以下、本発明に係る空気圧機器選定システム、空気圧機器選定方法、記録媒体及び空気圧機器選定プログラムの実施の形態例を図1〜図57を参照しつつ説明する。
まず、本実施の形態に係る空気圧機器選定システム10は、図1に示すように、プログラムの動作用並びにデータの転送用として使用されるメインメモリ12と、外部機器とのデータのやりとりを行う入出力ポート14と、プログラムの実行処理を行うCPU16とを有する。これらメインメモリ12、入出力ポート14及びCPU16は、システムバス18を通じて接続されている。
入出力ポート14には、CPU16からの指令に基づいてハードディスク20に対してアクセスを行うハードディスクドライブ(HDD)22と、ユーザによって操作される座標入力装置(例えばマウス)24と、ユーザによって入力操作されるキーボード26と、プログラムを通じて作成された画像やハードディスク20に記録された画像等を表示するディスプレイ28と、複数のデータベースDB1〜DB6が少なくとも接続されている。
また、複数のデータベースDB1〜DB6の内訳は、シリンダに関する情報が蓄積された第1のデータベースDB1と、電磁弁やサイレンサに関する情報が蓄積された第2のデータベースDB2と、駆動機器に関する情報が蓄積された第3のデータベースDB3と、管に関する情報が蓄積された第4のデータベースDB4と、継手に関する情報が蓄積された第5のデータベースDB5と、ショックアブソーバに関する情報が蓄積された第6のデータベースDB6である。
前記ハードディスク20には、OSやアプリケーションプログラム並びに各種データが記録されている。また、アプリケーションプログラムとしては、既存の文書作成プログラムや表計算プログラムのほか、本発明に係る空気圧機器の選定方法を実現する本実施の形態に係る空気圧機器選定プログラム50(図3参照)等がある。
本実施の形態に係る空気圧機器選定プログラム50は、起動されると、まず、図2に示すメニュー画面52を表示する。このメニュー画面52には、大項目として「シリンダ駆動システムの選定」、「ショックアブソーバの選定」及び「オプション」が表示されている。さらに、「シリンダ駆動システムの選定」には、中項目として、「機器選定」及び「特性計算」が表示され、「特性計算」には、小項目として、「標準回路」、「分岐合流回路」及び「マニホールド回路」が表示されている。
なお、「オプション」としては、シリンダ駆動システム機器選定とショックアブソーバ選定にある入力項目のドロップダウンリストに使用頻度の高い入力値を登録する「汎用マスタ」と、使用する単位規格を選択する「単位マスタ」とがある。
そして、この空気圧機器選定プログラム50は、図3に示すように、座標入力装置24等からの入力データに基づいてシリンダ駆動システムの選定処理を行う標準回路選定処理手段60と、座標入力装置24等を通じて入力された使用条件に基づいて前記シリンダ駆動システムの特性を計算する独立特性計算処理手段62と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、分岐合流回路64(図4参照)を選定し、選定された分岐合流回路64の特性を計算する分岐合流回路処理手段66と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、電磁弁マニホールド回路68(マニホールド回路68:図5参照)を選定し、選定されたマニホールド回路68の特性を計算するマニホールド回路処理手段70と、座標入力装置24等からの入力データ及び/又は標準回路選定処理手段60による選定結果に基づいてショックアブソーバの選定処理を行うショックアブソーバ選定処理手段72と、汎用マスタを実現するリスト登録処理手段74と、単位マスタを実現する単位系選択処理手段76とを有する。
標準回路選定処理手段60は、図2に示すメニュー画面52の各項目うち、「機器選定」における「標準回路」の項目が選択されることで起動され、入力された使用条件等に基づいて、最適、かつ、最小サイズのシリンダ、電磁弁、速度制御弁及びチューブ等の品番を自動的に選定する機能を有する。
独立特性計算処理手段62は、図2に示すメニュー画面52の各項目うち、「特性計算」における「標準回路」の項目が選択されることで起動され、座標入力装置24等からの入力データに基づいて設定された空気圧回路と、該空気圧回路に関連して任意に選定された機器と、座標入力装置24等を通じて入力された使用条件に基づいて前記シリンダ駆動システムの特性を計算する。
分岐合流回路処理手段66は、図2に示すメニュー画面52の各項目うち、「特性計算」における「分岐合流回路」の項目が選択されることで起動され、座標入力装置24等からの入力データに基づいて設定された複数の空気圧回路から構成される分岐合流回路64(図4参照)の選定と、該分岐合流回路64に関連して任意に選定された機器と、座標入力装置24等を通じて入力された動作条件に基づいて前記分岐合流回路64の特性を計算する。
分岐合流回路64は、図4に示すように、少なくとも1つのシリンダ78を有する空気圧回路80を少なくとも2以上具備し、かつ、1つの電磁弁82を有する構成となっている。図4の例では、3つの空気圧回路80A〜80Cがそれぞれシリンダ78A〜78Cを有し、第1の空気圧回路80Aの各配管84a及び84bにそれぞれ駆動制御機器85a及び85bが接続された例が示されている。また、この分岐合流回路64は、第1の空気圧回路80Aの一方の配管84aと第2の空気圧回路80Bの配管86と第3の空気圧回路80Cの一方の配管88aが第1の合流配管90aを介して電磁弁82に接続され、第1の空気圧回路80Aの他方の配管84bと第3の空気圧回路80Cの他方の配管88bが第2の合流配管90bを介して電磁弁82に接続されている。
マニホールド回路処理手段70は、図2に示すメニュー画面52の各項目うち、「特性計算」における「マニホールド回路」の項目が選択されることで起動され、座標入力装置24等からの入力データに基づいて設定された複数の空気圧回路(それぞれ電磁弁を有する)並びに1つのマニホールドとから構成されるマニホールド回路68(図5参照)の選定と、該マニホールド回路68に関連して任意に選定された機器と、座標入力装置24等を通じて入力された動作条件に基づいて前記マニホールド回路68の特性を計算する。
マニホールド回路68は、図5に示すように、少なくともシリンダ78と電磁弁82とを有する空気圧回路80を少なくとも2以上具備し、かつ、少なくとも1つのマニホールド92を有する。図5の例では、5つの空気圧回路80A〜80Eがそれぞれ電磁弁82A〜82Eを介して1つのマニホールド92に接続された例が示されている。
ショックアブソーバ選定処理手段72は、図2に示すメニュー画面52の各項目うち、「ショックアブソーバの選定」の項目が選択されることで起動され、入力された使用条件及び衝突条件によりショックアブソーバを最適に選定する機能を有する。直線衝突、回転衝突、シリンダ駆動、モータ駆動、自由落下等、多様な衝突パターンに対応することができるようになっている。
そして、標準回路選定処理手段60は、図6に示すように、座標入力装置24等からの入力データに基づいて空気圧回路80の構成を設定する回路設定処理手段100と、設定された空気圧回路80に関連する機器であって、かつ、座標入力装置24等を通じて入力された使用条件を満足する機器を各種データベースに登録された機器に関する情報に基づいて自動選定する機器選定処理手段102と、前記選定された機器のうち、座標入力装置24等を通じて選択された機器と前記設定された空気圧回路80に基づいてシリンダ駆動システムの特性を計算する特性計算処理手段104とを有する。
この標準回路選定処理手段60では、従来の合成有効断面積法による目安法の代わりに、管路を含む流体力学の基本方程式を連立させて解く、いわゆる動特性解析方法を導入し、スピードコントローラの取付位置による特性上の差異も正確に計算できるようになっている。
また、標準回路選定処理手段60は、計算された前記シリンダ駆動システムの特性に基づいて、シリンダが吸収すべきエネルギを計算する緩衝計算処理手段106と、計算された前記シリンダ駆動システムの特性と座標入力装置24等を通じて入力された湿度情報に基づいて、シリンダ駆動システムに発生する結露の確率を計算する結露計算処理手段108とを有する。
緩衝計算処理手段106は、シリンダ駆動システムの機器選定あるいは特性計算の結果から吸収エネルギを計算して、シリンダ78の緩衝能力を判定する機能を有し、ショックアブソーバ選定処理手段72への移行も可能となっており、最適なショックアブソーバの選定も行えるようになっている。また、シリンダ78の運動エネルギと推力エネルギの計算に動特性計算による終端速度と終端圧力(クッション付きシリンダの場合、クッションに突入するときの速度と圧力)が用いられるため、より正確な計算を実現することができる。
結露計算処理手段108は、シリンダ78と配管のサイズのみならず、供給空気の湿度、温度及び圧力も考慮に入れた結露判断基準を用いるようにしている。また、実験における結露現象の不確定さに基づき、結露確率を導入し、結露の可能性を予測するようにしている。具体的には、シリンダ駆動システムの機器選定あるいは特性計算の結果からシステムの水ミスト発生量及びシリンダ78の配管の体積比を計算し、結露の発生確率を予測するようになっている。
なお、この空気圧機器選定プログラム50は、典型的な複動シリンダ・メータアウト回路はもちろん、メータイン回路、メータインアウト回路、さらには単動シリンダ回路及び急速排気弁を使用した回路等にも適用可能である。
さらに、この空気圧機器選定プログラム50においては、電磁弁等の空気圧機器の流量特性の表示と計算式をISO6358による流量特性表示法に準拠させている。
すなわち、音速コンダクタンスと臨界圧力比の対によって、流量特性を表示するようになっている。ここで、音速コンダクタンスとは、チョーク流れ状態の機器の通過質量流量を、上流絶対圧力と標準状態の密度の積で割った値をいう。臨界圧力比とは、この値より小さいとチョーク流れになり、この値以上であると亜音速流れになる圧力比(下流圧力/上流圧力)をいう。
チョーク流れとは、上流圧力が下流圧力に対して高く、機器のある部分で速度が音速に達している流れをいう。気体の質量流量は上流圧力に比例し、下流圧力には依存しない。亜音速流れとは、臨界圧力比以上の流れをいう。標準状態とは、温度20℃、絶対圧力0.1MPa(=100kPa=1bar)、相対湿度65%の空気の状態をいう。なお、空気量の単位の後に略号(ANR)をつけて表記する。
また、標準回路選定処理手段60は、図7に示す機器選定入力画面110を表示する。この機器選定入力画面110は、設定過程にある回路構成を表示するための回路設定部112と、使用条件を入力するための条件設定部114とを有する。
回路設定部112は、選択されたシリンダのタイプに対応する回路図112aと、選択された駆動制御機器のタイプに対応する回路図112bと、選択された電磁弁のタイプに対応する回路図112cと、回路設定処理手段100(図6参照)を起動するための回路構成要求ボタン116とがそれぞれ表示されるようになっている。
条件設定部114は、3つの大項目、すなわち、全ストローク時間の項目114a、配管の項目114b及び負荷の項目114cに分かれており、全ストローク時間の項目114aには、ストローク、動作方向、全ストローク時間、供給圧力、周囲温度をそれぞれ入力するための入力欄が表示され、配管の項目114bには、全長(右、左)、スピードコントローラ配置(右、左)をそれぞれ入力するための入力欄が表示され、負荷の項目114cには、負荷質量、負荷力(要求推力)、取付角度、使用用途、負荷率、摩擦係数をそれぞれ入力するための入力欄が表示されるようになっている。
ここで、全ストローク時間とは、電磁弁を通電(非通電)してから、シリンダのピストン(ロッド)がストローク終端に到達するまでの時間をいう。負荷質量及び負荷力については、まず、シリンダに作用する負荷は慣性負荷、力負荷、弾性負荷、粘性負荷等、多種の形態があるが、この空気圧機器選定プログラム50では、シリンダ駆動システムにおいて使用される慣性負荷と力負荷について「負荷質量」と「負荷力」の入力項目で対応するようにしている。
