JP4242637B2 - スプライシングバリアント検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプライシングバリアントを検出する方法に関する。より具体的に本発明は、複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてエクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する方法に関する。また、本発明は、複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法に関する。
更に本発明は、前記スプライシングバリアント検出方法において使用されるプローブの設計方法に関する。
更に本発明は、スプライシングバリアントを検出するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
真核生物の多くの遺伝子は、遺伝情報として意味を有するエキソンがイントロンと呼ばれる遺伝情報としては意味がないと考えられている領域によって分断された形でDNA上に存在している。このようにイントロンを含む遺伝子から転写されたmRNA前駆体は、イントロンの部分を除去する過程を経て成熟mRNAとなり、タンパク質に翻訳される。このイントロンを除去する過程をスプライシングと呼ぶ。また、このスプライシングにおいて、イントロンの除去とその前後のエキソンの再結合が行われる部位をスプライス部位と呼ぶ。mRNA前駆体中に複数のイントロンが存在する場合、通常は互いに隣合ったスプライス部位間でスプライシングが行われるが、異なるスプライス部位を選択してスプライシング反応を行うことにより、同一のmRNA前駆体から異なった構造の成熟mRNAが産生され得る。この現象を択一的スプライシング(Alternative Splicing)と呼ぶ。択一的スプライシングの結果、産生され得る種々の成熟mRNAの変異型(variant)を、スプライシングバリアントと称する。
【0003】
生命の発生段階で脳などでは、さまざなまスプライシングバリアントが発現されることが報告されている(Barmak Modrek & Christopher Lee, A genomic view of alternative splicing, Nature Genetics, 30, 13-19, 2002(非特許文献1))。しかし、スプライシングバリアントと発生、分化段階における機能相関などは、ほとんど明らかにされていないのが現状である。また、スプライシングバリアントと疾病との関連も指摘されているが、これらについても現在研究が進んでいるところである。
【0004】
従来、このスプライシングバリアント部位の同定は、S1マッピング法などで行われている。S1マッピングは、まず調べようとするRNAに対して相補性を有する一本鎖DNAを、ラジオアイソトープで標識しプローブとして作製する。このプローブと転写されたRNAとハイブリダイズさせ、S1ヌクレアーゼで消化すると、ハイブリッド形成して二本鎖となった部分のみが保護される。この部分の長さを電気泳動などで調べることによって同定する方法である。この方法で重要であることは、調べたい領域の前後を大きめにカバーするようなプローブ(例えば、少なくとも100bp以上のプローブ)を用意することと、RNA・DNAハイブリッドを形成しやすい温度条件を設定することである。
【0005】
また、スプライシングバリアントをDNAマイクロアレイで検出する試みが、特開2002-223760(特許文献1)などで行われているが、網羅的に各エクソンに対するプローブを使用するなど煩雑である。
【0006】
DNAマイクロアレイの基本原理は、多数の異なったDNAプローブをガラスなどの固相基盤上に高密度に固定する。DNAプローブを固定した基盤上に、標識DNAサンプルをハイブリダイズさせ、各々のプローブからのシグナルを自動検出器で検出し、そのデータをコンピュータで大量解析する。このようなDNAマイクロアレイでは、大量解析、検出感度の向上、マイクロ化によるサンプルの節約、データ取得の自動化、およびデータ処理による簡便化などが期待されている。
【0007】
DNAマイクロアレイは、大きく分けてDNAをガラス表面上で合成していくタイプ(DNAチップ)と、あらかじめ調製したDNAを機械的に並べていくタイプ(DNAマイクロアレイ)がある。前者は、Proc Natl Acad Sci USA (1994) 91: 5022-5026(非特許文献2)等に記載され、後者は、Science (1995) 270: 467-470(非特許文献3)等に記載されている。
【0008】
上述のとおり、S1マッピング法では調べたい領域の前後を大きめにカバーするようなプローブを用意する必要があり、DNAマイクロアレイで検出する方法では各エクソンに対する特異的な配列を設計する必要があり、スプライシングバリアントの同定には多大な労力と時間を要していた。また、ラジオアイソトープの使用に当たっては、特定の施設を必要とし、環境への汚染や測定者への被爆など健康に対して多大の注意を必要とする。
【0009】
また、DNAマイクロアレイを利用してスプライシングバリアント検出するには、以下の問題点がある。
1)測定したい試料、例えばRNAなどを抽出後に、蛍光標識ヌクレオチドと逆転写酵素で標識し、標識DNAを作成しなければならない。すなわち、標識工程を必要とする煩雑さがあるとともに、測定したい試料を直接測定することができないため測定精度に問題がある。
2)固相するプローブを長くすることが困難である。
3)正確な温度コントロールが困難で場所により温度むらを起こすことがある。
4)酵素反応や洗浄を容易に行うことができず、自動化しづらい。
5)プローブ固相の量や点着スポットの状態を反応前に知ることができず、プローブ固相の精度管理が不可能である。
【0010】
【非特許文献1】
Barmak Modrek & Christopher Lee, A genomic view of alternative splicing, Nature Genetics, 30, 13-19, 2002
