JPWO2006093108A1 - 遺伝子導入剤 - Google Patents
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Abstract
Description
好ましくは、糖はマンノース又はガラクトースである。
好ましくは、本発明の遺伝子導入方法では、血清の存在下で細胞に遺伝子を導入する。
(1)シクロデキストリン・デンドリマー結合体
本発明の結合体は、シクロデキストリンとジェネレーションが3であるデンドリマー(G3)との結合体であって、さらに糖で修飾されていることを特徴とする。
本発明の結合体の構造の一例を、図1に例示する。シクロデキストリン・デンドリマー結合体は、デンドリマーとシクロデキストリンを溶媒中で加熱・混合することにより容易に製造することができる。
シクロデキストリン・デンドリマー結合体を構成するシクロデキストリンは、α、β、またはγシクロデキストリンである。これらα、β、またはγシクロデキストリンは、化学修飾型または非修飾型のシクロデキストリンであることもできる。これらα、β、またはγシクロデキストリンは市販品を容易に入手できる。本発明ではこれらのうちα−シクロデキストリンを用いることがが、その導入剤としての効果が最も優れているため、好ましい。
本発明で用いられるシクロデキストリン・デンドリマー結合体のひとつの構成成分であるデンドリマー (Dendrimer)は、アンモニアあるいはエチレンジアミンをコア分子とし、その分子にマイケル付加反応でアクリル酸メチルおよびエチレンジアミンを付加し、この反応を繰り返すこと (Generation) により得られる高度に枝分かれした樹枝状構造を特徴とし、その末端に多数の一級アミノ基を有した新しいタイプの合成ポリマーである。本発明で用いるデンドリマーとしては、ポリアミドアミン型であることが好ましい。
上記した、シクロデキストリンとジェネレーションが3であるデンドリマー(G3)から成り、さらに糖で修飾されている本発明の結合体は、細胞に遺伝子を効率的に導入するための遺伝子導入剤として用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明につき更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制約されるものではない。
(1)トシル化α-CyD の調製
ベンゼンで水分を共沸除去した乾燥α-CyD 8 g を無水ピリジン 500 mL に溶解後、5℃ 以下に冷却、攪拌しながら p-トルエンスルホニルクロライド 6 g を加え、室温で 2 時間攪拌した。 反応溶液に水 (約 100 mL) を注ぎ込み反応を停止させた後、減圧濃縮し、アセトン 100 mL を添加して析出した沈殿物を濾取した。沈殿物は吸着クロマトグラフィーを用いて分離、精製した。
(多孔質ポリスチレン樹脂 (DIAION(商標) HP-20、MITSUBISHI CHEMICAL); 溶離液:メタノール/水=0/100 v/v → 100/0 v/v、収率29%)。FAB-MASS [M-H]− m/z 1125。
デンドリマー (G3) (ALDRICH CHEMICAL) 0.5 mL を試験管に加えて減圧下メタノールを完全に留去した。 その後、トシル化 α-CyD 60 mg および DMSO 0.5 mL を加えて軽く混和し、試験管内を窒素置換後、油浴中、60℃ で 24 時間攪拌した。反応物をTOSOH TskGel HW-40S (5.3 cm2 x 70 cm、溶出液: 0.1 M Ammonium hydroxycarbonate) を用いてゲルろ過した。α-CDE 結合体を含むフラクションを濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、メタノール 3 mL を加えて十分に白濁するまで混和した。 沈殿物を含む溶液を 1,500 rpm、15 分間遠心分離後、上清のメタノールを取り除き、再びメタノール3 mL を添加してよく混和した。 同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、残渣中のメタノールを試験管エバポレーターにより完全に留去し、α-CDE 結合体を得た。
α-CDE 結合体 (G3) 10 mg を溶解した 0.9% (w/v) NaCl 溶液 200μL と TRITC 1.36 mg を溶解した DMSO 200 μL を混合し、室温、遮光条件下、24 時間反応させた。 その後、透析およびアルコール沈殿により精製した。
