JPWO2007066381A1 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
プラズマディスプレイパネルInfo
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Abstract
パネル内の放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離とを考慮することで、PDPの残像現象を抑制する。面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けた一方の基板と、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けた他方の基板とが、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入され、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加されるよう構成されたプラズマディスプレイパネルにおいて、パネル内の放電ガスの封入圧力を200〜400Torrとする。
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と記す)に関し、さらに詳しくは、電極を形成した一対の基板を対向させて周辺を封着し、内部に放電ガスを封入したPDPに関する。
PDPでは、それを構成する2枚のガラス基板の内面側に電極、誘電体層、隔壁などを形成する。
具体的には、前面側の基板の内面側に面放電が可能な表示電極を一定の方向に複数設け、背面側の基板の内面側に点灯セル選択用のアドレス電極を表示電極と交差する方向に複数設け、表示電極とアドレス電極との交差部を1つのセル(単位発光領域)としている。
PDPは、このように作製した前面側の基板と背面側の基板とを対向させ、周辺に封着材を配置し、加熱により封着材を溶融させて両基板を封着した後、パネル内部に放電ガスを封入することにより製造されている。
現在市販されているPDPでは、パネル内に封入する放電ガスはNeとXeを混合したガスが用いられており、この放電ガスの組成は、Ne90〜96%,Xe10〜4%の組成となっている。放電ガスの封入圧力(ガス圧)は、450〜500Torr程度である。また、表示電極間の距離(以下「放電ギャップ」という)は、80〜100μm程度となっている。これらの一例を表1に示す。
ところで、AC駆動方式のPDPでは、通常、画面の表示をアドレス・表示分離型サブフィールド(ADS: Address and Display Separation)方式で行うようにしている。この方式では、1フレームの画像を複数のサブフレームに分割して表示を行う。そして、各サブフレームを、全てのセルを初期化するリセット期間と、点灯させるべきセルを選択するアドレス期間と、選択したセルを点灯させる表示期間とで構成する。
このリセット期間においては、従来、全セルの表示電極間にいっせいに矩形波の電圧を印加して、全てのセル内で放電を発生させることで、全セルの初期化を行うようにしていた。しかしながら、矩形波を印加した場合、セル内の電荷を均一に初期化することが難しく、これを解決するために、矩形波に代えて、時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少する傾斜波の電圧(パルス)を印加することが行われている。この電圧波形は、一般にランプ(ramp)波または鈍波などと呼ばれるものである(特許文献1および2参照)。リセット期間にランプ波または鈍波のパスルを印加する駆動波形の例を図7に示す。この駆動波形は1サブフレーム分の駆動波形を示している。
しかし、リセット期間にランプ波または鈍波のパルスを印加した場合、以下のような問題が生じる。すなわち、駆動波形のリセット期間にランプ波または鈍波を用いるPDPに小面積のパターンを10分以上点灯し、消灯した場合、残像が発生する。残像部の背景輝度(消灯時のリセットによる輝度)は通常の1.3〜1.5倍程度である。残像は、10分〜1時間の比較的短時間で消滅するが、画像品質を劣化させるため問題となる。この問題は駆動波形のリセット期間にランプ波または鈍波を用いるPDPに特有の問題であり、リセット期間に矩形波を用いるPDPにおいては発生しない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、パネル内の放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離とを考慮することで、PDPにおける上述の残像現象を抑制するものである。
