JPWO2005119016A1 - 高効率熱サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
熱機関(A)と冷凍機(J)を組合せた高効率の熱サイクル装置。ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)がタービン(S2)を駆動した後、復水器(Y1)で冷却され、ポンプ(P2)で昇圧されて高圧復水となってボイラ(B)へ循環される。圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液とされ、該高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガスとされ、該冷媒ガスが、熱交換器(7)の吸熱側及び復水器(Y1)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
Description
本発明は、タービンにより動力を取出す熱機関並びに熱機関と冷凍機を組合せた熱サイクル装置に関する。特に本発明は、熱機関及び冷凍機を組合せタービン出口蒸気の廃熱をタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させる技術に関する。
蒸気タービンを含む熱サイクル装置の効率を向上させるため、従来、廃熱を利用する多数の発明がなされてきた。例えば、特許文献1は、高温排気ガスの熱エネルギーを回収する発電設備を開示する。この発電設備は、高温排ガス流路の上流側に廃熱ボイラ、下流側に流体予熱器をそれぞれ配置する。廃熱ボイラで発生された蒸気で蒸気タービンを駆動する。流体予熱器により予熱された低沸点特殊流体が蒸気タービンの排気を利用する流体蒸発器により加熱蒸発され特殊流体タービンを駆動する。蒸気タービンの出力及び特殊流体タービンの出力が合成され、発電機を駆動し電力を発生する。低沸点特殊流体は、特殊流体タービンから排出された後、熱交換器で凝縮液体とされポンプにより加圧され、熱交換器で予熱され、その後、流体予熱器へ循環される。
特開昭54−27640号公報
動作物質が、1サイクルを行う、即ち変化を連続して行った後に再び元の状態に戻る間に、温度Thの高熱源から熱量Qhを受取り、温度Tbの低熱源から熱量Qbを捨て、外部へ仕事L(熱量換算値とする)を行うとき、
Qh=Qb+L…(式1)の関係がある。外部へ仕事Lを与える場合が熱機関であり、仕事Lを外部から作動流体に与える場合が冷凍機又は熱ポンプ(heat pump)である。熱機関の場合は、高熱源から受取る熱量Qhが少なく外部へ与える仕事Lが大きいことが望ましい。従って、
η=L/Qh…(式2)を熱効率という。上式によりLを書き換えると、
η=(Qh−Qb)/Qh…(式3)である。可逆カルノーサイクルを行う熱機関の熱効率ηを熱力学的温度Th°K及びTb°Kで表すと、
η=(Th−Tb)/Th=1−(Tb/Th)…(式4)である。
Qh=Qb+L…(式1)の関係がある。外部へ仕事Lを与える場合が熱機関であり、仕事Lを外部から作動流体に与える場合が冷凍機又は熱ポンプ(heat pump)である。熱機関の場合は、高熱源から受取る熱量Qhが少なく外部へ与える仕事Lが大きいことが望ましい。従って、
η=L/Qh…(式2)を熱効率という。上式によりLを書き換えると、
η=(Qh−Qb)/Qh…(式3)である。可逆カルノーサイクルを行う熱機関の熱効率ηを熱力学的温度Th°K及びTb°Kで表すと、
η=(Th−Tb)/Th=1−(Tb/Th)…(式4)である。
一般的に低温物体から熱を高温物体に移す装置を冷凍機と称する。冷凍機は一般的に物を冷やす目的の装置であるが、熱を低温側物体から高温物体へ移動させ、高温物体を加熱する装置は、「熱ポンプ(heat pump)」と呼ばれる。「熱ポンプ」は、冷凍機の使用方法を変更した場合の名称であると言える。熱ポンプは、例えば、冷暖房用空調機の暖房運転の場合に使用される。低温物体から吸収した熱量Qb、高温物体へ与える熱量Qh、熱ポンプを作動させるため外部からした仕事量L(熱量換算値)の間には、
Qh=Qb+L…(式5)の関係がある。
Qh=Qb+L…(式5)の関係がある。
熱ポンプは、同一仕事量に対して、与える熱量Qhが大きい程、その経済性が高いといえる。そこで
ε=Qh/L…(式6)を熱ポンプの成績係数又は動作係数という。上記式5から
L=Qh−Qb…(式7)であるから、
ε=Qh/(Qh−Qb)…(式8)である。低熱源の絶対温度をTb°K、高熱源の絶対温度をTh°Kとすると、この両熱源の間に作用する熱ポンプで、最も成績係数の大きいものは、逆カルノーサイクルを行う熱ポンプであり、その成績係数εは、
ε=Tb/(Th−Tb)…(式9)である。逆カルノーサイクルは、2つの等温変化及び2つの断熱変化であり、同一の高熱源と低熱源の間に作用するすべてのサイクルの中で熱効率が最大である。
ε=Qh/L…(式6)を熱ポンプの成績係数又は動作係数という。上記式5から
L=Qh−Qb…(式7)であるから、
ε=Qh/(Qh−Qb)…(式8)である。低熱源の絶対温度をTb°K、高熱源の絶対温度をTh°Kとすると、この両熱源の間に作用する熱ポンプで、最も成績係数の大きいものは、逆カルノーサイクルを行う熱ポンプであり、その成績係数εは、
ε=Tb/(Th−Tb)…(式9)である。逆カルノーサイクルは、2つの等温変化及び2つの断熱変化であり、同一の高熱源と低熱源の間に作用するすべてのサイクルの中で熱効率が最大である。
図1は、従来の冷凍機Jの構成要素を示す配置図であり、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgが熱交換器(凝縮器)7で流体Z1に熱Qhを与えて凝縮された後、膨張弁Vで膨張され、温度低下すると共に熱交換器8で流体Z2から熱Qbを吸収して流体Z2を冷却し、その後、圧縮機Cへ戻され、循環される。図1の冷凍機において、熱計算の検討を、冷媒がアンモニアである冷凍機について行う。簡略化のため機械的損失がないとする。冷媒の温度は、圧縮機C出口で110°C(T3)、凝縮器7の出口で、38°C(T2)、蒸発器V出口で、−10°C(T1)である。それ故、逆カルノーサイクルでの冷凍機の成績係数(理論的に最大の成績係数)εを求めると、εは、
ε=T1/(T2−T1)
=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式10)である。図1の冷凍機において、圧縮機Cの入力L(仕事)を1とした場合、熱ポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式11)である。
ε=T1/(T2−T1)
=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式10)である。図1の冷凍機において、圧縮機Cの入力L(仕事)を1とした場合、熱ポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式11)である。
図2は、蒸気タービンを含む熱機関A、即ちランキンサイクルを含む熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図であり、ボイラBで発生された高温高圧蒸気EgがタービンSへ供給されタービンを回転させて動力(仕事)Wを発生し、タービンの排気口と連通される復水器Y1において蒸気が冷却され復水Eeとされ、復水EeはポンプPで昇圧されボイラBへ供給される。図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない場合、タービンSで発生される仕事W(熱量換算値)は、無損失で、
W=Q1−Q2…(式12)であり、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式13)である。ここで、Q1は、タービン入口側の作動流体の保有熱量であり、Q2は、タービン出口側の作動流体よりの出熱量であり復水器Y1から排出される廃熱に等しい。
W=Q1−Q2…(式12)であり、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式13)である。ここで、Q1は、タービン入口側の作動流体の保有熱量であり、Q2は、タービン出口側の作動流体よりの出熱量であり復水器Y1から排出される廃熱に等しい。
図2の熱サイクル装置の熱効率η0、即ち、熱サイクル装置の作動流体の入熱量(保有熱量)Q1に対するタービンSで発生される仕事Wの割合η0は、
η0=W/Q1…(式14)、このWを式12のW=Q1−Q2で置換すると、
η0=(Q1−Q2)/Q1…(式16)であり、これは、前記ηSと同じであるから、
η0=ηS…(式17)ということができる。
η0=W/Q1…(式14)、このWを式12のW=Q1−Q2で置換すると、
η0=(Q1−Q2)/Q1…(式16)であり、これは、前記ηSと同じであるから、
η0=ηS…(式17)ということができる。
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させる、即ち、
0≦Q3≦Q2…(式18)とすると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させると、ボイラの入熱量は、Q1−Q3となる。タービンS入口の蒸気Fgの保有する熱量は、
ボイラの入熱量(Q1−Q3)+(Y2による移動熱量Q3)=Q1…(式19)となる。タービンS出口の蒸気Fgの保有する熱量はQ2であると考えることができるから、タービンSで発生される動力W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式20)となる。それ故、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)であり、復水器Y1の廃熱Q2を利用しない場合と同じである。
0≦Q3≦Q2…(式18)とすると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させると、ボイラの入熱量は、Q1−Q3となる。タービンS入口の蒸気Fgの保有する熱量は、
ボイラの入熱量(Q1−Q3)+(Y2による移動熱量Q3)=Q1…(式19)となる。タービンS出口の蒸気Fgの保有する熱量はQ2であると考えることができるから、タービンSで発生される動力W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式20)となる。それ故、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)であり、復水器Y1の廃熱Q2を利用しない場合と同じである。
本発明は、熱サイクル装置において、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)させることによりタービン自体の熱効率が小さい場合にも、熱サイクル装置の熱効率を高い値とすることを目的とする。本発明は、また蒸気タービン並びに蒸気タービンと冷凍機を組合せた熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。より詳しくは、本発明は、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、熱ポンプを用いて廃熱又は自然界の熱を作動流体へ移動させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、冷凍機の凝縮器における外部放熱量を抑制し、熱クロスを行わずに抑制された熱量を動力として取り出すことにある。
本発明の別の目的は、有用性の低い低温廃熱、例えばランキンサイクルの低温廃熱を冷凍機により高温熱出力に変換することにある。本発明の更に別の目的は、ランキンサイクルにおけるタービン出口に設置した凝縮器(冷却器)の冷熱源として冷凍機の冷凍出力を用いると共に、冷凍機を熱ポンプとして作用させ、凝縮器の放出熱を昇温し外部への熱出力として供給可能な熱サイクル装置を提供することである。この外部への熱出力の一部をランキンサイクルの加熱用の熱源として使用することも可能である。本発明は、冷凍サイクルを用いて熱クロスQ3/Q1を大きくし、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)において、η=1…(式27)を実現するか、又はηをできるだけ1に近づけることである。本発明において、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮機で圧縮する従来の冷凍サイクルにおいて凝縮器の前にタービンを配置したものであり、凝縮器は、蒸気タービンサイクルの復水器に相当する。本発明のその他の目的は、以下の説明において明らかにされる。
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)において、η=1…(式27)を実現するか、又はηをできるだけ1に近づけることである。本発明において、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮機で圧縮する従来の冷凍サイクルにおいて凝縮器の前にタービンを配置したものであり、凝縮器は、蒸気タービンサイクルの復水器に相当する。本発明のその他の目的は、以下の説明において明らかにされる。
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させる、即ち(Q1−Q3)とする場合、図2の熱サイクル装置の熱効率η、即ち熱サイクル装置の入熱量に対するタービンSで発生される仕事Wの割合は、仕事Wが
W=Q1−Q2…(式22)であり、熱サイクル装置の入熱量が(Q1−Q3)であるから、
η=W/(Q1−Q3)=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式23)である。
W=Q1−Q2…(式22)であり、熱サイクル装置の入熱量が(Q1−Q3)であるから、
η=W/(Q1−Q3)=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式23)である。
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない、即ち、
Q3=0の場合は、上述式23は、
η=(Q1−Q2)/Q1…(式24)となる。
0≦Q3≦Q2…(式18)の場合は、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式25)である。式25の場合、分母が−Q3だけ小さい分だけηの値は、大きくなる。また、復水器の廃熱の全部Q2をポンプPの前又は後の復水へ移動させる場合は、Q2=Q3…(式26)であるから、
η=1…(式27)となる。
Q3=0の場合は、上述式23は、
η=(Q1−Q2)/Q1…(式24)となる。
0≦Q3≦Q2…(式18)の場合は、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式25)である。式25の場合、分母が−Q3だけ小さい分だけηの値は、大きくなる。また、復水器の廃熱の全部Q2をポンプPの前又は後の復水へ移動させる場合は、Q2=Q3…(式26)であるから、
η=1…(式27)となる。
図2の熱サイクル装置において、0≦Q3≦Q2…(式18)の場合の熱サイクル装置の熱効率ηは、上記の通り、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)であり、分母及び分子をQ1で割ると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[(Q1−Q3)/Q1]…(式29)となる。これを変形すると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[1−(Q3/Q1)]…(式30)であり、これに
