JP2001227505A - 空気圧回路システムのシミュレーション方法ならびに同方法がプログラムされ記録される記録媒体 - Google Patents

空気圧回路システムのシミュレーション方法ならびに同方法がプログラムされ記録される記録媒体

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JP2001227505A
JP2001227505A JP2000036602A JP2000036602A JP2001227505A JP 2001227505 A JP2001227505 A JP 2001227505A JP 2000036602 A JP2000036602 A JP 2000036602A JP 2000036602 A JP2000036602 A JP 2000036602A JP 2001227505 A JP2001227505 A JP 2001227505A
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cylinder
pneumatic
pipe
pipeline
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Toshiharu Kagawa
利春 香川
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気圧回路システムにおいて管路を考慮した
シミュレーションを行い、シリンダ応答予測を行う。 【解決手段】 空気圧管路4を含むそれぞれの要素(電
磁バルブ1、シリンダ3)についてモデル化を行い、各
モデルに対してシミュレーションを行うことによって評
価を行う空気圧回路システムのシミュレーション方法で
あって、空気圧管路4を流路方向に適宜に分割して分布
定数系として扱い、流速を含むベクトル量を各要素の境
界に、温度、圧力を含むスカラー量を各要素の中心に定
義して差分化する。空気圧管路を流路方向に適宜に分割
することにより得られる分割領域要素の各々につき、基
礎方程式である連続の式、状態方程式、運動方程式、及
びエネルギ方程式による各差分式を演算することによっ
て求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FA(Factory A
utomation)やガス供給システムに用いて好適な空気圧
回路システムのシミュレーション方法ならびに同方法が
プログラムされ記録される記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】空気圧シリンダはFA用途に広く用いら
れ、シリンダの駆動時間が生産性を左右するために事前
に駆動時間をより正確に予測する要求が高まりつつあ
る。空気圧シリンダとバルブの間には、必ず数十cmか
ら数mの管路が存在してシリンダ応答に多大な影響を及
ぼすが、シリンダの応答時間の計算に当たり、管路は有
効断面積で評価されるのみであった。
【0003】この方法は管路摩擦による抵抗分を近似的
に有効断面積に置き換えるものであり、産業界ではこの
有効断面積によりシリンダのサイジング設計が行われて
いる。しかしながら、正確な応答時間予測のためには近
似による誤差をなくし、抵抗要素以外の管路の影響を考
慮して計算する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】空気圧シリンダの応答
解析に関する研究は古くから行われ、実験とシミュレー
ション結果との一致が確認されているものの、管路の影
響がほとんど無視できる場合に限られていた。従って、
実際のところ管路の与える影響の詳細は不明であり、有
効断面積法による計算で十分か否かはよくわかっていな
い。
【0005】一方、空気圧アクチュエータを用いたサー
ボ機構は、その経済性、高出力、良環境性等の利点から
各種産業において広く用いられるようになった。しかし
ながら前記したように各要素を接続する管路も考慮した
シミュレーションは存在せず、アクチュエータを小型化
した場合や管路を非常に長くした場合等にはシミュレー
