JPWO2005106029A1 - 核酸の解析方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、標準として用いる核酸や、プローブ、プローブスポット等に起因する誤差の可能性を排除または補正可能とし、遺伝子の発現頻度を再現性よく解析し、また、試料核酸内における一次構造の変化を解析することを目的とする。本発明は、試料核酸及びプローブからなる試料核酸ハイブリッドからのシグナルを検出することで当該試料核酸中の1種以上の標的塩基配列の一次構造を解析する方法であって、該1種以上の標的塩基配列を含む合成標準核酸、及び該プローブからなる合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを検出し、該合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを基準として該試料核酸ハイブリッドからのシグナルを補正することで、該試料核酸の一次構造を解析する方法を提供する。

Description

本発明は、核酸を解析する方法に関する。
従来、特定の塩基配列に相補的な塩基配列を有する核酸プローブを利用して、試料核酸における特定遺伝子の発現頻度の解析(遺伝子発現頻度解析)や、特定塩基配列のコピー数の増減の解析等が行われている。
遺伝子発現頻度解析は、主にDNAマイクロアレイを用いた二蛍光標識法によって行われている(例えば、非特許文献1参照)。この解析方法は、遺伝子発現の差異を見る系である。即ち、異なる条件の2群の細胞から得たmRNAサンプル間で、遺伝子発現の差を検出するものである。
まず、解析の回ごとに、各群のmRNAサンプルに異なる蛍光標識を施し、プローブの固相化されたDNAマイクロアレイ上で競合的にハイブリダイゼーション反応させ、各群の蛍光を測定し比較する。このようにして、一方の群における特定遺伝子の発現頻度が、他方の群に対し増減しているかを推定することができる。
同一スポット上で競合してハイブリダイズした結果を反映するシグナルを検出するので、この方法は、遺伝子発現頻度の相対的な変化を検討するために有効である。
一方、染色体中に存在する特定の塩基配列の増減を網羅的に検出することを可能にする方法として、Array Comparative Genomic Hybridization(ACGH)法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、多数のクローン化DNA断片や合成オリゴDNAをスライドグラス等にスポットしたアレイを作製し、2以上の異なる細胞由来の染色体DNAを、それぞれ異なった蛍光色素(例えばCy3とCy5など)で標識し、アレイにおいて競合的にハイブリダイズ反応させる。得られる蛍光シグナルの強度比をもとに、アレイ化されたDNA断片に相当する領域における、細胞間での、DNAのコピー数の増加、欠失等の変化を検出することができる。このとき、1コピーレベルで変化を検出することが可能である。
上記の遺伝子発現頻度解析やACGH法等の解析法を用いて、癌細胞と正常細胞の核酸量の差を検出し、癌の診断を目指した研究が行われている。
実際にマイクロアレイで臨床検体を解析する場合、解析に用いる臨床検体の核酸量が少ない事が多く、こうした場合、臨床検体の核酸をEberwine RNA amplification法やWGA法で増幅させてから解析することが行われている。
特表平11−510681号公報 Zhi‐Jun Tanら、「ワールド・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー(World Journal of Gastroenterology)」、2003年、第9号、p.818−823
従来のACGH法では、一つの標的塩基配列に対して、一種類の固相化プローブを用意し、そこに対するハイブリダイゼーションの有無を解析することによって、試料核酸について、アレイ化されたDNA断片に相当する領域における、DNAのコピー数の変化を検出することは行えていたが、試料核酸の分子内における一次構造の変化は解析できなかった。
従来のマイクロアレイによる遺伝子発現頻度解析やACGHで、得られる結果を正確な値にするためには、解析において標準とする細胞(正常細胞等)は常に一定の核酸量を持つ必要がある。しかし、実際には採取の方法や培養の条件等により核酸量にばらつきがみられ、再現性よく正確な比較解析値を得ることが難しかった。また、異なった細胞由来の核酸量を一定に調整することで、競合的なハイブリダイゼーションに供する核酸量の統一を図る場合も、この調整を行うこと自体で、解析の回ごとや試料の種類ごとに核酸量のばらつきを生じる可能性がある。
また、比較する細胞間で、核酸への蛍光標識の取り込み効率が異なることを最小限にするために、これらの細胞間で、蛍光標識の種類以外は同じ条件とすることで、蛍光標識の取り込み効率の差による比較解析値のばらつきを抑制することが図られていた。しかし、実際に臨床サンプルを用いる場合には、核酸量を調整しても、抽出した核酸サンプルにおいて、タンパク質や多糖類等の混入により品質の違いが見られることがある。このことにより、比較サンプル間での蛍光標識の取り込み効率が異なり、解析結果のばらつきが大きくなっていた。
また、解析に用いる臨床検体の核酸量が少ない場合は、臨床検体の核酸を増幅するが、特に核酸量や品質の違いによって、比較解析する染色体DNA間で増幅量に差が発生し、精度良く解析することが出来なかった。
また、必ず2つの細胞間での競合的なハイブリダイゼーションが必要となり、解析の回ごとにそれぞれの細胞から染色体DNAを抽出し、抽出された染色体DNAに対して標識反応を行う必要があり、標識を行うための時間とコストがかかっていた。
また、解析に用いるDNAマイクロアレイの製造において、ピン先のロットの違いなどによって、得られるプローブスポットのサイズや形状の均一性には限界がある。その結果、ハイブリダイゼーションを利用した解析結果において、充分な再現性が得られていなかった。また、互いに特異性の異なるプローブを固相化したスポット間で、単純にシグナル値を比較して判定に用いることはできなかった。
