JPWO2007061028A1 - 殺菌消毒用ゲル組成物 - Google Patents

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Abstract

(i) クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsである殺菌消毒用ゲル組成物。(ii) クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する殺菌消毒用ゲル組成物。

Description

本発明は、消毒効果が持続する、ヒトの手指や皮膚の殺菌消毒用のゲル組成物に関する。
グルコン酸クロルヘキシジンは、1954年に英国で開発された抗菌性の強い強塩基性物質である。グルコン酸クロルヘキシジンは、比較的低濃度では細菌の細胞膜に障害を与え、細胞質成分の不可逆的漏出や酵素阻害を起こし、比較的高濃度では細胞内の蛋白質や核酸の沈着を起こすことにより、抗菌作用(殺菌消毒作用)を示す。現在では、グルコン酸クロルヘキシジンは多くの手指衛生製品に含まれており、手指・皮膚の消毒、手術部位の皮膚消毒、医療用具の消毒等、用途に応じて水溶液又はエタノール溶液で使用されている(「第十四改正日本薬局方解説書」日本薬局方解説書編集委員会編、東京、広川書店、2001年、p.1225−1229参照)。
また、2002年に米国疫病管理予防センター(CDC)から発表された「医療施設における手指衛生のためのガイドライン(CDCガイドライン)」においては、グルコン酸クロルヘキシジンは、特に擦り込み直後に、皮膚上の細菌数をより有効に減少させ、活性が高い手指消毒剤として報告されている(Centers for Disease Control and Prevention.,Guideline for Hand Hygiene in Health−Care Settings:Morbidity and Mortality Weekly Report,2002,51(No.RR−16)参照)。
近年手術法の改善等により、従来手術困難な患者に対しても手術が可能となったことに伴い、長時間を要する手術が増加している。このように手術が長時間にわたると、手術者等のゴム手袋に生じるピンホール等の破損部から患者術野へ細菌が流出し、細菌汚染を起こす恐れが問題となってきた。このような状況下、米国では、医療従事者用の消毒剤を用いた手洗い製品は、米国食品医薬品衛生局(FDA)の大衆医薬品部門で規制され、医療従事者向けの手洗い製品及び手術時手指消毒剤におけるin vitro試験及びin vivo試験に関する要件が、FDAの「医療用手指消毒剤製品暫定的最終基準」に概説されている。その中で、手術時手指消毒剤は、損傷のない皮膚上の微生物を大きく減少させ、刺激性の低い抗菌薬を含有し、広域スペクトラムの作用を有し、速効性及び持続性があるべきであるとされている(Food and Drug Administration,Tentative Final Monograph for Health−Care Antiseptic Drug Products;Proposed Rules:Federal Register,1994;59:p31401−52.参照)。また、CDCガイドラインでは、手術時手指消毒剤の効果は、(1)手指消毒のすぐ後(即時効果)、(2)手術用手袋を6時間着用した後(持続効果)、(3)5日間にわたり複数回擦り込みした後(累積効果)の手指からの細菌放出を減少させる力に基づいて評価され、特に即時効果と持続効果が、製品の効能を判定する上で最も重要であるとされている。さらに、CDCガイドラインには、0.5%あるいは1.0%のグルコン酸クロルヘキシジンをアルコールベースの製剤に添加すると、アルコール単独の場合よりも優れた殺菌効果が得られることが報告されている(Centers for Disease Control and Prevention.,Guideline for Hand Hygiene in Health−Care Settings:Morbidity and Mortality Weekly Report,2002;51(No.RR−16)参照)。
グルコン酸クロルヘキシジンとアルコールを配合した消毒剤としては、特許第3515821号公報が、濃度50重量%以上のエチルアルコール、グルコン酸クロルヘキシジン、及び有機酸を含み、pHが3〜4.5である消毒用組成物を教えている。また、特許第3592080号公報が、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールより選ばれる1種以上のアルコール類、グルコン酸クロルヘキシジン、及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む粘稠な速乾性殺菌消毒剤であって、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース含量が消毒剤の全重量に対して0.1〜20重量%である消毒剤を開示している。しかし、いずれも殺菌効果の持続性が実用上十分ではない。
