JP4602765B2 - 血管壁の近赤外分光分析 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、組織、例えばアテローム硬化性プラークなどの病変を、検出および特徴付けるための、血管の近赤外分光分析に関する。
背景
アテローム性動脈硬化症は、大動脈、頸動脈、冠動脈、および大脳動脈を含む中-または大-サイズの内膜に関与する動脈疾患である。アテローム性動脈硬化症病変またはプラークは、泡沫マクロファージおよび平滑筋細胞と共に、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ならびに細胞外および細胞内脂質を含む、複雑な組織マトリックスを含む。加えて、炎症細胞成分(例えば、Tリンパ球、マクロファージ、および好塩基球の一部)も、これらのプラークにおいて認めることができる。プラーク破裂の後、血管内で局所的閉塞性血栓が形成されるので、アテローム硬化性プラークの破綻または破裂は、心臓麻痺および発作の主因であるように見える。プラーク破裂のリスクは通常予測できないが、多くの剖検が、このリスクはプラーク組成に大きく左右されることを明らかにしている。ほとんどの破裂したアテローム硬化性プラークは、薄い線維性被膜により被覆され、マクロファージにより密に浸潤されている、巨大な、柔らかい、脂質-豊富な、壊死性のコアの形成により構造的に特徴付けられる。これらの特徴の中で、いわゆる「脂質プール」と称される脂質の蓄積が、最も頻繁に観察される破裂の前提条件である。炎症も、破裂されないが、浸食された、血栓性プラークの大きい特徴である。
近赤外(NIR)分光法は、定量的または定性的のいずれかの化学物質分析のために20年以上にわたり産業界において使用されている。このスペクトルは大気中の水または二酸化炭素により重大な影響を受けないので、これは、プロセスおよび製品管理機能において重要な役割を果たしている。近赤外線スペクトルは、倍音および基本波赤外線バンドの組合せからなり、これは赤外(IR)のようなより狭域バンドを有する他の分光学的方法と比べ、スペクトル特性の解像度を下げることができる。しかし、新規統計技術を使用し、低解像度の近赤外線スペクトルデータから有用な情報を抽出することができる。例えば、分光法と数学を組合せたケモメトリクスは、明確な定性的情報に加え定量的情報を提供することができる。従って、ケモメトリクスと組合せた近赤外線分光法は、多くの専門分野において次第に頻繁に使用されるようになっている。
例えば、近赤外線スペクトルは、インビトロにおいて生物学的組織試料から入手される。加えて、インビボにおいて組織を造影するためにいくつかの努力が成されているが;しかしこのような画像は、望ましい標的のスペクトル画像を隠しおよび不明瞭にする全血を通した造影の問題点を含む、多くの課題を有する。
概要
本発明はひとつには、近赤外線波長の特定の範囲(1100〜1415nm)内の2以上の単一波長および/または1以上の狭い波長域(例えば、2〜10、20、30nm、またはそれよりも大きい、最大約100nmの範囲にわたる)を使用する場合、インビボにおいて、血管組織を例えば全血を通し特徴付け、その組織の組成、例えば脂質成分の存在を含む化学組成を決定し、これは特定の組織が罹患しているかどうかを示すことができるという発見を基にしている。特に組織を、病変を有するものまたは有さないものとして、例えば、「脆弱」である、すなわちおそらく破裂しその結果生命を脅かすか、または「安定」であり、従って生命を脅かさない病変であるとして特徴付けることができる。従って本発明は、インビボにおいて血管壁の罹患した組織と健康な組織の間を識別する方法を特徴とする。本発明は、それに対し組織特徴を比較することができる、特異的閾値を使用するまたは使用しない、新規方法の結果を分析する方法も特徴とする。
概して本発明は、血管壁を照射するために、各々、波長範囲1100〜1415nm内の近赤外線の1〜10、20、30nm、またはそれよりも大きい範囲にわたる、2以上の単一波長または1以上の波長バンドを使用し、インビボにおいて血管壁を分光学的に分析する方法を特徴としている。この小さい波長範囲内の単一波長または狭域バンドの使用は、データの収集および分析を簡略化し、更に高度に正確でおよび再現可能な結果を提供する。血管壁は照射することができ、および壁の照射から生じた拡散性に反射された光は、血管内の血液、または任意に血管から、例えば一時的に、除去または交換された血液のいずれかにより分析することができる。
光および輻射線を発生する装置の性質のために、「単一波長」による試料または標的組織の照射は、隣接波長の一部照射を伴う、特異的波長でのピーク強度による照射を意味する。
これらの方法は、血管壁を照射し、その後反射された輻射線をカテーテル内の光ファイバーにより収集し、次に波長の関数として反射強度を吸収強度に変換し、ならびに任意に、中央平均化(MC)、自動縮尺、正規化、一次および二次微分、Savitzky Golay平滑化のような平滑化の選択肢、多様なベースラインの除去法、直交シグナル補正、一般化最小二乗フィルタリング、ウェーブレット、標準正規変数(SNV)法、多重散乱補正(MSC)法、および望ましくないシグナルを除去するために使用した他の技術などの技術を用いこのスペクトルを前処理することを含む。
別の局面において、本発明は、(a)波長範囲約1100〜1415nm内の近赤外線の、2以上の単一波長または1以上の狭い波長域により、血管壁内の組織を照射すること;(b)約1100〜1415nmの波長を有する組織から反射された輻射線を検出すること;(c)検出された輻射線を処理し、血管壁の組織を特徴付けること;ならびに、(d)組織の特徴を示す出力を提供することにより、血管壁中の組織を特徴付けるインビボ法を特徴としている。
本発明は、プローブを血管へ導入することにより、光ファイバープローブを利用し、インビボにおいて血管壁中の組織を分析し;波長範囲約1100〜1415nm内の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む近赤外線を、血管壁内の組織に方向付け;血管壁により吸収されない、実質的に1100〜1415nmの波長範囲内の輻射線を検出し;ならびに、検出された輻射線を分析し、血管壁内の組織を類別する方法も含む。
これらの方法の全てにおいて、1以上の狭い波長域は、各々波長範囲1100〜1415nm内で、約1.0nm〜約100nmにわたることができる。あるいはこの方法は、各々波長範囲1100〜1415nm内で、1.0nm〜約30nmにわたる、2つの単一波長もしくは2つの狭い波長域、または少なくとも1つの狭い波長域および少なくとも1つの単一波長を使用することができる。
これらの方法において、波長範囲は、約1100〜1350nm、1150〜1250nm、1175〜1280nm、または約1190〜1250nmであることができる。この血管は、動脈、例えば冠動脈であることができ、組織は、脂質プール、脂質プールおよび薄い線維性被膜、脂質プールおよび厚い線維性被膜、ならびに線維質および/または石灰質組織を含むことができる。この方法は、血液を通して、例えば1、2、3mmまたはそれよりも厚い血液を通して、組織を照射し、ならびに反射された輻射線を、この血液を通して検出するために使用することができる。一部の態様において、血管内の血液は、例えば、バルーンまたはカテーテルにより、閉塞することができる。あるいは血管は、生体適合性液体で充満することができ、その場合血管壁は、生体適合性液体を通して照射され、ならびに反射された輻射線は、生体適合性液体を通して検出される。
ある種の態様において、この方法は、第二の波長範囲約1650nm〜1780nm内の近赤外線の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域による、血管壁内の組織の照射;ならびに更に、第二の波長約1650nm〜1780nmを有する組織から反射された輻射線の検出を含むこともできる。この第二の波長範囲は、約1650〜1730nmであることもできる。
これらの方法の全てにおいて、処理は、ケモメトリクス判別アルゴリズムを用いて行うことができ、これらの方法は更に、組織の特徴に関連のないスペクトル情報を除去するための検出された輻射線の前処理を含むことができる。例えばこれらの方法は、定性的ケモメトリクス判別アルゴリズム、例えば部分最小二乗法判別分析(PLS-DA)、マハラノビス距離による主成分分析(PCA-MD)、またはマハラノビス距離および増強された残差による主成分分析(PCA/MDR)を使用することができる。あるいはこれらの方法は、定量的ケモメトリクスアルゴリズム、例えば部分最小二乗法(PLS)または主成分分析(PCA)を使用することができる。
これらの方法において、出力は、走査された組織の連続等級化を提供することができるか、または走査された組織を2、3、以上の異なる病変カテゴリーに類別することができるか、または走査された組織を、健康もしくは脆弱性プラークのいずれかに類別することができる。この出力は、反射スペクトルに対応するシグナルのグラフ表示、または組織の特徴のカラースキームであることもできる。
ある方法において、処理は、走査された組織が罹患しているかどうかを決定するための閾値の適用、例えば走査された組織が罹患しているかどうかを決定する境界計算を確立するための2種以上の群間の分離を最適化することにより決定された閾値の適用を含むことができる。具体的態様において、出力は、組織を、脂質-豊富なもしくはそうではないものとして、脂質-豊富な、石灰質、線維質、正常なもしくはその他のものとして、薄く被膜された線維性アテローム(TCFA)であるかどうかとして、または脆弱な病変であるかどうかとして、類別することができる。あるいはこの出力は、罹患したものとして、または閾値を適用することなく、組織を類別することができる。
別の局面において、本発明は、波長範囲約1100〜1415nm、例えば1100〜1350または1150〜1250nm内の、近赤外線の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む輻射線を発生する近赤外線源;輻射線源から組織へ輻射線を伝達するためおよび組織により吸収されなかった輻射線を受け取るための、1個以上の輻射線導管;実質的に1100〜1415nmの波長範囲にわたる組織により吸収されなかった輻射線を収集する輻射線検出器;収集された輻射線を処理し、組織を特徴付けるプロセッサー;ならびに、組織の特徴を示す、出力装置を備える、インビボにおいて組織を特徴付ける機器も含む。例えば近赤外線源は、2種の狭い波長域を発生し、各々、波長範囲1100〜1415nm内で1.0nm〜30nmにわたる。この機器は更に、第二の波長範囲約1650〜1780nm内の近赤外線の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む輻射線を発生する、近赤外線源を備えることができる。この第二の波長範囲のための線源は、第一の波長範囲を発生する線源と同じまたは異なることができる。
これらの装置において、出力装置は、走査された組織から拡散性に反射された輻射線のグラフ表示、走査された組織の機能的カラースキーム、または走査された組織の連続等級化を提供することができる。あるいは、プロセッサーおよび出力装置は、走査された組織を、2、3、またはそれよりも多い異なる病変のカテゴリー、例えば健康または脆弱性プラークのいずれかなどに類別することができる。このプロセッサーは、走査された組織が罹患しているかどうかを決定するために閾値を、例えば走査された組織が罹患しているかどうかを決定する境界計算を確立するために、2種以上の群間の分類を最小化することにより決定された閾値を適用することができる。
別の態様において、この機器は、基本的患者情報、走査の日付および時刻、走査された組織のデジタル化された縦画像、および走査された組織の特定のセクションのデジタル化された横断面を示すスクリーンを有する出力装置を備えることができる。ある態様において、走査された組織のデジタル化された縦画像および横断面は、セクションに分離され、ここで各セクションは、そのセクションにより表された組織の点が健康であるかまたは罹患しているのいずれであるかを示している。あるいは各セクションは、その点の組織の健康を表している複数の色または灰色の陰影の連続等級の1つを示すことができる。プロセッサーおよび出力装置は、走査された組織の構成成分濃度も提供することができる。
