JPWO2007083755A1 - 分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法 - Google Patents

分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2007083755A1
JPWO2007083755A1 JP2007554981A JP2007554981A JPWO2007083755A1 JP WO2007083755 A1 JPWO2007083755 A1 JP WO2007083755A1 JP 2007554981 A JP2007554981 A JP 2007554981A JP 2007554981 A JP2007554981 A JP 2007554981A JP WO2007083755 A1 JPWO2007083755 A1 JP WO2007083755A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
wavelength
irradiation
light source
optical fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007554981A
Other languages
English (en)
Inventor
佐々木 隆
隆 佐々木
和昌 牧原
和昌 牧原
奥野 俊明
俊明 奥野
大西 正志
正志 大西
平野 正晃
正晃 平野
中西 哲也
哲也 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Publication of JPWO2007083755A1 publication Critical patent/JPWO2007083755A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/25Colour; Spectral properties, i.e. comparison of effect of material on the light at two or more different wavelengths or wavelength bands
    • G01N21/31Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry
    • G01N21/35Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light
    • G01N21/359Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light using near infrared light
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J3/00Spectrometry; Spectrophotometry; Monochromators; Measuring colours
    • G01J3/02Details
    • G01J3/10Arrangements of light sources specially adapted for spectrometry or colorimetry
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • G01N21/643Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes" non-biological material
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2201/00Features of devices classified in G01N21/00
    • G01N2201/08Optical fibres; light guides
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/3528Non-linear optics for producing a supercontinuum

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

この発明は、実用性に優れ、より長い周波数域まで赤外分光分析等を可能にするための構造を備えた分析装置等に関する。当該分析装置は、光源部及び光検出部を備える。光源部は、レーザ光を出射する種光源と、レーザ光を入射してSC光を生成する中実の高非線形光ファイバを含み、照射光として該SC光を対象物に向けて出射する。光検出部は、照射光が出射された対象物からの被検出光を検出する。このとき、光源部における種光源からは、中心波長が1.3μm以上〜1.8μmの範囲に収まっているパルス光が出射される。

Description

この発明は、スーパーコンティニューム光(SC光)を利用した分析装置、印刷物の真贋判定装置、印刷物の真贋判定方法、及び地中探索方法に関するものである。
スーパーコンティニューム光(SC光)とは、ピークパワーの強いレーザ光が非線形媒質に入射された際、該媒質中で発生する非線形現象によって、スペクトル帯域が拡大された広帯域光である。0.1μm程度から2μm程度のスペクトル帯域幅を有する広帯域光を生成する光源のひとつであるSC光源は、その高出力性、広帯域性、スペクトル平坦性などから、様々な応用分野への重要光源として期待されている。このようなSC光源として様々な構成が提案されているが、光ファイバ内でSC光を生成させる構成は、簡便であり、相互作用長を容易に長くでき、かつスペクトル制御も容易であることから、一般的に広く用いられている。
例えば、特許文献1には、フォトニッククリスタルファイバ(PCF:Photonic Crystal Fiber)を用いたSC光源と、該SC光源が適用された分光測定装置が開示されている。なお、PCFとは、クラッドに空孔を形成することにより非線形性や分散特性をある程度自由に設計可能な光ファイバであり、例えば実効コア断面積を小さくすることによって、高い非線形性が実現される。
特開2003−279412号公報 特開2005−312743号公報 特開平5−266318号公報 特表2001−518208号公報 落合、「近赤外イメージング装置の仕組みとその応用」、分光研究、第53巻、第6号、p377、2004年 岩田、「フェムト秒時間分解近赤外分光法と「束縛の弱い電子」」、分光研究、第54巻、第3号、p153、2005年
発明者らは、従来の分光測定装置について検討した結果、以下のような課題を発見した。
すなわち、非線形現象を発生するPCFの零分散波長はせいぜい0.8μm程度と短いのが一般的である。そのため、SC光を生成するためにPCFに入射されるレーザ光の波長も0.8μmの近傍に制限され、PCFにより生成されるSC光は0.4μm〜1.75μmといった比較的短い波長域に制限される(特許文献1参照)。しかしながら、赤外分光分析などにおいては、1.75μmよりも長い吸収波長等を有する物質の測定も必要になる場合がある。このような場合、PCFを用いたSC光源は不向きであり、より長波長域まで広がるスペクトルを実現可能なSC光源が望まれる。
また、PCFは、空孔を有し断面構造が複雑なためファイバ同士の接合が容易ではい。すなわち、PCFと他の光ファイバの接合では、接合面における光損失も大きくなる傾向がある。さらに、PCFは、出射光のエネルギーによって端面が損傷(溶融)してしまうおそれがある。そのため、PCFが適用されたSC光源では、強い励起光の導入ができず、強いSC光を生成することが困難である。このようにPCFには様々な課題が残っており、現状ではSC光源としての実用性に乏しい。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、実用性に優れ、より長い波長域まで赤外分光分析等を可能にするための構造を備えた分析装置を提供するとともに、この分析装置を応用した印刷物の真贋判定装置、印刷物の真贋判定方法、及び地中探索方法を提供することを目的としている。
上述の課題を解決するため、この発明に係る分析装置は、光源部と、光検出部を、少なくとも備える。光源部は、所定の対象物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたスーパーコンティニューム光(SC光)を出射する発光ユニットであって、種光源と、中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、該レーザ光を入射してSC光を生成する。特に、この発明に係る分析装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内に収まっている。
上述のような構造を有する当該分析装置では、空孔を有するPCFではなく中実の光ファイバにレーザ光を入射させ、該中実の光ファイバ内でSC光を含むSC光パルスを生成している。なお、このような中実の光ファイバとしては、いわゆる非ホールアシスト型の(すなわち中実の)高非線形光ファイバ(HNLF:Highly Nonlinear Fiber)が好適である。HNLFとは、非線形係数γが通常の伝送用光ファイバの5倍以上と高く、非線形現象が発生し易い光ファイバである。例えば、XPM法で測定した場合、HNLFの非線形係数γは7.5(/W/km)以上であることが望ましい。更に望ましくは、通常の伝送用光ファイバの10倍以上(15(/W/km)以上)、特に望ましくは20倍以上(30(/W/km)以上)であるとよい。このような光ファイバは、SC光の発生に寄与する四光波混合現象やソリトン効果が発生し易い零分散波長が1.3μm以上かつ1.8μm以下に設計されるのが望ましい。HNLFは、零分散波長を1.3μm以上かつ1.8μm以下に設計することが容易であり、当該分析装置において、種光源からのレーザ光の中心波長もこの波長域に設定されている。この構成により、零分散波長域を中心とする広帯域のスペクトルを有するSC光が好適に生成される。また、当該分析装置の光源部に適用される光ファイバは空孔を有しないので、ファイバ同士の結合が容易である。具体的には、これらファイバ間の接合面における光損失も1dB/接続以下、典型的には0.1dB/接続程度と小さくでき、強いSC光の生成が可能である。HNLFは、PMDを1.0ps/km1/2以下(典型的には0.1ps/km1/2以下)と小さくすることができる。そのため、直交偏波モード間のカップリングが発生し難く、SC光スペクトルを安定させることができる。また、HNLFは、波長分散特性の制御が比較的容易であり、所望の零分散波長、分散値、分散スロープ、四次分散(分散スロープの波長微分)が実現可能である。製造過程における制御性も高く、光ファイバの長さ方向に沿った伝送特性の変動も小さい。したがって、この発明に係る分析装置によれば、実用性に優れ、より長い波長域まで赤外分光分析等が可能になる。
なお、赤外分光分析等において互いに異なる複数の波長の光が必要な場合、各波長に応じた光源を用意すると装置自体が大型化してしまう。しかしながら、この発明に係る分析装置のような構成であれば、装置自体の小型化が可能になる。すなわち、当該分析装置によれば、広帯域のスペクトルを有するSC光を光源部が生成することにより、装置自体の小型化一つの光源から複数の波長成分を容易に生成できる。また、この発明に係る分析装置において、光源部は、SC光を出射するための複数の出射端を有してもよい。このような構成は、SN感度の悪い波長(例えば2500nm付近)で分光分析を行う場合や、照明領域が広すぎるために照射光量が不足している場合に特に有効である。
種光源から出射されるレーザ光は、パルス状であるのが望ましい。光強度(パルスのピーク強度)をより強くすることができるので、低い平均パワーでより広帯域なスペクトルを有するSC光を生成可能になるからである。パルス光源の繰り返し周波数は、50GHz以下、好ましくは100MHz以下といった遅い繰り返し周波数である方が、ピーク強度をより強くできるので好ましい。なお、種光源から出射されるレーザ光がパルス状である場合、出射されるSC光の各スペクトル成分もパルス状になる。
この発明に係る分析装置において、SC光のスペクトル帯域は、0.8μm以上かつ3μm以下であるのが好ましい。上述のように、当該分析装置では、中実の光ファイバ(例えばHNLF)が適用されるので、このような比較的長い波長域のSC光を好適に生成できる。なお、この明細書において「0.8μm以上かつ3μm以下の範囲」とは、例えばSC光のスペクトル強度が波長0.8μm、3μmのそれぞれにおいてピーク強度の10%以下であることを意味する。
この発明に係る分析装置は、光源部から出射される照射光が対象物の表面において照射径1μm以上かつ50mm以下のスポット状になるよう、該照射光の照射径を制限する照射径制限部をさらに備えてもよい。この場合、照射光の単位面積あたりの光強度(照度)をさらに高めることができる。なお、この明細書において「照射径」とは、対象物の表面において照度が最大照度の10%以上である範囲の最大径をいう。
この発明に係る分析装置において、光源部から出射されるSC光の強度は、0.1μW/nm以上であるのが好ましい。当該分析装置では中実の光ファイバ(例えばHNLF)が適用されているので、このように比較的強いSC光を好適に生成できる。すなわち、当該分析装置によれば、赤外分光分析などをより精度よく行うことができる。なお、この明細書において「SC光の強度」とは、例えばSC光の波長幅1nmのスペクトル成分における時間平均強度を意味する。
この発明に係る分析装置において、SC光の強度の時間変動幅は、一時間当たり±5%以内であるのが好ましい。中実の光ファイバ(例えばHNLF)は、PCFと比較して偏波依存性が小さい。したがって、生成されるSC光の光強度は入力レーザ光の偏波によらず安定するので、当該分析装置によれば、このように小さなSC光の強度変動幅を好適に実現できる。また、この発明に係る分析装置は、光ファイバに光学的に接続された、照射光の偏波面を変更するための偏向板をさらに備えてもよい。被測定物質の吸収率(又は反射率、発光強度等)が照射光の偏波に大きく依存する場合であっても、偏向板により照射光の偏波面を変更することにより、被検出光に含まれる被測定物質に関する情報のコントラストを高めることができる。さらに、この発明に係る分析装置において、光源部は、レーザ光とは異なる波長の励起光を利用してSC光を増幅するための光増幅手段をさらに含んでもよい。この場合、任意の光強度の照射光を容易に生成できる。なお、このような光増幅手段としては、光パラメトリックアンプ(OPA)やラマン増幅器などが挙げられる。また、当該分析装置における中実の光ファイバが、OPAやラマン増幅器などの光増幅用ファイバを兼ねてもよい。Er添加ファイバ、Y添加ファイバ、Bi添加ファイバ、又はTm添加ファイバなどの希土類添加ファイバを用いた光増幅器も適用可能である。
この発明に係る分析装置において、光検出部はInP半導体層及びInGaAs半導体層を含む受光素子を有するのが好ましい。具体的には、受光素子は、InP基板上にInGaAs感光層が設けられた構造を備える。この場合、1.3μm以上かつ1.8μm以下の波長域を中心とする広帯域の近赤外光(被検出光)を好適に検出できる。なお、受光素子における感光層材料としては、検出波長に応じて、Si、PbSe、InAs、PbS、HgCdTeのいずれが選択されてもよい。また、基板材料はInPには限定されない。
この発明に係る分析装置は、対象物へ照射される照射光、又は、光検出部へ到達する被検出光の波長範囲を所定範囲に制限する光学フィルタをさらに備えてもよい。赤外分光分析では、例えば被検出光を分光器で分光することにより波長成分ごとの強度を知ることができるが、被測定物質の吸収波長等が予め判っている場合には、この分析装置のように光学フィルタによって照射光又は被検出光の波長範囲を制限することにより、高価な分光器を用いなくとも容易に分析を行うことができる。また、この発明に係る分析装置は、対象物へ照射される照射光、又は、光検出部へ到達する被検出光の波長範囲を制限する波長可変フィルタをさらに備えてもよい。この場合、吸収波長等が異なる複数の被測定物質を、フィルタを取り替えることなく容易に分析できる。また、被測定物質の吸収波長等に応じて、検出波長を容易に調整できる。
なお、上述のような光学フィルタや可変長フィルタは、単色だけを透過させるフィルタ、複数の波長成分を透過させるフィルタのいずれであってもよい。複数の波長成分を透過させるフィルタとしては、例えば、それぞれ特定の波長成分(色)を透過させるフィルタ素子が二次元的に配置されたモザイクカラーフィルタが知られており、予め設定された波長成分(色)のみを透過させることによりSN比の良好な分析が可能になる。
この発明に係る分析装置において、照射光は、光検出部の受光感度の波長依存性を補償するスペクトル波形を有するのが好ましい。すなわち、光検出部の受光感度が低い波長域においては照射光の光強度を大きくし、逆に光検出部の受光感度が高い波長域においては照射光の光強度を小さくすることによって、光検出部の波長依存性に拘わらず広帯域に亘って均一な検出結果を得ることができる。
さらに、この発明に係る分析装置は、光検出部での検出結果に基づいて、被検出光に関するスペクトル波形情報及び時間波形情報のうち少なくとも一方を、照射光が到達する照明領域の、対象物を含む画像データとして生成する信号処理部を備えるのが好ましい。この場合、赤外分光分析などを容易に行うことができる。なお、信号処理部は、画像データにおけるSN比改善、視覚化、又は振動補正など、種々の信号処理を行ってもよい。
具体的に、信号処理部は、被検出光に基づいて生成された画像データのSN比を改善するため、該生成された画像データから、ノイズ成分が低減された補正画像データ(分析用画像)を生成する。通常、当該分析装置が設置される環境では、外部からの迷光(例えば太陽光、街頭光など)、周辺気温、周辺環境(例えば雨、霧、雪など)によって得られる画像データのSN比が劣化してしまう。そのため、例えば、受光素子の受光面を遮蔽した状態で得られる遮光画像(受光素子自身のデバイスノイズを含む)、SC光を直接受光素子で受光することにより得られるSC光画像、SC光を照射しない状態で得た非照射画像、SC光を照射した状態で得た照明画像(被検出光情報に基づいた画像データ)を利用してSN比を改善することが可能である。これら4種類の画像の差分処理により、対象物における特定波長の吸収量(対象物の吸収波長域における被検出光の光強度情報を含む)を、迷光、周辺温度、周辺環境等の外乱の影響が除去された状態で明瞭に視覚化することができる。
被検出光情報のカラー画像化として、信号処理部は、被検出光情報に基づいた画像データをカラー画像化(視覚化)することも可能である。例えば、信号処理部は、SC光が照射される照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素それぞれに関して、被検出光に含まれる1又はそれ以上の波長成分それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させる。なお、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡レベル(グレースケール)で表現されてもよい。そして、信号処理部により画像データを構成する画素それぞれを割り当てられた色で該画像データを表示部が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。
また、他のカラー画像化として、信号処理部は、照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素それぞれに関して、被検出光の波長範囲を複数の波長域に分割し、該分割された複数の波長域それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させてもよい。この場合も、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡レベル(グレースケール)で表現されてもよい。そして、信号処理部により画像データを構成する画素それぞれを割り当てられた色で該画像データを表示部が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。
信号処理部は、出射光の波長を決定する第1ステップと、該第1ステップで決定された波長の照射光を対象物に照射し、該照射光の反射成分の検出結果を得る第2ステップを順次実施してもよい。なお、第1ステップは、対象物への照射光照射に先立って行われるステップであり、波長域800nm〜3000nmのプローブ光を対象物に照射し、該プローブ光の反射成分の検出結果に基づいて光源部から出射される照射光の波長を決定する。対象物の検査波長を予め決定しておくことにより、SC光帯域を狭めたり、不要な波長成分を選択的に除去するためのフィルタを光源部側又は光検出部側に配置することが可能になる。この構成により、SN比の良好な分光分析が可能になる。
さらに、信号処理部は、時間経過とともに順次生成された複数の画像データについて対応する画素を平均化することで、新たに分析用画像を生成する。具体的に、対応するがその平均化は、対応する各画素の輝度の平均値を新たな輝度情報として与えることにより実現される。この場合、振動など画像ボケの影響を効果的に低減できる。
また、この発明に係る真贋判定装置は、吸収波長、反射波長、及び発光波長の少なくともいずれかが互いに異なる光学特性を有する複数種類の塗料により図柄が描かれた印刷物の真贋を判定するための第1構造を有する。そなわち、当該第1構造の真贋判定装置であり、光源部と、光検出部を少なくとも備える。光源部は、印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたSC光を出射する光源であり、種光源と中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、レーザ光を入射してS光を生成する。光検出部は、照射光が照射された印刷物からの被検出光を検出する。特に、この第1構造の真贋判定装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まっている。
吸収波長、反射波長、及び発光波長が互いに異なる複数の塗料により図柄(文字、記号を含む)が描かれた印刷物に対しては、各塗料の吸収波長、反射波長、及び発光波長を全て含む光が照射される。そして、全ての図柄を映し出すことにより印刷物の真贋を判定することができる。当該真贋判定装置によれば、印刷物の真贋判定において、PCFを用いる必要が無く、広い周波数域に亘って上記図柄を映し出すことができるので、実用性に優れかつ高精度の真贋判定が可能になる。
上述のような第1構造の真贋判定装置は、光ファイバに光学的に接続された光学フィルタをさらに備えてもよい。この光学フィルタは、複数種類の塗料それぞれの吸収波長、反射波長、及び発光波長のうち、1又はそれ以上の波長に対応するSC光の波長成分を減衰又は遮断する。印刷物の真贋判定の際には、例えば複数種類の塗料のうち、特定塗料の吸収波長、反射波長、又は発光波長に相当する光を減衰又は遮断する。これにより、特定図柄のみを隠すことが可能になり、印刷物の真贋を判定することもできる。この場合、上述のような光学フィルタを備えることにより、特定図柄を選択的に隠すことが容易になる。
また、この発明に係る真贋判定装置は、発光波長及び発光寿命が互いに異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物の真贋を判定するための第2構造を有してもよい。すなわち、第2構造の真贋判定装置は、光源部と、光検出部を、少なくとも備える。光源部は、印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたSC光を出射する発光ユニットであって。種光源と中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、レーザ光を入射してSC光を生成する。光検出部は、照射光によって複数種類の塗料が励起されることにより発生する、印刷物からの発光を検出する。特に、こおn第2構造の真贋判定装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まている。加えて、光検出部は、光源部からの照射光の出射に連動して印刷物からの発光を検出する。
発光波長及び発光寿命が互いに異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物の真贋を判定する場合、このような印刷物に広帯域SC光パルスが照射されることにより、該複数種類の塗料を同時に励起・発光させることができる。また、この励起によって生じる発光を、その照射光の出射に連動して光検出部において検出することにより、時間分解された発光強度を得ることができる。この場合、発光寿命が異なる複数の塗料に起因した、時間経過に応じた発光強度、もしくは発光強度の波長スペクトル分布の変化を観察できる。すなわち、使用する塗料の種類を正確に同定でき、その結果、印刷物の真贋を正確に判定できる。さらに、蛍光などの発光を生じる複数種類の塗料を予め印刷物に塗布しておくことにより、偽造者は従来のように色彩及び印刷形状を一致させるだけでなく、全ての塗料を一致させる必要が生じるため、印刷物の偽造を飛躍的に困難にすることができる。また、この第2構造の真贋判定装置によれば、中実の光ファイバによってSC光パルスが生成されるので、実用性に優れ、より長い波長域での判定が可能となる。なお、この明細書において「発光」とは、塗料自身が発する光(例えば蛍光や燐光など)を意味する。
この発明に係る真贋判定方法は、照射ステップと、検出ステップと、判定ステップを備える。照射ステップは、レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるSC光を、照射光として印刷物に照射する。また、検出ステップは、照射光が照射された印刷物からの被検出光を検出する。判定ステップは、被検出光に含まれる波長成分のういちいずれかを判定基準波長とし、該判定基準波長の光強度に基づいて、印刷物の真贋を判定する。特に、この発明に係る真贋判定方法において、判定ステップは、印刷物の真贋判定が実施される地域を予め複数の区域に分割しておき、これら分割された区域それぞれに互いに異なる判定基準波長を割り当てている。
ここまで述べたように、当該真贋判定方法を使用することで、印刷に使用する異なる種類の発光(蛍光など)や強度を生じる塗料の種類を増やすほど偽造の検出精度を向上できる。一方、検出すべき波長帯の数が増えるので、所定波長を透過もしくは遮断するためのフィルタ構成が複雑化する。すなわち、正確に検出するためには、フィルタ数を増やすか、又は任意の波長帯を1枚のフィルタで透過させるためのフィルタが必要になる。その場合、フィルタの内部構造が複雑化する懸念がある。しかしながら、一台の判定装置によって必ずしも全ての塗料の情報(発光、吸収など)を分析する必要はなく、複数の判定装置にそれぞれ異なる波長を透過、吸収させるフィルタを設け、該複数の判定装置を用いて印刷物の情報を分析することによって、各判定装置の構成を単純化、低コスト化できる。そして、当該真贋判定方法によれば、例えば或る区域(国や地域)において偽造された印刷物が流通し、当該区域に割り当てられた所定波長の被検出光成分の強度が規格に偶然合致していたとしても、他の区域に割り当てられた別の所定波長の被検出光成分の強度も規格に合致している可能性は極めて低くなる。すなわち、他の区域において偽造を見破ることができる。したがって、当該真贋判定方法によれば、偽造印刷物を見破る確率を、簡便な構成を有する判定装置によって高めることができる。また、当該真贋判定装置によれば、HNLFといった中実の光ファイバによってSC光パルスを生成するので、実用性に優れ、PCFによるSC光の波長域よりも広い波長域を用いて判定することが可能になる。なお、この明細書において「所定波長の成分の強度」は、所定波長の成分強度の大きさ、及び成分強度の時間変化(応答性)の双方を含む。
この発明に係る地中探索方法は、地中の特定物質を探索する方法であって、掘削ステップと、照射ステップと、検出ステップと、判定ステップを備える。掘削ステップは、対象地区の地中を掘削する。照射ステップは、レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるSC光を、照射光として掘削領域内の所定部位に向けて照射する。検出ステップは、照射光が照射された所定部位からの被検出光を検出する。判定ステップは、被検出光に含まれる所定の波長成分の強度に基づいて、特定物質の存在を判定する。
上述のような地中探索方法によれば、中実の光ファイバによってSC光が生成されるので、実用性に優れ、より長い波長域での判定が可能となり、様々な種類の物質を探索可能になる。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の思想及び範囲における様々な変形及び改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
この発明に係る分析装置等によれば、実用性に優れ、より長い波長域まで分析を可能にする。
は、この発明に係る分析装置の第1実施例の構成を示す図である。 は、この発明に係る分析装置における光源部の種々の構成例を示す図である。 は、種光源の第1構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、種光源の第2構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、種光源の第3構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、光ファイバから出射されるSC光パルスのスペクトル例を示すグラフである。 は、光ファイバから出射されるSC光パルスのスペクトル例を示すグラフである。 は、図6及び図7に示された各スペクトルを実現するための光ファイバ及び種光源の条件例を示す表である。 は、図8に示された条件により得られるSC光のスペクトル全体における時間平均光強度及び平均的なスペクトル成分の強度(単位波長当たりの放射束)の大きさを示す表である。 は、この発明に係る分析装置の第2実施例の構成を示す図である。 は、照射光のパルス形状の一例と、被検出光のパルス形状の一例を示す図である。 は、この発明に係る分析装置の第3実施例の構成を示す図である。 は、信号処理部における画像処理(SN比改善及び振動補正)を説明するための図である。 は、この発明に係る分析装置の第4実施例の構成を示す図である。 は、第4実施例に係る分析装置の変形例を示す図である。 は、第4実施例に係る分析装置による第2真贋判定方法を説明するための図である(その1)。 は、第4実施例に係る分析装置による第2真贋判定方法を説明するための図である(その2)。 は、この発明に係る分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である(その1)。 は、この発明に係る分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である(その2)。 は、第4実施例に係る分析装置による第3真贋判定方法を説明するための図である。 は、この発明に係る分析装置の第5実施例の構成を示す図である。