また、こうしたマイクロアレイで核酸の定量を行うためには、アレイを作成する際に、固相化プローブ核酸として用いる合成オリゴDNAやcDNA等の固相化量を、作成する全てのチップにおいて、ある範囲内で常に一定量となるようにスポットして作製する必要があった。一定量となるように作製できなかった場合、固相化量のばらつきに起因する誤差の可能性があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、標準として用いる核酸や、プローブ、プローブスポット等に起因する誤差の可能性を排除または補正可能とし、遺伝子の発現頻度を再現性よく解析することにある。また、試料核酸内における一次構造の変化を解析することにある。
本発明の核酸の解析方法は、試料核酸の一次構造を解析する方法であって、
試料核酸及びプローブからなる試料核酸ハイブリッドからのシグナルを検出することで当該試料核酸中の1種以上の標的塩基配列の一次構造を解析する方法であって、
該1種以上の標的塩基配列を含む合成標準核酸、及び該プローブからなる合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを検出し、該合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを基準として該試料核酸ハイブリッドからのシグナルを補正することで、該試料核酸の一次構造を解析することを特徴とする。
本発明の試料核酸の一次構造の解析においては、前記合成標準核酸を予めプールし、同一プールからの合成標準核酸を利用して行うことが好ましい。
また前記合成核酸は、対照用細胞から抽出された染色体から合成されていることが好ましい。
更に前記合成核酸は、既知の塩基配列をもとに合成されていることが好ましい。
前記合成核酸は、2種以上の標的塩基配列を1分子内に含むことができる。
本発明の試料核酸の解析方法においては、プールされた前記合成標準核酸の核酸濃度及び品質を、予め測定しておくことが好ましい。
ここで、前記合成標準核酸の核酸濃度、品質、及び該合成標準核酸に特異的なシグナル値を、データベースに登録し、該データベースを、試料核酸に特異的なシグナルの補正及び/又は複数の試料核酸間におけるシグナルの比較に用いることが好ましい。
さらに、前記データベースが、解析条件、プローブの塩基配列、並びに、該条件及び該塩基配列の組み合わせ、から選ばれる1以上の区分に従って設定されていることが好ましい。
本発明の方法において、第一の標識処理を施された試料核酸と、第一の標識処理と異なる第二の標識処理を施された前記合成標準核酸と、第一の標識処理及び第二の標識処理と異なる第三の標識処理を施された又は担体表面に固相化された前記プローブとを用い、
前記試料核酸を、前記プローブに接触させて第一のハイブリッド体を形成させ、該第一のハイブリッド体に特異的な第一のシグナル強度を測定する第一過程、
前記合成標準核酸を前記プローブに接触させて第二のハイブリッド体を形成させ、該第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を測定する第二過程、
及び、前記第二のシグナル強度を基準として、前記第一のシグナル強度を補正する第三過程を有する方法を用いることができる。
前記担体は、マイクロアレイであることが好ましい。
ここで、前記第一のハイブリッド体の形成および前記第二のハイブリッド体の形成を、同一のマイクロアレイ上で行うことが好ましい。
第一のシグナル強度及び第二のシグナル強度の間のばらつきを補正する過程をさらに含むことが好ましい。
前記第三過程において、前記第二のシグナル強度を基準として、固相化されたプローブ量に起因する第一のシグナル強度のばらつきを補正することが好ましい。
また、前記第一過程及び第二過程が、カイネティックアッセイにより行われることが好ましい。
ここで、前記カイネティックアッセイが、反応溶液の温度、pH、及び組成から選ばれる1種以上の条件を変化させて行われることが好ましい。
第一の標識処理及び第二の標識処理において、蛍光色素を用いることが好ましい。
また、2種類以上の前記プローブを用い、同一のプローブに対する前記第一のハイブリッド体形成及び前記第二のハイブリッド体形成を、各種プローブについて互いに独立に行い、各種プローブに対する合成標準核酸及び試料核酸の結合量比を測定する過程と、全プローブにおける結合量比の組み合わせを確認する過程をさらに有する方法を行うことができる。
ここで、前記合成標準核酸が、2種類以上の標的塩基配列を含むことが好ましい。
本発明の方法は、2種類以上の試料核酸に対しても好適である。
本発明の核酸の解析キットは、本発明の核酸の解析方法に用いられることを特徴とする。
本発明によれば、標準として用いる核酸や、プローブ、プローブスポット等に起因する誤差の可能性を排除または補正可能とすることができる。従って、遺伝子の発現頻度を再現性よく解析することができる。また、試料核酸内における一次構造の変化を解析することができる。
実施例1における染色体モデルを示す概念図である。 実施例1において用いたプローブの、アレイにおける配置を示す平面図である。 実施例1における標的サンプル溶液Iのモデルを示す概念図である。 実施例1における標的サンプル溶液IIのモデルを示す概念図である。 実施例1における標準溶液のプロファイル(プローブ種類に対する蛍光強度)を示すグラフである。 実施例1における、標準溶液及び標的サンプルIのプロファイル(プローブ種類に対する蛍光強度)を示すグラフ、並びに推定された一次構造である。 実施例1における標準溶液及び標的サンプルIIのプロファイル(プローブ種類に対する蛍光強度)を示すグラフ、並びに推定された一次構造である。 実施例2において用いたプローブの、アレイにおける配置を示す平面図である。
本発明の核酸の解析方法(以下、「核酸解析方法」という場合がある)は、特定の塩基配列を有する試料核酸の一次構造を解析する方法であるが、この方法においては、該1種以上の標的塩基配列を含む合成標準核酸、及び該プローブからなる合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを検出し、該合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを基準として該試料核酸ハイブリッドからのシグナルを補正することで、該試料核酸の一次構造を解析することを特徴とする。