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)を挿入すると、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)となる。本発明は、廃熱等の利用価値の低い熱をも熱ポンプを用いて熱サイクル装置内に取り入れ、熱サイクル装置内のタービンにより動力出力を取り出す。本発明の熱サイクル装置は、タービンにより高効率で動力を取り出すため、熱クロスを用いる。復水器Y1の廃熱Q2を全部利用する場合、式27によりη=1である。
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)であり、分母及び分子をQ1で割ると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[(Q1−Q3)/Q1]…(式29)となる。これを変形すると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[1−(Q3/Q1)]…(式30)であり、これに
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)を挿入すると、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)となる。本発明は、廃熱等の利用価値の低い熱をも熱ポンプを用いて熱サイクル装置内に取り入れ、熱サイクル装置内のタービンにより動力出力を取り出す。本発明の熱サイクル装置は、タービンにより高効率で動力を取り出すため、熱クロスを用いる。復水器Y1の廃熱Q2を全部利用する場合、式27によりη=1である。
上記式32からわかるように、タービンSの熱効率ηS、及びポンプPの前又は後の復水へ復水器Y2の廃熱から移動させる熱量Q3が決まれば、熱サイクル装置の熱効率ηが決まる。Q3が大きくなりQ1に近づくに伴い、式30の分母の(1−Q3/Q1)は小さくなるから、ηは、大きくなる。冷凍サイクル以外の熱サイクルでは、熱クロス率Q3/Q1を大きくすることは困難である。熱移動(熱クロス)させる為の高熱源と低熱源の温度差を大きくとれないからである。また冷凍サイクル以外の熱サイクルでは式27を実現できない。
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され、一部が蒸発する。残余の液は、第1の熱交換器(7)の吸熱側及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図3)。
好適には、反動水車(K)の仕事(W2)とポンプ(P)の消費動力(L2)がほぼ相殺する大きさであり、圧縮機の駆動モータ(M1)、タービン発電機(G1)、ポンプ駆動モータ(M2)、水車駆動発電機(G2)が電気的に結合される(図3、図5)。また第2の熱交換器(8)は、ランキンサイクルのタービン排出蒸気の廃熱を作動ガスへ移動させる復水器とすることができる(図6)。また第2の熱交換器(8)は、燃料電池の廃熱を前記作動ガスへ移動させる熱交換器とすることができる(図14)。
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、反動水車(K)を単に膨張弁(V)とすることができる(図4)。この場合、ポンプ(P)により昇圧された高圧作動液は膨張弁(V)を通り膨張され、一部が蒸発し作動ガスとされる。残余の液は、第1の熱交換器(7)及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図4)。図3及び図4の装置の熱サイクルが本発明の基本サイクルであり、図4の熱サイクルは図3の熱サイクルを簡略化したものである。
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、ηsをタービンの熱効率、Q1をタービン入口側の作動流体へ伝達される入熱量、Q2をタービン出口側の作動流体よりの出熱量、Q3をタービン出口側の作動流体からタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)される熱量であるとすると、
熱サイクル装置の熱効率ηが、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)
=ηs/[1−Q3/Q1]…(式32)であり、
Q3=(1〜0.1)Q2である。Q3が大きくなればなるほど式28又は式32において分母が大きくなり、熱サイクル装置の熱効率ηが大きい。
熱サイクル装置の熱効率ηが、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)
=ηs/[1−Q3/Q1]…(式32)であり、
Q3=(1〜0.1)Q2である。Q3が大きくなればなるほど式28又は式32において分母が大きくなり、熱サイクル装置の熱効率ηが大きい。
本発明の第2の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(冷媒液)とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に蒸発器(R)で膨張され蒸発され作動ガスとされ、この作動ガスが、圧縮機(C)へ導入される(図7)。
本発明の第3の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気が、タービン(S2)を駆動し仕事(W3)を出力した後、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P2)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が復水器(Y1)の受熱側を通り加熱され、ボイラ(B)へ戻される。好適には、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却された蒸気がポンプ(P2)に吸入される前に更に外部冷却流体(U)により冷却され、外部へ熱出力(Q4)を供給することができる(図8)。この熱サイクル装置においても、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)が成立つ。
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)が成立つ。
本発明の第4の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、復水器及びポンプを含む熱機関と、圧縮機、熱交換器及び膨張弁を含む冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)がタービン(S2)を駆動した後、復水器(Y1)で冷却され、ポンプ(P2)で昇圧されて高圧復水となってボイラ(B)へ循環され、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、熱交換器(7)の放熱側において冷却液化され冷媒液(Fe)とされ、該冷媒液(Fe)が膨張弁(V)で膨張され冷媒ガス(Fg)となり復水器(Y1)に導入され、タービンから排出された蒸気(Eg)を冷却すると共に自体は加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好適には、高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に熱交換器(7)の受熱側を通され加熱される。熱交換器(7)の受熱側は、外部へ熱出力(U2)を供給する(図9)。
本発明の第5の特徴によれば、熱機関と冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置の冷凍機は、タービン(S)、ポンプ(P1)、及び水車(K)を含み、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液とされ、この高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガスとされ、この冷媒ガスが、熱交換器(7)の吸熱側及び復水器(Y1)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。また高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に復水器(Y1)において加熱される(図10)。
本発明の第6の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器、ポンプ、及び膨張弁を含む冷凍機と、熱機関を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側において冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液(Fe)とされ、該高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガス(Fe)とされ、熱交換器(8)に導入され、熱機関(D)の廃熱により加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好ましくは、圧縮機(C)は、熱機関(D)の出力(W3)又は燃料電池により駆動される(図12、図13)。
本発明のタービンを有する冷凍機にランキンサイクルを組合せた熱サイクル装置(図6、図9)においては、ランキンサイクルを単独で運転する場合に不可欠である冷却用の水が、冷凍機と組合されたことにより不要である。冷却水なしでランキンサイクルを設置できることは、火力発電所の立地条件を極端に緩和し、火力発電所を燃料産出地やバイオマス燃料産出地に立地する可能性を増大する。特に石炭を燃料とする発電所の場合に石炭産出地付近で発電し電力消費地へ送電することにより経済的効果を上げることの可能性を増大する。
本発明は、図3の熱サイクル装置に示すように冷凍機の凝縮熱から動力を回収し装置外への熱放出を最少にすることができる故に、近年大都市の環境を悪化させているヒートアイランド現象を緩和する効果を奏する。
A、D:熱機関、B:ボイラ、C:圧縮機、ε:成績係数、η:熱サイクル装置の熱効率、ηs:タービン単体の熱効率、Eg:蒸気、Ee:水(給水、復水)、Fg:冷媒ガス、Fe:冷媒液、G1、G2:発電機、J:冷凍機、K:水車、L1、L2:仕事(入力)、N:燃料電池、M1、M2:モータ、P:ポンプ、Q1、Q2、Q3、Q4:熱量、S1、S2:タービン、V:膨張弁、W1、W2、W3:仕事(出力)、7、8:熱交換器、Y1:復水器、Y2:給水予熱器。
図3は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図であり、この熱サイクル装置は、圧縮機C、凝縮器を含む冷凍機にタービンSその他を挿入した構成を有する。圧縮機Cで圧縮された作動流体(冷媒ガス)は、タービンSを駆動し仕事W1を出力した後、熱交換器7(放熱側)において冷却液化される。熱交換器7の出口に接続されるポンプPは、作動液を吸引し、タービンSの背圧を下げ、タービン出力W1を増大させると共に作動液の圧力を上昇させる。昇圧された作動液は、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し作動ガス(冷媒ガス)となる。作動ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7は、タービンSの排気の熱を放出させ、水車K出口の作動ガスを加熱する作用を行う。熱交換器7において、タービンSの排気は冷却され凝縮液化する。図2の熱交換器7は、タービンSの排気を冷却することによりタービンSの入口と出口の作動流体の温度差を大きくし、タービン出力を大きくする。タービンの排気からの廃熱Q1は、反動水車Kの下流の作動流体に移動(熱クロス)される。熱交換器7の冷却を大きくすることにより作動流体の圧力が下がり過ぎるため、ポンプPで昇圧する。昇圧された作動液は、反動水車Kにより位置エネルギーを回収される。ここでは、位置エネルギーは全体に対して小さく、ポンプPの消費仕事と反動水車Kの出力が相殺されると仮定する。
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7における移動熱量をQ3、熱交換器8における外部からの吸熱量をQ4とすると、熱サイクル装置の出力(タービンSの出力)は、
(L1+Q4)…(式33)となる。熱量Q3は、タービンS出口側の作動流体から圧縮機C入口側の作動流体へ移動され、熱クロスされる熱量である。
(L1+Q4)…(式33)となる。熱量Q3は、タービンS出口側の作動流体から圧縮機C入口側の作動流体へ移動され、熱クロスされる熱量である。
図4は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の水車Kを変形し単に膨張弁Vとすると共に温度圧力の例を示す説明図である。タービンSの排気が凝縮器(熱交換器)7において−10°C(T2)の冷媒蒸気により、0°C(T4)に冷却され、その後、圧力が4.39kgf/cm2absから15.04kgf/cm2absまでポンプPで昇圧され液化される。T4は、図4における凝縮器7出口の冷媒の温度である。ポンプPで昇圧された冷媒は、水車Kのノズルで膨張され、蒸発され、熱交換器7においてQ1の熱を受け−10°C(T2)となる。タービンS入口温度は、110°C(T3)、凝縮器冷媒温度が0°C(T4)であるから、カルノーサイクル上のタービン効率ηSは、
ηS=(T3−T4)/T3
=(110−0)/(273.15+110)≒0.28…(式34)
である。
ηS=(T3−T4)/T3
=(110−0)/(273.15+110)≒0.28…(式34)
である。
図5は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置における熱量の例を示す説明図であり、圧縮機Cの入力L1を1単位投入した(L1=1)場合のタービン出力W1、熱交換器6出口における熱クロスQ3、熱交換器8における外部からの取入れ熱量Q4を表示する。熱ポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式35)である。タービンSの出力W1は、
W1=εh×ηS=6.4×0.28≒1.7…(式36)である。熱交換器7出口における熱クロス量Q3は、
Q3=6.4−1.7=4.7…(式37)である。熱交換器8における外部よりの熱吸収量Q4は、
Q4=冷凍機の成績係数−Q3…(式38)であるから、
Q4=5.4−4.7=0.7…(式39)である。
εh=5.4+1=6.4…(式35)である。タービンSの出力W1は、
W1=εh×ηS=6.4×0.28≒1.7…(式36)である。熱交換器7出口における熱クロス量Q3は、
Q3=6.4−1.7=4.7…(式37)である。熱交換器8における外部よりの熱吸収量Q4は、
Q4=冷凍機の成績係数−Q3…(式38)であるから、
Q4=5.4−4.7=0.7…(式39)である。
図6は、本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図である。図6の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)の熱サイクル装置の熱源としてランキンサイクルAの廃熱、即ち蒸気タービンS2の復水器Y1の廃熱を利用する。図6の熱サイクル装置において、ボイラBにより蒸気に与えられる熱量が10000KW、タービンS2の出力W3が3000KW(熱効率0.3)、タービンS2の廃熱(復水器廃熱)が7000KWである。復水器Y1で蒸気Egから冷媒Fgへ移動される熱量が7000KWである。
