JPWO2007132645A1 - イオン供給源およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の方法では、まず、水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む水溶液(20)中において、イオンを吸着できる導電性物質(11)と対極(12)との間に電圧を印加することによって、導電性物質(11)に水溶液(20)中のイオン(L)の少なくとも一部を吸着させる。次に、水溶液(20)から導電性物質(11)を取り出して洗浄する。

Description

本発明は、イオンが吸着された導電性物質の製造方法、イオン濃度調整方法、およびイオン供給源に関する。
従来から、水溶液中のイオン濃度を変更する方法として、イオン交換樹脂を用いた方法や、通液型コンデンサを用いた方法が提案されてきた。
通液型コンデンサを用いる場合、イオンを電極に吸着させることによってイオンが除去される。通液型コンデンサを用いた装置は、たとえば、米国特許第5192432号、米国特許第5196115号、特開平5−258992号公報、米国特許第5415768号、米国特許第5620597号、米国特許第5748437号、特開平6−325983号公報、および特開2000−91169号公報に開示されている。
しかし、特定のイオンの濃度のみを選択的に変更する場合や、特定の陽イオンまたは陰イオンのみを選択的に供給する場合、電源を必須とする複雑な装置が必要となる。
このような状況において、本発明は、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源、およびその製造方法、ならびに、それを用いたイオン濃度の調整方法を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成するため、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法は、(i)水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記溶液中の前記イオン(L)の少なくとも一部を吸着させる工程と、(ii)前記溶液から前記導電性物質(C1)を取り出して洗浄する工程とを含む。
また、液体中のイオン濃度を調整するための本発明の方法は、(I)陽イオンまたは陰イオンのいずれか一方のイオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)を、前記液体中に浸漬する工程と、(II)前記イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が前記導電性物質(C1)に流入するように前記導電性物質(C1)に電流を流すことによって、前記導電性物質(C1)に吸着されている前記イオン(L’)を前記液体中に放出させる工程とを含む。
また、本発明のイオン供給源は、内部が外気から遮断された容器と、前記容器内に封入された導電性物質とを含むイオン供給源であって、前記導電性物質にイオンが吸着されている。
本発明によれば、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源が得られる。また、本発明によれば、本発明のイオン供給源、すなわち、イオンが吸着された導電性物質を製造できる。また、このイオン供給源を用いた本発明の方法によれば、液体のイオン濃度を簡単に調整することが可能であり、電源がなくてもイオン濃度を調整することが可能となる。
図1Aおよび1Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の一例を示す工程図である。図1Cは、イオンが吸着された導電性物質の一例を模式的に示す。 図2Aおよび2Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。図2Cは、イオンが吸着された導電性物質の他の一例を模式的に示す。 図3Aおよび3Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 図4Aおよび4Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の一例を示す工程図である。 図5Aおよび5Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 図6Aおよび6Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 実施例で用いた、活性炭繊維クロスを含む電極を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、図面を用いた説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
<イオンが吸着された導電性物質の製造方法>
以下に、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法について説明する。この製造方法の工程(i)では、水素イオン(H+)および水酸イオン(OH-)以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中のイオン(L)の少なくとも一部を吸着させる。その後、工程(ii)では、溶液から導電性物質(C1)を取り出して洗浄する。
工程(i)で用いられる溶液は、水素イオン(H+)および水酸イオン(OH-)に加えて、少なくとも1種のイオン(L)を含む。イオン(L)は、水素イオン以外の少なくとも1種の陽イオンであってもよい。この場合、溶液は、イオン(L)と水酸イオンとを含む。また、イオン(L)は、水酸イオン以外の少なくとも1種の陰イオンであってもよい。この場合、溶液は、イオン(L)と水素イオンとを含む。また、イオン(L)は、水素イオン以外の少なくとも1種の陽イオンと、水酸イオン以外の少なくとも1種の陰イオンとを含んでもよい。
陽イオンであるイオン(L)としては、たとえば、アルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンや、遷移金属イオン、N(C254 +が挙げられる。また、陰イオンであるイオン(L)としては、たとえば、ハロゲンイオンや、SO4 2-、NO3 -、BF4 -、PF4 -、ClO4 -、有機酸イオンが挙げられる。
なお、本明細書において、特に説明がない限り、「陽イオン」には正電荷を有するイオン(L)と水素イオンとが含まれ、「陰イオン」には負電荷を有するイオン(L)と水酸イオンとが含まれる。ただし、典型的な一例では、「陽イオン」は正電荷を有するイオン(L)であり、「陰イオン」は負電荷を有するイオン(L)である。
工程(i)で用いられる溶液の溶媒は、たとえば水であるが、有機溶媒であってもよく、水と有機溶媒との混合液であってもよい。その溶液の典型的な一例は、塩が溶解している水溶液である。溶解している塩に特に限定はなく、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。溶液に含まれるイオン(L)の濃度に特に限定はないが、導電性物質(C1)に所望の量のイオンを吸着させることができる濃度であって、且つ、水溶液の導電性を確保できる濃度である。したがって溶液中のイオン濃度が不足している場合には、溶液に塩を溶解させるなどしてイオン濃度を増加させる。
工程(i)では、導電性物質(C1)の表面に電荷が蓄積され、その電荷と結合するように、その電荷と逆の符号の電荷を有するイオンが導電性物質(C1)の表面に吸着されると考えられる。たとえば、導電性物質(C1)の表面に正電荷が蓄積されると陰イオン(陰イオンであるイオン(L)および/または水酸イオン)が吸着される。また、導電性物質(C1)の表面に負電荷が蓄積されると陽イオン(陽イオンであるイオン(L)および/または水素イオン)が吸着される。すなわち、これらのイオンは、導電性物質の表面に蓄積された電荷にクーロン力によって引き寄せられ、導電性物質の表面に吸着される。換言すれば、これらのイオンは、クーロン力によって導電性物質の表面に吸着される。
工程(i)における電圧の印加は、定電圧法で行ってもよいし、定電流法で行ってもよい。通常、印加される電圧は直流電圧であり流れる電流は直流電流であるが、本発明の効果が得られる限り、パルス電圧やパルス電流であってもよい。
導電性物質(C1)は、可逆的にイオンを吸着・放出できる物質である。典型的には、導電性物質(C1)は電荷を蓄積できる物質であり、蓄積された電荷とイオンとの間で生じるクーロン力によってイオンを吸着できる物質である。導電性物質(C1)としては、たとえば、溶液内でイオンを吸着することによって表面に電気二重層を形成するような導電性物質(C1)を用いることができる。
具体的には、導電性物質(C1)には、比表面積が大きい導電性物質を用いることができ、たとえば、イオンを吸着可能な炭素材料を用いることができる。炭素材料の中でも、活性炭は比表面積が大きいため好ましく用いられる。たとえば、導電性物質(C1)は、粒状活性炭を凝集させて導電性シートとしたものや、粒状活性炭と導電性カーボンとを凝集させて導電性シートとしたものを含んでもよく、活性炭繊維クロスを含んでもよい。また、活性炭粒子を固めて得られる活性炭ブロックを含んでもよい。比表面積が大きい導電性物質(C1)の比表面積は、たとえば、300m2/g〜2500m2/gの範囲であってもよい。
導電性物質(C1)は、多孔性の導電性物質であってもよい。また、導電性物質(C1)には、通液型コンデンサの電極に用いられる物質を適用してもよい。導電性物質(C1)の典型的な例としては、多孔性の炭素材料(たとえば活性炭)が挙げられる。導電性物質(C1)の比表面積は、900m2/g以上であってもよい。比表面積の上限に特に限定はないが、たとえば2500m2/g以下であってもよい。比表面積がより小さい導電性物質を用いることも可能であり、たとえば、比表面積が300m2/g以上の導電性物質(たとえば活性炭等の炭素材料)を用いることも可能である。なお、この明細書において、「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法で測定された値である。
通常、導電性物質(C1)のみでは電気抵抗が高いため、導電性物質(C1)には、必要に応じて集電体が接続される。たとえば、集電体である金属箔上に粒状の活性炭を含む導電性材料を結着剤で固定してもよい。導電性材料は、アセチレンブラック等の導電性カーボンを含んでもよい。また、シート状の導電性物質(たとえば活性炭繊維クロス)を用いる場合には、そのシート上に集電のための配線が形成されていてもよい。配線には、たとえば金属配線を用いることができ、貴金属等でコートした金属配線を用いてもよい。配線を構成する金属としては、たとえば、Al、Ti、TaおよびNbからなる群より選ばれる少なくとも1つが挙げられる。また、その金属をコートする金属としては、Au、Pt、PdおよびRhからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属(合金を含む)が挙げられる。配線の好ましい一例は、Ptでコートされた金属配線である。
対極には、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と同様の導電性物質を用いてもよいし、水の電気分解が生じやすい電極を用いてもよい。水の電気分解が生じやすい電極としては、たとえば、表面にPtが存在する電極が用いられる。具体的には、金属の表面をPtでコートした電極を用いてもよく、たとえば、TiやNbをPtでコートした電極を用いてもよい。
