JPWO2006006692A1 - 低血清培養で選択的に増殖する動物組織遍在性の分化多能性細胞 - Google Patents
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Abstract
Description
白血病、再生不良性貧血、およびリンパ腫などの血球系細胞の異常による疾病を治療するために、健常者の骨髄から採取した血球系幹細胞を含む細胞集団を患者に移植する骨髄移植法が確立されている。この骨髄移植法では、組織適合性の不一致による拒絶反応を回避するために、骨髄バンクと呼ばれている公的システムを発達させて、多数の登録者の中から患者と組織適合性が一致する供与者を検索し、血縁者間だけでなく他人間で移植できる体制が整備されている。この骨髄移植法では、採取した骨髄液に何の操作も加えず患者に移植しており、血球系幹細胞を体外で増殖培養させることはなかった。
重度の熱傷、糖尿病患者の慢性皮膚潰瘍、高齢者の床ずれ、色素性母斑等の治療に用いることを目的にした培養皮膚が開発されている。これには培養真皮と培養表皮があるが、何れの場合にも、用いられている細胞が繊維芽様細胞または表皮角化細胞にしか分化せず、多分化能を持つ幹細胞を利用していない。また、救急治療に用いることを目的に、組織適合性が一致しない個人間の移植も想定されている。
多様な体組織の細胞に分化する能力を持っている分化多能性細胞が骨髄液に潜在することが発見され、これを分離する方法が開発されている。この分化多能性細胞は骨髄液に含まれる細胞の0.01から0.001%に過ぎず、多くの体組織の再生治療に必要となる108個以上の細胞数を確保するには、100から1000リットルもの骨髄液が必要になる。臨床現場の研究者が患者の骨髄液から選択的に分離したこの種の分化多能性細胞を培養操作を加えずに自家移植する治療を試みているが、大量の骨髄液の採取は患者に大きな負担を与えるだけでなく危険を伴う。
この出願の発明者らは、多分化能を持つ幹細胞(分化多能性細胞)が脂肪組織に内在していることを報告している(非特許文献1)が、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校のMarc H.Hedrickらはこの分化多能性細胞の分離を目指して、肥満患者から吸引採取した大量の脂肪組織を遠心分離して、沈降画分(SVF画分)の細胞集団に分化多能性細胞が含まれることを報告している(非特許文献2)。さらに、筋肉内に存在することが以前から知られていた衛星細胞(satellite cell)が、多分化能を持つ幹細胞であることも報告されている(非特許文献3)。
しかし、これらの分化多能性細胞の含有量は非常に少ないので、分化多能性細胞の取得効率は極めて低い。またSVF画分は非常に不均一な細胞集団であり、SVF画分に含まれるどのような細胞が分化多能性細胞であるか不明である。事実、Hedrickらは330mlもの吸引脂肪を用いてはじめて間葉系幹細胞の分離に成功したが(非特許文献2)、このように大量の脂肪を採取できる肥満患者は少ないので実用性に乏しい。筋肉からの分化多能性細胞の取得にも、多大の時間と労力を必要とする単コロニー分離法が必要である。
なお、分化多能性細胞の取得に関する従来技術としては、この出願の発明者らによる特許出願(特許文献1)の他、特許文献2、3が存在する。
文献リスト
ところが、この種の分化多能性細胞(特に、間葉系幹細胞)を分離する従来技術では、大量の骨髄液または脂肪組織が必要であり、また、分化多能性細胞を拡大培養するためにも多大の時間と労力が必要である。この種の分化多能性細胞の移植治療が普及するには、簡便かつ安全に採取できる分化多能性細胞を特定し、それらの効率的な分離法および増殖を可能とする技術が必要である。
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、簡便かつ安全に、しかも大量に採取することのできる分化多能性細胞(特に、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋脂肪、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞への分化能を有する分化多能性細胞)と、この細胞から分化された細胞を提供することを課題としている。
またこの出願の発明は、上記の分化多能性細胞を取得する方法を提供することを課題としている。
さらにこの出願の発明は、上記の分化多能性細胞を用いた細胞移植方法を提供することを課題としている。
この出願は、前記の課題を解決する第1の発明として、以下の性質:
(1) 動物から採取した組織を酵素処理することによって得られる細胞型混合集団に含まれ、
(2) 前記(1)の細胞型混合集団を遠心分離して得られる沈降細胞集団に含まれ、
(3) 2%(v/v)以下の血清と1〜100ng/mlの繊維芽細胞増殖因子−2を含む培養液で培養すると選択的に増殖し、