図6の装置の各要素において出入りする熱量は、図5の熱サイクル装置において、復水器Y1における外部よりの吸熱量0.7を7000KWとする比例計算、即ち、図5において1単位が10000KWとすることにより得られる。圧縮機Cの入力Lは、L=10000KW、タービンSの仕事W1=17000KW、熱交換器7における熱クロスQ3=47000KWである。ポンプP1の消費動力L2は45KW、水車Kの発生動力W2は45KWである。この45KWは、10000KWに対して小さく、省いても問題はない。
図7は、本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図である。図7の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)において、熱交換器(凝縮器)7の吸熱側を外部熱出力(外部冷却源)Z1とし、タービンSの排気と圧縮機Cの吸気の間の熱クロスを無くした構造を備える。図7の熱サイクル装置は、冷凍機の凝縮器7の前にタービンSを配置し出力(動力、仕事)W1を得るものである。図7の熱サイクル装置において、タービンSのカルノーサイクル上の熱効率ηSは、
ηS=(110−38)/273.15+110≒0.18…(式40)
逆カルノーサイクル上の冷凍機成績係数εは、
ε=[273.15+(−10)]/[38−(−10)] ≒5.4…(式41)
タービンSの出力(動力、仕事)W1は、
W1=(ε+1)×ηS≒1.1…(式42)
ポンプPの昇圧動力L2は、圧縮機の動力L1との比が0.4%であるとして、0.004である。ポンプPの昇圧動力L2=0.004…(式43)より、タービンSで得られる仕事W1≒1.1…(式44)がはるかに大きいので、単に凝縮器7で放熱させるより、タービンSで動力を取出す利点は大きい。
ηS=(110−38)/273.15+110≒0.18…(式40)
逆カルノーサイクル上の冷凍機成績係数εは、
ε=[273.15+(−10)]/[38−(−10)] ≒5.4…(式41)
タービンSの出力(動力、仕事)W1は、
W1=(ε+1)×ηS≒1.1…(式42)
ポンプPの昇圧動力L2は、圧縮機の動力L1との比が0.4%であるとして、0.004である。ポンプPの昇圧動力L2=0.004…(式43)より、タービンSで得られる仕事W1≒1.1…(式44)がはるかに大きいので、単に凝縮器7で放熱させるより、タービンSで動力を取出す利点は大きい。
図8は、本発明の第4実施例の熱サイクル装置の配置図である。図8の熱サイクル装置は、ボイラB、タービンS2、復水器Y1を含む熱機関Aにおいて、復水器Y1において廃熱をボイラ入口の給水へ移動させる、即ち熱クロスを行う構成を有する。更に、図8の熱サイクル装置は、復水器Y1から外部へ熱出力Uを供給する構成を有する。
図9は、本発明の第5実施例の熱サイクル装置の配置図である。図9の熱サイクル装置は、熱機関Aに熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、熱機関A内で増大された熱クロスを行うものである。図9の熱サイクル装置において、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、冷凍機Jの熱交換器7(受熱側)で例えば80°Cに加熱された後、ボイラBへ循環される。圧縮機Cで圧縮された冷媒蒸気Fgは、熱交換器7(放熱側)において冷却液化され冷媒液Feとなると共に、例えば80°Cの熱出力(給湯)U2を発生し、且つ熱機関Aの復水Eeを80°Cに加熱する。冷媒液Feは、膨張弁Vで膨張され例えば4°Cの冷媒蒸気Fgとなり、熱交換器Y1に導入され、蒸気Fgを冷却する。それ故、熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で増大された熱クロスが行われる。
図9の熱サイクル装置において、熱ポンプJを休止した状態(熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で直接的に熱交換させる)における熱機関の運転の1例は、蒸気温度(タービン入口)400°C、復水温度(タービン出口)60°Cであり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η=(400−60)/(400+273.15)≒0.505…(式45)である。他方、蒸気温度を400°Cとし、図9のように熱ポンプJを作動させると、復水温度(タービン出口)は10°Cとなり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η≒0.579…(式46)となった。これは、図9の熱サイクル装置において、熱ポンプを作動させることにより、温度差が340°Cから390°Cへ拡大し、タービン本体の熱効率が
0.579−0.505=0.074…(式47)だけ上昇したことを示すものである。
η=(400−60)/(400+273.15)≒0.505…(式45)である。他方、蒸気温度を400°Cとし、図9のように熱ポンプJを作動させると、復水温度(タービン出口)は10°Cとなり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η≒0.579…(式46)となった。これは、図9の熱サイクル装置において、熱ポンプを作動させることにより、温度差が340°Cから390°Cへ拡大し、タービン本体の熱効率が
0.579−0.505=0.074…(式47)だけ上昇したことを示すものである。
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスについて考える。熱ポンプJを停止し熱クロスがないときの復水温度(タービン出口)及び給水温度(ボイラ入口)が共に10°Cであり、これが400°Cの蒸気になるには、10°Cの給水を100°Cにするための90単位の熱量、100°Cの復水を100°Cの蒸気にするたの539単位の熱量、並びに100°Cの蒸気を400°Cの蒸気に加熱するため蒸気の比熱を0.5として150単位の熱量が必要であるから、合計779単位の熱量が必要である。
熱ポンプを作動させ熱クロスを行う場合、復水温度(タービン出口)は10°C、ボイラ入口の給水温度は70°Cとなるから、熱クロスを行わない場合の10°Cと比較すると、温度を60°C上昇させる熱量、即ち60単位の熱量が少なくてすみ、これは60/779=0.077…(式48)となる。それ故、熱クロスにより入熱量を減少させることにより、図9の熱サイクル装置は、前述の
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)、即ち、
η/ηS=1/(1−Q3/Q1)…(式49)に基づくと、熱効率が
1÷(1−0.077)=1.08…(式50)となり、約8%向上する。
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)、即ち、
η/ηS=1/(1−Q3/Q1)…(式49)に基づくと、熱効率が
1÷(1−0.077)=1.08…(式50)となり、約8%向上する。
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスによる熱落差拡大を考える。熱クロスについて考える。熱ポンプを停止し熱クロスがないときのタービンの熱効率ηSは、
ηS=(400−10)/(400+273.15)=0.579…(式51)であり、上記熱効率上昇割合を乗じると、熱サイクル装置の熱効率は、0.625となる。
ηS=(400−10)/(400+273.15)=0.579…(式51)であり、上記熱効率上昇割合を乗じると、熱サイクル装置の熱効率は、0.625となる。
本発明の基本サイクル(図3)において、動力収支(ポンプの消費動力と水車の発生仕事)が相殺するか又は幾分プラスであっても、ランキンサイクルに熱クロスを行うことにより熱効率を向上させ得る。またこれに伴てボイラ容量を増加することの必要はない。例えば、従来、蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)60°C、ボイラ入口給水温度60°Cが、上記のように蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)10°C、ボイラ入口給水温度70°Cと変わり、ボイラ入口給水温度が10°C変わるだけであり、従って、ボイラ容量の増加は不要である。
図10は、本発明の第6実施例の熱サイクル装置の配置図である。図10の熱サイクル装置は、それ自体熱クロスを行う熱機関Aにタービンを含む熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、冷凍機Jの冷凍出力により熱機関Aのタービン排気を冷却するものである。図10の熱サイクル装置の熱機関Aにおいて、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、復水器Y1でタービン排出蒸気により加熱された後、ボイラBへ循環される。図10の熱サイクル装置の冷凍機Jにおいて、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプP1で圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
ポンプP1から吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスFgは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に復水Y1で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。図11は、本発明の第6実施例の変形の熱サイクル装置の配置図である。図11の熱サイクル装置において、タービンS2は、圧縮機Cを駆動するように機械的に結合され、圧縮機Cの駆動用モータが省かれている以外は、図10の熱サイクル装置と同様であり、重複説明を省略する。
図12は、本発明の第7実施例の熱サイクル装置の配置図である。図12の熱サイクル装置は、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図12の熱サイクル装置において、タービンに結合された発電機G、圧縮機のモータM,熱機関に駆動される発電機G2は、電気的に結合される。図12の熱サイクル装置の冷凍機において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプPで圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において、熱機関の廃熱(冷却熱及び排気ガスの熱)により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。熱機関の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。反動水車Kは単に膨張弁とすることができる。
図13は、本発明の第8実施例の熱サイクル装置の配置図である。図12の熱サイクル装置は、図12と同じく、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図13の熱サイクル装置において、熱機関の出力により圧縮機Cが駆動される。その他の構成は、図12の熱サイクル装置と同様である。図12及び図13において、熱機関Dは、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、又はスターリングサイクルのいずれかである。
図14は、本発明の第9実施例の熱サイクル装置の配置図である。図14の熱サイクル装置は、燃料電池Nにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図14の熱サイクル装置において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプPで圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、膨張弁Vにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において燃料電池Nの廃熱により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。燃料電池の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。図14の熱サイクル装置において、タービンSに結合された発電機G、圧縮機のモータM,燃料電池の出力は、電気的に結合される。
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高効率熱サイクル装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンにより動力を取出す熱機関並びに熱機関と冷凍機を組合せた熱サイクル装置に関する。特に本発明は、熱機関及び冷凍機を組合せタービン出口蒸気の廃熱をタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンを含む熱サイクル装置の効率を向上させるため、従来、廃熱を利用する多数の発明がなされてきた。例えば、特許文献1は、高温排気ガスの熱エネルギーを回収する発電設備を開示する。この発電設備は、高温排ガス流路の上流側に廃熱ボイラ、下流側に流体予熱器をそれぞれ配置する。廃熱ボイラで発生された蒸気で蒸気タービンを駆動する。流体予熱器により予熱された低沸点特殊流体が蒸気タービンの排気を利用する流体蒸発器により加熱蒸発され特殊流体タービンを駆動する。蒸気タービンの出力及び特殊流体タービンの出力が合成され、発電機を駆動し電力を発生する。低沸点特殊流体は、特殊流体タービンから排出された後、熱交換器で凝縮液体とされポンプにより加圧され、熱交換器で予熱され、その後、流体予熱器へ循環される。
【特許文献1】特開昭54−27640号公報
【0003】
動作物質が、1サイクルを行う、即ち変化を連続して行った後に再び元の状態に戻る間に、温度Thの高熱源から熱量Qhを受取り、温度Tbの低熱源から熱量Qbを捨て、外部へ仕事L(熱量換算値とする)を行うとき、
Qh=Qb+L…(式1)の関係がある。外部へ仕事Lを与える場合が熱機関であり、仕事Lを外部から作動流体に与える場合が冷凍機又は熱ポンプ(heat pump)である。熱機関の場合は、高熱源から受取る熱量Qhが少なく外部へ与える仕事Lが大きいことが望ましい。従って、
η=L/Qh…(式2)を熱効率という。上式によりLを書き換えると、
η=(Qh−Qb)/Qh…(式3)である。可逆カルノーサイクルを行う熱機関の熱効率ηを熱力学的温度Th°K及びTb°Kで表すと、
η=(Th−Tb)/Th=1−(Tb/Th)…(式4)である。
【0004】
一般的に低温物体から熱を高温物体に移す装置を冷凍機と称する。冷凍機は一般的に物を冷やす目的の装置であるが、熱を低温側物体から高温物体へ移動させ、高温物体を加熱する装置は、「熱ポンプ(heat pump)」と呼ばれる。「熱ポンプ」は、冷凍機の使用方法を変更した場合の名称であると言える。熱ポンプは、例えば、冷暖房用空調機の暖房運転の場合に使用される。低温物体から吸収した熱量Qb、高温物体へ与える熱量Qh、熱ポンプを作動させるため外部からした仕事量L(熱量換算値)の間には、
Qh=Qb+L…(式5)の関係がある。
