JPWO2006030492A1 - Glp−1誘導体が集積された植物及び植物貯蔵器官とその生産方法 - Google Patents
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Abstract
安価にGLP−1誘導体が経口摂取できる方法を開発し、糖尿病治療に役立てるために、GLP−1誘導体が集積された植物及び植物貯蔵器官とその生産方法を提供するものである。GLP−1(7−36)、又はそのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列でC末端がArg又はLysからなり、かつGLP−1活性を有するGLP−1誘導体をコードするDNAをn個(nは3以上の整数)直列に繋いだ連結GLP−1−DNAをベクター中に組み込んで植物細胞中に導入し、得られた形質転換体を再分化させることにより、GLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する。該形質転換植物及び植物貯蔵器官は、糖尿病の治療又は予防用の医薬組成物或いは飲食品として有効である。
Description
本発明は、医薬品分野から食品分野にまたがるもので、GLP−1誘導体が集積された形質転換植物及びそこから得られる植物貯蔵器官と、その生産方法、更には、該植物或いは植物貯蔵器官を用いた糖尿病の治療若しくは予防のための、医薬組成物、又は飲食品材料或いは飲食品に関する。
GLP−1(Glucagon like peptide-1)は食物摂取により消化管より分泌され、膵臓に働いて糖濃度依存的なインスリン分泌を刺激するホルモンとして知られている。2型糖尿病患者では、このGLP−1に対する応答性は維持されているが、量的な不足がいわれている。GLP−1製剤の開発は、GLP−1の不足分を補い、インスリン分泌促進剤としての糖尿病治療薬への応用に期待が持たれている。
しかしながら、GLP−1の活性本体はGLP−1(7−36)amide或いはGLP−1(7−37)のポリペプチドであり、単なるGLP−1の経口摂取では消化管内で消化酵素により消化・分解され、十分に機能しない。このため臨床では、点滴による静脈内注射や皮下注射が試みられているのが現状である。しかも、GLP−1は、血中や組織に存在するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)によって分解を受け、活性半減期が1〜2分と非常に短いことや、腎臓から排泄され易く血中半減期が5分以内であることが報告されており、これらが臨床応用へのネックになっている。そこで、分解されにくく半減期の長いGLP-1誘導体の開発が行われている。例えば、8位アミノ酸置換誘導体(Diabetologia 41: 271-278 (1998), Biochem 40: 2860-2869 (2001))、N末端およびC末端アミノ酸の修飾体(WO9808871など)、34位をArgに置換し26位Lysに疎水性基を導入した誘導体(WO0007617)、及び配列全般に渡るアミノ酸置換による誘導体(WO9943705、WO9111457)である。また、皮下からの吸収が遅い徐放型注射剤の開発等が行われている。しかし、これらは注射剤であり、患者の負担を考慮すると、注射以外の経路で投与されるGLP−1が望まれる。
一方、遺伝子工学技術を利用した医薬品、臨床検査薬や工業原料の生産は、既に実産業において多大の貢献をなしており、中でも微生物又は哺乳類培養細胞を宿主とした物質生産系は広く利用されている。しかしながら、これらの細胞を培養するには、無菌環境が整った培養設備や培地等の設備が必要であり、その培養はコスト高となっている。また、哺乳類細胞を宿主として用いた場合には、人体に有害なウイルスの混入リスクが避けられない。そのため、微生物や哺乳類細胞の培養による物質生産にかわる、安価で安全な形質転換植物を用いた物質生産システムの開発が行われている。例えば、生分解性ポリエステル等の高分子化合物(例えば、特開2002−262886号公報)、ワクチン(例えば、G. Jaeger et al., Eur. J. Biochem. 259, 426, 1999)やラクトフェリン(D. Chong et al., Transgenic. Res. 9, 71, 2000)等のタンパク質、エンケファリン(特開2000−106890号公報)等のペプチドを生産する形質転換植物の作製が現在までに報告されている。
形質転換植物の場合、その植物の可食部、例えば、ダイズやイネの種子、野菜の葉などで人体に有益な機能性物質を生産させれば、目的物質の抽出工程を経ることなく、直接人体に経口摂取することが可能である。更に、種子の場合には、冷蔵装置の完備した設備で保存や輸送を行う必要がなく、室温での安定的な長期保存が可能である。また、目的の物質を抽出する場合にも、種子は葉と異なり、フェノール性物質の混入がほとんどないため、容易に精製することができる。したがって、種子は目的の遺伝子産物を生産させる器官として理想的と考えられ、これまでに、例えば、グリシニン(T. Katsube et al., Plant. Physiol. 120, 1063, 1999)等のタンパク質、(1,3−1,4)−β−グルカナーゼ(H. Horvath et al., Proc. Nathl. Acad. Sci. USA., 97, 1914, 2000)等の酵素、エンケファリン(D. Chong et al., Transgenic. Res., 9, 71, 2000)等のペプチドを産生する種子の作製が報告されている。
GLP−1は糖尿病治療に有用なことが認められているが、ポリペプチドであるがために、現状では注射以外に有効な投与方法がない。経口投与ではGLP−1が効果を発揮するには多量に投与する必要があり、高価なものになっている。そこで本発明の課題は、経口摂取できる植物にGLP−1誘導体を大量発現させて、それを経口摂取することにより、GLP−1誘導体を十分に経口摂取できる方法、即ち、GLP−1誘導体が集積された植物及び植物貯蔵器官とその生産方法を提供することにある。更に、本発明の究極の目的は、安価にGLP−1誘導体が経口摂取できる方法を開発し、糖尿病治療に役立てることにある。
GLP−1は、植物にその発現を確認した例はない。また、たとえ遺伝子組換えにより遺伝子を導入し、植物体あるいは植物貯蔵器官内で発現を試みても、アミノ酸数30個からなる低分子ペプチドであるため異物として認識されやすく、蓄積しない可能性があった。そこで、本発明者らは、適度な分子量を確保しつつ高発現を実現するために、GLP−1誘導体を数個連結したペプチドをコードする人工遺伝子を調製し、植物に導入することにした。また、GLP−1誘導体が発現・蓄積した植物もしくは植物貯蔵器官が摂食され消化吸収を受ける間に、連結して発現したGLP−1誘導体が、内因性のトリプシンもしくはトリプシン様活性を持つ酵素による切断を受けて単体のGLP−1誘導体になるように、各GLP−1誘導体のC末端には、トリプシンおよびトリプシン様酵素の認識部位となるアルギニン(Arg)残基又はリジン(Lys)残基を置いた。このような思考の経緯で、本願発明は完成された。