ションによる評価ができないというのが現状である。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、空気圧管路を流路方向に適宜に分割して分布定数
として扱い、流速等のベクトル量を各分割要素の境界
に、圧力、温度等のスカラー量を各分割要素の中心に定
義して差分化を行うことにより、管路を考慮した空気圧
機器のシミュレーションを実現し、圧力計算における数
値振動を抑制した空気圧回路システムのシミュレーショ
ン方法ならびに同方法がプログラムされ記録される記録
媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
ために本発明の空気圧回路システムのシミュレーション
方法は、空気圧管路を含むそれぞれの要素についてモデ
ル化を行い、各モデルに対してシミュレーションを行う
ことによって評価を行う空気圧回路システムのシミュレ
ーション方法であって、前記空気圧管路を流路方向に適
宜に分割して分布定数系として扱い、流速を含むベクト
ル量を各要素の境界に、温度、圧力を含むスカラー量を
各要素の中心に定義して差分化することとした。
【0008】また、空気圧管路を流路方向に適宜に分割
することにより得られる分割領域要素の各々につき、基
礎方程式である(1)連続の式、(2)状態方程式、
(3)運動方程式、及び(4)エネルギ方程式を、以下
の差分式を演算することによって求めることとした。 (1)∂Wpi/∂t=Gpi−Gpi+1 (2)VPi(dPPi/dt)=RθPi(Gpi-1−Gpi
+RWPi(dθPi/dt) (3)WPi{∂uPi/dt+|ui|(∂uPi/∂z)}
=Ap(PPi−PPi+1)−λ/2d(WPiPi|uPi|) ここで、 WPi=(ρPi-1+ρPi)/2・Ap・δz、 ∂uPi/∂z=(uPi+1−uPi-1)/2δzとし、 λは定常値を用い、層流域では理論値を、乱流域ではB
lasius式から計算される値を用いるものとする。 (4)d/dt(WPivθPi)=Shp(θa−θPi)+
Pi・Cv・θPi-1+PPi-1(GPi/ρPi-1)−GPi+1
vθPi−PPi(Gpi+1/ρPi
【0009】但し、Aは管路断面積[m2]、dは管路
内径[m]、Gは体積流量[kg/s]、Pは圧力[P
a]、Rはガス定数[J/(kgK)]、uは管内流速
[m/s]、Vは分割管路体積[m3]、Wは空気質量
[kg]、zは管路長[m]、θは温度[K]、ρは空
気密度[kg/m3]、添字iは要素番号、Pは管路と
する。
【0010】このことにより、空気圧回路システムにお
ける正確な応答時間予測のために抵抗以外の管路の影響
も考慮してシミュレーションを実現することができ、正
確な応答予測が可能となる。
【0011】前記した課題を解決するために本発明の記
録媒体は、空気圧回路システムに用いられ、システムを
構成する、バルブ、管路、シリンダのそれぞれをモデル
化してシミュレーションを行うシミュレーションプログ
ラムであって、偏差を計算してコントローラ出力を求め
るステップと、前記バルブにおいて、入力変化、バルブ
有効断面積を計算して絞り通過流量式から流量を求める
ステップと、前記管路において、管路を流路方向に適宜
に分割することにより得られる分割領域要素内の空気質
量を求め、前記要素の各々につき、基礎方程式である運
動方程式、エネルギ方程式、及び状態方程式から、それ
ぞれ、流速、温度、圧力の変化分を求めるステップと、
前記シリンダを構成する各シリンダ室において、エネル
ギ方程式から温度変化分を求め、状態方程式から圧力変
化分を求め、更に、運動方程式からピストンに作用する
力を計算し、速度変化分と変位変化分を求めるステップ
と、タイムステップを進め、前記偏差を更新してコント
ローラ出力を求めるステップとがプログラムされ記録さ
れることとした。
【0012】また、管路に関する基礎方程式を時間進行
形の差分式にして解き、それぞれのタイムステップにつ
き計算を2度行い、(元の値)+(計算1回目の変化
分)/2+(計算2回目の変化分)/2を計算して前記
偏差を更新するステップが更にプログラムされ記録され
ることとした。
【0013】前記シミュレーションプログラムによって
空気圧回路システムを評価することにより、管路を含め
