JPWO2006011638A1 - 複数の被覆層を有するフィルムコーティング錠 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド(化合物A)又はその生理学的に許容される塩を含有するフィルムコーティング錠において、保存安定性に優れた速溶性のフィルムコーティング錠を提供することにある。本発明のフィルムコーティング錠は、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩を含有し、該フィルムコーティング錠が、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベートおよびグリセリンからなる群から選ばれる製剤化成分の少なくとも1種(以下、「成分B」という)を含有し、かつ、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が成分Bと接触しない形態を有する。

Description

本発明は、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミドまたはその生理学的に許容される塩を含有するフィルムコーティング錠に関する。
(±)−4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド(以下、「モサプリド」ということがある。)は、選択的セロトニン4受容体アゴニストであり、良好な消化管運動促進作用を示す(米国特許第4,870,074号公報参照)。また、モサプリド(やその生理学的に許容される塩)は逆流性食道炎、胃切除後症候群、その他の消化器症状の治療薬としても有用である。
モサプリドを含有する固形製剤としては、米国特許第4,870,074号公報の実施例245にクエン酸モサプリドを含有する錠剤が記載されている。即ち、クエン酸モサプリド、コーンスターチ、乳糖、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸及びステアリン酸マグネシウムを含有する固形製剤が開示されている。
また、クエン酸モサプリド・2水和物は、慢性胃炎に伴う消化器症状の改善を目的として既に実用化されている。クエン酸モサプリド(無水物)として2.5mgまたは5mg(モサプリドとして1.72mgまたは3.44mg)含有する錠剤が、日本では「ガスモチン」なる商標名のもとに市販されている。この錠剤は、モサプリドが苦味を有する薬物であることから、フィルムコーティング錠の形態をとっている。この錠剤は、長期保存下における副産物の生成及び着色を防ぐため、アルミ包装が施されている。
本発明の課題は、モサプリド又はその生理学的に許容される塩を含有するフィルムコーティング錠において、アルミ包装を施さなくとも保存安定性に優れた速溶性のフィルムコーティング錠を提供することにある。
本発明者らは、アルミ包装を施さなくても保存安定性に優れたモサプリド又はその生理学的に許容される塩を含有する速溶性の固形製剤を得るべく種々検討を行った。その過程で、フィルムコーティング錠において被覆層を形成する際に必要と考えられている特定の製剤化成分が、モサプリドの分解を促進していることがわかった。そこで、その特定の製剤化成分を除去したコーティング組成物を用いてフィルムコーティング錠を製造することを試みた。ところが、そのような組成物を用いて被覆層を形成しようとすると製剤の製造において支障を来たすことも新たに判明した。ところが、モサプリドと該製剤化成分を含有するフィルムコーティング錠において、当該両成分が接触しない形態で製剤化すると、速溶性を維持した状態で、製造に支障を来たすことなく、長期保存においてもアルミ包装を施さなくてもモサプリドの分解が抑制され、且つ製剤への着色が抑制されることを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明は、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド(以下、「化合物A」という)またはその生理学的に許容される塩を含有する速溶性のフィルムコーティング錠であって、該フィルムコーティング錠が、特定の製剤化成分を含有し、かつ化合物Aまたはその生理学的に許容される塩がその特定の製剤化成分と接触しない形態を有するフィルムコーティング錠、具体的には、素錠の表面に2層以上の被覆層を有する速溶性のフィルムコーティング錠であって、素錠の上に被覆された第1層が実質的に特定の製剤化成分を含有せず、第2層以降の少なくとも1層が特定の製剤化成分を含有するフィルムコーティング錠を提供する。
より具体的には、以下の発明を提供するものである。
項1:4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド(以下、「化合物A」という)またはその生理学的に許容される塩を含有する速溶性のフィルムコーティング錠であって、
該フィルムコーティング錠が、
ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベートおよびグリセリンからなる群から選ばれる製剤化成分の少なくとも1種(以下、「成分B」という)を含有し、かつ
