JPWO2006104142A1 - Mimoデコーダ及びmimo復号法 - Google Patents

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Abstract

チャネル行列の変化に応じて送信信号ベクトルの探索範囲を変化可能とするMIMOデコーダは、電波伝搬環境を示すチャネル行列より得られるムーワペンローズの一般逆行列を計算する一般逆行列計算部と、チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、その固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて、ムーワペンローズの一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルの探索範囲を決定する探索範囲限定処理部と、探索範囲限定処理部で決定された探索範囲に基づき最尤推定で送信信号ベクトルを探索する最尤推定部と、を有する。

Description

本発明は、移動通信などにおいて用いられるMIMO(多数入力/多数出力;Multiple-Input/Multiple-Output)空間多重伝送における最尤検出法に関し、特に、電波伝搬環境等の移り変わりによって変化するチャネル行列により送信信号ベクトルの探索範囲が変化する場合に適したMIMOデコーダ及びMIMO復号法に関する。
移動通信における電波伝搬路では、送信アンテナから到来する電波は、周囲の地形などに応じて反射や散乱を受け、一群の素波の集まりとなって受信機に到着する。各素波の伝搬経路長や位相は相互に異なることから、このように、反射や散乱を受けたことによる一群の素波が到着することによって、フェージング現象が生じる。フェージング現象は、品質の高い移動通信を実現する上で、常に障害となっている。このフェージングによる劣悪な電波伝搬環境の克服が、長年にわたる移動通信技術における課題であり、そのため、これまでにも色々な対応策が実用化されてきた。
近年、このフェージング現象を悪者扱いするのではなく、逆にフェージングを移動通信における電波伝搬に内在する可能性を秘めた環境資源として見直す動きが活発化している。その詳しい記載が、Gerard J. Foschini [1](非特許文献1)あるいは、Emre Telatar [2](非特許文献2)に開示されている。
また、近年、複数ユーザダイバーシチ(Multi-USER Diversity)と呼ばれる、フェージング変動における空間的位置独立性を利用して電波伝搬路に内在する環境資源を活用する動きも有り、これも上述したものと同様の動向の1つとも言える。
MIMOシステムでは、送信側において、相互に相関がない複数のアンテナを用いて送信系列を空間多重して送出し、受信側においては、相互に相関がない複数のアンテナを用いてこれらの信号系列を受信し、受信された信号系列に基づいて、送信側でそもそも送信したであろう送信系列を最尤推定によって求めるものである。このようなMIMOシステムは、フェージング現象に関する従来の考え方を覆すものである。
MIMOシステムについて先鞭をつけた上述の各文献には、移動通信における伝送媒体である空間に内在する伝搬路資源を活用する手だてとして、空間多重化処理された信号を効率的に活用するBLASTと呼ばれる空間伝送処理が開示されている。また、このBLASTの空間多重分離を低複雑度で実現するアーキテクチャとして、線形フィルタリングと干渉キャンセラとを組み合わせたV−BLASTと呼ばれる手法も開示されている。線形フィルタリングとしては、干渉成分を抑圧(ヌリング:nulling)するゼロフォーシング(Zero-Forcing;ZF)規範のもの、あるいは最小平均自乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)規範のものが一般的である。ZF規範にしたがいヌリングを行う線形変換としては、ムーワペンローズ(Moore-Penrose;MP)の一般逆行列が知られており、干渉キャンセラの特性向上を目的として、検出後のSNR(信号対雑音比;singal-to-noise ratio)が最も高いと簡易推定される順に検出する順序付け処理(オーダリング)がなされる。このシンボルの順序付けを行う操作として、ムーワペンローズ一般逆行列の重みベクトルに相当する最小ノルムを有する列ベクトルを優先して使うことが知られている。
あるいは、さらに低複雑度の手法として、QR分解による方法がある。すなわち、通信路行列(チャネル行列)HをQR分解によりH=Q・Rとすると、nT次元の送信アンテナ信号ベクトル
Figure 2006104142
と、nR次元の受信アンテナ信号ベクトル
Figure 2006104142
との間に以下の関係が成り立つ。
H・Y=R・X+QH・v
なお、行列やベクトルは、慣習上、ボールド体で記載されることが多いが、本明細書では表記の都合上、活字体で記載したところがある。また、送信アンテナ信号ベクトルのことを送信信号ベクトルと呼び、受信アンテナ信号ベクトルのことを受信信号ベクトルと呼ぶ。ここで、
Figure 2006104142
であり、雑音成分ベクトル
Figure 2006104142
はユニタリー変換されるので、QR分解によっては雑音強調は生ぜず、信号点間距離を維持したまま変換されることになる。このQRによる分解過程においては、SNRが高い順序で処理できるように行列内ベクトルの並び替えが可能で、SNRが最大化されるような順序(オーダリング)で検出するステップ処理を実現できる。このような方法は、ZF規範によるヌリング処理にあたるため、本質的に、受信アンテナの本数nRが送信アンテナの本数nTと同数であるかそれ以上であることを前提としている。
しかしながらこれらの方法は、初回のステップでのヌリングによる線形処理でnT−1次のヌル生成を行うため、ダイバーシティ利得がnR−nT+1のオーダーでしか得られない、という問題点を有する。したがって初回のステップにおける検出誤りが起こりやすく、その影響によって、後段の検出誤りを引き起こす誤り伝搬が生じることがある。
一方、最適検出を行うには、下式における最尤検出(most likelihood detection;以下、MLDと略す)を行うことになる。
Figure 2006104142
しかしながら、MLDでは、アンテナの本数と変調信号点のサイズ|A|とに対して指数関数的に複雑度が増大するので、符号化を考慮に入れると、MLDは事実上不可能である。そこで、低複雑度化の手法として、ターボ原理に基づく手法などが検討されている。上式は検出器にのみついてのMLDを示しているが、この複雑度を回避するため及び上述のV−BLASTにおける初段から後段への誤り伝搬による特性劣化を回避するため、言い換えるとフェージング環境におけるダイバーシティ利得を得る目的で、球内復号(Sphere Decoding;以下、SDと略す。)と呼ばれる復号法の適用が提案されている。SDの基本的な考え方は、受信信号点を中心とした適当な半径rの球に含まれる信号点について尤度計算を行い、限定された範囲内でMLDを行うといったものである。SDでは、半径rの選び方によって、効率が決まってくる。あるいは。信号点の数を尤度の大きさによって限定することによって、複雑度を回避する方法もある。
なお、MMSEとターボ原理による推定については、文献[3](特許文献1)に開示されているが、ここでは、最尤推定については触れられていない。また、推定対象もチャネルであって、送信系列ではない。同様に、文献[4](特許文献2)にも、MMSEとターボ原理による推定が開示されているが、ここではでは、最尤推定については触れられていない。
また、電波伝搬状態がよくない環境下でSNRを向上させる技術としては、従来より、アレイアンテナを用いる方法がある[5](特許文献3)。しかしながら、アレーアンテナを用いる方法は、アレーアンテナを構成するアンテナ間で相関があることが前提であり、複数のアンテナ間で相関がないことを前提とするMIMOによる方法とは、本質的に異なっている。
ここで、本明細書中で引用した文献を列挙しておく。
[1] Gerard J. Foschini, "Layered space-time architecture for wireless communications in a fading enverironment when using multiple antennas," Bell Labs Technical Journal, Vol. 6, No. 2, pp. 41-59, Autumn 1996 [2] Emre Telatar, "Capacity of multi-antenna Gaussian channels," European Transaction on Telecomunication, Vol. 10, No. 6, pp. 585-595, November/December 1999 [3] 特開2003−348057号公報 [4] 特開2003−152603号公報 [5] 特開2000−209018号公報
移動通信における究極の目的である“いつでも、どこでも、だれとでも”を実現するためには、時々刻々と移り変わる電波伝搬環境において、たとえ特異な反射物によってMIMOに適さない偏りのある散乱状態が生じたとしても、通信路容量拡大策である空間信号多重における信号分離を、高性能化による安定した品質で、しかも低複雑度で実現する必要がある。
一方、上述のV−BLASTは、低複雑度で実現できるものの、その方式自体に内在する誤り伝搬のために特性劣化を引き起こす、という課題を有する。また最適検出であるMLDは、高性能化は実現できるものの複雑度が高く、そのままでは採用することができない、という課題を有する。
MLDの複雑度を低減するために、送信信号ベクトルの信号点探索範囲を削減することが考えられており、探索範囲を限定するMアルゴリズム(M-Algorithm)や球内復号(SD)といった色々な手法の提案がこれまでにもなされてきた。