た空気圧シミュレーションを確立でき、このことによっ
て数値振動を抑制でき、例えば、FA等において生産性
を左右するシリンダ駆動時間を正確に予測することがで
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のシミュレーショ
ン対象となる空気圧回路システムをJIS記号で表現し
た図である。
【0015】図1に示すように、空気圧回路システム
は、電磁バルブ1、減圧弁2等の絞り、空気圧シリンダ
3、そして空気圧管路4の各要素に区分することができ
る。空気圧シリンダ3から排出される空気量を調節して
速度制御する方式には、空気圧シリンダ3の排気を絞る
メータアウト方式と、吸気を絞るメータイン方式の2方
式があるが、ここでは使用頻度の高い前者を例示する。
【0016】尚、図1中、5は圧力源、6は速度コント
ローラである。ここで、空気圧管路4は、解析の第一歩
として電磁バルブ1と空気圧シリンダ3間のみ考える。
各要素1、3、4それぞれについて数学モデルが示され
ており、以下それぞれのモデルについて説明する。
【0017】本発明において、空気圧管路4は、流路方
向に適宜に分割し分布定数として扱う。図2にそのシミ
ュレーションモデルが示されている。図2に示すよう
に、流速(u)等のベクトル量を各要素の境界に、圧力
(P)、温度(θ)等のスカラー量を各要素の中心に定
義して差分化を行っていく。これは、スタガード格子と
呼ばれるもので、こうした扱いによって圧力計算におけ
る数値振動が抑制できるといった利点がある。
【0018】基礎式となる連続の式、状態方程式、運動
方程式、エネルギ方程式は、空気圧管路4をn個に分割
したi番目の分割領域において、それぞれ(数1)(数
2)(数3)(数4)の式が成立する。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
【数3】
【0022】ここで、Wiは、要素境界を中心とした長
さδzの範囲に存在する空気質量である。また、右辺第
2項は、流体摩擦力であり、Darcy-Weisbenchの式を適
用している。管摩擦係数λiは、層流域については理論
計算から導出された式、乱流域は、Blasiusによる実験
式を用いている。左辺第2項における対流項は、計算の
安定性を重視し、一次の風上差分を採用している。
【0023】
【数4】
【0024】ここで、Liは、流体仕事であり、Eiは、
流入出によるエネルギ、Qiは管壁との間の熱伝達によ
る熱エネルギの仕事である。ここで、c1 、c2は流速
分布による補正係数である。また、熱伝達率hiはNusse
lt数Nui(円管の定常流れにおける)、熱伝導率ki
び管路の内径dによって表される。ここで、Reiはレ
イノルズ数、Prはブランドル数である。
【0025】尚、空気圧管路4についての使用記号であ
るAは管路断面積[m2]、dは管路内径[m]、Gは
体積流量[kg/s]、Pは圧力[Pa]、Rはガス定
数[J/(kgK)]、uは管内流速[m/s]、Vは分
割管路体積[m3]、Wは空気質量[kg]、zは管路
長[m]、θは温度[K]、ρは空気密度[kg/
3]、iは要素番号である。
【0026】次に、電磁バルブ1について説明する。電
磁バルブ1を流れる圧縮性流体の流量は、その有効断面
積をSe、臨界圧力比をbとしたとき、その絞りの通過
流量Gは、(数5)の式によって表される。
【0027】
【数5】
【0028】尚、電磁バルブ1の使用記号として、Pd
は絞り下流圧、Puは絞り上流圧、θは絞り上流温度を
示す。この式を使用すると電磁バルブ1の通過流量は、
隣接する分割された空気圧管路4要素の圧力Ppdlを用
い、以下のように表現できる。 Gvd=Sevdψ(Ppdl,Pa,θpdl) …(1) Gvu=Sevuψ(Ps,Ppul,θa) …(2)
【0029】但し、(1)式は放出側の、(2)式は充
填側の流量である。また、空気圧管路4と空気圧シリン
ダ3との間の絞りの流量は、空気圧シリンダ3と接続さ
れる管路4要素の圧力Ppdn等 を用い、以下のように
表現できる。 Grd=Serdψ(Pcd,Ppdn,θcd) …(3) Gru=Seruψ(Ppun,Pcu,θpun) …(4)