(4)培養条件を調節することによって脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する、
を有することを特徴とする分化多能性細胞を提供する。
この第1発明においては、動物がヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジまたはニワトリであること、また採取した組織が皮下脂肪、大網、内臓脂肪、筋肉または臓器であることをそれぞれ好ましい態様としている。
またこの第1発明においては、性質(1)の細胞型混合集団に含まれる細胞がCD34陽性かつCD45陰性の細胞であること、さらに性質(3)の選択的に増殖する細胞がCD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性の細胞であることをそれぞれ別の好ましい態様としている。
この出願は、第2の発明として、前記第1発明の分化多能性細胞から分化した細胞であって、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞のいずれかの特徴を有する細胞を提供する。
この出願は、第3の発明として、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する分化多能性細胞を取得する方法であって、
(a) 動物組織を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製する工程、
(b) 前記(a)の細胞型混合集団を遠心分離することによって沈降細胞集団を調製する工程、
(c) 前記(b)の細胞集団から、2%(v/v)以下の血清と1〜100ng/mlの繊維芽細胞増殖因子−2を含む培養液で培養すると選択的に増殖する細胞を選択する工程、
を含むことを特徴とする分化多能性細胞の取得方法を提供する。
この第3発明においては、工程(a)において、ヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジまたはニワトリの組織を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製すること、さらには工程(a)において、皮下脂肪、大網、内臓脂肪、筋肉または臓器を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製することを好ましい態様としている。
またこの第3発明では、工程(a)においてCD34陽性かつCD45陰性の細胞集団を調製すること、そして工程(c)においてCD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性の細胞を選択することをそれぞれ別の好ましい態様としている。
さらにこの出願は、第4の発明として、前記第1発明の分化多能性細胞を動物体内に移植することを特徴とする細胞移植方法を提供する。
なお、この出願の前記発明において、「分化多能性細胞」とは、骨、軟骨、骨格筋、心筋、脂肪、腱、靱帯、間質細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する能力を有する細胞(幹細胞)をいう。なお、以下の説明では、分化多能性細胞を単に「幹細胞」と記載することもある。
図2は、ヒト血清を使用した場合、およびウシ胎児血清を使用した場合、の分化多能性細胞の増殖曲線である。
図3は、22歳男性皮下脂肪由来の分裂増殖した分化多能性細胞が脂肪細胞に分化したことを示す写真像である。
図4は、22歳男性皮下脂肪由来の分裂増殖した分化多能性細胞が骨芽細胞へ分化したことを示す写真像である。
図5は、48歳女性大網組織由来の分裂増殖した分化多能性細胞が脂肪細胞に分化したことを示す写真像である。
図6は、48歳女性大網組織由来の分裂増殖した分化多能性細胞が骨芽細胞に分化したことを示す写真像である。
図7は、22歳男性皮下脂肪由来の分裂増殖した分化多能性細胞が軟骨細胞へ分化したことを示す写真像である。
図8は、CD34陽性かつCD45陰性細胞集団由来の分裂増殖した分化多能性細胞が脂肪分化の特徴を有することを示す写真像である。
図9は、CD34陽性かつCD45陰性細胞集団由来の分裂増殖した分化多能性細胞が骨芽分化の特徴を有することを示す写真像である。
図10は、22歳男性皮下脂肪由来の分裂増殖した分化多能性細胞を、マウスに移植した時の脂肪構築を示す写真像である。
発明の効果
