JPWO2007132728A1 - 超音波受波器 - Google Patents

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Abstract

本発明の超音波受波器は、超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を有する第1ホーンと、前記超音波の入射端である第2小開口部および出射端である第2大開口部を有する第2ホーンが、前記第1小開口部と前記第2小開口部とが対向し、かつ、前記第1ホーンと前記第2ホーンの超音波の伝搬方向が一致するよう配置され、前記第1小開口部と前記第2小開口部との間に、前記伝搬方向に対して平行な表面を備え、前記第1ホーンを伝搬してきた前記超音波が前記表面から入射することにより、前記超音波を検出する少なくも1つの超音波受波器本体を備えており、前記第1ホーンの前記伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かって小さくなっており、前記第2ホーンの前記伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かって大きくなっている。

Description

本発明は、超音波の受波を行う超音波受波器に関し、高感度で正確な超音波の検出が可能な超音波受波器に関する。
超音波は気体や液体、固体など種々の媒質を伝搬するため、計測、物性測定、工学、医学、生物学等の様々な分野で利用されている。
異なる媒質の界面における超音波の伝搬しやすさは、音響インピーダンスの比として表され、一般に、気体と固体など音響インピーダンスの大きく異なる媒質の界面では、媒質を伝搬する超音波のほとんどが反射され、異なる媒質へ超音波を高い効率で伝搬させることができない。
超音波の検出には超音波振動子が広く用いられ、超音波振動子はセラミックスなどの圧電体で構成される。このため、気体を伝搬してきた超音波を超音波振動子で検出する場合、伝搬してきた超音波の大部分が超音波振動子の表面で反射し、一部の超音波のみが超音波振動子に検出される。その結果、高い感度で超音波を検出することは一般に難しい。超音波振動子から気体中へ超音波を送信する場合も同様に、反射による効率の低下が生じる。したがって、特に、距離や流量の計測、物体の検知などに超音波を利用する場合、超音波を高感度で検知することが重要な課題の1つである。
この課題を解決するために、たとえば特許文献1は、気体中において超音波の屈折を利用して高効率、広帯域に超音波を送受波し得る超音波送受波器本体を開示している。以下この超音波送受波器本体を説明する。
図8に示すように、この従来の超音波送受波器本体101は、超音波振動子2と、超音波振動子2の受波面に設けられた伝搬媒質部3とを備える。超音波送受波器101の周りは周囲空間を満たす流体4、例えば、空気で満たされている。超音波振動子2と伝搬媒質部3との界面を第1の表面領域31とし、伝搬媒質部3と流体4との界面を第2の表面領域32とする。また、第1の表面領域31と第2の表面領域32のなす角度をθ1とし、第2表面領域32の法線と超音波の方向とのなす角度θ2とする。図8に示すように、XYZ方向を設定する。
超音波を送波する場合、図示していない駆動回路から超音波振動子2に電気信号が与えられ、超音波振動子2が振動することによって、超音波を発生する。超音波振動子2で発生した超音波は、第1表面領域31から第2表面領域32に向かって、伝搬媒質部3をY軸の正方向に伝搬していく。そして、第2表面領域32に達した超音波は、屈折の法則に従って伝搬方向を変えて、超音波伝搬経路5の方向に向けて流体4へ伝搬していく。
超音波を受波する場合には、送波の場合とは逆に、周囲空間の流体4を伝搬してきた超音波は第2表面領域32に到達し、屈折して伝搬媒質部3に透過する。さらに、Y軸の負方向に向かって伝搬媒質部3の内部を伝搬し、超音波振動子2に到達する。超音波振動子2に到達した超音波は超音波振動子2の圧電体を変形させることにより、電極間に電位差を発生させて、図示していない受波回路により検出される。
このように、伝搬媒質部3と流体4との界面において超音波が屈折する。このため、このような形態の超音波送受波器本体を、特に「斜め伝搬型超音波送受波器本体」と呼ぶ。超音波送受波器本体101では、流体4が空気等の音響インピーダンス(材質の音速×材質の密度)の極めて小さい媒質の場合でも、流体4から伝搬媒質部3に超音波が高い効率で入射し、あるいは伝搬媒質部3から流体4へ高い効率で超音波を出射することができる。
超音波の伝搬媒質部3および流体4での音速をそれぞれC、Cとし、伝搬媒質部3および流体4の密度をそれぞれ密度ρ、ρとするとき、第2表面領域32と流体4との界面における超音波の反射率Rは以下の式(1)で表される。
Figure 2007132728
ここで、C、C、ρ、ρが以下の式(2)を満たす場合、式(1)の分子がゼロとなるθ、θが必ず存在する。つまり、反射率Rがゼロとなる。
Figure 2007132728
θとθとは、式(3)を満たしている(スネルの法則)。
Figure 2007132728
したがって、式(3)を用いて反射率Rがゼロとなる条件をθについて整理すると式(4)のようになる。
Figure 2007132728
つまり、特許文献1に示すように、斜め伝搬型超音波送受波器本体において、式(2)を満たす場合、第2表面領域32における超音波の透過効率をほぼ1とすることが可能となる方向(角度θ)が存在する。このときの第1表面領域31および第2表面領域32がなす角度θは、式(4)で示される。式(1)および(4)は伝搬する超音波の周波数にはあまり依存しない。これにより、高効率かつ広帯域で超音波を送波および受波できる斜め伝搬型の超音波送受波器本体101が実現する。
米国特許出願公開第2005/0139013号明細書 実開昭58−195884号公報 特開平5−292598号公報
特許文献1によれば、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101が高効率で超音波を受波するためには、式(2)を満たす必要があり、流体4を伝搬してくる超音波は、第2表面領域32の法線に対してθの角度で入射させる必要がある。
このため、図9に示すように、例えば、流体4のL2+L3+L4の範囲内を超音波が伝搬していても、L3の範囲を伝搬してくる超音波のみが、第2表面領域32に到達し、L2、L4の範囲を伝搬してくる超音波は、第2表面領域32には到達しない。つまり、L2+L3+L4の範囲を伝搬する超音波のうち、L3の範囲を伝搬する超音波のみが斜め伝搬型の超音波送受波器本体101に受波される。
また、流体4のL3の範囲を伝搬してきた超音波は第2表面領域32を透過し、L1の範囲の超音波振動子2に検出される。このとき、L3に比べてL1はかなり大きい(L3<<L1)ため、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101で受波される超音波は第2表面領域32で拡散されて超音波振動子2に到達する。したがって、超音波が斜め伝搬型の超音波送受波器本体101の超音波振動子2によって受波される時にそのエネルギー密度が低下する。その結果、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101の受波感度は低いという課題があった。
このような課題は、超音波の受波面に対して垂直ではない方向から超音波を受ける超音波受波器に共通の課題でもある。本発明は、このような従来技術の課題を解決し、高感度で超音波を受波することが可能な超音波受波器を提供することを目的とする。
本発明の超音波受波器は、超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を両端に有する第1空間を含む第1ホーンと、前記超音波の入射端である第2小開口部および出射端である第2大開口部を両端に有する第2空間を含む第2ホーンであって、前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2ホーンの第2小開口部とが対向し、かつ、前記第1ホーンの第1ホーンを伝搬する超音波の第1伝搬方向と前記第2ホーンを伝搬する超音波の第2伝搬方向とが一致するように配置された第2ホーンと、前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2ホーンの第2小開口部との間に設けられた超音波受波器本体であって、前記第1伝搬方向に対して平行な表面を備え、前記第1空間を伝搬してきた前記超音波が前記平面から入射することにより、前記超音波を検出する少なくも1つの超音波受波器本体とを備え、前記第1ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かって小さくなっており、前記第2ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かって大きくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記第1ホーンの第1大開口部から前記第2ホーンの第2大開口部まで貫通する空間が形成されている。
ある好ましい実施形態において、前記第1ホーンにおける、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に減少している。
ある好ましい実施形態において、前記第2ホーンにおける、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に大きくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記超音波受波器本体は、受波面を含む超音波振動子と、第1および第2表面領域を含む伝搬媒質部とを含み、前記伝搬媒質部の第1表面領域は前記超音波振動子の受波面と接合されており、前記伝搬媒質部の第1表面領域は前記表面を構成している。
ある好ましい実施形態において、前記伝搬媒質部および周囲空間を満たす流体の密度をρ、ρとし、前記伝搬媒質部および前記周囲空間を満たす流体における音速をC、Cとした場合、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足している。
ある好ましい実施形態において、前記伝搬媒質部は、無機材料又は有機高分子材料の乾燥ゲルから形成されている。