【0030】同様に(3)式が放出側流量、(4)式が
充填側流量である。尚、ψは、(数6)の式によって示
される関数である。
【0031】
【数6】
【0032】次に空気圧シリンダ3について説明する。
図3に空気圧シリンダ3のシミュレーションモデルを示
す。空気圧シリンダ3の使用記号におけるCpは定圧比
熱、Cvは定積比熱、dはシリンダ内径、drはロッド
径、Lはストローク、lは左側シリンダ室、Mは慣性負
荷質量、rは右側シリンダ室、Shは伝熱面積、xはピ
ストン位置、φはシリンダ設置角度である。
【0033】図3に示すように空気圧シリンダ3は、充
填側(左)、放出側(右)の2つのシリンダ室とピスト
ンから成る。空気圧シリンダ3の基礎式である、エネル
ギ方程式、状態方程式、運動方程式は、それぞれ(数
7)(数8)(数9)の式のようになる。
【0034】尚、流量については、シリンダ室に流入す
る方向を正とし、ピストン変位xは、図中、左側を0と
し、速度及び加速度ともに右方向を正とする。
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】
【数9】
【0038】制御方法は、PDD2制御(P:比例、
D:微分)とし、変位、速度、加速度にそれぞれ、比例
ゲイン、速度ゲイン、加速度ゲインを乗じてフィードバ
ックしている。これは通常のPD制御法だけでは空気の
圧縮性によって発生する振動を低減することが困難とな
るため、速度の微分動作である加速度をフィードバック
したものである。管内流速uは(数10)の式により算
出される。
【0039】
【数10】
【0040】ここで、制御パラメータKvとKaの決定に
ついては、本モデルのような3次系の設計法の一つであ
るα−β法を適用し、比例ゲインKxを決定することで
自動的に他のゲインが決定されるようにしてある。この
時のα、βの値としては、サーボ系に適当とされるα=
2、β=3を採用した。
【0041】図4は上述したシミュレーション方法を実
現するプログラムのフローチャートを示したものであ
る。
【0042】以下、図4に示すフローチャートを参照し
ながら、図1に示す空気圧回路システムにおけるシミュ
レーションの実際について詳細に説明する。図4のフロ
ーチャートにおいて、機能的には、コントローラ計算、
バルブ計算、管路計算、シリンダ計算、ループ制御の5
つに区分から成る。まず、ステップS41では、偏差を
計算してコントローラ出力を求める。ここでは、目標値
に一致させる制御のために目標値と実際値との値を比較
して偏差を求め、偏差が0になるようにフィードバック
するものである。そして、1回目の計算処理において、
バルブ入力変化、バルブ有効断面積Seを計算し、絞り
通過流量式から流量を求める(ステップS42)。絞り
通過流量式は(数5)の式に示したとおりである。
【0043】次に、図2に空気圧管路4のシミュレーシ
ョンモデルで示したように、各分割領域要素内の空気質
量Wiを求める(ステップS43)。計算式は(数3)
の式に示されている。そして、管路4を流路方向に適宜
に分割することにより得られる分割領域要素の各々につ
き、運動方程式から流量変化分を求めて質量流量を計算
し(ステップS44)、更に、エネルギ方程式、状態方
程式から、それぞれ、温度変化分、圧力変化分を求める
(ステップS45、S46)。計算式については、それ
ぞれ(数3)(数4)の式に示した通りである。
【0044】そして、各シリンダ室において、エネルギ
方程式から温度変化分、状態方程式から圧力変化分を求
める(ステップS47、S48)。計算式は(数7)の
式に示した通りである。空気の温度変化を考慮すれば、
充填側シリンダ室については(数11)の状態方程式
(1)とエネルギ方程式(2)が成立する。
【0045】
【数11】
【0046】同様に放出側シリンダ室については(数1
2)の状態方程式(1)とエネルギ方程式(2)が成立
する。
【0047】
【数12】
【0048】次に、運動方程式からピストンに作用する
力を計算し、速度変化分(加速度)と変位変化分(速
度)を求める(ステップS49)。ピストンの運動方程
式は、(数13)の(1)式によって示され、運動時の