この出願の発明により、組織再建のための移植に必要な症例当たり108個以上、実際には109個以上の分化多能性細胞を、ドナーに負担をかけることなく得ることが可能となる。また、移植に必要な分化多能性細胞を選択的に増殖させることが可能となる。そしてこの分化多能性細胞は、動物体内(ドナー自身、または他のレシピエント)に移植することによって、脂肪組織、骨、軟骨、筋肉、神経、血管等を形成することができる。従って、この出願の発明によって、各種組織に分化できるドナー自身の分化多能性細胞が大量に準備できるようになるので、これをドナー体内に移植することによって、失われたり機能低下した骨、軟骨や脂肪組織などを再建する医療が可能になる。外傷や癌によって軟部組織を失った患者や、顔面の半側の皮下結合組織だけが萎縮する顔面半側萎縮症の患者などの治療には、患者自身の脂肪組織を必要とする部位に自家移植する方法が採用されてきたが、移植後に吸収や瘢痕化が起こりやすく、移植した体積が失われる難点があった。これは移植脂肪の大半を占めていた成熟脂肪細胞が壊死するためと考えられるが、体外で選択的に増殖させた幹細胞を移植すればこの問題は解決できると期待される。このような間葉系組織の再建術は、豊胸術などの美容外科分野への発展も期待される。この分化多能性細胞の多分化能を活用すれば、開放骨折などで失われた骨格の大規模な再建も可能になる。この分化多能性細胞が心筋細胞にも分化することが確かめられれば、働き盛りの中高年層を襲う心臓病の克服が期待できる。この発明が可能にしたドナーの分化多能性細胞を大量に取得する方法は、このような新しい再生医療分野の開拓にもつながるので、その効果は計り知れない。安全かつ簡便に採取できる脂肪から分化多能性細胞が量産できるこのシステムを健常人に拡大すれば、「分化多能性細胞バンク」の構築が可能になり、組織適合個体間の若年者から老人への移植も展望できる。
(a)細胞型混合集団を調製する工程
動物組織は、例えばヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジまたはニワトリ等の組織である。組織は、動物体から切除等によって単離された組織であり、例えば、皮下脂肪、大網、腸間膜や腎臓周囲の内臓脂肪、精巣上体脂肪、および筋肉組織内脂肪などの脂肪組織だけでなく、筋肉、心臓、肺臓、肝臓、腎臓、胃、小腸、大腸等である。より好ましくは、皮下脂肪や大網等である。また、採取する組織の量は、ドナー種や組織の種類によって異なるが、例えば1〜10g程度であり、特にヒトをドナーとする場合には、ドナーへの負担を考慮して約2g程度とすることが好ましい。
例えば、脂肪組織の場合には、ドナーから脂肪吸引により皮下脂肪を採取したり、ドナーの体表面から少量(例えば、幅1cmと長さ2cm程度の範囲で紡錘状に0.5cmの深さ)の皮膚と皮下脂肪を採取する。またあるいは大網の場合には、全身麻酔したドナーの腹腔から内視鏡を用いて少量の大網を採取するようにする。
得られた動物組織片は、例えば培地溶液等で洗浄することによって、血液等を除去する。
酵素処理は、これら動物組織を、コラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼ、ディスパーゼ、エラスターゼまたはヒアルロニダーゼ等の酵素によって消化することにより行う。このような酵素処理は、当業者に既知の手法および条件により可能である(例えば、R.I.Freshney,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,4th Edition,A John Wiley & Sones Inc.,Publication参照)。あるいは、後記実施例に記載の手法および条件により行うこともできる。
このような酵素処理によって、細胞型混合集団が得られる。この細胞型混合集団には、2種類以上の異種性の細胞、例えば、間葉系幹細胞、様々な成熟段階にある組織細胞集団、内皮細胞、周細胞、間質細胞、および様々な血球系細胞などが含まれている。
また、この細胞型混合集団は、その表現抗原の型を指標として、CD34陽性かつCD45陰性の細胞集団として調製することもできる。すなわち、下記の実施例において示されているように、最終的にある種の分化多能性細胞となる細胞は、細胞型混合集団におけるCD34陽性かつCD45陰性細胞であるため、このような表面抗原型の細胞集団を調製することによって、より効率よく分化多能性細胞を得ることができる。CD34陽性かつCD45陰性細胞は、それぞれの抗体(抗CD34抗体、抗CD45抗体)を用いた方法や、これらの抗体を結合させたマイクロビーズを用いる方法など、当該技術分野における公知の手段によって分離取得することができる。
(b)沈降細胞集団を調製する工程
前記(a)で得た細胞型混合集団を遠心処理することによって、沈降細胞集団を得る。すなわち、細胞型混合集団に含まれる酵素未処理組織等を濾過等によって除去した後の細胞懸濁液を、遠心処理する。遠心は、細胞の種類や量によって異なるが、例えば、1から10分間、800から1500rpm程度で行うことができる。そして、この遠心処理後の沈殿として、沈降細胞集団が得られる。
得られた沈降細胞集団には、例えば、間葉系幹細胞、様々な成熟段階にある組織細胞集団、内皮細胞、周細胞、間質細胞、および様々な血球系細胞などが含まれている。
(c)低血清培地での選択的培養工程