本明細書において、核酸の一次構造とは、核酸分子内における標的塩基配列の有無を包含する。また、正常型染色体あるいは他の試料と対比して特定領域の欠損、増幅、転座、逆位、挿入等の有無を包含する。
本発明の方法においては、常に、すなわち、解析の回、解析装置(例えば、マイクロアレイ)の別、プローブの種類等に関らず、前記合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを基準とする。
本発明の方法では、標準核酸として、予め合成された合成核酸からなるものを用いるが、これをプールして、複数回、複数装置、複数種のプローブ(例えば複数のプローブスポット)等に渡る解析を通して共通に保存し使用することができる。プールした合成標準核酸を使用することにより、比較解析しようとする標準核酸の核酸量、核酸量の調整操作、不純物による蛍光取り込み効率のばらつき、等に起因する誤差の可能性を完全に排除することができるようになる。
したがって、アレイを用いる場合のプローブ固相化量、スポットのサイズ、形状等の、標準核酸以外の要因によるシグナル強度の誤差を判定し、補正することができる。
よって、特定種のプローブと試料核酸とのハイブリダイゼーションを利用し、シグナル強度を検出する検討を複数回行った場合に、複数回に渡る検討結果を互いに補正できる。したがって、第一に、特定プローブ種に対応する標的塩基配列の存在量(核酸量)を再現性よく測定でき、遺伝子発現頻度を、明確に解析することができる。なお本明細書において、プローブの種類とは、プローブの塩基配列の別をいう。
また下記理由により、第二に、アレイ化されたDNA断片に相当する領域におけるDNAのコピー数の変化を検出するのみでなく、試料核酸内における一次構造を同定したり、一次構造変化を判定することができる。
即ち、標準核酸として解析ごとに細胞から抽出したものを用いる従来のACGH法で、標的細胞由来の染色体DNAの一次構造の変化を解析しようとすると、下記の障害が発生する。標準核酸、試料核酸と、一次構造解析領域に対応する複数種のプローブとのハイブリダイゼーションを行わせたとき、標準核酸側に誤差の要因が存在するため、各プローブの固定化量、スポットサイズ、形状等による誤差を補正する手段がなく、各プローブ種に対応するハイブリッド体のシグナル強度を、プローブ種類間で定量的に比較できない。
これに対し、本発明では、標準核酸に起因する誤差の可能性を排除することができるから、プローブ、プローブスポット等由来の要因による誤差を判定し、補正することができる。したがって、各種プローブに対して試料核酸の形成したハイブリッド体のシグナル強度を、即ち、各種プローブに相補的な標的塩基配列の、試料核酸における存在量を、定量的に比較することができる。このことにより、試料核酸における核酸配列の一次構造の変化を正確に判定することができる。
具体的には、プローブ種類に対するシグナル強度からなるプローブ種類−シグナル強度プロファイルを、プローブの固相化されたスポットの別、マイクロアレイの別、ハイブリダイゼーションの回の別に関らず、信頼できる共通のものとして作成できる。
本発明によれば、合成標準核酸を基準とすることで、さらに、2種以上の試料核酸−プローブ種類に対応した検討結果を比較可能とできる。したがって、2種以上の試料核酸間で、一次構造の異同を信頼性よく判定することができ、従来の方法に対し有利な効果を奏する。
また、解析の回ごとに、標準用に用いる細胞から核酸を抽出、標識する操作が必要なくなり、時間、コスト等を低減することができる。
(試料核酸)
本発明の核酸解析方法によって解析される試料核酸として、検体等から抽出された染色体DNAをそのまま本発明の方法に供してもよいし、染色体DNAに増幅処理を行ってから供してもよい。増幅処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
(合成標準核酸)
本発明に用いられる合成標準核酸は、予め合成された合成核酸からなり、1種以上の標的塩基配列を含み、かつプールされたものである。
ここで標的塩基配列は、一次構造解析の目的のもと、試料核酸において存否を検出しようとする塩基配列である。
合成標準核酸は1種の標的塩基配列を含むものであってもよく、2種以上の標的塩基配列を含むものであってもよい。
合成標準核酸が2種以上の標的塩基配列を含む場合、合成標準核酸は、各々異なる標的塩基配列を含む合成核酸分子が2種以上混合された混合物であってもよいし、2種以上の標的塩基配列を1分子内に含む合成核酸分子からなってもよいが、前記合成核酸が、1分子内に、2種以上の標的塩基配列を含むことが好ましい。1分子内に2種以上の標的塩基配列を含ませることで、標的の塩基配列が染色体上の近い領域に存在している場合に用いる合成標準核酸を、より実サンプルに近い状態にすることが可能となるので、解析の誤差をさらに小さくすることができる。標的の塩基配列が染色体上の近い領域に存在していない場合でも、少ない種類の合成核酸で、多種の標的塩基配列に関する補正を行えるので、準備する合成核酸の種類を少なくできる点で有利である。
合成核酸の合成は、例えば、酵素反応により又は化学的に行える。酵素反応の場合、試料核酸における増幅処理と同様の酵素反応によってもよいし、異なる酵素反応によってもよい。
前記合成核酸は、対照用細胞から抽出された染色体から合成されていることが好ましい。
対照用細胞に由来するものであっても、予め合成され、プールされた合成核酸として常に共通のものを用いることで、標準用の核酸に起因する誤差の可能性を排除することができる。対照用細胞に由来する合成核酸を用いれば、試料核酸が実験群細胞由来である場合に、対照群と実験群との一次構造比較を特に簡便に行うことができる。
(プローブ)
本発明に用いられるプローブは、合成標準核酸に含まれる標的塩基配列に相補的な塩基配列を有する。試料核酸において検出しようとする標的塩基配列が2種以上である場合は、各標的塩基配列に相補的なプローブをそれぞれ準備することが好ましい。