化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が成分Bと接触しない形態を有するフィルムコーティング錠。
項2:(a)化合物Aまたはその生理学的に許容される塩を含む素錠及び
(b)該素錠の表面に設けられた2層以上の被覆層を有し、
素錠の上に被覆された第1層が実質的に成分Bを含有せず、
第2層以降の少なくとも1層が成分Bを含有する、
項1のフィルムコーティング錠。
項3:第2層以降の少なくとも1層に約5〜約98重量%の濃度で成分Bを含有する、項2のフィルムコーティング錠。
項4:最外に設けられた被覆層が成分Bを含有する、項2または3のフィルムコーティング錠。
項5:成分Bがポリエチレングリコールである項1〜4のいずれかのフィルムコーティング錠。
項6:被覆層が第1層と第2層とからなり、第2層が成分Bを含有する、項2のフィルムコーティング錠。
項7:第1層が素錠の表面を約0.5〜約10mg/cm程度被覆している項6のフィルムコーティング錠。
項8:第2層が第1層の表面を約0.1〜約20mg/cm程度被覆している項6または7のフィルムコーティング錠。
項9:第1層が1種又は2種以上のフィルム基剤を含有する項2のフィルムコーティング錠。
項10:化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が化合物Aのクエン酸塩の2水和物である項1〜9のいずれかのフィルムコーティング錠。
項11:素錠が、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩を化合物Aに換算して約0.5〜約70重量%の割合で含有する、項1〜10のいずれかのフィルムコーティング錠。
項12:当該フィルムコーティング錠を容器に収納し、40℃、75%RHの開栓の条件下で6ヶ月保存したときの化合物Aの類縁物質の生成量の割合が約1%以下である項1〜11のいずれかのフィルムコーティング錠。
項13:素錠が、化合物Aのクエン酸塩2水和物を化合物Aに換算して約0.5〜約50重量%の割合で含有し、
第1層が、1種又は2種以上のフィルム基剤を含み、素錠の表面を0.7〜5mg/cm程度被覆し、
第2層が、第1層の表面を0.5〜10mg/cm程度被覆している、
項6のフィルムコーティング錠。
項14:フィルム基剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびメタアクリル酸コポリマーからなる群から選ばれる項13のフィルムコーティング錠。
項15:成分Bがポリエチレングリコールである項13のフィルムコーティング錠。
項16:素錠が、化合物Aのクエン酸塩2水和物を化合物Aに換算して約0.5〜約30重量%の割合で含有し、
第1層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、素錠の表面を1.5〜3mg/cm程度被覆し、
第2層が、ポリエチレングリコール6000を含み、第1層の表面を1〜5mg/cm程度被覆し、
当該フィルムコーティング錠を容器に収納し、40℃、75%RHの開栓の条件下で6ヶ月保存したときの化合物Aの類縁物質の生成量の割合が約0.6%以下である項6のフィルムコーティング錠。
項17:項1に記載のフィルムコーティング錠及び当該フィルムコーティング錠に関する記載物を含む商業パッケージであって、当該フィルムコーティング錠を消化管運動機能促進、胃切除後症状の改善又は胃食道逆流症(GERD)の予防若しくは治療に使用することができる又は使用すべきである記載を、該パッケージ上又は該パッケージ内の記載物に含む商業パッケージ。
本発明のフィルムコーティング錠は、上記特徴を有しているので、アルミ包装などの保護包装を施さなくても化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が分解されにくく、安定な状態で保存することができる。また、生産においても支障をきたすこともない。更に服用時に苦味を有することもない。
図1は、本発明の化合物A−a(化合物Aのラセミ体)のクエン酸塩と各成分Bとの接触試験の結果を示すグラフである。
図2は、実施例1〜5と比較例1で得られた製剤の安定性試験の結果を示すグラフである。
図3は、実施例1〜5と比較例1で得られた製剤の安定性試験の結果を示すグラフである。
図4は、実施例6〜8と比較例2で得られた製剤の安定性試験の結果を示すグラフである。
図5は、実施例6〜8と比較例2で得られた製剤の安定性試験の結果を示すグラフである。
本発明にかかわるフィルムコーティング錠の「速溶性」とは、第14改正日本薬局方に記載の溶出試験(37℃、パドル法、50回転/分、溶媒900mlの水)において、30分後の溶出率が約85%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であることを意味する。
化合物Aまたはその生理学的に許容される塩
本発明にかかわる化合物A、即ち、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミドは、下記式:
Figure 2006011638
で表される化合物である。化合物Aは、選択的セロトニン4受容体アゴニストとしての、良好な消化管運動促進作用を有している。本発明では、化合物Aはラセミ体であっても、又は一方の光学活性体であってもよく、好適にはラセミ体である。