即ち、本願発明は、GLP−1(7−36)、又はGLP−1(7−36)のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列でC末端がArg又はLysからなり、かつGLP−1活性を有するアミノ酸配列のからなる、GLP−1誘導体をコードするDNAをn個(nは3以上の整数)直列に繋いだ連結GLP−1−DNAをベクター中に組込んで植物細胞中に導入し、得られた形質転換体を再分化させることを特徴とする、GLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法からなる。
ここで、前記連結GLP−1−DNAは、植物貯蔵器官特異的プロモーターDNA及び植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列をコードするDNAの下流に位置させて、ベクター中に組込むことができる。また更に、前記連結GLP−1−DNAは、植物の貯蔵タンパク質DNAの可変領域をコードするDNA領域へ挿入又は塩基置換した形でベクター中に組み込むこともできる。他にも、前記連結GLP−1−DNAは、サイトカイニン関連遺伝子、薬剤耐性遺伝子及び脱離能を有するDNA因子とともに、サイトカイニン関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子が脱離能を有するDNA因子と挙動を一にする位置に、また、連結GLP−1−DNAが脱離能を有するDNA因子とは挙動を一にしない位置に位置するようにベクター中に組込むこともできる。この3つ目の方法では、該組み換えベクターが導入された植物細胞を、薬剤添加培地及び薬剤非添加培地にて培養を行って形質転換体を再分化させることにより、宿主細胞中に連結GLP−1−DNAを導入する際の指標として用いる選抜マーカー遺伝子が除去された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を最終的に得ることができるので、好ましい。尚、これらの連結GLP−1−DNAをベクター中に組み込む方法を組み合わせて使用してもよい。
また、使用するGLP−1誘導体としては、GLP−1アミノ酸配列の26位をグルタミンに、34位をアスパラギン又はアスパラギン酸に置換したGLP−1誘導体や、アミノ酸配列の8位をセリン又はグリシンに置換したGLP−1誘導体が好適である。GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nは、好ましくは4〜8であり、5が最適である。使用する植物としては、特に限定されることはないが、単子葉植物が好ましく、イネ等を例示することができる。
本願発明は更に、これらの方法を実施することにより得られた、GLP−1誘導体が集積される形質転換植物又はその植物貯蔵器官にも係る。これらのGLP−1誘導体が集積される植物又は植物貯蔵器官は、糖尿病の治療若しくは予防のための医薬組成物、飲食品材料、或いは飲食品として利用される。
本発明の実施に用いるGLP−1誘導体は、GLP−1(7−36)又はそのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列でC末端がArg又はLysからなり、かつGLP−1活性を有するGLP−1誘導体である。言い換えれば、GLP−1の前駆体、類縁体、又はこれらのC末端アミド体で、C末端のアミノ酸がArg又はLysからなるものである。このようなGLP−1誘導体としては、経口摂取されることから、アミノ酸置換によりトリプシン及び/又はジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)に耐性型のものが好ましい。即ち、GLP−1アミノ酸配列の26位をグルタミンに、34位をアスパラギン又はアスパラギン酸に置換したトリプシン耐性GLP−1誘導体や、アミノ酸配列の8位をセリン又はグリシンに置換したDPPIV 耐性GLP−1誘導体が好適である。中でも、これらの両者の置換を有するトリプシン及びDPPIVに耐性のGLP−1誘導体が最適である(GLP−1誘導体:配列表の配列番号1:[Ser8,Gln26,Asn34]-GLP-1)。
上記GLP−1誘導体をコードするDNAは、ゲノムDNA、cDNA、及び当該ペプチドのアミノ酸配列情報を基に化学合成DNAから調製できcDNAの調製は、当業者の常套手段を利用して行うことが可能である。また、DNAの合成は、市販のDNA合成機等を利用して、適宜実施することができる。その際、植物の貯蔵タンパク質遺伝子でよく使用されるコドンを参考に、アミノ酸の縮重等を考慮して目的のDNAに改変することができる。イネ種子の場合には、イネ種子で効率良く翻訳されるように、当該ペプチドをコードするDNA配列を、イネ種子貯蔵タンパク質遺伝子において高頻度に使用されるコドンに倣って作製することができる。
上記で得られたGLP−1誘導体のDNAを、常套手段によって直列に結合させる。本発明では、GLP−1誘導体を3個以上連結させて発現させることを特徴とする。3個以上連結させることにより、植物体中で安定したGLP−1誘導体の発現が期待でき、GLP−1誘導体を高濃度に含有した植物又は植物貯蔵器官を得ることができる。GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nは、好ましくは4〜8であり、5が最適である。
連結させたGLP−1誘導体のDNA、すなわち連結GLP−1−DNAは、(A)単独で発現させるか、もしくは、(B)植物貯蔵タンパク質遺伝子の可変領域の中に挿入して融合タンパクとして発現させることができる。(A)の方法においては、そのまま組み込み、GLP−1誘導体を単独で発現・集積させることによって、食べた時に消化を受けないで直接口腔内から吸収されることが期待される。一方、(B)の方法においては、例えば、植物貯蔵タンパク質であるグルテリンの可変領域の中に挿入し、グルテリン貯蔵タンパク質の一部として発現・集積させることによって、小腸から吸収されることが期待される。どちらの方法においても、連結GLP−1−DNAは、その5’末端に植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列をコードするDNAを付加し、植物貯蔵器官特異的プロモーターの制御下で発現させることができる。
連結GLP−1−DNAを植物体内において植物貯蔵器官特異的プロモーターの制御下で発現させるためには、通常、当該DNAの発現が可能なように植物貯蔵器官特異的プロモーターと当該DNAとを結合させたDNAを、植物へ導入することによって実施することができる。プロモーターの制御を受けるように該プロモーターの下流に発現させたい所望のDNAを配置させることは、一般的な遺伝子工学技術を用いて実施することができる。
