JPWO2004090129A1 - Dnaマイクロアレイ、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、正確な定量を行うことができるDNAマイクロアレイに関する。 本発明は、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを所定の比率で備えた複数のリファレンス部を有し、複数のリファレンス部における上記比率がそれぞれ異なるDNAマイクロアレイに関する。ここで、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸は、少なくとも一方が標識物質によりラベル化されていても良し、両方が異なる標識物質によりラベル化されていても良し、また、両方とも標識物質を有していなくても良い。これにより、リファレンス部から得られるシグナルに基づいて、試料に含まれる検出対象核酸の正確な定量が行える。
Description
本発明は、核酸断片が基板上に固定されたDNAマイクロアレイに関する。
DNAマイクロアレイとは、スライドガラスやシリコン等の基板上にプローブ(探索子)となるDNAを数百〜数万スポット並べたもので、従来の方法では数百〜数万回の実験を必要としていた作業を、一括して並列的に処理できる技術である。医薬品などのライフサイエンス分野では、疾病関連遺伝子の探索などのハイスループットが要求されるDNA解析の分野で重要な技術となっている。このようなDNAマイクロアレイ技術は、遺伝子の探索などのDNA解析分野以外で、医用遺伝子検査分野などでの使用も期待されている。
しかしながら、現状のDNAマイクロアレイにおいては、検出対象のDNAを正確に定量することができなかった。
しかしながら、現状のDNAマイクロアレイにおいては、検出対象のDNAを正確に定量することができなかった。
本発明は、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを所定の比率で備えた複数のリファレンス部を有し、複数のリファレンス部における上記比率がそれぞれ異なるDNAマイクロアレイに関する。ここで、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸は、少なくとも一方が標識物質によりラベル化されていても良し、両方が異なる標識物質によりラベル化されていても良し、また、両方とも標識物質を有していなくても良い。これにより、リファレンス部から得られるシグナルに基づいて、試料に含まれる検出対象核酸の正確な定量が行える。
また、本発明は、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを含み、当該第1のオリゴ核酸と当該第2のオリゴ核酸との比率がそれぞれ異なるようにした複数のリファレンス用溶液を、それぞれ基板上の異なる位置にスポットし、上記リファレンス用溶液に含まれる第1のオリゴ核酸と上記第2のオリゴ核酸とを固定化するDNAマイクロアレイに関する。これにより、試料に含まれる検出対象の核酸の正確な定量が行えるDNAマイクロアレイを作製できる。
さらに、本発明は、第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸を所定の比率で備え、当該比率がそれぞれ異なる複数のリファレンス部と、DNAプローブを備えるプローブ部とを有するDNAマイクロアレイに対して、検出対象の核酸を含む溶液を作用させ、上記リファレンス部におけるシグナルから、シグナル強度とオリゴ核酸との相関関係を導き出すものである。第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸のいずれか一方に相補的結合し、標識物質を有する第1のラベル化オリゴ核酸を、DNAマイクロアレイに作用させることにより、当該第1のラベル化オリゴ核酸に基づくシグナルを上記リファレンス部におけるシグナルとすることもできる。これにより、リファレンス部から得られるシグナルに基づいて、試料に含まれる検出対象の核酸の正確な定量を行うことができる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参照して説明する。
また、本発明は、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを含み、当該第1のオリゴ核酸と当該第2のオリゴ核酸との比率がそれぞれ異なるようにした複数のリファレンス用溶液を、それぞれ基板上の異なる位置にスポットし、上記リファレンス用溶液に含まれる第1のオリゴ核酸と上記第2のオリゴ核酸とを固定化するDNAマイクロアレイに関する。これにより、試料に含まれる検出対象の核酸の正確な定量が行えるDNAマイクロアレイを作製できる。
さらに、本発明は、第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸を所定の比率で備え、当該比率がそれぞれ異なる複数のリファレンス部と、DNAプローブを備えるプローブ部とを有するDNAマイクロアレイに対して、検出対象の核酸を含む溶液を作用させ、上記リファレンス部におけるシグナルから、シグナル強度とオリゴ核酸との相関関係を導き出すものである。第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸のいずれか一方に相補的結合し、標識物質を有する第1のラベル化オリゴ核酸を、DNAマイクロアレイに作用させることにより、当該第1のラベル化オリゴ核酸に基づくシグナルを上記リファレンス部におけるシグナルとすることもできる。これにより、リファレンス部から得られるシグナルに基づいて、試料に含まれる検出対象の核酸の正確な定量を行うことができる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参照して説明する。
図1(A)は、本発明を適用したDNAマイクロアレイを模式的に示す斜視図であり、(B)サンプル領域を拡大して示す平面図である。
図2は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図3は、DNAマイクロアレイを用いる検出装置を示す概略構成図である。
図4は、リファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
図5は、サンプル領域を拡大して示す平面図である。
図6は、サンプル領域を拡大して示す平面図である。
図7は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図8は、図7に示したリファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
図9は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図10は、実施例で用いたオリゴDNAを示す図である。
図11は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図12は、図11に示したリファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
図2は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図3は、DNAマイクロアレイを用いる検出装置を示す概略構成図である。
図4は、リファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
図5は、サンプル領域を拡大して示す平面図である。
図6は、サンプル領域を拡大して示す平面図である。
図7は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図8は、図7に示したリファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
図9は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図10は、実施例で用いたオリゴDNAを示す図である。
図11は、リファレンス部を模式的に示す図である。
図12は、図11に示したリファレンス部のシグナルに基づいて得られた検量線を示す特性図である。