本発明では、化合物Aはフリー体であってもよいし、その生理学的に許容される塩であってもよい。塩としては好ましくは酸付加塩である。たとえば、有機酸の付加塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩等が挙げられる。無機酸の付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が例示できる。この中でもクエン酸塩が特に好ましい。化合物Aまたはその生理学的に許容される塩は、溶媒和物であってもよく、水和物または非水和物でもよい。好ましくはクエン酸塩の水和物であり、とりわけクエン酸塩・2水和物が好ましい。
上記化合物Aまたはその生理学的に許容される塩は、例えば、米国特許第4870074号公報に記載の方法またはこれに準じる方法によって製造することができる。
成分B
本発明にかかわるフィルムコーティング錠において必須成分であって、且つ化合物Aまたはその生理学的に許容される塩と接触しない形態で存在する製剤化成分(成分B)としては、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンが含まれる。成分Bとの接触により、化合物Aの分解が促進してしまうため、本発明では、化合物Aと成分Bとを接触させない。
これら成分Bは、フィルムコーティング錠を製造する上で、必要と考えられている成分である。例えば、これら成分Bがフィルム成分に含まれていないと、膜がもろくなったり、滑り(流動性を含む)が悪くなったり、光沢がなくなる等フィルムの成形性に問題がある。成分Bがない場合には、大量生産時にピッキング等の問題が発生し、製造が非常に困難となる。ピッキングとは、フィルムコーティング工程で錠剤同士あるいは錠剤と装置が接触することにより接点部分のフィルム層が剥離することである。
ポリエチレングリコールは、H(OCHCHOH(nは4以上)で示される化合物であり、分子量は、200〜9000程度である。例えば、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000等が知られている。「ポリエチレングリコール」の後に記載の数字は平均分子量を意味する。
ポロキサマーは、α−ヒドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)のブロック共重合体であり、分子量は約2000〜20000であり、非イオン性界面活性剤として知られている。ポロキサマーとしては、例えば、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407等が挙げられる。具体的には、例えば、プルロニック等の商品名として販売されているものが使用できる。
ポリソルベートは、ポリオキシエチレンソルビタンエステルであって、非イオン界面活性剤である。市販されている化合物としてポリソルベート80(Tween80)等が知られている。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ヒマシ油に水素を添加して硬化ヒマシ油を得て、さらに、種々の量のエチレンオキサイドを付加重合させて製造される。重合度の異なる数種類の製品が、ニッコールHCO−20,同HCO−40,同HCO−50,同HCO−60などとして市販されている。
グリセリンは、CH(OH)CH(OH)CHOHで示される化合物である。
本発明のフィルムコーティング錠の製造において、好ましい成分Bとしては、ポリエチレングリコール、より好ましくはポリエチレングリコール4000又は6000、特に好ましくは、ポリエチレングリコール6000である。
接触しない形態
以下の参考例において示すように、本発明における化合物Aまたは生理学的に許容される塩と上記成分Bとを接触させると非常に多くの化合物Aの分解物(類縁物質)が生成されることを本発明者らが初めて見出した。
「接触しない形態」として、例えば、化合物Aまたは生理学的に許容される塩を含ませた素錠と、上記成分Bを実質的に含まない組成物からなり素錠を被覆する第1層とを有し、さらに、第2層以降の少なくとも1層が該成分Bを含む組成物からなる形態が挙げられる。以下、この形態について具体的に説明する。
素錠
「素錠」は化合物Aまたはその生理学的に許容される塩単独で構成されていてもよく、一般的には、上記成分B以外の他の製剤化成分がさらに配合されている。
「他の製剤化成分」は、配合しても不都合がなく、且つ、配合の必要性があるものならばいずれでもよい。例えば、結合剤、賦形剤、流動化剤、崩壊剤などがその例として挙げられる。
化合物Aまたはその生理学的に許容される塩は、化合物Aに換算して、素錠中に約0.01〜約90重量%、好ましくは、約0.5〜約70重量%、より好ましくは、約0.5〜約50重量%、さらに好ましくは、約0.5〜約30重量%含有される。
結合剤
結合剤の具体例としては、アラビアゴム、デンプンのり、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、ゼラチン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、デキストリン、ポビドンなどが挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドンなどが挙げられる。結合剤の配合量は、錠剤の硬度を維持し、且つ消化管内での崩壊に支障のない量であればよく、通常素錠中約0.5〜約10重量%、好ましくは、約1〜約7重量%程度である。