本発明の超音波受波器は、超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を有する第1ホーンと、前記第1小開口部に隣接して設けられた超音波受波器本体であって、前記第1ホーンの第1空間を伝搬する超音波の第1伝搬方向に対して平行な表面を備え、前記第1空間を伝搬してきた前記超音波が前記平面から入射することにより、前記超音波を検出する少なくも1つの超音波受波器本体と、周囲空間を満たす流体の音響インピーダンスが徐々に変化するように前記流体を保持する音響インピーダンス変換器であって、前記第1ホーンと前記音響インピーダンス変換器とによって前記超音波受波器本体を挟むように配置された音響インピーダンス変換器とを備え、前記第1ホーンにおいて、前記第1伝搬方向に対して垂直な前記第1空間の断面積は、前記第1小開口部から前記第1大開口部に向かって大きくなっている。
本発明によれば、第1ホーンにより、超音波のエネルギーを高め、音圧の高くなった超音波を超音波受波器本体に検出させる。また、検出には、効率の高い、斜め伝搬型超音波受波器本体を用いる。さらに、第2ホーンによって、超音波受波器本体によって受波されなかった超音波を反射させることなく外部へ出射させることができる。したがって、本発明によれば、高感度、高効率で正確な超音波の検出を行うことが可能な超音波受波器が実現する。
本発明実施による超音波受波器の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器のXY断面図である。 図1の超音波受波器に用いられる超音波受波器本体を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器を構成する部品の一例を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器に用いる取付部品の斜視図である。 図1の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。 本発明実施による超音波受波器の他の形態を示す断面図である。 特許文献1および本実施形態で用いる超音波受波器本体の断面図である。 図8の超音波受波器本体の受波面積を説明する図である。 従来の音波トランスデューサを示す断面図である。 本発明の課題を説明するための超音波受波器の斜視図である。 図11の超音波受波器のYZ断面図である。 図11の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。 本発明の課題を説明するための他の超音波受波器の断面図である。 図14の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 超音波受波器
2 超音波振動子
3 伝搬媒質部
4 流体
5 超音波伝搬経路
6 ホーン
7 第1ホーン
8 第2ホーン
9 収束端
10 連結部
11 超音波受波器本体
31 第1表面領域
32 第2表面領域
71 第1小開口部
72 第1大開口部
81 第2大開口部
82 第2小開口部
101 超音波送受波器本体
201 一つのホーンを有した超音波受波器
202 一つのホーンを有した超音波受波器
本願発明者は、超音波の受波面に対して垂直ではない方向から超音波を受ける超音波受波器の受波感度を向上させるため、ホーンあるいはコーンを利用した超音波受波器を検討した。
従来、ホーンやコーンを用い、超音波受波器が受ける超音波の指向性を高めたり、送信する超音波の指向性を高めたりすることが知られている。例えば特許文献2は、無人走行が可能な芝刈作業車に取り付けられる超音波センサを開示している。この超音波センサは、進行方向に対して前後に開口が向けられた一対のホーンと、走行方向に応じて一対のホーンのうち、1つの終端部を選択的に遮蔽する遮蔽体とを備えた超音波センサを開示している。
また、特許文献3は、図10に示すように、シリコンを微細加工することによって形成されたホーンを有する音波トランスデューサ1000を開示している。音波トランスデューサ1000は、台座1001と、台座1001に支持された圧電体1003と、開口1005を有するホーン1002とを備えている。ホーン1005は音波の指向性を高めるために用いられている。また、台座1001には圧電体1003の振動を容易にするために開口1004が設けられている。
これらの特許文献2および3では、ホーン6が指向性を高めるために用いられている。しかし、ホーン6の開口は超音波振動子2の受波面よりも大きくできるため、ホーン6によって、超音波のエネルギー密度を高めることが可能である。したがって、ホーン6と斜め伝搬型の超音波送受波器本体101とを組み合わせた超音波受波器により、受波感度の低さを改善することができると考えられる。図11は、本願発明者が検討した、ホーン6に斜め伝搬型の超音波受波器本体11を設けた超音波受波器201を示す斜視図であり、図12は図11のXY断面図である。
図11、12に示すように、大開口部72を有するホーン6の内空間のYZ断面積は、X軸の負の方向へ進むにつれて小さくなっており、一対の超音波受波器本体11がホーン6の内空間の狭められた端部に接続されている。一対の超音波受波器本体11は、ホーン6内をX軸の方向へ伝搬する超音波の伝搬方向と平行となるように第2表面領域32が配置されており、第2表面領域32から超音波を受波する。図12に示すように、ホーン6と超音波受波器本体11とが形成する空間のX軸方向の左端は封止されている。この左端部分を収束端9と呼ぶことにする。
図12のX軸の正方向側から伝搬してきた超音波はホーン6の大開口部72に入射する。超音波は、ホーン6内部をX軸の負方向に向かって伝搬していく。この時、超音波は、ホーン6の形状効果により収束され、エネルギー密度が高められる。
ホーン6を通過した超音波は、伝搬媒質部3の表面に到達する。そして、伝搬媒質部3の表面に到達した超音波のうち、第2表面領域32となす角度θを満足する方向の超音波が、実線の矢印A1で示すように伝搬媒質部3へ伝搬していく。伝搬媒質部3に到達した超音波は超音波振動子2に伝搬し、超音波振動子2が超音波を電気的な信号に変換する。
しかし、ホーン6を伝搬してきた全ての超音波が伝搬媒質部3に透過していくことは、伝搬媒質部3が有限な大きさである限り不可能である。図12の点線矢印A2で、一例として示すように、伝搬媒質部3へ透過しなかった超音波が生じる。
伝搬媒質部3へ透過しなかった超音波は収束端9で反射し、再びホーン6内をX軸の正方向に向かって伝搬する。収束端9で反射して、再びX軸の正方向に伝搬する超音波の一部は第2表面領域32との角度がθを満足する。
本来、このような反射された超音波は受波されるべきではないが、この超音波が点線の矢印A3で示すように超音波受波器本体11に受波される。本願発発明者の検討から、この収束端9で反射した超音波が超音波振動子2で検出されてしまうことが、超音波送受波器本体101にホーン6を設けた場合に発生する課題として明らかになった。
図13は、図12における超音波受波器201のX軸の正方向から負方向に向かって伝搬する100kHz、4波のバースト超音波を超音波受波器201で超音波を受波した結果(図12のB点における音圧の時間変化)を示している。図13において、横軸は時間を示し、縦軸は音圧を示している。図13に示すように、まず、ホーン6の大開口から入射し、X軸の負の方向へ伝搬する超音波Pが検出され、その後に収束端9で反射した超音波Qが検出されている。本来、流体4を伝搬してきた超音波のみが観測されるべきであり、超音波Qは観測されるべきではない。この超音波Qが観測される時間に、超音波Pに続いて超音波が送波されてきた場合、受波信号が重なり合い、正確な超音波受波ができなくなる。
収束端9での超音波の反射を抑制するために、超音波受波器201において収束端9を開放することが考えられる。図14は、ホーン6の収束端9を開放した超音波受波器202の構造を示す断面図である。収束端9が開放されている以外は、超音波受波器202は、図11および図12の超音波受波器201と同じ構造を備えている。
図15は、図14における超音波受波器202のX軸の正方向から負方向に向かって伝搬する100kHz、4波のバースト超音波を超音波受波器202で受波した結果(図14のC点における音圧の時間変化)を示している。図15において横軸は時間を示し、縦軸は音圧を示している。
図15に示すように、まず、ホーン6の大開口から入射し、X軸の負の方向へ伝搬する超音波Rが検出され、その後、波形の乱れた超音波Sが検出されている。このように、開放された収束端9を有する超音波受波器202においても、不要な超音波が受波され、正確な測定ができないことがわかった。
本願発明者がこの原因について詳細に検討した結果、この原因は、図14に示すように、ホーン6の収束端9近傍の狭い空間にある流体4’と、収束端9の外側の開放された広い空間にある流体4とでは、周囲の空間の大きさが異なることによって、流体の音響インピーダンスが異なる。その結果、音響インピーダンスが収束端9で不連続になり、反射が生じるものと考えられる。
本願発明者は、このような知見に基づき、収束端9において、音響インピーダンスが徐々に変化するように流体4を保持する音響インピーダンス変換器を設けることによって収束端9での不要な反射を抑制し、正確な測定が可能な超音波受波器が実現することを見出した。このような課題は、ホーンを伝搬する超音波に対して垂直に超音波振動子が配置される特許文献2や3においては発生しない。
以下、図面を参照しながら、本発明による超音波受波器の実施形態を説明する。
図1は、超音波受波器1を示す斜視図である。図1に示すように、XYZ方向を設定する。図2は、図1におけるYZ断面図を示している。
本発明は、種々の分野で使用される超音波受波器に好適に用いられる。一般に超音波受波器は送波器としても機能するため、本発明は少なくとも超音波を受波することができる装置を含み、超音波の送波をすることもできる超音波送受波器も含む。ただし、超音波を送波する際には、上述した収束端における超音波の反射は生じないため、音響インピーダンス変換器をそなえることによる効果は生じない。
図1および図2に示すように、超音波受波器1は、第1ホーン7と、第2ホーン8と、一対の超音波受波器本体11とを備えている。
第1ホーン7は超音波の入射端である第1大開口部72および出射端である第1小開口部71を両端に有する第1空間73を含んでいる。第1大開口部72は第1小開口部71よりも大きい。第1大開口部72から入射した超音波は、第1空間73によって伝搬方向が制御される。つまり、第1ホーン7における伝搬方向とは、第1空間73が伸びる軸方向である。具体的には、超音波は矢印g1の方向へ伝搬するように制御される。第1ホーン7において、伝搬方向g1に対して垂直な第1空間73の断面積a1は、第1大開口部72から前記第1小開口部に向かって小さくなっている。これにより、第1大開口部72から入射した超音波は伝搬方向g1で示すように第1空間73内を伝搬するに従い、断面積の減少に伴って超音波のエネルギー密度が高められ、音圧が高くなる。