本発明を適用したDNAマイクロアレイは、図1(A)に示すように、基板1と、基板1の一主面上に設定されたサンプル領域2に形成された複数のDNAプローブ部3と、当該サンプル領域2に形成された複数のリファレンス部4と、当該サンプル領域に形成されたバックグラウンド・コントロール部5とを備える。
基板1は、特に限定されず、例えば、スライドガラス、金属、ナイロン又はニトロセルロースメンブレン等からなる。また、基板1は、表面の一部或いは全部に対して、表面処理が施されたものであっても良いし、アミノシランからなる被膜が形成されてものであってもよい。
サンプル領域2は、基板1の一主面上の所定の領域であって、例えば、基板1の一主面の略中央に設定される。
DNAプローブ部3は、核酸断片(DNAプローブ或いはオリゴDNAとも称する場合もある)を所定の密度で基板1の一主面に固定化することで形成される。ここで、固定化とは、共有結合のみならず、イオン結合等の如何なる結合態様も含む意味であり、また、リンカーを介する結合及びリンカーを介しない結合の両方を含む意味である。固定化する核酸断片としては、特に限定されないが、検体から抽出され、増幅や精製などの過程により調製されたDNA断片や、合成されたオリゴDNAを挙げることができる。また、核酸断片の固定化に際しては、いわゆるスポッター(アレイヤー)を用いることができる。
また、複数のDNAプローブ部3においては、各DNAプローブ部3に固定化する核酸断片の種類(具体的には塩基配列)が異なっている。しかしながら、DNAマイクロアレイは、1種類の核酸断片を固定化した複数のDNAプローブ部3を有するものであっても良い。
例えば、アミノシランからなる被膜が形成されたガラスからなる基板1に対して、核酸断片を固定化する際には、先ず、固定化対象の核酸断片を含む溶液を調製する。そして、アミノシランからなる被膜上に、当該溶液をスポットして、所定の温度に維持して所定の時間静置する。その後、洗浄液によって基板上の余剰の核酸断片等を除去し、乾燥させることによってDNAプローブ部3を形成することができる。
リファレンス部4は、図1(B)に示すように、複数のリファレンス部4a、4b、4c及び4dからなる。リファレンス部4a、4b、4c及び4dは、それぞれサンプル領域2の四隅に位置する。各リファレンス部4a、4b、4c及び4dには、第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNAとが所定の比率で固定化されている。ここで、オリゴDNAとは、通常、DNAマイクロアレイに固定化することができる長さ(塩基数)のDNA断片を意味する。オリゴDNAの長さとしては、例えば10〜1000塩基、好ましくは20〜200塩基、より好ましくは20〜80塩基である。
10〜1000塩基のオリゴDNAを用いる場合、オリゴDNAは合成されたものに限らず、例えばPCRプライマーの片側を標識化合物により修飾して得られるPCR産物を用いることもできる。このとき、技遺伝子を増幅する可能性もあるが、1000塩基あれば技遺伝子を排除するプライマーを設計し、既知の配列を持ったPCR産物をオリゴDNAとして用いることができる。20〜200塩基のオリゴDNAを用いる場合、一般的に化学合成しやすい塩基長であり、オリゴDNAを安価に手軽に入手することができる。20〜80塩基のオリゴDNAを用いる場合、長い塩基においては自己構造をとったり、余剰のDNAとハイブリダイゼーションしたりとノイズが増える傾向があるため、この長さのものが使いやすい。
リファレンス部4において、第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNAは、これらのうち一方又は両方が標識物質によりラベル化されていても良し、これらのうち両方がラベル化されていなくても良い。一方をラベル化した場合、ラベル化されたオリゴDNAの希釈列を安価に作製することができる。また、両方をラベル化した場合、DNAマイクロアレイにおいては、2種のDNAを比較するために2色の蛍光色素を使用することが多いため、オリゴDNAを2種のDNAに対応した希釈系列が同時に得られる。第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNの両方をラベル化する場合、それぞれ異なる標識物質でラベル化する。なお、異なる標識物質とは、検出波長が異なる標識物質や、異なる検出手段でそれぞれ検出可能な標識物質を意味する。標識物質としては、例えば、蛍光標識物質、同位体標識物質、電機検出型標識物質を挙げることができる。蛍光標識物質としては、特に限定されず、如何なる蛍光物質を用いても良い。例えば、蛍光物質としては、Cy3、Cy5等のCye−Dye(アマシャム・ファルマシア社製)、Alexa色素(モレキュラープローブ社製)を使用することができる。また、同位体標識物質としては、特に限定されず、如何なる放射性同位体元素を用いても良い。例えば、放射性同位元素としては、32Pを使用することができる。
さらに、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがラベル化されていないとは、蛍光或いは放射能といったシグナルを発していない、或いは、いわゆる蛍光検出器及び放射線検出器における検出限界以下の蛍光量及び放射線量を発するものを意味する。したがって、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがラベル化されていないとは、標識物質が第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAに付されていない場合、及び、検出限界以下の蛍光量及び放射線量となるようにクエンチャー(消光剤)等の物質が付されたものであっても良い。
複数のリファレンス部4に第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを固定化する場合、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおいて、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがそれぞれ異なる比率で固定化される。具体的には、リファレンス部4を作製する際には、先ず、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを所定の比率で含む溶液を調製する。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dそれぞれに対応するように、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを、4種類の異なる比率で混合した混合溶液を調製する。
次に、上述したDNAプローブ部3を作製した場合と同様にして、混合溶液をスポットした後、混合溶液に含まれる第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを基板1表面に固定化することで、リファレンス部4を作製することができる。このとき、リファレンス部4においては、混合溶液中の第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を反映して、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAが所定の比率で固定化されることとなる。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおいては、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの合計の固定化量は一定であるが、固定化されたもののうち第1のオリゴDNAが占める割合が混合溶液における比率に依存して異なることとなる。
例えば、第1のオリゴDNAのみに標識物質を付した場合のリファレンス部4を、図2(a)、(b)及び(c)に模式的に示す。図2(a)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を100:0として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。図2(b)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を50:50として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。図2(c)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を0:100として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。