ピストンの作動方向に作用する負荷力は、(a)負荷質量の重力分力、(b)摩擦力、及び(c)シリンダに作用するその他の外力の総和となる。この空気圧機器選定プログラム50では、負荷力は(a)及び(b)以外の力負荷、すなわち、(c)シリンダに作用するその他の外力で定義している。例えば、使用用途を搬送とした場合、負荷質量を動かすだけで、重力分力と摩擦力以外の力負荷はないため、負荷力は「0」とする。
使用用途をクランプや圧入力とした場合は、負荷質量を動かす以外に、クランプ時や圧入時に抵抗力が生じるため、クランプ力や圧入力を負荷力として入力する。
負荷率は、通常、静的作業ではシリンダ出力の安全率(余裕率)として、動的作業ではピストンの速度(加速度)を決定するパラメータとして用いるようにしている。例えば、静的作業では0.7以下、動的作業では、水平作動の場合は1以下、垂直作業の場合は0.5以下、高速作動の場合は負荷率をさらに下げることが推奨されている。
この空気圧機器選定プログラム50では、ピストンの速度の計算、判定、シリンダサイズの変更は自動的に行われるため、ユーザは負荷率のピストンの速度への影響を考慮する必要はなく、負荷率をシリンダ出力の安全率(余裕率)のみと考えればよいため、入力が簡単になる。
また、標準回路選定処理手段60は、図8に示す機器選定結果画面120を表示する。この機器選定結果画面120は、選定されたシリンダ駆動システムの動的挙動(グラフ表示)及び主要特性値が表示されるシステム特性表示部122と、設定された回路構成図が表示される回路構成表示部124と、入力された使用条件が表示される条件表示部126と、選定された各種機器の品番が表示される品番表示部127とを有する。システム特性表示部122におけるグラフ表示は、特性計算処理手段104にて得られた特性値に基づいて行うようにしている。
特性値の表示項目としては、全ストローク時間、ピストン始動時間、90%出力時間、平均速度、最大速度、終端速度、最大加速度、最高圧力、最大流量、1往復空気消費量、所要空気量である。
ここで、ピストン始動時間とは、電磁弁を通電(非通電)してから、シリンダのピストン(ロッド)が動き始めるまでの時間であり、正確な判定は、加速度曲線の立ち上がりで行うようにしている。
90%出力時間とは、電磁弁を通電(非通電)してから、シリンダ出力が理論出力の90%に到達するまでの時間をいう。
平均速度とは、「全ストローク時間」でストロークを割った値である。最大速度とは、ピストンの移動中におけるピストン速度の最大値である。終端速度とは、シリンダのピストン(ロッド)が、ストローク終端に到達するときのピストン速度である。調整式クッションを有するシリンダの場合は、クッション入口におけるピストン速度をいい、クッション能力の判定及び緩衝機構の選定に供される。最大加速度とは、ピストンの移動中におけるピストン加速度の最大値である。最高圧力とは、シリンダ内における空気の圧力の最大値をいう。
1往復空気消費量とは、シリンダを1往復作動させるときに要する空気量の標準状態への換算値であり、ボイル・シャールの法則により求められる。シリンダ自身の消費量及びシリンダと電磁弁を結ぶ配管の消費量を含む。複動シリンダの場合、押出し側と引込み側との両方の消費量の和となり、単動シリンダの場合、片方の消費量のみとなる。
装置全体の総空気消費量は、動作タイムチャートに従い、全シリンダについて積算して求める。この総空気消費量は、ランニングコストを把握するための重要な指標であると共に、適切な余裕率を考慮した上で、空気圧縮機の選定基準となる。
所要空気量とは、システムに対して所定時間に上流から供給すべき空気量をいう。所要空気量は動作方向により異なるため、大きな方を用いる。また、複数本のシリンダがある場合、同時に動作するもののうち、最大値を用いるようにしている。この所要空気量は、該当アクチュエータシステムの上流配管系(FRL、増圧弁等)の機種サイズを選定するための流量指標となる。
また、図8の機器選定結果画面120は、上述の表示部に加えて、複数の操作ボタンを模したアイコンを有する。これらアイコンは、緩衝計算を要求するための緩衝計算ボタン128と、結露計算を要求するための結露計算ボタン130と、機器選定、緩衝計算、結露計算の各結果と使用条件の印字を要求するための印刷ボタン132と、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行するための印刷入力コメントボタン134と、機器選定、緩衝計算、結露計算の各結果と使用条件の保存(ハードディスク又はCD−RやDVD−RAM等の光ディスク等への保存)を要求するための保存ボタン136と、独立の特性計算処理への移行を要求する特性計算ボタン138と、ショックアブソーバ選定処理手段72への移行を要求するショックアブソーバ選定ボタン140とがある。
そして、この標準回路選定処理手段60における前記回路設定処理手段100は、図7の機器選定入力画面110における回路構成要求ボタン116への選択操作に基づいて起動され、第1のデータベースDB1に登録されたシリンダ分類や第3のデータベースDB3に登録された駆動制御機器分類等の各種機器に関する情報(品番等)が回路構成図と共にリスト表示されるようになっている。
一方、機器選定処理手段102は、設定された空気圧回路に関連する機器であって、かつ、入力された使用条件を満足する機器をリスト形式で表示し、表示された機器リストのうち、選択された機器に対応する少なくとも外形画像と仕様説明を表示する。
緩衝計算処理手段106は、例えば図8の機器選定結果画面120における緩衝計算ボタン128への選択操作に基づいて起動され、図9に示すような緩衝計算画面230を表示する。この緩衝計算画面230は、左半分に、上述の機器選定結果画面120の左半分と同じ内容が表示され、右半分に、緩衝形式を選択するための第1の形式選択部232と、ワーク取付形式を選択するための第2の形式選択部234と、計算開始ボタン(アイコン)236と、計算結果(シリンダが吸収すべきエネルギと許容エネルギの各値と計算結果に対応したコメント文)が表示される結果表示部238とを有する。
結露計算処理手段108は、図8の機器選定結果画面120における結露計算ボタン130への選択操作に基づいて起動され、図10に示すような結露計算画面240を表示する。この結露計算画面240は、左半分に、上述の機器選定結果画面120の左半分と同じ内容が表示され、右半分に、空気湿度を選択するための湿度選択部242と、計算開始ボタン(アイコン)244と、計算結果(結露確率の値と計算結果に対応したコメント文)が表示される結果表示部246とを有する。
空気湿度の選択は、電磁弁に供給される空気の湿度を絶対湿度、相対湿度、大気圧露点又は圧力下露点のいずれかを選択することにより行われる。
ここで、結露現象、結露の発生メカニズム並びに結露の防止対策について説明する。
通常、シリンダ駆動システムの結露は、調質後の圧縮空気がシリンダの作動中に発生する結露(水分の凝縮)を指す。この結露としては現象的に内部結露と外部結露がある。内部結露は、空気自身の温度低下のために、空気中の水分が機器あるいは配管の内部に結露する現象であり、外部結露は、低温空気がそれに接触する機器を冷やし、機器の外表面に環境空気中の水分が結露する現象をいう。
結露の発生の根本的な原因は、空気の断熱変化による温度低下にあることが一般に知られているが、内部結露と外部結露、サイズの小さいシリンダの結露とサイズの大きいシリンダの結露等、種々の形態がある。
長い配管やサイズの小さいシリンダの場合は、空気交換が不十分であることにより、内部結露が発生しやすい。図11にその発生メカニズムを示す。一方、サイズが大きいシリンダで大負荷を駆動する場合やメータイン回路を使用する場合は、機器表面の低温化による結露が起こりやすい。図12にその発生メカニズムを示す。
そして、結露の防止対策としては、第1の手法として、ミストが発生しないようにすることである。これには、通常、供給空気の湿度を低くしたり、圧力を低くしたり、速度制御弁の有効断面積を小さく調整したりする方法がある。しかし、既存の除湿装置の能力及び使用条件の制限のため、対応しきれない場合が多い。
第2の手法としては、発生したミストが溜まらないようにすることである。空気交換が不十分による結露の場合は、配管法、急速排気弁法及びバイパス配管法がある。配管法は、シリンダと配管中の残存空気が供給される新しい空気と十分に混合し、残存空気を排出させるように、シリンダ容積に対して配管容積の割合を小さくする。一般には、以下の関係式
シリンダ内空気の大気圧換算体積×0.7≧配管内容積……(1)
を満足すればよい。つまり、図13の直線Aに示すように、容積比が1/0.7のポイントを境に、1/0.7よりも小さい領域は結露が発生し、1/0.7よりも大きい領域は結露が発生しないものと判断する。
この関係式では、結露発生に影響する要素として、供給圧力、シリンダと配管のサイズのみを考慮し、結露の前提としてミストが発生するかどうかは考慮していない。
そこで、本実施の形態では、結露発生に影響する要素として、供給圧力、シリンダと配管のサイズ以外、供給空気湿度、周囲温度によるミスト発生の有無及び発生の量も考慮にいれた以下の関係式に基づいて結露防止対策を施すようにしている。
シリンダ内空気の大気圧換算体積≧配管内容積×臨界ミスト発生量…(2)
すなわち、この手法は、安全係数を考えず、実験による結露不確定区域によって結露確率を導入している。
この場合、図13に示すように、容積比とミスト発生量との関係をプロットした特性曲線Bを境に、該特性曲線Bよりも小さい領域は結露が発生し、特性曲線Bよりも大きい領域は結露が発生しないものと判断する。これにより、結露の発生の判断をより正確に行うことができる。
急速排気弁法は、急速排気弁をシリンダの近くに設置して、シリンダ内の空気を大気に直接排出し、高湿度の空気が溜まらないようにする。装置レイアウトの都合上、どうしても配管法で対応できない場合は、この急速排気弁法による結露防止策を施すことが望ましい。
バイパス配管法は、チェック弁とバイパス管を使って、給気と排気を一方通行させることにより、空気の交換を十分に行うことにある。
なお、機器表面の低温化による結露は、空気の温度を急激に低下させないように、スピードコントローラを小さく絞ったり、作動頻度を落としたりすることが考えられる。この場合、メータイン回路をなるべく避けることが望ましい。
次に、標準回路選定処理手段60での処理動作について図14〜図21を参照しながら説明する。
まず、図14のステップS1において、初期化が行われる。この初期化は、メインメモリに対するワーキング領域の論理的割り付けや各種パラメータの設定、並びにディスプレイ28の画面上への機器選定入力画面110の表示等が挙げられる。
次に、ステップS2において、ユーザは、ディスプレイ28に表示されている機器選定入力画面110を見ながら、座標入力装置24及びキーボード26を操作して各種使用条件を入力する。なお、この使用条件の入力においては、上述したウィザード機能を使って行うようにしてもよい。この使用条件の入力においては、ストローク、全ストローク時間、動作方向(押出し、引込み)、供給圧力、周囲温度、負荷質量、負荷力(要求推力)、取付角度、使用目的(搬送、クランプ等)、負荷率、負荷摩擦係数、配管長が入力される。
そして、初期段階では、回路構成が設定されていないため、機器選定入力画面110の回路設定部112に回路図は表示されていない。使用条件の入力が終了した段階で、ステップS3において、回路設定処理手段100での処理に入る。この処理への移行は、回路構成要求ボタン116の選択操作や「次へ」のボタン119の選択操作によって行われる。
この回路設定処理手段100での処理は、まず、各データベースに登録されたシリンダ分類、電磁弁分類、駆動制御供給分類の情報を読み出す。