ところで、空間信号多重により通信路容量の拡大を図ったMIMOシステムでは、その性能が電波伝搬環境に依存しやすいという特徴を有している。しかしながらMIMOシステムに関する現在までの検討は、主に、i.i.dチャネル(independent identically distributed channel)、すなわち、送受アンテナ素子間の伝搬路特性が統計的に同一でかつ無相関のチャネル)に対するものであり、上記の信号点探索範囲を限定した各種アルゴリズムも、このi.i.dチャネルを前提として検討されている場合が多い。すなわち、一般的なMIMO伝搬環境はi.i.dチャネルであり、その分散行列の固有値の確率分布はウェシャード分布となる。
しかしながら実環境では、特異な反射物によって散乱が制限される場合が多いが、そのような場合、もはやi.i.d環境とはならず特異な固有値分布となる。その結果として適切となるべき探索範囲に偏りが生じる。したがって、i.i.dチャネルを仮定して最適な探索範囲の限定を行った上記の各種簡易化アルゴリズムも、一様でない反射物によるMIMOに適さない散乱状態の電波伝搬環境に移ってきた場合には、もはや最適な探索範囲を限定することとはならず、MLD本来の高性能化による安定した品質を実現できないといった問題を有する。あるいは逆に、MIMOに適さない偏りのある散乱状態の電波伝搬環境を想定して、探索範囲の限定の度合いを緩くし、特性劣化を食い止めようとすることも考えられる。しかしながらこの場合は、アルゴリズムの簡易化の効果がなくなって高複雑度のMLDに近づき、もはや低複雑度で実現できなくなってしまう。
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、移動通信における究極の目的である“いつでも、どこでも、だれとでも”を実現するために、時々刻々と移り変わる電波伝搬環境でたとえMIMOに適さない偏りのある散乱状態に移ってきた場合でも、通信路容量拡大策である空間信号多重における信号分離を、高性能化による安定した品質でしかも低複雑度で実現するMIMOレコーダを提供することを目的とする。言い換えれば、MIMOに適さない偏りのある散乱状態に移ってきた場合でも、最小限の探索範囲、すなわち回路規模で最も効率的に探索することによりMIMOを効果的に動作させることを目的としている。
このようなMIMOレコーダを実現するにあたっては、固有値並びに固有ベクトルの抽出を低複雑度で実現することがポイントとなるが、本発明は、低複雑度でしかも高速に構成したヤコビ回転計算を実行することにより、全体でみた複雑度を上げることなく固有値並びに固有ベクトルの抽出処理を実行できる手段を提供することも目的とする。
本発明の第1の様相に従えば、MIMOデコーダは、電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より得られるムーワペンローズの一般逆行列を計算する一般逆行列計算手段と、一般逆行列計算手段によって計算された一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルを探索する探索手段と、を有し、送信信号ベクトルの探索範囲はチャネル行列または仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、探索手段は、チャネル行列または仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、その固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて送信信号ベクトルの探索範囲を決定する。
本発明の第2の様相に従えば、MIMOデコーダは、電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より最小平均自乗誤差規範に基づく処理を実行する最小平均自乗誤差規範計算手段と、最小平均自乗誤差規範計算手段によって計算された検出結果を中心として送信信号ベクトルを探索する探索手段と、を有し、送信信号ベクトルの探索範囲はチャネル行列または仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、探索手段は、チャネル行列または仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、その固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて送信信号ベクトルの探索範囲を決定する。
本発明において、探索手段は、計算された固有値のうち、最小の固有値に対応する固有ベクトルに対しては最小の固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、最小の固有値以外の固有値に対応する各固有ベクトルに対しては、それら各固有ベクトルに対応するスカラー量に対してそれら各固有ベクトルに対応する各固有値の平方根に反比例する重み付けを行うようにしてもよい。その場合、探索手段は、最小の固有値に対応する固有ベクトルを選択してその選択された固有ベクトル内の各要素関係を維持しつつ、最小の固有値以外の各固有値の平方根に反比例した形態で、選択された固有ベクトル内の各要素に探索範囲の幅を持たせるようにしてもよい。
本発明において、チャネル行列または仮想チャネル行列に基づいて固有値・固有ベクトルを求める際に、ヤコビ回転を用いて固有値及び固有ベクトルを計算するとともに、ヤコビ回転における回転角を2の負の冪に対する複数の逆正接の極性付き和としてグループ毎に逐次的に分解する分解手段を設け、分解手段により得られたグループ毎の複数の極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする回転行列をヤコビ回転に用いるようにするとよい。このような分解手段は、例えば、互いに異なる複数の2の負の冪に対する逆正接をグループ毎に値として持つメモリと、メモリのグループを示すアドレスを発生する手段と、メモリから読み出された複数の逆正接データの極性付き和及び前回までの極性付き和の蓄積結果とヤコビ回転角を比較する手段と、を有し、比較の結果をもって今回のグループ内逆正接の極性とする。
本発明において、上述した仮想チャネル行列は、送受信機の不完全性に基づく寄与を含んでいてもよい。
本発明の第3の様相に従えば、MIMO復号法は、送信信号を受信して送信信号ベクトルを得る段階と、電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より得られるムーワペンローズの一般逆行列を計算する段階と、チャネル行列または仮想チャネル行列を基に固有値及び固有ベクトルを計算する段階と、ムーワペンローズの一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルを探索する探索段階と、を有し、送信信号ベクトルの探索範囲はチャネル行列または仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、探索段階において、チャネル行列または仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、その固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて送信信号ベクトルの探索範囲が決定される。
本発明の第4の様相に従えば、MIMO復号法は、送信信号を受信して送信信号ベクトルを得る段階と、電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より最小平均自乗誤差規範に基づく処理を実行する段階と、チャネル行列または仮想チャネル行列を基に固有値及び固有ベクトルを計算する段階と、最小平均自乗誤差規範に基づく処理による検出結果を中心として送信信号ベクトルの探索する探索段階と、を有し、送信信号ベクトルの探索範囲はチャネル行列または仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、探索段階において、チャネル行列または仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、その固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて送信信号ベクトルの探索範囲が決定される。
本発明では、送信信号ベクトルの探索範囲が、電波伝搬環境の移り変わりによって変化するチャネル行列または仮想チャネル行列に応じて変化することが可能であり、その探索範囲がチャネル行列または仮想チャネル行列を基に計算された固有値の平方根に反比例する如く重み付けされた固有ベクトルによって決定されるので、たとえMIMOに適さない偏りのある散乱状態に陥った場合であっても、通信路容量拡大策である空間信号多重における信号分離を、高性能化による安定した品質でしかも低複雑度で具現化できる。したがって、本発明は、移動通信の究極目的である“いつでも、どこでも、だれとでも”を実現するための手段を提供する。
このようなMIMOデコーダにおいては、時々刻々と移り変わるチャネル行列または仮想チャネル行列に合わせてムーワペンローズの一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルを探索する際に、送信信号ベクトルの探索範囲が、チャネル行列または仮想チャネル行列を基に得られた固有値の平方根に反比例する如く重み付けされた固有ベクトルを軸とした超楕円によって決定される。このとき処理のネックとなるのが固有値並びに固有ベクトルの検出であるが、本発明では、ヤコビ回転によって固有値並びに固有ベクトルを抽出する際に、回転角を2の負の冪に対する複数の逆正接の極性付き和としてグループ毎に逐次的に分解し(Factorization & Grouping)、その結果得られたグループ毎の複数の極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする回転行列を用いてヤコビ回転を行う。このように構成したことによって、ヤコビ回転の計算は、ハードウェア構成として回路上の配線入れ替え(スイッチ)による2の負の冪の処理と加算器のみで行うことができ、したがって、低複雑化とグループ化による高速化の両方が同時に達成される。このようにして本発明は、移動通信における究極の目的である“いつでも、どこでも、だれとでも”をMIMOシステムでも実現できるようにしている。