α-CDE 結合体 70 mg を 0.15 M NaCl (pH 9.0) 1 mL に溶解後、DMSO に溶解した25 mg/mL の α-D-Mannopyranosylphenyl isothiocyanate 溶液 1 mL を添加し、室温で 24 時間攪拌した。 反応物をTOSOH TskGel HW-40S (5.3 cm2 x 70 cm、溶出バッファー: 0.1 M Ammonium hydroxycarbonate) を用いてゲルろ過した。 Man-α-CDE 結合体を含むフラクションを減圧下濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、メタノール 3 mL を加え十分に白濁するまで混和した。 沈殿物を含む溶液を 1,500 rpm、15 分間遠心分離後、上清のメタノールを取り除き、再びメタノール3 mL を添加してよく混和した。 同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、残渣中のメタノールを試験管エバポレーターにより完全に留去し、Man-α-CDE 結合体を得た。
Man-α-CDE 結合体 (G3) 10 mg を溶解した 0.9% (w/v) NaCl 溶液 200μL と、TRITC 1 mg を溶解した DMSO 200μL を混合し、室温、遮光条件下、24 時間反応させた。 その後、透析およびアルコール沈殿により精製した。
(1)細胞の培養
(A549細胞の培養)
ヒト肺上皮細胞癌由来の株化細胞であるA549細胞8×105個を10%FCS含有DMEM培地(590mg/L L-グルタミン、160mg/L NaHCO3、 1×105U/Lペニシリン、0.1g/Lストレプトマイシン)10mLに懸濁し、旭テクノグラス(株)製組織培養ディッシュ(100mm)に播種して、CO2インキュベーター中、37℃、5% CO2下で培養した。セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA法によりディッシュから剥離し、2000rpm 10分間遠心分離後、上清をすべて取り除き、得られたペレットを10%FCS含有DMEM培地に1×105個/mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を24 well micro plate に2×105/500μLになるように播種し、6時間培養した細胞をトランスフェクション実験に用いた。
ラット肺胞マクロファージ由来の株化細胞であるNR8383細胞8×105個を10%FCS含有DMEM培地(590mg/L L-グルタミン、160mg/L NaHCO3、 1×105U/Lペニシリン、0.1g/Lストレプトマイシン)10mLに懸濁し、旭テクノグラス(株)製組織培養ディッシュ(100mm)に播種して、CO2インキュベーター中、37℃、5% CO2下で培養した。セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA法によりディッシュから剥離し、2000rpm 10分間遠心分離後、上清をすべて取り除き、得られたペレットを10%FCS含有DMEM培地に1×105個/mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を24 well micro plate に2×105/500μLになるように播種し、6時間培養した細胞をトランスフェクション実験に用いた。
ヒト肝芽細胞癌由来の株化細胞であるHepG2細胞8×105個を10%FCS含有DMEM培地(590mg/L L-グルタミン、160mg/L NaHCO3、 1×105U/Lペニシリン、0.1g/Lストレプトマイシン)10mLに懸濁し、旭テクノグラス(株)製組織培養ディッシュ(100mm)に播種して、CO2インキュベーター中、37℃、5% CO2下で培養した。セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA法によりディッシュから剥離し、2000rpm 10分間遠心分離後、上清をすべて取り除き、得られたペレットを10%FCS含有DMEM培地に1×105個/mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を24 well micro plate に2×105/500μLになるように播種し、6時間培養した細胞をトランスフェクション実験に用いた。
2×105個/24ウエルの細胞を6時間前培養した。培地500μlで洗浄し、ウミホタルルシフェラーゼをコードするpRL−CMVとデンドリマー、pRL−CMVとα-CDE 結合体、又はpRL−CMVとMan-α-CDE 結合体(G3)を各電荷比に相当する量を添加し、全量400μlとした。この際、FCSを培地に加えた(終濃度10%)実験と加えない実験を行った。