ユーザがシリンダ分類を選択した場合は、選択中のシリンダ分類に対応する回路図の情報を読み出す。選択中のシリンダ分類でOKであれば、機器選定処理手段102のシリンダ選定処理が行われる。
このシリンダ選定処理は、まず、選択されたシリンダ分類に含まれる1以上のシリンダのうち、使用条件を満足するシリンダを検索する。
この検索にあたっては、プログラムされたシリンダ内径の計算式、シリンダ座屈の計算式、シリンダ横荷重の計算式及び図16Cに示す基礎方程式をベースにして計算し、(a)負荷条件(選定されたシステムが、指定された空気圧アクチュエータ(シリンダ)の負荷質量・推力、使用目的及び供給空気圧力等の入力条件に応えて、十分に作動できる力学的条件を満たすこと)、(b)速度条件(選定されたシステムが、指定された全ストローク時間内に空気圧アクチュエータの出力部材(例えばシリンダのピストン)がストロークエンドに到達できること)、(c)強度条件(選定されたシステムが、指定された負荷条件を満たし、空気圧アクチュエータの座屈、変形、破壊等が起こらないものであること)、を満たす最小サイズのシリンダを第1のデータベースDB1から検索する。
ユーザによってシリンダが選択されれば、選択されたシリンダの画像(写真画像やコンピュータグラフィック等)、仕様説明、並びにシリンダの取付支持形式や負荷接続形式のシンボル図形が読み出される。なお、シリンダの取付支持形式や負荷接続形式がユーザによって選択され設定される。
選択されたシリンダが決定されれば、シリンダに対して合成音速コンダクタンスの目標値Coaを計算し(システムの応答時間は主にシリンダの流体通路上の機器の音速コンダクタンス及び臨界圧力比で決められる)、その値を一定のルールで振り分け、各機器のサイズを決める。これは、各機器の音速コンダクタンスをできるだけ最適値に近づけ、特性計算処理手段104における最適選定(図19のステップS202〜S206参照)における演算回数を少なくするためである。
前記合成音速コンダクタンスの目標値Coaは、指定されたシステムの応答時間に必要な(応答時間tがちょうど指定応答時間treqになるときの)流体通路のすべての絞りの音速コンダクタンスの合成値(図17B参照)である。
ここで、図17Aに示す音速コンダクタンスと臨界圧力比の合成式について説明する。この説明では、図17Aに示すように、空気圧機器が直列に接続されたシステムを想定した場合を主体に説明する。
個々の空気圧機器の音速コンダクタンスCiと臨界圧力比biをもとに、次のようにしてシステムとしての合成音速コンダクタンスCt及び臨界圧力比btを求める。
まず、図17Aの左から2つの機器1と2について、図17Aの(1)式で定義される無次元数αを求める。なお、α<1のとき、2つの機器1と2における圧力降下の和が通常の場合は、機器1の流れが音速となり、圧力降下の和が非常に大きくなった場合のみ、機器2の流れが音速となる。
そして、α>1のとき、機器2のみの流れが音速となり、α=1のとき、機器1と2の両方の流れが音速となる。
上記の無次元数αを用いて、機器1と2の合成音声コンダクタンスC1,2は図17Bの(2)式で表される。また、合成臨界圧力比b1,2は無次元数αに関係なく、図17Bの(3)式で表される。
次のステップでは、機器1と2の合成音速コンダクタンスC1,2及び合成臨界圧力比b1,2、機器3の音声コンダクタンスC3及び臨界圧力比b3を用いて上述の手順を繰り返し、機器1,2,3の合成音声コンダクタンスC1,2,3及び合成臨界圧力比b1,2,3を求める。これをn−1回繰り返すことによって、システムとしての合成音声コンダクタンスCt及び合成臨界圧力比btを求めることができる。
そして、合成音速コンダクタンスの目標値Coaの計算方法は図18のフローチャート(ステップS101〜S105)に示されている。
まず、ステップS101において、合成音速コンダクタンスの目標値Coaの初期値として、シリンダポートの音速コンダクタンスCcylを入力する。次に、ステップS102において、シミュレーションにより、Coaをシリンダポートの音速コンダクタンスとして応答時間tを計算する。
次に、ステップS103において、計算する応答時間tが指定応答時間treqの偏差eに入っているか否かについて判定し、偏差eに入っていると判定されたときは、ステップS105において目標値Coaが決定される。ステップS103で偏差eに入っていないと判定されたときは、ステップS104で目標値Coaを段階的に小さくしてステップS102に戻す。
合成音速コンダクタンスの目標値Coaが決まった段階で、図17Aの音速コンダクタンスと臨界圧力比の合成式(1)を用いて、合成音速コンダクタンスの目標値Coaをシリンダ以外の機器にも振り分け、シリンダ以外の機器のサイズを決める。この場合、合成音速コンダクタンスの目標値Coaを各機器に適切に振り分けるため、各機器に対して、図17Bに示すように、各機器に対応する重み付けの式(2)により重みを付与することとする。
一方、ユーザが電磁弁分類の選択を行った場合は、選択中の電磁弁分類に対応する回路図の情報を読み出す。選択中のシリンダ分類でOKであれば、機器選定処理手段102の電磁弁選定処理が行われる。
この電磁弁選定処理は、まず、選択された電磁弁分類に含まれる1以上の電磁弁のうち、使用条件を満足する電磁弁を検索する。この検索にあたっては、指定応答時間をtst、シリンダの音速コンダクタンスをCcylとしたとき、電磁弁の音速コンダクタンスCsolが以下の関係式を満たす最小の電磁弁を第2のデータベースDB2から検索する。
Csol>f1(tst,Ccyl)
なお、マニホールド及び排気処理機器(サイレンサ)は電磁弁に付属しているため、マニホールド及び排気処理機器の選出が必要なときは、電磁弁を検索し、さらにマニホールド及び排気処理機器を検索する。
ユーザによって電磁弁が選択されれば、選択された電磁弁の画像(写真画像やコンピュータグラフィック等)及び仕様説明が読み出される。
他方、ユーザが駆動制御機器分類の選択を行った場合は、選択中の駆動制御機器分類に対応する回路図の情報を読み出す。選択中の駆動制御機器分類でOKであれば、機器選定処理手段102の駆動制御機器選定処理が行われる。
この駆動制御機器選定処理では、選択された駆動制御機器分類に含まれる1以上の駆動制御機器のうち、使用条件を満足する駆動制御機器を検索する。
この検索にあたっては、指定応答時間をtst、シリンダの音速コンダクタンスをCcyl、電磁弁の音速コンダクタンスをCsolとしたとき、駆動制御機器の音速コンダクタンスCspiが以下の関係式を満たす最小の駆動制御機器を第3のデータベースDB3から検索する。
Cspi>f2(tst,Ccyl,Csol)
その後、機器選定処理手段102における配管選定処理が行われる。この配管選定処理は、まず、選択された駆動制御機器分類に含まれる1以上のチューブのうち、使用条件を満足するチューブを検索する。この検索にあたっては、指定応答時間をtst、シリンダの音速コンダクタンスをCcyl、電磁弁の音速コンダクタンスをSsol、駆動制御機器の音速コンダクタンスをCspiとしたとき、チューブの音速コンダクタンスCtubが以下の関係式を満たす最小のチューブを第4のデータベースDB4から検索する。
Ctub>f3(tst,Ccyl,Csol,Cspi)
さらに、ユーザからチューブの選択が要求された場合は、選択されたチューブの画像(写真画像やコンピュータグラフィック等)及び仕様説明が読み出される。
そして、シリンダ、電磁弁、駆動制御機器及び配管についての選定が終了した段階で、この回路設定処理手段100での処理が終了する。
前記回路設定処理手段100での処理が終了すると、図14のステップS4において、特性計算処理手段104での処理が行われる。
この特性計算処理手段104での処理は、まず、図19のステップS201において、上述のようにして選定されたシリンダ、電磁弁(排気処理機器を含む)、駆動制御機器及び配管の各品番、回路構成設定画面における回路構成並びに入力された使用条件に基づいて、前記選定されたシリンダ駆動システムの応答時間t、その他の諸特性値及び動特性を計算する。
この計算は、図16A〜図16C並びに図20A〜図20Dに示すシリンダ、電磁弁、駆動制御機器、配管、継手等の基礎方程式を連立して数値計算を行う。
具体的には、図16Aに示すシリンダ駆動システムの物理モデルにおいて、図16Bの絞りの基礎方程式として、絞りの通過流量qmは式(1a),(1b)で表すことができる。つまり、チョーク流れの場合、すなわち、p2/p1≦bであるとき、式(1a)で表され、亜音速流れの場合、すなわち、p2/p1>bであるとき、式(1b)で表される。
図16Bに示す式(1a),(1b)から電磁切換弁、駆動制御機器、管継手等の通過流量の式が得られる。空気の温度変化を考慮すると、図16Cのエアシリンダの基礎方程式として、エアシリンダについて状態方程式(2)〜(4)、エネルギ方程式(5)〜(7)及び運動方程式(8)が成り立つ。
図20Aの管路モデルについて、図20Bにおける管路(配管)の基礎方程式は連続式(9)、状態方程式(10)、運動方程式(11)及びエネルギ方程式(12)として表される。
図20Cのように管路をn個に分割して、i番目の要素について考えると基礎方程式は、図20Dに示すように、連続式(13)、状態方程式(14)、運動方程式(15)及びエネルギ方程式(16)として表される。なお、図16A〜図16C並びに図20A〜図20Dに示す基礎方程式の記号及び添字については、図21に説明が記載されている。
次に、ステップS202において、前記選定されたシリンダ駆動システムの応答時間tが、指定応答時間tstより短いか否かの判定を行い、短い(t<tst)と判別されたときは、ステップS203及びステップS204へ進む。このステップS203及びステップS204では、少なくとも上述のように選定した機器のサイズには余裕があるので、指定応答時間tstに最も近いところまで機器のサイズをダウンしていく。
つまり、前記ステップS203及びステップS204では、(イ)シリンダ以外の機器(電磁切換弁、駆動制御機器、配管、管継手、排気処理機器)の一番大きい方からサイズダウンを行い、(ロ)サイズダウン後、よくなったら、一番大きい方からサイズダウンを継続し、(ハ)ある機器のサイズが下限になったとき、この機器をサイズダウン対象から除外し、他の機器のサイズダウンを継続し、サイズダウンの対象機器がなくなったとき、それまでの結果を最終結果とし、(ニ)ある機器のサイズダウンによって初めてt≧tstとなったとき、機器変更処理を終了し、その直前の結果を最終結果とする。
一方、前記ステップS202において、シリンダ駆動システムの応答時間tが、指定応答時間tst以上(t≧tst)と判別されたときは、ステップS205及びステップS206へ進む。このステップS205及びステップS206では、少なくとも上述のように選定した機器のサイズは小さすぎるので、指定応答時間tstに最も近いところまで機器のサイズをアップしていく。
つまり、ステップS205及びステップS206では、(ホ)シリンダ以外の機器(電磁切換弁、駆動制御機器、配管、管継手、排気処理機器)の一番小さい方からサイズアップを行い、(ヘ)サイズアップ後、悪くなったときは直前の値に戻し、次回のサイズアップでこの機器を除外し、(ト)ある機器のサイズが上限になったとき、対応機器は存在しないので選定を中止し、(チ)電磁切換弁、駆動制御機器、配管、管継手の中の最小音速コンダクタンスが、シリンダの音速コンダクタンスの所定数倍になった場合は選定を中止し、(リ)ある機器のサイズアップによって初めてt<tstとなった場合、機器変更処理を終了し、そのときの結果を最終結果とする。
ステップS202〜S206の最適選定により、シリンダが選定されたという前提のもとで、指定された応答時間tstを満たしつつ、電磁弁、駆動制御機器、配管、管継手及び排気処理機器の最小サイズが選定されることとなる。