上述したような構成を採用することにより、本発明によれば、移動通信における究極の目的である“いつでも、どこでも、だれとでも”が、MIMOシステムでも実現できるようになる。本発明によれば、時々刻々と移り変わる電波伝搬環境下で、たとえMIMOに適さない偏りのある散乱状態に移ってきた場合でも、通信容量拡大策である空間信号多重における信号分離を。高性能化による安定した品質でしかも低複雑度で実現できる。
本発明は、チャネル行列または仮想チャネル行列の固有値と固有ベクトルの抽出をヤコビ回転により低複雑度でしかも高速に実行する手段を提供する。この固有値と固有ベクトルの抽出処理は、1フレーム当たり1回行えば良いので、毎回処理が必要なMLDに比べて相対的に低複雑度となる特徴があり、全体としてみた複雑度がさらに低くなる。上述したように、ヤコビ回転によって固有値・固有ベクトルを求める際、回転角を2の負の冪に対する複数の逆正接の極性付き和としてグループ毎に逐次的に分解し、その結果得られた該グループ毎の複数の極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする回転行列をヤコビ回転に用いることができるので、上述したように、2の負の冪の線形和を要素とする行列演算は、ハードウェア構成として、回路上配線の入れ替えと加算器のみで実現できる。したがって、本発明は、グループ化による高速化が可能で低複雑度かつ高速な実現手段を提供できる。
本発明では、ムーワペンローズの一般逆行列を計算する代わりに最小平均自乗誤差(MMSE規範)規範に基づく検出結果を中心として送信信号ベクトルを探索することによって、さらに高性能化による安定した品質を有するMIMOデコーダを低複雑度で実現することができる。
本発明では、送信信号ベクトルの探索範囲の設定を行う際、計算された固有値のうち、最小の固有値に対応する固有ベクトルに対しては最小の固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、最小の固有値以外の固有値に対応する各固有ベクトルに対しては、それら各固有ベクトルに対応するスカラー量に対してそれら各固有ベクトルに対応する各固有値の平方根に反比例する重み付けを行うようにすることにより、送信信号ベクトルの探索範囲決定の処理を簡略化できる。その際、最小の固有値に対応する固有ベクトルを選択してその選択された固有ベクトル内の各要素関係を維持しつつ、最小の固有値以外の各固有値の平方根に反比例した形態で、選択された固有ベクトル内の各要素に探索範囲の幅を持たせるようにすることにより、送信信号ベクトルの探索範囲決定の処理をさらに簡略化できる。
二次元の実数の場合で示した固有値と固有ベクトルによる探索範囲限定処理の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態のMIMOデコーダの構成を示すブロック図である。 二次元の複素数の場合で示した固有値と固有ベクトルによる探索範囲限定処理の例を示す図であり、固有ベクトルが単一要素の場合を示している。 チャネル行列による固有値の例を示す図である。 二次元の複素数の場合で示した固有値と固有ベクトルによる探索範囲限定処理の例を示す図であり、固有ベクトルの複数の要素が存在している場合を示している。 ヤコビ回転演算部の構成を示すとともにヤコビ回転を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内のωpq極性検出部を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内のユニタリー行列演算部を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内の2θ極性検出部を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内の2θ復元部を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内のθ極性検出部を説明する図である。 ヤコビ回転演算部内の回転行列演算部を説明する図である。 固有値・固有ベクトル計算部の構成を示すとともにヤコビ回転による固有値と固有ベクトルの演算を説明する図である。 逆正接量子化回路(ASC;Angle to Sine Converter)の構成を示すブロック図である。 角度復元回路(SAC;Sign to Angle Converter)の構成を示すブロック図である。
符号の説明
101 チャネル行列計算部
102 一般逆行列計算部
103 固有値・固有ベクトル計算部
104 探索範囲限定処理部
105 最尤推定部
106 復号器
107 切り替えスウィッチ
108 受信アンテナ
601 ωpq極性検出部
602 ユニタリー行列演算部
603 2θ極性検出部
604 2θ復元部
605 θ極性検出部
606 回転行列演算部
607 完了条件比較処理
701 固有ベクトル計算部
702 固有値計算部
703 ヤコビ回転演算部
801,901 メモリ
802,902 アドレス発生回路
803 極性付き加算器
804,906 レジスタ
805 比較器
806 極性選択器
807 減算器
808,904,905 加算器
809 選択器
903 極性付け回路
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の理論的な裏付けを解析的に示す。
MIMOシステムにおけるMLDの計算量削減技術には、従来から種々のものが知られているが、その複雑度は、送信アンテナから送信されたであろう送信信号ベクトルの探索範囲、あるいは送信ベクトル内各要素の探索範囲の適正な限定処理に帰着する。そこでまず、その適正な探索範囲が電波伝搬環境の違いによって異なることを解析的に示す。
サンプリング時刻iにおけるnR個の受信アンテナを持つ受信信号ベクトルy(i)を
Figure 2006104142
とし、nT個の送信アンテナを持つ送信信号ベクトルs(i)を
Figure 2006104142
とすると、チャネル行列
Figure 2006104142
を用いて、
Figure 2006104142
ここでv(i)は、Nc(0,InR)を要素にもつベクトルである。
以下、表記上の混乱のおそれがない場合には、y(i)などを、単にyのように書くことがある。
このような条件で送信信号ベクトルs(i)を最尤検出(MLD)するのであるから、以下のようになる。
Figure 2006104142
(6)式と(7)式の両辺を引き算すると、
Figure 2006104142
が得られる。既に受信済みの受信信号ベクトルyの基で送信信号ベクトルsの最尤推定を行うのであるから、(9)式の右辺第2項は確定済みであり、また、
Figure 2006104142
はムーワペンローズの一般逆行列解で確定済みである。したがって(5)式は、以下の(11)式に帰着する。
Figure 2006104142
(11)式においてムーワペンローズの一般逆行列解
Figure 2006104142
を中心に単位ユークリッド自乗距離の拘束条件の下で極小を与える
Figure 2006104142
は、以下のように、ラグランジュの未定乗数法を用いて解析的に求めることができる。すなわち、
Figure 2006104142
この条件の下での評価関数を
Figure 2006104142
が得られる。したがって、定数λを用いて
Figure 2006104142
が得られる。このuを条件なしで極値にする
Figure 2006104142
を求めればよい。
ベクトル
Figure 2006104142
に関する微分は、共役導関数
Figure 2006104142
によって解くことができ、
Figure 2006104142
を満足する
Figure 2006104142
を求めれば良いから、
Figure 2006104142
が得られる。(16)式は、固有ベクトルと固有値の定義そのものに他ならない。
したがって、評価関数
Figure 2006104142
を拘束条件
Figure 2006104142
の下に最小(最大)にするベクトル
Figure 2006104142
は、Ω=HH・Hの固有値λ12,...,λnに対応する固有ベクトル
Figure 2006104142
の中にある。(16)式の両辺に左から
Figure 2006104142
を乗算すると、
Figure 2006104142
であるから、評価関数
Figure 2006104142
の最小値(最大値)は、最小固有値(最大固有値)λmin(λmax)そのものであり、その時のベクトル
Figure 2006104142
は、λmin(λmax)に対する固有ベクトルである。
以上の関係を使って送信信号ベクトルsを最尤推定するわけであるが、実はこの問題はNP完全問題として知られており、これ以上解析的に解くことは期待できない。そこで探索によって解を見いだすことになる。
今、エルミート行列Ω=HH・Hをスペクトル分解すると、
Figure 2006104142
ここで、λnは固有値、enは正規化された固有ベクトルであり、{en}は正規直交系である。任意の送信信号ベクトルsに対して、
Figure 2006104142
Ωはエルミート行列であるから、その固有値λnは、全て必ず実数で非負である。
今、任意のcに対して
Figure 2006104142
を満足する送信信号ベクトルsに対してスカラー値
Figure 2006104142
とすると、(19)式より、
Figure 2006104142
は超楕円である。したがって、
Figure 2006104142
は、e2方向での適当な距離を与えることになる。
すなわち、
Figure 2006104142
を満足する送信信号ベクトルsは、ムーワペンローズの一般逆行列解
Figure 2006104142
