた場合は、培養上清中に活性を持ったFabが漏出する。リフォールディング後あるいは培養上清からは、抗原を結合させたカラムを用いることにより、均一なFabを精製することができる(Antibody Engineering, A Practical Guide, W. H. Freeman and Company, 1992)。
(2) F(ab’)2の作製
F(ab’)2は、蛋白質化学的にはIgGを蛋白質分解酵素ペプシンで処理することにより、作製することができる。ペプシンの処理後は、Fabと同様の精製操作により、均一なF(ab’)2として回収することができる(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, third edition, Academic Press, 1995)。また、下記3(3)に記載のFab’をo-PDMやビスマレイミドヘキサンなどのようなマレイミドで処理し、チオエーテル結合させる方法や、DTNB[5,5’-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)]で処理し、S-S結合させる方法によっても作製することができる(Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL PRESS,1996)。
(3) Fab’の作製
Fab’は、上記3(2)に記載のF(ab’)2をジチオスレイトールなどの還元剤で処理して
得ることができる。また、Fab’は遺伝子工学的には、多くは大腸菌、また、昆虫細胞や動物細胞などを用いて作製することができる。例えば、上記1より得られたハイブリドーマより抗体のV領域をコードするDNAを、Fab’発現用ベクターにクローニングし、Fab'発現ベクターを作製することができる。Fab'発現用ベクターとしては、Fab’用のDNAを組み込み発現できるものであればいかなるものも用いることができる。例えば、pAK19(BIO/TECHNOLOGY, 10, 163-167, 1992)などがあげられる。Fab’発現ベクターを適当な大腸菌に導入し、封入体あるいはペリプラズムにFab’を生成蓄積させることができる。封入体からは、通常蛋白質で用いられるリフォールディング法により、活性のあるFab’とすることができ、また、ペリプラズムに発現させた場合は、リゾチームによる部分消化、浸透圧ショック、ソニケーションなどの処理により菌を破砕し、菌体外へ回収させることができる。リフォールディング後あるいは菌の破砕液からは、プロテインGカラムなどを用いることにより、均一なFab’を精製することができる(Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL PRESS,1996)。
(4) scFvの作製
scFvは遺伝子工学的には、ファージまたは大腸菌、また、昆虫細胞や動物細胞などを用いて作製することができる。例えば、上記1より得られたハイブリドーマより抗体のV領域をコードするDNAを、scFv発現用ベクターにクローニングし、scFv発現ベクターを作製することができる。scFv発現用ベクターとしては、scFvのDNAを組み込み発現できるものであればいかなるものも用いることができる。例えば、pCANTAB5E(Pharmacia社製)、pHFA(Human Antibodies &Hybridomas, 5, 48-56, 1994)などがあげられる。scFv発現ベクターを適当な大腸菌に導入し、ヘルパーファージを感染させることで、ファージ表面にscFvがファージ表面蛋白質と融合した形で発現するファージを得ることができる。また、scFv発現ベクターを導入した大腸菌の封入体あるいはペリプラズムにscFvを生成蓄積させることができる。封入体からは、通常蛋白質で用いられるリフォールディング法により、活性のあるscFvとすることができ、また、ペリプラズムに発現させた場合は、リゾチームによる部分消化、浸透圧ショック、ソニケーションなどの処理により菌を破砕し、菌体外へ回収することができる。リフォールディング後あるいは菌の破砕液からは、陽イオン交換クロマトグラフィーなどを用いることにより、均一なscFvを精製することができる(Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL PRESS, 1996)。
(5) diabodyの作製
diabodyは遺伝子工学的には、多くは大腸菌、また、昆虫細胞や動物細胞などを用いて作製することができる。例えば、上記1より得られたハイブリドーマより抗体のVHとVLをコードするDNAを取得後、リンカーがコードするアミノ酸残基が8残基以下となるように連結したDNAを作製し、diabody発現用ベクターにクローニングし、diabody発現ベクターを作製することができる。diabody発現用ベクターとしては、diabodyのDNAを組み込み発現できるものであればいかなるものも用いることができる。例えば、pCANTAB5E(Pharmacia社製)、pHFA(Human Antibodies Hybridomas, 5, 48, 1994)などがあげらる。diabody発現ベクターを導入した大腸菌の封入体あるいはペリプラズムにdiabodyを生成蓄積させることができる。封入体からは、通常蛋白質で用いられるリフォールディング法により、活性のあるdiabodyとすることができ、また、ペリプラズムに発現させた場合は、リゾチームによる部分消化、浸透圧ショック、ソニケーションなどの処理により菌を破砕し、菌体外へ回収することができる。リフォールディング後あるいは菌の破砕液からは、陽イオン交換クロマトグラフィーなどを用いることにより、均一なscFvを精製することができる(Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL PRESS, 1996)。