賦形剤
賦形剤の具体例としては、乳糖、デンプン、マンニトール、結晶セルロース、ショ糖、エリスリトール、トレハロース、無水リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられ、乳糖、デンプン、マンニトール、結晶セルロース等が好適である。その配合量は、通常、素錠中約5〜約97重量%、好ましくは、約10〜約80重量%程度である。
流動化剤
流動化剤の具体例としては軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられ、軽質無水ケイ酸が好ましい。その配合量は、通常、素錠中約0.01〜約10重量%、好ましくは、約0.1〜約5重量%程度である。
崩壊剤
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が例示される。この中で、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであってヒドロキシプロポキシル基含量が、通常は約5〜約16重量%であり、好ましくは約7〜約16重量%であり、より好ましくは約10〜約16重量%であるものが使用される。崩壊剤の配合量は、通常、素錠中約2〜約30重量%、好ましくは、約5〜約25重量%程度である。
その他、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの滑沢剤等の製剤化成分を必要に応じて配合してもよい。
素錠は、上記製剤化成分を適宜組み合わせ、常法に従い、圧縮成型することにより製造できる。これら成分の中でも、賦形剤として乳糖及びデンプン、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、流動化剤として軽質無水ケイ酸、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを選択するのが好ましい。
被覆層
本発明のフィルムコーティング錠では、少なくとも2層以上の被覆層を有する。素錠を直接的に被覆する層を第1層と呼び、第1層から外側へ向かって順に第2層、(もしあれば)第3層・・・と呼ぶ。本発明によれば、第1層は実質的に成分Bを含まず、第2層以降の少なくとも1層が成分Bを含む。
本発明のフィルムコーティング錠は、まず、速溶性を維持していることを特徴とする。一般的には、2層以上のフィルムコーティング層を有する錠剤は、徐放性または腸溶性錠剤である。速溶性錠剤では、通常、2層以上のフィルムコーティングを施さない。そこで、本発明者らも、上記成分Bの存在を見いだしたことにより、まず、成分Bを含まない1層でのフィルムコーティング錠の製造を試みた。しかしながら、実生産にむけての大量製造の際に、ピッキング等の問題が生じ、製造に支障が生じた。そこで、上記成分Bは被覆層に加えるものとし、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩と上記成分Bを接触させない形態をとった。具体的には、化合物A又はその生理学的に許容される塩を含む素錠を、成分Bを含まないフィルム層で被覆し、その後、さらに、成分Bを含むフィルム層で被覆した。このような構造の錠剤は、速溶性を維持したままで、長期保存においても化合物Aの分解や製剤への着色が抑制され、大量製造時にもピッキング等が抑制された。
第1層の被覆層は、例えば、下記に示すようなフィルム基剤を含む。このフィルム基剤の濃度としては、第1層中約5〜約100重量%、好ましくは約30〜約100重量%、とりわけ好ましくは約50〜約98重量%である。
第1層の被覆量は、素錠の表面積1cmあたり、約0.5〜約10mg程度、好ましくは約0.7〜約5mg程度となるように調整される。この量であれば、下記に示すようにその後に成分Bを含む組成物で被覆したときに、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が成分Bと接触することはない。より好ましくは、第1層の被覆量は、素錠の表面積1cmあたり、約1.5〜約3mg程度である。
上記第1層を設けた後は、いずれかの段階で成分Bを含む組成物を用いて被覆すればよい。例えば、第2層として成分Bを含む組成物で被覆してもよいし、成分Bを含まない組成物で1または数層被覆して最終的に成分Bを含む組成物で被覆してもよい。また、成分Bを含む層は、2層以上あってもよい。
成分Bを含む層における該成分Bの含有量は、該層中約5〜約98重量%、好ましくは約7.5〜約90重量%、とりわけ好ましくは約10〜約50重量%である。
被覆層の数は2層が好ましい。その場合、第2層の被覆量は、第1層の表面積1cmあたり、約0.1〜約20mg程度、好ましくは約0.5〜約10mg程度となるように調整される。この被覆量であれば、上記成分Bに起因して化合物Aの分解等を大幅に抑制することができる。より好ましくは第2層の被覆量は、第1層の表面積1cmあたり約1〜約5mgである。