図2は、A549細胞におけるMan-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の遺伝子導入効率に及ぼすチャージ比 (Carrier/pDNA) の影響を示す。デンドリマー(G3)/pDNAの投与量比は50である。培地には10%FCSを添加した。各値は、3〜6回の実験の平均±標準誤差を示す。
* p<0.05(デンドリマーと比較して), ** p<0.01(デンドリマーと比較して)
* p<0.01(Man-α-CDE 結合体(G2)と比較して)
* p<0.05(α-CDE と比較して)
* p<0.05(血清なしと比較して)
* p<0.05(血清なしと比較して)
* p<0.05(血清なしと比較して)
実施例3では、Man-α-CDE 結合体の諸性質についてさらに分析した。
(A)方法
(1)プラスミドの調製
pDNA の増幅: pRL-CMV luciferase DNA を導入した大腸菌株 JM109 を 100 μg/mL のアンピシリンを含む LB 培地 (BACTO TRYPTONE 10 g, BACTO YEAST 5 g, NaCl 5 g /1000 mL) 3 mL 中、37℃で一晩予備培養し、その 1 mL を新たな LB 培地 500 mL に加え、37℃で 24〜48 時間培養した。
NMR スペクトル測定:
1H-NMR スペクトルは、日本電子製 α-500 FT-NMR スペクトロメーターを用いて 25℃で測定した。溶媒は D2O を用い、各種サンプルの濃度は 10 mM とした。1H-NMR の化学シフトは、D2O のピークを用いて内部標準物質テトラメチルシラン (TMS) からの低磁場シフトとして表した。
HBSS に溶解した種々濃度の デンドリマー (G3)、α-CDE 結合体 (G3) あるいはMan-α-CDE 結合体 (G3) 10 μL に、TE に溶解した pDNA 2μL (0.1μg/μL) を加え、10 秒間ボルテックス処理後、15 分間室温でインキュベートした。本反応液に重層用試薬 (60% (v/v) グリセロール、1 mM EDTA、0.004% (w/v) ブロモフェノールブルー、0.004% (w/v) キシレンシアノール) 2μL を添加し、泳動用緩衝液 (Tris-borate EDTA : TBE ; 45 mM Tris, 45 mM ホウ酸, 1 mM EDTA) で調製した 1% アガロースゲルを用い、100 V の定圧条件下で約 40 分間泳動した。泳動終了後、アガロースゲルを EtBr (100ng/mL) を含む TBE 溶液中で 30 分間振盪し染色した。 染色終了後、アトー製デンシトグラフによりゲルを撮影した。
HBSS に溶解した種々濃度のデンドリマー (G3) 、α-CDE 結合体 (G3) あるいは Man-α-CDE 結合体 (G3) 5μL に、TE に溶解したpDNA 2μL (0.1μg/μL) を加え、10 秒間ボルテックス後、15 分間室温でインキュベートした。BSA (2 mg/mL) 1μL、反応バッファー (40 mM Tris-HCl, 10 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 6 mM MgCl2, 2 mM DTT) 1μL、DNaseI(1 unit/μL) 1μL を添加し、37℃で2 時間インキュベートした。70℃で 10 分間インキュベート後、EDTA (0.5 M) 1μL、SDS (8% w/v) 10μL を加え、さらに 37℃で1 時間インキュベートした。 本反応液に重層用試薬 4μL を添加し、泳動用緩衝液で調製した 1%アガロースゲルを用い、100 V の定圧条件下で約 40 分間泳動した。泳動終了後、アガロースゲルを EtBr (100ng/mL) を含む TBE 溶液中で 30 分間振盪し染色した。染色終了後、上記デンシトグラフによりゲルを撮影した。
HBSS 3 mL に 50 mg/mL のデンドリマー (G3)、α-CDE 結合体 (G3) あるいは Man-α-CDE 結合体 (G3) をそれぞれ 5.24、7.36 および14.64μL (チャージ比50) と、TE に溶解した pDNA 8 μL (1μg/μL) を加え、10 秒間ボルテックス後、15 分間室温でインキュベートし、Beckman 製 Coulter N4 Plus により粒子径を測定した。
HBSS 1 mL に pDNA 1μL (1μg/μL)、EtBr 1μL (1μg/μL) および種々のチャージ比に相当するデンドリマー (G3)、α-CDE 結合体 (G3) あるいは Man-α-CDE 結合体 (G3) を加え、10 秒間ボルテックス後、15 分間室温でインキュベートし、蛍光分光光度計 (日立製、F-4500) により蛍光 (λex=510 nm, λemi=590 nm) を測定した。
