JP2005031066A - 固定化核酸プローブの処理方法、核酸の検出方法、核酸濃度分析方法、および核酸検出用キット - Google Patents

固定化核酸プローブの処理方法、核酸の検出方法、核酸濃度分析方法、および核酸検出用キット Download PDF

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Abstract

【課題】 高集積、安価なDNAマイクロアレイを用いて、手間と時間とを短縮したハイブリダイゼーション実験を行うことのできるDNAマイクロアレイの処理方法を提供する。
【解決手段】 担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した核酸検出用の固定化プローブ核酸を処理する方法であって、
検出すべき核酸とは異なり、且つ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程、
を有する固定化プローブ核酸の処理方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、いわゆるDNAマイクロアレイなどの固定化核酸プローブの処理方法に関する。そして、該処理方法を用いた分析対象核酸の検出方法に関する。更には、分析対象核酸の試料中の濃度を簡便に推定することを可能とする核酸濃度分析方法に関する。本発明は、特に、オリゴヌクレオチドを基板に固定したDNAマイクロアレイを用いる場合に好適に適用可能である分析方法に関する。
従来より、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子の発現やシークエンスを決定するシステムが存在する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらのシステムにおいて、オリゴヌクレオチドプローブまたはcDNAプローブを基板上に配列し、そこに検体溶液を流すことにより、DNAプローブと検体溶液中の生体由来DNAのハイブリダイゼーション反応を実現している。
ここで使用されるオリゴヌクレオチドプローブまたは、cDNAプローブには、何の標識もされていなくて、検体溶液の中の核酸に何らかの標識が付加されている。このことによって、ハイブリダイゼーション反応が実現したスポット(プローブ)の位置だけが標識された物質によって特定できるという原理を用いて検体溶液中の核酸の解析を行っている。
しかしながら、従来の方法では、電気的な検出方法を除き、何らかの標識物質を検体中の調べたい核酸に混入する必要があった。なお、以前は放射性同位元素を用いて標識を行っていたが、危険性が高いため最近では蛍光物質を標識として用いることが多い。また、直接、標識物質を検体に混入するのではなく、アミノ基などの反応基を検体に混入し、後で標識物質と共有結合させて標識物質を検体に混入する方法もある。
いずれの方法にしても、検体に標識を混入することは手間と時間と費用のかかることであり、かつ、最終的なハイブリダイゼーション検出の定量性も不安定になる。
これらを克服する技術として、ハイブリダイゼーション検出をインターカレーターを用いた電気的測定で行う技術がある。しかしながら、この方法では高集積化が可能であり、かつ安価なDNAマイクロアレイを利用することができない。
特開平10−272000号公報 特開平11−187900号公報
本発明は、プローブ・アレイを分析に用いるための手間と時間を短縮した新たな処理方法を提供するものである。
すなわち本発明に係る処理方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した核酸検出用の固定化プローブ核酸を処理する方法であって、検出すべき核酸とは異なり、且つ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程、を有する。前記既知の核酸が、人工核酸であると好ましい。
また、本発明は上記の処理方法を用いた検出方法を提供する。すなわち、本発明にかかる検出方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いた核酸の検出方法であって、前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、検出すべき核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、を有する。
また、本発明に係る核酸の検出方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を準備する工程と、検出すべき核酸と、前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸と、を含有する溶液を準備する工程と、前記溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させ、前記溶液中の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、を有し、前記検出した標識量に基づいて、前記固定化プローブ核酸と結合する前記検出すべき核酸を検出することを特徴とする。
かかる分析方法を用いることにより、高集積、安価なDNAマイクロアレイを用いて、手間と時間を短縮したハイブリダイゼーション反応により、核酸の検出が可能となる。
また、本発明に係る分析方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いる核酸濃度分析方法であって、標識され、かつ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合する相補鎖を含む核酸を所定の濃度で含み、かつ未知検体由来の核酸を更に含む核酸混合溶液を調整する工程と、前記溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程とを有し、前記標識された核酸が、前記未知検体由来の核酸を含まずに前記核酸混合溶液に前記所定の濃度で含まれている場合に前記固定化プローブに結合する標識量に対する、前記核酸混合ハイブリダイゼーション溶液により得られる溶液により得られる前記固定化プローブに結合する標識量の減少量に基づいて前記核酸混合ハイブリダイゼーション溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする。
かかる分析方法を用いることにより、高集積、安価なDNAマイクロアレイを用いて、手間と時間を短縮したハイブリダイゼーション反応により、検出対象としての核酸、すなわち標的物質の定量分析を行うことが出来る。
また、本発明に係る分析方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いる核酸濃度分析方法であって、前記固定化プローブ核酸が配置されたチャンバー内に未知検体由来の核酸を含む溶液を導入する工程と、標識され、かつ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合する相補鎖を含む核酸を含有する溶液を前記溶液と混合するように該チャンバー内に導入する工程と、前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程と、を有し、前記相補鎖を含む核酸を含有する溶液の前記チャンバーへの導入量と、前記導入による前記固定化プローブに結合する標識量の変化量との相関に基づいて混合溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする。
かかる分析方法を用いることにより、高集積、安価なDNAマイクロアレイを用いて、手間と時間を短縮したハイブリダイゼーション反応により、検出対象としての核酸、すなわち標的物質の定量分析をより精度よく行うことが出来る。
また、本発明は、溶液中の核酸を検出するためのキットをも提供する。すなわち、本発明に係る核酸検出キットは、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸と、前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された核酸を含有し、前記検出すべき核酸を含む溶液を混合させるための溶液と、を含有することを特徴とする。
かかる発明によれば、高集積、安価なDNAマイクロアレイを用いて、手間と時間を短縮したハイブリダイゼーション実験を行えるという効果がある。また、コストをかけずに定量性の高い実験が行えるという効果もある。
また、本発明に係る核酸検出用の固定化プローブ核酸は、担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に予め結合されていることを特徴とする。
この場合、担体上に結合されたプローブ核酸において、60%以上が前記標識された核酸と結合していることが好ましい。しかし本法の原理は、該標識された核酸含量を問題とするものではなく、標識核酸の量が60%以下であっても本目的を達成し得るものである。
また、本発明に係る、核酸の検出方法は、担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に結合されている核酸検出用の固定化プローブ核酸を準備する工程と、検出すべき核酸を含む溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、を有し、前記固定化プローブに予め結合していた標識量と、前記検出工程によって検出した標識量との比較の結果に基づいて、前記固定化プローブ核酸と結合する前記検出すべき核酸を検出することを特徴とする。
