JPWO2007091348A1 - カテーテル - Google Patents
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Abstract
必要部位以外に高周波電流が流れないように安全化し、更に、焼灼の成功率が向上するカテーテルを提供する。心房内の電位検出用の電位検出カテーテル3,4及びペーシング用のペーシングカテーテル2には低い周波数の電気しか流さないので、高周波電流阻止用の集中定数となるコイル63をカテーテル51の先端となる内部導線65へ挿入する。ペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に高周波電流が流れないようになるため、ペーシングカテーテル2,電位検出カテーテル3,4の加熱が無くなり安全であると共に、必要な部位に対して十分な焼灼が可能となる。
Description
例えば、心臓筋肉の高周波電流によるアブレーション(焼灼)治療に用いられるアブレーションカテーテルや心房内の電位検出カテーテルやペーシングカテーテルなどのカテーテルに関する。
現在、日本人だけについて考察しても、60歳以上の人の4人に1人は上室性頻脈を抱えている。その10%は、カテーテル(例えば特許文献1)を用いたカテーテルアブレーションで治療可能と言われている。これは人数にすると約350万人である。更に毎年20万人ずつ増加すると予測されている。米国ではこの数字が数倍に跳ね上がることとなる。
特開2003−290247号公報
心臓の上室性頻脈治療にカテーテルアブレーションが日常的に行われており、成功率も80%以上と高い。これを一般の人が見れば素晴らしいと考えるであろう。しかし、高周波医療機器の専門の立場から見ると安全性に問題が残されており、それがあまり認識されていないのが現状である。すなわち、従来のカテーテルアブレーション治療は綱渡り的な状況にあり、何時事故が起こらないとも限らない。その原因は、従来のカテーテルアブレーション治療では不必要な所にも高周波電流が流れ易いためで、焼灼されては困る部位(例えばヒス束)が焼灼破壊される可能性がないとも言えない。万一、このような事態が起これば患者は大変な被害をこうむる事になる。更には、上記原因のため、必要な部位に有効に高周波電流が流れないため、焼灼したい部位を有効に焼灼できない可能性が有る。この治療は、医師は大変な努力をし、患者は肉体的・精神的苦痛に耐えて行われるものであるが、あと一歩のところで治療が成功しなかったら大変残念な事になる。もしカテーテルが改良され成功率が向上し、今より安全な治療となればこの病気を抱える患者にとって大きな福音となる。
そこで本発明は上記問題点に鑑み、必要部位以外に高周波電流が流れないように安全化し、更に、焼灼の成功率が向上するカテーテルを提供することを目的とする。
本発明では、生体の所定箇所に高周波電流を流す第1のカテーテルと共に生体内に挿入される第2のカテーテルであって、電極及び前記電極に接続された内部導線及び前記内部導線に所定のインピーダンスを付加するインピーダンス手段を備えている。
このようにすると、前記第2のカテーテルのインピーダンスが増加するため、前記第1のカテーテルの高周波電流が流れ込まず、当該高周波電流の誤流入により前記第2のカテーテルが加温されることがなく安全であると共に、前記第1のカテーテルが生体に対して不十分な接触状態であっても必要な部位に高周波電流を有効に流すことができ、確実な焼灼が可能となる。
また、本発明のカテーテルでは、前記インピーダンス手段は、前記内部導線に任意の抵抗値を有する抵抗線を使用して構成されたものであることを特徴とする。
このようにすると、簡単な構成で前記第2のカテーテルの抵抗成分ひいてはインピーダンスを増加させることができる。
また、本発明のカテーテルでは、前記インピーダンス手段は、前記内部導線を螺旋コイル状に巻回して構成されたものであることを特徴とする。
このようにすると、簡単な構成で前記第2のカテーテルのインダクタンス成分ひいてはインピーダンスを増加させることができる。
また、本発明のカテーテルでは、前記電極及び前記内部導線は、前記生体の電位検出用、又は前記生体へペーシング電流を供給する電流出力用に使用されるものであることを特徴とする。
このようにすると、例えばアブレーション治療などに使用される前記第2のカテーテルにおいて、前記第1のカテーテルからの高周波電流の誤流入を防止し、安全性を高めることができる。
また、本発明では、生体の所定箇所に高周波電流を流すカテーテルにおいて、前記電極と前記内部導線と前記インピーダンス手段とを前記生体の電位検出用として一体に組み込んでいる。