を中心として固有値の平方根に逆比例する長さを持ち、軸がΩ=HH・Hの固有ベクトルで与えられる超楕円上に存在することになる。
直感的理解の説明のしやすさから二次元の実数の要素の場合で示した簡単な例を図1に示す。図1より、
Figure 2006104142
の軸が固有ベクトルで与えられる楕円となる。
Figure 2006104142
となってe1方向での最適な探索範囲を示し、
Figure 2006104142
となってe2方向での最適な探索範囲を示す。すなわち、固有値の平方根に反比例する長さで軸が固有ベクトルで与えられる楕円上の探索領域c2=λ1・|t1|2+λ2・|t2|2が、最適な探索範囲となる。
一方、従来の探索範囲は、全方位で探索を行っているため、図2で記された円となる。したがって本発明の固有値を使った探索範囲と同様の性能を従来の方法で出そうとすると、最適範囲である楕円を含む広い円の領域となって、探索範囲の適正な限定処理がなされていないことが分かる。逆に同等の領域で探索を実行した場合、円の半径が狭くなって、本来の探索すべき領域が外れることによる特性劣化を生じることになる。
これらの固有値並びに固有ベクトルは、電波伝搬環境を表すチャネル行列Hより求めたものである。したがって時々刻々と移り変わる電波伝搬環境でMIMOに適さない偏りのある散乱環境に移ってきた場合、固有値分布が変わってくる。図2の場合、λ1<λ2を仮定して書かれているが、電波伝搬環境がMIMOに適さない偏りのある散乱状態(アンテナ間の相関が出てくる状態であって、もはやi.i.d.チャネルではない状態)になると、固有値の分布に広が生じる。すなわち図2でいうならば、λ1とλ2の差がさらに開いてゆくことになる。すると、本発明の固有値を使った探索範囲と従来の全方位型の円の探索範囲との差がさらに広がる結果となり、同じ
Figure 2006104142
の領域を確保しようとすると、従来の方法では、円半径を増加させてMLDに近い複雑度での対処を余儀なくされるか、あるいは同じ探索範囲で特性劣化を生じさせるかといった問題を生じることになる。
それに対して本発明の固有値を用いた方法では、必要最小限度の
Figure 2006104142
によって規定された最適な探索範囲となっているため、複雑度を増加させることなく高性能で安定した品質を実現できるのである。
以上、送信信号ベクトルの適正な探索範囲、あるいは送信ベクトル内各要素の適正な探索範囲が電波伝搬環境の違いによって異なることを示した。
次に、本発明の第1の実施形態のMIMOデコーダの構成について説明する。図2は、このMIMOデコーダの全体構成を示すブロック図である。
MIMOデコーダには、nR個の受信アンテナ108が接続している。MIMOデコーダには、各受信アンテナ108からの受信信号(受信系列)が入力してチャネル行列Hを計算しΩ=HH・Hを計算するチャネル行列計算部101と、チャネル行列Hに関するムーワペンローズ(MP)の一般逆行列を計算する一般逆行列計算部102と、チャネル行列Hの固有値及び固有ベクトルを計算する固有値・固有ベクトル計算部103と、一般逆行列計算部102で計算されたムーワペンローズ一般逆行列と固有値・固有ベクトル計算部103で計算された固有値及び固有ベクトルとに基づいて探索範囲を限定する処理を実行する探索範囲限定処理部104と、受信アンテナ108から受信系列が入力し、探索範囲限定処理部104で限定された探索範囲内で最尤推定を行う最尤推定部105と、信号系列の復号を行う復号器106と、復号器106への入力を切り替える切替スイッチ107と、を備えている。
ここでは特に図示はしていないが、送信側のnT個の送信アンテナより送出された送信信号ベクトルは、時々刻々と変化する電波伝搬路を経て、nR個の受信アンテナ108に到着する。この入力信号であるnR個の信号を受信信号ベクトルyとして扱うが、送信機から電波伝搬路を経て受信機のRF(無線周波数)フロントエンド、さらに整合フィルタや白色化フィルタまでも含めて仮想伝搬路として扱い、その仮想伝搬路をモデル化した仮想チャネル行列の乗算結果をもって受信信号ベクトルyとして扱ってもよい。また、送受信機の不完全性もこの仮想チャネル行列に含ませて扱ってもよい。
このMIMOデコーダでは、電波伝搬環境などの移り変わりによってチャネル行列あるいは仮想チャネル行列が変化した場合に、そのように変化したチャネル行列あるいは仮想チャネル行列に応じて送信ベクトルの探索範囲が変化する。そのため、探索範囲限定処理部104は、ムーワペンローズの一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルが探索されるようにするが、その際、チャネル行列(あるいは仮想チャネル行列)の固有ベクトルに対し、そのチャネル行列(あるいは仮想チャネル行列)の固有値の平方根に反比例するように重み付けを行い、重み付けがなされた固有ベクトルによって探索範囲が決定されるようにする。
次に、図2に示したMIMOデコーダの動作について説明する。
送信側は、チャネル行列Hを受信側で推定できるようにするために、ユーザーデータを送る前に、送信アンテナごとに異なる直交したパイロット信号を送信する。このパイロット信号は受信アンテン108で受信され、その結果、チャネル行列計算部101は、
Ω=HH・H …(22)
の計算が実行される。ここでHは、チャネル行列あるいは上述の仮想チャネル行列である。また同時に一般逆行列計算部102は、この演算結果を用いて
(HH・H)-1・HH …(23)
を計算し、固有値・固有ベクトル計算部103は、後述するヤコビ回転により、固有値λ12,...,λn並びにそれに対応する固有ベクトルe1,e2,...,enをΩより計算する。
探索範囲限定処理部104は、固有値・固有ベクトル計算部103より送られてきた固有値λ12,...,λn並びに固有ベクトルe1,e2,...,enを基に、予め設定されてある探索領域定数
Figure 2006104142
に合うように、中心を原点とした探索範囲を計算する。すなわち探索範囲限定処理部104は、上述のように各固有ベクトルを軸として固有値の平方根に反比例する長さで
Figure 2006104142
によって形成される超楕円を決定する。これらの処理は1フレーム当たり1回行えばよいので、後述するように毎回の処理が必要な最尤推定(MLD)に比べて、相対的にゆっくりした処理が可能である。
次に、送信機からユーザーデータが送られて来るので、探索範囲限定処理部104は、受信信号ベクトルyと一般逆行列計算部102からの演算結果である(HH・H)-1・HHを用いて、一般逆行列解(HH・H)-1・HH・yを計算し、その結果を探索範囲の中心値
Figure 2006104142
として用いる。これによって最終的な探索範囲が決定したことになる。その後、最尤推定部105は、探索範囲限定処理部104で設定した探索範囲内で探索を実行し、最も近い送信信号ベクトルの絞り込みを行い、必要に応じて対数尤度比として復号器106へ出力する。また限定された探索範囲内に推定対象の送信信号ベクトルが存在しなかった場合、切り替えスイッチ107が復号器106への入力を探索範囲限定処理部104へ切り替え、探索範囲限定処理部104において計算されたムーワペンローズの一般逆行列解(HH・H)-1・HH・yあるいは必要に応じて対数尤度比化した信号が復号器106へ出力されるようにする。
以上の説明では、ムーワペンローズの一般逆行列解を探索範囲の中心あるいは探索範囲内の送信信号ベクトルが存在しなかった場合の推定値として用いていたが、さらに高性能で安定した品質を実現するために、(25)式で計算される最小平均自乗誤差(MMSE規範)規範に基づく処理をムーワペンローズの一般逆行列計算と入れ替えてもよい。
Figure 2006104142
次に、本発明の第2の実施形態のMIMOデコーダについて説明する。第1の実施形態では、直感的理解と説明のし易さから実数の要素の場合で説明したが、ここでは、二次元変調も考慮した複素数の要素の場合で説明する。本実施形態の特徴は、ベクトルとスカラーの組み合わせによる低複雑度の実現方法を示した点である。
まず簡単な例を想定して説明する。行列の要素が複素数となるので、説明の都合上、各固有ベクトルが単一要素の直交関係にある場合とし、二次元のチャネル行列を例にとって説明する。
Figure 2006104142
が得られ、これより固有値と固有ベクトルは、
Figure 2006104142
の関係から、以下のようになる。
Figure 2006104142
この場合、送信信号ベクトルの探索は、要素ごとに独立に行うことができ、
Figure 2006104142
とすると、上述の説明より最適な探索範囲は固有値の平方根に反比例するから、第1の固有値及び固有ベクトルすなわちxに対しては、
Figure 2006104142
第2の固有値及び固有ベクトルすなわちyに対しては
Figure 2006104142
となる。この関係を図3に示す。図3においてReは実軸を示し、Imは虚軸を示している。図3では、λ1<λ2を仮定して書かれているので、要素xに対する探索範囲が要素yに対する探索範囲に比べて広くなっている。二次元変調された送信信号ベクトルの第1の要素xに相当する信号点をこの複素平面上で探索することになるが、要素yに対する探索範囲が狭くなり、低複雑度で探索が効率的に行われることが分かる。二次元変調された送信信号ベクトルの第2の要素yについては、この狭い探索範囲である複素平面上で信号点を探索するだけでよい。
次に、チャネル行列内要素が互いに関連しあった状態で探索範囲の限定を行う場合、すなわち、上述の各例とは異なり固有値ベクトルの複数の要素成分が存在している場合について、具体的な実施形態を基に説明する。この実施形態は、最小固有値に対してはベクトルで、その他の固有値に対してはスカラーで各固有値の平方根に反比例する如く重み付けを行うことにより、固有ベクトルの探索範囲決定のための機構を簡単化して回路規模の削減を図ったものある。説明のし易さを考慮して、以下では二次元のチャネル行列Hで説明する。
Figure 2006104142
この固有値は、以下の様にして求めることができる。
Figure 2006104142
これをλについて解くと、λ12が以下の様に求まる。