また、本発明に係る核酸濃度分析方法は、担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に結合されている核酸検出用の固定化プローブ核酸を準備する工程と、検出すべき核酸を含む溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程と、を有し、前記固定化プローブに予め結合していた標識量と、前記検出工程によって検出した標識量との比較の結果に基づいて、前記溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする。
かかる発明によれば、ハイブリダイゼーション反応により予め結合している標識された核酸によって、担体に固定化されているプローブ核酸の存在を出荷前、または実験前に確認することができる。
これにより、低いコストで高い品質のアレイを提供することが可能となるだけでなく、検出前の品質の確認も可能となるという多大な効果が提供される。
さらに、未知検体核酸とDNAマイクロアレイのハイブリダイゼーション実験に先立ち、DNAマイクロアレイ上のプローブDNAの定量ができるので、より精密な未知検体核酸の濃度分析等の実験ができる。
また、未知検体の標識化の作業が省ける為、検体処理が非常に簡略化でき、時間が短縮できるという効果もある。DNAマイクロアレイを用いた実験システムの定量性が高くなるという利点もある。
また、本発明に係る遺伝子多型判定用の核酸の検出方法は、
遺伝子多型判定のための核酸分析方法であって、担体上の既知の位置に、標的遺伝子多型の全アレルの核酸またはその相補鎖を含む核酸を固定したプローブ核酸を準備する工程と、前記プローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸と未知検体由来の標識されていない核酸とを前記プローブ核酸と接触させ、ハイブリダイゼーション反応を行う工程と、前記プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、を有し、前記標識量のバランスに基づいて、前記未知検体由来の核酸の遺伝子多型判定を行う。
SNPの数は人間の全ゲノム中に100万以上あると考えられており、これらのうちの重要なSNPだけでも膨大な種類となる。これを従来の電気的な測定方法で行うのは非常に困難だった。
かかる検出方法によれば、高集積であり手間と時間とを短縮した感度の高い遺伝子多型判定用の核酸分析方法を提供することができる。
本発明に係る固定化プローブ核酸の処理方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した核酸検出用の固定化プローブ核酸を処理する方法であって、
検出すべき核酸とは異なり、且つ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程、を有する。既知の核酸が、人工核酸であるとよい。
この処理方法を以下の各実施態様例に示すように、未知試料中の核酸の検出や、製造されたマイクロアレイの品質の確認、試料中の核酸の濃度を検出する方法等に利用することにより、従来よりも手間と時間を短縮した新たな検出方法、および分析方法を提供するものである。
また、本発明に係る検出方法は、担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いた核酸の検出方法であって、
前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、
検出すべき核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、
前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
を有する。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施態様例を説明する。
<実施態様例1>
図1は、本発明の分析方法における各工程を表す図である。溶液Aはプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸を含む溶液であり、溶液Bは未知検体由来の、検出対象としての標識されていない核酸を含む溶液である。溶液Aと溶液Bとを混合し、ハイブリダイゼーション溶液である溶液Cが調製される。その溶液CをDNAマイクロアレイに滴下することによって、DNAマイクロアレイ上にあるプローブ核酸と、標識された相補鎖を含む核酸または未知検体由来の標識されていない核酸と、がハイブリダイゼーション反応をする。標識された相補鎖としては、プローブ核酸とハイブリダイズする配列を有する一本鎖核酸を好適に利用することができる。
担体上に固定化されるプローブ核酸の一例としては、標的核酸とハイブリダイゼーション可能な塩基配列よりなるオリゴヌクレオチドの一部に、リンカーを介して担体との結合部を有するものを挙げることができる。なお、このような構成の場合における担体との結合部のオリゴヌクレオチドの分子内での位置は、所望とするハイブリダイゼーション反応を損なわない範囲内において特に限定されない。
なお、本発明のプローブ・アレイに採用されるプローブは、その使用目的に応じて、適宜選択されるものであるが、本発明の方法を好適に実施するうえではプローブとしては、DNA、RNA、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、PNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、その他の核酸のいずれかであることが好ましく、必要に応じてこれらの2種以上を組合わせて用いることが出来る。
プローブ核酸を担体に固定化した固定化プローブ核酸は、インクジェット法等により製造することができ、例えば、特開平11−187900号公報に記載された方法などを用いて好適に製造することができる。
核酸を含有させるハイブリダイゼーション溶液の組成は、所望とするハイブリダイゼーション反応を生じさせることのできる組成であればよく、通常この分野で使用されている組成のハイブリダイゼーション溶液を利用することができる。
溶液Aに含まれる標識された相補鎖を含む核酸としてオリゴヌクレオチドを用いた場合には、塩基の長さはせいぜい100ベース以下である。例えば、プローブ核酸と同じ長さに調製することができる。
標識されたオリゴヌクレオチドは、化学合成で1ベース伸長により調製することができ、得られたオリゴヌクレオチドは液体クロマトグラフィーなどの技術を用いて、100%に近い高純度で精製することができる。従って、溶液Aに含まれる標識された相補鎖を含む核酸にはn個(nは既知として調整、通常は相補鎖1本に対しn=1)の標識分子を正確につけることができ、そのようなオリゴヌクレオチドを高純度で溶液Aの調製に用いることができる。このことにより、標識された相補鎖を含む核酸を未知検体由来の核酸を含まない場合に基板上のプローブ核酸に結合した核酸分子の量を、それに対応する固定化された標識量を測定することで、プローブ核酸に結合した相補鎖の量(数)を正確に求めることができる。
一方、通常の生体由来の核酸に標識分子を付加する方法は、この方法とは全く異なる。具体的には、生体由来の核酸に標識分子を挿入するのに現在もっとも用いられる方法の1つとして、PCRなどの酵素反応の原料として標識分子を付加した塩基を用いる方法がある。例えばこの方法の場合、標識分子を付加した塩基に酵素がつながる確率は、標識分子のない通常の塩基に酵素がつながる確率と比べて圧倒的に低い。よって、再現性良く標識分子を核酸に混入することが非常に難しく、これが実験誤差の大きな原因となっていた。
本実施形態においては、1分子に付きn個の標識分子が正確についていることが保証された核酸を用いてハイブリダイゼーションの強さを測るので、非常に再現性の高い分析ができる。なお、本発明で利用されるPCR反応の方法、ハイブリダイゼーションの方法、条件、標識物質の検出方法などの具体例は実施例で詳しく述べる。
図2と図3は、本発明の反応を模式的に示したものである。これらの図において、固定化されたプローブ核酸は基板に付いた棒で表され、これはcDNAでもオリゴヌクレオチドでもよいが、核酸の内容(塩基配列)が既知であることが前提となる。図2および図3において、図1の溶液Aに含まれるプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸は、黒丸の付いた棒で表す。
図2において、"未知核酸A"とはプローブ核酸とハイブリダイゼーション反応をすることが予想される核酸であり、標識付きプローブ相補鎖と競合する1本鎖の核酸である。この核酸の形態として、RNA、RNAから合成されたcDNA1本鎖、非対称PCRを用いて合成されたDNA等、を例として挙げることができる。
核酸の中に書かれた黒い矢印は、いわゆる核酸の5'末端から3'末端への方向を表したものであり、図2の2つの白い矢印のハイブリダイゼーション反応が競合することとなる。
これに対して、図3の未知核酸Bは、標識付きプローブ相補鎖とハイブリダイゼーション反応することが予想される核酸であり、図3の白い2つの矢印のハイブリダイゼーション反応が競合する。
図2の未知核酸Aと図3の未知核酸Bとが互いに相補的である場合は、その関係は図4に示すようになる。例えば、検体の処理として通常のPCRなどを行った場合、図4のような形の核酸対が2重らせんの状態で図1の溶液Bに含まれることになる。
全く競合のない場合の固定化プローブ核酸への標識物質の付着量は、図1のDNAマイクロアレイ上にポジティブコントロールとして、未知検体由来の核酸には含まれる可能性の極めて低いプローブ核酸をスポットし、それと特異的にハイブリダイゼーションする標識された相補鎖を含む核酸を溶液Aに混入することによって推定することができる。この全く競合のない場合の標識物質の付着量に対する、溶液Cに含まれるプローブ核酸とのハイブリダイゼーション反応による標識物質の付着量の減少量により、未知検体の中の核酸の量がわかるという原理である。
なお、競合のない場合の標識物質の付着量は、競合がある場合に減少するようにハイブリダイゼーション溶液中の標識化された相補鎖を含む核酸の濃度を調整しておく。