このようにすると、前記第1のカテーテルに生体の電位検出機能を付加する場合においても、自身から出力される高周波電流の誤流入を防止し、安全に前記第1のカテーテルに接触する生体の電位を検出することができる。
本発明によると、必要部位以外に高周波電流が流れないように安全化し、更に、焼灼の成功率が向上する前記第2のカテーテルを提供することができる。
また、本発明によると、簡単な構成で抵抗成分を増加させて前記第1のカテーテルからの高周波電流の誤流入を防ぐことができる。
また、本発明によると、簡単な構成でインダクタンス成分を増加させて前記第1のカテーテルからの高周波電流の誤流入を防ぐことができる。
また、本発明によると、例えばアブレーション治療などに使用される前記第2のカテーテルの安全性を高めることができる。
また、本発明によると、前記第1のカテーテルに生体の電位検出機能を付加した場合における安全性を高めることができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明におけるカテーテルの好ましい各実施例を説明する。なお、従来例と同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
アブレーション治療時には、例えば、生体としての患者の右心房内及びその周辺に4本のカテーテルが挿入される。それらのカテーテルでは3種類の電気を取り扱う。第1の電気は比較的周波数が低い心房内壁面電位である。第2の電気は比較的周波数が低い心房ペーシング電流である。第3の電気は、焼灼用高周波電流である。従来法では、後述するように、高周波電流通電用のカテーテルから生体へ流れた高周波電流が対極板へ流れずに、当該生体を通じて他のカテーテルへ回り込み得る状態になっていた。本発明では、低周波信号しか流れないカテーテルには、高周波電流が流れられない様に、当該カテーテルのインピーダンスを増加させる種々のインピーダンス手段を設けた事が特徴である。具体的には、1)カテーテルの内部導線に適当な値(例えば100Ω以上など)の抵抗を有するものを使用する。2)カテーテルの内部導線を螺旋コイル状にし、分布インダクタンスを持たせる。3)電極付近或いはアンプ端子付近又は両方に集中定数としてのコイルや抵抗(例えば50Ω以上など)又は両方を入れる。4)以上1),2),3)の任意の組み合わせである。
先ず、実際の治療でカテーテルが心房内及びその周辺でどのように配置されているか心房粗動を一例として図1に示す。電位検出カテーテル3は心房内電位の検出用であり、右心房内の三尖弁輪に沿って挿入されている。同図中、電位検出カテーテル3のうち黒く塗りつぶされた部分が心房内電位検出用電極31であり、右心房内の三尖弁輪に沿った電位検出カテーテル3の端部全体にわたって複数配置されている。この心房内電位検出用電極31により右心房内各部の心房内電位を検出する。電位検出カテーテル4はヒス束電位の検出用であり、同図中、電位検出カテーテル4のうち黒く塗りつぶされた部分がヒス束電位検出用電極41,42,43である。ヒス束電位検出用電極41,42,43は、ヒス束に接触する電位検出カテーテル4の先端部に設けられており、ここからヒス束電位が検出される。ペーシングカテーテル2は心房ペーシング用であり、同図中、ペーシングカテーテル2のうち黒く塗りつぶされた部分がペーシング用電極21である。ペーシング用電極21は、ペーシングカテーテル2の端部に複数配置され、ここから低周波の心房ぺーシング電流が心房へ供給される。これらのペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4がアブレーション治療用の補助カテーテルに相当する。もちろん、当該補助カテーテルには、これら以外にも、アブレーションカテーテル1と共に患者の体内へ挿入されるカテーテルであればどのようなものでも含まれる。
同図中、アブレーションカテーテル1のうち黒く塗りつぶされた先端部分は焼灼用高周波電流を心房内に注入するための焼灼用電極11であり、高周波電源6の一方の出力端子に接続されている。高周波電源6の他方の出力端子には、一般的に患者の背中に設置される対極板5が接続されており、アブレーションカテーテル1と対極板5との間における高周波通電によって上室性頻脈の原因となる心筋組織を焼灼して、その部位が電気的に興奮することを不可能とする。また、同図中、アブレーションカテーテル1のうち先端部分以外で黒く塗りつぶされた部分は心房内電位検出用電極12,13であり、この心房内電位検出用電極12,13により焼灼用高周波通電前或いは当該通電後に心房内電位を検出する。
