JPWO2007004459A1 - ディップ成形用ラテックス、ディップ成形用ラテックス組成物およびディップ成形品 - Google Patents
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Abstract
ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン単量体単位(A)40〜80重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)10〜45重量%、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)2〜15重量%からなり、前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなるディップ成形用ラテックス。本発明によれば、耐油性に優れ、風合いが良好で、高い引張強度を有する成形品を与えることができるディップ成形用ラテックスを提供できる。
Description
本発明は、ディップ成形用ラテックス、ディップ成形用ラテックス組成物およびディップ成形品に係り、さらに詳しくは、耐油性に優れ、風合いが良好で、高い引張強度を有するディップ成形品を与えることのできるディップ成形用ラテックス、該ラテックスを含有するディップ成形用ラテックス組成物、および該ディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形して得られるディップ成形品に関する。
ゴム手袋は、家事、食品関連産業、精密工業、医療など幅広い用途で使用されている。従来、引張強度が高く、耐油性に優れるゴム手袋として、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスをディップ成形することにより得られるディップ成形品が多用されている。
たとえば、特許文献1〜7には、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスが開示されている。これらの文献に記載されたラテックスをディップ成形することで、得られるゴム手袋は、天然ゴムラテックスから得られるゴム手袋に較べて、耐油性に優れているため、広く用いられている。さらに近年、天然ゴムに含まれている蛋白に起因する蛋白アレルギーの問題から、合成ゴムとしてのカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスに対する需要がさらに高まっている。
一方で、ゴム手袋には、長時間着用しても手が疲れないよう、指の動きに追随して伸縮して風合いがよいこと(300%引張応力が小さく、伸びが大きいこと)、作業中に破れないこと(十分な引張強度を有すること)、油脂に触れる作業を行っても劣化しないこと(耐油性があること)など様々な特性が要求されている。
しかしながら、上述の特許文献1〜7のようなカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体をベースとしたものは、耐油性には優れるものの、以下の課題があった。すなわち、このような共重合体は、重合するモノマー組成により、強度、伸び、柔軟性等の各物性のバランスが大きく変化するという特性を有しており、そのため、たとえば、引張強度を向上させるために、共重合体中の酸量やニトリル量を比較的に高くすると、その一方で、柔軟性や伸びが、著しく低下してしまうという課題があった。したがって、このようなディップ成形品において、所望の柔軟性および伸び(風合い)を確保しつつ、さらに引張強度を向上させることが求められていた。
米国特許第2,880,189号明細書
米国特許第4,102,844号明細書
特開平5−86110号公報
特開平5−247266号公報
特開平6−182788号公報
米国特許第5,084,514号明細書
米国特許第5,278,234号明細書
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、耐油性に優れ、風合いが良好で、高い引張強度を有するディップ成形品を与えることができるディップ成形用ラテックスおよび該ラテックスを含有するディップ成形用ラテックス組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記のディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形して得られ、上記特性を有するディップ成形品を提供することも目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、共役ジエン単量体単位(A)、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)からなり、共役ジエン単量体単位(A)として、ブタジエン単位とイソプレン単位とを含み、その割合が特定範囲である共重合体を含有してなるラテックスを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして、本発明によれば、ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン単量体単位(A)40〜80重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)10〜45重量%、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)2〜15重量%からなり、
前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなるディップ成形用ラテックスが提供される。
前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなるディップ成形用ラテックスが提供される。
また、本発明によれば、上記のディップ成形用ラテックスに、架橋剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品が提供される。
本発明のディップ成形用ラテックスを用いることにより、耐油性に優れ、300%引張応力および伸びを良好に保ちつつ、しかも、高い引張強度を有するディップ成形品が得られる。
ディップ成形用ラテックス