この工程では、前記(b)の細胞集団から、2%(v/v)以下の血清と1〜100ng/mlの繊維芽細胞増殖因子−2((Fibroblast growth factor(FGF)−2)を含む培養液で培養し、選択的に増殖する細胞を選択する。
培地は、血清量が2%(v/v)以下であることを条件として、通常の動物細胞培養用の培地を使用することができる。例えば、Alpha−MEM(大日本製薬株式会社等)、ATCC−CRCM 30(ATCC)、Coon’s modified F12(SIGMA等)、DM−160およびDM−201(日本製薬株式会社)、Doulbecco’s modified Eagle’s Medium(DMEM)with High Glucose(4500mg/L)(大日本製薬株式会社等)、Doulbecco’s modified Eagle’s Medium(DMEM)with Low Glucose(1000mg/L)(和光純薬工業株式会社等)、DMEM:Ham’s F12混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、DMEM:RPMI1640混合培地(1:1)、Eagle’s basal medium(EBM)(大日本製薬株式会社等)、Eagle’s Minimum Essential Medium(EMEM)(大日本製薬株式会社等)、EMEM:RPMI1640混合培地(1:1)、ES medium(日水製薬株式会社)、Fischer’s Medium(和光純薬工業株式会社等)、Ham’s F10(大日本製薬株式会社等)Ham’s F12 medium(大日本製薬株式会社等)、Ham’s F12:RPMI1640混合培地(1:1)、Kaighns modification of Ham’s F12(F12K)(大日本製薬株式会社等)、Leibovitz’s L−15 medium(大日本製薬株式会社等)、McCoy’s 5A(大日本製薬株式会社等)、RITC80−7培地(機能性ペプチド研究所)、HF−C1培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB107培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB201培地(SIGMA)、HSMC−C1培地(機能性ペプチド研究所)、HEC−C1培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB131培地(機能性ペプチド研究所)HSMC−C2培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB153培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB153HAA培地(機能性ペプチド研究所)、Medium199(大日本製薬株式会社等)、NCTC135(大日本製薬株式会社等)、RPMI1640(大日本製薬株式会社等)、Waymouth’s MB752/1 medium(大日本製薬株式会社等)、Williams’medium E(大日本製薬株式会社等)などである。
これらの培地が、無血清培地である場合には、2%(v/v)以下の血清を添加する。また血清を含む培地の場合には、血清を除去する等の方法により、血清含有量を2%(v/v)以下に調製して用いる。なお、通常の動物細胞の培養では、ウシ胎児血清を10−20%(v/v)の濃度で用いるが、この発明方法では、これを2%(v/v)以下に減少させて血清中に含まれる細胞増殖因子の作用を制限した培養条件を指定している。また「血清」とは通常法で用いられているウシ胎児血清に限定したものではなく、患者から採取できるヒト血清をも包含している。
このような培養液で培養することによって、第1発明の分化多能性細胞を選択的に増殖させることができる。また上記の培養条件で増殖する幹細胞は高い増殖活性を持つので、継代培養によって、組織の再生医療に必要な症例当たり108個以上の分化多能性細胞を得ることができる。
あるいはまた、この選択的に増殖する細胞は、その表現抗原の型を指標としてCD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性の細胞として取得することもできる。すなわち、下記の実施例において示されているように、最終的にある種の分化多能性細胞となる細胞は、前記のとおりの細胞表面抗原型を有する細胞であるため、このような細胞表面抗原型の細胞を取得することによって、より効率よく分化多能性細胞を得ることができる。CD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性は、それぞれの抗体を用いた方法や、これらの抗体を結合させたマイクロビーズを用いる方法など、当該技術分野における公知の手段によって分離取得することができる。