ところで、従来法では、全てのカテーテルが導電性部材で構成されているため、アブレーションカテーテル1の先端に設けられた焼灼用電極11が充分心筋に接触していない場合には、対極板5へ向かって流れるはずの高周波電流が例えば血液等を介して他のペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4にも流れる事になる。その理由は以下の様である。一般的に焼灼用電極11の対極板5は患者の背中に設置されており、両電極間の抵抗は、アブレーションカテーテル1の焼灼用電極11が充分心房筋に接触している場合で例えば約80Ω〜100Ω(電極面積や状況によって変化する)であるが、心筋への接触が不良となると例えば150Ω以上になる。一方、心房内電位検出用電極31又はヒス束電位検出用電極41,42,43を端部に有する電位検出カテーテル3,4は、一般的に2〜3mm程度の静脈内を通して鼠径部から心房まで送り込まれているが、電位検出カテーテル3,4と血管壁は密着状態であるので、その部分の静電容量が大きくなり、高周波に対するインピーダンスは低い(例えば約100Ω以下)状態となる。
高周波電流はインピーダンスの低い所を狙って流れるので、アブレーションカテーテル1の焼灼用電極11が充分心房筋に接触していない場合は、対極板5へ向かって流れる高周波電流の一部が回り込んで心房内電位検出用電極31及びヒス束電位検出用電極41,42,43に流れる事になる。また、ぺーシング用電極21についても同様で、ペーシングカテーテル2は頸部から静脈を通じて心房に送り込まれているので、ペーシングカテーテル2と血管壁は密着状態であり、その部分の静電容量が大きくなる、すなわち高周波に対するインピーダンスは低い(例えば約100Ω以下)状態となる。それ故、ペーシング用電極21にも血液を介して高周波電流の一部が流れる事になる。
対極板5以外に高周波電流が流れると三つの問題が起こる。一つ目はペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に誤って流れ込んだ高周波電流が生体に漏れ出し、生体を加温する。もし神経が静脈血管の近くを通っておれば、神経が熱さを感じて患者が耐えられなくなった時点で焼灼を中止せざるを得なくなる。二つ目の問題は重大で、もしヒス束電位検出用電極41,42,43に電流が漏れると、そこの部分が加熱され、最悪の場合にはヒス束を切断してしまう可能性がある。ヒス束が切断されると患者は房室ブロックになり、ペースメーカを挿入しなけれぱならなくなり、重大な事態となる。三つ目は、予想外のペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に高周波電流が流れるので、本来の目的の心房筋に流れる高周波電流が少なくなり、有効に焼灼出来ない事になる。特に、電極と心房筋との接触が不十分な状態の場合はこの傾向が強くなる。
以上の問題を解決するために、本発明ではペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に対策を講じている。以下、図2〜4を参照しながら本発明の第1実施例におけるカテーテルの具体的な構成について説明する。
心房内の電位検出用の電位検出カテーテル3,4及び心房ペーシング用のペーシングカテーテル2には低い周波数(50Hz以下)の電気しか流さないので、高周波電流阻止用の集中定数となるコイル63をカテーテル51の先端(図2参照)、カテーテル52の途中(図3参照)、又はカテーテル53の終端(図4参照)となる内部導線65へ挿入する。内部導線65の先端には外部へ露出した電極66が接続されている。アブレーション治療時においては、これらのカテーテル51,52,53のうち任意のものがペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4として使用されることとなり、電極66が、適宜、ペーシング用電極21又は心房内電位検出用電極31又はヒス束電位検出用電極41,42,43として構成される。
次に、上記構成の作用について説明する。従来法ではペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4の抵抗は例えば100Ω以下であったので、焼灼用電極11の接触が不十分になると対極板5へ向かって流れるはずの高周波電流が、誤ってペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に流れ込んで上記の不都合が生じた。本発明ではペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4の交流抵抗が例えば200Ω以上となるので、焼灼用電極11の接触が不十分になってもペーシングカテーテル2,電位検出カテーテル3,4に流れる高周波電流は半分以下になり、エネルギーは1/4以下となる。もしペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4の交流抵抗が1kΩ以上となるように構成すれば、ペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に流れる高周波電流は従来法の1/10となり、エネルギーは1/100となり非常に安全な状況を作り出せる。
