JP2010199214A - Memsチューナブルキャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧の印加によって可動電極と固定電極との距離が変動しにくいMEMSチューナブルキャパシタを提供する。
【解決手段】デバイス10は、基板の表面P上に形成された信号ライン12と、これを挟む位置に2対またはそれ以上立設された柱状のアンカー20と、信号ライン12を挟む位置に立設された板状の固定電極14と、アンカー20から延設されたバネ18で信号ライン12上の空間に固定電極14に挟まれるように懸架された板状の可動電極16とからなる。アンカー20は信号ライン12の長手方向両端近傍で固定電極14の外側位置に固定され、先端部には信号ライン12を跨ぐようにバネ18が設けられる。対になったアンカー20から信号ライン12を跨いで延設された一対のバネ18は信号ライン12の上の空間で信号ライン12の長手方向に沿って設けられた可動電極16を懸架し、可動電極16は固定電極14の中間に、これと平行に位置する。
【選択図】図3

Description

本発明はMEMSチューナブルキャパシタに関する。
次世代の携帯電話は多数の周波数帯を利用するため、複数の周波数を受信できる受信部が必要である。簡単な方法としてはRFフロントエンドにおける部品(例:キャパシタ、インダクター等)を複数実装して用いる方法が考えられるが、この場合はRFフロントエンドの体積が大きくなり、コストも高くなるといった問題が生じる。
これに対して、一つのデバイスで複数のインピーダンスを持つことが可能なMEMSチューナブルキャパシタを用いる方法が注目されている。特に図1に例として示す携帯電話のようにチューナブル整合回路をアンテナや増幅器に組み合わせると、アンテナや個別増幅器の本数や個数を大幅に減らすことが期待できる。
可動電極と固定電極とを備え、静電力で可動電極を移動させることにより容量を可変とする、MEMS可変容量素子が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に開示された内容は並んだ一対の固定電極の間に可動電極が接離する構成であり、特許文献2に開示された内容は別々の基板に設けられた可動ビームと固定電極とが互いに接離する構成であり、特許文献3に開示された内容は基板の主面に固定された固定電極と、これに対して可動とされた可動電極を備えた構成である。上記のように固定電極と可動電極との距離を変化させ容量を変動させる構成では、両電極の短絡を防止するためにも両者の表面に絶縁膜の形成が必須とされる。
しかし上記のような可変容量素子においては絶縁膜の電荷トラップによるスティクション(固着)が問題となる。すなわち、可変容量素子の容量値を固定するため長時間にわたって電圧を印加し続けると、電極間の絶縁膜中に於ける電荷がトラップされるため、印加電圧を下げてもアクチュエータ部が離れずOFFしない(固着した)状態となる。これは電圧を印加し、可動電極と固定電極との距離を静電力により変動させることによって、容量を変動させることに起因する問題であって、上記特許文献1〜3の何れも構造で根本的な解決を図ることは難しい。
また上記のようなスティクションを防ぐためにIBA駆動方式を採用した構成が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。IBA駆動方式は絶縁層にトラップした電荷量を検出して、印加電圧はアクチュエータ部がすぐに離れない(スティクション状態)と判断した場合、逆向きの電圧を印加することで絶縁層のトラップ電荷を解除し、スティクションを防いでいる。
しかしながら、MEMS可変容量素子に上記のIBA駆動方式を採用することで以下のデメリットが考えられる。すなわちスティクションを防ぐためのIBA駆動回路が大きく面積を占めるため、チップ全体の面積が大きくなるという問題が発生する。加えて構造が複雑になり、IBA駆動回路など付加デバイス分のコストが必要となる等の問題もある。
特開2004−1209号公報 特表2006−518926号公報 特開2008−221398号公報 「RF MEMS可変容量素子 東芝レビューVol.63 No.2」、株式会社東芝、2008年、p32〜p36
上記の問題は電圧印加により固定電極と可動電極とが接近しすぎる、あるいは接触する可能性がある構造に起因するため、解決するには電圧印加によって容量が変動しても固定電極と可動電極との距離を一定にする。
本発明は、電圧の印加によって可動電極と固定電極との距離が変動しにくいMEMSチューナブルキャパシタを提供することを目的とする。
請求項1に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、基板上に設けられた信号ラインと、前記信号ラインを挟んで前記基板上に設けられ電気的に接続され、直方体形状をした一対の固定電極と、前記信号ラインと対向する前記固定電極の間に懸架され、前記信号ラインと接離可能な可動電極と、を備え、前記固定電極と前記可動電極との間に電位差をもたせることで生じる静電力で前記可変電極と前記信号ラインとの距離を変化させ、電気容量を変えることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、信号ラインを挟んで基板上に設けられた一対の固定電極の間に可変電極を設け、電圧印加によって信号ラインと可変電極との間隔を変化させる構成としたことにより、固定電極と可変電極との間隔は電圧印加によって変動しないためスティクションを起こしにくい可変容量のMEMSチューナブルキャパシタとすることができる。
請求項2に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項1に記載の構成において、前記可動電極の前記基板から遠い側の端部は、前記固定電極の前記基板から遠い側の端部よりも突出していることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可動電極の基板から遠い側の端部が固定電極よりも突出しているため、この部分で受ける静電力にって、より可動電極を変位させることができる。
