本発明は、マルチメディアサービスを実現する無線基地局、制御装置及び無線通信方法に関する。
近年、無線通信システムにおけるマルチメディアサービスの実現が要求されてきているので、今後は、アプリケーション毎に異なるサービス品質(Quality of Service、以下「QoS」という)を意識した制御が必要不可欠と考えられる。このQoSで規定されるトラヒック特性やネットワークに対する要求条件等は、アプリケーションの種類によって異なる。そのため、移動局が利用するアプリケーション毎のQoSに対する要求を満足させるために、QoSを意識したネットワークの構築、制御技術が必須と考えられる。
また、今後のネットワーク形態は、送信側と受信側との間に介在する全ての経路上のプロトコルがIP(Internet Protocol)に統一化されると考えられる。そのため、従来では独自のネットワークを構築していた無線通信システムも、今後はIPをベースにしたものに変換されていく可能性が高い。IPを用いたシステムでは、パケット通信を基本としている。
以上のことから、無線通信システムにおいても、パケット通信におけるQoSに関する制御を取り入れていく必要がある。このとき、無線通信システムでは、伝搬路環境の変動や他の信号による干渉等の影響を受け、移動局における受信品質が絶えず変化する。そのため、有線の通信システムとは異なる特別の配慮が必要となる。このような背景を受けて無線通信システムにおけるQoSに関する様々な制御技術が提案されている。同時に、QoSを要求しない移動局のために、移動局間の公平性を考慮して送信順序を決定するスケジューリングを行う方法等も提案されている。
例えば、特許文献1では、無線通信システム内に様々なサービスレベルの移動局が混在する場合に、パケットの送信を適切に制御する目的で、パケットを、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと要求値を持たない相対保証型パケットとに分類し、分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケット毎にパケットの送信順序を制御する。そして、定量保証型パケットの要求値を満足させるように無線リソースを割り当てる方法が提案されている。
特開2004−140604号公報
しかし、特許文献1が開示する技術では、セル内の個々のユーザの無線状況を考慮したスケジューリングが行えるのみで、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングはできない。
また、特許文献1が開示する技術では、定量保証レート内パケット→相対保証レート内パケット→定量保証レート外パケットの順で無線リソース割り当てを行っているので、相対保証レート内パケットを伝送しているときに、新規のユーザから定量保証レートのパケットを受けても無線リソースがこの新規ユーザにはすぐに割り当てられない。そのため、定量保証型パケット通信を要望するユーザに適切に対応することができない。
さらに、特許文献1が開示する技術では、バッファに定量保証型パケットと相対保証型パケットが存在していて空きがないときに、新規ユーザから定量保証型パケットが送られてきた場合には当該新規定量保証型パケットが破棄されてしまい、結果として、新規の定量保証よりも相対保証が優先されてしまうことになる。つまり、定量保証型ユーザをできるだけ増やしたいときに、無線リソース、バッファ割り当てが最適に制御できない。
本発明の目的は、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行うことができる無線基地局、制御装置及び無線通信方法を提供することである。
本発明に係る無線基地局は、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとにパケットを分類するパケット分類手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断手段と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断手段と、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブルと、前記比率判断手段にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断手段にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、前記スケジューリングテーブルから該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択手段にて選択されたスケジューリングに基づき行うスケジューリング処理手段と、前記スケジューリング処理手段にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て手段とを具備する構成を採る。
本発明に係る制御装置は、複数の移動局とパケットを送受信する無線基地局を制御する制御装置であって、前記パケットを通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとに分類するパケット分類手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断手段と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断手段と、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブルと、前記比率判断手段にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断手段にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、前記スケジューリングテーブルから該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択手段にて選択されたスケジューリングに基づき行うスケジューリング処理手段と、前記スケジューリング処理手段にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て手段と、を具備する構成を採る。
本発明に係る無線通信方法は、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとにパケットを分類するパケット分類工程と、前記パケット分類工程にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断工程と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断工程と、前記比率判断工程にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断工程にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブルから、該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択工程と、前記パケット分類工程にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択工程にて選択されたスケジューリングに基づき行う送信順序制御工程と、前記送信順序制御工程にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て工程と、を具備する方法を採る。
本発明によれば、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行うことができる無線基地局、制御装置及び無線通信方法を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
図1に示す無線基地局がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャート
図1に示す無線基地局がコアネットワークから到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作を説明するフローチャート
本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
図5に示す無線基地局がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャート
本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
従来の無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
従来の無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態6に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その3)を説明する図
本発明の実施の形態9に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示す無線通信システムは、無線基地局101と、無線基地局101のセルにおいて無線接続される複数の移動局102と、無線基地局101が有線接続されるコアネットワーク103及び公衆ネットワーク104とを備えている。
無線基地局101は、アンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部115と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118と、スケジューリング決定部119とを備える。
スケジューリング決定部119は、情報処理部121と、セル内環境判断部122と、要求比率判断部123と、スケジューリングパターン選択部124と、スケジューリングテーブル125とを備えている。スケジューリングテーブル125は、各種のスケジューリングパターンが予め設定されている。この設定は、設計段階において設定してもよいし、無線基地局101から無線通信により入手してもよい。
送信部112は、アンテナ111を介してセル内の移動局にパケットを送信する。送信部112は、コアネットワーク103から移動局宛てのパケットが無線基地局101に到着すると、該当する移動局にパケットが到着したことを通知する。送信部112は、無線リソース割り当て処理部115から入力される無線リソースを割り当てられたパケットを該当する移動局に送信する。
