JPWO2006095654A1 - レポータ遺伝子アッセイ法 - Google Patents

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Abstract

被験物質の転写調節活性を測定するためのより精度の高い方法を提供する。転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、エピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞に、被験物質、検出抗体を接触させ、2種類の検出抗体が互いに近接することにより生じる現象を検出して前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づける工程を含むレポータ遺伝子アッセイ方法を見出した。

Description

本発明は、レポータ遺伝子アッセイ法に関する。
サイトカイン、ホルモン、抗原等が細胞膜上に存在する受容体と結合すると、細胞内でカルシウムイオン、サイクリックAMPなどのセカンドメッセンジャーやプロテインキナーゼなどが複雑に絡んだ反応カスケードが活性化して情報が伝達される。このとき情報伝達経路の下流に位置する転写因子が情報を受け取って核内に移行し、DNA上の特定の翻訳開始点に存在する認識配列と結合して、標的遺伝子の転写を促進する。このような転写調節機構は、生殖、細胞分化、エネルギー代謝、増殖、生物の恒常性の維持などに重要な役割を果たしている。そのため転写調節が正常に行われなくなると、前記標的遺伝子の発現量に異常を来し種々の疾患や異常の原因となることが知られている。そこで、かかる疾患等の治療剤もしくは予防剤を開発するため、前記標的遺伝子の転写を制御する物質を見出すためのさまざまなアッセイが当該分野において知られている。一般に、これらのアッセイは、レポータ遺伝子アッセイとよばれ、プロモーター等の転写開始に必要な領域とレポータ遺伝子を連結したDNAを含むプラスミドを細胞に導入し、レポータ遺伝子の転写・翻訳に伴うレポータ蛋白質の生成量を指標にして被験物質の作用を調べている。このときレポータ遺伝子としては、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ等が汎用されている。
「改訂第4版 新 遺伝子工学ハンドブック」、p223〜226、羊土社、2003年
従来のレポータ遺伝子アッセイ方法では、レポータ蛋白質の酵素活性に伴う発光、蛍光、試薬の色の変化、または遺伝子が導入されている細胞におけるいくつかの検出可能な表現型の変化を指標として転写活性が測定されていた。しかし、これらはいずれもレポータ蛋白質の生成量を間接的に測定するため、その精度に問題があった。例えば、細胞内に内在する酵素により非特異的なシグナルが生じたり、被験物質がレポータ蛋白質の酵素活性に影響を及ぼすなどして、被験物質の転写制御能を誤って評価してしまう場合があった。そこで、これらの問題点を解消し、しかも転写活性を簡便で迅速に測定できる新しいアッセイ方法の開発が切望されていた。
本発明者らは、鋭意研究の結果、上記目的が以下に述べるレポータ遺伝子アッセイ法によって達成されることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち本発明によれば
[1]
転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、第1エピトープ及び第2エピトープを有するエピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞に、被験物質、第1エピトープを認識する検出抗体、及び第2エピトープを認識する検出抗体を接触させ、前記両検出抗体がそれぞれ前記第1エピトープ及び第2エピトープに結合し互いに近接することにより生じる現象を検出し、前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づける工程を含み、前記第1エピトープ及び第2エピトープが、それぞれを認識する検出抗体が結合した場合に、前記両検出抗体が互いに近接することができるように配置されていることを特徴とする、レポータ遺伝子アッセイ方法。
[2]
前記細胞に転写因子、リガンド、レセプター及びコアクチベーターからなる群から選択されるいずれかを発現させることを特徴とする上記[1]記載の方法。
[3]
前記検出抗体がともに蛍光体により標識されたものである上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記蛍光体がユーロピウム化合物及びアロフィコシアニン誘導体の組み合わせからなる上記[3]記載の方法。
[5]
転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、第1エピトープ及び第2エピトープを有するエピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞、
[6]
前記レポータ遺伝子が配列表の配列番号15に示す配列を有するものである上記[5]記載の細胞、
[7]
上記[1]〜[4]のいずれかの方法に使用するためのベクター、
[8]
上記[1]〜[4]のいずれかの方法に使用するためのキット、
が提供される。
本発明のアッセイ方法では、レポータ蛋白質の生成量を直接測定するので、細胞や被験物質などの諸要因に基づく測定結果の誤認を回避することができる。また、本発明のアッセイ方法では被験物質の色合いに起因する測定誤差(カラークエンチング)を除外して測定するので、被験物質の有する転写制御能を正確に測定することができる。
レポータプラスミドの図である。 本発明のレポータ遺伝子アッセイ法による測定結果を示す。パネルAは、IL-4を20ng/ml添加したときの細胞の刺激時間とレシオ値の関係を示すグラフである。パネルBは、細胞をIL-4で24時間刺激したときのIL-4の添加量と蛍光強度の関係を示すグラフである。
本発明は、転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、第1エピトープ及び第2エピトープを有するエピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞に、被験物質、第1エピトープを認識する検出抗体、及び第2エピトープを認識する検出抗体を接触させ、前記両検出抗体がそれぞれ前記第1エピトープ及び第2エピトープに結合し互いに近接することにより生じる現象を検出し、前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づける工程を含み、前記第1エピトープ及び第2エピトープが、それぞれを認識する検出抗体が結合した場合に前記両検出抗体が互いに近接することができるように配置されていることを特徴とする、レポータ遺伝子アッセイ方法に関するものである。
更に、本発明に係わる上記の方法は、特定のベクターやキットの利用により簡便に実施可能であり、本発明はかかるベクターやキットをも提供する。
本発明においては、(a)転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、エピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有しており、かつ(b)前記エピトープタグには、2種類のエピトープがそれぞれを認識する検出抗体を結合させた場合に前記両検出抗体が互いに近接することができるように配置されている、という特徴を有する細胞が使用される。
本発明の方法に使用する細胞には、転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、レポータ遺伝子を接続したベクター(以下、「レポータプラスミド」とも言う)を有していることを特徴とする。
このようなレポータプラスミドは、例えば転写因子の認識配列を有するDNAと転写開始に必要な塩基配列を有するDNAとの下流に上記のレポータ遺伝子が機能し得るように、適当なベクターに導入連結させることにより調製することができる。
このとき、ベクターとしては大腸菌等を用いた遺伝子工学的技術に適したものを使用することができる。具体的には、微生物内で機能可能な複製起点(レプリコン)および薬剤耐性遺伝子を有しその下流に遺伝子挿入部位(マルチクローニングサイト)を有する市販のベクター等をあげることができる。
