JPWO2006095708A1 - ポルフィリン化合物及びその利用 - Google Patents

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芳明 小夫家
和也 小川
和也 小川
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Abstract

本発明は、大きな二光子吸収断面を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とし、末端に親水性置換基を有するイミダゾリルポルフィリン金属錯体が共有結合によって固定化されたポルフィリン連鎖体またはその塩を提供する。

Description

本発明は、二光子吸収光線力学療法用の薬剤を提供するポルフィリン金属錯体、これを含む光線力学療法用光増感剤組成物、これらの製造方法及び使用ならびに当該錯体を用いる一重項酸素発生方法、腫瘍細胞の損傷方法、癌の改善又は治療方法及び光増感を起こさせる方法に関する。
悪性腫瘍の治療は主に外科手術、化学療法、放射線療法によって行われているが患者の体力的負担や副作用、正常組織の破壊をいかに抑えられるかが課題である。光線力学療法(以下、「PDT」ということもある)は患者負担が軽く、機能温存が可能な治療法として臨床応用が始まっており、高い治療成績を挙げてきている。しかし、現在のPDT用光増感剤(ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン)は、その光吸収特性から、組織の透過率が高い700nmより長波長の近赤外光を使って治療を行うことができず、そのため表層部の腫瘍にしか適用できない欠点を持つ。
二光子吸収剤は、本来吸収の無い近赤外の強いレーザー光が照射されると、二光子を同時に吸収して可視部の吸収帯が効率よく励起される非線形光学特性に基づいている。そのため、二光子吸収剤をPDTに応用することができれば(二光子PDT)、(1)組織に対する透過性の高い近赤外光レーザーを利用できるため深部の腫瘍へ適用できる、(2)レンズによる焦点近傍だけを二光子励起できるためピンポイントで二光子吸収剤を集積した腫瘍を攻撃できるという利点が期待できる。
本発明者らは、アセチレン基でポルフィリン同士をメソ位で連結した化合物が非常に大きな二光子吸収断面積を示すことを見出した(特許文献1)。しかし当該化合物は非水溶性であるため、それをPDT用光増感剤として使うことはできなかった。
特開2004−168690
本発明は、大きな二光子吸収断面積を有する水溶性のポルフィリン化合物またはその塩、当該ポルフィリン化合物またはその塩を含むPDT用光増感剤組成物及び二光子PDT用光増感剤組成物、これらの製造方法、当該ポルフィリン化合物またはその塩を用いる癌の改善または治療のための方法、当該ポルフィリン化合物またはその塩を用いて腫瘍部位において光増感をもたらす方法、当該ポルフィリン化合物またはその塩から一重項酸素を発生させる方法、当該ポルフィリン化合物またはその塩を用いて腫瘍細胞に損傷を与える方法、当該ポルフィリン化合物またはその塩のPDT用光増感剤としての使用、当該ポルフィリン化合物またはその塩のPDT用光増感剤組成物を製造するための使用ならびに当該ポルフィリン化合物またはその塩のPDTのための使用を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(A)で表されるポルフィリン化合物及びその塩が、非常に大きな二光子吸収断面積を示す水溶性化合物であり、当該化合物がPDT効果を示すという知見を得た。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
本発明は、以下の項:
項1.次の一般式(A):
Figure 2006095708
[式中、Rは、同一または異なって、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基を表し、
Imは、同一または異なって、次のImあるいはIm
Figure 2006095708
[式中、Rは、メチル基または水素原子を表す。]で表されるイミダゾリル基を表し、
及びMは、同一または異なって、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表し、
は、同一または異なって、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表し、
aは、同一または異なって、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表し、
Xは、同一または異なって、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表し
nは、0〜100の整数を表し、
qは、同一または異なって、0〜6の整数を表し、
rは、同一または異なって、0〜4の整数を表す。]
で表される、ポルフィリン化合物またはその塩;
項2.一般式(A)において、M及びMが、同一または異なって亜鉛、鉄、コバルト、ルテニウム及びガリウムからなる群から選択される金属のイオンである項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩;
項3.一般式(A)において、Rが、下記一般式(a)で表されるカルボキシアルキル基、下記構造式(b)で表される4−カルボキシフェニル基、下記構造式(c)で表される3,5−ジカルボキシフェニル基、下記一般式(d)で表される3,5−ビス(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド)フェニル基、下記構造式(e)で表される4−カルボキシ−2,6−ビス(カルボキシメトキシ)フェニル基、及び下記一般式(f)で表される4−(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド)−2,6−ビス(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミドメトキシ)フェニル基からなる群から選択されるものである項1または2に記載のポルフィリン化合物またはその塩;
Figure 2006095708
[式中、m’は1〜6の整数を表し、pは同一または異なって、2〜4の整数を表す。];
項4.一般式(A)において、Imが1−メチル−2−イミダゾリルを示し、M及びMが共に亜鉛イオンを示し、mが1、aが水素原子、Xがメチレン、nが0〜100、qが2、rが1である、項3に記載のポルフィリン化合物またはその塩;
項5.項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を含有する光線力学療法用光増感剤組成物;
項6.薬学的に許容される緩衝剤、無痛化剤、希釈剤及び等張剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、項5に記載の光線力学療法用光増感剤組成物;
項7.項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を含有する二光子光線力学療法用光増感剤組成物;
項8.薬学的に許容される緩衝剤、無痛化剤、希釈剤及び等張剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、項7に記載の二光子光線力学療法用光増感剤組成物、
を提供する。
本発明はさらに、癌の改善または治療のための方法である項9;
項9.ヒトまたは動物に項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び
腫瘍部位に光照射する工程、
を含む、癌の改善または治療のための方法、
を提供する。
本発明はさらに、腫瘍部位において光増感をもたらす方法である項10及び項11;
項10.ヒトまたは動物の腫瘍部位に光線を照射することにより腫瘍に損傷を与える光線力学療法において、ヒトまたは動物に項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与することにより腫瘍部位において光増感をもたらす方法;及び
項11.前記光増感が二光子励起に基づくものである、項10に記載の方法、
を提供する。
本発明はさらに、腫瘍部位に存在する該化合物またはその塩から一重項酸素を発生させる方法である項12;
項12.ヒトまたは動物の腫瘍部位に光線を照射することにより腫瘍に損傷を与える光線力学療法において、ヒトまたは動物に項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与することにより腫瘍部位に存在する該化合物またはその塩から一重項酸素を発生させる方法、
を提供する。
本発明はさらに、腫瘍細胞に損傷を与える方法である項13;
項13.ヒトまたは動物に項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び
腫瘍部位に光照射する工程、
を含む、腫瘍細胞に損傷を与える方法、
を提供する。
本発明はさらに、本発明のポルフィリン化合物またはその塩の使用に関する項14〜項16;
項14.項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法用光増感剤としての使用;
項15.項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法用光増感剤組成物を製造するための使用;及び
項16.項1〜4のいずれかに記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法のための使用、
を提供する。
本発明はまた、ポルフィリン化合物またはその塩を製造する方法である以下の項17:
項17.一般式(22):
Figure 2006095708
[式中、R’は、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基の末端カルボキシル基が保護基で保護された構造を有する基を表し、
Imは、次のImあるいはIm
Figure 2006095708
[式中、Rは、メチル基または水素原子を表す。]で表されるイミダゾリル基を表し、
及びMは、同一または異なって、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表し、M及びMは同じであっても異なっていてもよく、
は、同一または異なって、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表し、
aは、同一または異なって、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表し、
Xは、同一または異なって、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表し
nは、0〜100の整数を表し、
qは、同一または異なって、0〜6の整数を表し、
rは、同一または異なって、0〜4の整数を表す。]
で表されるポルフィリン化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護して、一般式(A):
Figure 2006095708
[式中、Rは、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基を表す。
a、Im、L、M、M、R、X、n、q、及びrは、上記定義と同じ。]
で表されるポルフィリン化合物またはその塩を製造する方法、
を提供する。
本発明はさらに、上記方法の原料である化合物(22)を製造する方法として、以下の項18〜項23を提供する:
項18.触媒の存在下で一般式(1)
Figure 2006095708
[式中、aは、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表し、
Xは、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表し、
qは、0〜6の整数を表し、
rは、0〜4の整数を表す。]
で表される化合物と、式(2)
Figure 2006095708
で表される化合物とを反応させて、一般式(3)
Figure 2006095708
[式中、a、X、q及びrは上記一般式(1)における定義に同じ。]
で表される化合物を製造する方法:
項19.触媒及びp−クロラニルの存在下で、上記化合物(3)、下記一般式(4):
Im−CHO (4)
[式中、Imは、次のImあるいはIm
Figure 2006095708
(式中、Rは、メチル基または水素原子を表す。)
で表されるイミダゾリル基を表す。]
で表される化合物及び下記一般式(5):
TMS−(C≡C)−CHO (5)
[式中、TMSは、トリメチルシリル基を表し、sは、0〜3の整数を表す]
で表される化合物を反応させることよって、下記一般式(6):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q、r及びsは、上記一般式(3)、(4)及び(5)に同じ。a、X、q及びrは、夫々、同一または異なる。]
で表される化合物を製造する方法:
項20.前記化合物(6)とフッ化物イオンとを反応させるか、または前記化合物(6)を酸性条件に供して下記一般式(7):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q、r及びsは上記一般式(6)に同じ。]
で表される化合物を製造する方法:
項21.前記化合物(7)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))及びトリフェニルアルシン(AsPh)とを反応させて、下記一般式(8):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q及びrは上記一般式(7)に同じ。a、Im、X、q及びrは、夫々、同一または異なる。Lは、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表す。]
で表される化合物を製造する方法:
項22.前記化合物(8)を、金属イオンMと酸との塩
[Mは、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表す]
と反応させて、下記一般式(9):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、X、q、r及びsは上記一般式(8)に同じ。M2は、同一または異なり、上記に同じ。]
で表される化合物を製造する方法:
項23.下記一般式(21):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、X、m、n、q及びrは上記一般式(9)に同じ。a、Im、L、M、X、m、n、q及びrは、夫々、同一または異なる。Mは、同一または異なり、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表す。R’は、同一または異なり、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基の末端カルボキシル基が保護基で保護された構造を有する。nは、0〜100の整数である。]
で表されるポルフィリン化合物を反応させて、下記一般式(22):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、M、R’、X、m、n、q及びrは、上記一般式(21)に同じ。]で表されるポルフィリン化合物を製造する方法。
尚、本発明は、これらの化合物(A)の製造方法の各工程における中間体も提供する。
本発明のポルフィリン化合物またはその塩が有する二光子吸収断面積は、従来の二光子吸収剤に比べて極めて高い二光子吸収断面積を示す。その程度は、従来の二光子吸収剤のものと比較して、約1〜3桁またはそれ以上に大きい。さらに、本発明のポルフィリン化合物は、上記のような大きい二光子吸収断面積を有しながら水溶性を示すという特徴を有する。従って、本発明のポルフィリン化合物またはその塩を用いて、水溶液等の形態のPDT用光増感剤組成物を調製することができる。
本発明のPDT用光増感剤組成物は、二光子吸収剤である本発明のポルフィリン化合物またはその塩を含むため(1)組織に対する透過性の高い近赤外光レーザーを利用できるため深部の腫瘍へ適用できる、(2)レンズによる焦点近傍だけを二光子励起できるためピンポイントで二光子吸収剤を集積した腫瘍を攻撃できるという利点を有する。
図1は、工程15におけるゲルろ過クロマトグラム(GPCチャート)である。 図2は、工程16で単離した後の化合物(21-1)の分析ゲルろ過クロマトグラム(GPCチャート)である。 図3は、工程16で単離した後の化合物(21-1)のMALDI-TOF Massスペクトルである。 図4は、化合物(Aa)の水溶液中で測定したZ-scanカーブである。 図5は、化合物(Aa)の水溶液中で測定したZ-scanカーブの最大透過度T0とピークパワーI0をプロットしたものである。 図6は、化合物(Aa)の水溶液中で測定した二光子吸収スペクトルである。 図7は、化合物(Aa)(上)とTPPS(中)およびアジ化ナトリウムを加えた後の(下)水溶液中で測定した1270 nm付近の一重項酸素の発光の時間変化である。 図8は、二光子励起により一重項酸素を発生させた際のADPAの378 nmの吸収の減少の時間変化である。 図9は、HeLa細胞に対する抗腫瘍実験の模様である。二光子照射前と二光子照射後の細胞の写真を示す。 図10は、化合物(22a)のクロロホルム中の可視・紫外吸収スペクトル(上)と化合物(Aa)の水中の可視・紫外吸収スペクトル(下)を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)ポルフィリン化合物またはその塩
本発明のポルフィリン化合物は、一般式(A)で表される、大きな二光子吸収特性を示すビスアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とし、末端に親水性置換基を有するイミダゾリルポルフィリン金属錯体が連結されたポルフィリン化合物(以下、「本発明のポルフィリン化合物」ともいう。)である。
上記一般式(A)において、M及びMは、ポルフィリン環の中心金属となり、Imで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表す。金属イオンの具体例を挙げると、Zn(II)、Ga(III)、Fe(II/III)、Co(II/III)、Ru(II/III)等があるが、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る限りこれらに限定されるものではない。MとMは同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式(A)において、Rは、カルボキシアルキル基または置換アリール基を表す。
により表されるカルボキシアルキル基には、直鎖、分岐及び環状のカルボキシアルキル基が含まれる。
カルボキシアルキル基のアルキル残基の炭素原子数は、ポルフィリン化合物が形成できる限り特に制限はないが、製造の容易性、溶解性等を考慮すると、通常約1〜20、好ましくは約1〜6、より好ましくは約2〜5である。
がカルボキシアルキル基である場合の例を挙げると、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルボキシペンチルがある。
により表される置換アリール基には、単環または縮合環のものが含まれる。
置換アリール基の炭素原子数は、ポルフィリン化合物が形成できる限り特に制限はないが、通常約7〜60、好ましくは約7〜30である。
置換アリール基のアリール残基の炭素原子数も、ポルフィリン化合物が形成できる限り特に制限はないが、製造の容易性、溶解性を考慮すると、約6〜20が好ましく、約6〜10がより好ましい。アリール残基の例を挙げると、フェニル、ナフチル、ピリジル、アズレニル、アントラセニルなどがある。
が置換アリール基である場合、アリール基を置換する置換基は、カルボキシル末端を有する。そのようなカルボキシル末端置換基としては、カルボキシル基、カルボキシアルコキシ基、トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド基、トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミドアルコキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのカルボキシル末端置換基は、1つのアリール基に、1〜5つ、好ましくは1〜3つ結合している。
カルボキシアルコキシ基としては、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基、4−カルボキシブトキシ基等が挙げられるがこれらに限定されない。
トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド基としては、トリス(2−カルボキシエチル)メチルカルボキシアミド基、トリス(3−カルボキシプロピル)メチルカルボキシアミド基、トリス(4−カルボキシブチル)メチルカルボキシアミド基が挙げられるがこれらに限定されない。
トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミドアルコキシ基としては、トリス(2−カルボキシエチル)メチルカルボキシアミドメトキシ基、トリス(3−カルボキシプロピル)メチルカルボキシアミドメトキシ基、トリス(4−カルボキシブチル)メチルカルボキシアミドメトキシ基が挙げられるがこれらに限定されない。
これらのアリール基を置換する置換基である、カルボキシル基、トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド基等の炭素原子数は、ポルフィリン化合物が形成できる限り特に制限はないが、製造の容易性、溶解性等を考慮すると、約1〜55が好ましく、約1〜35が好ましく、約2〜22がより好ましい。アリール基を置換する置換基の炭素原子数がこの範囲をとる本発明のポルフィリン化合物は、製造が比較的容易であり、細胞への取り込みも容易であり、そして水に対して十分な溶解性を示す。
により表される置換アリール基の例を挙げると、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−カルボキシ−2,6−ビス(カルボキシメトキシ)フェニル基、3,5−ビス(トリス(カルボキシエチル)メチルカルボキシアミド)フェニル基、4−(トリス(カルボキシエチル)メチルカルボキシアミド)−2,6−ビス(トリス(カルボキシエチル)メチルカルボキシアミドメトキシ)フェニル基がある。
上記一般式(A)において、置換基Rは2個ある。これらは互いに同じでも異なっていてもよいが、製造の容易性等を考慮すると、同じであることが好ましい。以下、一般式(A)において、同一の記号で表された置換基が複数個ある場合についても同じである。
で表される各残基を提供する化合物は、いずれも市販されているか、文献等を参照し、市販品から合成することができる。
上記一般式(A)において、Imは、同一または異なって、下記のImあるいはIm
Figure 2006095708
のいずれでもよく、Rはメチル基あるいは水素原子のいずれでもよい。
一般式(A)において、nは、0以上の整数を表す。nの上限値は、ポルフィリン化合物を形成できる限り特に制限はないが、例えば、100程度のものまで合成が可能であると考えられる。nは、好ましくは0〜5程度である。nがこれらの範囲にある本発明のポルフィリン化合物は、水に対して十分な溶解性を示す。
一般式(A)において、Lは、同一または異なって、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表すが、本発明の一般式(A)で表されるポルフィリン化合物がPDT用光増感剤として実用できる程度の大きな二光子吸収特性を有する限りmが3を超えるようなポリアセチレン基や、その他の基でもよい。
上記一般式(A)に示すように、本発明の構成単位であるイミダゾリルポルフィリン二量体におけるポルフィリンに置換するイミダゾリル基のイミダゾール環は、ピロール環とメチン基とにより構成される平面に対してほぼ垂直な平面上に広がるように配置されている。また二つのポルフィリン環はアセチレン結合で連結されておりお互いに同じ平面上に配置される。上記一般式(A)において、金属M、Mのそれぞれとピロール核の窒素原子との結合は配位結合である。中心金属M、Mのそれぞれとイミダゾリル基の窒素原子との結合も配位結合である。
上記一般式(A)において、aは、同一または異なって、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表す。aがアルキル基である場合の例を挙げるとメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等がある。aがアリール基である場合の例を挙げるとフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、アントラセル基、アズレニル基等がある。
Xは、同一または異なって、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表す。XはC〜Cのアルキレン基またはカルボニル基のいずれでもよいが、XがC〜Cのアルキレン基である場合の例を挙げるとメチレン基がある。
qは、同一または異なって、0〜6の整数を表す。qは、原料化合物の合成の容易性、生成物に期待される機能等を考慮すると、2が好ましい。
rは、同一または異なって、0〜4の整数を表す。rは、原料化合物の合成の容易性、生成物に期待される機能等を考慮すると、1が好ましい。
本発明のポルフィリン化合物またはその塩は、ナノ秒パルスレーザーを用いた場合、通常最低でも約10000 GM以上という大きい二光子吸収断面積を有する。
(II)光線力学療法用光増感剤組成物
また、別の実施形態において、本発明は、上記本発明のポルフィリン化合物またはその塩を含有するPDT用光増感剤組成物を提供する。この組成物は、通常水性組成物である。この組成物中で、本発明のポルフィリン化合物またはその塩は、PDT用光増感剤として機能する。
ここで、本発明のPDT用光増感剤組成物中の、本発明のポルフィリン化合物の濃度は、通常約0.5 mmol/L〜 10 mmol/L、好ましくは約1 mmol/L〜 5 mmol/Lである。本発明のポルフィリン化合物を上記濃度で用いれば、沈殿は生じず、また静脈内注射の際に溶液量が多くなりすぎ一回での投与が難しくなることもない。
本発明の光線力学療法用光増感剤組成物は、本発明のポルフィリン化合物またはその塩以外の成分として、薬学的に許容される、任意の添加物等を含有していても良い。
本発明の光線力学療法用光増感剤組成物は、薬学的に許容される任意の形態で調製され得る。本発明のPDT用光増感剤組成物の形態としては、注射剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、本発明のPDT用光増感剤組成物の形態は、注射剤である。注射剤としては、溶液、乳液、懸濁液等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のPDT用光増感剤組成物を注射剤として用いる場合、溶液、乳液、懸濁液等は、好ましくは、殺菌され、かつ血液と等張である。このような形態で用いる場合、希釈剤として、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類塩等を用いることができる。用いられ得る等張剤としては、塩化ナトリウム、グルコース、ラクトース、グリセロール等が挙げられるがこれらに限定されない。また、本発明のPDT用光増感剤組成物には、薬学的に許容される緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
注射剤の形態の、本発明のPDT用光増感剤組成物としては、例えば、生理食塩水に本発明のポルフィリン化合物またはその塩を溶解した注射剤が挙げられるがこれに限定されない。
上記のような本発明のPDT用光増感剤組成物を、患者に投与し、光照射することによって、体の表層部にある腫瘍だけでなく、体の深部に存在する腫瘍を破壊して治療することができる。
また、本発明の光線力学療法用光増感剤組成物は、これと同様の条件で、二光子光線力学療法用光増感剤組成物として用いることもできる。
(III)癌の改善または治療のための方法
1つの実施形態において、本発明に従う、癌の改善または治療のための方法は、ヒト(動物でもよい)に本発明のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び腫瘍部位に光照射する工程を含む。
より詳細には、例えば、本発明の化合物を体重1 kg当り2 mg〜20 mg程度の量投与した後、1〜72時間程度で腫瘍部位にパルス状に光照射する。照射した光はレンズを用いて腫瘍部位に集められる。尚、本発明の化合物の投与量、投与後の光照射までの時間は、上記範囲に限られず、対象とする腫瘍の種類、重篤度、患者の年齢、体重等により変化する。
本発明において用いられる用語「光」は、すべての電磁線を包含することを意図している。本発明の化合物を活性化する上で使用に適した光は、典型的には、例えばアークランプ、LEDまたはレーザー光源により発生される。光源としては、レーザー光源が好ましく、特に、パルスレーザーのように瞬間的に大きなピークパワーを生じるものが好ましい。