なお、標識物質を付した第1のオリゴDNAをリファレンスとして固定する場合、標識物質を付した第1のオリゴDNAを所定の濃度にした溶液をスポットし、固定化しても、固定化する第1のオリゴDNAの密度(固定化量)は、必ずしも第1のオリゴDNAの濃度に依存するものではない。すなわち、第1のオリゴDNAの濃度が異なる複数の溶液を用いて第1のラベル化担体を固定化しても、第1のラベル化担体の密度(固定化量)は、溶液における第1のオリゴDNA濃度を反映することなく、ほぼ一定になってしまう。
これに対して、図2(a)、(b)及び(c)に示すように、混合溶液中の第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を調節することで、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの固定化比率、換言すると、標識物質を付した第1のオリゴDNAの固定化量を正確に規定することができる。
なお、バックグラウンド・コントロール部5は、基板1及び核酸断片に起因するシグナルを検出するためのものであるため、核酸断片のみを固定化した部位である。
以上のように構成されたDNAマイクロアレイは、例えば、図3に示すような、検出装置に適用され、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行うことができる。図3に示す検出装置は、いわゆるフローセル方式のDNAマイクロアレイシステムである。
この検出装置は、DNAマイクロアレイを載置するフローセル10と、フローセル10に供給するハイブリダイゼーション溶液を蓄えた第1ボトル11と、フローセル10に供給する洗浄液を蓄えた第2ボトル12と、第1ボトル11及び第2ボトル12とフローセル10とを連結する流路上に配設されたバルブ13と、バルブ13を介して溶液サンプル等を流路に供給するための分注器14と、フローセル10から排出される液体の流路上に配設されたポンプ15と、フローセル10内から排出された液体を廃棄するための廃液ボトル16とを備えている。また、検出装置は、フローセル10に載置されたDNAマイクロアレイにおけるシグナルを検出する検出部17を備えている。なお、検出装置は、信号入力部、データ処理回路及びモニターを有するデータ処理装置(図示せず)と接続されており、検出部17で検出したシグナルを当該データ処理装置に出力することができる。
このように構成された検出装置は、フローセル10内に載置したDNAマイクロアレイを用いて、以下のようにして、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行う。先ず、ポンプ15を駆動して第2ボトルからフローセル10内に洗浄液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイを洗浄することができる。次に、ポンプ15を駆動して第1ボトル11からフローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイ上に残存する洗浄液をハイブリダイゼーション溶液に置換することができる。
次に、フローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入しながら、分注器14からバルブ13を介して溶液サンプルをフローセル10に導入する。これにより、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させることができる。次に、DNAマイクロアレイに溶液サンプルが接触している状態で、フローセル10内部を所定の温度に制御する。これにより、フローセル10内部において、充填された溶液がハイブリダイゼーションに適した温度となり、溶液サンプルに含まれるDNAと、DNAプローブ部3に固定化された核酸断片とをハイブリダイズさせることができる。
所定時間経過後、次に、ポンプ15を駆動してフローセル10内部の溶液を廃棄ボトル16に排出するとともに、第1ボトル11からフローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイ上に残存する、未反応のDNA等を含む溶液サンプルを除去することができる。
次に、検出部17によってDNAマイクロアレイにおけるシグナルを検出する。このとき、各DNAプローブ部3における蛍光シグナルと、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルと、バックグラウンド・コントロール部5における蛍光シグナルとを検出する。
リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナル強度は、標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)に依存している。本発明に係るDNAマイクロアレイにおいては、図2に示したように、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)が正確に規定されている。このため、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナル強度を検出することによって、図4に示すように、各リファレンス部4の蛍光シグナル強度と第1のラベル化担体の比率との関係を示す検量線を得ることができる。例えば、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)を直線的な勾配をもって規定した場合、得られる検量線は直線を示すこととなる。
得られた検量線に、DNAプローブ部3における蛍光シグナル強度を外挿することによって、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。また、検量線が、標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)に基づいて予測されるプロファイルを示さない場合、或いは、リファレンス部4a、4b、4c及び4dのいずれかの蛍光シグナルが検出されない場合には、リファレンス部4に固定した第1のオリゴDNAのみならず、DNAプローブ部3に固定化したDNAプローブも剥離或いは分解等の不具合が生じていると判断することができる。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルを検出することによって、DNAマイクロアレイの使用可否判断や実験工程の不具合を確認することができる。
溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを検出及び/又は定量した後、フローセル10内の溶液を、例えば95℃に昇温する。これによって、DNAプローブ部3におけるDNAプローブとハイブリダイズした核酸断片を、DNAプローブから解離させることができる。次に、DNAプローブと核酸断片とを解離させた状態で、ポンプ15を駆動して第2ボトルからフローセル10内に洗浄液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイに残存する核酸断片等を除去することができる。
測定終了後、上記各工程を繰り返すことによって、複数の溶液サンプルに対して連続測定を行うことができる。この連続測定に際して、各測定において、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルを検出することによって、DNAマイクロアレイの使用可否判断や実験工程の不具合を確認することができる。これによって、DNAマイクロアレイの繰り返し使用に伴うDNAプローブの剥離や、実験工程の不具合を連続測定における各測定で検出することができる。
なお、DNAマイクロアレイにおいては、DNAプローブ部3、リファレンス部4及びバックグラウンド・コントロール部5が図1(B)に示したような位置に限定されず、例えば、図5或いは図6に示すような位置に配されていても良い。