本発明において、プールされた中から常に(例えば、試料核酸の別に関らず)一定量の合成標準核酸を用いれば、複数の試料核酸における一次構造の差異を検出することが可能である。ここで、複数の試料核酸を、互いに異なる実験群由来や異なる細胞由来とすることで、実験群間や細胞間での核酸一次構造の比較判定が可能である。
さらに、プールされた前記合成標準核酸の核酸濃度及び品質を、予め測定しておけば、複数の試料核酸の比較を必要とせずに、特定の試料核酸の一次構造を推定することができる。
品質の指標としては、合成標準核酸の総体に含まれる塩基配列の種類、各塩基配列の含有率、タンパク質や多糖類など不純物の含有率、等が挙げられる。
前記合成標準核酸の核酸濃度、品質、及び該合成標準核酸に特異的なシグナル強度値を、データベースに登録し、該データベースを、試料核酸に特異的なシグナルの補正及び/又は複数の試料核酸間におけるシグナルの比較に用いることが好ましい。
前記データベースは、解析条件、プローブの塩基配列、並びに、該条件及び該塩基配列の組み合わせから選ばれる1以上の区分に従って設定されていることが好ましい。
解析条件としては、後述のハイブリダイズ反応の条件、試料核酸・合成標準核酸に対する標識処理の種類、シグナル強度の検出条件等が挙げられる。
以下、本発明の実施態様を例示する。
本実施態様は、第一の標識処理を施された試料核酸と、第一の標識処理と異なる第二の標識処理を施された前記合成標準核酸と、第一の標識処理及び第二の標識処理と異なる第三の標識処理を施された又は担体表面に固相化された前記プローブとを用い、前記試料核酸を、前記プローブに接触させて第一のハイブリッド体を形成させ、該第一のハイブリッド体に特異的な第一のシグナル強度を測定する第一過程、一定量の前記合成標準核酸を前記プローブに接触させて第二のハイブリッド体を形成させ、該第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を測定する第二過程、及び、前記第二のシグナル強度を基準として、前記第一のシグナル強度を補正する第三過程を有する。
本実施態様において、試料核酸には、予め第一の標識処理を施しておく。
また、合成標準核酸には、第二の標識処理を施しておく。プローブは、第三の標識処理を施されたもの、又は担体表面に固相化されたものとする。したがって、プローブと試料核酸から形成される第一のハイブリッド体、及びプローブと合成核酸から形成される第二のハイブリッド体を、プローブの種類に対応させて検出することができる。これらの第一、第二、第三の標識処理は、それぞれの検出工程において区別して検出可能なものであれば特に制限はない。
例えば、種々の蛍光物質を標識として用いることが可能であり、これには種々の蛍光色素のほかに、蛍光ガラス粒子、蛍光半導体微粒子等も用いることができる。
また、散乱光や反射光による検出を行うことも可能であり、金属粒子や誘電体粒子を標識として用いることができる。例えば金微粒子、銀、白金、シリコンなどの微粒子やラテックス粒子を用いることができる。特に、金、銀、白金などの金属の微粒子は、粒径が10〜100nmのものが、運動状態にある粒子の速さが最適となるため特に好ましい。また、ラテックス粒子は、粒径が0.1〜1μmのものが、同様に、運動状態にある粒子の早さが最適となるため好ましい。ここで、粒子の運動状態には、例えばブラウン運動や振動などが挙げられる。適切な粒径は、粒子の比重とブラウン運動の速さ等により、適宜決定される。
また、ビオチンとアビジンの反応のように、特異的な結合を形成する物質を用い、上述したような、蛍光物質、金属粒子や誘電体粒子等を標識することも可能である。さらに、酵素を結合した前記特異的な結合を形成する物質を用い、これに基質を供給して、化学発光や化学反応を利用した検出を行うことも可能である。放射性同位元素を標識することも可能である。
なお、標識処理の容易性、コスト、および、検出の容易性を考慮すると、標識処理には蛍光色素を用いることが好ましい。
(第一、第二過程)
第一過程と第二過程は、順不同で順次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
第一過程においては、前記試料核酸を前記プローブに接触させる。このことにより、プローブと試料核酸からなる第一のハイブリッド体を形成させる。そして、前記第一のハイブリッド体に特異的な第一のシグナル強度を測定する。
第二過程においては、前記合成標準核酸を前記プローブに接触させる。このことにより、プローブと合成核酸からなる第二のハイブリッド体を形成させる。そして、前記第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を測定する。
このとき、第一、第二過程に用いるプローブの種類は、互いに共通とする。第一のハイブリッド体及び第二のハイブリッド体の形成は、試料核酸及び合成標準核酸を、同一のプローブに対し同時に接触させて競合的に行わせてもよいし、同一のプローブに対し順次接触させて非競合的に行わせてもよい。また、プローブの種類が共通であれば、試料核酸と合成標準核酸を、各々別のプローブ分子と接触させてもよい。
第一、第二過程は、例えば以下の方法によって行える。
まず、前記プローブに、前記合成標準核酸および前記試料核酸を含む反応溶液を接触させ、ハイブリダイズ反応させる。ここで、ハイブリダイズ反応させる温度、時間、方式等は限定されない。また、反応溶液のpH、塩濃度等も限定されない。
その後、例えばプローブが担体表面に固相化されている場合はプローブスポット毎に、第一の標識処理に特異的なシグナル強度と、第二の標識処理に特異的なシグナル強度をそれぞれ測定する。
(第三過程)
前記第一過程及び前記第二過程を行った後、第三過程を行う。
第三過程においては、第二のシグナル強度を基準として、第一のシグナル強度を補正する。
第一及び第二過程の後、第三過程の前に、所望により、プローブに対してハイブリッド体を形成していない核酸を除去する過程を行ってもよい。例えば、プローブとして担体表面に固相化されたものを用いた場合、担体表面を洗浄すればよい。また、プローブとして磁気ビーズ等に接合されたものを用いた場合、ハイブリッド体と未反応核酸からなる反応溶液に対して磁場をかけて磁気ビーズを含んだハイブリッド体と、磁気ビーズを含まない未反応核酸とを分離することも可能である。この方式を利用する場合には、固相での反応を介することなく、液相で反応、測定などを行うことが可能となる。