(6) dsFvの作製
dsFvは遺伝子工学的には、多くは大腸菌、また、昆虫細胞や動物細胞などを用いて作製することができる。まず、上記1より得られたハイブリドーマより抗体のVHおよびVLをコードするDNAの適当な位置に変異を導入し、コードするアミノ酸残基がシステインに置換されたDNAを作製する。作製した各DNAをdsFv発現用ベクターにクローニングし、VHおよびVLの発現ベクターを作製することができる。dsFv発現用ベクターとしては、dsFv用のDNAを組み込み発現できるものであればいかなるものも用いることができる。例えば、pULI9(Protein Engineering, 7, 697-704, 1994)などがあげられる。VHおよびVLの発現ベクターを適当な大腸菌に導入し、封入体あるいはペリプラズムにdsFvを生成蓄積させることができる。封入体あるいはペリプラズムからVHおよびVLを得、混合し、通常蛋白質で用いられるリフォールディング法により、活性のあるdsFvとすることができる。リフォールディング後は、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過などにより、さらに精製することができる(Protein Engineering, 7, 697-704, 1994)。
抗HB-EGFモノクローナル抗体の作製
(1)免疫原の調製
R&Dシステム社製リコンビナントヒト分泌型HB-EGF(カタログ番号 259-HE/CF)凍結乾燥品をダルベッコリン酸バッファー(Phosphate buffered saline:PBS)にて溶解したもの、または免疫原性を高める目的で以下の方法でKLH(カルビオケム社)とのコンジュゲートを作製し、免疫原とした。すなわち、HB-EGFを0.1M 酢酸アンモニウムバッファー(PH7.0)に溶解したものと、KLHを0.1M 酢酸アンモニウムバッファー(PH7.0)に溶解して30 mg/mLに調整したものを、重量比 4:1となるよう混合し、終濃度0.05%のグルタールアルデヒドを添加し、室温で5時間、攪拌反応させた。反応後、PBSで透析したものを免疫原として用いた。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
上記(1)で調製したHB-EGFまたはHB-EGF-KLH 25 μgを水酸化アルミニウムアジュバント〔Antibodies - A Laboratory ManuaL, CoLd Spring Harbor Laboratory, p99、1988〕2 mgおよび百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×109細胞とともにHB-EGF欠損マウス(大阪大学微生物病研究所 細胞機能分野研究室より供与、PNAS、VOL.100、NO.100、3221-3226、2003)に投与した。投与2週間後より、HB-EGFまたはHB-EGF-KLH 25 μgのみを1週間に1回、計4回投与した。該マウスの眼底静脈より部分採血し、その血清抗体価を以下に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。脾臓をMEM(Minimum EssentiaL Medium)培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200 rpm、5分間)した。得られた沈殿画分にトリス−塩化アンモニウム緩衝液(PH7.6)を添加し、1〜2分間処理することにより赤血球を除去した。得られた沈殿画分(細胞画分)をMEM培地で3回洗浄し、細胞融合に用いた。
(3)酵素免疫測定法(バインディングELISA)
アッセイには実施例1(1)のHB-EGFを96穴のELISA用プレート(グライナー社)に0.5 μg/mL、50 μL/穴で分注し、4度で一晩放置して吸着させたものを用いた。該プレートを洗浄後、1 % 牛血清アルブミン(BSA)-PBSを50 μL/穴加え、室温で1時間放置し、残っている活性基をブロックした。放置後、1% BSA-PBSを捨て、該プレートに一次抗体として被免疫マウス抗血清、ハイブリドーマ培養上清を50 μL/穴分注し、2時間放置した。該プレートを0.05% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート[(ICI社商標Tween 20相当品:和光純薬社製)]/PBS(以下Tween-PBSと表記)で洗浄後、2次抗体としてペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgGガンマ鎖(キルケガード アンド ペリー ラボラトリーズ社)を50 μL/穴加えて室温、1時間放置した。該プレートをTween-PBSで洗浄後、ABTS〔2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾール-6-スルホン酸)アンモニウム〕基質液〔1mmoL/L ABTS/0.1moL/L クエン酸バッファー(PH4.2)、0.1 %H2O2〕を添加し、発色させOD415 nmの吸光度をプレートリーダー(Emax;MoLecuLar Devices社)を用いて測定した。
(4)マウス骨髄腫細胞の調製
8-アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8U.1(P3-U1:ATCCより購入)を10%ウシ胎児血清添加RPMI1640(インビトロジェン社)で培養し、細胞融合時に2×107個以上の細胞を確保し、細胞融合に親株として供した。
(5)ハイブリドーマの作製