請求項3に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項1または請求項2に記載の構成において、前記可動電極は、前記固定電極の表面に沿う方向の剛性よりも前記基板の表面に沿う方向の剛性が高い弾性部材で懸架されたことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可動電極が基板の表面に沿う方向には動きにくく、基板から接離する方向には動きやすい構成とすることができる。
請求項4に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項3に記載の構成において、前記弾性部材は前記基板に沿う方向の幅が、これと直交する方向の厚みよりも大きいことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可動電極が基板の表面に沿う方向には動きにくく、基板から接離する方向には動きやすい構成とすることができる。
請求項5に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の構成において、前記信号ラインの表面および前記固定電極と前記可動電極の互いに対向する面が絶縁膜で覆われていることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可動電極が信号ラインおよび固定電極と接触しても短絡を起こしにくい構成とすることができる。
請求項6に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、基板上に設けられた信号ラインと、前記信号ラインを挟んで前記基板上で列状に設けられ電気的に接続された複数の固定電極と、前記信号ラインと対向する前記基板上の空間、前記信号ラインと接離可能に懸架された可変容量電極と、前記可変容量電極に一体的に設けられ、前記固定電極の間に位置する可動電極と、を備え、前記固定電極と前記可変容量電極との間に電位差をもたせることで生じる静電力で前記可変容量電極と前記信号ラインとの距離を変化させ、電気容量を変えることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、信号ラインを挟んで基板上に設けられた複数の固定電極の間に、信号ラインと接離方向に可動に可変容量電極を設け、この可変容量電極と一体的に設けられた可動電極と、固定電極との間に電圧を印加することで信号ラインと可変容量電極との間隔を変化させる構成としたことにより、固定電極と可変電極との間隔は電圧印加によって変動しないためスティクションを起こしにくい構成とすることができる。
請求項7に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、前記可変容量電極は前記基板に沿って設けられた直方体形状であり、前記固定電極は前記信号ラインの両側に前記基板から複数立設された同一形状の薄板状部材が、互いの面同士を対向させるように一定の間隔で配列された櫛歯構造であり、前記可動電極は前記固定電極と等間隔で前記可変容量電極に設けられた複数の薄板状部材が、一枚ずつ前記固定電極の間に互い違いに入り込み、互いに間隔をもって面同士を対向させるように配列された櫛歯構造であり、前記可動電極の前記基板と直交する方向の大きさは、前記可変容量電極の前記基板からの接離方向の厚さに等しく、前記可動電極および前記可変容量電極の前記基板から遠い側の端部は、前記固定電極の前記基板から遠い側の端部よりも前記基板から離れていることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、信号ラインと接離方向に移動可能な可変容量電極に設けられた櫛歯構造の可動電極と、基板に立設された同じく櫛歯構造の固定電極とを互いに接触しないように噛み合わせ、可変容量電極が信号ラインから接離方向に移動すると可動電極と固定電極の重なり面積が変動する構成とされているため、固定電極と可動電極との間隔は電圧印加によって変動しないのでスティクションを起こしにくいMEMSチューナブルキャパシタとすることができる。
請求項8に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項6または請求項7に記載の構成において、前記可変容量電極は、前記固定電極の表面に沿う方向の剛性よりも前記基板の表面に沿う方向の剛性が高い弾性部材で懸架されたことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可変容量電極が信号ラインから接離方向に移動しやすく、これと直交する方向には移動しにくい構成とすることができる。
請求項9に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項8に記載の構成において、前記弾性部材は前記基板に沿う方向の幅が、これと直交する方向の厚みよりも大きいことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可変容量電極が信号ラインから接離方向に移動しやすく、これと直交する方向には移動しにくい構成とすることができる。
請求項10に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項8に記載の構成において、前記可変容量電極は、前記信号ラインに沿った方向に設けられた複数の前記弾性部材と、これと交差する方向に設けられた複数の前記弾性部材とで支持されることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可変容量電極は基板に沿った面内において、信号ラインに沿った方向と、これと交差する方向とに延設された弾性部材で支持されるので、基板に沿った面内を移動しにくい構成とすることができる。
請求項11に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項6〜請求項10の何れか1項に記載の構成において、前記信号ラインの表面と、前記可変容量電極の表面と、前記固定電極と前記可動電極の互いに対向する面とが絶縁膜で覆われていることを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、可変容量電極が信号ラインと、あるいは可動電極が固定電極と接触しても短絡を起こしにくい構成とすることができる。