本発明は、クロルヘキシジン又はその塩とアルコールとを含み、殺菌効果の持続性が良い殺菌消毒用ゲル組成物に関する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、 クロルヘキシジン又は/及びその塩を0.2〜0.55w/v%程度、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%程度、増粘剤及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPs(ミリパスカルセコンド)程度であり、かつ手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物により、上記課題が解決されることを見いだした。
また、クロルヘキシジン又は/及びその塩を0.2〜0.55W/V%程度、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%程度、増粘剤を0.05〜10w/v%程度、及び湿潤剤を0.15〜50w/v%程度含有するゲル組成物も手指消毒評価法で是認される殺菌効果が長時間持続することを見出した。
本発明は上記知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、
項1. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続することを特徴とする殺菌消毒用ゲル組成物。
項2. 手指消毒評価法が、グローブジュース法、パームスタンプ法、又はフィンガー・ストリーク法である項1に記載の組成物。
項3. 増粘剤が、セルロース誘導体、及びセルロース誘導体の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の組成物。
項4. 増粘剤の含有量が0.05〜10w/v%である項1に記載の組成物。
項5. 湿潤剤が少なくとも1種の多価アルコールである項1に記載の組成物。
項6. 湿潤剤の含有量が0.15〜50w/v%である項1に記載の組成物。
項7. 増粘剤と湿潤剤との含有比率が、増粘剤1質量部に対して湿潤剤3〜100質量部である項1に記載の組成物。
項8. さらに保湿剤を含有する項1に記載の組成物。
項9. 保湿剤がシリコーンオイル及び脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8に記載の組成物。
項10. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物の塗布により人の手指又は皮膚を消毒する殺菌消毒方法。
項11. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物の、殺菌消毒剤としての使用。
項12. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する殺菌消毒用ゲル組成物。
項13. 粘度が10〜1000mPsである項12に記載の組成物。
項14. 増粘剤が、セルロース誘導体、及びセルロース誘導体の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である項12に記載の組成物。
項15. 湿潤剤が少なくとも1種の多価アルコールである項12に記載の組成物。
項16. 増粘剤と湿潤剤との含有比率が、増粘剤1質量部に対して湿潤剤3〜100質量部である項12に記載の組成物。
項17. さらに保湿剤を含有する項12に記載の組成物。
項18. 保湿剤がシリコーンオイル及び脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項17に記載の組成物。
項19. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する組成物の塗布により人の手指または皮膚を消毒する殺菌消毒方法。
項20. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する組成物の、殺菌消毒剤としての使用。
を提供する。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、クロルヘキシジン又は/及びその塩とアルコールとを含有する従来の殺菌消毒剤と同等の即時的殺菌力を有し、かつその殺菌効果が長時間にわたり持続する。本発明の組成物は、手指消毒評価法で是認される殺菌効果が消毒後少なくとも6時間持続する。このため、長時間の手術により例えば術者等のゴム手袋にピンホール等の破損が生じた場合に、破損部から患者術野への細菌流出を抑制できる。
また、本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、保湿性を有するため、医療従事者が頻繁に殺菌剤を使用することによる手荒れを防止することができる。さらに本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、適度な粘性があり、適度なうるおい感、しっとり感を有し、ヨレの発生を抑えることができるため、医療現場において使用しやすく、また液だれ等を防止することができ、消毒作業に支障をきたすことがない。
図1は、グローブジュース法に基づく、製剤例1、0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション、0.5w/v%クロルヘキシジンアルコールローション、及び1.0w/v%クロルヘキシジンアルコール性乳液の消毒直後から消毒後6時間までのRF値の経時的変化を示す図である。 図2は、パーム・スタンプ法に基づく、製剤例1、及び0.2W/V%クロルヘキシジンアルコールローションの消毒後の菌数減少率の経時的変化を示す図である。図中、■は、0.2W/V%クロルヘキシジンアルコールローションを示し、□は、製剤例1を示す。 図3は、フィンガー・ストリーク法に基づく、製剤例1、Avagard、及びヘキザックハンドゲルの消毒6時間後の菌数減少率を示す図である。