符号の説明
1、1a〜1f…分析装置、2…種光源、2a〜2c…パルス光源、3、3a〜3f…光検出部、4…制御/分析部、5…入出力部、6a、6b…モニタ/分析部、7…分光器、8a…ガイド光源、8b…光カプラ、9…光ファイバ、11…1/2波長板、12…偏向子、13…波長可変フィルタ、14,19…レンズ、14a…コリメータレンズ、14b…集光レンズ、15…ハーフミラー、16…光学フィルタ、17…ピンホール板、20,20a〜20e…光源部、A1、A2…対象物、A3…印刷物、A4…コンクリート、L…被検出光、Ld…微小散乱光、Lg…ガイド光、P1…レーザ光、P2…SC光、P3…照射光。
以下、この発明に係る分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法の各実施例を、図1〜21を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施例)
図1は、この発明に分析装置の第1実施例の構成を示す図である。図1の領域(a)に示された分析装置1は、赤外分光分析によって様々な物質を特定したり、対象物質の分布状況や粒径を分析できる装置であり、光検出部3、制御/分析部4、入出力部5、及び光源部20を備える。なお、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。
光源部20は、スーパーコンティニューム光(SC光)P2に基づく照射光P3を対象物Aに照射するための構成要素である。光源部20は、種光源2と、種光源2に入射端が光学的に接続された光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光学的に直列接続された波長可変フィルタ13とを有する。
種光源2は、図示しない電源装置から電源供給を受けてレーザ光P1を出射する。レーザ光P1は、例えば連続的なレーザ光や、数ナノ秒以下といった極めて短い時間幅を有するパルス状のレーザ光である。なお、種光源2の内部構成については、後に詳述する。
光ファイバ9は、レーザ光P1を入射してSC光P2を生成するための光ファイバである。光ファイバ9は、光を導波するコアと、空孔を有しない中実のクラッドとを備えた、いわゆる非ホールアシスト型の高非線形光ファイバ(HNLF)である。光ファイバ9のコア部には、クラッドの実質的な屈折率とは異なる屈折率を有する領域が形成されており、該領域の配置が工夫されることによって非線形性が高められている。そして、光ファイバ9は、レーザ光P1が有するスペクトル幅を、非線形光学効果(断熱的ソリトン圧縮効果、ラマン効果、自己位相変調、四光波混合等)によって例えば2倍以上に拡大することにより、広帯域に亘ってなだらかなスペクトル形状を有するSC光P2が生成される。
HNLFは、PCFとは異なり、零分散波長を1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内に設計することが容易である。この波長範囲内でSC光P2の発生に寄与する種光源の波長を零分散波長近傍にすることで、SC光P2が発生し易くなる。すなわち、PCFが適用された場合よりも長波長側でSC光P2を発生させることができる。また、レーザ光P1の中心波長は光ファイバ9の零分散波長付近かそれよりも長波長であるのが好ましい。具体的には、光ファイバ9の零分散波長が1.3μm以上かつ1.8μm以下である場合、レーザ光P1の中心波長もまた1.3μm以上かつ1.8μm以下であるのが好ましい。この場合、光ファイバ9の低損失な領域で効率良くSC光の生成が可能になるとともに、広波長域に亘ってなだらかなスペクトルを有するSC光が好適に生成され得る。
波長可変フィルタ13(光学フィルタ)は、SC光P2を照射光P3に変換するための光学素子であって、モザイクカラーフィルタであってもよい。すなわち、光ファイバ9から出射されたSC光P2は、波長可変フィルタ13によってその波長範囲が制限され、照射光P3となる。なお、波長可変フィルタ13の波長範囲は、対象物Aに含まれる測定対象物質の反射波長(又は吸収波長、発光波長など)に応じて調整される。このような波長可変フィルタ13は、例えば干渉フィルタ、回折格子、光音響光学素子(AOTF:Acousto Optical Tunable Filter)のいずれかによって好適に実現される。
なお、光源部20は、レーザ光Laとは異なる波長の励起光を入射してSC光Lbを増幅する光増幅手段備えてもよい。図2は、図1の領域(a)に示された分析装置1における光源部20の種々の構成例を示すブロック図である。図2の領域(a)に示されたように、光増幅手段90(Amp)は、光ファイバ3と波長選択手段11の間に配置されればよい。このような光増幅手段90は、(第1構成)希土類元素(Er、Y、Bi、Tmなど)が添加された増幅用光ファイバ92を光ファイバ3の後段に配置する構成、(第2構成)ラマン増幅用光ファイバを光ファイバ3の後段に配置する構成、(第3構成)光ファイバ3自体がラマン増幅用の光ファイバとなる(すなわち、光ファイバ3が光増幅手段を兼ねる)構成、(第4構成)光パラメトリック増幅(OPA)用の光ファイバを光ファイバ3の後段に光結合する構成、(第5構成)光ファイバ3自体がOPA用の光ファイバとなる(すなわち、光ファイバ3が光増幅手段を兼ねる)構成、のいずれかによって実現される。なお、光学部品間の光学的接続又は光結合は、例えば融着、光コネクタやV溝接触等による結合、及び空間結合のいずれかにより実現される。
第1構成では、図2中の領域(b)に示されたように、増幅用光ファイバ92として希土類添加光ファイバが光ファイバ3の後段に配置される。この希土類添加光ファイバに光カプラ91aを介して励起光源93aから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光Lbが好適に増幅される。なお、この第1構成の場合、SC光Lbのスペクトルの波長範囲は希土類添加光ファイバの増幅帯域に制限される。
第2構成においても、図2中の領域(b)に示された構成と同様である。すなわち、増幅用光ファイバ92としてラマン増幅用光ファイバ(光ファイバ3とは別のHNLFなど)を光ファイバ3の後段に配置される。このラマン増幅用光ファイバに光カプラ91aを介して励起光源93aから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光Lbが好適に増幅される。
第3構成は、光ファイバ3が長い(例えば数百メートル以上)場合に適している。すなわち、図2の領域(c)に示されたように、HNLFである光ファイバ3に光カプラ91bを介して励起光源93bから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、光ファイバ3自体での誘導ラマン散乱によってSC光Lbが好適に増幅される。
なお、上述の第3及び第3構成においては、SC光Lbのスペクトルの波長範囲は励起光の周波数よりも約13THz低い周波数が中心となる。また、複数波長の励起光を用いることにより、100nm以上のスペクトル帯域幅を有するSC光Lbを増幅することも可能である。
第4構成では、OPA用光ファイバ(光ファイバ3とは別のHNLFなど)を光ファイバ3の後段に配置する。このOPA用光ファイバに光カプラを介して励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光Lbが好適に増幅される。この第4構成も、図2の領域(b)に示された構成で実現され得る。
第5構成は、光ファイバ3が長い(例えば数十メートル以上)場合に適している。すなわち、HNLFである光ファイバ3に、光カプラを介して励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給されることにより、光ファイバ3自体での光パラメトリック効果によってSC光Lbが好適に増幅される。この第5構成も、図2中の領域(c)に示された構成により実現され得る。
なお、上述の第4及び第5構成においては、励起光及び信号光、アイドラー光の位相が互いに整合する条件でSC光Lbが増幅される。また、この構成によれば、数百nmといった広い帯域幅を有するSC光Lbでも好適に増幅できる。
上述のような構成を有する光増幅手段を用いて光増幅することにより、SC光Lbの強度が数dB〜数十dB増幅される。加えて、光増幅の飽和現象を用いれば、入射光に多少の強度変動があっても増幅光の強度は安定する。すなわち、増幅前におけるSC光Lbの強度の波長依存性や時間変動が大きくても、光増幅後におけるSC光Lbの強度変動を安定化することが可能になる。
また、この第1実施例では、光学フィルタ(波長可変フィルタ13)が光源部20に設けられている。すなわち、対象物A1へ照射される照射光P3の波長範囲が波長可変フィルタ13により制限されているが、光学フィルタは、対象物Aと光検出部3との間に配置されてもよい。この場合、光学フィルタは、光検出部3へ入射する被検出光L(後述)の波長範囲を制限することとなる。
光検出部3は、被検出光Lを検出する。光検出部3は、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現され、対象物Aからの被検出光Lを電流値などの電気的な量に変換する。光検出部3は、図1中の領域(b)に示されたように、InP基板上にInGaAs感光層が設けられた構造を有するのが好ましい。この場合、0.8μm以上かつ3μm以下の波長域を有する広帯域の被検出光Lを好適に検出できる。また、このような受光素子において、感光層材料としては、検出波長に応じて、Si、PbSe、InAs、PbS、HgCdTeのいずれが選択されてもよい。また、基板材料はInPには限定されない。
なお、光検出部3の受光感度が波長によって変動するような場合には、照射光P3のスペクトル波形が、光検出部3の受光感度の波長依存性を補償するような形状であればよい。すなわち、光検出部3の受光感度が低い波長域においては照射光P3の光強度を大きくし、逆に光検出部3の受光感度が高い波長域においては照射光P3の光強度を小さくすることによって、光検出部3の波長依存性に拘わらず広帯域に亘って均一な検出結果を得ることができる。
制御/分析部4は、種光源2からのレーザ光P1の出射タイミングと、光検出部3における検出タイミングとを制御する制御部としての機能と、光検出部3からの電気信号(検出結果)に基づいて、被検出光Lに関するスペクトル波形情報及び時間波形情報(経時的な強度変化情報)のうち少なくとも一方を生成する信号処理部としての機能とを兼備する。なお、制御/分析部4によって生成された情報は、入出力部5に表示されて分析に供される。分析装置1において、これら制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成される。
また、SC光P2の一部を分岐し、参照光として検出してもよい。この場合には、参照光と検出光Lとの比較により、より正確な近赤外吸収スペクトルを得ることが可能になる。
次に、種光源2の詳細な構成について説明する。図3は、種光源2の第1構造として、パルス光源2aの構成を示す図である。パルス光源2aは、いわゆるアクティブ(能動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、リング型共振器によって構成されている。すなわち、パルス光源2aは、半導体レーザ素子21と、LN変調器22aと、LN変調器22aを駆動する信号発生器22bと、リング状のキャビティ(光導波路)23を備える。半導体レーザ素子21は、カプラ23aを介してキャビティ23のリング状部分と光学的に接続されている。また、キャビティ23のリング状部分は、カプラ23cを介して出力用光導波路23dと光学的に接続されている。キャビティ23のリング状部分には、エルビウム添加光ファイバ(EDF)23b、及びLN変調器22aが光学的に直列接続されている。
所定周波数の電気的パルス信号が信号発生器22bからLN変調器22aに送られると、LN変調器22aにおける光損失が該周波数に応じた周期で減少する。キャビティ23のリング状部分へは半導体レーザ素子21から励起光が供給される。そして、この励起光によって励起されたEDF23b内の光に含まれる各モードの位相が同期したときに発振が生じるようにLN変調器22aを制御すれば、パルス幅が数フェムト秒程度の超短パルスレーザ光が生じて出力用光導波路23dから外部へ周期的に出射される。図1の領域(a)に示された分析装置1においては、この周期的な超短パルス光を、レーザ光Laとして利用する。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、信号発生器22bからLN変調器22aへ送られる電気的パルス信号の周波数と一致する。
また、図4は、種光源2の第2構造として、パルス光源2bの構成を示す図である。パルス光源2bは、いわゆるパッシブ(受動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、リング型共振器によって構成されている。すなわち、パルス光源2bは、半導体レーザ素子21と、リング状のキャビティ(光導波路)23と、反射ミラー24aと、反射ミラー24aに取り付けられたピエゾモータ24bと、ピエゾモータ24bを駆動する信号発生器24cを備える。なお、半導体レーザ素子21がキャビティ23に光学的に接続されている点、キャビティ23が出力用光導波路23dを有する点、及び、キャビティ23のリング状部分にEDF23bが光学的に接続されている点は、上記パルス光源2a(図1の領域(a))と同様である。
パルス光源2bにおいては、上記パルス光源2aのLN変調器22aに代えて反射ミラー24aが設けられている。反射ミラー24aはキャビティ23のリング状部分の一部を構成しており、反射ミラー24aの位置が振動することによってキャビティ23のリング状部分の長さが周期的に変化する。反射ミラー24aの振動は、ピエゾモータ24bによって与えられる。また、その振動周波数は、ピエゾモータ24bを駆動する信号発生器24cによって制御される。
所定周波数の電気的パルス信号が信号発生器24cからピエゾモータ24bに送られると、キャビティ23の長さが該周波数に応じた周期で変動する。キャビティ23のリング状部分へは半導体レーザ素子21から励起光が供給される。そして、キャビティ23の長さがソリトン条件を満たす瞬間に、パルス幅が数フェムト秒程度の超短パルスレーザ光が発生する。この超短パルス光は、レーザ光Laとして出力用光導波路23dからパルス光源2bの外部へ周期的に出射される。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、信号発生器24cからピエゾモータ24bへ送られる電気的パルス信号の周波数と一致する。なお、パルス光源2bにおいては、反射ミラー24aを機械的に駆動することによって周期的な超短パルス光を発生させているため、LN変調器22aを電気的に駆動する構成のパルス光源2aと比較して、レーザ光Laの繰り返し周波数が小さくなる傾向がある。
また、図5は、種光源2の第3構造として、パルス光源2cの構成を示す図である。パルス光源2cは、いわゆるパッシブ(受動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、Er:Yb共添加ガラスによる固体レーザによって構成されている。すなわち、パルス光源2cは、半導体レーザ素子21と、可飽和吸収体及び反射鏡が一体に構成された可飽和吸収ミラー25と、コリメータレンズ26aと、プリズム26b及び26cと、出力用カプラ26dと、ミラー27a〜27cと、Er:Yb共添加ガラス板28とを有する。このうち、半導体レーザ素子21及びコリメータレンズ26a以外の構成要素は、レーザ発振のためのキャビティCAを構成している。
半導体レーザ素子21から出射された励起光は、コリメータレンズ26a及びミラー27aを介してEr:Yb共添加ガラス板28に達し、Er:Yb共添加ガラス板28を励起する。Er:Yb共添加ガラス板28は、可飽和吸収ミラー25、プリズム26b及び26c、出力用カプラ26d、並びにミラー27a〜27cからなるキャビティCA上に配置されている。キャビティCAを進む光は、Er:Yb共添加ガラス板28によって増幅されつつ、可飽和吸収ミラー25と出力用カプラ26dとの間で往復する。
可飽和吸収ミラー25は、弱い光を吸収し、強い光を反射する性質を有する。可飽和吸収ミラー25に到達した光に含まれる各モードの位相が同期したときに光の強度が極大となるので、この瞬間にのみ可飽和吸収ミラー25は反射ミラーとして機能し、レーザ発振が生じる。従って、このレーザ光はパルス幅が数フェムト秒程度の超短パルス光となり、レーザ光Laとして出力用カプラ26dから外部へ出射される。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、キャビティCAの長さに応じた値となる。
ここで、図5及び図6は、光ファイバ9から出射されるSC光P2のスペクトルである。すなわち、図5において、領域(a)はスペクトル帯域が0.8μm以上かつ3μm以下であるSC光スペクトルを示し、領域(b)はスペクトル帯域が1.1μm以上かつ2.4μm以下であるSC光スペクトルを示している。また、図6において、領域(a)はスペクトル帯域が1.35μm以上かつ1.65μm以下であるSC光スペクトルを示し、領域(b)はスペクトル帯域が1.3μm以上かつ1.8μm以下であるSC光スペクトルを示している。なお、図5及び図6において、縦軸のスペクトル強度はピーク値を1として規格化されている。この第1実施例のように光ファイバ9としてHNLFを用いれば、これらのように広帯域にわたって平坦なスペクトルを有するSC光P2を好適に生成できる。
図8は、図5及び図6に示されたSC光スペクトルそれぞれを実現するための条件例を示す表である。また、図9は、図8に示された条件によって得られるSC光スペクトル全体における時間平均光強度及び平均的なスペクトル成分の強度(単位波長あたりの放射束)の大きさを示す表である。
以下、第1実施例に係る分析装置1が有する効果について説明する。この第1実施例に係る分析装置1においては、空孔を有するPCFではなく中実の光ファイバ9(HNLF)にレーザ光P1を入射させ、SC光を含むSC光P2を生成している。また、光ファイバ9の零分散波長が1.3μm以上1.8μm以下に設定されており、レーザ光P1の中心波長もまた、1.3μm以上1.8μm以下に設定されている。これにより、この零分散波長域を中心とする長波長かつ広帯域のスペクトルを有するSC光P2が好適に生成される。したがって、この第1実施例に係る分析装置1によれば、より長い波長域まで赤外分光分析等が可能になる。
この第1実施例に係る分析装置1においては、光ファイバ9としてPCFではなく中実であるHNLFが適用されるため、ファイバ同士の接合が容易であり、また、接合面における光損失も小さく抑えることができる。さらに、種光源2から出射されたレーザ光P1のエネルギーによって端面が損傷(溶融)するおそれも低く、例えば光強度(SC光がパルス状の場合は、パルスのピーク強度)が0.1μW/nm以上といった比較的強いSC光P2が好適に生成され得る。このように、分析装置1aは、実用性に優れている。なお、SC光P2の光強度の上限は、例えば1000μW/nm程度であるが、SC光P2のスペクトル帯域や入射光(レーザ光P1)の強度によっては、さらに強くすることも可能である。
一般的に、PCFは偏波モード分散(PMD)が大きく、伝搬先の偏波状態が安定しないため、出射されるSC光の発生帯域や強度が安定し難い。これに対し、中実であるHNLFは、PCFと比較して構造制御性が良好であり、コア/クラッドの比屈折率差も相対的に小さいので、PMDなどの偏波依存性が小さい。特に、偏波保持ファイバが適用されることにより、偏波間の結合をほとんど無視できる。そのため、生成されるSC光P2の光強度はHNLF中を伝搬する偏波の状態が安定する。このように、当該第1実施例に係る分析装置1によれば、SC光P2の強度(SC光P2がパルス状である場合は、ピーク強度)の時間変動幅を例えば一時間当たり±5%以内という極めて小さな値にできる。
また、一般的に、赤外分光分析等において互いに異なる複数の波長の光が必要な場合、各波長に応じた光源を用意すると分析装置自体が大型化してしまう。これに対し、第1実施例に係る分析装置1は広帯域のスペクトルを有するSC光P2を光源部20が生成しているので、例えば波長可変フィルタ13や、図示しないプリズムなどを用いて一つの光源から複数の波長の光を容易に生成できる。そのため、当該分析装置1は、装置自体の小型化を可能にする。
上述のように、光源部20は、レーザ光P1とは異なる波長の励起光の供給によりSC光P2を増幅する光増幅手段を有するのが好ましい。これにより、任意の光強度の照射光P3が容易に生成され得る。また、光増幅手段からの出力光強度を飽和させることにより、SC光P2が有するスペクトルの強度変化を抑えることができる。特に、上述の第1〜第5構造(図2参照)は、照射光P3の帯域が限られている場合に極めて効果的にSC光P2を増幅する。
この第1実施例に係る分析装置1は、対象物Aへ照射される照射光P3の波長範囲を制限する波長可変フィルタ13を備えるのが好ましい。赤外分光分析においては、例えば被検出光Lを分光器で分光することにより波長成分毎の強度を知ることができる。しかしながら、波長可変フィルタ13のような光学フィルタによって照射光P3の波長範囲が制限されることにより、高価な分光器を用いなくとも容易に分析を行うことができる。波長可変フィルタ13によって波長範囲を変更可能にすることにより、吸収波長、反射波長、及び励起波長の少なくともいずれかが異なる複数種類の被測定物質を、フィルタを取り替えることなく容易に分析できる。さらに、被測定物質の吸収波長等に応じて、検出波長を容易に調整できる。
なお、対象物A1において測定対象となる物質の種類が限られている場合には、波長可変フィルタ13に代えて、照射光P3の波長範囲をある特定の範囲に制限する波長範囲固定の光学フィルタが適用されてもよい。この場合、互いに透過波長の異なる複数種類の光学フィルタを併用し、照射光P3に複数波長が含まれるように照射光P3の波長を制限してもよい。
このような光学フィルタを対象物Aと光検出部3との間に配置することにより、被検出光Lの波長範囲を制限してもよい。この場合、光ファイバ9と対象物Aとの間に波長可変フィルタ13が配置された構成と同様の効果を好適に得ることができる。
この第1実施例では、波長範囲を制限する分光手段として波長可変フィルタ13などの光学フィルタを用いている。しかしながら、該光学フィルタに代えて分光器等を用いて被検出光Lを分光してもよい。このように分光器が適用される構成としては、例えば(A)対象物Aと光検出部3との間に分光素子(プリズムやバルクタイプのグレーティング素子など)が配置される構成、及び(B)フーリエ変換分光を利用する構成などが考えられる。
上述の構成のうち構成(A)では、対象物Aと光検出部3との間に分光素子が配置されるとともに、光検出部3としてアレイ状の受光素子が適用可能である。この場合、光検出部3の特定位置に入射する光は特定波長のスペクトル強度情報を有するので、分光分析を好適に行うことができる。あるいは、光検出部3として一個の受光素子を用い、分光素子を回転させることにより(又は光検出部3を平行移動させることにより)、分光素子を透過した被検出光Lを検出してもよい。いずれの構成によっても、分光分析を好適に行うことができる。
また、構成(B)の一例としては、次の構成が好適である。すなわち、ハーフミラー、固定ミラー、及び可動ミラーなどを用い、対象物Aに入射する照射光P3の光路を二手に分岐し、一方の光路長を可変にする。そして、該一方の光路長を調整することによって干渉強度を検出し、この干渉強度と光路長差との相関に基づいて、フーリエ変換により分光スペクトルを好適に得ることができる。
(第2実施例)
図10は、この発明に係る分析装置の第2実施例の構成を示す図である。この第2実施例に係る分析装置1aは、赤外分光分析によって様々な物質を特定したり、対象物質の分布状況や粒径を分析する。すなわち、分析装置1aは、図10に示されたように、光検出部3a、制御/分析部4、入出力部5、コリメータレンズ14a、集光レンズ14b、ハーフミラー15、ピンホール板17、及び光源部20aを備える。これらのうち、光検出部3a、制御/分析部4、及び入出力部5の構成については、上述の第1実施例における光検出部3、制御/分析部4、及び入出力部5と同様なので、詳細な説明を省略する。なお、この第2実施例においても、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。
光源部20aは、スーパーコンティニューム光(SC光)P2に基づく照射光P3を薬剤などの対象物A1に照射する発光ユニットである。光源部20aは、種光源2と、種光源2に入射端が光学的に接続された光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光学的に直列接続された1/2波長板11、偏向子(偏向板)12、及び波長可変フィルタ13とを含む。これらのうち、種光源2、光ファイバ9、及び波長可変フィルタ13の構成は、第1実施例における光源部20と同様である。
1/2波長板11、偏向子12、及び波長可変フィルタ13は、SC光P2を照射光P3に変換するための光学部品である。すなわち、光ファイバ9から出射されたSC光P2は、1/2波長板11によって円偏光となり、偏向子12によって偏波面が規定される。なお、この偏向子12は光軸周りに回転可能なように設けられており、SC光P2の偏波面の向きを自在に変更できるしくみになっている。その後、SC光P2は、波長可変フィルタ13によってその波長範囲が制限され、照射光P3として出射される。
コリメータレンズ14a及び集光レンズ14bは、対象物A1の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20aの光出射端に光学的に接続されている。コリメータレンズ14aは、光源部20aから出射された照射光P3をコリメートする。集光レンズ14bは、コリメートされた照射光P3を対象物A1へ向けて集光する。集光レンズ14bは、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A1の表面における照射光P3の照射径は1μm以上かつ50mm以下であるのが好ましい。一方、照射ビームを拡大するときは、集光レンズ14bを取り外してもかまわない。また、集光レンズ14bに代えてシリンドリカルレンズを用い、照射光P3の照射範囲をライン状に制限し、光源部20aを線光源化してもよい。
ハーフミラー15は、対象物A1において生じた被検出光Lを光検出部3aへ導くための光学部品であり、コリメータレンズ14aと集光レンズ14bとの間に配置されている。ここで、被検出光Lとは、照射光P3に起因する対象物A1からの光であり、例えば照射光P3が対象物A1内部の測定対象物質によって反射又は散乱した光や、測定対象物質を透過した光、あるいは、照射光P3によって測定対象物質が励起されることにより生じる発光などである。
ピンホール板17は、共焦点光学系を構成するための光学部品である。すなわち、ピンホール板17は、ピンホール17aを有する板状の部材からなり、ピンホール17aが光検出部3aの受光面上に位置するように光検出部3aとハーフミラー15との間に配置されている。ピンホール板17は、光検出部3aへ入射する被検出光Lから、焦点の合致した箇所以外の反射光を除去することにより、例えば深さ方向に精度を要する対象物A1を分析する際に分解能を小さくできる。
次に、分析装置1aを用いた赤外分光分析の一例として、薬剤の粒径分布測定及び分散測定について説明する。
(粒径分布測定)
薬剤を製造する際には、体内での薬効時間にばらつきが生じるのを抑えるために、粒径のばらつきを小さくすることが求められる。このため、製造過程において粒径分布を測定できるのが好ましい。粒径分布を測定するためには、測定対象物質の反射波長に相当する波長成分を含むパルス状の照射光P3を薬剤サンプル(対象物A1)に照射し、薬剤サンプルから得られる被検出光Lのパルス形状と、照射光P3のパルス形状とを互いに比較すればよい。なお、薬剤の粒径分布を測定する方法としては、例えば光源部20aから出射された照射光P3を分岐して、薬剤サンプルに光が照射された際に薬剤サンプル内で生じる光散乱による反射戻り光の時間遅れ成分を抽出することによって粒径分布を求める方法や、あるいは薬剤サンプルからの反射戻り光のパルス応答を測定した後で参照パルス形状サンプルとして基準反射板などを置き、同じく反射戻り光のパルス応答を測定し、その両者の差分を測定する方法などがある。分析装置1aなどの測定系では、被測定物の深さ方向の分解能が高いため、詳細に粒径分布を測定することができる。
そして、被検出光L及び照射光P3のパルス波形を比較した結果(差分など)に基づいて、ケモメトリックス法や主成分分析などの統計的手法による解析が行われ、また、複数の薬剤成分の反射光強度に応じて波長が変えて測定されることにより、サンプルに含まれる複数成分の粒径分布の評価を行うことができる。
図11は、照射光のパルス形状の一例と、被検出光のパルス形状の一例を示す図である。この図11において、領域(a)は照射光P3のパルス形状の一例を示す。領域(b)は被検出光Lのパルス形状の一例を示す。照射光P3を薬剤サンプルに照射すると、薬剤サンプルから得られる被検出光Lには微小散乱光Ldが含まれる。この微小散乱光Ldの光強度は、対象物A1の粒径分布に依存する。そして、微小散乱光Ldは、通常の反射光よりも時間的に遅延して光検出部3aに到達するので、この図11の領域(b)に示されたように、被検出光Lのパルスの裾は微小散乱光Ldの分だけ広がることになる。この裾部分を検出することによって、微小散乱光Ldの光強度が得られ、粒径分布を推定できる。
なお、例えば照射光P3のパルス幅が長すぎると、図11の領域(c)に示されたように微小散乱光Ldが被検出光Lのパルスに隠れてしまい検出が困難になる。これに対し、当該第2実施例における光源部20aによれば、上述のように時間幅が数フェムト秒といった超短パルスが、照射光P3として対象物A1に照射され得る。このように、第2実施例によれば、微小散乱光Ldの強度を正確に測定できるため、精度の良い測定が可能になる。
また、さらに簡易な方法として、照射光P3を対象物A1に照射し、その透過光を被検出光Lとして検出してもよい。この場合、透過光の減衰率から被測定物の厚み方向の平均的粒径分布を推定できる。
(薬剤の分散測定)