この様にペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に高周波電流が流れず、全ての高周波電流が電極板5へ流れるようになるため、ペーシングカテーテル2,電位検出カテーテル3,4の加熱が無くなり、必要な部位に対して十分な焼灼が可能となる。また心房内電位検出用電極31及びヒス束電位検出用電極41,42,43に高周波電流が誤流入しないので、これらの電位検出用電極は加熱されず、ヒス束の障害も起らなくなる。更には、ペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4に高周波電流が流れないようになるため、焼灼用電極11からの高周波電流は全て近くにある心筋肉ひいては対極板5へ流れる。そのため焼灼用電極11が不十分な接触状態であっても必要な部位に高周波電流を有効に流すことができ、確実な焼灼が可能となる。この効果は図1に示す特定の頻脈治療に限らず、全てのアブレーション治療に認められるものである。
また、アブレーションカテーテル1にも、高周波電流が誤流入する虞がある心房内電位検出用電極12,13が設けられているため、この心房内電位検出用電極12,13に接続された内部導線(図示せず)に図2〜4で示したコイル63を挿入することにより、アブレーションカテーテル1の電位検出部に対しても上記と同様の高周波電流対策を施すことができる。この場合は、アブレーションカテーテル1の前記内部導線が内部導線65、心房内電位検出用電極12,13が電極66にそれぞれ対応することとなる。
以上のように本第1実施例では、生体の所定箇所に高周波電流を流す第1のカテーテルに相当するアブレーションカテーテル1と共に生体内に挿入される第2のカテーテルに相当するペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4であって、電極66及び前記電極66に接続された内部導線65及び内部導線65に所定のインピーダンスを付加するインピーダンス手段としてのコイル63とを備えている。
このようにすると、ペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4のインピーダンスが増加するため、アブレーションカテーテル1の高周波電流が流れ込まず、当該高周波電流の誤流入によりペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4が加温されることがなく安全であると共に、アブレーションカテーテル1が生体に対して不十分な接触状態であっても必要な部位に高周波電流を有効に流すことができ、確実な焼灼が可能となる。従って、必要部位以外に高周波電流が流れないように安全化し、更に、焼灼の成功率が向上するカテーテルを提供することができる。
また本実施例では、電極66及び内部導線65は、前記生体の電位検出用、又は前記生体へペーシング電流を供給する電流出力用に使用されるものであることを特徴とする。
このようにすると、一般的にアブレーション治療に使用されるペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4において、アブレーションカテーテル1からの高周波電流の誤流入を防止し、安全性を高めることができる。従って、一般的にアブレーション治療に使用されるペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4の安全性を高めることができる。
さらに本実施例では、生体の所定箇所に高周波電流を流すアブレーションカテーテル1において、電極66及び内部導線65及びコイル63を前記生体の電位検出用として一体に組み込んでいる。
このようにすると、アブレーションカテーテル1に生体の電位検出機能を付加する場合においても、自身から出力される高周波電流の誤流入を防止し、安全にアブレーションカテーテル1に接触する生体の電位を検出することができる。従ってアブレーションカテーテル1に生体の電位検出機能を付加した場合における安全性を高めることができる。
