JPWO2005117051A1 - マイクロマシンスイッチ - Google Patents
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Abstract
本発明は、接点部の疲労破壊およびスティクション現象を防止し、広範な信号周波数に適応した高い信頼性且つ長寿命のマイクロマシンスイッチを提供する。固定接続端子(50)及び可動接続端子(40)は、基板(9)の平面と実質的に平行な方向に離間し、可動接続端子は、この方向の支持部材(3)の変位によって固定接続端子と接触するように配置される。基板には、複数の固定接続端子が固定され、複数の可動接続端子が、支持部材の変位に従って所定の固定接続端子と同時に接触する。
Description
本発明は、マイクロマシンスイッチに関するものであり、より詳細には、DCレベルから数十ギガヘルツに至る広範な信号周波数に適応するマイクロマシンスイッチに関するものである。
高速多頻度に作動可能なオン/オフ・スイッチとして、半導体スイッチが知られている。半導体スイッチは、比較的高いパワーレベルの動作信号を要することから、消費電力が増加する傾向があり、また、ギガヘルツ以上の高い周波数域の伝搬信号(被制御側の信号)を制御する場合、挿入損失の増大や、クロストークの発生等の現象が生じ易く、このようなRF(Radiofrequency)特性の悪化に伴ってノイズ発生等の障害も発生し易いという課題が指摘されている。
これに対し、低電力消費、低動作電圧、省スペース性等の性能面で優れ、RF特性も比較的良好なオン/オフ・スイッチとして、マイクロマシンスイッチが近年殊に注目されている。マイクロマシンスイッチは、表面マイクロマシニング、バルクマイクロマシニング又は半導体加工技術を利用して製造される微小なスイッチとして知られている。マイクロマシンスイッチによれば、効率的なスイッチングを確実に提供できると考えられており、マイクロマシンスイッチは、携帯電話のRFフロントエンド・チップのスイッチング等に利用されている。
マイクロマシンスイッチとして、信号線又は電極を備えた基板と、基板上方に配置した上下動可能な接触電極とを有する機械的接触構造のものが知られている(特開平9−17300号公報、米国特許第5,578,976号公報、特開平2001−143595号公報、特許第3119255号公報)。基板上の信号線又は電極は、基板に固定した固定接続端子を構成し、上下動可能な基板上方の接触電極は、固定接続端子と接触可能な可動接続端子を構成する。
この種のマイクロマシンスイッチでは、片持ち梁構造又はメンブレン構造の可撓性部材が基板上方に配置され、可撓性部材の基部又は脚部が、基板に固定される。可撓性部材は、基板上の固定接続端子から所定距離だけ離間した位置に可動接続端子を支持し、可動接続端子及び固定接続端子は、上下方向(即ち、基板の平面と直交する方向)に所定距離だけ離間した状態に常時保持される。スイッチ駆動用の上部電極及び下部電極が可撓性部材及び基板に夫々配設され、駆動電圧がスイッチング動作時に上下の電極の間に印加される。上下の電極は、静電引力によって互いに引きつけられ、この結果、可撓性部材は変形し、可動接続端子は、固定接続端子と接触する。例えば、接触電極(可動接続端子)は、基板上の信号線(固定接続端子)を短絡するように信号線に接触する。
このようなマイクロマシンスイッチは、従来の半導体スイッチと比較すると、絶縁性能、挿入損失、線形性、クロストーク、反射、ダイナミックレンジ及び使用波長帯等のRF特性において優れていることから、RFスイッチとして望ましい性能を達成すると考えられてきた。
しかしながら、マイクロマシンスイッチに関しては、接点部の疲労破壊が生じ易く、疲労寿命又はスイッチ寿命が半導体スイッチに比べて短いことが、近年、報告されており、このような事情より、マイクロマシンスイッチの使用は、特定の環境に制約されてしまう傾向がある。このため、マイクロマシンスイッチの信頼性を向上する対策が要望される。
また、従来のマイクロマシンスイッチは、静電引力によって可撓性部材を上下変位させ、可動接続端子を上下動させる機械的スイッチング方式を採用したものであることから、接点部のスティクション現象(接点部材同士が密着状態にくっついてしまうマイクロマシンスイッチ特有の現象)が発生し易く、スイッチとして機能不良又は機能不全の状態が生じ易い。このようなスティクション現象も又、マイクロマシンスイッチの信頼性を損ない、マイクロマシンスイッチの使用を特定の環境に制約する結果を招くので、これを改善すべき必要がある。
更に、マイクロマシンスイッチの設計においては、開離した接点の絶縁性や、スティクション現象又は接点溶着を防止する反発力を確保するために接点間距離を大きな値に設定することが望ましく、他方、接点接触時の衝撃力を軽減するためには、接点間距離を小さい値に設定することが望ましい。しかし、このような相反する条件を両立させることはできないと考えられてきた。
本発明は、接点部の疲労破壊およびスティクション現象を防止し、これにより、DCレベルから数十ギガヘルツに至る広範な信号周波数に適応した高い信頼性且つ長寿命のマイクロマシンスイッチを提供することを目的とする。
本発明は又、開離した接点の絶縁性を確保するとともに、スティクション現象又は接点溶着を防止し、しかも、接点接触時の衝撃力を軽減することができるマイクロマシンスイッチを提供することを目的とする。
これに対し、低電力消費、低動作電圧、省スペース性等の性能面で優れ、RF特性も比較的良好なオン/オフ・スイッチとして、マイクロマシンスイッチが近年殊に注目されている。マイクロマシンスイッチは、表面マイクロマシニング、バルクマイクロマシニング又は半導体加工技術を利用して製造される微小なスイッチとして知られている。マイクロマシンスイッチによれば、効率的なスイッチングを確実に提供できると考えられており、マイクロマシンスイッチは、携帯電話のRFフロントエンド・チップのスイッチング等に利用されている。
マイクロマシンスイッチとして、信号線又は電極を備えた基板と、基板上方に配置した上下動可能な接触電極とを有する機械的接触構造のものが知られている(特開平9−17300号公報、米国特許第5,578,976号公報、特開平2001−143595号公報、特許第3119255号公報)。基板上の信号線又は電極は、基板に固定した固定接続端子を構成し、上下動可能な基板上方の接触電極は、固定接続端子と接触可能な可動接続端子を構成する。
この種のマイクロマシンスイッチでは、片持ち梁構造又はメンブレン構造の可撓性部材が基板上方に配置され、可撓性部材の基部又は脚部が、基板に固定される。可撓性部材は、基板上の固定接続端子から所定距離だけ離間した位置に可動接続端子を支持し、可動接続端子及び固定接続端子は、上下方向(即ち、基板の平面と直交する方向)に所定距離だけ離間した状態に常時保持される。スイッチ駆動用の上部電極及び下部電極が可撓性部材及び基板に夫々配設され、駆動電圧がスイッチング動作時に上下の電極の間に印加される。上下の電極は、静電引力によって互いに引きつけられ、この結果、可撓性部材は変形し、可動接続端子は、固定接続端子と接触する。例えば、接触電極(可動接続端子)は、基板上の信号線(固定接続端子)を短絡するように信号線に接触する。
このようなマイクロマシンスイッチは、従来の半導体スイッチと比較すると、絶縁性能、挿入損失、線形性、クロストーク、反射、ダイナミックレンジ及び使用波長帯等のRF特性において優れていることから、RFスイッチとして望ましい性能を達成すると考えられてきた。
しかしながら、マイクロマシンスイッチに関しては、接点部の疲労破壊が生じ易く、疲労寿命又はスイッチ寿命が半導体スイッチに比べて短いことが、近年、報告されており、このような事情より、マイクロマシンスイッチの使用は、特定の環境に制約されてしまう傾向がある。このため、マイクロマシンスイッチの信頼性を向上する対策が要望される。
また、従来のマイクロマシンスイッチは、静電引力によって可撓性部材を上下変位させ、可動接続端子を上下動させる機械的スイッチング方式を採用したものであることから、接点部のスティクション現象(接点部材同士が密着状態にくっついてしまうマイクロマシンスイッチ特有の現象)が発生し易く、スイッチとして機能不良又は機能不全の状態が生じ易い。このようなスティクション現象も又、マイクロマシンスイッチの信頼性を損ない、マイクロマシンスイッチの使用を特定の環境に制約する結果を招くので、これを改善すべき必要がある。
更に、マイクロマシンスイッチの設計においては、開離した接点の絶縁性や、スティクション現象又は接点溶着を防止する反発力を確保するために接点間距離を大きな値に設定することが望ましく、他方、接点接触時の衝撃力を軽減するためには、接点間距離を小さい値に設定することが望ましい。しかし、このような相反する条件を両立させることはできないと考えられてきた。
本発明は、接点部の疲労破壊およびスティクション現象を防止し、これにより、DCレベルから数十ギガヘルツに至る広範な信号周波数に適応した高い信頼性且つ長寿命のマイクロマシンスイッチを提供することを目的とする。
本発明は又、開離した接点の絶縁性を確保するとともに、スティクション現象又は接点溶着を防止し、しかも、接点接触時の衝撃力を軽減することができるマイクロマシンスイッチを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成すべく、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記固定接続端子及び可動接続端子は、前記基板の平面と実質的に平行な方向に離間し、前記可動接続端子は、この方向の前記支持部材の変位によって前記固定端子と接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
本発明の上記構成によれば、固定接続端子及び可動接続端子は、基板平面と直交する方向(上下方向)に離間するのではなく、基板平面と実質的に平行な方向(横方向又は水平方向)に離間しており、可動接続端子は、この方向の支持部材の変位によって固定接続端子と接触する。このようなスイッチ構造は、マイクロマシンスイッチの三次元構造を大きく変更し又は拡大することなく、平面的に分散した複数の固定接続端子及び可動接続端子の配置を可能にする。従って、本発明のマイクロマシンスイッチでは、固定接続端子及び可動接続端子の形状及び数を適切に設定し、接点数及び接触面積を最適化することができるので、唯一の接点部を備えた従来のマイクロマシンスイッチに比べ、接点部の負荷を軽減し、接点部の疲労破壊を防止するとともに、スティクション現象の発生を防止することができる。
