JPWO2007058326A1 - 特定の塩基配列の標的核酸類を検出する方法、及び検出のための核酸類セット - Google Patents
特定の塩基配列の標的核酸類を検出する方法、及び検出のための核酸類セット Download PDFInfo
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Abstract
Description
最初に、調査したい細胞等から核酸類を抽出して試料混合物溶液を得る。必要があれば、適当な制限酵素で切断した後、電気泳動を行い、得られたゲルからメンブレンへブロッティングを行う。次に、検出の目的とする特定の塩基配列を有する核酸類に対して、特定の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸プローブを用意する。そして、これとプロットされた核酸類とをハイブリッド形成させる。この核酸プローブは、検出可能となるようにあらかじめ標識をしておく。例えばラジオアイソトープにより標識をしておく。これによって核酸プローブとハイブリッド形成した核酸類のバンドを、オートラジオグラフィーにより検出し、標的とする特定の塩基配列を有する核酸類の存在を確認する。この方法は、RNAについてはノザンブロッティング、DNAについてはサザンブロッテイングと呼ばれ、種々の変形をなされつつ、今なお使用されている(例えば、「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、494〜500頁に記載されている)。
また、特に最近の遺伝子診断技術においては、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)が、特定の塩基配列の核酸類の検出に使用されている。DNAチップの基板上には、多数の区画のそれぞれに種々の塩基配列のDNAプローブが固定化され、アレイ状に配置されている。そして、被験者由来のDNAの混合物をあらかじめ標識して、例えば蛍光色素による標識をして用意する。この被験者由来のDNA混合物をDNAチップに滴下して、ハイブリッド形成させる。被験者由来のDNA混合物中のうち、DNAプローブと相補性のある塩基配列を含むDNAは、ハイブリッド形成によりDNAチップの基板上に固定される。この固定された被験者由来のDNAを例えば先の蛍光色素による標識で検出する。この方法では、DNAの調整やRNAの使用、あるいはハイブリッド形成を競合的に行うことで正規化をするなどの種々の変形が行われている(例えば、「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、533〜535頁に記載されている)。
さらに、近年では、新規創薬や遺伝子診断のために、一塩基置換した塩基配列を有する核酸類を、検出することが求められている。特に、DNAの一塩基多型をタイピングする技術には、医療診断の分野での期待が大きい。このためには、一塩基の置換を検出するほどの特異性と、実用可能な感度(S/N比)とを両立させることが特に求められている。
式I
式II
R2及びR3の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R2及びR3の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式III
R5及びR6の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R5及びR6の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式IV
R8及びR9の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R8及びR9の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式V
R11及びR12の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を、5’末端又は3’末端に有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、ペプチド核酸が含まれる)からなる光連結性核酸類と、
光連結性核酸類と光連結可能な塩基部分として炭素−炭素二重結合を有する塩基を、3’末端又は5’末端に有する、被光連結性核酸類と、からなり、
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちのいずれか一方が、標識部分を有し、
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化されており、
光連結性核酸類と被光連結性核酸類とが、光連結されることによって、特定の塩基配列を有する標的核酸類の塩基配列と相補的な塩基配列の核酸類を生成可能であり、
光連結性核酸類と被光連結性核酸類とが光連結されることによって生成可能な核酸類は、相補的二重鎖の解離する洗浄条件で洗浄可能である、特定の塩基配列の標的核酸類を検出するための核酸類セットにある。
好ましい実施の態様において、塩基部分が式Iで表される基であり、式Iにおいて、ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基である。
好ましい実施の別な態様において、塩基部分が式IIで表される基であり、式IIにおいて、R2及びR3の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R2及びR3の残りの基が水素原子である。
好ましい実施の別な態様において、塩基部分が式IIIで表される基であり、式IIIにおいて、R5及びR6の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R5及びR6の残りの基が水素原子である。
好ましい実施の別な態様において、塩基部分が式IVで表される基であり、式IVにおいて、R8及びR9の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R8及びR9の残りの基が水素原子である。
好ましい実施の別な態様において、塩基部分が式Vで表される基であり、式Vにおいて、R11及びR12の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基が水素原子である。
標識部分の標識として、ビオチン標識、色素標識(蛍光色素標識を含む)、RI標識、酵素標識(発色酵素標識を含む)からなる群より選択された何れかの標識を有していることが好ましい。標識部分の標識として、ビオチン標識を有していることが特に好ましい。
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの、あらかじめ基材に固定化された一方の核酸類が、リンカー部分を介して基材に固定化されていることが好ましい。
リンカー部分が、ポリエチレングリコール又はアルカン類を含むことが好ましい。リンカー部分が、ポリエチレングリコールを含むことが特に好ましい。
基材が、ガラスプレート、CPG、ポリスチレンビーズからなる群より選択された何れかであることが好ましい。基材が、ガラスプレートであることが特に好ましい。
洗浄条件として、80〜100℃の範囲の洗浄温度で洗浄可能であることが好ましい。洗浄条件として、95〜100℃の範囲の洗浄温度で洗浄可能であることが特に好ましい。 洗浄条件として、変性剤を含む洗浄溶液で洗浄可能であることが好ましい。変性剤として、例えば、尿素を挙げることができる。
洗浄条件として、界面活性剤を含む洗浄溶液で洗浄可能であることが好ましい。界面活性剤として、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムを挙げることができる。
炭素−炭素二重結合を有する塩基が、シトシン、チミン又はウラシルであることが好ましい。
光連結性核酸類が、オリゴヌクレオチドであることが好適である。光連結性核酸類が、DNA又はRNAであることが好適である。光連結性核酸類が、ペプチド核酸であることが好適である。
被光連結性核酸類が、オリゴヌクレオチドであることが好適である。被光連結性核酸類が、DNA又はRNAであることが好適である。被光連結性核酸類が、ペプチド核酸であることが好適である。
光連結性核酸類と被光連結性核酸類が、同じ種類の核酸類であることが好適である。
標的核酸類が、オリゴヌクレオチドであることが好適である。標的核酸類が、DNA又はRNAであることが好適である。標的核酸類が、ペプチド核酸であることが好適である。