また、溶液A中の標識された相補鎖を含む核酸の濃度と標識物質のプローブへの付着量との基準値を予め求めておくことで、それらの基準値からの標識物質の付着量の減少量を見ることによって、ポジティブコントロールが不要な実験方法を確立することができる。
以上のように、本発明にかかる分析方法では、標識化された相補鎖を含む核を未知核酸を含まない溶液で用いた場合に基板に固定されたプローブ核酸に捕獲される相補鎖の分子数の一部が、標識化された相補鎖と未知核酸との混合系を用いた場合の競合により未知核酸に置き換わることで、標識量が減少することを利用して、未知核酸の量を推定するものである。
<実施態様例2>
図1の溶液Bに含まれる未知検体由来の核酸を定量するために、本実施態様例では希釈系列を用いた分析方法を示す。
図5は、図1の溶液Aの中の標識された相補鎖を含む核酸をいろいろな濃度に変化させた場合のハイブリダイゼーション結果を模式的に表したものの一例である。図5で意味することは、標識された相補鎖を含む核酸の濃度が1μM(mol/l)から100nMまでは、標識された相補鎖を含む核酸の濃度が高く、プローブ核酸とハイブリダイゼーション反応し、検知される(残留する)標識の濃度は高い。一方、1nMまで標識された相補鎖を含む核酸の濃度を下げると、実施態様例1で説明した競合のハイブリダイゼーション反応がおこり、検知される(残留する)標識の感度は、標識化された相補鎖を含む核酸を未知検体由来の核酸を含まない場合で用いたときよりも非常に低くなる。測定された輝度値の例を図5にあわせて示す。この結果、未知検体由来の核酸の濃度は、1nMから100nMの間にあると推定することができる。この結果を用いて、更に細かい希釈系列を作成し実験していくと、より精密な未知核酸の濃度推定が可能となる。
また、本実施態様例では、図1の溶液Bに含まれる未知検体由来の核酸の濃度を固定し、溶液Aに含まれる標識された相補鎖を含む核酸の濃度を変化させたが、反対に溶液Aに含まれる標識された相補鎖を含む核酸の濃度を固定しておいて、溶液Bに含まれる未知検体由来の核酸の濃度を変化させて、同じような実験を行っても未知検体由来の核酸の濃度を推定することが可能である。
<実施態様例3>
図1の溶液A中の標識された相補鎖を含む核酸は、実施例1で述べた通り非常に純度の高い分子として存在する。一方、溶液B中の未知検体由来の核酸はいくつかのステップの生化学反応を経て合成される場合が多く、その合成過程で不純物が混入する可能性や、核酸の長さや内容が様々である種類のものが混ざっている可能性がある。このため原理的に溶液A中の標識された相補鎖を含む核酸のハイブリダイゼーション強度は高くなる。よって、標識物質の付着量の減少を基に未知検体由来の核酸の量を推定する本発明の原理の場合、未知検体由来の核酸が十分に多い量必要となることがある。この問題を解決するために、比較的少量の未知検体由来の核酸でもその核酸の存在を検知できる方法を以下に示す本実施例では説明する。
図6に示した例では、溶液A中の標識付きプローブ相補鎖を含む核酸をDNAマイクロアレイ中に存在するいくつかのプローブ核酸より短くしている。例えばプローブ核酸の長さを20merとし、標識付きプローブ相補鎖を10merにする。この場合、プローブ核酸とのハイブリダイゼーション反応は弱くなる。一方、溶液B中の未知検体由来の核酸A(未知核酸A)は、通常20merよりはるかに長く、プローブ核酸と相補鎖を形成する部分をその一部として完全に含んでいる。よって、図6において、左の白い矢印で示したプローブ核酸と標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーション反応に比べて、右の白い矢印で示したプローブ核酸と未知核酸Aとのハイブリダイゼーション反応の方が相対的に強くなる。結果として、より少ない未知核酸Aの濃度の場合においても、図5に示したように標識付きプローブ相補鎖と反応することにより、検知される(残留する)標識物質の減少が観察できるようになる。
図7では、溶液A中の標識付きプローブ相補鎖をDNAマイクロアレイ中に存在するいくつかのプローブより長くした場合の例を示す。例えばプローブの長さを20merとし、標識付きプローブ相補鎖を30merにする。この場合、長くした部分を、未知核酸Bとハイブリダイゼーション反応が期待できる配列とすると、標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Bとのハイブリダイゼーション反応は強くなる。一方、プローブと標識付きプローブ相補鎖は、ハイブリダイゼーション反応する部分が20merのままである。よって、図7において、左の白い矢印で示したプローブと標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーション反応に比べて、右の白い矢印で示した標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Bとのハイブリダイゼーション反応の方が相対的に強くなる。結果として、より少ない未知核酸Bの濃度でも図5に示したような検知される(残留する)標識物質の減少が観察できるようになる。
上記のとおり、DNAマイクロアレイ中に存在するいくつかのプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を、プローブ配列を含むプローブ配列より長さの長い核酸または短い核酸とすることができ、その結果、より少ない未知核酸の濃度でも検知される(残留する)標識物質の減少が観察することができる。
<実施態様例4>
本実施形態における、核酸濃度分析方法は、固定化プローブ核酸が配置されたチャンバー内に未知検体由来の核酸を含む溶液を導入する工程と、標識され、かつ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合する相補鎖を含む核酸を含有する溶液を前記溶液と混合するように該チャンバ内に導入する工程と、前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程と、を有し、前記相補鎖を含む核酸を含有する溶液の前記チャンバへの導入量と、前記導入による前記固定化プローブに結合する標識量の変化量との相関に基づいて混合溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする。標識量の検出を共焦点顕微鏡によって行うとよい。
該方法を実現するシステムおよびその詳細な濃度分析方法について以下に述べる。
(システムの構成)
図8に本実施態様例の全体像を示す。共焦点型の顕微鏡(a)を設置し、その焦点部分に、マイクロアレイ(c)を固定する。そのマイクロアレイのプローブ固定領域を覆うように、ハイブリチャンバー(b)をアレイ上に固定し、溶液が漏れないように密封する。共焦点顕微鏡によって、プローブと標識付きプローブ相補鎖との反応が観察できる状態にする。
図9に示すように、マイクロアレイ及びハイブリチャンバーは、温度コントロールが可能なステージ(d)上に設置されており、またハイブリチャンバーにはその右上と左下部分に溶液導入用(f)および排出用(e)の管がつけてある。この管を通して、ハイブリ溶液や洗浄液等の溶液がチャンバー内に導入、排出される。
共焦点顕微鏡に用いられるレーザーは、使用する色素によって適宜選択される。例えば、蛍光色素ローダミン等を観察する場合、波長543nmのヘリウムネオンレーザーを使用すると良い。
顕微鏡の焦点は、マイクロアレイの表面にあうように調整される。そのような調整を行うと、溶液中に存在する蛍光物質からのノイズにも係わらず、プローブにハイブリダイゼーションを行っている標識付きプローブ相補鎖のみからの蛍光を、スポット状に観測することができる。この蛍光の強度を目安に、各プローブのハイブリダイゼーションを評価することができる。
(システムの動作)
上述のようにセットされたシステムを用いて、具体的に分析を行う方法を以下に示す。まず、未知検体由来の核酸を含む溶液を導入管(f)から導入する。該溶液は、実施態様例1で示した溶液Bであっても、ハイブリダイゼーション溶液Cであってもよい。温度コントローラにより、温度制御が行なわれた状態で、自動または手動により、共焦点顕微鏡の焦点を基板表面にあわせる。
マイクロアレイ上には、標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーションを行わなくても蛍光を発するマーカープローブを用意しても良い。
ここでマーカープローブとしては、官能基としてチオールを持つ蛍光色素等であり、詳細は特開平7−27768等に記載されている。これらマーカープローブの蛍光を目安に、顕微鏡の焦点を調整するとよい。
続いて所定の温度を保持したまま、プローブ相補鎖のみを溶かした溶液を導入管(f)より導入し、ハイブリチャンバー内のプローブ相補鎖の濃度を変化させる。
このとき、チャンバー内に軽いアジテーションをかけるなど、導入された標識付きプローブ相補鎖がチャンバー内で均一の濃度となるようにするとよい。
また標識付きプローブ相補鎖の導入によってハイブリチャンバー内の未知検体由来のターゲット核酸の濃度が大きく変化することのないよう、標識付きプローブ相補鎖を含む溶液の濃度は高めにつくり、少量ずつ導入するとよい。
スポットからの蛍光シグナルを共焦点観察し、スポットが観察され始めたら、前記標識付きプローブ相補鎖を含む溶液の導入速度をさらに弱めるとよい。
なるべく平衡状態を保つように前記溶液を導入し、ハイブリチャンバー内の標識付き相補鎖の濃度と蛍光輝度の相関関係を得る。これにより、未知検体のより精度よく濃度を求めることができる。
すなわち、本実施態様例においては、プローブと相補鎖のハイブリダイゼーション反応によって、基板上のプローブのスポット部分から蛍光が発せられる状態を、ハイブリダイゼーション反応を行っているのと同時に共焦点型の顕微鏡を用いて観察することができる。この蛍光観察の結果から導入する相補鎖の量をコントロールすることで、ハイブリチャンバー内の未知検体由来の標識されていない核酸と、蛍光標識された前記相補鎖との濃度が同程度となるようにすることが可能となり、これによってより正確な、未知検体由来の標識されていない核酸の濃度を推定することができる。