他の観点より、本発明は、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
複数の前記固定接続端子が前記基板に固定され、各固定接続端子と接触可能な複数の前記可動接続端子が、前記支持部材の変位に従って所定の固定接続端子と同時に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
このような構成によれば、可動接続端子及び固定接続端子の接触面積は、単一の可動接続端子及び固定接続端子を備えたものに比べ、大幅に増大する。従って、唯一の接点部を備えた従来のマイクロマシンスイッチに比べ、各々の接点部の負荷が軽減するので、接点部の疲労破壊を防止するとともに、スティクション現象の発生を防止することができる。また、可動接続端子及び固定接続端子の数の増加に伴い、マイクロマシンスイッチの接点部の数が増加するので、いずれかの接点に異常又は不良等が発生した場合であっても、所望のスイッチング動作及び性能を維持するようにマイクロマシンスイッチを設計することができ、これにより、マイクロマシンスイッチの信頼性又はフェイルセーフ性を向上することができる。
更に他の観点より、本発明は、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子は、前記固定接続端子の間に位置決めされ、前記支持部材の双方向の変位によって両側の固定接続端子と選択的に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
このような構成によれば、可動接続端子を固定接続端子と接触する側に支持部材を強制変位させるだけではなく、可動接続端子を固定接続端子から離間させる方向にも強制変位させることができるので、可動接続端子及び固定接続端子のスティクション現象を積極的に解消することが可能となる。しかも、可動接続端子の2つの面は、独立した接点として使用されるので、接点数の増加により、各接点の使用頻度を低下することができる。
好ましくは、上記可動接続端子は、点対称又は線対称の形状を有し、或いは、上記可動接続端子及び固定接続端子は、全体的に点対称又は線対称の形状を有する。更に好ましくは、上記可動接続端子、固定接続端子及び支持部材を含めた全体形状が点対称又は線対称に設計される。このような構成によれば、荷重バランスの均一化によって可動接続端子の運動(駆動、復元又は保持)の力学的均衡を図ることができる。これは、付勢手段(スプリング等)の最適化や、強度又は成形性の向上を可能にし、マイクロマシンスイッチの寿命延長や、耐久性の向上等に寄与するであろう。
本発明の好適な実施形態によれば、マイクロマシンスイッチは、支持部材を初期位置に保持する付勢手段を有し、支持部材は、静電気力の作用により、付勢手段の保持力に抗して変位し、静電気力の解放時に付勢手段の復元力によって初期位置に復帰する。
本発明の更に好適な実施形態によれば、マイクロマシンスイッチは、電圧を印加することにより静電引力を発生させる固定電極及び可動電極を有し、可動電極は、支持部材に一体的に連結され、静電引力の発生時に固定電極に接近し、支持部材を水平方向又は横方向に変位させる。好ましくは、複数の固定電極が、可動電極を双方向に変位させるように基板に配置されるとともに、固定電極に対する可動電極の接近を制限するストッパが基板に配置される。更に好ましくは、上記支持部材は、双方向に回転可能又は線型運動可能に基板上に配置され、可動接続端子は、支持部材の外周部から径方向外方に突出する突出部材に取付けられ、可動接続端子の各側の面が固定接続端子に選択的に接触するように配置される。
本発明は更に、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子を段階的又は同時に二方向に変位させて前記固定接続端子に接触させる駆動手段を備えたことを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
本発明の上記構成によれば、駆動手段は、可動接続端子を固定接続端子に接近させる第1方向に可動接続端子を変位させるとともに、可動接続端子を固定接続端子に接触させる第2方向に可動接続端子を変位させる。従って、マイクロマシンスイッチは、接点開離状態において接点の絶縁性を確保するとともに、接点接触時の衝撃力を軽減することができる。
好ましくは、駆動手段は、接点開離時に初期的に可動接続端子を第1方向に変位させ、次いで、可動接続端子と固定接続端子との接触部に剪断力を与える。これにより、スティクション現象又は接点溶着を効果的に防止することができる。
更に好ましくは、上記第1方向は、水平方向に設定され、上記第2方向は、鉛直方向、或いは、水平軸線廻りの回転方向に設定され、上記駆動手段は、電圧を印加することにより静電引力を発生させる可動電極と二層構造の固定電極とを有し、固定電極は、可動電極から水平方向に離間した第1固定電極と、第1固定電極の下側に配置された第2固定電極とから構成される。このような構成によれば、マイクロマシンスイッチの三次元構造を大きく拡大することなく、駆動手段をマイクロマシンスイッチに組込むことができる。
前記固定接続端子及び可動接続端子は、前記基板の平面と実質的に平行な方向に離間し、前記可動接続端子は、この方向の前記支持部材の変位によって前記固定端子と接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
本発明の上記構成によれば、固定接続端子及び可動接続端子は、基板平面と直交する方向(上下方向)に離間するのではなく、基板平面と実質的に平行な方向(横方向又は水平方向)に離間しており、可動接続端子は、この方向の支持部材の変位によって固定接続端子と接触する。このようなスイッチ構造は、マイクロマシンスイッチの三次元構造を大きく変更し又は拡大することなく、平面的に分散した複数の固定接続端子及び可動接続端子の配置を可能にする。従って、本発明のマイクロマシンスイッチでは、固定接続端子及び可動接続端子の形状及び数を適切に設定し、接点数及び接触面積を最適化することができるので、唯一の接点部を備えた従来のマイクロマシンスイッチに比べ、接点部の負荷を軽減し、接点部の疲労破壊を防止するとともに、スティクション現象の発生を防止することができる。
他の観点より、本発明は、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
複数の前記固定接続端子が前記基板に固定され、各固定接続端子と接触可能な複数の前記可動接続端子が、前記支持部材の変位に従って所定の固定接続端子と同時に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
このような構成によれば、可動接続端子及び固定接続端子の接触面積は、単一の可動接続端子及び固定接続端子を備えたものに比べ、大幅に増大する。従って、唯一の接点部を備えた従来のマイクロマシンスイッチに比べ、各々の接点部の負荷が軽減するので、接点部の疲労破壊を防止するとともに、スティクション現象の発生を防止することができる。また、可動接続端子及び固定接続端子の数の増加に伴い、マイクロマシンスイッチの接点部の数が増加するので、いずれかの接点に異常又は不良等が発生した場合であっても、所望のスイッチング動作及び性能を維持するようにマイクロマシンスイッチを設計することができ、これにより、マイクロマシンスイッチの信頼性又はフェイルセーフ性を向上することができる。
更に他の観点より、本発明は、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子は、前記固定接続端子の間に位置決めされ、前記支持部材の双方向の変位によって両側の固定接続端子と選択的に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
このような構成によれば、可動接続端子を固定接続端子と接触する側に支持部材を強制変位させるだけではなく、可動接続端子を固定接続端子から離間させる方向にも強制変位させることができるので、可動接続端子及び固定接続端子のスティクション現象を積極的に解消することが可能となる。しかも、可動接続端子の2つの面は、独立した接点として使用されるので、接点数の増加により、各接点の使用頻度を低下することができる。
好ましくは、上記可動接続端子は、点対称又は線対称の形状を有し、或いは、上記可動接続端子及び固定接続端子は、全体的に点対称又は線対称の形状を有する。更に好ましくは、上記可動接続端子、固定接続端子及び支持部材を含めた全体形状が点対称又は線対称に設計される。このような構成によれば、荷重バランスの均一化によって可動接続端子の運動(駆動、復元又は保持)の力学的均衡を図ることができる。これは、付勢手段(スプリング等)の最適化や、強度又は成形性の向上を可能にし、マイクロマシンスイッチの寿命延長や、耐久性の向上等に寄与するであろう。
本発明の好適な実施形態によれば、マイクロマシンスイッチは、支持部材を初期位置に保持する付勢手段を有し、支持部材は、静電気力の作用により、付勢手段の保持力に抗して変位し、静電気力の解放時に付勢手段の復元力によって初期位置に復帰する。
本発明の更に好適な実施形態によれば、マイクロマシンスイッチは、電圧を印加することにより静電引力を発生させる固定電極及び可動電極を有し、可動電極は、支持部材に一体的に連結され、静電引力の発生時に固定電極に接近し、支持部材を水平方向又は横方向に変位させる。好ましくは、複数の固定電極が、可動電極を双方向に変位させるように基板に配置されるとともに、固定電極に対する可動電極の接近を制限するストッパが基板に配置される。更に好ましくは、上記支持部材は、双方向に回転可能又は線型運動可能に基板上に配置され、可動接続端子は、支持部材の外周部から径方向外方に突出する突出部材に取付けられ、可動接続端子の各側の面が固定接続端子に選択的に接触するように配置される。
本発明は更に、基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子を段階的又は同時に二方向に変位させて前記固定接続端子に接触させる駆動手段を備えたことを特徴とするマイクロマシンスイッチを提供する。
本発明の上記構成によれば、駆動手段は、可動接続端子を固定接続端子に接近させる第1方向に可動接続端子を変位させるとともに、可動接続端子を固定接続端子に接触させる第2方向に可動接続端子を変位させる。従って、マイクロマシンスイッチは、接点開離状態において接点の絶縁性を確保するとともに、接点接触時の衝撃力を軽減することができる。