(I)第1の殺菌消毒用ゲル組成物
本発明の第1の殺菌消毒用ゲル組成物は、クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%程度、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%程度、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPs程度であり、かつ手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物である。
クロルヘキシジン及びその塩
本発明に使用されるクロルヘキシジンは、1954年に英国で開発された化学名が1,1−ヘキサメチレンビス[5−(4−クロロフェニル)ビグアニド]である公知の化合物で、抗微生物スペクトルの広い化合物、すなわち広範囲の微生物に対して殺菌消毒作用を示す化合物である。クロルヘキシジンの塩としては、無機酸塩又は有機酸塩が挙げられ、具体的には例えば塩酸塩、グルコン酸塩又は酢酸塩等が好ましく挙げられ、とりわけグルコン酸塩(グルコン酸クロルヘキシジン)が好ましい。グルコン酸及びその塩は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物におけるクロルヘキシジン又は/及びその塩の濃度は、組成物の全体に対して、約0.2〜0.55w/v%であり、好ましくは約0.2〜0.5w/v%、より好ましくは約0.4〜0.5w/v%である。クロルヘキシジン又は/及びその塩の濃度を前記範囲にすることにより、手指消毒評価法で是認される殺菌効果を長時間、例えば少なくとも6時間持続できる。また、皮膚等に対する刺激等も抑制できる。
低級炭化水素アルコール
炭素数2〜3の炭化水素アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ、好ましくは、エタノール又はイソプロパノールである。炭素数2〜3の炭化水素アルコールは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記アルコールには、メタノール変性アルコール等を混合してもよい。クロルヘキシジン又は/及びその塩とアルコールとを含むことにより、本発明の殺菌消毒用ゲル組成物の抗微生物スペクトルを広げることができる。ゲル組成物中のアルコールの濃度は、抗微生物効果(殺菌効果)を発揮する濃度となる観点から、組成物の全体に対して、約50〜99v/v%であり、好ましくは約60〜90v/v%、より好ましくは約76〜82v/v%である。
増粘剤
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物に用いられる増粘剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋分岐型ポリアクリル酸、架橋分岐型ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸アンモニウムのようなポリアクリル酸又はその塩;アクリル酸−澱粉グラフト共重合体架橋物、N−ビニルアセトアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体のようなアクリル酸又はその塩を構成成分のひとつとする共重合体;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース 、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体又はその塩(以下、セルロース系増粘剤ということもある。);ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキサイド;メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体;ポリアクリルアミド;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸プロピレングリコールエステル;ゼラチン;アラビアゴム;トラガントゴム;ローカストビーンガム;グアガム;タマリンドガム;キサンタンガム;ジェランガム;カラギーナン;寒天等が挙げられる。塩は、非毒性の塩であり、例えばナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。増粘剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中でも、セルロース誘導体またはその塩が好ましく、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましく、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースがさらにより好ましい。疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水酸基が、長鎖(炭素数約6〜26)アルキル基を有する変性剤で置換されたものが好ましい(特開平3−151330号公報、又は特許第3592080号公報を参照)。具体的には、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースの水酸基にステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基等が導入された疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。市販されている疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、例えば日新化成株式会社のサンジェロース60L、60M、60H、90L、90M又は90H等が挙げられ、いずれも好ましく使用し得る。