本発明のディップ成形用ラテックスは、ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン単量体単位(A)40〜80重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)10〜45重量%、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)2〜15重量%からなり、前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなる。
本発明のディップ成形用ラテックスは、ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン単量体単位(A)40〜80重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)10〜45重量%、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)2〜15重量%からなり、前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなる。
ラテックスを構成する共重合体中の共役ジエン単量体単位(A)の含有量は、該共重合体の全単量体単位に対して、40〜80重量%であり、好ましくは50〜75重量%、より好ましくは55〜70重量%である。この割合が少ないと風合いに劣り、逆に多いと引張強度が低下する。
共役ジエン単量体単位(A)は、少なくとも、ブタジエン単位とイソプレン単位とを含有する。共役ジエン単量体単位(A)全体に対する、ブタジエン単位とイソプレン単位との合計量は、好ましくは90重量%以上である。共役ジエン単量体単位(A)は、実質的にブタジエン単位およびイソプレン単位のみから構成されることが特に好ましい。なお、ブタジエン単位を形成する単量体としては、1,3−ブタジエンが好ましい。
共役ジエン単量体単位(A)におけるブタジエン単位とイソプレン単位との含有割合は、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5であり、好ましくは44:56〜90:10、より好ましくは48:52〜80:20である。ブタジエン単位の割合が少なすぎると、引張強度が不十分となるとともに、風合いが悪化してしまう。一方、ブタジエン単位の割合が多すぎると、引張強度が不十分となる。
共役ジエン単量体単位(A)は、ブタジエン単位およびイソプレン単位以外に、他の共役ジエン単量体単位を含んでいてもよい。そのような他の共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびクロロプレンなどのブタジエンおよびイソプレン以外の炭素数4〜12の共役ジエン単量体が挙げられる。ただし、ブタジエン単位およびイソプレン単位以外の、他の共役ジエン単量体単位の含有量は、共役ジエン単量体単位(A)全体に対して、10重量%以下とすることが好ましい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)を形成するエチレン性不飽和ニトリル単量体(b)としては、ニトリル基を有する炭素数3〜18のエチレン性不飽和化合物が使用される。このような化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロゲン置換アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。上記のなかでも、アクリロニトリルが好ましく使用できる。
ラテックスを構成する共重合体中のエチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)の含有量は、該共重合体の全単量体単位に対して、10〜45重量%であり、好ましくは15〜40重量%、より好ましくは20〜38重量%である。エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)の含有量が少なすぎると、耐油性に劣り、逆に多いと風合いに劣る。
エチレン性不飽和酸単量体単位(C)を形成するエチレン性不飽和酸単量体(c)としては、特に限定されないが、たとえば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体、リン酸基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和酸単量体(c)は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもでき、また、単独でまたは2種以上を組み合せて用いることもできる。上記のエチレン性不飽和酸単量体(c)のなかでも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましく用いることができる。
ラテックスを構成する共重合体中のエチレン性不飽和酸単量体単位(C)の含有量は、該共重合体の全単量体単位に対して、2〜15重量%であり、好ましくは3〜12重量%、より好ましくは4〜10重量%である。エチレン性不飽和酸単量体単位(C)の含有量が少なすぎると引張強度に劣り、逆に多すぎると風合いに劣る。
ラテックスを構成する共重合体は、前記共役ジエン単量体単位(A)、前記エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)、および前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)以外の単量体単位である、他の単量体単位(D)を含有していてもよい。
前記他の単量体単位(D)を形成する他の単量体(d)としては、共役ジエン単量体(a)、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(b)およびエチレン性不飽和酸単量体(c)と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、以下の単量体が挙げられる。
すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸アリル、酢酸メタリル、塩化アリル、塩化メタリル等の(メタ)アリル化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン;などを挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記他の単量体単位(D)を形成する他の単量体(d)としては、共役ジエン単量体(a)、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(b)およびエチレン性不飽和酸単量体(c)と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、以下の単量体が挙げられる。
すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸アリル、酢酸メタリル、塩化アリル、塩化メタリル等の(メタ)アリル化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン;などを挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかでも、ディップ成形品の引張強度をより高めることができるという点で、芳香族ビニル単量体が好ましい。ラテックスを構成する共重合体中の他の単量体単位(D)の含有量は、該共重合体の全単量体単位に対して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。使用量が上記範囲内であれば、引張強度、耐油性および風合いを良好に維持できる。
なお、本発明においては、他の単量体単位(D)を実質的に含有しないことが特に好ましい。すなわち、ラテックスを構成する共重合体が、共役ジエン単量体単位(A)、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)のみからなることが特に好ましい。
なお、本発明においては、他の単量体単位(D)を実質的に含有しないことが特に好ましい。すなわち、ラテックスを構成する共重合体が、共役ジエン単量体単位(A)、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)のみからなることが特に好ましい。
ディップ成形用ラテックスの製造方法
本発明のディップ成形用ラテックスは、特に限定されないが、前記した各単量体の混合物を乳化重合することにより簡便に製造することができる。乳化重合に用いる単量体混合物の組成を調節することにより、得られる共重合体の組成を容易に調節できる。乳化重合法としては、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。また、乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
本発明のディップ成形用ラテックスは、特に限定されないが、前記した各単量体の混合物を乳化重合することにより簡便に製造することができる。乳化重合に用いる単量体混合物の組成を調節することにより、得られる共重合体の組成を容易に調節できる。乳化重合法としては、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。また、乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらのなかでも、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が好ましく使用できる。乳化剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜8重量部である。
重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル開始剤が好ましく使用できる。このようなラジカル開始剤としては、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらラジカル開始剤のなかでも、無機または有機の過酸化物が好ましく、無機過酸化物がより好ましく、過硫酸塩が特に好ましく使用できる。重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.5重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、たとえば、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物;などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましく使用できる。分子量調整剤の使用量は、その種類によって異なるが、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.7重量部である。
乳化重合は、通常、水中で行なわれる。水の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは100〜200重量部である。
乳化重合に際し、さらに必要に応じて、上記以外の重合副資材を用いてもよい。このような重合副資材としては、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等が挙げられ、これらの種類、使用量とも特に限定されない。
重合温度は特に限定されないが、通常、0〜95℃、好ましくは5〜70℃である。重合禁止剤を添加して、重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整することにより、本発明のディップ成形用ラテックスを得ることができる。重合反応を停止する際の重合転化率は、通常、80重量%以上、好ましくは90重量%である。
本発明のディップ成形用ラテックスを構成する共重合体粒子の重量平均粒子径は、通常、30〜1000nm、好ましくは50〜500nm、より好ましくは70〜200nmである。この粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱いにくく、逆に大きすぎるとディップ成形時の成膜性が低下して均質な膜厚を有するディップ成形品を得にくくなる。
本発明のディップ成形用ラテックスの全固形分濃度は、通常、20〜65重量%、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは35〜55重量%である。この濃度が低すぎると、ラテックスの輸送効率が低下し、逆に高すぎると、その製造が困難になると共に、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱いにくくなる。
本発明のディップ成形用ラテックスのpHは、通常、5〜13、好ましくは7〜10、より好ましくは7.5〜9である。ラテックスpHが低すぎると、機械的安定性が低下してラテックスの移送時に粗大凝集物が発生しやすくなる不具合があり、逆に高すぎるとラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱いにくくなる。
本発明のディップ成形用ラテックスには、所望により、ラテックスに通常添加される、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、顔料、染料などの各種添加剤を所定量添加することもできる。
ディップ成形用ラテックス組成物
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、上記ディップ成形用ラテックスに、架橋剤を添加してなるものである。架橋剤を含有させることにより、ディップ成形可能な組成物を得ることができる。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、上記ディップ成形用ラテックスに、架橋剤を添加してなるものである。架橋剤を含有させることにより、ディップ成形可能な組成物を得ることができる。
架橋剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、特に限定されないが、たとえば、有機過酸化物や、硫黄(粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等)などが使用できる。
有機過酸化物としては、たとえば、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、サクシニックアシッドパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッドなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの有機過酸化物のなかでも、物性のバランスに優れたディップ成形品を得ることができる点から、ジベンゾイルパーオキサイドおよびジラウロイルパーオキサイドが好ましく、ジベンゾイルパーオキサイドがより好ましく使用できる。
架橋剤の添加量は、ディップ成形用ラテックス中の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。架橋剤の添加量が少なすぎると、引張強度に劣る傾向にあり、逆に多すぎると、風合いおよび引張強度に劣る傾向にある。
架橋剤として硫黄を使用する場合には、架橋促進剤(加硫促進剤)や、酸化亜鉛を配合することが好ましい。
架橋促進剤(加硫促進剤)としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用できる。架橋促進剤の使用量は、ディップ成形用ラテックス中の全固形分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
また、酸化亜鉛の使用量は、ディップ成形用ラテックス中の全固形分100重量部に対して、5重量部以下、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。
架橋促進剤(加硫促進剤)としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用できる。架橋促進剤の使用量は、ディップ成形用ラテックス中の全固形分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
また、酸化亜鉛の使用量は、ディップ成形用ラテックス中の全固形分100重量部に対して、5重量部以下、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物には、必要に応じて、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、湿潤剤、増粘剤、分散剤、顔料、染料、充填材、補強材、pH調整剤などの各種添加剤を所定量添加することもできる。
ディップ成形用ラテックス組成物の固形分濃度は、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%である。ディップ成形用ラテックス組成物のpHは、好ましくは8.5〜12、より好ましくは9〜11の範囲である。
ディップ成形品
本発明のディップ成形品は、上記のディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形して得られる。ディップ成形法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得やすいという点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。以下、一実施形態としてのアノード凝着浸漬法によるディップ成形法を説明する。
本発明のディップ成形品は、上記のディップ成形用ラテックス組成物をディップ成形して得られる。ディップ成形法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得やすいという点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。以下、一実施形態としてのアノード凝着浸漬法によるディップ成形法を説明する。
まず、ディップ成形型を凝固剤溶液に浸漬して、ディップ成形型の表面に凝固剤を付着させる。
ディップ成形型としては、材質は磁器製、ガラス製、金属製、プラスチック製など種々のものが使用できる。型の形状は最終製品であるディップ成形品の形状に合わせたものとすれば良い。たとえば、ディップ成形品が手袋の場合、ディップ成形型の形状は、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。また、ディップ成形型は、その表面の全体または一部分に、光沢加工、半光沢加工、非光沢加工、織り柄模様加工などの表面加工が施されているものであってもよい。