また市販されているレポータプラスミドにエピトープタグをコードする遺伝子を挿入することによっても構築することができる。
遺伝子の転写には、プロモーター及び転写制御領域(シス因子)が必要である。シス因子には転写を活性化するエンハンサー及び転写を抑制するサイレンサーが存在する。シス因子に結合する因子(トランス因子)を、プロモーターに結合する基本転写因子に対して配列特異的因子または転写制御因子と呼んでいる。多数の配列特異的転写因子(以下、転写因子)が報告されており、またその認識配列も転写因子により異なっている。現在までに同定された転写因子は数百に及ぶ。公知の転写因子としては、例えば、SRF、Sp1、HNF-1、STAT、NFκB等が挙げられる(別冊・医学のあゆみ「転写因子と疾患」、vol.190、No.6、1999年、52-57)。このような転写因子、もしくはその複合体が、認識して結合することによりその下流に存在する標的遺伝子の転写が促進/抑制されるとき、このようなDNA配列を「転写因子の認識配列」という。本発明のアッセイ方法においては、このような配列は、その目的に応じて任意に変更することができる。尚、十分な転写制御能を得るには、前記転写因子の応答配は通常2〜5程度タンデムに連結されていることが好ましい。かかる塩基配列を有するDNAは、化学合成するか、またはPCR法などにより増幅しクローニングすること等により調製することができる。
「転写開始に必要な塩基配列」とは上述の認識配列に転写因子が結合した後、下流のレポータ遺伝子等の標的遺伝子の転写反応開始もしくはその効率に関与する塩基配列をさす。これらは一般にプロモーターもしくはエンハンサーと呼ばれる。これらの塩基配列は、それが下流配列の転写の調節に関与する場合、下流配列が機能するように連結されている必要がある。このような性質を有する領域として様々な配列が当業者には公知であり、そのすべてが本発明に適用可能である。例えば、実施例のチミジンキナーゼ遺伝子(tk)の5'上流領域の塩基配列の他、グルタチオンS-トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子の5'上流領域(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 3826-3830 (1990))の塩基配列、チトクロムP4501A1遺伝子の5'上流領域(Eur. J. Biochem., 159, 219-225(1986))の塩基配列等を挙げることができる。
なお、「転写因子の認識配列」と「転写開始に必要な塩基配列」の全部、もしくは一部が一体となった領域も公知となっており、この場合は領域を一体として本発明の方法に適用することができる。このような領域の例としては、cAMP応答エレメント(CRE)、エストロゲンレセプターエレメント(ERE)、血清応答エレメント(SRE)、およびTPA応答エレメント(TRE)等を挙げることができる。後述する実施例において使用するIL-4 調節エレメントにも、転写因子であるSTAT6の認識配列、及びCCAAT-エンハンサー結合タンパク(C/EBP)の結合配列(エンハンサー)が含まれている。このような塩基配列を有するDNAは、例えば、目的の領域をコードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うことにより調製することができる。
レポータ遺伝子
本発明の方法に使用する「レポータ遺伝子」は、その種類は特に限定されないが、エピトープタグをコードする遺伝子が含まれていることが重要である。エピトープタグとは着目の蛋白質に融合させることができる、ある特定のアミノ酸配列を有するポリペプチド(タグ)であり、そのアミノ酸配列には抗体と結合する領域(エピトープ)を含むものをいう。
本発明の方法に使用するエピトープタグは、少なくとも2種類のエピトープを有しており、各エピトープは、これを認識する検出抗体を結合させた場合に前記両検出抗体が互いに近接することができるように配置されていることを特徴とする。このとき「互いに近接する」とは、あるエピトープ(以下、「第1エピトープ」と称する)に免疫反応特異的に結合することができる検出抗体と、別のエピトープ(以下、「第2エピトープ」と称する)に免疫反応特異的に結合することができる検出抗体がエピトープにお互いが立体障害となることなく結合することを許容し、かつ各検出抗体が結合した状態で標識間に生じる反応を検出することができる位置関係にあることを意味する。
本発明においては、第1エピトープを認識する検出抗体、及び第2エピトープを認識する検出抗体を用いる。ここで、「認識する」とは、「免疫特異的に結合する」ことを意味する。「免疫特異的に結合する」とは、抗体とアミノ酸配列の間の結合反応をいい、この結合は、細胞破砕物のように混合状態においてアミノ酸配列が存在することの証明となる。従って、指定の条件下では、抗体は特定の配列に優先的に結合し、サンプル中に存在する他のアミノ酸配列に有意な量で結合しない。この相互作用を、エピトープと抗体との間の反応に言及するとき、免疫特異的に結合する、と言う。
2つのエピトープは直接連結されてもよく、適当なペプチドリンカーにより架橋されることもできる。一般的に抗体は分子量約150KDaと、エピトープタグの大きさに比べて大きく、各検出抗体同士の立体障害により抗体自身のエピトープへの結合が妨げられる場合が生じる。そのため、適当な長さのペプチドリンカーを第1エピトープ及び第2エピトープ間に挿入することが望ましい。ペプチドリンカーにより2つのエピトープを架橋する場合は、通常0個以上20個以下、好ましくは3個以上6個以下のアミノ酸残基を挿入することが望ましい。またリンカーとして使用できるアミノ酸残基は特に限定されないが、検出抗体と交差反応性はなく、かつ、比較的小さな側鎖をもつように選ばれる。また第1エピトープ及び第2エピトープのアミノ酸配列については同一種由来に限定されず異種由来であっても良い。
本発明の方法に用いる細胞におけるレポータ遺伝子としては、例えば、任意の蛋白質と
上記のエピトープタグを連結させた融合蛋白質をコードする遺伝子を挙げることができる。任意の蛋白質は、データーベース等により公知となっている塩基配列に基づいて、当該蛋白質をコードする遺伝子を増幅するためのオリゴヌクレオチドを設計、作製し、このオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行うことにより調製することが可能である。この時に用いる鋳型として使用できる遺伝子としては、例えば、各種細胞株より調製したcDNAをあげることができる。このようにして調製したレポーター遺伝子を市販のベクターに制限酵素を利用して挿入した後、同様にしてエピトープタグをコードする遺伝子を、ベクター上の前記蛋白質をコードする遺伝子の下流に組み込むことによりレポータプラスミドを作製できる。
実施例においては、ヒトスペルミジン合成酵素(SPDS、GenBank Accession No. NP003123)に、2種類のエピトープを有する19残基からなるエピトープタグ(配列番号3)を連結させた融合蛋白質をコードする遺伝子(配列番号15)を使用した。スペルミジン合成酵素とは核酸合成の基質となるポリアミンの1種であるスペルミジンを合成する酵素である。
エピトープ
本発明の実施において使用するエピトープはそのアミノ酸配列が特定されていることが重要である。このとき、エピトープの配列としては、エピトープとして既知のアミノ酸配列を利用してもよく、また自らその配列を設計しても良い。通常は、発現誘導する細胞内に存在する蛋白質と結合性のない蛋白質の一部を用いる。このときエピトープは6個以上30個以下、好ましくは6個以上8個以下のアミノ酸残基から構成されることが望ましい。例えば、FLAG(DYKDDDDK、シグマ社、登録商標)、c-myc(EQKLISEEL)、ポリヒスチジン(HHHHHH)等はこの分野の当業者において公知のエピトープであり、これらのエピトープと特異的に結合できる抗体は市販されているので抗体の入手も容易である。これらのアミノ酸配列を含むものであればその前後にいかなるアミノ酸が添加されたものでも本発明のエピトープとして用いることができる。また、自らアミノ酸配列を設計する場合は、エピトープが抗体と特異的に結合する性質を有することを以下に示す記載の方法等によって確認することにより、本発明のエピトープとして用いることができる。