実施例1(2)で得られたマウス脾細胞と実施例1(4)で得られた骨髄腫細胞とを10:1
になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した。得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングリコール−1000(PEG-1000)1
g、MEM培地1 mL、およびジメチルスルホキシド0.35 mLの混液を108個のマウス脾細胞あたり0.5 mL加え、該懸濁液に1〜2分間毎にMEM培地1mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50 mLになるようにした。該懸濁液を遠心分離(900 rpm、5分間)し、得られた沈澱画分の細胞をゆるやかにほぐした後、該細胞を、メスピペットによる吸込み吸出しでゆるやかにHAT培地〔10 %ウシ胎児血清添加RPMI1640培地にHAT Media Supplement(インヒ゛トロシ゛ェン社製)を加えた培地〕100 mL中に懸濁した。該懸濁液を96穴培養用プレートに200μL/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。培養後、培養上清を実施例1(3)に記載した酵素免疫測定法で調べ、HB-EGFに反応する穴を選び、そこに含まれる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り返し、抗HB-EGFモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株KM3566、KM3567、KM3579、KM3580およびKM3841を確立した。
(6)モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に実施例1(5)で得られたハイブ
リドーマ株を5〜20×106細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後、ハイブリドーマが腹水癌化することにより腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8 mL/匹)した。該腹水を遠心分離(3000 rpm、5分間)し固形分を除去した。精製IgGモノクローナル抗体は、カプリル酸沈殿法〔Antibodies - A Laboratory ManuaL, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988〕により精製することにより取得した。モノクローナル抗体のサブクラスはサブクラスタイピングキットを用いたELISA法により決定した。その結果、モノローナル抗体KM3566、KM3567、KM3580のサブクラスはIgG1であり、KM3579、KM3841のサブクラスはIgG2bであった。
モノクローナル抗体の反応性の検討
(1)バインディングELISAにおけるHB-EGFとの反応性
バインディングELISAは、実施例1(3)に示した方法に従って行なった。1次抗体にはモノクローナル抗体KM3566、KM3567、KM3579、KM3580、KM3841、および陰性対照抗体KM511(抗GCSF誘導体モノクローナル抗体)の各精製抗体を10μg/mLから5倍希釈で段階的に希釈したものを用いた。
結果を図1に示す。モノクローナル抗体KM3566、KM3567、KM3579、KM3580およびKM3841は、いずれもHB-EGFに反応し、BSAには全く反応しなかった。
(2)ウエスタンブロットにおけるHB-EGFとの反応性
1レーンあたり、20 ngのHB-EGF(R&D社)をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動にて分画し、泳動後のゲルをPVDF膜に転写した。該膜を10 % BSA-PBSでブロッキング後、モノクローナル抗体KM3566、KM3567、KM3579、KM3580、KM3841、および陰性対照抗体KM511の精製抗体をそれぞれ1μg/mL/1%BSA-PBSにて室温で2時間反応させた。該膜をTween-PBSでよく洗浄した後、希釈したペルオキシターゼ標識マウスイムノグロブリン(ザイメット社)を室温で1時間反応させた。該膜をTween-PBSでよく洗浄し、ECLTMウエスタンブロッテイングディテクションリージェンツ(アマシャムファルマシア社製)を用いてバンドを検出した。
モノクローナル抗体KM3566、KM3567、KM3579、KM3580、KM3841はいずれもHB-EGFの分子量に該当する15〜30キロダルトン付近のバンドを検出した。
HB-EGF定量系の構築
(1)ビオチン標識抗体の調製
モノクローナル抗体KM3566、KM3567、KM3579、KM3580、KM3841の精製抗体を、PBSを用いて1 mg/mL/PBSに調製し、該抗体溶液と0.5 mol/L炭酸バッファー(PH9.2)を容量比4:1で混合し、さらに炭酸バッファーと同量の1 mg/mL EZ-Link Sulfo-NHS-Biotin(ピアス社) /N,N-ジメチルホルムアミドを添加した。室温でゆっくりと1.5時間攪拌反応させた後、PBS透析により遊離のビオチンを除いた後、ビオチン標識抗体として用いた。
(2)サンドイッチELISAによる分泌型HB-EGFの定量