特に、本発明に係るDNAマイクロアレイにおいては、リファレンス部4に固定化される第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAは標識物質を付していないものであってもよい。この場合においても、DNAマイクロアレイは、図3に示した検出装置に適用され、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行うことができる。
この場合、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させる際に、第1のオリゴDNA又は第2のオリゴDNAに相補的な塩基配列を有し、標識物質が付されたラベル化オリゴ核酸を溶液サンプルに混合する。これにより、図7に模式的に示すように、溶液サンプルに含まれたラベル化オリゴ核酸と第1のオリゴDNA又は第2のオリゴDNAとが特異的に結合する。これにより、リファレンス部4は標識物質に起因する蛍光シグナルを生ずることとなり、上述した場合と同様に、図8に示すような検量線を得ることができる。そして、この検量線に基づいて、上述した場合と同様にして溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。
特に、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析時にリファレンス部4に固定化された第1のオリゴDNAをラベル化することとなる。すなわち、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析までリファレンス部4に蛍光標識物質を有しないこととなる。蛍光標識物質は、光の曝露や湿度等の影響により蛍光強度が減少することがある。しかしながら、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析まで長期間保管した場合でも、溶液サンプルの解析時におけるリファレンス部4の蛍光シグナル強度を一定に維持することができる。したがって、本例のDNAマイクロアレイは、長期間の保存に適し、更に、繰り返し使用に適したものであるといえる。
なお、本例のDNAマイクロアレイを用いる場合、第1のオリゴDNAに対して相補的な塩基配列及び蛍光標識物質を有する第1のラベル化オリゴ核酸並びに第2のオリゴDNAに対して相補的な塩基配列及び蛍光標識物質を有する第2のラベル化オリゴ核酸を用いても良い。すなわち、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させる際に、第1のラベル化オリゴ核酸及び第2のラベル化オリゴ核酸を溶液サンプルに混合する。
これにより、図9に模式的に示すように、第1のラベル化オリゴ核酸と第1のオリゴDNAとが特異的に結合し、第2のラベル化オリゴ核酸と第2のオリゴDNAとが特異的に結合する。これにより、リファレンス部4は2種類の標識物質に起因する2種類の蛍光シグナルを生ずることとなり、2種類の蛍光標識物質の蛍光シグナル強度に基づいて検量線を得ることができる。そして、この検量線に基づいて、上述した場合と同様にして溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
基板1は、特に限定されず、例えば、スライドガラス、金属、ナイロン又はニトロセルロースメンブレン等からなる。また、基板1は、表面の一部或いは全部に対して、表面処理が施されたものであっても良いし、アミノシランからなる被膜が形成されてものであってもよい。
サンプル領域2は、基板1の一主面上の所定の領域であって、例えば、基板1の一主面の略中央に設定される。
DNAプローブ部3は、核酸断片(DNAプローブ或いはオリゴDNAとも称する場合もある)を所定の密度で基板1の一主面に固定化することで形成される。ここで、固定化とは、共有結合のみならず、イオン結合等の如何なる結合態様も含む意味であり、また、リンカーを介する結合及びリンカーを介しない結合の両方を含む意味である。固定化する核酸断片としては、特に限定されないが、検体から抽出され、増幅や精製などの過程により調製されたDNA断片や、合成されたオリゴDNAを挙げることができる。また、核酸断片の固定化に際しては、いわゆるスポッター(アレイヤー)を用いることができる。
また、複数のDNAプローブ部3においては、各DNAプローブ部3に固定化する核酸断片の種類(具体的には塩基配列)が異なっている。しかしながら、DNAマイクロアレイは、1種類の核酸断片を固定化した複数のDNAプローブ部3を有するものであっても良い。
例えば、アミノシランからなる被膜が形成されたガラスからなる基板1に対して、核酸断片を固定化する際には、先ず、固定化対象の核酸断片を含む溶液を調製する。そして、アミノシランからなる被膜上に、当該溶液をスポットして、所定の温度に維持して所定の時間静置する。その後、洗浄液によって基板上の余剰の核酸断片等を除去し、乾燥させることによってDNAプローブ部3を形成することができる。
リファレンス部4は、図1(B)に示すように、複数のリファレンス部4a、4b、4c及び4dからなる。リファレンス部4a、4b、4c及び4dは、それぞれサンプル領域2の四隅に位置する。各リファレンス部4a、4b、4c及び4dには、第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNAとが所定の比率で固定化されている。ここで、オリゴDNAとは、通常、DNAマイクロアレイに固定化することができる長さ(塩基数)のDNA断片を意味する。オリゴDNAの長さとしては、例えば10〜1000塩基、好ましくは20〜200塩基、より好ましくは20〜80塩基である。
10〜1000塩基のオリゴDNAを用いる場合、オリゴDNAは合成されたものに限らず、例えばPCRプライマーの片側を標識化合物により修飾して得られるPCR産物を用いることもできる。このとき、技遺伝子を増幅する可能性もあるが、1000塩基あれば技遺伝子を排除するプライマーを設計し、既知の配列を持ったPCR産物をオリゴDNAとして用いることができる。20〜200塩基のオリゴDNAを用いる場合、一般的に化学合成しやすい塩基長であり、オリゴDNAを安価に手軽に入手することができる。20〜80塩基のオリゴDNAを用いる場合、長い塩基においては自己構造をとったり、余剰のDNAとハイブリダイゼーションしたりとノイズが増える傾向があるため、この長さのものが使いやすい。
リファレンス部4において、第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNAは、これらのうち一方又は両方が標識物質によりラベル化されていても良し、これらのうち両方がラベル化されていなくても良い。一方をラベル化した場合、ラベル化されたオリゴDNAの希釈列を安価に作製することができる。また、両方をラベル化した場合、DNAマイクロアレイにおいては、2種のDNAを比較するために2色の蛍光色素を使用することが多いため、オリゴDNAを2種のDNAに対応した希釈系列が同時に得られる。第1のオリゴDNAと第2のオリゴDNの両方をラベル化する場合、それぞれ異なる標識物質でラベル化する。なお、異なる標識物質とは、検出波長が異なる標識物質や、異なる検出手段でそれぞれ検出可能な標識物質を意味する。標識物質としては、例えば、蛍光標識物質、同位体標識物質、電機検出型標識物質を挙げることができる。蛍光標識物質としては、特に限定されず、如何なる蛍光物質を用いても良い。例えば、蛍光物質としては、Cy3、Cy5等のCye−Dye(アマシャム・ファルマシア社製)、Alexa色素(モレキュラープローブ社製)を使用することができる。また、同位体標識物質としては、特に限定されず、如何なる放射性同位体元素を用いても良い。例えば、放射性同位元素としては、32Pを使用することができる。
さらに、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがラベル化されていないとは、蛍光或いは放射能といったシグナルを発していない、或いは、いわゆる蛍光検出器及び放射線検出器における検出限界以下の蛍光量及び放射線量を発するものを意味する。したがって、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがラベル化されていないとは、標識物質が第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAに付されていない場合、及び、検出限界以下の蛍光量及び放射線量となるようにクエンチャー(消光剤)等の物質が付されたものであっても良い。