好ましくは、駆動手段は、接点開離時に初期的に可動接続端子を第1方向に変位させ、次いで、可動接続端子と固定接続端子との接触部に剪断力を与える。これにより、スティクション現象又は接点溶着を効果的に防止することができる。
更に好ましくは、上記第1方向は、水平方向に設定され、上記第2方向は、鉛直方向、或いは、水平軸線廻りの回転方向に設定され、上記駆動手段は、電圧を印加することにより静電引力を発生させる可動電極と二層構造の固定電極とを有し、固定電極は、可動電極から水平方向に離間した第1固定電極と、第1固定電極の下側に配置された第2固定電極とから構成される。このような構成によれば、マイクロマシンスイッチの三次元構造を大きく拡大することなく、駆動手段をマイクロマシンスイッチに組込むことができる。
図1は、本発明の好適な実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図である。
図2は、図1に示すマイクロマシンスイッチの側面図である。
図3は、図1及び図2に示すマイクロマシンスイッチの構造を示す縦断面図である。
図4は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第1切換位置が示されている。
図5は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第2切換位置が示されている。
図6は、マイクロマシンスイッチの変形例を示す平面図である。
図7は、本発明の他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図である。
図8は、図7に示すマイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第1切換位置が示されている。
図9は、図7に示すマイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第2切換位置が示されている。
図10は、本発明の更に他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図である。
図11は、図10に示すマイクロマシンスイッチの斜視図である。
図12は、図10に示すI−I線における断面図である。
図13は、図12に示すII−II線における断面図である。
図14は、第1駆動部及び第2駆動部の相対的な位置関係及び作動原理を概略的に示す斜視図である。
図15は、図12は、図10に示すIII−III線における断面図である。
図16は、可動接続端子の移動の態様を示す斜視図である。
図17は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す斜視図である。
図2は、図1に示すマイクロマシンスイッチの側面図である。
図3は、図1及び図2に示すマイクロマシンスイッチの構造を示す縦断面図である。
図4は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第1切換位置が示されている。
図5は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第2切換位置が示されている。
図6は、マイクロマシンスイッチの変形例を示す平面図である。
図7は、本発明の他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図である。
図8は、図7に示すマイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第1切換位置が示されている。
図9は、図7に示すマイクロマシンスイッチの作動態様を示す横断面図であり、マイクロマシンスイッチの第2切換位置が示されている。
図10は、本発明の更に他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図である。
図11は、図10に示すマイクロマシンスイッチの斜視図である。
図12は、図10に示すI−I線における断面図である。
図13は、図12に示すII−II線における断面図である。
図14は、第1駆動部及び第2駆動部の相対的な位置関係及び作動原理を概略的に示す斜視図である。
図15は、図12は、図10に示すIII−III線における断面図である。
図16は、可動接続端子の移動の態様を示す斜視図である。
図17は、マイクロマシンスイッチの作動態様を示す斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び側面図であり、図3は、図1及び図2に示すマイクロマシンスイッチの構造を示す縦断面図である。
マイクロマシンスイッチ1は、静止ピン2、可動支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を有する。可動接続部4は、静止ピン2を中心とした支持部材3の双方向の回転に従って双方向に変位する。固定接続部5は、基板9に固定された複数の固定接続端子50を備える。可動接続部4は、複数の可動接続端子40を備え、各可動接続端子40は、静止ピン2を中心とした支持部材3の角度変化に相応して固定接続端子50と接触し又は離間する。
静止ピン2は、基板9に固定された軸部21と、軸部21の頂部に配置された拡大ヘッド部22とから構成される。軸部21は、支持部材3の中心孔31を垂直に貫通し、支持部材3を回転可能に支持する。
支持部材3は、軸部21の軸芯を回転中心とした円形の平面輪郭を有する。複数のアーム部41が支持部材3の外周面32に固定され、外周面32から径方向外方に延びる。各可動接続端子40は、各アーム部41の外端部に固定される。可動接続端子40は、各アーム部41の先端を拡大した形状及び寸法を有する。可動接続端子40は夫々、対応する固定接続端子50の凹所51内に延入する。可動接続端子40の左右の側面42が、凹所51内に位置する各固定接続端子50の側面52と接触可能に位置決めされる。図1には、側面42、52が離間した初期状態が示されている。
一対の付勢手段6が、支持部材3の両側に配置される。各付勢手段6は、支持部材3を初期位置(図1に示す位置)に弾力的に保持する弾性部材60と、弾性部材60を基板9に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を支持部材3の外周面32に係止したリーフスプリングからなる。弾性部材60は、支持部材3の中心に対して点対称の位置及び形状に配設され、支持部材3は、弾力的に変形可能な弾性部材60によって、図1に示す初期位置に保持される。
一対の駆動部7が、支持部材3の前後に点対称に配置される。駆動部7は夫々、櫛形可動電極70、櫛形固定電極71及びストッパ72から構成される。可動電極70の線型基部74が、支持部材3の外周面32に固定される。線型基部74は、支持部材3の径方向外方に直線的に延びる。多数の延長部75が、基部74に沿って等間隔に配置され、基部74の両側に対称に突出する。各延長部75は、支持部材3と同心状の円弧輪郭を有する。
基部74の拡大外端部76が、左右のストッパ72の間に位置決めされる。各ストッパ72は、基板9に固定され、支持部材3の回転時に外端部76と衝合し、支持部材3の回転を規制する。
固定電極71は、基板9に固定した線型基部77を有し、線型基部77は、可動電極70の両側に対称に配置される。多数の延長部78が、基部77の片側に等間隔に配置され、基部77から可動電極70に向かって突出する。各延長部78は、支持部材3と同心状の円弧輪郭を有する。延長部75、78は、支持部材3の径方向に交互に配置され、かくして、非接触状態の櫛形電極対が、基板9の平面と平行に支持部材3の前後に形成される。
マイクロマシンスイッチ1のXY方向の中心線C1、C2は、支持部材3の回転中心において交差する。固定接続部5は、中心線C1、C2によって区分されるマイクロマシンスイッチ1の4つの領域に夫々配置される。固定接続部5は夫々、基板9に固定した固定接続パッド55を備える。固定接続端子50は、固定接続パッド55から径方向内方に延出し、可動接続端子40が延入する凹所51を形成する。凹所51内に位置する固定接続端子50の側面52は、支持部材3の回転時に可動接続端子40の側面42と接触する。
基板9は、例えば、厚さ0.5μmの窒化珪素(Si3N4)の電気絶縁膜(図示せず)で表面を被覆した厚さ500μmのシリコン基板からなる。電気絶縁膜を酸化シリコン(SiO2)、アルミナ(Al2O3)等の他のセラミックス材料で形成しても良い。固定接続部5及び櫛形固定電極71は、燐(P)をドーピングした多結晶シリコンからなり、CVD法等による製膜工程や、フォトリソグラフィ(露光現像)工程等の如く、半導体製造工程と同様の工程を経て基板9上に成形される。固定接続部5及び櫛形固定電極71の素材として、シリコン以外の導電性材料、例えば、銅、アルミニウム、金等を使用しても良く、また、導電性材料を固定接続部5及び櫛形固定電極71の表面にコーティングしても良い。マイクロマシンスイッチ1の平面寸法(外形寸法)は、例えば、1mmに設定され、マイクロマシンスイッチ1の高さ(厚さ)は、例えば、10〜25μmに設定される。支持部材3、可動接続部4及び櫛形可動電極70は、固定接続部5及び櫛形固定電極71と実質的に同じ素材及び製造方法で成形される。
支持部材3は、静止ピン2に回転可能に支持され、可動接続部4及び櫛形可動電極70は、支持部材3に支持され、いずれも基板9と非接触の状態で基板9上に懸架される。静止ピン2及び付勢手段6は、単結晶又は多結晶シリコンより成形される。
図3に示すように、基板9には、所定の電気配線パターンを有する回路部90が形成される。回路部90は、電気接続ピン91及び導電手段92を介して固定接続部5に通電可能に接続される。回路部90は又、同様な電気接続ピン及び導電手段を介して可動接続部4に通電可能に接続される。なお、回路部90と接続部4、5とを接続する手段として、他の通電手段又は給電手段(スルーホール接続等)を採用しても良い。
図4及び図5は、マイクロマシンスイッチ1の作動態様を示す横断面図である。図4には、マイクロマシンスイッチ1の第1切換位置が示され、図5には、マイクロマシンスイッチ1の第2切換位置が示されている。
