本発明は、無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムに関する。
携帯電話のようなセルラーシステムにおいて、端末の移動に合わせて接続する基地局などを制御する移動制御は最も重要な機能の一つである。図1に3GPP(3rd Generation Partnership Project)におけるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)の概略構成を示す。図1に示すように、基地局はあくまで無線設定を行い、その上位に複数の基地局を管理するRNC(Radio Network Controller)が存在し、RNCが移動制御及び無線制御を行っている。なお、このシステムにおいては、大きく二つの移動処理の方式がある。すなわち、ハンドオーバ処理とセルリセレクション処理の二つである。
ハンドオーバ処理は、ネットワーク側(RNC)が、接続するセルを端末に指示する方式であり、端末が通信を行うなど、基地局に接続しているときに用いられる。具体的には、端末のRRC(Radio Resource Control)の状態がCELL_DCH状態で用いられる。
ハンドオーバ処理の流れとしては、RNCが現在接続している基地局を通じて、端末に対して移動を指示する。このとき、移動後に使うチャネル設定等も端末に送る。端末では、移動処理を行い、移動後、新しい基地局を通じてRNCに移動したことを報告する。
次に、セルリセレクション処理は、端末が接続するセルを選択する方式であり、端末が通信を行っていないか、通信を行っていてもあまりアクティビティがないときに用いられる。具体的には、端末のRRC状態がIdle、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態で用いられる。また、端末のRRC状態がCELL_DCH状態でも、現在接続している基地局との接続が切れてしまった場合などには、このセルリセレクションを用いて新しいセルを選択する。
セルリセレクション処理の流れとしては、端末がIdle状態の場合には、端末が報知情報を受信する基地局を変更するのみである。一方、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態の場合には、端末側で最適なセルを選択し、端末が選択したセルを管理する基地局を通じて、RNCに対してセルを変更したことを通知する。RNCは、新たなセルを管理する基地局を介して、使用するチャネル設定を端末に送信する。端末は、受け取ったチャネル設定内容でチャネル設定を行った後、完了通知を報告する。
また、現在、3GPPではUMTSの拡張としてLTE(Long Term Evolution)が検討されている。LTEでは、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態がなくなったため、セルリセレクションはIdle状態の端末か、通信を行っていたが接続が切れてしまった端末にのみ適用される。
また、従来RNCに存在した移動制御、無線制御が基地局に移る可能性がある。ここで、セルリセレクションをLTEにおいてどのように設計するかを考えてみる。Idle状態の端末に関しては、セルを移動しても端末−基地局間でメッセージのやり取りが行われるわけではないので、特に、新規に検討する要素は大きくない。ところが、通信を行っていたが接続が切れてしまった端末に対しては、端末−基地局間でメッセージのやり取りが行われるため、どのような処理を行うかを検討する必要がある。
図2に、LTEにおいて検討されているセルリセレクション処理の手順概要を示す。この図において、ステップ(以下、「ST」と省略する)11では、端末が同期外れを検出すると、適切なセルを探すセルサーチを行う。
ST12では、ST11において検出したセルを管理する基地局(ターゲット基地局)に対して、端末がセル更新要求を送信する。このとき、端末は属していたセルの情報を送信する。具体的には、セルの番号、そのセルを管理する基地局(ソース基地局)から割り当てられていた番号等である。
ST13では、ターゲット基地局が、端末から送信されたセル更新要求が本当に正しい端末から送信されたものか、その端末が以前使っていた設定、その端末の状態・能力、などを確認するために、ソース基地局との間で情報のやり取りを行う。
ST14では、ターゲット基地局が端末に対して、セル更新実施のメッセージを送信する。端末はそのメッセージにしたがって処理を行い、完了後に更新終了の応答メッセージをターゲット基地局に返す。
ST15では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイに対して、基地局が変更されたことを通知して、パスの更新を行う。
このように、LTEでは、ターゲット基地局とソース基地局との間で情報のやり取りを行うことになる。なお、図2では、基地局間に直接コネクションが張られていることを想定しており、この直接コネクションによる通信では端末の情報等を扱うため、セキュアである必要がある(ソース基地局とターゲット基地局とで暗号の為の鍵等を備える必要がある)。
ところが、ソース基地局とターゲット基地局との間で行う情報のやり取りを全て直接コネクションによって行う場合には、基地局間にコネクションを多数張る必要があり、基地局の負荷が増大するという問題がある。
そこで、図3に示すLTEにおけるシステム構成を用いて、上位のアクセスゲートウェイを介して基地局間の通信を行うことが考えられる。図4に、アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション処理の手順概要を示す。
ST21では、ソース基地局が端末との同期外れを検出し、ST22では、端末の情報をアクセスゲートウェイに通知し、アクセスゲートウェイは、端末の情報を保持する。
ST23では、端末がソース基地局との同期外れを検出し、セルサーチを行ってターゲット基地局を検出し、ST24では、ターゲット基地局に対してセル更新要求を送信する。
ST25では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイに対して、端末の情報提供を要求し、これに対してアクセスゲートウェイがターゲット基地局に対して端末の情報を提供する。
ST26では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイから提供された情報をもとに端末の確認を行い、また、今まで行っていたサービス等の情報をもとにチャネル設定を決定する。
ST27では、ターゲット基地局が端末に対してチャネル設定のセットアップを行い、端末がターゲット基地局の指示に従い、チャネル設定を行い、その結果をターゲット基地局に報告する。
ST28では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間で、データ用のコネクションをソース基地局からターゲット基地局に変更し、ST29では、アクセスゲートウェイからターゲット基地局にデータ転送を行う。
ST30では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間にデータ用のコネクションを確立し、ST31では、端末とターゲット基地局との間にRRC及びデータ用のコネクションを確立する。
ST32では、ソース基地局、ターゲット基地局及びアクセスゲートウェイのそれぞれが不要なリソース、コネクションの開放などを行う。ここでは、例えば、ソース基地局とアクセスゲートウェイとのコネクションの開放、また、ソース基地局とターゲット基地局とのコネクションの開放などである。
これにより、基地局間の直接コネクションが必要なくなるため、基地局の処理負荷を低減することができる。ところが、アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション方式においても、次のような問題がある。すなわち、隣接基地局と比較して、距離が遠いアクセスゲートウェイを常に介することになるので、セルリセレクション動作が基地局間で直接やり取りする場合に比べ、時間がかかるという問題がある。また、アクセスゲートウェイがソース基地局からの情報を保持し、ターゲット基地局の要求に応答するなど、アクセスゲートウェイの負荷が大きくなってしまう。
このように、二つの方式のそれぞれ長所、短所があり、それぞれの短所を補う方式が必要となる。そこで、この二つの方式を単純に組み合わせた方式を以下に示す。
しかしながら、上述した2つの方式を組み合わせた方式では、基地局間の直接コネクションを削減できるものの、ソース基地局は、端末がどのターゲット基地局を選ぶか分からないため、結局アクセスゲートウェイに対して端末情報を送信する必要がある。そのため、アクセスゲートウェイとしては、セルリセレクションの度に端末情報を保持する必要があり、アクセスゲートウェイの負荷を低減させることにはならない。
本発明の目的は、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減する無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムを提供することである。
本発明の無線通信基地局装置は、無線通信端末装置からセル更新要求を受信し、前記セル更新要求に基づいて、前記無線通信端末装置が自セルに属する直前に属していたセルが、自装置と直接コネクションによって接続された他の無線通信基地局装置が管理する隣接セルであるか否かを判定するセルリセレクション処理手段と、前記無線通信端末装置が直前に属していたセルが隣接セルであるか否かに応じて、上位局であるアクセスゲートウェイ又は前記隣接セルを管理する他の無線通信基地局装置に前記無線通信端末装置の情報を要求するメッセージを作成するメッセージ作成手段と、前記メッセージを送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
本発明の無線通信基地局装置は、無線通信端末装置との同期外れを検出する検出手段と、同期外れを検出してから所定時間経過するまで前記無線通信端末装置の識別情報を上位局であるアクセスゲートウェイへ送信することを保留する保留手段と、を具備する構成を採る。
本発明の無線通信端末装置は、無線通信基地局装置との同期外れを検出する検出手段と、同期外れが検出された場合、同期が外れた前記無線通信基地局装置と直接コネクションによって接続された他の無線通信基地局装置が管理する隣接セル情報に基づいて、セルサーチを行う第1セルサーチ手段と、前記第1セルサーチ手段によって前記隣接セルが検出されない場合、前記隣接セル以外のセルを対象としてセルサーチを行う第2セルサーチ手段と、検出されたセルを管理する無線通信基地局装置にセル更新要求を行う要求手段と、を具備する構成を採る。
本発明によれば、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
3GPPにおけるUMTSの概略構成を示す図
セルリセレクション処理の手順概要を示すシーケンス図
LTEにおけるシステム構成図
アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション処理の手順概要を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1及び2に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1及び2に係る端末の構成を示すブロック図
図5に示した基地局がソース基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図
図5に示した基地局がターゲット基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図
図6に示した端末の動作手順を示すフロー図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
端末確認・情報転送とセル更新設定の実施を並列処理する場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
データ転送遅延を削減するセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態2に係る端末の動作を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係るターゲット基地局の動作を示すフロー図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態では、基地局に無線制御を行う機能を備え、その上位局に認証、サービスレベル決定等の機能を備えるものとして説明する。しかしながら、実際の機能の配置はこれに限るものではなく、基地局より上位の局が無線制御機能を備えてもよいし、無線制御と認証、サービスレベル決定を行う局が同じノードであってもよい。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。この図において、無線受信部101は、端末150から送信された信号を受信し、受信した信号を受信メッセージ処理部104に転送すると共に、端末150との通信状態を管理し、通信状態を同期外れ検出部102に通知する。