第1層と第2層の重量比率は、特に限定されないが、例えば、第1層1重量部に対して、第2層は、約0.1〜約10重量部、好ましくは、約0.5〜約5重量部程度である。
各被覆層に含まれる成分としては以下のものが挙げられる。
フィルム基剤
フィルム基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)などのビニル高分子類、メタアクリル酸コポリマーなどのアクリル高分子などが例示できる。好ましくは、HPMCが例示できる。
上記フィルム基剤および上記成分Bに加えて、被覆層に含有されていてもよい成分としては、例えば、酸化チタン、三二酸化鉄のような着色剤(各層の含有量:0.1〜50重量%)、タルクのような固着防止剤(各層の含有量:0.1〜50重量%)、軽質無水ケイ酸のような光沢化剤(各層の含有量:0.1〜10重量%)などが挙げられる。
第一層は、上記記載の一種または二種以上のフィルム基剤を選択し、これを水又はエタノール等の有機溶媒、好適には、水に溶解若しくは懸濁させて液状組成物(コーティング液)を得て、該組成物を素錠の上に噴霧することで製造できる。また、コーティング液には、必要に応じて上記着色剤、固着防止剤あるいは光沢化剤などを配合してもよい。
成分Bを含む層は、成分Bを選択し、これを水又はエタノール等の有機溶媒、好適には、水に溶解若しくは懸濁させて液状組成物を得て、該組成物をスプレーすることにより製造できる。該組成物には、必要に応じて、上記フィルム基剤や上記着色剤、固着防止剤あるいは光沢化剤などを配合してもよい。
その他の成分Bを含まない層の形成工程は、第1層の形成工程と同様に行うことができる。
本発明のフィルムコーティング錠は、長期保存においても安定である。従って、例えば、本発明のフィルムコーティング錠を容器に収納し、容器開栓で40℃75%RHにて6ヶ月間保存したのちに、類縁物質の生成量(総類縁物質量)を高速液体クロマトグラフ法で測定したとき、面積百分率でのその総類縁物質量の割合は約1%以下である。約0.6%以下であるのが好ましい。
類縁物質の生成量(総類縁物質量)とは、化合物Aの分解生成物、製造時の中間体、製造時の不純物等の総量であって、後述する高速液体クロマトグラフ法による測定条件で検出可能な総量を意味する。面積百分率とは、後述する高速液体クロマトグラフ法で得られた総ピーク面積に占める類縁物質の合計ピーク面積の割合を%で示した数をいう。
前記高速液体クロマトグラフ法での測定条件は、実施例に記載のとおりである。
本発明のフィルムコーティング錠は、消化管運動機能促進、胃切除後症状の改善または胃食道逆流症(GERD)の予防もしくは治療に好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の実施例等において、化合物Aのラセミ体を化合物A−aと、また、化合物A−aのクエン酸塩二水和物を化合物A−bと定義し、A−bは、大日本製薬(株)製のものを使用した(平均粒子径約7μm)。
ポリエチレングリコール6000は、日本油脂株式会社製の「マクロゴール6000」を使用した。ポリエチレングリコール1500はナカライテスク(株)製の「ポリエチレングリコール1500」を、ポリエチレングリコール400は丸石製薬(株)の「マクロゴール400」を、ポリソルベート80はナカライテスク(株)製の「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート」を、ポロキサマー188はBASFジャパン(株)製の「プルロニックPE6800」を、グリセリンは和光純薬工業株式会社製のものを使用した。
乳糖は、DMV社製の「Pharmatose(登録商標) 200mesh」を使用した。デンプンは日本食品加工株式会社製の「コーンスターチ」を使用した。軽質無水ケイ酸は、日本アエロジル株式会社製の「Aerosil(登録商標) 200」を使用した。ヒドロキシプロピルセルロースは、日本曹達株式会社製の「日曹HPC L」を使用した。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、信越化学工業株式会社製のL−HPC(LH−11)」を使用した。ステアリン酸マグネシウムは、太平化学産業株式会社製の植物由来の「ステアリン酸マグネシウム」を使用した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは,信越化学工業株式会社製の「TC−5RW」を使用した。酸化チタンは石原産業株式会社製の「酸化チタン」を使用した。タルクは日本タルク株式会社製のものを使用した。
参考例