<実施態様例5>
本発明の処理方法を、製造されたDNAマイクロアレイの品質の確認に利用する実施態様例について述べる。
従来の方法では、DNA自体には蛍光特性がないためDNAマイクロアレイを製造した時点で所望のプローブDNAがDNAマイクロアレイの基板上に存在するかどうか不明である、という課題があった。
この場合、DNAの存在をチェックする高価な分析方法を用いて製造されたDNAマイクロアレイを全部チェックする方法も有りえるが、非常にコストがかかり実用的ではなかった。つまり、従来の方法では、標識化された検体核酸を含む溶液をアレイに接触させ、ハイブリダイゼーション反応により検出するよりも前に"全てのプローブスポットが正確な位置に存在しているか"というDNAマイクロアレイの品質評価は、抜き取り検査でしか実現できなかった。
また、基本的にDNAマイクロアレイ上の個々のプローブスポット内に存在するDNA分子の量にはばらつきがある。従来ではこのばらつきをDNAマイクロアレイ製造の過程で出来るだけ排除し、"どのプローブスポット内にも同量のDNA分子が存在する"という仮定を元にその後の実験を行っていた。しかしながら、この"どのプローブスポット内にも同量のDNA分子が存在する"という仮定は成立しない場合が多く、本来は実際のプローブDNA分子の付着量を測定した後で実験を行うほうが、より正確な実験ができる。しかし前述の通り、従来の方法では実験の前にプローブDNA分子の付着量を測定するのは事実上不可能であった。
また、未知のサンプル中に存在する核酸に何らかの標識を混入することも、手間と時間と費用のかかる作業であるばかりか、ターゲット核酸への標識混入率が不安定な場合が多く、DNAマイクロアレイを用いた実験システムに対する定量性の保証が難しくなってくるという課題があった。
本実施態様例は、上記のような課題を解決するものである。
また、本発明に係る検出方法は、SNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)と呼ばれるゲノムの違いの判定をDNAマイクロアレイを用いて行うシステムにおいても適用できる。
図10は、本実施態様例の分析方法を最もよく表す図であり、本発明のDNAマイクロアレイ分析方法の各工程を説明した図である。
101はプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖であり、本発明においては、100ベース以下のオリゴヌクレオチドを用いることが好ましい。
標識されたオリゴヌクレオチドは、化学合成で1ベース伸長により製造することができ、液体クロマトグラフィーなどの技術を用いて、ほぼ100%に近い純度で精製することができる。
よって、101のプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖には1分子に付きn個(通常は1個)の標識分子を正確についていることとなる。
これを102のDNAマイクロアレイとハイブリダイゼーション反応させるのが103の事前ハイブリダイゼーションステップである。通常、この103の事前ハイブリダイゼーションステップには洗浄工程も含まれる。品質管理を安定させ、マイクロアレイを用いた評価において再現性を確保するためには、この工程で確実にハイブリッドを形成している固定化プローブを準備することが重要である。
事前ハイブリダイゼーションステップの結果、プローブの位置に残留した101の標識された相補鎖の量を定量する。これが104の事前プローブ濃度測定ステップである。
前述の通り、104の事前プローブ濃度測定ステップでは、この1分子に付きn個の標識分子が正確についていることが保証された核酸(101)を用いてハイブリダイゼーションの強さを測るので、非常に再現性の高い実験ができることになる。
現在、一般的に利用されているDNAマイクロアレイは、それぞれのスポットに同じ量のプローブ核酸が固定されているということが前提となっている。ところが、プローブ核酸の量はスポット毎にばらついていると考えるのが合理的な場合が多い。従来の技術では、このバラツキを測定することは事実上不可能であったため、全てのスポットで同じ量(期待された量)のプローブ核酸が固定されているとして、その後の実験を行ってきた。本発明に係る分析方法においては、このプローブ核酸の固定量のバラツキを厳密に測定できるので、その後の実験もこれまで以上に正確に測定できることとなる。
この時点でDNAマイクロアレイの状態は図11のようになっている。図11において、本発明のDNAマイクロアレイのプローブDNAは基板に付いた棒で表わされており、このプローブDNAと特異的に結合する十分過剰の標識された相補鎖(101)がハイブリダイゼーション反応を行っているので、ほとんど全てのプローブDNA分子に101の標識された相補鎖が結合している状態となっている。
この場合、担体上に結合されたプローブ核酸において60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上が前記標識された相補鎖と結合していることが好ましい。
105は、未知検体より抽出、場合によっては増幅された核酸で、その詳細は後述する。106がハイブリダイゼーションステップであり、図11に示した状態のDNAマイクロアレイと未知検体由来の核酸をハイブリダイゼーションさせる。通常、106のハイブリダイゼーションステップは洗浄工程を含む。通常のハイブリダイゼーション反応では、105の未知検体由来の核酸に蛍光色素などの標識、またはビオチンなどの後に標識分子と結合する反応分子を混入する。本発明の場合、図11に示すとおり、104の事前プローブ濃度測定ステップの段階で、101の標識された相補鎖がDNAマイクロアレイに付着しているので、105の未知検体由来の核酸には101の標識とは別種類の標識を混入する方がよい結果が得られる。なお、104の事前プローブ濃度測定ステップの後で、例えば90℃以上の高い温度でDNAマイクロアレイを洗浄することによって、図11に示した付着した標識された相補鎖を剥がす実験工程を挿入してもよい。
最後に107の検体核酸濃度測定ステップにおいて、DNAマイクロアレイに付着した未知検体由来の核酸(105)の量を測定し、104の事前プローブ濃度測定ステップの結果を使って補正することによって、正確な未知検体由来の核酸(105)の定量ができる。
<実施態様例6>
本実施態様例においては、遺伝子多型判定用の核酸分析方法の実施態様について詳細に説明する。
図12に本実施態様例の分析方法における各工程を表す図を示す。図12上部の大きな円は、DNAマイクロアレイ上に存在するスポットの状態を表しており、本実施態様例では201〜203の3種類存在している。
それぞれのスポットの下の図は、そのスポットの中にあるプローブDNAとそれにハイブリダイゼーション反応する核酸とを、2つの棒が重なった状態で模式的に表している。スポットの中には多量のプローブDNA分子が存在するが、その中の2つを代表として示す。なお、いわゆる核酸の5'から3'の方向を、棒に上書きされた矢印で示した。
図12のDNAマイクロアレイでは、SNPの2種類のアレルに対応する2種類のプローブを同じスポットに固定している。なお、通常、SNPは1個所(塩基)の多型なので、アレルが3種類以上になることは稀であるが、本発明は3種類、4種類のSNPにも応用できるし、またSNP以外の遺伝子多型にも応用可能である。
図12のスポットにおける"SNP A"のプローブ核酸を例えばATCGGGATTAGCGATTCAGTA、"SNP B"のプローブ核酸をATCGGGATTACCGATTCAGTAとする。つまり、このSNPはプローブ配列の中央部分の塩基が、アレルAは"G"であり、アレルBは"C"であることを意味する。この場合、標識付きプローブ相補鎖は、アレルAはTACTGAATCGCTAATCCCGAT、アレルBはTACTGAATCGGTAATCCCGATとなる。標識付きプローブ相補鎖を示す白い棒の上に付いている小さな円は標識物質である。アレル毎に異なる特性の標識物質を使う。最近よく用いられるのは蛍光特性をもつ標識物質であり、例えば、赤色がCy3(蛍光物質)、緑色がCy5(蛍光物質)というような蛍光波長の異なる物質を用いることで、本発明は実施することができる。
201のスポットは、図12の下に示した通り、アレルA/Bそれぞれに標識付きプローブ相補鎖がハイブリダイゼーション反応した状態を示す。例えばアレルAのプローブ相補鎖にCy3が標識物質として付いていてその色を赤色で示し、アレルBのプローブ相補鎖にCy5が標識物質として付いていてその色を緑色で示すとすると、201のスポットは、アレルA/Bそれぞれに標識付きプローブ相補鎖がハイブリダイゼーション反応したため、スポット201の色はその2色を混合した黄色になる。なお、この色はあくまで模式的に表した例なので、実際に蛍光物質が赤や緑の光を発しているわけではない。
201のスポットでは標識付きプローブ相補鎖2種類がほぼ同量、プローブとハイブリダイゼーション反応しているのに対して、202のスポットや203のスポットでは、標識付きプローブ相補鎖の一部が検体由来の核酸によって置換されることによって、蛍光物質の偏りができる。202のスポットの場合、アレルBの標識付き相補鎖が検体由来の核酸に置き換わっている。この検体由来の核酸には標識物質が何も混入されていないので、結果としてスポットの蛍光はCy3側に寄ることになる。模式的に示すと、2色の混合された黄色から純粋な赤色の方にシフトする。これとは反対に、203のスポットでは、アレルAの標識付き相補鎖が検体由来の核酸に置き換わっている。結果としてスポットの蛍光はCy5側に寄ることになる。模式的に示すと、2色の混合された黄色から純粋な緑色の方にシフトする。最終的に、2色が同量混合された色から、どちらの方の色にシフトするかによって、検体由来の核酸がどちらのアレルかがわかることになる。なお、この置換が起こる原理は図14以降を用いて詳しく説明する。