薬効時間内の薬剤の効果を均一にするために、薬剤を製造する際には、薬剤に含まれる各成分を均一に分散させ、各薬剤の薬効のばらつきを小さくすることが求められる。このため、製造過程において薬剤成分の分散の様子を測定できるのが好ましい。成分の分散の様子を測定するためには、パルス状の照射光P3を薬剤サンプル(対象物A1)に照射し、薬剤サンプル内において生じた蛍光などの発光(被検出光L)の分布を測定するとよい。
具体的には、特定の成分の励起波長に相当する波長成分を含む照射光P3が対象物に照射されると、被検出光Lに含まれる特定成分からの蛍光などの発光が波長選択フィルタ等により抽出された後、この発光強度が2次元の光検出部3aにより検出される。そして、検出結果が画像情報(データ)として入出力部5により表示されれば、薬剤の部位による発光の濃淡によって特定成分が均質に分散しているか否かを容易に判断できる。
また、照射光P3に対する発光(被検出光L)の時間応答を考慮することにより、対象物A1(特に、錠剤・粉末剤)における厚さ方向の分散均質度を短時間で容易に評価することができる。これにより、従来は破壊試験が必要であった(非特許文献1参照)厚さ方向の分散均質度の測定を、in−situに測定できる。
なお、上述の粒径分布測定や分散測定といった医薬の分析方法に第2実施例に係る分析装置1aを使用することにより、例えば医薬品工程管理技術(PAT:Process Analytical Technology)に応用することができる。PATにおいては、ケモメトリクスや多重回帰分布測定などの統計学的分析手法を活用し、薬剤製造プロセスにおける調整パラメータを明らかにしたうえで、上述の粒径分布や分散などの測定結果をフィードバックしながら製品の均質化を図ることができる。一方、狭義のPATにおいては、波長成分ごとのイメージングができなくても、1つ又はそれ以上の波長成分の光を照射した際の発光分布が基準データと略同一であると判定できる場合にはその薬剤サンプルを合格とする、いわゆるバッチ検査(検査簡略化)に用いることもできる。
この第2実施例に係る分析装置1aは、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い波長域まで近赤外分光分析等を可能にする。したがって、粒径分布測定や分散測定といった薬剤の分析を、様々な薬剤に対して精度よく行うことができる。
この第2実施例に係る分析装置1aは、照射光P3の偏波面を可変にする偏向子(偏向板)12を備えてもよい。被測定物質の吸収特性(又は発光特性)が照射光P3の偏波に大きく依存する場合であっても、このように照射光P3の偏波面を可変とすることにより、被検出光Lに含まれる被測定物質に関する情報のコントラストを高めることができる。
(第3実施例)
図12の領域(a)及び領域(b)は、この発明に係る分析装置の第3実施例の構成を示す図である。これら領域(a)及び領域(b)に示された分析装置1b、1cは、上述の第1実施例に係る分析装置1を変形例であり、例えば食品検査などの際の近赤外分光分析に使用することができる。
図12の領域(a)に示されたように、分析装置1bは、光検出部3b、モニタ/分析部6a(信号処理部に含まれる)、分光器7、レンズ14、及び光源部20bを備える。光源部20bは、SC光P2を照射光P3として食品などの対象物A2に照射するための構成要素である。光源部20bは、種光源2及び光ファイバ9によって構成されている。なお、種光源2及び光ファイバ9の構成は、第1実施例と同様である。
レンズ14は、対象物A2の表面における照射光P3(SC光P2)の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20bの光出射端に光学的に接続されている。なお、レンズ14は、対象物のサイズ(ゴマ、米粒などの小さな種子は狭く、ミカン、リンゴ、メロンといった大きな果実は広く)に応じて照射径を適切な範囲にする。すなわち、レンズ14は、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A2の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。
分光器7は、対象物A2からの被検出光Lを分光するための光学部品である。分光器7の構成としては、例えばプリズムやバルクタイプのグレーティング素子を用いた構成や、あるいはフーリエ変換分光を利用する構成などが適している。
光検出部3bは、被検出光Lを検出する。第3実施例における光検出部3bは、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現され、対象物A2からの反射光又は散乱光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流値などの電気的な量に変換する。なお、光検出部3bの詳細な構成は、第1実施例における光検出部3と同様である。
モニタ/分析部6aは、種光源2からのレーザ光P1の出射タイミングと、光検出部3bにおける検出タイミングとを制御する制御部としての機能と、光検出部3bからの信号(検出結果)に基づいて、被検出光Lに関するスペクトル波形情報を生成する信号処理部としての機能とを兼備する。また、モニタ/分析部6aは、生成されたスペクトル波形情報を表示する表示部としての機能も備えている。
一方、分析装置1cは、図12の領域(b)に示されたように、光検出部3c、モニタ/分析部6a(信号処理部)、レンズ14、及び光源部20cを備える。このうち、モニタ/分析部6a及びレンズ14の機能は、分析装置1bと同様である。
光源部20cは、SC光P2に基づく照射光P3を対象物A2に照射するための発光ユニットである。光源部20cは、上述の光源部20bと異なり、種光源2及び光ファイバ9に加えて、光ファイバ9の出射端に光学的に接続された光学フィルタ16を有する。この光学フィルタ16は、照射光P3の波長範囲を所定範囲に制限するための光学部品であり、図12の領域(a)における分光器7に代えて設けられる。なお、この第3実施例における光学フィルタ16は、被測定物質の吸収波長に応じてその透過波長範囲が固定されるが、波長可変フィルタを用いても良い。また、光学フィルタ16は、互いに透過波長が異なる複数の波長固定フィルタによって構成されてもよい。この場合、複数の波長成分を同時に用いて被測定物質を分析することができる。
光検出部3cは、上述の光検出部3bと同様に、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現される。ただし、この光検出部3cは、対象物A2からの透過光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流値などの電気的な量に変換する。この光検出部3cの詳細な構成も、第1実施例における光検出部3と同様である。
なお、第3実施例に係る分析装置1b、1cは、反射光を検出する光検出部3b及び透過光を検出する光検出部3cをそれぞれ備えているが、分析装置1b(又は分析装置1c)は、光検出部3b、3cの双方を備えることにより反射光及び透過光の双方を撮像してもよい。また、分析装置1cにおいては、レンズ14又は対象物A2の位置を相対的に移動可能にすることにより、対象物A2の表面を照射光P3が走査させる構成であってもよい。
この発明に係る分析装置は、被検出光L2に基づいた画像データのSN比を改善するための構造を備えてもよい。すなわち、信号処理部は、生成された画像データのSN比を改善するため、該生成された画像データから、ノイズ成分が低減された補正画像データを生成する。通常、当該分析装置が設置される環境では、外部からの迷光(例えば太陽光、街頭光など)、周辺気温、周辺環境(例えば雨、霧、雪など)によって得られる画像データのSN比が劣化してしまう。そのため、例えば、受光素子の受光面を遮蔽した状態で得られる遮光画像V(受光素子自身のデバイスノイズN)、SC光を直接受光素子で受光することにより得られるSC光画像VSC、SC光を照射しない状態で得た非照射画像VBK、SC光を照射した状態で得た照明画像VIL(被検出光情報に基づいた画像データ)を利用してSN比を改善することが可能である。図13の領域(a)は、信号処理部における画像処理(SN比改善)を説明するための図であり、遮光画像V604、SC光画像VSC603、非照射画像VBK602、照明画像VIL601の各成分は、以下のように与えられる。
遮光画像V:N
SC光画像VSC:PSC+N
非照射画像VBK:(P−A)+N
照明画像VIL:(PSC−ASC)+(P−A)+N
ここで、遮光画像Vの成分は受光素子自身のデバイスノイズNで与えられる。SC光画像VSCの成分は、受光素子に照射されたSC光パワーPSCがデバイスノイズNとともに検出された値となる。非照射画像VBKの成分は、迷光パワーPが該被検出対象に吸収された吸収成分Aだけ減少した状態でデバイスノイズNとともに検出された値となる。また、照明画像VILの成分は、被検出対象に吸収されたSC光の吸収成分ASCだけ減少したSC光の反射成分(PSC−ASC)と吸収成分Aだけ減少した迷光成分(P−A)がデバイスノイズNとともに検出された値となる。なお、遮光画像V604、SC光画像VSC603、及び非照射画像VBK602は、赤外線撮影に先立って取得し、予め信号処理部のメモリ90に格納しておけばよい。
このとき、照明画像VILと非照射画像VBKの差分(VIL−VBK)をとると、以下の式(1)で与えられる成分値が得られる。
IL−VBK=PSC−ASC …(1)
さらに、SC光の照射パワーPSCを除去するため、SC光画像VSCと式(1)で得られた成分値の差分をとる。
SC−(VIL−VBK)=ASC+N …(2)
この式(2)で得られた成分値は、被検出対象に吸収されたSC光の吸収成分ASCの他、デバイスノイズNを含んでいる。そのため、さらに、式(2)で得られた成分値と遮光画像Vの成分値Nの差分をとることにより、被検出対象におけるSC光の吸収成分ASCのみの情報を含む分析用画像605が得られる。
このように、これら4種類の画像の差分処理により、被検出対象における特定波長の吸収量(被検出対象の吸収波長域における被検出光の光強度情報を含む)を、迷光、周辺温度、周辺環境等の外乱の影響が除去された状態で明瞭に視覚化することができる。
さらに、この発明に係る分析装置は、被検出光に基づいた画像データの振動補正をするための構造を備えてもよい。例えば、信号処理部において、時間経過とともに順次取り込まれた複数の画像データについて対応する各画素ごとに平均化(例えば対応する各画素の輝度の平均値を新たな輝度情報として与える)することにより、振動など画像ボケの影響を効果的に低減できる。図13の領域(b)は、信号処理部における画像処理(振動補正)を説明するための図である。
すなわち、図13の領域(b)に示されたように、信号処理部は、メモリ90内に時間経過t、t、…、tとともに順次照明画像601を取り込む。これら取り込まれた照明画像のうち時間tの照明画像と時間ti+1の照明画像について平均化処理を行い、画像内のボケが補正された分析用画像606が得られる。なお、メモリは、記憶容量に制限があるので、使用済みの照明画像は逐次削除される。また、振動が大きい場合には、平均化処理に利用する照明画像の枚数(フレーム数)を多くすることにより、より振動の影響を低減することができる。逆に、振動が小さい場合には、平均化処理に利用する照明画像の枚数(フレーム数)を少なくしてもよい。
続いて、第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)を利用した赤外分光分析の一例として、食品検査・選別、血糖値検査、及び地中探索について説明する。
(食品検査・選別)
例えば、果実などの食品に照射光P3を照射し、フルクトースやグルコースなどの糖分に特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、糖度の測定を容易に行うことができる。あるいは、クエン酸やアスコルビン酸に特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、酸度の測定を容易に行うことができる。あるいは、エチレンやクロロフィルに特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、熟度の測定を容易に行うことができる。あるいは、ペクチンに特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、硬度の測定を容易に行うことができる。
この食品検査・選別の際には、ケモメトリックス法が好適に用いられる。すなわち、測定対象物質(フルクトース、クエン酸、エチレンなど)の吸収波長に相当する被検出光Lの波長成分の光強度や、該光強度と他の波長成分の光強度との比が指標として準備される。そして、この指標と、水分量、糖度、酸度、及び熟度との予め測定された相関に基づいて、検量線との比較によって半経験的にこれら水分量、糖度、酸度、及び熟度が定量化される。あるいは、ある測定対象物質の吸収波長(例えば果物であれば、水分量なら波長2.1μm付近、糖分なら波長1.7μm付近、酸度なら波長1.1μm付近、熟度なら波長0.9μm付近、硬度なら波長1.2μm付近)における被検出光Lの光強度の大きさに基づいて、水分、糖度、酸度、熟度、硬度などが定量化されてもよい。
第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い波長域まで近赤外分光分析等が可能になる。したがって、上述のような比較的長い吸収波長を有する被測定物質を好適に測定できるので、食品検査・選別に適している。
また、従来の近赤外分光分析装置としては、例えばフェムト秒のチタンサファイアレーザを非線形結晶を用いて近赤外光に波長変換する構成(非特許文献2参照)が知られている。しかしながら、このような構成では、装置が高価かつ大型になってしまう。この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、このような従来の装置と比較して装置構成が単純であり、小型化を実現可能にする。しかも、光ファイバ9を光ファイバプローブとしても利用できるので、可搬型としても極めて精密な測定が可能となる。また、メンテナンスも不要である。したがって、食品の出荷時に用いられるだけでなく、倉庫や商店に当該分析装置1b(又は分析装置1c)を用意しておき、食べ頃の食品や腐敗した食品の選別も容易になる。
なお、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、果物だけでなく、種子、穀物、魚介類、肉類など広範な食品に適用可能である。また、醤油や味噌などの加工食品についても、製造メーカや商品に固有のスペクトルを有する。したがって、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、加工食品の管理にも適している。
また、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)においては、SC光を生成するための光ファイバ9として、第1実施例と同様に中実のHNLFが用いられる。これにより、PCFを用いる場合と比較してSC光P2の光強度を大きくできる。又はロゲンランプ等の照明を用いる場合と比較して集光も容易である。したがって、従来の赤外分光分析装置では測定が困難であった皮が硬い果実(メロンやパイナップルなど)も容易に測定できる。
果実や穀物などの食品は、産地によって被検出光Lのスペクトルが異なることがある。このような場合、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によって、産地調査も可能となる。また、分析装置1b(又は分析装置1c)によれば種子の一粒ごとの測定も可能なので、ブランド種や遺伝子組み換え種の分類ができ、混雑や交配を防止することもできる。
(血糖値検査)
上述のように、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、グルコースを好適に測定できる。したがって、分析装置1b又は1cは非侵襲の血糖値検査にも適している。従来の測定装置としては、例えば特許文献2に開示された装置が知られているが、やはり装置が大型になるとともに照射光強度が弱い等の課題が残っている。実用的には、分析装置1b(又は分析装置1c)のように、SC光の発生源として中実の光ファイバ9(HNLF)を用いることが、集光性や光強度の点において好ましい。
SC光P2をラマン増幅器やOPAなどの光増幅手段(図2参照)によって増幅すれば、100nm〜300nmの帯域幅に亘ってSC光P2を増幅することができる。これにより、グルコースに特に吸収され易く、かつ生体内水分の影響を受けにくい1.5μm〜1.8μm付近の波長成分を選択的に増幅することができ、血糖値検査にとって非常に好ましい。さらに、ラマン増幅器やOPAは励起されなければ通常の光ファイバとして用いることができるので、光増幅の有無を切り替えることも容易にできる。
なお、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、採血された血液の検査にも、即時に結果が得られるので好適である。また、分析装置1b(又は分析装置1c)は、血糖値検査以外にも、例えば血中脂質や尿酸値などの検査を非侵襲で行うこともできる。
(地中探索)
分析装置1b(又は分析装置1c)は波長が比較的長い近赤外光を用いるので、対象物A1内での散乱が小さく、強散乱体である土壌に対しても数cm〜数m程度の透過が可能である。したがって、例えば掘削ドリルと共に配置し、地中を掘り進める先に存在する物質を予測することができる。具体的には、地中を掘削したのち、照射光P3を対象物A1としての地中物に照射する。そして、照射光P3に起因する地中物からの被検出光L(透過・散乱光)を検出し、被検出光Lに含まれる所定の波長成分の強度に基づいて特定物質(資源、水分など)の存在を判定する。
上述の地中探索方法によれば、例えば、照射光P3を土壌に照射して得られる反射光(被検出光L)のうち水分の吸収波長である1.4μm付近の波長成分の強度が大きい場合に、近くに水源が存在するという事実を感知できる。例えばトンネル工事などにおいて地下水掘削を防止して危険を避けたり、温泉を検知する等、様々な用途に応用できる。さらに、ラマン増幅器やOPAなどの光増幅手段を備えることにより照射光P3の光強度(分光放射束)を数W/nmに高めることができる(照射光P3の到達深度をより深くできる)。
分析装置1b(又は分析装置1c)は、水分の検知だけでなく、油井探索にも適している。すなわち、油井に特有な炭素二重結合(C=C、C=C−Hなど)に由来する吸収波長が1.7μm〜1.8μm付近にあるため、土壌からの被検出光Lにおいてこの波長範囲の成分強度に変化が生じれば、油井の存在を検知できる。
この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い周波数域まで赤外分光分析等が可能になる。したがって、様々な種類の物質を探索できる地中探索方法を提供できる。
分析装置1b(又は分析装置1c)は、図6の領域(a)及び領域(b)に示されたような広帯域に亘る照射光P3のスペクトルが実現できる。したがって、単一の光源(光源部20a)によって広範な波長の赤外分光測定が可能であり、例えば、水分に吸収されにくい1.0μm付近の波長成分強度と、水分に吸収され易い2.0μm付近の波長成分強度とを同時に測定し、水分の分布を知ること等が容易にできる。また、水分の検知と当時に、該水分に含まれるミネラル成分の分析も行うことができる。従来は、採掘現場から水を採取(サンプリング)してその成分を分析していた。しかしながら、当該第3実施例によりサンプリングの手間が省けるので、大幅にコストを削減できる。
また、分析装置1b(又は分析装置1c)は、鉱山での採掘物の分析にも適している。すなわち、採掘穴や採掘した土壌(岩石)に照射光P3を照射し、被検出光Lのスペクトルを分析することによって、有用資源を検知することもできる。
以上、第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)の好適な用途について説明したが、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、上記用途に限らず、例えば励起状態分子、ラジカル分子、励起分子錯体など、化学反応の中間体を検出することもできる。したがって、レーザーチップ、太陽電池、光メモリー、又は光触媒などの解析や検査といった用途に用いることもできる。また、化学反応用の励起レーザとともに統合的に制御し、励起から測定までの時間を精度よく管理しつつ測定することによって、化学反応における時間分解スペクトルをフェムト秒からナノ秒オーダーで正確に得ることも可能である。
(第4実施例)
図14は、この発明に係る分析装置の第4実施例の構成を示す図である。図14の領域(a)及び領域(b)に示された分析装置1d、1eは、上述の第1実施例に係る分析装置1の変形例であり、吸収波長、反射波長、及び励起波長のうち少なくともいずれかが互いに異なる複数の塗料により図柄が描かれた紙幣などの印刷物A3の真贋を判定する(偽造を検知する)。図14の領域(a)に示されたように、分析装置1dは、光検出部3d、モニタ/分析部6b(信号処理部)、レンズ19、及び光源部20dを備える。
光源部20dは、SC光P2に基づく照射光P3を紙幣などの印刷物A3に照射するための発光ユニットである。光源部20dは、レーザ光P1を出射する種光源2と、レーザ光P1を入射してSC光P2を出射する中実のHNLFである光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光結合された波長可変フィルタ13とによって構成されている。なお、種光源2、光ファイバ9、及び波長可変フィルタの詳細な構成は、第1実施例と同様である。例えば、光ファイバ9の零分散波長は1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内にあり、種光源2から出射されるレーザ光P1の中心波長も同様の範囲に含まれる。
レンズ19は、印刷物A3の表面に対し広範囲に照射光P3を照射するための光学部品であり、光源部20dの光出射端に光学的に接続されている。
光検出部3dは、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lを検出(撮像)する。この第4実施例における光検出部3dは、例えば赤外カメラ等の二次元撮像装置によって実現され、印刷物A3からの反射光又は発光を被検出光Lとして受光し、その画素毎の光強度を電気信号に変換して、そして撮像データを生成する。この第4実施例における印刷物A3には、吸収波長等が互いに異なる(具体的には、反射スペクトルあるいは発光スペクトルが互いに異なる)複数の塗料により図柄が描かれており、また、光源部20dからは波長可変フィルタ13によって選択された特定波長の照射光P3が照射される。そのため、被検出光Lには該特定波長に対応する図柄情報が含まれることになる。ここで、図柄とは必ずしも2次元的である必要はなく、線状に塗布されたものであっても構わない。
モニタ/分析部6bは、被検出光Lにより認識される図柄を分析・表示する。モニタ/分析部6bは、光検出部3dから撮像データを受け取り、該撮像データに基づく画像(図柄を含む)を分析・表示する。
一方、分析装置1eは、図14の領域(b)に示されたように、光検出部3e、モニタ/分析部6b(信号処理部)、レンズ14、及び光源部20dを備える。これらのうち、モニタ/分析部6b及び光源部20dの構成は、図14の領域(a)に示された分析装置1dと同様である。
レンズ14は、印刷物A3の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するためのコリメータレンズ(照射径制限部)であり、光源部20dの光出射端に光学的に接続されている。レンズ14は、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、印刷物A3の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。また、レンズ14又は印刷物A3の位置が相対的に移動可能な構成にすることで、印刷物A3の表面を照射光P3が走査できる構成であってもよい。
光検出部3eは、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lを検出(撮像)する。上述の光検出部3dと同様に、例えば赤外カメラ等の二次元撮像装置によって実現される。ただし、この光検出部3eは、印刷物A3からの透過光を被検出光Lとして受光し、その画素ごとの光強度を電気信号に変換して、撮像データを生成する。
なお、この第4実施例においても、分析装置1d、1eが、反射光を検出する光検出部3d及び透過光を検出する光検出部3eをそれぞれ備えている。しかしながら、分析装置1d(又は分析装置1e)は、光検出部3d、3eの双方を備えることにより反射光(又は発光)及び透過光の双方を撮像してもよい。
また、光源部20dは、複数の出射端を備えてもよい。SC光の出射端が複数設けられることにより、対象物に対してより均一な照射光の照明が可能になる。具体的には、図15に示されたように、波長可変フィルタ13の出射端側に1対多の分岐手段140を配置し、該分岐手段140の複数の出射端からのSC光P3を拡散板150に照射させる。そして、この拡散板150を介して照射光を印刷物A3等の対象物に照射させることにより、照射位置による強度差を低減することが可能になる。なお、図15は、第4実施例に係る分析装置の変形例を示す図である。また、分岐手段140としては、例えば、光カプラなどの光学部品の他、WDMカプラやAWGなど、波長選択性を有する光学部品であってもよい。
これら分析装置1d、1eによれば、中実の光ファイバ9によってSC光P2が生成されるので、実用性に優れ、かつ、より広い周波数域での印刷物の真贋判定が可能になる。以下、分析装置1d(又は分析装置1e)を利用した印刷物の真贋判定方法の一例について説明する。
(第1の真贋判定方法)
従来の偽造検出装置(例えば、特許文献3及び特許文献4)には、複数の波長の光を用いることにより、紙幣、カード等の印刷物の偽造を検出するものがある。すなわち、特定の吸収波長等を有する複数の塗料が予め塗布された印刷物に対し、それらの吸収波長等に対応する波長の照射光P3を照射することにより、該複数の塗料を検知して偽造の有無を判断している。しかしながら、塗料の種類が少ないと、同一の塗料が使用されることにより偽造を検知できないおそれが高くなってしまう。また、一旦偽造を検知できない印刷物が複数の区域(国等)にまたがって流通した場合、それを検出可能とする為には別の波長で発光する光源と交換する必要があり、柔軟な対応ができない。
この第4実施例に係る分析装置1d、1eにおける光源部20dは、近赤外領域において平坦なスペクトルを有するSC光P2を生成する。そして、このSC光P2の波長を波長可変フィルタ13によって変化(掃引)しながら照射光P3として印刷物A3に照射し、照射光P3の波長変化に応じて連続的に被検出光Lを撮像することによって、印刷物A3が有する波長領域での連続的な特徴を容易に得ることができる。ここで、波長領域での連続的な特徴とは、印刷物A3に塗布された塗料の種類及び図柄に起因する透過光又は反射光のスペクトル波形、及び印刷物A3の基部となる材料(紙質など)に応じた透過光又は反射光のスペクトル波形といった印刷物A3に固有の特徴である。
したがって、上述の従来の偽造検出装置とは異なり、この第1の真贋判定方法では使用する材料の特定を可能にするため、偽造を試みようとする者は、従来のように、色彩及び図柄を一致させるだけでなく、印刷物A3に塗布された全ての塗料の色、塗料の材質、図柄、及び印刷物A3の紙質などを全て本物と一致させる必要があり、偽造を行うことが著しく困難となる。また、真贋判定のための特定の塗料を塗布する必要がないので、既に発行されている印刷物であっても真贋判定が可能になる。また、一つの装置のみによって様々な印刷物A3の真贋を判定することが可能になる。さらに、仮に偽造を検知できない印刷物が流通したとしても、波長可変フィルタ13による照射光P3の波長の掃引間隔や波長の値を変更することにより、その偽造印刷物に即時に対応できる。
(第2の真贋判定方法)
図16及び図17は、第2の真贋判定方法を説明するための図である。この第2の真贋判定方法においては、まず、光源部20dにおいて光ファイバ9にレーザ光P1を供給し、図16の領域(a)に示されたスペクトルのように広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2を生成する。そして、図16の領域(b)に示されたように、波長可変フィルタ13によって照射光P3の波長が第1の所定波長λに制限され、この照射光P3が印刷物A3に照射される。続いて、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。その結果、図16の領域(c)に示されたように、波長λに対応する被検出光Lの光強度Iが検出される。
その後、波長可変フィルタ13によって照射光P3の波長が第2〜第4の所定波長λ〜λに順に制限され、これら所定波長λ〜λに対応する被検出光Lの光強度I〜Iが順次検出される。これにより、図16の領域(c)に示されたような離散的な光強度データが得られ、この光強度データによって真贋を判定することができる。なお、図16の領域(c)におけるグラフGは、印刷物A3の塗料の種類、図柄、紙質などに起因する連続的なスペクトル波形である。
さらに、この第2の真贋判定方法においては、図17の領域(a)に示されたように、当該印刷物が流通している地域Rを複数の区域(例えば4つの区域AR1〜AR4)に分け、各区域に割り当てられる所定波長λ〜λの組み合わせが変えられる。具体的には、区域AR1には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4bが割り当てられ(図17の領域(b))、区域AR2には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4bとは異なる波長λ1c〜λ4cが割り当てられ(図17の領域(c))、区域AR3には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4b及びλ1c〜λ4cとは異なる波長λ1d〜λ4dが割り当てられ(図17の領域(d))、区域AR4には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4b、λ1c〜λ4c、及びλ1d〜λ4dとは異なる波長λ1e〜λ4eが割り当てられる(図17の領域(e))。