Figure 2006104142
このときの、φを+180度から−180度まで変化させたときのφとλ12との関係を図4に示す。図4から分かるように、λ1とλ2の差の大きくなる状態が、φの小さい領域で存在する。
この固有値λに対する固有ベクトル
Figure 2006104142
は、
Figure 2006104142
となる。したがって、
Figure 2006104142
が得られる。送信信号ベクトルの最適な探索範囲はこの固有ベクトルを固有値の平方根に逆比例する形で重み付けした軸による楕円となる。したがって任意のcに対して
Figure 2006104142
で決定される楕円内を探索範囲とすればよいことが分かる。
しかしここでは、もっと簡単化して低複雑度で実現した実施形態を説明する。すなわち、もっとも影響力のある最小固有値に対してはベクトルで、その他の固有値に対してはスカラーで、各固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、探索範囲限定処理の回路規模の削減を図った方法である。
探索範囲内の観測点を互いに直交する上述した固有ベクトルe1,e2を軸として表現すると、
Figure 2006104142
となる。(37)式の両辺に左からe1 Hを乗じてαを、またe2 Hを乗じてβを以下のように得ることができる。
Figure 2006104142
これは上記のt1,t2に相当するものであるから(複素共役になっているが本質的に同じものである)、上述と同様の同じ楕円の探索範囲を構成する。
そこで複素平面上の単位円内に限定した複素変数
Figure 2006104142
を用いて上記関係を表現し直すと、以下のようになる。
Figure 2006104142
ここで、(39)式は複数のベクトルを使った任意の組み合わせによる構成となるものであるから、(39)式を処理することとなる探索範囲限定処理部の複雑度が大きくなる。そこで探索範囲限定処理結果への寄与度の少ない(39)式の右辺第2項をスカラー化することとして複雑度の削減を考えると、以下のようになる。
Figure 2006104142
となる。この結果をチャネル行列のψ=36度の状態で見ると、図4より、λ1=0.1、λ2=3.9である。したがって、探索用の信号ベクトル
Figure 2006104142
の要素xについての探索範囲は、図5の要素xに示すように、そのほとんどがλ1=0.1で決まる成分となって、半径が
Figure 2006104142
の円の領域となる。それにスカラー成分である
Figure 2006104142
が少し1わるだけで要素xに対する探索領域は決定される。このとき、要素xに連動して要素yの探索も行われる。複素平面上における要素xの探索点を
Figure 2006104142
とすると、連動して行われるyの探索は、
Figure 2006104142
あるいはより厳密に
Figure 2006104142
で全方位探索を行うことになる。図5の要素yに示す領域がそのときの探索範囲である。
図5より、要素xに連動して要素yの探索範囲は、半径
Figure 2006104142
によりかなり絞り込まれた領域になることが分かる。このように絞り込まれた領域を探索範囲に限定しても
Figure 2006104142
を満たす領域は全て網羅しているのである。
本実施形態では、探索範囲の設定に際し、最小固有値に対応する固有ベクトルのみをベクトルとして扱い、その他の固有値に対してはスカラー値で探索範囲に寄与させることによって処理規模の削減が図られ、さらに、同ベクトルとしての扱いは、ベクトル内各要素がベクトルとしての関係を維持しつつ他の固有値に対するスカラー値を各固有値の平方根に反比例した形で各要素の探索範囲に幅をもたせることによって、さらに低複雑度で具現化が可能となっているのである。
次に、図2に示したMIMOデコーダの固有値・固有ベクトル計算部103で行われる、Ωからヤコビ回転により固有値λ12,...,λn並びにそれに対応する固有ベクトルe1,e2,...,enを計算する方法について説明する。すなわち、このヤコビ回転を低複雑度で高速に実現する固有値・固有ベクトル計算部を持つMIMOデコーダの実施形態を説明する。他の実施形態と異なる特徴的な部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴は、固有値・固有ベクトル計算部においてヤコビ回転を実施する際に、回転角を2の負の冪(べき)に対する複数の逆正接(アークタンジェント;arctanまたはtan-1)の極性付き和として分解し、このように分解した時に得られる極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする回転行列を用いて、ヤコビ回転を実施した点にある。本実施形態の構成を説明する前に、まず、ヤコビ回転によって固有値並びに固有ベクトルを得る過程を説明する。
固有値・固有ベクトル計算部の入力は、Ω=HH・Hである。ヤコビ回転は、このΩに対して、
Ω・X=λ・X …(42)
となるスカラー値である固有値λと固有ベクトルであるXとを出力する処理である。
(42)式の両辺に左から正則行列Mを乗ずると、
M・Ω・X=λ・M・X …(43)
となる。ここで、y=M・Xとおくと、X=M-1・yであるから、
M・Ω・M-1・y=λ・y …(44)
が得られる。すなわち、ΩをM・Ω・M-1に置き換えても固有値並びに固有ベクトルは変わらないことが示されている。この変換を何回か繰り返して簡単な形に変形することを考える。今、この正則行列Mとして、次のような要素を考える。
Figure 2006104142
ここでp,qは行番号である。角度θの決め方は後述する。Mを図解すると以下のようになる。
Figure 2006104142
実際に計算してみれば分かるように、行列Mには以下の性質がある。
Figure 2006104142
すなわち、M・MH=Iであって、M-1=MHとなり、(44)式における逆行列をわざわざ計算する必要がなく、以下のような簡単な計算で済ませることができる。
Figure 2006104142
(47)式に対してさらに右からM-1=MHを乗じて、
Figure 2006104142
を得る。この変換後の行列M・Ω・M-1を新たにnewΩとおくと、以下の関係が成り立つ。
Figure 2006104142
この新たな行列newΩもエルミート行列であるから、対角要素は全て実数となる。しかし非対角要素については複素数の場合もある。ヤコビ回転では、全ての非対角要素の内の任意の要素であるnewΩpq,newΩqpを“0”になるようにθを決める。非対角要素は複素数の場合もあるので、まず対象となる要素を実数に変換してからヤコビ回転を行う方法をこの実施形態では用いることにする。Ωpq及びΩqpをターゲットとしているのであるから、以下のユニタリー行列M(−ωpq)を用いる。ここで、
Figure 2006104142
である。
Figure 2006104142
M(−ωpq)による変換後のΩは、
Figure 2006104142
となり、これもエルミート行列であるから、上述の関係から置き換えても、固有値並びに固有ベクトルは変わらない。また対角要素はそのままで、ターゲットとしているΩpq及びΩqpの変換後の値はともに等しい実数となる。この変換後の行列をΩとして扱うものとする。すると(47)式から(48)式の変換によって得られたnewΩのターゲット要素は、(49)式より、
Figure 2006104142
となる。ヤコビ回転はこの値を“0”になるようにθを決めるのであるから、
Figure 2006104142
となる。この回転角θを使ったヤコビ回転の具体的手順は、本実施形態では、Ωの非対角要素の中でその絶対値が最大のものを上述のターゲットΩpq及びΩqpとし、そして新しい変換後のnewΩpq,newΩqpが“0”になるようにθを決めるという操作を非対角要素が十分小さくなるまで繰り返す。すると固有値は、変換後の新しいnewΩの対角要素上に並ぶようになる。この反復処理は必ず収束する。その収束過程を以下に説明する。
今、1回分の変換後の新しいnewΩの行列をBとすると、
Figure 2006104142
行列のトレースの関係として、任意の正方行列A,Bについて、
tr[A・B]=tr[B・A]
の関係があるから、
Figure 2006104142
が成り立つ。また、任意の正方行列Aについて、
Figure 2006104142
であるから、次の結果を得る。
Figure 2006104142
(58)式は、変換後の新しいnewΩの行列の全ての要素のパワー和が変換前の行列の全ての要素のパワー和と同じで一定の値に保たれていることを示している。(49)式と(58)式の関係を用いると、
Figure 2006104142
が得られる。これらの式のうち、最初の1式は、各要素の変更がないから、そのパワー和も変わらない。次の2式は、
Figure 2006104142
となって、そのパワー和は変わらない。次の2式も、
Figure 2006104142
となってそのパワー和は変わらない。そして残りは、
Figure 2006104142
であり、以下の式の組み合わせを見ると、
Figure 2006104142
となって、
|bpp|2+|bpp|2+2|bpq|2=Ωpp 2+Ωpp 2+2|Ωpq|2
が導かれる。上述したように、bpq=0となるようにθを選んだのであるから、結局
|bpp|2+|bpp|2=Ωpp 2+Ωpp 2+2|Ωpq|2 …(64)
が得られる。すなわちこの変換によって対角成分のパワー和が増加したことになる。一方、行列全体の要素のパワー和は、(58)式の関係に示されるように、変わらずに一定に保たれているのであるから、非対角成分のパワー和は、結局この増加した分だけ減少したことになる。したがって非対角要素のパワー和は、
Figure 2006104142
となる。ここで、p,qは、
Figure 2006104142
となるように選んだのであるから、少なくとも、
Figure 2006104142
である。非対角要素の全体のパワー和は、
Figure 2006104142