本実施例を含み一つのスポット上に多型の全アレルが固定されている例を示しているが、スポット毎に異なる種類のアレルに対応する純粋なプローブを固定しても本発明の本質は変わらない。例えば、図12の201をSNP Aのみを固定したスポットとし、202をSNP Bのみを固定したスポットとしても良い。但し、SNPのような2種類のアレルしかない多型の場合は、図12に示すように同一スポットに2種類のアレルに対応するプローブを固定すると結果を判断するのが容易になるという利点がある。
図13は、本発明の分析方法における各工程を表す図である。溶液Aはプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸を含む溶液であり、溶液Bは未知検体由来の検出対象としての標識されていない核酸を含む溶液である。溶液Aと溶液Bとを混合し、ハイブリダイゼーション溶液である溶液Cが調製される。その溶液CをDNAマイクロアレイに滴下することによって、DNAマイクロアレイ上にあるプローブ核酸と、標識された相補鎖を含む核酸または未知検体由来の標識されていない核酸と、がハイブリダイゼーション反応をする。標識された相補鎖としては、プローブ核酸とハイブリダイズする配列を有する一本鎖核酸を好適に利用することができる。未知検体由来の核酸は通常、PCRなどの手法を用いて増幅される。
核酸を含有させるハイブリダイゼーション溶液の組成は、所望とするハイブリダイゼーション反応を生じさせることのできる組成であればよく、通常この分野で使用されている組成のハイブリダイゼーション溶液を利用することができる。
溶液Aに含まれる標識された相補鎖としてオリゴヌクレオチドを用いた場合には、塩基の長さはせいぜい100ベース以下である。例えば、プローブ核酸と同じ長さに調製することができる。標識されたオリゴヌクレオチドは、化学合成で1ベース伸長により調製することができ、得られたオリゴヌクレオチドは液体クロマトグラフィーなどの技術を用いて、100%に近い高純度で精製することができる。従って、溶液Aに含まれる標識された相補鎖を含む核酸にはn個(nは既知として調整、通常は相補鎖1本に対しn=1)の標識分子を正確につけることができ、そのようなオリゴヌクレオチドを高純度で溶液Aの調製に用いることができる。なお、この溶液Aには少なくとも2種類以上のアレルに対応する2種類以上の標識つきプローブ相補鎖が含まれている。図13の例において、異なる蛍光波長特性をもった2種類の標識(例えばCy3とCy5)が2種類のプローブ相補鎖に付いている。
一方、通常の生体由来の核酸に標識分子を付加する方法は、この方法とは全く異なる。具体的には、生体由来の核酸に標識分子を挿入するのに現在もっとも用いられる方法の1つとして、PCRなどの酵素反応の原料として標識分子を付加した塩基を用いる方法がある。例えばこの方法の場合、標識分子を付加した塩基に酵素がつながる確率は、標識分子のない通常の塩基に酵素がつながる確率と比べて圧倒的に低い。よって、再現性良く標識分子を核酸に混入することが非常に難しく、これが実験誤差の大きな原因の1つとなっていた。
本発明においては、1分子に付きn個の標識分子が正確についていることが保証された核酸を用いてハイブリダイゼーションの強さを測るので、非常に再現性の高い分析ができる。
図14および図15は、本発明の反応を模式的に示したものである。これらの図において、固定化されたプローブ核酸は基板に付いた棒で表され、これはcDNAでもオリゴヌクレオチドでもよいが、核酸の内容(塩基配列)が既知であることが前提となる。図14および図15において、図13の溶液Aに含まれるプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸は、黒丸の付いた棒で表す。図14において、"未知核酸A"とはプローブ核酸とハイブリダイゼーション反応をすることが予想される核酸であり、標識付きプローブ相補鎖と競合する1本鎖の核酸である。この核酸の形態として、RNA、RNAから合成されたcDNA1本鎖、非対称PCRを用いて合成されたDNA等、を例として挙げることができる。
核酸の中に書かれた黒い矢印は、いわゆる核酸の5'末端から3'末端への方向を表したものであり、図13の2つの白い矢印のハイブリダイゼーション反応が競合することとなる。
図14に示したような競合反応が起こることによって、標識物質の検知濃度(残留濃度)の偏りが観測される。例えば、図12に示した通り、本来201のように2種類の標識付きプローブ相補鎖が全てハイブリダイゼーション反応して2種類の蛍光が混合された結果が検知されるはずのところが、図14では未知検体に含まれる核酸Aのアレルが一部のプローブにハイブリダイゼーションすることによって、202または203のスポットのように、一方の蛍光にシフトする。そして、どちらの蛍光にシフトしたかを測定することによって、未知検体の中の核酸がどちらのアレルかがわかるという原理である。
これに対して、図15の未知核酸Bは、標識付きプローブ相補鎖とハイブリダイゼーション反応することが予想される核酸であり、図15の白い2つの矢印のハイブリダイゼーション反応が競合する。図15に示したような競合反応が起こることによっても、標識物質の検知濃度(残留濃度)の偏りが観測される。例えば、図16を使って説明すると、本来501のように2種類の標識付きプローブ相補鎖が全てハイブリダイゼーション反応して2種類の蛍光が混合された結果が検知されるはずのところが、未知検体に含まれる核酸のアレルが標識付きプローブ相補鎖とハイブリダイゼーション反応することによって標識付きプローブ相補鎖の量が減り一部ハイブリダイゼーション反応が起こらないで何もつかない状態のプローブが発生する。その結果、502または503のスポットのように、どちらかの蛍光にシフトする。そして、どちらの蛍光にシフトしたかを測定することによって、未知検体の中の核酸がどちらのアレルかがわかるという原理である。
図14の未知核酸Aと図15の未知核酸Bの関係を図17に示す。検体の処理として通常のPCRなどを行った場合、図17のような形の核酸対が図13の溶液Bの主成分となる。この時、図14と図15の競合反応が同時に起こることとなる。
図14や図15のような競合反応が全くない場合、つまり2種類の標識分子が同量残留している場合のスポットの状態が予めわかっていれば、その状況からのずれを検知することによって未知検体のアレル型がわかる。図12の201や図16の501のスポットのような全く競合反応のないスポットの状態が事前にわからない場合は、マイクロアレイ上にポジティブコントロールとして、未知検体由来の核酸には含まれる可能性の極めて低い2種類以上のプローブをスポットし、それと特異的にハイブリダイゼーションする標識された2種類以上の相補鎖を溶液Aに混入することによって、全く競合のない場合の標識物質の付着量バランスが推定できる。これに対して、どれぐらいバランスがずれるかを見ることによって、未知検体のアレルの種類がわかるという原理である。
なお、競合のない場合の標識物質の付着量は、競合がある場合に減少するようにハイブリダイゼーション溶液中の標識化された相補鎖の濃度を調製しておく。
<実施態様例7>
実施態様例6においては、ハイブリダイゼーション反応に先立ち図12に示した標識付きプローブ相補鎖と未知検体由来の核酸を混合したが、本実施態様例では、図18に示すように、まず先に標識付きプローブ相補鎖をDNAマイクロアレイにハイブリダイゼーション反応させ、その後で未知検体由来の核酸をハイブリダイゼーションさせる2段階反応を行う。
701はプローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖であり、図13の溶液Aの主成分である標識された相補鎖と同等のものである。
703の事前ハイブリダイゼーションステップでは、上記標識された相補鎖701とDNAマイクロアレイ702とをハイブリダイゼーション反応させる。通常、この703の事前ハイブリダイゼーションステップには洗浄工程も含まれる。また、通常、DNAマイクロアレイに固定されているほとんど全てのプローブと標識されたプローブ相補鎖を結合させるために、十分過剰な量の標識付きプローブ相補鎖を用いて、703の事前ハイブリダイゼーションステップを行う。
704の事前プローブ濃度測定ステップでは、事前ハイブリダイゼーションステップの結果プローブの位置に残留した、701の標識された相補鎖の量を定量する。上記事前プローブ濃度測定ステップでは、この1分子に付きn個(nは既知として調整、通常は相補鎖1本に対しn=1)の標識分子が正確についていることが保証された核酸(701)を用いてハイブリダイゼーションの強さを測るので、非常に再現性の高い分析ができる。
この時点でDNAマイクロアレイの状態は図19に示すとおり、基板に付いた棒で示すと、このプローブDNAと特異的に結合する十分過剰の標識された相補鎖(701)がハイブリダイゼーション反応を行っているので、ほとんど全てのプローブDNA分子に701の標識された相補鎖が結合している状態である。
705は、未知検体より抽出、場合によっては増幅された核酸であり、706のハイブリダイゼーションステップにおいて、図19に示した状態のDNAマイクロアレイと未知検体由来の核酸とをハイブリダイゼーションさせる。通常、706のハイブリダイゼーションステップは洗浄工程を含む。また、706のハイブリダイゼーションステップの初期の段階で、温度を高くすることによって、図19に示した標識付きプローブ相補鎖を一旦剥がす処理を施してもよい。
最後に、706のハイブリダイゼーションステップにおいて図14や図15で説明した競合反応が起った結果、図12の202または203のようなスポットや図16の502または503のようなスポットに見られる残留標識物質の偏りが見られるようになる。これを707の検体多型判定ステップで測定し、704の事前プローブ濃度測定ステップの結果と比較することにより、未知検体由来の核酸がどのアレルかがわかる。
以上のように、本発明にかかる分析方法では、標識化された相補鎖を単独で用いた場合に基板に固定されたプローブ核酸に捕獲される相補鎖の分子数の一部が、標識化された相補鎖と未知核酸との混合系を用いた場合の競合により未知核酸に置き換わることで、標識物質の付着量のバランスがずれることを利用して未知検体のアレルの種類を推定するものである。