以上の方法(第3発明の方法)によって得られた分化多能性細胞(第1発明の細胞)は、培養条件を調節することによって脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する。
例えば、脂肪細胞への分化は、例えば後記実施例4に示したように、ウシ胎児血清、イソブチル−1−メチルキサンチン、インドメタシン、ハイドロコルチゾン、インスリン、デキサメタゾン等を適量含む脂肪細胞誘導培地で細胞を培養することによって行うことができる。また骨芽細胞への分化は、例えば後記実施例5に示したように、ウシ胎児血清、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物、β−グリセロリン酸、デキサメタゾン等を適量含む骨芽細胞誘導培地で細胞を培養することによって行うことができる。さらに、軟骨細胞への分化は、後記実施例7に示したように、例えば、無血清基本培地に100ng/ml TGF−β1等を添加して調製した軟骨細胞誘導培地を用いて行うことができる。血管内皮細胞へは血管内皮細胞増殖因子を含む培地によって、筋芽細胞へは5−アザシチジンを適量含む培地によって、神経細胞へは2−メルカプトエタノールまたはジメチルスルホキシドを適量含む培地によって、心筋細胞へは5−アザシチジンを適量含む培地によって、腱細胞へはコラーゲンゲル内で培養し、適切な物理的刺激を加えることによって、それぞれ誘導することができる。
第2発明の細胞は、以上のとおりの処理によって、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞のいずれかの特徴を有するように分化した細胞である。なお、特定細胞に効率良く分化させるためには、それぞれに特定の動物組織から調製した細胞型混合集団を対象として前記発明3の方法により分化多能性細胞を得ることも好ましい。すなわち、分化多能性細胞を脂肪細胞へ分化させる場合には、細胞型混合集団を脂肪組織から、骨芽細胞、軟骨細胞へ分化させるためには骨組織から、筋芽細胞を分化させるためには筋組織から、神経細胞へ分化させるためには神経系組織から、血管内皮細胞へ分化させるためには血管組織から、それぞれ細胞型混合集団を調製することが好ましい。
この出願の第4発明は、前記第1発明の分化多能性細胞を動物体内に移植することを特徴とする細胞移植方法である。すなわち、後記の実施例に示したように、第1発明の分化多能性細胞は、動物体内に移植されると、その細胞が由来する組織を構成する細胞と同様の特徴を有する細胞へと分化する。従って、ヒトを含めた様々な哺乳動物に分化多能性細胞を移植することによって、例えば、特定細胞が欠損または消失したことによってその細胞が発現する特定機能が傷害を受けた動物(ヒト、あるいは家畜や愛玩動物等の有用非ヒト動物)に、その細胞機能を回復させるような治療を施すことができる。また、特定の細胞を非ヒト哺乳動物に移植し、その細胞を過度に増殖させることによって、特定細胞機能が亢進した動物モデル(例えば、脂肪細胞を過度に有する肥満モデル動物など)を作製することもできる。
分化多能性細胞の移植は、例えば後記実施例の記載のとおりに行うことができる。移植する細胞数は、細胞の種類や動物種によっても異なるが、106個以上とすることができる。また、ヒトや有用非ヒト動物をレシピエントとする場合、同一個体から調製された分化多能性細胞を移植することが好ましい。また動物モデル等の非ヒト動物の場合は、免疫機能を欠損した動物を用いることによって、ドナーとレシピエントは別個体とすることもできる。
実施例1
脂肪組織に含まれる幹細胞の培養に適した低血清培地の調製
細胞の初代培養は、ダルベッコ変法イーグル培地(日水製薬株式会社)とMCDB201培地(SIGMA)を3:2の割合で混合した溶液にLinoleic acid−Albumin(SIGMA)および100×ITS supplement(SIGMA)を100分の1量、0.1mmol/lアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物(和光純薬工業株式会社)、50U/mlペニシリン(明治製菓株式会社)、50μg/mlストレプトマイシン(明治製菓株式会社)を添加した培地(無血清基本培地)に対して、2%(v/v)のウシ胎児血清(ICNバイオメディカル社)を添加し、さらに20ng/mlヒトFGF−2(ペプロテック社)を添加した培地(低血清培地)を用いた。
実施例2
低血清培養による脂肪組織由来幹細胞の取得
インフォームドコンセントにより承諾を得た22歳男性患者から、手術時の残渣である背部正常部位の皮下脂肪組織(1.2g)を回収した。この組織をダルベッコ変法イーグル培地とハムF12培地(日水製薬株式会社)を等量混合した培地(DMEM/F12培地)で洗浄し、付着している血液等を除去した。脂肪組織塊を外科用ハサミで約2mm角にカットし、1mg/mlコラゲナーゼ溶液(コラゲナーゼタイプI、WORTHINGTON)を2.4ml加えて1時間37℃にて振とうした。処理溶液を孔径が250μmのスチールメッシュでろ過し、コラゲナーゼ消化されていない組織片を取り除いた。室温で5分間、1200rpmの遠心で細胞懸濁液を遠心することで、沈渣する沈降細胞集団(SVF画分)を得た。SVF画分をDMEM/F12培地にて遠心操作により3回洗浄し、チュルク液(ナカライテスク株式会社)にて染色し、有核細胞数を計測した。