【0005】
熱ポンプは、同一仕事量に対して、与える熱量Qhが大きい程、その経済性が高いといえる。そこで
ε=Qh/L…(式6)を熱ポンプの成績係数又は動作係数という。上記式5から
L=Qh−Qb…(式7)であるから、
ε=Qh/(Qh−Qb)…(式8)である。低熱源の絶対温度をTb°K、高熱源の絶対温度をTh°Kとすると、この両熱源の間に作用する熱ポンプで、最も成績係数の大きいものは、逆カルノーサイクルを行う熱ポンプであり、その成績係数εは、
ε=Tb/(Th−Tb)…(式9)である。逆カルノーサイクルは、2つの等温変化及び2つの断熱変化であり、同一の高熱源と低熱源の間に作用するすべてのサイクルの中で熱効率が最大である。
【0006】
図1は、従来の冷凍機Jの構成要素を示す配置図であり、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgが熱交換器(凝縮器)7で流体Z1に熱Qhを与えて凝縮された後、膨張弁Vで膨張され、温度低下すると共に熱交換器8で流体Z2から熱Qbを吸収して流体Z2を冷却し、その後、圧縮機Cへ戻され、循環される。図1の冷凍機において、熱計算の検討を、冷媒がアンモニアである冷凍機について行う。簡略化のため機械的損失がないとする。冷媒の温度は、圧縮機C出口で110°C(T3)、凝縮器7の出口で、38°C(T2)、蒸発器V出口で、−10°C(T1)である。それ故、逆カルノーサイクルでの冷凍機の成績係数(理論的に最大の成績係数)εを求めると、εは、
ε=T1/(T2−T1)
=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式10)である。図1の冷凍機において、圧縮機Cの入力L(仕事)を1とした場合、ヒートポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式11)である。
【0007】
図2は、蒸気タービンを含む熱機関A、即ちランキンサイクルを含む熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図であり、ボイラBで発生された高温高圧蒸気FgがタービンSへ供給されタービンを回転させて動力(仕事)Wを発生し、タービンの排気口と連通される復水器Y1において蒸気が冷却され復水Eeとされ、復水EeはポンプPで昇圧されボイラBへ供給される。図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない場合、タービンSで発生される仕事W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式12)であり、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式13)である。ここで、Q1は、タービン入口側の作動流体の保有熱量であり、Q2は、タービン出口側の作動流体よりの出熱量であり復水器Y1から排出される廃熱に等しい。
【0008】
図2の熱サイクル装置の熱効率η0、即ち、熱サイクル装置の作動流体の入熱量(保有熱量)Q1に対するタービンSで発生される仕事Wの割合η0は、
η0=W/Q1…(式14)、このWを式12のW=Q1−Q2で置換すると、
η0=(Q1−Q2)/Q1…(式16)であり、これは、前記ηSと同じであるから、
η0=ηS…(式17)ということができる。
【0009】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させる、即ち、
0≦Q3≦Q2…(式18)とすると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させると、ボイラの入熱量は、Q1−Q3となる。タービンS入口の蒸気Fgの保有する熱量は、
ボイラの入熱量(Q1−Q3)+(Y2による移動熱量Q3)=Q1…(式19)となる。タービンS出口の蒸気Fgの保有する熱量はQ2であると考えることができるから、タービンSで発生される動力W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式20)となる。それ故、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)であり、復水器Y1の廃熱Q2を利用しない場合と同じである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、熱サイクル装置において、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口の作動流体へ移動(熱クロス)させることによりタービン自体の熱効率が小さい場合にも、熱サイクル装置の熱効率を高い値とすることを目的とする。本発明は、また蒸気タービン並びに蒸気タービンと冷凍機を組合せた熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。より詳しくは、本発明は、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、熱ポンプを用いて廃熱又は自然界の熱を作動流体へ移動させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、冷凍機の凝縮器における外部放熱量を抑制し、熱クロスを行わずに抑制された熱量を動力として取り出すことにある。
【0011】
本発明の別の目的は、ランキンサイクルの低温廃熱を冷凍機により高温熱出力に変換することにある。本発明の更に別の目的は、ランキンサイクルにおけるタービン出口に設置した凝縮器(冷却器)の冷熱源として冷凍機の冷凍出力を用いると共に、冷凍機をヒートポンプとして作用させ、凝縮器の放出熱を昇温し外部へ熱出力として供給可能な熱サイクル装置を提供することである。本発明は、冷凍サイクルを用いて熱クロスQ3/Q1を大きくし、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)において、η=1…(式27)を実現するか、又はηをできるだけ1に近づけることである。本発明において、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮機で圧縮する従来の冷凍サイクルにおいて凝縮器の前にタービンを配置したものであり、凝縮器は、蒸気タービンサイクルの復水器に相当する。本発明のその他の目的は、以下の説明において明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させる、即ち(Q1−Q3)とする場合、図2の熱サイクル装置の熱効率η、即ち熱サイクル装置の入熱量に対するタービンSで発生される仕事Wの割合は、仕事Wが
W=Q1−Q2…(式22)であり、熱サイクル装置の入熱量が(Q1−Q3)であるから、
η=W/(Q1−Q3)=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式23)である。
【0013】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない、即ち、
Q3=0の場合は、上述式23は、
η=(Q1−Q2)/Q1…(式24)となる。
0≦Q3≦Q2…(式18)の場合は、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式25)である。式25の場合、分母が−Q3だけ小さい分だけηの値は、大きくなる。また、復水器の廃熱の全部Q2をポンプPの前又は後の復水へ移動させる場合は、Q2=Q3…(式26)であるから、
η=1…(式27)となる。
【0014】
図2の熱サイクル装置において、0≦Q3≦Q2…(式18)の場合の熱サイクル装置の熱効率ηは、上記の通り、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)であり、分母及び分子をQ1で割ると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[(Q1−Q3)/Q1]…(式29)となる。これを変形すると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[1−(Q3/Q1)]…(式30)であり、これに
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)を挿入すると、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)となる。本発明は、廃熱等の利用価値の低い熱をも熱ポンプを用いて熱サイクル装置内に取り入れ、熱サイクル装置内のタービンにより動力出力を取り出す。本発明の熱サイクル装置は、タービンにより高効率で動力を取り出すため、熱クロスを用いる。復水器Y1の廃熱Q2を全部利用する場合、式27によりη=1である。
【0015】
上記式32からわかるように、タービンSの熱効率ηS、及びポンプPの前又は後の復水へ復水器Y1の廃熱から移動させる熱量Q3が決まれば、熱サイクル装置の熱効率ηが決まる。Q3が大きくなりQ1に近づくに伴い、式30の分母の(1−Q3/Q1)は小さくなるから、ηは、大きくなる。冷凍サイクル以外の熱サイクルでは、熱クロス率Q3/Q1を大きくすることは困難である。熱移動(熱クロス)させる為の高熱源と低熱源の温度差を大きくとれないからである。また冷凍サイクル以外の熱サイクルでは式27を実現できない。
【0016】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され、一部が蒸発する。残余の液は、第1の熱交換器(7)の吸熱側及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図3)。
【0017】
好適には、反動水車(K)の仕事(W2)とポンプ(P)の消費動力(L2)がほぼ相殺する大きさであり、圧縮機の駆動モータ(M1)、タービン発電機(G1)、ポンプ駆動モータ(M2)、水車駆動発電機(G2)が電気的に結合される(図3、図5)。また第2の熱交換器(8)は、ランキンサイクルのタービン排出蒸気の廃熱を作動ガスへ移動させる復水器とすることができる(図6)。また第2の熱交換器(8)は、燃料電池の廃熱を前記作動ガスへ移動させる熱交換器とすることができる(図14)。
【0018】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、反動水車(K)を単に膨張弁(V)とすることができる(図4)。この場合、ポンプ(P)により昇圧された高圧作動液は膨張弁(V)を通り膨張され、一部が蒸発し作動ガスとされる。残余の液は、第1の熱交換器(7)及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図4)。図3及び図4の装置の熱サイクルが本発明の基本サイクルであり、図4の熱サイクルは図3の熱サイクルを簡略化したものである。
【0019】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、ηsをタービンの熱効率、Q1をタービン入口側の作動流体へ伝達される入熱量、Q2をタービン出口側の作動流体よりの出熱量、Q3をタービン出口側の作動流体からタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)される熱量であるとすると、
熱サイクル装置の熱効率ηが、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)
=ηs/(1−Q3/Q1)…(式32)であり、
Q3=(1〜0.5)Q2である。Q3が大きくなればなるほど式28又は式32において分母が小さくなり、熱サイクル装置の熱効率ηが大きい。
【0020】
本発明の第2の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(冷媒液)とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に蒸発器(R)で膨張され蒸発され作動ガスとされ、この作動ガスが、圧縮機(C)へ導入される(図7)。
【0021】
本発明の第3の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気が、タービン(S2)を駆動し仕事(W3)を出力した後、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P2)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が復水器(Y1)の受熱側を通り加熱され、ボイラ(B)へ戻される。好適には、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却された蒸気がポンプ(P2)に吸入される前に更に外部冷却流体(U)により冷却され、外部へ熱出力(Q4)を供給することができる(図8)。この熱サイクル装置においても、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)が成立つ。
【0022】
本発明の第4の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、復水器及びポンプを含む熱機関と、圧縮機、熱交換器及び膨張弁を含む冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)がタービン(S2)を駆動した後、復水器(Y1)で冷却され、ポンプ(P2)で昇圧されて高圧復水となってボイラ(B)へ循環され、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、熱交換器(7)の放熱側において冷却液化され冷媒液(Fe)とされ、該冷媒液(Fe)が膨張弁(V)で膨張され冷媒ガス(Fg)となり復水器(Y1)に導入され、タービンから排出された蒸気(Eg)を冷却すると共に自体は加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好適には、高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に熱交換器(7)の受熱側を通され加熱される。熱交換器(7)の受熱側は、外部へ熱出力(U2)を供給する(図9)。
【0023】
本発明の第5の特徴によれば、熱機関と冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置の冷凍機は、タービン(S)、ポンプ(P1)、及び水車(K)を含み、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液とされ、この高圧冷媒液が水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガスとされ、この冷媒ガスが、熱交換器(7)の吸熱側及び復水器(Y1)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。また高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に復水器(Y1)において加熱される(図10)。
【0024】