図5及び図6を参照しながら本発明の第2実施例におけるカテーテルの構成について説明する。本第2実施例では、カテーテル54の内部導線65の一部(図5参照)或いはカテーテル55の内部導線65の全部(図6参照)を分布定数線路となる様に螺旋状コイル64,68にて形成したカテーテル54,55のうち任意のものをペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4としている。この螺旋状コイル64,68が前記インピーダンス手段となる。また、アブレーションカテーテル1の心房内電位検出用電極12,13(電極66)に接続された内部導線65の一部又は全部を螺旋状コイル64,68にて形成している。
以上のように本第2実施例のアブレーションカテーテル1の電位検出部(心房内電位検出用電極12,13及び内部導線)及びペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4では、前記インピーダンス手段は、内部導線65を螺旋コイル状に巻回して構成された螺旋状コイル64,68により構成されている。
このようにすると、簡単な構成でアブレーションカテーテル1の電位検出部及びペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4のインダクタンス成分ひいてはインピーダンスを増加させることができる。従って、簡単な構成でインダクタンス成分を増加させてアブレーションカテーテル1からの高周波電流の誤流入を防ぐことができる。
図7乃至図9を参照しながら本発明の第3実施例におけるカテーテルの構成について説明する。本第3実施例では、高周波電流阻止用の集中定数となる例えば100Ω以上の抵抗62をカテーテル56の先端(図7参照)、カテーテル57の途中(図8参照)、又はカテーテル58の終端(図9参照)に挿入したカテーテル56,57,58のうち任意のものをペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4としている。この抵抗62が前記インピーダンス手段となる。また、アブレーションカテーテル1の心房内電位検出用電極12,13(電極66)に接続された内部導線65に抵抗62を挿入している。
一方で、心房内電位検出用の電位検出カテーテル3,4に抵抗62を挿入したことによる電位低下を心配するかも知れないが、心電位増幅用アンプの入力抵抗は例えば2MΩに設定されているので、仮に2kΩの抵抗が挿入されても0.1%の減衰が生ずるのみで目視上は全く問題にならない。ペーシング用のペーシングカテーテル2に関しては抵抗を挿入したことによる必要電圧は2倍になるが、例えば2Vが4Vになる程度で実用上全く問題は生じない。もし、4Vが問題になるようであれば抵抗の代わりに上記第1実施例のようにコイル63を用いればよい。アブレーションカテーテル1の電位検出部についても同様である。
なお、上記第1実施例及び本第3実施例を示す図4,9の様にカテーテル53,58の終端に対策素子としてのコイル63又は抵抗62を入れるのは有効でないように思われるかも知れないがそうではない。心電位増幅用アンプは低周波信号に対しては絶縁されているにも拘らず高周波電流に対しては浮遊容量やコンデンサーでアースされており、心房内電位検出用電極31又はヒス束電位検出用電極41,42,43から見込んだ交流抵抗は小さい。そのため心房内電位検出用電極31又はヒス束電位検出用電極41,42,43から高周波電流が流れ込む可能性があり、その結果、心房内電位検出用電極31又はヒス束電位検出用電極41,42,43が加温されることになる。この危険を防止するために電位検出カテーテル3,4の終端にコイル63又は抵抗62を入れる。電位検出カテーテル3,4の終端は体内に挿入されない部分であるから、従来型のカテーテルを簡単に改良できる利点がある。アブレーションカテーテル1の電位検出部についても同様である。
図10を参照しながら本発明の第4実施例におけるカテーテルの構成について説明する。本第4実施例では、カテーテル59の内部導線65を分布定数線路となる様に例えば全体で100Ω以上の抵抗を有する抵抗線67で形成したカテーテル59をペーシングカテーテル2,電位検出カテーテル3,4としている。この抵抗線67が前記インピーダンス手段となる。また、アブレーションカテーテル1の心房内電位検出用電極12,13(電極66)に接続された内部導線65を抵抗線67で形成している。
以上のように本第4実施例のアブレーションカテーテル1の電位検出部及びペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4では、前記インピーダンス手段は、内部導線65に任意の抵抗値を有する抵抗線67を使用して構成されている。