同期外れ検出部102は、無線受信部101から通知された端末150との通信状態を監視し、端末150との同期が外れたことを検出する。同期外れが検出された場合には、その旨時間測定部103に通知される。なお、この同期外れの検出方法は、端末から送られてくる制御信号を受信できない場合を同期はずれとして検出することが可能であるが、特にこの方法に限るものではなく、同期外れを検出できればどのような手段を用いてもよい。
保留手段としての時間測定部103は、所定時間が設定されたタイマーを備え、同期外れ検出部102から同期外れが通知されるとタイマーをスタートさせ、所定の時間が経過すると上位送信メッセージ作成部107にメッセージ作成を指示する。これにより、端末150との同期が外れても、上位局であるアクセスゲートウェイへの報告を所定時間保留することができる。また、時間測定部103は、タイマーによって測定される時間が他基地局送信メッセージ作成部111によって読み取られる。
受信メッセージ処理部104は、無線受信部101から転送された信号を処理する。具体的には、端末150から送信されたセル更新要求が自局の管理する端末150からのセル更新要求であるか否かを判定する。セル更新要求が自局の管理する端末150から送信されたものと判定したら、その判定結果をチャネル設定内容決定部114に通知する。一方、セル更新要求が自局で管理しない端末150から送信されたものと判定したら、その判定結果をセルリセレクション処理部105に通知する。
セルリセレクション処理部105は、受信メッセージ処理部104から通知された結果、すなわち、自局で管理していない端末150からセル更新要求を受けたことにより、その端末150が直前まで存在していたセルを管理する他の基地局との間に直接コネクションが張られているかを基地局間情報管理部106に確認する。直接コネクションが張られている場合には、その旨他基地局送信メッセージ作成部111に通知し、直接コネクションが張られていない場合には、その旨上位送信メッセージ作成部107に通知する。
基地局間情報管理部106は、自局と直接コネクションによって接続されている他の基地局(隣接基地局)の情報を管理し、セルリセレクション処理部105及び端末送信メッセージ作成部115によって基地局の情報が読み出される。基地局間情報管理部106が管理する基地局の情報としては、接続先の基地局が管理しているセルID、基地局間で送受するデータの安全性を確保する暗号鍵などがある。
上位送信メッセージ作成部107は、時間測定部103からメッセージ作成の指示を受けると、端末情報管理部108から端末情報を読み出し、端末情報を含めて上位局に送信するメッセージを作成する。また、セルリセレクション処理部105から端末150のセル更新要求の通知を受けると、新たに接続する基地局(以下、「ターゲット基地局」という)及びアクセスゲートウェイ間のコネクション確立を指示するメッセージを作成する。作成されたメッセージは上位メッセージ送信部109に出力される。
端末情報管理部108は、端末ID、端末の能力、セキュリティの設定、チャネル設定等の端末情報を管理し、上位送信メッセージ作成部107、他基地局送信メッセージ作成部111、チャネル設定内容決定部114によって端末情報が読み出される。
上位メッセージ送信部109は、上位送信メッセージ作成部107から出力されたメッセージをアクセスゲートウェイとのインターフェースに合わせ、アクセスゲートウェイに送信する。
他基地局メッセージ受信部110は、他基地局から送信されたメッセージを受信し、他の基地局がセル更新要求を受けた後に、セル更新要求を送信した端末150を直前まで管理していた自局に対する端末150の確認の要求及び端末情報の転送要求(端末確認・情報転送要求)メッセージを受信し、受信した端末確認・情報転送要求メッセージを他基地局送信メッセージ作成部111に出力する。また、他基地局メッセージ受信部110は、他基地局から送信された端末確認結果をチャネル設定内容決定部114に出力する。
他基地局送信メッセージ作成部111は、セルリセレクション処理部105から端末150のセル更新要求の通知を受けると、端末確認・情報転送要求メッセージを作成する。また、他基地局メッセージ受信部110から出力された自局に対する端末確認・情報転送要求メッセージ及び時間測定部103によって測定された時間に基づいて、端末情報管理部108から該当する端末情報を読み出し、端末確認結果及び端末情報を含めてメッセージを作成する。作成されたメッセージは他基地局メッセージ送信部112に出力される。
他基地局メッセージ送信部112は、他基地局送信メッセージ作成部111から出力されたメッセージを他基地局とのインターフェースに合わせ、他基地局に送信する。
上位メッセージ受信部113は、アクセスゲートウェイから送信された信号を受信する。具体的には、セル更新要求を受けた後に、アクセスゲートウェイに送信した端末確認・情報転送要求の応答を受信する。受信した応答はチャネル設定内容決定部114に出力される。
チャネル設定内容決定部114は、受信メッセージ処理部104から通知された結果、すなわち、自局が管理する端末150からセル更新要求を受けたことにより、端末情報管理部108から該当する端末情報を読み出し、読み出した端末情報を端末送信メッセージ作成部115に出力する。また、他基地局メッセージ受信部110または上位メッセージ受信部113から出力された端末確認・情報転送要求の応答に基づいて、端末150に対して設定するチャネル内容を決定する。なお、端末150に通信を許可しない場合、コネクションの開放を決定する。決定されたチャネル内容又はコネクション開放指示は端末送信メッセージ作成部115に通知される。
端末送信メッセージ作成部115は、チャネル設定内容決定部114から通知されたチャネル内容又はコネクション開放指示を含めてメッセージを作成する。また、基地局間情報管理部106から自局と直接コネクションによって接続されている基地局の情報(隣接セル情報)を読み出し、読み出した隣接セル情報を報知する報知メッセージを作成する。作成されたメッセージは端末メッセージ送信部116に出力される。
端末メッセージ送信部116は、端末送信メッセージ作成部115から出力されたメッセージを端末150とのインターフェースに合わせ、端末150に送信する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る端末150の構成を示すブロック図である。この図において、基地局メッセージ受信部151は、基地局100から送信されたメッセージを受信し、受信したメッセージのうち、報知メッセージを報知メッセージ処理部152に出力し、個別メッセージを個別メッセージ処理部157に出力する。また、基地局メッセージ受信部151は、基地局100との通信状態を管理し、通信状態を同期外れ検出部154に通知する。
報知メッセージ処理部152は、基地局メッセージ受信部151から出力された報知メッセージを処理し、端末150に必要な情報(例えば、隣接セル情報)を報知情報管理部153に出力する。
報知情報管理部153は、報知メッセージ処理部152から出力された情報、特に、隣接セル情報を狭域セルリストとして管理し、狭域セルサーチ部155によって隣接セル情報(狭域セルリスト)が読み出される。
同期外れ検出部154は、基地局メッセージ受信部151から通知された基地局100との通信状態を監視し、基地局100との同期が外れたことを検出する。同期外れが検出された場合には、その旨狭域セルサーチ部155に通知される。なお、この同期外れの検出方法は、基地局から送られてくる制御信号、リファレンス信号を受信できない場合を同期外れとして検出することが可能であるが、特にこの方法に限るものではなく、同期外れを検出できればどのような手段を用いてもよい。
狭域セルサーチ部155は、同期外れ検出部154から同期外れが通知されると、報知情報管理部153から隣接セル情報を読み出し、隣接セル情報に基づいて、隣接セルのセルサーチ(狭域セルサーチ)を行う。この狭域セルサーチの結果、セルが検出できた場合には検出したセルを基地局送信メッセージ作成部159に通知し、セルが検出できなかった場合にはその旨広域セルサーチ部156に通知する。
広域セルサーチ部156は、狭域セルサーチ部155から隣接セルが検出されなかった通知を受け、セルサーチの範囲を広げてセルサーチ(広域セルサーチ)を行う。この広域セルサーチの結果、検出したセルを基地局送信メッセージ作成部159に通知する。
個別メッセージ処理部157は、基地局メッセージ受信部151から出力された個別メッセージを処理する。具体的には、ターゲット基地局から送信されたチャネル設定のメッセージを処理し、端末150が設定するチャネル構成を決定する。決定されたチャネル構成はチャネル設定部158に通知される。
チャネル設定部158は、個別メッセージ処理部157から通知されたチャネル構成にしたがって、チャネル設定を行い、チャネル設定の結果を基地局送信メッセージ作成部159に通知する。ここで、チャネル設定の結果としては、チャネル設定の成功(チャネル設定のパラメータ等を含む場合もある)又は失敗(失敗した理由などを含む場合もある)などがある。
基地局送信メッセージ作成部159は、狭域セルサーチ部155又は広域セルサーチ部156から通知された検出セルに対して、新たに接続するためのセル更新メッセージを作成する。また、チャネル設定部158から通知されたチャネル設定の結果を示す応答メッセージを作成する。作成されたメッセージは基地局メッセージ送信部160に出力される。
基地局メッセージ送信部160は、基地局送信メッセージ作成部159から出力されたメッセージを基地局100とのインターフェースに合わせて、基地局100に送信する。なお、基地局送信メッセージ作成部159及び基地局メッセージ送信部160はセル更新要求を行う要求手段として機能する。
図7は、図5に示した基地局100がソース基地局(接続元の基地局)として機能する場合の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST201では、同期外れ検出部102が端末150との同期外れを検出し、ST202では、同期外れの検出をトリガーとして時間測定部103がタイマーをスタートさせる。
ST203では、他基地局メッセージ受信部110が他基地局から端末確認・情報転送要求があるか否かを確認し、当該要求がある(YES)場合にはST206に移行し、当該要求がない(NO)場合にはST204に移行する。
ST204では、他基地局送信メッセージ作成部111が時間測定部103に対してタイマーが満了したか否かを確認し、タイマーが満了している(YES)場合にはST205に移行し、タイマーが満了していない(NO)場合にはST203に戻る。
ST205では、上位送信メッセージ作成部107がアクセスゲートウェイに対して端末情報を含めてメッセージを作成し、上位メッセージ送信部109を介してアクセスゲートウェイにメッセージを送信する。
ST206では、他基地局メッセージ作成部111が時間測定部103に対してタイマーを停止させ、ST207では、他基地局送信メッセージ作成部111が端末確認・情報転送要求に対する応答メッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112を介して他基地局にメッセージを送信する。
このように、ソース基地局が上位のアクセスゲートウェイに対して端末情報を通知するのがタイマーの満了後となり、タイマーの満了前に他基地局から端末確認・情報転送要求を受けた場合には、アクセスゲートウェイに対して端末情報の通知を行わないことになる。ここで、ソース基地局に設定されたタイマーと、端末150における狭域セルサーチに要する時間とを関連付けることにより、端末150の隣接セルへの移動に際して、アクセスゲートウェイを介さずにセルリセレクションを実現することができる。
図8は、図5に示した基地局100がターゲット基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST251では、受信メッセージ処理部104がセル更新要求を受信し、ST252では、セルリセレクション処理部105が基地局間情報管理部106を参照し、ソース基地局と直接コネクションがあるか否かを判定する。直接コネクションがある(YES)場合にはST253に移行し、直接コネクションがない(NO)場合にはST255に移行する。