すなわち、各区域A1〜A4における光強度データを総合すると、印刷物A3のより詳細なスペクトルが得られることになる(図17の領域(f))。このように、第2の真贋判定方法によれば、各区域AR1〜AR4における離散的な光強度データが互いに補完関係を有する。これにより、区域AR1〜AR4それぞれにおいては簡易でありかつスループットの高い偽造検知システムを構築でき、かつ、複数の区域を組み合わせることで、より詳細な情報を得ることができる。そのため、第2の真贋判定方法は、全体として強固な偽造検知システムを構築できるという利点がある。ある区域AR1において偽造印刷物が流通し、当該区域AR1に割り当てられた所定波長λ1b〜λ4bの被検出光Lの強度が規格に偶然合致していたとしても、他の区域(例えば区域AR2)に割り当てられた所定波長λ1c〜λ4cの被検出光Lの強度も規格に合致している可能性は極めて低く、当該他の区域AR2において偽造を見破ることができる。したがって、この第2の真贋判定方法によれば、偽造印刷物を見破る確率を高めることができ、より強固な偽造防止システムを構築できる。また、この第2の真贋判定方法によれば、偽造印刷物の流通過程を容易に追跡することも可能になる。
なお、第4実施例において、信号処理部は、出射光の波長を決定する第1ステップと、該第1ステップで決定された波長の照射光を対象物に照射し、該照射光の反射成分の検出結果を得る第2ステップを順次実施してもよい。この第1ステップは、対象物への照射光照射に先立って行われるステップであり、波長域800nm〜3000nmのプローブ光を対象物に照射し、該プローブ光の反射成分の検出結果に基づいて光源部から出射される照射光の波長を決定する。対象物の検査波長を予め決定しておくことにより、SC光帯域を狭めたり、不要な波長成分を選択的に除去するためのフィルタを光源部側又は光検出部側に配置することが可能になる。この構成により、SN比の良好な分光分析が可能になる。
次に、この発明に係る分析装置は、被検出光情報に基づいた画像データをカラー画像化する構造を備えてもよい。図18及び図19は、当該分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である。
このカラー画像化は、例えば信号処理部において行われ、図18に示されたように、画像データ601(照明画像)を構成する画素PX11、…、PXnmごとに可視光帯の色を割り当てることにより照明領域のより明瞭な視覚化が可能になる。
例えば、信号処理部は、照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素画素PX11、…、PXnm(図18参照)それぞれに関して、図19の領域(a)に示されたように、特定波長λ、λごとに可視光域の異なる色を割り当てる。なお、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡で表現された色であってもよい。そして、図19の領域(b)に示されたように、信号処理部により画像データを構成する画素画素PX11、…、PXnmそれぞれを割り当てられた色で該画像データをモニタ53が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。具体的には、図19の領域(b)に示されたように、対象物A5上の塗料50にSC光が照射されると、該塗料50からの発光又は反射光が光学フィルタ51に到達する。光学フィルタ51は、波長成分λ、λを選択的に透過する光学部品であって、該光学フィルタ51を通過した波長成分λ、λが受光素子PD52により検出される。そして、信号処理部が波長成分λ、λそれぞれに割り当てられた色でモニタ53上に生成された画像データを表示させる。
また、他の画像データの視覚化は、被検出光帯域を分割した波長帯域ごとに可視光域の異なる色を割り当てることによっても実現可能である。例えば図19の領域(c)に示されたように、信号処理部が、波長λ以下の波長帯域に青色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に赤色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に黄色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に白色を割り当て、そして、波長λ以上の波長帯域に緑色を割り当てる。なお、この他のカラー画像化においても、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡で表現された色であってもよい。
(第3の真贋判定方法)
図20は、第3の真贋判定方法を説明するための図である。なお、この第3の真贋判定方法は、吸収波長等が互いに異なる複数種類の塗料により図柄(例えば、図20の領域(b)に示された図柄F1、F2)が描かれた印刷物A3の真贋を判定する。そして、この第3の真贋判定方法を実行する分析装置は、図14の領域(a)及び領域(b)に示された波長可変フィルタ13に代えて、複数種類の塗料それぞれの吸収波長等のうち一又は二以上の波長(例えば、波長λ)に対応するSC光P2の波長成分を減衰させる光学フィルタを備える。
この第3の真贋判定方法では、方法(i)として、光源部20dから光ファイバ9にレーザ光P1が供給され、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1のように広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2が光ファイバ9内で生成され、このSC光P2が照射光P3として印刷物A3に照射される。そして、印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。また、方法(ii)として、光学フィルタによって、照射光P3における波長λの成分の光強度が大きく減衰され(グラフS2)、この照射光P3が印刷物A3に照射される。そして、印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。
図20の領域(b)及び領域(c)は、それぞれ上記方法(i)及び(ii)によって得られる画像の一例である。なお、図20の領域(b)及び領域(c)において、図柄F1は波長λを励起波長とする塗料による図柄であり、図柄F2は波長λとは異なる波長λを励起波長とする塗料による図柄である。上記方法(i)においては、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1のような広帯域に亘って平坦なスペクトルを照射光P3が有するので、被検出光Lとして得られる画像データは、図柄F1及びF2の双方を明確に映し出す(図20の領域(b)参照)。これに対し、上記方法(ii)においては、図20の領域(a)に示されたスペクトルS2のように照射光P3のスペクトルが波長λにおいて大きく減衰しているので、被検出光Lとして得られる画像データには図柄F1は含まれず、図柄F2のみが明確に映し出されることとなる(図20の領域(c)参照)。
なお、この第4実施例では、説明を簡単にするために2つの波長λ、λを使用しているが、SC光P2は広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するので、波長λのように照射光P3のスペクトルが局所的に減衰される波長を複数設定することは容易である。したがって、該複数波長それぞれに吸収波長等を有する複数種類の塗料を用いることにより、さらに高精度の偽造判定が可能になる。また、印刷物A3に互いに励起波長の異なる複数の塗料をモザイク状に塗布し、該複数種類の塗料が照射光P3の照射によって同時に発光を示すことによって、初めて意味のある記号等が画像として認識取得されるようにもできる。このとき、図20の領域(b)の波長λに励起波長をもつ塗料を印刷物A3に塗布しておくことで、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1をもつ照射光P3を照射した場合と、スペクトルS2をもつ照射光P3を照射した場合とで、取得される画像を異ならせることもできる。
この第3の真贋判定方法において、検出に使用される減衰された特定波長成分がどの波長であるかは、偽造を試みる者には不明であり、全ての塗料を用いかつ全く同様の図柄を再現する必要がある為、偽造を実施し難い。この特徴は、例えば検出には使用しない塗料をランダムに印刷物A3に塗布することにより、偽造を試みる者が印刷物を再現することをより困難にすることもできる。一方、偽造を判断する者にとっては、明瞭な画像によって印刷物A3の真贋を判別できるので、真贋判定を効率よく行うことができる。
なお、エルビウム等の希土類元素を含有した、いわゆるアップコンバージョンを利用した塗料を用いれば、近赤外域の照射光P3の照射によって可視域の被検出光Lが得られる。したがって、印刷物A3にこのような塗料を複数種類塗布しておくことにより、目視により画像を得ることも可能であり、より簡易な真贋判定システムを構築できる。
(第4の真贋判定方法)
第4の真贋判定方法は、互いに励起波長及び発光寿命が異なる複数の塗料が塗布された印刷物A3に対し、SC光P2を照射光P3として照射することにより、真贋の判定を行う。まず、光源部20dから光ファイバ9にレーザ光P1が供給され、広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2が光ファイバ9内で生成され、このSC光P2が照射光P3として印刷物A3に照射される。
そして、印刷物A3からの被検出光L(発光)が光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出(撮像)される。このとき、光検出部3d(又は光検出部3e)は、光源部20dによる照射光P3の一度の照射に応じて、所定時間の経過後、一回以上検出を行う。
互いに励起波長及び発光寿命が異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物A3の真贋を判定する場合、この印刷物A3に広帯域のSC光P2が照射されることにより、複数の塗料を同時に励起することが簡易にできる。また、この励起によって生じる発光が、照射光P3の照射から所定時間経過後に光検出部3d(又は光検出部3e)において検出されることにより、時間分解された発光強度が得られる。これにより、例えば発光寿命が1μsの塗料と10μsの塗料とを用いて図柄が描かれた印刷物A3を、光源部20dにおける照射光P3の出射をトリガとして1μs〜10μsの間に1回以上撮像することにより、発光寿命が1μsの塗料からの発光は撮像せずに、発光寿命10μsの塗料からの発光のみを検出することができる。また、光源部20dにおける照射光P3の出射をトリガとして、例えば0.5μs経過後及び5μs経過後というように2回撮像することにより、1回目の撮像と2回目の撮像とで異なる画像を得ることができるので、印刷物A3の特徴をより正確に得ることができる。したがって、この第4の真贋判定方法によれば、印刷物A3の真贋を正確に判定できる。
また、この第4の真贋判定方法を分析装置1d(又は分析装置1e)により実現することによって、より長くかつ広い周波数域に亘って上記複数の塗料を励起できるので、真贋判定をより高精度に行うことができる。また、例えば単波長パルス光源を複数使用することによってもこの第4の真贋判定方法を実施することは可能であるが、多数の単波長パルス光源(主にレーザ光源)の光パルスを互いに同期させて照射する構成は複雑かつ大型になる。これに対し、分析装置1d(又は分析装置1e)を用いることによって、照射タイミングが完全に揃った多波長の照射光P3を簡易な構成によって得ることができる。
(第5実施例)
図21は、この発明に係る分析装置の第5実施例の構成を示す図である。第5実施例に係る分析装置1fは、上述の第1実施例に係る分析装置1の変形例であり、建造物等が有するコンクリートA4の劣化を検出するための装置である。図21に示されたように、第5実施例に係る分析装置1fは、光検出部3f、制御/分析部4、入出力部5、分光器7、レンズ14、及び光源部20eを備える。なお、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。このうち、制御/分析部4及び入出力部5の構成は、第1実施例(図1)と同様であり、分光器7の構成は第3実施例(図12の領域(a))と同様である。なお、当該第5実施例は、分光器7に代えて、第1実施例と同様に波長可変フィルタを備えてもよい。
光源部20eは、SC光を含むSC光P2に基づく照射光P3をコンクリートA4に照射するための発光ユニットである。光源部20eは、レーザ光P1を出射する種光源2と、レーザ光P1を入射してSC光P2を出射する中実のHNLFである光ファイバ9と、コンクリートA4における分析部位を照らすためのガイド光Lgを生成するガイド光源8aと、ガイド光源8aをSC光P2に合波するための光カプラ8bとによって構成されている。光源部20eは、SC光P2及びガイド光源8aを照射光P3としてコンクリートA4に照射する。なお、種光源2及び光ファイバ9の詳細な構成は、第1実施例と同様である。
レンズ14は、コンクリートA4の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20bの光出射端に光学的に接続されている。なお、レンズ14は、上述の第2実施例における集光レンズ14bと同様、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A2の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。
光検出部3fは、照射光P3に起因するコンクリートA4からの被検出光Lを検出する。この第5実施例における光検出部3fは、例えばPDなどの受光素子によって構成され、コンクリートA4からの反射・散乱光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流などの電気的な量に変換する。また、レンズ14cは、被検出光Lを光検出部3fに効率よく集光させるためのレンズであり、例えばコンクリートからの反射・散乱光が微弱である場合に使用するとよい。
続いて、分析装置1fを利用したコンクリートの劣化検出方法の一例について説明する。
(コンクリートの劣化検出方法)
当該劣化検出方法は、コンクリートA4に広帯域の近赤外光であるSC光P2を照射し、反射・散乱した被検出光Lを検出し、被検出光LのスペクトルとSC光P2のスペクトルとを互いに比較することによって、コンクリートA4の化学的な劣化を非破壊で検出する。
ここで、コンクリートの劣化について説明する。コンクリートが劣化する原因としては、主に(1)中性化、(2)塩害、(3)硫酸塩劣化の3つが知られている。(1)の中性化とは、水酸化カルシウムCa(OH)と二酸化炭素(炭酸HCO)が反応してコンクリートのアルカリ性が失われることによる劣化である。また、(2)の塩害とは、塩分がコンクリート表面に付着し、内部に塩化物イオンが浸透することによる劣化である。また、(3)の硫酸塩劣化とは、酸性雨などで硫酸イオンSO 2−が水酸化カルシウムCa(OH)と反応して水酸化カルシウムが溶出することによる劣化である。
上述の劣化原因(1)〜(3)の各劣化過程においては、化学反応によってそれぞれ異なる物質が新たに生じる。したがって、この新たに生じた物質の吸収波長付近におけるコンクリートの吸収スペクトルが変化することとなる。例えば、中性化においては主に1.35μm〜1.45μm付近の吸収率が変化し、塩害においては主に2.2μm〜2.3μm付近の吸収率が変化し、硫酸塩劣化においては主に1.7μm〜1.8μm付近の吸収率が変化する。しかしながら、吸収率の値自体はばらつきが大きく、特定波長の吸収率だけを比較しても劣化の度合いを判定することは難しい。そこで、吸収率変化が生じる波長の前後の波長域を広く測定し、得られる照射光P3及び被検出光Lのスペクトルを比較することによって、劣化度合いを精度よく判定できる。この第5実施例に係る分析装置1fを用いれば、SC光P2が広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するので、上記した全ての波長域を一度に測定することができ、スペクトルの比較も容易となる。また、SC光P2はコヒーレンシーの高い広帯域光であるので、コリメートされた場合、離れた場所のある特定の位置を高い精度で照射することができる。したがって、例えば地上から建造物の高い位置を離れて測定することも容易にできる。
このように、第5実施例に係る分析装置1fがコンクリートの劣化検出に使用されることにより、より長くかつ広い周波数域に亘ってコンクリートの光吸収を測定でき、簡易な構成で高精度の劣化検出を実現できる。また、SC光P2の光源としてHNLFといった中実の光ファイバ9を用いるので、信頼性及び実用性に優れている。なお、測定されるべき波長域は、コンクリートA4の成分によって異なるため、上述の波長域に限られるものではない。
また、スペクトルの変化を比較する方法としては、照射光P3のスペクトルと被検出光Lのスペクトルとを比較する方法の他、劣化前の被検出光Lのスペクトルと劣化後の被検出光Lのスペクトルとを比較する方法、SC光P2をパルス化し、パルス光源の時間応答を測定する方法、あるいはコンクリートA4の成分別に作成された被検出光Lの吸収、反射などのスペクトルに関するデータベースと比較し、スペクトル形状の変化によりコンクリートの劣化の要因を抽出する方法など、様々な方法がある。
コンクリートA4に対して照射位置や光検出部3fを走査させることにより、コンクリートA4の劣化位置を知ることも可能である。あるいは、光検出部3fを赤外カメラ等の二次元撮像装置とし、被検出光Lの光強度を二次元的に得ることによっても、コンクリートA4の劣化位置を知ることができる。これらの場合、照射光P3の照射径をレンズ14によって小さく絞ることにより、劣化位置を更に精度よく知ることができる。また、被検出光Lのスペクトル強度の時間変化を観察することにより、コンクリートA4の深さ方向の劣化状態を測定することも可能である。
図21に示されたように、コンクリートA4の表面に設けられた突起A41に対して照射光P3が照射されてもよい。これにより、被検出光Lを効率よく検出できる。また、この第5実施例のようにSC光P2に視認性の良好な可視域のレーザ光をガイド光Lgとして光ファイバに合波して照射光P3とすることにより、離れた場所にあるコンクリートA4の測定部位を特定することも可能である。この場合、精度よく照射光P3を測定対象に照射できる。
また、コンクリートA4の表面の汚れ等によって反射率が変動する場合には、被検出光Lのスペクトルから得られた反射率の値を微分してもよい。これにより、反射率が低い場合であっても、コンクリートA4の劣化に伴い発生する反射スペクトルの変化波長帯域を特定することができるので、コンクリートA4の表面状態に拘わらず精度良く劣化検出できる。また、コンクリートA4の表面に凹凸があるなどの場合、光散乱によって効率が低下するが、そのような場合には照射光P3のビーム径を大きくし、測定領域の反射率を平均化するなどの工夫を行うこともできる。なお、これらの場合、被検出光Lのうち微分に用いる特定の波長成分のみを光検出部3fにおいて検出してもよい。
以上のように、この発明に係る分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法は、上述の実施例に限らず、様々な変形が可能である。例えば、この発明に係る分析装置は、上述の各実施例の説明において例示された用途(薬剤検査や食品検査など)に限らず、波長0.8μm以上の比較的長波長かつ広帯域の光源を必要とする他の様々な用途に用いることができる。
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
この発明に係る分析装置は、広帯域SC光源を用いた種々の分光分析装置への適用が可能である。
この発明は、スーパーコンティニューム光(SC光)を利用した分析装置、印刷物の真贋判定装置、印刷物の真贋判定方法、及び地中探索方法に関するものである。
スーパーコンティニューム光(SC光)とは、ピークパワーの強いレーザ光が非線形媒質に入射された際、該媒質中で発生する非線形現象によって、スペクトル帯域が拡大された広帯域光である。0.1μm程度から2μm程度のスペクトル帯域幅を有する広帯域光を生成する光源のひとつであるSC光源は、その高出力性、広帯域性、スペクトル平坦性などから、様々な応用分野への重要光源として期待されている。このようなSC光源として様々な構成が提案されているが、光ファイバ内でSC光を生成させる構成は、簡便であり、相互作用長を容易に長くでき、かつスペクトル制御も容易であることから、一般的に広く用いられている。
例えば、特許文献1には、フォトニッククリスタルファイバ(PCF:Photonic Crystal Fiber)を用いたSC光源と、該SC光源が適用された分光測定装置が開示されている。なお、PCFとは、クラッドに空孔を形成することにより非線形性や分散特性をある程度自由に設計可能な光ファイバであり、例えば実効コア断面積を小さくすることによって、高い非線形性が実現される。
特開2003−279412号公報 特開2005−312743号公報 特開平5−266318号公報 特表2001−518208号公報 落合、「近赤外イメージング装置の仕組みとその応用」、分光研究、第53巻、第6号、p377、2004年 岩田、「フェムト秒時間分解近赤外分光法と「束縛の弱い電子」」、分光研究、第54巻、第3号、p153、2005年
発明者らは、従来の分光測定装置について検討した結果、以下のような課題を発見した。
すなわち、非線形現象を発生するPCFの零分散波長はせいぜい0.8μm程度と短いのが一般的である。そのため、SC光を生成するためにPCFに入射されるレーザ光の波長も0.8μmの近傍に制限され、PCFにより生成されるSC光は0.4μm〜1.75μmといった比較的短い波長域に制限される(特許文献1参照)。しかしながら、赤外分光分析などにおいては、1.75μmよりも長い吸収波長等を有する物質の測定も必要になる場合がある。このような場合、PCFを用いたSC光源は不向きであり、より長波長域まで広がるスペクトルを実現可能なSC光源が望まれる。
また、PCFは、空孔を有し断面構造が複雑なためファイバ同士の接合が容易ではい。すなわち、PCFと他の光ファイバの接合では、接合面における光損失も大きくなる傾向がある。さらに、PCFは、出射光のエネルギーによって端面が損傷(溶融)してしまうおそれがある。そのため、PCFが適用されたSC光源では、強い励起光の導入ができず、強いSC光を生成することが困難である。このようにPCFには様々な課題が残っており、現状ではSC光源としての実用性に乏しい。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、実用性に優れ、より長い波長域まで赤外分光分析等を可能にするための構造を備えた分析装置を提供するとともに、この分析装置を応用した印刷物の真贋判定装置、印刷物の真贋判定方法、及び地中探索方法を提供することを目的としている。
上述の課題を解決するため、この発明に係る分析装置は、光源部と、光検出部を、少なくとも備える。光源部は、所定の対象物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたスーパーコンティニューム光(SC光)を出射する発光ユニットであって、種光源と、中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、該レーザ光を入射してSC光を生成する。特に、この発明に係る分析装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内に収まっている。
上述のような構造を有する当該分析装置では、空孔を有するPCFではなく中実の光ファイバにレーザ光を入射させ、該中実の光ファイバ内でSC光を含むSC光パルスを生成している。なお、このような中実の光ファイバとしては、いわゆる非ホールアシスト型の(すなわち中実の)高非線形光ファイバ(HNLF:Highly Nonlinear Fiber)が好適である。HNLFとは、非線形係数γが通常の伝送用光ファイバの5倍以上と高く、非線形現象が発生し易い光ファイバである。例えば、XPM法で測定した場合、HNLFの非線形係数γは7.5(/W/km)以上であることが望ましい。更に望ましくは、通常の伝送用光ファイバの10倍以上(15(/W/km)以上)、特に望ましくは20倍以上(30(/W/km)以上)であるとよい。このような光ファイバは、SC光の発生に寄与する四光波混合現象やソリトン効果が発生し易い零分散波長が1.3μm以上かつ1.8μm以下に設計されるのが望ましい。HNLFは、零分散波長を1.3μm以上かつ1.8μm以下に設計することが容易であり、当該分析装置において、種光源からのレーザ光の中心波長もこの波長域に設定されている。この構成により、零分散波長域を中心とする広帯域のスペクトルを有するSC光が好適に生成される。また、当該分析装置の光源部に適用される光ファイバは空孔を有しないので、ファイバ同士の結合が容易である。具体的には、これらファイバ間の接合面における光損失も1dB/接続以下、典型的には0.1dB/接続程度と小さくでき、強いSC光の生成が可能である。HNLFは、PMDを1.0ps/km1/2以下(典型的には0.1ps/km1/2以下)と小さくすることができる。そのため、直交偏波モード間のカップリングが発生し難く、SC光スペクトルを安定させることができる。また、HNLFは、波長分散特性の制御が比較的容易であり、所望の零分散波長、分散値、分散スロープ、四次分散(分散スロープの波長微分)が実現可能である。製造過程における制御性も高く、光ファイバの長さ方向に沿った伝送特性の変動も小さい。したがって、この発明に係る分析装置によれば、実用性に優れ、より長い波長域まで赤外分光分析等が可能になる。
なお、赤外分光分析等において互いに異なる複数の波長の光が必要な場合、各波長に応じた光源を用意すると装置自体が大型化してしまう。しかしながら、この発明に係る分析装置のような構成であれば、装置自体の小型化が可能になる。すなわち、当該分析装置によれば、広帯域のスペクトルを有するSC光を光源部が生成することにより、装置自体の小型化一つの光源から複数の波長成分を容易に生成できる。また、この発明に係る分析装置において、光源部は、SC光を出射するための複数の出射端を有してもよい。このような構成は、SN感度の悪い波長(例えば2500nm付近)で分光分析を行う場合や、照明領域が広すぎるために照射光量が不足している場合に特に有効である。
種光源から出射されるレーザ光は、パルス状であるのが望ましい。光強度(パルスのピーク強度)をより強くすることができるので、低い平均パワーでより広帯域なスペクトルを有するSC光を生成可能になるからである。パルス光源の繰り返し周波数は、50GHz以下、好ましくは100MHz以下といった遅い繰り返し周波数である方が、ピーク強度をより強くできるので好ましい。なお、種光源から出射されるレーザ光がパルス状である場合、出射されるSC光の各スペクトル成分もパルス状になる。
この発明に係る分析装置において、SC光のスペクトル帯域は、0.8μm以上かつ3μm以下であるのが好ましい。上述のように、当該分析装置では、中実の光ファイバ(例えばHNLF)が適用されるので、このような比較的長い波長域のSC光を好適に生成できる。なお、この明細書において「0.8μm以上かつ3μm以下の範囲」とは、例えばSC光のスペクトル強度が波長0.8μm、3μmのそれぞれにおいてピーク強度の10%以下であることを意味する。
この発明に係る分析装置は、光源部から出射される照射光が対象物の表面において照射径1μm以上かつ50mm以下のスポット状になるよう、該照射光の照射径を制限する照射径制限部をさらに備えてもよい。この場合、照射光の単位面積あたりの光強度(照度)をさらに高めることができる。なお、この明細書において「照射径」とは、対象物の表面において照度が最大照度の10%以上である範囲の最大径をいう。
この発明に係る分析装置において、光源部から出射されるSC光の強度は、0.1μW/nm以上であるのが好ましい。当該分析装置では中実の光ファイバ(例えばHNLF)が適用されているので、このように比較的強いSC光を好適に生成できる。すなわち、当該分析装置によれば、赤外分光分析などをより精度よく行うことができる。なお、この明細書において「SC光の強度」とは、例えばSC光の波長幅1nmのスペクトル成分における時間平均強度を意味する。
この発明に係る分析装置において、SC光の強度の時間変動幅は、一時間当たり±5%以内であるのが好ましい。中実の光ファイバ(例えばHNLF)は、PCFと比較して偏波依存性が小さい。したがって、生成されるSC光の光強度は入力レーザ光の偏波によらず安定するので、当該分析装置によれば、このように小さなSC光の強度変動幅を好適に実現できる。また、この発明に係る分析装置は、光ファイバに光学的に接続された、照射光の偏波面を変更するための偏向板をさらに備えてもよい。被測定物質の吸収率(又は反射率、発光強度等)が照射光の偏波に大きく依存する場合であっても、偏向板により照射光の偏波面を変更することにより、被検出光に含まれる被測定物質に関する情報のコントラストを高めることができる。さらに、この発明に係る分析装置において、光源部は、レーザ光とは異なる波長の励起光を利用してSC光を増幅するための光増幅手段をさらに含んでもよい。この場合、任意の光強度の照射光を容易に生成できる。なお、このような光増幅手段としては、光パラメトリックアンプ(OPA)やラマン増幅器などが挙げられる。また、当該分析装置における中実の光ファイバが、OPAやラマン増幅器などの光増幅用ファイバを兼ねてもよい。Er添加ファイバ、Yb添加ファイバ、Bi添加ファイバ、又はTm添加ファイバなどの希土類添加ファイバを用いた光増幅器も適用可能である。
この発明に係る分析装置において、光検出部はInP半導体層及びInGaAs半導体層を含む受光素子を有するのが好ましい。具体的には、受光素子は、InP基板上にInGaAs感光層が設けられた構造を備える。この場合、1.3μm以上かつ1.8μm以下の波長域を中心とする広帯域の近赤外光(被検出光)を好適に検出できる。なお、受光素子における感光層材料としては、検出波長に応じて、Si、PbSe、InAs、PbS、HgCdTeのいずれが選択されてもよい。また、基板材料はInPには限定されない。
この発明に係る分析装置は、対象物へ照射される照射光、又は、光検出部へ到達する被検出光の波長範囲を所定範囲に制限する光学フィルタをさらに備えてもよい。赤外分光分析では、例えば被検出光を分光器で分光することにより波長成分ごとの強度を知ることができるが、被測定物質の吸収波長等が予め判っている場合には、この分析装置のように光学フィルタによって照射光又は被検出光の波長範囲を制限することにより、高価な分光器を用いなくとも容易に分析を行うことができる。また、この発明に係る分析装置は、対象物へ照射される照射光、又は、光検出部へ到達する被検出光の波長範囲を制限する波長可変フィルタをさらに備えてもよい。この場合、吸収波長等が異なる複数の被測定物質を、フィルタを取り替えることなく容易に分析できる。また、被測定物質の吸収波長等に応じて、検出波長を容易に調整できる。