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの、標識部分を有する一方とともに使用される、DNAマイクロアレイ(基材上に固定化される分子として、DNA以外の核酸、及びペプチド核酸を含む)にもある。
特定の塩基配列を有する標的核酸類を鋳型とするハイブリッド形成によって、光連結可能に隣接された光連結性核酸類と被光連結性核酸類に、光照射して光連結させ、標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸類を、ハイブリッド形成した相補的二重鎖が解離する洗浄条件で洗浄することによって、光連結により基材に固定化されなかった、標識部分を有する核酸類を、除去する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸類を検出するために、標識部分を検出する工程と、
を含む、核酸類混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸類を検出(同定及び定量を含む)する方法にもある。
ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程が、20〜30℃の温度で行われることが好ましい。
ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程が、緩衝作用のある塩を含む反応溶液の中で行われることが好ましい。反応溶液のpHが6.5〜8.5の範囲にあることが好ましい。緩衝作用のある塩の濃度が、5〜250mMの範囲にあることが好ましい。緩衝作用のある塩が、カコジル酸塩であることが好ましい。
また、反応溶液が、水分散性有機溶媒を含むことが好ましい。反応溶液が、20〜60%(体積比)の水分散性有機溶媒を含んでいることが好ましい。水分散性有機溶媒が、アセトニトリルであることが好ましい。
また、反応溶液が、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を含み、該塩の濃度が、標的核酸類の濃度に対して最適化されていることが好ましい。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩として、例えば塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含むことが好ましい。
洗浄条件が、80〜100℃の範囲の洗浄温度での洗浄であることが好ましい。洗浄条件が、95〜100℃の範囲の洗浄温度での洗浄であることが特に好ましい。
洗浄条件が、変性剤を含む洗浄溶液での洗浄であることが好ましい。洗浄条件が、界面活性剤を含む洗浄溶液での洗浄であることが特に好ましい。
光照射が、330nm以上の波長の光の照射により行われることが好ましい。
標的核酸類が、オリゴヌクレオチドであることが好適である。また、標的核酸類が、DNAであることが好適である。また、標的核酸類が、RNAであることが好適である。また、標的核酸類が、ペプチド核酸であることが好適である。
また、上記方法において、標識部分の標識が蛍光色素標識であり、
標識部分の検出をする工程において、レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれることが好ましい。
さらに、上記方法において、標識部分の標識がビオチン標識であり、
標識部分の検出をする工程において、
蛍光色素標識されたアビジンによって、ビオチン−アビジン結合反応を行う工程と、
レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれることが好ましい。
また、本発明において、光連結は光反応であり、酵素反応のような微妙な条件設定を要しない。さらに生成される結合が安定な共有結合である。そのために、反応条件として、極めて広範な範囲の条件から、最適な条件を選択可能であるという実験操作の容易性と効率性を、本発明は実現している。
図1は、本発明の実施の一態様の流れを示した説明図である。
図1の(1−1)では、光連結性核酸類として、ODN2(CVU)が示されている。このODN2(CVU)は、光連結性のある式Iの塩基部分として、5−カルボキシビニル−2’−デオキシウリジン(CVUと表記する)を有するオリゴヌクレオチドである。このODN2(CVU)の一端は、−N=CH−を介して基材の表面上に固定化されている。また、図1の(1−1)では、被光連結性核酸類としてビオチン−ODN(T)が示されている。このビオチン(Biotin)−ODN(T)は、光連結性核酸類と光連結可能な塩基部分である炭素−炭素二重結合を有する塩基として、チミン(Tと表記する)を有するオリゴヌクレオチドである。このビオチン−ODN(T)はその一端に、標識部分としてビオチンを有している。このビオチンは図1のビオチン−ODN(T)の一端に丸として表されている。また、図1の(1−1)では、特定の塩基配列を有する標的核酸類として、標的(Target)RNA(A)が示されている。
後述するように、本発明者らの見いだした知見によれば、このように光連結するためには、塩基配列がほぼ完全に相補的にハイブリッド形成することが必要である。この光連結は、わずか一塩基の置換によって生じる不完全なハイブリッド形成によっても妨げられる。すなわち、本発明においては、この光連結による相補鎖の高い識別性が、本発明の高い特異性に寄与している。
図8では、既に、このODN P1とODN S35とが、標的となるオリゴヌクレオチド(Template ODN)を鋳型とするハイブリッド形成によって、光連結可能な状態に隣接して配置された状態である。この状態で光照射を行うことにより、光連結が生じる。
特に本発明においては、水分散性の有機溶媒、例えばアセトニトリルを使用することにより、極めて迅速にハイブリッド形成と光連結の工程を行うことができることを明らかにしている。また、緩衝液としてカコジル酸緩衝液を使用することで従来の10倍を越える蛍光強度を安定して得られることを明らかにしている。また、標的核酸類と塩濃度との間に最適条件の相関があり、それぞれ異なった極大値を有することも明らかにしている。すなわち、このように高い自由度で選択された反応条件を組み合わせることにより、従来から考えられるよりも極めて高い特異性と感度(S/N比)を実現していることも、本発明によりもたらされた貢献である。
好ましい実施の態様において、光連結性核酸類は、塩基部分として次の式I:
式I
で表される基を有している。アルコキシカルボニル基におけるアルキル基としては、炭素数1から10、好ましくは1から5の低級アルキル基が挙げられる。置換基X、Yは、両方が同時に同一または異なる電子吸引基であってもよく、また置換基X、Yの一方だけが電子吸引基であり、他方が水素原子であってもよい。式Iにおいて、ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基であることが好ましい。特に好ましい塩基部分として、5−ビニル−2’−デオキシウリジン、及び5−カルボキシビニル−2’−デオキシウリジンをあげることができる。特に5−カルボキシビニル−2’−デオキシウリジンが好ましい。
式II
R2及びR3の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R2及びR3の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を有している。
R2及びR3の少なくとも一方として、カルボキシル基は好ましく、カルボキシル基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、低級アルコキシカルボニル基は好ましく、低級アルコキシカルボニル基におけるアルキル部分としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは炭素数1の低級アルキルが挙げられる。すなわち、好ましい低級アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、及びブトキシカルボニル基等を挙げることができ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。