また、照射光の波長は、通常約750〜1500 nmとすればよい。この範囲の波長の照射光は組織透過率が高いので、このような照射光を用いることで、表層部の腫瘍だけでなく、体の深部に存在する腫瘍を破壊して治療することができる。
焦点での集光強度は、通常ナノ秒のパルスで約106〜108mW/cm、フェムト秒のパルスで約109〜1012mW/cmとすればよい。この範囲の集光強度に集光することによって、十分な二光子吸収を生じさせることができ、かつ照射光によって身体を損傷する危険性が少ない。
照射光のパルス幅は、通常約10 fs〜50 nsとすればよい。パルス幅が長すぎると、照射光によって身体を損傷する危険性がある。この範囲のパルス幅の照射光を用いることによって、患者の身体をほとんど損傷することなく、PDTを行うことができる。また、この範囲より短いパルス幅の照射光を発生させることは技術的に困難であり、その装置は高価であるが、それをPDTに用いることは可能である。
別の実施形態において、本発明は、ヒトまたは動物の腫瘍部位に光線を照射することにより腫瘍に損傷を与える光線力学療法において、ヒトまたは動物に本発明のポルフィリン化合物またはその塩を投与することにより腫瘍部位において光増感をもたらす方法及び腫瘍部位に存在する本発明の化合物から一重項酸素を発生させる方法を提供する。
当該実施形態において、本発明の方法に従いもたらされる光増感は、例えば、二光子励起に基づくものである。
これらの方法には、上記の本発明の癌の改善または治療方法と同様の条件を用いることができる。
別の実施形態において、本発明は、ヒトまたは動物に本発明のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び腫瘍部位に光照射する工程を含む、腫瘍細胞に損傷を与える方法を提供する。
当該方法にも、上記の本発明の癌の改善または治療方法と同様の条件を用いることができる。
(IV)ポルフィリン化合物またはその塩の使用
1つの実施形態において、本発明のポルフィリン化合物またはその塩の使用とは、光線力学療法用光増感剤としてのその使用である。
1つの実施形態において、本発明のポルフィリン化合物またはその塩の使用とは、光線力学療法用光増感剤組成物を製造するためのその使用である。
1つの実施形態において、本発明のポルフィリン化合物またはその塩の使用とは、光線力学療法のためのその使用である。
(V)ポルフィリン化合物またはその塩の製造方法
別の実施形態において、本発明は、上記一般式(22)[式中、a、Im、L、M、M、R’、X、n、q及びrは上記に同じ]で表されるポルフィリン化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護して、上記一般式(A) [式中、a、Im、L、M、M、R、X、n、q及びrは上記に同じ]で表されるポルフィリン化合物またはその塩を製造する方法を提供する。
ここで、R’は、同一または異なって、上記のRの末端カルボキシル基が保護基で保護された構造を有する基を表す。この末端カルボキシル基の保護基として、通常用いられる任意の保護基を用いることができる。末端カルボキシル基の保護基の例としては、エチル基、メチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
脱保護反応は、溶媒に溶解した化合物(22)に、水酸化ナトリウム等のアルカリを加えて反応させることによって実施することができ、また保護基がt−ブチル基の場合ギ酸と反応させることによっても実施することができる。反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、保護基がt−ブチル基の場合ギ酸、その他の保護基で水酸化ナトリウム等のアルカリによって脱保護する場合はメタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、ジオキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、水酸化ナトリウム以外にも、脱保護反応に用いられる公知の触媒を用いることができる。このような触媒としては、水酸化カリウム、水酸化バリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(22)1モルに対して、通常約0.01〜100モル、好ましくは約0.1〜10モルとすればよい。反応時間は、通常約10分〜10時間、好ましくは約30分〜2時間に設定できる。また反応温度は、約20〜50℃に設定できる。
この反応の材料となる化合物(22)は、下記の実施例に記載されるように製造することができる。
実施例
次に、実施例をあげて本説明をさらに説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明のポルフィリン化合物またはその塩の合成
以下に、本発明の一般式(A)で表されるポルフィリン化合物において、Rが3,5−ビス(トリス(2−カルボキシエチル)メチルカルボキシアミド)フェニル、Imが1−メチル−2−イミダゾリル、M及びMがともに亜鉛イオン、L((−C≡C−))のmが1、aが水素原子、Xがメチレン、qが2、rが1であるものまたはその塩の合成方法を説明するが、その他の置換基を有する本発明のポルフィリン化合物またはその塩もこれに準じて合成することができる。
が3,5−ビス(トリス(2−カルボキシエチル)メチルカルボキシアミド)フェニル、Imが1−メチル−2−イミダゾリル、M及びMがともに亜鉛イオン、L((−C≡C−))のmが1、aが水素原子、Xがメチレン、qが2、rが1であるものは次の工程1〜工程17を経て合成することができるが、これに限定されるものではない。
Figure 2006095708

Figure 2006095708



Figure 2006095708



Figure 2006095708
1) 工程1
meso−(3−アリロキシプロピル)ジピロメタン(meso−(3−allyloxypropyl)−dipyrromethane)(化合物(3a))の合成
4−アリロキシブチルアルデヒド(4−allyloxybutylaldehyde,7g,55mmol)(化合物(1a))を148g(2.2mol)のピロール(化合物(2))に溶解し、この溶液に窒素ガスを15分間バブリングした。この溶液にトリフルオロ酢酸(0.623g,55mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、飽和食塩水とクロロホルムを加えて抽出した。有機相を集め無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒とピロールを減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製し目的物(化合物(3a))を得た。収量7.18g、収率54%。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ7.881 (broad s, 2H, NH), 6.627 (s, 2H, pyrrole -NHCH2-), 6.138 (q, 2H, J =2.7 Hz, pyrrole -NHCHCH-), 6.058 (broad, 2H, pyrrole -NH(CH)2CH-), 5.962-5.860 (m, 1H, allyl CβH), 5.265 (dd, 1H, J =17.28, 1.62 Hz, allyl CγH2 trans), 5.172 (dd, 1H, J =10.53, 1.62 Hz, allyl CγH2 cis), 4.031 (t, 1H, J =7.83 Hz, ether CαH), 3.946 (dt, 2H, J =5.67, 1.35 Hz, allyl CαH2), 3.466 (t, 2H, J =6.21 Hz, ether CδH2), 2.083-1.998 (m, 2H, ether CβH2), 1.641-1.584 (m, 2H, ether CγH2)。
ここで、原料となる4−アリロキシブチルアルデヒド(化合物(1))は、例えば、R.W.Hoffmann,I.Muenster,Liebigs Ann.,Recl.6,1143−1150(1997)の記載に従って合成することができる。
また、工程1において化合物(1a)の代わりに、下記の式(1):
Figure 2006095708
[式中、a、X、r及びqは、一般式(A)における定義と同じ。]
で表される化合物を用いることによって、一般式(A)においてaが水素原子、Xがメチレン、qが2、及びrが1である化合物以外のものを合成することができる。尚、原料となる化合物(1)は、公知の方法を参考にして合成することができる(例えば、A. Ohashi, A. Satake, and Y. Kobuke, Bull. Chem. Soc. Jpn. 77, 365-374 (2004))。
また、工程1において、化合物(1)と化合物(2)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約25〜100モル、好ましくは約35〜50モルとすればよい。化合物(2)は化合物(1)を溶解するため、反応溶媒は特に必要とされないが、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ベンゼン等の反応溶媒を加えて反応を行ってもよい。また、この工程において、トリフルオロ酢酸以外にも、公知の触媒を用いることができる。用いられ得る触媒の例としては、トリクロロ酢酸、BF3・Et2O、プロピオン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常約0.01〜5モル、好ましくは約0.1〜1モルとすればよい。また反応温度は室温に限られず、約20〜50 ℃に設定できる。反応時間は、通常約10分〜20時間、好ましくは約30分〜5時間に設定できる。
2) 工程2
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−(トリメチルシリルプロパギル)−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン(化合物(6a))の合成
0.5Lのクロロホルムにmeso−(3−アリロキシプロピル)ジピロメタン(化合物(3a))(0.5g,2.046mmol)、1−メチル−2−ホルミルイミダゾール(化合物(4a))(113mg,1.023mmol)、1−トリメチルシリルエチニルアルデヒド(化合物(5a))(129mg,0.5375mol)を加え、反応溶液をN置換後、トリフルオロ酢酸(350mg,3.07mmol)を加えた。室温で4時間撹拌した後、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル,755mg,3.07mmol)を加えた。反応液を12時間撹拌した後、飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム/アセトン(10:1))で分取することにより、純粋な化合物(6a)を収量53mg、7.6%の収率で得た。
MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 683.65 (M + H+), calcd for C41H46N6O2Si 682.93;λabs(chloroform) 427, 527, 567, 665 nm;1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ9.740 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.525 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.449 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 8.729 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 7.669 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im4), 7.453 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im5), 6.081 (m, 2H, allyl CβH2), 5.427 (trans, dt, J = 17.82 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.277 (cis, dd, J = 10.26 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.050 (t, J = 5.4 Hz, 4H, ether CαH2), 4.082 (m, 4H, CγH2), 3.644 (t, J = 5.67 Hz, 4H, allyl CαH2), 3.377 (s, 3H, NCH3), 2.760 (m, 4H, ether CβH2), 0.648 (s, 9H, CH3), -2.437 (s, 2H, inner H)
ここで、出発原料である1−メチル−2−ホルミルイミダゾールは、例えば以下の文献Carlsson, Hkan; Haukka, Matti; Bousseksou, Azzedine; Latour, Jean-Marc; Nordlander, Ebbe Inorganic Chemistry (2004), 43(26), 8252-8262.を参考に合成でき、1−トリメチルシリルエチニルアルデヒドは例えば以下の文献Harris, Nathan J.; Gajewski, Joseph J. Journal of the American Chemical Society (1994), 116(14), 6121-9. 、を参考に合成できる。
また、化合物(4a)の代わりに、一般式(4):
Im−CHO (4)
[式中、Imは、一般式(A)における定義と同じ。]
で表される化合物を用いることによって、一般式(A)においてImがImでありかつRがメチル基である本発明のポルフィリン連鎖体以外のものを得ることができる。
化合物(4)は、公知の方法を参考にして合成することができる。例えば、ImがImでありかつRがHのものはAldabbagh, Fawaz; Bowman, W. Russell; Mann, Emma; Slawin, Alexandra M. Z., Tetrahedron (1999), 55(26), 8111-8128.を参考に合成することができる。ImがIm2でありかつRがメチル基のものはChiu, Yu-Hung; Canary, James W. Inorganic Chemistry (2003), 42(17), 5107-5116.を参考に合成することができる。