(3)各種細胞の培養
NIH3T3 細胞の培養:
マウス繊維芽細胞由来の株化細胞である NIH3T3 細胞 8×105 個を 10% (v/v) FCS 含有 DMEM 培地 (L-グルタミン590 mg/L、NaHCO3 160 mg/L、ペニシリン 1×105 U/L、ストレプトマイシン 0.1 g/L) 10 mL に懸濁し、プラスチックディッシュ (100 mm) に播種して、37℃、5% CO2 濃度下で培養した。 セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA 法によりディッシュから剥離し、3,000 rpm で 3 分間遠心分離後、上清を取り除き、得られたペレットを 10% (v/v) FCS 含有 DMEM 培地に 1×105 個/mL の密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well plate に 2×105 個/well になるように播種し、6 時間培養した細胞をトランスフェクション実験および細胞傷害性の実験に用いた。
ヒト肝芽細胞癌由来の株化細胞である HepG2 細胞 8×105 個を 10% (v/v) FCS 含有 DMEM 培地 (L-グルタミン590 mg/L、NaHCO3 160 mg/L、ペニシリン 1×105 U/L、ストレプトマイシン 0.1 g/L) 10 mL に懸濁し、プラスチックディッシュ (100 mm) に播種して、37℃、5% CO2 濃度下で培養した。セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA 法によりディッシュから剥離し、3,000 rpm で 3 分間遠心分離後、上清を取り除き、得られたペレットを 10% (v/v) FCS 含有 DMEM 培地に 1×105 個/mL の密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well plate に 2×105 個/well になるように播種し、6 時間培養した細胞をトランスフェクション実験および細胞傷害性の実験に用いた。
ヒト肺上皮癌由来の株化細胞である A549 細胞8×105 個を 10% FCS 含有 DMEM 培地 (L-グルタミン590 mg/L、NaHCO3 160 mg/L、ペニシリン 1×105 U/L、ストレプトマイシン 0.1 g/L) 10 mL に懸濁し、プラスチックディッシュ (100 mm) に播種して、37℃、5% CO2 濃度下で培養した。 セミコンフルエントに達した細胞をトリプシン-EDTA 法によりディッシュから剥離し、3,000 rpm で 3 分間遠心分離後、上清を取り除き、得られたペレットを 10% FCS 含有 DMEM 培地に 1×105 個/mL の密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well plate に 2×105 個/well になるように播種し、6 時間培養した細胞をトランスフェクション実験および細胞傷害性の実験に用いた。
ラット肺胞マクロファージ由来の株化細胞である NR8383 細胞8×105 個を10% FCS 含有 F-12 培地 (L-グルタミン590 mg/L、NaHCO3 160 mg/L、ペニシリン 1×105 U/L、ストレプトマイシン 0.1 g/L) 10 mL に懸濁し、プラスチックディッシュ (100 mm) に播種して、37℃、5% CO2 濃度下で培養した。セミコンフルエントに達した細胞をセルスクレーパーによりディッシュから剥離し、3,000 rpm で 3 分間遠心分離後、上清を取り除き、得られたペレットを 15% FCS 含有 F-12 培地に 1×105 個/mL の密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well plate に 2×105 個/well になるように播種し、6 時間培養した細胞をトランスフェクション実験および細胞傷害性の実験に用いた。
キャリア/pDNA 複合体調製:
1.5 mL エッペンドルフチューブに各種培地を添加し、TE に溶解した pDNA 2 μL (1 μg/μL) を添加した後、HBSS に溶解した各種濃度のキャリアを添加し、10 秒間ボルテックスを用いて攪拌後、15 分間室温でインキュベートし、キャリア/pDNA 複合体とした。