抗体のエピトープを特定する方法としては、(A)ある抗体と特異的に結合するアミノ酸配列を特定することにより決定する方法と、(B)特定のペプチド抗原により免疫して作製した抗体を用いる方法があるが、本発明の方法を実施するにあたってはいずれかの方法に限定されるものではない。
(A)抗体と特異的に結合するアミノ酸配列を決定する方法としては、前記抗体を用いたウェスタンブロット(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.76,3116(1979))により特定していく方法が挙げられる。具体的には、例えば抗原として蛋白質を用いた場合には、まず蛋白質をコードするDNAを50〜200個程度のアミノ酸をコードする断片に制限酵素等により切断し、それぞれのDNA断片を適当な発現ベクターに挿入し、これを適当な宿主により転写、翻訳させて蛋白質を発現させ、この蛋白質と抗体との結合性を調べる。適当な発現ベクターとは、これを導入する宿主に適したものであればいかなるものであってもよいが、例えば宿主として大腸菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞等を用いる場合には、それぞれpET、pNMT、p cDNA、pFastBac(すべてインビトロジェン社などから入手可)等を用いることができる。また転写、翻訳を行う系として、ウサギ網状赤血球、抽出小麦胚芽、大腸菌からの抽出液(大腸菌S30抽出液)等に基づいて調製された無細胞転写翻訳系を用いることもできる。これによりあるペプチド断片にエピトープを絞り込み、引き続いてそのペプチド断片中のアミノ酸配列5〜50個程度をコードするDNA断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)や合成オリゴヌクレオチド等で作製し、これを適当な蛋白質と連結させて融合蛋白質として発現させ、抗体との結合性を調べる。この融合蛋白質に用いる適当な蛋白質とは、解析する抗体に結合しないものであればいかなるものであってもよい。かくして抗体に結合するために必要かつ十分な最も小さい単位のポリペプチドであるエピトープを特定することができる。
(B)一方、特定のペプチド抗原により免疫して作製した抗体を用いる方法とは、抗体を作製する際に予め特定のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原として用い、抗体のスクリーニングも前記ペプチドにより行う方法である。このように作製された抗体のエピトープはすでに決定されているのであるから、前記ペプチドを前記抗体のエピトープとして特定することができる。
ある蛋白質に含まれる特定のアミノ酸配列を特異的に認識する抗体の作製方法としては、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual (1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の方法等を用いることができる。具体的には以下の通りである。抗体を作製するにあたり、まず免疫原が必要となる。「免疫原」とは、通常生体内において免疫応答を生じる、あるいは引き起こす能力を有する物質を表す。免疫原は、それ自体公知あるいはそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。免疫原は必要に応じて、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、ウシチログロブリン(BTG)、カギアナカサガイのヘモシアニン(KLH) などのキャリアタンパクとの複合体として用いられる。 通常ペプチドは分子量が小さく免疫応答性を有しないためこのような複合体を免疫原として用いることが望ましい。
免疫は、例えば上記の免疫原を哺乳動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内注射などにより投与することにより行い得る。より具体的には、例えば免疫原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水などで適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバントと併用して、供試動物に2〜6週間間隔で計3〜10回程度投与する。免疫される哺乳動物としては、一般には、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラットなどが用いられる。マウスを用いる場合は、一回の投与量を一匹あたり50μg程度とする。ここで前記アジュバントとは抗原と共に投与したとき、非特異的に抗原に対する免疫反応を増強する物質をいう。通常用いられるアジュバントとしては、百日咳ワクチン、フロインドアジュバントなどを例示できる。最終免疫後3〜10日目に哺乳動物の採血を行うことによって、ポリクロナル抗体を得ることができる。
モノクロナル抗体の製造方法は、免疫原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と哺乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合細胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作製し、これより所望の抗原を認識するモノクロナル抗体を産生するクローンを選択し、前記クローンを培養することにより実施できる。このモノクロナル抗体の製造は、基本的には常法に従うことができる(Kohler, G. and Milstein, C., Nature, 256, 495-497.(1975))。
前記方法において、免疫される哺乳動物は、細胞融合に使用する形質細胞腫細胞との適合性を考慮して選択するのが望ましく、マウス、ラットなどが用いられる。
得られた免疫細胞からハイブリドーマを得るには、例えば、「分子細胞生物学基礎実験法」(南江堂 堀江武一ら 1994年)等に記載されている方法により、継代培養可能な細胞とすることを目的として、例えば、ポリエチレングリコール存在下、形質細胞腫細胞と抗体を産生する免疫細胞とを融合させて、ハイブリドーマを得ることができる。ここで用いられる形質細胞腫細胞は、同じ恒温動物でも同種の恒温動物由来の形質細胞腫細胞を用いることが望ましく、例えばマウスを免疫動物として得られた脾臓細胞と融合させる場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。形質細胞腫細胞はp3x63-Ag8.UIなどの公知のものを利用できる。
ハイブリドーマは、通常HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)において培養することにより選択することができる。コロニーが確認された段階で、培養上清に分泌される抗体と抗原との結合を調べる(スクリーニングする)ことにより目的の抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。スクリーニングする方法としては、例えば、スポット法、凝集反応法、ウエスタンブロット法、ELISA法などの一般に抗体の検出に用いられている種々の方法が挙げられるが、好ましくは、ハイブリドーマの培養上清について、抗原との反応性を指標とするELISA法に従い実施される。このスクリーニングによって、抗原と特異的に反応する目的抗体産生株を選択することができる。
目的抗体産生株のクローニングは、通常、限界希釈法などにより実施できる。クローニングされたハイブリドーマは、必要に応じて、血清培地または無血清培地で大量培養することができる。この培養によれば、比較的高純度の所望抗体を培養上清として得ることができる。また、ハイブリドーマと適合性のある哺乳動物、例えばマウスなどの腹腔に、ハイブリドーマを接種して、所望抗体をマウス腹水として大量に回収することもできる。
本発明の抗体産生ハイブリドーマの培養上清およびマウスなどの腹水は、そのまま粗製抗体液として用いることができる。または硫酸アンモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニテイクロマトグラフィ法などにより精製することができる。