ST253では、他基地局送信メッセージ作成部111が他基地局に端末確認・情報転送要求メッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112が直接コネクションを用いて他基地局に送信する。
ST254では、他基地局メッセージ受信部110が他基地局から応答があるか否かを確認し、応答がある場合にはST257に移行し、応答がない場合にはST254に戻り、応答があるまで確認を続ける。
ST255では、上位送信メッセージ作成部107が上位のアクセスゲートウェイに端末確認・情報転送要求メッセージを作成し、上位メッセージ送信部109を介してアクセスゲートウェイに送信する。
ST256では、上位メッセージ受信部113がアクセスゲートウェイから応答があるか否かを確認し、応答がある(YES)場合にはST257に移行し、応答がない(NO)場合にはST256に戻り、応答があるまで確認を続ける。
ST257では、チャネル設定内容決定部114が他基地局からの応答又はアクセスゲートウェイからの応答に応じて、端末150に対するチャネル設定内容を決定する。
このように、ターゲット基地局は、ソース基地局との間に直接コネクションが張られている場合には、直接コネクションを用いて通信を行うことにより、アクセスゲートウェイを介さずに済むため、アクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
図9は、図6に示した端末150の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST301では、同期外れ検出部154が基地局100との同期外れを検出し、ST302では、狭域セルサーチ部155が狭域セルサーチを行った時間が所定時間内であるか否かを判定し、所定時間内(YES)であればST303に移行し、所定時間外(NO)、すなわち所定時間を超えていればST306に移行する。
ST303では、狭域セルサーチ部155が報知情報管理部153から隣接セル情報、すなわち、狭域セルリストを読み出し、狭域セルリストを用いてセルサーチを行い、ST304において、セルを検出できたか否かを判定する。セルが検出されたら(YES)ST305に移行し、セルが検出されなければ(NO)ST302に戻る。
ST305では、基地局送信メッセージ作成部159が検出されたセルに対してセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して基地局100に送信する。
ST306では、広域セルサーチ部156が広域セルサーチを行った時間が所定時間内であるか否かを判定し、所定時間内(YES)であればST307に移行し、所定時間外(NO)であればST309に移行する。
ST307では、広域セルサーチ部156が広域セルサーチ、すなわち、隣接セル以外のセルに対するセルサーチを行い、ST308において、セルを検出できたか否かを判定する。セルが検出されたらST305に移行し、セルが検出されなければST306に戻る。
ST309では、端末150がIdle状態に遷移する。
このように、端末150は隣接セルのセルサーチを最初に行い、隣接セルが検出されない場合に隣接セル以外のセルに対するセルサーチを行うというようにセルサーチを段階的に行うことにより、直接コネクションが張られた隣接セルを短時間で検出することができる。
次に、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムにおけるセルリセレクション処理の手順について図を用いて説明する。ここでは、アクセスゲートウェイと基地局(ソース基地局及びターゲット基地局)100とは常にセキュアな直接コネクションが存在し、隣接基地局間にも常にセキュアな直接コネクションが存在するものとする。また、基地局100は、隣接する基地局配下にどのようなセルが存在するかを示す情報を有しているものとする。さらに、端末150はソース基地局と通信しており、アクセスゲートウェイとソース基地局とはデータ用のコネクションが確立されているものとする。
図10は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図10において、ST401では、ソース基地局が端末150との同期外れを検出し、ST402では、端末150がソース基地局との同期外れを検出し、ST403においてセルサーチを行って所定時間内に隣接セルをターゲット基地局として検出する。
ST404では、ST403において検出された隣接セルの基地局をターゲット基地局として、端末150がターゲット基地局に対してセル更新要求を送信し、ST405では、ST404におけるセル更新要求により、ターゲット基地局がソース基地局との間に直接コネクションが存在することを認識し、ターゲット基地局からソース基地局に対して直接コネクションを用いて端末確認・情報転送要求を行う。ソース基地局はターゲット基地局からの要求に対して情報転送を行う。
ST406では、ターゲット基地局がソース基地局から提供された情報をもとに端末150の確認を行い、また、今まで行っていたサービス等の情報をもとにチャネル設定を決定する。
ST407では、ターゲット基地局が端末150に対してチャネル設定のセットアップを行い、端末150がターゲット基地局の指示に従い、チャネル設定を行い、その結果をターゲット基地局に報告する。
ST408では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間で、データ用のコネクションをソース基地局からターゲット基地局に変更し、ST409では、アクセスゲートウェイからターゲット基地局にデータ転送を行う。
ST410では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間にデータ用のコネクションを確立し、ST411では、端末150とターゲット基地局との間にRRC及びデータ用のコネクションを確立する。
ST412では、ソース基地局、ターゲット基地局及びアクセスゲートウェイのそれぞれが不要なリソース、コネクションの開放などを行う。ここでは、例えば、ソース基地局とアクセスゲートウェイとのコネクションの開放、また、ソース基地局とターゲット基地局とのコネクションの開放などである。
図11は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。ただし、図11が図10と共通する部分には、図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11において、ST451では、ソース基地局がST401において端末150との同期外れを検出してから所定時間内に端末確認・情報転送要求を受信しなかったことを受け、ST452では、ソース基地局からアクセスゲートウェイに端末情報を送信する。
ST453では、端末150が所定時間内に隣接セルを検出することができず、ST404では、端末150からターゲット基地局にセル更新要求を送信する。
ST454では、ST404におけるセル更新要求により、ターゲット基地局がソース基地局との間に直接コネクションが存在しないことを認識し、ターゲット基地局からアクセスゲートウェイに対して端末確認・情報転送要求を行う。アクセスゲートウェイはターゲット基地局からの要求に対して情報転送を行う。
このように実施の形態1によれば、端末とソース基地局との同期外れが検出されると、端末では、ソース基地局と直接コネクションによって接続された隣接基地局を対象とする狭域セルサーチを行い、隣接基地局が検出されない場合には、隣接基地局以外を対象とする広域セルサーチを行い、検出された基地局をターゲット基地局としてセル更新要求を行い、ソース基地局では、端末における狭域セルサーチに要する時間が考慮されたタイマーが満了してからアクセスゲートウェイに端末情報を送信し、セル更新要求を受けたターゲット基地局では、ソース基地局と直接コネクションがあるか否かに応じて、ソース基地局又はアクセスゲートウェイから端末確認及び端末情報を取得することにより、端末の確認及び端末情報の転送に要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
なお、本実施の形態では、狭域セルサーチと広域セルサーチの2段階のセルサーチを行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、広域セルサーチを他段階に分けてセルサーチを行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、狭域セルサーチを行う単位を所定時間として説明したが、本発明はこれに限らず、狭域セルサーチを行う時間を所定回数として規定してもよい。また、この場合にはソース基地局側では一回のセルサーチにかかる時間と所定回数により、所定時間を計算することになる。ここで、所定回数又は所定時間は、デフォルトで決めておいてもよいし、基地局から報知情報によって通知してもよいし、個別情報によって通知してもよい。さらに、これらの3つの方法を適宜組み合わせてもよい。
また、本実施の形態では、直接コネクションによって接続された基地局間の端末情報の転送は、端末からのセル更新要求を受信してから開始するものとして説明したが、直接コネクションによって接続された基地局数が少なければ、ソース基地局は直接コネクションによって接続された全ての基地局に対して、端末情報を予め報知してもよい。これについて図5を用いて説明すると、同期外れ検出部102が端末との同期外れを検出すると、その検出結果を図示せぬ信号線を介して他基地局送信メッセージ作成部111に出力し、他基地局送信メッセージ作成部111が直接コネクションによって接続された基地局に送信する端末情報を含むメッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112を介して送信することになる。
これにより、直接コネクションによって接続されたターゲット基地局が端末からセル更新要求を受けた場合、予め報知された端末情報を利用することができるので、セルリセレクション処理を短時間で終了することができる。なお、端末情報を受信した基地局は、端末が狭域セルサーチに要する時間が経過したら、端末情報を破棄することが考えられる。
また、本実施の形態では、ターゲット基地局での“セル更新設定の実施”を“端末確認・情報転送”の後に行うものとして説明したが、図12に記載のように、“セル更新設定の実施”と“端末確認・情報転送”とを並列処理することも可能である。すなわち、必要な無線リソース・ネットワークリソースの情報をセル更新要求に含め、ターゲット基地局ではその情報をソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答を待たずに設定できる。各端末に対して固定のリソースを割り当てる方式では、無線リソースに無駄が発生することになるが、この方法では、LTEにおいて検討されているシェアードチャネルを用いた方式(複数の端末が共通のリソースをシェアする方式)において、この時点ではあくまで無線リソースをあまり使用しない制御チャネルのみを設定するため、無線リソースの無駄を最小限に抑えられる。その後、ソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答後に実際の通信が開始されることになる。これにより、通信をより早く開始することが可能となる。また、この端末が、不正な端末である場合には、ソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答後に開放処理が行われることになる。
また、本実施の形態では、端末からの信号を受信できないことなどを利用して端末との同期が外れたことを基地局自身が検知するものとして説明したが、基地局が端末に対して、自セルに属するかを確認するためページングを行い、その応答の有無によって端末との同期外れを検出するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図13に示すように、ST454において、ターゲット基地局が端末確認・情報転送要求メッセージにターゲット基地局及びアクセスゲートウェイ間のデータ用コネクション確立の指示を含めてアクセスゲートウェイに送信してもよい。これにより、ST501において、アクセスゲートウェイからターゲット基地局へのデータ転送が可能となり、データ転送の遅延を低減することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態2に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る端末の動作を示すフロー図である。ただし、図14が図9と共通する部分には、図9と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図14において、ST601では、狭域セルサーチによって検出されたセルに対して、基地局送信メッセージ作成部159がソース基地局の情報及びソース基地局が管理していた端末IDを含めてセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して送信する。