本発明は、面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けた一方の基板と、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けた他方の基板とが、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入され、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加されるよう構成されたプラズマディスプレイパネルであって、パネル内の放電ガスの封入圧力が200〜400Torrであるプラズマディスプレイパネルである。
本発明によれば、小領域点灯後、消灯した場合の残像が薄くなるという効果がある。
10 PDP
11 前面側の基板
12 透明電極
13 バス電極
17,24 誘電体層
18 保護膜
21 背面側の基板
28R,28G,28B 蛍光体層
29 隔壁
30 放電空間
A アドレス電極
L 表示ライン
X,Y 表示電極
11 前面側の基板
12 透明電極
13 バス電極
17,24 誘電体層
18 保護膜
21 背面側の基板
28R,28G,28B 蛍光体層
29 隔壁
30 放電空間
A アドレス電極
L 表示ライン
X,Y 表示電極
本発明において、一方の基板は、面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けたものであればよい。他方の基板は、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けたものであればよい。一方の基板と他方の基板は、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入されていればよい。
一方の基板および他方の基板としては、ガラス、石英、セラミックス等の基板や、これらの基板上に、電極、絶縁膜、誘電体層、保護膜等の所望の構成物を形成した基板が含まれる。
表示電極は、面放電が可能なように一定方向に複数設けたものであればよい。アドレス電極は、表示電極と交差する方向に複数設けたものであればよい。表示電極およびアドレス電極は、当該分野で公知の各種の材料と方法を用いて形成することができる。電極に用いられる材料としては、例えば、ITO、SnO2などの透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Crなどの金属の導電性材料が挙げられる。電極の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。たとえば、印刷などの厚膜形成技術を用いて形成してもよいし、物理的堆積法または化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成してもよい。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法などが挙げられる。薄膜形成技術の内、物理的堆積法としては、蒸着法やスパッタ法などが挙げられる。化学的堆積方法としては、熱CVD法や光CVD法、あるいはプラズマCVD法などが挙げられる。
本発明のPDPにおいては、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加される。時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスとは、傾斜波の電圧を意味する。この電圧波形は、一般にランプ(ramp)波または鈍波などと呼ばれるものである。
本発明においては、パネル内の放電ガスは、その封入圧力が200〜400Tで封入される。
また、別の観点によれば、本発明は、面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けた一方の基板と、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けた他方の基板とが、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入され、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加されるよう構成されたプラズマディスプレイパネルであって、パネル内の放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離との積が、表示電極間での放電開始電圧が最小値となるパッシェンミニマムの値以上で、かつそのパッシェンミニマムの値の2倍以下の範囲となるように、放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離が設定されてなるプラズマディスプレイパネルである。