受信部113は、アンテナ111を介してセル内の移動局からのパケットを受信する。セル内の移動局は、無線基地局101から自移動局宛のパケットが到着したことの通知を受けると、通信品質に関する情報やパケットの送信順序を決定する際に無線基地局101が利用するスケジューリング情報等の制御情報を無線基地局101に送信する。受信部113は、移動局102から受信した制御情報をスケジューリング処理部116やパケット分類部117に与える。受信部113は、移動局102から新規の接続要求を受信すると、その受信した接続要求を受付制御部114に与える。受付制御部114は、応答を作成して送信部112に与え、移動局102に送信させる。
バッファ118は、移動局に送信するパケットを保持する複数の送信バッファで構成される。ここでは、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットを保持する1番からn番までの定量保証型用の送信バッファと、通信品質に関する要求値を持たない相対保証型パケットを保持するn+1番〜N番までの相対保証型用の送信バッファとで構成されるとする。
パケット分類部117は、コアネットワーク103から移動局宛のパケットが無線基地局101に到着すると、その到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し、それをバッファ118の該当する送信バッファに保持させ、また、スケジューリング処理部116と要求比率判断部123とに与える。
スケジューリング処理部116は、スケジューリングパターン選択部124が選択したスケジューリングパターンを用いて、バッファ118に保持されている分類後のパケットについて、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケット毎に送信順序を制御する。このとき、スケジューリング処理部116は、無線リソース割り当て処理部115から通知を受ける残無線リソース量に基づいて、無線リソースが残っている場合に次のパケットについてのスケジューリングを行う。
無線リソース割り当て処理部115は、スケジューリング処理部116が制御したパケットの送信順序に従って、そのパケットに無線リソースを割り当てる。また、無線リソース割り当て処理部115は、バッファ118からパケットを取り出して、無線リソースを割り当てる。無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースを使い切ってしまった場合には、無線リソースが残っていないことをスケジューリング処理部116に通知する。そして、無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースを割り当てたパケットを送信部112に与える。なお、無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースとして、例えば、周波数帯域、送信電力、タイムスロット等を割り当てる。
一方、スケジューリング決定部119では、情報処理部121が、インターネットなどの公衆ネットワーク104から外部状況(例えば災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況など)を入手して把握し、その把握した外部状況をセル内環境判断部122に与える。
セル内環境判断部122は、情報処理部121からの情報に基づきセル内の外部環境がどのレベルにあるかを判断し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。判断内容としては、例えば、“災害状報の有無とそのレベル”“交通障害の有無とそのレベル”“通信障害の有無とそのレベル”“その他の障害の有無とそのレベル”である。
要求比率判断部123は、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットのパケット量の比率と要求パケット総量とを判断し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。
スケジューリングパターン選択部124は、要求比率判断部123から入力する定量保証型パケット及び相対保証型パケットの比率及び要求パケット総量と、セル内環境判断部122から入力するセル内の外部環境とに基づき、スケジューリングテーブル125に設定してある複数のスケジューリングパターン(スケジューリングパターン1〜スケジューリングパターンN)のうちどれを使用するかを判断し、選択したスケジューリングパターンをスケジューリング処理部116に与える。
以上は、無線基地局101からセル内の移動局にパケットを送信する下り回線系での各要素の動作概要である。この明細書ではこの下り回線系での動作を取り上げて説明する。しかし、受信部113は、移動局から受信したパケットをパケット分類部117に与え、また、移動局から受信したパケットをコアネットワーク103に送出することからも理解できるように、セル内の移動局から無線基地局101にパケットを送信する上り回線系においても、同様の動作が行われることは言うまでもない。
次に、図1〜図3を参照して、以上のように構成される無線基地局101の動作について説明する。図2は、図1に示す無線基地局101がコアネットワーク103から到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャートである。図3は、図1に示す無線基地局101がコアネットワーク103から到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作を説明するフローチャートである。
図2において、コアネットワーク103から無線基地局101に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類する(ステップS201)。次いで、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットの到着パケット比率及びパケット要求量を算出する(ステップS202)。比率算出処理(ステップS202)と並行して、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS203)。
また、到着パケットの分類処理(ステップS201)と並行して、セル内の状況把握を行う(ステップS204)。そして、把握したセル内状況と到着パケットの種類及び比率とに基づき到着パケット(分類した定量保証型パケット、相対保証型パケット)に対する最適なスケジューリングパターンをスケジューリングテーブル125から選択する(ステップS205)。次いで、選択したスケジューリングパターンに基づいて到着パケットのスケジューリングを行い(ステップS206)、当該パケット(図2では相対保証型パケットを示す)への無線リソース割り当てを行う(ステップS207)。その後、残無線リソースの有無を確認し(ステップS208)、残無線リソースが有れば(ステップS208:Yes)、ステップS206に戻って再度パケットのスケジューリングを行い、残無線リソースが無ければ(ステップS208:No)、処理を終了する。
次に、定量保証型パケットを優先する場合について説明する。この場合には、図3に示すように、図2に示したステップS206〜ステップS208の処理に代わって、ステップS301〜ステップS306の処理が行われる。
図3において、選択したスケジューリングパターン(ステップS205)に基づき、まず、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS301)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS302)。そして、残無線リソースの有無を確認し(ステップS303)、残無線リソースが無ければ(ステップS303:No)そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS303:Yes)、次に相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS304)を行い、その相対保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS305)。そして、再度、残無線リソースの有無を確認し(ステップS306)、残無線リソースが無ければ(ステップS306:No)処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS306:Yes)、ステップS301に戻って再度定量保証型パケットのスケジューリングを行う。
このように、本実施の形態1によれば、どのようなスケジューリングを行うかが指定されているスケジューリングテーブルを有し、外部情報(災害状況、交通状況、気象情報、イベント情報など)と要求パケット比率とを元に使用するスケジューリング方法を時間的に動的に変化させることができるので、セル内におけるその時その時の状況に応じて最適なスケジューリングを行うことができ、また定量保証型パケットの優先制御も外部情報に応じて適切に行うことができる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図4では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
図4に示すように、本実施の形態2に係る無線通信システムは、図1(実施の形態1)に示した無線基地局101を、RNC(Radio Network Controller:無線ネットワークコントローラ)401と無線基地局402とに分け、双方をコアネットワーク103に並列に接続し、また公衆ネットワーク104は、コアネットワーク103に接続されている。
RNC401は、図1(実施の形態1)に示したスケジューリング決定部119を備えている。また、無線基地局402は、図1(実施の形態1)に示したアンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部115と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118とを備えている。
このように構成しても、実施の形態1にて説明した動作(図2、図3)が同様に行われるので、実施の形態1と同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図5では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