ST602では、広域セルサーチによって検出されたセルに対して、基地局送信メッセージ作成部159がアクセスゲートウェイの情報及びアクセスゲートウェイが管理していた端末IDを含めてセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して送信する。
図15は、本発明の実施の形態2に係るターゲット基地局の動作を示すフロー図である。ただし、図15が図8と共通する部分には、図8と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図15において、ST651では、セルリセレクション処理部105がセル更新要求に他セルのIDが含まれているか否かを確認し、他セルのIDが含まれている(YES)場合にはST253に移行し、他セルのIDが含まれていない(NO)、すなわち、アクセスゲートウェイのIDが含まれている場合にはST255に移行する。
このように実施の形態2によれば、セルサーチによって検出されたセルが狭域セル(隣接セル)か広域セル(隣接セル以外のセル)かに応じて、セル更新要求に含める情報を変えることにより、ターゲット基地局はセル更新要求に応じて、端末確認・情報転送要求先を決定することができる。また、端末は送信するメッセージのサイズを削減することができ、ターゲット基地局はソース基地局と直接コネクションによって接続されているかを確認することなく、端末から送信されたセル更新要求によって認識することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、実施の形態1において説明したシステムに、RFC4068 Fast Handover for Mobile IPv6(FM IPv6)のReactive Fast Handoverを適用する場合について説明する。
なお、本発明の実施の形態3に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態3に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。ただし、以下の説明において、端末はRFC4068におけるMN(Mobile Node)の機能を備え、ソース基地局はRFC4068におけるPAR(Previous Access Router)の機能を備え、ターゲット基地局はRC4068におけるNAR(New Access Router)の機能を備え、アクセスゲートウェイはRFC3775におけるHA(Home Agent)の機能を備えるものとする。
図16は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図16において、図10と共通する部分には図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST701では、端末がRtSolPr(Router Solicitation for Proxy Advertisement)を検出し、RtSolPrが検出されたセルのターゲット基地局にRtSolPrを送信する。RtSolPrには端末が検出したセルID(1つ以上のAP−ID)が含まれる。
ST702では、ターゲット基地局が端末から送信されたRtSolPrからAP−IDを抽出し、抽出したAP−IDにより示されるターゲット基地局のPrefixをPrRtAdv(Proxy Router Advertisement)に設定し、端末に送信する。
ST703では、端末がターゲット基地局から送信されたPrRtAdvに設定されたPrefixからターゲット基地局において利用するための新しい気付けIPアドレスの候補(Proposed New Care of Address: Proposed NCoA)を作成し、作成したProposed NCoAとソース基地局において直前まで利用していた気付けIPアドレス(Previous Care of Address: PCoA)とを含むFBU(Fast Binding Update)を作成する。そして、端末は、作成したFBUと端末のレイヤ2アドレスとを含むFNA(Fast Neighbor Advertisement)を作成し、ターゲット基地局に送信する。なお、ST701〜ST703は図10におけるST404に相当する。
ST704では、ターゲット基地局が端末から送信されたFNAからFBUを抽出し、抽出したFBUに含まれるProposed NCoAの検証を行い、問題がない場合にProposed NCoAを、問題がある場合には別の値を選択して最終的に端末が利用するNCoAを作成する。そして、ターゲット基地局は、PCoAと作成したNCoAとをFBUに設定してソース基地局に送信する。
ST705では、ソース基地局がターゲット基地局から送信されたFBUに設定されたPCoAとNCoAとを用いて、PCoA宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、FBUの受信確認としてFBackをターゲット基地局に送信する。なお、ST704及びST705は図10におけるST405に相当する。
以上により、ST706では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがソース基地局、ターゲット基地局を順に経由して端末に転送される。
ST707では、端末が新しい気付けIPアドレスと自身のホームアドレス(Home Address)とを含むBU(Binding Update)を作成し、アクセスゲートウェイに送信する。ST707は図10におけるST408に相当する。
ST708では、端末から送信されたBUに基づいて、アクセスゲートウェイから送信されるデータがターゲット基地局から直接端末に転送される。
図17は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。図17において、図16と共通する部分には図16と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST751では、ソース基地局がPCoAをFBUS(Fast Binding Update Store)に設定して、アクセスゲートウェイに送信する。
ST752では、ターゲット基地局が端末から送信されたFNAからFBUを抽出し、抽出したFBUに含まれるProposed NCoAの検証を行い、問題がない場合にProposed NCoAを、問題がある場合には別の値を選択して最終的に端末が利用するNCoAを作成する。そして、ターゲット基地局は、PCoAと作成したNCoAとをFBUに設定してアクセスゲートウェイに送信する。
ST753では、ST751においてソース基地局から送信されたFBUSに設定されたPCoAと、ST752においてターゲット基地局から送信されたFBUに設定されたPCoAとをアクセスゲートウェイが比較して、これらが一致すれば、ソース基地局からターゲット基地局への直接コネクションが存在しないので、アクセスゲートウェイはPCoA宛のパケットをNCoA宛に転送する処理を行う。そして、アクセスゲートウェイは、FBUの受信確認としてFBackを作成し、ターゲット基地局に送信する。なお、ST752及びST753は図11におけるST454に相当する。
ST754では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがターゲット基地局を経由して端末に転送される。
このように実施の形態3によれば、FM IPv6を用いた場合でも、端末における狭域セルサーチに要する時間(所定時間)内に端末が隣接セルを検出した場合には、隣接する基地局(ターゲット基地局)とソース基地局との直接コネクションを用いてパケット転送処理を行い、所定時間内に端末がセルを検出できなかった場合には、アクセスゲートウェイを介したパケット転送処理を行うことにより、セルリセレクションに要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、実施の形態1において説明したシステムに、3GPP SRJ-050061 local mobility for 3GPP System Architecture EvolutionのProxy Mobile IPv6(PM IPv6)、またはIETFのnetlmmグループにおいて検討されているNetwork-based Localized Mobility Managementを適用する場合について説明する。
なお、本発明の実施の形態4に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態4に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。
図18は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図18において、図10と共通する部分には図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST801では、ターゲット基地局が端末からセル更新要求を受信すると、ターゲット基地局のPrefixから、ターゲット基地局において利用するためのNCoAを作成し、作成したNCoAと端末のホームアドレスとをPBUに設定して、ソース基地局に送信する。
ST802では、ソース基地局がターゲット基地局から送信されたPUBに設定されているホームアドレスから、端末宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、PBUの受信確認としてPBackを作成して、ターゲット基地局に送信する。なお、ST801及びST802は図10におけるST405に相当する。
ST803では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがソース基地局、ターゲット基地局を順に経由して端末に転送される。
ST804では、ターゲット基地局が新しい気付けIPアドレスと自身のホームアドレスとを含むPBUを作成し、アクセスゲートウェイに送信する。ST804は図10におけるST408に相当する。
ST805では、端末から送信されたBUに基づいて、アクセスゲートウェイから送信されるデータがターゲット基地局から直接端末に転送される。
図19は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。図19において、図18と共通する部分には図18と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST851では、ソース基地局がホームアドレスをPBUS(Proxy Binding Update Store)に設定して、アクセスゲートウェイに送信する。ST851は図11におけるST452に相当する。
ST852では、ターゲット基地局が端末からセル更新要求を受信すると、ターゲット基地局のPrefixから、ターゲット基地局において利用するためのNCoAを作成し、作成したNCoAと端末のホームアドレスとをPBUに設定して、アクセスゲートウェイに送信する。
ST853では、ソース基地局からターゲット基地局への直接コネクションが存在しないので、アクセスゲートウェイがターゲット基地局から送信されたPUBに設定されているホームアドレスから、端末宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、PBUの受信確認としてPBackを作成して、ターゲット基地局に送信する。なお、ST852及びST853は図10におけるST405に相当する。
このように実施の形態4によれば、PM IPv6を用いた場合でも、端末における狭域セルサーチに要する時間(所定時間)内に端末が隣接セルを検出した場合には、隣接する基地局(ターゲット基地局)とソース基地局との直接コネクションを用いてパケット転送処理を行い、所定時間内に端末がセルを検出できなかった場合には、アクセスゲートウェイを介したパケット転送処理を行うことにより、セルリセレクションに要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
以上、実施の形態について説明した。
上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