低級アルコキシカルボニル基と水素原子の組み合わせ、特にメトキシカルボニル基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、低級アルケニル基は好ましく、低級アルケニル基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5、さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルケニル基と水素原子の組み合わせ、特にビニル基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、低級アルキニル基は好ましく、低級アルキニル基としては、炭素数2〜10,好ましくは炭素数2〜5,さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルキニル基と水素原子の組み合わせ、特にエチニル基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、置換アミドは好ましく、置換アミドとしては、1置換のN−置換アミドを挙げることができ、好ましい例として、N−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドを挙げることができる。このようなN−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドとしては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3,特に好ましくは炭素数3のものであり、N−アミノアルキルアミドが特に好ましい。置換アミドと水素原子の組み合わせ、特にN−アミノ(C1〜C3アルキル)アミドと水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、アミド基は好ましく、アミド基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、シアノ基は好ましく、シアノ基とシアノ基の組み合わせ、及びシアノ基と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
R2及びR3の少なくとも一方として、水素原子は好ましく、水素原子を少なくとも1個含む組み合わせ、及び水素原子と水素原子の組み合わせは、R2及びR3の組み合わせとして好ましい。
式III
R5及びR6の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R5及びR6の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を有している。
R4としては、水素原子は特に好ましい。
R4としては、低級アルキル基は好ましく、低級アルキル基としては、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3、さらに好ましくは炭素数1〜2、特に好ましくは炭素数1のものである。このような低級アルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等を挙げることができ、メチル基及びエチル基は好ましく、特にメチル基が好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、カルボキシル基は好ましく、カルボキシル基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、低級アルコキシカルボニル基は好ましく、低級アルコキシカルボニル基におけるアルキル部分としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは炭素数1の低級アルキルが挙げられる。すなわち、好ましい低級アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、及びブトキシカルボニル基等を挙げることができ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。低級アルコキシカルボニル基と水素原子の組み合わせ、特にメトキシカルボニル基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、低級アルケニル基は好ましく、低級アルケニル基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5、さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルケニル基と水素原子の組み合わせ、特にビニル基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、低級アルキニル基は好ましく、低級アルキニル基としては、炭素数2〜10,好ましくは炭素数2〜5,さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルキニル基と水素原子の組み合わせ、特にエチニル基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、置換アミドは好ましく、置換アミドとしては、1置換のN−置換アミドを挙げることができ、好ましい例として、N−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドを挙げることができる。このようなN−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドとしては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3,特に好ましくは炭素数3のものであり、N−アミノアルキルアミドが特に好ましい。置換アミドと水素原子の組み合わせ、特にN−アミノ(C1〜C3アルキル)アミドと水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、アミド基は好ましく、アミド基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、シアノ基は好ましく、シアノ基とシアノ基の組み合わせ、及びシアノ基と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
R5及びR6の少なくとも一方として、水素原子は好ましく、水素原子を少なくとも1個含む組み合わせ、及び水素原子と水素原子の組み合わせは、R5及びR6の組み合わせとして好ましい。
式IV
R8及びR9の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R8及びR9の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を有している。
R7としては、水素原子は特に好ましい。
R7としては、低級アルキル基は好ましく、低級アルキル基としては、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3、さらに好ましくは炭素数1〜2、特に好ましくは炭素数1のものである。このような低級アルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等を挙げることができ、メチル基及びエチル基は好ましく、特にメチル基が好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、カルボキシル基は好ましく、カルボキシル基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、低級アルコキシカルボニル基は好ましく、低級アルコキシカルボニル基におけるアルキル部分としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは炭素数1の低級アルキルが挙げられる。すなわち、好ましい低級アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、及びブトキシカルボニル基等を挙げることができ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。低級アルコキシカルボニル基と水素原子の組み合わせ、特にメトキシカルボニル基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、低級アルケニル基は好ましく、低級アルケニル基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5、さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルケニル基と水素原子の組み合わせ、特にビニル基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、低級アルキニル基は好ましく、低級アルキニル基としては、炭素数2〜10,好ましくは炭素数2〜5,さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルキニル基と水素原子の組み合わせ、特にエチニル基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、置換アミドは好ましく、置換アミドとしては、1置換のN−置換アミドを挙げることができ、好ましい例として、N−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドを挙げることができる。