このようにすると、簡単な構成でアブレーションカテーテル1の電位検出部及びペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4の抵抗成分ひいてはインピーダンスを増加させることができる。従って、簡単な構成で抵抗成分を増加させてアブレーションカテーテル1からの高周波電流の誤流入を防ぐことができる。
図11を参照しながら本発明の第5実施例におけるカテーテルの構成について説明する。本第5実施例では、上記コイル63と抵抗62を組み合わせることによってより安全で効果的なカテーテルを構成する。即ち、コイル63と抵抗62を直列にして挿入したカテーテル60をペーシングカテーテル2,電位検出カテーテル3,4としている。この抵抗62及びコイル63が前記インピーダンス手段となる。また、アブレーションカテーテル1の心房内電位検出用電極12,13(電極66)に接続された内部導線65に抵抗62及びコイル63を挿入している。
図12を参照しながら本発明の第6実施例におけるカテーテルの構成について説明する。本第6実施例では、カテーテル61が備える内部導線65の一部または全部を任意の抵抗を有する内部導線65とすると共に螺旋状コイル69に形成したカテーテル61をペーシングカテーテル2及び電位検出カテーテル3,4としている。この螺旋状コイル69が前記インピーダンス手段となる。また、アブレーションカテーテル1の心房内電位検出用電極12,13(電極66)に接続された内部導線65の一部または全部を任意の抵抗を有する内部導線65とすると共に螺旋状コイル69に形成している。
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明が適用可能なカテーテルは、例えば、材質,形状,回路構成,用途,機能など、特に限定されるものではない。またインピーダンス手段としては、各カテーテルへ流れ込む高周波電流を阻止できるものであればどのようなもので構成してもよい。
1 アブレーションカテーテル(第1のカテーテル)
2 ペーシングカテーテル(第2のカテーテル)
3,4 電位検出カテーテル(第2のカテーテル)
5 対極板
6 高周波電源
62 抵抗(インピーダンス手段)
63 コイル(インピーダンス手段)
64 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
65 内部導線
66 電極
67 抵抗線(インピーダンス手段)
68 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
69 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
2 ペーシングカテーテル(第2のカテーテル)
3,4 電位検出カテーテル(第2のカテーテル)
5 対極板
6 高周波電源
62 抵抗(インピーダンス手段)
63 コイル(インピーダンス手段)
64 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
65 内部導線
66 電極
67 抵抗線(インピーダンス手段)
68 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
69 螺旋状コイル(インピーダンス手段)
Claims (6)
- 生体の所定箇所に高周波電流を流す第1のカテーテルと共に生体内に挿入される第2のカテーテルであって、電極及び前記電極に接続された内部導線及び前記内部導線に所定のインピーダンスを付加するインピーダンス手段を備えたことを特徴とするカテーテル。
- 前記インピーダンス手段は、前記内部導線に任意の抵抗値を有する抵抗線を使用して構成されたものであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
- 前記インピーダンス手段は、前記内部導線を螺旋コイル状に巻回して構成されたものであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル。
- 前記インピーダンス手段は、前記内部導線を構成する前記抵抗線を螺旋コイル状に巻回して構成されたものであることを特徴とする請求項2記載のカテーテル。
- 前記電極及び前記内部導線は、前記生体の電位検出、又は前記生体へのペーシング電流供給に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のカテーテル。
- 生体の所定箇所に高周波電流を流す第1のカテーテルにおいて、請求項1〜4のいずれか1つに記載の前記第2のカテーテルが備える前記電極及び前記内部導線及び前記インピーダンス手段を前記生体の電位検出用として一体に組み込んだことを特徴とするカテーテル。
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