前述の如く、支持部材3は、常時は、弾性部材60によって初期位置(図1)に保持され、櫛形可動電極70の各部は、櫛形固定電極71を構成する左右一対の固定電極71a、71bから所定距離、例えば、2μmの間隔を隔てた位置に配置される。外部電源より回路部90を介してマイクロマシンスイッチ1に給電し、可動電極70と固定電極71aとの間に電圧を印加すると、可動電極70及び固定電極71aの間に静電引力が発生し、可動電極70は、固定電極71aに引きつけられる。支持部材3は、図4に示す如く、可動電極70に作用する静電引力によって静止ピン2を中心に回転し、可動電極70は、固定電極71aと接近するように角度変化する。可動電極70の拡大外端部76は、可動電極70及び固定電極71aが接触する前にストッパ72aと衝合して静止するので、可動電極70及び固定電極71aの短絡は、確実に阻止される。支持部材3に一体的に形成された可動接続端子40は、支持部材3と一緒に回転し、可動接続端子40の側面42aは、支持部材3の回転停止時に固定接続端子50の側面52aと接触する。側面42a及び側面52aは、初期位置(図1)において略平行な状態で対向するように可動接続端子40及び固定接続端子50に形成されており、端子40、50の回転停止時に面接触する。
外部電源より回路部90を介してマイクロマシンスイッチ1に給電して、可動電極70と固定電極71bとの間に電圧を印加すると、可動電極70を固定電極71bに引きつける静電引力が、可動電極70及び固定電極71bの間に発生し、支持部材3は、静止ピン2を中心に逆方向に回転する。可動電極70は、図5に示す如く、可動電極70及び固定電極71bが接触する前に反対側のストッパ72bと衝合して静止し、可動接続端子40の反対側の側面42bが、反対側の側面52bと接触する。側面42b及び側面52bも又、初期位置(図1)において略平行な状態で対向するように可動接続端子40及び固定接続端子50に形成されており、端子40、50の回転停止時に面接触する。可動電極70及び固定電極71bの短絡は、前述の如く、ストッパ72bによって確実に阻止される。
このように構成されたマイクロマシンスイッチ1によれば、マイクロマシンスイッチ1の三次元構造を大きく拡大し又は大型化することなく、複数の端子40、50を平面的に分散配置することができる。しかも、回路部90の制御下にマイクロマシンスイッチ1を第1切換位置又は第2切換位置に交互又は選択的に切換えることにより、可動接続端子40の側面42a、42bを、固定接続端子50の側面52a、52bと交互又は選択的に接触せしめ、マイクロマシンスイッチ1の接点を接続することができる。従って、可動接続端子40の同一側面42が固定接続端子50の同一側面52と接触する回数又は頻度を大きく低減することができる。例えば、単純な交互切換制御を実行した場合、接触回数は、1/2に半減するので、接点構成部材3、4、5の疲労破壊を防止し、マイクロマシンスイッチ1の寿命を延長することができる。
また、可動接続端子40の両側の側面42a、42bを固定接続端子50の両側の側面52a、52bと選択的に接触させ、しかも、複数の可動接続端子40を設けたマイクロマシンスイッチ1では、接点数が倍増し、接触面積も大きく拡大することから、いずれかの端子40、50に異常又は不良が発生した場合であっても、他の端子40、50が正常に機能するので、マイクロマシンスイッチ1は、所望のスイッチング動作及び性能を維持する。従って、マイクロマシンスイッチ1の信頼性は、向上する。
更に、マイクロマシンスイッチ1を第1切換位置から初期位置又は第2切換位置に切り換える際、或いは、第2切換位置から初期位置又は第1切換位置に切り換える際、静電引力は、固定接続端子50の側面52に接触した可動接続端子40の側面42を側面52から引き離すように作用する。従って、端子40、50のスティクション現象の発生を積極的に防止することができる。
図6は、上記マイクロマシンスイッチ1の変形例を示す平面図である。
図6に示すマイクロマシンスイッチ1は、中空円筒形の支持部材3を有し、静止ピン2の垂直軸部21は、支持部材3の中心部に配置される。付勢手段6は、弾力的に変形可能な複数のリーフスプリングからなり、各リーフスプリングは、軸部21から放射状に延び、軸部21と支持部材3とを一体的に連結する。静止ピン2及び付勢手段6は、単結晶又は多結晶シリコンより成形される。
前述の如く、回路部90(図3)の制御下にマイクロマシンスイッチ1を切換制御し、付勢手段6の弾性復元力に抗して第1切換位置又は第2切換位置のいずれかにマイクロマシンスイッチ1を切換えることにより、可動接続端子40の側面42は、固定接続端子50の側面52と交互又は選択的に接触する。
図7は、本発明の他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び側面図であり、図8及び図9は、マイクロマシンスイッチ1の作動態様を示す横断面図である。なお、図8には、マイクロマシンスイッチ1の第1切換位置が示され、図9には、マイクロマシンスイッチ1の第2切換位置が示されている。また、各図において、図1乃至図5に示す実施形態の各構成要素と実質的に同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号が付されている。
前述の実施形態のマイクロマシンスイッチ1が支持部材3の回転運動を用いた切換構造のものであったのに対し、本実施形態のマイクロマシンスイッチ1は、支持部材3の水平方向又は横方向の線型運動を用いた切換構造を有する。
マイクロマシンスイッチ1は、可動支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を備える。可動接続部4は、支持部材3の前後方向の移動に従って変位する複数の可動接続端子40を有し、固定接続部5は、基板(図示せず)に固定された複数の固定接続端子50を有する。可動接続端子40は、支持部材3の往復動によって固定接続端子50と接触し又は離間する。
支持部材3は、中心線C2に沿って延びる板体又は軸部材からなり、駆動部7の櫛形可動電極70が支持部材3の両端に夫々連結される。各駆動部7は、櫛形可動電極70、櫛形固定電極71及びストッパ72から構成され、各構成要素70、71、72は、中心線C1、C2に対して線対称に配置される。可動電極70の線型基部74が、支持部材3の端部に一体的に連結され、支持部材3と直交する方向に延びる。多数の延長部75が、基部74の外側面に等間隔に配置され、中心線C2の方向に突出する。ストッパ72は、基部74の両端部に隣接して配置され、付勢手段6は、基部74の両端部に接続される。付勢手段6は、支持部材3を弾力的に保持する弾性部材60と、弾性部材60を基板に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を線型基部74の端面に係止したリーフスプリングからなり、支持部材3は、弾力的に変形可能な弾性部材60によって、図7に示す初期位置に保持される。
基板に固定した固定電極71の線型基部77が、可動電極71と対向する位置に配置され、多数の延長部78が、基部77の内側面に等間隔に配置される。延長部78は、基部77から可動電極70に向かって突出し、延長部75の間に延び、かくして、非接触状態の櫛形電極対が支持部材3の前後に形成される。
可動接続部4を構成する複数のアーム部41が支持部材3の側面32に固定され、中心線C1と平行に側面32から外方に延びる。方形断面の可動接続端子40が、各アーム部41の外端部に固定され、各可動接続端子40は夫々、対応する固定接続端子50の凹所51内に延入する。固定接続端子50の側面52が凹所51内において可動接続端子40の側面42と対向し、側面42と接触可能に位置決めされる。なお、図7に示す初期位置では、側面42、52は、離間している。
前述の如く、支持部材3は、常時は、弾性部材60によって初期位置(図7)に保持され、櫛形可動電極70の各部は、櫛形固定電極71を構成する櫛形可動電極70の各部から所定距離、例えば、2μmの間隔を隔てた位置に配置される。外部電源より回路部(図示せず)を介してマイクロマシンスイッチ1に給電し、片側の可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、支持部材3は、中心線C2の方向に移動し、可動接続端子40と固定接続端子50とが接触する。
例えば、図8に示す如く、片側の可動電極70a及び固定電極71aの間に電圧を印加すると、可動電極70a及び固定電極71aは、静電引力によって互いに接近する。支持部材3、可動接続部4及び可動電極70bは、可動電極70aの両端部がストッパ72aと衝合して移動を規制されるまで、可動電極70aと一体的に移動し、可動接続端子40の側面42aは、固定接続端子50の側面52aと接触する。
逆に、図9に示す如く、反対側の可動電極70b及び固定電極71bの間に電圧を印加すると、可動電極70b及び固定電極71bは、静電引力によって互いに接近する。支持部材3、可動接続部4及び可動電極70aは、可動電極70bの両端部がストッパ72bと衝合して移動を規制されるまで、可動電極70bと一体的に移動し、可動接続端子40の側面42bは、固定接続端子50の側面52bと接触する。
従って、本実施形態のマイクロマシンスイッチ1によれば、前述の実施形態と同様、マイクロマシンスイッチ1の三次元構造を大きく拡大することなく、複数の端子40、50を平面的に分散配置することができる。しかも、回路部90の制御下にマイクロマシンスイッチ1を切換制御し、可動電極70a及び固定電極71aの間に電圧を印加する第1切換位置と、可動電極70b及び固定電極71bの間に電圧を印加する第2切換位置とのいずれかにマイクロマシンスイッチ1を交互又は選択的に切換えることにより、可動接続端子40の各側の側面42a、42bを固定接続端子50の側面52a、52bと交互又は選択的に接触させ、マイクロマシンスイッチ1の接点を接続することができる。従って、可動接続端子40の同一側面42が固定接続端子50の同一側面52と接触する頻度を大きく低減し、これにより、接点構成部材3、4、5の疲労破壊を防止し、マイクロマシンスイッチ1の寿命を延長することができる。
また、複数の可動接続端子40を設けることにより、接点数が増加し、接触面積も拡大するので、いずれかの端子40、50に異常又は不良が発生した場合であっても、他の端子40、50が正常に機能する。従って、マイクロマシンスイッチ1は、このような場合にも所望のスイッチング動作及び性能を維持するので、マイクロマシンスイッチ1の信頼性は、向上する。
更に、マイクロマシンスイッチ1を第1切換位置から初期位置又は第2切換位置に切り換える際、或いは、第2切換位置から初期位置又は第1切換位置に切り換える際、支持部材3は、接触状態の側面42a、52a又は側面42b、52bを強制的に分離する。従って、端子40、50のスティクション現象を確実に防止することができる。