摩擦モデルFrは(数13)の(2)式のように、管摩
擦力と粘性摩擦力の和で表されるものとした。
【0049】
【数13】
【0050】次に2回目の計算であるか否かが調べられ
る(ステップS50)。1回目であれば、(元の値)に
(計算1回目の変化分)を加算して次の値を求め、ステ
ップS42以降の処理を繰り返す。一方、2回目の計算
であれば、(元の値)+(計算1回目の変化分)/2+
(計算2回目の変化分)/2を計算して次の値を求め
(ステップS51)、タイムステップを更新する(ステ
ップS52)。
【0051】以上の処理を繰り返して偏差を更新し、デ
ータ保存用構造体に格納してあるデータを出力ファイル
に書き出して処理を終了する(ステップS53、S5
4)。本実施形態では、時間積分法として、陽解法の一
つであるRunge-Kutta(二次)法を適用している。ここ
では、空気圧管路4に関する基礎方程式を時間進行形の
差分式にして解き、それぞれのタイムステップにつき計
算を2度行い、(元の値)+(計算1回目の変化分)/
2+(計算2回目の変化分)/2を計算して次の値を求
め、偏差を更新している。この方法は、計算の安定性に
おいては、陰解法に劣るものの、その反面、計算時間の
大幅な短縮がはかれるといった実用上の利点が得られ
る。
【0052】尚、前記したシミュレーションプログラム
は、数値演算のために比較的高機能マイクロプロセッサ
が搭載されたパーソナルコンピュータにより実行される
ものであり、HDD等の磁気記録媒体、あるいはCD−
ROM等の光記録媒体に記録されて流通され、あるい
は、通信回線経由でダウンロードによって得られるもの
である。また、パーソナルコンピュータに制限されず、
マイクロコントローラ、マイクロコンピュータでも代用
可能である。
【0053】尚、本発明者は、本発明によるシミュレー
ションの結果を評価するため、図1に示すシミュレーシ
ョン対象となる空気圧回路システムを構築し、シリンダ
応答を計測した。実験には、図5に(表1)として示す
2種類の異なるサイズのシリンダA、Bを用いた。シリ
ンダA、Bとも片ロッド形であり、シリンダAは小型の
シリンダで両ポートに内径1[mm]の絞りが内蔵されてい
る。シリンダBには絞りがなくシリンダポートに速度制
御バルブを取り付けた。シリンダAでは内蔵絞りのみ
で、特に制御バルブは使用せず、この場合もメータアウ
ト駆動となる。シリンダAは無負荷で、シリンダBには
15[kg] の水平負荷を取り付けて実験を行った。
(表1)の負荷質量にはロッドの質量を含めた値を示
す。電磁バルブはパイロット形であり、供給圧力は絶対
圧で600[kPa]とした。
【0054】また、空気圧管路4はナイロンチューブを
使用し、空気圧管路4はシリンダ3のサイズを考慮し
て、シリンダAでは内径2.5[mm]、シリンダBでは
4.0[mm]のものを使用した。また、接続にはワンタッ
チ形継手を用いた。更に、シリンダ応答として、ピスト
ン変位および両シリンダ室圧力、同時に管路途中の圧力
を計測した。シリンダ室の圧力計測はシリンダ表面に直
接圧力測定孔を設けて行った。ピストン変位はポテンシ
ョメータにより、また、圧力は半導体式の圧力センサを
用いて測定した。
【0055】最初に、シリンダ単位におけるシミュレー
ションの精度について確認する。管路4が存在しない状
態はありえないので、可能な限り短くしてシリンダ応答
を計測した。このとき、管路4の長さは、シリンダAが
約0.05[m]、シリンダBが0.2[m]であり、この
程度の管路4の影響は極めて小さいと考えられる。シミ
ュレーションに用いたパッキンの摩擦力などの値を図6
に(表2)として示す。各絞りの有効断面積は、あらか
じめ面積式流量計により計測した値を用いた。また、シ
ミュレーションでは管路4に関する基礎式を省略して計
算した。
【0056】実験とシミュレーション結果との比較を図
7にグラフで示す。(a)(b)ともに管路4が短い場
合のそれぞれシリンダA、シリンダBの応答を示し、実
線は実験の結果(Experiment)、破線は本発明によるシ
ミュレーション結果(Simulatiom)を示す。図7によれ
ば、時刻0[s]で電磁バルブ1を切替えているが、図か
らもわかるように電磁バルブ1には、信号を入力してか