となる。このような回転の繰り返しにより非対角要素は全体として減少し、“0”に収束する。
すなわち、Ωの非対角要素の中でその絶対値が最大のものをターゲットΩpq及びΩqpとし、そして新しい変換後のnewΩpq,newΩqpを“0”になるようにθを決めるという操作を非対角要素が十分小さくなるまで繰り返す。この反復過程において、固有値は、変換後の新しい行列newΩの対角要素上に並ぶようになるのである。この反復処理を式で表すと以下のようになる。
Figure 2006104142
ここでMは、
Figure 2006104142
となる。また、(54)式より、
Figure 2006104142
次に、固有ベクトルの算出を説明する。まず、(69)式を以下のように簡略化して書き直す。
Figure 2006104142
(74)式から最小固有値λminを与える固有ベクトルeminを抽出するために、(74)式のM・Ω・MH=Λの両辺に左からMHを乗ずる。(46)式及び(50)式より、MH=M-1であるから、
Figure 2006104142
となる。ここで、MH=[m12 … mn]とすると、
Figure 2006104142
となる。したがって、Ω・mi=λi・mi(ここでi=1,2,...,n)でこの中から最小固有値λminに対する固有値ベクトルmmを選択すれば、それが求める最小固有値に対する固有ベクトルである。他の固有ベクトルも同様である。すなわちMHの列ベクトルを抽出している。(74)式より、MH=M1 H・M2 H・…・MN Hであり、ヤコビ回転の反復処理と平行して逐次的に
Figure 2006104142
のように計算している。この計算も、後述する2の負の冪の線形和を要素とするヤコビの回転行列により低複雑度で具現化できるので、本実施形態の本質は、後述する部分となる。
以上がヤコビ回転によって固有値並びに固有ベクトルを得る過程の説明である。
次に、この回転角を2の負の冪に対する複数の逆正接の極性付き和として分解した時に得られる極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とするヤコビの回転行列により低複雑度で具現化した実施形態について説明する。
まず、ヤコビ回転での処理の順を追って、低複雑度で具現化した本実施形態を説明する。
(48)式に示すように、ヤコビ回転の前半の処理で変化を受けるのはp行目とq行目のみである。またそこで用いられる変換対象の行列の成分も、p行目とq行目のみである。そこで、p行目とp行目をベクトルとして抽出し以下のように表す。
Figure 2006104142
ここで、上記の2×2とした回転行列をR(θ)とおき、以下のように表す。
Figure 2006104142
また上記のθを逆正接で量子化して、以下のように表す。
Figure 2006104142
回転行列は、
Figure 2006104142
したがって、回転行列は以下のように分解することができる。
Figure 2006104142
(81)式において、ビット精度をKビットまでとし、
Figure 2006104142
を分割し、複数個ごとにまとめてグループ化を行う。この実施形態では、2個ごとにまとめてグループ化しているが、3個以上をまとめても同様である。以下、2個をグループとしてまとめた例で、
Figure 2006104142
となる。これを(76)式に適用すると、
Figure 2006104142
となって、本来、K回行われる逐次処理が、K/2回の繰り返し行列処理で完了できる。すなわち2倍のスピードを実現できることになる。これは、説明のしやすさから2個ごとにまとめてグループ化した実施形態だからであって、例えば、4個ごとにまとめてグループ化した場合ならば、4倍のスピードで実現できることはいうまでもない。
また、グループ化した各繰り返し処理のうち、任意の1回の処理を見てみると、複数の極性(この場合はs2k',s2k'+1)を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっている。2の負の冪の線形和は、それを求めるためのハードウェア回路を構成した場合に、回路上配線の入れ替え部(スイッチ)と加算器のみで実現でき、回路規模が一般に大きい乗算器を必要としない。したがって、複雑でない回路を用いて高速での処理が可能となるのである。
以上が、ヤコビ回転の前半の処理である。次に後半の処理について説明する。(48)式に示すように、ヤコビ回転の後半の処理で変化を受けるのは、p行目とq行目及びp列目とq列目のみである。また、このヤコビ回転が行われる前に、ユニタリー行列M(−ωpq)によって、(51)式に基づくターゲット要素Ωpq及びΩqpを等しくする処理が行われている。その結果得られる行列もまたエルミート行列である。したがって(48)式から分かるように、4つの対角要素を除き、全てのp列目とq列目の成分がp行目とq行目の成分と複素共役の関係になる。すなわち、上述の計算結果の虚数部の符号を変えるだけで、そのまま使えることになる。残る4つの成分の計算も、上記と同様にグループ化による高速化が可能であって、上述の実施形態と同様に、2個ごとにまとめてグループ化した場合には、以下のようにして行われる。まず、変換前の4つの要素を行列として表すと以下のようになる。
Figure 2006104142
この行列の要素は、全て実数である。これにより、残る4つの対角要素の後半の処理は、変換後の行列もエルミート行列であってこの4つの要素に対しては実数であるから、対称行列となることを考慮すると、
Figure 2006104142
となる。したがって、上述と同様に、2倍のスピードを実現できている。また4個ごとまとに纏めてグループ化した場合ならば、4倍のスピードで実現出来ることはいうまでもない。1回での処理を見ても、複数の極性(この場合は、s2k',s2k'+1)を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっているので、ハードウェア構成として、回路上配線の入れ替え部(スイッチ)と加算器のみで実現でき、低複雑度で高速化が可能である。
このように複数個まとめてグループ化した場合、グループごとの極性Skを複数個まとめて供給する必要がある。例えば上記の例では、s2k',s2k'+1の2つを一度に供給する必要がある。(78)式より
Figure 2006104142
となって、4つの値ごとの逐次比較による更新で、θを逆正接で量子化できる。
ここでこのθは、(54)式より、ターゲット要素を“0”になるように設定されたものであるから、
Figure 2006104142
である。(88)式よりθを求め、(87)式により逆正接で量子化するといった方法になるが、もっと直接的なやり方を含め、2通りの実施形態を説明する。その前に、逆正接演算によってθを求める方法を説明する。
(81),(82)式より、回転行列を用いた以下のベクトル操作を考える。
Figure 2006104142
(89)式の各k'における逐次処理
Figure 2006104142
の過程でyに相当する要素を、極性s2k',s2k'+1の選択の基で“0”にもっていくことを考える。
極性s2k',s2k'+1は、それぞれ“+1”と“−1”の二値をとるから、組み合わせとして4種類有り、その中から最も“0”に近い組み合わせを用いて、(90)式の更新を繰り返す。すると、(89)式の
Figure 2006104142
の関係より、0=−sin θ+t・cos θ、すなわち
Figure 2006104142
となるべく回転角θが結果として設定されることになる。このθは、上述の説明より明らかなように、逐次処理における個別の回転角の総和であり、極性s2k',s2k'+1によって、
Figure 2006104142
として得ることができる。tの逆正接であるθ=tan-1 tを求めたい場合には、(89)式の初期値としてtを使い、(90)式による逐次処理を、yが“0”になるように極性s2k',s2k'+1を選択し続けて実行することによって、最終的に(91)式により求めるθが得られるのである。この実施形態も、2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっているので、回路上の配線入れ替え部(スイッチ)と加算器のみで実現でき、回路規模の大きい乗算器は使わない。また、本来はK回行われるはずの逐次処理がK/2回となるので、低複雑度で高速化が可能となるのである。以上を基に2通りの実施形態について説明する。
[I] (88)式より2θを求め1ビットシフトしてθとした後,(87)式より極性を求める方法:
(88)式より上記の方法で得ることができるのは、
Figure 2006104142
とおいて2θなので、1ビットシフトしてθとした後、(87)式による逆正接による量子化で極性s2k',s2k'+1を得る。
[II] 直接的にθの逆正接の量子化極性をグループごとに求めると同時に、それをヤコビ回転によどみなく用いる方法:
(88)式より
Figure 2006104142
の結果をtとして用い、(90)式による逐次処理を行うと、最後の結果を待たずに、その途中結果の極性s2k',s2k'+1を(83)式や(85)式において
Figure 2006104142
のように逐次的に計算される回転行列の極性s2k',s2k'+1に、そのまま用いることができる。
[I],[II]のいずれの方法を用いてもよい。なお、これらの手法は、ユニタリー行列M(−ωpq)の計算にも、下記のようにして用いることができる。
(52)式におけるM(−Ωpq)によるΩの変換において、ユニタリー行列を左から乗ずる場合と右から乗ずる場合があるが、これらは、複素共役関係で行ベクトルに作用させるか列ベクトルに作用させるかの違いのみであるので、ここでは、左から乗ずる場合で説明する。同様なことは、右から乗ずる場合の処理にも当てはまる。すなわち、
Figure 2006104142
において、変化を受けるのはp行目のみであるから、そのp行目のみを実数部と虚数部の二次元の複素数ベクトルとして抽出し、以下のように表現する。
Figure 2006104142
の関係である。この複素数を演算している行列の要素は、全て実数である。上述と同じ方法を採用することで、