より好ましくは、断面積a1が、第1大開口部72から第1小開口部71へ向かう伝搬方向g1に対して指数関数的に減少するよう、第1空間73を規定する第1ホーン7の内側面が伝搬方向g1に沿って曲面形状を有している。図1に示すように、本実施形態では、第1ホーン7のX方向の幅は一定である。この場合、Z方向の幅を伝搬方向g1に対して指数関数的に減少させることにより、断面積が伝搬方向g1に対して指数関数的に減少する。
あるいは、第1ホーン7のX方向の幅も第1大開口部72から前記第1小開口部に向かって小さくなるようにしてもよい。例えば、第1ホーン7のX方向の幅およびZ方向の幅を伝搬方向g1に対して√eに比例して減少させることにより、断面積a1を指数関数的に減少させてもよい。このように断面積a1が指数関数的に減少することにより、第1ホーン7での超音波の反射を最小に抑えて、位相の乱れなく超音波5を圧縮し、音圧を高めることができる。
第1ホーン7は上述した第1空間73を有している限り、外形に特に制限はない。例えば、超音波の吸収が少なく平滑な面を形成し得るブロック形状の構造体に第1空間73を形成してもよい。第1ホーン7をアルミニウムや樹脂などの板材で構成する場合には、外形も第1空間73を反映したものとなる。このような形状の第1ホーン7はコーンと呼ばれることもある。
第2ホーン8は超音波の入射端である第2小開口部82および出射端である第2大開口部81を両端に有する第2空間83を含んでいる。第2大開口部81は第2小開口部82よりも大きい。第2小開口部82から入射した超音波は、第2空間73によって伝搬方向が制御される。第2ホーン8における伝搬方向も、第2空間83が伸びる軸方向である。具体的には、超音波は矢印g2の方向へ伝搬するように制御される。第2ホーン8において、伝搬方向g2に対して垂直な第2空間83の断面積a2は、第2小開口部82から第2大開口部81に向かって大きくなっている。
これにより、第2空間83の断面積を第2小開口部82から第2大開口部81に向かって徐々に大きくし、第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスを徐々に小さくし、第2ホーン8の外部にある流体4とのインピーダンスの不整合を小さくすることができる。その結果、以下で説明する超音波受波器本体11に取り込まれなかった超音波を、X軸の負方向へと透過させ、超音波が再び伝搬媒質部3へ取り込まれないようにする。このとき第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスが徐々に変化しているため、X軸の負方向に伝搬する超音波のインピーダンスの不整合による反射を抑制することができる。
より好ましくは、断面積a2が、第2小開口部82から第2大開口部81へ向かう伝搬方向g2に対して指数関数的に増大するよう、第2空間83を規定する第2ホーン8の内側面が伝搬方向g2に沿って曲面形状を有している。第1ホーン7と同様、第2ホーン8のX方向の幅が一定である場合には、Z方向の幅を伝搬方向g2に対して指数関数的に増大させる。あるいは、第2ホーン8のX方向の幅およびZ方向の幅を伝搬方向g2に対して√eに比例して増大させる。これにより、断面積a2を指数関数的に増大させることができる。
第2ホーン8も上述した形状の第2空間83を有している限り、外形に特に制限はない。アルミニウムや樹脂などの板材で構成されるホーンあるいはコーンを用いてもよい。
第2ホーン8は、第1ホーン7の第1小開口部71と第2ホーン8の第2小開口部82とが対向し、かつ、第1ホーン7の第1空間73を伝搬する超音波の第1伝搬方向g1と第2空間83を伝搬する超音波の第2伝搬方向g2とが一致するように配置される。
第1ホーン7および第2ホーン8は、流体4と音響インピーダンスが著しく異なる材料によって構成されることが好ましい。超音波が第1ホーン7内に透過すると、超音波のエネルギー密度が低下してしまうからである。流体4が空気の場合には、固体材料、樹脂などの材料を用いることができる。本実施形態では、第1ホーン7および第2ホーン8は、アルミニウムから構成されている。
第1ホーン7の具体的な形状の一例を説明する。第1ホーン7を構成するアルミニウムの厚さは例えば、0.5mmである。第1大開口部72はY方向およびZ方向の長さが17mmの正方形状を有する。このとき、第1大開口部72を規定する外形は、Y方向およびZ方向の長さがともに18mmの正方形状である。
第1小開口部71は、Y方向に1.7mm、Z方向に17mmの長さを有する長方形状である。外側はY方向に2.7mm、Z方向に18mmの長さを有する長方形状である。また、第1空間73の伝搬方向g1の長さは、50mmである。
第1空間73の伝搬方向g1の長さは、集束可能な超音波の最低周波数を決める。このため、長いほうがより低い超音波を集束することが可能となる。実用を考えると、X方向に50mmの長さを有している場合、第1ホーン7は、約1kHz以上の超音波を集束可能である。一方、使用上の利便性からは第1ホーン7は短い方が良い。しかし、短くするとホーン内部で超音波の反射が起こりやすくなる。このため、第1空間73を伝搬する超音波のすべてを超音波受波器本体11で検出できなくなる。これらの点を考慮し、本実施形態においては第1空間73の伝搬方向g1の長さを50mmに設定した。
第2ホーン8も同様にして設計することができる。例えば、第1ホーン7と同じ形状であってもよい。また、第1ホーン7と第2ホーン8とで長さが異なっていてもよい。
超音波受波器本体11は第1ホーン7の第1小開口部71と第2ホーン8の第2小開口部82との間に設けられる。超音波受波器本体11を設置するスペースを確保するため、第1ホーン7と第2ホーン8とは第3のホーン12により接続することが好ましい。第3のホーン12は、第1ホーン7の第1小開口部71および第2ホーン8の第2小開口部82と同じ大きさの開口を両端に有する第3空間13を含んでいる。また、第3空間13を伝搬する超音波の伝搬方向は伝搬方向g1およびg2と同一直線上にある。第3空間13により、第1ホーン7の第1の大開口部72から第2ホーン8の2大開口部81までを貫通する空間が形成される。具体的には、第1空間73と第2空間83とが連続し、第1ホーン7、第3のホーン12および第2ホーン8を貫通して配置される。ここで貫通とは、第1空間73と第2空間83との間で空間を遮る物体などが存在せず、第1空間73、第2空間83および第3空間13が確保されていることを言う。遮蔽物などがないため、第1空間73を伝搬する超音波はその伝搬方向g1が変えられることなく、直進性を維持したまま、第2空間83へ伝搬する。
一対の超音波受波器本体11のそれぞれは、伝搬方向g1と平行な表面である第2表面領域32を有し、第1空間73を伝搬してきた超音波が第2表面領域32から入射することにより、超音波を検出する。このために超音波受波器本体11は、図3に示すように、超音波振動子2および伝搬媒質部3を備える。
超音波振動子2は圧電体からなり、超音波を圧電体によって受波する。圧電体には電極(図示せず)が設けられており、電極を用いて超音波の受波によって圧電体に生じた電圧を検出する。圧電体は、公知の圧電性を有する材料から構成され、圧電性能が高いものが超音波の受波効率を高くすることができるため好ましい。たとえば、圧電セラミック、圧電単結晶、圧電高分子などの圧電性の高い材料が好ましい。圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛などを用いることができる。また、圧電単結晶としては、チタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム、水晶などを用いることができる。また、圧電体に代えて公知の電歪体を用いることができる。電歪体を用いる場合にも、圧電体の場合と同様に電歪効果の大きな材料が受波効率を高くすることができるため好ましい。電極としては、公知の導電性材料から構成される。電気インピーダンスの低い一般的な金属が好ましい。本実施形態では、圧電体はチタン酸ジルコン酸鉛から構成され、電極は銀から構成される。
本実施形態では、超音波振動子2は、たとえば、厚さが1mmであり、18mm×18mmの正方形状の板である。厚さ方向の両面には電極が設けられており、この方向に分極処理がなされている。
超音波振動子2の共振周波数は、超音波受波器1で受波する超音波の周波数より十分高いことが好ましい。このため、超音波振動子2の厚さは、受信する超音波の周波数より十分に高い共振周波数を持つように選ばれている。例えば、超音波振動子2として圧電セラミックスを用いた場合、圧電セラミックスの音速が3800m/s、厚さが1/2波長となったときに強い共振現象が起こることが知られている。したがって1mmの厚さを有する圧電セラミックスの共振周波数は約1.9MHzとなる。これは受信しようとしている超音波の周波数である約100kHzより十分に高い。超音波振動子2の共振周波数と受波する超音波の周波数がほぼ等しい場合、共振周波数付近では高い受信感度が得られるものの、その共振周波数以外では高い受信感度が得られない。また、周波数によって受信感度が大きく異なることになる。このような原因から、正確な超音波の測定が困難となる。
伝搬媒質部3は第1ホーン7の流体4を伝搬してきた超音波を取り込み、超音波振動子2へ伝搬させる働きをする。伝搬媒質部3は、内部損失が少ない材料から成ることが好ましい。内部損失が大きいと、超音波振動子に到達する超音波が減衰し受波感度が低下するからである。また、伝搬媒質部3は、流体4に対して、上述の式(2)を満たすことが好ましい。流体4が空気である場合、伝搬媒質部3の密度は50kg/m以上であり、音速は300m/s以下であることが好ましい。空気の密度および音速は室温付近で、それぞれ1.12kg/m、340m/sである。この条件を満たすとき、伝搬媒質部3と流体4との界面での反射をゼロにすることができる。
本実施の形態の伝搬媒質部3は乾燥ゲルから構成されている。乾燥ゲルは数nm〜数μm程度の固体骨格部を有し、この固体骨格部の間に平均細孔直径1nm〜数μm程度の範囲にある連続気孔が形成された多孔質体である。乾燥ゲルは密度の低い状態では、固体部分を伝搬する音速が極端に小さくなるとともに、細孔によって多孔質体内の気体部分を伝搬する音速も極端に小さくなるという性質を有する。このため、乾燥ゲルは、密度の低い状態では、500m/s以下の非常に遅い音速を示し、極めて低い音響インピーダンスを有する。