本発明の第6の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器、ポンプ、及び反動水車を含む冷凍機と、熱機関を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側において冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液(Fe)とされ、該高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガス(Fg)とされ、熱交換器(8)に導入され、熱機関(D)の廃熱により加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好ましくは、圧縮機(C)は、熱機関(D)の出力(W3)又は燃料電池により駆動される(図12、図13)。
【発明の効果】
【0025】
本発明のタービンを有する冷凍機にランキンサイクルを組合せた熱サイクル装置(図6、図9)においては、ランキンサイクルを単独で運転する場合に不可欠である冷却用の水が、冷凍機と組合されたことにより不要である。冷却水なしでランキンサイクルを設置できることは、火力発電所の立地条件を極端に緩和し、火力発電所を燃料産出地やバイオマス燃料産出地に立地する可能性を増大する。特に石炭を燃料とする発電所の場合に石炭産出地付近で発電し電力消費地へ送電することにより経済的効果を上げることの可能性を増大する。
【0026】
本発明は、図3の熱サイクル装置に示すように冷凍機の凝縮熱から動力を回収し装置外への熱放出を最少にすることができる故に、近年大都市の環境を悪化させているヒートアイランド現象を緩和する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図3は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図であり、この熱サイクル装置は、圧縮機C、凝縮器を含む冷凍機にタービンSその他を挿入した構成を有する。圧縮機Cで圧縮された作動流体(冷媒ガス)は、タービンSを駆動し仕事W1を出力した後、熱交換器7(放熱側)において冷却液化される。熱交換器7の出口に接続されるポンプPは、作動液を吸引し、タービンSの背圧を下げ、タービン出力W1を増大させると共に作動液の圧力を上昇させる。
【0028】
昇圧された作動液は、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し作動ガス(冷媒ガス)となる。作動ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0029】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7は、タービンSの排気の熱を放出させ、水車K出口の作動ガスを加熱する作用を行う。熱交換器7において、タービンSの排気は冷却され凝縮液化する。図3の熱交換器7は、タービンSの排気を冷却することによりタービンSの入口と出口の作動流体の温度差を大きくし、タービン出力を大きくする。タービンの排気からの廃熱Q1は、反動水車Kの下流の作動流体に移動(熱クロス)される。
【0030】
熱交換器7の冷却を大きくすることにより作動流体の圧力が下がり過ぎるため、ポンプPで昇圧する。昇圧された作動液は、反動水車Kにより位置エネルギーを回収される。ここでは、位置エネルギーは全体に対して小さい故に、ポンプPの消費仕事と反動水車Kの出力が相殺されると仮定する。
【0031】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7における移動熱量をQ3、熱交換器8における外部からの吸熱量をQ4とすると、熱サイクル装置の出力(タービンSの出力)は、
(L1+Q4)…(式33)となる。熱量Q3は、タービンS出口側の作動流体から圧縮機C入口側の作動流体へ移動され、熱クロスされる熱量である。
【0032】
図4は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の水車Kを変形し単に膨張弁Vとすると共に温度圧力の例を示す説明図である。タービンSの排気が凝縮器(熱交換器)7において−10°C(T2)の冷媒蒸気により、0°C(T4)に冷却され、その後、圧力が4.39kgf/cm2absから15.04kgf/cm2absまでポンプPで昇圧され液化される。T4は、図4における凝縮器7出口の冷媒の温度である。ポンプPで昇圧された冷媒は、膨張弁Vで膨張され、蒸発され、熱交換器7においてQ1の熱を受け−10°C(T2)となる。タービンSの入口温度は、110°C(T3)、凝縮器冷媒温度が0°C(T4)であるから、カルノーサイクル上のタービン効率ηSは、
ηS=(T3−T4)/T3
=(110−0)/(273.15+110)≒0.28…(式34)
である。
【0033】
図5は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置における熱量の例を示す説明図であり、圧縮機Cの入力L1を1単位投入した(L1=1)場合のタービン出力W1、熱交換器7出口における熱クロスQ3、熱交換器8における外部からの取入れ熱量Q4を表示する。ヒートポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式35)である。タービンSの出力W1は、
W1=εh×ηS=6.4×0.28≒1.7…(式36)である。熱交換器7出口における熱クロス量Q3は、
Q3=6.4−1.7=4.7…(式37)である。熱交換器8における外部よりの熱吸収量Q4は、
Q4=冷凍機の成績係数−Q3…(式38)であるから、
Q4=5.4−4.7=0.7…(式39)である。
【0034】
図6は、本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図である。図6の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)の熱サイクル装置の熱源としてランキンサイクルAの廃熱、即ち蒸気タービンS2の復水器Y1の廃熱を利用する。図6の熱サイクル装置において、ボイラBにより蒸気に与えられる熱量が10000KW、タービンS2の出力W3が3000KW(熱効率0.3)、タービンS2の廃熱(復水器廃熱)が7000KWである。復水器Y1で蒸気Egから冷媒Fgへ移動される熱量が7000KWである。
【0035】
図6の装置の各要素において出入りする熱量は、図5の熱サイクル装置において、復水器Y1における外部よりの吸熱量0.7を7000KWとする比例計算、即ち、図5において1単位が10000KWとすることにより得られる。圧縮機Cの入力Lは、L=10000KW、タービンSの仕事W1=17000KW、熱交換器7における熱クロスQ3=47000KWである。ポンプP1の消費動力L2は45KW、水車Kの発生動力W2は45KWである。
【0036】
図7は、本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図である。図7の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)において、熱交換器(凝縮器)7の吸熱側を外部熱出力(外部冷却源)Z1とし、タービンSの排気と圧縮機Cの吸気の間の熱クロスを無くした構造を備える。図7の熱サイクル装置は、冷凍機の凝縮器7の前にタービンSを配置し出力(動力、仕事)W1を得るものである。図7の熱サイクル装置において、タービンSのカルノーサイクル上の熱効率ηSは、
ηS=(110−38)/273.15+110≒0.18…(式40)
逆カルノーサイクル上の冷凍機成績係数εは、
ε=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式41)
タービンSの出力(動力、仕事)W1は、
W1=(ε+1)×ηS≒1.1…(式42)
ポンプPの昇圧動力L2は、圧縮機の動力L1との比が0.4%であるとして、0.004である。ポンプPの昇圧動力L2=0.004…(式43)より、タービンSで得られる仕事W1≒1.1…(式44)がはるかに大きいので、単に凝縮器7で放熱させるより、タービンSで動力を取出す利点は大きい。
【0037】
図8は、本発明の第4実施例の熱サイクル装置の配置図である。図8の熱サイクル装置は、ボイラB、タービンS2、復水器Y1を含む熱機関Aにおいて、復水器Y1において廃熱をボイラ入口の給水へ移動させる、即ち熱クロスを行う構成を有する。更に、図8の熱サイクル装置は、復水器Y1から外部へ熱出力Uを供給する構成を有する。
【0038】
図9は、本発明の第5実施例の熱サイクル装置の配置図である。図9の熱サイクル装置は、熱機関Aに熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、熱機関A内で増大された熱クロスを行うものである。図9の熱サイクル装置において、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、冷凍機Jの熱交換器7(受熱側)で例えば80°Cに加熱された後、ボイラBへ循環される。圧縮機Cで圧縮された冷媒蒸気Fgは、熱交換器7(放熱側)において冷却液化され冷媒液Feとなると共に、例えば80°Cの熱出力(給湯)U2を発生し、且つ熱機関Aの復水Eeを80°Cに加熱する。冷媒液Feは、膨張弁Vで膨張され例えば4°Cの冷媒蒸気Fgとなり、熱交換器Y1に導入され、蒸気Egを冷却する。それ故、熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で増大された熱クロスが行われる。
【0039】
図9の熱サイクル装置において、熱ポンプJを休止した状態(熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で直接的に熱交換させる)における熱機関の運転の1例は、蒸気温度(タービン入口)400°C、復水温度(タービン出口)60°Cであり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η=(400−60)/(400+273.15)≒0.505…(式45)である。他方、蒸気温度を400°Cとし、図9のように熱ポンプJを作動させると、復水温度(タービン出口)は10°Cとなり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η≒0.579…(式46)となった。これは、図9の熱サイクル装置において、熱ポンプを作動させることにより、温度差が340°Cから390°Cへ拡大し、タービン本体の熱効率が
0.579−0.505=0.074…(式47)だけ上昇したことを示すものである。
【0040】
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスについて考える。熱ポンプJを停止し熱クロスがないときの復水温度(タービン出口)及び給水温度(ボイラ入口)が共に10°Cであり、これが400°Cの蒸気になるには、10°Cの給水を100°Cにするための90単位の熱量、100°Cの復水を100°Cの蒸気にするたの539単位の熱量、並びに100°Cの蒸気を400°Cの蒸気に加熱するため蒸気の比熱を0.5として150単位の熱量が必要であるから、合計779単位の熱量が必要である。
【0041】
熱ポンプを作動させ熱クロスを行う場合、復水温度(タービン出口)は10°C、ボイラ入口の給水温度は70°Cとなるから、熱クロスを行わない場合の10°Cと比較すると、温度を60°C上昇させる熱量、即ち60単位の熱量が少なくてすみ、これは60/779=0.077…(式48)となる。それ故、熱クロスにより入熱量を減少させることにより、図9の熱サイクル装置は、前述の
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)、即ち、
η/ηS=1/(1−Q3/Q1)…(式49)に基づくと、熱効率が
1÷(1−0.077)=1.08…(式50)となり、約8%向上する。
【0042】
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスによる熱落差拡大を考える。熱ポンプを停止し熱クロスがないときのタービンの熱効率ηSは、
ηS=(400−10)/(400+273.15)=0.579…(式51)であり、上記熱効率上昇割合を乗じると、熱サイクル装置の熱効率は、0.625となる。
【0043】
本発明の基本サイクル(図3)において、動力収支(ポンプの消費動力と水車の発生仕事)が相殺するか又は幾分プラスであっても、ランキンサイクルに熱クロスを行うことにより熱効率を向上させ得る。またこれに伴ってボイラ容量を増加することの必要はない。例えば、従来、蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)60°C、ボイラ入口給水温度60°Cが、上記のように蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)10°C、ボイラ入口給水温度70°Cと変わり、ボイラ入口給水温度が10°C変わるだけであり、従って、ボイラ容量の増加は不要である。
【0044】
図10は、本発明の第6実施例の熱サイクル装置の配置図である。図10の熱サイクル装置は、それ自体熱クロスを行う熱機関Aにタービンを含む熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、冷凍機Jの冷凍出力により熱機関Aのタービン排気を冷却するものである。図10の熱サイクル装置の熱機関Aにおいて、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、復水器Y1でタービン排出蒸気により加熱された後、ボイラBへ循環される。図10の熱サイクル装置の冷凍機Jにおいて、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプP1で圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
【0045】
ポンプP1から吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスFgは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に復水器Y1で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。図11は、本発明の第6実施例の変形の熱サイクル装置の配置図である。図11の熱サイクル装置において、タービンS2は、圧縮機Cを駆動するように機械的に結合され、圧縮機Cの駆動用モータが省かれている以外は、図10の熱サイクル装置と同様であり、重複説明を省略する。
【0046】
図12は、本発明の第7実施例の熱サイクル装置の配置図である。図12の熱サイクル装置は、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図12の熱サイクル装置において、タービンに結合された発電機G1、圧縮機のモータM,熱機関に駆動される発電機G3は、電気的に結合される。図12の熱サイクル装置の冷凍機において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプP1で圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
【0047】
ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において、熱機関の廃熱(冷却熱及び排気ガスの熱)により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。熱機関の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。反動水車Kは単に膨張弁とすることができる。
【0048】
