JPWO2006030985A1 - 過酸化脂質の測定方法 - Google Patents

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博子 木村
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Abstract

抗4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)抗体と抗HNE抗体に結合する修飾抗体を用いるサンドイッチ式時間分解蛍光免疫測定による過酸化脂質の測定方法であって、第1抗体として抗HNE抗体Aを担体上に固定した担体に被測定試料を接触させ、次に被測定試料に第2抗体として抗HNE抗体Bを接触させ、さらにこの第2抗体に第3抗体として修飾抗体を接触させ、この第3抗体にランタノイドを接触させて、第1抗体、被測定試料、第2抗体、第3抗体およびランタノイドからなる複合体を形成させ、複合体のランタノイドの蛍光を測定する。すなわち、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)を高感度、高精度、短時間・低コストで、感染症動物モデルや女性の閉経・ストレス負荷に伴う血中HNEの変化等を測定できる過酸化脂質の測定方法を提供する。

Description

本願発明は、過酸化脂質の測定方法に関するものである。
生態における脂質は、生体内で発生する活性酸素によって、たとえば4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)やマロンジアルデヒド(MDA)、チオバルビツール酸反応物(TABARS)等のような過酸化脂質となることが知られている。このような脂質の過酸化(過酸化脂質)が、動脈硬化症、糖尿病、虚血性心疾患、高血圧症、高脂肪血症等の各種の疾病に関与することが、近年明らかにされてきている。このため、生体内の脂質の過酸化の状態を把握して、その結果を上記各種の疾病の重症度、病態評価、治療薬や食事療法の方針決定や効果判定等に活用すべく、各種の手法が検討されている。たとえば、脂質の過酸化物がチオバルビツール酸と反応することを利用したTBA法や、赤血球内ヘモグロビン中のグルタチオン付加ヘモグロビン量を酸化ストレスのマーカーとして測定する酸化ストレスの測定方法が提案されている。
特に、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)は、生成量や反応性、生理作用等から最も代表的な過酸化脂質である。このため、このHNEを、高速液体クロマトグラフィーを利用して測定する方法等が開発され臨床検査にも応用されている。さらに、より効率的なHNEの測定として、たとえば、HNEに対する特異抗体(抗HNE抗体)を作成し、これをELISAに用いた免疫学的測定法が提案されている(特許文献1)。
特開平8−168394号公報
従来からある過酸化脂質の測定であるTBA法や、グルタチオン付加ヘモグロビン量による測定、高速液体クロマトグラフィーによるHNE測定方法等では、抽出操作や反応生成物の測定操作が困難であることや、測定感度が低く、測定の精度が十分でないという問題があった。また、各種クロマトグラフィー質量分析計等を利用して測定する過程で、競合阻害をする類似物質の除去や感度の向上のためにカラムによる分離を行う必要があり、測定に長時間を要した。さらに、比較的高価な機器や維持費用を要する等、コストが高くなる問題もあった。
一方、特許文献1記載の方法は、上記の問題を解決し、短時間に多数の検体を測定できる利点を有するものの、使用する抗体(つまり、抗HNE抗体)の抗体量や、抗体と抗原との結合能力を示す力価に左右されてしまい、必ずしも高感度・高精度にHNEを測定することができなかった。このため、高感度・高精度にHNEを測定することが要求される、過酸化脂質(つまり、HNE)が関与する種々の疾病やストレス、つまり、たとえば女性の閉経・ストレス負荷に伴う血中HNEの変化を捉えることや、また、これら疾病やストレス等のモデル動物、たとえば感染症動物モデルの血中HNEの変化等を捉えるまでには至っていないという問題があった。