また、化合物(5a)の代わりに一般式(5)
TMS−(C≡C)−CHO (5):
[式中、TMSは、トリメチルシリル基を表し、sは、0〜3の整数を表す]
で表される化合物を用いることによって、一般式(A)においてmが1または3である本発明のポルフィリン連鎖体を得ることができる。尚、原料となる化合物(5)は、公知の方法(例えば、Fitzgerald, Mark; Bowie, John H.; Dua, Suresh. Organic & Biomolecular Chemistry (2003), 1(10), 1769-1778.等)を参考に合成することができる。
さらに、化合物(3a)の代わりに、下記の式(3):
Figure 2006095708
[式中、a、X、r及びqは、一般式(A)における定義と同じ]
で表される化合物を用いることもできる。化合物(3)は、上記工程1において化合物(1a)の代わりに化合物(1)を用いることによって得ることができる。
また、工程2において、化合物(3)と化合物(4)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.2〜1モル、好ましくは約0.4〜0.6モルとすればよい。化合物(3)と化合物(5)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.2〜1モル、好ましくは約0.4〜0.6モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、工程2において、トリフルオロ酢酸以外にも、公知の触媒を用いることができる。用いられ得る触媒の例としては、トリクロロ酢酸、BF3・Et2O、プロピオン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常約1.1〜5モル、好ましくは約1.5〜3モルとすればよい。また工程2において、p−クロラニルの代わりに、公知の酸化剤を用いることができる。酸化剤としては、ジクロロジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常約1.5〜2モル、好ましくは約1.5〜1.7モルとすればよい。触媒を添加してから酸化剤を添加するまでの反応時間は、通常約30分〜20時間、好ましくは約1時間〜5時間に設定できる。酸化剤を添加した後の酸化反応の反応時間は、通常約1時間〜20時間、好ましくは約1時間〜12時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約15〜50 ℃に設定できる。
3) 工程3
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−エチニル−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン(化合物(7a))の合成
化合物(6a)(53 mg, 77.6 μmol)のクロロホルム(4 mL)溶液中に、窒素雰囲気下でテトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M THF溶液(0.233 mL, 233 μmol)を加えた。室温で30分間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、化合物(7a)を収量40 mg, 80%で得た。
MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 611.4 (M + H+), calcd for C38H38N6O2 610.75;λabs(chloroform) 424, 524, 623, 662 nm; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ9.727 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.515 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.457 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 8.743 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 7.671 (d, J = 1.08 Hz, 1H, Im4), 7.450 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im5), 6.072 (m, 2H, allyl CβH2), 5.428 (trans, dd, J = 17.28 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.276 (cis, dd, J = 10.26 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.038 (t, J = 7.425 Hz, 4H, ether CαH2), 4.195 (s, 1H, C≡CH), 4.073 (m, 4H, ether CαH2), 3.631 (t, J = 5.805 Hz, 4H, CγH2), 3.370 (s, 3H, NCH3), 2.756 (m, 4H, ether CβH2), -2.533 (s, 2H, inner H)
ここで、化合物(6a)の代わりに、下記の一般式(6):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q及びrは、一般式(A)における定義と同じ。sは、上記一般式(5)に同じ。]
で表される化合物を用いることができる。化合物(6)は、工程3において、化合物(3a)、化合物(4a)及び化合物(5a)の代わりに、夫々、化合物(3)、化合物(4)及び化合物(5)を用いることによって得ることができる。
この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、べンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、TBAF以外にも、公知のフッ化物イオンが用いられ得る。用いられ得るフッ化物イオンとしては、テトラプロピルアンモニウムフロリド、テトラエチルアンモニウムフロリド等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常約0.1〜5モル、好ましくは約0.5〜3モルとすればよい。また反応温度は室温に限られず、約10〜50℃に設定できる。反応時間は、通常約5分〜2時間、好ましくは約20分〜1時間に設定できる。
また、工程3の反応は、フッ化物イオンを添加するかわりに、化合物(6)を酸性条件に供することによっても実施することができる。
4) 工程4
1,4−ビス(5−(15−(1−メチル−2−イミダゾリル)−10,20−ビス(2−アリロキシプロピル)ポルフィリニル))ブタジイン(化合物(8a))の合成
化合物(7a)(99 mg, 162 μmol)をテトラヒドロフラン(THF)とトリエチルアミンの5:1混合溶液(11.4 mL)に溶解し、凍結脱気をおこない窒素置換した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (Pd(dba), 1.36 mg, 8.1 μmol)とトリフェニルアルシン(AsPh, 3.22 mg, 64.8 μmol)を加え35度で12時間撹拌した。水を加えてクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム/メタノール(10 : 1))で精製することにより、目的とする化合物(8a)を収量63.5 mg、64%の収率で得た。
MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 1219.8 (M + H+), calcd for C76H74N12O4 1219.48;λabs(chloroform) 444, 475, 607, 714 nm;λemex = 444 nm, chloroform) 721, 800 nm; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ9.952 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.531 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.432 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 8.749 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 7.722 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im4), 7.481 (d, J = 1.08 Hz, 1H, Im5), 6.116 (m, 2H, allyl CβH), 5.454 (trans, dd, J = 17.55 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.299 (cis, dd, J = 10.53 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 4.967 (broad s, 4H, ether CαH2), 4.099 (m, 4H, ether CγH2), 3.647 (t, J = 5.67 Hz, 4H, allyl CαH2), 3.396 (s, 3H, NCH3), 2.762 (m, 4H, ether CβH2), -2.350 (s, 2H, inner H)
この工程において、化合物(7a)の代わりに、一般式(7-1)及び/または一般式(7-2):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q、及びrは上記一般式(A)に同じ。sは上記一般式(5)に同じ。Yは、ハロゲンを表す。]
で表される化合物(以下、夫々、化合物(7-1)、化合物(7-2)と示す)を用いることができる。化合物(7-1)は、上記工程3において化合物(6a)の代わりに化合物(6)を用いることによって得ることができる。化合物(7-2)は、化合物(3a)の代わりに化合物(3)を、化合物(4a)の代わりに化合物(4)を、化合物(5a)の代わりにパラホルムアルデヒドを用いて工程2の反応を実施し、次いで、得られた化合物と等モル量のN-ハロゲノスクシンイミドとをクロロホルム中、−40℃から室温で30分間程度反応させることによって得ることができる。
工程4において、反応溶媒である、THFとトリエチルアミンとの割合が、5:1以外の混合溶液を用いることもできる。THFとトリエチルアミンとの使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.01〜1モル、好ましくは約0.1〜0.5モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、THF、トリエチルアミン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、Pd(dba)、AsPh以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、PdCl2(dppf)2 ([1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム)、Pd(PPh3)4(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常約0.01〜2モル、好ましくは約0.1〜0.8モルとすればよい。反応時間は、通常約1時間〜30時間、好ましくは約1時間〜15時間に設定できる。また反応温度は35℃に限られず、約20〜50℃に設定できる。
5) 工程5
1,4−ビス(5−(15−(1−メチル−2−イミダゾリル)−10,20−ビス(2−アリロキシプロピル)ポルフィリニル))ブタジインジ亜鉛錯体(化合物(9a-M))の合成
化合物(8a)(15 mg, 12.3 μmol)のクロロホルム(20 mL)溶液に、飽和酢酸亜鉛メタノール溶液(4 mL)を加えた。室温で2時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。収量15 mg, 91%。この化合物はクロロホルムのような非極性溶媒中ではポリマー(化合物(9a-P))として存在する。
この工程において、化合物(8a)の代わりに、一般式(8):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、X、q及びrは、上記一般式(A)に同じ。]
で表される化合物を用いることができる。化合物(8)は、上記工程(4)において、化合物(7a)の代わりに化合物(7-1)及び/または(7−2)を用いることによって得ることができる。例えば、L((−C≡C−))におけるmが2である化合物(8)は、上記工程(4)において、s=1である化合物(7−1)を用いることによって得ることができる。また、Lにおけるmが1である化合物(8)は、例えば、s=1である化合物(7−1)及び化合物(7−2)を用いることによって得ることができる。また、Lにおけるmが3である化合物(8)は、例えば、s=1である化合物(7−1)とs=2である化合物(7−2)を用いることによって得ることができる。
ここで、酢酸亜鉛の代わりに、亜鉛と公知の酸との塩を用いることもできる。用いられ得る酸としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されない。また、亜鉛以外の金属と酸との塩を用いることによって、一般式(A)においてMがZn以外の金属イオンである本発明のポルフィリン連鎖体を得ることができる。亜鉛以外の金属と酸との塩としては、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、塩化ガリウム(III)等が挙げられるが、これらに限定されない。
6) 工程6
ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸トリエチルエステル(化合物(11a))の合成
ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸(9 g, 42.8 mmol)(化合物(10a)と濃硫酸(3 mL, 56.3 mmol)を100 mLのエタノールに溶解し12時間加熱還流した。室温に戻し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、クロロホルムで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し得られた白色固体をエタノールから再結晶し、目的の化合物(11a)を8.81 g, 70%で得た。