別の観点では、対極は、その実際の表面積(BET法等で測定した表面積)が、その見かけ上の表面積(外形の表面積)の10倍以下(たとえば5倍以下)であってもよい。そのような対極としては、一般的な金属電極や黒鉛電極が挙げられる。導電性物質(C1)は、その実際の表面積(BET法等で測定した表面積)が、その見かけ上の表面積(外形の表面積)の104倍以上であってもよい。
対極で水の電気分解を生じさせる場合、対極表面の電位が水の電気分解が生じる電位となるように、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加する。一方、対極がイオンを吸着できる導電性物質を含み、対極でもイオンを吸着させる場合には、導電性物質の表面の電位が水の電気分解が生じない電位となるように、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
本発明の製造方法では、工程(i)において、導電性物質(C1)がアノードとなるように導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中の陰イオンを吸着させることができる。この場合、工程(i)において、陰イオンが導電性物質(C1)の表面で酸化分解されない範囲内で、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
また、本発明の製造方法では、工程(i)において、導電性物質(C1)がカソードとなるように導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中の陽イオンを吸着させることができる。この場合、工程(i)において、陽イオンが導電性物質(C1)の表面で還元分解されない範囲内であって且つ陽イオンが導電性物質(C1)の表面で金属に還元されない範囲内で、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
工程(ii)の洗浄工程によって、クーロン力によって導電性物質(C1)に結合しているのではないイオンが除去される。具体的には、導電性物質(C1)の表面に蓄積されている電荷と同じ符号の電荷を有するイオンは、洗浄工程によって除去される。
導電性物質(C1)に陽イオンを吸着させた場合、工程(ii)において、溶存酸素を実質的に含まない液体で導電性物質(C1)を洗浄することが好ましい。陽イオンが吸着された導電性物質(C1)は、全体としては電気的に中性であるが、その電位は負になっている。そのため、洗浄用の液体中に溶存酸素が存在すると、溶存酸素が導電性物質(C1)の表面で電子を受け取って還元される。その結果、導電性物質(C1)の表面電荷が減少し、吸着されている陽イオンが洗浄液中に放出されてしまう。そのような陽イオンの放出を抑制するため、溶存酸素を実質的に含まない洗浄液を用いることが好ましい。溶存酸素を実質的に含まない洗浄液の好ましい一例は、窒素ガスでバブリングされた純水である。
工程(ii)の洗浄の方法に特に限定はなく、導電性物質の表面を洗浄液で洗い流す方法であってもよいし、導電性物質を洗浄液に浸漬する方法であってもよい。洗浄液には、純水や、有機溶媒(たとえばアルコール)や、それらの混合液を用いることができる。純水中の溶存酸素を除去するには、たとえば、窒素ガスでバブリングすればよい。また、純水で洗浄したのちに、エタノールやイソプロパノールなどのアルコールで洗浄してもよい。アルコールで洗浄することによって、その後の乾燥時間を短縮できる。
本発明の製造方法は、工程(ii)で洗浄された導電性物質(C1)を、容器内の液体に浸漬して容器を密閉する工程をさらに含んでもよい。このようにして、イオンが吸着された導電性物質(C1)を液体中に保存できる。保存用の液体も、溶存酸素を実質的に含まないことが好ましい。
本発明の製造方法は、工程(ii)で洗浄された導電性物質(C1)を乾燥する工程をさらに含んでもよい。乾燥は、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気中で行うことが好ましい。たとえば、不活性ガス中または減圧下において導電性物質(C1)を乾燥してもよい。不活性ガスとしては、窒素ガスなどが挙げられる。
本発明の製造方法は、乾燥された導電性物質(C1)を、内部が外気から遮断された容器内に封入する工程をさらに含んでもよい。このようにして、イオンが吸着された導電性物質(C1)を保存できる。この容器内には、酸素ガスが実質的に含まれないことが好ましい。たとえば、この容器内を不活性ガスで充填してもよいし、容器内を脱気してもよいし、容器内に酸素吸収剤を入れてもよい。
容器は、内部を外気から遮断できるものであればどのようなものであってもよく、たとえば、プラスチックの袋やプラスチックのケースといった、合成樹脂製の容器を用いることができる。この容器は、酸素ガスの透過率が小さいことが好ましく、また、水分の透過率が小さいことが好ましい。
対極が、イオンを吸着可能な導電性物質(C2)を含む場合、工程(i)において、導電性物質(C1)と対極との間に導電性物質(C1)がアノードとなるように電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質(C1)に溶液中の陰イオンを吸着させ、導電性物質(C2)に溶液中の陽イオンを吸着させることができる。この場合、陰イオンが吸着された導電性物質(C1)と、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)とを同時に形成できる。溶液中の陰イオンおよび陽イオンには、水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)が含まれる。
工程(i)でイオンが吸着された導電性物質(C1)および対極(導電性物質(C2))は、工程(ii)で取り出されて洗浄される。洗浄の方法、および洗浄後の処理については、上述した通りである。すなわち、導電性物質(C1)について説明した洗浄・乾燥・保管の方法について、導電性物質(C2)にも適用できる。
導電性物質(C2)には、導電性物質(C1)について説明した材料を適用できる。導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とは全く同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
[工程(i)の例]
以下に、イオンが吸着された導電性物質を製造する方法の工程(i)の例について説明する。なお、以下の例では、用いられる溶液が塩化ナトリウム水溶液である場合について説明するが、1種類以上の他の塩が溶解している水溶液を用いてもよい。
[第1の例]
第1の例の工程を図1Aおよび1Bに模式的に示す。なお、以下の図では、図面を見やすくするために化学当量については考慮していない。
まず、図1Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11と対極12とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20(ハッチングは省略する)に浸漬する。槽10は、液体を槽10内に導入するための流入口1と、液体を槽10から排出するための排出口2とを備える。
そして、図1Bに示すように、導電性物質11と対極12との間に、導電性物質11がアノードとなり対極12がカソードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陰イオン(Cl-)を吸着させる。一方、対極12の表面では水が分解され、水酸イオンと水素ガスとが発生する。このとき、図1Cに示すように、導電性物質11の表面にはプラスの電荷がチャージされている。そして、その表面電荷に結合するように陰イオン(Cl-)が導電性物質11の表面に吸着されている。そのため、吸着された陰イオン(Cl-)は、表面電荷が消去されない限り、導電性物質11の表面に吸着していると考えられる。
[第2の例]
第2の例の工程を図2Aおよび2Bに模式的に示す。まず、図2Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11と対極12とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20に浸漬する。
そして、図2Bに示すように、導電性物質11と対極12との間に、導電性物質11がカソードとなり対極12がアノードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陽イオン(Na+)を吸着させる。一方、対極12の表面で水が分解され、水素イオンと酸素ガスとが発生する。このとき、図2Cに示すように、導電性物質11の表面にはマイナスの電荷がチャージされている。そして、その表面電荷に結合するように陽イオン(Na+)が導電性物質11の表面に吸着されている。そのため、吸着された陽イオン(Na+)は、導電性物質11の表面のマイナス電荷が消去されない限り、導電性物質11の表面に吸着していると考えられる。
[第3の例]
第3の例では、対極として、イオンを吸着できる導電性物質13を用いる。第3の例の工程を図3Aおよび3Bに模式的に示す。まず、図3Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11とイオンを吸着できる導電性物質13とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20に浸漬する。
そして、図3Bに示すように、導電性物質11と導電性物質13との間に、導電性物質11がアノードとなり導電性物質13がカソードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陰イオン(Cl-)を吸着させ、導電性物質13に陽イオン(Na+)を吸着させる。この方法では、陰イオンが吸着した導電性物質と、陽イオンが吸着した導電性物質とを同時に形成できる。
<イオン供給源>
以下、本発明のイオン供給源について説明する。このイオン供給源は、上述した本発明の方法で製造できる。
本発明のイオン供給源は、内部が外気から遮断された容器と、その容器内に封入された導電性物質とを含む。その導電性物質にはイオンが吸着されている。吸着されているイオンは、陽イオンまたは陰イオンである。吸着されているイオンが陽イオンである場合、洗浄で除去しきれなかった陰イオンもわずかに導電性物質に吸着している場合があるが、吸着されているイオンは実質的に陽イオンのみである。同様に、吸着されているイオンが陰イオンである場合、洗浄で除去しきれなかった陽イオンもわずかに導電性物質に吸着している場合があるが、吸着されているイオンは実質的に陰イオンのみである。吸着されているイオンは、導電性物質中の電荷と対をなしているため、導電性物質中の電荷が放出されない限り動かない。導電性物質、導電性物質に吸着されているイオン、および容器については、上述したため、重複する説明を省略する。別の観点では、本発明のイオン供給源は、イオンが吸着されている導電性物質を単独で取り出したものである。
上記容器内には、不活性ガス(たとえば窒素ガス)が充填されていてもよい。また、上記容器内に液体が封入されており、イオンが吸着されている導電性物質がその液体に浸漬されていてもよい。
<液体のイオン濃度を調整する方法>
以下に、液体中のイオン濃度を調整するための本発明の方法について説明する。この方法の工程(I)では、陽イオンまたは陰イオンのいずれか一方のイオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)を、液体中に浸漬する。