次に、ステップS207において、上述の特性計算結果に基づいて、接続可能な継手を第5のデータベースDB5から検索する。継手の検索が終了した段階で、この特性計算処理手段104での処理が終了する。
図14のメインルーチンに戻り、次のステップS5において、ディスプレイ28の画面上に、図8に示す機器選定結果画面120を表示する。この機器選定結果画面120の表示にあたっては、特性計算処理手段104にて得られた諸特性値及び動特性がグラフ表示され、各結果項目に対応した箇所にそれぞれ数値が表示される。
次に、ステップS6において、シリンダ分類の変更、電磁弁分類の変更あるいは駆動制御機器分類の変更を行うか否かについて判別を行う。この判別は、「前画面に戻る」を示す入力があったかどうかで行われる。変更指示があった場合は、ステップS3に戻って、再び回路設定処理手段100での処理に入る。
変更指示がない場合は、図15のステップS7に進み、緩衝計算要求があるか否かを判別する。この判別は、図8の機器選定結果画面120の緩衝計算ボタン128に対する選択操作があったかどうかで行われる。
緩衝計算要求があった場合は、次のステップS8に進み、緩衝計算処理手段106での処理に入る。この緩衝計算処理手段106での処理は、まず、ディスプレイ28の画面上に、図9に示す緩衝計算画面230を表示する。ユーザが緩衝形式及びワーク取付形式を選択した段階で、選択された緩衝形式及びワーク取付形式を確保する。
その後、ユーザが計算開始ボタン236を操作することで計算開始が要求された段階で、シリンダ品番、負荷質量、取付角度、供給圧力、終端速度、緩衝形式及びワーク取付形式に基づいてシリンダの運動エネルギE1、推力エネルギE2、吸収エネルギEを計算し、次いで、許容エネルギErを計算する。なお、シリンダ品番、負荷質量、取付角度、供給圧力及び終端速度は、すでに使用条件として入力された値並びに特性計算で得られた値である。
次に、計算された吸収エネルギEが許容エネルギErよりも小さいか否かを判別し、小さければ、結果表示部238の吸収エネルギの項目と許容エネルギの項目にそれぞれ該当する値が表示され、さらに、コメント文として、許容範囲内にある旨のメッセージが表示される。
計算された吸収エネルギが許容エネルギ以上であれば、計算結果画面の吸収エネルギの項目と許容エネルギの項目にそれぞれ該当する値が表示され、さらに、コメント文として、許容範囲外にある旨のメッセージが表示される。
図15のメインルーチンに戻り、前記ステップS7において、緩衝計算要求ではないと判別された場合は、ステップS9に進み、結露計算要求があるか否かを判別する。この判別は、図8の機器選定結果画面120の結露計算ボタン130に対する選択操作があったかどうかで行われる。
結露計算要求があった場合は、次のステップS10に進み、結露計算処理手段108での処理に入る。この結露計算処理手段108での処理は、まず、ディスプレイ28の画面上に、図10に示す結露計算画面240を表示する。
ユーザからの供給空気湿度の選択があった段階で、選択された供給空気湿度を確保する。その後、ユーザが計算開始ボタン244を操作することで計算開始が要求された段階で、シリンダ品番、配管品番、配管長、周囲温度、供給圧力及び供給空気湿度に基づいて低温周囲温度を計算し、続いて、ミスト発生量Mを計算する。なお、配管品番、配管長、周囲温度及び供給圧力は、すでに使用条件として入力された値並びに特性計算で得られた値である。
その後、ミストの発生があるか、すなわち、ミスト発生量が0よりも大きいか否かを判別する。0よりも大きければ、シリンダ内空気の大気圧換算体積と配管内容積との容積比Rvを計算する。続いて、臨界ミスト発生量Mcを計算する。
そして、ミスト発生量Mと臨界ミスト発生量Mcとの関係を判別し、M>Mc+b(bは定数)であれば、結果表示部246に結露確率を表示し、さらに、コメント文として、結露する旨のメッセージを表示する。
ミスト発生量Mと臨界ミスト発生量Mcとの関係がMc−b≦M≦Mc+bであれば、結果表示部246に結露確率を表示し、さらに、コメント文として、結露不確定である旨のメッセージを表示する。
ミスト発生量Mと臨界ミスト発生量Mcとの関係がM<Mc−bである場合、あるいはミスト発生量が0であると判別された場合は、結果表示部246に結露確率を表示し、さらに、コメント文として、結露しない旨のメッセージを表示する。
図23のメインルーチンに戻り、前記ステップS9において、結露計算要求でないと判別された場合は、ステップS11に進み、印刷要求であるか否かを判別する。この判別は、図8の機器選定結果画面120の印刷ボタン132に対する選択操作があったかどうかで行われる。
印刷要求があった場合は、次のステップS12に進み、機器選定の結果(諸特性値や動特性等)と使用条件を印刷する。
前記ステップS11において、印刷要求でないと判別された場合は、ステップS13に進み、保存要求であるか否かを判別する。この判別は、図8の機器選定結果画面120の保存ボタン136に対する選択操作があったかどうかで行われる。
保存要求があった場合は、次のステップS14に進み、機器選定の結果(諸特性値や動特性等)と使用条件を例えばハードディスクや光ディスクに記録する。
前記ステップS8での処理、ステップS10での処理、ステップS12での処理又はステップS14での処理が終了した段階で、ステップS15に進み、新たなシリンダ駆動システムの設定に入るか否かを判別する。今回設定のシリンダ駆動システムについてさらに設定処理あるいは確認処理を続けたい場合は、図14の前記ステップS5以降の処理に戻る。そして、新たなシリンダ駆動システムの設定に移る場合は、図15のステップS16に進み、この標準回路選定処理手段60に対する終了要求があるか否かを判別する。終了要求がなければ、図14のステップS1に戻り、新たな使用条件の入力を待ち、終了要求があれば、この標準回路選定処理手段60での処理が終了する。
次に、独立特性計算処理手段62は、使用回路と、シリンダ、電磁弁等の品番を入力することによって、圧力、変位、速度、加速度の動特性と空気消費量等の特性値を計算・表示する機能を有する。この独立特性計算処理手段62によって、標準回路選定処理手段60での自動選定結果(機器選定処理手段102での選定結果)に対する変更又はユーザの自主選定を自由に行うことができるようになっている。
この独立特性計算処理手段62は、図22に示す特性計算入力画面250と図23に示す特性計算結果画面252とを表示する。
特性計算入力画面250は、図22に示すように、図7の機器選定入力画面110とほぼ同様に、設定過程にある回路構成を表示するための回路設定部254と、機器の品番を入力するための品番入力部256と、使用条件を入力するための条件設定部258と、特性計算の開始を要求するための計算開始ボタン(アイコン)260とを有する。
特性計算結果画面252は、図23に示すように、図8の機器選定結果画面120とほぼ同様の画面構成となっている。対応するものには同符号を記してその重複説明を省略する。
この独立特性計算処理手段62での処理は、まず、ディスプレイ28の画面上に、図22に示す特性計算入力画面250を表示する。その後、ユーザは、各種機器の品番の入力を行い、続いて、各種使用条件を入力する。なお、この使用条件の入力においては、上述したウィザード機能を使って行うようにしてもよい。
また、回路設定要求があった場合は、回路設定処理手段100での処理に入り、その後、特性計算処理手段104での処理に入る。これらの処理については上述したので、その説明を省略する。
特性計算処理手段104での処理が終了した段階で、ディスプレイ28の画面上に、図23に示す特性計算結果画面252を表示する。該特性計算結果画面252が表示された段階で、この独立特性計算処理手段62での計算が終了する。
次に、分岐合流回路処理手段66は、図24に示すように、分岐合流回路選定画面261(図25参照)を表示する選定画面表示手段262と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、分岐合流回路64を選定する分岐合流回路選定手段264と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、分岐合流回路選定手段264にて選定された分岐合流回路64の特性を計算する特性計算手段266と、分岐合流回路選定手段264にて選定中並びに選定された分岐合流回路64を表示する分岐合流回路表示手段268と、特性計算手段266にて計算された結果を表示する計算結果表示手段270とを有する。
また、分岐合流回路選定手段264は、共通選定画面272(図26参照)を表示する共通選定画面表示手段274と、選定される空気圧回路80の共通項目を選定する共通選定手段276と、個別選定画面278(図27参照)を表示する個別選定画面表示手段280と、選定される空気圧回路80の個別項目を選定する個別選定手段282とを有する。
さらに、特性計算手段266は、選定された2以上の空気圧回路80からの流量の加算を所定の時間間隔ごとに行う流量加算手段284と、選定された2以上の空気圧回路80のすべてがストロークエンドになるまで、流量加算手段284での計算を行う繰返し手段286と、全体特性結果画面288(図28参照)を表示する全体特性結果画面表示手段290と、個別特性結果画面292(図29参照)を表示する個別特性結果画面表示手段294とを有する。
分岐合流回路選定画面261は、図25に示すように、選定過程あるいは選定された分岐合流回路64を表示するための回路設定部296と、選定された共通項目が表示される共通項目表示部298と、選定された個別項目が表示される個別項目表示部300と、複数の操作ボタンを模したアイコンとを有する。
アイコンは、選定される空気圧回路80の共通項目を設定するための共通ボタン302と、選定される空気圧回路80の個別項目を設定するための個別ボタン304と、選定過程にある空気圧回路80や機器等のコピーを行うための複製ボタン306と、選定過程にある空気圧回路80や機器等に新たな機器等を追加するための追加ボタン308と、選定過程にある空気圧回路80から機器等を削除するための削除ボタン310と、選定された各空気圧回路80の特性計算並びに分岐合流回路64の特性計算を要求するための特性計算開始ボタン312と、分岐合流回路64の全体を拡大表示するための回路全体表示ボタン314等とがある。
共通選定画面272は、図26に示すように、選定過程あるいは選定された空気圧回路80を表示するための回路設定部316と、選定される各種機器の品番が入力される品番入力部318と、選定される空気圧回路80の動作条件が入力される動作条件入力部320と、選定画面を切り換えるための切換えボタン322等を有する。
個別選定画面278は、図27に示すように、選定過程あるいは選定された空気圧回路80を表示するための回路設定部324と、設定された共通項目が表示される共通項目表示部326と、選定される各種機器の品番が入力される品番入力部328と、選定される空気圧回路80の動作条件が入力される動作条件入力部330と、負荷質量や負荷力等を入力するための負荷入力部332と、選定画面を切り換えるための切換えボタン334等を有する。
全体特性結果画面288は、図28に示すように、選定された分岐合流回路64を表示するための回路設定部336と、選定された分岐合流回路64を構成する複数の空気圧回路80の個別特性(全ストローク時間、ピストン始動時間、90%出力時間、平均速度、最大速度、終端速度、最大加速度、最高圧力等)が数値表示される個別特性表示部338と、選定された分岐合流回路64の全体特性(1往復空気消費量、所要空気量等)が数値表示される全体特性表示部340と、複数の操作ボタンを模したアイコンとを有する。
これらアイコンは、個別特性結果画面292(図29参照)を表示するための個別結果ボタン342と、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行するための印刷入力コメントボタン344と、各結果と使用条件の印刷を要求するための印刷ボタン346と、特性計算の各結果と使用条件等の保存(ハードディスク又はCD−RやDVD−RAM等の光ディスク等への保存)を要求するための保存ボタン348等である。