ゲル組成物中の増粘剤の濃度は、組成物の全体に対して、約0.05〜10w/v%が好ましく、約0.1〜5w/v%がより好ましく、約0.2〜1w/v%がさらにより好ましい。増粘剤濃度が上記範囲であることにより、十分な粘度が得られるとともに、ヨレが生じることがない。
湿潤剤
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物に用いられる湿潤剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム又は多価アルコール等が挙げられるが、多価アルコールが好ましい。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン(日本薬局方に規定される濃グリセリンを含む)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタントリオール又はヘキサントリオール等が挙げられ、とりわけプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール又はグリセリン等が好ましい。湿潤剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ゲル組成物中の湿潤剤の濃度は、組成物の全体に対して、約0.15〜50w/v%が好ましく、約0.3〜20w/v%がより好ましく、約1.0〜10w/v%がさらにより好ましい。湿潤剤濃度が上記範囲であることにより、本発明の殺菌消毒用ゲル組成物による手荒れ、肌荒れ、不快なツッパリ感を抑制することができる。また、湿潤剤濃度が上記範囲であることにより、使用後の乾燥が早く、不快なベタツキ感を生じないものとなる。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物に含有される増粘剤と湿潤剤との割合は、例えば増粘剤1質量部に対して湿潤剤が約3〜100質量部とすればよく、好ましくは約3〜30質量部、より好ましくは約5〜15質量部である。上記範囲であれば、十分な粘度が得られるとともに、ヨレが生じることがない。また上記範囲であることにより、使用後のしっとり感があり、手荒れが防止できる
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、さらに保湿剤を含むことが好ましい。保湿剤は、殺菌消毒剤に一般的に使用されるものであればよく、例えばシリコーンオイル、脂肪酸エステル、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム又は尿素等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はメチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソブチル又はマレイン酸イソブチル等が挙げられる。保湿剤は、シリコールオイル、及び/又は脂肪酸エステルが好ましい。保湿剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
保湿剤の濃度は、組成物の全量に対して、約0.1〜10w/v%が好ましく、約0.2〜5w/v%がより好ましい。保湿剤の含有量が上記範囲であることにより、湿潤剤と同様に本発明の殺菌消毒用ゲル組成物による手荒れや肌荒れを抑制することができる。また、シリコーンオイルは、保湿剤としての効果に加え、例えば手術用手袋の脱着を容易にし得る効果も併せ持つ。
その他の成分
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物には、他の殺菌消毒剤を配合することもできる。他の殺菌消毒剤としては、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、セチルリン酸化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルロザニリン、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ポビドンヨード等のヨードホール、ヨードホルム、マーキュロクロム、アルキルポリアミノエチルグリシン、チメロサール、プロノポール、レゾルシン、ヒノキチオール、トリクロサン又はフェノール及びその誘導体等が挙げられる。これらの他の殺菌消毒剤は1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、必要に応じてグリチルリチン酸若しくはその誘導体、ビタミンE、ビタミンEアセテート若しくはビタミンB6等の薬剤、ノニオン界面活性剤、アミノ酸及びその誘導体、アジピン酸ジイソブチル又はアラントイン等を含むことができる。これらの成分は1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