図10及び図11は、本発明の更に他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び斜視図であり、図12及び図13は、マイクロマシンスイッチのI−I線断面図及びII−II線断面図である。各図において、図1〜図9に示す実施形態の各構成要素と実質的に同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号が付されている。
図10〜図14に示すマイクロマシンスイッチ1は、前述の実施例と同様、支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を有し、可動接続部4を平面内で所定方向に変位させるように構成される。マイクロマシンスイッチ1は更に、駆動部7の下側に配置された第2駆動部8(図13)を有し、第2駆動部8は、可動接続部4を上下方向(鉛直方向)に変位させるように構成される。
図10及び図11を参照して、マイクロマシンスイッチ1の全体構成を説明する。
固定接続部5は、基板(図示せず)に固定された基台55と、基台55の上面に形成された一対の固定接続端子50とを備える。固定接続端子50は、所定間隔を隔てて離間した固定接点50aを有する。可動接続部4は、支持部材3の側面に固定された一対の可動接続端子40を有し、可動接続端子40は、接点50aと対向する位置に配置される。第1駆動部7を構成する線型基部74が支持部材3の両端部に一体的に接続される。基部74及び支持部材3は、中心線C2上に直列連結した一体的な軸部材を構成する。第1駆動部7は、櫛形可動電極70及び櫛形固定電極71から構成される。櫛形可動電極70は、基部74と、基部74の両側に配置された延長部75とを有し、櫛形固定電極71は、線型基部77と、基部77の片側に配置された延長部78とを有する。付勢手段6は、基部74の端部に接続した弾性部材60と、弾性部材60を基板に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を線型基部74の端面に係止したリーフスプリングからなる。支持部材3は、弾性部材60によって、図10及び図11に示す初期位置に保持され、可動接続端子40と接点50aとは、水平方向及び鉛直方向に距離を隔てた位置に保持される。
図12及び図13に示す如く、第2駆動部8は、4体の櫛形可動電極81を有する。固定電極81は、固定電極71と同一の構造及び形状を有し、同一の平面位置に配置される。各固定電極81は、線型基部87及び延長部88からなり、基部87は、基板(図示せず)に固定される。絶縁層89が基部77、87の間に介挿される。
図14は、第1駆動部7及び第2駆動部8の相対的な位置関係及び作動原理を概略的に示す斜視図である。
図14(A)に示す初期位置において、可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、可動電極70と固定電極71との間に静電引力が発生する。可動電極70は、固定電極71に接近するように水平移動する。可動電極70の水平移動に相応して弾性部材60(図10及び図11)の弾性復元力が増大するので、可動電極70の水平変位は、弾性部材60によって制限され、図14(B)に示す如く、所定位置で静止する。可動電極70及び固定電極81の間に更に電圧を印加すると、可動電極70及び固定電極81の間に静電引力が発生し、可動電極70は、固定電極81に接近するように鉛直方向に変位する。可動電極70の鉛直変位に相応して弾性部材60(図10及び図11)の弾性復元力が増大し、可動電極70の鉛直変位は、弾性部材60によって制限され、可動電極70は、図14(C)又は図14(D)に示す如く、所定位置で静止する。
全ての固定電極81及び可動電極70の間に均一に電圧を印加した場合、可動電極70を均一に下方変位させる静電引力が発生するので、可動電極70は、図14(C)に示す如く、全体的に鉛直変位する。これに対し、片側の固定電極81及び可動電極70の間にのみ電圧を印加すると、可動電極70は、図14(D)に示す如く、中心線C2を中心に回動する。
本実施形態のマイクロマシンスイッチ1では、スイッチON−OFF時の動作は、次の通り設定される。
(1)スイッチON時
固定接続端子5の側に位置する固定電極71(図10において左側に示す固定電極71)と、可動電極70との間に電圧を印加し、可動接続端子40を水平方向に変位させる。次いで、固定電極81及び可動電極70の間に電圧を印加し、可動接続端子40を下方変位させる。
(2)スイッチOFF時
固定接続端子5と反対の側に位置する固定電極71(図10において右側に示す固定電極71)と、可動電極70との間に電圧を印加し、可動接続端子40を水平方向に変位させる。固定電極81及び可動電極70の間の電圧を消勢し、弾性部材60の反発力によって可動接続端子40を上方変位させ、初期位置に復帰させる。
図15は、マイクロマシンスイッチ1のIII−III線断面図であり、図15(A)〜(C)には、図14(A)〜(C)に示す可動電極70の変位に対応した可動接続端子40の変位が示されている。
可動接続端子40の可動接点40aと、固定接点50aとは、図15(A)に示す初期位置において、水平方向及び鉛直方向に距離L、Hを隔てて離間している。この状態では、接点40a、50aは対面せず、従って、対面時の距離Hが比較的小さい寸法に設定されているにもかかわらず、十分な絶縁性を確保することができる。可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加し、図14(B)に示すように可動電極70を水平変位させると、可動接続端子40は、水平距離Lだけ水平移動する。この結果、可動接続端子40の先端下面に位置する可動接点40aは、固定接点50aの上方に移動し、図15(B)に示すように固定接点50aと対面する。この状態では、接点40a、50aは、鉛直方向の距離Hを隔てて離間している。
可動電極70及び固定電極81の間に更に電圧を印加し、図14(C)に示すように可動電極70を下方変位させると、可動接続端子40は、下方変位する。この結果、可動接点40aは、図15(C)に示すように固定接点50aと接触する。接点40a、50aは、比較的小さい寸法(鉛直距離H)をだけ吸着時に変位するにすぎないことから、接点接触時の衝撃は、軽減する。
図16は、可動接続端子40の移動の態様を示す斜視図である。
図16(A)に示す初期位置において、可動接続端子40は、固定接点50aから離間し、固定接続端子50は、固定接点50aの離間によって導電経路を切断されている。可動接続端子40は、図16(B)に示すように固定接点50aの直上に水平移動した後、図16(C)に示すように下方変位し、この結果、可動接点40aは固定接点50aと接触する。この結果、導電経路は、図16(C)に仮想線で示す如く、閉成する。
閉成した導電経路を切断する場合、可動接続端子40は、図16(B)に破線の矢印で示すように水平移動した後、図16(C)に破線の矢印で示すように上方変位する。可動接続端子40の水平移動により、接点40a、50aの界面に剪断力が作用する。これは、引き続く可動接続端子40の上方変位による接点40a、50aの分離を容易にする。
図17は、マイクロマシンスイッチ1の斜視図であり、図17(A)〜(C)には、図14(A)、(B)及び(D)に示す可動電極70の変位に相応する可動接続端子40の変位が示されている。
図17(A)に示す初期位置において、可動接続端子40は、固定接点50aから離間し、固定接続端子50は、固定接点50aの離間によって導電経路を切断されている。可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、可動接続端子40は、図17(B)に示すように固定接点50aの直上に水平移動する。固定接続端子50の側に位置する2組の固定電極81及び可動電極70の間にのみ電圧を印加すると、可動電極70は、図17(C)に示す如く、中心線C2を中心に回動し、この結果、可動接点40aは固定接点50aに接触する。かくして、固定接続端子50は閉成し、図16(C)に仮想線で示す導電経路が形成される。
このような構成のマイクロマシンスイッチ1によれば、可動電極70を水平方向及び鉛直方向(又は回転方向)の二方向に段階的に変位させる二層構造又は三次元構造の固定電極71、81を備える。従って、固定接点50aと可動接点40aとの間の距離を拡大することなく、接点開離時(スイッチOFF時)の絶縁性を確保することができる。
また、接触状態(スイッチON)の接点を開離する際、固定接点50aと可動接点40aとの界面に剪断力が作用するので、マイクロマシンスイッチ1は、比較的容易に接点開離動作を行うことができる。このような接点開離動作は又、スティクション現象又は接点溶着を防止する上で有効に働く。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、支持部材、可動接続端子及び固定接続端子の数、配置及び形状は、本発明に従って任意に設計変更することができる。
また、支持部材を駆動する駆動部の構造及び配置も又、本発明に従って任意に設計変更することが可能である。
更に、図10〜図17に示す実施形態において、可動電極70を二方向(水平方向及び鉛直方向)に同時に変位させることも可能である。この場合、可動接点40aは、斜め下方又は斜め上方に変位する。但し、接点40a、50aの界面に剪断力を作用せしめて、接点40a、50aの分離を容易にするためには、接点開離時に可動電極70を二方向に段階的に変位させることが望ましい。
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び側面図であり、図3は、図1及び図2に示すマイクロマシンスイッチの構造を示す縦断面図である。
マイクロマシンスイッチ1は、静止ピン2、可動支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を有する。可動接続部4は、静止ピン2を中心とした支持部材3の双方向の回転に従って双方向に変位する。固定接続部5は、基板9に固定された複数の固定接続端子50を備える。可動接続部4は、複数の可動接続端子40を備え、各可動接続端子40は、静止ピン2を中心とした支持部材3の角度変化に相応して固定接続端子50と接触し又は離間する。