個別特性結果画面292は、図29に示すように、選定された分岐合流回路64を構成する複数の空気圧回路80のうち、指定された空気圧回路80の動的挙動(グラフ表示)及び主要特性値が表示されるシステム特性表示部350と、設定された回路構成図が表示される回路構成表示部352と、入力された共通項目の品番が表示される共通品番表示部354と、入力された個別項目の品番が表示される個別品番表示部356と、共通項目として入力された値が表示される共通入力値表示部358と、個別項目として入力された値が表示される個別入力値表示部360とを有する。
また、個別特性結果画面292は、上述の表示部に加えて、複数の操作ボタンを模したアイコンを有する。これらアイコンは、緩衝計算を要求するための緩衝計算ボタン128と、結露計算を要求するための結露計算ボタン130と、ショックアブソーバ選定処理手段72への移行を要求するショックアブソーバ選定ボタン140と、機器選定、緩衝計算、結露計算の各結果と使用条件の印刷を要求するための印刷ボタン362と、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行するための印刷入力コメントボタン364と、個別特性結果画面292を切り換えるための切換えボタン366等である。
一方、マニホールド回路処理手段70は、マニホールド回路選定画面370(図31参照)を表示する選定画面表示手段372と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、マニホールド回路68を選定するマニホールド回路選定手段374と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、マニホールド回路選定手段374にて選定されたマニホールド回路68の特性を計算する特性計算手段376と、マニホールド回路選定手段374にて選定中並びに選定されたマニホールド回路68を表示するマニホールド回路表示手段378と、特性計算手段376にて計算された結果を表示する計算結果表示手段380とを有する。
また、マニホールド回路選定手段374は、共通選定画面382(図32参照)を表示する共通選定画面表示手段384と、選定される空気圧回路80の共通項目を選定する共通選定手段386と、個別選定画面388(図33参照)を表示する個別選定画面表示手段389と、選定される空気圧回路80の個別項目を選定する個別選定手段390とを有する。
さらに、特性計算手段376は、選定された2以上の空気圧回路80における各電磁弁82からの流量の加算を所定の時間間隔ごとに行う流量加算手段392と、所定の時間間隔ごとの流量の加算値に基づいたマニホールド92の動特性計算を行う動特性計算手段394と、選定された2以上の空気圧回路80のすべてがストロークエンドになるまで、流量加算手段392での計算と動特性計算手段394での計算を行う繰返し手段396と、全体特性結果画面398(図34参照)を表示する全体特性結果画面表示手段400と、個別特性結果画面402(図35参照)を表示する個別結果画面表示手段404とを有する。
マニホールド回路選定画面370は、図31に示すように、選定過程あるいは選定されたにあるマニホールド回路68を表示するための回路設定部406と、選定された共通項目が表示される共通項目表示部408と、選定された個別項目が表示される個別項目表示部410と、複数の操作ボタンを模したアイコンとを有する。
アイコンは、上述した分岐合流回路選定画面261(図25参照)と同様に、共通ボタン412と、個別ボタン414と、複製ボタン416と、追加ボタン418と、削除ボタン420とがあり、さらに、選定された各空気圧回路80の特性計算並びにマニホールド回路68の特性計算を要求するための特性計算開始ボタン422と、マニホールド回路68の全体を拡大表示するための回路全体表示ボタン424等とがある。
共通選定画面382は、図32に示すように、マニホールド92の配管方式を選択するための配管選択部426と、選定されるマニホールド92やサイレンサの品番が入力される品番入力部428と、選定されるマニホールド92の動作条件が入力される動作条件入力部430と、選定画面を切り換えるための切換えボタン432等を有する。
個別選定画面388は、図33に示すように、選定過程あるいは選定された空気圧回路80を表示するための回路設定部434と、設定された共通項目が表示される共通項目表示部436と、選定される各種機器の品番が入力される品番入力部438と、選定される空気圧回路80の動作条件が入力される動作条件入力部440と、負荷質量や負荷力等を入力するための負荷入力部442と、選定画面を切り換えるための切換えボタン444等を有する。
全体特性結果画面398は、図34に示すように、選定されたマニホールド回路68を表示するための回路設定部446と、選定されたマニホールド回路68の全体特性(同時作動のときの1往復空気消費量、同時作動のときの所要空気消費量等)が数値表示される全体特性表示部448と、複数の操作ボタンを模したアイコンとを有する。
これらアイコンは、上述した全体特性結果画面288(図28参照)と同様に、個別特性結果画面402(図35参照)を表示するための個別結果ボタン450と、印刷入力コメントボタン452と、印刷ボタン454と、保存ボタン456等である。
個別特性結果画面402は、図35に示すように、選定されたマニホールド回路68を構成する複数の空気圧回路80のうち、指定された空気圧回路80の動的挙動(グラフ表示)及び主要特性値が表示されるシステム特性表示部458と、設定された回路構成図が表示される回路構成表示部460と、入力された共通項目の品番が表示される共通品番表示部462と、入力された個別項目の品番が表示される個別品番表示部464と、共通項目として入力された値が表示される共通入力値表示部466と、個別項目として入力された値が表示される個別入力値表示部468とを有する。
また、個別特性結果画面402は、上述の表示部に加えて、複数の操作ボタンを模したアイコンを有する。これらアイコンは、上述した個別特性結果画面292(図29参照)と同様に、緩衝計算ボタン128と、結露計算ボタン130と、ショックアブソーバ選定処理手段72への移行を要求するショックアブソーバ選定ボタン140と、印刷ボタン470と、印刷入力コメントボタン472と、個別特性結果画面を切り換えるための切換えボタン474等である。
次に、分岐合流回路処理手段66の処理動作を図36〜図41を参照しながら説明する。
まず、図36のステップS301において、選定画面表示手段262を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図25に示す分岐合流回路選定画面261を表示する。その後、ステップS302において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS303に進み、特性計算要求であるか否かが判別される。この判別は、特性計算開始ボタン312を選択操作(例えばマウスのクリック操作)しているかどうかで行われる。特性計算要求でなければ、次のステップS304に進み、共通項目の要求あるいは個別項目の要求のいずれであるかが判別される。この判別は、共通ボタン302又は個別ボタン304のいずれかを選択操作しているかどうかで行われる。共通ボタン302を選択操作していれば、ステップS305に進み、共通選定画面表示手段274を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図26に示す共通選定画面272を表示する。その後、ステップS306において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS307に進み、決定入力であるか否かが判別される。この判別はOKを示す入力があったかどうかで行われる。OKでなければ、次のステップS308に進み、ユーザからの入力に応じた処理を行う。例えば品番の入力であれば、その品番に対応する機器の回路画像が回路設定部316に表示されると共に、品番入力部318に品番が表示される。動作条件であれば、入力された数値が動作条件入力部320に表示される。この共通選定画面272(図26参照)では、電磁弁の選定も行われるようになっている。
前記ステップS308での処理が終了した段階で、前記ステップS306に戻り、次の入力を待つ。なお、ステップS306において、切換えボタン322が選択操作されると、ディスプレイ28に切換えボタン322の番号に対応した個別選定画面278(図27参照)が表示され、ステップS310以降の処理に移る。
そして、前記ステップS307において、決定であると判別された場合、前記ステップS301以降の処理に戻り、分岐合流回路選定画面261(図25参照)の表示を行った後、次の入力を待つ。
前記ステップS304において、個別項目の要求であると判別された場合は、図37のステップS309に進み、個別選定画面表示手段280を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図27に示す個別選定画面278を表示する。その後、ステップS310において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS311に進み、決定入力であるか否かが判別される。決定でなければ、次のステップS312に進み、ユーザからの入力に応じた処理を行う。例えば品番の入力であれば、その品番に対応する機器の回路画像が回路設定部324に表示されると共に、品番入力部328に品番が表示される。動作条件であれば、入力された数値が動作条件入力部330に表示される。負荷であれば、入力された数値が負荷入力部332に表示される。なお、ステップS310において、切換えボタン334が選択操作されると、ディスプレイ28に切換えボタン334の番号に対応した個別選定画面278が表示され、その後、前記ステップS310に戻り、次の入力を待つ。
前記ステップS311において、決定であると判別された場合、図36のステップS301以降の処理に戻り、分岐合流回路選定画面261(図25参照)の表示を行った後、次の入力を待つ。
図36の前記ステップS303において、特性計算の要求であると判別された場合は、ステップS313に進み、特性計算手段266での処理に入る。
特性計算手段266での処理は、まず、図38のステップS401において、全ストローク時間等の計算結果変数や計算制御変数等の初期化を行う。その後、ステップS402において、電磁弁、シリンダ、配管、マニホールド等の各機器に対して、計算に必要な変数を計算する。例えば電磁弁の音速コンダクタンス、シリンダの重圧面積、負荷質量、配管の分割数等の計算を行う。
その後、ステップS403において、繰返し計算に使用する変化量(例えばシリンダ圧力やピストンの変位、合流配管の分岐部流量の加算値等)として初期値を設定する。この特性計算では、前回の状態(初期状態を含む)から一定の時間間隔dt経過後の新しい状態を計算する差分法を用いており、計算が行われるたびに、新しい計算値が前回の値として定義し直され、この前回の値が次回の計算に供されるようになっている。
そして、選定されたシリンダ78、電磁弁82(排気処理機器を含む)、駆動制御機器及び配管の各品番、回路構成設定画面における回路構成並びに入力された動作条件に基づき、前記差分法によって、各空気圧回路80並びに分岐合流回路64の諸特性値及び動特性が計算される。この計算は、上述した標準回路選定処理手段60における特性計算処理手段104での計算手法と同様に、図16A〜16C並びに図20A〜20Dに示すシリンダ、電磁弁、駆動制御機器、配管、継手等の基礎方程式を連立して数値計算が行われる。