本実施態様において、前記合成標準核酸は、予め合成されプールされたものであり、合成標準核酸を含む第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を基準として、第一のシグナル強度を補正することにより、合成標準核酸を常に基準としている。
ここで、1種のプローブを用いても、2種以上のプローブを用いても構わない。2種以上のプローブを用いる方式は、試料核酸の特定領域における一次構造の変化を判定するために特に好適である。特定領域における一次構造の解析に適した方法については、後に詳述する。
プローブとして、担体に固相化されたものを用いる場合に、前記第三過程において、前記第二のシグナル強度を基準として、固相化されたプローブ量に起因する第一のシグナル強度のばらつきを補正することができる。
例えば、解析の回に関らず前記合成標準核酸を用いることで、特定プローブに着目したとき解析の回どうしでプローブ固相化量がばらつくことによる、第一のシグナル強度のばらつきを補正することができる。よって、試料核酸における標的塩基配列の絶対的または相対的な存在量を、再現性よく求めることができる。
また、2種以上のプローブを用い、プローブの種類に関らず前記合成標準核酸を用いることで、試料核酸に着目したときプローブ種類間でプローブ固相化量がばらつくことによる、第一のシグナル強度のばらつきを補正することができる。よって、各プローブ種に特異的な第一シグナル強度どうしを定量的に比較することができる。
1種類の試料核酸について解析を行う場合、前記合成標準核酸として品質の明らかなものを、好ましくは一定量用い、第二のシグナル強度を基準として第一のシグナル強度を補正することにより、該試料核酸における標的塩基配列の存在量を再現性よく定量することができる。さらに、前記合成核酸を、既知の塩基配列をもとに合成されたものとして、合成標準核酸における標的塩基配列の含有率を、既知の正常型あるいは変異型遺伝子に対応する組成とすれば、試料核酸の正常型・変異型判定を容易に行うことができる。
2種以上の試料核酸について解析を行う場合、各試料核酸について、独立に第一過程及び第二過程を行い、各試料核酸に対応した複数の第一シグナルを得る。この場合、合成標準核酸の品質は予め測定されていなくてもよい。
プールされた合成標準核酸を、試料核酸の別に関らず一定量用いることで、同種のプローブに対する各第一シグナル強度を、第二のシグナル強度を基準として補正し、互いに比較することが可能となる。したがって、同一個体における別個の部位由来、同一個体の同一部位で採取時点の異なる検体由来、対照群と実験群由来、等の試料核酸間で、一次構造の比較を正確に行うことができる。例えば、一方の試料核酸に対して、他方の試料核酸において標的塩基配列が増減したかを、正確に判定することができる。
本実施態様において、プローブが担体表面に固相化されている場合、担体としては、種々の形態のものを適用することが可能である。例えばシリコンウェハやガラスのような2次元基板、メンブレンフィルター、マイクロタイタープレート、種々のガラスビーズや樹脂ビーズ、種々の多孔質基板、種々のゲルを適用することが可能である。ここで、マイクロアレイを使用することが好ましい。マイクロアレイ等の担体には、複数種類のプローブ核酸を、同一又は別個のスポット上に固相化することができる。
このとき、前記第一のハイブリッド体(第一ハイブリッド)の形成および前記第二のハイブリッド体(第二ハイブリッド)の形成を、同一のマイクロアレイ上で行うことが好ましい。さらに、第一ハイブリッド及び第二ハイブリッドの形成を、同一のプローブに対し競合的に行わせることが好ましい。
本実施態様において、第一のシグナル強度及び第二のシグナル強度の間のばらつきを補正する過程をさらに含むことが好ましい。このことは、試料核酸と合成標準核酸の違いによるハイブリダイゼーション効率の差を補正し、より正確な核酸の一次構造の解析を行うために有利である。
前記第一過程及び第二過程は、カイネティックアッセイにより行われることが好ましい。
カイネティックアッセイとしては、例えば、上記のハイブリダイズ反応条件を複数設定し、かつ、シグナル強度値のデータ取得をカイネティックに行えばよい。
カイネティックなデータ取得とは、標的塩基配列とプローブとの相補性によるハイブリッド形成反応の測定条件又は検出条件を変更しながら行うことを意味する。カイネティックなデータ取得は、時間に関して定点ではなく、例えば反応溶液の温度、pH、及び組成から選ばれる1種以上の条件を変化させて、測定時間を数分間から数時間程度の範囲内で行う。反応条件の変更は、段階的に又は連続的に行うこともできる。
ハイブリッド形成は通常、配列情報に基づいた推定の最適条件において行われるものである。従ってその条件が本当に最適条件であるかはわからないのが普通である。そのために、静的(非カイネティック)に、又は定点的に測定を行う場合には、最適ではない条件下でのデータ取得を行っている可能性がある。
これに対し、第一、第二過程を、カイネティックアッセイにより行い、カイネティックなデータ取得を実施することにより、複数の反応条件でハイブリダイズ反応を進行させ、それを経時的に測定することが可能となる。従って、例えばTm値など、配列固有の特性値が異なる複数種類のプローブが同一アレイ上に固相化されている場合であっても、カイネティックなデータ取得を行えば、その特性値の範囲を考慮して実験を行い、複数種類の配列の検出をほぼ同時に正確に行うことが可能となる。
上述の通り、2種以上のプローブを用いる方式は、試料核酸の特定領域における一次構造の変化を判定するために特に好適である。例えば、2種類以上の前記プローブを用い、同一のプローブに対する前記第一のハイブリッド体形成及び前記第二のハイブリッド体形成を、各種プローブについて互いに独立に行い、各種プローブに対する合成標準核酸及び試料核酸の結合量比を測定する過程と、全プローブにおける結合量比の組み合わせを確認する過程をさらに有する方式を行って、特定領域における一次構造を推定することができる。
結合量比を測定するために、第一の標識処理を施された試料核酸と、第一の標識処理と異なる第二の標識処理を施された前記合成標準核酸と、第一の標識処理及び第二の標識処理と異なる第三の標識処理を施された又は担体表面に固相化されたプローブとを利用することができる。