乾燥ゲルの材料としては、無機材料、有機高分子材料などを用いることができる。無機材料の固体骨格部としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化チタンなどを用いることができる。また、有機高分子材料の固体骨格部としては、一般的な熱硬化樹脂、熱可塑樹脂を用いることができ、例えば、ポリウレタン、プリウレア、フェノール樹脂、ポリアクリルミド、ポリメタクリル酸メチル等を用いることができる。本実施の形態では、伝搬媒質部3はシリカ乾燥ゲルから構成されている。
シリカ乾燥ゲルは、たとえば以下の方法により製造される。まず、テトラエトキシシラン(以下TEOSと略す)と、エタノールと、アンモニア水とを混合した溶液を作製し、これをゲル化させることによって湿潤ゲルを作製する。湿潤ゲルとは、乾燥ゲルの空孔部分に液体が満たされた状態のものを言う。この湿潤ゲルの液体部分を除去することによって、シリカ乾燥ゲルが得られる。液体部分の除去には超臨界乾燥法を用いる。超臨界乾燥法とは、湿潤ゲルの液体部分を液化炭酸ガスで置換し、超臨界状態での乾燥によって液体部分を除去する方法である。構造体の空孔部分に液体が含まれた状態から直接溶媒を乾燥させると、溶媒が揮発する際に毛管現象により大きな力が働いて骨格部分の構造を壊してしまう。この破損を防止するために、表面張力の働かない超臨界乾燥法を用いると、シリカ骨格部分を壊さずにシリカ乾燥ゲルを得ることができる。シリカ乾燥ゲルの密度はTEOS、エタノール、アンモニア水の液比率を変えることで調整できる。音速は、伝搬媒質部3を形成する材料の密度に応じて変化する。本実施形態では、式(2)の条件を満足する密度250kg/cm、音速145m/sであるシリカ乾燥ゲルを用いた。
伝搬媒質部3は、流体4から伝搬媒質部3の第2表面領域32に屈折透過してきた超音波が、超音波振動子2の受波面である第1表面領域31に対して垂直に入射していくように上述の式(4)を満たすように設定されている。これにより、第1表面領域31に到達した超音波は超音波振動子2の受波面に位相がそろった状態で到達し、超音波振動子2で発生する電圧を最も高くすることができる。このような形状によって、受波感度が最も高くなる。このとき、図8に示すように、第1表面領域31と第2表面領域32とがなす角θは24.5度である、第2表面領域32の法線と超音波の伝搬方向のなす角度θはおよそ89度である。
本実施形態では、図2に示すYX断面において、超音波振動子2の受波面である第1表面領域31の長さは18mmであり、伝搬媒質部3の第2表面領域32の長さは20mmである。また、第1表面領域31と第2表面領域32をつなぐ部分の長さは、第1ホーン7に近い方、すなわち長い方の辺が10.2mmであり、第2ホーン8に近い方、すなわち短い方の辺が2mmである。Z方向の長さは、超音波振動子2と同じ18mmである。このような形状の伝搬媒質部3は、この形状を有するフッ素系樹脂からなる型の中に原料液を注入し、ゲル化後に取り出すことにより得られる。
形成した伝搬媒質部3の第1表面領域31を超音波振動子2の受波面と接合することにより、図3に示す超音波受波器本体11を得ることができる。この接合には、例えばエポキシ系接着剤を用いることができる。
超音波受波器1はたとえば、以下の方法により作製することができる。
まず、たとえば、第1ホーン7、第2ホーン8および第3ホーン12を一体的に成形した、たとえば、アルミニウムからなるホーン本体16を用意する。図4に示すように、第3ホーン12において、一対の超音波受波器本体11を接続するための開口がXZ平面に設けられている。第3ホーン12のYZ平面に平行な2面は、第1ホーン7と第2ホーン8とを一体的に接合している。
第3ホーン12の開口部に伝搬媒質部3の第2表面領域32を位置合わせすることによって、超音波受波器本体11をホーン本体16に取り付ける。ここで、対向する伝搬媒質部3のY軸方向の間隔は受波する超音波の波長の半分となる1.7mmに設定される。この間隔を超音波の波長の半分にすることにより、第3ホーン12を伝搬する超音波を平面波に近い超音波とすることができ、第1ホーン7による超音波の乱れを防止することができる。また、伝搬媒質部3のYZ平面における長辺が第1ホーン7側となるように超音波受波器本体11を配置する。
位置合わせした後、図5に示す連結部材10を用いて、XY平面において、ホーン本体16と超音波受波器本体11を取り付けた。各部品は接着剤により接合する。この接合には、例えばエポキシ系接着剤を用いることができる。なお、本実施形態では、ホーン本体16をアルミニウム加工品として一体的に成形したが、他の方法によって、ホーン本体16を成形してもよい。また、第1ホーン7、第2ホーン8および第3ホーン12をそれぞれ別の部品として成形し、接合してもよい。このようにして超音波受波器1が作製される。
次に、図2を参照しながら、超音波受波器1の動作を説明する。検出すべき超音波5は、超音波の入射端である第1大開口部72から伝搬方向g1と平行に伝搬し、伝搬にしたがって、第1ホーン7により、音圧が高められる。なお、図2の矢印で示す超音波は、第1大開口部72から入射する超音波の一部を示しており、実際には第1大開口部72の全面から超音波は入射し、第1空間73を規定する側面によって不要な反射を生じさせることなく、超音波が収束される。
超音波5は収束されながら第1空間73を伝搬し、第1小開口部71を通過して、超音波受波器本体11の第2表面領域32に到達する。第2表面領域32に到達した超音波のうち、第2表面領域32の法線となす角度θが式(3)、(4)を満足する方向の超音波(θが24.5度である場合、θはおよそ89度)が、実線の矢印A1で示すように伝搬媒質部3へ伝搬していく。伝搬媒質部3へ透過した超音波A1は超音波振動子2に到達し電気信号に変換される。この超音波受波器本体11での超音波の検出は、上述した屈折伝搬型超音波受波器による検出であるため、超音波受波器本体11における反射が抑制され、高効率で超音波を検出できる。また、第2表面領域32に到達した超音波は収束させられており、音圧が高い。したがって、超音波受波器本体11は高感度で超音波を検出することができる。
一方、第2表面領域32へ透過しなかった超音波A2は第2小開口部82から第2ホーン8の第2空間83へ伝搬し、第2空間83内を伝搬する。この際、第2空間83内の断面積が徐々に拡大しているため、第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスは、徐々に小さくなる。このため、インピーダンスの不整合による超音波A2の反射は、第2空間83内では生じない。
第2大開口部81に到達した超音波A2は、そのまま、第2大開口部81から外部へ出射される。このとき、流体4’の音響インビーダンスは第2大開口部81近傍における第2空間83の断面積が大きくなっているため、外部の音響インピーダンスとほぼ一致している。このため、第2大開口部81近傍において、インピーダンスの不整合による超音波A2の反射が生じることなく出射される。
したがって、本発明の超音波受波器1によれば、高感度、高効率で超音波を検出することができる。また、超音波受波器本体によって検出されなかった超音波は、端部などで反射されることなく、再び、超音波受波器本体11に検出されることがない。このため、正確な超音波の受波あるいは検出を行うことが可能となる。
このように、本発明の超音波受波器1において、第2ホーン8は、超音波受波器本体によって検出されなかった超音波を第2小開口部82からとりこみ、第2大開口部83から外部へ出射するために用いられる。このような機能は、超音波の伝搬方向と平行な面から超音波を入射させて検出する構成において、不用な反射波が生じるために必要となるものである。したがって、本願発明は、特許文献2に開示された、2方向からの超音波を受けるための2つのホーンを備える超音波センサや、特許文献3に開示された、指向性を高めるホーンと圧電体の振動を容易にするために設けられた台座とを備える音波トランスデューサとは全く異なる発想に基づいている。
図6は、超音波受波器1を用いて、X軸の正方向からの100kHz、4波のバースト超音波を受波した結果を示している。図6において、横軸は時間を示し、縦軸は図2のA点の位置における音圧の時間変化を示している。図6から分かるように、4つのピークをもつ超音波Tのみが検出され、反射による不要な超音波はほとんど検出されていない。したがって、本発明によれば、正確な超音波の受波あるいは検出が可能になることが分かる。
なお、本実施形態では超音波受波器1は、一対の超音波受波器本体11を備えていた。しかし、超音波受波器本体11の数に特に制限はなく、たとえば、図7に示すように1つの超音波受波器本体11を備える超音波受波器を実現してもよい。あるいは、3つ以上の超音波受波器本体11を備えた超音波受波器を実現してもよい。
さらに、第2ホーン8の第2空間83の形状は上述したものに限られず、伝搬方向g2に従ってこのとき第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスを徐々に変化させる形状である限り、他の形状によって第2空間83が規定されていてもよい。
また、第2ホーンの機能は、超音波受波器本体11近傍の狭い空間内を満たす流体の音響インピーダンスを徐々に小さくし、完全に開放された空間にある流体の音響インピーダンスと一致するように流体4の音響インピーダンスを変化させることである。このような機能は空間の断面積変化以外の方法により実現することも可能である。
したがって、このような構造を有する音響インピーダンス変換器を第2ホーンの代わりに用いても本発明の超音波受波器を実現することができる。
本発明にかかる超音波受波器は、高い感度で、かつ正確な超音波の受波が可能であり、距離測定、物体検知、流量計測、ロボット制御等に用いる超音波受波器等に好適に用いられる。
本発明は、超音波の受波を行う超音波受波器に関し、高感度で正確な超音波の検出が可能な超音波受波器に関する。
超音波は気体や液体、固体など種々の媒質を伝搬するため、計測、物性測定、工学、医学、生物学等の様々な分野で利用されている。
異なる媒質の界面における超音波の伝搬しやすさは、音響インピーダンスの比として表され、一般に、気体と固体など音響インピーダンスの大きく異なる媒質の界面では、媒質を伝搬する超音波のほとんどが反射され、異なる媒質へ超音波を高い効率で伝搬させることができない。