また、工程6において、化合物(10a)とエタノールとの使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約10〜100モル、好ましくは約40〜60モルとすればよい。この工程において、エタノールは化合物(10a)を溶解するため、反応溶媒は特に必要とされないが、ベンゼン、トルエン等の反応溶媒を加えて反応を行ってもよい。また、工程2において、濃硫酸以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸、塩化水素等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(10a)1モルに対して、通常約0.01〜2モル、好ましくは約0.1〜1.5モルとすればよい。反応時間は、通常約30分〜20時間、好ましくは約1時間〜12時間に設定できる。
7) 工程7
5−ヒドロキシメチルイソフタル酸ジエチルエステル(化合物(12a))の合成
窒素雰囲気下、化合物(11a)(7.0 g, 23.8 mmol)を乾燥THF (250 mL)に溶解し、LiBH (1 g, 46 mmol)のTHF (20 mL)溶液を滴下した。反応溶液を1時間加熱還流した後、0度に冷却し、40 mLの水を加えた。生じた沈殿が溶解するまで5%の硫酸水溶液を滴々加えた。減圧下、有機溶媒を留去し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和しジエチルエーテルで二回抽出した。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し (溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=1:1)、白色固体を得た。収量 4 g, 67%。1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ8.608 (t, J = 1.62 Hz, 1H, p-Ph), 8.232 (t, J = 0.81 Hz, 2H, o-Ph), 4.819 (d, J = 6.21 Hz, 2H, -CH2OH), 4.416 (q, J = 14.31 Hz and J = 7.02 Hz, 4H, CH2), 1.816 (t, J = 5.94 Hz, 1H, OH), 1.420 (t, J = 7.02 Hz, 6H, CH3)
この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、LiBHの代わりに、LiAlH等を用いることができる。LiBH等の化合物の使用量は、化合物(11a)1モルに対して、通常約1〜3モル、好ましくは約1.5〜2.5モルとすればよい。反応時間は、通常約30分〜5時間、好ましくは約30分〜2時間に設定できる。
8) 工程8
5-ホルミルイソフタル酸ジエチルエステル(化合物(13a))の合成
化合物(12a)(3.6 g, 14.27 mmol)をクロロホルム(100 mL)に溶解し、モレキュラーシーブス(4A) 8粒を加えた。ピリジニウムクロロクロメイト (PCC, 8.4 g, 39 mmol) を窒素雰囲気下加え、室温で一時間攪拌した。反応混合物を攪拌しながらジエチルエーテル(200 mL)に加え、PCCを凝固させた。溶媒をデカンテートで除き、残渣をジエチルエーテルで二回洗浄した。有機相を合わせセライトを用いてろ過した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し (溶出液 ヘキサン/酢酸エチル=2:1)、白色固体として化合物(13a)を得た。収量 2.45 g, 69%。1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ10.138 (s, 1H, CHO), 8.923 (t, J = 1.62 Hz, 1H, p-Ph), 8.714 (t, J = 0.81 Hz, 2H, o-Ph), 4.459 (q, J = 14.31 Hz and J = 7.29 Hz, 4H, CH2), 1.445 (t, J = 7.29 Hz, 6H, CH3)
この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。PCCの使用量は、化合物(12a)1モルに対して、通常約1〜5モル、好ましくは約2〜3モルとすればよい。反応時間は、通常約30分〜5時間、好ましくは約30分〜2時間に設定できる。反応温度は、室温に限られず、約10〜50 ℃に設定できる。
また、工程8は、上記のようないわゆるPCC酸化の代わりにSwern酸化等により行うこともできる。
9) 工程9
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−(3,5−ジエトキシカルボニルフェニル)−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン(化合物(14a))の合成
0.5 Lのクロロホルムにmeso−(3−アリロキシプロピル)ジピロメタン(化合物(3a)) (579 mg, 2.37 mmol)、1−メチル−2−ホルミルイミダゾール(化合物(4a)) (130 mg, 1.19 mmol)、5−ホルミルイソフタル酸ジエチルエステル(化合物(13a)) (297 mg, 1.19 mmol)を加え、反応溶液をN置換後、トリフルオロ酢酸(540 mg, 4.74 mmol)を加えた。室温で3.5時間撹拌した後、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン (p−クロラニル, 1165 mg, 4.74 mmol)を加えた。反応液を12時間撹拌した後、飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム/アセトン(5 : 1))で分取することにより、純粋な化合物(14a)を収量101 mg、10.6%の収率で得た。MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 807.7 (M + H+), calcd for C48H50N6O6806.95; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ9.540 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.504 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 9.159 (t, J = 1.62 Hz, 1H, p-Ph), 9.603 (t, J = 0.81 Hz, 1H, o-Ph), 8.963 (t, J = 0.81 Hz, 1H, o-Ph), 8.790 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 8.733 (d, J = 4.86 Hz, 2H, Porβ), 7.722 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im4), 7.481 (d, J = 1.08 Hz, 1H, Im5), 6.150 (m, 2H, allyl CβH), 5.411 (trans, dd, J = 17.28 Hz and J = 1.62 Hz, 2H, allyl CγH2), 5.257 (cis, dd, J = 10.53 Hz and J = 1.35 Hz, 2H, CγH2), 5.096 (t, J = 7.29 Hz, 4H, ether CαH2), 4.506 (q, J = 7.29 Hz and J = 1.35 Hz, 4H, -OCH2-), 4.075 (q, J = 7.29 Hz and J = 1.35 Hz, 4H, ether CγH2), 3.656 (t, J = 5.67 Hz, 4H, allyl CαH2), 3.406 (s, 3H, NCH3), 2.785 (m, 4H, ether CβH2), 1.430 (td, J = 7.02 Hz and J = 1.35 Hz, 6H, CH3), -2.700 (s, 2H, inner H)
ここで、化合物(3a)の代わりに上記の化合物(3)を用いることによって、一般式(A)においてaが水素原子、Xがメチレン、qが2、及びrが1である本発明のポルフィリン連鎖体以外のものを得ることができる。
また、化合物(4a)の代わりに、上記の化合物(4)を用いることによって、一般式(A)においてImがImでありかつRがメチル基である本発明のポルフィリン連鎖体以外のものを得ることができる。
工程9において、化合物(3)と化合物(4)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.2〜1モル、好ましくは約0.4〜0.6モルとすればよい。化合物(3)と化合物(13a)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.2〜1モル、好ましくは約0.4〜0.6モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、プロピオン酸、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、工程9において、トリフルオロ酢酸以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、トリクロロ酢酸、BF3・Et2O、プロピオン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常約1.1〜5モル、好ましくは約1.5〜3モルとすればよい。また工程2において、p−クロラニルの代わりに、公知の酸化剤を用いることができる。酸化剤としては、ジクロロジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常約1.5〜2.0モル、好ましくは約1.5〜1.7モルとすればよい。触媒を添加してから酸化剤を添加するまでの反応時間は、通常約30分〜20時間、好ましくは約1時間〜5時間に設定できる。酸化剤を添加した後の酸化反応の反応時間は、通常約1時間〜20時間、好ましくは約1時間〜12時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約15〜50℃に設定できる。
10) 工程10
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−(3,5−ジエトキシカルボニルフェニル)−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン亜鉛錯体(15a-M))の合成
化合物(14a)(55 mg, 74.35 μmol)のクロロホルム(30 mL)溶液に、飽和酢酸亜鉛メタノール溶液(4 mL)を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム/アセトン(20 : 1))で分取することにより収量46.4 mg, 78%で目的物を得た。この化合物はクロロホルムのような非極性溶媒中ではダイマー(化合物(15a-D))として存在する。MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 870.23 (M + H+), calcd for C48H48N6O6Zn 870.32; λabs (chloroform) 621, 568, 439, 416 nm;λemex= 439 nm, chloroform) 624, 680 nm; 1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ9.668 (d, J = 4.32 Hz, 2H, Porβ), 9.546 (t, J = 1.08 Hz, 1H, p-Ph), 9.216 (t, J = 1.08 Hz, 1H, o-Ph), 8.987 (d, J = 4.32 Hz, 2H, Porβ), 8.936 (d, J = 1.08 Hz, 1H, o-Ph), 8.895 (d, J = 4.59 Hz, 2H, Porβ), 6.174 (m, 2H, allyl CβH), 5.558 (trans, s, 2H, allyl CγH2), 5.492 (d, J = 1.35 Hz, 1H, Im5), 5.443 (d, J = 4.59 Hz, 2H, Porβ), 5.340 (cis, d, J = 10.53 Hz, 2H, CβH2), 5.249 (m, 4H, ether CαH2), 4.582 (dq, J = 56.7 Hz and J = 7.02 Hz, 4H, -OCH2-), 4.237 (d, J = 5.4 Hz, 4H, allyl CαH2), 3.943 (d, J = 3.78 Hz, 4H, ether CγH2), 3.125 (m, 4H, ether CβH2), 2.144 (t, J = 0.81 Hz, 3H, Im4), 1.691 (s, 3H, NCH3), 1.504 (dt, J = 65.88 Hz and J = 7.02 Hz, 6H, CH3)
この工程において、化合物(14a)の代わりに、下記の一般式(14-1):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、X、q及びrは一般式(A)に同じ。]
で表される化合物を用いることができる。化合物(14-1)は、工程9において、化合物(3a)及び化合物(4a)の代わりに、夫々、化合物(3)及び化合物(4)を用いることによって得ることができる。
ここで、酢酸亜鉛の代わりに、亜鉛と公知の酸との塩を用いることもできる。用いられ得る酸としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されない。また、亜鉛以外の金属と酸との塩を用いることによって、一般式(A)においてMがZn以外の金属イオンである本発明のポルフィリン連鎖体を得ることができる。亜鉛以外の金属と酸との塩としては、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、塩化ガリウム(III)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、工程10において、上記金属塩の使用量は、化合物(14-1)1モルに対して、通常約1〜1000モル、好ましくは約10〜100モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。反応時間は、通常約10分〜10時間、好ましくは約30分〜2時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約10〜100 ℃に設定できる。