別の態様において、本発明は、a)波長範囲約1100〜1415nm内の近赤外線の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む近赤外線により、組織の一部を照射する手段;b)組織により吸収されなかった波長範囲内の輻射線を収集する手段;c)収集された輻射線から、照射された組織による輻射線吸収量を決定する手段 ;ならびに、d)1つの照射された組織成分を、波長範囲内の他の照射された組織成分から識別する手段であり、ここで識別手段は、i)吸収量をケモメトリクス前処理技術を用い前処理する手段、およびii)前処理した吸収量についてケモメトリクス判別アルゴリズムを実行し、組織を特徴付ける手段を持つもの;ならびに、e)照射された組織の特徴を示す出力を提供する手段を備える、インビボにおいて組織の一部を特徴付けるための器具を含む。
更に別の態様において、本発明は、プローブを血管に導入すること;波長範囲約1100〜1415nm内の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む近赤外線を、血管壁中の組織に方向付けること;血管壁により吸収されない波長範囲が実質的に1100〜1415nm内の輻射線を検出すること;ならびに、検出された輻射線を分析し、血管壁内の組織を類別することにより、光ファイバープローブを利用しインビボにおいて血管壁中の組織を分析する方法も特徴とする。
本発明は同じく、(a)例えば近赤外線のような輻射線により、組織内の連続点を走査すること;(b)組織から反射された輻射線を検出すること;(c)検出された輻射線を処理し、セット内の各数値が走査された組織の異なる点を特徴付けるような数値セットを作成すること;および、(d)数値セットを閾値を伴わずに組織を特徴付ける連続等級出力へと変換することにより、組織に対応するスペクトルデータを表示する方法を特徴としている。これらの方法は、組織を走査された組織内の構成成分濃度により特徴付けることも可能にしている。
本明細書の方法は全て、更にその組織型を基にまたは特異的化学組成の存在により病変を特徴付けるようにデザインされたケモメトリクスアルゴリズムを適用することを含むことができる。これらのアルゴリズムは、様々な血液深度で獲得されたスペクトルを用い、血液深度とは無関係に操作するために開発されるか、または標準的方法(例えば、病理学的または化学的分析)により決定される組織型データおよび/もしくは特異的化学組成の存在を用い開発することができる。
ある態様において、病変は、2つのカテゴリー:脆弱(生命を脅かす)および安定(生命を脅かさない)の一方に収まるものとして指定される。1種以上の組織型または特異的化学組成は、各カテゴリーに収まり得る。例えば、高脂質含量および薄い線維性被膜を伴う病変は、「脆弱性」プラーク、例えば生命を脅かすものと考えられる。線維質もしくは石灰質組織を主に含み、および/または高脂質含量を有するが、厚い線維性被膜、加えて正常もしくはプレ-アテローム性組織を伴う病変は、「安定」と特徴付けられる。
ある態様において、組織または病変は、正常組織または安定し安全な病変が低リスク指標(例えば<1.0)と恣意的に指定され、ならびに非常に高リスクであるプラークが高リスク指標(例えば、10)に割当てられる、その「脆弱性の可能性」に関するアルゴリズムの出力により連続等級化される。あるいは連続等級化は、偽カラースケールにより表すことができ、例えば連続範囲の片端の赤色、その後虹色を通って、この範囲の他端の紫色に進行する。グレイスケールまたは異なる音色、音程、もしくは音量も使用することができる。一部の態様において、結果のより正確および頑強な指標を提供するために、閾値および連続等級化スキームの両方を、同じ方法またはシステムにおいて使用することができる。
別の態様において、病変は、3種のカテゴリー:脆弱性(高脂質含量、薄い被膜)、可能性のある脆弱性(すなわち、経時的病変のモニタリング;高脂質、厚い被膜)、および安定(線維質、石灰質、正常、またはプレ-アテローム性)の1つに収まるように指定される。別の態様において、病変は、5種のカテゴリー:1)薄い線維性被膜を伴う脂質-含有組織、2)厚い線維性被膜を伴う脂質-含有組織、3)線維質組織、4)大きい石灰質組織、および5)正常またはプレ-アテローム性組織の1つに収まるように指定される。これらの様々なカテゴリーを用いると、わずかに2または3種のカテゴリーが提供される方法と比べ、診断および予後判定の追加情報を提供することができる。この態様および他の態様において、ケモメトリクスアルゴリズムは、判別法の一部として標準の方法(例えば、病理学的または化学的分析)によりわかっている様々な組織型または化学組成から獲得されたスペクトルを使用するアルゴリズムを開発することにより、脆弱性の指標のために、他のマーカーと共に、脂質プールおよび薄い被膜に関連した他の化学組成の存在を基にすることができる。
ひとつの態様においては、閾値を使用し、薄い被膜された線維性アテローム(TCFA)またはそうではないものとして、すなわち、組織は正常または安定な病変のいずれかであるとして、特定の組織を類別する。
別の態様において、ケモメトリクスアルゴリズムは、スペクトル測定値の2種以上の深度クラス(例えば、組織から0〜1.5mmおよび1.5mmおよびそれを上回る距離)の1つへの分類に適用される。ここおよび他の態様において、ケモメトリクスアルゴリズムは、血液の存在または非存在の両方における深度分類を基にすることができ、ならびに組織型または化学組成の存在の識別に適用することができ、もしくはこのアルゴリズムは、様々な深度で獲得されたスペクトルを用い、および識別法の一部として標準方法(例えば、病理学的または化学的分析)によりわかっている組織型または化学組成を用い開発することができる。
この方法は更に拡大し、特異的化学組成の存在を基に病変を定量的に特徴づけするようにデザインされたケモメトリクスアルゴリズムを適用することを含むことができる。これらのアルゴリズムは、標準方法(例えば、病理学的または化学的分析)で決定することにより、各病変の特異的化学組成を推定するために使用することができる。
特に記さない限りは、本明細書において使用された全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明したものに類似したまたは同等である方法および材料を、本発明の実践または試験において使用することができるが、適当な方法および材料を以下に説明する。本明細書において言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が本明細書に参照として組入れられている。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。加えて、材料、方法、および実施例は、単に例証するものであり、制限は意図されていない。
本発明の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明、および「特許請求の範囲」から明らかであろう。
詳細な説明
一般的方法論
概して本発明は、血液、または血液代用品、生理食塩水のような生体適合性液体、またはヨウ素含有液(例えばOmnipaque(商標)(イオヘキソール))などの造影剤の存在または非存在下で、インビボにおいて血管壁を照射するために、2以上の単一波長または1以上の狭い波長域であり、各々、波長範囲1100〜1415nm内(例えば、1100〜1350nm、1100〜1300nm、1150〜1255nm、1200〜1250nm、または1175〜1225nm)で、近赤外線の1〜10、20、30、40、50、60、更には100nmまたはそれよりも大きい範囲にわたるものを使用する方法を特徴としている。これらの波長から得られたデータは、オペレーターが、血管壁内に位置した罹患組織と健康組織の間を識別することを可能にする。
これらの単一波長は、複数の単独の不連続波長の対もしくは組合せで、または1以上の狭い波長域と共に使用することができる。これらの波長バンドは、個別に、2つ組で、または3つ組以上で、および同じもしくは異なるバンド幅で使用することができる。例えばインビボにおいて血管壁を照射するために、入射近赤外線として、例えば1190〜1220nm領域、10、20、または30nmバンドを使用し、ならびにこれを1220〜1250nm領域のバンドと組合せることができる。
より詳細に述べると、例えば1190〜1250nmの、2以上の単一波長で、または1以上の狭い波長域で、または単一波長を狭域バンド領域と組合せ(例えば、1190〜1250nm、または1145〜1175nmを1250〜280nmと共に、もしくは1175〜1205nmを1310〜1340nmと共に)でデータを得ることにより、血管壁内のアテローム硬化性プラークのようなあらゆる病変を脆弱または安定のいずれかとして明確な診断を下すのに十分な情報を得ることができる。当然、1100〜1415nm範囲の全て、1150〜1350または1250nm、1175〜1250nm、1100〜1200nm、1200〜1300nm、1250〜1350nm、1215〜1285nmなどのようなより大きい領域も使え、更により多くの情報を提供するが、コンピュータ処理の複雑さのために経費が余計にかかる。
2、5、10、20、30、40、最大100nmもしくはそれよりも大きい範囲にわたる狭域バンドまたは領域は、少なくとも1個のバンド領域が1100〜1415nmの全範囲内にある限りは、2つ組または3つ組(またはそれよりも多く)で使用することもできる。従って、例えば1100〜1415nmの波長範囲内の照射は、約1560〜1780nm範囲の照射と組合せることができる(例えば、1600〜1780、1600〜1700nm、または1650〜1745または1730nm)。
1つよりも多いバンドが使用される場合、これらの2つ組または3つ組は連続であることができるが、必ずしもそうである必要はない。例えばインビボにおいて血管壁を照射するためには、入射近赤外線として1190〜1220nmの30nmバンドを使用し、および第二のバンドは1220〜1250nmであることができる。あるいは、1145〜1175nmの範囲にわたるバンドを使用し、および1250〜1280nmの範囲にわたる別のバンドを使用することができる。1175〜1205nmの範囲にわたる狭域バンドおよび1310〜1340nmの範囲にわたるバンドを使用することもできる。別の2つ組、3つ組、または複数のバンドまたは単独の強度を使用することができる。加えて、2つ組、3つ組、または複数のバンドは、例えば1つが20nmバンドの範囲にわたり、他方が40nmの範囲にわたるバンド対のように、異なるサイズか、または同じサイズ、例えば、両方のバンドが30nmの範囲にわたる2つ組であることができる。別の例および組合せも可能である。例えば、1つは、単一波長および狭域バンド、または2つの単一波長、または2つの単一波長および2つの異なるバンドを使用することができる。同じく1100〜1350の範囲内の3、4、またはそれよりも多い単一波長を使用することもできる。
波長1100〜1350の範囲の重要な局面の1つは、インビボにおいて、別の方法では他の波長での正確な読取りと干渉することがある血液を通して(および照射先端から血管壁までの距離とは無関係に)血管壁から関連するスペクトルデータを得ることができる。このスペクトルデータは、インビボにおける血管壁の、罹患したまたは罹患していない組織としての、正確な特徴決定が可能である。この波長範囲は、ヒトまたは動物などの生存している対象の血液を通して、アテローム硬化性プラークのような、病変検出に関連するデータの収集を可能にするのみではなく、オペレーターが、病変を特徴付ける、すなわち検出されたプラークが「脆弱」である、すなわちおそらく破裂するか、または「安定」である、すなわちおそらく破裂しないかを決定することを可能にする。より詳細な特徴決定も可能である。
血管壁から入手したスペクトルは、単独の点を読みとり、ならびにその点の読み値に対応する血管壁の位置が、主に薄い被膜を伴う脂質(脆弱性または「生命を脅かす」)、厚い線維性被膜を伴う脂質(脆弱性の可能性)、または主に非-脂質、正常、線維質、もしくは石灰質(安定または「生命を脅かさない」)であるかどうかを決定することにより分析される。従って、オペレーターは、2種(脆弱性/罹患したまたは安定/健康)、3種(脆弱性(罹患した)、脆弱性の可能性(罹患した)、または安定(健康))、または本明細書に更に説明するような病変の型に関するそれよりも多い異なるカテゴリーを作成することができる。あるいはこのシステムは、閾値を使用せずに、特定の組織が、正常であるか、または脆弱もしくは安定である病変を有するかを決定するために、オペレーターに連続して等級化された出力を提供することができる。