以下に各実施態様におけるそれぞれの工程の詳細な例を示す。以下の例はあくまで一例に過ぎず、本発明は以下の具体的な方法、試薬、製品に限られるものではない。
(実施例1)
検体由来の核酸の増幅(PCR)反応の例を以下に示す。
(増幅反応液組成:PCR)
Figure 2005031066
上記組成の反応液を以下の温度サイクルのプロトコールに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行った:
95℃/10分の保持の後、92℃(変性)/45秒、55℃(アニーリング)/45秒および72℃(伸長)/45秒を1サイクルとして25サイクル、最後に72℃/10分保持した。
反応終了後、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit:QIAGEN製)を用いてPrimerを除去した後、増幅産物の定量を行う。PCR増幅産物は、3ng/μlとなるようにTEに溶解する。
(DNAマイクロアレイのブロッキング)
DNAマイクロアレイのブロッキングは、DNAマイクロアレイのプローブ以外の部分に核酸の分子が付着するのを防ぐために行う。ハイブリダイゼーションの直前に行うのが一般的である。
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を、1wt%となるように100mM NaCl/10mM リン酸バッファーに溶し、この溶液にDNAマイクロアレイを室温で2時間浸す。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2×SSC溶液で洗浄を行った後、純水でリンスしてからスピンドライ装置で水切りを行った。
(ハイブリダイゼーション)
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション溶液、条件でハイブリダイゼーション反応を行う。ハイブリダイゼーション装置を用いずに、スライドガラスとハイブリダイゼーション用のチャンバーを用いてマニュアルで反応を行ってもよい。
(ハイブリダイゼーション溶液)
以下にハイブリダイゼーション溶液(図1の溶液C)の組成の一例を示す。
6×SSPE / 10% Formamide / ターゲット(未知検体由来の核酸)(PCR産物 500ng) / 標識付きプローブ相補鎖(最終濃度1nM)
前述した増幅した未知検体由来の核酸500ng相当をバッファー(SSPE)に溶かし、最終濃度が10%になるように Formamideを加え、最終濃度が1nMになるように標識付きプローブ相補鎖を加え、ハイブリダイゼーション溶液を作成する。なお、バッファー(SSPE)の濃度は、最終溶液の状態で6×SSPEになるように予め計算しておく。溶液の量は最終的に20μlから200μlの間で、適宜調製する。
上記ハイブリダイゼーション溶液を、65℃に加温し3分間保持したあと、さらに92℃で2分間、続いて45℃で3時間保持した。その後、2×SSCおよび0.1%SDSを用いて、25℃で洗浄をした。さらに2×SSCを用いて20℃で洗浄を行い、必要に応じて通常のマニュアルに従い純水でリンスして、プローブと未反応の標識付きプローブ相補体を除去し、スピンドライ装置で水切りを行った。
(標識/蛍光測定)
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイを、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いて、以下の条件で蛍光測定を行う。
蛍光測定波長を標識付きプローブ相補鎖に含まれる蛍光物質の波長と合わせて、蛍光測定値が30000以下になるように励起光の強さを調製して、測定する。
また、上記の方法を利用者が簡便に実施するために、固定化プローブ核酸と、上記の標識付プローブ相補鎖を含む核酸を有する溶液をキットとして作成することも好適である。この場合、固定化プローブ核酸として固定されている核酸の相補鎖の全セットを含む溶液を用意することも好ましい。
(実施例2)
実施例1と同様のPCR産物を用意し、マイクロアレイのブロッキングを行う。
(システムの調整)
図8に実施例の全体像を示す。共焦点型の顕微鏡(a)(LSM510,カールツァイス社製)を設置し、その焦点部分に、マイクロアレイ(c)を固定する。そのマイクロアレイのプローブ固定領域を覆うように、ハイブリチャンバー(b)をアレイ上に固定し、溶液が漏れないように密封する。このとき、チャンバーの高さが、共焦点型顕微鏡の焦点距離以下であり、共焦点顕微鏡によって、プローブと標識付きプローブ相補鎖の反応が観察できる状態であるようにする。
図9に示すように、マイクロアレイ及びハイブリチャンバーは、温度コントロールが可能なステージ(d)上に設置されており、またハイブリチャンバーにはその右上と左下部分に溶液導入(f)および排出用(e)の管がつけてある。この管を通して、ハイブリ溶液や洗浄液がチャンバー内に導入、排出される。
共焦点顕微鏡は、蛍光色素ローダミン等観察に適した波長543nmのヘリウムネオンレーザーを使用し、マイクロアレイの表面に焦点があうように調整する。そのような調整を行うと、溶液中に存在する蛍光物質からのノイズにも係わらず、プローブにハイブリダイゼーションを行っている標識付きプローブ相補鎖のみからの蛍光を、スポット状に観測することができる。この蛍光の強度を目安に、各プローブのハイブリダイゼーションを評価する。
(ハイブリダイゼーション)
水切りしたDNAマイクロアレイを図8に示すハイブリダイゼーション装置の台(d)上にのせ、プローブ領域上にハイブリチャンバー(b)がくるようにセットする。実施例1で得たPCR増幅産物500ng相当をバッファー(SSPE)に溶かし、最終濃度が10%になるようにFormamideを加え、溶液を作製する。この溶液を導入管(f)から導入した後、65℃に加温し3分間、続いて92℃で2分間保持した後、45℃に保持した。この状態で、共焦点顕微鏡の焦点を基板表面にあわせる。
マイクロアレイ上には、標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーションを行わなくても蛍光を発するマーカープローブを用意する。ここでマーカープローブとしては、官能基としてチオールを持つ蛍光色素であり、詳細は特開平7−27768等に記載されている。ここでは特に、テトラメチルローダミンにチオールを導入したマーカーを用いた。これらマーカープローブの蛍光を目安に、顕微鏡の焦点を調整する。
続いて温度を45℃に保持したまま、プローブ相補鎖のみを溶かした以下のハイブリ溶液を導入管(f)よりゆっくり導入し、ハイブリチャンバー内のプローブ相補鎖の濃度を変化させる。
6×SSPE / 10% Formamide /標識付きプローブ相補鎖(3μM)
チャンバー内に軽いアジテーションをかけ、導入された標識付きプローブ相補鎖がチャンバー内で均一の濃度となるようにする。また上記標識付きプローブ相補鎖の導入によってハイブリチャンバー内の未知検体由来のターゲット核酸の濃度が大きく変化することのないよう、標識付きプローブ相補鎖を含む溶液の濃度は高めにつくり、少量ずつ導入する。
スポットからの蛍光シグナルを共焦点観察し、スポットを観察することができ始めるようになると、前記標識付きプローブ相補鎖を含む溶液の導入速度をさらに弱める。なるべく平衡状態を保つように留意しながら、前記溶液を導入し、ハイブリチャンバー内の標識付き相補鎖の濃度と蛍光輝度の関係を得る。
図20に、ハイブリチャンバー内の標識付きプローブ相補鎖の濃度とスポットからの蛍光輝度の関係を示す。実際には未知検体ターゲットは長鎖のDNA(PCR産物)であり、プローブ相補鎖はオリゴDNAであるため、ハイブリ効率は同一ではない。このため図20におけるA点の飽和した蛍光輝度の半分の輝度を持った位置の濃度がそのまま未知検体の濃度とはならないが、このようなオリゴとPCR産物の濃度比と蛍光強度については、濃度がわかっているもの同士であらかじめ校正曲線を引いておくことができるために、それとの比較によって未知検体濃度を概算することができる。
(実施例3)
本実施例では標識物質を混入せずに未知検体由来の核酸の濃度を推定する。図21、図22を用いてその原理を説明する。なお、以下の全ての実施例は105の未知検体由来の核酸に標識物質を混入しない例として説明する。
図21の未知核酸Aは、図10の105の未知検体由来の核酸と同じものであり、実施例1では標識分子が混入されていたが、本実施例では標識分子を敢えて混入しない。この未知核酸Aはプローブとハイブリダイゼーション反応することが予想される核酸で、標識付きプローブ相補鎖と競合する1本鎖の核酸である。この核酸の形態としては、RNAや、RNAから合成されたcDNA1本鎖や、非対称PCRを用いて合成されたDNAなどがあり得る。
核酸の中に書かれた黒い矢印はいわゆる核酸の5'末端から3'末端への方向を表したものであり、図21の2つの白い矢印のハイブリダイゼーション反応が競合することとなる。
これに対して、図22の未知核酸Bは、標識付きプローブ相補鎖とハイブリダイゼーション反応することが予想される核酸であり、図21の白い2つの矢印のハイブリダイゼーション反応が競合する。
図21の未知核酸Aと図22の未知核酸Bの関係は図17に示すとおりである。検体の処理として通常のPCRなどを行った場合、図17のような形の核酸対が図10の105の未知検体由来の核酸の主成分となる。この時、図21と図22の競合反応が同時に起こることとなる。
以上説明してきた競合反応が図10のハイブリダイゼーションステップ(106)で起こる結果、図11に示したようなプローブDNA分子と標識された相補鎖(101)との結合が剥がれる。その結果、マイクロアレイ上の蛍光強度に変化が生じ、未知核酸との反応前の蛍光強度との差を測定することにより、この剥がれた(標識された)相補鎖が算出され、未知検体由来の核酸(105)の定量をするという原理である。この際、図22に示すように、剥がれた(標識された)核酸は、未知核酸B(ハイブリッドを形成した核酸の相補鎖)と相補鎖を形成する。