このようなN−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドとしては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3,特に好ましくは炭素数3のものであり、N−アミノアルキルアミドが特に好ましい。置換アミドと水素原子の組み合わせ、特にN−アミノ(C1〜C3アルキル)アミドと水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、アミド基は好ましく、アミド基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、シアノ基は好ましく、シアノ基とシアノ基の組み合わせ、及びシアノ基と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
R8及びR9の少なくとも一方として、水素原子は好ましく、水素原子を少なくとも1個含む組み合わせ、及び水素原子と水素原子の組み合わせは、R8及びR9の組み合わせとして好ましい。
式V
R11及びR12の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を有している。
R10としては、水素原子は特に好ましい。
R10としては、低級アルキル基は好ましく、低級アルキル基としては、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3、さらに好ましくは炭素数1〜2、特に好ましくは炭素数1のものである。このような低級アルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等を挙げることができ、メチル基及びエチル基は好ましく、特にメチル基が好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、カルボキシル基は好ましく、カルボキシル基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、低級アルコキシカルボニル基は好ましく、低級アルコキシカルボニル基におけるアルキル部分としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは炭素数1の低級アルキルが挙げられる。すなわち、好ましい低級アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、及びブトキシカルボニル基等を挙げることができ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基がさらに好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。低級アルコキシカルボニル基と水素原子の組み合わせ、特にメトキシカルボニル基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、低級アルケニル基は好ましく、低級アルケニル基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5、さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルケニル基と水素原子の組み合わせ、特にビニル基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、低級アルキニル基は好ましく、低級アルキニル基としては、炭素数2〜10,好ましくは炭素数2〜5,さらに好ましくは炭素数2〜3、特に好ましくは炭素数2の低級アルケニル基が挙げられる。低級アルキニル基と水素原子の組み合わせ、特にエチニル基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、置換アミドは好ましく、置換アミドとしては、1置換のN−置換アミドを挙げることができ、好ましい例として、N−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドを挙げることができる。このようなN−アルキルアミド、N−アミノアルキルアミドとしては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3,特に好ましくは炭素数3のものであり、N−アミノアルキルアミドが特に好ましい。置換アミドと水素原子の組み合わせ、特にN−アミノ(C1〜C3アルキル)アミドと水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、アミド基は好ましく、アミド基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、シアノ基は好ましく、シアノ基とシアノ基の組み合わせ、及びシアノ基と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
R11及びR12の少なくとも一方として、水素原子は好ましく、水素原子を少なくとも1個含む組み合わせ、及び水素原子と水素原子の組み合わせは、R11及びR12の組み合わせとして好ましい。
光連結性核酸類は、通常の核酸の製造方法に準じて製造することができる。例えば、5−置換ビニルウリジンのDMTr体にアミダイド化剤を作用させてアミダイド化し、次いで保護基を切断して、これを通常のDNA合成法によりオリゴヌクレオチドとすることができる。5−置換ビニルシトシン誘導体又は5−置換ビニルウラシル誘導体は、以下に示す具体例の方法によってもよいが、他の通常の有機合成法によっても製造することができる。
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化されている。
基材の材料としては、生化学分野の固相担体として使用されるような種々の材質の材料を使用することができる。例えば、ガラス、多孔質ガラスなどの無機物質類、ポリスチレン(PS)などの樹脂類、金などの金属類などが挙げられる。好ましいものとして、アデノシン残基を有する固相担体(オリゴアフィニティーサポート(OAS)など)、アルデヒド修飾ガラスなどが挙げられる。ガラスプレート、CPG、ポリスチレンビーズなどは好ましい。DNAチップの基材として使用される通常の材料は、好適に使用可能である。
本発明の実施を実施例によって以下に詳細に説明する。特に明示的な記載のない実験操作は、当業者の行う通常の条件下(例えば、大気圧下、室温)において行った。
[光連結性オリゴヌクレオチドの合成]
5−カルボキシビニル−2’−デオキシウリジン(CVU)を含むODN、ODN1(CVU)5’−d(CVUGCGTG)−3’を、CVUのシアノエチルホスホラミダイトを使用して、通常のDNA合成によって合成した。ODN1(CVU)を、ヌクレオシド組成およびMALDI−TOF−MS (calcd. 1876.3381 for [M-H]-; found 1876.3477)によって同定した。
ODN1(CVU)によるRNA鋳型指向型光連結の実行可能性を次のように確認した。ODN1(CVU)およびODN(T)5’−d(TGTGCT)−3’に、RNA(A) 5’-r(CACGCAAGCACA)-3’ の存在下、366nmで30分間照射したときに(図2)、98%の収率でODN(CVU−T)のピークが出現することを、ODN(CVU)およびODN(T)の消失で、HPLCによって確認した(図3)。MALDI−TOF−MSは、HPLC精製から得られた単離ODN(CVU−T)がODN(CVU)およびODN(T)の光連結生成物であることを示している (calcd. 3677.51 for [M+H]+;found 3677.82)。ODN(CVU)およびODN(T)に、ODN(A) 5’-d(CACGCAAGCACA)-3’の存在下、366nmで30分間照射したときに、74%の収率でODN(CVU−T)のピークが出現することをHPLCで確認した。他方で、RNA鋳型を光連結に使用したときに、3’末端Cが光励起したCVUと反応して、光連結されたODN(CVU−C)を3’末端Tと同じくらい効率よく生成する。