請求項12に記載のMEMSチューナブルキャパシタは、請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の構成において、前記固定電極に電圧を印加し前記可動電極を接地して使用することを特長とする。
上記の発明によれば、可動電極と接することのない固定電極に電圧を印加し、可動電極側は接地とすれば、可動電極が絶縁層を介して信号ラインと接触しても、可動電極側が電源と接続されていないため、電源電圧変動に起因する信号ノイズの発生を抑える構成とすることができる。
以上説明したように本発明は、電圧の印加によって可動電極と固定電極との距離が変動しにくいMEMSチューナブルキャパシタを提供する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの一例を図2、図3に示す。なお、示されている寸法等の数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
図2、図3に示すように、本発明の第1実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタであるデバイス10は、基板の表面(実装面)P上に形成された信号ライン12と、信号ライン12を挟む位置に2対またはそれ以上立設された柱状のアンカー20と、信号ライン12を挟む位置に立設された板状の固定電極14と、アンカー20から延設されたバネ18で信号ライン12上の空間に固定電極14に挟まれるように懸架された板状の可動電極16とから構成されている。
アンカー20は信号ライン12の長手方向両端近傍で固定電極14の外側位置に固定されており、先端部には信号ライン12を跨ぐようにバネ18が設けられている。対になったアンカー20から信号ライン12を跨いで延設された一対のバネ18は、信号ライン12の上の空間で信号ライン12の長手方向に沿って設けられた可動電極16を懸架しており、可動電極16は固定電極14の中間に、これと平行に位置する。
図3に示すように、表面Pに設けられた固定電極14の、表面Pからの突出方向(Z方向)高さよりも、可動電極16のZ方向先端(表面Pより遠い側の端)はZ方向により高く突出しており、図3(A)、図3(C)に示すように側面視では可動電極16が固定電極14の間で、表面Pから遠い位置に保持されている。
可動電極16を懸架するバネ18は表面Pに沿う方向(xy方向)のサイズが大きく、Z方向の厚さはxy方向よりも薄いため、このバネ18で懸架されている可動電極16はxy方向には移動しにくく、表面Pに対して接離するZ方向には動きやすく保持されている。すなわち可動電極16は固定電極14に対して表面Pに沿う方向(xy方向)に接離することはなく、且つ信号ライン12に対しては接離方向(図2中矢印L方向)に可動とされている。
信号ライン12の外周面、および固定電極14の信号ライン12に近い側の面、すなわち可動電極16と対向する側の面にはそれぞれ絶縁層30、絶縁層32が設けられており、それぞれ信号ライン12と可動電極16、固定電極14と可動電極16とが接触しても短絡しない構成とされている。
<第1実施形態の製造工程例>
図4、図5には本発明に係るMEMSチューナブルキャパシタの一例であるデバイスの形成過程の一例が示されている。なお、示されている材料および数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
まず図4(A)に示すように、シリコン基板100上に、信号ライン12を形成する100nmのWSi層102を既知の方法(例えばスパッタによる成膜)で成膜する。なお図4および図5は図3(B)に示されているB−B’断面、および図3(A)に示されているA−A’断面を並べて示している。
次いで図4(B)に示すようにWSi層102をエッチングし、信号ライン12となるWSi層102Aを残す。
さらに図4(C)に示すようにPOLy−Si104を既知の方法(例えばLP−CVDによる成膜)でlμm成膜する。
次いで図4(D)に示すようにPOLy−Si104をエッチングし、残した部分を固定電極14として形成する。
さらに図4(E)に示すようにSiN絶縁層106を既知の方法(例えばLP−CVDによる成膜)で0.1μm堆積する。
次いで図4(F)に示すようにSiN絶縁層106をエッチングし、信号ライン12の外周面で絶縁層30を形成し、固定電極14の信号ライン12に対向する面で絶縁層32を形成する。
さらに図4(G)に示すように、犠牲層となるSiO層108を既知の方法(例えばPE−CVDによる成膜)で1、7μm成膜する。
次いで図5(A)に示すように、SiO層108の一次エッチングを厚さ1μm指定で行う。これにより、アンカー20となるスペース120が作られる。
さらに図5(B)に示すように、SiO層108の2次エッチングを厚さ1.2μm指定で行う。これによって可動電極16となるスペース160が作られる。
次いで図5(C)に示すように、SiO層108の3次エッチングを厚さ0.2μm指定で行う。これによってバネ18となるスペース180が作られる。
さらに図5(D)に示すように、可動電極16、アンカー20を形成するPOLy−Si110を既知の方法(例えばLP・CVDによる成膜)で1μm成膜する。
次いで図5(E)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセス等によりPOLy−Si110を研磨し、平坦化する。
最後に図5(F)に示すようにPOLy−Si110を除去する。例えば5%HFに浸漬することで、POLy−Si110が除去される。これらの工程により、図5(F)に示すように、絶縁層30で覆われた信号ライン12の上にバネ18で懸架された可動電極16が位置し、その両脇に固定電極14が立設する構造とすることができる。
<第1実施形態の作用・効果>
本発明の第1実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を図3を用いて説明する。
図3に示すデバイス10の可動電極16が固定電極14との距離を変えることなく、信号ライン12に対して可動であるためには、可動電極16が図中z方向、すなわち基板の表面Pから接離する方向に対しては動きやすく、基板の表面Pに沿った方向であるx方向とy方向には動きにくい形状である必要がある。