特に、分岐合流回路64の計算では、図40に示される分岐合流モデル480を用いた。この分岐合流モデル480では、分岐の圧力損失による抵抗効果を表現するために、一般的に使われている損失係数に基づく方法の代わりに、単純な固定絞りとして算出した。また、シリンダ駆動の場合、空気は合流部と分岐部との間のみで流れると考えられるため、分岐回路間の流れがない簡易モデルとして計算した。
なお、合流配管の分岐部流量の加算値が格納されるレジスタとしてレジスタRgcが定義され、時間を計時するカウンタとして計時カウンタRtが定義される。
次に、ステップS404において、計時カウンタRtに初期値=0を格納して、該計時カウンタRtを初期化する。その後、ステップS405において、微小時間dtを設定する。その後、ステップS406において、シリンダの計算処理を行う。このステップS406では、微小時間dt経過した段階での各空気圧回路80のシリンダ圧力やピストンの変位等が計算される。
その後、ステップS407において、配管計算処理に入る。この配管計算処理では、まず、図41のステップS501において、インデックスレジスタiに初期値=0を格納して、該インデックスレジスタiを初期化する。その後、ステップS502において、i番目の配管に対して、レイノルズ数、管摩擦係数、流量、質量流量、圧力等を計算する。
その後、ステップS503において、i番目の配管が合流配管であるか否かが判別され、合流配管であれば、ステップS504において、その配管の分岐部の流量が加算される。具体的には、レジスタRgcの値に今回の分岐部の流量が加算され、この加算値がレジスタRgcに格納される(Rgc←Rgc+流量)。このステップS504での処理は、流量加算手段284を通じて行われる。
前記ステップS504での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS503において、i番目の配管が合流配管でないと判別された場合は、ステップSに進み、全ての配管について処理を終えたか否かが判別される。この判別は、インデックスレジスタiの値が図38のステップS402にて求められた配管の分割数(配管数)より大きいかどうかで行われる。すべての配管について処理を終えていない場合は、ステップS506に進み、インデックスレジスタiの値を+1更新した後、次の配管について前記ステップS502以降の処理を繰り返す。このステップS505での処理は繰返し手段286を通じて行われる。
前記ステップS505において、全ての配管についての処理が終えたと判別された場合は、この配管計算処理が終了する。
図38のルーチンに戻り、次のステップS408において、今回計算された値を前回の値として定義し直す。その後、ステップS409において、今回定義された前回の値を出力表示の単位に合わせて換算する。
次に、ステップS410において、全てのシリンダがストロークエンドに到達したか否かが判別される。この判別は、現在までの計時時間(計時カウンタRtの値+微小時間dt)が、計算対象となっている分岐合流回路64を構成する複数の空気圧回路80のシリンダ78の各全ストローク時間に到達したかどうかで行われる。このステップS410での処理は繰返し手段286を通じて行われる。
全てのシリンダ78がストロークエンドに到達していない場合は、ステップS411において、現在の時間(計時カウンタの値)に微小時間dtを加算した後、前記ステップS405以降の処理に戻り、次の微小時間dtでの特性計算が行われる。
前記ステップS410において、全てのシリンダ78がストロークエンドに到達したと判別された段階で、図39のステップS412に進み、全体特性結果画面表示手段290を通じて、図28の全体特性結果画面288を表示する。このとき、計算結果表示手段270を通じて、前記選定された分岐合流回路64を構成する複数の空気圧回路80の個別特性(全ストローク時間、ピストン始動時間、90%出力時間、平均速度、最大速度、終端速度、最大加速度、最高圧力等)が数値表示されると共に、選定された分岐合流回路64の全体特性(1往復空気消費量、所要空気量等)が数値表示される。
その後、ステップS413において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS414に進み、分岐合流回路選定画面261(図25参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、例えば図28の全体特性結果画面288における戻るボタン482の選択操作があったかどうかで行われる。分岐合流回路選定画面261の表示要求でなければ、次のステップS415に進み、今回の入力が個別特性結果画面292(図29参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、個別結果ボタン342に対する選択操作があったかどうかで行われる。
個別特性結果画面292の表示要求があった場合は、次のステップS416に進み、個別特性結果画面表示手段294を通じて、図29に示す個別特性結果画面292を表示し、次のステップS417において、ユーザからの入力を待つ。
前記ステップS415、すなわち、全体特性結果画面288が表示されている状態において、個別特性結果画面292の表示要求でなかった場合は、ステップS418において、入力に応じた処理が行われる。すなわち、印刷入力コメントボタン364が選択操作された場合は、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行し、印刷ボタン362が選択操作された場合は、図示しない印刷装置を介して各結果と使用条件が印刷される。その後、ステップS413に進み、次の入力を待つ。
前記ステップS417において、入力があった場合は、次のステップS419に進み、全体特性結果画面288(図28参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、例えば戻るボタン484(図29参照)の選択操作があったかどうかで行われる。全体特性結果画面288の表示要求でなければ、次のステップS420に進み、今回の入力が個別結果画面切換えボタン366の選択操作であるか否かが判別される。個別結果画面切換えボタン366の選択操作であれば、次のステップS421に進み、個別特性結果画面表示手段294を通じて、今回選択操作された番号に対応する個別特性結果画面292が表示され、その後、前記ステップS417に戻り、次の入力を待つ。
前記ステップS420において、個別結果画面切換えボタン366の選択操作でないと判別された場合は、ステップS422において、入力に応じた処理が行われる。すなわち、緩衝計算ボタン128が選択操作された場合は、制御が標準回路選定処理手段60における緩衝計算処理手段106での処理に移り、結露計算ボタン130が選択操作された場合は、制御が結露計算処理手段108での処理に移る。また、印刷入力コメントボタン364が選択操作された場合は、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行し、印刷ボタン362が選択操作された場合は、図示しない印刷装置を介して各結果と使用条件が印刷される。その後、ステップS417に進み、次の入力を待つ。なお、ショックアブソーバ選定ボタン140が選択操作された場合は、ショックアブソーバ選定処理手段72(図3参照)での処理に移る。
前記ステップS419において、全体特性結果画面288の表示要求であると判別された場合は、前記ステップS412以降の処理に戻る。また、前記ステップS414において、分岐合流回路選定画面261(図25参照)の表示要求であると判別された場合は、この特性計算手段266での処理が終了する。
図36のメインルーチンに戻り、次のステップS314において、分岐合流回路処理手段66に対する終了要求があるか否かが判別される。終了要求がなければ、前記ステップS301以降の処理に戻り、終了要求があれば、この分岐合流回路処理手段66での処理が終了する。
次に、マニホールド回路処理手段70の処理動作を図42〜図47を参照しながら説明する。
まず、図42のステップS601において、選定画面表示手段372を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図31に示すマニホールド回路選定画面370を表示する。その後、ステップS602において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS603に進み、特性計算要求であるか否かが判別される。この判別は、特性計算開始ボタン422を選択操作しているかどうかで行われる。特性計算要求でなければ、次のステップS604に進み、共通項目の要求あるいは個別項目の要求のいずれであるかが判別される。この判別は、共通ボタン412又は個別ボタン414のいずれかを選択操作しているかどうかで行われる。共通ボタン412を選択操作していれば、ステップS605に進み、共通選定画面表示手段384を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図32に示す共通選定画面382を表示する。その後、ステップS606において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS607に進み、決定入力であるか否かが判別される。この判別はOKを示す入力があったかどうかで行われる。OKでなければ、次のステップS608に進み、ユーザからの入力に応じた処理を行う。例えば品番の入力であれば、入力された番号が品番入力部428に表示され、動作条件であれば、入力された数値が動作条件入力部430に表示される。この共通選定画面382では、マニホールドの配管方式の選定も行われるようになっている。
前記ステップS608での処理が終了した段階で、前記ステップS606に戻り、次の入力を待つ。なお、ステップS606において、切換えボタン432が選択操作されると、ディスプレイ28に切換えボタン432の番号に対応した個別選定画面388(図33参照)が表示され、ステップS610以降の処理に移る。
そして、前記ステップS607において、決定であると判別された場合、前記ステップS601以降の処理に戻り、マニホールド回路選定画面370(図31参照)の表示を行った後、次の入力を待つ。
前記ステップS604において、個別項目の要求であると判別された場合は、図43のステップS609に進み、個別選定画面表示手段389を通じて、ディスプレイ28の画面上に、図33に示す個別選定画面388を表示する。その後、ステップS610において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS611に進み、決定入力であるか否かが判別される。決定でなければ、次のステップS612に進み、ユーザからの入力に応じた処理を行う。例えば品番の入力であれば、その品番に対応する機器の回路画像が回路設定部434に表示されると共に、品番入力部438に品番が表示される。動作条件であれば、入力された数値が動作条件入力部440に表示される。負荷であれば、入力された数値が負荷入力部442に表示される。なお、ステップS610において、切換えボタン444が選択操作されると、ディスプレイ28に切換えボタン444の番号に対応した個別選定画面388が表示され、その後、前記ステップS610に戻り、次の入力を待つ。
前記ステップS611において、決定であると判別された場合、図42のステップS601以降の処理に戻り、マニホールド回路選定画面370(図31参照)の表示を行った後、次の入力を待つ。
図42の前記ステップS603において、特性計算の要求であると判別された場合は、ステップS613に進み、特性計算手段376での処理に入る。
特性計算手段376での処理は、まず、図44のステップS701において、全ストローク時間等の計算結果変数や計算制御変数等の初期化を行う。その後、ステップS702において、電磁弁、シリンダ、配管、マニホールド等の各機器に対して、計算に必要な変数を計算する。例えば電磁弁の音速コンダクタンス、シリンダの重圧面積、負荷質量、配管の分割数等の計算を行う。