そこで、本願発明は、従来の脂質過酸化物測定技術の問題点を解決すべく、代表的な過酸化脂質である4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)を高感度、高精度、短時間、かつ、低コストで、たとえば、感染症動物モデルや女性の閉経・ストレス負荷に伴う血中HNEの変化等を測定することのできる、新しい過酸化脂質の測定方法を提供することを課題としている。
本願発明は、前記の課題を解決するものとして、第1には、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)特異的に結合する2つの抗HNE抗体とこの抗HNE抗体に結合する修飾抗体を用いるサンドイッチ式時間分解蛍光免疫測定による過酸化脂質の測定方法であって、以下の工程:
<1> 担体上に、第1抗体として抗HNE抗体Aを固定し、第1抗体固相化担体とする工程;
<2> 前記第1抗体固相化担体に、被測定試料を接触させる工程;
<3> 前記被測定試料に、第2抗体として抗HNE抗体Bを接触させる工程;
<4> 前記第2抗体に、第2抗体と結合する第3抗体として結合性物質で修飾された修飾抗体を接触させる工程;
<5> 前記第3抗体に、上記<4>の工程の結合物質と対応する結合性物質で修飾されたランタノイドを接触させる工程;および
<6> 上記<1>から<5>の工程によって、第1抗体、被測定試料、第2抗体、第3抗体およびランタノイドからなる複合体を形成させ、この複合体のランタノイドが発する蛍光を測定する工程;
を含むことを特徴とする。
また、本願発明は、第2には、上記第1の発明における結合性物質が、ビオチンとストレプトアビジンであることを特徴とし、第3には、上記第1または第2の発明におけるランタノイドが、サマリウム、ユウロピウム、テルビウムおよびジスプロシウムの内の少なくとも1つであることを特徴とする。
図1は、本願発明にかかる過酸化脂質測定方法の工程を例示した概略図である。
図2は、本願発明の過酸化脂質の測定方法である2種類の抗HNE抗体(第1抗体と第2抗体)と第3抗体を用いた場合と、2種類の抗HNE抗体を用いた場合との比較評価の結果を示した図である。
図3は、本願発明の過酸化脂質の測定方法による、HNE各濃度の測定評価の結果を示した図である。
図4は、従来の過酸化脂質の測定方法(競合式ELISA)による、HNE各濃度の測定評価の結果を示した図である。
図5は、本願発明の過酸化脂質の測定方法による、敗血症モデル動物(ラット)の血中HNE濃度の測定結果(A)と、HNE濃度とNADPH酸化酵素との関係を検証した結果(B)を示した図である。
図6は、本願発明の過酸化脂質の測定方法による、心理ストレス負荷を与えたヒトの血中HNE濃度の測定結果を示した図である。
図7は、本願発明の過酸化脂質の測定方法による、in vitro実験として、ヒト末梢血のHNE濃度の測定結果(A)と、HNE濃度とNADPH酸化酵素との関係を検証した結果(B)を示した図である。
本願発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
本願発明は、生体(特に血中)において、その生成量や反応性(たとえば、タンパク質と安定に結合)、生理作用等から最も代表的な過酸化脂質ともいえる、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)を測定の対象としている。本願発明は、このHNEと特異的に結合する2種類の抗HNE抗体を用いるサンドイッチ式時間分解蛍光免疫測定(TR−FIA)であって、さらに前記2種類の抗HNE抗体のうちの一方の抗HNE抗体に結合する修飾抗体を用いる過酸化脂質の測定方法である。図1の例に沿って、具体的にその工程を説明すると、以下の工程を経ることで、本願発明の過酸化脂質の測定を実現することができる。すなわち:
まず、第1工程として、試験管や培養シャーレ、測定プレート等の担体上に、第1抗体として抗HNE抗体Aを固定して、担体を第1抗体固相化担体とする工程を行う。このとき、第1抗体としての抗HNE抗体Aは、HNEとの特異的な結合反応を高めるため、モノクローナル抗体であることが好ましい。
つぎに、第2工程として、前記第1抗体固相化担体に、たとえば、ヒトやサル、マウス、ラット、ヒツジ、ウマ等の生体から公知の方法で被測定試料(たとえば、血液)を採取し、前処理を行って希釈調整した被測定試料を接触させることで、第1抗体固相化担体の第1抗体と被測定試料中に含まれるHNEもしくはHNE付加物質とを結合させる。もちろん、被測定試料の由来は、上記生体由来である天然の試料に限定されるものではない。
つづいて、第3工程として、リン酸緩衝液やトリス緩衝液等の洗浄液で、第2工程における余分な成分(たとえば、未結合のHNEもしくはHNE付加物質等)を洗浄した後、前記被測定試料に、第2抗体として抗HNE抗体Bを接触させることで、被測定試料中に含まれるHNEもしくはHNE付加物質に、第2抗体がさらに結合する。これにより、HNEもしくはHNE付加物質は、第1抗体と第2抗体との間に挟まれた状態(サンドイッチ)となる。このとき、第2抗体は、ポリクローナル抗体であってもよい。なお、洗浄液には、必要に応じて、界面活性剤としてTween−20(登録商標)やTriton−X(登録商標)等や、ブロッキング剤としてスキムミルクやウシ血清アルブミン(BSA)等を含有させてもよい。
第4の工程として、第3工程と同様に洗浄液で、余分な成分(たとえば、未結合の第2抗体等)を洗浄した後、前記第2抗体に、第3抗体として結合性物質で修飾された修飾抗体を接触させて、第2抗体と第3抗体とを結合させる。
さらに、第5の工程として、第3工程および第4工程と同様に洗浄液で、余分な成分(たとえば、未結合の第3抗体等)を洗浄した後、前記第3抗体に、第4の工程における修飾抗体の結合物質と対応する結合性物質で修飾されたランタノイドを接触させ、結合性物質を介して第3抗体とランタノイドとを結合させる。
そして、第6の工程として、上記第1の工程から第5の工程によって、第1抗体、被測定試料、第2抗体、第3抗体およびランタノイドから構成される複合体を形成させ、この複合体のランタノイドが強く発する金属イオン特有の蛍光を、分光光度計や蛍光測定器、マルチラベルカウンター等で測定する。
したがって、本願発明では、使用する抗体(第1抗体である抗HNE抗体Aおよび第2抗体である抗HNE抗体B)の力価が低い場合でも、被測定試料の血清中の代表的な過酸化脂質であるHNEもしくはHNE付加物質を高感度、高精度、短時間、かつ、低コストで測定できることから、臨床応用に活用することができる。つまり、このような特徴を有する本願発明によって、従来のHNE測定方法では困難であった、たとえば、感染症動物モデルや女性の閉経・ストレス負荷に伴う血中HNEの変化等を測定することができる。その他にも、本願発明は、脂質過酸化(過酸化脂質)が関与する動脈硬化症、糖尿病、虚血性心疾患、高血圧症、高脂肪血症等の重症度、病態評価、治療薬や食事療法の方針決定や効果判定等に活用することができる。さらにまた、本願発明の測定方法は、従来、酸化ストレスや脂質過酸化の関与確証が得られなかった炎症、閉経、心理的ストレス、喫煙、飲酒等に対しての評価にも活用することができることも考慮される。
また、本願発明における結合性物質が、ビオチンとストレプトアビジンであることが好ましい。ビオチンとストレプトアビジンは生体結合性物質であり、この両物質による結合は特異的で強い等から、その取り扱いが容易である。