11) 工程11
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−(3,5−ジカルボキシフェニル)−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン亜鉛錯体(化合物(16a-M))の合成
化合物(15a-D)(81 mg、93 μmol)を20 mLのテトラヒドロフラン(THF)/MeOH (13:8)に溶解し、5 mLの8規定水酸化ナトリウム水溶液を加えた。室温で3時間攪拌し、4規定の塩酸水溶液を加えてpHを4に調整し、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した(68 mg, 90%)。MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 814.07 (M + H+), calcd for C44H40N6O6Zn 814.22
ここで、化合物(15a-D)の代わりに、以下の一般式(15-1):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、M、X、q及びrは一般式(A)に同じ]
で表される化合物の二量体を用いることができる。化合物(15-1)の二量体は、工程10において、化合物(14a)及び酢酸亜鉛を用いる代わりに、夫々、化合物(14-1)及び金属イオンMと酸との塩を用いることによって得ることができる。
反応溶媒である、THFとMeOHとの割合が、13:8以外の混合溶液を用いることもできる。THFとMeOHとの使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約0.2〜1モル、好ましくは約0.5〜0.8モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、THF、MeOH、EtOH、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、水酸化ナトリウム以外にも、加水分解に用いられる公知の触媒を用いることができる。このような触媒としては、水酸化カリウム、水酸化バリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(15-1)1モルに対して、通常約1〜500モル、好ましくは約20〜400モルとすればよい。反応時間は、通常約30分〜5時間、好ましくは約30分〜3時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約10〜50 ℃に設定できる。
12) 工程12
トリス[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル]ニトロメタン(化合物(18a))の合成
ニトロメタン(0.61 g, 10 mmol)と水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B, 95 mg, 0.57 mmol)をジメトキシエタン(2 mL)に溶解し、70度に加熱した。温度を70−80度に保ちながらtert−ブチルアクリレート(3.97 g, 31 mmol)を加え、温度が下がりだしたらTriton Bを追加した(95 mgを二回)。その後70度で1時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣をクロロホルム20 mLに溶解し、4規定の塩酸水溶液5 mLで洗浄し、飽和食塩水で洗浄した後硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後エタノールから再結晶した。収量 3.3 g, 74%。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.206 (m, 12H, CH2), 1.441 (s, 27H, CH3); 13C NMR (67.7 MHz, CDCl3) δ170.907 (C=O) 92.172 (O2NC), 81.162 (C(CH3)3), 30.446 (CH2CH2CO), 29.902 (CH2CO), 28.122 (CH3); IR (film, KBr) 2976.13-2934.27 (medium, CH3), 1723.77 (strong, C=O), 1536.41 (sharp, strong, NO2)
この工程において、tert−ブチルアクリレートの代わりに、下記の一般式(17b):
C=CH(CHp’-2COOBu (17b)
[式中、Buは、tert−ブチル基を表し、p’は、2〜4の整数を表す。]
で表される化合物を用いることもできる。
工程12において、化合物(17a)と化合物(17b)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約3〜4モル、好ましくは約3〜3.2モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、ジメトキシエタン、THF、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、Triton B以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(17a)1モルに対して、通常約0.05〜0.5モル、好ましくは約0.05〜0.15モルとすればよい。反応時間は、通常約1時間〜10時間、好ましくは約2時間〜5時間に設定できる。また反応温度は70〜80℃に限られず、約40〜150 ℃に設定できる。
13) 工程13
トリス[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル]メチルアミン(化合物(19a))の合成
化合物(18a)(446 mg, 1 mmol)とラネーニッケル触媒(0.4 g)をエタノールに加え、オートクレーブ中で水素圧を8 kg/cmとして60度で24時間反応させた。触媒をセライトを用いてろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 酢酸エチル)で生成することにより収量300 mg, 72%で化合物(19a)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.216 (t, J = 3.78 Hz, 6H, CH2CO), 1.577 (t, J = 3.78 Hz, 6H, CH2CH2CO) 1.417 (s, 27H, CH3); 13C NMR (600 MHz, CDCl3) δ173.233 (C=O), 80.495 (C(CH3)3), 52.489 (H2NC), 34.564 (CH2CH2CO), 30.154 (CH2CO), 28.238 (CH3); IR (film, KBr) 3378.52-3316.76 (sharp, medium, NH2), 2974.1 (strong, CH3), 1723.77 (strong, C=O)
ここで、化合物(18a)の代わりに、以下の一般式(18):
N−C((CHp’COOBu) (18)
[式中、Bu、p’は一般式(17b)に同じ]
で表される化合物を用いることができる。化合物(18)は、工程12において、tert−ブチルアクリレートの代わりに、化合物(17b)を用いることによって得ることができる。
この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール、n-ブタノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、ラネーニッケル触媒以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、Pd/C−H、SnCl/HCl等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(18)1モルに対して、通常約0.5〜20モル、好ましくは約1〜10モルとすればよい。反応時間は、通常約10〜50時間、好ましくは約20〜30時間に設定できる。また反応温度は60℃に限られず、約40〜100 ℃に設定できる。
14) 工程14
5,15−ビス(2−アリロキシプロピル)−10−(3,5−ビス(トリス(2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)メチルカルボキシアミド)フェニル)−20−(1−メチル−2−イミダゾリル)ポルフィリン亜鉛錯体(20M)の合成
化合物(16a-M) (95 μmol)、ベンゾトリアゾール−1−イロキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート (benzotriazol−1−yloxy−tris (dimethylamino)phosphonium hexafluorophosphate (BOP), 84.6mg, 191.4 μmol)とジイソプロピルエチルアミン (DIPEA, 37.1 mg, 287.1μmol)を乾燥DMF (8 mL)に溶解し、室温で攪拌した。一時間後、化合物(19a)(100 mg, 239μmol)とDIPEA (24.7 mg, 191μmol)を加え2時間攪拌した。減圧濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解し飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、 シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム/アセトン=20:1)で生成することにより収量138.2 mg, 90%で目的物を得た。クロロホルム中では二量体(化合物(20a-D))として存在する。MALDI-TOF Mass with Dithranol m/z = 1610.52 (M + H+), calcd for C88H118N8O16Zn 1609.31;λabs (chloroform) 416, 426, 438, 565, 621 nm;λemex = 438 nm, chloroform) 623, 680 nm; 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ9.641 (d, J = 4.8 Hz, 2H, Porβ), 9.329 (s, 1H, p-Ph), 8.977 (d, J = 4.2 Hz, 2H, Porβ), 8.917 (d, J = 4.2 Hz, 2H, Porβ), 8.726 (s, 1H, o-Ph), 8.546 (s, 1H, o-Ph), 7.247, 7.181 (s, 2H, NH2), 6.187 (m, J = 5.4 Hz, 2H, allyl CβH), 5.555 (dd, J = 10.8 Hz and J = 1.8 Hz, 6H, allyl CγH2 trans), 5.580 (d, J = 1.8 Hz, 1H, Im5), 5.443 (d, J = 4.2 Hz, 2H, Porβ), 5.340 (d, J = 10.8 Hz, 2H, allyl CγH2cis), 5.231 (m, 4H, ether CαH2), 4.237 (dd, J = 5.4 Hz and J = 1.2 Hz, 4H, allyl CαH2), 3.950 (m, 4H, ether CγH2), 3.066 (dm, J = 63.6 Hz, 4H, ether CβH2), 2.424 (dt, J = 103.8 Hz and J = 7.8 Hz, 12H, amide CH2), 2.189 (dt, J = 93.6 Hz and J = 7.8 Hz, 13H, amide CH2 and Im4),1.690 (s, 3H, NCH3), 1.526 (s, 27H, CH3), 1.217 (s, 27H, CH3)
ここで、化合物(16a-M)の代わりに、下記の一般式(16-1):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、M、X、q及びrは一般式(A)に同じ]
で表される化合物を用いることができる。化合物(16-1)は、工程11において、化合物(15a-D)の代わりに化合物(15-1)の二量体を用いることによって得ることができる。
また、化合物(19a)の代わりに、下記の一般式(19)
N−C((CHp’COOBu) (19):
[式中、Bu、p’は一般式(18)に同じ]を用いることができる。化合物(19)は、工程13において、化合物(18a)の代わりに化合物(18)を用いることによって得ることができる。
工程14において、化合物(16-1)と化合物(19)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約2〜3モル、好ましくは約2.2〜2.6モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、DMF、THF、ジメトキシエタン、ジオキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、DIPEAの代わりに、トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン等を用いることができる。DIPEA等の化合物の使用量は、化合物(16-1)1モルに対して、通常約 4〜6モル、好ましくは約4〜5モルとすればよい。反応時間は、通常約1時間〜5時間、好ましくは約2時間〜3時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約10〜50 ℃に設定できる。
15) 工程15
ポルフィリン4量体(化合物(21a-1))の合成
化合物(9a-P)(30 mg, 22.3μmol)と化合物(20a-D)(72 mg, 44.6μmol)を400 mLのピリジンに溶解し、化合物(9a-M)と化合物(20a-M)へと解離した。一時間後、ピリジンを減圧留去し、ポルフィリン連鎖体の混合物である化合物(21a-(n+1))を得た。クロロホルムを溶出液としてゲルろ過クロマトグラフィー(HPLC−GPC, JAIGEL 3Hカラム)を行い、化合物(21a-1)を含むフラクションを分取した。図1にGPCチャートを示す。