図5に示すように、本実施の形態3に係る無線通信システムは、無線基地局501と、無線基地局501のセルにおいて無線接続される複数の移動局102と、無線基地局501が有線接続されるコアネットワーク103とを備えている。
無線基地局501は、図1(実施の形態1)に示した無線基地局101におけるスケジューリング決定部119に代えて、スケジューリング決定部510が設けられている。スケジューリング決定部510は、図1(実施の形態1)に示したスケジューリング決定部119において、情報処理部121、セル内環境判断部122及び要求比率判断部123に代えて、タイマー部511、データベース部512、要求比率判断部513及び比較検討部514が設けられている。
要求比率判断部513は、図1(実施の形態1)に示した要求比率判断部123と同様に、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットのパケット量の比率とパケット要求量とを判断する。判断結果は、タイマー部511とデータベース部512と比較検討部514とに出力される。
タイマー部511は、要求比率判断部513が判断した時点の時刻を計時し、それをデータベース部512と比較検討部514とに出力する。
データベース部512は、要求比率判断部513が判断した比率及びパケット要求量とを保存するとともに、タイマー部511にて把握した時刻を用いて、比率及びパケット要求量の週平均値や月平均値などの平均値を生成して保存する。
比較検討部514は、データベース部512が保存する過去の履歴と、タイマー部511が計時したパケット到着時点での要求比率判断部513が判断したパケット要求量及び到着したパケットにおける定量保証型パケットと相対保証型パケットの要求比率とを比較して変化状況を把握し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。比較検討部514では、パケットが増す方向への一定時間以内に、一定値以上変化があった場合には、何かイベントなり災害なりが発生したと判断するようになっている。
次に、図5と図6を参照して、以上のように構成される無線基地局501の動作について説明する。図6は、図5に示す無線基地局501がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャートである。
図6において、コアネットワーク103から無線基地局501に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットに分類する(ステップS201)。次いで、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットの到着パケット比率及び要求量を算出し、データベース部512に保存する(ステップS601)。比率算出保存処理(ステップS601)と並行して、定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS203)。
また、到着パケットの分類処理(ステップS201)と並行して、現時刻の把握(ステップS602)を行う。そして、現時刻での到着パケット数、種類とデータ履歴との比較を行い、一定値以上の変化有無などを判断する(ステップS603)。その判断結果と到着パケット数、種類とデータ履歴とに基づき到着パケット(分類した定量保証型パケット、相対保証型パケット)に対する最適なスケジューリングパターンをスケジューリングテーブル125から選択する(ステップS205)。
次いで、選択したスケジューリングパターンに基づいて到着パケットのスケジューリングを行い(ステップS206)、当該パケット(図6では定量保証型パケットを示す)への無線リソース割り当てを行う(ステップS207)。その後、残無線リソースの有無を確認し(ステップS208)、残無線リソースが有れば(ステップS208:Yes)、ステップS206に戻り再度パケットのスケジュ−リングを行い、残無線リソースが無ければ(ステップS208:No)、処理を終了する。
なお、図5に示す無線基地局501は、コアネットワークから到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作も、図3に示した手順(ステップS301〜ステップS306)と同様の手順で実施することができる。
このように、本実施の形態3によれば、移動局と無線基地局との同期有無とは無関係に時刻と要求定量保証型パケットと要求相対保証型パケットとの比率、要求パケット総量を把握しておき、また、週平均、月平均値などを保持しておき、それと現時刻での要求定量保証型パケットと要求相対保証型パケットとの比率、要求パケット総量とを比較し、パケットが増す方向への一定時間以内に、一定値以上変化があった場合には、何かイベントなり災害なりが発生したと判断してスケジューリング方法を変えることができる。
具体例としては、定量保証型パケットでもストリーミングや動画などの定量保証型パケットは受け付けないが、音声通話の定量保証型パケットは受け付けるなど状況に応じたスケジューリングを行うことができる。これによって、セル内におけるその時その時の状況に応じて最適なスケジューリングを行うことができる。
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図7では、図5(実施の形態3)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
図7に示すように、本実施の形態4に係る無線通信システムは、図5(実施の形態3)に示した無線基地局501を、RNC(Radio Network Controller:無線ネットワークコントローラ)701と無線基地局702とに分け、無線基地局702はRNC701を介してコアネットワーク103に接続される構成となっている。
RNC701は、図5(実施の形態3)に示したスケジューリング決定部510を備えている。また、無線基地局702は、図4(実施の形態2)に示した無線基地局402と同様に、アンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部115と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118とを備えている。
このように構成しても、実施の形態3にて説明した動作(図6)が同様に行われるので実施の形態3と同様の効果が得られる。
ここで、以上説明した各実施の形態における無線基地局が備えるスケジューリング処理部116及び無線リソース割り当て制御部115の動作について、それを実施の形態と把握して以下に説明する。それらは、スケジューリングテーブル125におけるスケジューリングパターンの内容に対応するものである。
(実施の形態5)
図8〜図12は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。図8と図9は、従来例である特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法を説明する図である。図10と図11は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。図12は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。
特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法では、コアネットワーク103から到着した定量保証型パケットN(N=1以上の自然数)、相対保証型パケットNが同時にパケット分類部117に到着した場合、図8に示すように、全リソース801において、定量保証型パケットと相対保証型パケットに交互に無線リソースが割り当てられ、若干の空きリソース802が残る。そして、定量保証型パケットと相対保証型パケットとで無線リソースを使いきってしまう場合は、例えば図9に示すように、空きリソース802が無くなる。
これに対して、本実施の形態5では、図10に示すように、定量保証型パケットと相対保証型パケットにリソースを割り当てた後に、空きリソース1001の他に、予め設定した量の空きリソース1002を確保することとする。これを確保できない場合は、新規の定量保証型パケット、相対保証型パケットには無線リソースは割り当てないこととする。
また、本実施の形態5では、図11に示すように、予め設定した量の空きリソース1101を確保し、それを挟んで両側に存在する無線リソースを、定量保証型パケット用1102と相対保証型パケット用1103とに予め分類しておく。
このようにすれば、定量保証型パケットを優先した上で、緊急通報などの優先度の高い定量保証型パケットにも無線リソースを確保することができる。以下、図12を参照して説明する。
図12において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1201)、その分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1202)。そして、まず、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1203)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS1204)。
そして、予め決めてある空きリソースの確保が可能であるか否かを調べる(ステップS1205)。空きリソースの確保が不可能であれば(ステップS1205:No)、ステップS1203に戻り、再度、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。空きリソースの確保が可能であれば(ステップS1205:Yes)、その空きリソースを確保し確保後の残無線リソースの有無を確認する(ステップS1206)。残無線リソースが無ければ(ステップS1206:No)、そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS1206:Yes)、次に相対保証型パケットのスケジュ−リング(ステップS1207)と無線リソース割り当て(ステップS1208)とを行う。
そして、さらに残無線リソースの有無を調べる(ステップS1209)。残無線リソースが有れば(ステップS1209:Yes)、ステップS1203に戻り、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1209:No)処理を終了する。