組成物の粘度
本発明の第1の組成物の粘度は約10〜1000mPaであり、約10〜200mPsが好ましく、約20〜60mPsがより好ましい。本発明の殺菌消毒用ゲル組成物の粘度は、円錐平板型回転粘度計を用いて20℃、100rpm、ずり速度383sec-1の条件で測定した値である。
本発明の第1の組成物の粘度が上記範囲であることにより、殺菌消毒効果の持続あるいは延長を図ることができるとともに、使用時の液だれを抑制できる。
殺菌効果の持続性
本発明の第1の殺菌消毒用ゲル組成物は、CDCの感染対策ガイドラインによる手術時手指消毒剤の効果、特に(1)手指消毒のすぐ後の手指からの細菌放出を減少させる即時効果、及び(2)手術用手袋を6時間着用した後の手指からの細菌放出を減少させる持続効果を有する。具体的には、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する。
手指消毒評価法としては、グローブジュース法、パーム・スタンプ法又はフィンガー・ストリーク法等が挙げられる。本発明の第1の組成物としては、これらのいずれかの評価法で是認される殺菌効果が6時間以上持続するものが好ましい。中でも、グローブジュース法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続するものが好ましい。
<グローブジュース法>
グローブジュース法(glove juice test)は、医療従事者向けの手洗い製品と手術時手指消毒剤(Surgical hand Scrub)の有効試験法としてFDAにより勧奨されている試験方法である。グローブジュース法は、Federal Register、39、(179):33137(1974年)、Federal Register、43、(4):1242(1978年)及びFederal Register、59、(116):31444(1994年)のOTC(Over−the−Counter)局所殺菌剤のFDA案、あるいは「外科診療」昭和57年、4月号、513−518頁等に記載されている。その内容は大きく分けてベースライン値の測定と本試験(手洗い消毒効果試験)よりなっている。
ベースライン値の測定は、まず被験者を選択し、石鹸を用いて手洗いした後に滅菌ゴム手袋をはめ、サンプリング液(リン酸水素カリウム0.4g、リン酸水素2ナトリウム10.1g及びTritonX−100 1gを蒸留水1.0Lに溶解して作成した溶液。pH7.8)を50mL手袋内に入れて手袋の上から1分間マッサージを行い、サンプリング液を一定量(1mL)抜き取る。抜き取ったサンプリング液を希釈して培養して、コロニー数を算定し、サンプリング液50mLあたりの菌数に換算する。希釈について述べれば、抜き取ったサンプリング液を等量の中和剤(例えばTween80 10g及びレシチン3gを、蒸留水100mLに溶解して作成した溶液)入りの滅菌スピッツに採取し、よく混合した後、該混合液(以下、原液という。)を、希釈液を用いて菌数を数えられる濃度、例えば10倍、100倍及び1000倍に希釈するのが好ましい。希釈液としては、例えばリン酸水素カリウム26.22g及び炭酸ナトリウム7.78gを、蒸留水1000mLに溶解して作成した溶液等を使用する。培養については、原液及び希釈液を、寒天培地[例えばTSA(Trypticase Soy Agar)プレート]に例えばコンラージ棒等で塗布し、例えば30℃で24時間の培養を行う。培養後に寒天培地に増殖したコロニー数を算定し、サンプリング液50mLあたりの菌数に換算する。測定は例えば2回行い平均値を求める。該平均値をもって各被験者のベースライン値(消毒前菌数)とする。
本試験は、消毒直後の殺菌効果、任意時間経過後の殺菌効果を試験する方法である。具体的には、本発明の殺菌消毒用ゲル組成物による手術手洗いを行った後、滅菌ゴム手袋をはめる。手袋をはめた直後にベースライン値測定に用いたものと同じサンプリング液50mLを、片方の手袋内に加える。ベースライン値測定と同様に手袋の上からマーサージを1分間行い、サンプリング液を一定量(1mL)抜き取る(以下、この操作をサンプリングという)。抜き取ったサンプリング液を上記ベースライン値と同様に希釈及び培養を行い、菌数を算定し、サンプリング液50mLあたりの菌数を算出して片方の手の総菌数を算定する。もう片方の手のサンプリングは、手袋装着6時間後に行う以外は、前記と同様にサンプリングし、抜き取ったサンプリング液の希釈及び培養、並びに総菌数の算定を行う。
消毒の効果(消毒評価)は、通常、消毒前と消毒後の菌数の減少率を求めて殺菌効果を比較すること等により行う。前記比較は、例えば菌数の指数減少率(RF値)等により実施する。RF値は、以下の式により算定される値である。
Figure 2007061028
上記検査方法において、RF値が1.2以上の場合に、本発明における殺菌効果が是認される。好ましいRF値は1.5以上である。
<パーム・スタンプ法>
パーム・スタンプ法は、上記グローブジュース法におけるサンプリングの代わりに、殺菌消毒剤による両手消毒直後に手形培地(例えばSCD培地、手掌用SCDLP培地等)に片方の手掌全体を押しつけて、菌を採取し、また消毒6時間経過後にもう片方の手掌全体を手形培地に押しつけて、菌を採取し、菌を採取した手形培地を約35℃で、約18時間培養し、培養後の菌数を測定する消毒評価法である。消毒前の手掌の菌数も前記と同様に測定し、ベースラインとする。