超音波の検出には超音波振動子が広く用いられ、超音波振動子はセラミックスなどの圧電体で構成される。このため、気体を伝搬してきた超音波を超音波振動子で検出する場合、伝搬してきた超音波の大部分が超音波振動子の表面で反射し、一部の超音波のみが超音波振動子に検出される。その結果、高い感度で超音波を検出することは一般に難しい。超音波振動子から気体中へ超音波を送信する場合も同様に、反射による効率の低下が生じる。したがって、特に、距離や流量の計測、物体の検知などに超音波を利用する場合、超音波を高感度で検知することが重要な課題の1つである。
この課題を解決するために、たとえば特許文献1は、気体中において超音波の屈折を利用して高効率、広帯域に超音波を送受波し得る超音波送受波器本体を開示している。以下この超音波送受波器本体を説明する。
図8に示すように、この従来の超音波送受波器本体101は、超音波振動子2と、超音波振動子2の受波面に設けられた伝搬媒質部3とを備える。超音波送受波器101の周りは周囲空間を満たす流体4、例えば、空気で満たされている。超音波振動子2と伝搬媒質部3との界面を第1の表面領域31とし、伝搬媒質部3と流体4との界面を第2の表面領域32とする。また、第1の表面領域31と第2の表面領域32のなす角度をθ1とし、第2表面領域32の法線と超音波の方向とのなす角度θ2とする。図8に示すように、XYZ方向を設定する。
超音波を送波する場合、図示していない駆動回路から超音波振動子2に電気信号が与えられ、超音波振動子2が振動することによって、超音波を発生する。超音波振動子2で発生した超音波は、第1表面領域31から第2表面領域32に向かって、伝搬媒質部3をY軸の正方向に伝搬していく。そして、第2表面領域32に達した超音波は、屈折の法則に従って伝搬方向を変えて、超音波伝搬経路5の方向に向けて流体4へ伝搬していく。
超音波を受波する場合には、送波の場合とは逆に、周囲空間の流体4を伝搬してきた超音波は第2表面領域32に到達し、屈折して伝搬媒質部3に透過する。さらに、Y軸の負方向に向かって伝搬媒質部3の内部を伝搬し、超音波振動子2に到達する。超音波振動子2に到達した超音波は超音波振動子2の圧電体を変形させることにより、電極間に電位差を発生させて、図示していない受波回路により検出される。
このように、伝搬媒質部3と流体4との界面において超音波が屈折する。このため、このような形態の超音波送受波器本体を、特に「斜め伝搬型超音波送受波器本体」と呼ぶ。超音波送受波器本体101では、流体4が空気等の音響インピーダンス(材質の音速×材質の密度)の極めて小さい媒質の場合でも、流体4から伝搬媒質部3に超音波が高い効率で入射し、あるいは伝搬媒質部3から流体4へ高い効率で超音波を出射することができる。
超音波の伝搬媒質部3および流体4での音速をそれぞれC1、C2とし、伝搬媒質部3および流体4の密度をそれぞれ密度ρ1、ρ2とするとき、第2表面領域32と流体4との界面における超音波の反射率Rは以下の式(1)で表される。
Figure 2007132728
ここで、C1、C2、ρ1、ρ2が以下の式(2)を満たす場合、式(1)の分子がゼロとなるθ1、θ2が必ず存在する。つまり、反射率Rがゼロとなる。
Figure 2007132728
θ1とθ2とは、式(3)を満たしている(スネルの法則)。
Figure 2007132728
したがって、式(3)を用いて反射率Rがゼロとなる条件をθ1について整理すると式(4)のようになる。
Figure 2007132728
つまり、特許文献1に示すように、斜め伝搬型超音波送受波器本体において、式(2)を満たす場合、第2表面領域32における超音波の透過効率をほぼ1とすることが可能となる方向(角度θ1)が存在する。このときの第1表面領域31および第2表面領域32がなす角度θ1は、式(4)で示される。式(1)および(4)は伝搬する超音波の周波数にはあまり依存しない。これにより、高効率かつ広帯域で超音波を送波および受波できる斜め伝搬型の超音波送受波器本体101が実現する。
米国特許出願公開第2005/0139013号明細書 実開昭58−195884号公報 特開平5−292598号公報
特許文献1によれば、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101が高効率で超音波を受波するためには、式(2)を満たす必要があり、流体4を伝搬してくる超音波は、第2表面領域32の法線に対してθ2の角度で入射させる必要がある。
このため、図9に示すように、例えば、流体4のL2+L3+L4の範囲内を超音波が伝搬していても、L3の範囲を伝搬してくる超音波のみが、第2表面領域32に到達し、L2、L4の範囲を伝搬してくる超音波は、第2表面領域32には到達しない。つまり、L2+L3+L4の範囲を伝搬する超音波のうち、L3の範囲を伝搬する超音波のみが斜め伝搬型の超音波送受波器本体101に受波される。
また、流体4のL3の範囲を伝搬してきた超音波は第2表面領域32を透過し、L1の範囲の超音波振動子2に検出される。このとき、L3に比べてL1はかなり大きい(L3<<L1)ため、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101で受波される超音波は第2表面領域32で拡散されて超音波振動子2に到達する。したがって、超音波が斜め伝搬型の超音波送受波器本体101の超音波振動子2によって受波される時にそのエネルギー密度が低下する。その結果、斜め伝搬型の超音波送受波器本体101の受波感度は低いという課題があった。
このような課題は、超音波の受波面に対して垂直ではない方向から超音波を受ける超音波受波器に共通の課題でもある。本発明は、このような従来技術の課題を解決し、高感度で超音波を受波することが可能な超音波受波器を提供することを目的とする。
本発明の超音波受波器は、超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を有する第1ホーンと、前記超音波の入射端である第2小開口部および出射端である第2大開口部を有する第2ホーンであって、前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2ホーンの第2小開口部とが対向し、かつ、前記第1ホーンを伝搬する超音波の第1伝搬方向と前記第2ホーンを伝搬する超音波の第2伝搬方向とが一致するように配置された第2ホーンと、前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2ホーンの第2小開口部との間に設けられた超音波受波器本体であって、超音波を受波する受波面を有し、前記受波面から受波した超音波を検出する超音波検出部と、前記受波面に接し、前記第1伝搬方向に対して平行な表面を有する伝搬媒質部とを含み、前記第1ホーンを伝搬してきた前記超音波が前記平面から入射することにより、前記超音波を検出し、かつ、前記伝搬媒質部の密度をρ 1 、前記第1ホーン及び前記第2ホーンを満たしている環境流体の密度をρ 2 とし、前記伝搬媒質部中を伝搬する超音波の速度をC 1 とし、前記環境流体中を伝搬する超音波の速度をC 2 としたとき、(ρ 2 /ρ 1 )<(C 1 /C 2 )<1の関係を満足している少なくも1つの超音波受波器本体とを備え、前記第1ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かって小さくなっており、前記第2ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かって大きくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記第1ホーンの第1大開口部から前記第2ホーンの第2大開口部まで貫通する空間が形成されている。
ある好ましい実施形態において、前記第1ホーンにおける、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に減少している。
ある好ましい実施形態において、前記第2ホーンにおける、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に大きくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記伝搬媒質部は、無機材料又は有機高分子材料の乾燥ゲルから形成されている。
本発明によれば、第1ホーンにより、超音波のエネルギーを高め、音圧の高くなった超音波を超音波受波器本体に検出させる。また、検出には、効率の高い、斜め伝搬型超音波受波器本体を用いる。さらに、第2ホーンによって、超音波受波器本体によって受波されなかった超音波を反射させることなく外部へ出射させることができる。したがって、本発明によれば、高感度、高効率で正確な超音波の検出を行うことが可能な超音波受波器が実現する。
本願発明者は、超音波の受波面に対して垂直ではない方向から超音波を受ける超音波受波器の受波感度を向上させるため、ホーンあるいはコーンを利用した超音波受波器を検討した。
従来、ホーンやコーンを用い、超音波受波器が受ける超音波の指向性を高めたり、送信する超音波の指向性を高めたりすることが知られている。例えば特許文献2は、無人走行が可能な芝刈作業車に取り付けられる超音波センサを開示している。この超音波センサは、進行方向に対して前後に開口が向けられた一対のホーンと、走行方向に応じて一対のホーンのうち、1つの終端部を選択的に遮蔽する遮蔽体とを備えた超音波センサを開示している。
また、特許文献3は、図10に示すように、シリコンを微細加工することによって形成されたホーンを有する音波トランスデューサ1000を開示している。音波トランスデューサ1000は、台座1001と、台座1001に支持された圧電体1003と、開口1005を有するホーン1002とを備えている。ホーン1005は音波の指向性を高めるために用いられている。また、台座1001には圧電体1003の振動を容易にするために開口1004が設けられている。
これらの特許文献2および3では、ホーン6が指向性を高めるために用いられている。しかし、ホーン6の開口は超音波振動子2の受波面よりも大きくできるため、ホーン6によって、超音波のエネルギー密度を高めることが可能である。したがって、ホーン6と斜め伝搬型の超音波送受波器本体101とを組み合わせた超音波受波器により、受波感度の低さを改善することができると考えられる。 図11は、本願発明者が検討した、ホーン6に斜め伝搬型の超音波受波器本体11を設けた超音波受波器201を示す斜視図であり、図12は図11のXY断面図である。