ら動作するまでに無駄時間が存在する。そこでシリンダ
排気側圧力が低下し始める時点を基準として、シミュレ
ーション結果と比較した。その結果、シリンダA、Bと
もに圧力応答など実験結果と完全な一致を見ることはで
きなかったが、最も重要なシリンダの移動時間等はかな
り良く合っている。
【0057】4[m]の管路を付けたときのシリンダ応
答を図8にグラフで示す。(a)はシリンダA、(b)
はシリンダBの応答を示す。上三つの図は管路4の圧力
であり、zは電磁バルブ側を原点に取ったときの圧力の
計算位置を表す。具体的な計測点は、上から順に電磁バ
ルブ1の直後、管路4中央、シリンダ3側絞り部手前と
なる。管路4の分割数は13分割数とし、計算刻み時間
は10[μs]とした。管路分割数、刻み時間をさらに
細かくしても結果が変化しないことを確認している。
【0058】シリンダA、Bとも管路4の図7における
実験と計算との差を念頭におけばシミュレーション結果
はよく一致していると言える。シリンダAでは圧力の伝
播遅れ(4[m]管路では11.6[ms]となる)によ
り、シリンダ3の圧力降下までに電磁バルブ1直後の圧
力が変化してから12[ms]ほど掛かっている。また、
シリンダBでは、管路抵抗によりシリンダ移動速度が遅
くなっている。シミュレーションではこれらのことが忠
実に再現されており、シミュレーションの妥当性は確認
された個とになる。一般的な使用条件を踏まえて、管路
4の長さが4[m]の場合以外にも、管路4を1[m]、2
[m]とした実験も行い、4[m]とほぼ同程度の一致をみ
ることができた。
【0059】シリンダAの時刻0.02[s]付近におけ
る管路内圧力に注目すると、実験では波動現象が見られ
る。差分化による方法では、数値粘性が要因となつて高
精度な差分スキームを用いないと波動圧力が鈍り、本計
算結果でも波動成分は正確には計算されていない。しか
しながら、波動による圧力変動は小さくシリンダ動作に
も全く影響せず、波動の大きさを正確に評価する必要性
が少ないことが明らかになった。換言すれば、シリンダ
のシミュレーションでは、特性格子法などにより波動現
象を捉えられることよりも、流動に伴なう圧力降下分を
正しく計算できることのほうが重要であることがわか
る。
【0060】図8の一点鎖線が有効断面積法による計算
結果である。シリンダBは、管路シミュレーションに比
較的近い結果が得られているが、シリンダAでは全くか
け離れた結果となっている。結果としては示さないが、
管路長を変えて調べた結果、管路が長くなるほどこの差
は大きくなった。有効断面積法では、管路長、使用圧
力、合成する面積比により近似誤差が異なり、シリンダ
Bにおいては偶然に結果が近いものの、他の長さでは、
近似誤差により実験との差は有効断面積法の方が管路シ
ミュレーションより必ず大きくなる傾向にあった。
【0061】シリンダAで結果が大きく異なることにつ
いて考察する。(表2)に排気、給気側のシリンダ容
積、管路容積、管路の有効断面積および計算に用いた合
成有効断面積の値を参考として示す。シリンダAでは、
シリンダ容積を上回る管路容積となつており、シリンダ
Bではシリンダ容積に比して管路容積は小さい。また、
管路の有効断面積が合成有効断面積の値に影響し、シリ
ンダBでは速度制御弁の有効断面と比較すると管路抵抗
が大きいことがわかる。
【0062】管路の有効断面積への置換の過程を考える
と、有効断面積法は、管路4の運動方程式の右辺2項目
の管摩擦抵抗分を評価していることになる。シリンダB
では管路容積が無視できるため、管摩擦抵抗が管路の影
響として最も大きい。従って、有効断面積法によりある
程度まで近似できる。ところがシリンダAでは管路容積
が大きく、容積効果を考えない有効断面積法では著しい
違いが生じたものと考えられる。有効断面積法でも配管
容積をシリンダ容積に含めて計算する方法もあり、この
計算も行ってみたが、同図(a)の二点鎖線のように逆
に応答が遅くなりすぎ、実験結果に近づけることができ
なかった。つまり管路4の持つ分布的な容積を考慮する
必要があることがわかった。即ち、シリンダ容積に比較
して管路容積が大きく、この容量効果がシリンダ応答に
影響を及ぼす場合があり、このとき上述したシミュレー