静止ピン2は、基板9に固定された軸部21と、軸部21の頂部に配置された拡大ヘッド部22とから構成される。軸部21は、支持部材3の中心孔31を垂直に貫通し、支持部材3を回転可能に支持する。
支持部材3は、軸部21の軸芯を回転中心とした円形の平面輪郭を有する。複数のアーム部41が支持部材3の外周面32に固定され、外周面32から径方向外方に延びる。各可動接続端子40は、各アーム部41の外端部に固定される。可動接続端子40は、各アーム部41の先端を拡大した形状及び寸法を有する。可動接続端子40は夫々、対応する固定接続端子50の凹所51内に延入する。可動接続端子40の左右の側面42が、凹所51内に位置する各固定接続端子50の側面52と接触可能に位置決めされる。図1には、側面42、52が離間した初期状態が示されている。
一対の付勢手段6が、支持部材3の両側に配置される。各付勢手段6は、支持部材3を初期位置(図1に示す位置)に弾力的に保持する弾性部材60と、弾性部材60を基板9に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を支持部材3の外周面32に係止したリーフスプリングからなる。弾性部材60は、支持部材3の中心に対して点対称の位置及び形状に配設され、支持部材3は、弾力的に変形可能な弾性部材60によって、図1に示す初期位置に保持される。
一対の駆動部7が、支持部材3の前後に点対称に配置される。駆動部7は夫々、櫛形可動電極70、櫛形固定電極71及びストッパ72から構成される。可動電極70の線型基部74が、支持部材3の外周面32に固定される。線型基部74は、支持部材3の径方向外方に直線的に延びる。多数の延長部75が、基部74に沿って等間隔に配置され、基部74の両側に対称に突出する。各延長部75は、支持部材3と同心状の円弧輪郭を有する。
基部74の拡大外端部76が、左右のストッパ72の間に位置決めされる。各ストッパ72は、基板9に固定され、支持部材3の回転時に外端部76と衝合し、支持部材3の回転を規制する。
固定電極71は、基板9に固定した線型基部77を有し、線型基部77は、可動電極70の両側に対称に配置される。多数の延長部78が、基部77の片側に等間隔に配置され、基部77から可動電極70に向かって突出する。各延長部78は、支持部材3と同心状の円弧輪郭を有する。延長部75、78は、支持部材3の径方向に交互に配置され、かくして、非接触状態の櫛形電極対が、基板9の平面と平行に支持部材3の前後に形成される。
マイクロマシンスイッチ1のXY方向の中心線C1、C2は、支持部材3の回転中心において交差する。固定接続部5は、中心線C1、C2によって区分されるマイクロマシンスイッチ1の4つの領域に夫々配置される。固定接続部5は夫々、基板9に固定した固定接続パッド55を備える。固定接続端子50は、固定接続パッド55から径方向内方に延出し、可動接続端子40が延入する凹所51を形成する。凹所51内に位置する固定接続端子50の側面52は、支持部材3の回転時に可動接続端子40の側面42と接触する。
基板9は、例えば、厚さ0.5μmの窒化珪素(Si3N4)の電気絶縁膜(図示せず)で表面を被覆した厚さ500μmのシリコン基板からなる。電気絶縁膜を酸化シリコン(SiO2)、アルミナ(Al2O3)等の他のセラミックス材料で形成しても良い。固定接続部5及び櫛形固定電極71は、燐(P)をドーピングした多結晶シリコンからなり、CVD法等による製膜工程や、フォトリソグラフィ(露光現像)工程等の如く、半導体製造工程と同様の工程を経て基板9上に成形される。固定接続部5及び櫛形固定電極71の素材として、シリコン以外の導電性材料、例えば、銅、アルミニウム、金等を使用しても良く、また、導電性材料を固定接続部5及び櫛形固定電極71の表面にコーティングしても良い。マイクロマシンスイッチ1の平面寸法(外形寸法)は、例えば、1mmに設定され、マイクロマシンスイッチ1の高さ(厚さ)は、例えば、10〜25μmに設定される。支持部材3、可動接続部4及び櫛形可動電極70は、固定接続部5及び櫛形固定電極71と実質的に同じ素材及び製造方法で成形される。
支持部材3は、静止ピン2に回転可能に支持され、可動接続部4及び櫛形可動電極70は、支持部材3に支持され、いずれも基板9と非接触の状態で基板9上に懸架される。静止ピン2及び付勢手段6は、単結晶又は多結晶シリコンより成形される。
図3に示すように、基板9には、所定の電気配線パターンを有する回路部90が形成される。回路部90は、電気接続ピン91及び導電手段92を介して固定接続部5に通電可能に接続される。回路部90は又、同様な電気接続ピン及び導電手段を介して可動接続部4に通電可能に接続される。なお、回路部90と接続部4、5とを接続する手段として、他の通電手段又は給電手段(スルーホール接続等)を採用しても良い。
図4及び図5は、マイクロマシンスイッチ1の作動態様を示す横断面図である。図4には、マイクロマシンスイッチ1の第1切換位置が示され、図5には、マイクロマシンスイッチ1の第2切換位置が示されている。
前述の如く、支持部材3は、常時は、弾性部材60によって初期位置(図1)に保持され、櫛形可動電極70の各部は、櫛形固定電極71を構成する左右一対の固定電極71a、71bから所定距離、例えば、2μmの間隔を隔てた位置に配置される。外部電源より回路部90を介してマイクロマシンスイッチ1に給電し、可動電極70と固定電極71aとの間に電圧を印加すると、可動電極70及び固定電極71aの間に静電引力が発生し、可動電極70は、固定電極71aに引きつけられる。支持部材3は、図4に示す如く、可動電極70に作用する静電引力によって静止ピン2を中心に回転し、可動電極70は、固定電極71aと接近するように角度変化する。可動電極70の拡大外端部76は、可動電極70及び固定電極71aが接触する前にストッパ72aと衝合して静止するので、可動電極70及び固定電極71aの短絡は、確実に阻止される。支持部材3に一体的に形成された可動接続端子40は、支持部材3と一緒に回転し、可動接続端子40の側面42aは、支持部材3の回転停止時に固定接続端子50の側面52aと接触する。側面42a及び側面52aは、初期位置(図1)において略平行な状態で対向するように可動接続端子40及び固定接続端子50に形成されており、端子40、50の回転停止時に面接触する。
外部電源より回路部90を介してマイクロマシンスイッチ1に給電して、可動電極70と固定電極71bとの間に電圧を印加すると、可動電極70を固定電極71bに引きつける静電引力が、可動電極70及び固定電極71bの間に発生し、支持部材3は、静止ピン2を中心に逆方向に回転する。可動電極70は、図5に示す如く、可動電極70及び固定電極71bが接触する前に反対側のストッパ72bと衝合して静止し、可動接続端子40の反対側の側面42bが、反対側の側面52bと接触する。側面42b及び側面52bも又、初期位置(図1)において略平行な状態で対向するように可動接続端子40及び固定接続端子50に形成されており、端子40、50の回転停止時に面接触する。可動電極70及び固定電極71bの短絡は、前述の如く、ストッパ72bによって確実に阻止される。
このように構成されたマイクロマシンスイッチ1によれば、マイクロマシンスイッチ1の三次元構造を大きく拡大し又は大型化することなく、複数の端子40、50を平面的に分散配置することができる。しかも、回路部90の制御下にマイクロマシンスイッチ1を第1切換位置又は第2切換位置に交互又は選択的に切換えることにより、可動接続端子40の側面42a、42bを、固定接続端子50の側面52a、52bと交互又は選択的に接触せしめ、マイクロマシンスイッチ1の接点を接続することができる。従って、可動接続端子40の同一側面42が固定接続端子50の同一側面52と接触する回数又は頻度を大きく低減することができる。例えば、単純な交互切換制御を実行した場合、接触回数は、1/2に半減するので、接点構成部材3、4、5の疲労破壊を防止し、マイクロマシンスイッチ1の寿命を延長することができる。
また、可動接続端子40の両側の側面42a、42bを固定接続端子50の両側の側面52a、52bと選択的に接触させ、しかも、複数の可動接続端子40を設けたマイクロマシンスイッチ1では、接点数が倍増し、接触面積も大きく拡大することから、いずれかの端子40、50に異常又は不良が発生した場合であっても、他の端子40、50が正常に機能するので、マイクロマシンスイッチ1は、所望のスイッチング動作及び性能を維持する。従って、マイクロマシンスイッチ1の信頼性は、向上する。
更に、マイクロマシンスイッチ1を第1切換位置から初期位置又は第2切換位置に切り換える際、或いは、第2切換位置から初期位置又は第1切換位置に切り換える際、静電引力は、固定接続端子50の側面52に接触した可動接続端子40の側面42を側面52から引き離すように作用する。従って、端子40、50のスティクション現象の発生を積極的に防止することができる。
図6は、上記マイクロマシンスイッチ1の変形例を示す平面図である。
図6に示すマイクロマシンスイッチ1は、中空円筒形の支持部材3を有し、静止ピン2の垂直軸部21は、支持部材3の中心部に配置される。付勢手段6は、弾力的に変形可能な複数のリーフスプリングからなり、各リーフスプリングは、軸部21から放射状に延び、軸部21と支持部材3とを一体的に連結する。静止ピン2及び付勢手段6は、単結晶又は多結晶シリコンより成形される。
前述の如く、回路部90(図3)の制御下にマイクロマシンスイッチ1を切換制御し、付勢手段6の弾性復元力に抗して第1切換位置又は第2切換位置のいずれかにマイクロマシンスイッチ1を切換えることにより、可動接続端子40の側面42は、固定接続端子50の側面52と交互又は選択的に接触する。
図7は、本発明の他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び側面図であり、図8及び図9は、マイクロマシンスイッチ1の作動態様を示す横断面図である。なお、図8には、マイクロマシンスイッチ1の第1切換位置が示され、図9には、マイクロマシンスイッチ1の第2切換位置が示されている。また、各図において、図1乃至図5に示す実施形態の各構成要素と実質的に同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号が付されている。
前述の実施形態のマイクロマシンスイッチ1が支持部材3の回転運動を用いた切換構造のものであったのに対し、本実施形態のマイクロマシンスイッチ1は、支持部材3の水平方向又は横方向の線型運動を用いた切換構造を有する。