【特許文献1】
特開2002-223760号公報
【非特許文献2】
Proc Natl Acad Sci USA (1994) 91: 5022-5026
【非特許文献3】
Science (1995) 270: 467-470
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下になされ、その目的は、スプライシングバリアントの既存の検出方法が有する上記問題点を解決する新規方法を提供することにあり、主として、従来法で使用される長いプローブを設計、調製する煩雑さを解消する新規方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を提供する。
(1)複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてエクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
前記スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分)に本来隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、第一の標識物質で標識され、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
前記欠損エクソン部分に本来隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、第二の標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルがスプライシングバリアントである場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
前記第四の工程後に、固相化されている前記第一プローブと、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備することを特徴とする方法。
(2)複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてエクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
前記スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分)に本来隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
前記欠損エクソン部分に本来隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルがスプライシングバリアントである場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
前記第四の工程後に、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備することを特徴とする方法。
【0013】
(3)複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
前記スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分)に隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、第一の標識物質で標識され、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
前記挿入イントロン部分に隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、第二の標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルが、スプライシングバリアントでない(すなわち前記挿入イントロン部分を含んでいない)場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
前記第四の工程後に、固相化されている前記第一プローブと、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備することを特徴とする方法。
(4)複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
前記スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分)に隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
前記挿入イントロン部分に隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルが、スプライシングバリアントでない(すなわち前記挿入イントロン部分を含んでいない)場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
前記第二の工程後もしくは前記第三の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する工程と、
前記ライゲーション工程を経た後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
前記第四の工程後に、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備することを特徴とする方法。
【0014】
(5)前記第二の工程後もしくは前記第三の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する工程を更に具備することを特徴とする、(1)〜(3)の何れか1に記載の方法。
)前記方法の全工程が、キャピラリーアレイを用いて行われることを特徴とする、(1)〜()の何れか1に記載の方法。