その後、ステップS703において、繰返し計算に使用する変化量(例えばシリンダ圧力やピストンの変位、電磁弁の給気室側の流量の加算値、電磁弁の排気室側の流量の加算値等)として初期値を設定する。この特性計算では、前回の状態(初期状態を含む)から一定の時間間隔dt経過後の新しい状態を計算する差分法を用いており、計算が行われるたびに、新しい計算値が前回の値として定義し直され、この前回の値が次回の計算に供されるようになっている。
そして、選定されたシリンダ78、電磁弁82(排気処理機器を含む)、駆動制御機器及び配管の各品番、回路構成設定画面における回路構成並びに入力された動作条件に基づき、前記差分法によって、各空気圧回路80並びにマニホールド回路68の諸特性値及び動特性が計算される。この計算は、上述した標準回路選定処理手段60における特性計算処理手段104での計算手法と同様に、図16A〜図16C並びに図20A〜20Dに示すシリンダ、電磁弁、駆動制御機器、配管、継手等の基礎方程式を連立して数値計算が行われる。
特に、マニホールド回路68の計算では、図46に示されるマニホールドモデル490を用いた。このマニホールドモデル490では、マニホールド92の給気室内及び排気室内の圧力分布が一様であると仮定し、給気室と排気室をもとに単純なタンク充填・放出モデルとして計算した。
なお、電磁弁の給気室側の流量の加算値が格納されるレジスタとしてレジスタRm1が定義され、電磁弁の排気室側の流量の加算値が格納されるレジスタとしてレジスタRm2が定義され、時間を計時するカウンタとして計時カウンタRtが定義される。
次に、ステップS704において、計時カウンタRtに初期値=0を格納して、該計時カウンタRtを初期化する。その後、ステップS705において、微小時間dtを設定する。その後、ステップS706において、シリンダの計算処理を行う。このステップS706では、微小時間dt経過した段階での各空気圧回路80のシリンダ圧力やピストンの変位等が計算される。
その後、ステップS707において、配管計算処理に入る。この配管計算処理では、まず、図47のステップS801において、インデックスレジスタjに初期値=0を格納して、該インデックスレジスタjを初期化する。その後、ステップS802において、j番目の配管に対して、レイノルズ数、管摩擦係数、流量、質量流量、圧力等を計算する。
その後、ステップS803において、j番目の配管における電磁弁側の接続機器がマニホールド92であるか否かが判別され、マニホールド92であれば、ステップS804において、その配管における電磁弁の給気室側の流量が加算され、また、排気管側の流量が加算される。具体的には、レジスタRm1の値に今回の電磁弁の給気側の流量が加算され、この加算値がレジスタRm1に格納される(Rm1←Rm1+給気室側の流量)。レジスタRm2の値に今回の電磁弁の排気側の流量が加算され、この加算値がレジスタRm2に格納される(Rm2←Rm2+排気室側の流量)。このステップS804での処理は、流量加算手段392を通じて行われる。
前記ステップS804での処理が終了した段階、あるいは前記ステップS803において、j番目の配管における電磁弁側の接続機器がマニホールド92でないと判別された場合は、ステップS805に進み、全ての配管について処理を終えたか否かが判別される。この判別は、インデックスレジスタjの値が図44のステップS702にて求められた配管の分割数(配管数)より大きいかどうかで行われる。すべての配管について処理を終えていない場合は、ステップS806に進み、インデックスレジスタjの値を+1更新した後、次の配管について前記ステップS802以降の処理を繰り返す。このステップS805での処理は繰返し手段396を通じて行われる。
前記ステップS805において、全ての配管についての処理が終えたと判別された場合は、この配管計算処理が終了する。
図44のルーチンに戻り、次のステップS708において、マニホールド計算処理に入る。このマニホールド計算処理は、給気室側の流量の加算値と、排気室側の流量の加算値とに基づいて、マニホールド92の動特性計算を行う。
その後、ステップS709において、今回計算された値を前回の値として定義し直す。その後、ステップS710において、今回定義された前回の値を出力表示の単位に合わせて換算する。
次に、ステップS711において、全てのシリンダがストロークエンドに到達したか否かが判別される。この判別は、現在までの計時時間(計時カウンタRtの値+微小時間dt)が、計算対象となっているマニホールド回路68を構成する複数の空気圧回路80のシリンダ78の各全ストローク時間に到達したかどうかで行われる。このステップS711での処理は繰返し手段396を通じて行われる。
全てのシリンダがストロークエンドに到達していない場合は、ステップS712において、現在の時間(計時カウンタRtの値)に微小時間dtを加算した後、前記ステップS705以降の処理に戻り、次の微小時間dtでの特性計算が行われる。
前記ステップS711において、全てのシリンダ78がストロークエンドに到達したと判別された段階で、図45のステップS713に進み、全体特性結果画面表示手段400を通じて、図34の全体特性結果画面398を表示する。このとき、計算結果表示手段380を通じて、前記選定された分岐合流回路64の全体特性(1往復空気消費量、所要空気量等)が数値表示される。
その後、ステップS714において、ユーザからの入力を待つ。入力があった段階で、次のステップS715に進み、マニホールド回路選定画面370(図31参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、例えば図34の全体特性結果画面398における戻るボタン492の選択操作があったかどうかで行われる。マニホールド回路選定画面370の表示要求でなければ、次のステップS716に進み、今回の入力が個別特性結果画面402(図35参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、個別結果ボタン450に対する選択操作があったかどうかで行われる。
個別特性結果画面402の表示要求があった場合は、次のステップS717に進み、個別結果画面表示手段404を通じて、図35に示す個別特性結果画面402を表示し、次のステップS718において、ユーザからの入力を待つ。
前記ステップS716、すなわち、全体特性結果画面398が表示されている状態において、個別特性結果画面402の表示要求でなかった場合は、ステップS719において、入力に応じた処理が行われる。すなわち、印刷入力コメントボタン452が選択操作された場合は、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行し、印刷ボタン454が選択操作された場合は、図示しない印刷装置を介して各結果と使用条件が印刷される。その後、ステップS714に進み、次の入力を待つ。
前記ステップS718において、入力があった場合は、次のステップS720に進み、全体特性結果画面398(図34参照)の表示要求であるか否かが判別される。この判別は、例えば戻るボタン494(図35参照)の選択操作があったかどうかで行われる。全体特性結果画面398の表示要求でなければ、次のステップS721に進み、今回の入力が個別結果画面切換えボタン474の選択操作であるか否かが判別される。個別結果画面切換えボタン474の選択操作であれば、次のステップS722に進み、個別結果画面表示手段404を通じて、今回選択操作された番号に対応する個別特性結果画面402が表示され、その後、前記ステップS718に戻り、次の入力を待つ。
前記ステップS721において、個別結果画面切換えボタン474の選択操作でないと判別された場合は、入力に応じた処理が行われる。すなわち、緩衝計算ボタン128が選択操作された場合は、制御が標準回路選定処理手段60における緩衝計算処理手段106での処理に移り、結露計算ボタン130が選択操作された場合は、制御が結露計算処理手段108での処理に移る。また、印刷入力コメントボタン472が選択操作された場合は、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行し、印刷ボタン470が選択操作された場合は、図示しない印刷装置を介して各結果と使用条件が印刷される。その後、ステップS718に進み、次の入力を待つ。なお、ショックアブソーバ選定ボタン140が選択操作された場合は、ショックアブソーバ選定処理手段72(図3参照)での処理に移る。
前記ステップS720において、全体特性結果画面398の表示要求であると判別された場合は、前記ステップS713以降の処理に戻る。また、前記ステップS715において、マニホールド回路選定画面370(図31参照)の表示要求であると判別された場合は、この特性計算手段376での処理が終了する。
図42のメインルーチンに戻り、次のステップS614において、マニホールド回路処理手段70に対する終了要求があるか否かが判別される。終了要求がなければ、前記ステップS601以降の処理に戻り、終了要求があれば、このマニホールド回路処理手段70での処理が終了する。
次に、ショックアブソーバ選定処理手段72について図48〜図51を参照しながら説明する。このショックアブソーバ選定処理手段72は、ショックアブソーバの自動選定を目的として開発されたもので、主要な機能は、ショックアブソーバの品番選定機能と、特定モーメント計算機能である。
品番選定機能は、ショックアブソーバのシリーズ名、衝突形態、使用条件等を入力すると、吸収エネルギを満たすショックアブソーバの品番をシリーズ内から自動的に選定し、複数の候補機器をサイズ順で表示する機能である。
特定モーメント計算機能は、特定の負荷形態を選択し、質量及び寸法等を入力すると、負荷の慣性モーメントを計算する機能である。
つまり、このショックアブソーバ選定処理手段72は、負荷の運動エネルギ及び推力エネルギの和である吸収エネルギを計算し、それを満たし、かつ、最小サイズの機器が選定されるような最適化が自動的に行われるようになっている。
また、水平、上昇、下降、任意の角度の直線衝突及び回転衝突の動作形態やシリンダ駆動及びモータ駆動等の様々な外部推力形態を組み合わせた多様な衝突形態に対応できる。
そして、このショックアブソーバ選定処理手段72は、図48に示すように、座標入力装置24等からの入力データに基づいてショックアブソーバのシリーズを設定するシリーズ設定処理手段500と、座標入力装置24等からの入力データに基づいて少なくとも衝突形態と使用条件を設定する条件設定処理手段502と、前記設定された少なくとも衝突形態と使用条件に基づいて、前記設定された種類のうちから最適なサイズのショックアブソーバを選定するショックアブソーバ選択処理手段504とを有する。
前記条件設定処理手段502は、座標入力装置24等からの入力データによる条件設定のほか、標準回路選定処理手段60において設定された使用条件のうち、ショックアブソーバの選択に必要な条件(例えばシリンダの品番、負荷質量、摩擦係数、供給圧力等)を自動設定する機能を有する。
すなわち、このショックアブソーバ選定処理手段72は、図2に示すメニュー画面52からショックアブソーバ選定の項目を操作することによって起動されるほか、図8に示す機器選定結果画面120、図9に示す緩衝計算画面230、図10に示す結露計算画面240、図23に示す特性計算結果画面252、図29に示す個別特性結果画面292、図35に示す個別特性結果画面402のショックアブソーバ選定ボタン140を操作することによっても起動されるようになっている。
つまり、ショックアブソーバ選定処理手段72は、標準回路選定処理手段60、分岐合流回路処理手段66、マニホールド回路処理手段70とリンクされており、機器選定処理手段102から特性計算処理手段104を介しての計算結果、あるいは独立特性計算処理手段62での計算結果、あるいは分岐合流回路処理手段66から特性計算手段266を介しての計算結果、あるいはマニホールド回路処理手段70から特性計算手段376を介しての計算結果に基づいた衝突条件でショックアブソーバの選定を行う。