2006年2月8日出願の特願2006−031588の日本出願及び2006年4月18日出願の特願2006−114950に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明にかかる無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムは、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができ、移動通信システム等に適用できる。
本発明は、無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムに関する。
携帯電話のようなセルラーシステムにおいて、端末の移動に合わせて接続する基地局などを制御する移動制御は最も重要な機能の一つである。図1に3GPP(3rd Generation
Partnership Project)におけるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)の概略構成を示す。図1に示すように、基地局はあくまで無線設定を行い、その上位に複数の基地局を管理するRNC(Radio Network Controller)が存在し、RNCが移動制御及び無線制御を行っている。なお、このシステムにおいては、大きく二つの移動処理の方式がある。すなわち、ハンドオーバ処理とセルリセレクション処理の二つである。
ハンドオーバ処理は、ネットワーク側(RNC)が、接続するセルを端末に指示する方式であり、端末が通信を行うなど、基地局に接続しているときに用いられる。具体的には、端末のRRC(Radio Resource Control)の状態がCELL_DCH状態で用いられる。
ハンドオーバ処理の流れとしては、RNCが現在接続している基地局を通じて、端末に対して移動を指示する。このとき、移動後に使うチャネル設定等も端末に送る。端末では、移動処理を行い、移動後、新しい基地局を通じてRNCに移動したことを報告する。
次に、セルリセレクション処理は、端末が接続するセルを選択する方式であり、端末が通信を行っていないか、通信を行っていてもあまりアクティビティがないときに用いられる。具体的には、端末のRRC状態がIdle、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態で用いられる。また、端末のRRC状態がCELL_DCH状態でも、現在接続している基地局との接続が切れてしまった場合などには、このセルリセレクションを用いて新しいセルを選択する。
セルリセレクション処理の流れとしては、端末がIdle状態の場合には、端末が報知情報を受信する基地局を変更するのみである。一方、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態の場合には、端末側で最適なセルを選択し、端末が選択したセルを管理する基地局を通じて、RNCに対してセルを変更したことを通知する。RNCは、新たなセルを管理する基地局を介して、使用するチャネル設定を端末に送信する。端末は、受け取ったチャネル設定内容でチャネル設定を行った後、完了通知を報告する。
また、現在、3GPPではUMTSの拡張としてLTE(Long Term Evolution)が検討されている。LTEでは、CELL/URA_PCH、CELL_FACHの状態がなくなったため、セルリセレクションはIdle状態の端末か、通信を行っていたが接続が切れてしまった端末にのみ適用される。
また、従来RNCに存在した移動制御、無線制御が基地局に移る可能性がある。ここで、セルリセレクションをLTEにおいてどのように設計するかを考えてみる。Idle状態の端末に関しては、セルを移動しても端末−基地局間でメッセージのやり取りが行われるわけではないので、特に、新規に検討する要素は大きくない。ところが、通信を行っていたが接続が切れてしまった端末に対しては、端末−基地局間でメッセージのやり取りが行われるため、どのような処理を行うかを検討する必要がある。
図2に、LTEにおいて検討されているセルリセレクション処理の手順概要を示す。この図において、ステップ(以下、「ST」と省略する)11では、端末が同期外れを検出すると、適切なセルを探すセルサーチを行う。
ST12では、ST11において検出したセルを管理する基地局(ターゲット基地局)に対して、端末がセル更新要求を送信する。このとき、端末は属していたセルの情報を送信する。具体的には、セルの番号、そのセルを管理する基地局(ソース基地局)から割り当てられていた番号等である。
ST13では、ターゲット基地局が、端末から送信されたセル更新要求が本当に正しい端末から送信されたものか、その端末が以前使っていた設定、その端末の状態・能力、などを確認するために、ソース基地局との間で情報のやり取りを行う。
ST14では、ターゲット基地局が端末に対して、セル更新実施のメッセージを送信する。端末はそのメッセージにしたがって処理を行い、完了後に更新終了の応答メッセージをターゲット基地局に返す。
ST15では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイに対して、基地局が変更されたことを通知して、パスの更新を行う。
このように、LTEでは、ターゲット基地局とソース基地局との間で情報のやり取りを行うことになる。なお、図2では、基地局間に直接コネクションが張られていることを想定しており、この直接コネクションによる通信では端末の情報等を扱うため、セキュアである必要がある(ソース基地局とターゲット基地局とで暗号の為の鍵等を備える必要がある)。
ところが、ソース基地局とターゲット基地局との間で行う情報のやり取りを全て直接コネクションによって行う場合には、基地局間にコネクションを多数張る必要があり、基地局の負荷が増大するという問題がある。
そこで、図3に示すLTEにおけるシステム構成を用いて、上位のアクセスゲートウェイを介して基地局間の通信を行うことが考えられる。図4に、アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション処理の手順概要を示す。
ST21では、ソース基地局が端末との同期外れを検出し、ST22では、端末の情報をアクセスゲートウェイに通知し、アクセスゲートウェイは、端末の情報を保持する。
ST23では、端末がソース基地局との同期外れを検出し、セルサーチを行ってターゲット基地局を検出し、ST24では、ターゲット基地局に対してセル更新要求を送信する。
ST25では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイに対して、端末の情報提供を要求し、これに対してアクセスゲートウェイがターゲット基地局に対して端末の情報を提供する。
ST26では、ターゲット基地局がアクセスゲートウェイから提供された情報をもとに端末の確認を行い、また、今まで行っていたサービス等の情報をもとにチャネル設定を決定する。
ST27では、ターゲット基地局が端末に対してチャネル設定のセットアップを行い、
端末がターゲット基地局の指示に従い、チャネル設定を行い、その結果をターゲット基地局に報告する。
ST28では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間で、データ用のコネクションをソース基地局からターゲット基地局に変更し、ST29では、アクセスゲートウェイからターゲット基地局にデータ転送を行う。
ST30では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間にデータ用のコネクションを確立し、ST31では、端末とターゲット基地局との間にRRC及びデータ用のコネクションを確立する。
ST32では、ソース基地局、ターゲット基地局及びアクセスゲートウェイのそれぞれが不要なリソース、コネクションの開放などを行う。ここでは、例えば、ソース基地局とアクセスゲートウェイとのコネクションの開放、また、ソース基地局とターゲット基地局とのコネクションの開放などである。
これにより、基地局間の直接コネクションが必要なくなるため、基地局の処理負荷を低減することができる。ところが、アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション方式においても、次のような問題がある。すなわち、隣接基地局と比較して、距離が遠いアクセスゲートウェイを常に介することになるので、セルリセレクション動作が基地局間で直接やり取りする場合に比べ、時間がかかるという問題がある。また、アクセスゲートウェイがソース基地局からの情報を保持し、ターゲット基地局の要求に応答するなど、アクセスゲートウェイの負荷が大きくなってしまう。
このように、二つの方式のそれぞれ長所、短所があり、それぞれの短所を補う方式が必要となる。そこで、この二つの方式を単純に組み合わせた方式を以下に示す。
しかしながら、上述した2つの方式を組み合わせた方式では、基地局間の直接コネクションを削減できるものの、ソース基地局は、端末がどのターゲット基地局を選ぶか分からないため、結局アクセスゲートウェイに対して端末情報を送信する必要がある。そのため、アクセスゲートウェイとしては、セルリセレクションの度に端末情報を保持する必要があり、アクセスゲートウェイの負荷を低減させることにはならない。
本発明の目的は、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減する無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムを提供することである。
本発明の無線通信基地局装置は、無線通信端末装置からセル更新要求を受信し、前記セル更新要求に基づいて、前記無線通信端末装置が自セルに属する直前に属していたセルが、自装置と直接コネクションによって接続された他の無線通信基地局装置が管理する隣接セルであるか否かを判定するセルリセレクション処理手段と、前記無線通信端末装置が直
前に属していたセルが隣接セルであるか否かに応じて、上位局であるアクセスゲートウェイ又は前記隣接セルを管理する他の無線通信基地局装置に前記無線通信端末装置の情報を要求するメッセージを作成するメッセージ作成手段と、前記メッセージを送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
本発明の無線通信基地局装置は、無線通信端末装置との同期外れを検出する検出手段と、同期外れを検出してから所定時間経過するまで前記無線通信端末装置の識別情報を上位局であるアクセスゲートウェイへ送信することを保留する保留手段と、を具備する構成を採る。
本発明の無線通信端末装置は、無線通信基地局装置との同期外れを検出する検出手段と、同期外れが検出された場合、同期が外れた前記無線通信基地局装置と直接コネクションによって接続された他の無線通信基地局装置が管理する隣接セル情報に基づいて、セルサーチを行う第1セルサーチ手段と、前記第1セルサーチ手段によって前記隣接セルが検出されない場合、前記隣接セル以外のセルを対象としてセルサーチを行う第2セルサーチ手段と、検出されたセルを管理する無線通信基地局装置にセル更新要求を行う要求手段と、を具備する構成を採る。
本発明によれば、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態では、基地局に無線制御を行う機能を備え、その上位局に認証、サービスレベル決定等の機能を備えるものとして説明する。しかしながら、実際の機能の配置はこれに限るものではなく、基地局より上位の局が無線制御機能を備えてもよいし、無線制御と認証、サービスレベル決定を行う局が同じノードであってもよい。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。この図において、無線受信部101は、端末150から送信された信号を受信し、受信した信号を受信メッセージ処理部104に転送すると共に、端末150との通信状態を管理し、通信状態を同期外れ検出部102に通知する。
同期外れ検出部102は、無線受信部101から通知された端末150との通信状態を監視し、端末150との同期が外れたことを検出する。同期外れが検出された場合には、その旨時間測定部103に通知される。なお、この同期外れの検出方法は、端末から送られてくる制御信号を受信できない場合を同期はずれとして検出することが可能であるが、特にこの方法に限るものではなく、同期外れを検出できればどのような手段を用いてもよい。
保留手段としての時間測定部103は、所定時間が設定されたタイマーを備え、同期外れ検出部102から同期外れが通知されるとタイマーをスタートさせ、所定の時間が経過すると上位送信メッセージ作成部107にメッセージ作成を指示する。これにより、端末150との同期が外れても、上位局であるアクセスゲートウェイへの報告を所定時間保留することができる。また、時間測定部103は、タイマーによって測定される時間が他基地局送信メッセージ作成部111によって読み取られる。