上記構成において、パネル内に封入される放電ガスは、その組成として少なくともNeとXeを含み、Xeの含有割合が7%以上であることが望ましい。
パネル内の放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離については、放電ガスの封入圧力が200〜400Torrで、表示電極間の距離が80〜120μmであってもよい。あるいは、パネル内の放電ガスの封入圧力が200〜300Torrで、表示電極間の距離が120〜160μmであってもよい。
本発明においては、放電ガスの封入圧力を便宜上「Torr(トル)」で示したが、これを国際単位の「Pa(パスカル)」で示すには、1Torr=(101325/760)Pa=133.322Paとすればよい。
以下、図面に示す実施形態に基づいて本発明を詳述する。なお、本発明はこれによって限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
図1(a)および図1(b)は本発明のPDPの構成を示す説明図である。図1(a)は全体図、図1(b)は部分分解斜視図である。このPDPはカラー表示用のAC駆動型の3電極面放電型PDPである。
PDP10は、PDPとして機能する構成要素が形成された前面側の基板11と背面側の基板21から構成されている。前面側の基板11と背面側の基板21としては、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板等を使用することができる。
前面側の基板11の内側面には、水平方向に表示電極Xと表示電極Yが等間隔に配置されている。隣接する表示電極Xと表示電極Yとの間が全て表示ラインLとなる。各表示電極X,Yは、ITO、SnO2などの幅の広い透明電極12と、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等からなる金属製の幅の狭いバス電極13から構成されている。表示電極X,Yは、Ag、Auについてはスクリーン印刷のような厚膜形成技術を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術とエッチング技術を用いることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。
なお、本PDPでは、表示電極Xと表示電極Yが等間隔に配置され、隣接する表示電極Xと表示電極Yとの間が全て表示ラインLとなる、いわゆるALIS構造のPDPを示したが、これに限定されず、対となる表示電極X,Yが放電の発生しない間隔(非放電ギャップ)を隔てて配置された構造のPDPであっても、本発明を適用することができる。
表示電極X,Yの上には、表示電極X,Yを覆うように交流(AC)駆動用の誘電体層17が形成されている。誘電体層17は、低融点ガラスペーストを、前面側の基板11上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成することにより形成している。
誘電体層17の上には、表示の際の放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層17を保護するための保護膜18が形成されている。この保護膜はMgOで形成されている。保護膜は、電子ビーム蒸着法やスパッタ法のような、当該分野で公知の薄膜形成プロセスによって形成することができる。
背面側の基板21の内側面には、平面的にみて表示電極X,Yと交差する方向に複数のアドレス電極Aが形成され、そのアドレス電極Aを覆って誘電体層24が形成されている。アドレス電極Aは、Y電極との交差部で点灯セルを選択するためのアドレス放電を発生させるものであり、Cr/Cu/Crの3層構造で形成されている。このアドレス電極Aは、その他に、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr等で形成することもできる。アドレス電極Aも、表示電極X,Yと同様に、Ag、Auについてはスクリーン印刷のような厚膜形成技術を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術とエッチング技術を用いることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。アドレス電極Aの上には、アドレス電極Aを覆うように誘電体層24が形成されている。誘電体層24は、誘電体層17と同じ材料、同じ方法を用いて形成することができる。