96穴ELISAプレートにモノクローナル抗体を5μg/mL/PBS、50μL/穴で分注し、4度で一晩放置して吸着させた。該プレートを洗浄後、1 %BSA-PBSを50μL/穴加え、室温で1時間放置し、残っている活性基をブロックした。放置後、1%BSA-PBSを捨て、該プレートに1μg/mLから5倍希釈で段階的に希釈した分泌型HB-EGFを50μL/穴分注し、2時間放置した。該プレートをTween-PBSで洗浄後、2次抗体として(1)で調製したビオチン標識抗体(2μg/mL)を50μL/穴加えて室温、1時間放置した。該プレートをTween-PBSで洗浄後、希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(ベクター社)を50μL/穴加えて室温、1時間放置した。該プレートをTween-PBSで洗浄後、ABTS基質液を添加して発色させ、OD415 nmの吸光度を、プレートリーダー(Emax)を用いて測定した。
図2に示すように、モノクローナル抗体KM3566を固相化し、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3579またはビオチン標識モノクローナル抗体KM3580を用いた組み合わせ、モノクローナル抗体KM3567を固相化し、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3579またはビオチン標識モノクローナル抗体KM3580を用いた組み合わせ、モノクローナル抗体KM3579を固相化し、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3566またはビオチン標識モノクローナル抗体KM3567を用いた組み合わせ、モノクローナル抗体KM3580を固相化し、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3566、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3567またはビオチン標識モノクローナル抗体KM3841を用いた組み合わせ、モノクローナル抗体KM3841を固相化し、ビオチン標識モノクローナル抗体KM3580を用いた組み合わせにおいて、HB-EGFを高感度に検出することができた。
本発明によれば、分泌型HB-EGFの異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、簡便かつ迅速に測定することが可能な、生体試料中の分泌型HB-EGFを測定する方法を提供することができる。

配列表フリーテキスト
配列番号1-人工配列の説明:分泌型HB−EGFアミノ酸配列
配列番号2-人工配列の説明:EGF様ドメインアミノ酸配列
配列番号3-人工配列の説明:EGF様ドメインアミノ酸配列

Claims (7)

  1. 分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子(epidermal growth factor-like growth factor、以下、分泌型HB-EGFと称す)の異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、分泌型HB-EGFの測定方法。
  2. 分泌型HB-EGF含有被検液を、分泌型HB-EGFに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aと称す)またはその抗体断片を結合させた固相へ加えて、当該固相中の当該モノクローナル抗体またはその抗体断片と分泌型HB-EGFとを結合させ、当該固相に標識した抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Aとは異なる分泌型HB-EGFのエピトープに結合するモノクローナル抗体(以下、抗分泌型HB-EGFモノクローナル抗体Bと称す)またはその抗体断片を加えて免疫反応を行い、固相中の標識を測定することを特徴とする該被検液中の分泌型HB-EGFの測定方法。
  3. 2種類のモノクローナル抗体が、以下の(a)から(e)から選ばれる2つのモノクローナル抗体である、請求項1または2項に記載の方法。
    (a)ハイブリドーマKM3566(FERM BP−10490)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
    (b)ハイブリドーマKM3579(FERM BP−10491)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
    (c)ハイブリドーマKM3567(FERM BP−10573)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
    (d)ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
    (e)ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体
  4. 分泌型HB-EGFの異なるエピトープに結合する2種類のモノクローナル抗体またはその抗体断片を含む、分泌型HB-EGFの測定用キット。
  5. ハイブリドーマKM3580(FERM BP−10574)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片。
  6. ハイブリドーマKM3841(FERM BP−10575)が生産するモノクローナル抗体が結合するエピトープに結合するモノクローナル抗体またはその抗体断片。
  7. 請求項5または6記載のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ。
JP2008520609A 2006-06-06 2007-06-06 分泌型ヘパリン結合上皮細胞増殖因子様増殖因子の測定方法 Pending JPWO2007142276A1 (ja)

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