これにより未知核酸AとBのアニーリングを防ぎ、マイクロアレイ上のハイブリッド反応平衡を促進させることが期待できる。
現実的には、全く競合のないプローブDNAに付着した標識された相補鎖(101)であっても106のハイブリダイゼーションステップにおいて少しは剥がれるため、DNAマイクロアレイ上にポジティブコントロールとして未知検体由来の核酸には含まれる可能性の極めて低い配列のプローブ核酸をスポットし、それと特異的にハイブリダイゼーションする標識された相補鎖を事前に付着させることによって、全く競合のない場合の標識物質の剥がれる量が推定できる。これに対して、競合する場合、どれぐらいの標識物質がより多く剥がれるかを測定することによって、未知検体の中の核酸がどれだけあるかがわかる。
(実施例4)
図10の未知検体由来の核酸(105)を定量するために、本実施例では希釈系列を用いる。
図23は、図10の未知検体由来の核酸(105)をいろいろな濃度に変化させた場合のハイブリダイゼーションステップ(106)後の標識物質定量結果を模式的に表したものである。図23で意味することは、未知検体由来の核酸(105)の濃度を1000倍に薄めた実験から100倍に薄めた実験までは、標識された相補鎖(101)が剥がれ辛く、検知される(残留する)標識の濃度は高い。つまり、プローブとハイブリダイゼーション反応するべき核酸が全く溶けていないプレーンなバッファーを図11の状態のDNAマイクロアレイに滴下した場合と同じ結果となる(測定された輝度値の例を図の下に示す)。
一方、図10の未知検体由来の核酸(105)を全く薄めない状態で106のハイブリダイゼーションステップを行うと、実施例2で説明した競合のハイブリダイゼーション反応がおこり、標識された相補鎖(101)が剥がれ易くなる。その結果、検知される(残留する)標識の感度は非常に低くなる。この結果、未知検体由来の核酸の濃度は、図10の標識された相補鎖(101)の濃度のI/100から1倍の濃度の間にあると推定することができる。この結果を用いて、例えば、80倍希釈、40倍希釈、20倍希釈などの更に細かい希釈系列を作成し実験していくと、より精密な未知核酸の濃度推定が可能となる。
(実施例5)
図10の標識された相補鎖(101)は、実施例1で述べた通り非常に純度を高く生成することが可能である。一方、未知検体由来の核酸(105)はいくつかのステップの生化学反応を経て単離、合成される場合が多く、その過程で不純物が混入する可能性や、核酸の長さや配列がいろいろな種類のものが混ざっている可能性がある。
このため、標識された相補鎖(101)の純度のほうが高いために、ハイブリダイゼーション反応における予想される強度は、標識された相補鎖による影響がみかけ上高くなる。よって、標識物質の付着量の減少を元に未知検体由来の核酸の量を推定する実施様態では、未知検体由来の核酸が十分多い量必要になることがある。この問題を解決するために、比較的少量の未知検体由来の核酸でもその存在を検知できる方法を本実施例では説明する。
図24に示した例では、図10の標識付きプローブ相補鎖(101)をプローブより短くしている。例えばプローブの長さを20mer、標識付きプローブ相補鎖を10merと設定する。その結果、プローブとのハイブリダイゼーション反応は、完全に相補鎖を用いる場合に比べて弱くなる。一方、図21の未知検体由来の核酸Aは、通常20merよりずっと長く、プローブと相補鎖を形成する部分を完全に含んでいる。よって、図24において、左の白い矢印で示したプローブと標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーション反応に比べて、右の白い矢印で示したプローブと未知核酸Aとのハイブリダイゼーション反応の方が相対的に安定となる。結果として、より少ない未知核酸Aの濃度でも図23に示したような検知される(残留する)標識物質の減少が観察できるようになる。
図25に示した例では、標識付きプローブ相補鎖(101)をプローブより長くしている。例えばプローブの長さを20mer、標識付きプローブ相補鎖を30merに設定する。
この時、長くした部分は、図22の未知核酸Bとハイブリダイゼーション反応が期待できる配列とする。すると、標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Bとのハイブリダイゼーション反応は強くなる。一方、プローブと標識付きプローブ相補鎖は、ハイブリダイゼーション反応する部分が20merのままである。
よって、図25において、左の白い矢印で示したプローブと標識付きプローブ相補鎖とのハイブリダイゼーション反応に比べて、右の白い矢印で示した標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Bとのハイブリダイゼーション反応の方が相対的に強くなり、標識付きプローブ相補鎖は剥がれる方向に平衡がシフトし、未知核酸Aがマイクロアレイに結合するチャンスが増える。結果として、より少ない未知核酸Bの濃度でも図23に示したような検知される(残留する)標識物質の減少が観察できるようになる。
本実施例によれば、低いコストで高い品質のDNAマイクロアレイが保証できるという利点がある。さらに、プローブスポット内に同量のDNA分子が存在する場合で、かつ、ハイブリダイゼーション反応によって結合した検体中の核酸が同じ分子数結合したという条件であっても、残留する標識分子の測定値が異なることがあるという事実があった。このことが未知検体由来の核酸の定量をDNAマイクロアレイで行うことを更に困難にさせていたが、本実施例の方法では、未知検体核酸とDNAマイクロアレイのハイブリダイゼーション実験に先立ち、DNAマイクロアレイ上のプローブDNAの定量ができるので、より精密な実験ができる。また、検体処理が非常に簡略化でき、DNAマイクロアレイを用いた実験システムの定量性がさらに高くなるという利点もある。
本発明の分析方法の一例を示す図である。 標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Aが競合することを説明した図である。 標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Bが競合することを説明した図である。 未知核酸Aと未知核酸Bの関係を示した図である。 希釈系列を用いた実験結果を示した図である。 標識付きプローブ相補鎖をプローブより短くした時の競合関係を示した図である。 標識付きプローブ相補鎖をプローブより長くした時の競合関係を示した図である。 共焦点顕微鏡による観察手法の全体図である。 ハイブリチャンバー部分の拡大図である。 本発明の分析方法を最もよく表す図である。 事前ハイブリダイゼーションステップ後のDNAマイクロアレイの状態を示した図である。 本発明の分析方法の一例を示す図である。 本発明の分析方法の手順の一例を説明した図である。 標識付きプローブ相補鎖と未知核酸Aとの競合反応を説明した図である。 プローブと未知核酸Bの関係を示した図である。 図15の競合が発生した場合のDNAマイクロアレイの状態を説明する図である。 未知核酸Aと未知核酸Bとの関係を示した図である。 本発明の分析方法の手順の一例を説明した図である。 704の事前プローブ濃度測定ステップの後のDNAマイクロアレイの状態を示した図である。 ハイブリチャンバー内の標識付きプローブ相補鎖の濃度とスポットからの蛍光輝度の関係を示す図である。 ハイブリダイゼーションステップにおいて起こる競合反応を説明する図である。 ハイブリダイゼーションステップにおいて起こる競合反応を説明する図である。 未知検体の核酸濃度を希釈して実験した結果を模式的に表した図である。 標識付きプローブ相補鎖を短くした場合の競合反応を説明した図である。 標識付きプローブ相補鎖を長くした場合の競合反応を説明した図である。
符号の説明
101 標識された相補鎖
102 DNAマイクロアレイ
103 事前ハイブリダイゼーションステップ
104 事前プローブ濃度測定ステップ
105 未知検体由来の核酸
106 ハイブリダイゼーションステップ
107 検体核酸濃度測定ステップ
201 全アレルに対応する標識付き相補鎖が均等に結合したスポット
202 特定のアレルに対応する標識付き相補鎖しか結合していないスポット
203 特定のアレルに対応する標識付き相補鎖しか結合していないスポット
溶液A プローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸を含む溶液
溶液B 未知検体由来の標識されていない核酸を含む溶液
溶液C 溶液Aと溶液Bを混合させたハイブリダイゼーション溶液
DNAマイクロアレイ 本発明で利用する核酸プローブを基板上に固定したもの

Claims (25)

  1. 担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した核酸検出用の固定化プローブ核酸を処理する方法であって、
    検出すべき核酸とは異なり、且つ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程、
    を有する固定化プローブ核酸の処理方法。
  2. 前記既知の核酸が、人工核酸である請求項1に記載の処理方法。
  3. 担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いた核酸の検出方法であって、
    前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、
    検出すべき核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、
    前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    を有する核酸の検出方法。
  4. 核酸の検出方法であって、