インビボにおいて組織を分析する新規方法は、広範に、近赤外線を、(血液を通してまたは血液を伴わずに)分析される組織に方向付ける工程、その後得られる輻射線を検出する工程、反射シグナルを吸収値に変換する工程、回収された(returned)シグナルを任意に前処理する工程、および組織により反射された近赤外線を処理する工程を含む。これらの組織病変は、大動脈ならびに冠動脈、頸動脈、大腿動脈、腎動脈および腸管動脈などの動脈を含む、いずれかの血管内に位置することができる。先に示したように、血管壁に向けられた入射近赤外線は、波長範囲1100〜1415nm内の、2以上の単一波長または1以上の狭域バンドである。スペクトルを得るためには、入射近赤外線は、血管壁に向けられなければならず、このスペクトルは、血管壁から収集されなければならない。これらの工程は、ヒトまたは動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、ウサギ、マウス、ハムスター、政府管理動物(government officials)などの哺乳類のような家畜類の対象の血管に導入される光ファイバープローブまたはカテーテルを用いて実行される。この新規方法は、サルなどのヒト以外の霊長類にも実行することができるが、典型的にはヒト患者に使用される。
このスペクトルは、図1に認められるような単独の光源から反射照射を送達するカテーテルまたはプローブの形であることができる、同じ光ファイバーケーブルまたは照射光ファイバーケーブルから分離された別のチャネルを用いて収集することができる。検出器は、収集された近赤外線を、電気シグナルに転換し、これは引き続きシグナル処理技術を用い処理することができる。あるいは、近赤外線の照射および収集の両方のための単独または複数のファイバー集成体を使用し、複数の照明器および検出器を光ファイバーシステム内で使用することができる。
これらの方法は更に、反射スペクトルに対応する電気シグナルを分析する工程、およびグラフまたは他のそれらの表示を作成する工程を含む。電気シグナルは、デジタルデータに変換することができる。有利なことに、単一波長または波長の狭域バンドのみがこの新規方法においては使用されるので、これらの工程は全て、高速のデータ収集および解析を提供する。このような工程は、例えば、パーソナルコンピュータにおいて認められるもののような、プロセッシングチップ、DSP、EPROMなど、ならびに適当なアルゴリズム、例えば、プロセッシングソフトウェアまたはプロセッシングハードウェアにおいて具現することができるケモメトリクスアルゴリズムを用いて実行することができる。この分析を基に、血管組織は、その組成に関して、または罹患しているかもしくは罹患していないかに関して特徴付けることができる。例えば、血管壁を、その脂質含量、線維含量、および/または石灰含量が高いかどうかに関して特徴付けてもよい。これらのパラメータは、使用者が、病変を、脆弱(罹患したまたは生命を脅かす)または安定(健康または生命を脅かさない)のいずれかに類別することを可能にする。別の態様において、これらの病変は、1)脆弱性(薄い線維性被膜を伴う脂質-含有組織)(罹患した)、2)脆弱性の可能性(厚い線維性被膜を伴う脂質-含有組織(罹患した)、または3)安定(線維質または石灰質組織、しかし依然罹患している)として特徴づけることができる。「罹患した」カテゴリーは、罹患のカテゴリーまたは分類、ならびにいかなる病変も伴わない血管壁に関して正常な(健康な)カテゴリーを提供するように、更に分離することができる。
あるいは、これらの方法は、例えば、グレイスケール(ここでは白色は安定病変でありおよび黒色は脆弱な病変であり、変動する灰色レベルは病変の脆弱性の様々なレベルを示す。)、偽カラースケール(例えば、赤色は安定病変を示し、および紫色は脆弱な病変を示し、その間のスペクトルの色は、脆弱性の様々なレベルを示す。)を使用する、連続等級化された出力を提供することができる。加えて、変動する音(例えば音色、音程、または音量)も使用することができる。例えば、遅い連続する音色は安定病変を示し、および速い連続する音色は脆弱な病変を示す。その間の速度が変動する音色は、脆弱性の様々なレベルを示す。
加えてこれらの方法は、関心のある病変に存在する構成成分に関する定量的情報を提供することができる。同じく、例えば壊死性脂質プールまたはマクロファージのような、より高いレベルのある種の構成成分を伴う病変を用い、プラーク脆弱性の原因であることがわかっている他の化学的成分が成し得るように、脆弱性レベルを示すことができる。
一旦病変またはプラークが、脆弱である(または罹患している)と検出および決定されたならば、それが破裂する前に、様々な技術を用いプラークを除去または安定化することができる。例えば、レーザーを用い、プラークを剥離することができる(例えば、Leonら、J. Am. Coll. Radiol.、12:94-102(1988);Gaffneyら、Lasers Surg. Med.、9:215-228(1989))。あるいは、近接照射療法、血管形成術、ステント留置(コートしたまたはしていない)、および光ダイナミック療法を使用することができる。
データの前処理
デジタルデータは最初に、ベースライン勾配、オフセット、および/または散乱の線形作用もしくは相乗作用のような、関心のあるシグナルに無関係の干渉を除去するために、前処理してもよい。同じくスペクトルデータは、関心のある成分に付随する小さいスペクトルの特徴を増強するために、互いに関して中央化、自動縮尺、正規化などすることもできる。
これらの前処理の利点は、スペクトルが、アテローム性ヒト大動脈において認められた4種の組織型のウシ血液を通して得られた実験において明らかにされる。1100nmから1850nmまでの吸光度対波長スペクトルを、図2に示した。3種の罹患した状態が、主に脂質プール、線維質、または石灰質の組成として、1つの正常組織のスペクトルと共に表された。これらの罹患した状態は、組織学的および病理学的分析を用いて決定し、その後特定の罹患したプラークに含まれた各組成の量により類別および分類した。図3は、より小さい波長範囲1100〜1415nm内の同様のスペクトルを示している。石灰質、線維質、破壊されたプラーク、脂質-含有、および正常を含む5種のカテゴリーが示された。図4Aおよび4Bは、ウシ血液が介在する試料対プローブ分離の様々な深度を通して見た、罹患した組織試料のスペクトルを示している。プロット4Bは、試料対プローブ分離に起因した大きな差異を除去するために、各スペクトルから1125nmでのオフセットを除去することにより、調節されている。測定は、組織表面から0.0、0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、および3.0mmで行った。プローブを更に組織表面から離すにつれ、プローブを組織に対して押しつけた場合に認められる特徴は、非常に弱くなり始める。
この吸光度は直接使用することができるが、図2および3において認められるように、一般に化学組成または組織型に関連した吸光度から生じる情報を混乱させるオフセットおよび勾配が存在する。生体からの散乱するものと共に、器具および生物学的システムの両作用に由来する偏ったベースラインおよび勾配のこれらの望ましくない作用を排除するために、スペクトルを前処理する多くの方法が存在する。このような方法は、一次および二次微分、正規化、自動縮尺、ベースライン除去の複数の型、中央平均化(MC)、多重散乱補正、標準正規変数(SNV)、Savitzky Golay平滑化、トレンド除去(detrending)、OSP、GLSフィルタリング、ウェーブレットフィルタリング、FIRフィルタリング、およびこれらの選択肢に限定されないそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。このスペクトルは、生の吸光度測定値を用い、未処理であることができるか、または更にモデル構築の用途内でデータ操作する前に、前処理することができる。ひとつの態様において、前処理の選択肢は、中央平均化と組合せた標準正規変数である。別の態様において、前処理の選択肢は、MCおよびトレンド除去を伴うSNVであるか、またはスペクトルは、中央平均値の除去(MC-中央平均化)により、予め処理される。別の態様において、前処理は、Savistsky-Golay平滑化一次微分である。
例えば、図3に示された標本のスペクトルは、標準正規変数(SNV)前処理を用い前処理される。これらの結果を図5に示し、これは、別の方法ではプロセス解析に干渉し得るような様々な罹患した組織スペクトルの間の散乱を除去するための前処理選択肢の使用が成功することを明確に明らかにしている。更に前処理されたスペクトル内に含まれる情報を増強するために、追加の技術を使用することができる。例えば図6は、SNVおよび中央平均化(MC)の両方により前処理されたスペクトルを示す。図5を図6と比較し、SNVに追加されたMCの追加的前処理の処置により大きく変動するスペクトル内に、多くの区域が存在することが明らかである。しかし病変内の関心のある化学組成(この場合脂質プール濃度)に対応するスペクトルの領域は、前処理されたデータ結果の単なる観察によっては、容易に得られない。従って、前処理されたデジタルデータは、典型的にはデータと血管壁内の実際の構成成分の間の相関関係を得るため、すなわち病変が脆弱であるかまたは安定であるかどうかを決定するために、更に処理される。
データ処理
デジタルデータは更に、血管壁内の構成成分(形態測定または化学分析のような外部手段により決定)と近赤外線スペクトルで得られたスペクトル特性(デジタルデータ)の間の相関関係の性質を決定するために、様々な判別アルゴリズム(定性分析)のいずれかを用い処理することができる。別の態様において、以下により詳細に考察されるように、これらの結果の定量分析を行うこともできる。
有用な判別アルゴリズムは、既知の組織試料のスペクトルと組織状態の間の関係のモデル化により開発された、コンピュータ処理された数学モデルを使用する。これらのモデルは、典型的には大量の患者データまたはインビボデータをシミュレートしているエクスビボデータを基にしている。数学モデルは、部分最小二乗法判別分析(PLS-DA)、マハラノビス距離および増強された残差による主成分分析(PCA/MDR)、ならびにその他のもの、例えばK近傍法(K-NN)によるPCA、ユークリッド距離によるPCA、SIMCA、ブートストラップエラー-調節した単標本(single sample)法(BEST)、ニューラルネットワークおよびサポートベクトルマシーン、ならびに他の型の判別手段などの、ケモメトリクス技術を基にしている。
この判別アルゴリズムは、組織内の特定の位置または点を特徴付けるために、血管壁中の未知の組織試料のスペクトルからのデジタルデータに適用される。例えばこの組織は、病変またはプラークの一部として、およびそうであるならば、これが先に説明されたように脆弱プラークまたは安定プラークのいずれであるかを特徴付けることができる。例えばグラフまたは他の出力のような聴覚または視覚表示のような出力は、照射された血管壁がプラークを含むかどうか、ならびにそうであるならば、プラークは脆弱性もしくは安定であるか、または先に説明された他のカテゴリーの1つに収まるか、もしくは単に照射部位が脆弱であるプラークを含むかどうかを含む、血管組織の特徴をオペレーターに示すために提供される。この出力は、1種以上の閾値、本明細書に説明された連続等級化出力、または同じシステム内の出力の両方の型を基にすることができる。
多くの異なる型の判別アルゴリズムを、2種以上の波長間の単純な吸光度比較の基本型から、またはMalinowskiらにより(「Factor Analysis in Chemistry」、John Willy & Sons、ニューヨーク、1980年)説明されたように、大量データ行列(生または前処理された)の線形重回帰、主成分分析(PCA)を基にした技術による分析を使用することができる。これらの方法を使用し、群に分離することができる罹患した組織の性質を決定するための計量を得ることができる。
例えばひとつの態様は、大量のスペクトルデータ情報の使用を可能にするPCAを使用し、これは、関心のある組織型の全てのスペクトルにより表された最大変量のみを保持する因子(またはベクトル、主成分、潜在変数、固有ベクトルなど)の行列、ならびに因子ベクトルの各々の振幅をスケール化するために使用された得られるスコア(または、スカラー、固有ベクトルなど)の行列に分解される(その結果、圧縮される)。図7の上側半分は、当初のスペクトルの、スコア(S)および主成分(PC)行列へのスペクトル分解のPCA処理を説明する概略である。図7の下側半分に示されたように、次にこれらの結果は、SおよびPC値の組合せからのスペクトルの再構築、その後の残差を用いる当初のスペクトルの再構築されたスペクトルとの比較の間の差異の最小化により分析される(二乗しその後合計した比較からの値を残した)。