本発明の実施例において使用するエピトープとして、Downs等(Journal of Immunological Methods ,247,(2001))によって 既に特定されているヒト2型コラーゲンに由来する配列番号1及び配列番号2として配列表に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いた。また、本エピトープを特異的に認識するモノクロナル抗体は本明細書中に記載の方法に従って作製した。
このようにして作製した本発明の方法に使用できる抗体の具体的な例としては、例えば配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合する抗体としてハイブリドーマTAG-6G4により産生されるモノクロナル抗体(以下、「6G4抗体」と称することがある)、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合する抗体としてハイブリドーマTAG-2E6により産生されるモノクロナル抗体(以下、「2E6抗体」と称することがある)が挙げられる。平成18年1月1 3日に、独立行政法人 産業技術総合研究所内 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1-1-1 中央第6)に、「Mouse-Mouse Hybridoma TAG-2E6」(受領番号FERM ABP-10482)及び「Mouse-Mouse Hybridoma TAG-6G4」(受領番号FERM ABP-10483)なる表示で特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づいて国際寄託されている。
これらの抗体は、以下の理化学的および免疫学的性質を有している。
6G4抗体
(a)アミノ酸配列GEPGDDAPSからなるペプチドと特異的に結合する。
(b)配列番号4で示されるH鎖の可変領域(VH領域)と、配列番号5で示されるL鎖の可変領域(VL領域)をもつH鎖50kDa、L鎖27kDaからなる150kDaの蛋白質である。
(c)免疫グロブリンクラスIgG1(k)に属する。
2E6抗体
(d)アミノ酸配列GPPGPQGからなるペプチドと特異的に結合する。
(e)配列番号6で示されるVH領域と、配列番号7で示されるVL領域をもつH鎖50kDa、L鎖27kDaからなる150kDaの蛋白質である。
(f)免疫グロブリンクラスIgG2b(k)に属する。
細胞
本発明の方法に用いる細胞は、通常の動物細胞等を宿主細胞として、前記のレポータプラスミドを導入したものである。宿主細胞としては、例えばヒト、マウス、ラットなどに由来する哺乳動物細胞、カエルなどに由来する両生類動物細胞、昆虫動物細胞などを利用することができる。操作性、再現性などを考慮すると安定に継代可能な細胞が好ましい。好ましい宿主細胞の具体例には、例えばヒト由来の293細胞、ヒト由来のA-431細胞、ヒト由来のHeLa細胞、ヒト由来のNeuroblastoma細胞、マウス由来のNIH3T3細胞、ハムスター由来のCHO-K1細胞、モンキー由来のCOS-1細胞、ラット由来のL6細胞などが含まれる。
宿主細胞へレポータプラスミドを導入するには、プラスミドに含まれる各種遺伝子が細胞内で機能し得る限り、例えばエレクトロポレーション法、燐酸カルシウム法、リポフェクション法などの一般的なDNA導入法(トランスフェクション法)によって行うことが可能である。また、レポータプラスミドに薬剤耐性遺伝子を付加しておけば、レポータプラスミドを安定に保持した細胞株を選別することができる。
本発明の方法に使用する細胞の調製に用いられる培地組成、細胞培養条件、各ベクタープラスミドのトランスフェクション条件などは、いずれもこの種の宿主細胞および遺伝子導入ベクターを利用する常法におけるそれらと同様のものとすることができる。
また、転写反応を細胞内で行うために必要となる構成因子(レセプター、リガンド、転写因子、コアクチベーター等)をコードする遺伝子を内在的に有する細胞は、上述したレポータプラスミドのみを導入することによって、本発明のアッセイ方法に使用できる。しかし、転写反応を行うのに必要となる構成因子をコードする遺伝子を内在的に有しない細胞では、所望により、適宜必要となる遺伝子を導入(コトランスフェクション)して前記遺伝子の発現能を付与してもよい。
転写に関与するレセプターとしては、Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)、酵素型レセプター(チロシンキナーゼ型、セリン・トレオニンキナーゼ型、グアニル酸シクラーゼ型)、サイトカインレセプターおよびイオンチャネル型レセプターなどの細胞表面に存在するもの(細胞膜受容体)だけでなく、アンドロゲンレセプター(GenBank Accession No.M23263)やエストロゲンレセプター(GenBank Accession No.X03635)等のステロイドホルモン受容体や、一酸化窒素(NO)受容体を含む細胞内レセプターが知られている。
一般的にサイトカインレセプターは、受容体分子自体はチロシンキナーゼ活性を示さず、受容体近傍に存在するJAK(ヤヌスキナーゼ)と呼ばれる非受容体型チロシンキナーゼが活性化され、細胞内へ向けての最初のシグナルを出す。このシグナルを受けてSTAT(Signal transducer and activator of transcription protein)など他の情報伝達分子がリン酸化される。
例えば、後述の実施例4に示すIL-4はMHCクラスII、CD23抗原、IL-4レセプターaの発現誘導、B細胞のクラススイッチ、ヘルパーT細胞の分化誘導などに関与するサイトカインとして知られおり、IL-4が細胞膜上に存在するレセプターに結合すると、レセプターの二量体化に伴って、チロシンキナーゼであるJAK1とJAK3が細胞内で活性化され、IL-4レセプターをリン酸化する。次に、転写因子であるSTAT6は、レセプターのリン酸化部位へ誘導され、JAKによりリン酸化を受ける。リン酸化されたSTAT6は二量体を形成して核へ移行し、DNA上の認識配列と結合することによりプロモーターが活性化され、細胞応答に関与する遺伝子の発現が誘導されることが知られている。
後述の実施例では、免疫グロブリンH鎖の germ line εプロモーター領域に含まれるIL-4 調節エレメントを介した転写調節活性を調べている。IL-4 調節エレメントにはSTAT6の認識配列及び、その隣にCCAAT-エンハンサー結合タンパク(C/EBP)の結合領域が存在している(配列番号16)。IL-4の細胞内情報伝達系の下流に位置するSTAT6は前記エレメントと結合することにより下流にある遺伝子の転写を制御しており、B 細胞の終末分化や抗体のクラススイッチに関与することが知られている。そのため、この転写調節機構が何らかの要因により乱された場合には、B細胞の抗原特異的な活性化やクラススイッチなどの機能が不全となり、体液性免疫不全を引き起こし、アレルギー疾患や自己免疫疾患を引き起こす可能性がある。
従って、この転写機能を制御することにより、例えばB細胞の機能不全あるいは免疫グロブリンのクラススイッチの不全に起因する種々の免疫不全症(例えば、IgA腎症、低γグロブリン血症、高IgM血症など)、自己免疫疾患またはアレルギーを予防並びに治療することが可能であると考えられ、IL-4レセプターを介した細胞内情報伝達による転写調節機構を阻害する低分子性化合物は、そのような疾患治療のための医薬品となり得る。
また、細胞内レセプターには、細胞内のリガンドと複合体を形成した後、ある特定の認識配列に結合することによりその下流に存在する遺伝子の転写を促進させる場合がある。このときのリガンドとしてグルココルチコイド(Nature.,318,635-641(1985))、エストロゲン、ダイオキシン(J.Biol.Chem.,263,17221-17224(1988))などが知られている。これらのレセプターに対する転写阻害(アンタゴニスト)活性を測定する場合、リガンドをコードするような遺伝子を細胞内に導入して発現能を付与してもよい。
以上のような転写反応に関係する因子の遺伝子配列のDNAは、例えば、コードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCR反応を行うことにより調製することができる。かかるPCRにおいて鋳型として使用されるDNAとしては、例えば、各種生物由来の市販のcDNAをあげることができる。