植物貯蔵器官特異的プロモーターは、発現させたい遺伝子の種類や導入する細胞の種類に応じて、公知のプロモーターを適宜選択又は改変して使用することができる。例えば、好適に使用可能なプロモーターとしては、植物貯蔵タンパク質グルテリンGluB-1プロモーターが挙げられる。その他にも、グルテリンGluB-4プロモーター、26kDグロブリンプロモーター、10 kDプロラミンプロモーター、および16 kDプロラミンプロモーター等を挙げることができる。これらのプロモーターの長さは通常0.8kb以上であり、好ましくは2.3kb以上であるが、機能を有する限り、この長さに特に制限されるものでない。連結GLP−1−DNAを植物貯蔵タンパク質をコードするDNAに挿入する場合には、通常、植物貯蔵タンパク質をコードするDNAの上流に本来備わっているプロモーターを、上記のプロモーターとして利用することができる。もっとも、本発明において連結GLP−1−DNAの制御に用いるプロモーターは、上記植物貯蔵器官特異的プロモーターに限定されるものではなく、植物ウイルス由来のプロモーター等のプロモーターであってもよく、GLP−1誘導体を集積させようとする植物又は植物貯蔵器官に応じて適宜選択することができる。
植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列としては、公知の種々の植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列を、適宜、使用することができる。植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列のアミノ酸配列に関する情報は、公知の文献等により容易に入手できる。植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列としては、好ましくは、グルテリン(GluB-1)タンパク質のシグナルペプチド配列を用いることができる。即ち、MASSVFSRFSIYFCVLLLCHGSMAの配列である。また、他のグルテリン(GluA-2)のシグナルペプチド配列であるMASINRPIVFFTVCLFLLCDGSLA、又は26kDのグロブリンのシグナルペプチド配列であるMASKVVFFAAALMAAMVAISGAQを用いることもできる。これらの植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列をコードするDNAの調製は、アミノ酸配列の縮重等を考慮して、適宜、市販のDNA合成機等を利用することができる。尚、連結GLP−1−DNAの5'末端への植物貯蔵タンパク質シグナル配列をコードするDNAの付加は、公知の遺伝子工学技術を利用して行うことができる。
更に、連結GLP−1−DNA、あるいは連結GLP−1−DNA挿入貯蔵タンパク質DNAの3’末端に、ターミネーターを付加する。ターミネーターとしては、例えば、イネでは植物貯蔵タンパク質グルテリンの0.6kb GluB-1,3’配列ターミネーターや、0.3kb 10kDプロラミンターミネーターが使用できる。その他にも、ノパリン合成酵素のターミネーター、オクトピン合成酵素のターミネーターを始め、DNAデーターベースに登録されている植物遺伝子のターミネーターを種々選択して使用することができる。
連結GLP−1−DNAを植物貯蔵タンパク質遺伝子の可変領域に挿入して融合タンパクとして発現させる前記(B)の方法を使用する場合、このような可変領域としては、例えばイネの貯蔵タンパク質グルテリン酸性サブユニットGluB-1の3ヶ所(N末端からアミノ酸140、210、270〜310の領域)、及び塩基性サブユニットのC末端領域を挙げることができる。これらの可変領域をコードする遺伝子位置へ連結GLP−1−DNAを挿入することができる。また、上記のそれぞれの可変領域をコードする遺伝子位置に、連結GLP−1−DNAを1個ずつ挿入することも可能である。尚、グルテリンは11Sグロブリンファミリー(ダイズのグリシニンやエンバクのグロブリンが仲間)に属し、このファミリーに属するグルテリン以外のタンパク質であっても、上記で例示した可変領域をコードする遺伝子位置へ連結GLP−1−DNAを挿入することができる。また、イネグロブリン(エンバクグロブリンとは異なる仲間)の場合には、N末端から110くらいの可変領域をコードする遺伝子位置へ連結GLP−1−DNAを挿入することが可能である。本法の1例を示せば、グルテリンGluA-2のアミノ酸残基No.275から305に相当する遺伝子領域に連結GLP−1−DNAを塩基置換により挿入して、グルテリンの一部として発現させる方法が挙げられる。連結GLP−1−DNAを植物貯蔵タンパク質の可変領域をコードするDNAへ挿入することは、一般的な遺伝子工学技術を用いて実施できる。
次に連結GLP−1−DNA、あるいは連結GLP−1−DNA挿入貯蔵タンパク質DNAは、植物貯蔵器官特異的プロモーターDNA及び植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列DNA、ターミネーターとともに、適当なベクターに挿入する。ベクターは、発現させたい植物の種類を適宜考慮して公知の種々のベクターから選択し、連結GLP−1−DNAを安定に保持するものであれば特に制限されない。ベクターへの連結GLP−1−DNAの挿入は、常法に従って、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる。
連結GLP−1−DNAを挿入されたベクターは、植物細胞に導入し、これより得られた形質転換植物細胞を生育(再分化)させる。植物細胞にベクターを導入して形質転換を行う手法については、例えば、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへベクターを導入する方法、電気パルスによりプロトプラストへベクターを導入する方法、パーティクルガン法により細胞へベクターを直接導入する方法、およびアグロバクテリウムを介してベクターを導入する方法など、いくつかの技術が既に確立し、当技術分野において広く用いられている。また、こうしてベクターが導入され、形質転換された植物細胞からの植物体の生育(再分化)は、植物細胞の種類に応じて公知の方法で行うことが可能である。本発明においては、これらの方法を適宜利用することができる。上記アグロバクテリウム法を用いる場合、例えばNagelらの方法(Microbiol. Lett., 1990, 67, 325.)が用いられる。この方法によれば、ベクターをアグロバクテリウム細菌中に導入して、次いで形質転換されたアグロバクテリウムを、リーフディスク法等の公知の方法により植物細胞に感染させることで、この植物細胞を形質転換する。形質転換細胞から再分化させた植物体は、順化後、通常の栽培条件で栽培することで成熟し、結実して種子等の植物貯蔵器官を得ることも可能となる。