受信メッセージ処理部104は、無線受信部101から転送された信号を処理する。具体的には、端末150から送信されたセル更新要求が自局の管理する端末150からのセル更新要求であるか否かを判定する。セル更新要求が自局の管理する端末150から送信されたものと判定したら、その判定結果をチャネル設定内容決定部114に通知する。一方、セル更新要求が自局で管理しない端末150から送信されたものと判定したら、その判定結果をセルリセレクション処理部105に通知する。
セルリセレクション処理部105は、受信メッセージ処理部104から通知された結果、すなわち、自局で管理していない端末150からセル更新要求を受けたことにより、その端末150が直前まで存在していたセルを管理する他の基地局との間に直接コネクションが張られているかを基地局間情報管理部106に確認する。直接コネクションが張られている場合には、その旨他基地局送信メッセージ作成部111に通知し、直接コネクションが張られていない場合には、その旨上位送信メッセージ作成部107に通知する。
基地局間情報管理部106は、自局と直接コネクションによって接続されている他の基地局(隣接基地局)の情報を管理し、セルリセレクション処理部105及び端末送信メッセージ作成部115によって基地局の情報が読み出される。基地局間情報管理部106が管理する基地局の情報としては、接続先の基地局が管理しているセルID、基地局間で送受するデータの安全性を確保する暗号鍵などがある。
上位送信メッセージ作成部107は、時間測定部103からメッセージ作成の指示を受けると、端末情報管理部108から端末情報を読み出し、端末情報を含めて上位局に送信するメッセージを作成する。また、セルリセレクション処理部105から端末150のセ
ル更新要求の通知を受けると、新たに接続する基地局(以下、「ターゲット基地局」という)及びアクセスゲートウェイ間のコネクション確立を指示するメッセージを作成する。作成されたメッセージは上位メッセージ送信部109に出力される。
端末情報管理部108は、端末ID、端末の能力、セキュリティの設定、チャネル設定等の端末情報を管理し、上位送信メッセージ作成部107、他基地局送信メッセージ作成部111、チャネル設定内容決定部114によって端末情報が読み出される。
上位メッセージ送信部109は、上位送信メッセージ作成部107から出力されたメッセージをアクセスゲートウェイとのインターフェースに合わせ、アクセスゲートウェイに送信する。
他基地局メッセージ受信部110は、他基地局から送信されたメッセージを受信し、他の基地局がセル更新要求を受けた後に、セル更新要求を送信した端末150を直前まで管理していた自局に対する端末150の確認の要求及び端末情報の転送要求(端末確認・情報転送要求)メッセージを受信し、受信した端末確認・情報転送要求メッセージを他基地局送信メッセージ作成部111に出力する。また、他基地局メッセージ受信部110は、他基地局から送信された端末確認結果をチャネル設定内容決定部114に出力する。
他基地局送信メッセージ作成部111は、セルリセレクション処理部105から端末150のセル更新要求の通知を受けると、端末確認・情報転送要求メッセージを作成する。また、他基地局メッセージ受信部110から出力された自局に対する端末確認・情報転送要求メッセージ及び時間測定部103によって測定された時間に基づいて、端末情報管理部108から該当する端末情報を読み出し、端末確認結果及び端末情報を含めてメッセージを作成する。作成されたメッセージは他基地局メッセージ送信部112に出力される。
他基地局メッセージ送信部112は、他基地局送信メッセージ作成部111から出力されたメッセージを他基地局とのインターフェースに合わせ、他基地局に送信する。
上位メッセージ受信部113は、アクセスゲートウェイから送信された信号を受信する。具体的には、セル更新要求を受けた後に、アクセスゲートウェイに送信した端末確認・情報転送要求の応答を受信する。受信した応答はチャネル設定内容決定部114に出力される。
チャネル設定内容決定部114は、受信メッセージ処理部104から通知された結果、すなわち、自局が管理する端末150からセル更新要求を受けたことにより、端末情報管理部108から該当する端末情報を読み出し、読み出した端末情報を端末送信メッセージ作成部115に出力する。また、他基地局メッセージ受信部110または上位メッセージ受信部113から出力された端末確認・情報転送要求の応答に基づいて、端末150に対して設定するチャネル内容を決定する。なお、端末150に通信を許可しない場合、コネクションの開放を決定する。決定されたチャネル内容又はコネクション開放指示は端末送信メッセージ作成部115に通知される。
端末送信メッセージ作成部115は、チャネル設定内容決定部114から通知されたチャネル内容又はコネクション開放指示を含めてメッセージを作成する。また、基地局間情報管理部106から自局と直接コネクションによって接続されている基地局の情報(隣接セル情報)を読み出し、読み出した隣接セル情報を報知する報知メッセージを作成する。作成されたメッセージは端末メッセージ送信部116に出力される。
端末メッセージ送信部116は、端末送信メッセージ作成部115から出力されたメッ
セージを端末150とのインターフェースに合わせ、端末150に送信する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る端末150の構成を示すブロック図である。この図において、基地局メッセージ受信部151は、基地局100から送信されたメッセージを受信し、受信したメッセージのうち、報知メッセージを報知メッセージ処理部152に出力し、個別メッセージを個別メッセージ処理部157に出力する。また、基地局メッセージ受信部151は、基地局100との通信状態を管理し、通信状態を同期外れ検出部154に通知する。
報知メッセージ処理部152は、基地局メッセージ受信部151から出力された報知メッセージを処理し、端末150に必要な情報(例えば、隣接セル情報)を報知情報管理部153に出力する。
報知情報管理部153は、報知メッセージ処理部152から出力された情報、特に、隣接セル情報を狭域セルリストとして管理し、狭域セルサーチ部155によって隣接セル情報(狭域セルリスト)が読み出される。
同期外れ検出部154は、基地局メッセージ受信部151から通知された基地局100との通信状態を監視し、基地局100との同期が外れたことを検出する。同期外れが検出された場合には、その旨狭域セルサーチ部155に通知される。なお、この同期外れの検出方法は、基地局から送られてくる制御信号、リファレンス信号を受信できない場合を同期外れとして検出することが可能であるが、特にこの方法に限るものではなく、同期外れを検出できればどのような手段を用いてもよい。
狭域セルサーチ部155は、同期外れ検出部154から同期外れが通知されると、報知情報管理部153から隣接セル情報を読み出し、隣接セル情報に基づいて、隣接セルのセルサーチ(狭域セルサーチ)を行う。この狭域セルサーチの結果、セルが検出できた場合には検出したセルを基地局送信メッセージ作成部159に通知し、セルが検出できなかった場合にはその旨広域セルサーチ部156に通知する。
広域セルサーチ部156は、狭域セルサーチ部155から隣接セルが検出されなかった通知を受け、セルサーチの範囲を広げてセルサーチ(広域セルサーチ)を行う。この広域セルサーチの結果、検出したセルを基地局送信メッセージ作成部159に通知する。
個別メッセージ処理部157は、基地局メッセージ受信部151から出力された個別メッセージを処理する。具体的には、ターゲット基地局から送信されたチャネル設定のメッセージを処理し、端末150が設定するチャネル構成を決定する。決定されたチャネル構成はチャネル設定部158に通知される。
チャネル設定部158は、個別メッセージ処理部157から通知されたチャネル構成にしたがって、チャネル設定を行い、チャネル設定の結果を基地局送信メッセージ作成部159に通知する。ここで、チャネル設定の結果としては、チャネル設定の成功(チャネル設定のパラメータ等を含む場合もある)又は失敗(失敗した理由などを含む場合もある)などがある。
基地局送信メッセージ作成部159は、狭域セルサーチ部155又は広域セルサーチ部156から通知された検出セルに対して、新たに接続するためのセル更新メッセージを作成する。また、チャネル設定部158から通知されたチャネル設定の結果を示す応答メッセージを作成する。作成されたメッセージは基地局メッセージ送信部160に出力される。
基地局メッセージ送信部160は、基地局送信メッセージ作成部159から出力されたメッセージを基地局100とのインターフェースに合わせて、基地局100に送信する。なお、基地局送信メッセージ作成部159及び基地局メッセージ送信部160はセル更新要求を行う要求手段として機能する。
図7は、図5に示した基地局100がソース基地局(接続元の基地局)として機能する場合の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST201では、同期外れ検出部102が端末150との同期外れを検出し、ST202では、同期外れの検出をトリガーとして時間測定部103がタイマーをスタートさせる。
ST203では、他基地局メッセージ受信部110が他基地局から端末確認・情報転送要求があるか否かを確認し、当該要求がある(YES)場合にはST206に移行し、当該要求がない(NO)場合にはST204に移行する。
ST204では、他基地局送信メッセージ作成部111が時間測定部103に対してタイマーが満了したか否かを確認し、タイマーが満了している(YES)場合にはST205に移行し、タイマーが満了していない(NO)場合にはST203に戻る。
ST205では、上位送信メッセージ作成部107がアクセスゲートウェイに対して端末情報を含めてメッセージを作成し、上位メッセージ送信部109を介してアクセスゲートウェイにメッセージを送信する。
ST206では、他基地局メッセージ作成部111が時間測定部103に対してタイマーを停止させ、ST207では、他基地局送信メッセージ作成部111が端末確認・情報転送要求に対する応答メッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112を介して他基地局にメッセージを送信する。
このように、ソース基地局が上位のアクセスゲートウェイに対して端末情報を通知するのがタイマーの満了後となり、タイマーの満了前に他基地局から端末確認・情報転送要求を受けた場合には、アクセスゲートウェイに対して端末情報の通知を行わないことになる。ここで、ソース基地局に設定されたタイマーと、端末150における狭域セルサーチに要する時間とを関連付けることにより、端末150の隣接セルへの移動に際して、アクセスゲートウェイを介さずにセルリセレクションを実現することができる。
図8は、図5に示した基地局100がターゲット基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST251では、受信メッセージ処理部104がセル更新要求を受信し、ST252では、セルリセレクション処理部105が基地局間情報管理部106を参照し、ソース基地局と直接コネクションがあるか否かを判定する。直接コネクションがある(YES)場合にはST253に移行し、直接コネクションがない(NO)場合にはST255に移行する。
ST253では、他基地局送信メッセージ作成部111が他基地局に端末確認・情報転送要求メッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112が直接コネクションを用いて他基地局に送信する。
ST254では、他基地局メッセージ受信部110が他基地局から応答があるか否かを確認し、応答がある場合にはST257に移行し、応答がない場合にはST254に戻り、応答があるまで確認を続ける。
ST255では、上位送信メッセージ作成部107が上位のアクセスゲートウェイに端末確認・情報転送要求メッセージを作成し、上位メッセージ送信部109を介してアクセスゲートウェイに送信する。
ST256では、上位メッセージ受信部113がアクセスゲートウェイから応答があるか否かを確認し、応答がある(YES)場合にはST257に移行し、応答がない(NO)場合にはST256に戻り、応答があるまで確認を続ける。
ST257では、チャネル設定内容決定部114が他基地局からの応答又はアクセスゲートウェイからの応答に応じて、端末150に対するチャネル設定内容を決定する。
このように、ターゲット基地局は、ソース基地局との間に直接コネクションが張られている場合には、直接コネクションを用いて通信を行うことにより、アクセスゲートウェイを介さずに済むため、アクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