化合物A−bと各種「成分B」(ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、ポロキサマー188、グリセリン)との配合変化試験を行った。即ち、ガラス容器に化合物A−bと各成分Bを重量比で1:1になるような割合で配合し、密栓後、60℃、1ヶ月の保存試験をおこなった。配合の際に溶解しない場合には、懸濁または接触状態においた。比較例としてガラス容器に化合物A−bのみいれ、密栓後、同様に60℃、1ヶ月の保存試験をおこなった。密栓後1ヶ月経過後、類縁物質の生成量(総類縁物質量)を測定した。類縁物質の生成量は、高速液体クロマトグラフ法(面積百分率)で測定した。尚、総類縁物質量とは、化合物A−aの分解生成物、製造時の中間体、製造時の不純物等の総量を意味する。試料の調製は上記ガラス容器に水:メタノールを1:9の割合で加え、20分間振り混ぜた後遠心分離し上澄液を得ることによって行った。使用したカラムはDeverosil ODS−7(野村化学)であり、移動相はクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.4)/メタノール/アセトニトリル混液(24:9:7)を用いた。測定波長は274nmである。結果を図1に示す。化合物A−bと、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、グリセリンを混合すると、化合物A−b単独で保存するよりも、より多くの類縁物質が生じることが判明した。
実施例1
(1)素錠の製造
表1に示す処方に従い、1錠あたり化合物A−aを3.43mg含む素錠を製造した。(1錠あたり130mg、円形錠、直径7.0mm、表面積:115.5mm)。
Figure 2006011638
(2)被覆層の形成
1錠あたり表2に記載の組成の被覆層が形成できるよう、まず各コーティング液を調製した。即ち、精製水に酸化チタンおよびタルクを加え、懸濁させた後、予め調製しておいた10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、第1層用のコーティング液を調製した。また、精製水にポリエチレングリコール6000および軽質無水ケイ酸を加え懸濁させた後、篩(80号)で篩過し、第2層用のコーティング液を調製した。
Figure 2006011638
上記(1)で得た素錠400g(約3100錠分)をハイコーター(HC−LABO型、フロイント産業)に投入し、第1層用のコーティング液を噴霧して乾燥後のコーティング量が1錠あたり4.25mgになるようコーティングした。
続けて第2層用のコーティング液を噴霧して1錠あたり、乾燥後のコーティング量が1錠あたり0.75mgになるようコーティングした。コーティング終了後、ハイコーター内で乾燥を行い、目的のフィルムコーティング錠を得た。
実施例2
実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)に、第1層のコーティング液からタルクを削除する点および第2層のコーティング液にタルクを添加する以外は実施例1(2)と同様にして、1錠あたり以下の表3に記載の2層の被覆を施してフィルムコーティング錠を得た。
Figure 2006011638
実施例3
実施例1(1)で得た素錠に1錠あたり表4に記載の2層の被覆を施してフィルムコーティング錠を以下のようにして製造した。
Figure 2006011638
まず各コーティング液を調製した。即ち、精製水に酸化チタンおよびタルクを加え、懸濁させた後、予め調製しておいた10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、第1層用のコーティング液を調製した。
また、精製水にポリエチレングリコール6000、酸化チタン、タルクおよび軽質無水ケイ酸を加え懸濁させた後、10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、第2層用のコーティング液を調製した。
上記実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)をハイコーター(HC−LABO型、フロイント産業)に投入し、第1層用のコーティング液を噴霧して乾燥後のコーティング量が1錠あたり3.00mgになるようコーティングした。
続けて第2層用のコーティング液を噴霧して1錠あたり、乾燥後のコーティング量が1錠あたり2.00mgになるようコーティングした。コーティング終了後、ハイコーター内で乾燥を行った。
実施例4
実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)に、実施例3と同様にして、1錠あたり以下の表5に記載の2層の被覆を施してフィルムコーティング錠を得た。
Figure 2006011638
実施例5
実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)に、第1層用のコーティング液に酸化チタンを添加しない以外は実施例3と同様にして、1錠あたり以下の表6に記載の2層の被覆を施してフィルムコーティング錠を得た。
Figure 2006011638
比較例1
実施例1(1)で得た素錠に1錠あたり表7に記載の被覆層(1層)を有するフィルムコーティング錠を以下のようにして製造した。
Figure 2006011638
精製水にポリエチレングリコール6000、酸化チタン、タルクおよび軽質無水ケイ酸を加え懸濁させた後、予め調製しておいた10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、コーティング液を調製した。
実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)をハイコーター(HC−LABO型、フロイント産業)に投入し、コーティング液を噴霧して乾燥後のコーティング量が1錠あたり5.00mgになるようコーティングした。コーティング終了後、ハイコーター内で乾燥を行った。