以下の(式1)において、kはバネ18(片持ち梁)のばね係数、Eはバネ18の材料のヤング率(POLySiの場合約160GPa)、bはバネ18の幅、tはバネ18の厚さ、1はバネ18の長さである。(式2)のkpは可動電極16に並列繋ぎしたバネ18全体のばね係数を示す。(式3の)ktはバネ18が直列繋ぎの場合、全体のばね係数を示す。
Figure 2010199214
図3に示された例ではバネ18一本の長さは40μm、厚さ0.2μm、幅5μmである。式(1)で計算すると、z方向のばね係数kzは約0.025N/mである。可動電極16に4本のバネ18が繋がっているため、kpzは約0.1N/mである。
上記のz方向のばね係数kzに対して、x方向のばね係数kxは、バネ18の厚さbが0.2μm、長さ1が40μm、tが5μmで計算できる。したがって、kx=15.6N/mであり、kpxが約62.4N/mとなる。すなわちx方向ばね係数kxはz方向ばね係数kzの約624倍となる。
また、y方向のばね係数kyはバネ18の厚さbが0.2μm、長さ1が5μm、tが30μmで計算できる。したがって、ばね係数kyが約4MN/mで、kpyが約16MN/mである。これはz方向ばね係数kzの約1.6億倍である。
このため、可動電極16はz方向、すなわち基板の表面Pから接離する方向に対しては動きやすく、基板の表面Pに沿った方向であるx方向とy方向には動きにくい形状であると言える。
上記のように、可動電極16をz方向に動きやすくするためには、バネ18の形状を基板の表面Pに沿う方向(x方向、y方向)の幅が、これと垂直なz方向のサイズ(厚さ)に比べて充分に大きいことが必要である。
上記の例ではバネ18の基板の表面Pに沿う方向(x方向、y方向)の幅と、これと垂直なz方向のサイズ(厚さ)の比が25であり、x方向のばね係数kxはz方向のばね係数kzの約624倍である。
この比が2の場合、x方向のばね係数kxはz方向ばね係数kzの約4倍である。発明者らは実験からこの倍率でもx方向とz方向の選択比が取れると判断する知見を得ている。このため、可動電極16がz方向に容易に動き、且つx方向、y方向に動きにくくするためには、バネ18の基板の表面Pに沿う方向(x方向、y方向)の幅と、これと垂直なz方向のサイズ(厚さ)の比が少なくとも2以上とすることが望ましい。
次に本発明の第1実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの作用を図6〜図8に示す。
図6にはデバイス10の作動原理が示され、図7には可動電極16の信号ライン12に対する変位量と印加電圧の関係が示され、および図8には可動電極16と信号ライン12間の容量変化と電圧の関係が示されている。
すなわち図2に示す寸法の例において、固定電極14に0V〜3Vの電圧を印加した場合の可動電極16のz方向における変位を図7に示す。図7に基づき、固定電極14に電圧を印加した場合の可動電極16と信号ライン12間の容量変化を図8に示す。図8は式C=Sεk/dで求めた数値である。Cは可動電極16と信号ライン12の間の容量を示す。Sは可動電極16と信号ライン12の対向面積を示す。εは真空の誘電率でここでは8.85E−12F/mを用いた。kは比誘電率で、ここでは1とした。また、信号ライン12上にあるSiN層の誘電率は計算の便宜上1とした。
図6に示されているように、固定電極14に電圧0Vを印加した場合では可動電極16のz方向の変位が0μmであり、信号ライン12と可動電極16の容量が0.177fFである。固定電極14に電圧65Vを印加した場合、可動電極16のz方向の変位は約0.4μmで、信号ライン12と可動電極16の間の容量は最大値となり、約8fFになる。したがって、印加電圧が0Vと65Vとではデバイス10として0.177fFと8fFの2値の容量を取ることができる。また、印加電圧を0V〜65Vの間で連続的に変化させることによって、デバイス10の容量を連続に変化させることもできる。
図6(A)に示すように、まず固定電極14に対して電源40より電圧Vを印加する。可動電極16はアース(接地)とする。
このとき図6(C)に示すように可動電極16は固定電極14から矢印15のような静電力を受けているが、固定電極14は可動電極16を挟んで対称な位置にあるため、可動電極16が両側の固定電極14より受けるy方向の力は大きさが同じで向きが逆であるため釣り合っている。また図6(B)に示すようにx方向についても対称であるため、可動電極16が固定電極14より受けるx方向の力もまた釣り合っている。これにより可動電極16はxy方向には動かず、固定電極14との間隔が変動することはない。
図6(C)に示すように、可動電極16の信号ライン12に対向する面では矢印Fで示すように固定電極14からの静電力を受けることにより、可動電極16は信号ライン12に引き寄せられる方向に静電力が働く。この結果、図7に示すように印加電圧Vの増加に伴って、可動電極16はZ方向にマイナスとなるように変位する。すなわち信号ライン12に引き寄せられる。
ここで、図7に示すように印加電圧Vの増加に伴って可動電極16と信号ライン12間の容量が増加する。可動電極16が信号ライン12に最も接近し、接触する場合が最も両者の間で容量が大きくなるが、このとき固定電極14に印加された印加電圧をV1とすると、印加電圧V1と印加電圧なし(0V)とで2値の容量変化とすることができる。
また図7に示すように印加電圧Vを0〜V1の間で連続的に変動させることで、容量もまた連続的に変化するので、印加電圧Vを適宜調整し連続的に変化させることで多値の容量変化とすることもできる。
本実施形態に係る構造では、可動電極16が移動しても固定電極14と可動電極16との間隔は変動しない。このため固定電極14と可動電極16とは接触しないため、従来型の構造で問題とされていたスティキングが発生しない。したがって、IBA駆動等のスティキング対策を必要とせず、部品数の低減、コストの削減、省電力化を期待できる。加えてデバイス10を含む基板、電気回路等を小型化することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの一例を図9、図10に示す。なお、示されている寸法等の数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