図9は、図6に示した端末150の動作手順を示すフロー図である。この図において、ST301では、同期外れ検出部154が基地局100との同期外れを検出し、ST302では、狭域セルサーチ部155が狭域セルサーチを行った時間が所定時間内であるか否かを判定し、所定時間内(YES)であればST303に移行し、所定時間外(NO)、すなわち所定時間を超えていればST306に移行する。
ST303では、狭域セルサーチ部155が報知情報管理部153から隣接セル情報、すなわち、狭域セルリストを読み出し、狭域セルリストを用いてセルサーチを行い、ST304において、セルを検出できたか否かを判定する。セルが検出されたら(YES)ST305に移行し、セルが検出されなければ(NO)ST302に戻る。
ST305では、基地局送信メッセージ作成部159が検出されたセルに対してセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して基地局100に送信する。
ST306では、広域セルサーチ部156が広域セルサーチを行った時間が所定時間内であるか否かを判定し、所定時間内(YES)であればST307に移行し、所定時間外(NO)であればST309に移行する。
ST307では、広域セルサーチ部156が広域セルサーチ、すなわち、隣接セル以外のセルに対するセルサーチを行い、ST308において、セルを検出できたか否かを判定する。セルが検出されたらST305に移行し、セルが検出されなければST306に戻る。
ST309では、端末150がIdle状態に遷移する。
このように、端末150は隣接セルのセルサーチを最初に行い、隣接セルが検出されない場合に隣接セル以外のセルに対するセルサーチを行うというようにセルサーチを段階的に行うことにより、直接コネクションが張られた隣接セルを短時間で検出することができる。
次に、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムにおけるセルリセレクション処理の手順について図を用いて説明する。ここでは、アクセスゲートウェイと基地局(ソース基地局及びターゲット基地局)100とは常にセキュアな直接コネクションが存在し、隣接基地局間にも常にセキュアな直接コネクションが存在するものとする。また、基地局1
00は、隣接する基地局配下にどのようなセルが存在するかを示す情報を有しているものとする。さらに、端末150はソース基地局と通信しており、アクセスゲートウェイとソース基地局とはデータ用のコネクションが確立されているものとする。
図10は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図10において、ST401では、ソース基地局が端末150との同期外れを検出し、ST402では、端末150がソース基地局との同期外れを検出し、ST403においてセルサーチを行って所定時間内に隣接セルをターゲット基地局として検出する。
ST404では、ST403において検出された隣接セルの基地局をターゲット基地局として、端末150がターゲット基地局に対してセル更新要求を送信し、ST405では、ST404におけるセル更新要求により、ターゲット基地局がソース基地局との間に直接コネクションが存在することを認識し、ターゲット基地局からソース基地局に対して直接コネクションを用いて端末確認・情報転送要求を行う。ソース基地局はターゲット基地局からの要求に対して情報転送を行う。
ST406では、ターゲット基地局がソース基地局から提供された情報をもとに端末150の確認を行い、また、今まで行っていたサービス等の情報をもとにチャネル設定を決定する。
ST407では、ターゲット基地局が端末150に対してチャネル設定のセットアップを行い、端末150がターゲット基地局の指示に従い、チャネル設定を行い、その結果をターゲット基地局に報告する。
ST408では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間で、データ用のコネクションをソース基地局からターゲット基地局に変更し、ST409では、アクセスゲートウェイからターゲット基地局にデータ転送を行う。
ST410では、ターゲット基地局とアクセスゲートウェイとの間にデータ用のコネクションを確立し、ST411では、端末150とターゲット基地局との間にRRC及びデータ用のコネクションを確立する。
ST412では、ソース基地局、ターゲット基地局及びアクセスゲートウェイのそれぞれが不要なリソース、コネクションの開放などを行う。ここでは、例えば、ソース基地局とアクセスゲートウェイとのコネクションの開放、また、ソース基地局とターゲット基地局とのコネクションの開放などである。
図11は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。ただし、図11が図10と共通する部分には、図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11において、ST451では、ソース基地局がST401において端末150との同期外れを検出してから所定時間内に端末確認・情報転送要求を受信しなかったことを受け、ST452では、ソース基地局からアクセスゲートウェイに端末情報を送信する。
ST453では、端末150が所定時間内に隣接セルを検出することができず、ST404では、端末150からターゲット基地局にセル更新要求を送信する。
ST454では、ST404におけるセル更新要求により、ターゲット基地局がソース基地局との間に直接コネクションが存在しないことを認識し、ターゲット基地局からアクセスゲートウェイに対して端末確認・情報転送要求を行う。アクセスゲートウェイはター
ゲット基地局からの要求に対して情報転送を行う。
このように実施の形態1によれば、端末とソース基地局との同期外れが検出されると、端末では、ソース基地局と直接コネクションによって接続された隣接基地局を対象とする狭域セルサーチを行い、隣接基地局が検出されない場合には、隣接基地局以外を対象とする広域セルサーチを行い、検出された基地局をターゲット基地局としてセル更新要求を行い、ソース基地局では、端末における狭域セルサーチに要する時間が考慮されたタイマーが満了してからアクセスゲートウェイに端末情報を送信し、セル更新要求を受けたターゲット基地局では、ソース基地局と直接コネクションがあるか否かに応じて、ソース基地局又はアクセスゲートウェイから端末確認及び端末情報を取得することにより、端末の確認及び端末情報の転送に要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
なお、本実施の形態では、狭域セルサーチと広域セルサーチの2段階のセルサーチを行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、広域セルサーチを他段階に分けてセルサーチを行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、狭域セルサーチを行う単位を所定時間として説明したが、本発明はこれに限らず、狭域セルサーチを行う時間を所定回数として規定してもよい。また、この場合にはソース基地局側では一回のセルサーチにかかる時間と所定回数により、所定時間を計算することになる。ここで、所定回数又は所定時間は、デフォルトで決めておいてもよいし、基地局から報知情報によって通知してもよいし、個別情報によって通知してもよい。さらに、これらの3つの方法を適宜組み合わせてもよい。
また、本実施の形態では、直接コネクションによって接続された基地局間の端末情報の転送は、端末からのセル更新要求を受信してから開始するものとして説明したが、直接コネクションによって接続された基地局数が少なければ、ソース基地局は直接コネクションによって接続された全ての基地局に対して、端末情報を予め報知してもよい。これについて図5を用いて説明すると、同期外れ検出部102が端末との同期外れを検出すると、その検出結果を図示せぬ信号線を介して他基地局送信メッセージ作成部111に出力し、他基地局送信メッセージ作成部111が直接コネクションによって接続された基地局に送信する端末情報を含むメッセージを作成し、他基地局メッセージ送信部112を介して送信することになる。
これにより、直接コネクションによって接続されたターゲット基地局が端末からセル更新要求を受けた場合、予め報知された端末情報を利用することができるので、セルリセレクション処理を短時間で終了することができる。なお、端末情報を受信した基地局は、端末が狭域セルサーチに要する時間が経過したら、端末情報を破棄することが考えられる。
また、本実施の形態では、ターゲット基地局での“セル更新設定の実施”を“端末確認・情報転送”の後に行うものとして説明したが、図12に記載のように、“セル更新設定の実施”と“端末確認・情報転送”とを並列処理することも可能である。すなわち、必要な無線リソース・ネットワークリソースの情報をセル更新要求に含め、ターゲット基地局ではその情報をソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答を待たずに設定できる。各端末に対して固定のリソースを割り当てる方式では、無線リソースに無駄が発生することになるが、この方法では、LTEにおいて検討されているシェアードチャネルを用いた方式(複数の端末が共通のリソースをシェアする方式)において、この時点ではあくまで無線リソースをあまり使用しない制御チャネルのみを設定するため、無線リソースの無駄を最小限に抑えられる。その後、ソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答後に実際の通信が開始されることになる。これにより、通信をより早く開始することが
可能となる。また、この端末が、不正な端末である場合には、ソース基地局またはアクセスゲートウェイからの応答後に開放処理が行われることになる。
また、本実施の形態では、端末からの信号を受信できないことなどを利用して端末との同期が外れたことを基地局自身が検知するものとして説明したが、基地局が端末に対して、自セルに属するかを確認するためページングを行い、その応答の有無によって端末との同期外れを検出するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図13に示すように、ST454において、ターゲット基地局が端末確認・情報転送要求メッセージにターゲット基地局及びアクセスゲートウェイ間のデータ用コネクション確立の指示を含めてアクセスゲートウェイに送信してもよい。これにより、ST501において、アクセスゲートウェイからターゲット基地局へのデータ転送が可能となり、データ転送の遅延を低減することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態2に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る端末の動作を示すフロー図である。ただし、図14が図9と共通する部分には、図9と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図14において、ST601では、狭域セルサーチによって検出されたセルに対して、基地局送信メッセージ作成部159がソース基地局の情報及びソース基地局が管理していた端末IDを含めてセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して送信する。
ST602では、広域セルサーチによって検出されたセルに対して、基地局送信メッセージ作成部159がアクセスゲートウェイの情報及びアクセスゲートウェイが管理していた端末IDを含めてセル更新要求メッセージを作成し、基地局メッセージ送信部160を介して送信する。
図15は、本発明の実施の形態2に係るターゲット基地局の動作を示すフロー図である。ただし、図15が図8と共通する部分には、図8と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図15において、ST651では、セルリセレクション処理部105がセル更新要求に他セルのIDが含まれているか否かを確認し、他セルのIDが含まれている(YES)場合にはST253に移行し、他セルのIDが含まれていない(NO)、すなわち、アクセスゲートウェイのIDが含まれている場合にはST255に移行する。
このように実施の形態2によれば、セルサーチによって検出されたセルが狭域セル(隣接セル)か広域セル(隣接セル以外のセル)かに応じて、セル更新要求に含める情報を変えることにより、ターゲット基地局はセル更新要求に応じて、端末確認・情報転送要求先を決定することができる。また、端末は送信するメッセージのサイズを削減することができ、ターゲット基地局はソース基地局と直接コネクションによって接続されているかを確認することなく、端末から送信されたセル更新要求によって認識することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、実施の形態1において説明したシステムに、RFC4068 Fast