試験例1 安定性試験
実施例1〜5および比較例1で得た錠剤を(1)ガラス瓶密栓で40℃75%RHにて6ヶ月間保存、または(2)ガラス瓶開栓で40℃75%RHにて6ヶ月間保存し、一定時期ごとに類縁物質の生成量(総類縁物質量)、色相変化を調べた。類縁物質の生成量は、錠剤2錠に水1ml及びメタノール9mlを加えて参考例に記載の方法によって試料を調製し、参考例に記載の高速液体クロマトグラフ法(面積百分率)で測定し、色相変化は目視により判定した。
結果を図2(ガラス瓶密栓)および図3(ガラス瓶開栓)及び表8(ガラス瓶密栓)および表9(ガラス瓶開栓)に示す。
Figure 2006011638
Figure 2006011638
その結果、本発明のフィルムコーティング錠の場合は、6ヶ月保存した後であっても、開栓・密栓いずれでも類縁物質の生成量(総類縁物質量)は基準値(1%)以下であった。また、色相変化も認められず安定であった。
上記結果が示すように、40℃、75%RHの条件下において、本発明のフィルムコーティング錠は、安定性に優れたものであった。従って、本発明のフィルムコーティング錠は、個別に包装(例えば、PTP包装など)されていない状態で一定量保存すること、いわゆるバラ包装も可能である。それゆえ、本発明のフィルムコーティング錠は、簡易な形態で包装(例えば、グラシン紙、薬包紙などによる包装)された形で、または服用時毎にひとまとめにするワンドースパッケージの形でも患者に処方できる。
試験例2 苦味マスキング試験
上記実施例1〜5で得られた各錠剤の苦味マスキング試験を行った。即ち、化合物A−bと比較して、不快な味の遮蔽効果があるか否かを3名のパネラーによって試験した。その結果、いずれの錠剤も明らかに遮蔽効果があり、不快な味は全く感じられなかった。
実施例6〜8 フィルムコーティング錠
表10に示す処方に従い、1錠あたり化合物A−aを1.72mg含む素錠を製造し(1錠あたり80mg、円形錠、直径6.5m、表面積:83.6mm)、表11の処方に従い、実施例1〜5と同様にして、得られた素錠に被覆層を施し、フィルムコーティング錠を製造した。
Figure 2006011638
Figure 2006011638
比較例2
実施例6で得た素錠に1錠あたり表12に記載の組成の被覆層(1層)を有するフィルムコーティング錠を製造した。
Figure 2006011638
精製水にポリエチレングリコール6000、酸化チタン、タルクおよび軽質無水ケイ酸を加え懸濁させた後、予め調製しておいた10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、コーティング液を調製した。
実施例6で得た素錠400g(約5000錠分)をハイコーター(HC−LABO型、フロイント産業)に投入し、コーティング液を噴霧して乾燥後のコーティング量が1錠あたり3.00mgになるようコーティングした。コーティング終了後、ハイコーター内で乾燥を行った。
試験例3 安定性試験
実施例6〜8および比較例2で得た錠剤を(1)ガラス瓶密栓で40℃75%RHにて6ヶ月間保存、または(2)ガラス瓶開栓で40℃75%RHにて6ヶ月間保存し、一定時期ごとに類縁物質の生成量(総類縁物質量)、色相変化を調べた。類縁物質の生成量は、試験例1と同様にして高速液体クロマトグラフ法(面積百分率)で測定し、色相変化は目視により判定した。
結果を図4(ガラス瓶密栓)および図5(ガラス瓶開栓)及び表13(ガラス瓶密栓)および表14(ガラス瓶開栓)に示す。
その結果、本発明のフィルムコーティング錠の場合は、6ヶ月保存した後であっても、開栓・密栓いずれでも類縁物質の生成量(総類縁物質量)は基準値(1%)以下であった。また、色相変化も認められず安定であった。
Figure 2006011638
Figure 2006011638
実施例9
実施例1(1)で得た素錠に1錠あたり表15に記載の2層の被覆層を有するフィルムコーティング錠を製造した。
Figure 2006011638
まず各コーティング液を調製した。即ち、精製水に酸化チタンおよびタルクを加え、懸濁させた後、予め調製しておいた10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、第1層用のコーティング液を調製した。
また、精製水にポリキサマー188、酸化チタン、タルクおよび軽質無水ケイ酸を加え懸濁させた後、10重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を加えて分散させ、篩(80号)で篩過し、第2層用のコーティング液を調製した。
上記実施例1(1)で得た素錠400g(約3100錠分)をハイコーター(HC−LABO型、フロイント産業)に投入し、第1層用のコーティング液を噴霧して乾燥後のコーティング量が1錠あたり3.00mgになるようコーティングした。
続けて第2層用のコーティング液を噴霧して1錠あたり、乾燥後のコーティング量が1錠あたり2.00mgになるようコーティングした。コーティング終了後、ハイコーター内で乾燥を行った。
試験例4 安定性試験
実施例9で得た錠剤を(1)ガラス瓶開栓で40℃75%RHにて1ヶ月間保存し、類縁物質の生成量(総類縁物質量)の生成量を試験例1と同様にして測定した。その結果、どちらの錠剤も安定であった。