これらの外来遺伝子を宿主細胞に導入する場合には、これらの遺伝子を適当なプロモーターの下流に機能的に接続した形で前記遺伝子をベクターに挿入し、得られるベクターを細胞に導入する。
このときのプロモーターとしては、導入される細胞で機能可能な、即ち転写開始能を有するプロモーターであって、例えば、当該細胞が真核生物細胞の場合には、ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、シミアンウィルス(SV40)の初期もしくは後期プロモーター等があげられる。またベクターには、目的とする細胞を選択するための薬剤耐性遺伝子を付与することができる。かかるベクターの宿主細胞への導入方法は上記のレポータプラスミドの導入法に従って行うことができる。
被験物質を接触させる工程
本発明の方法は、こうして提供された細胞に、被験物質を接触させる工程を含む。被験物質は、細胞培養物に添加することによって細胞に接触させることができる。あるいは、被験物質が蛋白質の場合には、当該蛋白質をコードする遺伝子を前記細胞中で発現させることにより接触させることができる。
検出抗体を接触させる工程
本発明の方法には、上記の細胞に、さらに検出抗体を接触させる工程を含む。このとき検出抗体とは、抗体同士の近接を検出するため、標識物質により標識された抗体をさす。この検出抗体は予め培地中に添加して細胞を培養してもよく、また培養終了後に添加しても良い。抗体は前記エピトープを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識するものであればモノクロナル、ポリクロナルのどちらでもよいが、前者の方が望ましい。抗体の作製は上述した方法に準ずることにより可能となる。また、抗体を標識物質により標識するには、例えば「分子細胞生物学基礎実験法」(南江堂 堀江武一ら1994年)等に記載されている常法により、もしくは標識物質に附属するマニュアルに従って行うことができる。
標識物質としては発光体、酵素、蛍光物質、ビーズ、ラジオアイソトープ、金属類、ビオチン等が挙げられる。発光体とは例えばルシフェノール、ルミノール、エクオリン、アクリジニウムエステルなどの化学発光物質をさす。酵素とは例えばルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼなどをさす。蛍光物質とは例えば、ユウロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)などのランタニド元素、ユウロピウムクリプテートなどのランタニド元素誘導体、FITC(fluorescein isothiocyanate)などフルオロセイン誘導体、RITC(tetramethylrhodamin isothiocyanate)などローダミン誘導体、YFP、GFP、CFP、BFP、アロフィコシアニン等の蛍光蛋白質が含まれる。ビーズとは例えばプロテイン Aビーズ、wheat germ agglutinin(WGA)ビーズ、ストレプトアビジンビーズなど特殊な処理を施されたビーズをさす。ラジオアイソトープとは例えば14C、125I、3H、35Sなどをさす。またこれらで標識された化合物も含むものとする。金属類とは例えばフェリチンや金コロイドなどをさす。
ただし、標識物質を選択するにあたっては後述するように、検出抗体の近接に伴う現象を検出できるような組み合わせを選択する必要がある。このような組み合わせとして、例えば蛍光物質標識と蛍光物質標識、発光体標識と蛍光物質標識、放射性同位体標識とビーズ等の組み合わせが一般に知られている。
「エピトープを認識する検出抗体を接触させる工程」とは、レポータ蛋白質に含まれる、2種類のエピトープ(第1エピトープ及び第2エピトープ)をそれぞれ免疫特異的に認識することができる検出抗体を、レポータ蛋白質を含む細胞試料中に添加することをさす。検出抗体は通常、適当な緩衝液(例えば0.8Mフッ化カリウム、0.5%ウシ血清アルブミンを含むトリス緩衝化生理食塩水)により希釈して添加する。使用する希釈濃度は予備検討により以下に述べるような「検出抗体の近接により生じる現象」が効率よく検出できる条件を満たすことを確認することにより決定できる。例えば、「検出抗体の近接により生じる現象」が蛍光物質の共鳴による励起エネルギーの移動(FRET)であれば、アクセプターの蛍光強度でその効率を確認することによりアッセイに使用する検出抗体の濃度を決定することができる。
前記両検出抗体が互いに近接することにより生じる現象を検出し、前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づける工程
本発明の方法は、2種類の検出抗体を上記細胞に接触させた後に、前記両検出抗体が互いに近接することにより生じる現象を検出し、前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づけることを特徴とする。「近接することにより生じる現象を検出」とは、第1エピトープに第1エピトープを認識する検出抗体、第2エピトープに第2エピトープを認識する検出抗体が結合した場合、二つの検出抗体の標識が互いに接近することにより生じる現象を検出することをさす。このように二つの蛋白質の相互作用を検出する方法はこの分野における研究者においてはよく知られており、例えばBRET法、FRET法、AlphaScreen(Amplified luminescent proximity homogeneous assay、登録商標)、SP A(Scintillation Proximity Assay、登録商標)等が挙げられる。
また、上記の現象は、被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づけることができる。本発明の方法においては、検出される値の大きさは、転写調節活性の大きさを反映している。従って、前記両検出抗体が互いに近接することにより生じる現象を検出することによって、被験物質の転写調節機構に対する作用(転写促進活性や転写阻害活性等)を評価することができる。
近接することにより生じる現象を検出する方法の好ましい形態としては、共鳴による励起エネルギーの移動を検出する方法を挙げることができる。例えば、蛍光物質は励起光が照射されると励起状態となりそのエネルギーは蛍光もしくは熱エネルギーとして放出され基底状態に戻る(消光)。このとき近くに別の蛍光物質が存在すると、エネルギーを受けることによりこの蛍光物質がさらに励起されて同様に蛍光を発するという現象が生じる。このような現象は、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer; 以下FRETともいう)として知られている。このときの蛍光強度を蛍光光度計等の測定機器で測定すれば被験物質の転写調節機構に対する作用を測定することが可能となる。
この場合において、特に好ましい形態としては、蛍光寿命(消光するまでの時間)の長い蛍光物質をドナー(エネルギーを提供する分子)として選択する方法を挙げることができる。この方法では細胞試料やプラスチックなどの妨害物質の蛍光が短寿命であるため、励起後、一定時間経過後に測定すれば妨害物質がもたらすバックグラウンド蛍光の影響を排除できる。このようなFRETを、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR-FRET)と呼ぶ。TR-FRETを検出する方法として、HTRF(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence、CISバイオインターナショナル社)やLANCE(パーキンエルマーライフサイエンス社)等が挙げられる。