消毒評価は、指数減少率の他に、例えば消毒前菌数に対する消毒後の菌数の減少率等で行うこともできる。菌数の減少率を、下記式
Figure 2007061028
によって求めて、減少率が80%以上の場合に殺菌効果が是認される。
<フィンガー・ストリーク法>
フィンガー・ストリーク法は、上記グローブジュース法におけるサンプリングの代わりに、殺菌消毒剤による両手消毒直後に生菌数測定用寒天培地(例えば、SCDLP培地等)上に片方の手の拇指及び小指を除いた3本の指先をのせて、手前に移動させて培地の表面をこすり、3本の平行な筋をつけて菌を採取し、また消毒6時間経過後にもう片方の手の拇指及び小指を除いた3本の指先をのせて、手前に移動させて培地の表面をこすり3本の平行な筋をつけて菌を採取し、菌を採取した培地を約35℃で、約18時間培養し、培養後の菌数を測定する消毒評価法である。消毒前の拇指及び小指を除いた3本の指先の菌数も前記と同様に測定し、ベースラインとする。
消毒評価は、指数減少率の他に、例えば消毒前菌数に対する消毒後の菌数の減少率等で行うこともできる。菌数の減少率を、下記式
Figure 2007061028
によって求めて、減少率が80%以上の場合に殺菌効果が是認される。
(II)第2の殺菌消毒用ゲル組成物
本発明の第2の殺菌消毒用ゲル組成物は、クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する組成物である。
第2の組成物の粘度は約10〜1000mPaが好ましく、約10〜200mPsがより好ましく、約20〜60mPsがさらにより好ましい。粘度は、円錐平板型回転粘度計を用いて20℃、100rpm、ずり速度383sec-1の条件で測定した値である。粘度が上記範囲であれば、殺菌消毒効果の持続あるいは延長を図ることができるとともに、使用時の液だれを抑制できる。
クロルヘキシジン及びその塩の種類及び濃度、炭素数2〜3の炭化水素アルコールの種類及び濃度、増粘剤の種類及び好ましい濃度、湿潤剤の種類及び好ましい濃度、増粘剤と湿潤剤との使用量の比率、その他の成分、数値限定の理由等は、本発明の第1の殺菌消毒用組成物について説明した通りである。
本発明の第2の組成物は上記組成を有することにより、殺菌効果の持続性に優れる。
組成物の調製方法
本発明の第1及び第2の殺菌消毒用ゲル組成物は、上記の各成分を混合してゲル組成物を得ることにより製造できる。例えば炭素数2〜3の炭化水素アルコールに、クロルヘキシジン又は/及びその塩、増粘剤、及び湿潤剤を例えば撹拌等の公知の手段により混和し、溶解し、必要に応じて保湿剤などのその他の成分を添加して、溶解することにより製造することができる。
(II)消毒方法
本発明の消毒方法は、上記説明した本発明の第1又は第2の組成物を人の手指、又は皮膚に塗布することにより消毒する方法である。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、消毒剤として手指、皮膚等の消毒に好ましく用いることができる他、機械、器具あるいは環境の消毒にも使用し得る。消毒は、いずれの消毒方法も使用できる。通常は、本発明の組成物を手指や皮膚に塗布することにより消毒を行える。塗布による消毒方法としては、例えばスワブ法(清拭法)又はラビング法(擦式法)等が挙げられる。スワブ法による消毒は、ガーゼ又は綿棒等に本発明の組成物を含ませ、ゲル組成物が染み込んだガーゼ又は綿棒等で皮膚面をふき取る等して実施できる。ラビング法による消毒は、本発明の組成物を手掌にとり、乾燥するまで皮膚に擦り込むことにより実施できる。消毒方法は、2種以上を組合せてもよい。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は適量が使用される。具体的な使用量は、消毒部位、消毒面積等により異なり特に限定されないが、通常3〜10mL程度である。手指を消毒する場合は、中でも、8〜10mL程度が好ましい。本発明の殺菌消毒用ゲル組成物の殺菌効果は通常6時間以上維持され得るが、6時間以上の長時間にわたり殺菌効果を維持したい場合には、6時間おきに本発明の殺菌消毒用ゲル組成物を約3〜10mLずつ使用することが好ましい。
(III)使用
本発明の使用は、上記説明した本発明の第1又は第2の組成物の殺菌消毒剤としての使用である。
以下、本発明を実施例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔製剤例1〕
後掲の表1の各成分を表1の配合比率で混合し、pH調整剤でpHを6に調整した後、精製水で全量を100mLとし、0.5w/v%グルコン酸クロルヘキシジン含有殺菌消毒用ゲル組成物(以下、製剤例1と略記する。)を製造した。得られた製剤例1の粘度は30mPs(円錐平板型回転粘度計(トキメック、TVE−20H)にて20℃、100rpm、ずり速度383sec-1で3回測定した平均値)であった。
Figure 2007061028
〔試験例1〕グローブジュース法による殺菌効果の評価
被験製剤は以下の通りである。
製剤例1:上記の表1に記載
比較例1:0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション[ウエルアップ(丸石製薬株式会社製);100mL中、グルコン酸クロルヘキシジン0.2g(0.2w/v%)を含有する。]