一部の態様において、一旦計量が選択されたならば、閾値が適用され、未知の組織スペクトルが罹患した組織型として分類することができるかどうかの尤度が決定される(これは、本明細書に説明された閾値-なしシステムを用いる場合に避けられる閾値である。)。この決定に、線形回帰直線を使用する単波長比較法、またはより複雑な幾何、例えばより複雑な分離のための閾値としてのユークリッド距離もしくはマハラノビス距離などの、多くの方法を使用することができる。大量のスペクトルデータを分析する場合、PCAを用い、および線形回帰直線のような判別のための様々な計量と組合せることもでき、これは例えば、Ericssonら、「Mlti- and Megavarite Data Analysis: Principles and Applications」(Umetrics Academy, 2001)に説明された、部分最小二乗-判別分析(PLS-DA)法、ユークリッド距離、およびMarksらにより下記記事において説明されたユークリッド距離およびマハラノビス距離:Analytical Chemistry、57:1449(1985);Analytical Chemistry、58:379(1985)、およびAnalytical Chemistry、59:790(1987)などにおいて使用されるものである。PCA分解スコアの中でも別の要素を、Gemperlineらの論文(Anal.Chem.、61:138(1989))に説明された「クラス分類のためのソフト無しモデリング(soft independent modeling of class analogies)(SIMCA)」、Lodderらの論文(Appl. Spec.、42:1352(1988))に説明されたブースタートラップエラー-調節した単-標本法(BEST)、ならびに再構築されたスペクトル由来のスコアよりも残差を使用する他の判別技法などを、閾値を伴う計量に使用することができる。
別の態様において、当初の処理されたデータ(数値セットの形、走査された組織試料内の各点または位置に関する1つの数値)は、標準技術を用い連続して等級化され、閾値を使用せずに、各点に関するスケールまたは値を提供する。従ってこれらの方法は、生スコア、またはいわゆる検出された輻射線を基にした「判別」を利用し、閾値に対する識別子(discriminant)の比較ではなく、連続スケールを直接提供し、および具体的カテゴリーを基にした「yes/no」もしくは他の同様の回答を提供する。
ひとつの態様は、部分最小二乗法を使用するスペクトル分解により決定された個別の分類群のスコアを一緒にし、ならびに2以上の群間のクラス分け分類の最大化により決定された閾値を適用し、PLS-DA法と称される境界計算を確立する。
PLSアルゴリズムが判別分析(PLS-DA)に使用される態様において、S行列からのスコアを用い、判別キャリブレーションモデルを構築する。その後閾値を、バイナリー表記で使用される他の群のスコアから、モデル群中のスコアの分離を最大化するように設定することができる。予測のために、未知のスペクトルを同じS行列に分解し、このスコアがモデルの閾値を上回る場合、その試料はそのモデルクラスのメンバーと称される。
PLS-DAアルゴリズムの別の態様において、閾値は必要ではなく、得られたスコアは、閾値を使用せずに各点に関するスケールまたは値を提供するために、標準技術を使用し連続等級として表示される。閾値-なし法は、閾値に対する識別子の比較ではなく、連続スケールを直接提供し、および具体的カテゴリーを基にした「yes/no」もしくは他の同様の回答を提供する。
ひとつの態様において、生PCAスコアも使用することができる。このモデルアルゴリズムの別の態様は、マハラノビス距離(MD)統計と組合せたPCAの変動であり、これもPCAをSIMCAと組合せている、Gemperlineら(Anal.Chem.、62:465(1990))により開発された同様の方法において説明されたように、スペクトル残差(R)の追加により増大される(図7参照)。Galactic Industries社のDuckworthらにより開発されおよび彼らのPLSplus/IQ(商標)ケモメトリクスソフトウェアに組込まれたこのモデルの態様(PCA/MDR)は、PCA、SIMCA、およびマハラノビス距離を使用し、モデルの最大判別を決定する。更に別の態様において、PCA残差を、SIMCAにおいて使用される方法と同じ方法で使用することができる。
このモデルは、このモデルにおいて使用された当初のスペクトルに対する再構築されたスペクトルの比較について残された中心平均化された平方和された残差により増大されたスペクトル分解からのPCAスコア値の行列に関するマハラノビス距離の計算により形成される。この行列は、図7において(Sr)と指定され、およびPCA分解から残された中心平均化された平方和された残差により増大されたモデルに含まれたスペクトルの最大変動を説明するモデルを含む。その後これらの値に、下記式を用い、マハラノビス距離が計算される:
Figure 0004602765
式中、Mは、マハラノビス行列であり、TはSr行列の転置が行われることを示し、およびモデル構築に使用されたスペクトルの総数nにより正規化される。その後マハラノビス行列を使用し、このモデルにおいて作成された、各スコア(i)について、マハラノビス距離(D)を算出する。
Figure 0004602765
このモデルの全てのメンバーを比較するために、平均平方根群(RMSG)サイズを、このモデルについて算出する。これは、モデルで使用された標本数(n)により正規化されたモデル(Di)において使用された各標本について予測された距離の全ての平方根の和を得ることにより算出される。
Figure 0004602765
最終計算は、群正規化因子により、マハラノビス距離(Di)スコアを正規化する(RMSG)。正規化されたスコア値が、モデル群内であるかまたはモデル群値の外側であるかどうかをを決定するために境界を設定し、および一般にこの境界を3標準偏差の範囲に設定する。マハラノビス距離は、未知の試料がモデル群の一部であるかどうかを決定するために使用される最初の計量である。
未知の組織試料由来のスペクトルが特定のモデルに合致するかどうかに関する最終決定は、下記の3種の計量を用い行うことができる:(i)未知の残差増大されたスコアの、モデルの残差増大されたスコアを基にしたマハラノビス距離との合致、(ii)モデル残差のT-検定またはF-検定などの分布検定と比較した、未知のスペクトルの結果として生じる残差、および(iii)未知のスコアが、モデルの構築に使用したスコアの範囲内に合致するかどうかに関する比較。
未知の試料が特定の群またはカテゴリーの一部であるかどうかを決定するために、この未知のスペクトルは、モデルと同じ方法で最初に前処理され、その後PCA成分+残差に分解される。次にモデルから得られた平均残差値が、未知数の残差から減算され、Sri値を得、ここで(i)は個別の未知数の各々に関する残差増大されたスコアベクトルを表す。この値は次に下記式に適用され、(i)の未知数の各々に関するマハラノビス距離(D)を得る。
Figure 0004602765
その後この距離は、モデルから得られた全ての距離の標準偏差に対する未知数の算出されたマハラノビス距離を検定する前に、その群のRMSG値により除算される。ひとつの態様において、モデルのマハラノビス距離境界に関して3標準偏差(3σ)が使用される。これは、未知の試料がモデル群(カテゴリー)内に収まるかどうかを確認するための疾患指標として使用される3種の「フラッグ」またはインジケーターの第一のものである。第二のフラッグは、モデル残差から得られる。その後T-検定、χ-二乗、またはF-検定のような標準分布検定が、99%水準のようないくつかの水準で、モデル残差に適用され、およびこの値を用い、今後予想された残差がモデル範囲内に収まるかどうかを決定する。第三のフラッグは、未知のスコアのモデルの最大および最小スコアとの比較であるか、または99%水準のようないくつかの水準で行われるT-検定、χ-二乗、またはF-検定のような標準分布検定と比較される。これら3種のフラッグのいずれか1つが存在しない(偽)場合、この試料は、検定されるモデル群/カテゴリー内に収まらないと規定される。
別の態様において、閾値は、罹患した状態の一部ではない、病変または正常組織を表しているデータの試験セットに対するモデル検定段階の間に最適化される。この最適化された閾値は次に、固定された3標準偏差(3σ)の代わりに使用される。
閾値の使用は利点を有するが、それらの値は、インビボのスペクトル特性を正確に反映していないことがあるインビトロ試験結果を基に決定されることが多い。例え閾値が大量のインビボデータを基にしていなくとも、特定の患者は、閾値を確立する場合に仮定された基準内に合致しなくともよい。このような患者について、最良の「対照」は、予め決定された閾値ではなく、正常であることがわかっている患者自身の組織(または、脆弱な病変を探す場合は、少なくとも安全病変)の試料または位置である。組織、例えば動脈内の走査された位置を表す数値データのセットを表すために連続スケールを使用することにより、新規方法およびシステムは、使用者、例えば医師、看護師、または技師に、閾値なしで、従って誤った診断をもたらし得る不適切な閾値を設定するリスク無しで、特定の病変の脆弱性を診断する機会を提供する。
閾値なし表示の別の利点は、オペレーター(例えば、医師、技師、または看護師)が、自分自身のカテゴリー、判定基準、または閾値を適用することにより、感度と特異性の間のトレードオフに関して、自分で判断を下すことができることである(さもなければそのシステムにより決定される)。この閾値なし表示は、オペレーターが、所定の患者の複数の位置から得た様々な識別子の値を検証し、および互いにそれらの値を比較し診断を行うことを可能にする。
一部の態様においては、閾値および連続等級化技術を共に使用し、二重チェックシステムを提供することができる。
図12Aおよび12Bは、これら二つの方法の差異を図示している。図12Aのグラフにおいて、閾値は、このシステムの感度および特異性の合計を最大化するように設定されており、ここでアルゴリズムは、走査されたスペクトルを-1.0〜1.0間の数値まで低下する。この場合、本発明者らは、本発明者らの「スコア化」の計量として、群のマハラノビス距離を用いるが、他の計量を使用しても良い。脂質-豊富なアテローム(脆弱性プラーク)のピークは、約0.2の値である。他の組織型のピークは、約-0.4である。この2つの値のセットを分離する閾値は、約-0.1である。従って-0.1よりも大きい値を有するあらゆる試料の位置は、脆弱性プラークと称される。
図12Bは、図12Bの同じグラフを示すが、閾値を伴わない。ここで、このシステムは、直接、または偽カラー、グレイスケール、もしくは音のような連続等級化システムを使用し、値を表示している。このシステムにおいて、オペレーター(例えば医師)は、これらの値を検証しおよび解釈する。-1.0〜0.2の間の数値は、安定病変、または若干脆弱な病変と解釈され、-0.2〜1の間の数値は、脆弱な病変、または若干脆弱な病変として解釈される。その中央部のどこかに位置した値は、オペレーターの経験ならびに治療リスク可能性を考慮した特定の患者および/または治療に関する知識のいずれかを基に、行うことができる。
図14は、図12Aに類似した一連の3個のグラフを示し、ここで各グラフは、異なる患者の結果を表している。各患者について同じ閾値が使用されるが、これらのグラフが示すように、患者間変動のために、単独の閾値は、全ての患者について最適ではないことがある。別の表現をすると、ひとりの患者における反射された輻射線は、別の患者における同じことを意味しないことがある。このデータの表示は、オペレーターが、個々の患者の事項を考慮した後に患者-特異性閾値を決定することを、直接可能にする。
図15Aから15Dは、ケモメトリクス予測スコアを示すグラフである。この「スコア」は、組織の状態を説明するために使用される、群マハラノビス距離または他の計量を表すこともできる。図15Aは図12Aに類似している。図15Bは、所定の組織試料が脂質-豊富なアテロームである確率を示すのグラフである。既知の組織試料集団のケモメトリクススコアの分布から、所定のスコアを伴う組織が、特異的群内にある確率(例えば、脂質-豊富なアテローム対他の全組織)を計算することができる。このような計算を、例えば、コントラスト最大化アルゴリズムを用い行うことができ、ならびにこれらの結果をグレイスケールで表示することができる。例えば、白色を-1.0におよび黒色を+1.0に使用することができ(ケモメトリクススコアについて)、ここで100%の脂質-豊富なアテロームは黒色であり、および0%の脂質-豊富なアテロームは白色である。これらの確率は、ケモメトリクススコアの直接表示の代替として表示することができる。これらの確率は、図15Aおよび15Bに示された例の2つの組織分布間の重複部分でのより多くの視覚的識別または差別化を提供する。例えば、-1.0〜+1.0の値を説明するためにグレイスケール全体を使用すること以外に、エンドポイントおよび+1.0〜+0.4の値を黒色に設定し、ならびに-0.4〜-1.0の値を白色に設定することができる。従ってこのグレイスケールは、+0.4〜-0.4の間の値のみを対象とし、これにより閾値近傍でのこれらの中間値のより視覚的コントラストを提供する。