ディップ成形型としては、材質は磁器製、ガラス製、金属製、プラスチック製など種々のものが使用できる。型の形状は最終製品であるディップ成形品の形状に合わせたものとすれば良い。たとえば、ディップ成形品が手袋の場合、ディップ成形型の形状は、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。また、ディップ成形型は、その表面の全体または一部分に、光沢加工、半光沢加工、非光沢加工、織り柄模様加工などの表面加工が施されているものであってもよい。
凝固剤溶液は、ラテックス粒子を凝固し得る凝固剤を、水やアルコールまたはそれらの混合物に溶解させた溶液である。凝固剤としては、ハロゲン化金属塩、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
次いで、凝固剤を付着させたディップ成形型を、上記のディップ成形用ラテックス組成物に浸漬し、その後、ディップ成形型を引き上げ、ディップ成形型表面にディップ成形層を形成する。
次いで、ディップ成形型に形成されたディップ成形層を加熱し、ディップ成形層を構成している共重合体の架橋を行う。
架橋のための加熱温度は、好ましくは60〜160℃、より好ましくは80〜150℃とする。温度が低すぎると、架橋反応に長時間要するため生産性が低下するおそれがあり、逆に高すぎると、共重合体の酸化劣化が促進されて成形品の物性が低下する可能性がある。加熱処理の時間は、加熱処理温度に応じて適宜選択すれば良いが、通常、5〜120分である。
架橋のための加熱温度は、好ましくは60〜160℃、より好ましくは80〜150℃とする。温度が低すぎると、架橋反応に長時間要するため生産性が低下するおそれがあり、逆に高すぎると、共重合体の酸化劣化が促進されて成形品の物性が低下する可能性がある。加熱処理の時間は、加熱処理温度に応じて適宜選択すれば良いが、通常、5〜120分である。
本発明においては、ディップ成形層に加熱処理を施す前に、ディップ成形層を、20〜80℃の温水に0.5〜60分程度浸漬して、水溶性不純物(乳化剤、水溶性高分子、凝固剤など)を除去しておくことが好ましい。
次いで、加熱処理により架橋したディップ成形層を、ディップ成形型から脱型し、ディップ成形品を得る。脱型方法は、手で成形型から剥がす方法や、水圧や圧縮空気の圧力により剥がす方法などが採用できる。
脱型後、さらに60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理(後架橋工程)を行ってもよい。さらに、ディップ成形品の内側および/または外側の表面に、塩素化処理やコーティング処理などによる表面処理層を形成してもよい。
また、本発明のディップ成形品としては、上述のディップ成形型の代わりに、(ディップ成形される)被覆対象物を使用し、被覆対象物をも含むものとしても良い。なお、この場合には、上述の脱型工程は不要である。
本発明のディップ成形品の厚みは、通常、0.05〜3mm、好ましくは0.05〜0.3mmである。本発明のディップ成形品は、耐油性に優れ、風合いが良好で、しかも高い引張強度を有する。従って、本発明のディップ成形品は、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用の手袋;指サック;などに好適に用いることができる。なお、成形品を手袋とする場合には、サポート型であっても、アンサポート型であってもよい。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
ディップ成形用ラテックスの製造
重合反応器に、1,3−ブタジエン50.6部、イソプレン16.9部、アクリロニトリル27部、メタクリル酸5.5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を30〜40℃に保持して重合を行ない、重合転化率が94%に達するまで反応させた。
ディップ成形用ラテックスの製造
重合反応器に、1,3−ブタジエン50.6部、イソプレン16.9部、アクリロニトリル27部、メタクリル酸5.5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、イオン交換水132部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、過硫酸カリウム0.3部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、重合温度を30〜40℃に保持して重合を行ない、重合転化率が94%に達するまで反応させた。
得られた共重合体ラテックスから未反応単量体を除去した後、共重合体ラテックスのpHおよび固形分濃度を調整して、固形分濃度40%、pH8の実施例1に係るディップ成形用ラテックスを得た。
このディップ成形用ラテックスの一部を採取し、それにメタノールを加えて凝固させた後、水洗・乾燥し、ゴム状の共重合体を得た。この共重合体中の各単量体単位量を、1H-NMRおよび13C-NMRにより求めた。その結果を表1に示す。
このディップ成形用ラテックスの一部を採取し、それにメタノールを加えて凝固させた後、水洗・乾燥し、ゴム状の共重合体を得た。この共重合体中の各単量体単位量を、1H-NMRおよび13C-NMRにより求めた。その結果を表1に示す。
ディップ成形用ラテックス組成物の調製
上記のディップ成形用ラテックスに、5%水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを9.2に調整するとともに、45℃に加温した。次いで、加温した状態のラテックスに、ジベンゾイルパーオキサイドの乳化物(トルエン10部にジベンゾイルパーオキサイド(水分吸着量25重量%、以下、BPOとする)5部を、温度45℃で溶解させたもの)を添加した。次いで、イオン交換水をさらに添加して固形分濃度を30%に調整した後に、温度20℃、4時間の条件で攪拌(熟成)してBPOを均一に分散させ、ディップ成形用ラテックス組成物を調製した。なお、本実施例においては、ラテックス中の固形分100部に対して、BPOが1.0部となるようにディップ成形用ラテックス組成物の調製を行った。
上記のディップ成形用ラテックスに、5%水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを9.2に調整するとともに、45℃に加温した。次いで、加温した状態のラテックスに、ジベンゾイルパーオキサイドの乳化物(トルエン10部にジベンゾイルパーオキサイド(水分吸着量25重量%、以下、BPOとする)5部を、温度45℃で溶解させたもの)を添加した。次いで、イオン交換水をさらに添加して固形分濃度を30%に調整した後に、温度20℃、4時間の条件で攪拌(熟成)してBPOを均一に分散させ、ディップ成形用ラテックス組成物を調製した。なお、本実施例においては、ラテックス中の固形分100部に対して、BPOが1.0部となるようにディップ成形用ラテックス組成物の調製を行った。