この実施の形態5によれば、緊急通報などの優先度の高い定量保証型パケットの要求が発生したときに備えて、定量保証型の無線リソースをその時点で受け付けている要求量(必要量)+α分だけ確保するので、定量保証型パケットの中でも優先度の高いパケットに対して確実に無線リソースを確保することができる。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。本実施の形態6では、新規の定量保証型パケット要求ユーザに適切に対応する方法が示されている。
図13において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1301)、その分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1302)。そして、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1303)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS1304)。
その後、予め決めてある空きリソースの確保が可能であるか否かを調べる(ステップS1305)。空きリソースの確保が不可能であれば(ステップS1305:No)、ステップS1303に戻り、再度、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。空きリソースの確保が可能であれば(ステップS1305:Yes)、空きリソースを確保して確保後の残無線リソースの有無を確認する(ステップS1306)。残無線リソースが無ければ(ステップS1306:No)、処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS1306:Yes)、相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS1307)と無線リソース割り当て(ステップS1308)とを行う。
そして、さらに残無線リソースの有無を調べる(ステップS1309)。残無線リソースが有れば(ステップS1309:Yes)、ステップS1301に戻り、新規ユーザのパケットを受け付けてパケットの分類など一連の動作を行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1309:No)、処理を終了する。なお、空きリソースの確保処理(ステップS1305)は、本質的な処理ではなく、必要に応じて採用するとよい。
特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法では、定量保証レート内パケット→相対保証レート内パケット→定量保証レート外パケットの順で無線リソース割り当てを行っているので、ユーザ数を増やすことできなかった。
これに対して、本実施の形態6では、以上のように、無線リソースに余裕があるときには、新規の定量保証型パケット要求ユーザに割り当てることができる。したがって、音声通話に優先的に無線リソースを割り当てることができ、音声通話が可能なユーザ数を増加することができる。
(実施の形態7)
図14〜図16は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。図14と図15は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。図16は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。
図14と図15は、コアネットワーク103から11個の定量保証型パケットが連続して送られてきた場合のバッファ118の格納状態(割り当て状態)を示している。ここで、定量保証型パケット1と定量保証型パケット2は音声通話パケットであり、定量保証型パケット3は音声通話以外の例えばストリーミングパケットであり、定量保証型パケット4〜定量保証型パケット11は音声通話パケットであるとする。
この場合、単にパケットの到着順序のみを考慮して無線リソースの割り当てを行うとすると、コアネットワーク103から送られてきたパケットを到着順にバッファ118に格納することになるので、図14に示すように、バッファ118には、僅かの空きバッファ1401を残して定量保証型パケット1〜定量保証型パケット9までが順に格納される。つまり、先着9人のユーザに無線リソースを割り当てることになり、音声通話を希望する2人のユーザには無線リソースを割り当てることができない。
これでは災害発生時など音声通話が必要になる外部状況に対応できない。そこで、定量保証型パケットに関しても優先順位付けを行い、音声通話を希望するユーザの人数が増やせるようにする。上記の例で言えば、定量保証型パケット1〜2、4〜11を定量保証型パケット3よりも優先する。その結果、図15に示すように、バッファ118には、僅かの空きバッファ1501を残して定量保証型パケット1〜2、4〜11までを順に格納することができ、音声通話を希望する10人のユーザ全員に無線リソースを割り当てることができる。以下、図16を参照して説明する。
図16において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1601)、その分類された定量保証型パケットについて優先順位付けを行う(ステップS1602)。その後、分類された定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1603)。そして、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1604)、定量保証型パケットへのリソース割り当てを行う(ステップS1605)。
次いで、残無線リソースの有無を確認する(S1606)。残無線リソースが無ければ(ステップS1606:No)そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS1606:Yes)、相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS1607)と無線リソース割り当て(ステップS1608)とを行う。
その後、さらに残無線リソースの有無を確認する(ステップS1609)。残無線リソースが有れば(ステップS1609:Yes)、ステップS1602に戻り、再度、定量保証型パケットの優先順位を行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1609:No)処理を終了する。
この実施の形態7によれば、定量保証型パケットに関しても、音声通話か動画かストリーミングかの内容によって重み付けを行った無線リソース割り当てを行うことができるので、音声通話に優先的に無線リソースを割り当てることができる。したがって、音声通話が可能なユーザ数を増加することができ、災害発生時など音声通話が必要になる外部状況に適切に対応することができるようになる。
(実施の形態8)
図17〜図19は、本発明の実施の形態8に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。本実施の形態8では、新規の定量保証型パケットをバッファ118に格納して無線リソースを割り当てる方法について説明する。
図17に示すように、バッファ118として、通常使用しているバッファ1701に対する予備バッファ1702を用意する。通常使用バッファ1701は、定量保証型パケット1703用のバッファと相対保証型パケット1704用のバッファとに分かれている。
コアネットワーク103から新規の定量保証型パケットが到着した場合、図18に示すように、通常使用バッファ1701から相対保証型パケット1704を一旦予備バッファ1702に移し替え、通常使用バッファ1701内に空きバッファ1801を形成する。
そして、図19に示すように、通常使用バッファ1701内に形成した空きバッファ1801に、コアネットワーク103から到着した新規の定量保証型パケット1901を格納する。したがって、空きバッファ1801は、新規の定量保証型パケット1901分を引いた残りの空きバッファ1902となる。
この実施の形態8によれば、通常使用バッファに対する予備バッファを用意しておき、新規の定量保証型パケットが到着したとき、通常使用しているバッファ内に存在している相対保証型パケットを予備バッファに一時的に移動させて、空いている無線リソースに新規に受け付けしたユーザの定量保証型パケットを割り当てるようにしたので、110番などの緊急通報時に対応できるようになる。これによって、定量保証型パケットの中でも優先度の高いパケットに対して確実にリソースを確保することができる。
(実施の形態9)
図20は、本発明の実施の形態9に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。本実施の形態9では、図20に示すように、要求比率判断部123,513が判断した比率に基づいて、無線リソースまたはバッファ118または通常使用バッファ1701または予備バッファ1702を、定量保証型パケット2001用と相対保証型パケット2002用とに配分するようにしている。
なお、この場合、バッファ118または通常使用バッファ1701または予備バッファ1702では、オーバーフローした場合には、それ以上のパケット受付を行わないことにしている。
この実施の形態9によれば、無線リソースまたはバッファまたは予備バッファの管理が容易になる。特に、定量保証型パケット及び相対保証型パケットが無線基地局に集中して無線リソースをオーバーした場合は、定量保証型パケット及び相対保証型パケットに対して平等に通信機会を割り当てることが可能となる。
本明細書は、2005年2月16日出願の特願2005−039261に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る無線基地局、制御装置及び無線通信システムは、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行い、定量保証型パケット通信を要望する新規ユーザに適切に対応できるようにし、定量保証型ユーザをできるだけ増やしたいときに、無線リソース、バッファ割り当てを最適に制御するのに有用である。
本発明は、マルチメディアサービスを実現する無線基地局、制御装置及び無線通信方法に関する。