WST-1 法により評価した。 細胞を 24 well plate に2×105 個/well になるように播種し、10% (v/v) FCS を含む培地で 6 時間培養した。細胞を無血清培地 500μLで 2 回洗浄した後、上記キャリア/pDNA (2μg) 複合体および 20%FCS 含有培地をそれぞれ 200μL 添加し (最終 FCS 濃度 10%)、37℃、5% CO2 濃度下で 24 時間インキュベートした。その後、HBSS 200μL で 2 回洗浄した後、HBSS 270μL および WST-1 試薬 30μL を添加してよく混和し、37℃、5% CO2 濃度下で 30 分間インキュベートした後、吸光度を測定した (BioRad Model 550 ; 測定波長 ; 450 nm、参照波長 ; 655 nm)。なお、細胞生存率は、キャリア非添加時を 100% として算出した。
細胞を 24 well plate に2×105 個/well になるように播種し、10% (v/v) FCS を含む培地で 6 時間培養した。細胞を無血清培地 500μL で 2 回洗浄後、キャリア/pDNA (2μg) 複合体を含む無血清の培地 200μL および 20%FCS 含有培地を200μL添加し (最終 FCS 濃度 10%)、37℃、5% CO2 濃度下で 24 時間インキュベートした。
トランスフェクション終了後の各種細胞を PBS (−) 200μL で 2 回洗浄後、細胞溶解剤 500μL を添加し、15 分間室温でインキュベートし凍結融解を 2 回行い、10,000 rpm で 5 分間遠心分離しその上清を細胞抽出液とした。
細胞抽出液 20μL をルミノメーター用試験管 (Rohren Tubes、SARSTEDT) に採取し、これにルシフェリン、コエンザイム A、ATP などを含む基質液を 100 μL 添加し、ルミノメーター (Lumat : LB 9507、EG&G BERHTOLD) で 10 秒間の発光量を測定した。
Bio-Rad Protein Assay Kit によりタンパク質の定量を行った。細胞抽出液 10μL に Bio-Rad Protein Assay kit 溶液を 200μL 添加し、室温で 15 分間インキュベート後、450 nm における吸光度を測定した。細胞溶解剤で BSA を希釈したものを標準液に用いて検量線を作成し、上記ルシフェラーゼ活性およびタンパク質濃度より Relative Light Unit (RLU) を算出した。
マンナン、デキストラン、マンノースおよびガラクトース処理:
細胞を 24 well plate に 2x105 個/well になるように播種し、10% (v/v) FCS を含む培地で 6 時間培養した。細胞を無血清培地 500μL で 2 回洗浄後、キャリア/pDNA (2μg) 複合体を含む無血清の培地 200μL およびマンナン、デキストラン、マンノースおよびガラクトース (それぞれ 0.5 mg/mL) を含む 20% FCS 含有培地を 200μL 添加し (最終 FCS 濃度 10%)、37℃、5% CO2 濃度下で 24 時間インキュベートした。
細胞を 24 well plate に 2×105 個/well になるように播種し、10% (v/v) FCS を含む培地で 6 時間培養した。 細胞を無血清培地 500μL で 2 回洗浄後、キャリア/pDNA (2μg) 複合体を含む無血清の培地 400μLを添加し、1 時間インキュベート後、終濃度 10%になるよう FCS を加え37℃、5%CO2 濃度下で 23 時間インキュベートした。
Alexa ラベル化 pDNA と TRITC ラベル化キャリアを用いてマンナン (0.5 mg/mL) あるいはデキストラン (0.5 mg/mL) 存在または非存在下、トランスフェクションを行った。トランスフェクション 24 時間後、細胞を PBS (−) 500μL で 2 回洗浄、1 mL の PBS で懸濁し、Becton Dickinson 製 FACSCaliburTM によりAlexa および TRITC の蛍光強度を測定した。
キャリア/pDNA 複合体の核移行性の観察:
TRITC ラベル化キャリア/Alexa ラベル化 pDNA (2μg) との複合体を含む無血清の培地 200 μL および 20%FCS 含有培地 200μL を細胞に添加し (最終 FCS 濃度10%)、37℃でインキュベートした。インキュベーション 24 時間後、HBSS 500μL で 2 回洗浄し、オリンパス 製 FLUOVIEW FV300BX (アルゴンイオンレーザー) により蛍光を観察した。