マイクロマシンスイッチ1は、可動支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を備える。可動接続部4は、支持部材3の前後方向の移動に従って変位する複数の可動接続端子40を有し、固定接続部5は、基板(図示せず)に固定された複数の固定接続端子50を有する。可動接続端子40は、支持部材3の往復動によって固定接続端子50と接触し又は離間する。
支持部材3は、中心線C2に沿って延びる板体又は軸部材からなり、駆動部7の櫛形可動電極70が支持部材3の両端に夫々連結される。各駆動部7は、櫛形可動電極70、櫛形固定電極71及びストッパ72から構成され、各構成要素70、71、72は、中心線C1、C2に対して線対称に配置される。可動電極70の線型基部74が、支持部材3の端部に一体的に連結され、支持部材3と直交する方向に延びる。多数の延長部75が、基部74の外側面に等間隔に配置され、中心線C2の方向に突出する。ストッパ72は、基部74の両端部に隣接して配置され、付勢手段6は、基部74の両端部に接続される。付勢手段6は、支持部材3を弾力的に保持する弾性部材60と、弾性部材60を基板に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を線型基部74の端面に係止したリーフスプリングからなり、支持部材3は、弾力的に変形可能な弾性部材60によって、図7に示す初期位置に保持される。
基板に固定した固定電極71の線型基部77が、可動電極71と対向する位置に配置され、多数の延長部78が、基部77の内側面に等間隔に配置される。延長部78は、基部77から可動電極70に向かって突出し、延長部75の間に延び、かくして、非接触状態の櫛形電極対が支持部材3の前後に形成される。
可動接続部4を構成する複数のアーム部41が支持部材3の側面32に固定され、中心線C1と平行に側面32から外方に延びる。方形断面の可動接続端子40が、各アーム部41の外端部に固定され、各可動接続端子40は夫々、対応する固定接続端子50の凹所51内に延入する。固定接続端子50の側面52が凹所51内において可動接続端子40の側面42と対向し、側面42と接触可能に位置決めされる。なお、図7に示す初期位置では、側面42、52は、離間している。
前述の如く、支持部材3は、常時は、弾性部材60によって初期位置(図7)に保持され、櫛形可動電極70の各部は、櫛形固定電極71を構成する櫛形可動電極70の各部から所定距離、例えば、2μmの間隔を隔てた位置に配置される。外部電源より回路部(図示せず)を介してマイクロマシンスイッチ1に給電し、片側の可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、支持部材3は、中心線C2の方向に移動し、可動接続端子40と固定接続端子50とが接触する。
例えば、図8に示す如く、片側の可動電極70a及び固定電極71aの間に電圧を印加すると、可動電極70a及び固定電極71aは、静電引力によって互いに接近する。支持部材3、可動接続部4及び可動電極70bは、可動電極70aの両端部がストッパ72aと衝合して移動を規制されるまで、可動電極70aと一体的に移動し、可動接続端子40の側面42aは、固定接続端子50の側面52aと接触する。
逆に、図9に示す如く、反対側の可動電極70b及び固定電極71bの間に電圧を印加すると、可動電極70b及び固定電極71bは、静電引力によって互いに接近する。支持部材3、可動接続部4及び可動電極70aは、可動電極70bの両端部がストッパ72bと衝合して移動を規制されるまで、可動電極70bと一体的に移動し、可動接続端子40の側面42bは、固定接続端子50の側面52bと接触する。
従って、本実施形態のマイクロマシンスイッチ1によれば、前述の実施形態と同様、マイクロマシンスイッチ1の三次元構造を大きく拡大することなく、複数の端子40、50を平面的に分散配置することができる。しかも、回路部90の制御下にマイクロマシンスイッチ1を切換制御し、可動電極70a及び固定電極71aの間に電圧を印加する第1切換位置と、可動電極70b及び固定電極71bの間に電圧を印加する第2切換位置とのいずれかにマイクロマシンスイッチ1を交互又は選択的に切換えることにより、可動接続端子40の各側の側面42a、42bを固定接続端子50の側面52a、52bと交互又は選択的に接触させ、マイクロマシンスイッチ1の接点を接続することができる。従って、可動接続端子40の同一側面42が固定接続端子50の同一側面52と接触する頻度を大きく低減し、これにより、接点構成部材3、4、5の疲労破壊を防止し、マイクロマシンスイッチ1の寿命を延長することができる。
また、複数の可動接続端子40を設けることにより、接点数が増加し、接触面積も拡大するので、いずれかの端子40、50に異常又は不良が発生した場合であっても、他の端子40、50が正常に機能する。従って、マイクロマシンスイッチ1は、このような場合にも所望のスイッチング動作及び性能を維持するので、マイクロマシンスイッチ1の信頼性は、向上する。
更に、マイクロマシンスイッチ1を第1切換位置から初期位置又は第2切換位置に切り換える際、或いは、第2切換位置から初期位置又は第1切換位置に切り換える際、支持部材3は、接触状態の側面42a、52a又は側面42b、52bを強制的に分離する。従って、端子40、50のスティクション現象を確実に防止することができる。
図10及び図11は、本発明の更に他の実施形態に係るマイクロマシンスイッチの構造を示す平面図及び斜視図であり、図12及び図13は、マイクロマシンスイッチのI−I線断面図及びII−II線断面図である。各図において、図1〜図9に示す実施形態の各構成要素と実質的に同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号が付されている。
図10〜図14に示すマイクロマシンスイッチ1は、前述の実施例と同様、支持部材3、可動接続部4、固定接続部5、付勢手段6及び駆動部7を有し、可動接続部4を平面内で所定方向に変位させるように構成される。マイクロマシンスイッチ1は更に、駆動部7の下側に配置された第2駆動部8(図13)を有し、第2駆動部8は、可動接続部4を上下方向(鉛直方向)に変位させるように構成される。
図10及び図11を参照して、マイクロマシンスイッチ1の全体構成を説明する。
固定接続部5は、基板(図示せず)に固定された基台55と、基台55の上面に形成された一対の固定接続端子50とを備える。固定接続端子50は、所定間隔を隔てて離間した固定接点50aを有する。可動接続部4は、支持部材3の側面に固定された一対の可動接続端子40を有し、可動接続端子40は、接点50aと対向する位置に配置される。第1駆動部7を構成する線型基部74が支持部材3の両端部に一体的に接続される。基部74及び支持部材3は、中心線C2上に直列連結した一体的な軸部材を構成する。第1駆動部7は、櫛形可動電極70及び櫛形固定電極71から構成される。櫛形可動電極70は、基部74と、基部74の両側に配置された延長部75とを有し、櫛形固定電極71は、線型基部77と、基部77の片側に配置された延長部78とを有する。付勢手段6は、基部74の端部に接続した弾性部材60と、弾性部材60を基板に係留する係留部61とから構成される。弾性部材60は、一端を係留部61に係止し、他端を線型基部74の端面に係止したリーフスプリングからなる。支持部材3は、弾性部材60によって、図10及び図11に示す初期位置に保持され、可動接続端子40と接点50aとは、水平方向及び鉛直方向に距離を隔てた位置に保持される。
図12及び図13に示す如く、第2駆動部8は、4体の櫛形可動電極81を有する。固定電極81は、固定電極71と同一の構造及び形状を有し、同一の平面位置に配置される。各固定電極81は、線型基部87及び延長部88からなり、基部87は、基板(図示せず)に固定される。絶縁層89が基部77、87の間に介挿される。
図14は、第1駆動部7及び第2駆動部8の相対的な位置関係及び作動原理を概略的に示す斜視図である。
図14(A)に示す初期位置において、可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、可動電極70と固定電極71との間に静電引力が発生する。可動電極70は、固定電極71に接近するように水平移動する。可動電極70の水平移動に相応して弾性部材60(図10及び図11)の弾性復元力が増大するので、可動電極70の水平変位は、弾性部材60によって制限され、図14(B)に示す如く、所定位置で静止する。可動電極70及び固定電極81の間に更に電圧を印加すると、可動電極70及び固定電極81の間に静電引力が発生し、可動電極70は、固定電極81に接近するように鉛直方向に変位する。可動電極70の鉛直変位に相応して弾性部材60(図10及び図11)の弾性復元力が増大し、可動電極70の鉛直変位は、弾性部材60によって制限され、可動電極70は、図14(C)又は図14(D)に示す如く、所定位置で静止する。
全ての固定電極81及び可動電極70の間に均一に電圧を印加した場合、可動電極70を均一に下方変位させる静電引力が発生するので、可動電極70は、図14(C)に示す如く、全体的に鉛直変位する。これに対し、片側の固定電極81及び可動電極70の間にのみ電圧を印加すると、可動電極70は、図14(D)に示す如く、中心線C2を中心に回動する。
本実施形態のマイクロマシンスイッチ1では、スイッチON−OFF時の動作は、次の通り設定される。
(1)スイッチON時
固定接続端子5の側に位置する固定電極71(図10において左側に示す固定電極71)と、可動電極70との間に電圧を印加し、可動接続端子40を水平方向に変位させる。次いで、固定電極81及び可動電極70の間に電圧を印加し、可動接続端子40を下方変位させる。
(2)スイッチOFF時
固定接続端子5と反対の側に位置する固定電極71(図10において右側に示す固定電極71)と、可動電極70との間に電圧を印加し、可動接続端子40を水平方向に変位させる。固定電極81及び可動電極70の間の電圧を消勢し、弾性部材60の反発力によって可動接続端子40を上方変位させ、初期位置に復帰させる。
図15は、マイクロマシンスイッチ1のIII−III線断面図であり、図15(A)〜(C)には、図14(A)〜(C)に示す可動電極70の変位に対応した可動接続端子40の変位が示されている。