この方式を用いて、試料核酸の一次構造が正常型・変異型のいずれであるかの判定、及び/又は、2以上の試料核酸間で一次構造の差異があるかという判定を容易に行うことができる。
変異の例としては、特定領域における塩基配列の欠損、増幅、転座、逆位、挿入等が挙げられる。
この方式は、例えば、以下の手順で行うことができる。
まず、前記合成標準核酸および前記試料核酸を、前記プローブとハイブリダイズ反応させ、第一のハイブリッド体および第二のハイブリッド体を形成させる。但し、この方式では、第一、第二のハイブリッド体形成は、同一のプローブに対して競合的又は非競合的に行わせることが必要である。
プローブの種類ごとに、第一のハイブリッド体に特異的な第一のシグナル強度を測定する。そして、各プローブ種類に対応させたシグナル強度からなる標準プロファイルを作成する。同一のプローブについて、第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を測定する。そして、各プローブ種類に対応させたシグナル強度からなる標的プロファイルを作成する。
各種プローブにおける各結合量比の組み合わせは、各種プローブにおける第一、第二のシグナル強度比の、複数プローブに渡る組み合わせとして、間接的に確認することができる。
合成標準核酸を正常型、変異型として予め判明した構成にしておけば、標準プロファイルと標的プロファイルとを用いて、各プローブにおける結合量比を評価することで、単一の試料核酸について、正常型、変異型の判定を行うことができる。また、合成標準核酸を、組成に関らず共通に、複数の試料核酸に対して用いて検討を行い、検討結果を互いに比較することで、試料核酸間で一次構造の差異を検出することができる。
2種類以上のプローブを用いる方式において、2種類以上の標的塩基配列を含む合成標準核酸を用いることが好ましい。
本発明の核酸解析キットは、以上説明した本発明の核酸解析方法に用いられることを特徴とする。
この核酸解析キットは、予め合成された合成核酸からなり、1種以上の標的塩基配列を含み、かつプールされた合成標準核酸と、該標的塩基配列に相補的な塩基配列を有するプローブとを含む。
なお、合成標準核酸は標識処理を施され、プローブは該合成標準核酸と異なる標識処理を施された又は担体表面に固相化されたものであることが好ましい。
また、所望に応じて、合成標準核酸に含まれる標的塩基配列を2種以上としたり、プローブを2種以上としたりすることができる。
本発明に基づいて行った、染色体の一次構造変化(正常型一次構造に対して)の有無を決定する方法のモデルを示す。
図1に示すような染色体の特定の領域A、B、C、D、E、Fを想定した。領域A、B、 Cは、同一の染色体a上に乗っており、また、D、E、Fが別の染色体b上に存在するものと想定した。これら、特定領域の染色体の欠失や増幅による一次構造の変化を解析した。領域A、B、C、D、E、Fに対応する塩基配列が、本実施例における標的塩基配列となる。
以下、A、B、C、D、E、Fに対応するオリゴDNAを用いて実験を行った。
実験ステップは、1)マイクロアレイの作製、2)蛍光標準サンプル(合成標準核酸)の作成、3)蛍光標的サンプル(試料核酸)作成、4)標準サンプルと標的サンプルのマイクロアレイに対するハイブリダイゼーション、5)データ解析、のステップから構成した。
試料として、化学合成したオリゴDNAを用いた。Aに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号1−2)、Bに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号3−4)、Cに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号5−6)、Dに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号7−8)、Eに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号9−10)、Fに対応する塩基配列を検出するプローブ(配列番号11−12)を、多孔質構造を有する基板上に図2の配置で固相化した。図2において、符号A〜Fは、図1に示す領域A〜Fと対応し、番号1〜12は、配列番号1〜12にそれぞれ対応する。
これら各プローブ配列に相補的な塩基配列の5´末端にCy5標識が施されたオリゴDNAを、化学的に各々合成した。各種の合成オリゴDNAを各50nM含むように10mM Tris−HCl pH7.5で調整した標準溶液(合成標準核酸溶液)を作製した。
また、各プローブ各配列に相補的な塩基配列を有し、5´末端にCy3の標識が施されたオリゴDNAを、化学的に合成した。A、B、C、D、E、Fを各50nM含むように10mM Tris−HCl pH7.5で調整した標的サンプル溶液Iを作成した。
さらに、A、Dを各50nM及びB、C、E、Fを各25nM含むように10mM Tris−HCl pH7.5で調整した標的サンプル溶液IIを作成した。
即ち、標的サンプル溶液Iは、図3のようにA、B、Cの領域及び、D、E、Fの領域において、染色体構造に変化が無く、DNA量も正常であるモデルである。標的サンプル溶液IIは、図4のようにA、Dの領域は正常であるが、B、C、E、Fの領域については、染色体上でLOH(ヘテロ接合性の消失)が生じ、DNA量が通常の1/2になっているモデルである。
ハイブリダイゼーションの分析は、オリンパス(株)製のPAM マイクロアレイシステム:FD10によって行なった。この実験システムは、反応フィルターの周りの溶液駆動と温度制御、および蛍光スポットの画像の記録を自動的に行なうことが出来るように設計されている。直径6mmのマイクロアレイが設置された専用チャンバーの反応部分に、ハイブリダイゼーションバッファーと混合した標準溶液と標的サンプル溶液を以下のように加え、溶液駆動と温度変化を与え、蛍光画像を撮像した。
まず、染色体構造に変化が無く、DNA量も正常であるモデルの検証において、標準溶液及び標的サンプル溶液Iを10ulずつ、ハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)を行った。