ディップ成形品(ゴム手袋)
上記のディップ成形用ラテックス組成物を使用して、ディップ成形品(ゴム手袋)を、以下の方法により製造した。
まず、硝酸カルシウム20部、ノニオン性乳化剤であるポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル0.05部および水80部を混合することにより、凝固剤水溶液を準備した。次いで、この凝固剤水溶液に、手袋型を5秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥して、凝固剤を手袋型に付着させた。そして、凝固剤を付着させた手袋型を、上記のディップ成形用ラテックス組成物に6秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥し、手袋型表面にディップ成形層を形成した。
上記のディップ成形用ラテックス組成物を使用して、ディップ成形品(ゴム手袋)を、以下の方法により製造した。
まず、硝酸カルシウム20部、ノニオン性乳化剤であるポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル0.05部および水80部を混合することにより、凝固剤水溶液を準備した。次いで、この凝固剤水溶液に、手袋型を5秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥して、凝固剤を手袋型に付着させた。そして、凝固剤を付着させた手袋型を、上記のディップ成形用ラテックス組成物に6秒間浸漬し、引上げた後、温度50℃、10分間の条件で乾燥し、手袋型表面にディップ成形層を形成した。
その後、該手袋型を、40℃の温水に3分間浸漬して、水溶性不純物を溶出させ、温度70℃、10分間の条件で乾燥した。引き続き、温度120℃、20分間の条件で加熱処理してディップ成形層を架橋させた。
次いで、架橋したディップ成形層を手袋型から剥し、厚みが0.1mmのゴム手袋を得た。得られたゴム手袋について、以下の方法により、300%引張応力、引張強度、伸びの各評価を行った。結果を表1に示す。
次いで、架橋したディップ成形層を手袋型から剥し、厚みが0.1mmのゴム手袋を得た。得られたゴム手袋について、以下の方法により、300%引張応力、引張強度、伸びの各評価を行った。結果を表1に示す。
300%引張応力、引張強度、伸び
得られたゴム手袋から、ASTM D−412に準じてダンベル(Die−C)を用いて、ダンベル形状の試験片を作製した。次いで、この試験片を、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(MPa)、破断時の引張強度(MPa)および破断時の伸び(%)を測定した。300%引張応力は小さいほど、風合いに優れるため、好ましい。また、引張強度および伸びは、高いほど好ましい。
得られたゴム手袋から、ASTM D−412に準じてダンベル(Die−C)を用いて、ダンベル形状の試験片を作製した。次いで、この試験片を、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(MPa)、破断時の引張強度(MPa)および破断時の伸び(%)を測定した。300%引張応力は小さいほど、風合いに優れるため、好ましい。また、引張強度および伸びは、高いほど好ましい。
実施例2,3
ディップ成形用ラテックスの共重合体組成が表1に示す組成となるように仕込みの単量体組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ディップ成形用ラテックスを製造した。次いで、得られたディップ成形用ラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
ディップ成形用ラテックスの共重合体組成が表1に示す組成となるように仕込みの単量体組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ディップ成形用ラテックスを製造した。次いで、得られたディップ成形用ラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
比較例1〜4
ディップ成形用ラテックスの共重合体組成が表1に示す組成となるように仕込みの単量体組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ディップ成形用ラテックスを製造した。次いで、得られたディップ成形用ラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
ディップ成形用ラテックスの共重合体組成が表1に示す組成となるように仕込みの単量体組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ディップ成形用ラテックスを製造した。次いで、得られたディップ成形用ラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
比較例5
ディップ成形用ラテックスとして、比較例1で製造したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)ラテックスと、比較例3で製造したアクリロニトリル−イソプレン共重合体(NIR)ラテックスとを、重量比が50:50となるように混合(ブレンド)したものを使用した。このブレンドラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
ディップ成形用ラテックスとして、比較例1で製造したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)ラテックスと、比較例3で製造したアクリロニトリル−イソプレン共重合体(NIR)ラテックスとを、重量比が50:50となるように混合(ブレンド)したものを使用した。このブレンドラテックスを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形用ラテックス組成物を調製し、ゴム手袋を得た。得られたゴム手袋を、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