1.6×105の細胞をヒトフィブロネクチン(SIGMA)でコーティングした25cm2フラスコ(NUNC)に播種し、2%(v/v)のウシ胎児血清を含む低血清培地を5ml加えて、37℃、5%CO2/95%空気の飽和条件下で培養した。フラスコに播種した24時間後、フラスコ底面に付着していない赤血球などの細胞を培地とともに除去し、あらたに低血清培地を添加した。
実施例3
低血清培養により選択された幹細胞の継代培養
実施例2にて増殖したコンフルエント直前の細胞を、1mmol/l EDTA(和光純薬工業株式会社)/リン酸緩衝生理食塩水(日水製薬株式会社)で洗浄後、0.25%(w/v)トリプシン溶液(SIGMA)を加え、2分間インキュベートすることで細胞を剥離させた。新しい低血清培地を加え、細胞を分散させたあと、チュルク液にて染色し、細胞数を計測した。2×105の細胞をヒトフィブロネクチンでコートした新しい25cm2フラスコに播種し、37℃、5%CO2/95%空気の飽和条件下で培養した。培地は2日ごとに新鮮な低血清培地と交換した。
結果は図1に示したとおりである。すなわち、52日間にわたる13回の継代培養の後に1018個にまで増殖したと計算された(図1)。この高い増殖能は、これらの細胞が平均40回以上の分裂能力を持つことを示す。
図1の例は2%(v/v)のウシ胎児血清を含む培養液を用いて継代培養したものであるが、2%(v/v)のヒト血清(コスモバイオ社)を含む培養液を用いても同等あるいはそれ以上の増殖が得られた。図2に18歳男性由来ヒト血清2%(v/v)、19歳女性由来のヒト血清2%(v/v)、あるいは29歳男性由来ヒト血清2%(v/v)をそれぞれ含む低血清培地で培養した22歳男性皮下脂肪組織由来の幹細胞の増殖曲線を示す。
実施例4
脂肪細胞への誘導
平均10回分裂増殖した細胞をヒトフィブロネクチンでコートした25cm2フラスコにて培養し、コンフルエント直前に脂肪細胞誘導培地(ダルベッコ変法イーグル培地、10%(v/v)ウシ胎児血清、0.5mmol/lイソブチル−1−メチルキサンチン(SIGMA)、0.1mmol/lインドメタシン(和光純薬工業株式会社)、1μmol/lハイドロコルチゾン(SIGMA)、10μg/mlインスリン(SIGMA)、1μmol/lデキサメタゾン(SIGMA)を加えて、37℃、5%CO2/95%空気の飽和条件下、15日間培養した。培地は3日ごとに新鮮な培地に交換した。脂肪細胞特異的な形態変化を、倒立型顕微鏡を用いて観察した。90%以上の細胞が油滴をためた脂肪細胞の特徴を示した(図3)。
実施例5
骨芽細胞への誘導
平均10回分裂増殖した細胞をヒトフィブロネクチンでコートした25cm2フラスコにてDMEM/F12、20%(v/v)ウシ胎児血清培地で培養し、コンフルエント直前に骨芽細胞誘導培地(ダルベッコ変法イーグル培地、10%(v/v)ウシ胎児血清、50μmol/lアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物、10mmol/l β−グリセロリン酸(SIGMA)、0.1μmol/lデキサメタゾン)を加えて、37℃、5%CO2/95%空気の飽和条件下、3週間培養した。培地は3日ごとに新鮮な培地に交換した。
実施例6
アルカリフォスファターゼ反応とvon Kossa染色(骨芽細胞分化の確認)
誘導を始めてから3週間後に培地を除き、リン酸緩衝生理食塩水で一度洗浄した。10%(v/v)中性緩衝ホルムアルデヒド溶液(和光純薬工業株式会社)に15分間浸して細胞を固定したあと、蒸留水で一度洗浄し、さらに蒸留水に15分間浸した。アルカリフォスファターゼ基質液(0.2mg/ml Naphtol AS MX−PO4(SIGMA)、0.8%(v/v)N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社)、1.2mg/ml Fast Red Violet LB salt(SIGMA)、0.1mol/lトリス塩酸緩衝液(pH8.3))を加えて室温で45分間反応させたあと、蒸留水で3度洗浄した。2.5%(w/v)硝酸銀(和光純薬工業株式会社)水溶液を加え、室温で30分間反応させ、蒸留水で3度洗浄した。染色の様子を図4に示す。
図4に示したように、この発明の分化多能性細胞に対して骨芽細胞への分化誘導処理を施すと、高い効率で骨芽細胞に分化することが確認された。
