JPWO2007117020A1 - 多発性硬化症の再発予測法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多発性硬化症の再発を予測する方法に関する。具体的にはDNAマイクロアレイ(DNAチップ)を用いて多発性硬化症患者末梢血CD3 +Tリンパ球で再発時に特異的に変動する遺伝子群の発現量を評価して再発を予測する方法に関する。

Description

本発明は、多発性硬化症の再発を予測する方法に関する。具体的にはDNAマイクロアレイ(DNAチップ)を用いて多発性硬化症患者末梢血CD3 +Tリンパ球で再発時に特異的に変動する遺伝子群の発現量を評価して再発を予測する方法に関する。
多発性硬化症(Multiple Sclerosis、以下MSと略す)は、脳と脊髄の神経線維を保護する髄鞘「ミエリン」が炎症により破壊され(脱髄という)、神経情報伝達が障害されて視覚障害、運動障害、感覚低下、平衡障害等の多彩な症状が出現する炎症性中枢神経系疾患であり、未だ病因が同定されておらず、現時点では完治困難な神経難病である。病巣にはCD3+ Tリンパ球やマクロファージの浸潤を認める。免疫系が誤って自己組織を攻撃する「自己免疫疾患」と考えられているが、発症機序の詳細は解明されていない。しかしながら過去多くの研究が発病におけるCD3+ Tリンパ球の中心的役割を示唆している。日本国内には少なくとも5000人、世界中では約100万人の患者が存在するといわれている。
MSの特徴として、大部分の患者が再発(症状の急性増悪)を何度もくり返すことが挙げられる。再発の重症度には個人差が見られるが、一般に急性期を過ぎて寛解期に入ると比較的よく回復する。このタイプを「再発寛解型MS」と呼ぶ。MS再発のメカニズムは解明されていない。MS再発抑制、再発予防のためになるべく早期にインターフェロンベータを投与する治療法が推奨されている。しかしながら現在までMS再発予測法は樹立されていないため、再発を反復するたびに治療開始が遅れて神経学的後遺症が蓄積し回復不良となる患者も多数存在する。もし高精度のMS再発診断法および予測法が確立されれば、早期治療が可能になり多くの患者で後遺症を軽減出来る。一方発症時から病気が潜行性に進行していく患者も存在し、このタイプを「進行型MS」と呼ぶ。進行型MSではインターフェロンベータ治療の有効性が科学的に立証されていない。日本では進行型MSは比較的少ない。MSは病変分布の特徴から、大脳、小脳、脳幹を含む中枢神経系全般を広汎に侵す通常型MS(conventional MS:C−MS)と視神経と脊髄を選択的に侵す視神経脊髄型MS(opticospinal MS:OS−MS)に分類される。欧米白人はC−MSが大部分でOS−MSは稀であるのに対して、日本人を含むアジア人種の場合は約1/3がOS−MSである。
現在MSは国際的診断基準(McDonald診断基準)を参考にして臨床診断される。この診断基準は炎症性脱髄巣の時間的多発性と空間的多発性を重視する。診断のための検査方法として、従来から磁気共鳴画像(MRI)検査や脳脊髄液検査が施行されて来た。MRI検査では造影剤「ガドリニウム」を使用して、活動病巣と非活動性病巣の鑑別が可能である。即ち典型的には臨床的再発時には新規に出現した神経学的症状に一致する造影病巣(活動性病巣)を認める。しかしMRIは空間的分解能に限界があり、大脳、小脳には病変が乏しいOS−MSでは視神経や脊髄の小病巣を描出出来ないこともある。またMRI画像の判読には熟練した神経内科専門医や神経放射線科専門医を必要とする。一方、脳脊髄液検査は腰椎穿刺により脳脊髄液を採取して、脳脊髄液中のリンパ球や抗体(オリゴクローナル免疫グロブリンG)、ミエリン塩基性タンパク質を定量して炎症性病巣の有無を調べる。脳脊髄液検査は鋭敏ではあるが、患者に多大な身体的、精神的負担をかける。以上のように従来の検査方法では、多発性硬化症の再発の有無を簡便に診断することは非常に困難であり、再発の予測は不可能であった。
本発明の目的は、多発性硬化症の再発の診断および予測に関して、患者への負担が軽く簡便かつ信頼性の高い評価方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球における特定の遺伝子の発現レベルを再発期と寛解期に比較解析して、再発特異的遺伝子発現プロフィールを同定し、多発性硬化症の再発を診断および予測する方法を見出し、本発明の完成に至った。