図15Cは、図15Bに類似したグラフであるが、図15Bの曲線の近似曲線を示す。図15Dは、確率を示さないが、直線内にグレイスケール値のみを示すグラフであり(100から0%)、ここで各ケモメトリクススコアは同等に重要である。これらの図は、単なる例であり、スカラーデータは、当該技術分野において公知の様々な方法により表示することができる。
定量分析
前述の大規模な定性分析に加え、定量分析を用い、組織または病変の所定の位置に保持された特定された化学構成成分の実際の濃度を推定することができる。例えば、スペクトル情報は、単変量および多変量分析法の両方を基にした様々な異なる型の定量分析を用い、実際の化学構成成分に直接連結することができる。単変量法は、例えば定量的モデルを開発するために最小二乗回帰を用い、スペクトルピーク高さまたはスペクトル曲線下面積を、組織または病変内の関心のある既知の化学量と相関することを含む。別の単変量法は、K-行列または古典的最小二乗法(CLS)を含み、これはスペクトル領域内の化学成分の全てに関して回帰された比較的大きいスペクトル区分(または全スペクトル)を使用する(例えば、D. M. HaalandおよびR. G. Easterling、Applied Spectroscopy、34:539(1980)参照)。
ピーク領域内の全ての濃度の知識の必要性などの、単変量モデルを用いる場合に生じ得る複雑化を避けるために(すなわち、未知の濃度はこのモデルとの関係を絶つ)、多変量技法がより有用であることがある。1つの多変量法において、多重線形回帰(MLR)(同じくP-行列または逆最小二乗(ILS)とも称される)を使用し、関心のある化学成分の濃度のみを使用し、モデルを構築する(例えば、H. Mark、Analytical Chemistry、58:2814(1986)参照)。この技術は、望ましくない作用を伴わず既知の濃度のみを用い、モデルを構築することを可能にするが、このモデルは、各成分を説明するために使用することができる波長の数内に制限される。
関心のある成分のみと競合する能力(MLRモデルのものと同様)を有する関心のある構成成分を表す(CLSモデルのものと同様)ために、スペクトルの大きい領域を使用する能力と組合せた、他の多変量法が存在する。ひとつの態様において、主成分回帰(PCR)が使用される(Fredericksら、Applied Spectroscopy、39:303(1985)に記載)。この方法は、PCAを用いるスペクトル分解、それに続くPCAスコア行列に対する既知の濃度値の回帰を基にしている。
スペクトルデータを基にした病変構成成分の実際の濃度値を得るために使用することができる別の態様は、部分最小二乗法(PLS)分析と称される別の多変量アルゴリズムに関連している(例えば、P. GeladiおよびB. Kowalski、Analytica Chemica Acta、35:1(1986)、およびHaalandおよびThomas、Analytical Chemistry、60:1193および1202(1988)参照)。PLSはPCRに類似しているが、スペクトル情報および濃度情報の両方が、この方法の開始時に分解され、得られるスコア行列がこれら2群間で交換される。これは、そのモデル内でより高く重み付けられる濃度情報に相関したスペクトル情報を生じる。
PLSアルゴリズムの中核は、非線形反復部分最小二乗法(NIPALS)(例えば、Wold、Perspectives in Probability and Statistics、J Gani(編集)(Academic Press社、ロンドン、520-540頁、1975年参照)または単純部分最小二乗法(SIMPLS)(Jong、Chemom. Intell. Lab. Syst.、18:251(1993))アルゴリズムのいずれかにより行われる、スペクトル分解工程である。
図16は、スペクトルデータを含む行列Xおよび濃度情報を含む行列Yにより表されたスペクトル情報のNIPALS分解を表す図である(または、この方法を判別手段として使用するバイナリー分類情報)。SおよびUは、各々、スペクトルおよび成分情報から得られるスコア行列であり、ならびにPCxおよびPCyは、各々、スペクトルおよび成分情報に関する得られる主成分(または潜在変数/固有ベクトル)である。この図の他の用語は、スペクトル数(n)、1スペクトルのデータ点の数(p)、成分の数(m)、および最終的潜在変数/固有ベクトルの数(f)である。
一旦スペクトルおよび濃度/構成成分のデータに関する最初の分解が成され、XおよびYの各行列の潜在変数およびスコアを生じたならば、スペクトル情報(S)に関するスコア行列は、濃度情報(U)を含むスコア行列と交換される。次にPCxおよびPCyからの潜在変数が、各々、XおよびY行列から減算される。次にこれらの新規の減算された行列を用い、PCがそのデータを表すことが十分わかるまで、次の各ラウンドの潜在変数およびスコアを算出する。各分解ラウンドの前に、新たなスコア行列が交換され、および減算されたXおよびY行列から新たなPCが取り除かれる。
PLS分解(f)から決定された潜在変数の最終数は、交換されたスコア行列のために、濃度情報と高度に相関している。PCxおよびPCy行列は、モデル構築に使用される構成成分に関するスペクトルの高度に相関した変動を含む。第二の行列セットSおよびUは、各スペクトル内に存在する潜在変数変動の各々の量を表す実際のスコアを含む。これは、PLS-DAモデルにおいて使用されるS行列値である。
ひとつの態様において、PLS法を使用し、罹患した組織の実際の組成を予測する。例えば、PLSアルゴリズムを使用し、直接化学含量を予測するか、またはプローブが走査する区域内の例えば脂質、線維質、石灰質、コレステロール、マクロファージ、および水の含量を百分率の形で予測する。別の態様において、PLS法を用い、罹患した組織または血液のpHまたは温度を予測することができる。
ある種の態様において、そのままの数値または百分率を、範囲の予測結果からの範囲または値、例えば、プローブが走査する区域内の脂質、線維質、石灰質、コレステロール、マクロファージ、および水の含量の予測に関する、10%未満、11〜25%、26〜40%、41〜60%、61〜75%、76〜80%、および81〜100%、ならびに他の範囲および値の組合せで置き換えることができる。別の態様において、PLS法を使用し、罹患した組織または血液のpHまたは温度の様々な範囲を予測することができる。
別の態様は、脆弱(または生命を脅かす)としてある閾値を上回る、および安定(または生命を脅かさない)として閾値を下回る予測値を処理する。例えば脆弱性プラークは、40%以上の脂質含量を含む領域として定義することができ、その結果脂質含量に関するあらゆる予測は、次に脆弱カテゴリーとされる。複数のカテゴリーを組合せ、および各々閾値に割当てることができる。全てのカテゴリーについて予測スコアが閾値であるかまたはそれを上回る場合、その結果は、この試料は脆弱であると考えられるということである。
新規方法で使用するための装置
新規方法を行うために、インビボにおいて血管壁内の病変およびプラークを分析するための改良された機器が提供される。この機器は、インビトロ分析に使用することもできる。新規機器は、外部輻射線源、例えば波長範囲1100〜1350nm内および十分な出力の入射近赤外線を伝達するレーザーまたは他の近赤外線源などを備える。この線源は、本明細書に説明された波長バンドにわたる近赤外線を走査または発生することにより、望ましい近赤外線領域を提供することができる。加えてこの線源は、フィルターベースの近赤外線器具同様にこの範囲内に2種以上の単一波長を提供することができる。この輻射線は、逐次または同時に送達することができる。様々な近赤外線源を用い、必要な入射近赤外線を提供することができる。例えば、近赤外線スペクトルは、波長可変半導体レーザーまたは固体レーザーのような光源、ラマン増幅レーザーもしくはスーパーコンティニウム・ファイバーレーザーのようなファイバーと結合したシステム、またはその波長を走査することができる他の光源を使用し、冠動脈または大動脈などのヒト血管から得ることができる。あるいは光源は、全ての必要な波長による標本の同時照射を可能にするスペクトルバンドを作成してもよい。波長調整および/またはスペクトル検出は、動脈内のモーション・アーチファクトを避けるために、迅速に(<1秒)生じなければならない。レーザー、LED、半導体ダイオードレーザー、DFBのような単色固定-波長線源は、分光測定の照射線源として利用するために、多重化することができる。
輻射線は、近赤外線源に操作できるように連結された多くの種類の光ファイバーカテーテルまたはプローブを介して、近赤外線源から血管壁へ行われる(例えば、Tearneyら、米国特許第6,134,003号;Crowleyら(BSC)、米国特許第5,588,432号;および、Colstonら、米国特許第6,175,669号を参照のこと)。例えば、このカテーテルは、単独の光ファイバーコアを有することができる。オペレーターが血管壁上の所望の標的に近赤外線を方向付けまたは焦点化することができるように、輻射線の方向付けまたは焦点化の機構を、カテーテルの遠位端に装着することができる。焦点化機構は、分析される組織表面上の小さいスポットに、伝達カテーテルからの入射輻射線ビームを押しつけるように適合されなければならない。血管壁の組織により反射された近赤外線は、1本または複数の受信光ファイバーに方向付けられ、標本から反射された光の分光測定装置への方向付けのための簡便な費用対効果の良い手段を提供する。加えてこれらの機器は、照射された血管壁から反射または散乱された輻射線の迅速な検出のために、カテーテルの遠位部に、1個または複数の検出器を備えている。
図1は、本発明を実行するために使用される機器10のいくつかの態様の1つを図示している。使用される具体的波長に応じて、この機器は、それらのバンド内でそのパフォーマンスを増大するように、最適化される。これは、光ファイバーカットオフ範囲、導波器(鏡)基体の反射率、レンズの追加、外装の材料特性および他の特性、ならびに受け取ったシグナルを最適化するために変更することができるその他の機器の項目を最適化することを含むが、これらに限定されるものではない。より詳細に述べると、機器10は、一般には参照番号12で示される、光ファイバープローブまたはカテーテルを備える。カテーテル12は、遠位端14を有する。カテーテルの遠位端14は、それを通って近赤外線が方向付けられおよび/または焦点化される(再方向付けおよび焦点化手段15により)光のアパーチャ16も備えることができる。このアパーチャは、遠位端の中心に位置するか、または片側に向ける(図示した)ことができる。
光ファイバーまたは光ファイバー束20は、カテーテル12内に配置される。光ファイバー束20は、近赤外線源30および検出源40に操作できるように連結されている(図1参照)。近赤外線源30は、複数の(例えば、2、3、4、またはそれよりも多い)単一波長または全体の波長範囲1100〜1415nm内の1、2、5、10、15、20、30、40nmもしくはそれよりも大きい波長バンドに特に適合されている。
個々の近赤外線検出器40は、照射される血管壁から反射または散乱された輻射線の迅速な検出のために、例えば単独またはアレイの形で、液体窒素で冷却される硫化鉛検出器、InGaAs、Silicon、Ge、GaAs、アンチモン化インジウム検出器などの、カテーテルの遠位部分に存在する1個または複数の検出器を備える。カテーテル12は、末梢血管を介して患者に挿入され、ならびに標準の技術および方法を用い、所望の標的52区域(病変)へ移動される。その後線源30からの1100〜1415nmの波長範囲内の近赤外線が、伝達光ファイバー束20に沿って、光ファイバーカテーテル12に方向付ける。そこで、線源30からの近赤外線が、光アパーチャ16を通り、血管壁51上に入射ビーム17として投射される(入射光ビームは矢印付き実線で示されている)。
入射近赤外線のかなりの部分が、血管壁51の点P上に投射される。典型的には血管壁を照射する同じカテーテルまたはプローブが、標的から反射された輻射線を収集するためにも使用される(いわゆる「反射スペクトル」)。例えば図1に示したように、輻射線は、アパーチャ16を通しカテーテル12へと戻し反射される。散乱され、反射された輻射線は、矢印付き点線18で示されている。カテーテル12は、反射された輻射線を方向付け、その結果これは、輻射線の再方向付けおよび焦点化手段15およびビームスプリッター22を介し、検出器40に向かっていく。