比較例2:0.5w/v%クロルヘキシジンアルコールローション[マスキン・エタノール(丸石製薬株式会社製);100mL中、グルコン酸クロルヘキシジン0.5g(0.5w/v%)を含有する]
比較例3:1.0w/v%クロルヘキシジンアルコール性乳液[Avagard(3M社製);100g中、グルコン酸クロルヘキシジン1g(1w/w%)を含有する]
試験は以下の手順に従い、消毒前菌数(ベースライン値)、消毒直後菌数及び消毒6時間後菌数を測定することにより行った。
(1)消毒前の手指菌数測定(ベースライン測定)
被験者の両手を石鹸で手洗いした後、滅菌タオルにて水分を拭き取り、両手に滅菌ゴム手袋(パウダーフリー)を着用させた。次に、右手袋にサンプリング液50mL(リン酸水素2ナトリウム10.1g、リン酸水素カリウム0.4g及びTritonX−100 1gを、蒸留水1000mLに溶解して作成した溶液)を注入し、手袋全面に液がなじむようにした後に、液が流出しないように左手で右手首を手袋の上から押さえて、介助者に手指を1分間マッサージさせた。次に、サンプリング液を指先に溜めるようにしてゴム手袋をはずし、よく混合した後、手袋中のサンプリング液1mLを滅菌スピッツに採取した。左手についても同様の操作を行った。滅菌スピッツに採取したサンプリング液を、希釈液(リン酸水素カリウム26.22g及び炭酸ナトリウム7.78gを、蒸留水1000mLに溶解して作成した溶液)を用いて10倍及び100倍に希釈し、原液、10倍希釈液及び100倍希釈液のそれぞれ0.1mLずつを、Trypticase soy agar (TSA)プレート2枚にコンラージ棒で塗布した。各プレートについて、30℃で24時間の培養を行い、コロニー数を算定し、サンプリング液50mLあたりの菌数に換算した。各被験者における左右の手指の消毒前菌数は、2回のベースライン測定における菌数の平均値とした。
(2)消毒後の手指菌数測定
製剤例1、0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション、0.5W/V%クロルヘキシジンアルコールローション又は1.0w/v%クロルヘキシジンアルコール性乳液の3mLを、それぞれ被験者の両手に3回擦り込んで手指消毒を行った後、被験者の両手に滅菌ゴム手袋(パウダーフリー)を着用させた。次に、右手袋に上記(1)で使用したサンプリング液50mLを注入し、上記ベースライン測定と同様の操作を行った。その後、手袋中のサンプリング液1mLを、等量の中和剤(Tween80 10g及びレシチン3gを、蒸留水100mLに溶解した溶液)入りの滅菌スピッツに採取し、よく混合した。左手については手袋を着用したまま6時間放置した後に、右手と同様の操作を実施した。滅菌スピッツに採取したサンプリング液は、希釈液を用いて10倍及び100倍に希釈し、原液、10倍希釈液及び100倍希釈液のそれぞれ0.1mLずつを、TSAプレート2枚にコンラージ棒で塗布した。各プレートについて、30℃で24時間の培養を行い、コロニー数を算定し、サンプリング液50mLあたりの菌数に換算した。
製剤例1、0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション、0.5w/v%クロルヘキシジンアルコールローション及び1.0w/v%クロルヘキシジンアルコール性乳液についての殺菌効果の評価は、測定結果に基づき、消毒前菌数に対する消毒直後菌数又は消毒6時間後菌数(下記式)により指数減少値(RF値)を算出することにより行った。
Figure 2007061028
また、手指消毒6時間後におけるRF値を用いて、製剤例1と他の被験製剤のt検定(Student’s t検定)による消毒剤間差の検定を行った。各消毒剤による消毒直後の殺菌効果(RF値;表2)及び消毒6時間後の殺菌効果(RF値;表3)を示す。また、各消毒剤使用時におけるRF値の経時変化を図1に示す。
消毒直後のRF値
Figure 2007061028
(表中、N.S.は有意差がないことを示す。)
製剤例1及び0.5w/v%クロルヘキシジンアルコールローションの2群間で、消毒直後のRF値についての有意差は認められなかった。
消毒6時間後のRF値
Figure 2007061028
製剤例1のRF値は、消毒から6時間後であってもRF値は約1.6で十分な殺菌効果を持続していることが認められた。一方、増粘剤及び湿潤剤を含まない0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション、0.5w/v%クロルヘキシジンアルコールローション及び1.0w/v%クロルヘキシジンアルコール性乳液では、いずれもRF値が1.2以下に低下し、殺菌効力が消毒直後より大きく低下していることが分かった。
〔試験例2〕パーム・スタンプ法による殺菌効果の評価
パーム・スタンプ法に基づき、製剤例1の殺菌効果を0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローション(比較例2)の殺菌効果と比較することにより評価した。殺菌効果を評価するための準備操作及び種々の条件は、上記グローブジュース法で行ったのと同様にした。なお、菌の採取は、手掌全体を手形培地(ハンドぺたんチェック(登録商標)栄研器材社製)に押しつけることにより行った。手掌を押し付けた後の手形培地は、35℃にて18時間培養した。培養後にコロニーを計数した。消毒前の菌数を計数し、その平均値をベースラインとした。評価は、消毒前の手掌の菌数(ベースライン)、消毒直後、消毒3時間後及び消毒6時間後における手掌の菌数を計測し、ベースラインに対する消毒後の菌数の減少率を算出した。その結果を図2に示す。