図9、図10に示すように、本発明の第2実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタであるデバイス11は、基板の表面(実装面)P上に形成された信号ライン12と、信号ライン12を中心として2対またはそれ以上立設された柱状のアンカー20Aと、信号ライン12の長手方向両端部よりも外側から信号ライン12を挟むように2対またはそれ以上立設されたアンカー20Aと略同形状のアンカー20Bと、信号ライン12の長手方向に沿って信号ライン12を挟む位置に、信号ライン12の幅方向中心線と直交するように全体として櫛歯状構造をなす形で複数立設された板状の固定電極14と、アンカー20Aから延設されたバネ18Aおよびアンカー20Bから延設されたバネ18Bで信号ライン12上の空間に信号ライン12を被覆するように懸架された可変容量電極50と、可変容量電極50から個々の固定電極14の間に互い違いに差し込まれるように設けられ、全体として櫛歯状構造をなす形とされた板状の可動電極16とから構成されている。
アンカー20Aは信号ライン12の長手方向両端近傍で固定電極14の外側位置に固定されており、先端部には信号ライン12へ向けてバネ18Aが設けられている。アンカー20Bは信号ライン12の長手方向両端よりさらに長手方向外側に固定され、信号ライン12に沿う方向で先端部にバネ18Bが設けられている。
対になったアンカー20Aから信号ライン12へ向けて延設された一対のバネ18Aは、信号ライン12の上の空間で信号ライン12の長手方向に沿って設けられた可変容量電極50に接続され、これを懸架しており、同様にアンカー20Bの先端に設けられたバネ18Bは可変容量電極50の長手方向端部に接続され、これを懸架している。
可動電極16は可変容量電極50の幅方向に突出する形状で長手方向に配列され、信号ライン12からの接離方向サイズ(厚さ)は可変容量電極50の厚さと等しい。全体として櫛歯形状をなす可動電極16は、同様に櫛歯形状をなす固定電極14の間に差し込まれるように互い違いに配列され、平面視では互いに間隙が設けられ接触せず、側面視で一部が重なり合っている。
図10に示すように、表面Pに設けられた固定電極14の、表面Pからの突出方向(z方向)高さよりも、可動電極16のz方向先端(表面Pより遠い側の端)はz方向により高く突出しており、図10(B)、図10(C)に示すように側面視では可動電極16が固定電極14の間で、表面Pから遠い位置に保持されている。
また可変容量電極50と可動電極16とは、信号ライン12の長手方向(x方向)より見た側面視でのサイズは略同等であり、すなわちz方向のサイズ(厚さ)および信号ライン12と直交する方向(y方向)の幅が略等しい。
可変容量電極50を懸架するバネ18A、バネ18Bは表面Pに沿う方向(xy方向)のサイズが大きく、z方向の厚さはxy方向よりも薄いため、このバネ18A、バネ18Bで懸架されている可変容量電極50はxy方向には移動しにくく、表面Pに対して接離するz方向には動きやすく保持されている。
すなわち可変容量電極50、および可変容量電極50から幅方向に突出して設けられた可動電極16は固定電極14に対して表面Pに沿う方向(xy方向)に接離することはなく、且つ信号ライン12に対しては接離方向(図2中矢印L方向)に可動とされている。
信号ライン12の外周面、および固定電極14の可動電極16と対向する側の面にはそれぞれ絶縁層30、絶縁層32が設けられており、それぞれ信号ライン12と可動電極16、固定電極14と可動電極16とが接触しても短絡しない構成とされている。
<第2実施形態の製造工程例>
図11、図12には本発明の第2実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの一例であるデバイスの形成過程の一例が示されている。なお、示されている材料および数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
まず図11(A)に示すように、シリコン基板100上に、信号ライン12を形成する100nmのWSi層102を既知の方法(例えばスパッタによる成膜)で成膜する。なお図11および図12は図10(C)に示されているB−B’断面、および図10(B)に示されているA−A’断面を並べて示している。
次いで図11(B)に示すようにWSi層102をエッチングし、信号ライン12となるWSi層102Aを残す。
さらに図11(C)に示すようにPOLy−Si104を既知の方法(例えばLP−CVDによる成膜)でlμm成膜する。
次いで図11(D)に示すようにPOLy−Si104をエッチングし、残した部分を固定電極14として形成する。
さらに図11(E)に示すようにSiN絶縁層106を既知の方法(例えばLP−CVDによる成膜)で0.1μm堆積する。
次いで図11(F)に示すようにSiN絶縁層106をエッチングし、信号ライン12の外周面で絶縁層30を形成し、固定電極14の可動電極16に対向する面で絶縁層32を形成する。固定電極14の最端部だけ(例えば図10(A)の右上端)は可動電極16と対向しない面が存在するので、必ずしも絶縁層32を両面に設けずとも、可動電極16と対向する面のみ絶縁層32を設けてもよい。
さらに図11(G)に示すように、犠牲層となるSiO層108を既知の方法(例えばPE−CVDによる成膜)で1.7μm成膜する。
次いで図12(A)に示すように、SiO層108の一次エッチングを厚さ1μm指定で行う。これにより、アンカー20となるスペース120が作られる。
さらに図12(B)に示すように、SiO層108の2次エッチングを厚さ1.2μm指定で行う。これによって可動電極16となるスペース116、および可変容量電極50となるスペース150が作られる。
次いで図12(C)に示すように、SiO層108の3次エッチングを厚さ0.2μm指定で行う。これによってバネ18Aおよびバネ18Bとなるスペース180が作られる。
さらに図12(D)に示すように、可変容量電極50、可動電極16、アンカー20A、アンカー20Bを形成するPOLy−Si110を既知の方法(例えばLP・CVDによる成膜)で1μm成膜する。
次いで図12(E)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセス等によりPOLy−Si110を研磨し、平坦化する。