この反射されたスペクトル情報は、有用な情報を得るように処理されなければならない。図1に示されたように、検出器40は、前処理、処理の手段42に連結され、ならびに検出されたスペクトルが分析され、およびその病変がそれらのモデルに含まれるかまたは含まれないかを示す機能的カラースキームまたは他の方法として、分析結果を作成する。具体的にはこの分析は、ひとつまたは複数の組織に向けた入射近赤外線の選択された波長領域にわたり完了される。従って、波長範囲1100〜1415nmの反射された輻射線が分析されるか、または1100〜1415nmの輻射線は1650〜1780nm領域の輻射線と組合せて分析される。この目的を実現するために、本明細書において考察したように、適当な解析アルゴリズムを備えたコンピュータを用いることができる。
図13Aは、閾値を使用するシステム110における表示のコンピュータスクリーンの概略を示している。コンピュータスクリーン120は、基本的患者情報122、走査の日付および時刻124、ならびに患者内のカテーテル125のX-線画像126(ここでは胸内、明灰色の肋骨に注意)。加えてスクリーン120は、走査された128動脈のデジタル化された縦画像、ならびに動脈の特定のセクションのデジタル化された横断面130を示す。横断面130は、8個のセグメントに分離されるが、動脈縦画像(壁に沿って縦に切断しその後平らに開いた動脈を示す)は、7x26セグメントを有する。
閾値が設定されているので、全て同じ灰色の色または陰影を有する11個のセグメントを伴う128aのスポットは、罹患した組織部分、例えば病変を示している。128bのスポットは、128aと同じ灰色の色または陰影の13個のセグメント全てを有し、これは別の病変を示している。横断面130において、「リング」の3個のセグメントは、明色または明灰色であり、病変を示している。リングの5個のセグメントは、暗色または暗灰色であり、横断面の残りの部分が、病変を伴わない正常組織であることを示している。
図13Bは、図13Aのものによく似ているが、閾値を提供しないまたはセットしないシステムに関する概略を示している。ここでスクリーン120は、8x50セグメントを有するデジタル化された縦画像134、ならびにスペクトル値に対応する灰色の色または陰影を示すためのキーまたはスケール135を示している。横断面画像136は、8個のセグメントを有するが、正常または罹患した組織を示すための、2個の予め決定された灰色の色または陰影は伴わない。代わりに横断面136は、動脈の異なるセグメントの灰色の色または陰影の範囲を示している。例えば136aのセグメントは暗く、これはおそらくこれが安定病変または正常組織セグメントであることを示している。136bのセグメントは、非常に明るく、これは罹患した組織部分、例えばおそらく高度に脆弱である病変を有することを示している。その他のセグメントは一般に、健康なセグメントを示し、これはセグメント136cの可能性のある病変または若干脆弱な病変を示している。
縦画像134は、約25個のセグメントの非常に明るいセクションを示し、これは組織134aの小さいが高度に罹患した部分、例えば高度に脆弱な病変を示している。一般により暗い残りのセグメントは健康な組織を示し、約30個のセグメントのわずかに明るい区域は、134bの可能性のある病変であるが、今後脆弱性プラークに進行するかどうかを調べるためにモニタリングされるべき完全に安定した病変を示している。
例えば、ケモメトリクス値の範囲のような数字のセットを、グレイスケールまたはカラースケールに変換するために、標準の変換、例えば一次変換を使用することができ、これらの値を数字目盛りに変換し(例えば、ディスプレイの1ピクセルあたり8-ビットで表された0〜255)、その後標準技法を用い、ケモメトリクス予測値を特異的グレイスケールまたはカラースケールにマッピングする。例えば、黒色から白色へのグレイスケール傾斜を使用することができる。通常黒色は値の範囲の下端であり、および白色は上端である。値のセット内の各ポイントに関する黒色から白色へのマップは、通常vminからvmaxへ変動する値(v)についての単なる直線傾斜であり、従って所定のポイントに関する特異的グレイ色調は、(v-vmin)/(vmax-vmin)である。カラーマップに関して、最も一般的に使用されるカラー傾斜は、「ホット-対-コールド」カラー傾斜と称されることが多い。青色は低値のため、緑色は中間値のため、および赤色は高値のために選択される。これらのポイント間で傾斜することができるか、またはシアンおよびイエローのカラーを追加し、この線形傾斜に沿って追加的推移を提供することができる。
このデータは、いわゆる「サーフェスマップ」チャート機構(charting feature)を用い、例えばMicrosoft(登録商標)Excel(登録商標)のスプレッドシートにプロットすることもできる。MatLab(登録商標)のような市販のソフトウェアも、グレイスケールまたは偽カラースケールとしてデータのアレイを表示するための組込み関数を有する。
実験モデル
これらの新規方法は、全血を通してヒト大動脈試料を試験するために近赤外線分光法が使用される試験を基にしている。試料は、アテローム硬化性プラーク成長の様々な段階に関係する正常および罹患した組織の両方が含まれる。得られる反射スペクトルは、1/反射率の対数の関数として、吸光度スペクトルに変換し、および血液を通して得られた脂質プール含量に関するスペクトル情報を最大化するように、データをモデリングする手段を提供するケモメトリクス技術を用い分析することができた。従ってプラークの脆弱性の決定は、少なくとも一部は、アテローム硬化性プラーク内の脂質プールの性質、ならびにより厚いまたはより薄い線維性被膜により被覆される場合のそれらのスペクトルパターンを基にしている。
コンピュータモデリングは、近赤外線波長範囲1100〜1415nmを、ヒトアテローム硬化性プラーク内の脂質プール含量の性質の予測に使用するための独自なものとして確定した。加えて十分な情報が、標的組織を、1100〜1415nmの範囲内の、または1100〜1415nm範囲の約1600〜1780nm範囲との組合せにおける、各々、1、2、4、10、15、20または30nm(または最大100nmもしくはそれよりも大きい)の範囲にわたる、2以上の単一波長、1以上の波長の狭域バンドの複数の組合せで照射することにより、得ることができることが決定される。
両方ともPCAを基にした2つのケモメトリクス決定技術PCA/MDRおよびPLS-DAが、この試験において使用されたが、先に説明されたような予測モデルの構築のために使用することができる多くの他の判別方法が存在することができる。前述のように、PCAは、スペクトル情報を、ベクトル(主成分、因子、固有ベクトル、潜在変数など)およびランダムノイズ成分を除外する時のスペクトル成分の変動を説明するスカラー(スコア、固有値など)の比較的小さいセットに分解する線形回帰法である。両方法は、代表的試料のトレーニングセットを必要とするが、それらの試料の集合および処理は異なる。トレーニングセットを使用し、単独(または複数)の分類群に同様の性質を認める数学的関係を構築し、その後このモデルは、引き続きの被験試料全てに関するスクリーニングの道具として役目を果たす。様々な分類群へのセグメント化は、組織試料の形態学的および形態計測の結果を基にしている。両方の判別方法は、主に線維質組織(FIB)および石灰質組織(CAL)の標本を一緒にしたセットから、ならびに血液を通して正常組織(NML)から得た、識別されるべき主に脂質プール(LP)を含む試料の能力を基にしている。
第一のPCA/MDRの場合において、LP標本スペクトルからのPCAスコアが、残存するノイズ成分(残差)と一緒にされ、ならびにマハラノビス距離(MD)統計が、全てのスコアに適用され、スコアの全てを囲む楕円形の中心軌跡を形成する距離の範囲を基にしたモデルが得られる(図7参照)。1群のみが、モデル構築に必要である。他の群は、このモデルはいかによくLP試料を認識しおよび他の罹患した組織試料に対して判別するかに関する相対「適合性」を確立するために使用される。
第二のPLS-DAの場合においては、それらの間の識別が最も困難であるという、確立されるべき2群に関する必要要件が存在する。これらの2群は、モデルの構築が必要であり、およびこの方法は、LP標本のPCAスコアを、この第二群のPCAスコアから分離する「最良適合」直線を計算し、ならびにこの場合、この群は一緒にしたFIBおよびCAL標本である。図9は、1100〜1350nmの間のPCAスコアのPLS-DAモデルの結果のプロットである。この場合線形判別直線を用い、因子3に関する主成分スコア(PC3)を、因子4からの主成分スコア(PC4)から分離しているが、ここで「因子」は、スペクトル行列内に残留する最大の影響を説明するベクトルである。最良適合直線は、脂質プール試料(LP)からのスコアを、他の試料全てのもの(この場合これらは、石灰質(CAL)および線維質(FIB)試料スコアである。)から最良に分離するように描かれる。
いかに良くモデルが作用するかを決定するために、形態学により分類された試料の個別の群を取りのけ、バリデーション試験セットとして使用し、このモデルを構築するために使用されなかったLP試料は、バリデーション工程において使用した。感度(SENS)は、モデル、この場合は脂質プール試料と同じであると試料を認識する能力であり、ならびに特異性(SPEC)は、モデルと同じではない試料(NML、CAL、FIBなど)を無視するモデルの能力である。報告されたSENS値およびSPEC値は、通過した(SENSの場合)または失敗した(SPECの場合)LP試料の数の割合で構成され、ならびにPCA/MDRモデルの場合は、下記のモデルの3種のパラメーター試験が存在する:(1)モデルのマハラノビス距離境界、(2)スコア限界、および(3)残差限界。SENS値もSPEC値も両方とも、より良いモデルについては100%近傍でなければならず、これはこのモデルが、LP試料の全てをLPとして分類しおよび試験した全ての他の群を拒絶することができることを示している。
更に詳細に下記実施例1において考察するように、ヒト大動脈組織試料を、標準の組織学的および形態学的技術を用い分析および特徴決定した。実施例2に説明したように、各試料に、近赤外線分光法が施され、および得られた反射スペクトルを収集し、分析しおよび大きいデータセットに類別した(実施例3)。
実施例
本発明は下記実施例において更に説明されるが、これらは「特許請求の範囲」において説明された本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1-ヒト大動脈組織試料の調製
ヒト大動脈組織は、死亡した患者の胸部領域および腹部領域から入手し、死亡後24時間以内に採取した。組織試料は、生理食塩水またはリン酸緩衝0.9%生理食塩水(PBS)中に4℃で貯蔵した。これらの大動脈は、正常試料として特に選択しない限りは、多発性進行型アテローム硬化症病変を含んだ。この大動脈の脂肪を、大動脈血管の外側から除去した。各標本(プラークまたは正常)を、ブロック内に中心を合わせたプラークまたは正常領域により2cmブロック鋳型を用い、大動脈から取り出し、ならびに近赤外(NIR)実験が終了するまで加湿状態に維持した。このプラーク試料は、最大脂質プール区域が標本の中心において水平に位置するように配置した。一旦近赤外線分光実験が行われたならば、組織標本を、試料ホルダーの上側左手隅が組織の上側左手隅と重なるように試料ホルダーに取付けた。全標本のデジタル写真を撮影した。
実施例2-分析用試料の設定
近赤外線スペクトルは、FOSS(登録商標)NIR Systemモデル6500を用い、各ヒト大動脈試料から得、可搬型1/2インチの光ファイバープローブアタッチメントを、垂直ステージ調節プラットフォーム上に配置した。VISION(登録商標)ソフトウェアv.2.11データ収集ソフトを用い、スペクトルを収集し、およびこのデータを反射率単位から吸光度単位に変換した。記録された波長範囲は、400nmから2500nmにわたり、10nmの解像度で32個の同時走査を獲得した。
図10に示したように、実験配置は、実験期間中は全ての時点で、定位置に光ファイバープローブが維持されるように作成した。FOSS(登録商標)プローブ100は、ゴム製マットまたはパッド120上に配置したプラーク組織試料110の真上に位置した。この試料に、ウシ血液130を通して照射した。プローブ100と試料120の間の距離は、「血液深度n」である。