隣接するアドレス電極Aとアドレス電極Aとの間の誘電体層24上には、ストライプ状の複数の隔壁29が形成されている。隔壁29の形状はこれに限定されず、放電空間をセルごとに区画するメッシュ状(ボックス状)であってもよい。隔壁29は、サンドブラスト法、印刷法、フォトエッチング法等により形成することができる。例えば、サンドブラスト法では、低融点ガラスフリット、バインダー樹脂、溶媒等からなるガラスペーストを誘電体層24上に塗布して乾燥させた後、そのガラスペースト層上に隔壁パターンの開口を有する切削マスクを設けた状態で切削粒子を吹きつけて、マスクの開口に露出したガラスペースト層を切削し、さらに焼成することにより形成する。また、フォトエッチング法では、切削粒子で切削することに代えて、バインダー樹脂に感光性の樹脂を使用し、マスクを用いた露光及び現像の後、焼成することにより形成する。
隔壁29の側面及び隔壁間の誘電体層24上には、赤(R)、青(B)、緑(G)の蛍光体層28R,28B,28Gが形成されている。蛍光体層28R,28B,28Gは、蛍光体粉末とバインダー樹脂と溶媒とを含む蛍光体ペーストを隔壁29間の凹溝状の放電空間内にスクリーン印刷、又はディスペンサーを用いた方法などで塗布し、これを各色毎に繰り返した後、焼成することにより形成している。この蛍光体層28R,28B,28Gは、蛍光体粉末と感光性材料とバインダー樹脂とを含むシート状の蛍光体層材料(いわゆるグリーンシート)を使用し、フォトリソグラフィー技術で形成することもできる。この場合、所望の色のシートを基板上の表示領域全面に貼り付けて、露光、現像を行い、これを各色毎に繰り返すことで、対応する隔壁間に各色の蛍光体層を形成することができる。
PDP10は、このような構成要素を形成した前面側の基板11と背面側の基板21とを、表示電極X,Yとアドレス電極Aとが交差するように対向配置し、周囲を封着し、隔壁29で囲まれた放電空間30にXeとNeとを混合した放電ガスを充填することにより作製されている。このPDPでは、表示電極X,Yとアドレス電極Aとの交差部の放電空間30が、表示の最小単位である1つのセル(単位発光領域)となる。1画素はR、B、Gの3つのセルで構成される。
本発明においては、パネル内に封入する放電ガスのガス圧をpとし、表示電極間の放電ギャップの幅をdとすると、p×dが、パッシェンミニマム(放電開始電圧が最小値となる電圧)より大きく、かつパッシェンミニマムの2倍以下の範囲となるように、放電ガスのガス圧と表示電極間の放電ギャップの幅を設定する。
これにより、リセット期間に傾斜波の電圧を印加することに由来する、PDPの小領域を点灯して消灯した場合、あるいは小領域を点灯して全画面表示を行った場合に生ずる残像の背景発光輝度は、パッシェンミニマムを考慮しない通常のPDPと比較して、1.2倍以下となり、目立たなくなる。
ただし、パッシェンミニマムより小さいガス圧を選択すると、部分点灯によって温度が上昇する程イオンと電子の移動度が大きくなり、保護膜がスパッタされやすくなるため、点灯箇所と非点灯箇所のスパッタ量の差が増大する事になり、好ましくない。
具体的には、放電ギャップが80〜120μmで、Ne,Xeを含んだガス系を用いたPDPでは、パッシェンミニマムは、ガス圧150〜200Torrにある。このため、ガス圧を200Torrより大きく、400Torr以下とすることで残像の輝度を改善できる。
あるいは、放電ギャップが120〜160μmで、Ne,Xeを含んだガス系を用いたPDPでは、パッシェンミニマムは、ガス圧100〜150Torrにある。このため、ガス圧を150Torrより大きく、300Torr以下とすることで残像の輝度を改善できる。
なお、ガス圧が低い場合には、電子とイオンの平均自由行程が長くなるため、保護膜がスパッタされることによるPDPの寿命の低下が問題となる。このため、ガス組成に移動度の小さいXeの割合を増加させることが望ましい。具体的には放電ギャップ100μm、ガス圧300Torrの場合、ガス中のXeガスの割合は7%以上が望ましい。
図2はガス圧と背景輝度との関係を示すグラフである。
このグラフは、100、250、500Torrの各ガス圧における残像の背景輝度を示しており、PDPの小領域を10分間点灯して消灯した場合の背景輝度の時間変化を示している。背景輝度の値は、消灯して1時間経過後の輝度を基準にしたものである。いずれの場合も、ガス組成はNe96%+Xe4%、放電ギャップは100μmである。