最後に図12(F)に示すようにPOLy−Si110を除去する。例えば5%HFに浸漬することで、POLy−Si110が除去される。これらの工程により、図12(F)に示すように、絶縁層30で覆われた信号ライン12の上にバネ18Aおよびバネ18Bで懸架された可変容量電極50、可動電極16が位置し、信号ライン12の両脇に固定電極14が立設する構造とすることができる。
<第2実施形態の作用・効果>
本発明の第2実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を図10を用いて説明する。
図10に示すデバイス11の可動電極16が固定電極14との距離を変えることなく、可変容量電極50が信号ライン12に対して可動であるためには、可動電極16および可変容量電極50が図中z方向、すなわち基板の表面Pから接離する方向に対しては動きやすく、基板の表面Pに沿った方向であるx方向とy方向には動きにくい形状である必要がある。
以下、kはバネ18Aおよびバネ18B(片持ち梁)のばね係数、Eはバネ18A、バネ18Bの材料のヤング率(POLySiの場合約160GPa)、bはバネ18A、バネ18Bの幅、tはバネ18A、バネ18Bの厚さ、1はバネ18A、バネ18Bの長さである。kpは可動電極16に並列繋ぎしたバネ18A、バネ18B全体のばね係数を示す。ktはバネ18A、バネ18Bが直列繋ぎの場合、全体のばね係数を示す。
図10に示された例のように可変容量電極50の長さが200μmの場合、図10(B)に示すA−A’断面のような構造が全体で200個形成できる。バネ18Aのピッチが20μmの場合、バネ18Aは全部で22個が必要であり、またバネ18Aが可変容量電極50に作用するばね係数はバネ18Aとその先端に繋ぐ可動電極16とを一体として考える必要がある。加えてそれ以外に4本のバネ18Bもまた可変容量電極50の動作に影響する。
図10に示すようにバネ18Aと可動電極16は直列に繋がっているので、第1実施形態と同様に数式1で全体のばね係数ktが求められる。図10の例ではバネ18Aの長さは40μm、幅0.5μm、厚さ0.2μmであり、式(1)によればz方向のばね係数kzは0.0025N/mで、y方向のばね係数kyは約4GN/mである。
また、バネ18Aと直列に接続された可動電極16のばね係数は、長さ25μm、幅0.5μm、厚さlμmであり、kzは1.28N/mで、kyは125MN/mである。従ってktzは約0.0025N/m、ktyは約121MN/mとなる。
バネ18Aと可動電極16が直列に接続されている部分は22個で、何れも可変容量電極50に繋がっているため、page8の式(2)で計算すると、可変容量電極(8)に作用するkpzは0.055N/mで、kpyは約2.5GN/mである。このようにy方向のばね係数は高いため、可変容量電極50と可動電極16はy方向に動きにくい。
また図10に示すように、バネ18Bの寸法は長さ30μm、幅1μm、厚さ0.2μmである。この場合のz方向ばね係数は〔数式1〕の式(1)で計算すると、kz=0.012N/mとなる。kx≒400MN/mで、ky=0.3N/mとなり、また可変容量電極50にバネ18Bが4本並列に繋がっているので、kz=0.048N/m、kx=l.6GN/mである。このようにx方向のばね係数は高いため、可変容量電極50と可動電極16はx方向に動きにくい。
上記の内容から、可変容量電極50に作用するz方向ばね係数kzは22本のバネ18Aと可動電極16の直列バネに加えて、4本のバネ18Bを併せたばね係数になる。すなわちkz=0.055N/m+0.048N/m=0.103N/mとなる。
上記のように、可変容量電極50がz方向に動きやすい構造とするためには、バネ18Aおよびバネ18Bの形状は、基板の表面Pに沿った方向の幅が、基板の表面Pから接離する方向の厚さに比べて充分に大きいことが必要である。
前記の例ではバネ18Bの基板の表面Pに沿った方向の幅と基板の表面Pから接離する方向の厚さの比が5で、基板の表面Pに沿った方向のばね係数はz方向ばね係数の約29倍以上となる。
この厚さの比が2の場合、x方向のばね係数kxはz方向ばね係数kzの4倍である。発明者らはこの倍率でもx方向とz方向の選択比が取れると判断する知見を実験から得ている。このため、可動電極16および可変容量電極50がz方向に容易に動き、且つx方向、y方向に動きにくくするためには、バネ18Aおよびバネ18Bの基板の表面Pに沿う方向(x方向、y方向)の幅と、これと垂直なz方向のサイズ(厚さ)の比が少なくとも2以上とすることが望ましい。
次に本発明の第2実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの作用を図13、図14に示す。
図13には可動電極16の信号ライン12に対する変位量と印加電圧の関係が示され、図14には可動電極16と信号ライン12間の容量変化と電圧の関係が示されている。すなわち図10に示されているデバイス11において、固定電極14に0V〜3Vの電圧を印加した場合、可変容量電極50のz方向の変位量を図13に示す。また固定電極14に電圧を印加した場合の可変容量電極50と信号ライン12間の容量変化を図14に示す。
動作時においてデバイス11には図10に示す固定電極14に電圧Vを印加する。可動電極16、可変容量電極50はアース(接地)とする。この場合、可動電極16は固定電極14から受ける電気力線は第1実施形態と同じく、図6(C)の電気力線図で示されている。
可動電極16は両側の固定電極14と同じ間隔であるため、両側の固定電極14から受けた水平方向の静電力は大きさが同じで方向が逆であるため釣り合っている。このため、可動電極16は基板の表面Pに沿った方向(x方向)に動かず、固定電極14との距離は変わらない。
基板の表面Pから接離する方向(z方向)では、可動電極16が基板に対向する面は固定電極14からの静電力をうけ、静電力の方向は可動電極16から基板に向かう。この静電力によって、可動電極16が基板の表面Pに向かって動く。可動電極16は可変容量電極50に一体的に固定されているため、可変容量電極50は信号ライン12に向かって動く。可変容量電極50と信号ライン12との間隔が小さくなり、信号ライン12との容量が大きくなる。
可変容量電極50が信号ライン12と接触した場合の容量が最大値となり、このときに固定電極14への印加電圧がV1とすると、印加電圧がV1と0V(電圧印加なし)とで2値の容量をとることができる。また、固定電極14への印加電圧が0〜V1の間では容量は連続変化するため、多値の容量が取れる。