以下、具体的な課題の解決手段を説明する。
本発明は、多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、再発期特異的に変動する遺伝子の発現量を測定することで、多発性硬化症の再発を予測する方法である。
また本発明は、多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、シンボル名が表1に記載された遺伝子のうち、いずれかの遺伝子の発現量を測定することで、多発性硬化症の再発を予測する方法である。
また、本発明は、多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、シンボル名が表4に記載された遺伝子のうち、いずれかの遺伝子の発現量を測定することで、多発性硬化症の再発を予測する方法である。これらの遺伝子は、同一MS患者で寛解期に比べて再発期において2倍以上の上昇または0.5倍未満の低下を認める上位20遺伝子のうち、少なくとも3名の患者で重複が認められた遺伝子群である。
また本発明は、多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、シンボル名がIL6,AKT2,RIPK1,TNFRSF4,STAT2,PTEN,FADD,NFKB2,BCL2L1,PDGFB,FGF1,MMP2,TGFB2,NOS1,TSC22,IFNA8,IL1A,CD3D,IL1R1,TCF8,EGR1,NR4A2,IFI30,TLR4,FCER1G,NR4A1,TNFAIP3,GRO2,IL8,NFKB1,IL17C,NFATC2,CD163,IRF4,IKBKBから選択されるいずれかの遺伝子の発現量を測定することで、多発性硬化症の再発を予測する方法である。これらの遺伝子は、表1および表4に記載の遺伝子のうち、特に免疫系に関与していると思われる35遺伝子を抽出したものである。
前記したとおり、MSは再発と寛解を繰り返すのが特徴であり、MRIなどの現在の臨床診断技術では再発を予測することは全く出来ない。また単に末梢血のリンパ球(Tリンパ球・Bリンパ球・単球などを含むミクスチュア)の遺伝子発現プロフィールを解析しても、病態の本質はわかりにくい。また、MSには様々な病型があり、それを予測することは、熟練した専門医であっても困難である。よって、MSの病期、すなわち再発に向かいつつある(増悪期の状態である)のか否かを正しく識別できれば、それはMSの早期治療を可能とし、炎症の軽症化、ひいては神経学的後遺症の軽減を実現する画期的な技術となる。
本発明は、多発性硬化症患者の精製純度の高い末梢血CD3+ Tリンパ球における特定の遺伝子群の発現量を、例えばDNAマイクロアレイを用いて簡便に測定することにより、多発性硬化症の再発を精度よく予測できる方法を提供する。本発明の方法によれば、前記したMSの早期治療、炎症の軽症化、神経学的後遺症の軽減が可能となる。
図1は、多発性硬化症患者6名の再発群と寛解群の2群間で有意な発現差異のある遺伝子群43個を指標とした再発期(relapse)と寛解期(remission)のCD3+ T細胞遺伝子発現プロフィールの階層的クラスタ解析を示す。対応する数値データを表2に示す。
図2は、多発性硬化症患者6名の再発群と寛解群の2群間で有意な発現差異のある遺伝子群43個を指標とした再発期(relapse)と寛解期(remission)のCD3+ T細胞遺伝子発現プロフィールの階層的クラスタ解析に基づく樹状図(デンドログラム)を示す。対応する数値データを表3に示す。
図3は、43遺伝子の共通上流検索による分子ネットワークを示す。
図4は、43遺伝子の周辺検索による分子ネットワークを示す。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2006−105825の明細書に記載された内容を包含する。
多発性硬化症(MS)は自己免疫疾患であり、発症には免疫システムの誤作動が原因と推測されている。T細胞、B細胞を中心に複数の細胞間のネットワークで構成されている複雑系である免疫システムの異常に関しては、個々のリンパ球の表面マーカーやサイトカイン産生の変動だけで判断する事は困難である。そこで発明者らは、より広範に網羅的に遺伝子群の発現変動を解析することで免疫システムの状況を包括的に把握する方法を開発した。