可動接続端子40の可動接点40aと、固定接点50aとは、図15(A)に示す初期位置において、水平方向及び鉛直方向に距離L、Hを隔てて離間している。この状態では、接点40a、50aは対面せず、従って、対面時の距離Hが比較的小さい寸法に設定されているにもかかわらず、十分な絶縁性を確保することができる。可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加し、図14(B)に示すように可動電極70を水平変位させると、可動接続端子40は、水平距離Lだけ水平移動する。この結果、可動接続端子40の先端下面に位置する可動接点40aは、固定接点50aの上方に移動し、図15(B)に示すように固定接点50aと対面する。この状態では、接点40a、50aは、鉛直方向の距離Hを隔てて離間している。
可動電極70及び固定電極81の間に更に電圧を印加し、図14(C)に示すように可動電極70を下方変位させると、可動接続端子40は、下方変位する。この結果、可動接点40aは、図15(C)に示すように固定接点50aと接触する。接点40a、50aは、比較的小さい寸法(鉛直距離H)をだけ吸着時に変位するにすぎないことから、接点接触時の衝撃は、軽減する。
図16は、可動接続端子40の移動の態様を示す斜視図である。
図16(A)に示す初期位置において、可動接続端子40は、固定接点50aから離間し、固定接続端子50は、固定接点50aの離間によって導電経路を切断されている。可動接続端子40は、図16(B)に示すように固定接点50aの直上に水平移動した後、図16(C)に示すように下方変位し、この結果、可動接点40aは固定接点50aと接触する。この結果、導電経路は、図16(C)に仮想線で示す如く、閉成する。
閉成した導電経路を切断する場合、可動接続端子40は、図16(B)に破線の矢印で示すように水平移動した後、図16(C)に破線の矢印で示すように上方変位する。可動接続端子40の水平移動により、接点40a、50aの界面に剪断力が作用する。これは、引き続く可動接続端子40の上方変位による接点40a、50aの分離を容易にする。
図17は、マイクロマシンスイッチ1の斜視図であり、図17(A)〜(C)には、図14(A)、(B)及び(D)に示す可動電極70の変位に相応する可動接続端子40の変位が示されている。
図17(A)に示す初期位置において、可動接続端子40は、固定接点50aから離間し、固定接続端子50は、固定接点50aの離間によって導電経路を切断されている。可動電極70及び固定電極71の間に電圧を印加すると、可動接続端子40は、図17(B)に示すように固定接点50aの直上に水平移動する。固定接続端子50の側に位置する2組の固定電極81及び可動電極70の間にのみ電圧を印加すると、可動電極70は、図17(C)に示す如く、中心線C2を中心に回動し、この結果、可動接点40aは固定接点50aに接触する。かくして、固定接続端子50は閉成し、図16(C)に仮想線で示す導電経路が形成される。
このような構成のマイクロマシンスイッチ1によれば、可動電極70を水平方向及び鉛直方向(又は回転方向)の二方向に段階的に変位させる二層構造又は三次元構造の固定電極71、81を備える。従って、固定接点50aと可動接点40aとの間の距離を拡大することなく、接点開離時(スイッチOFF時)の絶縁性を確保することができる。
また、接触状態(スイッチON)の接点を開離する際、固定接点50aと可動接点40aとの界面に剪断力が作用するので、マイクロマシンスイッチ1は、比較的容易に接点開離動作を行うことができる。このような接点開離動作は又、スティクション現象又は接点溶着を防止する上で有効に働く。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、支持部材、可動接続端子及び固定接続端子の数、配置及び形状は、本発明に従って任意に設計変更することができる。
また、支持部材を駆動する駆動部の構造及び配置も又、本発明に従って任意に設計変更することが可能である。
更に、図10〜図17に示す実施形態において、可動電極70を二方向(水平方向及び鉛直方向)に同時に変位させることも可能である。この場合、可動接点40aは、斜め下方又は斜め上方に変位する。但し、接点40a、50aの界面に剪断力を作用せしめて、接点40a、50aの分離を容易にするためには、接点開離時に可動電極70を二方向に段階的に変位させることが望ましい。
本発明のマイクロマシンスイッチは、DCレベルから数十ギガヘルツに至る広範な信号周波数に適応するマイクロマシンスイッチとして使用される。殊に、本発明は、高い信頼性、低電力消費、低動作電圧、省スペース性、効率的スイッチング等を要求されるマイクロマシンスイッチ、例えば、携帯電話のRFフロントエンド・チップのゲイン・コントロールや、送受信モード間又はバンド間のスイッチング等に利用可能なマイクロマシンスイッチに好ましく適用し得る。
Claims (18)
- 基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記固定接続端子及び可動接続端子は、前記基板の平面と実質的に平行な方向に離間し、前記可動接続端子は、この方向の前記支持部材の変位によって前記固定端子と接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチ。 - 複数の前記固定接続端子が前記基板に固定され、各固定接続端子と接触可能な複数の前記可動接続端子が、前記支持部材の変位に従って所定の固定接続端子と接触するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記可動接続端子は、前記固定接続端子の間に位置決めされ、前記支持部材の双方向の変位によって両側の固定接続端子と選択的に接触するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記支持部材を初期位置に保持する付勢手段を有し、前記支持部材は、静電気力の作用により、前記付勢手段の保持力に抗して変位し、静電気力の解放時に付勢手段の復元力によって初期位置に復帰することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載されたマイクロマシンスイッチ。
- 電圧を印加することにより静電引力を発生させる固定電極及び可動電極を有し、該可動電極は、前記支持部材に一体的に連結され、前記静電引力の発生時に前記固定電極に接近し、前記支持部材を前記方向に変位させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載されたマイクロマシンスイッチ。
- 複数の前記固定電極が、前記可動電極を双方向に変位させるように前記基板に配置されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記固定電極に対する前記可動電極の接近を制限するストッパを有することを特徴とする請求項6に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記支持部材は、双方向に回転可能に前記基板上に配置され、前記可動接続端子は、前記支持部材の外周部から径方向外方に突出する突出部材に取付けられ、前記可動接続端子の各側の面が前記固定接続端子に選択的に接触するように配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記支持部材は、双方向に線型運動可能に前記基板上に配置され、前記可動接続端子は、前記支持部材の側方に突出する突出部材に取付けられ、前記可動接続端子の各側の面が前記固定接続端子に選択的に接触するように配置されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
複数の前記固定接続端子が前記基板に固定され、各固定接続端子と接触可能な複数の前記可動接続端子が、前記支持部材の変位に従って所定の固定接続端子と同時に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチ。 - 基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子は、前記固定接続端子の間に位置決めされ、前記支持部材の双方向の変位によって両側の固定接続端子と選択的に接触するように配置されることを特徴とするマイクロマシンスイッチ。 - 可動接続端子が点対称又は線対称の形状を有することを特徴とする請求項1、10又は11に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記可動接続端子及び前記固定接続端子が全体的に点対称又は線対称の形状を有することを特徴とする請求項1、10又は11に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記可動接続端子、前記支持部材及び前記固定接続端子が全体的に点対称又は線対称の形状を有することを特徴とする請求項1、10又は11に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 基板に固定した固定接続端子と、固定接続端子と接触可能な可動接続端子とを有し、該可動接続端子の支持部材に作用する駆動力によって該支持部材を変位させ、前記固定接続端子及び可動接続端子を接触又は離間させるように構成されたマイクロマシンスイッチにおいて、
前記可動接続端子を段階的又は同時に二方向に変位させて前記固定接続端子に接触させる駆動手段を備えたことを特徴とするマイクロマシンスイッチ。 - 前記駆動手段は、接点開離時に初期的に前記可動接続端子を第1方向に変位させ、該可動接続端子と前記固定接続端子との接触部に剪断力を与えることを特徴とする請求項15に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記第1方向は、水平方向に設定され、前記第2方向は、鉛直方向、或いは、水平軸線廻りの回転方向に設定され、前記駆動手段は、電圧を印加することにより静電引力を発生させる可動電極と二層構造の固定電極とを有し、該固定電極は、前記可動電極から水平方向に離間した第1固定電極と、第1固定電極の下側に配置された第2固定電極とから構成されることを特徴とする請求項16に記載のマイクロマシンスイッチ。
- 前記支持部材を初期位置に保持する付勢手段を有し、前記支持部材は、前記駆動手段が発生させる静電気力の作用により、前記付勢手段の保持力に抗して変位し、前記静電気力の解放時に前記付勢手段の復元力によって初期位置に復帰することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載されたマイクロマシンスイッチ。
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