さらに、ヒトの大網組織に対して実施例1−3と同様の操作を施すことによって、同じく継代培養が繰り返せる高い増殖能と脂肪、骨芽細胞への多分化能を示す線維芽様細胞が得られた。図は48歳女性大網組織から得た平均20回分裂増殖した幹細胞を、実施例4に示す方法で脂肪細胞へ誘導した場合(図5)、あるいは実施例5−6に示す方法で骨芽細胞へ誘導した場合(図6)である。大網組織からも脂肪細胞や骨芽細胞に分化する多分化能を有する幹細胞が回収された。
実施例7
軟骨細胞への誘導
平均10回分裂増殖した細胞を、ヒトフィブロネクチンでコートした25cm2フラスコにて培養し、コンフルエント直前に軟骨細胞誘導培地(無血清基本培地に100ng/ml TGF−β1(ペプロテック社)を添加した培地)を加えて、37℃、5%CO2/95%空気の飽和条件下、12日間培養した。培地は4日ごとに新鮮な培地に交換した。軟骨細胞特異的な形態変化を、倒立型顕微鏡を用いて観察した。TGF−β1依存的に細胞の形態変化、凝集が観察された。
実施例8
アルシアンブルー染色(軟骨細胞への分化の確認)
誘導を始めてから12日後に培地を除き、リン酸緩衝生理食塩水で一度洗浄した。10%(w/v)中性緩衝ホルムアルデヒド溶液に15分間浸して細胞を固定したあと、蒸留水で一度洗浄し、0.1mol/l塩酸溶液に5分間浸した。1%(w/v)アルシアンブルー(SIGMA)を0.1mol/l塩酸に溶解させた染色液を加え、30分間室温で反応させた。0.1mol/l塩酸溶液で一度洗浄したあと、蒸留水で洗浄した。染色の様子を図7に示す。TGF−β1依存的に分化誘導した細胞は軟骨細胞特異的グルコサミノグリカンであるコンドロイチン硫酸陽性を示す緑青色に染色された。
実施例9
酵素処理後の培養をしていないSVF画分のフローサイトメーターによる細胞表面の抗原解析
実施例2に示す方法により回収した12歳男性ヒト皮下脂肪組織由来のSVF画分の細胞104個を、PE標識抗ヒトCD34抗体およびPC7標識抗ヒトCD45抗体(いずれもベックマンコールター社)で染色し、フローサイトメトリー法により解析した。どちらの抗体も0.1%(w/v)のウシ血清アルブミン(ナカライテスク株式会社)を含むリン酸緩衝生理食塩水にて1/20に希釈して、4℃で30分間インキュベートした。インキュベート後、リン酸緩衝生理食塩水にて細胞を洗浄したあと、JSANデスクトップセルソーター(ベイバイオサイエンス社)にて解析を行った。培養をしていないSVF画分は、約50%がCD34陽性かつCD45陰性の細胞集団で、約40%がCD34陰性かつCD45陽性の細胞集団であった。
また、これらの細胞集団を、抗ヒトCD13、CD90、CD105抗体(いずれもベックマンコールター社)および抗ヒトCD37抗体(ベクトンディキンソン社)で染色し、フローサイトメトリー法により解析した。培養をしていないSVF分画に含まれるCD34陽性かつCD45陰性細胞集団は、CD37およびCD90については陽性、CD13およびCD105については陰性であった。
実施例10
低血清培養により選択的に増殖するSVF画分中の細胞集団の同定
実施例2に示す方法により回収した49歳女性ヒト大網組織由来のSVF画分をCD45マイクロビーズ(第一化学薬品)を用いて、CD45陰性細胞集団とCD45陽性細胞集団に分離した。CD45陰性細胞集団はさらにCD34マイクロビーズ(第一化学薬品)を用いて、CD34陽性細胞集団とCD34陰性細胞集団に分離した。
分離したCD45陽性細胞集団、CD34陽性かつCD45陰性細胞集団、CD34陰性かつCD45陰性細胞集団をそれぞれ実施例1に示す低血清培地により培養をした。CD45陽性細胞集団由来の細胞はほとんど増殖せず、CD34陰性かつCD45陰性細胞集団由来の細胞は緩やかな増殖、CD34陽性かつCD45陰性細胞集団由来の細胞は良好な増殖を示した。増殖した、CD34陰性かつCD45陰性細胞集団由来の細胞、およびCD34陽性かつCD45陰性細胞集団由来の細胞をそれぞれ実施例4−5に示す方法により、脂肪細胞へ分化誘導および骨芽細胞へ分化誘導した。その結果、CD34陽性かつCD45陰性細胞集団由来の細胞でのみ、脂肪細胞(図8)および骨芽細胞(図9)への分化の特徴を示した。
実施例11
低血清培養した細胞のフローサイトメーターによる細胞表面の抗原解析
実施例2に示した方法により得たヒト皮下脂肪組織由来のSVF画分を、実施例3と同様にコンフルエント直前まで低血清培養により増殖させ、平均10回分裂した細胞を剥離、分散させた。104個の細胞をそれぞれ抗ヒトCD13、CD31、CD34、CD45、CD90、CD105、CD106、CD117抗体(いずれもベックマンコールター社)で染色し、フローサイトメトリー法により解析した。SVF画分から低血清培養により増殖した細胞集団は、CD13、CD90およびCD105については陽性、CD31、CD34、CD45、CD106およびCD117については陰性であった。