HTRFは二種類の蛍光物質を用いることを特徴とする。具体的にはユウロピウム化合物であるユウロピウムクリプテート(以下クリプテート、トリスビピリジンの籠状構造の中に希土類元素のユウロピウムイオンが配位した構造をもつ)及び、アロフィコシアニン誘導体のX L665(藍藻由来蛍光性タンパクであるアロフィコシアニンを3分子架橋して安定化したもの)である。クリプテートに337nmの励起光を照射すると620nmの長寿命蛍光を発するが、検出抗体同士が接近して近傍にXL665が存在する場合、FRETにより、励起エネルギーがXL665へ移動するのでXL665から665nmの長寿命蛍光が生ずる。この長寿命蛍光を測定すればレポーター蛋白質を測定することが可能となる。この方法の利点としてはクリプテートを励起後一定時間経過してから蛍光を測定することにより、測定試料や測定チューブに含まれる蛍光性物質に起因する短寿命のバックグラウンド蛍光(〜10ナノ秒)を排除して、長寿命蛍光(〜1ミリ秒)のみを選択的に検出することが可能であることが挙げられる。また、XL665の665nmの蛍光とクリプテートの620nmの蛍光を同時に測定することにより、測定値を(665nmの蛍光強度÷620nmの蛍光強度)×10,000のレシオ値で表すことで試薬添加量のばらつきや測定試料のカラークエンチング効果(インナーフィルター効果)による測定値の変動を補正することも可能である。
他の形態としてBRET(Bioluminescence resonance energy transfer)と呼ばれる、生体発光共鳴によるエネルギー転移を利用する検出方法も挙げられる。例えば、二種類の検出抗体として、ルシフェラーゼ及び緑色蛍光蛋白質変異体(GFP変異体)により標識した抗体を用いる。これらの検出抗体が近接すると、ルシフェリンとルシフェラーゼの発光反応により生じたエネルギーの一部がGFP変異体に移動して蛍光を発する現象(BRET)が生じる。このとき、蛍光強度を測定することにより、被験物質の転写調節機構に対する作用を測定することが可能となる。
その他の形態として、ビーズ(例えばSPAビーズ)及びラジオアイソトープ(例えば3H、14Cや125I等)で標識した検出抗体を組み合わせて使用する方法が挙げられる。2つの検出抗体が接近した場合、ラジオアイソトープから発せられたβ線などの放射線がビーズ内のシンチレーターに到達し、発光現象が生じるので、この発光を検出することにより、被験物質の転写調節機構に対する作用を測定することが可能となる。
本発明の方法により検出可能な具体例として、インターロイキン4(IL -4)を介した細胞内情報伝達系を挙げることができる。免疫グロブリンH鎖の germ line ε プロモーターのIL-4 調節エレメント(T. Mikita et al. Mol.Cell. Biol. 1996 p5811-5820、配列番号16)とphRL-TKベクター(プロメガ社)のチミジンキナーゼプロモーター(配列番号17)をpGL3 basicベクター(プロメガ社製) のルシフェラーゼ遺伝子上流に組み込み、さらにルシフェラーゼ遺伝子を本発明のレポータ遺伝子(SPDSとエピトープタグを連結した遺伝子、配列番号15)に置き換えたレポータプラスミドを作製した。レポータプラスミドの概要を図1に示す。このプラスミドを、ヒト上皮癌由来のHeLa細胞にトランスフェクション法で導入した細胞を使用して、IL-4の添加濃度及びIL-4による刺激時間と、検出値の相関関係を本発明の方法により測定した。その結果、IL-4の刺激濃度や刺激時間に依存して蛍光強度の強さが変化することを確認できた。これは、本発明の方法により、IL-4を起点とした細胞内情報伝達による転写の亢進を検出できることを示している。
レポータ遺伝子アッセイ方法
本発明のレポータ遺伝子アッセイ法の使用態様は、基本的には従来から知られているこの種のレポータ遺伝子アッセイ法のものと同様であり、スクリーニング方法もその一態様といえる。
具体的には、まず、本発明細胞を細胞培養容器に播種して培養する。例えば、96ウェルプレートを使用する場合、通常、1ウェルあたり10〜105個程度の細胞を播種し、1時間から1晩程度培養する。次いで、細胞培養液に被験物質を添加する。このとき被験物質は、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物(低分子化合物等)、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などのいずれであってもよい。またこれらを含む溶液であってもよい。被験物質の転写促進活性を測定する場合は、被験物質を溶媒に溶解させた溶液または溶媒のみを、培養液における溶媒の最終濃度が通常0.1〜2%程度の範囲になるようにして前記細胞培養液に添加する。被験物質の転写阻害活性を測定する場合は、レセプターのリガンド活性を有する物質を培地などに溶解させた溶液を、培養液における前記リガンドの濃度が通常EC50程度となるように前記培養液に添加した系および前記系にさらに被験物質を添加した系を調製する。ここで溶媒としては、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、エタノールなどがよく用いられる。
例えば、被験物質の転写促進活性測定試験において、溶媒のみが添加された系の細胞よりも、被験物質が添加された系の細胞の方が、細胞あたりの検出値が高い場合、当該被験物質は転写促進活性を示すと判断される。被験物質の転写阻害活性測定試験において、リガンドのみが添加された系の細胞の検出値に比較して、前記リガンドと被験物質とが添加された系の細胞の検出値が低い場合には、当該被験物質は転写阻害活性をもつと判断される。
以下において、実施例により本発明をより具体的にするが本発明はこれらに限定されるものではない。
レポータプラスミドの調製
phRL-TKベクター(プロメガ社製)の チミジンキナーゼプロモーター(TKプロモーター、配列番号17)をPCRで増幅し、制限酵素サイト(BglIIおよびHindIII)を介して、pGL3-Basicベクター(プロメガ社製)に挿入した(pGL3-TK)。次に、IL-4調節エレメント(配列番号16)を合成して、これをT4ポリヌクレオチドキナーゼで重合させ、4量体フラグメントをアガロースゲル電気泳動で分離した。制限酵素サイト(BglII) を介して、pGL3-TKのTKプロモーターの上流に4量体フラグメントを挿入した。さらに、制限酵素NcoIとXbaIで消化し、ルシフェラーゼ遺伝子を除いたDNAフラグメント(3.4kb)をアガロースゲル電気泳動で精製した。U2OS細胞(ヒト骨肉腫細胞株、American Type Culture Collection)からtotalRNAを精製し、RT-PCRにより、SPDS(GenBank Accession number BC000309、a human working draft contig identifier NM_003132)とエピトープタグの遺伝子(配列番号14)を連結した遺伝子(配列番号15)を増幅した。制限酵素サイト(NcoIおよびXbaI) を介して、PCR産物を3.4kbのDNAフラグメントに挿入してレポータプラスミドとした(図1)。
抗体の作製方法
(1)6G4抗体の作製
ヒト2型コラーゲンのアミノ酸番号757-765に相当する領域(配列番号1)のC末端側にシステインを付加したアミノ酸配列からなるポリペプチドとカギアナカサガイのヘモシアニン(KLH、ピアス社製)を、スルフォスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sulfo-SMCC、ピアス社製)を用いてコンジュゲートさせ、免疫原とした。免疫原をフロイントの完全アジュバント(ディフコ社製)と混合してエマルジョンとし、3週間毎にマウス(Balb/c CrSlc、6週齢、雌)の腹腔内に40μg投与した。4回免疫後にマウスの脾臓を摘出し、PEG法によりミエローマ細胞(p3×63-Ag8.UI、東京腫瘤研究所)と融合させ、ハイブリドーマを調製した。培養9日目に培養上清を採取し、抗体産生ハイブリドーマを含む陽性ウェルのスクリーニングを行った。スクリーニングは以下に述べる時間分解蛍光イムノアッセイ(DELFIA、アマシャム社)で行った。抗マウスIgG抗体(シバヤギ社製)を固相したマイクロタイタープレート(住友ベークライト社製)に、測定緩衝液(150mM NaCl、0.01%Tween80、0.5%BSA、0.05%NaN3を含む50 mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5))50μl、培養上清50μl、標識抗原(20ng/mlビオチン標識抗原ペプチドと100ng/mlユウロピウム標識ストレプトアビジン(パーキンエルマーライフサイエンス社製)を含む測定緩衝液)50μlを連続して加え、4℃で16時間反応させた。洗浄液(150mM NaCl、0.02%NaN3、0.01%Tween20)200μlでプレートを2回洗浄した後、エンハンスメントソルーション(パーキンエルマーライフサイエンス社製)を150μl加え、1420ARVOsxマルチラベルカウンタ(パーキンエルマーライフサイエンス社製)で時間分解蛍光を測定した。本スクリーニングで反応性の高かった1ウェルを選択し、限界希釈法によるクローニングを2回繰り返して抗体産生ハイブリドーマTAG-6G4を確立した。TAG-6G4のサブクラスをマウスモノクロナル抗体アイソタイピングELISAキット(BD バイオサイエンス社製)で調べたところ、IgG1(k)であった。ハイブリドーマTAG-6G4をヌードマウス(BALB/cANNCrj-nu-nu)の腹腔内に投与して腹水を採取した(ラボプロダクツ社に委託)。プロテインAカラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより腹水から精製抗体を得た。