マンナンおよびデキストランの HVJ-E vector への封入は、 HVJ-E vector 調製キットプロトコールに準じて行い、封入率はそれぞれ約16%および 18%であった。細胞を glass based dish (35 mm) に 2×105 個/dish になるように播種し、10% (v/v) FCS を含む培地で 5.5 時間培養した。上清を取り除き、無血清培地 500μL で2回洗浄後、HVJ-E vector、HVJ-E vector/マンナン (15 mg/mL) または HVJ-E vector/デキストラン (15 mg/mL) を含む培地 500μL を添加し、37℃ で 0.5 時間培養した。細胞を無血清培地 500μL で 2 回洗浄した後、キャリア/pDNA (2μg) 複合体を含む無血清の培地 200μL および 20%FCS 含有培地を 200μL 添加し (最終 FCS 濃度 10%)、37℃、5%CO2 濃度下で 24 時間インキュベートした。
4 週齢の BALB/c 雄性マウス (体重約 20 g) をエーテル麻酔下、Man-α-CDE 結合体 (G3) と pDNA (20μg) との複合体 (チャージ比 20) を含む 5%マンニトール懸濁液 500μL を尾静脈より約 30 秒間かけて投与した。投与 12 時間後エーテル麻酔下、腹部大動脈より採血し、血清 200 μL を分取し定量時まで凍結保存した。各種検査値の測定は、血液生化学検査自動測定装置を用いて行った。
(1)Renilla luciferase による遺伝子導入効率の検討
デンドリマーのジェネレーションが遺伝子導入効率に与える影響を検討するため、Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) と Man-α-CDE 結合体 (G2, DSM 3.3) の遺伝子導入効率を比較した。
Green fluorescence protein (GFP) 遺伝子を用いて、A549 細胞へ導入後の GFP の蛍光強度を共焦点レーザー顕微鏡にて観察することにより、遺伝子の発現頻度を検討した。
Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の細胞傷害性を WST-1 法により検討した。図11は、A549 細胞および NIH3T3 細胞における各キャリアの細胞傷害性を示す。図11では、細胞をキャリア/pDNAとともに24時間インキュベートした。細胞生存率をWST-1法で分析した。各値は、3〜4回の実験の平均±標準誤差を示す。
Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10)/pDNA 複合体をマウスに尾静脈投与した後の血液生化学的パラメータについて検討した。なお、血液生化学的パラメータは腎障害の指標としてクレアチニン (CRE) および Blood urea nitrogen (BUN)、肝障害の指標として Aspartate aminotransferase (AST) および Alanine aminotransferase (ALT)、細胞傷害の指標として Lactate dehydrogenase (LDH) を用い、チャージ比 20 (キャリア/pDNA)、pDNA 投与量 20μg/mouse の条件下で行った。結果を表1に示す。
各値は、3〜4回の実験の平均±標準誤差を示す。
(5−1)アガロースゲル電気泳動
Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) と pDNA との相互作用について、それら複合体の正味の電荷を簡便に知ることができるアガロースゲル電気泳動法を用いて検討した。図12は、pDNA 0.2 μg にチャージ比 (キャリア/pDNA) が 0.1〜100 になるように各種キャリアを添加後、10 秒間攪拌し、室温で 15 分間静置したサンプル溶液を 1% アガロースゲルにて電気泳動(100Vで40分間)を行い、エチジウムブロマイド (EtBr) で染色した結果を示す。
目的とする細胞に外来遺伝子を導入・発現させるには、pDNA は標的となる細胞内へ送達されるまでインタクトな状態に保たれる必要がある。一般に、pDNA は血清に含まれる DNA 分解酵素 (DNase) により速やかに分解されることから、in vivo において遺伝子を発現させるためには、DNase に対する安定性の確保が重要となる。そこで、DNaseIに対する pDNA の安定性に及ぼす各種キャリアの影響について検討した。DNaseI処理後のキャリア/pDNA 複合体は、SDS 添加により解離させた後、1%アガロースゲルで電気泳動を行った。
遺伝子導入に際し、キャリア/pDNA 複合体の粒子径および ζ-電位は重要な因子である。また、複合体の荷電状態は、細胞への接着性や血清成分との非特異的な相互作用、さらには粒子自体の水への溶解度にも影響を及ぼす。そこで、各キャリア/pDNA 複合体の粒子径および ζ-電位について検討した。
響