ここで化合物(9a-P)の代わりに、以下の一般式(9):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、X、q、r及びsは一般式(A)に同じ。]
で表される化合物の連鎖体を用いることができる。化合物(9)は、工程4において、化合物(8a)の代わりに、化合物(8)を用いることによって得ることができる。また、化合物(20a-D)の代わりに、以下の一般式(20):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、X、q、r及びsは一般式(A)に同じ。R’は、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基の末端カルボキシル基が保護基で保護された構造を有する基を表す。]
で表される化合物を用いることができる。化合物(20)は、本明細書中の記載の化合物及び公知の化合物から適宜合成することができる。
例えば、上記一般式(20)においてR’が式(a’):
−(CHm’COOC (a’)
[式中、m’は、1〜6の整数を表す]
で表される基を示す化合物は、工程6〜10において、化合物(10a)の代わりに下記の式(10b):
HOOC−(CHm’−COOH (10b)
[式中、m’は、1〜6の整数を表す]
で表される化合物を用い、化合物(3a)の代わりに化合物(3)を用い、そして化合物(4a)の代わりに化合物(4)を用いることによって得ることができる。
また、例えば、上記一般式(20)においてR’が式(b’):
Figure 2006095708
で表される基を示す化合物は、工程6〜10において、化合物(10a)の代わりにテレフタル酸を用い、化合物(3a)の代わりに化合物(3)を用い、そして化合物(4a)の代わりに化合物(4)を用いることによって得ることができる。
また、例えば、上記一般式(20)においてR’が式(c’):
Figure 2006095708
で表される基を示す化合物は、工程6〜10において、化合物(3a)の代わりに化合物(3)を用い、そして化合物(4a)の代わりに化合物(4)を用いることによって得ることができる。
また、例えば、上記一般式(20)においてR’が式(d’):
Figure 2006095708
[式中、Buは、tert−ブチル基を表し、pは、2〜4の整数を表す。]
で表される基を示す化合物は、工程14において、化合物(16a)の代わりに化合物(16−1)を用い、化合物(19a)の代わりに化合物(19−1)を用いることによって得ることができる。
また、例えば、上記一般式(20)においてR’が式(e’):
Figure 2006095708
で表される基を示す化合物(以下、化合物(20b)と示す)は、工程9、10において、化合物(13a)の代わりに、上記構造式(e’’)で表される化合物(当該化合物は、Mizutani, Tadashi; Wada, Kenji; Kitagawa, Susumu. Journal of the American Chemical Society (1999), 121(49), 11425-11431.を参考に合成することができる)を用い、化合物(3a)の代わりに化合物(3)を用い、そして化合物(4a)の代わりに化合物(4)を用いることによって得ることができる。
さらに、例えば、上記一般式(20)においてR’が式(f’):
Figure 2006095708
[式中、Buは、tert−ブチル基を表し、pは、2〜4の整数を表す。]
で表される基を示す化合物は、工程11において化合物(15a-M)の代わりに上記化合物(20b)を用いて化合物(20b)を脱保護し、次いで、得られた化合物を化合物(16a)の代わりに用い、化合物(19a)の代わりに化合物(19)を用いて、工程14の反応をさせることによって得ることができる。
工程15において、化合物(9)と化合物(20)との使用割合は、前者1モルに対して後者が、通常、約1〜5モル、好ましくは約1.5〜2.5モルとすればよい。この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解し、ポルフィリン中心の亜鉛に配位することができ、かつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、ピリジン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。解離反応の時間は、通常約5分〜2時間、好ましくは約30分〜1時間とすればよい。反応温度は、室温に限られず、約10〜80 ℃に設定できる。
また、溶媒を取り除くことによって、化合物(20)2分子に対してn+1個の化合物(9)が配位結合した化合物を得ることができる。(ここで、nは0〜100の整数を表す。)
16) 工程16
ポルフィリン4量体(化合物(22a))の合成
化合物(21a-1)を含む工程15の混合物(8.9 mg, およそ1.95μmol)をクロロホルム(2 mL)に溶解し、Grubbs触媒(RuCl(=CH−p−C)(PCy(P.Schwab,R.H.Grubbs,J.W.Ziller,J.Am.Chem.Soc.,1996,118,100−110))の0.72 mg(0.81μmol)を加えた。室温で4時間攪拌し、水を加えて洗浄し、クロロホルムで抽出した。溶媒を減圧留去後、クロロホルムを溶出液としてゲルろ過クロマトグラフィー(HPLC−GPC, JAIGEL 3Hカラム)を行い目的物を単離し5 mg (1.1 μmol)を得た。図2に単離後の分析GPCチャートを、図3にMALDI−TOFマススペクトルを示す。MALDI-TOF Mass peaks with Dithranol m/z = 4453.11 (target tetramer), calcd for C244H290N28O36Zn44452.64 (target tetramer); 1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 10.35-10.28 (trans and cis, three d, J = 4.2 Hz, 4H, Porβ4), 9.83-9.81 (trans and cis, three d, J = 4.2 Hz, 4H, Porβ4), 9.59-9.56 (trans and cis, three d, J = 4.2 Hz, 4H, Porβ1), 9.37*(trans-trans, s, 54% x2H, Ph4), 9.35’(cis-trans, s, 40% x 2H, Ph4), 9.33’(cis-cis, s, 6% x 2H, Ph4) 9.20-8.98 (trans and cis, six d, 2 x 4H, Porβ2,3), 8.96-8.90 (trans and cis, three d, 4H, Porβ1), 8.74 (broad t, J = 1.8 Hz, 2H, Ph2,6), 8.57’ (cis-cis, s, 6% x 2H, Ph2,6), 8.53’ (cis-trans, s, 40% x2H, Ph2,6), 8.49* (trans-trans, s, 54% x 2H, Ph2,6), 7.19’ (cis-cis, s, 6% x 2H, CONH), 7.15’ (cis-trans, s, 40% x 2H, CONH), 7.11* (trans-trans, s, 54% x 2H, CONH), 6.51*(trans, s, 78% x8H, -CH=), 6.16’ (cis, s, 22% x 8H, -CH=), 5.69-5.44 (m, 19H, Im5(4H), Porβ2,3 (2 x 4H), CαH2’(44% x 16H))
5.33-5.11* (broad, 56% x 16H, CαH2), 4.75’ (cis, broad, 24% x16H, -OCH2CH=), 4.55-4.42* (trans, m, 76% x 16H, -OCH2CH=), 4.4-4.16 (m, 16H, CαH2), 3.46-2.94 (broad m, 16H, CαH2), 2.59-2.04 (m, 52H, amide ester -CH2CH2-(48H), Im4(4H)), 1.83-1.73 (trans and cis, three d, J = 25.2 Hz, 12H, NCH3), 1.54 (broad s, 54H, CH3), 1.24-1.20 (trans and cis, three s, 54H, CH3
この工程において、化合物(21a-1)の代わりに、下記の一般式(21):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、M、R’X、m、n、q及びrは上記に同じ。]
で表されるポルフィリン連鎖体化合物を用いることができる。
この工程においては、反応溶媒として、原料化合物及び目的化合物を溶解しかつ反応に悪影響を及ぼさないものである限り、公知の溶媒を広く用いることができる。用いられ得る反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。また、本反応で用いたGrubbs触媒以外にも、公知の触媒を用いることができる。触媒の例としては、同じくGrubbs触媒であるRuCl(=CH−CH=C(p−C2)(PPh等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒の使用量は、化合物(21)1モルに対して、通常約0.01〜0.9モル、好ましくは約0.1〜0.5モルとすればよい。反応時間は、通常約1時間〜10時間、好ましくは約2時間〜4時間に設定できる。また反応温度は室温に限られず、約10〜60 ℃に設定できる。
17) 工程17
本発明のポルフィリン連鎖体(4量体)またはその塩(化合物(Aa))の合成
化合物(22a)(4.13 mg, 0.93 mmol)を1 mLのギ酸に溶解した。12時間室温で攪拌した後、ギ酸を減圧留去した。残渣にカルボキシル基に対して当量のNaOH(22に対して12当量、0.445 mg, 11.14 mmol)を加えた。MALDI−TOFマス測定より少量の脱亜鉛が認められたため、酢酸亜鉛(6.12 mg, 27.81 μmol)の水溶液(2 mL)を加えた。生じた沈殿をろ取し、NaOH (1 mg)の水溶液(5 mL)に溶解させた。0.1 N塩酸水溶液をゆっくり加え、pHを5とした。生じた沈殿をろ取し、水で洗浄した。沈殿を再びNaOH(0.445 mg, 11.14 mmol)の水溶液に溶解し、溶媒を減圧留去した。収量3.5 mg、0.93 mmol。MALDI-TOF Mass peaks with α-Cyano-4-hydroxy cinaminic acid, m/z = 3780.9 (M + H+), calcd for C196H194N28O36Zn43779.36; λabs (water) 429, 490, 571, 619, 670, 735 nm;λemex = 429 nm, water) 615, 754 nm。この化合物は有機溶媒に不溶であり、水に可溶であるためD2O中で1H NMRの測定を試みたが、ブロードなスペクトルを与え解析することができなかった。ポルフィリンやフタロシアニン等の比較的会合しやすい色素化合物はNMRスペクトルがブロードして解析ができないことが多々あり、このような場合は有機合成の専門雑誌でもNMRデータの免除が認められる。カルボキシレートへの変換はMALDI-TOF Massの結果から明らかであり、前駆体の22aの1H NMRの同定が十分行われていることを考慮すると化合物Aaが生成していることは明らかである。
図10に、化合物(22a)のクロロホルム中の可視・紫外吸収スペクトル(上)と化合物(Aa)の水中の可視・紫外吸収スペクトル(下)を示す。
図10(上)における化合物(22a)のクロロホルム中の可視・紫外吸収スペクトルにおいて、化合物(20a)に由来する末端ポルフィリン部分の特徴的な、亜鉛とイミダゾールとの配位に由来するソーレー帯が412 nmと420nmに重なって観測された(Y. Kobuke and K. Ogawa, Bull. Chem. Soc. Jpn, 76, 689-708 (2003).)。またこの部分に特徴的なQ帯の吸収が570 nmと619 nmに観測され、化合物(20a)に由来する末端ポルフィリン部分の存在が確認できる。一方、化合物(9a)に由来するビスアセチレンで連結されたビスポルフィリンに特徴的な長波長シフトしたソーレー帯が490 nmに観測され、同じく長波長シフトしたQ帯が670 nmと735 nmに観測された。これはビスアセチレンで連結された二つのポルフィリン同士の励起子相互作用と二つのポルフィリン間のパイ共役系の拡張に由来する特徴的な吸収ピークである(Anderson, H. L. Inorg. Chem. 1994, 33, 972. Anderson, H. L. Chem. Commun. 1999, 2323.)。図(下)における化合物(Aa)の水中の可視・紫外吸収スペクトルにおいても、それぞれ同様の特徴的な吸収帯が観測された。これらの吸収スペクトルから脱保護した化合物(Aa)は化合物(22a)と同じ骨格、すなわちビスアセチレンで連結されたビスポルフィリンの両端に単量体ポルフィリンが亜鉛とイミダゾールとの配位によって連結されたポルフィリン4量体骨格を有すると結論付けられる。
またここで、化合物(22a)の代わりに、下記の一般式(22):
Figure 2006095708
[式中、a、Im、L、M、M、R’X、m、n、q及びrは上記に同じ。]
で表されるポルフィリン連鎖体化合物を用いることができる。化合物(22)は、工程15において、化合物(21a)の代わりに、化合物(21)を用いることによって得ることができる。
上記に示す各工程で得られる各々の目的化合物は、反応混合物を、例えば、濾過、濃縮、抽出等の公知の単離操作によって反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常行われる公知の精製操作によって、反応混合物から単離、精製することができる。
実施例2
二光子吸収断面積の測定
化合物(Aa)の二光子吸収断面積を、0.4 mmol/lのモル濃度の水溶液中、5ナノ秒のパルス幅を持つYAG:Ndレーザーを用い、オープンZ-スキャン法を用いて求めた。波長は光学パラメトリックオシレーター(OPO)を用いて780 nmから920 nmまで変化させた。レーザーの平均出力は20 mW (焦点距離10 cmの平とつレンズを用いた焦点でのピークパワーは1.7 x 1014W/m2)、繰り返しは10 Hzである。測定は1 mmセルを用い、入射光焦点の前後を60 mmスキャンして行った。Z-スキャン測定前後で可視・紫外吸収スペクトルに変化はなかった。図4に890 nmの波長で測定したZ-scanカーブを示す。