図11、12に示すように、大開口部72を有するホーン6の内空間のYZ断面積は、X軸の負の方向へ進むにつれて小さくなっており、一対の超音波受波器本体11がホーン6の内空間の狭められた端部に接続されている。一対の超音波受波器本体11は、ホーン6内をX軸の方向へ伝搬する超音波の伝搬方向と平行となるように第2表面領域32が配置されており、第2表面領域32から超音波を受波する。図12に示すように、ホーン6と超音波受波器本体11とが形成する空間のX軸方向の左端は封止されている。この左端部分を収束端9と呼ぶことにする。
図12のX軸の正方向側から伝搬してきた超音波はホーン6の大開口部72に入射する。超音波は、ホーン6内部をX軸の負方向に向かって伝搬していく。この時、超音波は、ホーン6の形状効果により収束され、エネルギー密度が高められる。
ホーン6を通過した超音波は、伝搬媒質部3の表面に到達する。そして、伝搬媒質部3の表面に到達した超音波のうち、第2表面領域32となす角度θ2を満足する方向の超音波が、実線の矢印A1で示すように伝搬媒質部3へ伝搬していく。伝搬媒質部3に到達した超音波は超音波振動子2に伝搬し、超音波振動子2が超音波を電気的な信号に変換する。
しかし、ホーン6を伝搬してきた全ての超音波が伝搬媒質部3に透過していくことは、伝搬媒質部3が有限な大きさである限り不可能である。図12の点線矢印A2で、一例として示すように、伝搬媒質部3へ透過しなかった超音波が生じる。
伝搬媒質部3へ透過しなかった超音波は収束端9で反射し、再びホーン6内をX軸の正方向に向かって伝搬する。収束端9で反射して、再びX軸の正方向に伝搬する超音波の一部は第2表面領域32との角度がθ2を満足する。
本来、このような反射された超音波は受波されるべきではないが、この超音波が点線の矢印A3で示すように超音波受波器本体11に受波される。本願発発明者の検討から、この収束端9で反射した超音波が超音波振動子2で検出されてしまうことが、超音波送受波器本体101にホーン6を設けた場合に発生する課題として明らかになった。
図13は、図12における超音波受波器201のX軸の正方向から負方向に向かって伝搬する100kHz、4波のバースト超音波を超音波受波器201で超音波を受波した結果(図12のB点における音圧の時間変化)を示している。図13において、横軸は時間を示し、縦軸は音圧を示している。図13に示すように、まず、ホーン6の大開口から入射し、X軸の負の方向へ伝搬する超音波Pが検出され、その後に収束端9で反射した超音波Qが検出されている。本来、流体4を伝搬してきた超音波のみが観測されるべきであり、超音波Qは観測されるべきではない。この超音波Qが観測される時間に、超音波Pに続いて超音波が送波されてきた場合、受波信号が重なり合い、正確な超音波受波ができなくなる。
収束端9での超音波の反射を抑制するために、超音波受波器201において収束端9を開放することが考えられる。図14は、ホーン6の収束端9を開放した超音波受波器202の構造を示す断面図である。収束端9が開放されている以外は、超音波受波器202は、図11および図12の超音波受波器201と同じ構造を備えている。
図15は、図14における超音波受波器202のX軸の正方向から負方向に向かって伝搬する100kHz、4波のバースト超音波を超音波受波器202で受波した結果(図14のC点における音圧の時間変化)を示している。図15において横軸は時間を示し、縦軸は音圧を示している。
図15に示すように、まず、ホーン6の大開口から入射し、X軸の負の方向へ伝搬する超音波Rが検出され、その後、波形の乱れた超音波Sが検出されている。このように、開放された収束端9を有する超音波受波器202においても、不要な超音波が受波され、正確な測定ができないことがわかった。
本願発明者がこの原因について詳細に検討した結果、この原因は、図14に示すように、ホーン6の収束端9近傍の狭い空間にある流体4’と、収束端9の外側の開放された広い空間にある流体4とでは、周囲の空間の大きさが異なることによって、流体の音響インピーダンスが異なる。その結果、音響インピーダンスが収束端9で不連続になり、反射が生じるものと考えられる。
本願発明者は、このような知見に基づき、収束端9において、音響インピーダンスが徐々に変化するように流体4を保持する音響インピーダンス変換器を設けることによって収束端9での不要な反射を抑制し、正確な測定が可能な超音波受波器が実現することを見出した。このような課題は、ホーンを伝搬する超音波に対して垂直に超音波振動子が配置される特許文献2や3においては発生しない。
以下、図面を参照しながら、本発明による超音波受波器の実施形態を説明する。
図1は、超音波受波器1を示す斜視図である。図1に示すように、XYZ方向を設定する。図2は、図1におけるYZ断面図を示している。
本発明は、種々の分野で使用される超音波受波器に好適に用いられる。一般に超音波受波器は送波器としても機能するため、本発明は少なくとも超音波を受波することができる装置を含み、超音波の送波をすることもできる超音波送受波器も含む。ただし、超音波を送波する際には、上述した収束端における超音波の反射は生じないため、音響インピーダンス変換器をそなえることによる効果は生じない。
図1および図2に示すように、超音波受波器1は、第1ホーン7と、第2ホーン8と、一対の超音波受波器本体11とを備えている。
第1ホーン7は超音波の入射端である第1大開口部72および出射端である第1小開口部71を両端に有する第1空間73を含んでいる。第1大開口部72は第1小開口部71よりも大きい。第1大開口部72から入射した超音波は、第1空間73によって伝搬方向が制御される。つまり、第1ホーン7における伝搬方向とは、第1空間73が伸びる軸方向である。具体的には、超音波は矢印g1の方向へ伝搬するように制御される。第1ホーン7において、伝搬方向g1に対して垂直な第1空間73の断面積a1は、第1大開口部72から前記第1小開口部に向かって小さくなっている。これにより、第1大開口部72から入射した超音波は伝搬方向g1で示すように第1空間73内を伝搬するに従い、断面積の減少に伴って超音波のエネルギー密度が高められ、音圧が高くなる。
より好ましくは、断面積a1が、第1大開口部72から第1小開口部71へ向かう伝搬方向g1に対して指数関数的に減少するよう、第1空間73を規定する第1ホーン7の内側面が伝搬方向g1に沿って曲面形状を有している。図1に示すように、本実施形態では、第1ホーン7のX方向の幅は一定である。この場合、Z方向の幅を伝搬方向g1に対して指数関数的に減少させることにより、断面積が伝搬方向g1に対して指数関数的に減少する。
あるいは、第1ホーン7のX方向の幅も第1大開口部72から前記第1小開口部に向かって小さくなるようにしてもよい。例えば、第1ホーン7のX方向の幅およびZ方向の幅を伝搬方向g1に対して√eに比例して減少させることにより、断面積a1を指数関数的に減少させてもよい。このように断面積a1が指数関数的に減少することにより、第1ホーン7での超音波の反射を最小に抑えて、位相の乱れなく超音波5を圧縮し、音圧を高めることができる。
第1ホーン7は上述した第1空間73を有している限り、外形に特に制限はない。例えば、超音波の吸収が少なく平滑な面を形成し得るブロック形状の構造体に第1空間73を形成してもよい。第1ホーン7をアルミニウムや樹脂などの板材で構成する場合には、外形も第1空間73を反映したものとなる。このような形状の第1ホーン7はコーンと呼ばれることもある。
第2ホーン8は超音波の入射端である第2小開口部82および出射端である第2大開口部81を両端に有する第2空間83を含んでいる。第2大開口部81は第2小開口部82よりも大きい。第2小開口部82から入射した超音波は、第2空間73によって伝搬方向が制御される。第2ホーン8における伝搬方向も、第2空間83が伸びる軸方向である。具体的には、超音波は矢印g2の方向へ伝搬するように制御される。第2ホーン8において、伝搬方向g2に対して垂直な第2空間83の断面積a2は、第2小開口部82から第2大開口部81に向かって大きくなっている。
これにより、第2空間83の断面積を第2小開口部82から第2大開口部81に向かって徐々に大きくし、第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスを徐々に小さくし、第2ホーン8の外部にある流体4とのインピーダンスの不整合を小さくすることができる。その結果、以下で説明する超音波受波器本体11に取り込まれなかった超音波を、X軸の負方向へと透過させ、超音波が再び伝搬媒質部3へ取り込まれないようにする。このとき第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスが徐々に変化しているため、X軸の負方向に伝搬する超音波のインピーダンスの不整合による反射を抑制することができる。
より好ましくは、断面積a2が、第2小開口部82から第2大開口部81へ向かう伝搬方向g2に対して指数関数的に増大するよう、第2空間83を規定する第2ホーン8の内側面が伝搬方向g2に沿って曲面形状を有している。第1ホーン7と同様、第2ホーン8のX方向の幅が一定である場合には、Z方向の幅を伝搬方向g2に対して指数関数的に増大させる。あるいは、第2ホーン8のX方向の幅およびZ方向の幅を伝搬方向g2に対して√eに比例して増大させる。これにより、断面積a2を指数関数的に増大させることができる。
第2ホーン8も上述した形状の第2空間83を有している限り、外形に特に制限はない。アルミニウムや樹脂などの板材で構成されるホーンあるいはコーンを用いてもよい。
第2ホーン8は、第1ホーン7の第1小開口部71と第2ホーン8の第2小開口部82とが対向し、かつ、第1ホーン7の第1空間73を伝搬する超音波の第1伝搬方向g1と第2空間83を伝搬する超音波の第2伝搬方向g2とが一致するように配置される。
第1ホーン7および第2ホーン8は、流体4と音響インピーダンスが著しく異なる材料によって構成されることが好ましい。超音波が第1ホーン7内に透過すると、超音波のエネルギー密度が低下してしまうからである。流体4が空気の場合には、固体材料、樹脂などの材料を用いることができる。本実施形態では、第1ホーン7および第2ホーン8は、アルミニウムから構成されている。
第1ホーン7の具体的な形状の一例を説明する。第1ホーン7を構成するアルミニウムの厚さは例えば、0.5mmである。第1大開口部72はY方向およびZ方向の長さが17mmの正方形状を有する。このとき、第1大開口部72を規定する外形は、Y方向およびZ方向の長さがともに18mmの正方形状である。
第1小開口部71は、Y方向に1.7mm、Z方向に17mmの長さを有する長方形状である。外側はY方向に2.7mm、Z方向に18mmの長さを有する長方形状である。また、第1空間73の伝搬方向g1の長さは、50mmである。