イオン(L’)は、水素イオン、水酸イオンおよびイオン(L)からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、たとえばイオン(L)である。工程(I)で用いられる液体は、イオンが溶解可能な液体である。この液体は、たとえば、水、水溶液、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合液である。イオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)には、本発明の製造方法で形成された導電性物質、または本発明のイオン供給源の導電性物質を適用できる。
工程(I)ののちの工程(II)では、イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が導電性物質(C1)に流入するように導電性物質(C1)に電流を流すことによって、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)を液体中に放出させる。換言すれば、イオン(L’)と結合している導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流すことによって、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)を液体中に放出させる。たとえば、イオン(L’)が陽イオンであり導電性物質(C1)の表面電荷がマイナス電荷である場合、そのマイナス電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流す。逆に、イオン(L’)が陰イオンであり導電性物質(C1)の表面電荷がプラス電荷である場合、そのプラス電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流す。なお、導電性物質(C1)の表面に、当初の表面電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるまで電流を流してもよい。
導電性物質(C1)に電流を流す方法の一例では、導電性物質(C1)と対極とを液体中に浸漬したのち、両者の間に電流を流す。導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)が陽イオンである場合、導電性物質(C1)がアノードとなるように電流を流すことによってイオン(L’)を液体中に放出させることができる。また、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)が陰イオンである場合、導電性物質(C1)がカソードとなるように電流を流すことによって、イオン(L’)を液体中に放出させることができる。
導電性物質(C1)に、陰イオンが吸着されている場合、工程(I)において、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)と導電性物質(C1)とを液体中に浸漬してもよい。すなわち、陰イオンが吸着された導電性物質(C1)と、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)とを共に液体中に浸漬してもよい。この場合、導電性物質(C1)に吸着されている陰イオンおよび導電性物質(C2)に吸着されている陽イオンの少なくとも一方は、水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)である。そして、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とを短絡させることによって、導電性物質(C1)に吸着された陰イオンと導電性物質(C2)に吸着された陽イオンとを液体中に放出させてもよい。導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とを短絡させると、導電性物質(C1)の表面に存在するプラス電荷と、導電性物質(C2)の表面に存在するマイナス電荷とが打ち消し合って減少する。その結果、それらの表面電荷と結合していたイオンが液体中に放出される。また、この方法の工程(II)では、導電性物質(C1)および導電性物質(C2)のそれぞれの表面に存在する電荷が減少(または逆転)するように、両者の間に電圧を印加して電流を流してもよい。
導電性物質(C2)には、導電性物質(C1)について説明した材料と同様の材料を適用できる。ただし、導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
以下に、イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)を用いる一例の方法について説明する。
イオン(L’)の電荷の符号と同じ符号の電荷を有し且つイオン(L’)とは異なるイオン(L”)を上記液体が含む場合について考える。この場合、工程(I)において、イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)と、イオン(L’)が吸着された導電性物質(C1)とを液体中に浸漬してもよい。そして、工程(II)において、イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が導電性物質(C1)に流入するように、且つ、イオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷が導電性物質(C0)に流入するように導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流を流してもよい。これによって、導電性物質(C1)に吸着されたイオン(L’)を液体中に放出させるとともにイオン(L”)を導電性物質(C0)に吸着させることができる。換言すれば、工程(II)において、イオン(L’)と結合している導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように且つ導電性物質(C0)の表面にイオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるように、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流を流してもよい。工程(II)によって、液体中のイオン(L’)の濃度が増加し、液体中のイオン(L”)の濃度が減少する。この方法によれば、液体中に存在する陽イオン種または陰イオン種の濃度を変化させることが可能である。
導電性物質(C0)には、導電性物質(C1)について説明した材料と同様の材料を適用できる。ただし、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)とは、同じであってもよいし、異なってもよい。イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)を用いる方法の場合、イオンが実質的に吸着されていない導電性物質(C0)を用いることが好ましい。
上記一例の方法では、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に定電流を流してもよい。定電流を流す場合、電流を流す時間によってイオンの放出量をコントロールすることが可能である。
また、上記一例の方法では、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)とを短絡させてもよい。両者を短絡させることによって、導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように且つ導電性物質(C0)の表面にイオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるように、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流が流れる。
上記一例の方法では、導電性物質(C0)に吸着されうるイオンの量が多いほど、液体中のイオン種の濃度を大きく変化させることができる。そのため、導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量が、導電性物質(C1)に吸着しているイオン(L’)の全電荷量の1倍以上(好ましくは3倍以上で、たとえば10倍以上)であることが好ましい。ここで、「導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量」とは、導電性物質(C0)にイオン(L’)を吸着させたと仮定したときに、吸着処理後に吸着しているイオン(L’)の電荷量と、吸着処理前に吸着していたイオン(L’)の電荷量との差を意味する。なお、イオンが吸着されていない導電性物質(C0)を用いる場合、「導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量」は、導電性物質(C0)の電気二重層容量に等しい。
上述したように、導電性物質(C1)、(C2)および(C0)は、それぞれ、イオンを吸着可能な炭素材料を含んでもよい。また、上述したように、その炭素材料は活性炭であってもよい。
[工程(I)の例]
以下に、液体のイオン濃度を調整する方法の例について説明する。なお、以下の例では、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンおよび硫酸イオンが用いられる例について説明するが、他のイオンを用いてもよい。
[第1の例]
第1の例では、図4Aに示すように、陰イオン(Cl-)が吸着されている導電性物質11と陽イオン(Na+)が吸着されている導電性物質13とを水40(ハッチングは省略する)に浸漬する。次に、図4Bに示すように、導電性物質11と導電性物質13とを短絡させる。両者の短絡によって、導電性物質11および13の表面電荷が打ち消しあって減少する。その結果、導電性物質に吸着されたイオンが、水40に放出される。
なお、導電性物質11と導電性物質13との間に電圧を印加することによって、両者の表面電荷を減少(または逆転)させてもよい。また、導電性物質13の代わりに対極12を用い、導電性物質11と対極12との間に電圧を印加することによって、陰イオン(Cl-)を放出させてもよい。また、導電性物質11の代わりに対極12を用い、導電性物質13と対極12との間に電圧を印加することによって、陽イオン(Na+)を放出させてもよい。
[第2の例]
第2の例では、イオンを吸着可能な状態の導電性物質51を用いる。まず、図5Aに示すように、陰イオン(Cl-)が吸着されている導電性物質11と、イオンが吸着されていない導電性物質51とを、水溶液50(ハッチングは省略する)に浸漬する。水溶液50は、水酸イオンおよび塩素イオン以外の陰イオンを含む。以下では、水溶液50が硫酸イオン(SO4 2-)を含む場合について説明するが、水溶液50は、他の陰イオンを含んでもよく、複数種の陰イオンを含んでもよい。
次に、導電性物質11の表面電荷(プラス電荷)が減少するように且つ導電性物質51の表面にプラス電荷がチャージされるように、導電性物質11と導電性物質51との間に電流を流す。たとえば、図5Bに示すように、導電性物質11と導電性物質51とを短絡させてもよい。また、導電性物質11がカソードとなり導電性物質51がアノードとなるように両者の間に電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質11に吸着されている陰イオン(Cl-)が水溶液50に放出されるとともに、水溶液50中の陰イオン(主に硫酸イオン)が導電性物質51に吸着される。その結果、水溶液50中の塩素イオン濃度と硫酸イオン濃度とが変化する。ただし、この方法では、導電性物質11から放出された陰イオンの当量分だけ他の陰イオンが導電性物質51に吸着されるため、電圧印加の前後で、陰イオン全体の電荷量はほとんど変化しない。