なお、上述のような光学フィルタや可変長フィルタは、単色だけを透過させるフィルタ、複数の波長成分を透過させるフィルタのいずれであってもよい。複数の波長成分を透過させるフィルタとしては、例えば、それぞれ特定の波長成分(色)を透過させるフィルタ素子が二次元的に配置されたモザイクカラーフィルタが知られており、予め設定された波長成分(色)のみを透過させることによりSN比の良好な分析が可能になる。
この発明に係る分析装置において、照射光は、光検出部の受光感度の波長依存性を補償するスペクトル波形を有するのが好ましい。すなわち、光検出部の受光感度が低い波長域においては照射光の光強度を大きくし、逆に光検出部の受光感度が高い波長域においては照射光の光強度を小さくすることによって、光検出部の波長依存性に拘わらず広帯域に亘って均一な検出結果を得ることができる。
さらに、この発明に係る分析装置は、光検出部での検出結果に基づいて、被検出光に関するスペクトル波形情報及び時間波形情報のうち少なくとも一方を、照射光が到達する照明領域の、対象物を含む画像データとして生成する信号処理部を備えるのが好ましい。この場合、赤外分光分析などを容易に行うことができる。なお、信号処理部は、画像データにおけるSN比改善、視覚化、又は振動補正など、種々の信号処理を行ってもよい。
具体的に、信号処理部は、被検出光に基づいて生成された画像データのSN比を改善するため、該生成された画像データから、ノイズ成分が低減された補正画像データ(分析用画像)を生成する。通常、当該分析装置が設置される環境では、外部からの迷光(例えば太陽光、街頭光など)、周辺気温、周辺環境(例えば雨、霧、雪など)によって得られる画像データのSN比が劣化してしまう。そのため、例えば、受光素子の受光面を遮蔽した状態で得られる遮光画像(受光素子自身のデバイスノイズを含む)、SC光を直接受光素子で受光することにより得られるSC光画像、SC光を照射しない状態で得た非照射画像、SC光を照射した状態で得た照明画像(被検出光情報に基づいた画像データ)を利用してSN比を改善することが可能である。これら4種類の画像の差分処理により、対象物における特定波長の吸収量(対象物の吸収波長域における被検出光の光強度情報を含む)を、迷光、周辺温度、周辺環境等の外乱の影響が除去された状態で明瞭に視覚化することができる。
被検出光情報のカラー画像化として、信号処理部は、被検出光情報に基づいた画像データをカラー画像化(視覚化)することも可能である。例えば、信号処理部は、SC光が照射される照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素それぞれに関して、被検出光に含まれる1又はそれ以上の波長成分それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させる。なお、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡レベル(グレースケール)で表現されてもよい。そして、信号処理部により画像データを構成する画素それぞれを割り当てられた色で該画像データを表示部が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。
また、他のカラー画像化として、信号処理部は、照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素それぞれに関して、被検出光の波長範囲を複数の波長域に分割し、該分割された複数の波長域それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させてもよい。この場合も、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡レベル(グレースケール)で表現されてもよい。そして、信号処理部により画像データを構成する画素それぞれを割り当てられた色で該画像データを表示部が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。
信号処理部は、出射光の波長を決定する第1ステップと、該第1ステップで決定された波長の照射光を対象物に照射し、該照射光の反射成分の検出結果を得る第2ステップを順次実施してもよい。なお、第1ステップは、対象物への照射光照射に先立って行われるステップであり、波長域800nm〜3000nmのプローブ光を対象物に照射し、該プローブ光の反射成分の検出結果に基づいて光源部から出射される照射光の波長を決定する。対象物の検査波長を予め決定しておくことにより、SC光帯域を狭めたり、不要な波長成分を選択的に除去するためのフィルタを光源部側又は光検出部側に配置することが可能になる。この構成により、SN比の良好な分光分析が可能になる。
さらに、信号処理部は、時間経過とともに順次生成された複数の画像データについて対応する画素を平均化することで、新たに分析用画像を生成する。具体的に、対応するがその平均化は、対応する各画素の輝度の平均値を新たな輝度情報として与えることにより実現される。この場合、振動など画像ボケの影響を効果的に低減できる。
また、この発明に係る真贋判定装置は、吸収波長、反射波長、及び発光波長の少なくともいずれかが互いに異なる光学特性を有する複数種類の塗料により図柄が描かれた印刷物の真贋を判定するための第1構造を有する。そなわち、当該第1構造の真贋判定装置であり、光源部と、光検出部を少なくとも備える。光源部は、印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたSC光を出射する光源であり、種光源と中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、レーザ光を入射してS光を生成する。光検出部は、照射光が照射された印刷物からの被検出光を検出する。特に、この第1構造の真贋判定装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まっている。
吸収波長、反射波長、及び発光波長が互いに異なる複数の塗料により図柄(文字、記号を含む)が描かれた印刷物に対しては、各塗料の吸収波長、反射波長、及び発光波長を全て含む光が照射される。そして、全ての図柄を映し出すことにより印刷物の真贋を判定することができる。当該真贋判定装置によれば、印刷物の真贋判定において、PCFを用いる必要が無く、広い周波数域に亘って上記図柄を映し出すことができるので、実用性に優れかつ高精度の真贋判定が可能になる。
上述のような第1構造の真贋判定装置は、光ファイバに光学的に接続された光学フィルタをさらに備えてもよい。この光学フィルタは、複数種類の塗料それぞれの吸収波長、反射波長、及び発光波長のうち、1又はそれ以上の波長に対応するSC光の波長成分を減衰又は遮断する。印刷物の真贋判定の際には、例えば複数種類の塗料のうち、特定塗料の吸収波長、反射波長、又は発光波長に相当する光を減衰又は遮断する。これにより、特定図柄のみを隠すことが可能になり、印刷物の真贋を判定することもできる。この場合、上述のような光学フィルタを備えることにより、特定図柄を選択的に隠すことが容易になる。
また、この発明に係る真贋判定装置は、発光波長及び発光寿命が互いに異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物の真贋を判定するための第2構造を有してもよい。すなわち、第2構造の真贋判定装置は、光源部と、光検出部を、少なくとも備える。光源部は、印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたSC光を出射する発光ユニットであって。種光源と中実の光ファイバを含む。種光源は、レーザ光を出射する。中実の光ファイバは、レーザ光を入射してSC光を生成する。光検出部は、照射光によって複数種類の塗料が励起されることにより発生する、印刷物からの発光を検出する。特に、こおn第2構造の真贋判定装置において、種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まている。加えて、光検出部は、光源部からの照射光の出射に連動して印刷物からの発光を検出する。
発光波長及び発光寿命が互いに異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物の真贋を判定する場合、このような印刷物に広帯域SC光パルスが照射されることにより、該複数種類の塗料を同時に励起・発光させることができる。また、この励起によって生じる発光を、その照射光の出射に連動して光検出部において検出することにより、時間分解された発光強度を得ることができる。この場合、発光寿命が異なる複数の塗料に起因した、時間経過に応じた発光強度、もしくは発光強度の波長スペクトル分布の変化を観察できる。すなわち、使用する塗料の種類を正確に同定でき、その結果、印刷物の真贋を正確に判定できる。さらに、蛍光などの発光を生じる複数種類の塗料を予め印刷物に塗布しておくことにより、偽造者は従来のように色彩及び印刷形状を一致させるだけでなく、全ての塗料を一致させる必要が生じるため、印刷物の偽造を飛躍的に困難にすることができる。また、この第2構造の真贋判定装置によれば、中実の光ファイバによってSC光パルスが生成されるので、実用性に優れ、より長い波長域での判定が可能となる。なお、この明細書において「発光」とは、塗料自身が発する光(例えば蛍光や燐光など)を意味する。
この発明に係る真贋判定方法は、照射ステップと、検出ステップと、判定ステップを備える。照射ステップは、レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるSC光を、照射光として印刷物に照射する。また、検出ステップは、照射光が照射された印刷物からの被検出光を検出する。判定ステップは、被検出光に含まれる波長成分のういちいずれかを判定基準波長とし、該判定基準波長の光強度に基づいて、印刷物の真贋を判定する。特に、この発明に係る真贋判定方法において、判定ステップは、印刷物の真贋判定が実施される地域を予め複数の区域に分割しておき、これら分割された区域それぞれに互いに異なる判定基準波長を割り当てている。
ここまで述べたように、当該真贋判定方法を使用することで、印刷に使用する異なる種類の発光(蛍光など)や強度を生じる塗料の種類を増やすほど偽造の検出精度を向上できる。一方、検出すべき波長帯の数が増えるので、所定波長を透過もしくは遮断するためのフィルタ構成が複雑化する。すなわち、正確に検出するためには、フィルタ数を増やすか、又は任意の波長帯を1枚のフィルタで透過させるためのフィルタが必要になる。その場合、フィルタの内部構造が複雑化する懸念がある。しかしながら、一台の判定装置によって必ずしも全ての塗料の情報(発光、吸収など)を分析する必要はなく、複数の判定装置にそれぞれ異なる波長を透過、吸収させるフィルタを設け、該複数の判定装置を用いて印刷物の情報を分析することによって、各判定装置の構成を単純化、低コスト化できる。そして、当該真贋判定方法によれば、例えば或る区域(国や地域)において偽造された印刷物が流通し、当該区域に割り当てられた所定波長の被検出光成分の強度が規格に偶然合致していたとしても、他の区域に割り当てられた別の所定波長の被検出光成分の強度も規格に合致している可能性は極めて低くなる。すなわち、他の区域において偽造を見破ることができる。したがって、当該真贋判定方法によれば、偽造印刷物を見破る確率を、簡便な構成を有する判定装置によって高めることができる。また、当該真贋判定装置によれば、HNLFといった中実の光ファイバによってSC光パルスを生成するので、実用性に優れ、PCFによるSC光の波長域よりも広い波長域を用いて判定することが可能になる。なお、この明細書において「所定波長の成分の強度」は、所定波長の成分強度の大きさ、及び成分強度の時間変化(応答性)の双方を含む。
この発明に係る地中探索方法は、地中の特定物質を探索する方法であって、掘削ステップと、照射ステップと、検出ステップと、判定ステップを備える。掘削ステップは、対象地区の地中を掘削する。照射ステップは、レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるSC光を、照射光として掘削領域内の所定部位に向けて照射する。検出ステップは、照射光が照射された所定部位からの被検出光を検出する。判定ステップは、被検出光に含まれる所定の波長成分の強度に基づいて、特定物質の存在を判定する。
上述のような地中探索方法によれば、中実の光ファイバによってSC光が生成されるので、実用性に優れ、より長い波長域での判定が可能となり、様々な種類の物質を探索可能になる。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の思想及び範囲における様々な変形及び改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
この発明に係る分析装置等によれば、実用性に優れ、より長い波長域まで分析を可能にする。
以下、この発明に係る分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法の各実施例を、図1〜21を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施例)
図1は、この発明に分析装置の第1実施例の構成を示す図である。図1の領域(a)に示された分析装置1は、赤外分光分析によって様々な物質を特定したり、対象物質の分布状況や粒径を分析できる装置であり、光検出部3、制御/分析部4、入出力部5、及び光源部20を備える。なお、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。
光源部20は、スーパーコンティニューム光(SC光)P2に基づく照射光P3を対象物Aに照射するための構成要素である。光源部20は、種光源2と、種光源2に入射端が光学的に接続された光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光学的に直列接続された波長可変フィルタ13とを有する。
種光源2は、図示しない電源装置から電源供給を受けてレーザ光P1を出射する。レーザ光P1は、例えば連続的なレーザ光や、数ナノ秒以下といった極めて短い時間幅を有するパルス状のレーザ光である。なお、種光源2の内部構成については、後に詳述する。
光ファイバ9は、レーザ光P1を入射してSC光P2を生成するための光ファイバである。光ファイバ9は、光を導波するコアと、空孔を有しない中実のクラッドとを備えた、いわゆる非ホールアシスト型の高非線形光ファイバ(HNLF)である。光ファイバ9のコア部には、クラッドの実質的な屈折率とは異なる屈折率を有する領域が形成されており、該領域の配置が工夫されることによって非線形性が高められている。そして、光ファイバ9は、レーザ光P1が有するスペクトル幅を、非線形光学効果(断熱的ソリトン圧縮効果、ラマン効果、自己位相変調、四光波混合等)によって例えば2倍以上に拡大することにより、広帯域に亘ってなだらかなスペクトル形状を有するSC光P2が生成される。
HNLFは、PCFとは異なり、零分散波長を1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内に設計することが容易である。この波長範囲内でSC光P2の発生に寄与する種光源の波長を零分散波長近傍にすることで、SC光P2が発生し易くなる。すなわち、PCFが適用された場合よりも長波長側でSC光P2を発生させることができる。また、レーザ光P1の中心波長は光ファイバ9の零分散波長付近かそれよりも長波長であるのが好ましい。具体的には、光ファイバ9の零分散波長が1.3μm以上かつ1.8μm以下である場合、レーザ光P1の中心波長もまた1.3μm以上かつ1.8μm以下であるのが好ましい。この場合、光ファイバ9の低損失な領域で効率良くSC光の生成が可能になるとともに、広波長域に亘ってなだらかなスペクトルを有するSC光が好適に生成され得る。
波長可変フィルタ13(光学フィルタ)は、SC光P2を照射光P3に変換するための光学素子であって、モザイクカラーフィルタであってもよい。すなわち、光ファイバ9から出射されたSC光P2は、波長可変フィルタ13によってその波長範囲が制限され、照射光P3となる。なお、波長可変フィルタ13の波長範囲は、対象物Aに含まれる測定対象物質の反射波長(又は吸収波長、発光波長など)に応じて調整される。このような波長可変フィルタ13は、例えば干渉フィルタ、回折格子、光音響光学素子(AOTF:Acousto Optical Tunable Filter)のいずれかによって好適に実現される。
なお、光源部20は、レーザ光Laとは異なる波長の励起光を入射してSC光Lbを増幅する光増幅手段備えてもよい。図2は、図1の領域(a)に示された分析装置1における光源部20の種々の構成例を示すブロック図である。図2の領域(a)に示されたように、光増幅手段90(Amp)は、光ファイバ9と波長選択手段11の間に配置されればよい。このような光増幅手段90は、(第1構成)希土類元素(Er、Yb、Bi、Tmなど)が添加された増幅用光ファイバ92を光ファイバ9の後段に配置する構成、(第2構成)ラマン増幅用光ファイバを光ファイバ9の後段に配置する構成、(第3構成)光ファイバ)9自体がラマン増幅用の光ファイバとなる(すなわち、光ファイバ9が光増幅手段を兼ねる)構成、(第4構成)光パラメトリック増幅(OPA)用の光ファイバを光ファイバ9の後段に光結合する構成、(第5構成)光ファイバ9自体がOPA用の光ファイバとなる(すなわち、光ファイバ9が光増幅手段を兼ねる)構成、のいずれかによって実現される。なお、光学部品間の光学的接続又は光結合は、例えば融着、光コネクタやV溝接触等による結合、及び空間結合のいずれかにより実現される。
第1構成では、図2中の領域(b)に示されたように、増幅用光ファイバ92として希土類添加光ファイバが光ファイバ9の後段に配置される。この希土類添加光ファイバに光カプラ91aを介して励起光源93aから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光P2が好適に増幅される。なお、この第1構成の場合、SC光P2のスペクトルの波長範囲は希土類添加光ファイバの増幅帯域に制限される。
第2構成においても、図2中の領域(b)に示された構成と同様である。すなわち、増幅用光ファイバ92としてラマン増幅用光ファイバ(光ファイバ9とは別のHNLFなど)を光ファイバ9の後段に配置される。このラマン増幅用光ファイバに光カプラ91aを介して励起光源93aから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光P2が好適に増幅される。
第3構成は、光ファイバ9が長い(例えば数百メートル以上)場合に適している。すなわち、図2の領域(c)に示されたように、HNLFである光ファイバ9に光カプラ91bを介して励起光源93bから励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、光ファイバ9自体での誘導ラマン散乱によってSC光P2が好適に増幅される。
なお、上述の第2及び第3構成においては、SC光P2のスペクトルの波長範囲は励起光の周波数よりも約13THz低い周波数が中心となる。また、複数波長の励起光を用いることにより、100nm以上のスペクトル帯域幅を有するSC光P2を増幅することも可能である。
第4構成では、OPA用光ファイバ(光ファイバ9とは別のHNLFなど)を光ファイバ9の後段に配置する。このOPA用光ファイバに光カプラを介して励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給される。これにより、SC光P2が好適に増幅される。この第4構成も、図2の領域(b)に示された構成で実現され得る。
第5構成は、光ファイバ9が長い(例えば数十メートル以上)場合に適している。すなわち、HNLFである光ファイバ9に、光カプラを介して励起光が上流側(順方向励起)又は下流側(逆方向励起)に供給されることにより、光ファイバ3自体での光パラメトリック効果によってSC光P2が好適に増幅される。この第5構成も、図2中の領域(c)に示された構成により実現され得る。
なお、上述の第4及び第5構成においては、励起光及び信号光、アイドラー光の位相が互いに整合する条件でSC光P2が増幅される。また、この構成によれば、数百nmといった広い帯域幅を有するSC光P2でも好適に増幅できる。
上述のような構成を有する光増幅手段を用いて光増幅することにより、SC光P2の強度が数dB〜数十dB増幅される。加えて、光増幅の飽和現象を用いれば、入射光に多少の強度変動があっても増幅光の強度は安定する。すなわち、増幅前におけるSC光P2の強度の波長依存性や時間変動が大きくても、光増幅後におけるSC光P2の強度変動を安定化することが可能になる。
また、この第1実施例では、光学フィルタ(波長可変フィルタ13)が光源部20に設けられている。すなわち、対象物A1へ照射される照射光P3の波長範囲が波長可変フィルタ13により制限されているが、光学フィルタは、対象物Aと光検出部3との間に配置されてもよい。この場合、光学フィルタは、光検出部3へ入射する被検出光L(後述)の波長範囲を制限することとなる。
光検出部3は、被検出光Lを検出する。光検出部3は、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現され、対象物Aからの被検出光Lを電流値などの電気的な量に変換する。光検出部3は、図1中の領域(b)に示されたように、InP基板上にInGaAs感光層が設けられた構造を有するのが好ましい。この場合、0.8μm以上かつ3μm以下の波長域を有する広帯域の被検出光Lを好適に検出できる。また、このような受光素子において、感光層材料としては、検出波長に応じて、Si、PbSe、InAs、PbS、HgCdTeのいずれが選択されてもよい。また、基板材料はInPには限定されない。
なお、光検出部3の受光感度が波長によって変動するような場合には、照射光P3のスペクトル波形が、光検出部3の受光感度の波長依存性を補償するような形状であればよい。すなわち、光検出部3の受光感度が低い波長域においては照射光P3の光強度を大きくし、逆に光検出部3の受光感度が高い波長域においては照射光P3の光強度を小さくすることによって、光検出部3の波長依存性に拘わらず広帯域に亘って均一な検出結果を得ることができる。
制御/分析部4は、種光源2からのレーザ光P1の出射タイミングと、光検出部3における検出タイミングとを制御する制御部としての機能と、光検出部3からの電気信号(検出結果)に基づいて、被検出光Lに関するスペクトル波形情報及び時間波形情報(経時的な強度変化情報)のうち少なくとも一方を生成する信号処理部としての機能とを兼備する。なお、制御/分析部4によって生成された情報は、入出力部5に表示されて分析に供される。分析装置1において、これら制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成される。
また、SC光P2の一部を分岐し、参照光として検出してもよい。この場合には、参照光と検出光Lとの比較により、より正確な近赤外吸収スペクトルを得ることが可能になる。
次に、種光源2の詳細な構成について説明する。図3は、種光源2の第1構造として、パルス光源2aの構成を示す図である。パルス光源2aは、いわゆるアクティブ(能動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、リング型共振器によって構成されている。すなわち、パルス光源2aは、半導体レーザ素子21と、LN変調器22aと、LN変調器22aを駆動する信号発生器22bと、リング状のキャビティ(光導波路)23を備える。半導体レーザ素子21は、カプラ23aを介してキャビティ23のリング状部分と光学的に接続されている。また、キャビティ23のリング状部分は、カプラ23cを介して出力用光導波路23dと光学的に接続されている。キャビティ23のリング状部分には、エルビウム添加光ファイバ(EDF)23b、及びLN変調器22aが光学的に直列接続されている。
所定周波数の電気的パルス信号が信号発生器22bからLN変調器22aに送られると、LN変調器22aにおける光損失が該周波数に応じた周期で減少する。キャビティ23のリング状部分へは半導体レーザ素子21から励起光が供給される。そして、この励起光によって励起されたEDF23b内の光に含まれる各モードの位相が同期したときに発振が生じるようにLN変調器22aを制御すれば、パルス幅が数フェムト秒程度の超短パルスレーザ光が生じて出力用光導波路23dから外部へ周期的に出射される。図1の領域(a)に示された分析装置1においては、この周期的な超短パルス光を、レーザ光Laとして利用する。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、信号発生器22bからLN変調器22aへ送られる電気的パルス信号の周波数と一致する。
また、図4は、種光源2の第2構造として、パルス光源2bの構成を示す図である。パルス光源2bは、いわゆるパッシブ(受動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、リング型共振器によって構成されている。すなわち、パルス光源2bは、半導体レーザ素子21と、リング状のキャビティ(光導波路)23と、反射ミラー24aと、反射ミラー24aに取り付けられたピエゾモータ24bと、ピエゾモータ24bを駆動する信号発生器24cを備える。なお、半導体レーザ素子21がキャビティ23に光学的に接続されている点、キャビティ23が出力用光導波路23dを有する点、及び、キャビティ23のリング状部分にEDF23bが光学的に接続されている点は、上記パルス光源2a(図1の領域(a))と同様である。
パルス光源2bにおいては、上記パルス光源2aのLN変調器22aに代えて反射ミラー24aが設けられている。反射ミラー24aはキャビティ23のリング状部分の一部を構成しており、反射ミラー24aの位置が振動することによってキャビティ23のリング状部分の長さが周期的に変化する。反射ミラー24aの振動は、ピエゾモータ24bによって与えられる。また、その振動周波数は、ピエゾモータ24bを駆動する信号発生器24cによって制御される。
所定周波数の電気的パルス信号が信号発生器24cからピエゾモータ24bに送られると、キャビティ23の長さが該周波数に応じた周期で変動する。キャビティ23のリング状部分へは半導体レーザ素子21から励起光が供給される。そして、キャビティ23の長さがソリトン条件を満たす瞬間に、パルス幅が数フェムト秒程度の超短パルスレーザ光が発生する。この超短パルス光は、レーザ光Laとして出力用光導波路23dからパルス光源2bの外部へ周期的に出射される。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、信号発生器24cからピエゾモータ24bへ送られる電気的パルス信号の周波数と一致する。なお、パルス光源2bにおいては、反射ミラー24aを機械的に駆動することによって周期的な超短パルス光を発生させているため、LN変調器22aを電気的に駆動する構成のパルス光源2aと比較して、レーザ光Laの繰り返し周波数が小さくなる傾向がある。
また、図5は、種光源2の第3構造として、パルス光源2cの構成を示す図である。パルス光源2cは、いわゆるパッシブ(受動)モード同期型の超短パルス光発生源であり、Er:Yb共添加ガラスによる固体レーザによって構成されている。すなわち、パルス光源2cは、半導体レーザ素子21と、可飽和吸収体及び反射鏡が一体に構成された可飽和吸収ミラー25と、コリメータレンズ26aと、プリズム26b及び26cと、出力用カプラ26dと、ミラー27a〜27cと、Er:Yb共添加ガラス板28とを有する。このうち、半導体レーザ素子21及びコリメータレンズ26a以外の構成要素は、レーザ発振のためのキャビティCAを構成している。
半導体レーザ素子21から出射された励起光は、コリメータレンズ26a及びミラー27aを介してEr:Yb共添加ガラス板28に達し、Er:Yb共添加ガラス板28を励起する。Er:Yb共添加ガラス板28は、可飽和吸収ミラー25、プリズム26b及び26c、出力用カプラ26d、並びにミラー27a〜27cからなるキャビティCA上に配置されている。キャビティCAを進む光は、Er:Yb共添加ガラス板28によって増幅されつつ、可飽和吸収ミラー25と出力用カプラ26dとの間で往復する。
可飽和吸収ミラー25は、弱い光を吸収し、強い光を反射する性質を有する。可飽和吸収ミラー25に到達した光に含まれる各モードの位相が同期したときに光の強度が極大となるので、この瞬間にのみ可飽和吸収ミラー25は反射ミラーとして機能し、レーザ発振が生じる。従って、このレーザ光はパルス幅が数フェムト秒程度の超短パルス光となり、レーザ光Laとして出力用カプラ26dから外部へ出射される。このとき、レーザ光Laの繰り返し周波数は、キャビティCAの長さに応じた値となる。
ここで、図5及び図6は、光ファイバ9から出射されるSC光P2のスペクトルである。すなわち、図5において、領域(a)はスペクトル帯域が0.8μm以上かつ3μm以下であるSC光スペクトルを示し、領域(b)はスペクトル帯域が1.1μm以上かつ2.4μm以下であるSC光スペクトルを示している。また、図6において、領域(a)はスペクトル帯域が1.35μm以上かつ1.65μm以下であるSC光スペクトルを示し、領域(b)はスペクトル帯域が1.3μm以上かつ1.8μm以下であるSC光スペクトルを示している。なお、図5及び図6において、縦軸のスペクトル強度はピーク値を1として規格化されている。この第1実施例のように光ファイバ9としてHNLFを用いれば、これらのように広帯域にわたって平坦なスペクトルを有するSC光P2を好適に生成できる。
図8は、図5及び図6に示されたSC光スペクトルそれぞれを実現するための条件例を示す表である。また、図9は、図8に示された条件によって得られるSC光スペクトル全体における時間平均光強度及び平均的なスペクトル成分の強度(単位波長あたりの放射束)の大きさを示す表である。
以下、第1実施例に係る分析装置1が有する効果について説明する。この第1実施例に係る分析装置1においては、空孔を有するPCFではなく中実の光ファイバ9(HNLF)にレーザ光P1を入射させ、SC光を含むSC光P2を生成している。また、光ファイバ9の零分散波長が1.3μm以上1.8μm以下に設定されており、レーザ光P1の中心波長もまた、1.3μm以上1.8μm以下に設定されている。これにより、この零分散波長域を中心とする長波長かつ広帯域のスペクトルを有するSC光P2が好適に生成される。したがって、この第1実施例に係る分析装置1によれば、より長い波長域まで赤外分光分析等が可能になる。
この第1実施例に係る分析装置1においては、光ファイバ9としてPCFではなく中実であるHNLFが適用されるため、ファイバ同士の接合が容易であり、また、接合面における光損失も小さく抑えることができる。さらに、種光源2から出射されたレーザ光P1のエネルギーによって端面が損傷(溶融)するおそれも低く、例えば光強度(SC光がパルス状の場合は、パルスのピーク強度)が0.1μW/nm以上といった比較的強いSC光P2が好適に生成され得る。このように、分析装置1aは、実用性に優れている。なお、SC光P2の光強度の上限は、例えば1000μW/nm程度であるが、SC光P2のスペクトル帯域や入射光(レーザ光P1)の強度によっては、さらに強くすることも可能である。