このグラフは、100、250、500Torrの各ガス圧における残像の背景輝度を示しており、PDPの小領域を10分間点灯して消灯した場合の背景輝度の時間変化を示している。背景輝度の値は、消灯して1時間経過後の輝度を基準にしたものである。いずれの場合も、ガス組成はNe96%+Xe4%、放電ギャップは100μmである。
ガス圧が500Torrの場合には、消灯直後の輝度が、消灯して1時間経過後の輝度の1.35倍であり、残像輝度が大きい。この問題は、短期残像としてPDP業界では解決すべき課題として認識されていた現象であるが、詳細なメカニズムは判っていなかった。
本発明者らは、PDPを小領域点灯した場合、その小領域点灯中の加熱により部分的に温度が上がり、放電ガスの密度が小さくなることで、初期生成電子の平均自由行程が大きくなり、得られるエネルギーが高くなるために、この短期残像が生じることを見出した。
図6(a)および図6(b)は小領域点灯時の温度上昇による残像の原理を示す説明図である。
小領域点灯前は、ガス密度は画面全体で均一であり、電子の平均自由行程はt1である(図6(a)参照)。小領域点灯後は、温度上昇で放電開始電圧が低下する。すなわち、点灯された小領域では温度が上昇することでガスの運動が大きくなる。しかし、セル間にはわずかに隙間があり、ガス圧が部分的には高くなりにくい。このため、温度の高い部分のガスが低い部分に移動し、部分的にガス密度が低下する(図6(b)参照)。このとき、放電開始初期の電子の平均自由行程がt1→t2と大きくなるため、電場から得られるエネルギーが増加し、放電開始電圧が低下する。
小領域点灯前は、ガス密度は画面全体で均一であり、電子の平均自由行程はt1である(図6(a)参照)。小領域点灯後は、温度上昇で放電開始電圧が低下する。すなわち、点灯された小領域では温度が上昇することでガスの運動が大きくなる。しかし、セル間にはわずかに隙間があり、ガス圧が部分的には高くなりにくい。このため、温度の高い部分のガスが低い部分に移動し、部分的にガス密度が低下する(図6(b)参照)。このとき、放電開始初期の電子の平均自由行程がt1→t2と大きくなるため、電場から得られるエネルギーが増加し、放電開始電圧が低下する。
この現象は駆動波形のリセット期間にランプ波または鈍波を用いるPDPに特有の問題であり、リセット期間に矩形波を用いるPDPにおいては発生しない。図8にリセット期間においてY電極に負の勾配のランプ波形を印加した場合の近赤外発光(Infrared Ray:IRと省略)観察結果を示す。背景発光はランプ波印加中の微弱放電の放電持続時間に比例する。セルの放電開始電圧が変化した場合には微弱放電の開始時間が前後し、その結果、放電持続時間が変化する。鈍波についても同様である。従って、ランプ波あるいは鈍波の場合には放電開始電圧の変化が直接背景発光の強弱に影響を及ぼすため、小領域点灯時の温度上昇による放電開始電圧の変化の影響が背景発光という形で見える。図9は実際に小領域を10分間点灯後、背景発光に切り替えた場合の短期残像発生箇所のIR観察結果を示す。一方、リセットに矩形波を用いる場合、背景発光は主に印加電圧と放電電流によって決まり、放電開始電圧の変化の影響は殆どない。
以上説明した原理は、パッシェンの法則でガス圧あるいは放電ギャップを小さくした際の原理と基本的には同じであるが、PDPは閉鎖空間であるため、ガス圧は変化せず、ガス密度のみが変化する。パッシェンの法則におけるガス圧Pと本現象におけるガス密度Dとの関係は次の式で表される。
D=N/V=P/kT……(1)
ここでVは局所的な放電空間の体積、Nはその中に含まれる原子数、Pは圧力、kはボルツマン定数、Tは温度である。この式は気体の状態方程式より導かれる。例えば、小領域点灯中のパネル温度は絶対温度で10%程度高くなるため、ガス密度が10%低下し、これはパッシェンカーブにおいてp・d積を10%低下させるのに相当する。
D=N/V=P/kT……(1)
ここでVは局所的な放電空間の体積、Nはその中に含まれる原子数、Pは圧力、kはボルツマン定数、Tは温度である。この式は気体の状態方程式より導かれる。例えば、小領域点灯中のパネル温度は絶対温度で10%程度高くなるため、ガス密度が10%低下し、これはパッシェンカーブにおいてp・d積を10%低下させるのに相当する。
以下に実施形態を示す
実施形態1
図3は実施形態1のPDPにおけるガス圧と放電開始電圧との関係を示すグラフである。
本実施形態のPDPでは、表示電極の放電ギャップ:100μm、放電ガス組成:Ne96%+Xe4%、ガス圧:200〜400Torrとしている。
実施形態1
図3は実施形態1のPDPにおけるガス圧と放電開始電圧との関係を示すグラフである。
本実施形態のPDPでは、表示電極の放電ギャップ:100μm、放電ガス組成:Ne96%+Xe4%、ガス圧:200〜400Torrとしている。