[第3の例]
第3の例では、イオンを吸着可能な状態の導電性物質51を用いる。まず、図6Aに示すように、陽イオン(Na+)が吸着されている導電性物質11と、イオンが吸着されていない導電性物質51とを、水溶液60(ハッチングは省略する)に浸漬する。水溶液60は、水素イオンおよびナトリウムイオン以外の陽イオンを含む。以下では、水溶液60がカリウムイオン(K+)を含む場合について説明するが、水溶液60は、他の陽イオンを含んでもよく、複数種の陽イオンを含んでもよい。
次に、導電性物質11の表面電荷(マイナス電荷)が減少するように且つ導電性物質51の表面にマイナス電荷がチャージされるように、導電性物質11と導電性物質51との間に電流を流す。たとえば、図6Bに示すように、導電性物質11と導電性物質51とを短絡させてもよい。また、導電性物質11がアノードとなり導電性物質51がカソードとなるように両者の間に電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質11に吸着されている陽イオン(Na+)が水溶液60に放出されるとともに、水溶液60中の陽イオン(主にカリウムイオン)が導電性物質51に吸着される。その結果、水溶液60中のナトリウムイオン濃度とカリウムイオン濃度とが変化する。ただし、電圧印加の前後で、陽イオン全体の電荷量はほとんど変化しない。
<イオン供給源の製造装置>
イオン供給源を製造するための装置は、イオン(L)を含む溶液を入れるための容器と、容器内に配置される2つの導電性物質(または、導電性物質および対極)に電圧を印加するための電源と、イオンが吸着された導電性物質を洗浄するための洗浄装置とを備える。容器および電源は、上記の方法を実施できる限り特に限定はなく、一般的な容器および直流電源を適用できる。導電性物質を洗浄するための洗浄装置は、たとえば、洗浄液を満たすための容器を備えてもよい。また、洗浄装置は、洗浄液を導電性物質にかけるための噴出装置(たとえばノズルおよびポンプ)を備えてもよい。
また、製造装置は、洗浄した導電性物質を乾燥するための乾燥装置を備えてもよい。この乾燥装置は、たとえば不活性ガスを導電性物質に吹き付けるための噴出装置や、減圧可能な容器を備えてもよい。また、製造装置は、洗浄後または乾燥後の導電性物質を容器内に封入するための装置を備えてもよい。たとえば、導電性物質を合成樹脂製の袋に入れて気密シールするためのシール装置を備えてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
[第1の例]
面積が20cm2の活性炭繊維クロス(日本カイノール株式会社製:ACC−5092−25(目付け100〜130g/m2))を用意した。そして、この活性炭繊維クロス(導電性物質)に、Ti箔にPtコートをした集電体を貼り付けて電極を形成した。この電極を2枚作製した。活性炭繊維クロス71と、それに貼り付けられた集電体72とを含む電極70を図7に模式的に示す。
次に、2枚の電極をK2SO4水溶液(濃度:3重量%)に入れた。そして、電極間に0.93Vの電圧を印加し、陰イオンである硫酸イオン(SO4 2-)をアノードに吸着させ、陽イオンであるカリウムイオン(K+)をカソードに吸着させた。
次に、2枚の電極を水溶液から取り出し、溶存酸素を除去した水で十分に洗浄した。溶存酸素は、小さな気泡の窒素ガスでバブリングすることによって除去した。次に、2枚の電極を、別々の容器に入れ、溶存酸素を除去した水の中に保管した。また、同様に作製した2枚の電極を窒素ガス中で乾燥させ、乾燥窒素ガス中で別々に保管した。
一週間後、水中で保管した2枚の電極を純水中に入れ、2つの電極間の電圧を測定した。電圧は0.85Vであり、予想されるよりも電圧が低かった。これは、イオンを吸着させるときの電荷のチャージが十分ではなかったために、1枚の活性炭繊維クロス内で自己放電が起こって電圧が低下したものと考えられる。一方、乾燥窒素ガス中で保管した2つの電極も同様に純水に入れ、2つの電極間の電圧を測定した。電圧は0.81Vであった。これは、水中で保管したものより少し電圧が低かった。
カリウムイオンが吸着された活性炭繊維クロスが入れられていた溶液は、アルカリ性を呈した。これは、溶存酸素の分解が少し発生したためであると考えられる。ただし、本質的には、殆どのイオンが、吸着されたままの状態で存在することが確認できた。この現象は、別の見方では、単極として取り出して乾燥したイオン吸着電極を、充電された単極として用いることができることを示している。すなわち、充電された単極(イオンが吸着された電極)を乾燥状態で保管し、使用時に溶媒に入れることによって、キャパシタとして使用できることが確認された。
[第2の例]
比表面積の大きい導電性物質として、ヨード吸着量が約1900mg/g、目付けが120g/m2の活性炭繊維クロス(面積30cm2、厚さ0.5mm)を用意した。この活性炭繊維クロスを5枚重ね合わせて1つの電極とした。
次に、活性炭繊維クロスの電極と白金電極とを2N硫酸カリウム水溶液中にいれ、活性炭繊維クロスの電極をアノードとし、白金電極をカソードとして100mAで2分間電流を流した。これによって、硫酸イオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。硫酸イオンが吸着された活性炭繊維クロスを純水中で洗浄した。
また、別の活性炭繊維クロスと白金電極とを2N塩化ナトリウム水溶液中にいれ、活性炭繊維クロスをカソードとし、白金電極をアノードとして、100mAで2分間電流を流した。これによって、ナトリウムイオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。ナトリウムイオンが吸着した活性炭繊維クロスを純水中で洗浄した。
硫酸イオンが吸着された活性炭繊維クロスと、ナトリウムイオンが吸着された活性炭繊維クロスとは、それぞれ、溶存酸素を除去した純水中に1週間放置した。その後、純水中で、2つの電極をショートさせた後、電極を取り出し、水を気化させた。水が気化した所には、硫酸ナトリウムの結晶が生じた。
同様の方法で、過塩素酸テトラエチルアンモニウムのプロピレンカーボネート溶液、硫酸アンモニウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、リチウムテトラフルオロボーレイトのエチレンカーボネート溶液などから、陽イオンまたは陰イオンを活性炭繊維クロスに吸着させて取り出すことができた。そして、その活性炭繊維クロスを用いて、様々な塩の溶液を作ることができた。
[第3の例]
比表面積の大きい導電性物質として、ヨード吸着量が約1900mg/g、目付けが120g/m2の活性炭繊維クロス(面積30cm2、厚さ0.5mm)を用意した。この活性炭繊維クロスを5枚重ね合わせて1つの電極とした。
次に、活性炭繊維クロスの電極と白金電極とを、2N硫酸ナトリウム水溶液にいれ、活性炭繊維クロスの電極をカソードとし、白金電極をアノードとして、100mAで2分間電流を流した。これによって、ナトリウムイオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。ナトリウムイオンが吸着した5枚の活性炭繊維クロスを純水中で洗浄し、真空乾燥機で乾燥した。そして、2枚の活性炭繊維クロスを乾燥窒素ガスで満たされた容器に入れ、他の3枚は大気雰囲気中に配置した。このようにして、5枚の活性炭繊維クロスを1週間保管した。
その後、5枚の活性炭繊維クロスを、溶存酸素を除去した純水中に浸漬し、純水の変化を調べた。
大気に触れる状態で保持された活性炭繊維クロスを入れた純水は、アルカリ性を呈した。この理由は明確ではないが、大気中で保管されている際に、活性炭繊維クロスに水分が吸着され、その水分に溶解した酸素が活性炭から電子を受け取って水酸イオンとなったためであると考えられる。
一方、窒素ガス中で保管された活性炭繊維クロスが浸漬された水は、少しアルカリ性を呈したが殆ど変化しなかった。この活性炭繊維クロスと、陰イオンが吸着した活性炭繊維クロスとを用いることによって、第1の例と同様にナトリウム塩の溶液を作ることができた。
本発明は、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源、およびその製造方法、ならびに、それを用いたイオン濃度の調整方法に適用できる。
本発明は、イオンが吸着された導電性物質の製造方法、イオン濃度調整方法、およびイオン供給源に関する。
従来から、水溶液中のイオン濃度を変更する方法として、イオン交換樹脂を用いた方法や、通液型コンデンサを用いた方法が提案されてきた。
通液型コンデンサを用いる場合、イオンを電極に吸着させることによってイオンが除去される。通液型コンデンサを用いた装置は、たとえば、米国特許第5192432号、米国特許第5196115号、特開平5−258992号公報、米国特許第5415768号、米国特許第5620597号、米国特許第5748437号、特開平6−325983号公報、および特開2000−91169号公報に開示されている。
しかし、特定のイオンの濃度のみを選択的に変更する場合や、特定の陽イオンまたは陰イオンのみを選択的に供給する場合、電源を必須とする複雑な装置が必要となる。
このような状況において、本発明は、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源、およびその製造方法、ならびに、それを用いたイオン濃度の調整方法を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成するため、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法は、(i)水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記溶液中の前記イオン(L)の少なくとも一部を吸着させる工程と、(ii)前記溶液から前記導電性物質(C1)を取り出して洗浄する工程とを含む。
また、液体中のイオン濃度を調整するための本発明の方法は、(I)陽イオンまたは陰イオンのいずれか一方のイオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)を、前記液体中に浸漬する工程と、(II)前記イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が前記導電性物質(C1)に流入するように前記導電性物質(C1)に電流を流すことによって、前記導電性物質(C1)に吸着されている前記イオン(L’)を前記液体中に放出させる工程とを含む。
また、本発明のイオン供給源は、内部が外気から遮断された容器と、前記容器内に封入された導電性物質とを含むイオン供給源であって、前記導電性物質にイオンが吸着されている。
本発明によれば、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源が得られる。また、本発明によれば、本発明のイオン供給源、すなわち、イオンが吸着された導電性物質を製造できる。また、このイオン供給源を用いた本発明の方法によれば、液体のイオン濃度を簡単に調整することが可能であり、電源がなくてもイオン濃度を調整することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、図面を用いた説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
<イオンが吸着された導電性物質の製造方法>