連結した生成物の光可逆性を確認するために、光連結ODN(CVU−T)に312nmで照射を行って試験した。単離したODN(CVU−T)に312nmで4分間の照射をしたときに、49%収率でのODN1(CVU)とODN(T)のピークの出現を、ODN(CVU−T)の消失とともにHPLCによって確認した。従って、CVUを5’末端に含むODNは光可逆性を有している。
RNA点変異の検出には、DNAチップ上に共有結合して配置されたODNの鋳型指向型光連結を利用した(図1)。RNA鋳型指向型光連結は、DNAチップ技術に適したプラットフォームに組み込んで使用可能であることを実証するために、CVUを含むアミノ標識ODN、ODN2(CVU) 5’-d(CVUGCGTG)-SSSS-NH2-3’(ただし、Sはヘキサ(エチレングリコール)リンカーフラグメントに対応する)を、アルデヒド修飾ガラス表面上に付加することによって、DNAチップを構築した。
DNAチップ上のODN2(CVU)によってRNA鋳型指向型光連結の利用可能性を確認した。2μM標的RNA(A)とビオチン標識ODN(T)、5’−ビオチン−TGTGCT−3’をスポットして、50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)および100mM塩化ナトリウム中で、366nmで10分間照射した。脱イオン水で98℃5分間洗浄した後に、ストレプトアビジン−Cy3コンジュゲートのPBS溶液を表面に加えて、PBS緩衝液で二回洗浄した。蛍光シグナルはマイクロアレイスキャナを使用して検出した。図4に示したように、完全に相補鎖形成をした場合に、光連結生成物の強い蛍光シグナルを検出した。配列識別の一般性を確かめるために、種々の位置でミスマッチを持つ5つの標的RNAを構築した。その結果、RNAの場合に第9番目の位置でのシングルミスマッチが、ほとんど光連結生成物を生じず、測定された蛍光シグナルは完全な相補性がある場合と比較して33分の1であった(表1)。次に、第9番目の位置での1個の塩基を変化させた(A、U、GまたはC)4つの非常に類似した標的RNAのセットを構築した。ほとんどのミスマッチは、正しくマッチした場合と比較して、相対的に10%またはそれより小さい蛍光シグナルを生じた。
以上から、CVUによるRNA鋳型指向型光連結を実証した。5’末端にCVUを含むODNに、鋳型RNAの存在下で、3’末端にピリミジン塩基を含むODNとともに光照射すると、全く副生成物形成が見られずに、効率よく光連結が起こった。さらに、種々の位置でのミスマッチは、RNA鋳型指向型光連結に基づくDNAチップ分析を使用することによって、良好に区別可能である。従って、この系は、RNA配列の特異的な検出に広範に使用可能である。
ODN1(CVU)およびODN(T)(各20μM、鎖濃度(strand concn))を含む反応混合物(全体積60μL)に、50mMカコジン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)および100mM塩化ナトリウム中で鋳型RNA(A)(24μM、鎖濃度)の存在下で、0℃で30分間、25Wトランスイルミネーター(366nm)で照射した。照射の後に、光反応の進行を、Cosmosil5C18ARカラム(4.6×150mm、pH7.0、30分間で6%〜10%アセトニトリルの直線勾配、流速0.5mL/分、50mMギ酸アンモニウム溶媒混合物での溶出)により、HPLCで検出した。
ODNは、Applied Biosystems 3400DNA合成装置を使用して、通常のホスホラミダイト法によって合成した。結合効率は、トリチルモニターでモニターした。CVUのシアノエチルホスホラミダイトの結合効率は、97%収率であった。CVUのシアノエチルホスホラミダイトの結合時間は、999秒であった。これらを、28%アンモニアで4時間65℃で保温することにより脱保護し、逆相HPLCによってChemcobond 5−ODS−H カラム(4.6×150mm)で精製した;溶出は、3〜20%アセトニトリルを含む0.05Mギ酸アンモニウムで、直線勾配(30分間)、流速1.0mL/分、30℃で行った。オリゴヌクレオチドの精製は、MALDI−TOF−MS分析によって確認した。
光連結したODN(CVU−T)(20μM、鎖濃度)を含む50mMカコジン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)および100mM塩化ナトリウムの溶液(全体積60μL)に、25℃で4分間、15Wトランスイルミネーター(312nm)で照射した。照射後に、光反応の進行を、Cosmosil 5C18ARカラム(4.6×150mm、50mMギ酸アンモニウム溶媒混合物による溶出、流速0.8mL/分での30分間の6%〜12%アセトニトリル直線勾配)でのHPLCにより、モニターした(図5)。ODN1’(CVU)は、ODN1(CVU)のシス異性体であった。
光連結したODN(CVU)(20μM、鎖濃度)を含む50mMカコジン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)および100mM塩化ナトリウムの溶液(全体積60μL)に、25℃で2分間、15Wトランスイルミネーター(312nm)で照射した。照射後に、光反応の進行を、Cosmosil 5C18ARカラム(4.6×150mm、50mMギ酸アンモニウム溶媒混合物による溶出、流速0.5mL/分での30分間の6%〜11%アセトニトリル直線勾配)でのHPLCにより、モニターした(図6)。
CVUを含むアミノ標識ODNプローブを、100mMカコジン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中で2×105Mの濃度で希釈した。スポッティングを、標準マイクロピペットから5μLずつ使用して行った。CVUを含むアミノ標識ODNプローブを、デシケータ内部で室温下で12時間かけて表面へ結合させた。プローブの固定化の後に、ガラス表面を0.1%SDSと脱イオン水で洗浄した。この表面をNaBH4(3.75mg)、PBS(1.5mL)、及びエタノール(375μL)の溶液で5分間、不活性化した。次にこの表面を脱イオン水で洗浄して乾燥した。
50mMカコジン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)と100mM塩化ナトリウム中の2μM標的RNA(A)とビオチン標識ODN(T)の溶液(5μL)をスポットしたガラスチップに、366nmで10分間照射した。98℃の脱イオン水で5分間洗浄した後に、ストレプトアビジン−Cy3 コンジュゲート(20μg/mL)のPBS溶液を、表面に添加して、PBS緩衝液で二回洗浄した。蛍光測定は、励起波長532nmのレーザーを備えたマイクロアレイスキャナCRBIO IIe(日立)を使用して行った。次に、第6番目の位置で1塩基を変えた(A、U、GまたはC)4つの非常に関連した標的RNAのセットを構築した(表2)。ほとんどのミスマッチでは、正しくマッチした場合と比較して、相対的蛍光シグナルが8%またはそれよりも低くなった(図7)。
[プローブODNの固定化]
アルデヒド処理されたマイクロアレイスライド(Nunc社製)に対してアミン末端及び光応答性塩基を有するプローブODNを次の手順で固定化した。
1. 緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液 pH8.5、0.01%SDS)にプローブODNが0.2μg/μlとなるように調整した。
2. この溶液10μlを滴下して、室温で24時間乾燥させて固定した。
3. 固定後、室温で0.15%SDSで2回、超純水で2回洗浄した。
4. NaBH4のPBS/エタノール溶液を滴下した。
5. 超純水で洗浄した。
この手順によって、1.5〜1.8×1011/cm2の密度で固定することができた。
DNAチップ上での光連結を図8に示すような態様となるように行った。ODN P1は、ヘキサエチレングリコール(Hexaethyleneglycol:S)を介して基材に固定化されているオリゴヌクレオチドであり、光連結性の塩基部分(CVU)を有している。ODN S35は、標識部分として末端にビオチン(Biotin:B)を有するオリゴヌクレオチドであり、被光連結性の塩基部分(図ではC)を有している。図8では、このODN P1とODN S35とが、標的となるオリゴヌクレオチド(Template ODN)を鋳型とするハイブリッド形成によって、光連結可能な状態に隣接して配置されている。実験は、ODN S35(2μM)、template−ODN(2μM)、Nacaco.(50mM)、NaCl(25mM)の条件で、室温でハイブリッド形成をすることにより行った。光連結は、366nmの波長を10分間照射することにより行った。