一般的に、PCFは偏波モード分散(PMD)が大きく、伝搬先の偏波状態が安定しないため、出射されるSC光の発生帯域や強度が安定し難い。これに対し、中実であるHNLFは、PCFと比較して構造制御性が良好であり、コア/クラッドの比屈折率差も相対的に小さいので、PMDなどの偏波依存性が小さい。特に、偏波保持ファイバが適用されることにより、偏波間の結合をほとんど無視できる。そのため、生成されるSC光P2の光強度はHNLF中を伝搬する偏波の状態が安定する。このように、当該第1実施例に係る分析装置1によれば、SC光P2の強度(SC光P2がパルス状である場合は、ピーク強度)の時間変動幅を例えば一時間当たり±5%以内という極めて小さな値にできる。
また、一般的に、赤外分光分析等において互いに異なる複数の波長の光が必要な場合、各波長に応じた光源を用意すると分析装置自体が大型化してしまう。これに対し、第1実施例に係る分析装置1は広帯域のスペクトルを有するSC光P2を光源部20が生成しているので、例えば波長可変フィルタ13や、図示しないプリズムなどを用いて一つの光源から複数の波長の光を容易に生成できる。そのため、当該分析装置1は、装置自体の小型化を可能にする。
上述のように、光源部20は、レーザ光P1とは異なる波長の励起光の供給によりSC光P2を増幅する光増幅手段を有するのが好ましい。これにより、任意の光強度の照射光P3が容易に生成され得る。また、光増幅手段からの出力光強度を飽和させることにより、SC光P2が有するスペクトルの強度変化を抑えることができる。特に、上述の第1〜第5構造(図2参照)は、照射光P3の帯域が限られている場合に極めて効果的にSC光P2を増幅する。
この第1実施例に係る分析装置1は、対象物Aへ照射される照射光P3の波長範囲を制限する波長可変フィルタ13を備えるのが好ましい。赤外分光分析においては、例えば被検出光Lを分光器で分光することにより波長成分毎の強度を知ることができる。しかしながら、波長可変フィルタ13のような光学フィルタによって照射光P3の波長範囲が制限されることにより、高価な分光器を用いなくとも容易に分析を行うことができる。波長可変フィルタ13によって波長範囲を変更可能にすることにより、吸収波長、反射波長、及び励起波長の少なくともいずれかが異なる複数種類の被測定物質を、フィルタを取り替えることなく容易に分析できる。さらに、被測定物質の吸収波長等に応じて、検出波長を容易に調整できる。
なお、対象物A1において測定対象となる物質の種類が限られている場合には、波長可変フィルタ13に代えて、照射光P3の波長範囲をある特定の範囲に制限する波長範囲固定の光学フィルタが適用されてもよい。この場合、互いに透過波長の異なる複数種類の光学フィルタを併用し、照射光P3に複数波長が含まれるように照射光P3の波長を制限してもよい。
このような光学フィルタを対象物Aと光検出部3との間に配置することにより、被検出光Lの波長範囲を制限してもよい。この場合、光ファイバ9と対象物Aとの間に波長可変フィルタ13が配置された構成と同様の効果を好適に得ることができる。
この第1実施例では、波長範囲を制限する分光手段として波長可変フィルタ13などの光学フィルタを用いている。しかしながら、該光学フィルタに代えて分光器等を用いて被検出光Lを分光してもよい。このように分光器が適用される構成としては、例えば(A)対象物Aと光検出部3との間に分光素子(プリズムやバルクタイプのグレーティング素子など)が配置される構成、及び(B)フーリエ変換分光を利用する構成などが考えられる。
上述の構成のうち構成(A)では、対象物Aと光検出部3との間に分光素子が配置されるとともに、光検出部3としてアレイ状の受光素子が適用可能である。この場合、光検出部3の特定位置に入射する光は特定波長のスペクトル強度情報を有するので、分光分析を好適に行うことができる。あるいは、光検出部3として一個の受光素子を用い、分光素子を回転させることにより(又は光検出部3を平行移動させることにより)、分光素子を透過した被検出光Lを検出してもよい。いずれの構成によっても、分光分析を好適に行うことができる。
また、構成(B)の一例としては、次の構成が好適である。すなわち、ハーフミラー、固定ミラー、及び可動ミラーなどを用い、対象物Aに入射する照射光P3の光路を二手に分岐し、一方の光路長を可変にする。そして、該一方の光路長を調整することによって干渉強度を検出し、この干渉強度と光路長差との相関に基づいて、フーリエ変換により分光スペクトルを好適に得ることができる。
(第2実施例)
図10は、この発明に係る分析装置の第2実施例の構成を示す図である。この第2実施例に係る分析装置1aは、赤外分光分析によって様々な物質を特定したり、対象物質の分布状況や粒径を分析する。すなわち、分析装置1aは、図10に示されたように、光検出部3a、制御/分析部4、入出力部5、コリメータレンズ14a、集光レンズ14b、ハーフミラー15、ピンホール板17、及び光源部20aを備える。これらのうち、光検出部3a、制御/分析部4、及び入出力部5の構成については、上述の第1実施例における光検出部3、制御/分析部4、及び入出力部5と同様なので、詳細な説明を省略する。なお、この第2実施例においても、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。
光源部20aは、スーパーコンティニューム光(SC光)P2に基づく照射光P3を薬剤などの対象物A1に照射する発光ユニットである。光源部20aは、種光源2と、種光源2に入射端が光学的に接続された光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光学的に直列接続された1/2波長板11、偏向子(偏向板)12、及び波長可変フィルタ13とを含む。これらのうち、種光源2、光ファイバ9、及び波長可変フィルタ13の構成は、第1実施例における光源部20と同様である。
1/2波長板11、偏向子12、及び波長可変フィルタ13は、SC光P2を照射光P3に変換するための光学部品である。すなわち、光ファイバ9から出射されたSC光P2は、1/2波長板11によって円偏光となり、偏向子12によって偏波面が規定される。なお、この偏向子12は光軸周りに回転可能なように設けられており、SC光P2の偏波面の向きを自在に変更できるしくみになっている。その後、SC光P2は、波長可変フィルタ13によってその波長範囲が制限され、照射光P3として出射される。
コリメータレンズ14a及び集光レンズ14bは、対象物A1の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20aの光出射端に光学的に接続されている。コリメータレンズ14aは、光源部20aから出射された照射光P3をコリメートする。集光レンズ14bは、コリメートされた照射光P3を対象物A1へ向けて集光する。集光レンズ14bは、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A1の表面における照射光P3の照射径は1μm以上かつ50mm以下であるのが好ましい。一方、照射ビームを拡大するときは、集光レンズ14bを取り外してもかまわない。また、集光レンズ14bに代えてシリンドリカルレンズを用い、照射光P3の照射範囲をライン状に制限し、光源部20aを線光源化してもよい。
ハーフミラー15は、対象物A1において生じた被検出光Lを光検出部3aへ導くための光学部品であり、コリメータレンズ14aと集光レンズ14bとの間に配置されている。ここで、被検出光Lとは、照射光P3に起因する対象物A1からの光であり、例えば照射光P3が対象物A1内部の測定対象物質によって反射又は散乱した光や、測定対象物質を透過した光、あるいは、照射光P3によって測定対象物質が励起されることにより生じる発光などである。
ピンホール板17は、共焦点光学系を構成するための光学部品である。すなわち、ピンホール板17は、ピンホール17aを有する板状の部材からなり、ピンホール17aが光検出部3aの受光面上に位置するように光検出部3aとハーフミラー15との間に配置されている。ピンホール板17は、光検出部3aへ入射する被検出光Lから、焦点の合致した箇所以外の反射光を除去することにより、例えば深さ方向に精度を要する対象物A1を分析する際に分解能を小さくできる。
次に、分析装置1aを用いた赤外分光分析の一例として、薬剤の粒径分布測定及び分散測定について説明する。
(粒径分布測定)
薬剤を製造する際には、体内での薬効時間にばらつきが生じるのを抑えるために、粒径のばらつきを小さくすることが求められる。このため、製造過程において粒径分布を測定できるのが好ましい。粒径分布を測定するためには、測定対象物質の反射波長に相当する波長成分を含むパルス状の照射光P3を薬剤サンプル(対象物A1)に照射し、薬剤サンプルから得られる被検出光Lのパルス形状と、照射光P3のパルス形状とを互いに比較すればよい。なお、薬剤の粒径分布を測定する方法としては、例えば光源部20aから出射された照射光P3を分岐して、薬剤サンプルに光が照射された際に薬剤サンプル内で生じる光散乱による反射戻り光の時間遅れ成分を抽出することによって粒径分布を求める方法や、あるいは薬剤サンプルからの反射戻り光のパルス応答を測定した後で参照パルス形状サンプルとして基準反射板などを置き、同じく反射戻り光のパルス応答を測定し、その両者の差分を測定する方法などがある。分析装置1aなどの測定系では、被測定物の深さ方向の分解能が高いため、詳細に粒径分布を測定することができる。
そして、被検出光L及び照射光P3のパルス波形を比較した結果(差分など)に基づいて、ケモメトリックス法や主成分分析などの統計的手法による解析が行われ、また、複数の薬剤成分の反射光強度に応じて波長が変えて測定されることにより、サンプルに含まれる複数成分の粒径分布の評価を行うことができる。
図11は、照射光のパルス形状の一例と、被検出光のパルス形状の一例を示す図である。この図11において、領域(a)は照射光P3のパルス形状の一例を示す。領域(b)は被検出光Lのパルス形状の一例を示す。照射光P3を薬剤サンプルに照射すると、薬剤サンプルから得られる被検出光Lには微小散乱光Ldが含まれる。この微小散乱光Ldの光強度は、対象物A1の粒径分布に依存する。そして、微小散乱光Ldは、通常の反射光よりも時間的に遅延して光検出部3aに到達するので、この図11の領域(b)に示されたように、被検出光Lのパルスの裾は微小散乱光Ldの分だけ広がることになる。この裾部分を検出することによって、微小散乱光Ldの光強度が得られ、粒径分布を推定できる。
なお、例えば照射光P3のパルス幅が長すぎると、図11の領域(c)に示されたように微小散乱光Ldが被検出光Lのパルスに隠れてしまい検出が困難になる。これに対し、当該第2実施例における光源部20aによれば、上述のように時間幅が数フェムト秒といった超短パルスが、照射光P3として対象物A1に照射され得る。このように、第2実施例によれば、微小散乱光Ldの強度を正確に測定できるため、精度の良い測定が可能になる。
また、さらに簡易な方法として、照射光P3を対象物A1に照射し、その透過光を被検出光Lとして検出してもよい。この場合、透過光の減衰率から被測定物の厚み方向の平均的粒径分布を推定できる。
(薬剤の分散測定)
薬効時間内の薬剤の効果を均一にするために、薬剤を製造する際には、薬剤に含まれる各成分を均一に分散させ、各薬剤の薬効のばらつきを小さくすることが求められる。このため、製造過程において薬剤成分の分散の様子を測定できるのが好ましい。成分の分散の様子を測定するためには、パルス状の照射光P3を薬剤サンプル(対象物A1)に照射し、薬剤サンプル内において生じた蛍光などの発光(被検出光L)の分布を測定するとよい。
具体的には、特定の成分の励起波長に相当する波長成分を含む照射光P3が対象物に照射されると、被検出光Lに含まれる特定成分からの蛍光などの発光が波長選択フィルタ等により抽出された後、この発光強度が2次元の光検出部3aにより検出される。そして、検出結果が画像情報(データ)として入出力部5により表示されれば、薬剤の部位による発光の濃淡によって特定成分が均質に分散しているか否かを容易に判断できる。
また、照射光P3に対する発光(被検出光L)の時間応答を考慮することにより、対象物A1(特に、錠剤・粉末剤)における厚さ方向の分散均質度を短時間で容易に評価することができる。これにより、従来は破壊試験が必要であった(非特許文献1参照)厚さ方向の分散均質度の測定を、in−situに測定できる。
なお、上述の粒径分布測定や分散測定といった医薬の分析方法に第2実施例に係る分析装置1aを使用することにより、例えば医薬品工程管理技術(PAT:Process Analytical Technology)に応用することができる。PATにおいては、ケモメトリクスや多重回帰分布測定などの統計学的分析手法を活用し、薬剤製造プロセスにおける調整パラメータを明らかにしたうえで、上述の粒径分布や分散などの測定結果をフィードバックしながら製品の均質化を図ることができる。一方、狭義のPATにおいては、波長成分ごとのイメージングができなくても、1つ又はそれ以上の波長成分の光を照射した際の発光分布が基準データと略同一であると判定できる場合にはその薬剤サンプルを合格とする、いわゆるバッチ検査(検査簡略化)に用いることもできる。
この第2実施例に係る分析装置1aは、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い波長域まで近赤外分光分析等を可能にする。したがって、粒径分布測定や分散測定といった薬剤の分析を、様々な薬剤に対して精度よく行うことができる。
この第2実施例に係る分析装置1aは、照射光P3の偏波面を可変にする偏向子(偏向板)12を備えてもよい。被測定物質の吸収特性(又は発光特性)が照射光P3の偏波に大きく依存する場合であっても、このように照射光P3の偏波面を可変とすることにより、被検出光Lに含まれる被測定物質に関する情報のコントラストを高めることができる。
(第3実施例)
図12の領域(a)及び領域(b)は、この発明に係る分析装置の第3実施例の構成を示す図である。これら領域(a)及び領域(b)に示された分析装置1b、1cは、上述の第1実施例に係る分析装置1を変形例であり、例えば食品検査などの際の近赤外分光分析に使用することができる。
図12の領域(a)に示されたように、分析装置1bは、光検出部3b、モニタ/分析部6a(信号処理部に含まれる)、分光器7、レンズ14、及び光源部20bを備える。光源部20bは、SC光P2を照射光P3として食品などの対象物A2に照射するための構成要素である。光源部20bは、種光源2及び光ファイバ9によって構成されている。なお、種光源2及び光ファイバ9の構成は、第1実施例と同様である。
レンズ14は、対象物A2の表面における照射光P3(SC光P2)の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20bの光出射端に光学的に接続されている。なお、レンズ14は、対象物のサイズ(ゴマ、米粒などの小さな種子は狭く、ミカン、リンゴ、メロンといった大きな果実は広く)に応じて照射径を適切な範囲にする。すなわち、レンズ14は、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A2の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。
分光器7は、対象物A2からの被検出光Lを分光するための光学部品である。分光器7の構成としては、例えばプリズムやバルクタイプのグレーティング素子を用いた構成や、あるいはフーリエ変換分光を利用する構成などが適している。
光検出部3bは、被検出光Lを検出する。第3実施例における光検出部3bは、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現され、対象物A2からの反射光又は散乱光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流値などの電気的な量に変換する。なお、光検出部3bの詳細な構成は、第1実施例における光検出部3と同様である。
モニタ/分析部6aは、種光源2からのレーザ光P1の出射タイミングと、光検出部3bにおける検出タイミングとを制御する制御部としての機能と、光検出部3bからの信号(検出結果)に基づいて、被検出光Lに関するスペクトル波形情報を生成する信号処理部としての機能とを兼備する。また、モニタ/分析部6aは、生成されたスペクトル波形情報を表示する表示部としての機能も備えている。
一方、分析装置1cは、図12の領域(b)に示されたように、光検出部3c、モニタ/分析部6a(信号処理部)、レンズ14、及び光源部20cを備える。このうち、モニタ/分析部6a及びレンズ14の機能は、分析装置1bと同様である。
光源部20cは、SC光P2に基づく照射光P3を対象物A2に照射するための発光ユニットである。光源部20cは、上述の光源部20bと異なり、種光源2及び光ファイバ9に加えて、光ファイバ9の出射端に光学的に接続された光学フィルタ16を有する。この光学フィルタ16は、照射光P3の波長範囲を所定範囲に制限するための光学部品であり、図12の領域(a)における分光器7に代えて設けられる。なお、この第3実施例における光学フィルタ16は、被測定物質の吸収波長に応じてその透過波長範囲が固定されるが、波長可変フィルタを用いても良い。また、光学フィルタ16は、互いに透過波長が異なる複数の波長固定フィルタによって構成されてもよい。この場合、複数の波長成分を同時に用いて被測定物質を分析することができる。
光検出部3cは、上述の光検出部3bと同様に、例えばフォトダイオード(PD)やPDアレイ、赤外カメラ等によって実現される。ただし、この光検出部3cは、対象物A2からの透過光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流値などの電気的な量に変換する。この光検出部3cの詳細な構成も、第1実施例における光検出部3と同様である。
なお、第3実施例に係る分析装置1b、1cは、反射光を検出する光検出部3b及び透過光を検出する光検出部3cをそれぞれ備えているが、分析装置1b(又は分析装置1c)は、光検出部3b、3cの双方を備えることにより反射光及び透過光の双方を撮像してもよい。また、分析装置1cにおいては、レンズ14又は対象物A2の位置を相対的に移動可能にすることにより、対象物A2の表面を照射光P3が走査させる構成であってもよい。
この発明に係る分析装置は、被検出光L2に基づいた画像データのSN比を改善するための構造を備えてもよい。すなわち、信号処理部は、生成された画像データのSN比を改善するため、該生成された画像データから、ノイズ成分が低減された補正画像データを生成する。通常、当該分析装置が設置される環境では、外部からの迷光(例えば太陽光、街頭光など)、周辺気温、周辺環境(例えば雨、霧、雪など)によって得られる画像データのSN比が劣化してしまう。そのため、例えば、受光素子の受光面を遮蔽した状態で得られる遮光画像V(受光素子自身のデバイスノイズN)、SC光を直接受光素子で受光することにより得られるSC光画像VSC、SC光を照射しない状態で得た非照射画像VBK、SC光を照射した状態で得た照明画像VIL(被検出光情報に基づいた画像データ)を利用してSN比を改善することが可能である。図13の領域(a)は、信号処理部における画像処理(SN比改善)を説明するための図であり、遮光画像V604、SC光画像VSC603、非照射画像VBK602、照明画像VIL601の各成分は、以下のように与えられる。
遮光画像V:N
SC光画像VSC:PSC+N
非照射画像VBK:(P−A)+N
照明画像VIL:(PSC−ASC)+(P−A)+N
ここで、遮光画像Vの成分は受光素子自身のデバイスノイズNで与えられる。SC光画像VSCの成分は、受光素子に照射されたSC光パワーPSCがデバイスノイズNとともに検出された値となる。非照射画像VBKの成分は、迷光パワーPが該被検出対象に吸収された吸収成分Aだけ減少した状態でデバイスノイズNとともに検出された値となる。また、照明画像VILの成分は、被検出対象に吸収されたSC光の吸収成分ASCだけ減少したSC光の反射成分(PSC−ASC)と吸収成分Aだけ減少した迷光成分(P−A)がデバイスノイズNとともに検出された値となる。なお、遮光画像V604、SC光画像VSC603、及び非照射画像VBK602は、赤外線撮影に先立って取得し、予め信号処理部のメモリ90に格納しておけばよい。
このとき、照明画像VILと非照射画像VBKの差分(VIL−VBK)をとると、以下の式(1)で与えられる成分値が得られる。
IL−VBK=PSC−ASC …(1)
さらに、SC光の照射パワーPSCを除去するため、SC光画像VSCと式(1)で得られた成分値の差分をとる。
SC−(VIL−VBK)=ASC+N …(2)
この式(2)で得られた成分値は、被検出対象に吸収されたSC光の吸収成分ASCの他、デバイスノイズNを含んでいる。そのため、さらに、式(2)で得られた成分値と遮光画像Vの成分値Nの差分をとることにより、被検出対象におけるSC光の吸収成分ASCのみの情報を含む分析用画像605が得られる。
このように、これら4種類の画像の差分処理により、被検出対象における特定波長の吸収量(被検出対象の吸収波長域における被検出光の光強度情報を含む)を、迷光、周辺温度、周辺環境等の外乱の影響が除去された状態で明瞭に視覚化することができる。
さらに、この発明に係る分析装置は、被検出光に基づいた画像データの振動補正をするための構造を備えてもよい。例えば、信号処理部において、時間経過とともに順次取り込まれた複数の画像データについて対応する各画素ごとに平均化(例えば対応する各画素の輝度の平均値を新たな輝度情報として与える)することにより、振動など画像ボケの影響を効果的に低減できる。図13の領域(b)は、信号処理部における画像処理(振動補正)を説明するための図である。
すなわち、図13の領域(b)に示されたように、信号処理部は、メモリ90内に時間経過t、t、…、tとともに順次照明画像601を取り込む。これら取り込まれた照明画像のうち時間tの照明画像と時間ti+1の照明画像について平均化処理を行い、画像内のボケが補正された分析用画像606が得られる。なお、メモリは、記憶容量に制限があるので、使用済みの照明画像は逐次削除される。また、振動が大きい場合には、平均化処理に利用する照明画像の枚数(フレーム数)を多くすることにより、より振動の影響を低減することができる。逆に、振動が小さい場合には、平均化処理に利用する照明画像の枚数(フレーム数)を少なくしてもよい。
続いて、第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)を利用した赤外分光分析の一例として、食品検査・選別、血糖値検査、及び地中探索について説明する。
(食品検査・選別)
例えば、果実などの食品に照射光P3を照射し、フルクトースやグルコースなどの糖分に特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、糖度の測定を容易に行うことができる。あるいは、クエン酸やアスコルビン酸に特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、酸度の測定を容易に行うことができる。あるいは、エチレンやクロロフィルに特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、熟度の測定を容易に行うことができる。あるいは、ペクチンに特有の吸収波長における被検出光Lと照射光P3との強度比を検出することによって、硬度の測定を容易に行うことができる。
この食品検査・選別の際には、ケモメトリックス法が好適に用いられる。すなわち、測定対象物質(フルクトース、クエン酸、エチレンなど)の吸収波長に相当する被検出光Lの波長成分の光強度や、該光強度と他の波長成分の光強度との比が指標として準備される。そして、この指標と、水分量、糖度、酸度、及び熟度との予め測定された相関に基づいて、検量線との比較によって半経験的にこれら水分量、糖度、酸度、及び熟度が定量化される。あるいは、ある測定対象物質の吸収波長(例えば果物であれば、水分量なら波長2.1μm付近、糖分なら波長1.7μm付近、酸度なら波長1.1μm付近、熟度なら波長0.9μm付近、硬度なら波長1.2μm付近)における被検出光Lの光強度の大きさに基づいて、水分、糖度、酸度、熟度、硬度などが定量化されてもよい。
第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い波長域まで近赤外分光分析等が可能になる。したがって、上述のような比較的長い吸収波長を有する被測定物質を好適に測定できるので、食品検査・選別に適している。
また、従来の近赤外分光分析装置としては、例えばフェムト秒のチタンサファイアレーザを非線形結晶を用いて近赤外光に波長変換する構成(非特許文献2参照)が知られている。しかしながら、このような構成では、装置が高価かつ大型になってしまう。この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、このような従来の装置と比較して装置構成が単純であり、小型化を実現可能にする。しかも、光ファイバ9を光ファイバプローブとしても利用できるので、可搬型としても極めて精密な測定が可能となる。また、メンテナンスも不要である。したがって、食品の出荷時に用いられるだけでなく、倉庫や商店に当該分析装置1b(又は分析装置1c)を用意しておき、食べ頃の食品や腐敗した食品の選別も容易になる。
なお、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、果物だけでなく、種子、穀物、魚介類、肉類など広範な食品に適用可能である。また、醤油や味噌などの加工食品についても、製造メーカや商品に固有のスペクトルを有する。したがって、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、加工食品の管理にも適している。
また、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)においては、SC光を生成するための光ファイバ9として、第1実施例と同様に中実のHNLFが用いられる。これにより、PCFを用いる場合と比較してSC光P2の光強度を大きくできる。又はロゲンランプ等の照明を用いる場合と比較して集光も容易である。したがって、従来の赤外分光分析装置では測定が困難であった皮が硬い果実(メロンやパイナップルなど)も容易に測定できる。
果実や穀物などの食品は、産地によって被検出光Lのスペクトルが異なることがある。このような場合、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によって、産地調査も可能となる。また、分析装置1b(又は分析装置1c)によれば種子の一粒ごとの測定も可能なので、ブランド種や遺伝子組み換え種の分類ができ、混雑や交配を防止することもできる。
(血糖値検査)
上述のように、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、グルコースを好適に測定できる。したがって、分析装置1b又は1cは非侵襲の血糖値検査にも適している。従来の測定装置としては、例えば特許文献2に開示された装置が知られているが、やはり装置が大型になるとともに照射光強度が弱い等の課題が残っている。実用的には、分析装置1b(又は分析装置1c)のように、SC光の発生源として中実の光ファイバ9(HNLF)を用いることが、集光性や光強度の点において好ましい。
SC光P2をラマン増幅器やOPAなどの光増幅手段(図2参照)によって増幅すれば、100nm〜300nmの帯域幅に亘ってSC光P2を増幅することができる。これにより、グルコースに特に吸収され易く、かつ生体内水分の影響を受けにくい1.5μm〜1.8μm付近の波長成分を選択的に増幅することができ、血糖値検査にとって非常に好ましい。さらに、ラマン増幅器やOPAは励起されなければ通常の光ファイバとして用いることができるので、光増幅の有無を切り替えることも容易にできる。
なお、この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、採血された血液の検査にも、即時に結果が得られるので好適である。また、分析装置1b(又は分析装置1c)は、血糖値検査以外にも、例えば血中脂質や尿酸値などの検査を非侵襲で行うこともできる。
(地中探索)
分析装置1b(又は分析装置1c)は波長が比較的長い近赤外光を用いるので、対象物A1内での散乱が小さく、強散乱体である土壌に対しても数cm〜数m程度の透過が可能である。したがって、例えば掘削ドリルと共に配置し、地中を掘り進める先に存在する物質を予測することができる。具体的には、地中を掘削したのち、照射光P3を対象物A1としての地中物に照射する。そして、照射光P3に起因する地中物からの被検出光L(透過・散乱光)を検出し、被検出光Lに含まれる所定の波長成分の強度に基づいて特定物質(資源、水分など)の存在を判定する。
上述の地中探索方法によれば、例えば、照射光P3を土壌に照射して得られる反射光(被検出光L)のうち水分の吸収波長である1.4μm付近の波長成分の強度が大きい場合に、近くに水源が存在するという事実を感知できる。例えばトンネル工事などにおいて地下水掘削を防止して危険を避けたり、温泉を検知する等、様々な用途に応用できる。さらに、ラマン増幅器やOPAなどの光増幅手段を備えることにより照射光P3の光強度(分光放射束)を数W/nmに高めることができる(照射光P3の到達深度をより深くできる)。
分析装置1b(又は分析装置1c)は、水分の検知だけでなく、油井探索にも適している。すなわち、油井に特有な炭素二重結合(C=C、C=C−Hなど)に由来する吸収波長が1.7μm〜1.8μm付近にあるため、土壌からの被検出光Lにおいてこの波長範囲の成分強度に変化が生じれば、油井の存在を検知できる。
この第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)によれば、第1実施例に係る分析装置1と同様に、実用性に優れ、かつ、より長い周波数域まで赤外分光分析等が可能になる。したがって、様々な種類の物質を探索できる地中探索方法を提供できる。
分析装置1b(又は分析装置1c)は、図6の領域(a)及び領域(b)に示されたような広帯域に亘る照射光P3のスペクトルが実現できる。したがって、単一の光源(光源部20a)によって広範な波長の赤外分光測定が可能であり、例えば、水分に吸収されにくい1.0μm付近の波長成分強度と、水分に吸収され易い2.0μm付近の波長成分強度とを同時に測定し、水分の分布を知ること等が容易にできる。また、水分の検知と当時に、該水分に含まれるミネラル成分の分析も行うことができる。従来は、採掘現場から水を採取(サンプリング)してその成分を分析していた。しかしながら、当該第3実施例によりサンプリングの手間が省けるので、大幅にコストを削減できる。