近年、無線通信システムにおけるマルチメディアサービスの実現が要求されてきているので、今後は、アプリケーション毎に異なるサービス品質(Quality of Service、以下「QoS」という)を意識した制御が必要不可欠と考えられる。このQoSで規定されるトラヒック特性やネットワークに対する要求条件等は、アプリケーションの種類によって異なる。そのため、移動局が利用するアプリケーション毎のQoSに対する要求を満足させるために、QoSを意識したネットワークの構築、制御技術が必須と考えられる。
また、今後のネットワーク形態は、送信側と受信側との間に介在する全ての経路上のプロトコルがIP(Internet Protocol)に統一化されると考えられる。そのため、従来では独自のネットワークを構築していた無線通信システムも、今後はIPをベースにしたものに変換されていく可能性が高い。IPを用いたシステムでは、パケット通信を基本としている。
以上のことから、無線通信システムにおいても、パケット通信におけるQoSに関する制御を取り入れていく必要がある。このとき、無線通信システムでは、伝搬路環境の変動や他の信号による干渉等の影響を受け、移動局における受信品質が絶えず変化する。そのため、有線の通信システムとは異なる特別の配慮が必要となる。このような背景を受けて無線通信システムにおけるQoSに関する様々な制御技術が提案されている。同時に、QoSを要求しない移動局のために、移動局間の公平性を考慮して送信順序を決定するスケジューリングを行う方法等も提案されている。
例えば、特許文献1では、無線通信システム内に様々なサービスレベルの移動局が混在する場合に、パケットの送信を適切に制御する目的で、パケットを、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと要求値を持たない相対保証型パケットとに分類し、分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケット毎にパケットの送信順序を制御する。そして、定量保証型パケットの要求値を満足させるように無線リソースを割り当てる方法が提案されている。
特開2004−140604号公報
しかし、特許文献1が開示する技術では、セル内の個々のユーザの無線状況を考慮したスケジューリングが行えるのみで、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングはできない。
また、特許文献1が開示する技術では、定量保証レート内パケット→相対保証レート内パケット→定量保証レート外パケットの順で無線リソース割り当てを行っているので、相対保証レート内パケットを伝送しているときに、新規のユーザから定量保証レートのパケットを受けても無線リソースがこの新規ユーザにはすぐに割り当てられない。そのため、定量保証型パケット通信を要望するユーザに適切に対応することができない。
さらに、特許文献1が開示する技術では、バッファに定量保証型パケットと相対保証型パケットが存在していて空きがないときに、新規ユーザから定量保証型パケットが送られてきた場合には当該新規定量保証型パケットが破棄されてしまい、結果として、新規の定量保証よりも相対保証が優先されてしまうことになる。つまり、定量保証型ユーザをできるだけ増やしたいときに、無線リソース、バッファ割り当てが最適に制御できない。
本発明の目的は、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行うことができる無線基地局、制御装置及び無線通信方法を提供することである。
本発明に係る無線基地局は、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとにパケットを分類するパケット分類手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断手段と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断手段と、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブルと、前記比率判断手段にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断手段にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、前記スケジューリングテーブルから該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択手段にて選択されたスケジューリングに基づき行うスケジューリング処理手段と、前記スケジューリング処理手段にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て手段とを具備する構成を採る。
本発明に係る制御装置は、複数の移動局とパケットを送受信する無線基地局を制御する制御装置であって、前記パケットを通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとに分類するパケット分類手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断手段と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断手段と、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブルと、前記比率判断手段にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断手段にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、前記スケジューリングテーブルから該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択手段と、前記パケット分類手段にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択手段にて選択されたスケジューリングに基づき行うスケジューリング処理手段と、前記スケジューリング処理手段にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て手段と、を具備する構成を採る。
本発明に係る無線通信方法は、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットと前記要求値を持たない相対保証型パケットとにパケットを分類するパケット分類工程と、前記パケット分類工程にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの比率及び要求パケット総量を判断する比率判断工程と、公衆ネットワークから取得した外部情報に基づきセル内の環境を判断するセル内環境判断工程と、前記比率判断工程にて判断された比率及び要求パケット総量と前記セル内環境判断工程にて判断されたセル内の外部状況とに基づき、各種のスケジューリングパターンが予め設定されるスケジューリングテーブ
ルから、該当するスケジューリングパターンを取り出すスケジューリングパターン選択工程と、前記パケット分類工程にて分類された定量保証型パケットと相対保証型パケットとの送信順序のスケジューリングをスケジューリングパターン選択工程にて選択されたスケジューリングに基づき行う送信順序制御工程と、前記送信順序制御工程にてスケジューリングされた定量保証型パケットと相対保証型パケットとに無線リソースの割り当てを行う無線リソース割り当て工程と、を具備する方法を採る。
本発明によれば、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行うことができる無線基地局、制御装置及び無線通信方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示す無線通信システムは、無線基地局101と、無線基地局101のセルにおいて無線接続される複数の移動局102と、無線基地局101が有線接続されるコアネットワーク103及び公衆ネットワーク104とを備えている。
無線基地局101は、アンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部115と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118と、スケジューリング決定部119とを備える。
スケジューリング決定部119は、情報処理部121と、セル内環境判断部122と、要求比率判断部123と、スケジューリングパターン選択部124と、スケジューリングテーブル125とを備えている。スケジューリングテーブル125は、各種のスケジューリングパターンが予め設定されている。この設定は、設計段階において設定してもよいし、無線基地局101から無線通信により入手してもよい。
送信部112は、アンテナ111を介してセル内の移動局にパケットを送信する。送信部112は、コアネットワーク103から移動局宛てのパケットが無線基地局101に到着すると、該当する移動局にパケットが到着したことを通知する。送信部112は、無線リソース割り当て処理部115から入力される無線リソースを割り当てられたパケットを該当する移動局に送信する。
受信部113は、アンテナ111を介してセル内の移動局からのパケットを受信する。セル内の移動局は、無線基地局101から自移動局宛のパケットが到着したことの通知を受けると、通信品質に関する情報やパケットの送信順序を決定する際に無線基地局101が利用するスケジューリング情報等の制御情報を無線基地局101に送信する。受信部113は、移動局102から受信した制御情報をスケジューリング処理部116やパケット分類部117に与える。受信部113は、移動局102から新規の接続要求を受信すると、その受信した接続要求を受付制御部114に与える。受付制御部114は、応答を作成して送信部112に与え、移動局102に送信させる。
バッファ118は、移動局に送信するパケットを保持する複数の送信バッファで構成される。ここでは、通信品質に関する要求値を持つ定量保証型パケットを保持する1番からn番までの定量保証型用の送信バッファと、通信品質に関する要求値を持たない相対保証型パケットを保持するn+1番〜N番までの相対保証型用の送信バッファとで構成されるとする。
パケット分類部117は、コアネットワーク103から移動局宛のパケットが無線基地局101に到着すると、その到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し、それをバッファ118の該当する送信バッファに保持させ、また、スケジューリング処理部116と要求比率判断部123とに与える。