(2)2E6抗体の作製
ヒト2型コラーゲンのアミノ酸番号769-775に相当する領域(配列番号2)のN末端側にシステインを付加したアミノ酸配列からなるポリペプチドとウシ血清アルブミン(BSA、ピアス社製)を(N-e-マレイミドカプロイロキシ)スルフォスクシンイミドエステル(Sulfo-EMCS、ピアス社製)を用いてコンジュゲートさせ、免疫原とした。TAG-6G4と同様、免疫原をマウス(A/J Jms Slc、6週齢、雌)へ投与し、脾臓を摘出して細胞融合を行った。DELFIAによるスクリーニングとクローニングを行い、抗体産生ハイブリドーマTAG-2E6を確立した。抗体のサブクラスはIgG2b(k)であった。ヌードマウスの腹水化とプロテインAカラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製抗体を得た。
(3)VH領域とVL領域のアミノ酸配列の決定
RneasyMiniキット(キアゲン社製)を用いて1×107個のハイブリドーマからtotal RNAを精製した。SMART RACE cDNA増幅キット(BDバイオサイエンス社製)を利用して、キットの操作手順に従ってVH領域とVL領域の遺伝子配列を決定した。キット付属のSMARTII A オリゴヌクレオチドとTAG-6G4のVH領域に特異的なプライマー(配列番号8)、TAG-2E6のVH領域に特異的なプライマー(配列番号9)、Vl領域に特異的なプライマー(配列番号10)を用いてcDNAを合成した。これらのcDNAを鋳型として、キット付属のユニバーサルプライマーとTAG-6G4のVH領域に特異的なプライマー(配列番号11)、TAG-2E6のVH領域に特異的なプライマー(配列番号12)、Vl領域に特異的なプライマー(配列番号13)を用いてPCRを行い、VH遺伝子、VL遺伝子を増幅した。これらのPCR産物をTOPO TAクローニングキット(インビトロジェン社製)でクローニングし、シークエンスを解析した(オペロンバイオテクノロジー社に依託)。得られた遺伝子配列からVH領域とVL領域のアミノ酸配列を決定した。
検出抗体の作製方法
(1)6G4抗体のクリプテート標識
6G4抗体を0.1 Mリン酸塩緩衝液(pH8.0)で1 mg/mlとした。抗体1モルに対してクリプテートTBPモノスベレート(CIS バイオインターナショナル社製)を15モル加えて25 ℃で1時間反応させた。反応液につき、PBSで予め平衡化したPD- 10カラム(アマシャム社製)を用いたゲルろ過を行い標識抗体を分取した。標識抗体は0.1 % ウシ血清アルブミン、0.1 % Tween20、0.05%アジ化ナトリウムを添加して-70 ℃で保存した。
(2)2E6抗体のXL665標識
0.1 Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)に溶かした2E6抗体に、8倍モル量のN- スクシンイミジル 3- (2- ピリジルジチオ) プロピオネート(SPDP、ピアス社製)を加えて25 ℃で20分間反応させた。反応液に終濃度10 mMのジチオスレイトール(DTT)を加えてさらに10分間反応させた後、10 mM EDTAを含む0.1 Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したPD-10カラムを用いたゲルろ過を行い、システイン基を導入した2E6抗体を分取した(SH-2E6抗体)。XL665(CISバイオインターナショナル社製)を0.1 Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)に薄め、5倍モル量のSulfo-SMCCを加えて25 ℃で30分間反応させた。0.1 Mリン酸塩緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したPD-10カラムを用いたゲルろ過を行い、マレイミド基を導入したXL665を分取した(マレイミド化XL665)。1モルのマレイミド化XL665に対して上記のSH- 2E6抗体を3モル加えて4 ℃で16時間反応させ、XL665標識抗体を得た。標識抗体は100倍モル量のN-エチルマレイミドを加えて室温で10分間放置した後、0.1 % ウシ血清アルブミン、0.1 % Tween20、0.05%アジ化ナトリウムを添加して-70 ℃で保存した。
(1)本発明レポータアッセイ法の細胞の作製
HeLa細胞(ATCC寄託細胞)を培地(10%ウシ胎児血清、100unit/mlペニシリンG、100μg/mlストレプトマイシンを含むMEM培地)で1.2×105細胞/mlとし、これを96ウェル組織培養プレートに100μlずつ展開した。24時間後、実施例1で作製したレポータプラスミド20μgとFuGENE6(ロシュ社製)60μlをウシ胎児血清不含の培地2mlに加えて、室温で20分間放置した後、各ウェルに5μl添加して24時間培養し、レポータプラスミドをトランスフェクトした。
(2)転写調節活性の確認
上記の細胞の培養上清を除去した後、各ウェルに終濃度がそれぞれ0、4、20、100ng/mlとなるように、培地で希釈したIL-4を100μl 添加し、3、6、24、48時間培養した。培養後、細胞可溶化バッファー(1% TritonX-100、5mM EDTA及びプロテアーゼインヒビターカクテルを含むトリス緩衝化生理食塩水)を各ウェルに100μl加えて、室温で1時間放置した。各ウェルの上清10μlを384ウェルアッセイプレート(黒色、ローボリュームタイプ、コーニング社製)に移し、2種類の検出抗体を含むアッセイバッファー(200ng/mlクリプテート標識6G4抗体、5,000ng/ml XL665標識2E6抗体、0.8Mフッ化カリウム、及び0.5%BSAを含むトリス緩衝化生理食塩水)を10μl加えて室温で24時間反応させた。反応終了後、各ウェルの665nmにおける蛍光強度を時間分解蛍光マイクロプレートリーダ(Rubystar、BMG Labtechnologis社製)で測定した。測定値は、620nmにおけるクリプテートの蛍光強度に対するレシオ値として表した。
得られた結果を図2に示す。レポータプラスミドを導入した細胞は、IL-4濃度およびIL-4による刺激時間に依存してレシオ値が増大した。レシオ値の増大は、IL-4に発する細胞内情報伝達によりレポータ分子(SPDS-エピトープフラグメント)の発現が亢進したことを示すものであり、活性化したSTAT6がIL-4 調節エレメントに結合した結果、転写が活性化したことを反映したものである、と言える。
また、レシオ値がIL-4による刺激で約10倍上昇することは、本発明の方法を、医薬品開発を目的としたハイスループットスクリーニングにも適用できることを示している。例えば、上記の(1)と同手法によりHeLa細胞をトランスフェクトして培養上清を除去したのち、新しい培地を90μl 加え、さらに適当な溶媒により0.2〜1mg/mlの濃度に調製した被験物質を各ウェルに1μl添加して30分間前培養する。つづいて、IL-4を40ng/ml含む培地を各ウェルに10μl 添加して24時間培養したのち、上記の(2)の手順に従って蛍光強度を測定する。被験物質非存在下に比べて、有意に蛍光強度を下げることを確認することにより、IL-4レセプターを介した細胞内情報伝達による転写調節機構に対して阻害活性を有する被験物質を検出することができる。
HTRF法とルシフェラーゼアッセイの比較
(1) HTRF法