上記の鋳型ODNのXX〜XX部分について、ODN P1に対応する相補的な配列から、1塩基置換、2塩基置換、3塩基置換をした33個の配列に対してこのような光連結を行って標識部分の検出を行ったところ、非常に高い特異性と感度(S/N比)で完全な相補配列を識別できることがわかった。
また、このハイブリッド形成の温度を、0℃、10℃、室温と変えて最適な温度を探索したところ、室温が最も適していることがわかった。
ガン抑制遺伝子p53の多型部を標的として、DNAチップ上での遺伝子多型(SNPs)検出を行った。図9はその説明図である。左側に示すプローブA、プローブC、プローブG、プローブTは、それぞれ一端を基板に固定され、一端に光連結性の塩基部分(CVU)を有し、光連結性の塩基部分から3番目の塩基がそれぞれA、C、G、Tと異なっている。これらのプローブは、図10に詳細を示したように調整した。この固定化された各プローブに対して、標的DNA(target DNA)(10nM)、ビオチン−DNA(Biotin−DNA)(1μM)を、室温においてアセトニトリルを含む反応溶液中でハイブリッド形成させて、366nmの波長で20分間の照射を行うことにより、光連結を行った。次にビオチン部分に蛍光アビジンを結合させ、スキャナにより検出を行った。
この結果、極めて高いS/N比で、この一塩基置換を検出することができた。この結果を図11に示す。蛍光強度のグラフからわかるように、プローブC、プローブG、プローブTに対するプローブAの蛍光強度は、102〜103倍の値となっている。
ハイブリッド形成の反応溶媒に対して、アセトニトリルを添加することの効果を検討して、図12に示す結果を得た。時間と蛍光強度のグラフからわかるように、機構の詳細は不明であるが、アセトニトリルの添加が多いほど、反応時間を短縮する効果がある。すなわち、25〜50%(体積比)のアセトニトリルの添加は、反応時間を1/2〜1/5程度に短縮しており、アセトニトリル0〜5%では不可能な20〜30分程度の所要時間で、十分な蛍光強度での検出を可能としている。
図13に示すようにNaCl濃度の最適化の検討を行った。さらに広範囲で同様に検討を行い、また標的核酸類(検出対象ODN)の濃度も変化させて、この2条件を組み合わせた変化に対する最適化の検討を行った。この結果を図14に示す。これによって、ハイブリッド形成での塩濃度には最適な濃度が存在すること、この最適な濃度は標的核酸類(検出対象ODN)の濃度に対応して変化すること、標的核酸類(検出対象ODN)の濃度が大きいほど最適な塩濃度は減少する傾向にあることがわかった。図14では、標的核酸類(検出対象ODN)濃度100nMの場合には、最適な塩濃度(極大値)は100mMを中心とする80〜150mMの範囲の間に存在し、標的核酸類(検出対象ODN)濃度10nMの場合には、最適な塩濃度(極大値)は500mMを中心とする400〜700mMの間に存在している。
MgCl2濃度についても最適化の検討を行った。この結果を図15に示す。グラフは、標的ODN濃度100nMの実験結果を示している。この場合には2〜6mMの間に最適濃度(極大値)が存在している。また、このMgCl2濃度についても標的核酸類(検出対象ODN)の濃度変化に対する最適化を行った。
最適条件を使用して、全て(4種)の塩基への一塩基多型および欠失に対して、識別する実験を行った。前述のプローブA、プローブC、プローブG、プローブT、およびプローブX(一塩基部分の欠失したプローブ)を使用し、さらに前述の標的ODNについても対応する多型を有する相補的塩基配列を使用して、この組み合わせに対して実験を行った。標的ODN(Target ODN)(100nM)、NaCl(100mM)、MgCl2(5mM)の条件を使用した。この結果を図16に示す。図16からわかるように、あらゆるタイプの一塩基置換および欠失による多型について、極めて明瞭に多型を識別することができた。図17に、この結果を改めてS/N比として整理した。どの多型についても、102を超えるS/N比で多型が明瞭に識別可能であることが示された。
図18は、ウラシル誘導体を塩基部分として使用することによって可逆的光連結が可能であること(図18の上段)を示す説明図である。図18の上段の左側にあるように、鋳型となる12塩基長のDNA鎖(Template)の存在下で、3’末端にピリミジン塩基を有する6塩基長のDNA鎖(3’Py−DNA)と5’末端にウラシル誘導体(VinylU)を有する6塩基長のDNA鎖(VU−DNA)とに、366nmにて光照射することによって光連結して(右方向への矢印の反応)、図18の上段の左側にあるように3’Py−DNAのPyとVU−DNAのVUとが連結した12塩基長のDNA鎖が生じる。この図18の上段の右側にある12塩基長のDNA鎖に302nmにて光照射することによって光開裂して(左方向への矢印の反応)、図18の上段の左側にあるように6塩基長のDNA鎖が再び生じる。このような可逆的光連結は、図18の下段の左側の構造式の塩基(ウラシル誘導体)を有するにおいて好適に可能であるが、これを図18の下段の右側の構造式の塩基(シトシン誘導体)を使用した場合にも好適に可能であることを、以下の実験によって確認した。
この実験に塩基部分として使用するシトシン誘導体は公知の方法によって合成可能であるが、以下の実験では、図19に示す経路によって塩基部分としてシトシン誘導体を有するDNAを合成して使用した。
図20に示すように、このようにして得られたシトシン誘導体を用いて、可逆的な光連結が可能である。
図20の上段の矢印左側にあるように、鋳型となる12塩基長のDNA鎖(Template)の存在下で、シトシン誘導体(VinylC)を5’末端に有する6塩基長のDNA鎖(VC−DNA)と、放射性同位体である32Pを5’末端に有しチミン(T)を3’末端に有する6塩基長のDNA鎖(3’T−DNA)とに、366nmにて3時間の光照射(UV照射)をすることによって光連結して(右方向への矢印の反応)、図20の上段の左側にあるように3’T−DNAのTとVC−DNAのVCとが連結した12塩基長のDNA鎖が生じた。この図20の上段の右側にある12塩基長のDNA鎖に302nmにて1時間の光照射(UV照射)をすることによって光開裂して(左方向への矢印の反応)、図20の上段の左側にあるように6塩基長のDNA鎖が再び生じた。
このような結果が3’T−DNA、VC−DNA、及びTemplateの存在、及び366nm、302nm、及び366nmのUV照射操作の存在によって生じたことを明確にするために、それぞれの存在の有無(+:有及び−:無)の組み合わせを変えて得られた生成物を各レーンに分けて電気泳動しオートラジオグラフィを行った。図20の中段にはこの組み合わせを示し、図20の下段にはこのようにして得られたオートラジオグラムを示す。レーン1及び2は、比較のための12塩基長及び6塩基長のDNAのみをそれぞれ流したレーンである。図20の下段のレーン番号3〜8は、それぞれ図20の中段の3〜8の番号を付された組み合わせに対応している。レーン6とレーン3〜5の対比から、光連結生成物(12塩基長のDNA鎖:12mer)が生じるためには、3’T−DNA、VC−DNA、及びTemplateと366nmの光照射の4要素が必要であることが示されている。またレーン6とレーン7の対比から、いったん生じた光連結生成物(12塩基長のDNA鎖:12mer)は、302nmの光照射によって再び6塩基長のDNA鎖(6mer)に開裂することが示されている。さらにこのように開裂して生じた6塩基長のDNA鎖(6mer)に366nmの光照射を行えば、再び12塩基長のDNA鎖(12mer)が生成することが示されている。
すなわち、塩基部分としてシトシン誘導体を使用して、可逆的な光連結が可能であることが示されている。
本発明で使用される塩基部分として、ピリミジン塩基誘導体(すなわち、ウラシル誘導体、チミン誘導体、及びシトシン誘導体)を使用した場合には、複素環構造を改変することなく、光連結性の塩基部分を得ることができた。より自由な可逆的光連結の実現のためには、プリン塩基誘導体を使用して、光連結性の塩基部分を得ることが必要であったが、これは極めて困難であった。本発明者等は、独自の試行錯誤の結果、プリン塩基の複素環構造を改変することによって、本発明における塩基部分として使用可能な、プリン塩基誘導体(すなわち、グアニン誘導体、及びアデニン誘導体)を得ることに成功した。このプリン塩基の複素環構造の改変は、7−デアザ(7−deaza)を特徴とするものである。
図21及び図22に、本発明における塩基部分として使用可能なグアニン誘導体の構造と、塩基部分としてグアニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する。本発明はこれらの例示に限定されるものではない。本発明における塩基部分として使用可能なグアニン誘導体を有するDNAは、公知の方法によっても製造することができる。