具体的には図13に示されているように、固定電極14に電圧0Vを印加した場合、可動電極16のz方向変位は0μm(移動せず)であり、信号ライン12と可変容量電極50の容量が0.5pFである。
固定電極14に電圧3Vを印加すると可動電極16のz方向における変位量は約0.5μmで、信号ライン12と可変容量電極50の間の容量はこのとき最大で、約3.8pFになる。したがって、印加電極0Vと3Vでデバイス11が0.5pFと3.8pFの2値の容量をとることができる。
また上記のように図14に示すように印加電圧Vを0V〜3Vの間で連続的に変動させることで、容量もまた連続的に変化するので、印加電圧Vを適宜調整し連続的に変化させることで多値の容量変化とすることもできる。
さらに本実施形態ではデバイス11の容量は可動電極16の大きさに依存せず、可変容量電極50の面積で決まるため、可変容量電極50の面積を調整することで、デバイス11の最大容量を第1実施形態に比較して大きくすることが可能となる。加えて容量の変化率(最大容量/最小容量)もまた可変容量電極50の面積を調整することで、第1実施形態よりも大きくすることができる。さらに動作電圧も第1実施形態より低くすることができる。
本実施形態に係る構造では、可変容量電極50が移動しても固定電極14と可動電極16との間隔は変動しない。このため固定電極14と可動電極16とは接触しないため、従来型の構造で問題とされていたスティキングが発生しない。したがって、IBA駆動等のスティキング対策を必要とせず、部品数の低減、コストの削減、省電力化を期待でき、加えてデバイス10を含む基板、電気回路等を小型化することができる点は第1実施形態と同様である。さらに、動作電圧を第1実施形態よりも低くできるため、携帯電話のバッテリなどでも動作可能としやすい。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの例を図15に示す。なお、示されている寸法等の数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
図15に示すように、本発明の第3実施形態に係るMEMSチューナブルキャパシタであるデバイス11Bは、基板の表面(実装面)P上に形成された信号ライン12と、信号ライン12を中心として2対またはそれ以上立設された柱状のアンカー20Aと、信号ライン12の長手方向両端部よりも外側から信号ライン12を挟むように2対またはそれ以上立設されたアンカー20Aと略同形状のアンカー20Cと、信号ライン12の長手方向に沿って信号ライン12を挟む位置に、信号ライン12の幅方向中心線と直交するように全体として櫛歯状構造をなす形で複数立設された板状の固定電極14とを備えている点は第2実施形態と同様である。
本実施形態ではアンカー20Aから延設されたバネ18Aと、信号ライン12を跨ぐようにアンカー20Cの先端同士を連結するバネ18Cの長手方向中央から信号ライン12に沿うように延設されたバネ18Dとで、信号ライン12上の空間に信号ライン12を被覆するように懸架された可変容量電極50を備えている。
また第2実施形態と同様、可変容量電極50から個々の固定電極14の間に互い違いに差し込まれるように設けられ、全体として櫛歯状構造をなす形とされた板状の可動電極16とを備えている。
アンカー20Aは信号ライン12の長手方向両端近傍で固定電極14の外側位置に固定されており、先端部には信号ライン12へ向けてバネ18Aが設けられている。アンカー20Cは信号ライン12の長手方向両端よりさらに長手方向外側かつ幅方向外側に固定され、信号ライン12の長手方向両端部に設けられた対のアンカー20C同士を繋ぐように先端部にバネ18Cが設けられている。
対になったアンカー20Aから信号ライン12へ向けて延設された一対のバネ18Aは、信号ライン12の上の空間で信号ライン12の長手方向に沿って設けられた可変容量電極50に接続され、これを懸架しており、同様にアンカー20Cの先端同士を繋ぐバネ18Cの長手方向中央と、可変容量電極50とを繋ぐバネ18Dが可変容量電極50の長手方向端部に接続され、これを懸架している。すなわちアンカー20C同士を繋ぐバネ18Cの長手方向中央から、可変容量電極50の長手方向端部中央に向けて延設されたバネ18Dは、バネ18Cと併せて略T字型をなし、可変容量電極50の長手方向端部を支持している。他の部位の構造に関しては第2実施形態と同様であるので説明は省略する。
<第3実施形態の作用・効果>
図15に示されるように、本発明の第3実施形態に係るデバイス11Bは、可変容量電極50の長手方向両端の中央から延設された一本のバネ18Dにて長手方向に支持されている。
第2実施形態に係るデバイス11の可変容量電極50が2本のバネ18Bで長手方向に支持されていたのに対し、本実施形態では1本のバネ18Dで支持され、且つバネ18Dの末端はバネ18Cの中央に連結されているため、例えば第2実施形態のバネ18Bと同じばね係数を得るのに、基板の表面Pから接離する方向(z方向)の厚みが大きい(厚い)バネを用いることができる。
すなわち、より厚いバネ18C、バネ18Dを用いながらバネ18Bと同等のばね係数とすることができるので、バネ18Bに比較して加工精度を高くする必要がなく、加えてバネ18Bよりも機械的強度の高いバネ18C、バネ18Dを用いることができる。
<まとめ>
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
すなわち、上記の実施形態においては板状の可動電極あるいは可変容量電極が単独の信号ライン上に懸架された構成とされているが、これに限定されず例えば可動電極あるいは可変容量電極が複数結合されていてもよいし、あるいは他のデバイスと組み合わされていてもよい。