0.15mg/mlのテスト化合物を溶かした10%DMSO溶液をあらかじめ1μl添加した384ウェルプレート(コーニング社製、No.3709)に、実施例4に従ってトランスフェクトしたHeLa細胞を20μl加え(2×104個)、30分間培養した後に、IL-4を3ng/ml含む培地を10u l加えてさらに24時間培養した。培養後、上述のHTRF試薬を30μl加えて室温で一晩反応させ、Rubystarで各ウェルのHTRFを測定した。テスト化合物の転写阻害活性は、化合物を添加せずにIL-4で処理した細胞から得られた測定値を0%、IL-4で処理しない細胞から得られた測定値を100%として算出した。
(2) ルシフェラーゼアッセイ(化学発光法)
実施例1に記載したmTKとIL-4 regulatory elementを4個連結したフラグメントを、BglIIとHindIIIの制限酵素サイトを介してpGL 3-Basicベクターに挿入し、ルシフェラーゼアッセイのレポーターベクターとして用いた。まず、このベクターを安定導入したHeLa細胞を選別した(HL-10細胞)。384ウェルプレート(コーニング社製、No.3704)に上述のテスト化合物溶液を1μl、HL-10細胞を20μl(2×104個)添加して30分間培養した後に、IL-4を3ng/ml含む培地を10μl加えて24時間培養した。培養後、ピッカジーン(東洋インキ社製)を30μl加えて室温で1時間反応させ、マルチラベルカウンタ(ARVO)で各ウェルの発光を測定した。テスト化合物の転写阻害活性は、上述のHTRF法と同様にして算出した。
(3) ルシフェラーゼアッセイ(ELISA)
上述の化学発光法と同様にしてHL-10細胞をテスト化合物およびIL-4で処理し、ピッカジーンの代わりにプロテアーゼ阻害剤カクテル、2% Triton X-100を含むTBSを10μl加え、室温で1時間反応させた。384ウェルプレート(ヌンク社製、マキシソープ)にヤギ由来抗ルシフェラーゼポリクロナル抗体(ケミコン社製)のTBS溶液(10μg/ml)を30ul加えて4℃で一晩放置した。抗体溶液を取り除いた後に、0.5% BSAを含むTBSを100μl加えて室温で2時間放置してウェルをブロッキングした。各ウェルを洗浄液(0.01% Tween20を含むTBS)100μlで3回洗浄した後に、細胞試料を30μl加えて4℃で一晩反応させた。各ウェルを洗浄液100μlで3回洗浄した後に、330ng/ml HRP標識ヤギ由来抗ルシフェラーゼポリクロナル抗体(ロックランド社製)、0.01% Tween20および0.1% BSAを含むTBSを30μl加えて室温で5時間反応させた。反応後、各ウェルを洗浄液10 0μlで3回洗浄し、TMB基質液(ダコ社製)を30μl加えて室温で30分間発色させた。発色後、1N硫酸を30μl加えて反応を停止し、マルチラベルカウンタで450nmの吸光度を測定した。テスト化合物の転写阻害活性は、HTRF法と同様にして算出した。
(4) 細胞増殖の測定
化学発光法と同様にしてHL-10細胞をテスト化合物およびIL-4で24時間処理した後に、WST-8試薬(キシダ化学社製)を3μl添加してさらに1時間培養し、マルチラベルカウンタで450nmの吸光度を測定した。細胞増殖阻害率(%)は、化合物を添加せずにIL-4で処理した細胞から得られた吸光度を100%として算出した。
使用した化合物には細胞増殖を阻害するものがいくつか存在した。これらの化合物はSTAT6の転写を見かけ上阻害すると考えられ、確かにHTRF法とルシフェラーゼアッセイ(ELISA)については、細胞増殖を阻害する化合物は転写も阻害した。しかし、ルシフェラーゼアッセイ(化学発光法)では、細胞増殖を阻害するにもかかわらず転写を見かけ上阻害しない化合物が存在した。一方、細胞増殖を阻害しない化合物の中に、HTRF法とルシフェラーゼアッセイ(ELISA)では強い転写阻害活性を示したにもかかわらず、ルシフェラーゼアッセイ(化学発光法)では転写阻害活性が認められないものが存在し、反対に、ルシフェラーゼアッセイ(化学発光法)でのみ強い阻害活性を示す化合物も存在した。このように、ルシフェラーゼアッセイ(化学発光法)と他の方法で結果が乖離するのは、化学発光を利用した測定系がテスト化合物の影響を受けやすいことが原因ではないかと推察された。
本実験結果から、本発明のHTRF法を用いれば、一般法であるルシフェラーゼアッセイに比べて化合物の影響を受けにくく、より精度の高い探索実験を実施でき、ELISAと比べても迅速性、簡便性に優れた探索実験が可能になると考えられた。
下記の表に、HTRF法とルシフェラーゼ法(化学発光法およびELISA)で15種類の化合物の転写阻害活性を測定した結果と、これらの化合物の細胞増殖阻害活性を測定した結果を示す。
Figure 2006095654
配列番号1は、抗体を作製するのに用いたポリペプチドの配列である。
配列番号2は、抗体を作製するのに用いたポリペプチドの配列である。
配列番号3は、エピトープタグとして用いたポリペプチドの配列である。
配列番号4は、6G4抗体の可変領域(VH)のアミノ酸配列である。
配列番号5は、6G4抗体の可変領域(VL)のアミノ酸配列である。
配列番号6は、2E6抗体の可変領域(VH)のアミノ酸配列である。
配列番号7は、2E6抗体の可変領域(VL)のアミノ酸配列である。
配列番号8は、6G4抗体のVH領域のcDNAを合成するために設計されたオリゴヌクレオチドである。
配列番号9は、2E6抗体のVH領域のcDNAを合成するために設計されたオリゴヌクレオチドである。
配列番号10は、6G4抗体及び2E6抗体のVL領域のcDNAを合成するために設計されたオリゴヌクレオチドである。
配列番号11は、6G4抗体のVH領域の遺伝子を増幅するために設計されたPCRのプライマーである。
配列番号12は、2E6抗体のVH領域の遺伝子を増幅するために設計されたPCRのプライマーである。
配列番号13は、6G4抗体及び2E6抗体のVL領域の遺伝子を増幅するために設計されたPCRのプライマーである。
配列番号14は、実施例で用いたエピトープタグの遺伝子配列である。
配列番号15は、実施例で用いたレポータ遺伝子の遺伝子配列である。
配列番号16は、免疫グロブリンH鎖の germ lineεプロモーターのIL-4調節エレメントの遺伝子配列である。
配列番号17は、実施例で用いたチミジンキナーゼプロモーターの遺伝子配列である。

Claims (8)

  1. 転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、第1エピトープ及び第2エピトープを有するエピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞に、被験物質、第1エピトープを認識する検出抗体、及び第2エピトープを認識する検出抗体を接触させ、前記両検出抗体がそれぞれ前記第1エピトープ及び第2エピトープに結合し互いに近接することにより生じる現象を検出し、前記被験物質の転写調節機構に対する作用と関連づける工程を含み、前記第1エピトープ及び第2エピトープが、それぞれを認識する検出抗体が結合した場合に、前記両検出抗体が互いに近接することができるように配置されていることを特徴とする、レポータ遺伝子アッセイ方法。
  2. 前記細胞に転写因子、リガンド、レセプター及びコアクチベーターからなる群から選択されるいずれかを発現させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記検出抗体がともに蛍光体により標識されたものである請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記蛍光体がユーロピウム化合物及びアロフィコシアニン誘導体の組み合わせからなる請求項3記載の方法。
  5. 転写因子の認識配列と転写開始に必要な塩基配列の下流に、第1エピトープ及び第2エピトープを有するエピトープタグをコードする遺伝子を含むレポータ遺伝子を接続したベクターを有する細胞。
  6. 前記レポータ遺伝子が配列番号15に示す配列を有するものである請求項5記載の細胞。
  7. 請求項1から4のいずれかの方法に使用するためのベクター。
  8. 請求項1から4のいずれかの方法に使用するためのキット。
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