Z-ステージミクロメーター(図示せず)を、このプラットフォームに追加し、FOSSプローブ100の垂直調整を調節し、ならびに試料の表面(ゼロ点)からの距離を0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、および3.0mmの増分で上向きに測定した。この標本を、4x4x0.5cm3の黒色ゴム製パッド120の中心に配置した。内膜側が上を向いた大動脈試料110の四隅全てをピンでゴム上に固定し、その後液体最大100mlが入った小さいPYREX(登録商標)皿140内に配置した。その後この試料皿を、循環加熱式温浴に配置し、水銀温度計でモニタリングし、38℃に設定した。
FOSS(登録商標)光プローブは、それがプラーク(または正常)試料の表面に接触するようになるまで調節し、マイクロメーターはゼロ(0)に設定した。各プローブの配置に関して、データ収集は、プローブを動かさずに、2回行った。試料を、最初に空気中でゼロマークで走査し、その後プローブを2mmに上昇し、再度走査した。その後0.9%生理食塩水溶液(38℃に加熱)を、試料およびプローブの両方を含浸するようにガラス皿に10mmを十分に上回る高さに注いだ。この試料を走査し、その後試料または皿を動かすことなく、生理食塩水をシリンジを用いて取り除いた。
ヘパリンで凝血防止した新鮮な40%ヘマトクリットウシ血液(38℃に加温)を、高さ約15mmまで、PYREX(登録商標)容器に入れた。このプローブを、ゼロ位置(マイクロメーター上0mm)にまで下げ、その後試料をウシ血液中で走査した。プローブ(マイクロメーターを使用する)を、0.25mmに動かし、および試料を再度走査し、このプロセスを、プローブチップと組織試料の間の距離0.5、1.0、1.5、2.0、2.5および3.0mmで繰り返した。
全てのデジタルデータファイルを、反射率から吸光度に変換し、その後保存した。近赤外線スペクトルの全てを、VISION(登録商標)ソフトを用い、データの一貫性を視覚により検査した。その後ある種のデータセットは、1)データセット内の全てのスペクトルは、深度変化に関して変化しなかったこと、および2)深度およびその他に関して変更されたデータセット内の一部の試料は行えないことを基に、更なる使用から排除した。
これらの結果は、図4Aに示し、これは様々な試料-対-プローブ距離での脂質プールのプラーク試料を表している。図4Bは、図4Aに示された同じデータのプロットであるが、このデータは、各スペクトルに関し1125nmでの吸光度によりオフセット(正規化)され、試料間に存在する差異を示している。
実施例3-データセットを作成するための形態学的および形態計測分析
近赤外線分光法による処理後、これらの試料を、3%ホルマリン溶液中で一晩固定した。石灰化の肉眼でわかる証拠を示した試料は、ホルマリン中5%HCl中で4時間脱灰し、その後ホルマリン固定した。
標本を、外科用メスを用い手で3個のセグメントに切断し、これらの3個のセグメントを、3個小切片に分割し(同じく手で)、切片作成のためにパラフィン内に入れた。スライドを、ブロックへ500〜750μで小切片のほぼ中央から作成した。疑わしいプラーク病変試料に関して、以下の小切片から、いくつかのリボンを作成した:最も中心の小片、および中央小片に接触する4個の縁の小片。図11は、組織標本の処理に使用される組織学的レイアウトの概略図である。9個のセグメント(A1からC3までのラベル表示)を取り出し、セグメントを、最も重要なFOSS(登録商標)プローブ照射サークル(中心円)により範囲を定めた(セグメントA3、B1、B2、B3、C1)。星印は、肉眼による切断からエッジ効果を避けるために、そこからスライド用の薄片が採取される各セグメントのほぼ中心を示している。中心のみの正常標本に関して、2個の外側部分を分析した(図11、セグメントA3、B2、C1)。
染色のために5個のスライドを作成し、2個はH&Eを用いおよび2個はトリクロム-エラスチンを用い、および1個は予備のブランクスライドとした。各プラーク試料について25個のスライド、および各正常試料について15個のスライドであった。1個の染色セットを、全ての薄片を使用する面積測定分析のために作成し、および別のセットを、真ん中のB2薄片のみを使用する、最初の形態分析のために作成した。
各標本に関する形態(または全体の説明)を、各小切片に関して染色したスライドの組織学から特徴決定した。各スライドの小切片内で、FOSS(登録商標)プローブにより照射された区域のみ、この分析において考慮した(図11の中央円参照)。プローブ直径は1/2インチ(1.27cm)であるが、近赤外線分析時の組織縮小および光散乱の事象に近づけるために、組織学に使用された実際の投射区域は、組織試料の中心の直径1cmの円と概算した。
試料の最初の形態学は、Virmaniらにより確立された(Armed Forces Institute of Pathology (AFIP) Arteriosclerosis. Thromb. Vasc. Biol.、20:1262(2000))、正常および脆弱性プラーク組織の容認された説明を基に行った。プラーク試料は更に、プローブ照射区域内の主要構成成分の大半を有するものとして分類される極値により、脂質プール、線維質または石灰質プラークに分離した。平均および最小被膜厚さと共におおよその脂質プールの幅および深度も、ほとんどの脂質プール試料について記録した。
全ての染色した組織薄片について、コンピュータによる形態計量(面積測定)を行った。形態計量分析を用い、総プラーク面積(FOSSプローブにより範囲を定めた)を決定し、次に総脂質プール面積、総プラーク面積に対する脂質プール面積の割合(%)、および被膜厚さ(最も薄い領域のみ測定)に分けた。更に被膜厚さの測定値を、脂質プールを含んだ全てのデータ試料について得た。平均被膜厚さを、真ん中のセクションの中心10mmについて測定し、平均被膜厚さ値を得た。
正常試料も分析し、外側小切片の組織が疾患を有さないかどうかを決定した。そのセグメント中に認められた疾患または脂質プールの開始は、その標本を正常と見なすには不適格であった。正常試料は、若年としての29歳から最高87歳までの年齢範囲の個体から得た。ほとんどの正常試料は、いかなる疾患も有さない個体から得た。
本試験のために選択された試料は、罹患したプラークLP、FIB、またはCALを、NML組織と共に表し、全てFOSSプローブが範囲を定めた区域内であった。LP試料選択は、総プラーク面積のサイズ(比較的大きいプラークのみを使用し、モデルを構築した)、ならびに平均被膜厚さのLP面積%に対する比、およびLP面積%の総プラーク面積に対する比(大きいLPプラーク上の小さい被膜は、良好なLP極値試料としてランク付けした)を基にした。
実施例4-データセット開発
完全データセットのサブセットを、実施例3に説明された組織分析を用いて形成した。
このデータは、2名の病理学者がセグメント化し、その後極値分類試料として分類した。これらの極値は、病変上の被膜の厚さとは無関係に、主に1つの疾患成分からなるものとして分類した。完全データセットは、合計207試料を含み、194が有効であった。モデリングに使用したファイルは、以下の2つの判定基準を用い選択した:(i)試料セット内の上位1/3に相当する最大プラークであること、および(ii)脂質プール面積の総罹患プラーク面積に対する割合(%)に比例する、平均被膜厚さ(μm)。この閾値は、18未満であるように設定し、全てのデータのヒストグラムプロットの中央値として決定した。このフィルター処理は、合計33の極値プラークおよび27の正常(NML)試料を生じた。プラーク試料は更に、16の脂質プール(LP)、8の石灰質(CAL)、および9の線維質(FIB)に分類した。
モデル内のプラーク試料数を増大するために、2個の脂質-充満した破裂されたプラーク(DP)試料をキャリブレーションセットに加え、ならびに別の2個の脂質-充満したDP試料をバリデーションセットに加えた。これは、LP試料の数を、バリデーションおよびキャリブレーションの各1セットあたり、10試料に増加した。これらのDPプラーク試料は、サイズが大きく、存在する被膜は非常に薄いかまたは存在せず、ならびにプラーク内に大量のプールされた脂質を依然保持しているので、これらを選択した。
実施例5-波長範囲1100〜1415nmの決定
データセットを評価するために使用した最終法は、PCA/MDR方法のPCA分解からのマハラノビス距離およびスコアを基にした線形回帰モデルであった。異なる試験領域内で、ほとんどの予測領域は、約1100〜1415nm、より具体的には約1150nm〜1350nm、約1175〜1280、および約1190〜1250nmの領域内にクラスター化されることがわかった。このデータは、最初に、中央平均化(MC)を伴う標準正規変数(SNV)を使用し、散乱を除去するために、前処理した。全般的にMCを伴うSNV前処理の選択肢は、検定した前処理なし、中央平均化、一次微分、二次微分、および他の前処理選択肢と比べ、試験した全てのモデルについて最良のSENSおよびSPECの結果を提供した。二元的30nm試験のために認められた最良のバンド領域は、1310nm〜1340nmと組合せた1175nm〜1205nm、および1250〜1280nmと組合せた1145〜1175nmであった。LP試料の88%が、このモデルに、FIBおよびCAL試料の86%が第一のモデルに合致し、ならびにNML試料の100%がこのモデルににより拒絶された。バンドの第二のセットに関し、LP試料の90%が、ならびにFIBおよびCAL試料の86%がこのモデルに合致し、ならびにNMLの86%がこのモデルにより拒絶された。
詳細に述べると、PCA/MDRモデルを使用し、主に脂質プールを含有するプラークを、他の疾患型からおよび非疾患型からも区別するために使用することができるコンフィギュレーションの範囲を決定した。波長範囲1100〜1415nm内の2つの選択された波長または1以上の狭い波長域(例えば、1つの波長および1つの狭域バンド)が必要である。連続または非連続のいずれかの波長または領域を用い、サイズの制限を伴わないモデルを構築することができる。多くのPCA/MDRモデルを、主に脂質プールを含む標本に関するデータファイルを用い作成し、線維質および石灰質病変をあわせたものに対して、その後正常組織に対し区別したが、他方でプローブは組織から離れるように徐々に移動されるので、血液を通して認められるスペクトルの変動も包含している。試験されるモデルの評価は、試験装置とインビボにおいて試験される組織の間の距離の予想される範囲を表している、組織のプローブに対する解離値0.0mm〜3.0mmで、全てのプラーク型の予測結果から得た(図4参照)。より大きい距離も試験することができる。
キャリブレーションモデル試験法は、各回無作為に選択された脂質プール試料により8回繰り返した。反復されたキャリブレーション法の各々は、試験した領域全てにわたる平均であり、平均パフォーマンス結果を提供した。これらの結果は、標準正規変数(SNV)および中央平均化(MC)を用い前処理したモデルスペクトルに関して、図8Aから8Cにおいて「投射プロット」で示した。これらの結果から、1100nm〜1415nmの領域、および1100nm〜1415nm領域のバンドを約1650nm〜1780nm(例えば、1650〜1730nm)領域のバンドと一緒にした組合せは、多くの有用なモデルを生じた。各モデル予測結果は、そのモデルの一部である(すなわち、脆弱性プラーク)と予測された被験脂質プール試料の数、ならびにモデルから排除される、石灰質および線維質、次に正常組織試料(すなわち、安定プラーク)の数として捕獲され、これらは各々、%感度および%特異性1および%特異性2として報告される。
これらの結果は、単独の計量として一緒にし、図8Aから8Cを作成し、ここでx-軸は、第一の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットし、およびy-軸は、モデルにおいて使用した第二の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットしている。
図8Aを作成するために、各30nmの2つの動く「ウィンドウ」を、1100nmから1850nmにわたり15mm間隔で試験した。X-軸は、第一の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットし、およびY-軸は、そのモデルにおいて使用した第二の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットした。1.8(モデルを構築するために使用されない脂質プール試料に関する60%感度、一緒にした石灰質および線維質試料に関する60%特異性、ならびに正常試料に関する60%特異性の最小反応と同等)を超えるそれらの結果のみを留めた。最良の結果は、全ての群についての100%感度および特異性に対応する3.0であろう。高平均パフォーマンスの特異的区域は、比較的明るい陰影付き区域において、および特に1100nm〜1415nmの領域、より特定すると1100〜1350nmにおいて生じる。比較的高い平均パフォーマンスの区域は、最も明るい陰影付き(ハイライト)区域において、特に1190nm〜1250nmの領域において生じる。