)前記第一の工程と前記第二の工程との間、前記第二の工程と前記第三の工程との間、前記第三の工程と前記第四の工程との間、および前記第四の工程と前記第五の工程との間に、洗浄工程を更に具備することを特徴とする、(1)〜()の何れか1に記載の方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
[スプライシングバリアントについて]
本発明においてスプライシングバリアントとは、択一的スプライシング(Alternative Splicing)の結果、遺伝子発現されたmRNA前駆体のエクソン部分の少なくとも一部が欠損したり、遺伝子発現されたmRNA前駆体のイントロン部分の少なくとも一部が挿入されることにより産生される種々の成熟mRNA変異型(variant)を指す。
【0018】
生体内において、このようなスプライシングバリアントは、個体特異的、病態特異的、組織特異的、または分化・発生に関連して時期特異的に発現され得る。スプライシングバリンアントの具体例として、シグナル伝達分子の1つをコードするlyn遺伝子の発現により生成される、N末端側21アミノ酸をコードする配列を有するmRNAと該配列を有していないmRNAが知られている。これら両mRNAは、B細胞、マクロファージなど血球系細胞において高く発現している。
【0019】
[プローブの設計方法]
本発明のスプライシングバリアント検出方法は、従来技術の欄で記載したような長いプローブを使用することなく、短い2種類のプローブを使用することを特徴とする。以下、本方法で使用するこの短い2種類のプローブを、使用する順に第一プローブおよび第二プローブと称する。
【0020】
(1)エクソン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法
第一プローブおよび第二プローブの設計方法について、まず、エクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する場合について説明する。本発明において、「エクソン部分の少なくとも一部が欠損している」とは、便宜上、以下の説明においては、エクソン部分の一つが欠損している場合(例えば、エクソン部分1〜4から構成される成熟mRNAにおいてエクソン2が欠損している場合)を指すが、エクソン部分の一部(例えばエクソン2の一部)が部分的に欠損している場合も含む。
【0021】
図1に示すとおり、ゲノムDNAの転写およびスプライシングにより、エクソン部分1(Ex1)〜エクソン部分4(Ex4)が連結されて成熟mRNAが合成される。この成熟mRNAにおいてエクソン部分2(Ex2)が欠損しているスプライシングバリアントを検出する場合、プローブセットAとして図示するような第一プローブおよび第二プローブを設計する。
【0022】
すなわち、プローブセットAの第一プローブは、スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分;Ex2)に本来隣接する両端のエクソン部分(Ex1およびEx3)の何れか一方(第一の隣接エクソン部分;Ex1)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAである。当該第一プローブは、図1に示すとおり、その3’末端をEx1の5’末端位置で揃える(第二プローブとライゲーション反応を行うため)。すなわち、当該第一プローブの一端は、第一の隣接エクソン部分(Ex1)の欠損エクソン部分側の一端(5’末端)と相補的である。
【0023】
また、プローブセットAの第二プローブは、スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分;Ex2)に本来隣接する両端のエクソン部分のうち、第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分;Ex3)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAである。前述の第一プローブと同様、当該第二プローブは、その5’末端をEx3の3’末端位置で揃える(スプライシングバリアントの検出の際に第一プローブとライゲーション反応を行うため)。すなわち、当該第二プローブの一端は、第二の隣接エクソン部分(Ex3)の欠損エクソン部分側の一端(3’末端)と相補的である。
【0024】
同様に、エクソン部分2(Ex2)およびエクソン部分3(Ex3)の両方を欠損しているスプライシングバリアントを検出したい場合、図1に示すプローブセットBを第一プローブおよび第二プローブの組み合わせとして設計する。また、エクソン部分3(Ex3)を欠損しているスプライシングバリアントを検出したい場合、図1に示すプローブセットCを第一プローブおよび第二プローブの組み合わせとして設計する。
【0025】
(2)イントロン挿入スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法
第一プローブおよび第二プローブの設計方法について、次いで、本来スプライシングにより除去されるはずのイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する場合について説明する。本発明において、「イントロン部分の少なくとも一部が挿入されている」とは、便宜上、以下の説明においては、イントロン部分の一つが挿入されている場合(例えば、イントロン部分1〜イントロン部分3のそれぞれが本来スプライシングにより除去される成熟mRNAにおいてイントロン部分1が挿入されている場合)を指すが、イントロン部分の一部(例えばイントロン部分1の一部)が部分的に挿入されている場合も含む。
【0026】
図1に示すとおり、イントロン部分1(In1)が挿入されているスプライシングバリアントを検出する場合、プローブセットDとして図示するような第一プローブおよび第二プローブを設計する。なお図1において、イントロン部分1は図示されていないが、イントロン部分1とは、ゲノムDNAのイントロン1が転写された部分であり、mRNA前駆体(スプライシング前のmRMA)には含まれるが、成熟mRNAには本来含まれない部分をいう。