その際、形質転換された植物細胞を効率的に選択するために、挿入されるベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子又は選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入するのが好ましい。この目的に使用される選抜マーカー遺伝子としては、例えば抗生物質ハイグロマイシンへの耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシンまたはゲンタマイシンへの耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、および除草剤ホスフィノスリシンへの耐性を付与するアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
連結GLP−1−DNA挿入ベクターを導入した植物細胞は、該ベクターと共に導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。しかし、得られる植物あるいは植物貯蔵器官には薬剤耐性遺伝子が残ることになり、それを含む植物あるいは植物貯蔵器官を食する際の安全性の問題が生じる。この問題点の解決のためには、連結GLP−1−DNAの導入用ベクターとして、例えば、バイオサイエンスとインダストリーVol.55 No.3(97)210-212等に記載の「MATベクター(登録商標)」を使用することができる。ここでは、サイトカイニン関連遺伝子、薬剤耐性遺伝子及び脱離能を有するDNA因子を含み、このうちサイトカイニン関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子は脱離能を有するDNA因子と挙動を一にする位置に存在し、連結GLP−1−DNAにプロモーターおよびシグナルペプチド配列をコードするDNAを付加したDNAを、脱離能を有するDNA因子とは挙動を一にしない位置に組込み込んだものを使用するのが好適である。この組み換えベクターを植物細胞に導入した後、薬剤添加培地及び薬剤非添加培地にて培養を行うことにより、サイトカイニン関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子が離脱し、薬剤耐性遺伝子のない、GLP-1誘導体が集積された形質転換植物又は植物貯蔵器官を得ることができる。
連結GLP−1−DNAを挿入されたベクターを導入する植物細胞としては、植物体に再生可能なあらゆる種類の形態の植物細胞が含まれる。例えば、葉、根、茎、花および種子中の胚盤等の植物細胞、カルス、懸濁培養細胞等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。本ベクターの保存、複製等が目的の場合には、本発明の宿主細胞は、必ずしも植物由来の細胞である必要はなく、例えば、大腸菌、酵母または動物細胞等であってもよい。
尚、本発明において連結GLP−1−DNAが挿入されたベクターを導入し、GLP−1誘導体を集積させる植物には特に制限はなく、本発明は多くの種類の植物に適用できる。例えば、被子植物であり、好ましくは単子葉植物であり、より好ましくはイネ科植物である。イネ科植物の例としては、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等の穀類を挙げることができるが、最も好ましくはイネである。また使用するプロモーターを適宜選択することにより、GLP−1誘導体をこれらの植物の様々な貯蔵器官、特に可食部位に集積させることができる。可食部位は、植物の種類によって異なるため、必ずしも限定されるものではないが、例えば、種子、葉、根等を挙げることができる。より具体的には、イネ、コムギ、トウモロコシ等の場合は胚乳、ダイズなどのマメ類の場合は子葉や胚、ジャガイモ等の塊茎、にんじんの根、トマトやバナナ等の果実を挙げることができる。双子葉植物であっても、例えば、双子葉植物の種子プロモーター、例えば、子葉や胚特異的プロモーターを利用することにより、マメ等の植物へもGLP−1誘導体を集積させることが可能である。
一旦本発明の形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
以上のようにして得られるGLP−1誘導体を集積させた植物又はその植物貯蔵器官は、当該部位をヒトが食することにより、GLP−1誘導体を容易に体内に取り入れることができ、糖尿病治療用作物として有用である。例えば、GLP−1誘導体が集積した部位(葉、茎、根、種子等)を含む、糖尿病の治療または予防のための医薬組成物を提供することができる。さらに当該部位は、糖尿病の予防、治療作用を有することを特徴とする食品組成物又は飲食品としても提供することができる。より具体的には、本発明の方法によって得られるGLP−1誘導体が集積したコメであり、またはこれらから抽出される成分を含む、糖尿病の治療または予防のための医薬組成物、食品組成物又は飲食品を例示することができる。食品組成物又は飲食品とする場合には、加熱等の調理法に供することができ、さらに食品衛生上許容される配合物を混合して、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品等に加工して利用することができる。例えば、安定化剤、保存剤、着色料、香料、ビタミン等の配合物を上記食品組成物に適宜添加混合し、常法により、錠剤状、粒状、顆粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状、又は液状の形態とすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[試験例1]GLP−1誘導体5連結ペプチド発現プラスミドの作製とイネキタアケへの導入
GLP−1誘導体(配列表の配列番号1:[Ser8,Gln26,Asn34]-GLP-1)の5連結ペプチドをコードするDNAを得るために、始めに、平滑末端を持つGLP−1誘導体をコードするcDNAを3’→5’exonuclease活性を持つDNA polymerase (KOD-Plus-, TOYOBO)を用いたPCRにより増幅させた。その増幅産物をT4 DNA ligase (ligation high, TOYOBO)によりself-ligationした後、制限酵素処理(EcoRV)により平滑末端にしたプラスミド(pBS SK+)に導入した。得られたプラスミドを大腸菌に形質転換し培養した後、PCRにより最も長い導入遺伝子を含むプラスミドを選択した。その後、プラスミドの単離および塩基配列の決定を行い、連結したGLP−1のcDNAの向きを確認し、それぞれのcDNAが同一方向に並んで導入されているプラスミドを選択することにより、GLP−1誘導体5連結ペプチドをコードする5連結GLP−1−DNAを得た。