さらに、特定の配位子と錯生成をすると金属イオン特有の蛍光を強く発することを考慮すると、ランタノイドが、サマリウム、ユウロピウム、テルビウムおよびジスプロシウムの内の少なくとも1つであることが好ましい。ランタノイドの蛍光は、通常の有機蛍光化合物の蛍光と比べると、これらの錯体の蛍光は次の優位な特徴を有している。つまり、<1>蛍光寿命が非常に長い。たとえば、通常の有機蛍光化合物は、数ナノ秒の蛍光寿命であるが、ランタノイドの蛍光、その中でも特にユウロピウムとテルビウムは、数百マイクロ秒以上の蛍光寿命を有する。<2>ストークスシフトが非常に大きい。多くの場合、これらのランタノイドは紫外光を吸収して励起され、500nm以上の可視光を発する。一番強い発光の波長は、ユウロピウムで約615nm、サマリウムで約643nm、テルビウムで約545nm、ジスプロシウムで約574nmである。<3>蛍光発光ピークの半値幅が約10−20nmであり、非常にシャープである。本願発明の過酸化脂質の測定方法は、このような特徴を有するランタノイドを利用することで、様々な短寿命のバックグラウンド蛍光をなくすことができ、より高感度な測定を実現することができる。
本願発明の過酸化脂質の測定方法における、抗HNE抗体は、市販のものでもよいし、公知である種々の抗体作製方法によって作製することもできる。たとえば、抗原(この場合、HNE)感作させたラットやマウス、ウサギ、ヒツジ、ヤギ等の動物の血清免疫グロブリンの画分から、抗原アフィニティーカラム等を利用して精製したり(ポリクローナル抗体)、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合させて融合細胞を作製する細胞融合法を利用して抗体を作製したり(モノクローナル抗体)、さらに遺伝子組換え技術によっても抗体を作製することができる(モノクローナル抗体)。
以下に実施例を説明し、さらに詳しく本願発明の過酸化脂質の測定方法について説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
実施例1:過酸化脂質の測定方法の評価
(1)2種類の抗HNE抗体を用いた場合と、さらに第3抗体として第2抗体に対するビオチン化抗体を用いた場合との比較評価
本願発明の過酸化脂質の測定方法は、2種類の抗HNE抗体を用いてのサンドイッチ式時間分解蛍光測定である。そこで、ランタノイドとしてEu3+を用いて、2種類の抗HNE抗体(第1抗体および第2抗体)を用いたサンドイッチ式時間分解蛍光測定と、さらに第3抗体として第2抗体に対するビオチン化抗体を用いたサンドイッチ式時間分解蛍光測定とを比較評価した。
なお、本実施例における第1抗体はモノクローナル抗体(2.5μg/ml,100μl/well)を、第2抗体はポリクローナルウサギ抗体(3.6μg/ml 50μl)を、第3抗体はビオチン化ウサギIgG(7.5μg/ml,50μl)を、そして、Eu3+はストレプトアビジン結合Eu3+−BHHCTを用いた。そして、波長615nmでEu3+が発する蛍光を測定した。反応固相は蛍光測定用μタイタープレート「Fuloronunc」を用い,蛍光測定はArvoSX1420を利用して行った。
結果は、図2に示したとおり、2種類の抗HNE抗体とさらに第3抗体を用いた場合(図2中の丸印で示したグラフ)のほうが、2種類の抗HNE抗体を用いただけの場合(図2中の三角印で示したグラフ)よりも、最大で約10倍も最小検出感度が優れていることを確認できた。
(2)ヒト血清中における本願発明の過酸化脂質の測定方法の評価
ヒト血清中に含まれるHNEの回収率を測定し、測定精度を評価した。具体的には、ヒト血清0.157nmol/mlに、0.001nmol/ml、0.01nmol/mlおよび0.1nmol/mlのHNEを加え、その添加回収率を、本願発明の過酸化脂質の測定方法で測定した。
結果は、表1に示したとおりであった。すなわち、いずれのHNE添加濃度でも、高い回収率を示し、微量のHNEでも検出でき、測定感度および測定精度が高いことを確認できた。
Figure 2006030985
(3)各濃度におけるHNEの測定の評価
さらに、0.0001nmol/ml、0.001nmol/ml、0.01nmol/ml、0.1nmol/ml、1nmol/ml、10nmol/mlおよび100nmol/mlのHNEにおける蛍光強度を、サンドイッチ式時間分解蛍光測定で測定した。なお、ランタノイドは、Eu3+を用いた。