最近、DNAマイクロアレイあるいはDNAチップとよばれる、配列の異なる多数のDNA断片を基板のそれぞれ異なる個所に固定したスライドグラスに、遺伝子発現状態を解析する細胞から抽出したメッセンジャーRNAの逆転写物(蛍光標識あるいはラジオアイソトープ標識をする)を反応させハイブリダイゼーションを行った後、それぞれの配列特異的DNA断片にどの程度逆転写物がハイブリダイゼーションしたかを定量し、試料細胞中の遺伝子発現プロフィールを解析する方法が注目されている。発明者らは、このDNAマイクロアレイ技術を用いて、多発性硬化症患者の再発期と寛解期に末梢血CD3+ Tリンパ球における遺伝子発現パターンを網羅的、系統的に調べた。
サンプルとして免疫システムを担い多発性硬化症発症で中心的役割を果たす自己抗原反応性T細胞を含んでいるCD3+ Tリンパ球を末梢血より採取した。末梢血より得られるサンプルを用いる事は、被験者の負担を大きく緩和する意味で重要である。MRI検査、誘発電位検査、髄液検査及び臨床神経学的所見により総合的に判断して再発寛解型MSと認められた患者6名で文書による同意を得て、急性増悪期(再発期:Relapse)と完全寛解期(Remission)に末梢血CD3+ Tリンパ球における遺伝子発現プロフィールの比較解析を施行した。新規神経学的所見の出現またはMRI検査における造影病巣の出現を再発と定義した。また神経学的後遺症スコアスケール(Extended Disability Score;EDSS)の再発前の基礎値への復帰を寛解と定義した。DNAマイクロアレイとして、サイトカイン、細胞内シグナル伝達、グロースファクター、オンコジーン、アポトーシス等に関連するヒト遺伝子約1260種類を搭載したDNAチップ(日立製作所製薬物応答解析用DNAチップ)を使用した。患者から約30ml採血した後、密度勾配遠心用媒体(Ficoll−Paque PLUS(登録商標),Amersham Biosciences社製)を用いてリンパ球を分離し、磁気細胞分離システムAutoMACS(登録商標)(Miltenyi社製)を用いてCD3+ Tリンパ球を分離精製した。純度はフローサイトメーター(Beckman Coulter社製)による測定で、CD3陽性率98%以上である。次に、分離したCD3+ Tリンパ球より、RNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用いてトータルRNAを抽出した。各患者1名当たりのトータルRNAの収量は3−6マイクログラムであった。
健常者ボランティア3名からも採血しCD3+ Tリンパ球を分離しRNAを抽出した後、3名のサンプルを等量混合し、インビトロ・トランスクリプションを利用して2回RNA増幅反応を行い、増幅して得たRNAを参照(リファレンス)サンプルとした。この参照サンプルは、全患者サンプルに対する共通の参照サンプル(ユニバーサルリファレンス)として用いた。
多発性硬化症患者のCD3+ Tリンパ球より抽出したトータルRNAに対して、インビトロ・トランスクリプションを利用してRNA増幅反応を行った後、Cy5−dCTPを用いた逆転写反応によりCy5で標識したcDNAを合成した。一方参照サンプルについてはCy3−dCTPを用いた逆転写反応によりCy3で標識したcDNAを合成した。これらのcDNAを等量混合した後、前記DNAチップにかけてハイブリダイゼーションを62℃、12時間行った。洗浄後スキャナー(GSI−Lumonics社製ScanArray 5000)により各スポットの蛍光強度を測定し、患者由来サンプルと参照サンプルとの各遺伝子における発現量の比を求めた。
解析の方法は次の通りである。全サンプルを再発群と寛解群に分けてt検定を行い、2群間で有意(p < 0.05)にその発現量に差のある遺伝子群43個を抽出した(表1)。
発現差異を呈する遺伝子として選び出されたリストをみると、IL6,AKT2,RIPK1,TNFRSF4,STAT2,PTEN,FADD,NFKB2,BCL2L1,PDGFB,FGF1,MMP2,TGFB2,NOS1,TSC22,IFNA8,IL1A,CD3D,IL1R1等の遺伝子群が選び出されている。すなわちCD3+ Tリンパ球の増殖分化、遊走、生存細胞死に関連する遺伝子群が選び出されている事が分かる。