以下に、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法について説明する。この製造方法の工程(i)では、水素イオン(H+)および水酸イオン(OH-)以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中のイオン(L)の少なくとも一部を吸着させる。その後、工程(ii)では、溶液から導電性物質(C1)を取り出して洗浄する。
工程(i)で用いられる溶液は、水素イオン(H+)および水酸イオン(OH-)に加えて、少なくとも1種のイオン(L)を含む。イオン(L)は、水素イオン以外の少なくとも1種の陽イオンであってもよい。この場合、溶液は、イオン(L)と水酸イオンとを含む。また、イオン(L)は、水酸イオン以外の少なくとも1種の陰イオンであってもよい。この場合、溶液は、イオン(L)と水素イオンとを含む。また、イオン(L)は、水素イオン以外の少なくとも1種の陽イオンと、水酸イオン以外の少なくとも1種の陰イオンとを含んでもよい。
陽イオンであるイオン(L)としては、たとえば、アルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンや、遷移金属イオン、N(C254 +が挙げられる。また、陰イオンであるイオン(L)としては、たとえば、ハロゲンイオンや、SO4 2-、NO3 -、BF4 -、PF4 -、ClO4 -、有機酸イオンが挙げられる。
なお、本明細書において、特に説明がない限り、「陽イオン」には正電荷を有するイオン(L)と水素イオンとが含まれ、「陰イオン」には負電荷を有するイオン(L)と水酸イオンとが含まれる。ただし、典型的な一例では、「陽イオン」は正電荷を有するイオン(L)であり、「陰イオン」は負電荷を有するイオン(L)である。
工程(i)で用いられる溶液の溶媒は、たとえば水であるが、有機溶媒であってもよく、水と有機溶媒との混合液であってもよい。その溶液の典型的な一例は、塩が溶解している水溶液である。溶解している塩に特に限定はなく、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カリウムなどが挙げられる。溶液に含まれるイオン(L)の濃度に特に限定はないが、導電性物質(C1)に所望の量のイオンを吸着させることができる濃度であって、且つ、水溶液の導電性を確保できる濃度である。したがって溶液中のイオン濃度が不足している場合には、溶液に塩を溶解させるなどしてイオン濃度を増加させる。
工程(i)では、導電性物質(C1)の表面に電荷が蓄積され、その電荷と結合するように、その電荷と逆の符号の電荷を有するイオンが導電性物質(C1)の表面に吸着されると考えられる。たとえば、導電性物質(C1)の表面に正電荷が蓄積されると陰イオン(陰イオンであるイオン(L)および/または水酸イオン)が吸着される。また、導電性物質(C1)の表面に負電荷が蓄積されると陽イオン(陽イオンであるイオン(L)および/または水素イオン)が吸着される。すなわち、これらのイオンは、導電性物質の表面に蓄積された電荷にクーロン力によって引き寄せられ、導電性物質の表面に吸着される。換言すれば、これらのイオンは、クーロン力によって導電性物質の表面に吸着される。
工程(i)における電圧の印加は、定電圧法で行ってもよいし、定電流法で行ってもよい。通常、印加される電圧は直流電圧であり流れる電流は直流電流であるが、本発明の効果が得られる限り、パルス電圧やパルス電流であってもよい。
導電性物質(C1)は、可逆的にイオンを吸着・放出できる物質である。典型的には、導電性物質(C1)は電荷を蓄積できる物質であり、蓄積された電荷とイオンとの間で生じるクーロン力によってイオンを吸着できる物質である。導電性物質(C1)としては、たとえば、溶液内でイオンを吸着することによって表面に電気二重層を形成するような導電性物質(C1)を用いることができる。
具体的には、導電性物質(C1)には、比表面積が大きい導電性物質を用いることができ、たとえば、イオンを吸着可能な炭素材料を用いることができる。炭素材料の中でも、活性炭は比表面積が大きいため好ましく用いられる。たとえば、導電性物質(C1)は、粒状活性炭を凝集させて導電性シートとしたものや、粒状活性炭と導電性カーボンとを凝集させて導電性シートとしたものを含んでもよく、活性炭繊維クロスを含んでもよい。また、活性炭粒子を固めて得られる活性炭ブロックを含んでもよい。比表面積が大きい導電性物質(C1)の比表面積は、たとえば、300m2/g〜2500m2/gの範囲であってもよい。
導電性物質(C1)は、多孔性の導電性物質であってもよい。また、導電性物質(C1)には、通液型コンデンサの電極に用いられる物質を適用してもよい。導電性物質(C1)の典型的な例としては、多孔性の炭素材料(たとえば活性炭)が挙げられる。導電性物質(C1)の比表面積は、900m2/g以上であってもよい。比表面積の上限に特に限定はないが、たとえば2500m2/g以下であってもよい。比表面積がより小さい導電性物質を用いることも可能であり、たとえば、比表面積が300m2/g以上の導電性物質(たとえば活性炭等の炭素材料)を用いることも可能である。なお、この明細書において、「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法で測定された値である。
通常、導電性物質(C1)のみでは電気抵抗が高いため、導電性物質(C1)には、必要に応じて集電体が接続される。たとえば、集電体である金属箔上に粒状の活性炭を含む導電性材料を結着剤で固定してもよい。導電性材料は、アセチレンブラック等の導電性カーボンを含んでもよい。また、シート状の導電性物質(たとえば活性炭繊維クロス)を用いる場合には、そのシート上に集電のための配線が形成されていてもよい。配線には、たとえば金属配線を用いることができ、貴金属等でコートした金属配線を用いてもよい。配線を構成する金属としては、たとえば、Al、Ti、TaおよびNbからなる群より選ばれる少なくとも1つが挙げられる。また、その金属をコートする金属としては、Au、Pt、PdおよびRhからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属(合金を含む)が挙げられる。配線の好ましい一例は、Ptでコートされた金属配線である。
対極には、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と同様の導電性物質を用いてもよいし、水の電気分解が生じやすい電極を用いてもよい。水の電気分解が生じやすい電極としては、たとえば、表面にPtが存在する電極が用いられる。具体的には、金属の表面をPtでコートした電極を用いてもよく、たとえば、TiやNbをPtでコートした電極を用いてもよい。
別の観点では、対極は、その実際の表面積(BET法等で測定した表面積)が、その見かけ上の表面積(外形の表面積)の10倍以下(たとえば5倍以下)であってもよい。そのような対極としては、一般的な金属電極や黒鉛電極が挙げられる。導電性物質(C1)は、その実際の表面積(BET法等で測定した表面積)が、その見かけ上の表面積(外形の表面積)の104倍以上であってもよい。
対極で水の電気分解を生じさせる場合、対極表面の電位が水の電気分解が生じる電位となるように、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加する。一方、対極がイオンを吸着できる導電性物質を含み、対極でもイオンを吸着させる場合には、導電性物質の表面の電位が水の電気分解が生じない電位となるように、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
本発明の製造方法では、工程(i)において、導電性物質(C1)がアノードとなるように導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中の陰イオンを吸着させることができる。この場合、工程(i)において、陰イオンが導電性物質(C1)の表面で酸化分解されない範囲内で、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
また、本発明の製造方法では、工程(i)において、導電性物質(C1)がカソードとなるように導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、導電性物質(C1)に溶液中の陽イオンを吸着させることができる。この場合、工程(i)において、陽イオンが導電性物質(C1)の表面で還元分解されない範囲内であって且つ陽イオンが導電性物質(C1)の表面で金属に還元されない範囲内で、導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することが好ましい。
工程(ii)の洗浄工程によって、クーロン力によって導電性物質(C1)に結合しているのではないイオンが除去される。具体的には、導電性物質(C1)の表面に蓄積されている電荷と同じ符号の電荷を有するイオンは、洗浄工程によって除去される。
導電性物質(C1)に陽イオンを吸着させた場合、工程(ii)において、溶存酸素を実質的に含まない液体で導電性物質(C1)を洗浄することが好ましい。陽イオンが吸着された導電性物質(C1)は、全体としては電気的に中性であるが、その電位は負になっている。そのため、洗浄用の液体中に溶存酸素が存在すると、溶存酸素が導電性物質(C1)の表面で電子を受け取って還元される。その結果、導電性物質(C1)の表面電荷が減少し、吸着されている陽イオンが洗浄液中に放出されてしまう。そのような陽イオンの放出を抑制するため、溶存酸素を実質的に含まない洗浄液を用いることが好ましい。溶存酸素を実質的に含まない洗浄液の好ましい一例は、窒素ガスでバブリングされた純水である。
工程(ii)の洗浄の方法に特に限定はなく、導電性物質の表面を洗浄液で洗い流す方法であってもよいし、導電性物質を洗浄液に浸漬する方法であってもよい。洗浄液には、純水や、有機溶媒(たとえばアルコール)や、それらの混合液を用いることができる。純水中の溶存酸素を除去するには、たとえば、窒素ガスでバブリングすればよい。また、純水で洗浄したのちに、エタノールやイソプロパノールなどのアルコールで洗浄してもよい。アルコールで洗浄することによって、その後の乾燥時間を短縮できる。
本発明の製造方法は、工程(ii)で洗浄された導電性物質(C1)を、容器内の液体に浸漬して容器を密閉する工程をさらに含んでもよい。このようにして、イオンが吸着された導電性物質(C1)を液体中に保存できる。保存用の液体も、溶存酸素を実質的に含まないことが好ましい。
本発明の製造方法は、工程(ii)で洗浄された導電性物質(C1)を乾燥する工程をさらに含んでもよい。乾燥は、酸素ガスを実質的に含まない雰囲気中で行うことが好ましい。たとえば、不活性ガス中または減圧下において導電性物質(C1)を乾燥してもよい。不活性ガスとしては、窒素ガスなどが挙げられる。
本発明の製造方法は、乾燥された導電性物質(C1)を、内部が外気から遮断された容器内に封入する工程をさらに含んでもよい。このようにして、イオンが吸着された導電性物質(C1)を保存できる。この容器内には、酸素ガスが実質的に含まれないことが好ましい。たとえば、この容器内を不活性ガスで充填してもよいし、容器内を脱気してもよいし、容器内に酸素吸収剤を入れてもよい。
容器は、内部を外気から遮断できるものであればどのようなものであってもよく、たとえば、プラスチックの袋やプラスチックのケースといった、合成樹脂製の容器を用いることができる。この容器は、酸素ガスの透過率が小さいことが好ましく、また、水分の透過率が小さいことが好ましい。