GLP−1誘導体(配列表の配列番号1:[Ser8,Gln26,Asn34]-GLP-1)の5連結ペプチドをコードするDNAを得るために、始めに、平滑末端を持つGLP−1誘導体をコードするcDNAを3’→5’exonuclease活性を持つDNA polymerase (KOD-Plus-, TOYOBO)を用いたPCRにより増幅させた。その増幅産物をT4 DNA ligase (ligation high, TOYOBO)によりself-ligationした後、制限酵素処理(EcoRV)により平滑末端にしたプラスミド(pBS SK+)に導入した。得られたプラスミドを大腸菌に形質転換し培養した後、PCRにより最も長い導入遺伝子を含むプラスミドを選択した。その後、プラスミドの単離および塩基配列の決定を行い、連結したGLP−1のcDNAの向きを確認し、それぞれのcDNAが同一方向に並んで導入されているプラスミドを選択することにより、GLP−1誘導体5連結ペプチドをコードする5連結GLP−1−DNAを得た。
A.上記DNAを用いて、GLP−1誘導体5連結ペプチドをイネ種子中で発現させるための発現プラスミドを作製した。すなわち、イネ種子主要タンパク質である2.3kbグルテリンGluB-1のプロモーター、グルテリンシグナルペプチド配列、GLP−1誘導体5連結ペプチド遺伝子、および0.6k GluB-1 3'配列ターミネーターからなる発現プラスミド2.3kpGluB-SP(GluB)-mGLP-1x5-GluB-3’ (図1 construct 1)を構築した。Construct1のDNA配列は配列表の配列番号2で示され、該DNAによってコードされるGLP−1誘導体5連結ペプチドを含むアミノ酸配列を配列表の配列番号3に示した。
B.比較として、前記GLP−1誘導体遺伝子を単体で組み込んだ、2.3kbグルテリンGluB-1のプロモーター、グルテリンシグナルペプチド配列、GLP−1誘導体ペプチド遺伝子、6×Hisタグ遺伝子、小胞体係留シグナルKDEL配列および0.6K GluB-1 3'配列ターミネーターからなる発現プラスミド2.3kpGluB-SP-mGLP-1(6xHis-KDEL)-GluB-terminator(図1construct 2)を構築した。
C.イネの主要な貯蔵タンパク質であるグルテリン(GluA-2)の酸性サブユニットの可変領域をコードするDNAに前記GLP−1誘導体5連結ペプチド遺伝子の配列を挿入して、GLP−1誘導体をグルテリンの一部として発現させるための発現プラスミドを作成した。すなわち、2.3kbグルテリンGluB-1のプロモーター、グルテリンシグナルペプチド配列、GLP−1誘導体5連結ペプチド遺伝子を挿入したグルテリンGluA-2遺伝子PREE99および0.6k GluB-1 3'配列ターミネーターからなる発現プラスミド2.3kpGluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluB3’(図1 construct 3)を構築した。これらのプラスミドをアグロバクテリウム法によりイネキタアケに導入して、ハイグロマイシン耐性を指標として形質転換体の選抜を行った。
[試験例2]ハイグロマイシン耐性遺伝子により選抜された形質転換体種子におけるGLP−1誘導体5連結ペプチドの検出
試験例1のA,B,Cで得られた形質転換体について、その種子を用いて解析を行った。
まず、GLP−1誘導体遺伝子を5つ組み込んだ前記試験例1-Aの2.3kpGluB-SP(GluB)-mGLP-1x5-GluB-3’による形質転換体の解析を行った。上記形質転換体より得られた登熟種子の抽出液のウエスタンブロティングにより、23系統のうち11系統でGLP−1誘導体5連結ペプチドと推定されるシグナルが検出され、GLP−1誘導体5連結ペプチドの発現を確認した。(図2)。
試験例1のA,B,Cで得られた形質転換体について、その種子を用いて解析を行った。
まず、GLP−1誘導体遺伝子を5つ組み込んだ前記試験例1-Aの2.3kpGluB-SP(GluB)-mGLP-1x5-GluB-3’による形質転換体の解析を行った。上記形質転換体より得られた登熟種子の抽出液のウエスタンブロティングにより、23系統のうち11系統でGLP−1誘導体5連結ペプチドと推定されるシグナルが検出され、GLP−1誘導体5連結ペプチドの発現を確認した。(図2)。
一方、GLP−1誘導体遺伝子を1つだけ組み込んだ前記試験例1-Bの2.3kpGluB-SP-mGLP-1(6xHis-KDEL)-GluB-terminatorプラスミドベクターによる形質転換体24系統の解析では、ノーザンブロットティング、ウェスタンブロットティングでGLP−1誘導体は検出されなかった。 (図3)。
また、GLP−1誘導体5連結ペプチドをグルテリンの一部として発現させる前記試験例1-Cの2.3k pGluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluB3’による形質転換体では、22系統のうち10系統でGLP−1誘導体の発現が認められた。しかし、その発現量をウエスタンブロティングでのシグナル比で比較した場合、同じGLP-1誘導体5連結ペプチドを単独で発現させた2.3k pGluB-SP(GluB)-mGLP-1x5-GluB-3’(試験例1-A)の場合に比べて1/15以下であった(図4)。
以上の結果から、GLP−1誘導体遺伝子を5連結させて発現させることにより、はじめてコメ中にGLP−1誘導体を多量に集積させることに成功した。GLP−1誘導体は単独では発現しなかったことから、GLP−1誘導体の発現に連結GLP−1−DNAを用いることの有用性は高い。また、5連結GLP−1誘導体の集積量は、貯蔵タンパク質に挿入し融合タンパク質として発現させるより、単独で発現させた方がより高濃度に発現させることができた。これは、単独での発現の方が、貯蔵タンパク質としての量的な制限を受けにくいことが一つの要因と考えられる。
[試験例3]「MATベクター(登録商標)」により作成されたイネ日本晴の形質転換体種子におけるGLP−1誘導体5連結ペプチドの検出