図13は、本発明の第8実施例の熱サイクル装置の配置図である。図13の熱サイクル装置は、図12と同じく、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図13の熱サイクル装置において、熱機関の出力により圧縮機Cが駆動される。その他の構成は、図12の熱サイクル装置と同様である。図12及び図13において、熱機関Dは、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、又はスターリングサイクルのいずれかである。
【0049】
図14は、本発明の第9実施例の熱サイクル装置の配置図である。図14の熱サイクル装置は、燃料電池Nにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図14の熱サイクル装置において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプPで圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、膨張弁Vにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において燃料電池Nの廃熱により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。燃料電池の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。図14の熱サイクル装置において、タービンSに結合された発電機G、圧縮機のモータM,燃料電池の出力は、電気的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 従来の冷凍機の構成要素を示す配置図。
【図2】 従来のタービンを含む熱機関、即ちランキンサイクルを行う熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図。
【図3】 本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図4】 本発明の第1実施例の変形の熱サイクル装置の温度圧力の例を示す説明図。
【図5】 本発明の第1実施例の熱サイクル装置の熱量の例を示す説明図。
【図6】 本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図7】 本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図8】 本発明の第4実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図9】 本発明の第5実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図10】 本発明の第6実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図11】 本発明の第6実施例の変形の熱サイクル装置の配置図。
【図12】 本発明の第7実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図13】 本発明の第8実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図14】 本発明の第9実施例の熱サイクル装置の配置図である。
【符号の説明】
【0049】
A、D:熱機関、B:ボイラ、C:圧縮機、ε:成績係数、η:熱サイクル装置の熱効率、ηs:タービン単体の熱効率、Eg:蒸気、Ee:水(給水、復水)、Fg:冷媒ガス、Fe:冷媒液、G1、G2:発電機、J:冷凍機、K:水車、L1、L2:仕事(入力)、N:燃料電池、M1、M2:モータ、P:ポンプ、Q1、Q2、Q3、Q4:熱量、S、S2:タービン、V:膨張弁、W1、W2、W3:仕事(出力)、7、8:熱交換器、Y1:復水器、Y2:給水予熱器。
【発明の名称】 高効率熱サイクル装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンにより動力を取出す熱機関並びに熱機関と冷凍機を組合せた熱サイクル装置に関する。特に本発明は、熱機関及び冷凍機を組合せタービン出口蒸気の廃熱をタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンを含む熱サイクル装置の効率を向上させるため、従来、廃熱を利用する多数の発明がなされてきた。例えば、特許文献1は、高温排気ガスの熱エネルギーを回収する発電設備を開示する。この発電設備は、高温排ガス流路の上流側に廃熱ボイラ、下流側に流体予熱器をそれぞれ配置する。廃熱ボイラで発生された蒸気で蒸気タービンを駆動する。流体予熱器により予熱された低沸点特殊流体が蒸気タービンの排気を利用する流体蒸発器により加熱蒸発され特殊流体タービンを駆動する。蒸気タービンの出力及び特殊流体タービンの出力が合成され、発電機を駆動し電力を発生する。低沸点特殊流体は、特殊流体タービンから排出された後、熱交換器で凝縮液体とされポンプにより加圧され、熱交換器で予熱され、その後、流体予熱器へ循環される。
【特許文献1】特開昭54−27640号公報
【0003】
動作物質が、1サイクルを行う、即ち変化を連続して行った後に再び元の状態に戻る間に、温度Thの高熱源から熱量Qhを受取り、温度Tbの低熱源から熱量Qbを捨て、外部へ仕事L(熱量換算値とする)を行うとき、
Qh=Qb+L…(式1)の関係がある。外部へ仕事Lを与える場合が熱機関であり、仕事Lを外部から作動流体に与える場合が冷凍機又は熱ポンプ(heat pump)である。熱機関の場合は、高熱源から受取る熱量Qhが少なく外部へ与える仕事Lが大きいことが望ましい。従って、
η=L/Qh…(式2)を熱効率という。上式によりLを書き換えると、
η=(Qh−Qb)/Qh…(式3)である。可逆カルノーサイクルを行う熱機関の熱効率ηを熱力学的温度Th°K及びTb°Kで表すと、
η=(Th−Tb)/Th=1−(Tb/Th)…(式4)である。
【0004】
一般的に低温物体から熱を高温物体に移す装置を冷凍機と称する。冷凍機は一般的に物を冷やす目的の装置であるが、熱を低温側物体から高温物体へ移動させ、高温物体を加熱する装置は、「熱ポンプ(heat pump)」と呼ばれる。「熱ポンプ」は、冷凍機の使用方法を変更した場合の名称であると言える。熱ポンプは、例えば、冷暖房用空調機の暖房運転の場合に使用される。低温物体から吸収した熱量Qb、高温物体へ与える熱量Qh、熱ポンプを作動させるため外部からした仕事量L(熱量換算値)の間には、
Qh=Qb+L…(式5)の関係がある。
【0005】
熱ポンプは、同一仕事量に対して、与える熱量Qhが大きい程、その経済性が高いといえる。そこで
ε=Qh/L…(式6)を熱ポンプの成績係数又は動作係数という。上記式5から
L=Qh−Qb…(式7)であるから、
ε=Qh/(Qh−Qb)…(式8)である。低熱源の絶対温度をTb°K、高熱源の絶対温度をTh°Kとすると、この両熱源の間に作用する熱ポンプで、最も成績係数の大きいものは、逆カルノーサイクルを行う熱ポンプであり、その成績係数εは、
ε=Tb/(Th−Tb)…(式9)である。逆カルノーサイクルは、2つの等温変化及び2つの断熱変化であり、同一の高熱源と低熱源の間に作用するすべてのサイクルの中で熱効率が最大である。
【0006】
図1は、従来の冷凍機Jの構成要素を示す配置図であり、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgが熱交換器(凝縮器)7で流体Z1に熱Qhを与えて凝縮された後、膨張弁Vで膨張され、温度低下すると共に熱交換器8で流体Z2から熱Qbを吸収して流体Z2を冷却し、その後、圧縮機Cへ戻され、循環される。図1の冷凍機において、熱計算の検討を、冷媒がアンモニアである冷凍機について行う。簡略化のため機械的損失がないとする。冷媒の温度は、圧縮機C出口で110°C(T3)、凝縮器7の出口で、38°C(T2)、蒸発器V出口で、−10°C(T1)である。それ故、逆カルノーサイクルでの冷凍機の成績係数(理論的に最大の成績係数)εを求めると、εは、
ε=T1/(T2−T1)
=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式10)である。図1の冷凍機において、圧縮機Cの入力L(仕事)を1とした場合、ヒートポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式11)である。
【0007】
図2は、蒸気タービンを含む熱機関A、即ちランキンサイクルを含む熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図であり、ボイラBで発生された高温高圧蒸気FgがタービンSへ供給されタービンを回転させて動力(仕事)Wを発生し、タービンの排気口と連通される復水器Y1において蒸気が冷却され復水Eeとされ、復水EeはポンプPで昇圧されボイラBへ供給される。図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない場合、タービンSで発生される仕事W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式12)であり、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式13)である。ここで、Q1は、タービン入口側の作動流体の保有熱量であり、Q2は、タービン出口側の作動流体よりの出熱量であり復水器Y1から排出される廃熱に等しい。
【0008】
図2の熱サイクル装置の熱効率η0、即ち、熱サイクル装置の作動流体の入熱量(保有熱量)Q1に対するタービンSで発生される仕事Wの割合η0は、
η0=W/Q1…(式14)、このWを式12のW=Q1−Q2で置換すると、
η0=(Q1−Q2)/Q1…(式16)であり、これは、前記ηSと同じであるから、
η0=ηS…(式17)ということができる。
【0009】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させる、即ち、
0≦Q3≦Q2…(式18)とすると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させると、ボイラの入熱量は、Q1−Q3となる。タービンS入口の蒸気Fgの保有する熱量は、
ボイラの入熱量(Q1−Q3)+(Y2による移動熱量Q3)=Q1…(式19)となる。タービンS出口の蒸気Fgの保有する熱量はQ2であると考えることができるから、タービンSで発生される動力W(熱量換算値)は、
W=Q1−Q2…(式20)となる。それ故、タービンSの熱効率ηSは、
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)であり、復水器Y1の廃熱Q2を利用しない場合と同じである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、熱サイクル装置において、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口の作動流体へ移動(熱クロス)させることによりタービン自体の熱効率が小さい場合にも、熱サイクル装置の熱効率を高い値とすることを目的とする。本発明は、また蒸気タービン並びに蒸気タービンと冷凍機を組合せた熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。より詳しくは、本発明は、蒸気タービン出口蒸気の廃熱を蒸気タービン入口の作動流体へ移動(熱クロス)させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、熱ポンプを用いて廃熱又は自然界の熱を作動流体へ移動させ熱サイクル装置の熱効率を向上させることを目的とする。本発明の他の目的は、冷凍機の凝縮器における外部放熱量を抑制し、熱クロスを行わずに抑制された熱量を動力として取り出すことにある。
【0011】
本発明の別の目的は、ランキンサイクルの低温廃熱を冷凍機により高温熱出力に変換することにある。本発明の更に別の目的は、ランキンサイクルにおけるタービン出口に設置した凝縮器(冷却器)の冷熱源として冷凍機の冷凍出力を用いると共に、冷凍機をヒートポンプとして作用させ、凝縮器の放出熱を昇温し外部へ熱出力として供給可能な熱サイクル装置を提供することである。本発明は、冷凍サイクルを用いて熱クロスQ3/Q1を大きくし、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)において、η=1…(式27)を実現するか、又はηをできるだけ1に近づけることである。本発明において、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮機で圧縮する従来の冷凍サイクルにおいて凝縮器の前にタービンを配置したものであり、凝縮器は、蒸気タービンサイクルの復水器に相当する。本発明のその他の目的は、以下の説明において明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2の一部又は全部Q3を給水予熱器Y2によりボイラ入口の復水へ移動させると共に、ボイラの入熱量を復水器Y1から移動される熱量Q3と同じだけ減少させる、即ち(Q1−Q3)とする場合、図2の熱サイクル装置の熱効率η、即ち熱サイクル装置の入熱量に対するタービンSで発生される仕事Wの割合は、仕事Wが
W=Q1−Q2…(式22)であり、熱サイクル装置の入熱量が(Q1−Q3)であるから、
η=W/(Q1−Q3)=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式23)である。
【0013】
図2の熱サイクル装置において、復水器Y1の廃熱Q2を全く利用しない、即ち、
Q3=0の場合は、上述式23は、
η=(Q1−Q2)/Q1…(式24)となる。
0≦Q3≦Q2…(式18)の場合は、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式25)である。式25の場合、分母が−Q3だけ小さい分だけηの値は、大きくなる。また、復水器の廃熱の全部Q2をポンプPの前又は後の復水へ移動させる場合は、Q2=Q3…(式26)であるから、
η=1…(式27)となる。
【0014】
図2の熱サイクル装置において、0≦Q3≦Q2…(式18)の場合の熱サイクル装置の熱効率ηは、上記の通り、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)であり、分母及び分子をQ1で割ると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[(Q1−Q3)/Q1]…(式29)となる。これを変形すると、
η=[(Q1−Q2)/Q1]/[1−(Q3/Q1)]…(式30)であり、これに
ηS=(Q1−Q2)/Q1…(式21)を挿入すると、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)となる。本発明は、廃熱等の利用価値の低い熱をも熱ポンプを用いて熱サイクル装置内に取り入れ、熱サイクル装置内のタービンにより動力出力を取り出す。本発明の熱サイクル装置は、タービンにより高効率で動力を取り出すため、熱クロスを用いる。復水器Y1の廃熱Q2を全部利用する場合、式27によりη=1である。
【0015】