試験例5 溶出試験
実施例4の錠剤を用いて、第14改正日本薬局方に記載の溶出試験(37℃、パドル法、50回転/分、溶媒900mlの水)に従い溶出試験を行った。その結果、30分後の溶出率は、102.7%であった。
本発明のフィルムコーティング錠剤によれば、アルミ包装などの保護包装を施さなくても化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が分解されにくく、安定な状態で保存することができる。また、生産においても支障をきたすこともない。更に服用時に苦味を有することもない。
本出願は、日本で出願された特願2004−220863を基礎としており、参照することによりその内容は本明細書に全て包含される。

Claims (17)

  1. 4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド(以下、「化合物A」という)またはその生理学的に許容される塩を含有する速溶性のフィルムコーティング錠であって、
    該フィルムコーティング錠が、
    ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベートおよびグリセリンからなる群から選ばれる製剤化成分の少なくとも1種(以下、「成分B」という)を含有し、かつ
    化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が成分Bと接触しない形態を有するフィルムコーティング錠。
  2. (a)化合物Aまたはその生理学的に許容される塩を含む素錠及び
    (b)該素錠の表面に設けられた2層以上の被覆層を有し、
    素錠の上に被覆された第1層が実質的に成分Bを含有せず、
    第2層以降の少なくとも1層が成分Bを含有する、
    請求項1のフィルムコーティング錠。
  3. 第2層以降の少なくとも1層に約5〜約98重量%の濃度で成分Bを含有する、請求項2のフィルムコーティング錠。
  4. 最外に設けられた被覆層が成分Bを含有する、請求項2または3のフィルムコーティング錠。
  5. 成分Bがポリエチレングリコールである請求項1〜4のいずれかのフィルムコーティング錠。
  6. 被覆層が第1層と第2層とからなり、第2層が成分Bを含有する、請求項2のフィルムコーティング錠。
  7. 第1層が素錠の表面を約0.5〜約10mg/cm程度被覆している請求項6のフィルムコーティング錠。
  8. 第2層が第1層の表面を約0.1〜約20mg/cm程度被覆している請求項6または7のフィルムコーティング錠。
  9. 第1層が1種又は2種以上のフィルム基剤を含有する請求項2のフィルムコーティング錠。
  10. 化合物Aまたはその生理学的に許容される塩が化合物Aのクエン酸塩の2水和物である請求項1〜9のいずれかのフィルムコーティング錠。
  11. 素錠が、化合物Aまたはその生理学的に許容される塩を化合物Aに換算して約0.5〜約70重量%の割合で含有する、請求項1〜10のいずれかのフィルムコーティング錠。
  12. 当該フィルムコーティング錠を容器に収納し、40℃、75%RHの開栓の条件下で6ヶ月保存したときの化合物Aの類縁物質の生成量の割合が約1%以下である請求項1〜11のいずれかのフィルムコーティング錠。
  13. 素錠が、化合物Aのクエン酸塩2水和物を化合物Aに換算して約0.5〜約50重量%の割合で含有し、
    第1層が、1種又は2種以上のフィルム基剤を含み、素錠の表面を0.7〜5mg/cm程度被覆し、
    第2層が、第1層の表面を0.5〜10mg/cm程度被覆している、
    請求項6のフィルムコーティング錠。
  14. フィルム基剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびメタアクリル酸コポリマーからなる群から選ばれる請求項13のフィルムコーティング錠。
  15. 成分Bがポリエチレングリコールである請求項13のフィルムコーティング錠。
  16. 素錠が、化合物Aのクエン酸塩2水和物を化合物Aに換算して約0.5〜約30重量%の割合で含有し、
    第1層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、素錠の表面を1.5〜3mg/cm程度被覆し、
    第2層が、ポリエチレングリコール6000を含み、第1層の表面を1〜5mg/cm程度被覆し、
    当該フィルムコーティング錠を容器に収納し、40℃、75%RHの開栓の条件下で6ヶ月保存したときの化合物Aの類縁物質の生成量の割合が約0.6%以下である請求項6のフィルムコーティング錠。
  17. 請求項1に記載のフィルムコーティング錠及び当該フィルムコーティング錠に関する記載物を含む商業パッケージであって、当該フィルムコーティング錠を消化管運動機能促進、胃切除後症状の改善又は胃食道逆流症(GERD)の予防若しくは治療に使用することができる又は使用すべきである記載を、該パッケージ上又は該パッケージ内の記載物に含む商業パッケージ。
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