同一方向を向いた2つのRS配列(部位特異的組換え系の組換え配列)に挟まれた領域に、R遺伝子(部位特異的組換え系の脱離酵素遺伝子)、ipt遺伝子及びハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を配すると共に、このRS配列に挟まれた領域の外側に、試験例1−Aで示したconstruct 1又は試験例1−Cで示したconstruct 3を配した「MATベクター(登録商標)」を作成し、前者をpTL7GluB-(mGLP-1x5)-GluBT-130Hm[独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(宛名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)におけるブタペスト条約に基く国際受託番号:FERM BP−10020]、後者をpTL7GluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluBT-130Hm[同特許生物寄託センターにおけるブタペスト条約に基く国際受託番号:FERM BP−10021]とした。次いで、これらのベクターをそれぞれアグロバクテリウム法によりイネ日本晴に導入し、ハイグロマイシン耐性を指標として形質転換体の選抜を行い、選抜された形質転換体について解析を行った。 その結果、pTL7GluB-(mGLP-1x5)-GluBT-130Hmによる形質転換体及びpTL7GluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluBT-130Hmによる形質転換体のいずれにおいても、その形質転換体より得られた登熟種子の抽出液のウエスタンブロティングにより、GLP−1誘導体5連結ペプチドと推定されるシグナルが検出され、GLP−1誘導体5連結ペプチドの集積を確認した。(図5、6)。
同一方向を向いた2つのRS配列(部位特異的組換え系の組換え配列)に挟まれた領域に、R遺伝子(部位特異的組換え系の脱離酵素遺伝子)、ipt遺伝子及びハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を配すると共に、このRS配列に挟まれた領域の外側に、試験例1−Aで示したconstruct 1又は試験例1−Cで示したconstruct 3を配した「MATベクター(登録商標)」を作成し、前者をpTL7GluB-(mGLP-1x5)-GluBT-130Hm[独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(宛名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)におけるブタペスト条約に基く国際受託番号:FERM BP−10020]、後者をpTL7GluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluBT-130Hm[同特許生物寄託センターにおけるブタペスト条約に基く国際受託番号:FERM BP−10021]とした。次いで、これらのベクターをそれぞれアグロバクテリウム法によりイネ日本晴に導入し、ハイグロマイシン耐性を指標として形質転換体の選抜を行い、選抜された形質転換体について解析を行った。 その結果、pTL7GluB-(mGLP-1x5)-GluBT-130Hmによる形質転換体及びpTL7GluB-PREE99(mGLP-1x5)-GluBT-130Hmによる形質転換体のいずれにおいても、その形質転換体より得られた登熟種子の抽出液のウエスタンブロティングにより、GLP−1誘導体5連結ペプチドと推定されるシグナルが検出され、GLP−1誘導体5連結ペプチドの集積を確認した。(図5、6)。
[試験例4]GLP−1誘導体発現米中のGLP−1含有量の測定
前記試験例1-Aから得られたGLP−1誘導体集積米について、GLP−1含有量の測定を行った。すなわち、コメ1粒(外皮付き)を2mlパッキン付きマイクロチューブに入れ、ビーズショッカー(安井器械株式会社製)により2500rpm、10secで粉末にした。その後、抽出バッファー(4% ドデシル硫酸ナトリウム、8M 尿素、0.5% 2-メルカプトエタノールを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH6.8))1mlを加え、溶解するまで攪拌した。この溶解液を精製水に4℃で一昼夜透析(1L×3回)を行った。15,000rpm、5分間の遠心を行い、上清を回収しGLP−1誘導体抽出液とした。
前記試験例1-Aから得られたGLP−1誘導体集積米について、GLP−1含有量の測定を行った。すなわち、コメ1粒(外皮付き)を2mlパッキン付きマイクロチューブに入れ、ビーズショッカー(安井器械株式会社製)により2500rpm、10secで粉末にした。その後、抽出バッファー(4% ドデシル硫酸ナトリウム、8M 尿素、0.5% 2-メルカプトエタノールを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH6.8))1mlを加え、溶解するまで攪拌した。この溶解液を精製水に4℃で一昼夜透析(1L×3回)を行った。15,000rpm、5分間の遠心を行い、上清を回収しGLP−1誘導体抽出液とした。
GLP−1誘導体抽出液8μl、50mM炭酸水素アンモニウム(pH7.8)112μl、83μg/mlトリプシン溶液(Promega社製:Cat.No. V5113)6μlを加え、37℃で2時間反応させることにより、GLP−1誘導体連結ペプチドをGLP−1誘導体単体化した。95%エタノール462μlを加えて反応を停止し、4℃で5分間の15,000rpmによる遠心により上清を回収し、遠心エバポレーションにより乾固した。その乾固物を溶解し、RIAキット(LINCO社製、GLP−1(total)RIAkit)により含量を測定した。
その結果、最も含量の高かったGLP−1誘導体5連ペプチド発現米(前記試験例1-A)中のGLP−1誘導体含量は、コメ粒20mgあたり180μgを示した(図7)。
[試験例5]イネ種子で発現するGLP−1誘導体5連結ペプチド産物の熱安定性
GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米から得たGLP−1誘導体と、いずれも合成で得た天然型GLP−1及びGLP−1誘導体との熱安定性を比較した。GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米(前記試験例1-A)に蒸留水を加え、100℃で15分間熱処理後試験例4と同様にして抽出し、更にトリプシン処理によりGLP−1誘導体単体を得た。一方、合成天然型GLP−1および合成GLP−1誘導体ペプチドは、0.2%BSA溶液で10μg/mlとし、100℃で15分間熱処理した。これらの熱処理物に対し、比較対照として非熱処理物を同様に調製し、これらについて、マウスisletを用いたcAMP産生による活性測定を行った。その結果、合成天然型GLP−1および合成GLP−1誘導体そのものは熱処理に対して安定であった。発現米より得たGLP−1誘導体の活性は、熱処理しなかった発現米に比べて約33.3%活性が低かった(図8)。このことから、本発明のGLP−1誘導体発現米は炊飯しても活性はある程度保持され、血糖低下作用を発揮できることが推測された。一方、合成ペプチドは熱に安定であったことから、コメで発現させた5連結ペプチドは、熱変性によりトリプシン消化を受けにくい立体構造に変化したことが推察された。
GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米から得たGLP−1誘導体と、いずれも合成で得た天然型GLP−1及びGLP−1誘導体との熱安定性を比較した。GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米(前記試験例1-A)に蒸留水を加え、100℃で15分間熱処理後試験例4と同様にして抽出し、更にトリプシン処理によりGLP−1誘導体単体を得た。一方、合成天然型GLP−1および合成GLP−1誘導体ペプチドは、0.2%BSA溶液で10μg/mlとし、100℃で15分間熱処理した。これらの熱処理物に対し、比較対照として非熱処理物を同様に調製し、これらについて、マウスisletを用いたcAMP産生による活性測定を行った。その結果、合成天然型GLP−1および合成GLP−1誘導体そのものは熱処理に対して安定であった。発現米より得たGLP−1誘導体の活性は、熱処理しなかった発現米に比べて約33.3%活性が低かった(図8)。このことから、本発明のGLP−1誘導体発現米は炊飯しても活性はある程度保持され、血糖低下作用を発揮できることが推測された。一方、合成ペプチドは熱に安定であったことから、コメで発現させた5連結ペプチドは、熱変性によりトリプシン消化を受けにくい立体構造に変化したことが推察された。
[試験例6]GLP−1誘導体集積米のマウスにおける血糖低下作用
GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米(前記試験例1-A)の血糖低下作用を調べた。コントロール米には、GLP−1遺伝子導入に用いた米と同じ非形質転換米のキタアケを用いた。それぞれの米を精白・浸漬後、コメ重量の3.8倍の水を加えて100℃、15分間炊飯した。その後、押しつぶしてペースト状に均一にした。コントロール米とGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米は、グルコース量として同じ100mg相当を含む各々の米を、一晩絶食した正常マウス(Crj:ICR,8w,♂)に摂食させた。尚、GLP−1誘導体の投与量は、試験例4と同様に炊飯米のcAMP産生活性の測定により求め、約1.0mg/マウスと算出された。陽性対照群にはコントロール米を給与し、その直前にGLP−1誘導体ペプチド20μg/kgを背部皮下に投与した。これに対応し、コントロール米給与群およびGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米給与群には、背部皮下に生理食塩水5ml/kgを投与した。炊飯米給与前ならびに給与後3時間後まで20分間隔で、尾部先端より採血しグルテストセンサーにて血糖値測定を行った。
GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米(前記試験例1-A)の血糖低下作用を調べた。コントロール米には、GLP−1遺伝子導入に用いた米と同じ非形質転換米のキタアケを用いた。それぞれの米を精白・浸漬後、コメ重量の3.8倍の水を加えて100℃、15分間炊飯した。その後、押しつぶしてペースト状に均一にした。コントロール米とGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米は、グルコース量として同じ100mg相当を含む各々の米を、一晩絶食した正常マウス(Crj:ICR,8w,♂)に摂食させた。尚、GLP−1誘導体の投与量は、試験例4と同様に炊飯米のcAMP産生活性の測定により求め、約1.0mg/マウスと算出された。陽性対照群にはコントロール米を給与し、その直前にGLP−1誘導体ペプチド20μg/kgを背部皮下に投与した。これに対応し、コントロール米給与群およびGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米給与群には、背部皮下に生理食塩水5ml/kgを投与した。炊飯米給与前ならびに給与後3時間後まで20分間隔で、尾部先端より採血しグルテストセンサーにて血糖値測定を行った。
その結果、GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米のマウスへの給与により、血糖値は40〜80分にかけて、血糖値曲線下面積は0〜120分値において、コントロール米給与群に比べて有意な抑制作用が認められた(図9)。このように、動物試験においてGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米の血糖低下作用が確認された。
本発明の当事者が別途行った、マウスにGLP−1ペプチドそのものを口腔内投与した実験において、血糖低下効果を得るためには、GLP−1ペプチド50〜150μgを必要とした。これは、ヒトの体重として60kgを想定したとき、ヒトにおいて血糖低下を誘導するために必要なGLP−1ペプチドの量は150mg〜450mgになる。この量を1粒あたり180μg集積したコメで摂取するには、830〜2490粒を食べる必要がある。ヒトが食べるお茶碗1杯のごはん粒数は3000粒から4000粒であることから、本発明のコメであれば、ヒトの場合はお茶碗1杯のごはんで、血糖低下に必要GLP−1量を摂取することができる。
[試験例7]GLP−1誘導体発現米のKK-Ayマウスにおける血糖低下作用
試験例6と同様の試験を2型糖尿病モデル動物KK-Ayマウスで行った。試験例5の正常マウスの場合と同様の給与量で行ったが、このKK-Ayマウスでは、試験例5の正常マウスに比べて高い血糖値を示した。しかし、GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米給与群で、コントロール米給与群に比べて有意な抑制作用が認められ、GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米の血糖低下作用が確認された(図10)。このことから、2型糖尿病患者においてもGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米の効果が期待できる。
試験例6と同様の試験を2型糖尿病モデル動物KK-Ayマウスで行った。試験例5の正常マウスの場合と同様の給与量で行ったが、このKK-Ayマウスでは、試験例5の正常マウスに比べて高い血糖値を示した。しかし、GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米給与群で、コントロール米給与群に比べて有意な抑制作用が認められ、GLP−1誘導体5連結ペプチド発現米の血糖低下作用が確認された(図10)。このことから、2型糖尿病患者においてもGLP−1誘導体5連結ペプチド発現米の効果が期待できる。
上記の如く本発明者らは、GLP−1誘導体を高度に植物へ集積させ、治療効果のある当該ペプチドを集積した植物の開発に成功し、本発明を完成させた。