上記式32からわかるように、タービンSの熱効率ηS、及びポンプPの前又は後の復水へ復水器Y1の廃熱から移動させる熱量Q3が決まれば、熱サイクル装置の熱効率ηが決まる。Q3が大きくなりQ1に近づくに伴い、式30の分母の(1−Q3/Q1)は小さくなるから、ηは、大きくなる。冷凍サイクル以外の熱サイクルでは、熱クロス率Q3/Q1を大きくすることは困難である。熱移動(熱クロス)させる為の高熱源と低熱源の温度差を大きくとれないからである。また冷凍サイクル以外の熱サイクルでは式27を実現できない。
【0016】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され、一部が蒸発する。残余の液は、第1の熱交換器(7)の吸熱側及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図3)。
【0017】
好適には、反動水車(K)の仕事(W2)とポンプ(P)の消費動力(L2)がほぼ相殺する大きさであり、圧縮機の駆動モータ(M1)、タービン発電機(G1)、ポンプ駆動モータ(M2)、水車駆動発電機(G2)が電気的に結合される(図3、図5)。また第2の熱交換器(8)は、ランキンサイクルのタービン排出蒸気の廃熱を作動ガスへ移動させる復水器とすることができる(図6)。また第2の熱交換器(8)は、燃料電池の廃熱を前記作動ガスへ移動させる熱交換器とすることができる(図14)。
【0018】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、反動水車(K)を単に膨張弁(V)とすることができる(図4)。この場合、ポンプ(P)により昇圧された高圧作動液は膨張弁(V)を通り膨張され、一部が蒸発し作動ガスとされる。残余の液は、第1の熱交換器(7)及び第2の熱交換器(8)を通り加熱され蒸発した後、少々過熱気味で圧縮機Cへ導入される(図4)。図3及び図4の装置の熱サイクルが本発明の基本サイクルであり、図4の熱サイクルは図3の熱サイクルを簡略化したものである。
【0019】
本発明の第1の特徴の熱サイクル装置において、ηsをタービンの熱効率、Q1をタービン入口側の作動流体へ伝達される入熱量、Q2をタービン出口側の作動流体よりの出熱量、Q3をタービン出口側の作動流体からタービン入口側の作動流体へ移動(熱クロス)される熱量であるとすると、
熱サイクル装置の熱効率ηが、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)…(式28)
=ηs/(1−Q3/Q1)…(式32)であり、
Q3=(1〜0.5)Q2である。Q3が大きくなればなるほど式28又は式32において分母が小さくなり、熱サイクル装置の熱効率ηが大きい。
【0020】
本発明の第2の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された作動ガス(冷媒ガス)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液(冷媒液)とされ、この高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に蒸発器(R)で膨張され蒸発され作動ガスとされ、この作動ガスが、圧縮機(C)へ導入される(図7)。
【0021】
本発明の第3の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、熱交換器及びポンプを含む。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気が、タービン(S2)を駆動し仕事(W3)を出力した後、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P2)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が復水器(Y1)の受熱側を通り加熱され、ボイラ(B)へ戻される。好適には、復水器(Y1)の放熱側を通り冷却された蒸気がポンプ(P2)に吸入される前に更に外部冷却流体(U)により冷却され、外部へ熱出力(Q4)を供給することができる(図8)。この熱サイクル装置においても、
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)が成立つ。
【0022】
本発明の第4の特徴の熱サイクル装置は、ボイラ、タービン、復水器及びポンプを含む熱機関と、圧縮機、熱交換器及び膨張弁を含む冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)がタービン(S2)を駆動した後、復水器(Y1)で冷却され、ポンプ(P2)で昇圧されて高圧復水となってボイラ(B)へ循環され、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、熱交換器(7)の放熱側において冷却液化され冷媒液(Fe)とされ、該冷媒液(Fe)が膨張弁(V)で膨張され冷媒ガス(Fg)となり復水器(Y1)に導入され、タービンから排出された蒸気(Eg)を冷却すると共に自体は加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好適には、高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に熱交換器(7)の受熱側を通され加熱される。熱交換器(7)の受熱側は、外部へ熱出力(U2)を供給する(図9)。
【0023】
本発明の第5の特徴によれば、熱機関と冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置の冷凍機は、タービン(S)、ポンプ(P1)、及び水車(K)を含み、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液とされ、この高圧冷媒液が水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガスとされ、この冷媒ガスが、熱交換器(7)の吸熱側及び復水器(Y1)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される。また高圧復水は、ボイラ(B)へ循環される前に復水器(Y1)において加熱される(図10)。
【0024】
本発明の第6の特徴の熱サイクル装置は、圧縮機、タービン、熱交換器、ポンプ、及び反動水車を含む冷凍機と、熱機関を組み合わせた熱サイクル装置である。この熱サイクル装置において、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側において冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液(Fe)とされ、該高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガス(Fg)とされ、熱交換器(8)に導入され、熱機関(D)の廃熱により加熱され、圧縮機(C)へ戻される。好ましくは、圧縮機(C)は、熱機関(D)の出力(W3)又は燃料電池により駆動される(図12、図13)。
【発明の効果】
【0025】
本発明のタービンを有する冷凍機にランキンサイクルを組合せた熱サイクル装置(図6、図9)においては、ランキンサイクルを単独で運転する場合に不可欠である冷却用の水が、冷凍機と組合されたことにより不要である。冷却水なしでランキンサイクルを設置できることは、火力発電所の立地条件を極端に緩和し、火力発電所を燃料産出地やバイオマス燃料産出地に立地する可能性を増大する。特に石炭を燃料とする発電所の場合に石炭産出地付近で発電し電力消費地へ送電することにより経済的効果を上げることの可能性を増大する。
【0026】
本発明は、図3の熱サイクル装置に示すように冷凍機の凝縮熱から動力を回収し装置外への熱放出を最少にすることができる故に、近年大都市の環境を悪化させているヒートアイランド現象を緩和する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図3は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図であり、この熱サイクル装置は、圧縮機C、凝縮器を含む冷凍機にタービンSその他を挿入した構成を有する。圧縮機Cで圧縮された作動流体(冷媒ガス)は、タービンSを駆動し仕事W1を出力した後、熱交換器7(放熱側)において冷却液化される。熱交換器7の出口に接続されるポンプPは、作動液を吸引し、タービンSの背圧を下げ、タービン出力W1を増大させると共に作動液の圧力を上昇させる。
【0028】
昇圧された作動液は、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し作動ガス(冷媒ガス)となる。作動ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。
【0029】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7は、タービンSの排気の熱を放出させ、水車K出口の作動ガスを加熱する作用を行う。熱交換器7において、タービンSの排気は冷却され凝縮液化する。図3の熱交換器7は、タービンSの排気を冷却することによりタービンSの入口と出口の作動流体の温度差を大きくし、タービン出力を大きくする。タービンの排気からの廃熱Q1は、反動水車Kの下流の作動流体に移動(熱クロス)される。
【0030】
熱交換器7の冷却を大きくすることにより作動流体の圧力が下がり過ぎるため、ポンプPで昇圧する。昇圧された作動液は、反動水車Kにより位置エネルギーを回収される。ここでは、位置エネルギーは全体に対して小さい故に、ポンプPの消費仕事と反動水車Kの出力が相殺されると仮定する。
【0031】
図3の熱サイクル装置において、熱交換器7における移動熱量をQ3、熱交換器8における外部からの吸熱量をQ4とすると、熱サイクル装置の出力(タービンSの出力)は、
(L1+Q4)…(式33)となる。熱量Q3は、タービンS出口側の作動流体から圧縮機C入口側の作動流体へ移動され、熱クロスされる熱量である。
【0032】
図4は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置の水車Kを変形し単に膨張弁Vとすると共に温度圧力の例を示す説明図である。タービンSの排気が凝縮器(熱交換器)7において−10°C(T2)の冷媒蒸気により、0°C(T4)に冷却され、その後、圧力が4.39kgf/cm2absから15.04kgf/cm2absまでポンプPで昇圧され液化される。T4は、図4における凝縮器7出口の冷媒の温度である。ポンプPで昇圧された冷媒は、膨張弁Vで膨張され、蒸発され、熱交換器7においてQ1の熱を受け−10°C(T2)となる。タービンSの入口温度は、110°C(T3)、凝縮器冷媒温度が0°C(T4)であるから、カルノーサイクル上のタービン効率ηSは、
ηS=(T3−T4)/T3
=(110−0)/(273.15+110)≒0.28…(式34)
である。
【0033】
図5は、本発明の第1実施例の熱サイクル装置における熱量の例を示す説明図であり、圧縮機Cの入力L1を1単位投入した(L1=1)場合のタービン出力W1、熱交換器7出口における熱クロスQ3、熱交換器8における外部からの取入れ熱量Q4を表示する。ヒートポンプの成績係数εhは、冷凍機成績係数+1であるから、
εh=5.4+1=6.4…(式35)である。タービンSの出力W1は、
W1=εh×ηS=6.4×0.28≒1.7…(式36)である。熱交換器7出口における熱クロス量Q3は、
Q3=6.4−1.7=4.7…(式37)である。熱交換器8における外部よりの熱吸収量Q4は、
Q4=冷凍機の成績係数−Q3…(式38)であるから、
Q4=5.4−4.7=0.7…(式39)である。
【0034】
図6は、本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図である。図6の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)の熱サイクル装置の熱源としてランキンサイクルAの廃熱、即ち蒸気タービンS2の復水器Y1の廃熱を利用する。図6の熱サイクル装置において、ボイラBにより蒸気に与えられる熱量が10000KW、タービンS2の出力W3が3000KW(熱効率0.3)、タービンS2の廃熱(復水器廃熱)が7000KWである。復水器Y1で蒸気Egから冷媒Fgへ移動される熱量が7000KWである。
【0035】
図6の装置の各要素において出入りする熱量は、図5の熱サイクル装置において、復水器Y1における外部よりの吸熱量0.7を7000KWとする比例計算、即ち、図5において1単位が10000KWとすることにより得られる。圧縮機Cの入力Lは、L=10000KW、タービンSの仕事W1=17000KW、熱交換器7における熱クロスQ3=47000KWである。ポンプP1の消費動力L2は45KW、水車Kの発生動力W2は45KWである。
【0036】
図7は、本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図である。図7の熱サイクル装置は、本発明の第1実施例(図3)において、熱交換器(凝縮器)7の吸熱側を外部熱出力(外部冷却源)Z1とし、タービンSの排気と圧縮機Cの吸気の間の熱クロスを無くした構造を備える。図7の熱サイクル装置は、冷凍機の凝縮器7の前にタービンSを配置し出力(動力、仕事)W1を得るものである。図7の熱サイクル装置において、タービンSのカルノーサイクル上の熱効率ηSは、
ηS=(110−38)/273.15+110≒0.18…(式40)
逆カルノーサイクル上の冷凍機成績係数εは、
ε=[273.15+(−10)]/[38−(−10)]≒5.4…(式41)
タービンSの出力(動力、仕事)W1は、
W1=(ε+1)×ηS≒1.1…(式42)
ポンプPの昇圧動力L2は、圧縮機の動力L1との比が0.4%であるとして、0.004である。ポンプPの昇圧動力L2=0.004…(式43)より、タービンSで得られる仕事W1≒1.1…(式44)がはるかに大きいので、単に凝縮器7で放熱させるより、タービンSで動力を取出す利点は大きい。
【0037】
図8は、本発明の第4実施例の熱サイクル装置の配置図である。図8の熱サイクル装置は、ボイラB、タービンS2、復水器Y1を含む熱機関Aにおいて、復水器Y1において廃熱をボイラ入口の給水へ移動させる、即ち熱クロスを行う構成を有する。更に、図8の熱サイクル装置は、復水器Y1から外部へ熱出力Uを供給する構成を有する。
【0038】
図9は、本発明の第5実施例の熱サイクル装置の配置図である。図9の熱サイクル装置は、熱機関Aに熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、熱機関A内で増大された熱クロスを行うものである。図9の熱サイクル装置において、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、冷凍機Jの熱交換器7(受熱側)で例えば80°Cに加熱された後、ボイラBへ循環される。圧縮機Cで圧縮された冷媒蒸気Fgは、熱交換器7(放熱側)において冷却液化され冷媒液Feとなると共に、例えば80°Cの熱出力(給湯)U2を発生し、且つ熱機関Aの復水Eeを80°Cに加熱する。冷媒液Feは、膨張弁Vで膨張され例えば4°Cの冷媒蒸気Fgとなり、熱交換器Y1に導入され、蒸気Egを冷却する。それ故、熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で増大された熱クロスが行われる。
【0039】