また、分析装置1b(又は分析装置1c)は、鉱山での採掘物の分析にも適している。すなわち、採掘穴や採掘した土壌(岩石)に照射光P3を照射し、被検出光Lのスペクトルを分析することによって、有用資源を検知することもできる。
以上、第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)の好適な用途について説明したが、当該第3実施例に係る分析装置1b(又は分析装置1c)は、上記用途に限らず、例えば励起状態分子、ラジカル分子、励起分子錯体など、化学反応の中間体を検出することもできる。したがって、レーザーチップ、太陽電池、光メモリー、又は光触媒などの解析や検査といった用途に用いることもできる。また、化学反応用の励起レーザとともに統合的に制御し、励起から測定までの時間を精度よく管理しつつ測定することによって、化学反応における時間分解スペクトルをフェムト秒からナノ秒オーダーで正確に得ることも可能である。
(第4実施例)
図14は、この発明に係る分析装置の第4実施例の構成を示す図である。図14の領域(a)及び領域(b)に示された分析装置1d、1eは、上述の第1実施例に係る分析装置1の変形例であり、吸収波長、反射波長、及び励起波長のうち少なくともいずれかが互いに異なる複数の塗料により図柄が描かれた紙幣などの印刷物A3の真贋を判定する(偽造を検知する)。図14の領域(a)に示されたように、分析装置1dは、光検出部3d、モニタ/分析部6b(信号処理部)、レンズ19、及び光源部20dを備える。
光源部20dは、SC光P2に基づく照射光P3を紙幣などの印刷物A3に照射するための発光ユニットである。光源部20dは、レーザ光P1を出射する種光源2と、レーザ光P1を入射してSC光P2を出射する中実のHNLFである光ファイバ9と、光ファイバ9の出射端に光結合された波長可変フィルタ13とによって構成されている。なお、種光源2、光ファイバ9、及び波長可変フィルタの詳細な構成は、第1実施例と同様である。例えば、光ファイバ9の零分散波長は1.3μm以上かつ1.8μm以下の範囲内にあり、種光源2から出射されるレーザ光P1の中心波長も同様の範囲に含まれる。
レンズ19は、印刷物A3の表面に対し広範囲に照射光P3を照射するための光学部品であり、光源部20dの光出射端に光学的に接続されている。
光検出部3dは、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lを検出(撮像)する。この第4実施例における光検出部3dは、例えば赤外カメラ等の二次元撮像装置によって実現され、印刷物A3からの反射光又は発光を被検出光Lとして受光し、その画素毎の光強度を電気信号に変換して、そして撮像データを生成する。この第4実施例における印刷物A3には、吸収波長等が互いに異なる(具体的には、反射スペクトルあるいは発光スペクトルが互いに異なる)複数の塗料により図柄が描かれており、また、光源部20dからは波長可変フィルタ13によって選択された特定波長の照射光P3が照射される。そのため、被検出光Lには該特定波長に対応する図柄情報が含まれることになる。ここで、図柄とは必ずしも2次元的である必要はなく、線状に塗布されたものであっても構わない。
モニタ/分析部6bは、被検出光Lにより認識される図柄を分析・表示する。モニタ/分析部6bは、光検出部3dから撮像データを受け取り、該撮像データに基づく画像(図柄を含む)を分析・表示する。
一方、分析装置1eは、図14の領域(b)に示されたように、光検出部3e、モニタ/分析部6b(信号処理部)、レンズ14、及び光源部20dを備える。これらのうち、モニタ/分析部6b及び光源部20dの構成は、図14の領域(a)に示された分析装置1dと同様である。
レンズ14は、印刷物A3の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するためのコリメータレンズ(照射径制限部)であり、光源部20dの光出射端に光学的に接続されている。レンズ14は、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、印刷物A3の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。また、レンズ14又は印刷物A3の位置が相対的に移動可能な構成にすることで、印刷物A3の表面を照射光P3が走査できる構成であってもよい。
光検出部3eは、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lを検出(撮像)する。上述の光検出部3dと同様に、例えば赤外カメラ等の二次元撮像装置によって実現される。ただし、この光検出部3eは、印刷物A3からの透過光を被検出光Lとして受光し、その画素ごとの光強度を電気信号に変換して、撮像データを生成する。
なお、この第4実施例においても、分析装置1d、1eが、反射光を検出する光検出部3d及び透過光を検出する光検出部3eをそれぞれ備えている。しかしながら、分析装置1d(又は分析装置1e)は、光検出部3d、3eの双方を備えることにより反射光(又は発光)及び透過光の双方を撮像してもよい。
また、光源部20dは、複数の出射端を備えてもよい。SC光の出射端が複数設けられることにより、対象物に対してより均一な照射光の照明が可能になる。具体的には、図15に示されたように、波長可変フィルタ13の出射端側に1対多の分岐手段140を配置し、該分岐手段140の複数の出射端からのSC光P3を拡散板150に照射させる。そして、この拡散板150を介して照射光を印刷物A3等の対象物に照射させることにより、照射位置による強度差を低減することが可能になる。なお、図15は、第4実施例に係る分析装置の変形例を示す図である。また、分岐手段140としては、例えば、光カプラなどの光学部品の他、WDMカプラやAWGなど、波長選択性を有する光学部品であってもよい。
これら分析装置1d、1eによれば、中実の光ファイバ9によってSC光P2が生成されるので、実用性に優れ、かつ、より広い周波数域での印刷物の真贋判定が可能になる。以下、分析装置1d(又は分析装置1e)を利用した印刷物の真贋判定方法の一例について説明する。
(第1の真贋判定方法)
従来の偽造検出装置(例えば、特許文献3及び特許文献4)には、複数の波長の光を用いることにより、紙幣、カード等の印刷物の偽造を検出するものがある。すなわち、特定の吸収波長等を有する複数の塗料が予め塗布された印刷物に対し、それらの吸収波長等に対応する波長の照射光P3を照射することにより、該複数の塗料を検知して偽造の有無を判断している。しかしながら、塗料の種類が少ないと、同一の塗料が使用されることにより偽造を検知できないおそれが高くなってしまう。また、一旦偽造を検知できない印刷物が複数の区域(国等)にまたがって流通した場合、それを検出可能とする為には別の波長で発光する光源と交換する必要があり、柔軟な対応ができない。
この第4実施例に係る分析装置1d、1eにおける光源部20dは、近赤外領域において平坦なスペクトルを有するSC光P2を生成する。そして、このSC光P2の波長を波長可変フィルタ13によって変化(掃引)しながら照射光P3として印刷物A3に照射し、照射光P3の波長変化に応じて連続的に被検出光Lを撮像することによって、印刷物A3が有する波長領域での連続的な特徴を容易に得ることができる。ここで、波長領域での連続的な特徴とは、印刷物A3に塗布された塗料の種類及び図柄に起因する透過光又は反射光のスペクトル波形、及び印刷物A3の基部となる材料(紙質など)に応じた透過光又は反射光のスペクトル波形といった印刷物A3に固有の特徴である。
したがって、上述の従来の偽造検出装置とは異なり、この第1の真贋判定方法では使用する材料の特定を可能にするため、偽造を試みようとする者は、従来のように、色彩及び図柄を一致させるだけでなく、印刷物A3に塗布された全ての塗料の色、塗料の材質、図柄、及び印刷物A3の紙質などを全て本物と一致させる必要があり、偽造を行うことが著しく困難となる。また、真贋判定のための特定の塗料を塗布する必要がないので、既に発行されている印刷物であっても真贋判定が可能になる。また、一つの装置のみによって様々な印刷物A3の真贋を判定することが可能になる。さらに、仮に偽造を検知できない印刷物が流通したとしても、波長可変フィルタ13による照射光P3の波長の掃引間隔や波長の値を変更することにより、その偽造印刷物に即時に対応できる。
(第2の真贋判定方法)
図16及び図17は、第2の真贋判定方法を説明するための図である。この第2の真贋判定方法においては、まず、光源部20dにおいて光ファイバ9にレーザ光P1を供給し、図16の領域(a)に示されたスペクトルのように広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2を生成する。そして、図16の領域(b)に示されたように、波長可変フィルタ13によって照射光P3の波長が第1の所定波長λに制限され、この照射光P3が印刷物A3に照射される。続いて、照射光P3に起因する印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。その結果、図16の領域(c)に示されたように、波長λに対応する被検出光Lの光強度Iが検出される。
その後、波長可変フィルタ13によって照射光P3の波長が第2〜第4の所定波長λ〜λに順に制限され、これら所定波長λ〜λに対応する被検出光Lの光強度I〜Iが順次検出される。これにより、図16の領域(c)に示されたような離散的な光強度データが得られ、この光強度データによって真贋を判定することができる。なお、図16の領域(c)におけるグラフGは、印刷物A3の塗料の種類、図柄、紙質などに起因する連続的なスペクトル波形である。
さらに、この第2の真贋判定方法においては、図17の領域(a)に示されたように、当該印刷物が流通している地域Rを複数の区域(例えば4つの区域AR1〜AR4)に分け、各区域に割り当てられる所定波長λ〜λの組み合わせが変えられる。具体的には、区域AR1には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4bが割り当てられ(図17の領域(b))、区域AR2には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4bとは異なる波長λ1c〜λ4cが割り当てられ(図17の領域(c))、区域AR3には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4b及びλ1c〜λ4cとは異なる波長λ1d〜λ4dが割り当てられ(図17の領域(d))、区域AR4には第1〜第4の所定波長として波長λ1b〜λ4b、λ1c〜λ4c、及びλ1d〜λ4dとは異なる波長λ1e〜λ4eが割り当てられる(図17の領域(e))。
すなわち、各区域AR1〜AR4における光強度データを総合すると、印刷物A3のより詳細なスペクトルが得られることになる(図17の領域(f))。このように、第2の真贋判定方法によれば、各区域AR1〜AR4における離散的な光強度データが互いに補完関係を有する。これにより、区域AR1〜AR4それぞれにおいては簡易でありかつスループットの高い偽造検知システムを構築でき、かつ、複数の区域を組み合わせることで、より詳細な情報を得ることができる。そのため、第2の真贋判定方法は、全体として強固な偽造検知システムを構築できるという利点がある。ある区域AR1において偽造印刷物が流通し、当該区域AR1に割り当てられた所定波長λ1b〜λ4bの被検出光Lの強度が規格に偶然合致していたとしても、他の区域(例えば区域AR2)に割り当てられた所定波長λ1c〜λ4cの被検出光Lの強度も規格に合致している可能性は極めて低く、当該他の区域AR2において偽造を見破ることができる。したがって、この第2の真贋判定方法によれば、偽造印刷物を見破る確率を高めることができ、より強固な偽造防止システムを構築できる。また、この第2の真贋判定方法によれば、偽造印刷物の流通過程を容易に追跡することも可能になる。
なお、第4実施例において、信号処理部は、出射光の波長を決定する第1ステップと、該第1ステップで決定された波長の照射光を対象物に照射し、該照射光の反射成分の検出結果を得る第2ステップを順次実施してもよい。この第1ステップは、対象物への照射光照射に先立って行われるステップであり、波長域800nm〜3000nmのプローブ光を対象物に照射し、該プローブ光の反射成分の検出結果に基づいて光源部から出射される照射光の波長を決定する。対象物の検査波長を予め決定しておくことにより、SC光帯域を狭めたり、不要な波長成分を選択的に除去するためのフィルタを光源部側又は光検出部側に配置することが可能になる。この構成により、SN比の良好な分光分析が可能になる。
次に、この発明に係る分析装置は、被検出光情報に基づいた画像データをカラー画像化する構造を備えてもよい。図18及び図19は、当該分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である。
このカラー画像化は、例えば信号処理部において行われ、図18に示されたように、画像データ601(照明画像)を構成する画素PX11、…、PXnmごとに可視光帯の色を割り当てることにより照明領域のより明瞭な視覚化が可能になる。
例えば、信号処理部は、照明領域内における照明部位それぞれに対応している画像データを構成する画素画素PX11、…、PXnm(図18参照)それぞれに関して、図19の領域(a)に示されたように、特定波長λ、λごとに可視光域の異なる色を割り当てる。なお、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡で表現された色であってもよい。そして、図19の領域(b)に示されたように、信号処理部により画像データを構成する画素画素PX11、…、PXnmそれぞれを割り当てられた色で該画像データをモニタ53が表示することにより、被検出光情報に基づいた画像データの視覚化が可能になる。具体的には、図19の領域(b)に示されたように、対象物A5上の塗料50にSC光が照射されると、該塗料50からの発光又は反射光が光学フィルタ51に到達する。光学フィルタ51は、波長成分λ、λを選択的に透過する光学部品であって、該光学フィルタ51を通過した波長成分λ、λが受光素子PD52により検出される。そして、信号処理部が波長成分λ、λそれぞれに割り当てられた色でモニタ53上に生成された画像データを表示させる。
また、他の画像データの視覚化は、被検出光帯域を分割した波長帯域ごとに可視光域の異なる色を割り当てることによっても実現可能である。例えば図19の領域(c)に示されたように、信号処理部が、波長λ以下の波長帯域に青色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に赤色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に黄色を割り当て、波長λ〜λの波長帯域に白色を割り当て、そして、波長λ以上の波長帯域に緑色を割り当てる。なお、この他のカラー画像化においても、割り当てられる可視光域の色は、赤、黄、青などであっても、白黒画像における濃淡で表現された色であってもよい。
(第3の真贋判定方法)
図20は、第3の真贋判定方法を説明するための図である。なお、この第3の真贋判定方法は、吸収波長等が互いに異なる複数種類の塗料により図柄(例えば、図20の領域(b)に示された図柄F1、F2)が描かれた印刷物A3の真贋を判定する。そして、この第3の真贋判定方法を実行する分析装置は、図14の領域(a)及び領域(b)に示された波長可変フィルタ13に代えて、複数種類の塗料それぞれの吸収波長等のうち一又は二以上の波長(例えば、波長λ)に対応するSC光P2の波長成分を減衰させる光学フィルタを備える。
この第3の真贋判定方法では、方法(i)として、光源部20dから光ファイバ9にレーザ光P1が供給され、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1のように広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2が光ファイバ9内で生成され、このSC光P2が照射光P3として印刷物A3に照射される。そして、印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。また、方法(ii)として、光学フィルタによって、照射光P3における波長λの成分の光強度が大きく減衰され(グラフS2)、この照射光P3が印刷物A3に照射される。そして、印刷物A3からの被検出光Lが光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出される。
図20の領域(b)及び領域(c)は、それぞれ上記方法(i)及び(ii)によって得られる画像の一例である。なお、図20の領域(b)及び領域(c)において、図柄F1は波長λを励起波長とする塗料による図柄であり、図柄F2は波長λとは異なる波長λを励起波長とする塗料による図柄である。上記方法(i)においては、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1のような広帯域に亘って平坦なスペクトルを照射光P3が有するので、被検出光Lとして得られる画像データは、図柄F1及びF2の双方を明確に映し出す(図20の領域(b)参照)。これに対し、上記方法(ii)においては、図20の領域(a)に示されたスペクトルS2のように照射光P3のスペクトルが波長λにおいて大きく減衰しているので、被検出光Lとして得られる画像データには図柄F1は含まれず、図柄F2のみが明確に映し出されることとなる(図20の領域(c)参照)。
なお、この第4実施例では、説明を簡単にするために2つの波長λ、λを使用しているが、SC光P2は広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するので、波長λのように照射光P3のスペクトルが局所的に減衰される波長を複数設定することは容易である。したがって、該複数波長それぞれに吸収波長等を有する複数種類の塗料を用いることにより、さらに高精度の偽造判定が可能になる。また、印刷物A3に互いに励起波長の異なる複数の塗料をモザイク状に塗布し、該複数種類の塗料が照射光P3の照射によって同時に発光を示すことによって、初めて意味のある記号等が画像として認識取得されるようにもできる。このとき、図20の領域(b)の波長λに励起波長をもつ塗料を印刷物A3に塗布しておくことで、図20の領域(a)に示されたスペクトルS1をもつ照射光P3を照射した場合と、スペクトルS2をもつ照射光P3を照射した場合とで、取得される画像を異ならせることもできる。
この第3の真贋判定方法において、検出に使用される減衰された特定波長成分がどの波長であるかは、偽造を試みる者には不明であり、全ての塗料を用いかつ全く同様の図柄を再現する必要がある為、偽造を実施し難い。この特徴は、例えば検出には使用しない塗料をランダムに印刷物A3に塗布することにより、偽造を試みる者が印刷物を再現することをより困難にすることもできる。一方、偽造を判断する者にとっては、明瞭な画像によって印刷物A3の真贋を判別できるので、真贋判定を効率よく行うことができる。
なお、エルビウム等の希土類元素を含有した、いわゆるアップコンバージョンを利用した塗料を用いれば、近赤外域の照射光P3の照射によって可視域の被検出光Lが得られる。したがって、印刷物A3にこのような塗料を複数種類塗布しておくことにより、目視により画像を得ることも可能であり、より簡易な真贋判定システムを構築できる。
(第4の真贋判定方法)
第4の真贋判定方法は、互いに励起波長及び発光寿命が異なる複数の塗料が塗布された印刷物A3に対し、SC光P2を照射光P3として照射することにより、真贋の判定を行う。まず、光源部20dから光ファイバ9にレーザ光P1が供給され、広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するSC光P2が光ファイバ9内で生成され、このSC光P2が照射光P3として印刷物A3に照射される。
そして、印刷物A3からの被検出光L(発光)が光検出部3d(又は光検出部3e)によって検出(撮像)される。このとき、光検出部3d(又は光検出部3e)は、光源部20dによる照射光P3の一度の照射に応じて、所定時間の経過後、一回以上検出を行う。
互いに励起波長及び発光寿命が異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物A3の真贋を判定する場合、この印刷物A3に広帯域のSC光P2が照射されることにより、複数の塗料を同時に励起することが簡易にできる。また、この励起によって生じる発光が、照射光P3の照射から所定時間経過後に光検出部3d(又は光検出部3e)において検出されることにより、時間分解された発光強度が得られる。これにより、例えば発光寿命が1μsの塗料と10μsの塗料とを用いて図柄が描かれた印刷物A3を、光源部20dにおける照射光P3の出射をトリガとして1μs〜10μsの間に1回以上撮像することにより、発光寿命が1μsの塗料からの発光は撮像せずに、発光寿命10μsの塗料からの発光のみを検出することができる。また、光源部20dにおける照射光P3の出射をトリガとして、例えば0.5μs経過後及び5μs経過後というように2回撮像することにより、1回目の撮像と2回目の撮像とで異なる画像を得ることができるので、印刷物A3の特徴をより正確に得ることができる。したがって、この第4の真贋判定方法によれば、印刷物A3の真贋を正確に判定できる。
また、この第4の真贋判定方法を分析装置1d(又は分析装置1e)により実現することによって、より長くかつ広い周波数域に亘って上記複数の塗料を励起できるので、真贋判定をより高精度に行うことができる。また、例えば単波長パルス光源を複数使用することによってもこの第4の真贋判定方法を実施することは可能であるが、多数の単波長パルス光源(主にレーザ光源)の光パルスを互いに同期させて照射する構成は複雑かつ大型になる。これに対し、分析装置1d(又は分析装置1e)を用いることによって、照射タイミングが完全に揃った多波長の照射光P3を簡易な構成によって得ることができる。
(第5実施例)
図21は、この発明に係る分析装置の第5実施例の構成を示す図である。第5実施例に係る分析装置1fは、上述の第1実施例に係る分析装置1の変形例であり、建造物等が有するコンクリートA4の劣化を検出するための装置である。図21に示されたように、第5実施例に係る分析装置1fは、光検出部3f、制御/分析部4、入出力部5、分光器7、レンズ14、及び光源部20eを備える。なお、制御/分析部4及び入出力部5により信号処理部が構成されている。このうち、制御/分析部4及び入出力部5の構成は、第1実施例(図1)と同様であり、分光器7の構成は第3実施例(図12の領域(a))と同様である。なお、当該第5実施例は、分光器7に代えて、第1実施例と同様に波長可変フィルタを備えてもよい。
光源部20eは、SC光を含むSC光P2に基づく照射光P3をコンクリートA4に照射するための発光ユニットである。光源部20eは、レーザ光P1を出射する種光源2と、レーザ光P1を入射してSC光P2を出射する中実のHNLFである光ファイバ9と、コンクリートA4における分析部位を照らすためのガイド光Lgを生成するガイド光源8aと、ガイド光源8aをSC光P2に合波するための光カプラ8bとによって構成されている。光源部20eは、SC光P2及びガイド光源8aを照射光P3としてコンクリートA4に照射する。なお、種光源2及び光ファイバ9の詳細な構成は、第1実施例と同様である。
レンズ14は、コンクリートA4の表面における照射光P3の照射範囲をスポット状に制限するための照射径制限部であり、光源部20bの光出射端に光学的に接続されている。なお、レンズ14は、上述の第2実施例における集光レンズ14bと同様、照射光P3の単位面積あたりの光強度(照度)を高めるために、対象物A2の表面における照射光P3の照射径を1μm以上かつ50mm以下のスポット状にする。
光検出部3fは、照射光P3に起因するコンクリートA4からの被検出光Lを検出する。この第5実施例における光検出部3fは、例えばPDなどの受光素子によって構成され、コンクリートA4からの反射・散乱光を被検出光Lとして受光し、その光強度を電流などの電気的な量に変換する。また、レンズ14cは、被検出光Lを光検出部3fに効率よく集光させるためのレンズであり、例えばコンクリートからの反射・散乱光が微弱である場合に使用するとよい。
続いて、分析装置1fを利用したコンクリートの劣化検出方法の一例について説明する。
(コンクリートの劣化検出方法)
当該劣化検出方法は、コンクリートA4に広帯域の近赤外光であるSC光P2を照射し、反射・散乱した被検出光Lを検出し、被検出光LのスペクトルとSC光P2のスペクトルとを互いに比較することによって、コンクリートA4の化学的な劣化を非破壊で検出する。
ここで、コンクリートの劣化について説明する。コンクリートが劣化する原因としては、主に(1)中性化、(2)塩害、(3)硫酸塩劣化の3つが知られている。(1)の中性化とは、水酸化カルシウムCa(OH)と二酸化炭素(炭酸HCO)が反応してコンクリートのアルカリ性が失われることによる劣化である。また、(2)の塩害とは、塩分がコンクリート表面に付着し、内部に塩化物イオンが浸透することによる劣化である。また、(3)の硫酸塩劣化とは、酸性雨などで硫酸イオンSO 2−が水酸化カルシウムCa(OH)と反応して水酸化カルシウムが溶出することによる劣化である。
上述の劣化原因(1)〜(3)の各劣化過程においては、化学反応によってそれぞれ異なる物質が新たに生じる。したがって、この新たに生じた物質の吸収波長付近におけるコンクリートの吸収スペクトルが変化することとなる。例えば、中性化においては主に1.35μm〜1.45μm付近の吸収率が変化し、塩害においては主に2.2μm〜2.3μm付近の吸収率が変化し、硫酸塩劣化においては主に1.7μm〜1.8μm付近の吸収率が変化する。しかしながら、吸収率の値自体はばらつきが大きく、特定波長の吸収率だけを比較しても劣化の度合いを判定することは難しい。そこで、吸収率変化が生じる波長の前後の波長域を広く測定し、得られる照射光P3及び被検出光Lのスペクトルを比較することによって、劣化度合いを精度よく判定できる。この第5実施例に係る分析装置1fを用いれば、SC光P2が広帯域に亘って平坦なスペクトルを有するので、上記した全ての波長域を一度に測定することができ、スペクトルの比較も容易となる。また、SC光P2はコヒーレンシーの高い広帯域光であるので、コリメートされた場合、離れた場所のある特定の位置を高い精度で照射することができる。したがって、例えば地上から建造物の高い位置を離れて測定することも容易にできる。
このように、第5実施例に係る分析装置1fがコンクリートの劣化検出に使用されることにより、より長くかつ広い周波数域に亘ってコンクリートの光吸収を測定でき、簡易な構成で高精度の劣化検出を実現できる。また、SC光P2の光源としてHNLFといった中実の光ファイバ9を用いるので、信頼性及び実用性に優れている。なお、測定されるべき波長域は、コンクリートA4の成分によって異なるため、上述の波長域に限られるものではない。
また、スペクトルの変化を比較する方法としては、照射光P3のスペクトルと被検出光Lのスペクトルとを比較する方法の他、劣化前の被検出光Lのスペクトルと劣化後の被検出光Lのスペクトルとを比較する方法、SC光P2をパルス化し、パルス光源の時間応答を測定する方法、あるいはコンクリートA4の成分別に作成された被検出光Lの吸収、反射などのスペクトルに関するデータベースと比較し、スペクトル形状の変化によりコンクリートの劣化の要因を抽出する方法など、様々な方法がある。
コンクリートA4に対して照射位置や光検出部3fを走査させることにより、コンクリートA4の劣化位置を知ることも可能である。あるいは、光検出部3fを赤外カメラ等の二次元撮像装置とし、被検出光Lの光強度を二次元的に得ることによっても、コンクリートA4の劣化位置を知ることができる。これらの場合、照射光P3の照射径をレンズ14によって小さく絞ることにより、劣化位置を更に精度よく知ることができる。また、被検出光Lのスペクトル強度の時間変化を観察することにより、コンクリートA4の深さ方向の劣化状態を測定することも可能である。
図21に示されたように、コンクリートA4の表面に設けられた突起A41に対して照射光P3が照射されてもよい。これにより、被検出光Lを効率よく検出できる。また、この第5実施例のようにSC光P2に視認性の良好な可視域のレーザ光をガイド光Lgとして光ファイバに合波して照射光P3とすることにより、離れた場所にあるコンクリートA4の測定部位を特定することも可能である。この場合、精度よく照射光P3を測定対象に照射できる。
また、コンクリートA4の表面の汚れ等によって反射率が変動する場合には、被検出光Lのスペクトルから得られた反射率の値を微分してもよい。これにより、反射率が低い場合であっても、コンクリートA4の劣化に伴い発生する反射スペクトルの変化波長帯域を特定することができるので、コンクリートA4の表面状態に拘わらず精度良く劣化検出できる。また、コンクリートA4の表面に凹凸があるなどの場合、光散乱によって効率が低下するが、そのような場合には照射光P3のビーム径を大きくし、測定領域の反射率を平均化するなどの工夫を行うこともできる。なお、これらの場合、被検出光Lのうち微分に用いる特定の波長成分のみを光検出部3fにおいて検出してもよい。
以上のように、この発明に係る分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法は、上述の実施例に限らず、様々な変形が可能である。例えば、この発明に係る分析装置は、上述の各実施例の説明において例示された用途(薬剤検査や食品検査など)に限らず、波長0.8μm以上の比較的長波長かつ広帯域の光源を必要とする他の様々な用途に用いることができる。
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
この発明に係る分析装置は、広帯域SC光源を用いた種々の分光分析装置への適用が可能である。