本発明は、GLP−1誘導体が集積される形質転換植物及び/又はその植物貯蔵器官を提供することができる。例えば、GLP−1誘導体が集積される米などが提供される。このようなGLP−1誘導体が集積される植物もしくは植物貯蔵器官、又はこれらの抽出成分を食することにより、血糖を低下させることができ、糖尿病治療に有用である。
Claims (21)
- GLP−1(7−36)、又はGLP−1(7−36)のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列でC末端がArg又はLysからなり、かつGLP−1活性を有するGLP−1誘導体をコードするDNAをn個(nは3以上の整数)直列に繋いだ連結GLP−1−DNAをベクター中に組込んで植物細胞中に導入し、得られた形質転換体を再分化させることを特徴とする、GLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 連結GLP−1−DNAを、植物貯蔵器官特異的プロモーターDNA及び植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列をコードするDNAの下流に位置させて、ベクター中に組み込むことを特徴とする、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 連結GLP−1−DNAを、植物の貯蔵タンパク質DNAの可変領域をコードするDNA領域へ挿入した形でベクター中に組み込むことを特徴とする、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- サイトカイニン関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子が脱離能を有するDNA因子と挙動を一にする位置に、及び、連結GLP−1−DNAが脱離能を有するDNA因子とは挙動を一にしない位置に位置するように、連結GLP−1−DNAを、サイトカイニン関連遺伝子、薬剤耐性遺伝子及び脱離能を有するDNA因子とともにベクター中に組込み、該組換えベクターを植物細胞中に導入し、組み換えベクターが導入された植物細胞を、薬剤添加培地及び薬剤非添加培地で培養を行うことにより形質転換体を再分化させることを特徴とする、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- GLP−1誘導体が、アミノ酸配列の26位をグルタミンに、34位をアスパラギン又はアスパラギン酸に置換したGLP−1誘導体であることを特徴とする、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- GLP−1誘導体が、更にアミノ酸配列の8位をセリン又はグリシンで置換したGLP−1誘導体であることを特徴とする請求項5記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nが4〜8であることを特徴とする請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nが5であることを特徴とする請求項7記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 植物が単子葉植物である、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 単子葉植物がイネである、請求項9記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 植物貯蔵器官が種子である、請求項1記載のGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産する方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の方法により生産されたGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積される形質転換植物又はその植物貯蔵器官。
- GLP−1(7−36)、及び/又はGLP−1(7−36)のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列でC末端がArg又はLysからなり、かつGLP−1活性を有するGLP−1誘導体をコードするDNAをn個(nは3以上の整数)直列に繋いだ連結GLP−1−DNAをベクター中に組込んだ、GLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を生産するための組換え発現ベクター。
- 連結GLP−1−DNAを、植物貯蔵器官特異的プロモーターDNA及び植物貯蔵タンパク質シグナルペプチド配列をコードするDNAの下流に位置させて、ベクター中に組込んだことを特徴とする、請求項13記載の組換え発現ベクター。
- 連結GLP−1−DNAを、植物の貯蔵タンパク質DNAの可変領域をコードするDNA領域へ挿入した形でベクター中に組込んだことを特徴とする、請求項13記載の組換え発現ベクター。
- サイトカイニン関連遺伝子と薬剤耐性遺伝子が脱離能を有するDNA因子と挙動を一にする位置に、及び、連結GLP−1−DNAが脱離能を有するDNA因子とは挙動を一にしない位置に位置するように、連結GLP−1−DNAを、サイトカイニン関連遺伝子、薬剤耐性遺伝子及び脱離能を有するDNA因子とともにベクター中に組込んだ、請求項13記載の組換え発現ベクター。
- GLP−1誘導体が、アミノ酸配列の26位をグルタミンに、34位をアスパラギン又はアスパラギン酸に置換したGLP−1誘導体である、請求項13記載の組換え発現ベクター。
- GLP−1誘導体が、更にアミノ酸配列の8位をセリン又はグリシンに置換したGLP−1誘導体である、請求項17記載の組換え発現ベクター。
- GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nが4〜8である、請求項13記載の組換え発現ベクター。
- GLP−1誘導体をコードするDNAの連結数nが5である、請求項19記載の組換え発現ベクター。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の方法により生産されたGLP−1誘導体が消化酵素で分断可能に集積され、かつ高生産された形質転換植物又はその植物貯蔵器官を用いた糖尿病の治療若しくは予防のための、医薬組成物、飲食品材料、又は飲食品。
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PCT/JP2004/013370 WO2006030492A1 (ja) | 2004-09-14 | 2004-09-14 | Glp−1誘導体が集積された植物及び植物貯蔵器官とその生産方法 |
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