図9の熱サイクル装置において、熱ポンプJを休止した状態(熱機関の排出蒸気Egと復水Eeの間で直接的に熱交換させる)における熱機関の運転の1例は、蒸気温度(タービン入口)400°C、復水温度(タービン出口)60°Cであり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η=(400−60)/(400+273.15)≒0.505…(式45)である。他方、蒸気温度を400°Cとし、図9のように熱ポンプJを作動させると、復水温度(タービン出口)は10°Cとなり、カルノーサイクル上の熱効率ηは、
η≒0.579…(式46)となった。これは、図9の熱サイクル装置において、熱ポンプを作動させることにより、温度差が340°Cから390°Cへ拡大し、タービン本体の熱効率が
0.579−0.505=0.074…(式47)だけ上昇したことを示すものである。
【0040】
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスについて考える。熱ポンプJを停止し熱クロスがないときの復水温度(タービン出口)及び給水温度(ボイラ入口)が共に10°Cであり、これが400°Cの蒸気になるには、10°Cの給水を100°Cにするための90単位の熱量、100°Cの復水を100°Cの蒸気にするたの539単位の熱量、並びに100°Cの蒸気を400°Cの蒸気に加熱するため蒸気の比熱を0.5として150単位の熱量が必要であるから、合計779単位の熱量が必要である。
【0041】
熱ポンプを作動させ熱クロスを行う場合、復水温度(タービン出口)は10°C、ボイラ入口の給水温度は70°Cとなるから、熱クロスを行わない場合の10°Cと比較すると、温度を60°C上昇させる熱量、即ち60単位の熱量が少なくてすみ、これは60/779=0.077…(式48)となる。それ故、熱クロスにより入熱量を減少させることにより、図9の熱サイクル装置は、前述の
η=ηS/(1−Q3/Q1)…(式32)、即ち、
η/ηS=1/(1−Q3/Q1)…(式49)に基づくと、熱効率が
1÷(1−0.077)=1.08…(式50)となり、約8%向上する。
【0042】
次に図9の熱サイクル装置の熱クロスによる熱落差拡大を考える。熱ポンプを停止し熱クロスがないときのタービンの熱効率ηSは、
ηS=(400−10)/(400+273.15)=0.579…(式51)であり、上記熱効率上昇割合を乗じると、熱サイクル装置の熱効率は、0.625となる。
【0043】
本発明の基本サイクル(図3)において、動力収支(ポンプの消費動力と水車の発生仕事)が相殺するか又は幾分プラスであっても、ランキンサイクルに熱クロスを行うことにより熱効率を向上させ得る。またこれに伴ってボイラ容量を増加することの必要はない。例えば、従来、蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)60°C、ボイラ入口給水温度60°Cが、上記のように蒸気温度400°C、復水温度(タービン出口)10°C、ボイラ入口給水温度70°Cと変わり、ボイラ入口給水温度が10°C変わるだけであり、従って、ボイラ容量の増加は不要である。
【0044】
図10は、本発明の第6実施例の熱サイクル装置の配置図である。図10の熱サイクル装置は、それ自体熱クロスを行う熱機関Aにタービンを含む熱ポンプ(冷凍機J)を組合せ、冷凍機Jの冷凍出力により熱機関Aのタービン排気を冷却するものである。図10の熱サイクル装置の熱機関Aにおいて、ボイラBで発生された蒸気EgがタービンS2を駆動した後、復水器Y1で冷却され、ポンプP2で昇圧されて復水Eeとなる。復水Eeは、復水器Y1でタービン排出蒸気により加熱された後、ボイラBへ循環される。図10の熱サイクル装置の冷凍機Jにおいて、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプP1で圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
【0045】
ポンプP1から吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスFgは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に復水器Y1で加熱された後、圧縮機Cへ導入される。図11は、本発明の第6実施例の変形の熱サイクル装置の配置図である。図11の熱サイクル装置において、タービンS2は、圧縮機Cを駆動するように機械的に結合され、圧縮機Cの駆動用モータが省かれている以外は、図10の熱サイクル装置と同様であり、重複説明を省略する。
【0046】
図12は、本発明の第7実施例の熱サイクル装置の配置図である。図12の熱サイクル装置は、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図12の熱サイクル装置において、タービンに結合された発電機G1、圧縮機のモータM,熱機関に駆動される発電機G3は、電気的に結合される。図12の熱サイクル装置の冷凍機において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプP1で圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。
【0047】
ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、反動水車Kを駆動し仕事W2を出力すると共に、膨張弁の作用を行う反動水車Kのノズルにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において、熱機関の廃熱(冷却熱及び排気ガスの熱)により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。熱機関の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。反動水車Kは単に膨張弁とすることができる。
【0048】
図13は、本発明の第8実施例の熱サイクル装置の配置図である。図13の熱サイクル装置は、図12と同じく、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、スターリングサイクル等の熱機関Dにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図13の熱サイクル装置において、熱機関の出力により圧縮機Cが駆動される。その他の構成は、図12の熱サイクル装置と同様である。図12及び図13において、熱機関Dは、オーットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクル、又はスターリングサイクルのいずれかである。
【0049】
図14は、本発明の第9実施例の熱サイクル装置の配置図である。図14の熱サイクル装置は、燃料電池Nにタービンを含む冷凍機(熱ポンプ)を組合せたものである。図14の熱サイクル装置において、圧縮機Cで昇圧された冷媒ガスFgは、タービンSを駆動した後、熱交換器7(放熱側)において冷却されポンプPで圧縮され昇圧され冷媒液Feとなる。ポンプPから吐出された高圧冷媒液Feは、膨張弁Vにより膨張され蒸発し冷媒ガスFgとなる。冷媒ガスは、熱交換器7(吸熱側)において加熱され、更に熱交換器8において燃料電池Nの廃熱により加熱された後、圧縮機Cへ吸い込まれる。燃料電池の廃熱は熱交換器8において冷媒ガスFgへ移動される。図14の熱サイクル装置において、タービンSに結合された発電機G、圧縮機のモータM,燃料電池の出力は、電気的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 従来の冷凍機の構成要素を示す配置図。
【図2】 従来のタービンを含む熱機関、即ちランキンサイクルを行う熱サイクル装置の基礎的な構成要素を示す配置図。
【図3】 本発明の第1実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図4】 本発明の第1実施例の変形の熱サイクル装置の温度圧力の例を示す説明図。
【図5】 本発明の第1実施例の熱サイクル装置の熱量の例を示す説明図。
【図6】 本発明の第2実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図7】 本発明の第3実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図8】 本発明の第4実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図9】 本発明の第5実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図10】 本発明の第6実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図11】 本発明の第6実施例の変形の熱サイクル装置の配置図。
【図12】 本発明の第7実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図13】 本発明の第8実施例の熱サイクル装置の配置図。
【図14】 本発明の第9実施例の熱サイクル装置の配置図である。
【符号の説明】
【0049】
A、D:熱機関、B:ボイラ、C:圧縮機、ε:成績係数、η:熱サイクル装置の熱効率、ηs:タービン単体の熱効率、Eg:蒸気、Ee:水(給水、復水)、Fg:冷媒ガス、Fe:冷媒液、G1、G2:発電機、J:冷凍機、K:水車、L1、L2:仕事(入力)、N:燃料電池、M1、M2:モータ、P:ポンプ、Q1、Q2、Q3、Q4:熱量、S、S2:タービン、V:膨張弁、W1、W2、W3:仕事(出力)、7、8:熱交換器、Y1:復水器、Y2:給水予熱器。
Claims (16)
- 圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し作動ガスとされ、該作動ガスが、第1の熱交換器(7)及び第2の熱交換器(8)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される熱サイクル装置。
- 前記反動水車(K)の仕事(W2)とポンプ(P)の消費動力(L2)がほぼ相殺する大きさであり、圧縮機の駆動モータ(M1)、タービン発電機(G1)、ポンプ駆動モータ(M2)、水車駆動発電機(G2)が電気的に結合される請求項1の熱サイクル装置。
- 圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が膨張弁(V)を通り膨張され蒸発し作動ガスとされ、該作動ガスが、第1の熱交換器(7)及び第2の熱交換器(8)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される熱サイクル装置。
- 前記第2の熱交換器(8)は、ランキンサイクルのタービン排出蒸気の廃熱又は燃料電池の廃熱を前記作動ガスへ移動させるものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱サイクル装置。
- 圧縮機、タービン、熱交換器及びポンプを含む熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された作動ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、第1の熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に蒸発器(R)で膨張され蒸発され作動ガスとされ、該作動ガスが、圧縮機(C)へ導入される熱サイクル装置。
- ボイラ、タービン、熱交換器及びポンプを含む熱サイクル装置であって、ボイラ(B)で発生された蒸気がタービン(S2)を駆動し仕事(W3)を出力し、タービン排出蒸気が復水器(Y1)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P2)により昇圧されて高圧作動液とされ、該高圧作動液が復水器(Y1)の受熱側を通り加熱され、ボイラ(B)へ戻される熱サイクル装置。
- 請求項1乃至3、5及び6項のいずれか1項の熱サイクル装置において、ηsをタービンの熱効率、Q1をタービン入口側の作動流体の保有熱量、Q2をタービン出口側の作動流体よりの出熱量、Q3をタービン出口側の作動流体からタービン入口側の作動流体へ移動される熱量であるとするとき、
熱サイクル装置の熱効率ηが、
η=(Q1−Q2)/(Q1−Q3)=ηs/[1−Q3/Q1]であり、
Q3=(1〜0.1)Q2である熱サイクル装置。 - 前記復水器(Y1)は外部へ熱出力(U)を出力することにより更にタービン排出蒸気を冷却する請求項6の熱サイクル装置。
- ボイラ、タービン、復水器及びポンプを含む熱機関と、圧縮機、熱交換器及び膨張弁を含む冷凍機を組み合わせた熱サイクル装置であって、ボイラ(B)で発生された蒸気(Eg)がタービン(S2)を駆動した後、復水器(Y1)で冷却され、ポンプ(P2)で昇圧されて高圧復水(Ee)となってボイラ(B)へ循環され、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、熱交換器(7)の放熱側において冷却液化され冷媒液(Fe)とされ、該冷媒液(Fe)が膨張弁(V)で膨張され冷媒ガス(Fg)となり復水器(Y1)に導入され、タービン排出蒸気(Eg)を冷却すると共に自体は加熱され、圧縮機(C)へ戻される熱サイクル装置。
- 前記高圧復水(Ee)はボイラ(B)へ循環される前に熱交換器(7)の受熱側を通り加熱され、熱交換器(7)の受熱側から外部へ熱出力(U2)が供給される請求項9の熱サイクル装置。
- 請求項9の熱サイクル装置において、前記冷凍機は、更にタービン(S)、ポンプ(P1)、水車(K)を含み、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガスが、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側を通り冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液とされ、該高圧冷媒液が反動水車(K)を駆動し仕事(W2)を出力すると共に膨張され蒸発し冷媒ガスとされ、該冷媒ガスが、熱交換器(7)の吸熱側及び復水器(Y1)を通り加熱された後、圧縮機Cへ導入される熱サイクル装置。
- 前記高圧復水(Ee)はボイラ(B)へ循環される前に復水器(Y1)において加熱される請求項10又は11の熱サイクル装置。
- 前記タービン(S2)の出力により前記圧縮機(C)が駆動される請求項11又は12の熱サイクル装置。
- 圧縮機、タービン、熱交換器、ポンプ、及び膨張弁を含む冷凍機と、熱機関を組み合わせた熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側において冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液(Fe)とされ、該高圧冷媒液が膨張され蒸発され冷媒ガス(Fe)とされ、熱交換器(8)において熱機関(D)の廃熱により加熱され、圧縮機(C)へ戻される熱サイクル装置。
- 前記圧縮機(C)は前記熱機関(D)の出力(W3)により駆動される請求項14の熱サイクル装置。
- 圧縮機、タービン、熱交換器、ポンプ、及び膨張弁を含む冷凍機と、燃料電池(N)を組み合わせた熱サイクル装置であって、圧縮機(C)で圧縮された冷媒ガス(Fg)が、タービン(S)を駆動し仕事(W1)を出力した後、熱交換器(7)の放熱側において冷却され、その後にポンプ(P1)により昇圧されて高圧冷媒液(Fe)とされ、該高圧冷媒液が膨張され蒸発され冷媒ガス(Fe)とされ、熱交換器(8)において燃料電池(N)の廃熱により加熱され、圧縮機(C)へ戻される熱サイクル装置。
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