キャリア/pDNA 複合体中のpDNA のコンパクション状態は、遺伝子導入に影響を与える因子の一つである。そこで、各キャリア/pDNA 複合体中の pDNA のコンパクション状態について検討した。なお、pDNA のコンパクションは、キャリア非添加時のpDNA にインターカレートさせた EtBr の蛍光強度を 100%とし、キャリア添加時の pDNA のコンパクションにより減少した EtBr の蛍光強度を測定することにより評価した。
通常、遺伝子導入の際、血清が存在すると導入効率は低下することが知られている。これは、キャリア/pDNA 複合体への血清タンパク質の非特異的な吸着により複合体の細胞への会合量が減少することや、キャリア/pDNA 複合体の解離、血清中の DNA 分解酵素による DNA の分解などに起因する。しかし、in vivo において遺伝子を発現させるためには、血清存在時でも高い遺伝子導入効率を保持する必要がある。そこで、Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の遺伝子導入効率に及ぼす血清の影響を検討した。
Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の高い遺伝子導入効率にα-CyD が寄与しているか否かを確かめるため、デンドリマー (G3) にマンノース残基のみを結合させたマンノース-デンドリマー結合体 (Man-dendrimer 結合体) (G3, DSM 10) を調製し、その遺伝子導入効率を Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) と比較した。
pDNA の細胞内取り込みにキャリア間で違いがあるか否かを確かめるため、A549 細胞を用いて Alexaラベル化 pDNA (Alexa-pDNA) と TRITC ラベル化キャリア (TRITC-キャリア) の細胞内取り込みを検討した。なお、本実験はTRITC-キャリア/Alexa-pDNA 複合体を細胞にトランスフェクション24 時間後における細胞を回収し、Alexa および TRITC の蛍光強度をフローサイトメトリーを用いて測定することにより評価した。
Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の遺伝子導入効率に及ぼすマンナンの影響を検討するため、マンナンおよびマンノースを用いて競合阻害実験を行った。
(10−1)Man-α-CDE 結合体 (G3)/プラスミド DNA 複合体の核移行性
上記において、Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10)/pDNA 複合体の細胞内取り込みは、デンドリマー (G3)/pDNA およびα-CDE 結合体 (G3)/pDNA 複合体と顕著な差異が認められないことが明らかになった。また、Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10)/pDNA 複合体の遺伝子導入効率に、細胞表面におけるマンノース認識機構の関与は低いことが示唆された。
細胞内へマンナンを直接導入できる HVJ-E vector を用いて、TRITC-Man-α-CDE 結合体 (G3, DSM 10) の核への集積に対するマンナンの影響を検討した。
Claims (10)
- シクロデキストリンとジェネレーション3のデンドリマー(G3)との結合体であって、さらに糖で修飾されている上記結合体。
- シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである、請求項1記載の結合体。
- 糖がマンノース又はガラクトースである、請求項1又は2に記載の結合体。
- シクロデキストリンとジェネレーション3のデンドリマー(G3)との結合体であって、さらに糖で修飾されている上記結合体からなる遺伝子導入剤。
- シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである、請求項4記載の遺伝子導入剤。
- 糖がマンノース又はガラクトースである、請求項4又は5に記載の遺伝子導入剤。
- 導入すべき遺伝子と、シクロデキストリンとジェネレーション3のデンドリマー(G3)との結合体であって、さらに糖で修飾されている上記結合体とを細胞ともにインキュベーションすることを含む、細胞に遺伝子を導入する方法。
- シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである、請求項7に記載の方法。
- 糖がマンノース又はガラクトースである、請求項7又は8に記載の方法。
- 血清の存在下で細胞に遺伝子を導入する、請求項7から9の何れかに記載の方法。
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