Handover for Mobile IPv6(FM IPv6)のReactive Fast Handoverを適用する場合について説明する。
なお、本発明の実施の形態3に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態3に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。ただし、以下の説明において、端末はRFC4068におけるMN(Mobile Node)の機能を備え、ソース基地局はRFC4068におけるPAR(Previous Access Router)の機能を備え、ターゲット基地局はRC4068におけるNAR(New Access Router)の機能を備え、アクセスゲートウェイはRFC3775におけるHA(Home Agent)の機能を備えるものとする。
図16は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図16において、図10と共通する部分には図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST701では、端末がRtSolPr(Router Solicitation for Proxy Advertisement)を検出し、RtSolPrが検出されたセルのターゲット基地局にRtSolPrを送信する。RtSolPrには端末が検出したセルID(1つ以上のAP−ID)が含まれる。
ST702では、ターゲット基地局が端末から送信されたRtSolPrからAP−IDを抽出し、抽出したAP−IDにより示されるターゲット基地局のPrefixをPrRtAdv(Proxy Router Advertisement)に設定し、端末に送信する。
ST703では、端末がターゲット基地局から送信されたPrRtAdvに設定されたPrefixからターゲット基地局において利用するための新しい気付けIPアドレスの候補(Proposed New Care of Address: Proposed NCoA)を作成し、作成したProposed NCoAとソース基地局において直前まで利用していた気付けIPアドレス(Previous Care of Address: PCoA)とを含むFBU(Fast Binding Update)を作成する。そして、端末は、作成したFBUと端末のレイヤ2アドレスとを含むFNA(Fast Neighbor Advertisement)を作成し、ターゲット基地局に送信する。なお、ST701〜ST703は図10におけるST404に相当する。
ST704では、ターゲット基地局が端末から送信されたFNAからFBUを抽出し、抽出したFBUに含まれるProposed NCoAの検証を行い、問題がない場合にProposed NCoAを、問題がある場合には別の値を選択して最終的に端末が利用するNCoAを作成する。そして、ターゲット基地局は、PCoAと作成したNCoAとをFBUに設定してソース基地局に送信する。
ST705では、ソース基地局がターゲット基地局から送信されたFBUに設定されたPCoAとNCoAとを用いて、PCoA宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、FBUの受信確認としてFBackをターゲット基地局に送信する。なお、ST704及びST705は図10におけるST405に相当する。
以上により、ST706では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがソース基地局、ターゲット基地局を順に経由して端末に転送される。
ST707では、端末が新しい気付けIPアドレスと自身のホームアドレス(Home Address)とを含むBU(Binding Update)を作成し、アクセスゲートウェイに送信する。ST707は図10におけるST408に相当する。
ST708では、端末から送信されたBUに基づいて、アクセスゲートウェイから送信されるデータがターゲット基地局から直接端末に転送される。
図17は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。図17において、図16と共通する部分には図16と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST751では、ソース基地局がPCoAをFBUS(Fast Binding Update Store)に設定して、アクセスゲートウェイに送信する。
ST752では、ターゲット基地局が端末から送信されたFNAからFBUを抽出し、抽出したFBUに含まれるProposed NCoAの検証を行い、問題がない場合にProposed NCoAを、問題がある場合には別の値を選択して最終的に端末が利用するNCoAを作成する。そして、ターゲット基地局は、PCoAと作成したNCoAとをFBUに設定してアクセスゲートウェイに送信する。
ST753では、ST751においてソース基地局から送信されたFBUSに設定されたPCoAと、ST752においてターゲット基地局から送信されたFBUに設定されたPCoAとをアクセスゲートウェイが比較して、これらが一致すれば、ソース基地局からターゲット基地局への直接コネクションが存在しないので、アクセスゲートウェイはPCoA宛のパケットをNCoA宛に転送する処理を行う。そして、アクセスゲートウェイは、FBUの受信確認としてFBackを作成し、ターゲット基地局に送信する。なお、ST752及びST753は図11におけるST454に相当する。
ST754では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがターゲット基地局を経由して端末に転送される。
このように実施の形態3によれば、FM IPv6を用いた場合でも、端末における狭域セルサーチに要する時間(所定時間)内に端末が隣接セルを検出した場合には、隣接する基地局(ターゲット基地局)とソース基地局との直接コネクションを用いてパケット転送処理を行い、所定時間内に端末がセルを検出できなかった場合には、アクセスゲートウェイを介したパケット転送処理を行うことにより、セルリセレクションに要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、実施の形態1において説明したシステムに、3GPP SRJ-050061 local mobility for 3GPP System Architecture EvolutionのProxy Mobile IPv6(PM IPv6)、またはIETFのnetlmmグループにおいて検討されているNetwork-based Localized Mobility Managementを適用する場合について説明する。
なお、本発明の実施の形態4に係る基地局の構成は、実施の形態1の図5に示した構成と同様であり、本発明の実施の形態4に係る端末の構成は、実施の形態1の図6に示した構成と同様であるので、図5及び図6を援用し、その詳細な説明は省略する。
図18は、所定時間内に隣接セルを検出できる場合の処理手順を示すシーケンス図である。図18において、図10と共通する部分には図10と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST801では、ターゲット基地局が端末からセル更新要求を受信すると、ターゲット基地局のPrefixから、ターゲット基地局において利用するためのNCoAを作成し、作成したNCoAと端末のホームアドレスとをPBUに設定して、ソース基地局に送信する。
ST802では、ソース基地局がターゲット基地局から送信されたPUBに設定されているホームアドレスから、端末宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、PBUの受信確認としてPBackを作成して、ターゲット基地局に送信する。なお、ST801及びST802は図10におけるST405に相当する。
ST803では、アクセスゲートウェイから送信されたデータがソース基地局、ターゲット基地局を順に経由して端末に転送される。
ST804では、ターゲット基地局が新しい気付けIPアドレスと自身のホームアドレスとを含むPBUを作成し、アクセスゲートウェイに送信する。ST804は図10におけるST408に相当する。
ST805では、端末から送信されたBUに基づいて、アクセスゲートウェイから送信されるデータがターゲット基地局から直接端末に転送される。
図19は、所定時間内に隣接セルを検出できない場合の処理手順を示すシーケンス図である。図19において、図18と共通する部分には図18と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ST851では、ソース基地局がホームアドレスをPBUS(Proxy Binding Update Store)に設定して、アクセスゲートウェイに送信する。ST851は図11におけるST452に相当する。
ST852では、ターゲット基地局が端末からセル更新要求を受信すると、ターゲット基地局のPrefixから、ターゲット基地局において利用するためのNCoAを作成し、作成したNCoAと端末のホームアドレスとをPBUに設定して、アクセスゲートウェイに送信する。
ST853では、ソース基地局からターゲット基地局への直接コネクションが存在しないので、アクセスゲートウェイがターゲット基地局から送信されたPUBに設定されているホームアドレスから、端末宛のパケットをNCoA宛に転送するための処理を行い、PBUの受信確認としてPBackを作成して、ターゲット基地局に送信する。なお、ST852及びST853は図10におけるST405に相当する。
このように実施の形態4によれば、PM IPv6を用いた場合でも、端末における狭域セルサーチに要する時間(所定時間)内に端末が隣接セルを検出した場合には、隣接する基地局(ターゲット基地局)とソース基地局との直接コネクションを用いてパケット転送処理を行い、所定時間内に端末がセルを検出できなかった場合には、アクセスゲートウェイを介したパケット転送処理を行うことにより、セルリセレクションに要する処理をソース基地局とアクセスゲートウェイとで分散することができるので、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができる。
以上、実施の形態について説明した。
上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
2006年2月8日出願の特願2006−031588の日本出願及び2006年4月18日出願の特願2006−114950に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明にかかる無線通信基地局装置、無線通信端末装置及び無線通信システムは、セルリセレクション処理において、基地局及びアクセスゲートウェイの処理負荷を低減することができ、移動通信システム等に適用できる。
3GPPにおけるUMTSの概略構成を示す図
セルリセレクション処理の手順概要を示すシーケンス図
LTEにおけるシステム構成図
アクセスゲートウェイを介した基地局間通信を行うセルリセレクション処理の手順概要を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1及び2に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1及び2に係る端末の構成を示すブロック図
図5に示した基地局がソース基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図
図5に示した基地局がターゲット基地局として機能する場合の動作手順を示すフロー図
図6に示した端末の動作手順を示すフロー図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
端末確認・情報転送とセル更新設定の実施を並列処理する場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
データ転送遅延を削減するセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態2に係る端末の動作を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係るターゲット基地局の動作を示すフロー図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できる場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図
隣接セルを検出できない場合のセルリセレクション処理手順を示すシーケンス図