結果は、図3に示したとおり、HNEの濃度依存的に蛍光強度が上昇した。つまり、HNEの濃度が高いほど、蛍光を発するEu3+が、第1抗体や第2抗体、第3抗体を介してHNEに多く結合していることが分かる。しかも、図3の結果をみると、HNEの濃度が、0.0001nmol/ml(0.1μM)であっても、蛍光測定できることが確認できた。本願発明の方法では、血中HNEの測定感度が、従来のHNE測定方法(たとえば、特開平8−168394号公報)の測定感度(約0.1mM)に比べて、1000倍高いことが確認された。そして、比較実験として行った、従来の競合式免疫分析法(競合式ELISA)による蛍光強度の測定(波長450nm)の場合では、図4に示したとおり、HNE濃度依存的に蛍光強度が低下することが確認できた。この競合ELISAのHNEの検出感度は約1nmol/mL(1μM)であり、これに比べても高い検出感度であることが確認できた。
また、表2に示した本願発明の過酸化脂質の測定方法における誤差(CV%)は、併行精度(intra−assay precision)を行ったところ、小さいことが確認できた。さらに、表3に示した従来の競合式免疫分析法(競合式ELISA)の場合と比べても小さいことが確認できた。つまり、本願発明による過酸化脂質の測定方法の測定精度は、従来に比べて優れていることが確認できた。
なお、表2における、Flu1、Flu2およびFlu3は、Euの615nmの蛍光強度を表し、それぞれn=2またはn=3で行った結果を表している。また、表3における、Abs1、Abs2およびAbs3は、450nmの吸光度を表し、n=3で行った結果を表している。
Figure 2006030985
Figure 2006030985
実施例2:敗血症モデル動物の血中HNE濃度の測定(in vivo)
(1) 敗血症モデル動物として、ラット(n=3)に細胞毒であるリポ多糖(lipopolysccaride、LPS)を0.5mg/kgを投与した。LPS投与後、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間および24時間における血中HNEを測定した。
結果は、図5(A)に示したとおりであった。LPSを投与した後、3つのピークがあり、HNEが上昇していた。これは感染症の初期の血中過酸化脂質上昇を示したはじめての結果である。この結果より、本願発明の過酸化脂質の測定方法は、高感度な炎症指標として活用することができることを確認することができた。
(2) また、HNE生成に関与するNADPH酸化酵素についても検証するため、3グループ(n=4、各グループ)のラットに、前処理として、75mg/kgのアポシニン(apocynin;Calbio−chem,la Jolla,CA)または0.6%のジメチルスルフォキシド(DMSO)もしくは生理食塩水を投与し、30分後に実験を行った。その後、このラットにLPSを投与し、20分間静置し、血中のHNEを測定した。
結果は、図5(B)に示したとおり、アポシニンを用いた場合、HNE濃度は顕著に抑制された。アポシニンは、NADPH酸化酵素の活性阻害物であることから、NADPH酸化酵素がHNE生成に関与していることが示唆された。
実施例3:心理ストレス負荷を与えたヒトの血中HNE濃度の測定
被験者として、閉経女性(n=7)と若年女性(n=5)に対して、カラーワードテストを行い、被験者それぞれの血中のHNE濃度を測定した。測定のタイミングは、休憩時(図6中のrest)、カラーワードテスト時(図6中のCW)およびカラーワードテスト終了時(図6中のrecovery)であった。
結果は、図6に示したとおり、閉経女性は、若年女性と比べ全体的にHNEの濃度が高かった。また、ストレス負荷後の上昇度が高かった。つまり、閉経女性は、若年女性と比較して、血中脂質過酸化(酸化ストレス)の平常時のレベルが高く、心理ストレス負荷によってより高度に上昇することがわかった。このことより、閉経後の女性の虚血性心疾患硬化発症率の上昇に、脂質過酸化が関与していることが示唆された。なお、若年女性の月経期(M−Phase)および排卵期(F−Phase)において、大きな差異はなかった。