スケジューリング処理部116は、スケジューリングパターン選択部124が選択したスケジューリングパターンを用いて、バッファ118に保持されている分類後のパケットについて、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケット毎に送信順序を制御する。このとき、スケジューリング処理部116は、無線リソース割り当て処理部115から通知を受ける残無線リソース量に基づいて、無線リソースが残っている場合に次のパケットについてのスケジューリングを行う。
無線リソース割り当て処理部115は、スケジューリング処理部116が制御したパケットの送信順序に従って、そのパケットに無線リソースを割り当てる。また、無線リソース割り当て処理部115は、バッファ118からパケットを取り出して、無線リソースを割り当てる。無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースを使い切ってしまった場合には、無線リソースが残っていないことをスケジューリング処理部116に通知する。そして、無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースを割り当てたパケットを送信部112に与える。なお、無線リソース割り当て処理部115は、無線リソースとして、例えば、周波数帯域、送信電力、タイムスロット等を割り当てる。
一方、スケジューリング決定部119では、情報処理部121が、インターネットなどの公衆ネットワーク104から外部状況(例えば災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況など)を入手して把握し、その把握した外部状況をセル内環境判断部122に与える。
セル内環境判断部122は、情報処理部121からの情報に基づきセル内の外部環境がどのレベルにあるかを判断し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。判断内容としては、例えば、“災害状報の有無とそのレベル”“交通障害の有無とそのレベル”“通信障害の有無とそのレベル”“その他の障害の有無とそのレベル”である。
要求比率判断部123は、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットのパケット量の比率と要求パケット総量とを判断し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。
スケジューリングパターン選択部124は、要求比率判断部123から入力する定量保証型パケット及び相対保証型パケットの比率及び要求パケット総量と、セル内環境判断部122から入力するセル内の外部環境とに基づき、スケジューリングテーブル125に設定してある複数のスケジューリングパターン(スケジューリングパターン1〜スケジューリングパターンN)のうちどれを使用するかを判断し、選択したスケジューリングパターンをスケジューリング処理部116に与える。
以上は、無線基地局101からセル内の移動局にパケットを送信する下り回線系での各要素の動作概要である。この明細書ではこの下り回線系での動作を取り上げて説明する。しかし、受信部113は、移動局から受信したパケットをパケット分類部117に与え、また、移動局から受信したパケットをコアネットワーク103に送出することからも理解できるように、セル内の移動局から無線基地局101にパケットを送信する上り回線系においても、同様の動作が行われることは言うまでもない。
次に、図1〜図3を参照して、以上のように構成される無線基地局101の動作について説明する。図2は、図1に示す無線基地局101がコアネットワーク103から到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャートである。図3は、図1に示す無線基地局101がコアネットワーク103から到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作を説明するフローチャートである。
図2において、コアネットワーク103から無線基地局101に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類する(ステップS201)。次いで、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットの到着パケット比率及びパケット要求量を算出する(ステップS202)。比率算出処理(ステップS202)と並行して、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS203)。
また、到着パケットの分類処理(ステップS201)と並行して、セル内の状況把握を行う(ステップS204)。そして、把握したセル内状況と到着パケットの種類及び比率とに基づき到着パケット(分類した定量保証型パケット、相対保証型パケット)に対する最適なスケジューリングパターンをスケジューリングテーブル125から選択する(ステップS205)。次いで、選択したスケジューリングパターンに基づいて到着パケットのスケジューリングを行い(ステップS206)、当該パケット(図2では相対保証型パケットを示す)への無線リソース割り当てを行う(ステップS207)。その後、残無線リソースの有無を確認し(ステップS208)、残無線リソースが有れば(ステップS208:Yes)、ステップS206に戻って再度パケットのスケジュ-リングを行い、残無線リソースが無ければ(ステップS208:No)、処理を終了する。
次に、定量保証型パケットを優先する場合について説明する。この場合には、図3に示すように、図2に示したステップS206〜ステップS208の処理に代わって、ステップS301〜ステップS306の処理が行われる。
図3において、選択したスケジューリングパターン(ステップS205)に基づき、まず、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS301)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS302)。そして、残無線リソースの有無を確認し(ステップS303)、残無線リソースが無ければ(ステップS303:No)そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS303:Yes)、次に相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS304)を行い、その相対保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS305)。そして、再度、残無線リソースの有無を確認し(ステップS306)、残無線リソースが無ければ(ステップS306:No)処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS306:Yes)、ステップS301に戻って再度定量保証型パケットのスケジューリングを行う。
このように、本実施の形態1によれば、どのようなスケジューリングを行うかが指定されているスケジューリングテーブルを有し、外部情報(災害状況、交通状況、気象情報、イベント情報など)と要求パケット比率とを元に使用するスケジューリング方法を時間的に動的に変化させることができるので、セル内におけるその時その時の状況に応じて最適なスケジューリングを行うことができ、また定量保証型パケットの優先制御も外部情報に応じて適切に行うことができる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図4では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
図4に示すように、本実施の形態2に係る無線通信システムは、図1(実施の形態1)に示した無線基地局101を、RNC(Radio Network Controller:無線ネットワークコントローラ)401と無線基地局402とに分け、双方をコアネットワーク103に並列に接続し、また公衆ネットワーク104は、コアネットワーク103に接続されている。
RNC401は、図1(実施の形態1)に示したスケジューリング決定部119を備えている。また、無線基地局402は、図1(実施の形態1)に示したアンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部1
15と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118とを備えている。
このように構成しても、実施の形態1にて説明した動作(図2、図3)が同様に行われるので、実施の形態1と同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図5では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
図5に示すように、本実施の形態3に係る無線通信システムは、無線基地局501と、無線基地局501のセルにおいて無線接続される複数の移動局102と、無線基地局501が有線接続されるコアネットワーク103とを備えている。
無線基地局501は、図1(実施の形態1)に示した無線基地局101におけるスケジューリング決定部119に代えて、スケジューリング決定部510が設けられている。スケジューリング決定部510は、図1(実施の形態1)に示したスケジューリング決定部119において、情報処理部121、セル内環境判断部122及び要求比率判断部123に代えて、タイマー部511、データベース部512、要求比率判断部513及び比較検討部514が設けられている。
要求比率判断部513は、図1(実施の形態1)に示した要求比率判断部123と同様に、パケット分類部117が分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットのパケット量の比率とパケット要求量とを判断する。判断結果は、タイマー部511とデータベース部512と比較検討部514とに出力される。
タイマー部511は、要求比率判断部513が判断した時点の時刻を計時し、それをデータベース部512と比較検討部514とに出力する。
データベース部512は、要求比率判断部513が判断した比率及びパケット要求量とを保存するとともに、タイマー部511にて把握した時刻を用いて、比率及びパケット要求量の週平均値や月平均値などの平均値を生成して保存する。