次に抽出した遺伝子群の発現量を基に、MS患者6名をグループ分けする階層的クラスタ解析を試みた。得られた結果を図1(表2),図2(表3)に示す。縦軸(height)は、クラスタ間の距離の目安となるものである。
図2の樹状図で明らかのように多発性硬化症の再発群と寛解群の2群間で有意な発現差異のある遺伝子群43個を指標とした階層的クラスタ解析で、再発群と寛解群のクラスタが明瞭に分けられていることがわかる。また43遺伝子は大きく4つのクラスタに分離されている。こうした特定のクラスタの遺伝子群に焦点を絞って解析することもまた、再発予測の精度を向上させるのに有効である。
次に同一MS患者で再発期と寛解期の遺伝子発現レベルの比を算出し、再発期において2倍以上の上昇または0.5倍未満の低下を認める上位20遺伝子を選出し、MS患者6名における重複を比較した。少なくとも3名の患者で重複が認められる遺伝子群を表4にまとめて示した。TCF8は6名全例で、EGFR1は5名、NR4A2は4名、IFI30,TLR4,FCER1G,NR4A1,TNFAIP3,GRO2,IL8,NFKB1,IL17C,NFATC2,CD163,IRF4,IKBKBは3名で共通して選出された。すなわちCD3+ Tリンパ球の増殖分化、遊走、生存細胞死に関連する遺伝子群が選び出されている事が分かる。上記のように、より多くの患者に共通している遺伝子はMSの普遍的な病態機序に深く関与していると考えられ、したがって多発性硬化症再発特異的マーカー遺伝子として特に重要であると考えられる。
さらに表1および表4に記載の遺伝子のうち、GO(gene ontology遺伝子機能あるいはアノテーションと呼ぶ)分類から免疫系に関与していると考えられる遺伝子を抽出したところ、IL6,AKT2,RIPK1,TNFRSF4,STAT2,PTEN,FADD,NFKB2,BCL2L1,PDGFB,FGF1,MMP2,TGFB2,NOS1,TSC22,IFNA8,IL1A,CD3D,IL1R1,TCF8,EGR1,NR4A2,IFI30,TLR4,FCER1G,NR4A1,TNFAIP3,GRO2,IL8,NFKB1,IL17C,NFATC2,CD163,IRF4,IKBKBが抽出された。これらの遺伝子もまた、多発性硬化症再発特異的マーカー遺伝子として特に重要であると考えられる。
表1に記載の43遺伝子について、生命情報統合プラットフォームKeyMolnet(医薬分子設計研究所)を用いて、これら遺伝子群に最も関連している分子ネットワークを、遺伝子発現制御に関与する転写因子群を調べる共通上流検索法(common upstream search)と分子間の結合や発現制御や複合体形成を包括的に調べる周辺検索法(neighboring search)に従って解析した。結果を図3および図4に示す。
その結果、43遺伝子の共通上流分子として転写因子nuclear factor NFkBが最も関与していることが明らかになった(図3)。43遺伝子の1パス以内に存在する分子のネットワーク図でも転写因子nuclear factor NFkBが最も重要な位置を占めていることが明らかになった(図4)。NFkBはTNFA,IL−1など炎症性サイトカインやケモカインの発現制御で中心的役割を果たす転写因子である。一方TNFA,IL−1はNFkBの発現上昇を誘導し、ポジティブフィードバックループを形成することにより炎症を慢性化および遷延化させるので、NFkBは多発性硬化症再発の引き金となる中心的分子として働くと考えられる。
以上のように特定の遺伝子群をマーカーとして、患者の末梢血CD3+ Tリンパ球における遺伝子発現解析を行うことで、明瞭に多発性硬化症再発期と寛解期と識別出来ることが明らかとなった。CD3+ Tリンパ球が発症において中心的役割を果たす多発性硬化症では、CD3+ Tリンパ球における再発特異的遺伝子群は再発の病態制御に深く関与していると考えられ、これらの発現を定量的に解析することにより、病期(再発期と寛解期)を診断出来るのみならず近々の再発を予測可能であると判断される。