は、この発明に係る分析装置の第1実施例の構成を示す図である。 は、この発明に係る分析装置における光源部の種々の構成例を示す図である。 は、種光源の第1構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、種光源の第2構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、種光源の第3構造として、パルス光源の構成を示す図である。 は、光ファイバから出射されるSC光パルスのスペクトル例を示すグラフである。 は、光ファイバから出射されるSC光パルスのスペクトル例を示すグラフである。 は、図6及び図7に示された各スペクトルを実現するための光ファイバ及び種光源の条件例を示す表である。 は、図8に示された条件により得られるSC光のスペクトル全体における時間平均光強度及び平均的なスペクトル成分の強度(単位波長当たりの放射束)の大きさを示す表である。 は、この発明に係る分析装置の第2実施例の構成を示す図である。 は、照射光のパルス形状の一例と、被検出光のパルス形状の一例を示す図である。 は、この発明に係る分析装置の第3実施例の構成を示す図である。 は、信号処理部における画像処理(SN比改善及び振動補正)を説明するための図である。 は、この発明に係る分析装置の第4実施例の構成を示す図である。 は、第4実施例に係る分析装置の変形例を示す図である。 は、第4実施例に係る分析装置による第2真贋判定方法を説明するための図である(その1)。 は、第4実施例に係る分析装置による第2真贋判定方法を説明するための図である(その2)。 は、この発明に係る分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である(その1)。 は、この発明に係る分析装置におけるカラー画像化を説明するための図である(その2)。 は、第4実施例に係る分析装置による第3真贋判定方法を説明するための図である。 は、この発明に係る分析装置の第5実施例の構成を示す図である。
符号の説明
1、1a〜1f…分析装置、2…種光源、2a〜2c…パルス光源、3、3a〜3f…光検出部、4…制御/分析部、5…入出力部、6a、6b…モニタ/分析部、7…分光器、8a…ガイド光源、8b…光カプラ、9…光ファイバ、11…1/2波長板、12…偏向子、13…波長可変フィルタ、14,19…レンズ、14a…コリメータレンズ、14b…集光レンズ、15…ハーフミラー、16…光学フィルタ、17…ピンホール板、20,20a〜20e…光源部、A1、A2…対象物、A3…印刷物、A4…コンクリート、L…被検出光、Ld…微小散乱光、Lg…ガイド光、P1…レーザ光、P2…SC光、P3…照射光。

Claims (20)

  1. 所定の対象物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたスーパーコンティニューム光を出射する光源部であって、レーザ光を出射する種光源と、該レーザ光を入射して該スーパーコンティニューム光を生成する中実の光ファイバとを含む光源部と、
    前記照射光が照射された前記対象物からの被検出光を検出する光検出部とを備えた分析装置において、
    前記種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まっている分析装置。
  2. 請求項1記載の分析装置において、
    前記光ファイバは、高非線形光ファイバを含む。
  3. 請求項1又は2記載の分析装置において、
    前記スーパーコンティニューム光のスペクトル帯域は、0.8μm〜3μmの範囲内に収まっている。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の分析装置は、さらに、
    前記光源部からの照射光が前記対象物の表面において照射径1μm〜50mmの範囲内に収まるスポット状になるように、前記照射光の照射径を制限するための照射径制限部を備える。
  5. 請求項1〜5のいずれか一項記載の分析装置は、さらに、
    前記光検出部における検出結果に基づいて、前記被検出光に関するスペクトル波形情報及び時間波形情報のうち少なくとも一方を、前記照射光が到達する照明領域の、前記対象物を含む画像データとして生成する信号処理部を備える。
  6. 請求項5記載の分析装置において、
    前記信号処理部は、前記照明領域内における照明部位それぞれに対応している前記画像データを構成する画素それぞれに関して、前記被検出光に含まれる1又はそれ以上の波長成分それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させる。
  7. 請求項5記載の分析装置において、
    前記信号処理部は、前記照明領域内における照明部位それぞれに対応している前記画像データを構成する画素それぞれに関して、前記被検出光の波長範囲を複数の波長域に分割し、該分割された複数の波長域それぞれに可視光域の異なる色を割り当て、そして、それぞれ割り当てられた色で該画像データを構成する画素を所定の表示装置に表示させる。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項記載の分析装置において、
    前記光検出部は、InP半導体層及びInGaAs半導体層を含む受光素子を含む。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載の分析装置は、さらに、
    前記対象物へ照射される前記照射光の波長範囲、及び、前記光検出部へ入射される前記被検出光の波長範囲の少なくともいずれかを所定範囲内に制限するための光学フィルタを備える。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項記載の分析装置は、さらに、
    前記対象物へ照射される前記照射光の波長範囲、及び、前記光検出部へ入射される前記被検出光の波長範囲の少なくともいずれかを制限するための波長可変フィルタを備える。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項記載の分析装置において、
    前記照射光は、前記光検出部の受光感度の波長依存性を補償可能なスペクトル波形を有する。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項記載の分析装置において、
    前記光源部は、前記照射光を出射するための複数の出射端を備える。
  13. 請求項5記載の分析装置において、
    前記信号処理部は、生成された画像データのSN比を改善するため、該画像データからノイズ成分が低減された補正画像データを生成する。
  14. 請求項5記載の分析装置において、
    前記信号処理部は、前記対象物への照射光照射に先立ち、波長域800nm〜3000nmのプローブ光を対象物に照射し、該プローブ光の反射成分の検出結果に基づいて前記光源部から出射される照射光の波長を決定する第1ステップと、そして、
    前記第1ステップで決定された波長の照射光を前記光源部から前記対象物に向けて出射させることにより、該照射光の反射成分の検出結果を得る第2ステップを行う。
  15. 請求項5記載の分析装置において、
    前記信号処理部は、時間経過とともに順次生成された複数の画像データについて対応する画素を平均化することで、新たに分析用画像を生成する。
  16. 吸収波長、反射波長、及び発光波長の少なくともいずれかが互いに異なる光学特性を有する複数種類の塗料により図柄が描かれた印刷物の真贋を判定するための真贋判定装置において、
    前記印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたスーパーコンティニューム光を出射する光源部であって、レーザ光を出射する種光源と、該レーザ光を入射して該スーパーコンティニューム光を生成する中実の光ファイバとを含む光源部と、
    前記照射光が照射された前記印刷物からの被検出光を検出する光検出部とを備え、
    前記種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まっている真贋判定装置。
  17. 請求項16記載の真贋判定装置は、さらに、
    前記光ファイバに光学的に接続されるとともに、前記複数種類の塗料それぞれの吸収波長、反射波長、及び発光波長のうち少なくともいずれかに一致した前記照射光の波長成分を減衰又は遮断する光学フィルタを備える。
  18. 発光波長及び発光寿命が互いに異なる複数種類の塗料が塗布された印刷物の真贋を判定するための真贋判定装置において、
    前記印刷物に向けて照射される照明光としてスペクトル帯域が拡大されたスーパーコンティニューム光を出射する光源部であって、レーザ光を出射する種光源と、該レーザ光を入射して該スーパーコンティニューム光を生成する中実の光ファイバとを含む光源部と、
    前記照射光によって前記複数種類の塗料が励起されることにより発生する、前記印刷物からの発光を検出する光検出部とを備え、
    前記種光源から出射されるレーザ光の中心波長は、1.3μm〜1.8μmの範囲内に収まるとともに、
    前記光検出部は、前記光源部からの照射光の出射に連動して前記印刷物からの発光を検出する真贋判定装置。
  19. 印刷物の真贋を判定する真贋判定方法において、
    レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるスーパーコンティニューム光を、照射光として前記印刷物に照射する照射ステップと、
    前記照射光が照射された印刷物からの被検出光を検出する検出ステップと、
    前記被検出光に含まれる波長成分のういちいずれかを判定基準波長とし、該判定基準波長の光強度に基づいて、前記印刷物の真贋を判定する判定ステップとを備え、
    前記判定ステップにおいて、印刷物の真贋判定が実施される地域は複数の区域に分割され、該分割された区域それぞれに互いに異なる判定基準波長が割り当てられる真贋判定方法。
  20. 地中の特定物質を探索する地中探索方法において、
    地中を掘削する掘削ステップと、
    レーザ光を中実の光ファイバに入射させることにより該中実の光ファイバ内で生成されるスーパーコンティニューム光を、照射光として前記掘削領域内の所定部位に向けて照射する照射ステップと、
    前記照射光が照射された前記所定部位からの被検出光を検出する検出ステップと、
    前記被検出光に含まれる所定の波長成分の強度に基づいて、前記特定物質の存在を判定する判定ステップとを備えた地中探索方法。
JP2007554981A 2006-01-20 2007-01-19 分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法 Pending JPWO2007083755A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006013103 2006-01-20
JP2006013103 2006-01-20
PCT/JP2007/050815 WO2007083755A1 (ja) 2006-01-20 2007-01-19 分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2007083755A1 true JPWO2007083755A1 (ja) 2009-06-11

Family

ID=38287705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007554981A Pending JPWO2007083755A1 (ja) 2006-01-20 2007-01-19 分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20090152475A1 (ja)
EP (1) EP1959250A4 (ja)
JP (1) JPWO2007083755A1 (ja)
CN (1) CN101371128A (ja)
WO (1) WO2007083755A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012532324A (ja) * 2009-07-10 2012-12-13 ハネウェル・アスカ・インコーポレーテッド 高帯域光源を用いる光ファイバセンサ

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2559102C (en) * 2004-03-09 2013-01-15 Council Of Scientific And Industrial Research Improved fake currency detector using visual and reflective spectral response
US8259298B2 (en) * 2007-09-03 2012-09-04 Belgian Electronic Sorting Technology N.V. Sorting device with a broad spectrum light source and according method
JP4453737B2 (ja) * 2007-10-10 2010-04-21 住友電気工業株式会社 広帯域光源装置及び分析装置
FR2922304B1 (fr) * 2007-10-12 2009-11-20 Sp3H Dispositif de spectrometrie pour l'analyse d'un fluide
US7787112B2 (en) * 2007-10-22 2010-08-31 Visiongate, Inc. Depth of field extension for optical tomography
JP2009139098A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Fujita Kensetsu Consultant:Kk コンクリート構造物中の任意深さの劣化成分検出装置及び検出方法
FR2925685B1 (fr) * 2007-12-21 2010-02-05 Centre Nat Rech Scient Procede et dispositif de mesure monocoup de la birefringence transitoire induite par une perturbation appartenant au domaine des frequences terahertz
JP5233549B2 (ja) * 2008-09-22 2013-07-10 住友電気工業株式会社 食品品質検査装置、食品成分検査装置、異物成分検査装置、食味検査装置および変移状態検査装置
JP2011169849A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Anritsu Corp ガス検知装置
CN102841480A (zh) * 2011-06-21 2012-12-26 中国人民解放军国防科学技术大学 一种基于光子晶体光纤四波混频效应的全光波长转换器
US9270080B1 (en) * 2011-06-26 2016-02-23 Fianium Ltd Methods and apparatus pertaining to the use and generation of broadband light
JP6069203B2 (ja) * 2011-08-30 2017-02-01 関西ペイント株式会社 顔料分散体の評価方法および評価装置
CN102628797B (zh) * 2012-04-18 2013-08-28 山东省科学院激光研究所 基于激光注入锁模技术的有源腔气体检测系统
EP2992384B1 (en) 2012-06-01 2019-07-24 NKT Photonics A/S A supercontinuum light source, a system and a method of measuring
US8803090B2 (en) * 2012-11-09 2014-08-12 Fenwal, Inc. Citrate detector for blood processing system
JP6146010B2 (ja) * 2012-12-27 2017-06-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 食品分析装置
CN103166096B (zh) * 2013-03-01 2015-07-08 广东汉唐量子光电科技有限公司 一种用于激光显示的光纤光源装置
JP6517193B2 (ja) * 2013-06-07 2019-05-22 マルバーン インストゥルメンツ リミテッド アレイベースの試料特性評価
JP5678148B2 (ja) * 2013-08-20 2015-02-25 株式会社Ihiインフラシステム コンクリートの診断方法、データベース装置
EP3214831B1 (en) * 2014-10-27 2019-11-06 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Image formation system, image formation method, imaging element, and program
WO2016209894A1 (en) 2015-06-22 2016-12-29 Saudi Arabian Oil Company Systems, methods, and computer medium to provide entropy based characterization of multiphase flow
CN106331442B (zh) * 2015-07-02 2021-01-15 松下知识产权经营株式会社 摄像装置
US9857298B2 (en) * 2015-07-06 2018-01-02 Saudi Arabian Oil Company Systems and methods for near-infrared based water cut monitoring in multiphase fluid flow
JP2017142118A (ja) * 2016-02-09 2017-08-17 株式会社イシダ 光検査装置
JP6796391B2 (ja) * 2016-03-31 2020-12-09 株式会社トプコン コンクリート測定装置及びコンクリート測定方法
CN107490428B (zh) * 2016-06-09 2020-12-29 松下知识产权经营株式会社 振动可视化元件、振动计测系统及振动计测方法
JP2018084446A (ja) * 2016-11-22 2018-05-31 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果実の食べ頃評価方法及び評価装置
EP3324173B1 (en) 2017-07-03 2019-04-17 Fyla Laser, S.L. Light inspection system and method of the surface and inside of a sample
KR20190056771A (ko) * 2017-11-17 2019-05-27 현대자동차주식회사 수밀 검사 장치 및 방법
US11175232B2 (en) * 2018-01-16 2021-11-16 United States Of America As Represented By The Administrator Of Nasa Standoff ultra-compact micro-raman sensor
US10311682B1 (en) * 2018-03-08 2019-06-04 Capital One Services, Llc Counterfeit detection apparatus
WO2019190122A1 (ko) 2018-03-30 2019-10-03 삼성전자 주식회사 대상체의 상태정보를 획득하는 전자장치 및 그 제어 방법
RU2682593C1 (ru) * 2018-03-30 2019-03-19 Самсунг Электроникс Ко., Лтд. Ультракомпактный спектрометр высокого разрешения и способ его применения
JP7377484B2 (ja) * 2018-04-25 2023-11-10 株式会社大林組 検出装置及び、検出方法
JP6595662B1 (ja) * 2018-05-30 2019-10-23 Ckd株式会社 検査装置及びptp包装機
WO2019239962A1 (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 国立研究開発法人産業技術総合研究所 受光素子、撮像素子及び撮像装置
JP2020101482A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 セイコーエプソン株式会社 外観検査補助装置および外観検査補助方法
US11661845B2 (en) * 2019-05-10 2023-05-30 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Attenuated total internal reflection optical sensor for obtaining downhole fluid properties
JP7487608B2 (ja) 2020-08-20 2024-05-21 ウシオ電機株式会社 分光測定装置
KR102644079B1 (ko) * 2021-09-24 2024-03-07 주식회사 휘라포토닉스 광학 혈당 센서용 광도파로 모듈

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5784162A (en) * 1993-08-18 1998-07-21 Applied Spectral Imaging Ltd. Spectral bio-imaging methods for biological research, medical diagnostics and therapy
US6373573B1 (en) * 2000-03-13 2002-04-16 Lj Laboratories L.L.C. Apparatus for measuring optical characteristics of a substrate and pigments applied thereto
US5808350A (en) * 1997-01-03 1998-09-15 Raytheon Company Integrated IR, visible and NIR sensor and methods of fabricating same
JPH10332533A (ja) * 1997-06-03 1998-12-18 Unie Opt:Kk 複屈折評価装置
US6087182A (en) * 1998-08-27 2000-07-11 Abbott Laboratories Reagentless analysis of biological samples
WO2001076026A1 (en) * 2000-03-30 2001-10-11 National Institute Of Standards And Technology ('nist') Mode-locked pulsed laser system and method
WO2003017745A2 (en) * 2001-08-23 2003-03-06 Sciperio, Inc. Architecture tool and methods of use
DE10221564A1 (de) * 2002-05-15 2003-11-27 Evotec Ag Vorrichtung und Verfahren zur Untersuchung chemischer und/oder biologischer Proben
JP4602765B2 (ja) * 2002-08-05 2010-12-22 インフラレドックス インコーポレーティッド 血管壁の近赤外分光分析
US7486985B2 (en) * 2002-08-05 2009-02-03 Infraredx, Inc. Near-infrared spectroscopic analysis of blood vessel walls
US7689268B2 (en) * 2002-08-05 2010-03-30 Infraredx, Inc. Spectroscopic unwanted signal filters for discrimination of vulnerable plaque and method therefor
US6970240B2 (en) * 2003-03-10 2005-11-29 Applera Corporation Combination reader
JP4144389B2 (ja) * 2003-03-14 2008-09-03 オムロン株式会社 光学式膜計測装置
US7023545B2 (en) * 2003-06-12 2006-04-04 Textron Systems Corporation Chemical identification by flash spectroscopy
US7394053B2 (en) * 2004-09-09 2008-07-01 Beth Israel Deaconess Medical Center, Inc. Systems and methods for multi-modal imaging having a spatial relationship in three dimensions between first and second image data
US20060289724A1 (en) * 2005-06-20 2006-12-28 Skinner Neal G Fiber optic sensor capable of using optical power to sense a parameter

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012532324A (ja) * 2009-07-10 2012-12-13 ハネウェル・アスカ・インコーポレーテッド 高帯域光源を用いる光ファイバセンサ

Also Published As

Publication number Publication date
EP1959250A1 (en) 2008-08-20
CN101371128A (zh) 2009-02-18
WO2007083755A1 (ja) 2007-07-26
EP1959250A4 (en) 2011-10-12
US20090152475A1 (en) 2009-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2007083755A1 (ja) 分析装置、真贋判定装置、真贋判定方法、及び地中探索方法
US9851303B2 (en) System and method for inducing and detecting multi-photon processes in a sample
US8064053B2 (en) 3-color multiplex CARS spectrometer
US7289203B2 (en) Method and system for spectral analysis of biological materials using stimulated cars
EP2211430A2 (en) Laser autocorrelation system
US9104030B2 (en) Laser illumination systems and methods for dual-excitation wavelength non-linear optical microscopy and micro-spectroscopy systems
US20120287428A1 (en) Nonlinear raman spectroscopic apparatus, microspectroscopic apparatus, and microspectroscopic imaging apparatus
US9638638B2 (en) System and method for stimulated raman spectroscopy
KR100793517B1 (ko) 혼탁한 약제학적 시료들의 분광 분석을 위한 방법과 장치
US10267739B2 (en) Laser system for standoff detection
Gottschall et al. Advances in laser concepts for multiplex, coherent Raman scattering micro-spectroscopy and imaging
US20090184258A1 (en) Remote Laser Assisted Biological Aerosol Standoff Detection in Atmosphere
US11953440B2 (en) Method and apparatus for simultaneous nonlinear excitation and detection of different chromophores across a wide spectral range using ultra-broadband light pulses and time-resolved detection
Mallick et al. Design and development of stimulated Raman spectroscopy apparatus using a femtosecond laser system
Wu et al. Single-photon emission in the near infrared from diamond colour centre
Li et al. Multimodal coherent anti-stokes Raman scattering microscopy with a supercontinuum all-fiber laser
US7110111B2 (en) Controlled wide spectrum compact ultrabrief laser source
ES2952763T3 (es) Método y aparato para la excitación y detección no lineal simultánea de diferentes cromóforos a través de un amplio rango espectral utilizando impulsos de luz de banda ultra ancha y detección resuelta en el tiempo
JP4538301B2 (ja) 電子スペクトル測定方法及び装置
Li et al. Sub-ps Resolution Time-correlated Single Photon Counting Through Time Magnification
Kolb et al. This is an author prepared version of a published paper