比較検討部514は、データベース部512が保存する過去の履歴と、タイマー部511が計時したパケット到着時点での要求比率判断部513が判断したパケット要求量及び到着したパケットにおける定量保証型パケットと相対保証型パケットの要求比率とを比較して変化状況を把握し、それをスケジューリングパターン選択部124に与える。比較検討部514では、パケットが増す方向への一定時間以内に、一定値以上変化があった場合には、何かイベントなり災害なりが発生したと判断するようになっている。
次に、図5と図6を参照して、以上のように構成される無線基地局501の動作について説明する。図6は、図5に示す無線基地局501がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャートである。
図6において、コアネットワーク103から無線基地局501に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットに分類する(ステップS201)。次いで、分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットの到着パケット比率及び要求量を算出し、データベース部512に保存する(ステップS601)。比率算出保存処理(ステップS
601)と並行して、定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS203)。
また、到着パケットの分類処理(ステップS201)と並行して、現時刻の把握(ステップS602)を行う。そして、現時刻での到着パケット数、種類とデータ履歴との比較を行い、一定値以上の変化有無などを判断する(ステップS603)。その判断結果と到着パケット数、種類とデータ履歴とに基づき到着パケット(分類した定量保証型パケット、相対保証型パケット)に対する最適なスケジューリングパターンをスケジューリングテーブル125から選択する(ステップS205)。
次いで、選択したスケジューリングパターンに基づいて到着パケットのスケジューリングを行い(ステップS206)、当該パケット(図6では定量保証型パケットを示す)への無線リソース割り当てを行う(ステップS207)。その後、残無線リソースの有無を確認し(ステップS208)、残無線リソースが有れば(ステップS208:Yes)、ステップS206に戻り再度パケットのスケジュ-リングを行い、残無線リソースが無ければ(ステップS208:No)、処理を終了する。
なお、図5に示す無線基地局501は、コアネットワークから到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作も、図3に示した手順(ステップS301〜ステップS306)と同様の手順で実施することができる。
このように、本実施の形態3によれば、移動局と無線基地局との同期有無とは無関係に時刻と要求定量保証型パケットと要求相対保証型パケットとの比率、要求パケット総量を把握しておき、また、週平均、月平均値などを保持しておき、それと現時刻での要求定量保証型パケットと要求相対保証型パケットとの比率、要求パケット総量とを比較し、パケットが増す方向への一定時間以内に、一定値以上変化があった場合には、何かイベントなり災害なりが発生したと判断してスケジューリング方法を変えることができる。
具体例としては、定量保証型パケットでもストリーミングや動画などの定量保証型パケットは受け付けないが、音声通話の定量保証型パケットは受け付けるなど状況に応じたスケジューリングを行うことができる。これによって、セル内におけるその時その時の状況に応じて最適なスケジューリングを行うことができる。
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。なお、図7では、図5(実施の形態3)に示した構成要素と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
図7に示すように、本実施の形態4に係る無線通信システムは、図5(実施の形態3)に示した無線基地局501を、RNC(Radio Network Controller:無線ネットワークコントローラ)701と無線基地局702とに分け、無線基地局702はRNC701を介してコアネットワーク103に接続される構成となっている。
RNC701は、図5(実施の形態3)に示したスケジューリング決定部510を備えている。また、無線基地局702は、図4(実施の形態2)に示した無線基地局402と同様に、アンテナ111と、送信部112と、受信部113と、受付制御部114と、無線リソース割り当て処理部115と、スケジューリング処理部116と、パケット分類部117と、バッファ118とを備えている。
このように構成しても、実施の形態3にて説明した動作(図6)が同様に行われるので実施の形態3と同様の効果が得られる。
ここで、以上説明した各実施の形態における無線基地局が備えるスケジューリング処理部116及び無線リソース割り当て制御部115の動作について、それを実施の形態と把握して以下に説明する。それらは、スケジューリングテーブル125におけるスケジューリングパターンの内容に対応するものである。
(実施の形態5)
図8〜図12は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。図8と図9は、従来例である特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法を説明する図である。図10と図11は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。図12は、本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。
特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法では、コアネットワーク103から到着した定量保証型パケットN(N=1以上の自然数)、相対保証型パケットNが同時にパケット分類部117に到着した場合、図8に示すように、全リソース801において、定量保証型パケットと相対保証型パケットに交互に無線リソースが割り当てられ、若干の空きリソース802が残る。そして、定量保証型パケットと相対保証型パケットとで無線リソースを使いきってしまう場合は、例えば図9に示すように、空きリソース802が無くなる。
これに対して、本実施の形態5では、図10に示すように、定量保証型パケットと相対保証型パケットにリソースを割り当てた後に、空きリソース1001の他に、予め設定した量の空きリソース1002を確保することとする。これを確保できない場合は、新規の定量保証型パケット、相対保証型パケットには無線リソースは割り当てないこととする。
また、本実施の形態5では、図11に示すように、予め設定した量の空きリソース1101を確保し、それを挟んで両側に存在する無線リソースを、定量保証型パケット用1102と相対保証型パケット用1103とに予め分類しておく。
このようにすれば、定量保証型パケットを優先した上で、緊急通報などの優先度の高い定量保証型パケットにも無線リソースを確保することができる。以下、図12を参照して説明する。
図12において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1201)、その分類した定量保証型パケット及び相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1202)。そして、まず、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1203)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS1204)。
そして、予め決めてある空きリソースの確保が可能であるか否かを調べる(ステップS1205)。空きリソースの確保が不可能であれば(ステップS1205:No)、ステップS1203に戻り、再度、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。空きリソースの確保が可能であれば(ステップS1205:Yes)、その空きリソースを確保し確保後の残無線リソースの有無を確認する(ステップS1206)。残無線リソースが無ければ(ステップS1206:No)、そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有
れば(ステップS1206:Yes)、次に相対保証型パケットのスケジュ-リング(ステップS1207)と無線リソース割り当て(ステップS1208)とを行う。
そして、さらに残無線リソースの有無を調べる(ステップS1209)。残無線リソースが有れば(ステップS1209:Yes)、ステップS1203に戻り、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1209:No)処理を終了する。
この実施の形態5によれば、緊急通報などの優先度の高い定量保証型パケットの要求が発生したときに備えて、定量保証型の無線リソースをその時点で受け付けている要求量(必要量)+α分だけ確保するので、定量保証型パケットの中でも優先度の高いパケットに対して確実に無線リソースを確保することができる。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。本実施の形態6では、新規の定量保証型パケット要求ユーザに適切に対応する方法が示されている。
図13において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1301)、その分類した定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1302)。そして、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1303)、定量保証型パケットへの無線リソース割り当てを行う(ステップS1304)。