【0027】
プローブセットDの第一プローブは、スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分;In1)に隣接する両端のエクソン部分(Ex1およびEx2)の何れか一方(第一の隣接エクソン部分;Ex1)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAである。当該第一プローブは、図1に示すとおり、その3’末端をEx1の5’末端位置で揃える(第二プローブとライゲーション反応を行うため)。すなわち、当該第一プローブの一端は、第一の隣接エクソン部分(Ex1)の挿入イントロン部分側の一端(5’末端)と相補的である。
【0028】
また、プローブセットDの第二プローブは、スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分;In1)に隣接する両端のエクソン部分(Ex1およびEx2)のうち、第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分;Ex2)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAである。前述の第一プローブと同様、当該第二プローブは、その5’末端をEx2の3’末端位置で揃える(スプライシングバリアントの検出の際に第一プローブとライゲーション反応を行うため)。すなわち、当該第二プローブの一端は、第二の隣接エクソン部分(Ex2)の挿入イントロン部分側の一端(3’末端)と相補的である。
【0029】
第一プローブおよび第二プローブともに、その長さは、一般に10〜50bp、好ましくは15〜40bp、より好ましくは20〜30bpの範囲内で設計され得る。ここで第一プローブおよび第二プローブの長さの下限は、目的とする成熟mRNAのみとハイブリダイズ可能な長さとして適宜設定される。すなわち、目的としない成熟mRNAとハイブリダイズしない充分な長さを有している必要がある。第一プローブおよび第二プローブそれぞれの長さの上限は、プローブ設計が煩雑にならない程度の長さとして適宜設定される。
【0030】
また、第一プローブと第二プローブは、本発明の検出方法においてライゲーション反応に供されるため、第一プローブと第二プローブそれぞれを構成する塩基のうちライゲーションに関与する末端の塩基は、ライゲーション可能な状態であることが必要である。具体的には、第一プローブと第二プローブのライゲーションに関与する末端塩基の何れか一方がリン酸化された状態であることが必要である。例えば、第一プローブの3’端の塩基と第二プローブの5’端の塩基が連結してライゲーションに関与する場合、第二プローブの5’端の塩基がリン酸化された状態であることが必要である。
【0031】
図1では第一プローブを5’端で基板等に固相化して用いる場合を想定して、例えばプローブセットAでは、Ex1の配列に相補的な配列の方を第一プローブとし、Ex3の配列に相補的な配列の方を第二プローブとした。逆に、プローブセットAとして、Ex3の配列に相補的な配列の方を第一プローブとし、Ex1の配列に相補的な配列の方を第二プローブとして、第二プローブの3’端を基板等に固相化してもよい。
【0032】
上述のとおり設計された第一プローブおよび第二プローブを用いて、本発明ではスプライシングバリアントを検出する。第一プローブおよび第二プローブは、その両方がそれぞれ異なる標識物質で標識されていてもよいし、第二プローブのみが標識物質で標識されていてもよい。なお、プローブの標識は、プローブを構成する塩基の少なくとも一つの塩基が標識されていればよい。標識物質としては、検出可能な光信号を発生する物質であれば特に限定されず、例えば、化学発光する物質、蛍光を発生する物質を使用することができる。蛍光を発生する物質の例としては、Cy3(アマシャム ファルマシア社)、Cy5(アマシャム ファルマシア社)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、TAMRA等のさまざまな蛍光色素が挙げられる。
【0033】
[第一の実施の形態]
以下、本発明の一実施形態を、異なる標識物質でそれぞれ標識された第一プローブと第二プローブを使用してエクソン欠損スプライシングバリアントを検出する場合について説明する。本実施形態においては、「(1)エクソン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したプローブを使用する。異なる標識物質でそれぞれ標識され、かつ上述のとおり設計された第一プローブおよび第二プローブを用いて、エクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する本実施形態は、以下の5つの工程を具備する。
1)第一の標識物質で標識された第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
2)第二の標識物質で標識された第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と
3)前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、第一プローブと第二プローブとをライゲーションさせる第三の工程と、
4)前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する第四の工程と、
5)第一プローブと第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程。
【0034】
本実施形態を模式的に図2に示す。ただし本発明が本実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0035】
以下、順に各工程を、図2を参照しながら説明する。図2に示す具体例は、欠損エクソン部分4bを欠損しているスプライシングバリアント3を検出する例である。
【0036】