第1空間73の伝搬方向g1の長さは、集束可能な超音波の最低周波数を決める。このため、長いほうがより低い超音波を集束することが可能となる。実用を考えると、X方向に50mmの長さを有している場合、第1ホーン7は、約1kHz以上の超音波を集束可能である。一方、使用上の利便性からは第1ホーン7は短い方が良い。しかし、短くするとホーン内部で超音波の反射が起こりやすくなる。このため、第1空間73を伝搬する超音波のすべてを超音波受波器本体11で検出できなくなる。これらの点を考慮し、本実施形態においては第1空間73の伝搬方向g1の長さを50mmに設定した。
第2ホーン8も同様にして設計することができる。例えば、第1ホーン7と同じ形状であってもよい。また、第1ホーン7と第2ホーン8とで長さが異なっていてもよい。
超音波受波器本体11は第1ホーン7の第1小開口部71と第2ホーン8の第2小開口部82との間に設けられる。超音波受波器本体11を設置するスペースを確保するため、第1ホーン7と第2ホーン8とは第3のホーン12により接続することが好ましい。第3のホーン12は、第1ホーン7の第1小開口部71および第2ホーン8の第2小開口部82と同じ大きさの開口を両端に有する第3空間13を含んでいる。また、第3空間13を伝搬する超音波の伝搬方向は伝搬方向g1およびg2と同一直線上にある。第3空間13により、第1ホーン7の第1の大開口部72から第2ホーン8の2大開口部81までを貫通する空間が形成される。具体的には、第1空間73と第2空間83とが連続し、第1ホーン7、第3のホーン12および第2ホーン8を貫通して配置される。ここで貫通とは、第1空間73と第2空間83との間で空間を遮る物体などが存在せず、第1空間73、第2空間83および第3空間13が確保されていることを言う。遮蔽物などがないため、第1空間73を伝搬する超音波はその伝搬方向g1が変えられることなく、直進性を維持したまま、第2空間83へ伝搬する。
一対の超音波受波器本体11のそれぞれは、伝搬方向g1と平行な表面である第2表面領域32を有し、第1空間73を伝搬してきた超音波が第2表面領域32から入射することにより、超音波を検出する。このために超音波受波器本体11は、図3に示すように、超音波振動子2および伝搬媒質部3を備える。
超音波振動子2は圧電体からなり、超音波を圧電体によって受波する。圧電体には電極(図示せず)が設けられており、電極を用いて超音波の受波によって圧電体に生じた電圧を検出する。圧電体は、公知の圧電性を有する材料から構成され、圧電性能が高いものが超音波の受波効率を高くすることができるため好ましい。たとえば、圧電セラミック、圧電単結晶、圧電高分子などの圧電性の高い材料が好ましい。圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛などを用いることができる。また、圧電単結晶としては、チタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム、水晶などを用いることができる。また、圧電体に代えて公知の電歪体を用いることができる。電歪体を用いる場合にも、圧電体の場合と同様に電歪効果の大きな材料が受波効率を高くすることができるため好ましい。電極としては、公知の導電性材料から構成される。電気インピーダンスの低い一般的な金属が好ましい。本実施形態では、圧電体はチタン酸ジルコン酸鉛から構成され、電極は銀から構成される。
本実施形態では、超音波振動子2は、たとえば、厚さが1mmであり、18mm×18mmの正方形状の板である。厚さ方向の両面には電極が設けられており、この方向に分極処理がなされている。
超音波振動子2の共振周波数は、超音波受波器1で受波する超音波の周波数より十分高いことが好ましい。このため、超音波振動子2の厚さは、受信する超音波の周波数より十分に高い共振周波数を持つように選ばれている。例えば、超音波振動子2として圧電セラミックスを用いた場合、圧電セラミックスの音速が3800m/s、厚さが1/2波長となったときに強い共振現象が起こることが知られている。したがって1mmの厚さを有する圧電セラミックスの共振周波数は約1.9MHzとなる。これは受信しようとしている超音波の周波数である約100kHzより十分に高い。超音波振動子2の共振周波数と受波する超音波の周波数がほぼ等しい場合、共振周波数付近では高い受信感度が得られるものの、その共振周波数以外では高い受信感度が得られない。また、周波数によって受信感度が大きく異なることになる。このような原因から、正確な超音波の測定が困難となる。
伝搬媒質部3は第1ホーン7の流体4を伝搬してきた超音波を取り込み、超音波振動子2へ伝搬させる働きをする。伝搬媒質部3は、内部損失が少ない材料から成ることが好ましい。内部損失が大きいと、超音波振動子に到達する超音波が減衰し受波感度が低下するからである。また、伝搬媒質部3は、流体4に対して、上述の式(2)を満たすことが好ましい。流体4が空気である場合、伝搬媒質部3の密度は50kg/m3以上であり、音速は300m/s以下であることが好ましい。空気の密度および音速は室温付近で、それぞれ1.12kg/m3、340m/sである。この条件を満たすとき、伝搬媒質部3と流体4との界面での反射をゼロにすることができる。
本実施の形態の伝搬媒質部3は乾燥ゲルから構成されている。乾燥ゲルは数nm〜数μm程度の固体骨格部を有し、この固体骨格部の間に平均細孔直径1nm〜数μm程度の範囲にある連続気孔が形成された多孔質体である。乾燥ゲルは密度の低い状態では、固体部分を伝搬する音速が極端に小さくなるとともに、細孔によって多孔質体内の気体部分を伝搬する音速も極端に小さくなるという性質を有する。このため、乾燥ゲルは、密度の低い状態では、500m/s以下の非常に遅い音速を示し、極めて低い音響インピーダンスを有する。
乾燥ゲルの材料としては、無機材料、有機高分子材料などを用いることができる。無機材料の固体骨格部としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化チタンなどを用いることができる。また、有機高分子材料の固体骨格部としては、一般的な熱硬化樹脂、熱可塑樹脂を用いることができ、例えば、ポリウレタン、プリウレア、フェノール樹脂、ポリアクリルミド、ポリメタクリル酸メチル等を用いることができる。本実施の形態では、伝搬媒質部3はシリカ乾燥ゲルから構成されている。
シリカ乾燥ゲルは、たとえば以下の方法により製造される。まず、テトラエトキシシラン(以下TEOSと略す)と、エタノールと、アンモニア水とを混合した溶液を作製し、これをゲル化させることによって湿潤ゲルを作製する。湿潤ゲルとは、乾燥ゲルの空孔部分に液体が満たされた状態のものを言う。この湿潤ゲルの液体部分を除去することによって、シリカ乾燥ゲルが得られる。液体部分の除去には超臨界乾燥法を用いる。超臨界乾燥法とは、湿潤ゲルの液体部分を液化炭酸ガスで置換し、超臨界状態での乾燥によって液体部分を除去する方法である。構造体の空孔部分に液体が含まれた状態から直接溶媒を乾燥させると、溶媒が揮発する際に毛管現象により大きな力が働いて骨格部分の構造を壊してしまう。この破損を防止するために、表面張力の働かない超臨界乾燥法を用いると、シリカ骨格部分を壊さずにシリカ乾燥ゲルを得ることができる。シリカ乾燥ゲルの密度はTEOS、エタノール、アンモニア水の液比率を変えることで調整できる。音速は、伝搬媒質部3を形成する材料の密度に応じて変化する。本実施形態では、式(2)の条件を満足する密度250kg/cm3、音速145m/sであるシリカ乾燥ゲルを用いた。
伝搬媒質部3は、流体4から伝搬媒質部3の第2表面領域32に屈折透過してきた超音波が、超音波振動子2の受波面である第1表面領域31に対して垂直に入射していくように上述の式(4)を満たすように設定されている。これにより、第1表面領域31に到達した超音波は超音波振動子2の受波面に位相がそろった状態で到達し、超音波振動子2で発生する電圧を最も高くすることができる。このような形状によって、受波感度が最も高くなる。このとき、図8に示すように、第1表面領域31と第2表面領域32とがなす角θ1は24.5度である、第2表面領域32の法線と超音波の伝搬方向のなす角度θ2はおよそ89度である。
本実施形態では、図2に示すYX断面において、超音波振動子2の受波面である第1表面領域31の長さは18mmであり、伝搬媒質部3の第2表面領域32の長さは20mmである。また、第1表面領域31と第2表面領域32をつなぐ部分の長さは、第1ホーン7に近い方、すなわち長い方の辺が10.2mmであり、第2ホーン8に近い方、すなわち短い方の辺が2mmである。Z方向の長さは、超音波振動子2と同じ18mmである。このような形状の伝搬媒質部3は、この形状を有するフッ素系樹脂からなる型の中に原料液を注入し、ゲル化後に取り出すことにより得られる。
形成した伝搬媒質部3の第1表面領域31を超音波振動子2の受波面と接合することにより、図3に示す超音波受波器本体11を得ることができる。この接合には、例えばエポキシ系接着剤を用いることができる。
超音波受波器1はたとえば、以下の方法により作製することができる。
まず、たとえば、第1ホーン7、第2ホーン8および第3ホーン12を一体的に成形した、たとえば、アルミニウムからなるホーン本体16を用意する。図4に示すように、第3ホーン12において、一対の超音波受波器本体11を接続するための開口がXZ平面に設けられている。第3ホーン12のYZ平面に平行な2面は、第1ホーン7と第2ホーン8とを一体的に接合している。
第3ホーン12の開口部に伝搬媒質部3の第2表面領域32を位置合わせすることによって、超音波受波器本体11をホーン本体16に取り付ける。ここで、対向する伝搬媒質部3のY軸方向の間隔は受波する超音波の波長の半分となる1.7mmに設定される。この間隔を超音波の波長の半分にすることにより、第3ホーン12を伝搬する超音波を平面波に近い超音波とすることができ、第1ホーン7による超音波の乱れを防止することができる。また、伝搬媒質部3のYZ平面における長辺が第1ホーン7側となるように超音波受波器本体11を配置する。
位置合わせした後、図5に示す連結部材10を用いて、XY平面において、ホーン本体16と超音波受波器本体11を取り付けた。各部品は接着剤により接合する。この接合には、例えばエポキシ系接着剤を用いることができる。なお、本実施形態では、ホーン本体16をアルミニウム加工品として一体的に成形したが、他の方法によって、ホーン本体16を成形してもよい。また、第1ホーン7、第2ホーン8および第3ホーン12をそれぞれ別の部品として成形し、接合してもよい。このようにして超音波受波器1が作製される。