図8Bおよび8Cは、図8Aのように2つの個別の30nmバンドを使用するが、2nm間隔のより高い解像度および1100nm〜1350nmの領域にわたって試験した、平均パフォーマンスの2つの投影プロットである。X-軸は、第一の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットし、およびY-軸は、そのモデルにおいて使用した第二の30nmウィンドウ領域の開始値をプロットした。より高い閾値が、このデータには適用され(図8Aと比較)、その結果最小に保持された値が、脂質プール試料に関する感度は70%、一緒にした石灰質および線維質試料に関する特異性は70%、および正常試料に関する特異性は70%であるモデルのみであった。最良の結果は、全ての群の100%感度および特異性に対応する3.0であり、および最小は2.1であろう。
図8Bにおいて、データは最初に、Savitsky-Golay平滑化された一次微分、その後中央平均化を用いて前処理され、ならびに図8Cにおいて、データは、中央平均化を伴う標準正規変数を用い最初に前処理した。図8Bに関する最高の平均パフォーマンスは、比較的明るい陰影付き区域で、特に約1150nm〜1250nmの領域で生じ、ならびに図8Cについて、この領域は約1175nm〜1280nmにわたった
例えば、ひとつの態様は、1190〜1290nmの非常に明るい白色領域内の灰色区域により図8Bおよび8Cにおいて認められるような、1190nm〜1290nmの領域において非連続である、2つの30nmバンド領域を使用する。別の態様は、1310〜1340nmを伴う、1175〜1205nmのバンドを使用する。あるいは、別の態様は、1250〜1280nmを伴う、1145〜1175nmのバンドを使用する。
その他の態様
本発明はそれらの詳細な説明と共に説明されているが、前記説明は、本発明の例証を意図し、添付された「特許請求の範囲」によって定義される本発明の範囲の限定しないことは理解されなければならない。その他の局面、利点、および修飾は、「特許請求の範囲」内である。
本新規方法を使用する血管壁の分光学的分析のための撮像システムの概略図である。1本のファイバーを、光の送達および検出の両方に使用するか、または複数の照射-検出ファイバーチャネルを使用することができるかのいずれかである。 波長範囲1100〜1850nm内の近赤外線による組織照射から生じる様々なヒト大動脈試料に関する近赤外線吸光度対波長のプロットである。石灰質、線維質、脂質-含有、および正常な組織のスペクトルが示されている。 波長範囲1100〜1350nm内の近赤外線による組織照射から生じる様々なヒト大動脈試料に関する近赤外線吸光度対波長のプロットである。石灰質、線維質、破裂されたプラーク、脂質-含有、および正常な組織のスペクトルが示されている。 図4Aおよび4Bは、血液介在を伴う、0.0mm〜3.0mmの8種の異なる組織-対-プローブ分離にわたる、光ファイバープローブの基底(base)に対する組織の頂上からの距離の関数としての、罹患組織試料のプロットである。図4Bは、4Aに示されたデータのプロットであり、単にこのデータは、各スペクトルに関する1125nmでの吸光度によりオフセットされている。 図3に示したものと同じであるが、標準正規変数(SNV)技術による処理後の、ヒト大動脈組織試料の近赤外線吸光度対波長のプロットである。示されたように、石灰質、線維質、破裂されたプラーク、脂質-含有組織、および正常組織のスペクトルは、試料の散乱の差異を除去するSNV処理後に重複する傾向がある。 図5に示されたような、標準正規変数(SNV)技術による処理後の同じヒト大動脈組織に関する近赤外線吸光度対波長プロットであるが、スペクトルの全ての群は、モデル構築のために使用した全スペクトルに関する全般的平均値を提供する、中央平均化(MC)技術の追加により更に処理される。これらの技術は一緒にした場合に、最大の影響を及ぼす領域がそのスペクトル情報に収まることを示す。 Srと称される補足スコア行列を作成するために追加のスペクトル残差(R)と組合せた、主成分分析(PCA)、主成分(PC)ベクトルおよび得られるスカラーまたはスコア(S)を含む当初のデータを2つの行列に分解するスペクトル分解法を一緒にすること、その後補足スコア(Sr)へのマハラノビス距離(MD)計算に非線形統計を適用し、PCA/MDRと称される判別法を得ることの処理技術の概略である。 図8Aは、2つの個別の30nmバンド領域を用い、およびSNVプラスMCを用いて前処理した、多次元(multiple)キャリブレーションモデルから得られた平均予測パフォーマンス結果を表している「投影プロット」である。高い平均パフォーマンスの特異的区域は、比較的明るい陰影付き区域、特に1100nm〜1415nmの領域において生じた。 図8Bおよび8Cは、図8Aのように2つの個別の30nmバンドを使用するが、2nm間隔のより高い解像度および領域1100nm〜1350nmにわたって試験した、平均パフォーマンスの2つの追加の投射プロットを示す。図8Bの最高平均パフォーマンスは、比較的明るい陰影付き区域、特に1150nm〜1250nmの領域において生じ、ならびに図8Cについて、この領域は、1175nm〜1280nmにわたっている。 1100〜1350nmの間のPCAスコアの部分最小二乗法-判別分析(PLS-DA)モデルのプロットである。脂質プール試料(LP)からのスコアを全ての他の試料のスコア(この場合、これらは石灰質(CAL)および線維質(FIB)試料スコアである)から最良に分離するように、直線を引いている。 近赤外線分光実験設備の概略図である。 組織標本を処理するために使用した組織学的レイアウトの概略図である。9個のセグメントを、手作業で切断し(A1からC3とラベル)、これらのセグメントを、分析において最も重要なもの(セグメントA3、B1、B2、B3、C1)のFOSS(登録商標)プローブ照射サークル(中心の円)により範囲設定した。星印は、肉眼による切断からのエッジ効果を避けるようにスライド用薄片が採取された各々のセグメントのおおよその中心を示している。 図12Aおよび12Bは、ケモメトリクス予測値の仮定のグラフである。図12Aにおいて、特異的閾値は、脆弱性プラークを他の組織型から識別するように設定される。図12Bにおいて、閾値は設定されないが、図12Aに示されたものと同じ2つのピークを使用し、ケモメトリクス予測スコアの連続スケールを確立した。 図13Aおよび13Bは、脆弱性プラーク診断システムに関するケモメトリクスデータを示す、コンピュータスクリーンの表示である。図13Aは、閾値が使用されるシステムを示し、および図13Bは、閾値が使用されないシステムを示す。 3名の異なる患者に関する感度および特異性の曲線を示す一連のグラフである。3名の患者全員に同じ閾値が使用される場合、一部は不正確な診断を受けることがある。 図15Aから15Dは、ケモメトリクス予測スコアの4種の異なるグラフである。図15Aは、脂質-豊富なアテロームおよび全ての他の組織型の値の分布に関する二つの曲線を示す標準のグラフである。感度と特異性の間の閾値は、2つの曲線が交差する点で設定される(図12A同様)。図15Bは、脂質-豊富なアテロームまたは他の組織型のカテゴリーのいずれかに収まる特定の値の確率のグラフを示す。図15Cは、図15Bに類似したグラフであるが、図15Bの曲線の直線近似値を示している。図15Dは、確率を示さないが、各ケモメトリクススコアが同等に重要である直線である(100から0%)グラフである。 行列X(スペクトルデータ)および行列Y(濃度データ)により示された、スペクトル情報のNIPALS分解を表している。

Claims (18)

  1. 以下を含む、全血を含む血管内のプラーク組成を走査および特徴付ける機器:
    全血を通して組織を照射する輻射線を発生する近赤外線源であって、該輻射線が波長範囲約1100〜1415nm内の、近赤外線の任意の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含み、該輻射線は全血を通るのに十分である、近赤外線源;
    輻射線源から組織へ、全血を通して輻射線を伝達し、および組織により吸収されなかった輻射線を受け取る、1個以上の輻射線導管;
    実質的に1100〜1415nmの波長範囲にわたり、組織により吸収されなかった輻射線を収集する輻射線検出器であり、輻射線が全血によって弱まった後に輻射線を検出するのに十分な感度を有する、輻射線検出器;
    組織におけるプラークの組成を決定するために、収集された輻射線を処理するプロセッサー;ならびに
    プラーク組成を特徴付ける出力を提供するための出力装置。
  2. 近赤外線源が、波長範囲約1100〜1350nmを発生する、請求項1記載の機器。
  3. 近赤外線源が2種の狭い波長域を発生し、各々の波長域が波長範囲1100〜1415nm内で、1.0nm〜30nmにわたる、請求項1記載の機器。
  4. 近赤外線源が、波長範囲約1150〜1250nmを発生する、請求項1記載の機器。
  5. 第二の波長範囲約1600〜1780nm内の、近赤外線の任意の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む輻射線を発生する近赤外線源をさらに含む、請求項1記載の機器。
  6. 出力装置が、走査された組織から拡散性に反射された輻射線のグラフ表示を提供する、請求項1記載の機器。
  7. 走査された組織の機能性カラースキームを提供する、請求項1記載の機器。
  8. 出力装置が、走査された組織の連続等級化を提供する、請求項1記載の機器。
  9. プロセッサーおよび出力装置が、走査された組織を2、3またはそれよりも多い病変の異なるカテゴリーに類別する、請求項1記載の機器。
  10. プロセッサーおよび出力装置が、走査された組織を健康または脆弱性プラークのいずれかに類別する、請求項1記載の機器。
  11. プロセッサーが、走査された組織が罹患しているかどうかを決定するために、閾値を適用する、請求項1記載の機器。
  12. プロセッサーが、走査された組織が罹患しているかどうかを決定する境界計算を確立するために、2種以上の群間の分類を最小化することにより決定された閾値を適用する、請求項1記載の機器。
  13. 出力装置が、基本的患者情報、走査の日付および時刻、走査された組織のデジタル化された縦画像、ならびに走査された組織の特定セクションのデジタル化された横断面を示すスクリーンを含む、請求項1記載の機器。
  14. 走査された組織のデジタル化された縦画像および横断面が、セクションに分離され、各セクションが、そのセクションにより示された組織の点が健康であるかまたは罹患しているのいずれであるかを示す、請求項1記載の機器。
  15. 走査された組織のデジタル化された縦画像および横断面が、セクションに分離され、各セクションが、その点の組織が健康であることを表す複数の色の連続等級の1つを示す、請求項1記載の機器。
  16. 走査された組織のデジタル化された縦画像および横断面が、セクションに分離され、各セクションが、その点の組織が健康であることを表す灰色の陰影の連続等級の1つを示す、請求項1記載の機器。
  17. プロセッサーおよび出力装置が、走査された組織の構成要素濃度を提供する、請求項1記載の機器。
  18. 以下の手段を含む、プラークのインビボにおける特徴付けのための器具:
    a)波長範囲約1100〜1415nm内の、近赤外線の任意の2以上の単一波長または1以上の狭い波長域を含む近赤外線で、全血を通して組織の一部を照射する手段;
    b)全血を通して輻射線を収集する手段であって、該輻射線が組織により吸収されない波長範囲内である、手段;
    c)収集された輻射線から、照射された組織による輻射線の吸収量を決定する手段;
    d)照射されたプラークを、波長範囲内の他の照射された組織成分から識別する手段であり、識別手段が、
    i)ケモメトリクス前処理技術を用い、吸収量を前処理する手段、および
    ii)組織及びプラークを特徴付けるために、前処理された吸収量に関するケモメトリクス判別アルゴリズムを実行する手段を含む、識別手段;ならびに
    e)照射された組織及びプラークの特徴を示す出力を提供する手段。
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