対極が、イオンを吸着可能な導電性物質(C2)を含む場合、工程(i)において、導電性物質(C1)と対極との間に導電性物質(C1)がアノードとなるように電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質(C1)に溶液中の陰イオンを吸着させ、導電性物質(C2)に溶液中の陽イオンを吸着させることができる。この場合、陰イオンが吸着された導電性物質(C1)と、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)とを同時に形成できる。溶液中の陰イオンおよび陽イオンには、水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)が含まれる。
工程(i)でイオンが吸着された導電性物質(C1)および対極(導電性物質(C2))は、工程(ii)で取り出されて洗浄される。洗浄の方法、および洗浄後の処理については、上述した通りである。すなわち、導電性物質(C1)について説明した洗浄・乾燥・保管の方法について、導電性物質(C2)にも適用できる。
導電性物質(C2)には、導電性物質(C1)について説明した材料を適用できる。導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とは全く同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
[工程(i)の例]
以下に、イオンが吸着された導電性物質を製造する方法の工程(i)の例について説明する。なお、以下の例では、用いられる溶液が塩化ナトリウム水溶液である場合について説明するが、1種類以上の他の塩が溶解している水溶液を用いてもよい。
[第1の例]
第1の例の工程を図1Aおよび1Bに模式的に示す。なお、以下の図では、図面を見やすくするために化学当量については考慮していない。
まず、図1Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11と対極12とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20(ハッチングは省略する)に浸漬する。槽10は、液体を槽10内に導入するための流入口1と、液体を槽10から排出するための排出口2とを備える。
そして、図1Bに示すように、導電性物質11と対極12との間に、導電性物質11がアノードとなり対極12がカソードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陰イオン(Cl-)を吸着させる。一方、対極12の表面では水が分解され、水酸イオンと水素ガスとが発生する。このとき、図1Cに示すように、導電性物質11の表面にはプラスの電荷がチャージされている。そして、その表面電荷に結合するように陰イオン(Cl-)が導電性物質11の表面に吸着されている。そのため、吸着された陰イオン(Cl-)は、表面電荷が消去されない限り、導電性物質11の表面に吸着していると考えられる。
[第2の例]
第2の例の工程を図2Aおよび2Bに模式的に示す。まず、図2Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11と対極12とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20に浸漬する。
そして、図2Bに示すように、導電性物質11と対極12との間に、導電性物質11がカソードとなり対極12がアノードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陽イオン(Na+)を吸着させる。一方、対極12の表面で水が分解され、水素イオンと酸素ガスとが発生する。このとき、図2Cに示すように、導電性物質11の表面にはマイナスの電荷がチャージされている。そして、その表面電荷に結合するように陽イオン(Na+)が導電性物質11の表面に吸着されている。そのため、吸着された陽イオン(Na+)は、導電性物質11の表面のマイナス電荷が消去されない限り、導電性物質11の表面に吸着していると考えられる。
[第3の例]
第3の例では、対極として、イオンを吸着できる導電性物質13を用いる。第3の例の工程を図3Aおよび3Bに模式的に示す。まず、図3Aに示すように、槽10内において、イオンを吸着できる導電性物質11とイオンを吸着できる導電性物質13とを、陽イオン(Na+)および陰イオン(Cl-)を含む水溶液20に浸漬する。
そして、図3Bに示すように、導電性物質11と導電性物質13との間に、導電性物質11がアノードとなり導電性物質13がカソードとなるように直流電圧を印加する。これによって、導電性物質11に陰イオン(Cl-)を吸着させ、導電性物質13に陽イオン(Na+)を吸着させる。この方法では、陰イオンが吸着した導電性物質と、陽イオンが吸着した導電性物質とを同時に形成できる。
<イオン供給源>
以下、本発明のイオン供給源について説明する。このイオン供給源は、上述した本発明の方法で製造できる。
本発明のイオン供給源は、内部が外気から遮断された容器と、その容器内に封入された導電性物質とを含む。その導電性物質にはイオンが吸着されている。吸着されているイオンは、陽イオンまたは陰イオンである。吸着されているイオンが陽イオンである場合、洗浄で除去しきれなかった陰イオンもわずかに導電性物質に吸着している場合があるが、吸着されているイオンは実質的に陽イオンのみである。同様に、吸着されているイオンが陰イオンである場合、洗浄で除去しきれなかった陽イオンもわずかに導電性物質に吸着している場合があるが、吸着されているイオンは実質的に陰イオンのみである。吸着されているイオンは、導電性物質中の電荷と対をなしているため、導電性物質中の電荷が放出されない限り動かない。導電性物質、導電性物質に吸着されているイオン、および容器については、上述したため、重複する説明を省略する。別の観点では、本発明のイオン供給源は、イオンが吸着されている導電性物質を単独で取り出したものである。
上記容器内には、不活性ガス(たとえば窒素ガス)が充填されていてもよい。また、上記容器内に液体が封入されており、イオンが吸着されている導電性物質がその液体に浸漬されていてもよい。
<液体のイオン濃度を調整する方法>
以下に、液体中のイオン濃度を調整するための本発明の方法について説明する。この方法の工程(I)では、陽イオンまたは陰イオンのいずれか一方のイオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)を、液体中に浸漬する。
イオン(L’)は、水素イオン、水酸イオンおよびイオン(L)からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、たとえばイオン(L)である。工程(I)で用いられる液体は、イオンが溶解可能な液体である。この液体は、たとえば、水、水溶液、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合液である。イオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)には、本発明の製造方法で形成された導電性物質、または本発明のイオン供給源の導電性物質を適用できる。
工程(I)ののちの工程(II)では、イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が導電性物質(C1)に流入するように導電性物質(C1)に電流を流すことによって、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)を液体中に放出させる。換言すれば、イオン(L’)と結合している導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流すことによって、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)を液体中に放出させる。たとえば、イオン(L’)が陽イオンであり導電性物質(C1)の表面電荷がマイナス電荷である場合、そのマイナス電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流す。逆に、イオン(L’)が陰イオンであり導電性物質(C1)の表面電荷がプラス電荷である場合、そのプラス電荷が減少するように導電性物質(C1)に電流を流す。なお、導電性物質(C1)の表面に、当初の表面電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるまで電流を流してもよい。
導電性物質(C1)に電流を流す方法の一例では、導電性物質(C1)と対極とを液体中に浸漬したのち、両者の間に電流を流す。導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)が陽イオンである場合、導電性物質(C1)がアノードとなるように電流を流すことによってイオン(L’)を液体中に放出させることができる。また、導電性物質(C1)に吸着されているイオン(L’)が陰イオンである場合、導電性物質(C1)がカソードとなるように電流を流すことによって、イオン(L’)を液体中に放出させることができる。
導電性物質(C1)に、陰イオンが吸着されている場合、工程(I)において、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)と導電性物質(C1)とを液体中に浸漬してもよい。すなわち、陰イオンが吸着された導電性物質(C1)と、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)とを共に液体中に浸漬してもよい。この場合、導電性物質(C1)に吸着されている陰イオンおよび導電性物質(C2)に吸着されている陽イオンの少なくとも一方は、水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)である。そして、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とを短絡させることによって、導電性物質(C1)に吸着された陰イオンと導電性物質(C2)に吸着された陽イオンとを液体中に放出させてもよい。導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とを短絡させると、導電性物質(C1)の表面に存在するプラス電荷と、導電性物質(C2)の表面に存在するマイナス電荷とが打ち消し合って減少する。その結果、それらの表面電荷と結合していたイオンが液体中に放出される。また、この方法の工程(II)では、導電性物質(C1)および導電性物質(C2)のそれぞれの表面に存在する電荷が減少(または逆転)するように、両者の間に電圧を印加して電流を流してもよい。
導電性物質(C2)には、導電性物質(C1)について説明した材料と同様の材料を適用できる。ただし、導電性物質(C1)と導電性物質(C2)とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
以下に、イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)を用いる一例の方法について説明する。