その後、予め決めてある空きリソースの確保が可能であるか否かを調べる(ステップS1305)。空きリソースの確保が不可能であれば(ステップS1305:No)、ステップS1303に戻り、再度、定量保証型パケットのスケジューリングを行う。空きリソースの確保が可能であれば(ステップS1305:Yes)、空きリソースを確保して確保後の残無線リソースの有無を確認する(ステップS1306)。残無線リソースが無ければ(ステップS1306:No)、処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS1306:Yes)、相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS1307)と無線リソース割り当て(ステップS1308)とを行う。
そして、さらに残無線リソースの有無を調べる(ステップS1309)。残無線リソースが有れば(ステップS1309:Yes)、ステップS1301に戻り、新規ユーザのパケットを受け付けてパケットの分類など一連の動作を行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1309:No)、処理を終了する。なお、空きリソースの確保処理(ステップS1305)は、本質的な処理ではなく、必要に応じて採用するとよい。
特許文献1に開示される無線リソース割り当て方法では、定量保証レート内パケット→相対保証レート内パケット→定量保証レート外パケットの順で無線リソース割り当てを行っているので、ユーザ数を増やすことできなかった。
これに対して、本実施の形態6では、以上のように、無線リソースに余裕があるときには、新規の定量保証型パケット要求ユーザに割り当てることができる。したがって、音声通話に優先的に無線リソースを割り当てることができ、音声通話が可能なユーザ数を増加することができる。
(実施の形態7)
図14〜図16は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理
及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。図14と図15は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。図16は、本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャートである。
図14と図15は、コアネットワーク103から11個の定量保証型パケットが連続して送られてきた場合のバッファ118の格納状態(割り当て状態)を示している。ここで、定量保証型パケット1と定量保証型パケット2は音声通話パケットであり、定量保証型パケット3は音声通話以外の例えばストリーミングパケットであり、定量保証型パケット4〜定量保証型パケット11は音声通話パケットであるとする。
この場合、単にパケットの到着順序のみを考慮して無線リソースの割り当てを行うとすると、コアネットワーク103から送られてきたパケットを到着順にバッファ118に格納することになるので、図14に示すように、バッファ118には、僅かの空きバッファ1401を残して定量保証型パケット1〜定量保証型パケット9までが順に格納される。つまり、先着9人のユーザに無線リソースを割り当てることになり、音声通話を希望する2人のユーザには無線リソースを割り当てることができない。
これでは災害発生時など音声通話が必要になる外部状況に対応できない。そこで、定量保証型パケットに関しても優先順位付けを行い、音声通話を希望するユーザの人数が増やせるようにする。上記の例で言えば、定量保証型パケット1〜2、4〜11を定量保証型パケット3よりも優先する。その結果、図15に示すように、バッファ118には、僅かの空きバッファ1501を残して定量保証型パケット1〜2、4〜11までを順に格納することができ、音声通話を希望する10人のユーザ全員に無線リソースを割り当てることができる。以下、図16を参照して説明する。
図16において、コアネットワーク103から無線基地局に到着したパケットを定量保証型パケットと相対保証型パケットとに分類し(ステップS1601)、その分類された定量保証型パケットについて優先順位付けを行う(ステップS1602)。その後、分類された定量保証型パケット、相対保証型パケットをそれぞれバッファ118に挿入する(ステップS1603)。そして、定量保証型パケットのスケジューリングを行い(ステップS1604)、定量保証型パケットへのリソース割り当てを行う(ステップS1605)。
次いで、残無線リソースの有無を確認する(S1606)。残無線リソースが無ければ(ステップS1606:No)そのまま処理を終了するが、残無線リソースが有れば(ステップS1606:Yes)、相対保証型パケットのスケジューリング(ステップS1607)と無線リソース割り当て(ステップS1608)とを行う。
その後、さらに残無線リソースの有無を確認する(ステップS1609)。残無線リソースが有れば(ステップS1609:Yes)、ステップS1602に戻り、再度、定量保証型パケットの優先順位を行う。残無線リソースが無ければ(ステップS1609:No)処理を終了する。
この実施の形態7によれば、定量保証型パケットに関しても、音声通話か動画かストリーミングかの内容によって重み付けを行った無線リソース割り当てを行うことができるので、音声通話に優先的に無線リソースを割り当てることができる。したがって、音声通話が可能なユーザ数を増加することができ、災害発生時など音声通話が必要になる外部状況に適切に対応することができるようになる。
(実施の形態8)
図17〜図19は、本発明の実施の形態8に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明する図である。本実施の形態8では、新規の定量保証型パケットをバッファ118に格納して無線リソースを割り当てる方法について説明する。
図17に示すように、バッファ118として、通常使用しているバッファ1701に対する予備バッファ1702を用意する。通常使用バッファ1701は、定量保証型パケット1703用のバッファと相対保証型パケット1704用のバッファとに分かれている。
コアネットワーク103から新規の定量保証型パケットが到着した場合、図18に示すように、通常使用バッファ1701から相対保証型パケット1704を一旦予備バッファ1702に移し替え、通常使用バッファ1701内に空きバッファ1801を形成する。
そして、図19に示すように、通常使用バッファ1701内に形成した空きバッファ1801に、コアネットワーク103から到着した新規の定量保証型パケット1901を格納する。したがって、空きバッファ1801は、新規の定量保証型パケット1901分を引いた残りの空きバッファ1902となる。
この実施の形態8によれば、通常使用バッファに対する予備バッファを用意しておき、新規の定量保証型パケットが到着したとき、通常使用しているバッファ内に存在している相対保証型パケットを予備バッファに一時的に移動させて、空いている無線リソースに新規に受け付けしたユーザの定量保証型パケットを割り当てるようにしたので、110番などの緊急通報時に対応できるようになる。これによって、定量保証型パケットの中でも優先度の高いパケットに対して確実にリソースを確保することができる。
(実施の形態9)
図20は、本発明の実施の形態9に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図である。本実施の形態9では、図20に示すように、要求比率判断部123,513が判断した比率に基づいて、無線リソースまたはバッファ118または通常使用バッファ1701または予備バッファ1702を、定量保証型パケット2001用と相対保証型パケット2002用とに配分するようにしている。
なお、この場合、バッファ118または通常使用バッファ1701または予備バッファ1702では、オーバーフローした場合には、それ以上のパケット受付を行わないことにしている。
この実施の形態9によれば、無線リソースまたはバッファまたは予備バッファの管理が容易になる。特に、定量保証型パケット及び相対保証型パケットが無線基地局に集中して無線リソースをオーバーした場合は、定量保証型パケット及び相対保証型パケットに対して平等に通信機会を割り当てることが可能となる。
本明細書は、2005年2月16日出願の特願2005−039261に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る無線基地局、制御装置及び無線通信システムは、セル内の災害状況、イベント情報、交通状況、気象状況などの外部状況に対応したスケジューリングを行い、定量保証型パケット通信を要望する新規ユーザに適切に対応できるようにし、定量保証型ユーザをできるだけ増やしたいときに、無線リソース、バッファ割り当てを最適に制御するの
に有用である。
本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
図1に示す無線基地局がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャート
図1に示す無線基地局がコアネットワークから到着した定量保証型パケットを優先してセル内に送信する場合の動作を説明するフローチャート
本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
図5に示す無線基地局がコアネットワークから到着したパケットをセル内に送信する場合の基本的な動作を説明するフローチャート
本発明の実施の形態4に係る無線通信システムの構成を示すブロック図
従来の無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
従来の無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態5に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態6に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態7に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態7に係る無線基地局でのスケジューリング処理及び無線リソース割り当て制御を説明するフローチャート
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その1)を説明する図
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その2)を説明する図
本発明の実施の形態8に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法(その3)を説明する図
本発明の実施の形態9に係る無線基地局での無線リソース割り当て方法を説明する図