本発明に係るMEMSチューナブルキャパシタを用いた装置の例を示す概念図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタを示す斜視図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの構造を示す三面図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの形成工程を示す断面図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの形成工程を示す断面図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示す三面図である。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示すグラフである。 本発明の第1形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示すグラフである。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタを示す斜視図である。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの構造を示す三面図である。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの形成工程を示す断面図である。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの形成工程を示す断面図である。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示すグラフである。 本発明の第2形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示すグラフである。 本発明の第3形態に係るMEMSチューナブルキャパシタの動作を示す三面図である。
10 デバイス
11 デバイス
12 信号ライン
14 固定電極
16 可動電極
18 バネ
20 アンカー
30 絶縁層
32 絶縁層
50 可変容量電極

Claims (12)

  1. 基板上に設けられた信号ラインと、
    前記信号ラインを挟んで前記基板上に設けられ電気的に接続され、直方体形状をした一対の固定電極と、
    前記信号ラインと対向する前記固定電極の間に懸架され、前記信号ラインと接離可能な可動電極と、を備え、
    前記固定電極と前記可動電極との間に電位差をもたせることで生じる静電力で前記可変電極と前記信号ラインとの距離を変化させ、電気容量を変えることを特徴とするMEMSチューナブルキャパシタ。
  2. 前記可動電極の前記基板から遠い側の端部は、前記固定電極の前記基板から遠い側の端部よりも突出していることを特徴とする請求項1に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  3. 前記可動電極は、前記固定電極の表面に沿う方向の剛性よりも前記基板の表面に沿う方向の剛性が高い弾性部材で懸架されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  4. 前記弾性部材は前記基板に沿う方向の幅が、これと直交する方向の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  5. 前記信号ラインの表面および前記固定電極と前記可動電極の互いに対向する面が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  6. 基板上に設けられた信号ラインと、
    前記信号ラインを挟んで前記基板上で列状に設けられ電気的に接続された複数の固定電極と、
    前記信号ラインと対向する前記基板上の空間、前記信号ラインと接離可能に懸架された可変容量電極と、
    前記可変容量電極に一体的に設けられ、前記固定電極の間に位置する可動電極と、を備え、
    前記固定電極と前記可変容量電極との間に電位差をもたせることで生じる静電力で前記可変容量電極と前記信号ラインとの距離を変化させ、電気容量を変えることを特徴とするMEMSチューナブルキャパシタ。
  7. 前記可変容量電極は前記基板に沿って設けられた直方体形状であり、
    前記固定電極は前記信号ラインの両側に前記基板から複数立設された同一形状の薄板状部材が、互いの面同士を対向させるように一定の間隔で配列された櫛歯構造であり、
    前記可動電極は前記固定電極と等間隔で前記可変容量電極に設けられた複数の薄板状部材が、一枚ずつ前記固定電極の間に互い違いに入り込み、互いに間隔をもって面同士を対向させるように配列された櫛歯構造であり、
    前記可動電極の前記基板と直交する方向の大きさは、前記可変容量電極の前記基板からの接離方向の厚さに等しく、
    前記可動電極および前記可変容量電極の前記基板から遠い側の端部は、前記固定電極の前記基板から遠い側の端部よりも前記基板から離れていることを特徴とする請求項6に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  8. 前記可変容量電極は、前記固定電極の表面に沿う方向の剛性よりも前記基板の表面に沿う方向の剛性が高い弾性部材で懸架されたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  9. 前記弾性部材は前記基板に沿う方向の幅が、これと直交する方向の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  10. 前記可変容量電極は、前記信号ラインに沿った方向に設けられた複数の前記弾性部材と、これと交差する方向に設けられた複数の前記弾性部材とで支持されることを特徴とする請求項8に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  11. 前記信号ラインの表面と、前記可変容量電極の表面と、前記固定電極と前記可動電極の互いに対向する面とが絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項6〜請求項10の何れか1項に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
  12. 前記固定電極に電圧を印加し前記可動電極を接地して使用することを特長とする請求項1〜請求項11の何れか1項に記載のMEMSチューナブルキャパシタ。
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