複数のリファレンス部4に第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを固定化する場合、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおいて、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAがそれぞれ異なる比率で固定化される。具体的には、リファレンス部4を作製する際には、先ず、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを所定の比率で含む溶液を調製する。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dそれぞれに対応するように、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを、4種類の異なる比率で混合した混合溶液を調製する。
次に、上述したDNAプローブ部3を作製した場合と同様にして、混合溶液をスポットした後、混合溶液に含まれる第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAを基板1表面に固定化することで、リファレンス部4を作製することができる。このとき、リファレンス部4においては、混合溶液中の第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を反映して、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAが所定の比率で固定化されることとなる。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおいては、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの合計の固定化量は一定であるが、固定化されたもののうち第1のオリゴDNAが占める割合が混合溶液における比率に依存して異なることとなる。
例えば、第1のオリゴDNAのみに標識物質を付した場合のリファレンス部4を、図2(a)、(b)及び(c)に模式的に示す。図2(a)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を100:0として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。図2(b)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を50:50として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。図2(c)は、第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を0:100として混合溶液を調製し、リファレンス部4を作製した場合である。
なお、標識物質を付した第1のオリゴDNAをリファレンスとして固定する場合、標識物質を付した第1のオリゴDNAを所定の濃度にした溶液をスポットし、固定化しても、固定化する第1のオリゴDNAの密度(固定化量)は、必ずしも第1のオリゴDNAの濃度に依存するものではない。すなわち、第1のオリゴDNAの濃度が異なる複数の溶液を用いて第1のラベル化担体を固定化しても、第1のラベル化担体の密度(固定化量)は、溶液における第1のオリゴDNA濃度を反映することなく、ほぼ一定になってしまう。
これに対して、図2(a)、(b)及び(c)に示すように、混合溶液中の第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの比率を調節することで、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAの固定化比率、換言すると、標識物質を付した第1のオリゴDNAの固定化量を正確に規定することができる。
なお、バックグラウンド・コントロール部5は、基板1及び核酸断片に起因するシグナルを検出するためのものであるため、核酸断片のみを固定化した部位である。
以上のように構成されたDNAマイクロアレイは、例えば、図3に示すような、検出装置に適用され、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行うことができる。図3に示す検出装置は、いわゆるフローセル方式のDNAマイクロアレイシステムである。
この検出装置は、DNAマイクロアレイを載置するフローセル10と、フローセル10に供給するハイブリダイゼーション溶液を蓄えた第1ボトル11と、フローセル10に供給する洗浄液を蓄えた第2ボトル12と、第1ボトル11及び第2ボトル12とフローセル10とを連結する流路上に配設されたバルブ13と、バルブ13を介して溶液サンプル等を流路に供給するための分注器14と、フローセル10から排出される液体の流路上に配設されたポンプ15と、フローセル10内から排出された液体を廃棄するための廃液ボトル16とを備えている。また、検出装置は、フローセル10に載置されたDNAマイクロアレイにおけるシグナルを検出する検出部17を備えている。なお、検出装置は、信号入力部、データ処理回路及びモニターを有するデータ処理装置(図示せず)と接続されており、検出部17で検出したシグナルを当該データ処理装置に出力することができる。
このように構成された検出装置は、フローセル10内に載置したDNAマイクロアレイを用いて、以下のようにして、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行う。先ず、ポンプ15を駆動して第2ボトルからフローセル10内に洗浄液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイを洗浄することができる。次に、ポンプ15を駆動して第1ボトル11からフローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイ上に残存する洗浄液をハイブリダイゼーション溶液に置換することができる。
次に、フローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入しながら、分注器14からバルブ13を介して溶液サンプルをフローセル10に導入する。これにより、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させることができる。次に、DNAマイクロアレイに溶液サンプルが接触している状態で、フローセル10内部を所定の温度に制御する。これにより、フローセル10内部において、充填された溶液がハイブリダイゼーションに適した温度となり、溶液サンプルに含まれるDNAと、DNAプローブ部3に固定化された核酸断片とをハイブリダイズさせることができる。
所定時間経過後、次に、ポンプ15を駆動してフローセル10内部の溶液を廃棄ボトル16に排出するとともに、第1ボトル11からフローセル10内にハイブリダイゼーション溶液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイ上に残存する、未反応のDNA等を含む溶液サンプルを除去することができる。
次に、検出部17によってDNAマイクロアレイにおけるシグナルを検出する。このとき、各DNAプローブ部3における蛍光シグナルと、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルと、バックグラウンド・コントロール部5における蛍光シグナルとを検出する。
リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナル強度は、標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)に依存している。本発明に係るDNAマイクロアレイにおいては、図2に示したように、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)が正確に規定されている。このため、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナル強度を検出することによって、図4に示すように、各リファレンス部4の蛍光シグナル強度と第1のラベル化担体の比率との関係を示す検量線を得ることができる。例えば、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)を直線的な勾配をもって規定した場合、得られる検量線は直線を示すこととなる。