次いで、二光子吸収断面σ(2)を、式(1)(2)を用いる以下の解析から得た。
T0 = β Leff I0 / 23/2 (1)
ここで Leffは有効光路長(m)、T0は図4で示すZ-scanカーブをガウシアンフィッティングして得られる最大透過度、I0はレーザー密度である。
図5にT0とI0をプロットしたものを示す。このプロットの線形最小二乗フィットから二光子吸収係数βを得た。得られたβを(2)式に代入してσ(2)を求めた。
σ(2) = hν β / N (2)
ここでhはプランク定数、νは入射光の波数でありc/λに対応する(cは光速、λは波長)。Nはnumber densityで、1立方メートル当たりの分子密度であり、モル濃度にアボガドロ数と103を掛けた値である。
得られたσ(2)の値を図5下の表1にまとめ、波長に対してプロットした二光子吸収スペクトルを図6に示す。最大値は780 nmで得られた24100 GMである。この値は、ナノ秒のパルスレーザーを用いた値として非常に大きい。
一重項酸素の測定
光線力学療法では光励起したポルフィリンから励起三重項を経由して一重項酸素を生成し、これが腫瘍を破壊する。従って、開発したポルフィリンが光線力学療法用薬剤として使えるか否かを光照射による一重項酸素発生を確認する必要がある。一重項酸素は1270nmに発光を示すためこれを測定することで検討した。この発光の遷移は禁制であるため微弱な発光しか出さないため高感度の検出器を用いる必要がある。
測定はZ-scanと同様の5 nsのパルスNd:YAGレーザーを使用し、OPO (optical parametric oscillator)によって励起波長を608 nmとした。サンプルは化合物(Aa)と5,10,15,20-テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸(TPPS)を用いた。1 cmの光路長の4面石英セルを用い608 nmでの吸光度を両サンプルともに0.6とした。検出器の手前に1270 nmのバンドパスフィルターを通し、一重項酸素の発光を検出した。図7では1270 nmの発光の時間変化を示している。化合物(Aa)(図上)とTPPS(図中)では時間0から発光が見られ、数マイクロ秒で減衰してほぼ同程度のシグナル強度の発光プロファイルが得られた。これらの溶液に消光剤であるアジ化ナトリウムを加えると(図下)シグナルが消失したことから、一重項酸素に由来する発光であると帰属できる。以上から本発明の化合物(Aa)は、水溶液中において、波長608 nmのレーザー光によって従来のポルフィリンと同等の一重項酸素発生能を有することが示された。
二光子励起による発生した一重項酸素の測定
次いで、二光子励起が生じる890 nmと780 nmの波長のレーザー光を照射した際に本発明の化合物から発生する一重項酸素を測定した。上記のように、一重項酸素の発光は非常に微弱であり、二光子励起による一重項酸素の測定は難しい。そこで本実施例においては、一重項酸素の発生を測定するためにトラップ剤を用いた。トラップ剤としては9.10-anthracenedipropionic acid (ADPA)を用いた。ADPAは一重項酸素と反応して過酸化物を生成し、可視紫外領域の吸収を失う。この吸収の減少量を測定することで一重項酸素の発生をモニターすることができる(B. A. Lindig, M. A. J. Rodgers, and A. P. Schaap, J. Am. Chem. Soc., 5590-5593, 102, (1980).)。
Figure 2006095708
ADPAの濃度を1〜2 x 10-4 mol/L、ポルフィリンの濃度を1〜2 x 10-5 mol/Lとし、溶媒として重水を用いた。ポルフィリンは化合物(Aa)と比較化合物として5,10,15,20-tetraphenylporphyrintetrasulfonic acid (TPPS)を用いた。励起光源は5 nsのパルスNd:YAGレーザーを使用し、OPO (optical parametric oscillator)によって励起波長を変え、890 nmと780 nmで励起した。パルスのエネルギーは890 nmでは4.3 mJ、780 nmでは3.0 mJで、繰り返し10 Hzで照射した。レーザー光を焦点距離100 mmのレンズで集光した。焦点のスポット半径は約0.035 mmであった。5 mmの光路長の石英セルを用い溶液の高さを2 cmとし、レーザー光を溶液の真上から照射し、焦点は溶液の中央に結ばせた。
図8に結果を示した。図の横軸は時間で縦軸は378 nmにおけるADPAの吸収変化であり、各時間の吸光度から時間0の吸光度を差し引いている。a)は780 nm、b)は890 nmで励起した結果であり、それぞれ、四角はADPA単独、ひし形はADPAとTPPSの混合物、三角はADPAと化合物(Aa)の混合物である。いずれの励起波長においてもADPA単独の溶液、ADPAとTPPSを混合した溶液ではADPAの吸収は変化しておらず、二光子励起の照射条件においては一重項酸素が生成していないことを示した。一方、ADPAと化合物(Aa)を混合した溶液では時間とともに顕著なADPAの吸収の減少が観測された。これは化合物(Aa)が二光子吸収を起こして励起一重項を生成し、項間交差による励起三重項を経てエネルギー移動によって基底三重項酸素を励起し、一重項酸素を生成してこれがADPAをADPAの過酸化物に変換したことを示す。
以上から従来のポルフィリンは二光子励起によって一重項酸素を発生しないが、本発明の化合物(Aa)は二光子励起によって一重項酸素を発生することが示された。
二光子照射による抗腫瘍実験
HeLa細胞(人子宮ガン)を一晩37度でインキュベートし細胞を活性化した。詳細には、スライドチャンバーにMEM(Minimum Essential Medium)培地約2 mlを加え、そこへ約100個のHeLa細胞を加えた。そして一晩37度でインキュベートした。次いで化合物(Aa)とヘマトポルフィリンをそれぞれ1 μMの濃度になるように加え、さらに2時間インキュベートした。細胞をリン酸緩衝食塩水で洗浄した。レーザー照射の直前にチャンバーを外し、スライド上の細胞にカバーガラスをかぶせた。光照射はパルス-チタン:サファイヤレーザーを用いた(パルス幅100 fs、波長 780 nm, 繰り返し76 MHz, 平均出力2 mW, ピークパワー 8.4 GW/cm2, レンズの焦点距離 1 cm、焦点のスポット径1 μm, 照射時間 5分, 照射エネルギー 0.6 J)。CCDカメラで観察しながら、約30 μmの細胞に上記の条件で光照射した。
図9に結果を示した。図9上の実行1では二つの細胞が観測されているが、照射前の図で矢印を付けている場所がレーザーを照射した位置である。細胞の大きさ約30μmに対して照射スポット径1 μmの関係にある。上記条件で照射を行った後の画像が右図である(照射後)。丸で囲った部位に細胞壁の損傷が見られPDT効果が認められた。実行2は別の細胞について同様の実験を行なった結果である。レーザー照射後には丸で囲った部分に障害が認められた。ヘマトポルフィリン及びブランクでは照射時間を二倍にしても細胞の損傷は認められなかった。以上から化合物(Aa)は二光子照射条件でPDT効果を示すことが明らかとなった。

Claims (17)

  1. 次の一般式(A):
    Figure 2006095708
    [式中、Rは、同一または異なって、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基を表し、
    Imは、同一または異なって、次のImあるいはIm
    Figure 2006095708
    [式中、Rは、メチル基または水素原子を表す。]で表されるイミダゾリル基を表し、
    及びMは、同一または異なって、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表し、
    は、同一または異なって、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表し、
    aは、同一または異なって、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表し、
    Xは、同一または異なって、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表し
    nは、0〜100の整数を表し、
    qは、同一または異なって、0〜6の整数を表し、
    rは、同一または異なって、0〜4の整数を表す。]
    で表される、ポルフィリン化合物またはその塩。
  2. 一般式(A)において、M及びMが、同一または異なって亜鉛、鉄、コバルト、ルテニウム及びガリウムからなる群から選択される金属のイオンである請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩。
  3. 一般式(A)において、Rが、下記一般式(a)で表されるカルボキシアルキル基、下記構造式(b)で表される4−カルボキシフェニル基、下記構造式(c)で表される3,5−ジカルボキシフェニル基、下記一般式(d)で表される3,5−ビス(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド)フェニル基、下記構造式(e)で表される4−カルボキシ−2,6−ビス(カルボキシメトキシ)フェニル基、及び下記一般式(f)で表される4−(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミド)−2,6−ビス(トリス(カルボキシアルキル)メチルカルボキシアミドメトキシ)フェニル基からなる群から選択されるものである請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩。
    Figure 2006095708
    [式中、m’は1〜6の整数を表し、pは同一または異なって、2〜4の整数を表す。]。
  4. 一般式(A)において、Imが1−メチル−2−イミダゾリルを示し、M及びMが共に亜鉛イオンを示し、mが1、aが水素原子、Xがメチレン、nが0〜100、qが2、rが1である、請求項3に記載のポルフィリン化合物またはその塩。
  5. 請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を含有する光線力学療法用光増感剤組成物。
  6. 薬学的に許容される緩衝剤、無痛化剤、希釈剤及び等張剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、請求項5に記載の光線力学療法用光増感剤組成物。
  7. 請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を含有する二光子光線力学療法用光増感剤組成物。
  8. 薬学的に許容される緩衝剤、無痛化剤、希釈剤及び等張剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、請求項7に記載の二光子光線力学療法用光増感剤組成物。
  9. ヒトまたは動物に請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び
    腫瘍部位に光照射する工程、
    を含む、癌の改善または治療のための方法。
  10. ヒトまたは動物の腫瘍部位に光線を照射することにより腫瘍に損傷を与える光線力学療法において、ヒトまたは動物に請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与することにより腫瘍部位において光増感をもたらす方法。
  11. 前記光増感が二光子励起に基づくものである、請求項10に記載の方法。
  12. ヒトまたは動物の腫瘍部位に光線を照射することにより腫瘍に損傷を与える光線力学療法において、ヒトまたは動物に請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与することにより腫瘍部位に存在する該化合物またはその塩から一重項酸素を発生させる方法。
  13. ヒトまたは動物に請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩を投与する工程;及び
    腫瘍部位に光照射する工程、
    を含む、腫瘍細胞に損傷を与える方法。
  14. 請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法用光増感剤としての使用。
  15. 請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法用光増感剤組成物を製造するための使用。
  16. 請求項1に記載のポルフィリン化合物またはその塩の光線力学療法のための使用。
  17. 一般式(22):
    Figure 2006095708
    [式中、R’は、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基の末端カルボキシル基が保護基で保護された構造を有する基を表し、
    Imは、次のImあるいはIm
    Figure 2006095708
    [式中、Rは、メチル基または水素原子を表す。]で表されるイミダゾリル基を表し、
    及びMは、同一または異なって、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属イオンを表し、M及びMは同じであっても異なっていてもよく、
    は、同一または異なって、(−C≡C−)[式中、mは、1〜3の整数を表す。]で表される連結基を表し、
    aは、同一または異なって、水素原子、C〜Cのアルキル基またはC〜C20のアリール基を表し、
    Xは、同一または異なって、C〜Cのアルキレン基またはカルボニル基を表し
    nは、0〜100の整数を表し、
    qは、同一または異なって、0〜6の整数を表し、
    rは、同一または異なって、0〜4の整数を表す。]
    で表されるポルフィリン化合物のカルボキシル基の保護基を脱保護して、一般式(A):
    Figure 2006095708
    [式中、Rは、カルボキシアルキル基(該カルボキシアルキル基のアルキル基の炭素原子数は1〜20である)またはカルボキシル末端の置換基を有する炭素原子数7〜60の置換アリール基を表す。
    a、Im、L、M、M、R、X、n、q、及びrは、上記定義と同じ。]
    で表されるポルフィリン化合物またはその塩を製造する方法。
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