実施例4:ヒト末梢血におけるHNE濃度の測定(in vitro)
(1) ヒト末梢血を、密度勾配遠心法で、単核性白血球と多形核性白血球とに分画し、リン酸緩衝液(PBS,pH7.3)で2回洗浄した。この各分画を、それぞれ血漿で再懸濁し、LPS(7.2μg/mL;血漿で溶解)を加えて、測定試料として調整した。この測定試料(単核性白血球含有試料および多形核性白血球含有試料)を、37℃で、10分間、20分間、30分間、60分間インキュベーションして、HNEを測定した。
結果は、図7(A)に示したとおり、特にインキュベーション時間10分のピークにおいて、HNE濃度は、単核性白血球含有試料の方が、多形核性白血球含有試料によりも高いことを測定、確認することができた。なお、このインキュベーション時間10分でピークが確認できたことは、図には示していないが、実施例2のラットを用いた血中のHNE濃度測定(in vivo)よりも、早い段階(実施例2では、20分)で測定されたものである。
(2) また、HNE生成に関与するNADPH酸化酵素についても検証した。具体的には、上記の単核性白血球含有試料を、NADPH酸化酵素の活性阻害物であるアポシニン(apocynin;Calbio−chem,la Jolla,CA)を用いて30分間の前処理を行い、その後、LPSと37℃で15分間のインキュベーションを行った。また、DMSO(0.2mM,0.2%)、生理食塩水を用いた場合もそれぞれ検証した。
結果は、図7(B)に示したとおり、アポシニンを用いた場合、HNE濃度は顕著に抑制された。アポシニンは、NADPH酸化酵素の活性阻害物であることから、NADPH酸化酵素がHNE生成に関与していることが改めて示唆された。
本願第1の発明によれば、測定対象として、その生成量や反応性、生理作用等から最も代表的な過酸化脂質である4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)を、高感度かつ高精度に測定でき、測定に要する時間を短縮でき、しかもコストを低減することをもできる。
また、第2の発明によれば、第3抗体とランタノイドとをより確実に結合させることができ、より高感度に過酸化脂質を測定することができる。
さらに、第3の発明によれば、ランタノイドの長寿命蛍光を利用した時間分解蛍光測定により生体物質中に含まれる蛍光を除去して測定のバックグラウンドを下げ、さらに効率よく過酸化脂質を測定することができる。

Claims (3)

  1. 4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)に特異的に結合する2つの抗HNE抗体とこの抗HNE抗体に結合する修飾抗体を用いるサンドイッチ式時間分解蛍光免疫測定による過酸化脂質の測定方法であって、以下の工程:
    <1> 担体上に、第1抗体として抗HNE抗体Aを固定し、第1抗体固相化担体とする工程;
    <2> 前記第1抗体固相化担体に、被測定試料を接触させる工程;
    <3> 前記被測定試料に、第2抗体として抗HNE抗体Bを接触させる工程;
    <4> 前記第2抗体に、第2抗体と結合する第3抗体として結合性物質で修飾された修飾抗体を接触させる工程;
    <5> 前記第3抗体に、上記<4>の工程の結合物質と対応する結合性物質で修飾されたランタノイドを接触させる工程;および
    <6> 上記<1>から<5>の工程によって、第1抗体、被測定試料、第2抗体、第3体およびランタノイドからなる複合体を形成させ、この複合体のランタノイドが発する蛍光を測定する工程;
    を含むことを特徴とする過酸化脂質の測定方法。
  2. 結合性物質が、ビオチンとストレプトアビジンである請求項1記載の過酸化脂質の測定方法。
  3. ランタノイドが、サマリウム、ユウロピウム、テルビウムおよびジスプロシウムの内の少なくとも1つである請求項1または2記載の過酸化脂質の測定方法。
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