ション方法が特に有効であることが明らかになった。
【0063】以上の結果から管路シリンダ応答に与える
影響を考察すると、シリンダ応答に管路波動は影響しな
いが、シリンダAのようにシリンダの応答が速く伝播時
間が影響し、シリンダ容積に比して管路容積が支配的と
なるとき、シリンダの駆動時間に影響してくることも明
らかになった。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に係る発明
によれば、空気圧回路システムにおける正確な応答時間
予測のために抵抗以外の管路の影響も考慮してシミュレ
ーションを実現することができ、このことにより、正確
な応答予測が可能となる。
【0065】請求項2に係る発明によれば、これまで用
いられたて来た管摩擦を絞りに置換する有効断面積法に
よればシリンダ応答の計算に著しい差異が生じることが
あったが、本発明によれば、前記した管路を含めた空気
圧シミュレーションの手法を確立することによって数値
振動を抑制でき、従って、FA等において生産性を左右
するシリンダ駆動時間を正確に予測できる。
【0066】請求項3に係る発明によれば、抵抗以外の
管路の影響も考慮したシミュレーションプログラムによ
って空気圧回路システムを評価することにより、管路を
含めた空気圧シミュレーションを確立することができ
る。
【0067】請求項4に係る発明によれば、時間積分法
として、陽解法の一つであるRunge−Kutta
(二次)法を用い、空気圧回路に関する基礎方程式を時
間進行形の差分式にして解き、それぞれのタイムステッ
プにつき計算を2度行い、(元の値)+(計算1回目の
変化分)/2+(計算2回目の変化分)/2を計算して
次の値を求め、偏差を更新している。この方法は、計算
の安定性においては、陰解法の方が勝るが、その反面、
計算時間の大幅な短縮が図れるという実用上のメリット
を備えている。
【0068】以上の通り、本発明は、FA用途は勿論の
こと、ガス供給システムにおけるガス整圧器、特に、応
答特性の影響が広範囲に及ぶパイプラインの根幹に設置
される高圧、大流量の整圧器に用いて顕著な効果が得ら
れる。
【0069】更に、最近各方面で採用されつつある空気
圧サーボ機構に採用しても最適な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシミュレーションの対象となる空気
圧回路システムをJIS記号で表現した図である。
【図2】 図1における管路のシミュレーションモデル
を示す図である。
【図3】 図1におけるシリンダのシミュレーションモ
デルを示す図である。
【図4】 本発明のシミュレーション方法が具現化され
るプログラムの手順をフローチャートで示した図であ
る。
【図5】 シリンダA、Bの仕様を(表1)として示し
た図である。
【図6】 シミュレーションの条件を(表2)として示
した図である。
【図7】 短管路のシリンダ応答特性を示す図である。
【図8】 4m管路のシリンダ応答特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…電磁バルブ 2…減圧弁 3…空気圧シリンダ 4…空気圧管路 5…圧力源 6…速度コントローラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気圧管路を含むそれぞれの要素につい
    てモデル化を行い、各モデルに対してシミュレーション
    を行うことによって評価を行う空気圧回路システムのシ
    ミュレーション方法であって、前記空気圧管路を流路方
    向に適宜に分割して分布定数系として扱い、流速を含む
    ベクトル量を各要素の境界に、温度、圧力を含むスカラ
    ー量を各要素の中心に定義して差分化すること、を特徴
    とする空気圧機器のシミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 前記空気圧管路を流路方向に適宜に分割
    することにより得られる分割領域要素の各々につき、基
    礎方程式である(1)連続の式、(2)状態方程式、
    (3)運動方程式、及び(4)エネルギ方程式を、以下