次に、図2を参照しながら、超音波受波器1の動作を説明する。検出すべき超音波5は、超音波の入射端である第1大開口部72から伝搬方向g1と平行に伝搬し、伝搬にしたがって、第1ホーン7により、音圧が高められる。なお、図2の矢印で示す超音波は、第1大開口部72から入射する超音波の一部を示しており、実際には第1大開口部72の全面から超音波は入射し、第1空間73を規定する側面によって不要な反射を生じさせることなく、超音波が収束される。
超音波5は収束されながら第1空間73を伝搬し、第1小開口部71を通過して、超音波受波器本体11の第2表面領域32に到達する。第2表面領域32に到達した超音波のうち、第2表面領域32の法線となす角度θ2が式(3)、(4)を満足する方向の超音波(θ1が24.5度である場合、θ2はおよそ89度)が、実線の矢印A1で示すように伝搬媒質部3へ伝搬していく。伝搬媒質部3へ透過した超音波A1は超音波振動子2に到達し電気信号に変換される。この超音波受波器本体11での超音波の検出は、上述した屈折伝搬型超音波受波器による検出であるため、超音波受波器本体11における反射が抑制され、高効率で超音波を検出できる。また、第2表面領域32に到達した超音波は収束させられており、音圧が高い。したがって、超音波受波器本体11は高感度で超音波を検出することができる。
一方、第2表面領域32へ透過しなかった超音波A2は第2小開口部82から第2ホーン8の第2空間83へ伝搬し、第2空間83内を伝搬する。この際、第2空間83内の断面積が徐々に拡大しているため、第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスは、徐々に小さくなる。このため、インピーダンスの不整合による超音波A2の反射は、第2空間83内では生じない。
第2大開口部81に到達した超音波A2は、そのまま、第2大開口部81から外部へ出射される。このとき、流体4’の音響インビーダンスは第2大開口部81近傍における第2空間83の断面積が大きくなっているため、外部の音響インピーダンスとほぼ一致している。このため、第2大開口部81近傍において、インピーダンスの不整合による超音波A2の反射が生じることなく出射される。
したがって、本発明の超音波受波器1によれば、高感度、高効率で超音波を検出することができる。また、超音波受波器本体によって検出されなかった超音波は、端部などで反射されることなく、再び、超音波受波器本体11に検出されることがない。このため、正確な超音波の受波あるいは検出を行うことが可能となる。
このように、本発明の超音波受波器1において、第2ホーン8は、超音波受波器本体によって検出されなかった超音波を第2小開口部82からとりこみ、第2大開口部83から外部へ出射するために用いられる。このような機能は、超音波の伝搬方向と平行な面から超音波を入射させて検出する構成において、不用な反射波が生じるために必要となるものである。したがって、本願発明は、特許文献2に開示された、2方向からの超音波を受けるための2つのホーンを備える超音波センサや、特許文献3に開示された、指向性を高めるホーンと圧電体の振動を容易にするために設けられた台座とを備える音波トランスデューサとは全く異なる発想に基づいている。
図6は、超音波受波器1を用いて、X軸の正方向からの100kHz、4波のバースト超音波を受波した結果を示している。図6において、横軸は時間を示し、縦軸は図2のA点の位置における音圧の時間変化を示している。図6から分かるように、4つのピークをもつ超音波Tのみが検出され、反射による不要な超音波はほとんど検出されていない。したがって、本発明によれば、正確な超音波の受波あるいは検出が可能になることが分かる。
なお、本実施形態では超音波受波器1は、一対の超音波受波器本体11を備えていた。しかし、超音波受波器本体11の数に特に制限はなく、たとえば、図7に示すように1つの超音波受波器本体11を備える超音波受波器を実現してもよい。あるいは、3つ以上の超音波受波器本体11を備えた超音波受波器を実現してもよい。
さらに、第2ホーン8の第2空間83の形状は上述したものに限られず、伝搬方向g2に従ってこのとき第2空間83内の流体4’の音響インピーダンスを徐々に変化させる形状である限り、他の形状によって第2空間83が規定されていてもよい。
また、第2ホーンの機能は、超音波受波器本体11近傍の狭い空間内を満たす流体の音響インピーダンスを徐々に小さくし、完全に開放された空間にある流体の音響インピーダンスと一致するように流体4の音響インピーダンスを変化させることである。このような機能は空間の断面積変化以外の方法により実現することも可能である。
したがって、このような構造を有する音響インピーダンス変換器を第2ホーンの代わりに用いても本発明の超音波受波器を実現することができる。
本発明にかかる超音波受波器は、高い感度で、かつ正確な超音波の受波が可能であり、距離測定、物体検知、流量計測、ロボット制御等に用いる超音波受波器等に好適に用いられる。
本発明実施による超音波受波器の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器のXY断面図である。 図1の超音波受波器に用いられる超音波受波器本体を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器を構成する部品の一例を示す斜視図である。 図1に示す超音波受波器に用いる取付部品の斜視図である。 図1の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。 本発明実施による超音波受波器の他の形態を示す断面図である。 特許文献1および本実施形態で用いる超音波受波器本体の断面図である。 図8の超音波受波器本体の受波面積を説明する図である。 従来の音波トランスデューサを示す断面図である。 本発明の課題を説明するための超音波受波器の斜視図である。 図11の超音波受波器のYZ断面図である。 図11の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。 本発明の課題を説明するための他の超音波受波器の断面図である。 図14の超音波受波器を用いて超音波を検出した場合の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 超音波受波器
2 超音波振動子
3 伝搬媒質部
4 流体
5 超音波伝搬経路
6 ホーン
7 第1ホーン
8 第2ホーン
9 収束端
10 連結部
11 超音波受波器本体
31 第1表面領域
32 第2表面領域
71 第1小開口部
72 第1大開口部
81 第2大開口部
82 第2小開口部
101 超音波送受波器本体
201 一つのホーンを有した超音波受波器
202 一つのホーンを有した超音波受波器

Claims (8)

  1. 超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を有する第1ホーンと、
    前記超音波の入射端である第2小開口部および出射端である第2大開口部を有する第2ホーンであって、前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2導波部の第2小開口部とが対向し、かつ、前記第1ホーンを伝搬する超音波の第1伝搬方向と前記第2ホーンを伝搬する超音波の第2伝搬方向とが一致するように配置された第2ホーンと、
    前記第1ホーンの第1小開口部と前記第2ホーンの第2小開口部との間に設けられた超音波受波器本体であって、前記第1伝搬方向に対して平行な表面を備え、前記第1ホーンを伝搬してきた前記超音波が前記平面から入射することにより、前記超音波を検出する少なくも1つの超音波受波器本体と、
    を備え、
    前記第1ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かって小さくなっており、
    前記第2ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かって大きくなっている、超音波受波器。
  2. 前記第1ホーンの第1大開口部から前記第2ホーンの大開口部まで貫通する空間が形成されている請求項1に記載の超音波受波器。
  3. 前記第1ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1大開口部から前記第1小開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に減少している請求項2に記載の超音波受波器。
  4. 前記第2ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第2伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第2小開口部から前記第2大開口部に向かう伝搬方向に対して指数関数的に大きくなっている請求項3に記載の超音波受波器。
  5. 前記超音波受波器本体は、
    受波面を含む超音波振動子と、
    第1および第2表面領域を含む伝搬媒質部と、
    を含み、
    前記伝搬媒質部の第1表面領域は前記超音波振動子の受波面と接合されており、前記伝搬媒質部の第1表面領域は前記表面を構成している請求項4に記載の超音波受波器。
  6. 前記伝搬媒質部および周囲空間を満たす流体の密度をρ、ρとし、前記伝搬媒質部および前記周囲空間を満たす流体における音速をC、Cとした場合、
    (ρ/ρ)<(C/C)<1
    の関係を満足している請求項5に記載の超音波受波器。
  7. 前記伝搬媒質部は、無機材料又は有機高分子材料の乾燥ゲルから形成されている請求項6に記載の超音波受波器。
  8. 超音波の入射端である第1大開口部および出射端である第1小開口部を有する第1ホーンと、
    前記第1小開口部に隣接して設けられた超音波受波器本体であって、前記第1ホーンを伝搬する超音波の第1伝搬方向に対して平行な表面を備え、前記第1ホーンを伝搬してきた前記超音波が前記平面から入射することにより、前記超音波を検出する少なくも1つの超音波受波器本体と、
    周囲空間を満たす流体の音響インピーダンスが徐々に変化するように前記流体を保持する音響インピーダンス変換器であって、前記第1ホーンと前記音響インピーダンス変換器とによって前記超音波受波器本体を挟むように配置された音響インピーダンス変換器と、
    を備え、
    前記第1ホーンにおいて、前記超音波が伝搬する空間の前記第1伝搬方向に対して垂直な断面積は、前記第1小開口部から前記第1大開口部に向かって大きくなっている、超音波受波器。
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