得られた検量線に、DNAプローブ部3における蛍光シグナル強度を外挿することによって、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。また、検量線が、標識物質が付された第1のオリゴDNAの濃度(固定化量)に基づいて予測されるプロファイルを示さない場合、或いは、リファレンス部4a、4b、4c及び4dのいずれかの蛍光シグナルが検出されない場合には、リファレンス部4に固定した第1のオリゴDNAのみならず、DNAプローブ部3に固定化したDNAプローブも剥離或いは分解等の不具合が生じていると判断することができる。すなわち、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルを検出することによって、DNAマイクロアレイの使用可否判断や実験工程の不具合を確認することができる。
溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを検出及び/又は定量した後、フローセル10内の溶液を、例えば95℃に昇温する。これによって、DNAプローブ部3におけるDNAプローブとハイブリダイズした核酸断片を、DNAプローブから解離させることができる。次に、DNAプローブと核酸断片とを解離させた状態で、ポンプ15を駆動して第2ボトルからフローセル10内に洗浄液を導入する。これにより、フローセル10内部及びDNAマイクロアレイに残存する核酸断片等を除去することができる。
測定終了後、上記各工程を繰り返すことによって、複数の溶液サンプルに対して連続測定を行うことができる。この連続測定に際して、各測定において、リファレンス部4a、4b、4c及び4dにおける蛍光シグナルを検出することによって、DNAマイクロアレイの使用可否判断や実験工程の不具合を確認することができる。これによって、DNAマイクロアレイの繰り返し使用に伴うDNAプローブの剥離や、実験工程の不具合を連続測定における各測定で検出することができる。
なお、DNAマイクロアレイにおいては、DNAプローブ部3、リファレンス部4及びバックグラウンド・コントロール部5が図1(B)に示したような位置に限定されず、例えば、図5或いは図6に示すような位置に配されていても良い。
特に、本発明に係るDNAマイクロアレイにおいては、リファレンス部4に固定化される第1のオリゴDNA及び第2のオリゴDNAは標識物質を付していないものであってもよい。この場合においても、DNAマイクロアレイは、図3に示した検出装置に適用され、溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAの検出及び/又は定量を行うことができる。
この場合、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させる際に、第1のオリゴDNA又は第2のオリゴDNAに相補的な塩基配列を有し、標識物質が付されたラベル化オリゴ核酸を溶液サンプルに混合する。これにより、図7に模式的に示すように、溶液サンプルに含まれたラベル化オリゴ核酸と第1のオリゴDNA又は第2のオリゴDNAとが特異的に結合する。これにより、リファレンス部4は標識物質に起因する蛍光シグナルを生ずることとなり、上述した場合と同様に、図8に示すような検量線を得ることができる。そして、この検量線に基づいて、上述した場合と同様にして溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。
特に、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析時にリファレンス部4に固定化された第1のオリゴDNAをラベル化することとなる。すなわち、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析までリファレンス部4に蛍光標識物質を有しないこととなる。蛍光標識物質は、光の曝露や湿度等の影響により蛍光強度が減少することがある。しかしながら、本例のDNAマイクロアレイは、溶液サンプルの解析まで長期間保管した場合でも、溶液サンプルの解析時におけるリファレンス部4の蛍光シグナル強度を一定に維持することができる。したがって、本例のDNAマイクロアレイは、長期間の保存に適し、更に、繰り返し使用に適したものであるといえる。
なお、本例のDNAマイクロアレイを用いる場合、第1のオリゴDNAに対して相補的な塩基配列及び蛍光標識物質を有する第1のラベル化オリゴ核酸並びに第2のオリゴDNAに対して相補的な塩基配列及び蛍光標識物質を有する第2のラベル化オリゴ核酸を用いても良い。すなわち、DNAマイクロアレイに対して溶液サンプルを作用させる際に、第1のラベル化オリゴ核酸及び第2のラベル化オリゴ核酸を溶液サンプルに混合する。
これにより、図9に模式的に示すように、第1のラベル化オリゴ核酸と第1のオリゴDNAとが特異的に結合し、第2のラベル化オリゴ核酸と第2のオリゴDNAとが特異的に結合する。これにより、リファレンス部4は2種類の標識物質に起因する2種類の蛍光シグナルを生ずることとなり、2種類の蛍光標識物質の蛍光シグナル強度に基づいて検量線を得ることができる。そして、この検量線に基づいて、上述した場合と同様にして溶液サンプルに含まれる検出対象のDNAを定量することができる。
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
DNAマイクロアレイの作製
本例では、アミノシランでコートしたガラススライドを基板1として用いた。ガラススライドにアミノシランコートする方法を以下に記す。
先ず、ガラススライドをアセトン中で超音波洗浄した。その後、ガラススライドを1mol/l水酸化ナトリウム中に浸漬し、25℃の恒温槽中に1時間、静置した。その後、ガラススライドを超純水で2度濯いだ後、1%アミノシラン(アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン等)溶液中に浸漬し1時間、室温で静置した。再び超純水で2度すすぎ、120℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。アミノシランとDNAの架橋剤として、PDC(1,4−p−phenylene diisothiocyanate)を用いた。アミノシラン化したガラススライドにPDCを反応させるために、PDC 0.15gをピリジン15ml、DMF 135mlに溶解した溶液を調製した。ガラススライドをこの溶液に浸漬し、2時間静置した。次に、メタノール、アセトンでそれぞれ5分ずつ洗浄し、120℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。
続いて、得られたガラススライドの一主面上に、DNAプローブ部3及びリファレンス部4を作製した。具体的に、本例では、図10に示すオリゴDNAを用いた。本例では、リファレンス部4に固定化する第1のオリゴDNAのみをラベル化した例である。すなわち、第1のオリゴDNAは、所定の塩基配列からなるオリゴDNAに、ガラススライドに固定するためのアミノ基と検出のためのCY3とが修飾されたもの(以下、オリゴA)である。第2のオリゴDNAとしては、オリゴAと同じ塩基配列からなり、ガラススライドに固定するためのアミノ基を有するもの(以下、オリゴB)を使用した。
また、本例において、バックグラウンド・コントロール5としては、図10に示すように、リファレンス部4に用いたオリゴDNAと同配列で、CY3修飾されていないオリゴDNAを用いた。また、本例において、DNAプローブとしては、SNP Aを検出するためのオリゴDNAと、SNP Bを検出するためのオリゴDNAとを用いた。そして、以下のようにして、これらオリゴDNAを含む溶液をそれぞれ調製し、アミノシランコートガラスへオリゴDNAを固定化した。
オリゴDNAを10%グリセロール水溶液に溶解し、アミノシランをコートしたガラススライド上にスポットした。これを55℃のインキュベーター中に一晩静置し、アミノシランをコートしたガラススライドとオリゴDNAを結合させた。その後、2×SSCバッファーに0.1%となるようSDS溶液を加えた洗浄液で、ガラススライド上に残存する余剰のオリゴDNAを洗い流し、乾燥させた。