Figure 2006104142
となり、上述同様に2倍のスピードを実現できている。また4個ごとになとめてグループ化した場合ならば、4倍のスピードで実現出来ることはいうまでもない。1回での処理を見ても、複数の極性(この場合、s2k',s2k'+1)を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっていので、ハードウェア構成として、回路上配線の入れ替え部(スイッチ部)と加算器のみで実現でき、低複雑度で高速化が可能である。
このように複数個まとめてグループ化した場合、グループごとの極性Skを複数個まとめて供給する必要がある。例えば上記の例では、s2k',s2k'+1の2つを一度に供給する必要がある。ユニタリー行列M(−Ωpq)による変換の場合、ターゲットの
Figure 2006104142
を打ち消す位相廻りであるから、
Figure 2006104142
となる。この場合、(88)式と違って1/2の係数がないので、ωpqの逆正接の量子化極性をグループごとに直接求めることができるとともに、同時にそれを(96)式の逐次回転によどみなく供給できる。すなわち、(89)式において
Figure 2006104142
とおき、極性s2k',s2k'+1の選択の基でyを“0”にもっていくように(90)式の逐次処理を行う。極性s2k',s2k'+1は、それぞれ、“+1”と“−1”の二値をとるから、組み合わせとして4種類有り、その中から最もyが“0”に近い組み合わせを用いて(90)式の更新を繰り返す。更新を行うたびに得られた極性s2k',s2k'+1が、(96)式に基づいて更新動作にしたときに供給する値となる。したがって、(90)式による逐次処理の完了を待たずに、その途中結果であるところの極性s2k',s2k'+1
Figure 2006104142
の逐次的処理にそのまま用いることができる。これらの処理は、2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっているので、ハードウェア構成としては、回路上配線の入れ替え部(スイッチ)と加算器のみで実現でき、低複雑度でグループ化による高速化が可能である。
図6Aは、以上の関係を基にして構成されるヤコビ回転の処理を示している。図6Aにおいて、図示左側はシーケンサーによるフロー処理を示しており、図示右側は、ヤコビ回転演算を行うヤコビ回転演算部としてハードウェアで構成されたブロックを示している。ヤコビ回転演算部は、ωpq極性検出部601と、ユニタリー行列M(―ωpq)の演算を行うユニタリー行列演算部602と、2θの極性を検出する2θ極性検出部603と、2θを復元しシー多を算出する2θ復元部604と、θの極性を検出するθ極性検出部605と、回転行列
Figure 2006104142
の演算を行う回転行列演算部606と、を備えている。ヤコビ回転演算部は、図7を用いて後述するように、固有値1・固有ベクトル計算部103内に設けられている。
次に、このヤコビ回転演算部の動作を説明する。
図示されるものは、ヤコビ回転を行うものであるから、まずΩの非対角要素のうち、絶対値の最大のものをターゲットΩpqとして選択する(ステップ610)。選択した要素が複素数の場合、ユニタリー行列M(―ωpq)による演算が必要になる(ステップ611)。そのためのブロックが、ωpq極性検出部601とユニタリー行列演算部602である。ωpq極性検出部601は、(89)式に(98)式を適用して、極性s2k',s2k'+1を算出する。図6Bは、ωpq極性検出部601で行われる計算処理を示している。ユニタリー行列演算部602は、ωpq極性検出部601で得られた極性s2k',s2k'+1を基に、M(―ωpq)・Ωの演算を行い、さらに、変化対称の行ベクトルを計算し、さらに左からの行列演算で変化対称の列ベクトルを計算する。図6Cは、ユニタリー行列演算部602で行われる計算処理を示している。これらの処理は同様の処理なので、行ベクトルのみの説明となっている。
本実施形態では、乗算器を使うことなく2の負の冪の線形和を要素とする行列演算を行うこととし、回路上配線の入れ替え部(スイッチ)と加算器のみで行列演算を実行するように構成されているが、複素乗算器を直接用いて複素共役演算を行ってもよい。
このようにしてターゲット要素を含む行列が、ステップ611の実数化処理により
Figure 2006104142
となった後、ステップ612での、
Figure 2006104142
の演算となる。その演算を行うブロックが、2θ極性検出部603、2θ復元部604、θ極性検出部605、及び回転行列演算部606である。2θ極性検出部603は、ターゲット要素Ωpqを“0”とするための回転角を検出する機能を有する。図6Dは、2θ極性検出部603で行われる計算処理を示している。この実施形態では、上述の[I]による(88)式より2θを求め(2θ復元部604)、1ビットシフトしてθとした後、(87)式より極性を求める方法を用いている。すなわち、
Figure 2006104142
として、(89)式の逐次処理
Figure 2006104142
を行う。極性s2k',s2k'+1の選択の基で、上式のyを“0”にもっていくように処理される。極性s2k',s2k'+1は、それぞれ“+1”と“−1”の二値をとるから、組み合わせとして4種類有り、その中から最も“0”に近い組み合わせを用いて更新を繰り返すのである。その出力である極性s2k',s2k'+1を基に2θ復元部604は、(91)式より2θを復元し、配線入れ替え(配線スイッチ)によって1ビットシフトしてθを出力する。図6Eは、2θ復元部604で行われる計算処理を示している。θ極性検出部605は、(87)式によりこのθを4値ごとの逐次比較による更新で逆正接により量子化し、極性s2k',s2k'+1を出力する。図6Fは、θ極性検出部605はで行われる計算処理を示している。回転行列演算部606は、この入力してくる極性s2k',s2k'+1を基に、(83)式による逐次処理によって、最後の結果を待たずに逐次処理を実行し、p行目とq行目、またその複素共役をとってp列目とq列目を計算し、残る4つの対角要素も(85)式により計算する。図6Gは、回転行列演算部606で行われる計算処理を示している。
これによって、ステップ612の
Figure 2006104142
の演算が完了する。この結果をエルミート行列であるΩとおいて、さらに同様の処理を続けるかをステップ613において予め決められたヤコビ回転の完了条件と比較し、必要なら同様の処理を繰り返す。このようにしてヤコビ回転が実行される。
図7は、固有値・固有ベクトル計算部103の内部構成を示したものであって、上記のヤコビ回転と同時に計算される固有ベクトルの演算過程を示したものである。固有値・固有ベクトル計算部103には、固有ベクトル計算部701及び固有値計算部702と、図6Aを用いて既に説明したヤコビ回転演算部703が設けられている。
図7において、固有値計算部702とヤコビ回転演算部703を結ぶ矢印は上述のヤコビ回転の様子を示したものである。固有値計算部702によってΩの更新が行われ、Mi-1・Ω・Mi-1 Hを新たにΩとして、このΩはヤコビ回転部703に送られる。ヤコビ回転部703は、送られてきたΩに対してMi・Ω・Mi Hの処理を施し、それをまた固有値計算部702に送り返す。この一連の逐次処理によって、固有値計算部702には、…M2・M1・Ω・M1 H・M2 H…の値が蓄積され、(69)式による
Figure 2006104142
の関係より、固有値計算部702は、固有値λ1,...,λnを得ることができる。この処理と平行して、固有ベクトル計算部701にはヤコビ回転演算部703より回転行列
Figure 2006104142
が入力され、単位行列Iを初期値として、M1 H・M2 H…の値が蓄積される。その結果、(74),(75)式の関係より、
1 H・M2 H・… ⇒ [m1 … mn]または[e1 … en
となって、固有ベクトル計算部701は固有ベクトルe1,...,enを得ることができる。
図8は、図6Fに示したθ極性検出部605の実施形態の一例である逆正接量子化回路を示している。逆正接量子化回路は、読み出し専用のメモリ801と、メモリ801に対するアドレスを発生するアドレス発生回路802と、メモリ801の出力側に設けられた4個の極性付き加算器803と、データを一時保存するレジスタ804と、極性付き加算器803ごとに設けられた比較器805と、極性選択器806と、減算器807と、加算器808と、4個の極性付き加算器803の出力のいずれかを選択する選択器809と、を備えている。この逆正接量子化回路は、入力したAngleθに対して、(87)式に基づき、4つの値ごとの逐次比較による更新で逆正接により量子化し、極性s2k',s2k'+1を出力する回路である。
ここでは、2つごとにグループ分けがなされているものとしているので、メモリ801には、互いに異なる2つの2の負の冪に対する逆正接tan-1-2k',s2k'+1・tan-1-2k'-1 (k'=1〜K/2)が格納されている。アドレス発生回路802は、1からK/2までのアドレス発生を行うが、アドレス発生回路802の出力がメモリ801のアドレス入力に接続されているので、発生したアドレスがk'に相当することになる。そのようにして出力されたtan-1-2k',s2k'+1・tan-1-2k'-1は、極性付き加算器803によって、以下の4つの組合せで加算され、極性付き和として、それぞれ比較器805へと入力する。その4つの値は、
Figure 2006104142
である。各比較器805のもう一方の入力にはθが供給されるが、そのとき、レジスタ804に蓄積されていた前回の選択された極性付き和を減算器807によって差し引いた値、すなわち
Figure 2006104142
が供給される。したがって4個の比較器805の出力は、4つの出力のどこかで値が変わることになる。その値が変わる境をもって今回の極性s2k',s2k'+1とする処理を極性選択器806は行い、これが逆正接量子化回路の出力となる。その時の出力は、選択器809にも入力しており、その結果、(99)式に基づいてそのs2k',s2k'+1に対応した値が選択されることになる。そして逐次処理の次の処理のために、加算器808とレジスタ804で構成されるアキュムレータにより、次回分の極性付き和の蓄積結果がレジスタ804に保存される。