また、別のアレイで、染色体上でLOHが生じ、DNA量が通常の1/2になっているモデルの検証においては、標準溶液及び標的サンプル溶液IIを10ulずつ、ハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)を行った。
これらの反応で、標準溶液及び各標的サンプル溶液とA〜Fの塩基配列を検出する固相化プローブがハイブリダイズし、第一及び第二のハイブリッド体を形成した。
次に、各スポットにおけるCy3と、Cy5の各蛍光色素のシグナルを検出し、シグナル強度データを取得し、得られた画像を蛍光強度解析用にプログラムした解析ソフトウエアを利用して解析した。一つのスポット内で、2色蛍光の強度を観察することにより、その配列の存在量を推定することができた。
以下、図5〜7において、棒グラフの横軸はプローブ種類(A〜Fに各々相補的なプローブ)、縦軸は蛍光強度を示す。
即ち、標準溶液については、各スポットでCy5の蛍光が図5のように見られた。各固相化プローブに対するハイブリダイゼーション効率は、その高次構造によりばらついているが、標準溶液内の各オリゴDNA量は予め設定されており、基準となる各スポットごとの蛍光強度が測定でき、2つのアレイにおけるハイブリダイズした各スポットの蛍光強度プロファイルは同様の形態を示した。
また、今回用いた2つのマイクロアレイ間における、スポット固相化量のばらつきは非常に少なく、許容範囲内にあることが推定できた。
また、この標準溶液は、プールされているため、後で、実験結果が予想されるものと一致しなかった時に、標準サンプルの履歴を確認することができた。
次にCy3で標識した標的サンプル溶液のハイブリダイゼーションシグナルを解析した。図6、7において、斜線で示される棒グラフは、図5に示した、標準溶液の検討による蛍光強度を示す棒グラフと同一である。
図6のように、標的サンプル溶液Iにおいては、標準溶液による蛍光強度との差は見られるものの(A〜Cは標準溶液のシグナルの約1.3倍、D〜Fは標準溶液のシグナルの約1.4倍)、A〜Fにおいては標準溶液と同様なプロファイルを示し、染色体上の構造に変化が無く、DNA量も正常であることが推定できた。
図7のように標的サンプル溶液IIにおいては、A、Bにおいては標準溶液と同様なプロファイルを示したが(Aは標準溶液のシグナルの約1.3倍、Dは標準溶液のシグナルの約1.4倍)、B、C、E、Fの領域については、蛍光量が標準溶液のシグナルの0.65倍(B、C)から0.7倍(E、F)に減少し、DNA量が少なくなっていることが推定できた。このように標的サンプル溶液IIは、A、Dの領域は正常であるが、染色体上B、C、E、Fの領域でLOHが生じ、正常型モデルである標的サンプル溶液Iに対してDNA量が減少していることが推定できた。
あるPCR産物内での欠失を解析するモデルを示す。
試料として、プラスミドpUC18を制限酵素EcoRI(TaKaRa)で切断し、配列番号17の配列をライゲーションによって挿入し、試料Iを作成した。また、プラスミドpUC18をAccIで切断し、配列番号17を制限酵素AccIで切断して得られる515bp(配列番号17の286番目の塩基から801番目の塩基で切断されたDNA断片)を挿入した。
配列番号17の配列の356番目から35bpまでの配列Gである配列番号13及びその相補鎖である配列番号14、並びに、2550番目から37bpまでの配列Hである配列番号15及びその相補鎖である配列番号16を、多孔質の構造を有する基板からなるマイクロアレイ上に、図8に示す配置で固相化した。
これら各プローブ配列に相補的な塩基配列の5´末端にCy5の標識を行ったオリゴDNAを化学的に合成し、各種のオリゴDNAを各50nM含むように10mM Tris−HCl pH7.5で調整した標準溶液を作成した。
また、5´末端にCy3ラベルした配列番号18のM13 Primer M4と配列番号19のM13 Primer RVのプライマーを用いて、試料Iのプラスミドを鋳型にPCRで増幅を行った。また、同様に試料IIを鋳型に増幅を行った。
即ち、試料Iは、配列番号17全体を含む試料核酸であり配列G及びHを持つ。一方、試料IIは、標的塩基配列の一部である515bpを持ち、配列Gをは持つがHは持たない。
試料IからのPCR産物のみを10μl用いた試料(正常型モデル試料)と、試料Iと試料IIのPCR産物を5μlずつ混合した試料(欠失型モデル試料:PCR産物内に欠失が存在し、領域Hが1/2に減少しているモデル)を作成した。
ハイブリダイゼーションの分析は、オリンパス(株)製のPAM マイクロアレイシステム:FD10によって行なった。この実験システムは、反応フィルターの周りの溶液駆動と温度制御、および蛍光スポットの画像の記録を自動的に行なうことが出来るように設計されている。直径6mmのマイクロアレイが設置された専用チャンバーの反応部分に、ハイブリダイゼーションバッファーと混合した標準溶液と標的サンプル溶液を加え、溶液駆動と温度変化を与え、蛍光画像を撮像した。
まず、染色体構造に変化が無く、DNA量も正常であるモデルの検証において、標準溶液及び正常型モデル試料を10ulずつ、ハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)を行った。
また、別のアレイで、欠失モデルの検証においては、標準溶液及び欠失型モデル試料を10ulずつ、ハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)を行った。
これらの反応で、標準溶液及び各モデル試料と領域G及びHの塩基配列を検出する固相化プローブがハイブリダイズし、第一及び第二のハイブリッド体を形成した。
次に、各スポットにおけるCy3と、Cy5の各蛍光色素のシグナルを検出し、得られた画像を蛍光強度解析用にプログラムした解析ソフトウエアを利用して解析しその配列の存在量を推定した。その結果、一つのスポット内で、2色蛍光の強度を観察することによって、その配列の存在量を推定できた。
即ち、標準溶液は、各スポットでCy5の蛍光が見られ、基準となる各スポットごとの蛍光強度が測定でき、2つのアレイにおけるハイブリダイズした各スポットの蛍光強度プロファイルは同様の形態を示した。