このとき、本例では、4種類のリファレンス部4に対応するように、オリゴA:オリゴBの濃度比を100:0、75:25、50:50、75:25、0:100と変化させた4種類の溶液を調製してリファレンス部4を作製した。
以上のようにして、DNAマイクロアレイを得た。
溶液サンプルの解析
上記で得られたDNAマイクロアレイを用いて、ヒトゲノムのSNP解析を行った。解析する試料は、ヒト静脈血から精製したゲノムDNAである。ゲノムDNAは、全血をDNA抽出カラム(QIAGEN社 DNA Blood MINI Kit)を用いて精製した。このゲノムDNAをテンプレートとして、以下のPCR反応液を用い、温度サイクル(94℃×1分、94℃・55℃・72℃それぞれ1分ずつ30サイクル、72℃×5分)をかけた。プライマーには、CY3標識した合成オリゴを用い、PCR産物が蛍光を発するようにした。これにより、蛍光標識された目的DNAが増幅された。
(PCR反応液の組成)
10×PCR溶液 10μl
25mM MgCl2溶液 6μl
dNTP 8μl
Taqポリメラーゼ 0.5μl(以上Takara社製PCR kit)
超純水 63.5μl
プライマー 各1μl
PCRの後、PCR反応液を上記DNAマイクロアレイ上に導入した。DNAマイクロアレイ上に固定されたプローブDNAと、PCR反応液に含まれる増幅産物のハイブリダイゼーション反応のために、10μlのPCR反応液をスポット領域2にそそぎ、水を飽和量加えた容器に密閉し、30℃で2時間、静置した。その後、30℃に保温された、0.1%SDSを添加した0.2×SSC溶液を注ぎ、ハイブリダイズしていない反応産物を洗い流し、超純水で軽く濯いだ後、蛍光測定した。
蛍光計測は、蛍光顕微鏡により基板上の蛍光を計測する方法にて行った。DNAマイクロアレイをスライドガラスに載せ、蛍光顕微鏡(IX−70、Olympus社製)の視野中心で焦点を合わせ、水銀ランプとWIGキューブ(広帯域IG励起)の組み合わせで得られた像をCCDカメラ(アンドール製)で取り込んだ。この組み合わせにより増幅産物に結合した蛍光体CY3R及びリファレンス部4の蛍光を測定することができる。本例では、対物レンズは10倍を使用し、露光時間1秒とした。なお、DNAマイクロアレイにおけるオリゴDNAが乗っていない部分を別個に測定し、背景蛍光強度とした。測定値は、プローブDNA部分の蛍光強度から背景蛍光強度を差し引いたものとした。
この時、4点のリファレンススポット4の蛍光強度を同時に測定した。この測定値に基準値以上のばらつきが見られた場合、フォーカスの合わせ方やマイクロアレイ上の汚れなと、測定上のエラーがあったものと判断し、この測定全体を無効とした。また、複数のDNAマイクロアレイを用いて上述したように溶液サンプルの解析を行う場合、4点のリファレンススポット4の蛍光測定値を用いることによって、測定値が環境条件などによって異なる値を示した場合であってもDNAマイクロアレイ間の測定値の誤差を補正することができた。
また、本例では、オリゴAとオリゴBの混合比を変えて固定化したリファレンス部4を備えるDNAマイクロアレイを用いているため、これらリファレンス部4の蛍光測定量から図4に示したような検量線を得ることができた。この検量線を用いることによって、試料に含まれるDNAを定量することもできた。
本例では、アミノシランでコートしたガラススライドを基板1として用いた。ガラススライドにアミノシランコートする方法を以下に記す。
先ず、ガラススライドをアセトン中で超音波洗浄した。その後、ガラススライドを1mol/l水酸化ナトリウム中に浸漬し、25℃の恒温槽中に1時間、静置した。その後、ガラススライドを超純水で2度濯いだ後、1%アミノシラン(アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン等)溶液中に浸漬し1時間、室温で静置した。再び超純水で2度すすぎ、120℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。アミノシランとDNAの架橋剤として、PDC(1,4−p−phenylene diisothiocyanate)を用いた。アミノシラン化したガラススライドにPDCを反応させるために、PDC 0.15gをピリジン15ml、DMF 135mlに溶解した溶液を調製した。ガラススライドをこの溶液に浸漬し、2時間静置した。次に、メタノール、アセトンでそれぞれ5分ずつ洗浄し、120℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。
続いて、得られたガラススライドの一主面上に、DNAプローブ部3及びリファレンス部4を作製した。具体的に、本例では、図10に示すオリゴDNAを用いた。本例では、リファレンス部4に固定化する第1のオリゴDNAのみをラベル化した例である。すなわち、第1のオリゴDNAは、所定の塩基配列からなるオリゴDNAに、ガラススライドに固定するためのアミノ基と検出のためのCY3とが修飾されたもの(以下、オリゴA)である。第2のオリゴDNAとしては、オリゴAと同じ塩基配列からなり、ガラススライドに固定するためのアミノ基を有するもの(以下、オリゴB)を使用した。
また、本例において、バックグラウンド・コントロール5としては、図10に示すように、リファレンス部4に用いたオリゴDNAと同配列で、CY3修飾されていないオリゴDNAを用いた。また、本例において、DNAプローブとしては、SNP Aを検出するためのオリゴDNAと、SNP Bを検出するためのオリゴDNAとを用いた。そして、以下のようにして、これらオリゴDNAを含む溶液をそれぞれ調製し、アミノシランコートガラスへオリゴDNAを固定化した。
オリゴDNAを10%グリセロール水溶液に溶解し、アミノシランをコートしたガラススライド上にスポットした。これを55℃のインキュベーター中に一晩静置し、アミノシランをコートしたガラススライドとオリゴDNAを結合させた。その後、2×SSCバッファーに0.1%となるようSDS溶液を加えた洗浄液で、ガラススライド上に残存する余剰のオリゴDNAを洗い流し、乾燥させた。
このとき、本例では、4種類のリファレンス部4に対応するように、オリゴA:オリゴBの濃度比を100:0、75:25、50:50、75:25、0:100と変化させた4種類の溶液を調製してリファレンス部4を作製した。
以上のようにして、DNAマイクロアレイを得た。
溶液サンプルの解析
上記で得られたDNAマイクロアレイを用いて、ヒトゲノムのSNP解析を行った。解析する試料は、ヒト静脈血から精製したゲノムDNAである。ゲノムDNAは、全血をDNA抽出カラム(QIAGEN社 DNA Blood MINI Kit)を用いて精製した。このゲノムDNAをテンプレートとして、以下のPCR反応液を用い、温度サイクル(94℃×1分、94℃・55℃・72℃それぞれ1分ずつ30サイクル、72℃×5分)をかけた。プライマーには、CY3標識した合成オリゴを用い、PCR産物が蛍光を発するようにした。これにより、蛍光標識された目的DNAが増幅された。
(PCR反応液の組成)
10×PCR溶液 10μl
25mM MgCl2溶液 6μl
dNTP 8μl
Taqポリメラーゼ 0.5μl(以上Takara社製PCR kit)
超純水 63.5μl
プライマー 各1μl
PCRの後、PCR反応液を上記DNAマイクロアレイ上に導入した。DNAマイクロアレイ上に固定されたプローブDNAと、PCR反応液に含まれる増幅産物のハイブリダイゼーション反応のために、10μlのPCR反応液をスポット領域2にそそぎ、水を飽和量加えた容器に密閉し、30℃で2時間、静置した。その後、30℃に保温された、0.1%SDSを添加した0.2×SSC溶液を注ぎ、ハイブリダイズしていない反応産物を洗い流し、超純水で軽く濯いだ後、蛍光測定した。
蛍光計測は、蛍光顕微鏡により基板上の蛍光を計測する方法にて行った。DNAマイクロアレイをスライドガラスに載せ、蛍光顕微鏡(IX−70、Olympus社製)の視野中心で焦点を合わせ、水銀ランプとWIGキューブ(広帯域IG励起)の組み合わせで得られた像をCCDカメラ(アンドール製)で取り込んだ。この組み合わせにより増幅産物に結合した蛍光体CY3R及びリファレンス部4の蛍光を測定することができる。本例では、対物レンズは10倍を使用し、露光時間1秒とした。なお、DNAマイクロアレイにおけるオリゴDNAが乗っていない部分を別個に測定し、背景蛍光強度とした。測定値は、プローブDNA部分の蛍光強度から背景蛍光強度を差し引いたものとした。