図2に示されるように、0.2w/v%クロルヘキシジンアルコールローションでは、消毒後3時間までは殺菌効果を持続したものの、消毒6時間後では菌の減少率は低下し、手掌における菌の増殖が認められた。一方、製剤例1は、消毒6時間後においても菌の増殖は認められず、殺菌効果の持続が認められた。
〔試験例3〕フィンガー・ストリーク法による殺菌効果の評価
フィンガー・ストリーク法に基づき、製剤例1の殺菌効果を、Avagard(3M社製;1.0w/v%グルコン酸クロルヘキシジン配合)及びヘキザックハンドゲル(吉田製薬株式会社製;0.2w/v%グルコン酸クロルヘキシジン配合)の殺菌効果と比較することにより評価した。殺菌効果を測定するための準備操作及び種々の条件は、上記グローブジュース法で行ったのと同様にした。菌の採取は拇指及び小指を除いた3本の指先をSCDLP培地(日本製薬社製)にのせて、手前に移動させて培地の表面をこすり3本の平行な筋をつけることにより行った。評価は、消毒前の菌数(ベースライン)及び消毒6時間後における菌数を計測し、ベースラインに対する消毒後の菌数減少率を算出した。結果を図3に示す。
図3に示されるように、製剤例1は、グルコン酸クロルヘキシジンの含有量がAvagardの1/2であるにもかかわらず、製剤例1の殺菌効果は、消毒6時間後においても、Avagardと同等であった。また製剤例1の殺菌効果は、ヘキザックハンドゲルよりも優れていることが認められた。
本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、抗微生物スペクトルが広いので、手指、皮膚、器具又は機械等の消毒剤として有用である。特に、本発明の殺菌消毒用ゲル組成物は、手指消毒評価法による殺菌判定において少なくとも6時間殺菌効果を持続するので、長時間の手術における術者の手指消毒用の消毒剤として特に好適に使用できる。

Claims (20)

  1. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続することを特徴とする殺菌消毒用ゲル組成物。
  2. 手指消毒評価法が、グローブジュース法、パームスタンプ法、又はフィンガー・ストリーク法である請求項1に記載の組成物。
  3. 増粘剤が、セルロース誘導体、及びセルロース誘導体の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
  4. 増粘剤の含有量が0.05〜10w/v%である請求項1に記載の組成物。
  5. 湿潤剤が少なくとも1種の多価アルコールである請求項1に記載の組成物。
  6. 湿潤剤の含有量が0.15〜50w/v%である請求項1に記載の組成物。
  7. 増粘剤と湿潤剤との含有比率が、増粘剤1質量部に対して湿潤剤3〜100質量部である請求項1に記載の組成物。
  8. さらに保湿剤を含有する請求項1に記載の組成物。
  9. 保湿剤がシリコーンオイル及び脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の組成物。
  10. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物の塗布により人の手指又は皮膚を消毒する殺菌消毒方法。
  11. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤、及び湿潤剤を含有し、粘度が10〜1000mPsであり、かつ、手指消毒評価法による検査方法で是認される殺菌効果が少なくとも6時間持続する組成物の、殺菌消毒剤としての使用。
  12. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する殺菌消毒用ゲル組成物。
  13. 粘度が10〜1000mPsである請求項12に記載の組成物。
  14. 増粘剤が、セルロース誘導体、及びセルロース誘導体の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項12に記載の組成物。
  15. 湿潤剤が少なくとも1種の多価アルコールである請求項12に記載の組成物。
  16. 増粘剤と湿潤剤との含有比率が、増粘剤1質量部に対して湿潤剤3〜100質量部である請求項12に記載の組成物。
  17. さらに保湿剤を含有する請求項12に記載の組成物。
  18. 保湿剤がシリコーンオイル及び脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項17に記載の組成物。
  19. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する組成物の塗布により人の手指または皮膚を消毒する殺菌消毒方法。
  20. クロルヘキシジン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.2〜0.55w/v%、炭素数2〜3の炭化水素アルコールを50〜99v/v%、増粘剤を0.05〜10w/v%、及び湿潤剤を0.15〜10w/v%含有する組成物の、殺菌消毒剤としての使用。
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