図23には、このようにして得られたグアニン誘導体を5’末端に有する6塩基長のDNA鎖(ZVCG−DNA:ODN2)と3’末端にTを有する6塩基長のDNA鎖(ODN1)が、鋳型(template)の存在下で、366nmで2時間、好ましくは5時間の光照射によって光連結して12塩基長のDNA鎖(ODN3)を生成することが、クロマトグラフィーの結果によって示されている。
図24には、図23のようにして得られた12塩基長のDNA鎖(ODN3)が、312nmで15分間の光照射によって光開裂して再び6塩基長のDNA鎖(ODN1及びODN2)を生成することが示されている。
すなわち、塩基部分としてグアニン誘導体を使用して、可逆的な光連結が可能であることが示されている。
本発明者等は、独自の試行錯誤の結果、プリン塩基の複素環構造を改変することによって、本発明における塩基部分として使用可能な、プリン塩基誘導体(すなわち、グアニン誘導体、及びアデニン誘導体)を得ることに成功した。このプリン塩基の複素環構造の改変は、7−デアザ(7−deaza)を特徴とするものである。
図25及び図26に、本発明における塩基部分として使用可能なアデニン誘導体の構造と、塩基部分としてアデニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する。本発明はこれらの例示に限定されるものではない。本発明における塩基部分として使用可能なアデニン誘導体を有するDNAは、公知の方法によっても製造することができる。
図27には、このようにして得られたアデニン誘導体を5’末端に有する6塩基長のDNA鎖(ZVAA−DNA:ODN4)と3’末端にTを有する6塩基長のDNA鎖(ODN1)が、鋳型(template)の存在下で、366nmで5分間、好ましくは15分間の光照射によって光連結して12塩基長のDNA鎖(ODN5)を生成することが、クロマトグラフィーの結果によって示されている。
図28には、このようにして得られたアデニン誘導体を5’末端に有する6塩基長のDNA鎖(ZVCA−DNA:ODN6)と3’末端にTを有する6塩基長のDNA鎖(ODN1)が、鋳型(template)の存在下で、366nmで1分間、好ましくは5分間の光照射によって光連結して12塩基長のDNA鎖(ODN7)を生成することが、クロマトグラフィーの結果によって示されている。
図29には、図28のようにして得られた12塩基長のDNA鎖(ODN7)が、312nmで15分間の光照射によって光開裂して再び6塩基長のDNA鎖(ODN1及びODN6)を生成することが示されている。
すなわち、塩基部分としてアデニン誘導体を使用して、可逆的な光連結が可能であることが示されている。
図30には、塩基部分として特に好適なアデニン誘導体を有するデオキシヌクレオシド(ZVCA)である、7−カルボキシビニル−7−デアザ−2’−デオキシアデノシンのUV吸光特性を示す。
図1は、DNAチップ上でのRNA点変異の検出の戦略を示している。
図2は、CVUによるODNのRNA鋳型指向型可逆的光連結を示している。
図3は、鋳型RNA(A)の存在下で、照射を受けたODN1(CVU)およびODN(T)のHPLC分析を示している。照射前(a);366nmでの30分間照射(b)、収率98%。
図4は、マッチした及びシングルミスマッチの標的RNA上での光連結生成物について、マイクロアレイスキャナで得られた蛍光強度(上)とイメージ(下)を示している。
図5は、照射したODN(CVU−T)のHPLC分析を示している。照射前(a); 312nmで4分間照射(b)。
図6は、照射したODN1(CVU)のHPLC分析を示している。照射前(a); 312nmで2分間照射(b)。
図7は、ODN2(CVU)の光連結生成物に対する蛍光強度(上)及びイメージ(下)を示している。
図8は、DNAチップ上での光連結を示している。
図9は、DNAチップ上での遺伝子多型(SNPs)検出を示している。
図10は、プローブODNの調整を示している。
図11は、高いS/N比での一塩基置換の検出を示している。
図12は、反応溶媒へのアセトニトリルの添加効果を示している。
図13は、NaCl濃度の最適化を示している。
図14は、標的核酸類(検出対象ODN)の濃度と塩濃度の2条件を組み合わせた最適化を示している。
図15は、MgCl2濃度の最適化を示している。
図16は、4種の塩基への一塩基多型および欠失に対する識別を示している。
図17は、4種の塩基への一塩基多型および欠失に対する識別のS/N比を示している。
図18は、ウラシル誘導体を使用した可逆的光連結を示す説明図である。
図19は、塩基部分としてシトシン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する説明図である。
図20は、シトシン誘導体を用いて可逆的な光連結が可能であることを示す実験結果である。
図21は、塩基部分としてグアニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する説明図である。
図22は、塩基部分としてグアニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する説明図である。
図23は、グアニン誘導体を用いて光連結が可能であることを示す実験結果である。
図24は、グアニン誘導体を用いて光連結した生成物は、光開裂が可能であることを示す実験結果である。
図25は、塩基部分としてアデニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する説明図である。
図26は、塩基部分としてアデニン誘導体を有するDNAの合成経路を例示する説明図である。
図27は、アデニン誘導体を用いて光連結が可能であることを示す実験結果である。
図28は、アデニン誘導体を用いて光連結が可能であることを示す実験結果である。
図29は、アデニン誘導体を用いて光連結した生成物は、光開裂が可能であることを示す実験結果である。
図30は、7−カルボキシビニル−7−デアザ−2’−デオキシアデノシンのUV吸光特性を示す実験結果である。
Claims (48)
- 塩基部分として次の式I、式II、式III、式IV又は式V:
式I
式II
R2及びR3の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R2及びR3の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式III
R5及びR6の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R5及びR6の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式IV
R8及びR9の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R8及びR9の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式V
R11及びR12の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を、5’末端又は3’末端に有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、ペプチド核酸が含まれる)からなる光連結性核酸類と、
光連結性核酸類と光連結可能な塩基部分として炭素−炭素二重結合を有する塩基を、3’末端又は5’末端に有する、被光連結性核酸類と、からなり、
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちのいずれか一方が、標識部分を有し、
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化されており、
光連結性核酸類と被光連結性核酸類とが、光連結されることによって、特定の塩基配列を有する標的核酸類の塩基配列と相補的な塩基配列の核酸類を生成可能であり、
光連結性核酸類と被光連結性核酸類とが光連結されることによって生成可能な核酸類は、相補的二重鎖の解離する洗浄条件で洗浄可能である、特定の塩基配列の標的核酸類を検出するための核酸類セット。 - 塩基部分が式Iで表される基であり、式Iにおいて、ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基である、請求項1に記載の核酸類セット。