本実施形態では、このPDPを図7に示した駆動波形を用いて駆動した。本駆動波形では、第1の鈍波として、X電極に0Vから−80Vまで−2V/μsの傾きの電圧パルスを印加する。また、第2の鈍波として、Y電極に80Vから300Vまで+2V/μsの傾きの電圧パルスを印加する。また、第3の鈍波として、Y電極に50Vから−70Vまで−2V/μsの傾きの電圧パルスを印加する。このような鈍波の電圧勾配は、一般的には、0.5V/μs〜10V/μsが与えられる。なお、これらの電圧波形および電圧勾配は一例であり、電圧の波高値および傾きはパネルの構成によって適宜変更されるものである。
図3のグラフはパッシェンカーブと呼ばれるものであり、放電ガスのガス圧を変化させた場合の放電開始電圧の実測値を示している。
Vf1は消灯状態から電圧を上げていった場合に、最初のセルが点灯を開始する電圧であり(製造時のバラつきにより電圧を上げていってもセルは同時には点灯しない)、Vfnは画面全てのセルが点灯する電圧である。Vsmnはいったん全部のセルを点灯させた後で電圧を下げていった場合に、最初のセルが消灯し始める電圧であり、Vsm1は画面全てのセルが消灯する電圧である。
Vf1は消灯状態から電圧を上げていった場合に、最初のセルが点灯を開始する電圧であり(製造時のバラつきにより電圧を上げていってもセルは同時には点灯しない)、Vfnは画面全てのセルが点灯する電圧である。Vsmnはいったん全部のセルを点灯させた後で電圧を下げていった場合に、最初のセルが消灯し始める電圧であり、Vsm1は画面全てのセルが消灯する電圧である。
本実施形態では、放電ギャップを一定にしてガス圧を変化させているので、図の横軸はガス圧(Torr)となっている。図より、曲線は150Torr近傍で極小値を示す。極小値は実験毎にある程度のばらつきを持ち、本実施形態では150Torr〜200Torrの値を示す。極小値は一般的にパッシェンミニマムと呼ばれている。
図2に示した通り、ガス圧がパッシェンミニマムに近い250Torrの場合では、背景輝度(小領域10分点灯後、消灯した直後の背景輝度を1時間後の背景輝度で割った値)は1.08倍程度である。ガス圧がパッシェンミニマム以下の100Torrの場合には、背景輝度は0.82倍であり、残像箇所の方が暗くなるという逆転現象が観察される。
図4は実施形態1のPDPにおける放電ガスのガス圧と残像量との関係を示すグラフである。
このグラフは、実施形態1のPDPの残像量(小領域を10分間点灯した後、消灯した直後の背景輝度を1時間後の背景輝度で割った値)のガス圧依存性を示すものである。
このグラフは、実施形態1のPDPの残像量(小領域を10分間点灯した後、消灯した直後の背景輝度を1時間後の背景輝度で割った値)のガス圧依存性を示すものである。
残像は400Torr以下で急激に小さくなり、多くの人が目立たないと感じる1.2倍以下となる。また、パッシェンミニマムより低いガス圧だと残像は逆転し、残像量の逆数は1.2倍以上となる。
なお、400Torr以下で残像が急激に小さくなるのは、パッシェンカーブが徐々に傾きが大きくなっていくこと、および、式(1)においてガス密度の温度依存性がガス圧に比例して小さくなること、が原因だと考えられるが、残像のメカニズムには温度依存性以外にも未発見の要素が重なっており、未発見の要素が関係している可能性がある。
従来では、放電ガス組成:Ne96%+Xe4%、放電ギャップ:100μmのパネルである場合、ガス圧は、パッシェンミニマム150〜200Torrの約3倍の500Torrに設定されていた。
しかし、実施形態1のPDPでは、ガス圧は400Torr以下に設定する。放電ガス組成:Ne96%+Xe4%、放電ギャップ:100μmのPDPである場合、ガス圧を400Torrにすることは、パッシェンミニマム150〜200Torrの2倍以下の範囲に相当する。
実施形態2
図5は実施形態2のPDPにおけるガス圧と放電開始電圧との関係を示すグラフである。
本実施形態のPDPでは、表示電極の放電ギャップ:100μm、放電ガス組成:Ne93%+Xe7%、ガス圧:200〜400Torrとしている。Vf1、Vfn、Vsmn、Vsm1については実施形態1と同じである。図より、パッシェンミニマムは150〜200Torr近傍である。
図5は実施形態2のPDPにおけるガス圧と放電開始電圧との関係を示すグラフである。
本実施形態のPDPでは、表示電極の放電ギャップ:100μm、放電ガス組成:Ne93%+Xe7%、ガス圧:200〜400Torrとしている。Vf1、Vfn、Vsmn、Vsm1については実施形態1と同じである。図より、パッシェンミニマムは150〜200Torr近傍である。