この時、4点のリファレンススポット4の蛍光強度を同時に測定した。この測定値に基準値以上のばらつきが見られた場合、フォーカスの合わせ方やマイクロアレイ上の汚れなと、測定上のエラーがあったものと判断し、この測定全体を無効とした。また、複数のDNAマイクロアレイを用いて上述したように溶液サンプルの解析を行う場合、4点のリファレンススポット4の蛍光測定値を用いることによって、測定値が環境条件などによって異なる値を示した場合であってもDNAマイクロアレイ間の測定値の誤差を補正することができた。
また、本例では、オリゴAとオリゴBの混合比を変えて固定化したリファレンス部4を備えるDNAマイクロアレイを用いているため、これらリファレンス部4の蛍光測定量から図4に示したような検量線を得ることができた。この検量線を用いることによって、試料に含まれるDNAを定量することもできた。
本例では、例えば、遺伝子の発現量を異なる条件下において比較する際に使用することができるDNAマイクロアレイについて説明する。遺伝子の発現量を異なる条件下において比較する際には、異なる条件下における細胞からそれぞれmRNAを抽出し、このmRNAを鋳型としてRT−PCRを行い、それぞれcDNAを調製する。そして、各RT−PCRの際に、互いに異なる標識物質(例えばCY3とCY5を使用することができる)でラベル化したプライマーを用いることによって、異なる標識物質でラベル化されたcDNA(CY3でラベル化したcDNAとCY5でラベル化したcDNA)を含む溶液を調製することができる。
本例で用いるDNAマイクロアレイは、CY3でラベル化した第1のオリゴDNA(以下、オリゴA)及びCY5でラベル化した第2のオリゴDNA(以下、オリゴC)とを固定化したリファレンス部4を有するものである。
具体的には、オリゴA:オリゴCの濃度比を100:0、75:25、50:50、75:25、0:100とした5種類の溶液(オリゴA及びオリゴCを合わせた最終濃度1μl)を調製してリファレンス部4を作製した(図11参照)。なお、本例で使用したDNAマイクロアレイは実施例1に記載した方法に準じて作製した。
このDNAマイクロアレイにおける4つのリファレンス部4における、2種類の蛍光強度を測定したところ、図12に示すような検量線を得ることができた。図12に示した検量線を用い、実施例1と同様にして溶液に含まれるcDNAを定量することができる。これにより、異なる条件下の細胞において、解析対象の遺伝子の発現量変化を測定することができた。
本例で用いるDNAマイクロアレイは、CY3でラベル化した第1のオリゴDNA(以下、オリゴA)及びCY5でラベル化した第2のオリゴDNA(以下、オリゴC)とを固定化したリファレンス部4を有するものである。
具体的には、オリゴA:オリゴCの濃度比を100:0、75:25、50:50、75:25、0:100とした5種類の溶液(オリゴA及びオリゴCを合わせた最終濃度1μl)を調製してリファレンス部4を作製した(図11参照)。なお、本例で使用したDNAマイクロアレイは実施例1に記載した方法に準じて作製した。
このDNAマイクロアレイにおける4つのリファレンス部4における、2種類の蛍光強度を測定したところ、図12に示すような検量線を得ることができた。図12に示した検量線を用い、実施例1と同様にして溶液に含まれるcDNAを定量することができる。これにより、異なる条件下の細胞において、解析対象の遺伝子の発現量変化を測定することができた。
本発明によれば、試料に含まれる検出対象の核酸の正確な定量を行うことができる。
Claims (16)
- 基板と、
第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とが所定の比率で、上記基板に固定化された複数のリファレンス部とを有し、
上記複数のリファレンス部における上記比率がそれぞれ異なるDNAマイクロアレイ。 - 請求の範囲1項記載のDNAマイクロアレイであって、
上記第1のオリゴ核酸は標識物質でラベル化されており、上記第2のオリゴ核酸はラベル化されていないDNAマイクロアレイ。 - 請求の範囲1項記載のDNAマイクロアレイであって、
上記第1のオリゴ核酸は標識物質でラベル化されており、上記第2のオリゴ核酸は上記第1のオリゴ核酸とは異なる標識物質によりラベル化されたDNAマイクロアレイ。 - 請求の範囲1項記載のDNAマイクロアレイであって、
上記第1のオリゴ核酸及び上記第2のオリゴ核酸は、それぞれ異なる蛍光物質を結合したものであるDNAマイクロアレイ。 - 請求の範囲1項記載のDNAマイクロアレイであって、
上記第1のオリゴ及び上記第2のオリゴのうち少なくとも一方は、標識物質を有するラベル化オリゴ核酸と相補的な配列を有することを特徴とする請求の範囲1記載のDNAマイクロアレイ。 - 第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸とを含み、当該第1のオリゴ核酸と当該第2のオリゴ核酸との比率がそれぞれ異なる複数のリファレンス用溶液を、それぞれ基板上の異なる位置に配置し、
上記リファレンス用溶液に含まれる第1のオリゴ核酸と、上記第2のオリゴ核酸とを固定化するDNAマイクロアレイの作製方法。 - 請求の範囲6項記載のDNAマイクロアレイの製造方法であって、
上記複数のリファレンス用溶液は、第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸を合わせた濃度を一定とする方法。 - 請求の範囲6項記載のDNAマイクロアレイの製造方法であって、
上記第1のオリゴ核酸は標識物質でラベル化されており、上記第2のオリゴ核酸はラベル化されていない方法。 - 請求の範囲6項記載のDNAマイクロアレイの製造方法であって、
上記第1のオリゴ核酸は標識物質でラベル化されており、上記第2のオリゴ核酸は上記第1のオリゴ核酸とは異なる標識物質によりラベル化されている方法。 - 請求の範囲6項記載のDNAマイクロアレイの製造方法であって、
上記第1のオリゴ核酸及び上記第2のオリゴ核酸は、それぞれ異なる蛍光物質を結合したものである方法。 - 請求の範囲6項記載のDNAマイクロアレイの製造方法であって、
上記第1のオリゴ及び上記第2のオリゴのうち少なくとも一方は、標識物質を有するラベル化オリゴ核酸と相補的な配列を有する方法。 - 基板と、第1のオリゴ核酸及び第2のオリゴ核酸が所定の比率で上記基板に固定化され、上記比率がそれぞれ異なる複数のリファレンス部と、DNAプローブが上記基板上に固定化されたプローブ部とを有するDNAマイクロアレイに対して、検出対象のDNAを含む溶液を接触させる工程と、
上記溶液に含まれるDNAと上記DNAプローブとのハイブリダイズに基づくシグナルを検出する工程と、
上記リファレンス部におけるシグナルから、シグナル強度と基板に固定化されたオリゴ核酸との相関関係を導き出す工程を含む核酸分析方法。 - 請求の範囲12項記載の核酸分析方法であって、
シグナル強度と基板に固定化されたオリゴ核酸との相関関係に基づいて、シグナル強度と基板に固定化されたオリゴ核酸量との関係を示す検量線を求める工程を含む方法。 - 請求の範囲13項記載の核酸分析方法であって、
上記検量線を用い、上記DNAプローブにハイブリダイズした核酸を定量する方法。 - 請求の範囲12項記載の核酸分析方法であって、
上記第1のオリゴ核酸又は上記第2のオリゴ核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列と、標識物質とを有するラベル化オリゴ核酸を、DNAマイクロアレイに接触させ、当該ラベル化オリゴ核酸に基づくシグナルを上記リファレンス部におけるシグナルとする方法。 - 請求の範囲12項記載の核酸分析方法であって、
上記第1のオリゴ核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列と標識物質とを有する第1のラベル化オリゴ核酸と、上記第2のオリゴ核酸の少なくとも一部に相補的な塩基配列と上記第1のラベル化オリゴ核酸が有する標識物質とは異なる標識物質とを有する第2のラベル化オリゴ核酸との一方又は両方を、DNAマイクロアレイに接触させ、当該第1のラベル化オリゴ核酸及び当該第2のラベル化オリゴ核酸に基づくシグナルを上記リファレンス部におけるシグナルとする方法。
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