- 塩基部分が式IIで表される基であり、式IIにおいて、R2及びR3の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R2及びR3の残りの基が水素原子である、請求項1に記載の核酸類セット。
- 塩基部分が式IIIで表される基であり、式IIIにおいて、R5及びR6の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R5及びR6の残りの基が水素原子である、請求項1に記載の核酸類セット。
- 塩基部分が式IVで表される基であり、式IVにおいて、R8及びR9の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R8及びR9の残りの基が水素原子である、請求項1に記載の核酸類セット。
- 塩基部分が式Vで表される基であり、式Vにおいて、R11及びR12の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基が水素原子である、請求項1に記載の核酸類セット。
- 標識部分の標識として、ビオチン標識、色素標識(蛍光色素標識を含む)、RI標識からなる群より選択された何れかの標識を有している、請求項1〜6の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの、あらかじめ基材に固定化された一方の核酸類が、リンカー部分を介して基材に固定化されている、請求項1〜7の何れかに記載の核酸類セット。
- リンカー部分が、ポリエチレングリコール又はアルカン類を含む、請求項8に記載の核酸類セット。
- 基材が、ガラスプレート、CPG、ポリスチレンビーズからなる群より選択された何れかである、請求項1〜9の何れかに記載の核酸類セット。
- 洗浄条件として、80〜100℃の範囲の洗浄温度で洗浄可能である、請求項1〜10の何れかに記載の核酸類セット。
- 洗浄条件として、95〜100℃の範囲の洗浄温度で洗浄可能である、請求項1〜10の何れかに記載の核酸類セット。
- 洗浄条件として、変性剤を含む洗浄溶液で洗浄可能である、請求項1〜12の何れかに記載の核酸類セット。
- 洗浄条件として、界面活性剤を含む洗浄溶液で洗浄可能である、請求項1〜13の何れかに記載の核酸類セット。
- 炭素−炭素二重結合を有する塩基が、シトシン、チミン又はウラシルである請求項1〜14の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類が、オリゴヌクレオチドである請求項1〜15の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類が、DNAである請求項1〜15の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類が、RNAである請求項1〜15の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類が、ペプチド核酸である請求項1〜15の何れかに記載の核酸類セット。
- 被光連結性核酸類が、オリゴヌクレオチドである請求項1〜19の何れかに記載の核酸類セット。
- 被光連結性核酸類が、DNAである請求項1〜19の何れかに記載の核酸類セット。
- 被光連結性核酸類が、RNAである請求項1〜19の何れかに記載の核酸類セット。
- 被光連結性核酸類が、ペプチド核酸である請求項1〜19の何れかに記載の核酸類セット。
- 光連結性核酸類と被光連結性核酸類が、同じ種類の核酸類である請求項1〜23の何れかに記載の核酸類セット。
- 請求項1〜24の何れかに記載の光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの、標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化されてなり、
光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちの、標識部分を有する一方とともに使用される、DNAマイクロアレイ(基材上に固定化される分子として、核酸、及びペプチド核酸を含む)。 - 請求項1〜25の何れかに記載の光連結性核酸類及び被光連結性核酸類と、核酸類混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸類とを、ハイブリッド形成させる工程と、
特定の塩基配列を有する標的核酸類を鋳型とするハイブリッド形成によって、光連結可能に隣接された光連結性核酸類と被光連結性核酸類に、光照射して光連結させ、標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸類を、ハイブリッド形成した相補的二重鎖が解離する洗浄条件で洗浄することによって、光連結により基材に固定化されなかった、標識部分を有する核酸類を、除去する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸類を検出するために、標識部分を検出する工程と、
を含む、核酸類混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸類を検出(同定及び定量を含む)する方法。 - ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程が、20〜30℃の温度で行われる、請求項26に記載の方法。
- ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸類を基材に固定化する工程が、緩衝作用のある塩を含む反応溶液の中で行われる、請求項26又は請求項27に記載の方法。
- 反応溶液のpHが6.5〜8.5の範囲にある、請求項28に記載の方法。
- 緩衝作用のある塩の濃度が、5〜250mMの範囲にある、請求項28又は請求項29に記載の方法。
- 緩衝作用のある塩が、カコジル酸塩である、請求項28〜30の何れかに記載の方法。
- 反応溶液が、水分散性有機溶媒を含む、請求項28〜31の何れかに記載の方法。
- 反応溶液が、20〜60%(体積比)の水分散性有機溶媒を含んでいる、請求項32に記載の方法。
- 水分散性有機溶媒が、アセトニトリルである、請求項32又は請求項33に記載の方法。
- 反応溶液が、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を含み、
該塩の濃度が、標的核酸類の濃度に対して最適化されている、請求項28〜34の何れかに記載の方法。 - アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩として、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む、請求項35に記載の方法。
- 光照射が、330nm以上の波長の光の照射により行われる、請求項26〜36の何れかに記載の方法。
- 洗浄条件が、80〜100℃の範囲の洗浄温度での洗浄である、請求項26〜37に記載の方法。
- 洗浄条件が、95〜100℃の範囲の洗浄温度での洗浄である、請求項26〜37に記載の方法。
- 洗浄条件が、変性剤を含む洗浄溶液での洗浄である、請求項26〜39の何れかに記載の方法。
- 洗浄条件が、界面活性剤を含む洗浄溶液での洗浄である、請求項26〜40の何れかに記載の方法。
- 標的核酸類が、オリゴヌクレオチドである請求項26〜41の何れかに記載の方法。
- 標的核酸類が、DNAである請求項26〜41の何れかに記載の方法。
- 標的核酸類が、RNAである請求項26〜41の何れかに記載の方法。
- 標的核酸類が、ペプチド核酸である請求項26〜41の何れかに記載の方法。
- 標識部分の標識が蛍光色素標識であり、
標識部分の検出をする工程において、レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれる、請求項26〜45の何れかに記載の方法。 - 標識部分の標識がビオチン標識であり、
標識部分の検出をする工程において、
蛍光色素標識されたアビジンによって、ビオチン−アビジン結合反応を行う工程と、
レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれる、請求項26〜46の何れかに記載の方法。 - 特定の塩基配列を有する標的核酸類の塩基配列と相補的な塩基配列から1塩基を置換した配列の核酸類が、光連結性核酸類と被光連結性核酸類とが光連結されることによって生成されるような塩基配列を有する、光連結性核酸類及び被光連結性核酸類を使用することによって、標的核酸類の塩基配列の点変異を検出する、請求項26〜47の何れかに記載の方法。
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