表2に各実施形態におけるガス組成、ガス圧、放電ギャップの組み合わせの一例を示す。実施形態3,4についてはパッシェンカーブを省略し、パッシェンミニマムと残像量のみを示した。
実施形態1のPDPでは、ガス圧:200〜400Torrであるが、望ましくはガス圧:250Torrである。この場合、図2に示した通り、残像は1.1倍以下となる。
実施形態2のPDPでは、ガス圧:200〜400Torrであるが、望ましくはガス圧:300Torrである。放電ガスのXe割合を高くすれば放電開始電圧が上昇するが、ガス圧を低くすることで、放電開始電圧の上昇を抑えることができる。図3に示したように、実施形態2のPDPのガス圧を300Torrとした場合の放電開始電圧は、従来の放電ガス組成:Ne96%+Xe4%、放電ギャップ:100μm、ガス圧:500TorrのPDPの放電開始電圧とほぼ等しい。
一般に、Xeは放電によって真空紫外線を放出するので、放電ガス中のXe濃度を上げることで発光輝度を上げることができる。しかし、Xe濃度を上げると放電開始電圧の上昇を招き、駆動回路のコスト上昇を引き起こす。したがって、従来では、放電ガス中のXe濃度は5%前後であった。
これに対し、本発明においては、パネル内のガス圧を低下させるので、放電ガス中のXe濃度を上げることができる。このガス圧低下とXe高分圧化の組み合わせは、単に放電開始電圧の高低を調整するだけでなく、別の効果も発生する。一般的にガス圧を低くした場合には、イオンと電子の移動度が大きくなり、保護膜のスパッタによってPDPの寿命が短くなると考えられている。しかし、表3に示したように、電子とイオンの移動度はXeの方がNeよりも小さいため、ガス圧を低くしても、放電ガスのXe割合を増やすことで、保護膜のスパッタによるPDPの寿命の低下を防ぐ役割を果たす。
以上述べたように、本発明によれば、ガス圧p×放電ギャップdを、放電開始電圧が最小値となるパッシェンミニマムより大きく、パッシェンミニマムの2倍以下に設定することで、小領域点灯後消灯した場合の残像が薄くなるという効果を得ることができる。また、低ガス圧設置と高Xe化の組み合わせにより、寿命上の問題を解決することができる。
Claims (5)
- 面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けた一方の基板と、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けた他方の基板とが、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入され、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加されるよう構成されたプラズマディスプレイパネルであって、
パネル内の放電ガスの封入圧力が200〜400Torrであるプラズマディスプレイパネル。 - 面放電が可能な表示電極を一定方向に複数設けた一方の基板と、表示電極と交差する方向にアドレス電極を複数設けた他方の基板とが、表示電極とアドレス電極との交差部がセルとなるように対向配置され、周辺が封着されて内部に放電ガスが封入され、画面の表示に際し、全てのセルでセル内の電荷を初期化するための放電を発生させるべく、表示電極間に時間の経過に伴って印加電圧値が増大または減少するパルスが印加されるよう構成されたプラズマディスプレイパネルであって、
パネル内の放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離との積が、表示電極間での放電開始電圧が最小値となるパッシェンミニマムの値以上で、かつそのパッシェンミニマムの値の2倍以下の範囲となるように、放電ガスの封入圧力と表示電極間の距離が設定されてなるプラズマディスプレイパネル。 - パネル内に封入される放電ガスは、その組成として少なくともNeとXeを含み、Xeの含有割合が7%以上である請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
- パネル内の放電ガスの封入圧力が200〜400Torrであり、表示電極間の距離が80〜120μmである請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
- パネル内の放電ガスの封入圧力が150〜300Torrであり、表示電極間の距離が120〜160μmである請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
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