また、このショックアブソーバ選定処理手段72は、第1及び第2のショックアブソーバ選定入力画面506及び508(図49及び図50参照)を表示する。第1のショックアブソーバ選定入力画面506は、図49に示すように、直線衝突に関する画面であって、ショックアブソーバシリーズを選択するためにシリーズの一覧が表示されるシリーズ選択表示部510と、負荷がショックアブソーバに衝突する形態を選択するための衝突形態表示部512と、ショックアブソーバに作用する推力の種類を選択するための推力表示部514と、推力の種類がシリンダ駆動の場合に、シリンダのタイプ及び品番を選択するためのシリンダ品番表示部516と、衝突条件及びショックアブソーバの使用条件等を入力するための条件入力部518と、選定されたショックアブソーバの画像を表示するための画像表示部520と、ショックアブソーバの選定開始を要求するための選定開始ボタン(アイコン)522とを有する。
前記画像表示部520は、選定されたショックアブソーバの外観画像が表示される第1の画面520aと、衝突イメージをアニメーション表示する第2の画面520bを有する。衝突形態ごとに衝突イメージがアニメーション表示されるため、ユーザは衝突イメージを把握しやすくなり、項目入力が容易になる。
条件入力部518における項目中、衝突速度は、シリンダのピストン(ロッド)が、ストローク終端あるいは任意の位置において外部ストッパに衝突するときのピストン速度を示し、抵抗力は、シリンダピストンの作動方向に作用する負荷質量の重量分力、摩擦力以外のその他の外力の総和をいう。
一方、第2のショックアブソーバ選定入力画面508は、回転衝突に関するもので、図50に示すように、上述した第1のショックアブソーバ選定入力画面506(図49参照)とほぼ同じであるが、条件入力部518に、モーメント計算を要求するための計算要求ボタン(アイコン)524を有する点で異なる。
なお、条件入力部518における項目中、抵抗トルクは、ロータリアクチュエータ、モータ等の回転方向に作用する負荷質量の重量分力トルク、摩擦トルク以外のその他のトルクの総和をいう。
また、このショックアブソーバ選定処理手段72は、図51に示すショックアブソーバ選定結果画面526を表示する。このショックアブソーバ選定結果画面526は、図51に示すように、吸収エネルギや衝突物相当質量等の計算結果が表示される計算結果表示部528と、選定されたショックアブソーバの品番を最大吸収エネルギの順でリスト表示される選定結果表示部530と、選定結果のリストから選択されたショックアブソーバの取付寸法図及び主要仕様が表示される仕様表示部532とを有する。
また、このショックアブソーバ選定結果画面526は、上述の表示部528、530に加えて、複数の操作ボタンを模したアイコンを有する。これらアイコンは、選定結果、計算結果及び入力条件の印刷を要求するための印刷ボタン534と、帳票下部に印刷されるコメントの入力画面に移行するための印刷入力コメントボタン536と、選定結果、計算結果及び入力条件の保存(ハードディスク又はCD−RやDVD−RAM等の光ディスク等への保存)を要求するための保存ボタン538とがある。
また、前記条件設定処理手段502は、図48に示すように、設定された衝突形態が回転衝突である場合に、座標入力装置等からの入力データに基づいて、慣性モーメントを計算するモーメント計算手段540を有する。このモーメント計算手段540は、図50の第2のショックアブソーバ選定入力画面508における計算要求ボタン524が選択操作されることによって起動される。
また、このモーメント計算手段540は、図48に示すように、座標入力装置24等からの入力データに基づいて、負荷形態の形状及び回転軸の選択を行う負荷形態選択処理手段552を有する。
ここで、ショックアブソーバ選定処理手段72での処理動作を簡単に説明する。まず、ディスプレイ28の画面上に、ショックアブソーバ選定入力画面506又は508を表示する。その後、条件設定処理手段502での処理、特に、条件入力処理が行われる。この条件入力処理は、座標入力装置24等からの入力データに基づいてショックアブソーバのシリーズが選択され、次いで、衝突形態の種類と推力の種類が選択される。なお、選択される衝突形態の種類と推力の種類、並びに各計算式の関係や、衝突種類、取付形態及び推力の種類に応じた計算式の内訳についての情報は例えばハードディスクにショックアブソーバ情報テーブルとして登録されている。後述するショックアブソーバ選定のための計算処理では、例えば入力された衝突種類、取付形態及び推力の種類を、読出し用のインデックスとして、必要な計算式等を読み出して計算に供するようにしている。
次に、推力の種類でシリンダ駆動が選択された場合は、座標入力装置24等からの入力データに基づいてシリンダの種類とシリンダの品番が選択される。
その後、条件設定処理手段502における数値入力処理が行われる。この数値入力処理は、上述の条件入力処理にて選択された衝突形態及び推力の種類に応じた入力項目と入力された数値データとを対応付けて確保する。
入力データが数値データでなくモーメント計算要求であれば、モーメント計算手段540での処理に入る。このモーメント計算手段540での処理は、まず、負荷形態の変更要求であれば、座標入力装置24等からの入力データに基づいて負荷形態の形状(分類)と回転軸が選択される。
そして、各負荷形態の形状のパターンに対応して計算式が用意され、これらの情報は例えばハードディスクにモーメント情報テーブルとして登録されている。後述するモーメント計算処理では、例えば入力された負荷形態の形状と回転軸の種類を読出しインデックスとして必要な計算式等を読み出して計算に供するようにしている。その後、入力された数値と対応する計算式に基づいてモーメント計算を行う。
一方、ショックアブソーバ選択処理手段504での処理は、まず、衝突速度を算出する。選択されたシリーズ内でサイズの最も小さいショックアブソーバを仮選定する。
次に、仮選定したショックアブソーバの吸収可能な衝突物相当質量Me1を算出する。この算出にあたっては、第6のデータベースDB6から仮選定したショックアブソーバに関する衝突物相当質量算出用パラメータを読み出して行う。
その後、入力された各種条件に基づいて運動エネルギE1を算出し、続いて、入力された各種条件に基づいて推力エネルギE2を算出する。その後、算出された運動エネルギ及び推力エネルギを加算して吸収エネルギEを求める。
そして、算出された吸収エネルギと入力された各種条件に基づき、以下の計算式を用いて実際の衝突物相当質量Me2を求める。
Me2=2×E/(V2×N)
ここで、Vは衝突速度、Nはショックアブソーバの使用本数である。
その後、仮選定したショックアブソーバが適合している否かを判別する。この判別は、仮選定したショックアブソーバの衝突物相当質量Me1が実際の衝突物相当質量Me2よりも大きいかどうかで行われる。
前記衝突物相当質量Me1が衝突物相当質量Me2以下で適合していないと判別された場合は、選択されたシリーズ内で、次にサイズの大きいショックアブソーバを検索する。その後、該当するショックアブソーバが存在するか否かを判別する。存在していなければ、ディスプレイ28の画面上に、例えば「選択されたシリーズ内に該当する機器がありません。」等のエラー表示を行う。ショックアブソーバが存在していれば、そのショックアブソーバを仮選定して、上述した適合の判定を行う。
そして、仮選定したショックアブソーバが適合していると判別された場合は、その仮選定したショックアブソーバの品番が選定品番として決定され、図51に示すショックアブソーバ選定結果画面526が表示される。
なお、その後の処理は、ここでは省略したが、印刷ボタン534への選択操作によって、ショックアブソーバ選定の結果(各種エネルギ値や衝突物相当質量や諸特性値等)が印字され、保存ボタン538への選択操作によって、ショックアブソーバ選定の結果(各種エネルギ値や衝突物相当質量や諸特性値等)がハードディスクや光ディスク等に保存される。
次に、図2のメニュー画面52における1つの項目である「オプション」を実現するプログラムについて図52〜図54を参照しながら説明する。
図52に示すように、まず、オプションの汎用マスタは、リスト登録処理手段74を起動することによって実現され、このリスト登録処理手段74は、標準回路選定処理手段60及びショックアブソーバ選定処理手段72におけるシリンダ駆動システムの選定及びショックアブソーバの選定に使用される各入力項目に対応した参照リスト562に、それぞれ使用頻度の高い入力値を予め登録するという機能を有する。
そして、このリスト登録処理手段74は、図53に示す汎用マスタ画面600を表示する。この汎用マスタ画面600は、複数の機能をそれぞれタグによって切換え表示するためのタグ表示部602と、プルダウンによって入力項目の一覧をリスト表示する入力項目表示部604と、入力項目表示部604から選択された入力項目に登録されているデータの一覧をリスト表示する汎用データ表示部606と、汎用データの追加を行うための追加ボタン608(アイコン)と、汎用データの削除を行うための削除ボタン610(アイコン)とを有する。
編集を行う場合は、汎用データをクリックして数値データのみを変更することによって行われる。
この汎用マスタを使用することで、設定値等の入力時において、参照リスト562を使用しながら使用頻度の高い値を参照することができ、入力時間の短縮化を効率よく図ることができる。
次に、オプションの単位マスタは、図52に示す単位系選択処理手段76を起動することによって実現され、この単位系選択処理手段76は、使用される単位系が予め登録された複数のリスト564のうち、座標入力装置24等からの入力データに基づく単位系のリスト564を選択するという機能を有する。
そして、この単位系選択処理手段76は、図54に示す単位マスタ画面620を表示する。単位マスタ画面620は、図54に示すように、登録されている単位の規格が一覧表示される単位規格表示部622と、単位規格に登録されている単位の一覧を表示する登録単位表示部624と、単位規格表示部622に表示された複数の単位規格のうち、使用する単位規格を選択するための選択ボタン626(アイコン)とを有する。
この単位マスタを使用して、入力の段階で単位系を選択することで、あらためて単位換算をする必要がなくなり、入力した数値をそのまま使用することができる。
このように、本実施の形態に係る空気圧機器選定システム、空気圧機器選定方法、記憶媒体及び空気圧機器選定プログラムにおいては、座標入力装置24等からの入力データに基づいてシリンダ駆動システムの選定処理を行う標準回路選定処理手段60と、座標入力装置24等からの入力データ及び/又は標準回路選定処理手段60による選定結果に基づいてショックアブソーバの選定処理を行うショックアブソーバ選定処理手段72とを有するようにしたので、提案例に係る空気圧機器の選定方法(特開平2000−179503号公報参照)よりも多機能にすることができると共に、計算手法をより向上させることができ、空気圧機器の選定方法に関する精度を向上させることができる。
特に、本実施の形態では、分岐合流回路処理手段66を有するため、空気圧回路80単体だけでなく、複数の空気圧回路80を含む分岐合流回路64を有する空気圧機器の選定方法に関する精度を向上させると共に、各種機器の選定の操作性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、マニホールド回路処理手段70を有するため、複数の空気圧回路80を含むマニホールド回路68を有する空気圧機器の選定方法に関する精度を向上させると共に、各種機器の選定の操作性を向上させることができる。
なお、この発明に係る空気圧機器選定システム、空気圧機器選定方法、記憶媒体及び空気圧機器選定プログラムは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。