表1より、以下のことが確認できる。
イソプレン単位を含まないディップ成形用ラテックスから製造した比較例1および2のゴム手袋は、いずれも引張強度に劣っている。
1,3−ブタジエン単位を含まないディップ成形用ラテックスから製造した比較例3のゴム手袋は、引張強度および伸びに劣り、しかも風合いも悪化している。
1,3−ブタジエン単位とイソプレン単位との含有割合が本発明の範囲外であるディップ成形用ラテックスから製造した比較例4のゴム手袋は、300%引張応力が高く、風合いに劣るものであった。
NBRとNIRとをブレンドしたディップ成形用ラテックスから製造した比較例5のゴム手袋は、引張強度に劣っている。
これらに対して、本発明のディップ成形用ラテックスから製造した実施例1〜3のゴム手袋は、いずれも、300%引張応力、および伸びを良好に保ちつつ、しかも、引張強度が高いものである。
イソプレン単位を含まないディップ成形用ラテックスから製造した比較例1および2のゴム手袋は、いずれも引張強度に劣っている。
1,3−ブタジエン単位を含まないディップ成形用ラテックスから製造した比較例3のゴム手袋は、引張強度および伸びに劣り、しかも風合いも悪化している。
1,3−ブタジエン単位とイソプレン単位との含有割合が本発明の範囲外であるディップ成形用ラテックスから製造した比較例4のゴム手袋は、300%引張応力が高く、風合いに劣るものであった。
NBRとNIRとをブレンドしたディップ成形用ラテックスから製造した比較例5のゴム手袋は、引張強度に劣っている。
これらに対して、本発明のディップ成形用ラテックスから製造した実施例1〜3のゴム手袋は、いずれも、300%引張応力、および伸びを良好に保ちつつ、しかも、引張強度が高いものである。
Claims (17)
- ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン単量体単位(A)40〜80重量%、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)10〜45重量%、およびエチレン性不飽和酸単量体単位(C)2〜15重量%からなり、
前記ブタジエン単位と前記イソプレン単位との含有割合が、重量比で、ブタジエン単位:イソプレン単位=40:60〜95:5である共重合体を含有してなるディップ成形用ラテックス。 - 前記共役ジエン単量体単位(A)が、ブタジエン単位およびイソプレン単位のみからなるものである請求項1に記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)が、アクリロニトリル単位である請求項1または2に記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)が、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体単位である請求項1〜3のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)が、メタクリル酸単位である請求項1〜4のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記共重合体が、前記共役ジエン単量体単位(A)、前記エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)および前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)以外の他の単量体単位(D)を含み、該他の単量体単位(D)の含有量が、全単量体単位100重量%に対して、10重量%以下のものである請求項1〜5のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記共重合体が、前記共役ジエン単量体単位(A)、前記エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)および前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)以外の他の単量体単位(D)を含み、該他の単量体単位(D)の含有量が、全単量体単位100重量%に対して、5重量%以下のものである請求項1〜6のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス。
- 前記共重合体が、前記共役ジエン単量体単位(A)、前記エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(B)、および前記エチレン性不飽和酸単量体単位(C)のみからなるものである請求項1〜5のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のディップ成形用ラテックスに、架橋剤を添加してなるディップ成形用ラテックス組成物。
- 前記架橋剤が、有機過酸化物である請求項9に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 前記有機過酸化物が、ジベンゾイルパーオキサイドである請求項10に記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 前記架橋剤の添加量が、前記ディップ成形用ラテックス中の固形分100重量部に対して、0.01〜5重量部である請求項9〜11のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 固形分濃度が20〜40重量%である請求項9〜12のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- pHが8.5〜12である請求項9〜13のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物。
- 請求項9〜14のいずれかに記載のディップ成形用ラテックス組成物を、ディップ成形して得られるディップ成形品。
- 厚みが0.05〜0.3mmである請求項15に記載のディップ成形品。
- アノード凝着浸漬法により得られるものである請求項15または16に記載のディップ成形品。
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