イオン(L’)の電荷の符号と同じ符号の電荷を有し且つイオン(L’)とは異なるイオン(L”)を上記液体が含む場合について考える。この場合、工程(I)において、イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)と、イオン(L’)が吸着された導電性物質(C1)とを液体中に浸漬してもよい。そして、工程(II)において、イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が導電性物質(C1)に流入するように、且つ、イオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷が導電性物質(C0)に流入するように導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流を流してもよい。これによって、導電性物質(C1)に吸着されたイオン(L’)を液体中に放出させるとともにイオン(L”)を導電性物質(C0)に吸着させることができる。換言すれば、工程(II)において、イオン(L’)と結合している導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように且つ導電性物質(C0)の表面にイオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるように、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流を流してもよい。工程(II)によって、液体中のイオン(L’)の濃度が増加し、液体中のイオン(L”)の濃度が減少する。この方法によれば、液体中に存在する陽イオン種または陰イオン種の濃度を変化させることが可能である。
導電性物質(C0)には、導電性物質(C1)について説明した材料と同様の材料を適用できる。ただし、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)とは、同じであってもよいし、異なってもよい。イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)を用いる方法の場合、イオンが実質的に吸着されていない導電性物質(C0)を用いることが好ましい。
上記一例の方法では、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に定電流を流してもよい。定電流を流す場合、電流を流す時間によってイオンの放出量をコントロールすることが可能である。
また、上記一例の方法では、工程(II)において、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)とを短絡させてもよい。両者を短絡させることによって、導電性物質(C1)の表面電荷が減少するように且つ導電性物質(C0)の表面にイオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷がチャージされるように、導電性物質(C1)と導電性物質(C0)との間に電流が流れる。
上記一例の方法では、導電性物質(C0)に吸着されうるイオンの量が多いほど、液体中のイオン種の濃度を大きく変化させることができる。そのため、導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量が、導電性物質(C1)に吸着しているイオン(L’)の全電荷量の1倍以上(好ましくは3倍以上で、たとえば10倍以上)であることが好ましい。ここで、「導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量」とは、導電性物質(C0)にイオン(L’)を吸着させたと仮定したときに、吸着処理後に吸着しているイオン(L’)の電荷量と、吸着処理前に吸着していたイオン(L’)の電荷量との差を意味する。なお、イオンが吸着されていない導電性物質(C0)を用いる場合、「導電性物質(C0)に吸着されうるイオン(L’)の全電荷量」は、導電性物質(C0)の電気二重層容量に等しい。
上述したように、導電性物質(C1)、(C2)および(C0)は、それぞれ、イオンを吸着可能な炭素材料を含んでもよい。また、上述したように、その炭素材料は活性炭であってもよい。
[工程(I)の例]
以下に、液体のイオン濃度を調整する方法の例について説明する。なお、以下の例では、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンおよび硫酸イオンが用いられる例について説明するが、他のイオンを用いてもよい。
[第1の例]
第1の例では、図4Aに示すように、陰イオン(Cl-)が吸着されている導電性物質11と陽イオン(Na+)が吸着されている導電性物質13とを水40(ハッチングは省略する)に浸漬する。次に、図4Bに示すように、導電性物質11と導電性物質13とを短絡させる。両者の短絡によって、導電性物質11および13の表面電荷が打ち消しあって減少する。その結果、導電性物質に吸着されたイオンが、水40に放出される。
なお、導電性物質11と導電性物質13との間に電圧を印加することによって、両者の表面電荷を減少(または逆転)させてもよい。また、導電性物質13の代わりに対極12を用い、導電性物質11と対極12との間に電圧を印加することによって、陰イオン(Cl-)を放出させてもよい。また、導電性物質11の代わりに対極12を用い、導電性物質13と対極12との間に電圧を印加することによって、陽イオン(Na+)を放出させてもよい。
[第2の例]
第2の例では、イオンを吸着可能な状態の導電性物質51を用いる。まず、図5Aに示すように、陰イオン(Cl-)が吸着されている導電性物質11と、イオンが吸着されていない導電性物質51とを、水溶液50(ハッチングは省略する)に浸漬する。水溶液50は、水酸イオンおよび塩素イオン以外の陰イオンを含む。以下では、水溶液50が硫酸イオン(SO4 2-)を含む場合について説明するが、水溶液50は、他の陰イオンを含んでもよく、複数種の陰イオンを含んでもよい。
次に、導電性物質11の表面電荷(プラス電荷)が減少するように且つ導電性物質51の表面にプラス電荷がチャージされるように、導電性物質11と導電性物質51との間に電流を流す。たとえば、図5Bに示すように、導電性物質11と導電性物質51とを短絡させてもよい。また、導電性物質11がカソードとなり導電性物質51がアノードとなるように両者の間に電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質11に吸着されている陰イオン(Cl-)が水溶液50に放出されるとともに、水溶液50中の陰イオン(主に硫酸イオン)が導電性物質51に吸着される。その結果、水溶液50中の塩素イオン濃度と硫酸イオン濃度とが変化する。ただし、この方法では、導電性物質11から放出された陰イオンの当量分だけ他の陰イオンが導電性物質51に吸着されるため、電圧印加の前後で、陰イオン全体の電荷量はほとんど変化しない。
[第3の例]
第3の例では、イオンを吸着可能な状態の導電性物質51を用いる。まず、図6Aに示すように、陽イオン(Na+)が吸着されている導電性物質11と、イオンが吸着されていない導電性物質51とを、水溶液60(ハッチングは省略する)に浸漬する。水溶液60は、水素イオンおよびナトリウムイオン以外の陽イオンを含む。以下では、水溶液60がカリウムイオン(K+)を含む場合について説明するが、水溶液60は、他の陽イオンを含んでもよく、複数種の陽イオンを含んでもよい。
次に、導電性物質11の表面電荷(マイナス電荷)が減少するように且つ導電性物質51の表面にマイナス電荷がチャージされるように、導電性物質11と導電性物質51との間に電流を流す。たとえば、図6Bに示すように、導電性物質11と導電性物質51とを短絡させてもよい。また、導電性物質11がアノードとなり導電性物質51がカソードとなるように両者の間に電圧を印加してもよい。これによって、導電性物質11に吸着されている陽イオン(Na+)が水溶液60に放出されるとともに、水溶液60中の陽イオン(主にカリウムイオン)が導電性物質51に吸着される。その結果、水溶液60中のナトリウムイオン濃度とカリウムイオン濃度とが変化する。ただし、電圧印加の前後で、陽イオン全体の電荷量はほとんど変化しない。
<イオン供給源の製造装置>
イオン供給源を製造するための装置は、イオン(L)を含む溶液を入れるための容器と、容器内に配置される2つの導電性物質(または、導電性物質および対極)に電圧を印加するための電源と、イオンが吸着された導電性物質を洗浄するための洗浄装置とを備える。容器および電源は、上記の方法を実施できる限り特に限定はなく、一般的な容器および直流電源を適用できる。導電性物質を洗浄するための洗浄装置は、たとえば、洗浄液を満たすための容器を備えてもよい。また、洗浄装置は、洗浄液を導電性物質にかけるための噴出装置(たとえばノズルおよびポンプ)を備えてもよい。
また、製造装置は、洗浄した導電性物質を乾燥するための乾燥装置を備えてもよい。この乾燥装置は、たとえば不活性ガスを導電性物質に吹き付けるための噴出装置や、減圧可能な容器を備えてもよい。また、製造装置は、洗浄後または乾燥後の導電性物質を容器内に封入するための装置を備えてもよい。たとえば、導電性物質を合成樹脂製の袋に入れて気密シールするためのシール装置を備えてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
[第1の例]
面積が20cm2の活性炭繊維クロス(日本カイノール株式会社製:ACC−5092−25(目付け100〜130g/m2))を用意した。そして、この活性炭繊維クロス(導電性物質)に、Ti箔にPtコートをした集電体を貼り付けて電極を形成した。この電極を2枚作製した。活性炭繊維クロス71と、それに貼り付けられた集電体72とを含む電極70を図7に模式的に示す。
次に、2枚の電極をK2SO4水溶液(濃度:3重量%)に入れた。そして、電極間に0.93Vの電圧を印加し、陰イオンである硫酸イオン(SO4 2-)をアノードに吸着させ、陽イオンであるカリウムイオン(K+)をカソードに吸着させた。
次に、2枚の電極を水溶液から取り出し、溶存酸素を除去した水で十分に洗浄した。溶存酸素は、小さな気泡の窒素ガスでバブリングすることによって除去した。次に、2枚の電極を、別々の容器に入れ、溶存酸素を除去した水の中に保管した。また、同様に作製した2枚の電極を窒素ガス中で乾燥させ、乾燥窒素ガス中で別々に保管した。
一週間後、水中で保管した2枚の電極を純水中に入れ、2つの電極間の電圧を測定した。電圧は0.85Vであり、予想されるよりも電圧が低かった。これは、イオンを吸着させるときの電荷のチャージが十分ではなかったために、1枚の活性炭繊維クロス内で自己放電が起こって電圧が低下したものと考えられる。一方、乾燥窒素ガス中で保管した2つの電極も同様に純水に入れ、2つの電極間の電圧を測定した。電圧は0.81Vであった。これは、水中で保管したものより少し電圧が低かった。
カリウムイオンが吸着された活性炭繊維クロスが入れられていた溶液は、アルカリ性を呈した。これは、溶存酸素の分解が少し発生したためであると考えられる。ただし、本質的には、殆どのイオンが、吸着されたままの状態で存在することが確認できた。この現象は、別の見方では、単極として取り出して乾燥したイオン吸着電極を、充電された単極として用いることができることを示している。すなわち、充電された単極(イオンが吸着された電極)を乾燥状態で保管し、使用時に溶媒に入れることによって、キャパシタとして使用できることが確認された。
[第2の例]
比表面積の大きい導電性物質として、ヨード吸着量が約1900mg/g、目付けが120g/m2の活性炭繊維クロス(面積30cm2、厚さ0.5mm)を用意した。この活性炭繊維クロスを5枚重ね合わせて1つの電極とした。
次に、活性炭繊維クロスの電極と白金電極とを2N硫酸カリウム水溶液中にいれ、活性炭繊維クロスの電極をアノードとし、白金電極をカソードとして100mAで2分間電流を流した。これによって、硫酸イオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。硫酸イオンが吸着された活性炭繊維クロスを純水中で洗浄した。