図9は、図6Eに示した2θ復元部604の実施形態の一例である角度復元回路を示している。角度復元部は、入力してくる極性s2k',s2k'+1に対して、例えば図6Eの場合、(91)式より2θを復元する回路である。角度復元部は、読み出し専用のメモリ901と、メモリ901に対するアドレスを発生するアドレス発生回路902と、メモリ901の出力側に設けられた極性付け回路903と、極性付け回路903の2つの出力を加算する加算器904と、データを一時保存するレジスタ906と、加算器904の出力とレジスタ906の出力を加算する加算器905と、を備えている。
メモリ901には、図8の場合と同様に、互いに異なる2つの2の負の冪に対する逆正接tan-1-2k',s2k'+1・tan-1-2k'-1 (k'=1〜K/2)が格納されている。アドレス発生回路902は、入力してくる極性s2k',s2k'+1に合わせてアドレスを発生し、これによって、極性付け回路903と加算器904によって極性付き和となったメモリ901の出力は、(s2k・tan-1-2k'+s2k'+1・tan-1-2k'-1)となる。ここでs2k',s2k'+1は、極性付け回路903に入力している極性である。加算器905とレジスタ906で構成されるアキュムレータには、それまでの極性付き和の蓄積結果が存在しているので、K/2まで終了した時の出力であるAngleは、
Figure 2006104142
となる。
すなわちこれらの回路による処理は、2の負の冪に対する逆正接で構成される領域に、角度極性変換回路であるところの逆正接量子化回路を使用して角度を変換することによって、ヤコビ回転等の三角関数演算を簡単化しているとみることができる。角度極性変換の逆変換が、極性角度変換であり、これは角度復元回路によって実現される。
以上説明した処理は、ヤコビ回転を説明する図6A及び図7に示したものも含めて、グループに分割した複数の極性を基にした2の負の冪の線形和を要素とする行列演算となっているので、回路上の配線入れ替えによる2の負の冪の処理と加算器のみで実現でき、低複雑度で高速化が可能である。また、角度極性変換あるいはその逆変換において、2の負の冪に対する逆正接を用いているが、これはメモリをあるいはルックアップテーブルを用いて実現でき、そのアドレスもビット幅に相当する深さで済むから、少ないメモリ量で実現できる。

Claims (13)

  1. 電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路に基づく仮想チャネル行列より得られるムーワペンローズの一般逆行列を計算する一般逆行列計算手段と、
    前記一般逆行列計算手段によって計算された一般逆行列解を中心として送信信号ベクトルを探索する探索手段と、
    を有し、
    前記送信信号ベクトルの探索範囲は前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、
    前記探索手段は、前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、当該固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて前記送信信号ベクトルの探索範囲を決定する、MIMOデコーダ。
  2. 電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路に基づく仮想チャネル行列より最小平均自乗誤差規範に基づく処理を実行する最小平均自乗誤差規範計算手段と、
    前記最小平均自乗誤差規範計算手段によって計算された検出結果を中心として送信信号ベクトルを探索する探索手段と、
    を有し、
    前記送信信号ベクトルの探索範囲は前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、
    前記探索手段は、前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、当該固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて前記送信信号ベクトルの探索範囲を決定する、MIMOデコーダ。
  3. 前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列を基に固有値と該固有値に対応する固有ベクトルを計算する固有値・固有ベクトル計算手段を有する請求項1または2に記載のMIMOデコーダ。
  4. 前記探索手段は、計算された固有値のうち、最小の固有値に対応する固有ベクトルに対しては該最小の固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、前記最小の固有値以外の固有値に対応する各固有ベクトルに対しては、当該各固有ベクトルに対応するスカラー量に対して当該各固有ベクトルに対応する各固有値の平方根に反比例する重み付けを行う、請求項3に記載のMIMOデコーダ。
  5. 前記探索手段は、前記最小の固有値に対応する固有ベクトルを選択して該選択された固有ベクトル内の各要素関係を維持しつつ、前記最小の固有値以外の各固有値の平方根に反比例した形態で前記選択された固有ベクトル内の各要素に探索範囲の幅を持たせる、請求項4に記載のMIMOデコーダ。
  6. 前記固有値・固有ベクトル計算手段は、
    ヤコビ回転を用いて前記固有値及び固有ベクトルを計算するとともに、
    前記ヤコビ回転における回転角を2の負の冪に対する複数の逆正接の極性付き和として
    グループ毎に逐次的に分解する分解手段を有し、
    前記分解手段により得られた前記グループ毎の複数の極性を基に構成された2の負の冪の線形和を要素とする回転行列をヤコビ回転に用いる、請求項3に記載のMIMOデコーダ。
  7. 前記分解手段は、
    互いに異なる複数の2の負の冪に対する逆正接をグループ毎に値として持つメモリと、
    該メモリのグループを示すアドレスを発生する手段と、
    前記メモリから読み出された複数の逆正接データの極性付き和及び前回までの該極性付き和の蓄積結果とヤコビ回転角を比較する手段と、
    を有し、前記比較の結果をもって今回のグループ内逆正接の極性とする、請求項6に記載のMIMOデコーダ。
  8. 前記仮想チャネル行列は、送受信機の不完全性に基づく寄与を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のMIMOデコーダ。
  9. 送信信号を受信して送信信号ベクトルを得る段階と、
    電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より得られるムーワペンローズの一般逆行列を計算する段階と、
    前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列を基に固有値及び固有ベクトルを計算する段階と、
    ムーワペンローズの一般逆行列解を中心として前記送信信号ベクトルを探索する探索段階と、
    を有し、
    前記送信信号ベクトルの探索範囲は前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、
    前記探索段階において、前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、当該固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて前記送信信号ベクトルの探索範囲が決定される、MIMO復号法。
  10. 送信信号を受信して送信信号ベクトルを得る段階と、
    電波伝搬環境を示すチャネル行列または仮想伝搬路を表す仮想チャネル行列より最小平均自乗誤差規範に基づく処理を実行する段階と、
    前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列を基に固有値及び固有ベクトルを計算する段階と、
    前記最小平均自乗誤差規範に基づく処理による検出結果を中心として前記送信信号ベクトルの探索する探索段階と、
    を有し、
    前記送信信号ベクトルの探索範囲は前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列の変化に応じて変化可能であり、
    前記探索段階において、前記チャネル行列または前記仮想チャネル行列から計算された固有ベクトルごとに、当該固有ベクトルに対応する固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、重み付けされた結果に基づいて前記送信信号ベクトルの探索範囲が決定される、MIMO復号法。
  11. 前記探索段階において、計算された固有値のうち、最小の固有値に対応する固有ベクトルに対しては該最小の固有値の平方根に反比例する重み付けを行い、前記最小の固有値以外の固有値に対応する各固有ベクトルに対しては、当該各固有ベクトルに対応するスカラー量に対して当該各固有ベクトルに対応する各固有値の平方根に反比例する重み付けを行う、請求項9または10に記載のMIMO復号法。
  12. 前記探索段階において、前記最小の固有値に対応する固有ベクトルを選択して該選択された固有ベクトル内の各要素関係を維持しつつ、前記最小の固有値以外の各固有値の平方根に反比例した形態で前記選択された固有ベクトル内の各要素に探索範囲の幅を持たせる、請求項11に記載のMIMO復号法。
  13. 前記仮想チャネル行列は、送受信機の不完全性に基づく寄与を含む、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のMIMO復号法。
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