次にCy3で標識した正常型モデル試料のハイブリダイゼーションシグナルを解析した。領域G,Hを検出するプローブにおいては標準溶液とほぼ同様なプロファイルを示し(標準溶液に対する蛍光強度比はGが2倍、Hが1.5倍)、試料核酸上の構造に変化が無く、DNA量も正常であることが推定できた。欠失型モデル試料においては、領域Gにおいては標準溶液と同様なプロファイルを示したが、領域Hについては、蛍光量が標準溶液の0.7倍に減少し、DNA量が少なくなっていることが推定できた。このようにPCR産物によって増幅された分子内での欠失による構造変化を推定することができた。

Claims (20)

  1. 試料核酸及びプローブからなる試料核酸ハイブリッドからのシグナルを検出することで当該試料核酸中の1種以上の標的塩基配列の一次構造を解析する方法であって、
    該1種以上の標的塩基配列を含む合成標準核酸及び該プローブからなる合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを検出し、該合成標準核酸ハイブリッドからのシグナルを基準として該試料核酸ハイブリッドからのシグナルを補正することで、該試料核酸の一次構造を解析する方法。
  2. 前記合成標準核酸を予めプールし、同一プールからの合成標準核酸を利用して行う、請求項1に記載の解析方法。
  3. 前記合成核酸は、対照用細胞から抽出された染色体から合成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸の解析方法。
  4. 前記合成核酸は、既知の塩基配列をもとに合成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  5. 前記合成核酸が、2種以上の標的塩基配列を1分子内に含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  6. プールされた前記合成標準核酸の核酸濃度及び品質を、予め測定しておくことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  7. 前記合成標準核酸の核酸濃度、品質、及び該合成標準核酸に特異的なシグナル値を、データベースに登録し、該データベースを、試料核酸に特異的なシグナルの補正及び/又は複数の試料核酸間におけるシグナルの比較に用いる請求項6に記載の核酸の解析方法。
  8. 前記データベースが、解析条件、プローブの塩基配列、並びに、該条件及び該塩基配列の組み合わせ、から選ばれる1以上の区分に従って設定されていることを特徴とする請求項7に記載の核酸の解析方法。
  9. 第一の標識処理を施された試料核酸と、第一の標識処理と異なる第二の標識処理を施された前記合成標準核酸と、第一の標識処理及び第二の標識処理と異なる第三の標識処理を施された又は担体表面に固相化された前記プローブとを用い、
    前記試料核酸を、前記プローブに接触させて第一のハイブリッド体を形成させ、該第一のハイブリッド体に特異的な第一のシグナル強度を測定する第一過程、
    前記合成標準核酸を前記プローブに接触させて第二のハイブリッド体を形成させ、該第二のハイブリッド体に特異的な第二のシグナル強度を測定する第二過程、及び、
    前記第二のシグナル強度を基準として、前記第一のシグナル強度を補正する第三過程
    を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の核酸の解析方法。
  10. 前記担体は、マイクロアレイであることを特徴とする請求項9に記載の核酸の解析方法。
  11. 前記第一のハイブリッド体の形成および前記第二のハイブリッド体の形成を、同一のマイクロアレイ上で行うことを特徴とする請求項10に記載の核酸の解析方法。
  12. 第一のシグナル強度及び第二のシグナル強度の間のばらつきを補正する過程をさらに含む請求項9乃至11の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  13. 前記第三過程において、前記第二のシグナル強度を基準として、固相化されたプローブ量に起因する第一のシグナル強度のばらつきを補正する請求項9乃至12の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  14. 前記第一過程及び第二過程が、カイネティックアッセイにより行われることを特徴とする請求項9乃至13の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  15. 前記カイネティックアッセイが、反応溶液の温度、pH、及び組成から選ばれる1種以上の条件を変化させて行われることを特徴とする請求項14に記載の核酸の解析方法。
  16. 第一の標識処理及び第二の標識処理において、蛍光色素を用いることを特徴とする請求項9乃至15の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  17. 2種類以上の前記プローブを用い、
    同一のプローブに対する前記第一のハイブリッド体形成及び前記第二のハイブリッド体形成を、各種プローブについて互いに独立に行い、
    各種プローブに対する合成標準核酸及び試料核酸の結合量比を測定する過程と、
    全プローブにおける結合量比の組み合わせを確認する過程をさらに有することを特徴とする請求項9乃至16の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  18. 前記合成標準核酸が、2種類以上の標的塩基配列を含むことを特徴とする請求項17に記載の核酸の解析方法。
  19. 2種類以上の試料核酸に対して行われることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載の核酸の解析方法。
  20. 請求項1乃至19の何れか一項に記載の核酸の解析方法に用いられることを特徴とする核酸の解析キット。
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