    担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を準備する工程と、
    検出すべき核酸と、前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された既知の核酸と、を含有する溶液を準備する工程と、
    前記溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させ、前記溶液中の核酸を前記担体上の前記プローブ核酸に結合させる工程と、
    前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    を有し、
    前記検出した標識量に基づいて、前記固定化プローブ核酸と結合する前記検出すべき核酸を検出することを特徴とする検出方法。
  5. 担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いる核酸濃度分析方法であって、
    標識され、かつ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合する相補鎖を含む核酸を所定の濃度で含み、かつ未知検体由来の核酸を更に含む核酸混合溶液を調製する工程と、
    前記溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程とを有し、
    前記標識された核酸が、前記未知検体由来の核酸を含まずに前記核酸混合溶液に前記所定の濃度で含まれている場合に前記固定化プローブに結合する標識量に対する、前記核酸混合ハイブリダイゼーション反応により得られる溶液により得られる前記固定化プローブに結合する標識量の減少量に基づいて前記核酸混合ハイブリダイゼーション溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定する
    ことを特徴とする核酸濃度分析方法。
  6. 溶液中の核酸を検出するためのキットであって、
    担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸と、
    前記固定化プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を含む標識された核酸を含有し、前記検出すべき核酸を含む溶液を混合させるための溶液と、
    を含有することを特徴とする核酸検出キット。
  7. 担体上の既知の位置に特定の核酸を固定した固定化プローブ核酸を用いる核酸濃度分析方法であって、
    前記固定化プローブ核酸が配置されたチャンバー内に未知検体由来の核酸を含む溶液を導入する工程と、
    標識され、かつ前記固定化プローブ核酸と特異的に結合する相補鎖を含む核酸を含有する溶液を前記溶液と混合するように該チャンバー内に導入する工程と、
    前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程と、を有し、
    前記相補鎖を含む核酸を含有する溶液の前記チャンバーへの導入量と、前記導入による前記固定化プローブに結合する標識量の変化量との相関に基づいて混合溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする核酸濃度分析方法。
  8. 前記標識量の検出を共焦点顕微鏡によって行なう請求項7に記載の検出方法。
  9. 担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に予め結合されている核酸検出用の固定化プローブ核酸。
  10. 前記担体上に結合されたプローブ核酸において、60%以上が前記標識された核酸と結合している請求項9に記載の核酸検出用の固定化プローブ核酸。
  11. 請求項9記載の核酸検出用固定化プローブ核酸が結合した担体。
  12. 担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に結合されている核酸検出用の固定化プローブ核酸を準備する工程と、
    検出すべき核酸を含む溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記固定化プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    を有し、
    前記固定化プローブに予め結合していた標識量と、前記検出工程によって検出した標識量との比較の結果に基づいて、前記固定化プローブ核酸と結合する前記検出すべき核酸を検出することを特徴とする検出方法。
  13. 担体上の既知の位置に特定のプローブ核酸が固定されており、且つ該プローブ核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸がハイブリダイゼーション反応によって前記プローブ核酸に結合されている核酸検出用の固定化プローブ核酸を準備する工程と、
    検出すべき核酸を含む溶液と前記固定化プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記固定化プローブに結合した前記標識された核酸の標識量を検出する工程とを有し、
    前記固定化プローブに予め結合していた標識量と、前記検出工程によって検出した標識量との比較の結果に基づいて、前記溶液中の未知検体由来の核酸の濃度を推定することを特徴とする核酸濃度分析方法。
  14. 遺伝子多型判定のための核酸分析方法であって、
    担体上の既知の位置に、標的遺伝子多型の全アレルの核酸またはその相補鎖を含む核酸を固定したプローブ核酸を準備する工程と、
    前記プローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖を含む核酸と未知検体由来の標識されていない核酸とを前記プローブ核酸と接触させ、ハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    を有し、前記標識量のバランスに基づいて、前記未知検体由来の核酸の遺伝子多型判定を行うことを特徴とする核酸分析方法。
  15. 前記遺伝子多型がSNP(Single Nucleotide Polymorphism)であることを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  16. 前記標識された相補鎖を含む核酸は既知の個数の標識を有することを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  17. 前記標識された相補鎖を含む核酸は1個の標識を有することを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  18. 前記標識は、遺伝子多型のアレル毎に異なる標識であることを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  19. 前記標識は、遺伝子多型のアレル毎に異なる波長の蛍光標識であることを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  20. 前記プローブ核酸と特異的に結合する標識された相補鎖と前記未知検体由来の標識されていない核酸とを含有する溶液を準備する工程と、
    前記溶液を前記プローブ核酸と接触させ、前記溶液中の核酸を前記プローブ核酸に結合する工程と、
    前記プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    がこの順に行われることを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  21. 前記標識された相補鎖を含む核酸と前記プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記プローブに結合した前記標識された相補鎖を含む核酸の標識量を検出する工程と、
    前記未知検体由来の標識されていない核酸と前記プローブ核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行う工程と、
    前記プローブ核酸に結合した標識量を検出する工程と、
    がこの順に行われることを特徴とする、請求項14に記載の核酸分析方法。
  22. 前記遺伝子多型の全アレルに対応するプローブ群をまとめて1箇所(1スポット)に固定することを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  23. 前記遺伝子多型のアレル毎に担体上の異なる位置に固定することを特徴とする請求項14に記載の核酸分析方法。
  24. 遺伝子多型判定のためのキットであって、
    担体上の既知の位置の遺伝子の多型を判定するための注目する全アレルの核酸がそれぞれ固定されている核酸固定化担体と、
    該注目する全アレルの核酸と特異的に結合可能な相補鎖を有する標識された核酸と、
    を有する遺伝子多型判定用キット。
  25. 遺伝子の多型による違いを判別する方法であって、
    担体上の既知の位置に遺伝子の多型の異なる少なくとも2種類以上の核酸またはその相補鎖を含む核酸を固定した固定化核酸を準備する工程と、
    前記核酸と特異的に結合可能であり、かつ標識された既知の核酸を前記固定化核酸にハイブリダイゼーション反応により結合させる工程と、
    未知の標識されていない検出すべき核酸を前記固定化核酸にハイブリダイゼーション反応により結合させる工程と、
    を有し、前記未知の核酸を固定化核酸に結合させることによる前記固定化核酸に結合した標識量の減少に基づいて、前記未知の核酸の多型による違いを判別することを特徴とする、遺伝子多型判別方法。
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