    の差分式を演算することによって求めることを特徴とす
    る請求項1に記載の空気圧機器のシミュレーション方
    法。 (1)∂Wpi/∂t=Gpi−Gpi+1 (2)VPi(dPPi/dt)=RθPi(Gpi-1−Gpi
    +RWPi(dθPi/dt) (3)WPi{∂uPi/dt+|ui|(∂uPi/∂z)}
    =Ap(PPi−PPi+1)−λ/2d(WPiPi|uPi|) ここで、 WPi=(ρPi-1+ρPi)/2・Ap・δz、 ∂uPi/∂z=(uPi+1−uPi-1)/2δzとし、λは
    定常値を用い、層流域では理論値を、乱流域ではBla
    sius式から計算される値を用いるものとする。 (4)d/dt(WPivθPi)=Shp(θa−θPi)+
    Pi・Cv・θPi-1+PPi-1(GPi/ρPi-1)−GPi+1
    vθPi−PPi(Gpi+1/ρPi) 但し、Aは管路断面積[m2]、dは管路内径[m]、
    Gは体積流量[kg/s]、Pは圧力[Pa]、Rはガ
    ス定数[J/(kgK)]、uは管内流速[m/s]、V
    は分割管路体積[m3]、Wは空気質量[kg]、zは
    管路長[m]、θは温度[K]、ρは空気密度[kg/
    3]、添字iは要素番号、Pは管路とする。
  3. 【請求項3】 空気圧回路システムに用いられ、システ
    ムを構成する、バルブ、管路、シリンダのそれぞれをモ
    デル化してシミュレーションを行うシミュレーションプ
    ログラムであって、 偏差を計算してコントローラ出力を求めるステップと、 前記バルブにおいて、入力変化、バルブ有効断面積を計
    算して絞り通過流量式から流量を求めるステップと、 前記管路において、管路を流路方向に適宜に分割するこ
    とにより得られる分割領域要素内の空気質量を求め、前
    記要素の各々につき、基礎方程式である運動方程式、エ
    ネルギ方程式、及び状態方程式から、それぞれ、流速、
    温度、圧力の変化分を求めるステップと、 前記シリンダを構成する各シリンダ室において、エネル
    ギ方程式から温度変化分を求め、状態方程式から圧力変
    化分を求め、更に、運動方程式からピストンに作用する
    力を計算し、速度変化分と変位変化分を求めるステップ
    と、 タイムステップを進め、前記偏差を更新してコントロー
    ラ出力を求めるステップと、 がプログラムされ記録されるコンピュータ読み取り可能
    な記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記管路に関する基礎方程式を時間進行
    形の差分式にして解き、それぞれのタイムステップにつ
    き計算を2度行い、(元の値)+(計算1回目の変化
    分)/2+(計算2回目の変化分)/2を計算して前記
    偏差を更新するステップ、が更にプログラムされ記録さ
    れる請求項3に記載のコンピュータ読み取り可能な記録
    媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7076413B2 (en) 2000-11-16 2006-07-11 Smc Kabushiki Kaisha Simulation result displaying apparatus for a pneumatic device and record of displayed result
KR20150043632A (ko) * 2013-10-14 2015-04-23 대우조선해양 주식회사 Bop 작동 교육 시스템

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20150043632A (ko) * 2013-10-14 2015-04-23 대우조선해양 주식회사 Bop 작동 교육 시스템
KR102130718B1 (ko) * 2013-10-14 2020-07-07 대우조선해양 주식회사 Bop 작동 교육 시스템

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