また、別の活性炭繊維クロスと白金電極とを2N塩化ナトリウム水溶液中にいれ、活性炭繊維クロスをカソードとし、白金電極をアノードとして、100mAで2分間電流を流した。これによって、ナトリウムイオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。ナトリウムイオンが吸着した活性炭繊維クロスを純水中で洗浄した。
硫酸イオンが吸着された活性炭繊維クロスと、ナトリウムイオンが吸着された活性炭繊維クロスとは、それぞれ、溶存酸素を除去した純水中に1週間放置した。その後、純水中で、2つの電極をショートさせた後、電極を取り出し、水を気化させた。水が気化した所には、硫酸ナトリウムの結晶が生じた。
同様の方法で、過塩素酸テトラエチルアンモニウムのプロピレンカーボネート溶液、硫酸アンモニウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、リチウムテトラフルオロボーレイトのエチレンカーボネート溶液などから、陽イオンまたは陰イオンを活性炭繊維クロスに吸着させて取り出すことができた。そして、その活性炭繊維クロスを用いて、様々な塩の溶液を作ることができた。
[第3の例]
比表面積の大きい導電性物質として、ヨード吸着量が約1900mg/g、目付けが120g/m2の活性炭繊維クロス(面積30cm2、厚さ0.5mm)を用意した。この活性炭繊維クロスを5枚重ね合わせて1つの電極とした。
次に、活性炭繊維クロスの電極と白金電極とを、2N硫酸ナトリウム水溶液にいれ、活性炭繊維クロスの電極をカソードとし、白金電極をアノードとして、100mAで2分間電流を流した。これによって、ナトリウムイオンを活性炭繊維クロスに吸着させた。ナトリウムイオンが吸着した5枚の活性炭繊維クロスを純水中で洗浄し、真空乾燥機で乾燥した。そして、2枚の活性炭繊維クロスを乾燥窒素ガスで満たされた容器に入れ、他の3枚は大気雰囲気中に配置した。このようにして、5枚の活性炭繊維クロスを1週間保管した。
その後、5枚の活性炭繊維クロスを、溶存酸素を除去した純水中に浸漬し、純水の変化を調べた。
大気に触れる状態で保持された活性炭繊維クロスを入れた純水は、アルカリ性を呈した。この理由は明確ではないが、大気中で保管されている際に、活性炭繊維クロスに水分が吸着され、その水分に溶解した酸素が活性炭から電子を受け取って水酸イオンとなったためであると考えられる。
一方、窒素ガス中で保管された活性炭繊維クロスが浸漬された水は、少しアルカリ性を呈したが殆ど変化しなかった。この活性炭繊維クロスと、陰イオンが吸着した活性炭繊維クロスとを用いることによって、第1の例と同様にナトリウム塩の溶液を作ることができた。
本発明は、液体のイオン濃度を簡単に調整する方法に使用できるイオン供給源、およびその製造方法、ならびに、それを用いたイオン濃度の調整方法に適用できる。
図1Aおよび1Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の一例を示す工程図である。図1Cは、イオンが吸着された導電性物質の一例を模式的に示す。 図2Aおよび2Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。図2Cは、イオンが吸着された導電性物質の他の一例を模式的に示す。 図3Aおよび3Bは、イオンが吸着された導電性物質を製造するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 図4Aおよび4Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の一例を示す工程図である。 図5Aおよび5Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 図6Aおよび6Bは、液体のイオン濃度を調整するための本発明の方法の他の一例を示す工程図である。 実施例で用いた、活性炭繊維クロスを含む電極を模式的に示す図である。
上記目的を達成するため、イオン供給源を製造するための本発明の方法は、(i)水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記溶液中の前記イオン(L)の少なくとも一部を吸着させる工程と、(ii)前記溶液から前記導電性物質(C1)を取り出して洗浄する工程とを含む。前記導電性物質(C1)は、イオンを吸着可能な炭素材料を含む。
また、本発明のイオン供給源は、内部が外気から遮断された容器と、前記容器内に封入された導電性物質とを含むイオン供給源であって、前記導電性物質にイオンが吸着されている。前記導電性物質は、イオンを吸着可能な炭素材料を含む。

Claims (24)

  1. (i)水素イオンおよび水酸イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)と対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記溶液中の前記イオン(L)の少なくとも一部を吸着させる工程と、
    (ii)前記溶液から前記導電性物質(C1)を取り出して洗浄する工程とを含む、イオンが吸着された導電性物質の製造方法。
  2. 前記(i)の工程において、前記導電性物質(C1)がアノードとなるように前記導電性物質(C1)と前記対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に、前記溶液中の陰イオンを吸着させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(i)の工程において、前記陰イオンが前記導電性物質(C1)の表面で酸化分解されない範囲内で、前記導電性物質(C1)と前記対極との間に電圧を印加する請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記(i)の工程において、前記導電性物質(C1)がカソードとなるように前記導電性物質(C1)と前記対極との間に電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に、前記溶液中の陽イオンを吸着させる請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記(i)の工程において、前記陽イオンが前記導電性物質(C1)の表面で還元分解されない範囲内であって且つ前記陽イオンが前記導電性物質(C1)の表面で金属に還元されない範囲内で、前記導電性物質(C1)と前記対極との間に電圧を印加する請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記(ii)の工程において、溶存酸素を実質的に含まない液体で前記導電性物質(C1)を洗浄する請求項4に記載の製造方法。
  7. 前記(ii)の工程で洗浄された前記導電性物質(C1)を、容器内の液体に浸漬して前記容器を密閉する工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記(ii)の工程で洗浄された前記導電性物質(C1)を乾燥する工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
  9. 不活性ガス中または減圧下において前記導電性物質(C1)を乾燥する請求項8に記載の製造方法。
  10. 乾燥された前記導電性物質(C1)を、内部が外気から遮断された容器内に封入する工程をさらに含む請求項8に記載の製造方法。
  11. 前記導電性物質(C1)が、イオンを吸着可能な炭素材料を含む請求項1に記載の製造方法。
  12. 前記炭素材料が活性炭である請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記対極が、イオンを吸着可能な導電性物質(C2)を含み、
    前記(i)の工程において、前記導電性物質(C1)と前記対極との間に前記導電性物質(C1)がアノードとなるように電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記溶液中の陰イオンを吸着させ、前記導電性物質(C2)に前記溶液中の陽イオンを吸着させ、
    前記(ii)の工程において、前記溶液から前記導電性物質(C1)と前記対極とを取り出して洗浄する請求項1に記載の製造方法。
  14. 液体中のイオン濃度を調整する方法であって、
    (I)陽イオンまたは陰イオンのいずれか一方のイオン(L’)が吸着されている導電性物質(C1)を、前記液体中に浸漬する工程と、
    (II)前記イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が前記導電性物質(C1)に流入するように前記導電性物質(C1)に電流を流すことによって、前記導電性物質(C1)に吸着されている前記イオン(L’)を前記液体中に放出させる工程と、を含むイオン濃度調整方法。
  15. 前記導電性物質(C1)には陰イオンが吸着されており、
    前記(I)の工程において、陽イオンが吸着された導電性物質(C2)と前記導電性物質(C1)とを前記液体中に浸漬し、
    前記(II)の工程において、前記導電性物質(C1)と前記導電性物質(C2)とを短絡させることによって、前記導電性物質(C1)に吸着された前記陰イオンと前記導電性物質(C2)に吸着された前記陽イオンとを前記液体中に放出させる請求項14に記載のイオン濃度調整方法。
  16. 前記イオン(L’)と同じ符号の電荷を有し且つ前記イオン(L’)とは異なるイオン(L”)を前記液体が含み、
    前記(I)の工程において、イオンを吸着可能な状態の導電性物質(C0)と、前記導電性物質(C1)とを前記液体中に浸漬し、
    前記(II)の工程において、前記イオン(L’)の電荷と同じ符号の電荷が前記導電性物質(C1)に流入するように、且つ、前記イオン(L’)の電荷とは逆の符号の電荷が前記導電性物質(C0)に流入するように前記導電性物質(C1)と前記導電性物質(C0)との間に電流を流し、これによって、前記導電性物質(C1)に吸着された前記イオン(L’)を前記液体中に放出させるとともに前記イオン(L”)を前記導電性物質(C0)に吸着させる請求項14に記載のイオン濃度調整方法。
  17. 前記(II)の工程において、前記導電性物質(C1)と前記導電性物質(C0)との間に定電流を流す請求項16に記載のイオン濃度調整方法。
  18. 前記(II)の工程において、前記導電性物質(C1)と前記導電性物質(C0)とを短絡させる請求項16に記載のイオン濃度調整方法。
  19. 前記導電性物質(C0)に吸着されうる前記イオン(L’)の全電荷量が、前記導電性物質(C1)に吸着している前記イオン(L’)の全電荷量の1倍以上である請求項16に記載のイオン濃度調整方法。
  20. 前記導電性物質(C1)が、イオンを吸着可能な炭素材料を含む請求項14に記載のイオン濃度調整方法。
  21. 前記炭素材料が活性炭である請求項20に記載のイオン濃度調整方法。
  22. 内部が外気から遮断された容器と、前記容器内に封入された導電性物質とを含むイオン供給源であって、
    前記導電性物質にイオンが吸着されているイオン供給源。
  23. 前記容器内に不活性ガスが充填されている請求項22に記載のイオン供給源。
  24. 前記容器内に液体が封入されており、
    前記導電性物質は前記液体に浸漬されている請求項22に記載のイオン供給源。
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