実施例10に示した方法により、SVF画分から分離したCD34陽性かつCD45陰性細胞集団を、実施例3と同様にコンフルエント直前まで低血清培養により増殖させ、平均10回分裂した細胞を剥離、分散させた。104個の細胞をそれぞれ抗ヒトCD13、CD31、CD34、CD45、CD90、CD105、CD106、CD117抗体で染色し、フローサイトメトリー法により解析した。SVF画分中のCD34陽性かつCD45陰性細胞集団から低血清培養により増殖した細胞集団は、CD13、CD90およびCD105については陽性、CD31、CD34、CD45、CD106およびCD117については陰性であった。SVF画分全細胞集団から低血清培養により増殖した細胞集団と、SVF画分中のCD34陽性かつCD45陰性細胞集団のみを低血清培養により増殖させた細胞集団は、同じ細胞表面の抗原発現様式を示した(表1)。
低血清培養により選択的に増殖した分化多能性細胞の動物モデルへの移植
平均20回分裂増殖したヒト皮下脂肪組織由来の分化多能性細胞を、ヒトフィブロネクチンでコートした25cm2フラスコにて培養し、コンフルエント直前に1mmol/l EDTA/リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、0.25%(w/v)トリプシン溶液を加え、2分間インキュベートすることで細胞を剥離させた。回収した107個の分化多能性細胞を、1μgのFGF−2(R&D System社)を含む200μlのフィブリノーゲン(Baxter社)に懸濁させた。前日に抗アシアロGM1抗体(和光純薬工業株式会社)50μlを腹腔内投与しておいた7週齢オスのNOD/SCIDマウス背部皮下に、細胞−フィブリノーゲン懸濁液を注入した。
移植後2週間経過後にパラフィン切片を作製し、HE染色にて移植部位の脂肪細胞の形状を観察した。その結果、移植した分化多能性幹細胞が脂肪へ分化していることを確認した(図10)。
Claims (12)
- 以下の性質:
(1) 動物から採取した組織を酵素処理することによって得られる細胞型混合集団に含まれ、
(2) 前記(1)の細胞型混合集団を遠心分離して得られる沈降細胞集団に含まれ、
(3) 2%(v/v)以下の血清と1〜100ng/mlの繊維芽細胞増殖因子−2を含む培養液で培養すると選択的に増殖し、
(4)培養条件を調節することによって脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する、
を有することを特徴とする分化多能性細胞。 - 動物がヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジまたはニワトリである請求項1の分化多能性細胞。
- 採取した組織が皮下脂肪、大網、内臓脂肪、筋肉または臓器である請求項1または2の分化多能性細胞。
- 性質(1)の細胞型混合集団に含まれる細胞が、CD34陽性かつCD45陰性の細胞である請求項1の分化多能性細胞。
- 性質(3)の選択的に増殖する細胞が、CD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性の細胞である請求項4の分化多能性細胞。
- 請求項1記載の分化多能性細胞から分化した細胞であって、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞のいずれかの特徴を有する細胞。
- 脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、腱細胞、心筋細胞、筋芽細胞、神経細胞または血管内皮細胞の特徴を持つ細胞に分化する分化多能性細胞を取得する方法であって、
(a) 動物組織を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製する工程、
(b) 前記(a)の細胞型混合集団を遠心分離することによって沈降細胞集団を調製する工程、
(c) 前記(b)の細胞集団から、2%(v/v)以下の血清と1〜100ng/mlの繊維芽細胞増殖因子−2を含む培養液で培養すると選択的に増殖する細胞を選択する工程、
を含むことを特徴とする分化多能性細胞の取得方法。 - 工程(a)において、ヒト、サル、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジまたはニワトリの組織を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製する請求項7の方法。
- 工程(a)において、動物の皮下脂肪、大網、内臓脂肪、筋肉または臓器を酵素処理することによって細胞型混合集団を調製する請求項7の方法。
- 工程(a)において、CD34陽性かつCD45陰性の細胞集団を調整する請求項7の方法。
- 工程(c)において、CD34陰性、CD13陽性、CD90陽性およびCD105陽性の細胞を選択する請求項10の方法。
- 請求項1記載の分化多能性細胞を動物体内に移植することを特徴とする細胞移植方法。
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