再発期を予測する方法の実際は以下の通りである。あらかじめ、再発期と寛解期における、MS患者の末梢血CD3+ Tリンパ球における、表1または表4にリストアップした遺伝子群の発現量を、定量的RT−PCR法、ノーザンブロット法、あるいは上記に記載したDNAマイクロアレイを用いて測定しておき、データベースを作製しておく。その場合、被験者数は少なくとも各グループ5名以上とし、多ければ多いほど好ましい。次に、再発期が近々に到来する可能性のあるMS患者の末梢血CD3+ Tリンパ球における前記遺伝子群の発現量を測定する。該被験者の測定結果を、前記データベースのデータと合わせて、例えば、クラスタ解析を施し、該被験者が再発期か寛解期のどちらのグループに近いパターンを示しているかを判断する。もし、再発期のグループに近いパターンを示していれば、該被験者には再発期が訪れつつあるものと判断される。この場合、クラスタ解析の変わりに、サポートベクターマシン等の機械学習(教師付き分類法)のアルゴリズムを用いることもできる。再発期及び寛解期のデータを予め、コンピュータに学習させておき、被験者のデータがどちらのグループに近いかを判断させればよい。再発と臨床的に判断される2〜4週間前には、被験者の発現パターンは寛解期とは異なり再発期の発現パターンと類似していると十分判断される。
本発明で用いられる遺伝子の発現量を調べる方法は、DNAチップに限られるものではなく、定量的RT−PCR法、ノーザンブロット法等も使用できる事は明白である。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
本発明によれば、患者に過度の負担を与えることなく、信頼性の高い多発性硬化症再発の診断および予測を簡便に行なうことができる。本発明は、そのような多発性硬化症再発の診断・予測を必要とする医療分野において有用である。

Claims (7)

  1. 多発性硬化症患者の末梢血CD3+ Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、再発期特異的に変動する遺伝子の発現量を測定することで、多発性硬化症の再発を予測する方法。
  2. 多発性硬化症患者の末梢血CD3+Tリンパ球のメッセンジャーRNAから、表1に記載された遺伝子のうち、いずれか1または2以上の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 表4に記載された遺伝子のうち、いずれか1または2以上の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. シンボル名がIL6,AKT2,RIPK1,TNFRSF4,STAT2,PTEN,FADD,NFKB2,BCL2L1,PDGFB,FGF1,MMP2,TGFB2,NOS1,TSC22,IFNA8,IL1A,CD3D,IL1R1,TCF8,EGR1,NR4A2,IFI30,TLR4,FCER1G,NR4A1,TNFAIP3,GRO2,IL8,NFKB1,IL17C,NFATC2,CD163,IRF4,IKBKBの各々である遺伝子を含む遺伝子群のうち、いずれか1または2以上の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 表1に記載された遺伝子の発現プロフィールに基づき、多発性硬化症の再発を予測することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 表4に記載された遺伝子の発現プロフィールに基づき、多発性硬化症の再発を予測することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. シンボル名がIL6,AKT2,RIPK1,TNFRSF4,STAT2,PTEN,FADD,NFKB2,BCL2L1,PDGFB,FGF1,MMP2,TGFB2,NOS1,TSC22,IFNA8,IL1A,CD3D,IL1R1,TCF8,EGR1,NR4A2,IFI30,TLR4,FCER1G,NR4A1,TNFAIP3,GRO2,IL8,NFKB1,IL17C,NFATC2,CD163,IRF4,IKBKBの各々である遺伝子の発現プロフィールに基づき、多発性硬化症の再発を予測することを特徴とする請求項1に記載の方法。
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