図2(a)において、第一の標識物質で標識された第一プローブ2(以下、標識第一プローブという)は、その5’端で基板1上に固相化されている。ただし、標識第一プローブは必ずしも固相化されている必要はない。また、標識第一プローブ2は、その3’端で基板上に固相化されていてもよい。その他、標識第一プローブは、ビーズ、粒子などに固相化されていてもよい。
【0037】
なお図2(a)において、第一プローブ(標識物質を含まず)を符号2aで示し、第一の標識物質を符号2bで示す。
【0038】
{第一の工程}
標識第一プローブ2は、上記「(1)エクソン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したとおりであり、例えば、Cy3標識した20〜30bpの一本鎖DNAであり得る。mRNA被検サンプルは、スプライシングバリアントを検出したい被検体の組織から、mRNAを抽出することにより得られる。mRNAの抽出は、例えば、Quick Prep Micro mRNA Purification Kit(アマシャム社)を用いて行うことができる。
【0039】
標識第一プローブ2とmRNA被検サンプルとのハイブリダイゼーションは、例えば、適切な緩衝液(例えば、5×SSC)中で、30〜60℃で10〜180分で行うことができる。
【0040】
mRNA被検サンプル中にスプライシングバリアントとスプライシングバリアントでないターゲットの両方が含まれる場合、これらは、この工程において、図2(b)に示すとおり標識第一プローブ2と反応する。すなわち、欠損エクソン部分4bを欠損しているスプライシングバリアント3は、第一の隣接エクソン部分3aにおいて標識第一プローブ2とハイブリダイズする。スプライシングバリアントでないターゲット4も、第一の隣接エクソン部分3aにおいて標識第一プローブ2とハイブリダイズする。
【0041】
{第二の工程}
第二の標識物質で標識された第二プローブ5(以下、標識第二プローブという)は、上記「(1)エクソン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したとおりであり、例えばCy5標識した20〜30bpの一本鎖DNAであり得る。この標識第二プローブ5と、第一の工程後の被検サンプルとのハイブリダイゼーションは、第一の工程のハイブリダイゼーションと同じ条件で行うことができる。
【0042】
この工程では、図2(c)に示すとおり、スプライシングバリアント3およびスプライシングバリアントでないターゲット4のそれぞれに、標識第二プローブ5がハイブリダイズする。すなわち、欠損エクソン部分4bを欠損しているスプライシングバリアント3は、第二の隣接エクソン部分3cにおいて標識第二プローブ5とハイブリダイズする。スプライシングバリアントでないターゲット4も、第二の隣接エクソン部分4cにおいて標識第二プローブ5とハイブリダイズする。なお、図2(c)において、第二プローブ(標識物質を含まず)を符号2aで示し、第二の標識物質を符号2bで示す。
【0043】
{第三の工程}
この工程では、第二の工程後の被検サンプルにおいて、標識第一プローブ2と標識第二プローブ5とをライゲーションさせる。このライゲーション反応は、DNAリガーゼを用いて適切な反応条件下で行うことができる。ライゲーション反応は、例えば、適切な緩衝液(例えば、6 mM Tris-HCl(pH 7.5)、6 mM MgCl2、5 mM NaCl、0.1 mg/mL BSA、7 mM 2ME、0.1 mM ATP、2 mM DTT、1 mM spermidine)中で、14〜37℃で30〜120分で行うことができる。なお、このライゲーション反応は、商業的に入手可能なライゲーションキットを用いて簡便に行うことができる。
【0044】
このライゲーション反応の結果、図2(d)に示すとおり、スプライシングバリアント3と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5が連結される。これにより、「ライゲーション反応により連結した標識第一プローブと標識第二プローブ6」がつくられる。
【0045】
一方、図2(d)に示すとおり、スプライシングバリアントでないターゲット4と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、連結されない。これにより、「ライゲーション反応により連結しなかった標識第一プローブと標識第二プローブ7」が残る。
【0046】
{第四の工程}
この工程では、第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する。一本鎖特異的核酸分解酵素としては、核酸の一本鎖を特異的に分解する酵素で、二本鎖の部分を分解しない任意の核酸分解酵素を使用することができる。具体的には、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼおよび一本鎖特異的エキソヌクレアーゼが含まれる。より具体的には、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼとしてS1ヌクレアーゼを使用することができ、一本鎖特異的エキソヌクレアーゼとしてエキソヌクレアーゼIを使用することができる。
【0047】
S1ヌクレアーゼは、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼであり、DNA、RNAともに、酸可溶性5’−Pのヌクレオチドに分解し、最終的には基質の90%以上を5’−Pのヌクレオチドに分解する。この酵素は、二本鎖中の一本鎖部分にも作用し、これを分解する。S1ヌクレアーゼは、DNA−DNAおよびRNA−RNAハイブリッド中の一本鎖部分の除去などによく用いられる。また、エキソヌクレアーゼIは、一本鎖特異的エキソヌクレアーゼであり、一本鎖DNAの3’端から順番に加水分解し、5’−Pのヌクレオチドに分解する。この酵素は、PCR後のプライマーの除去などに用いられる。
【0048】
上記一本鎖特異的核酸分解酵素による分解反応は、例えば、適切な緩衝液(例えば、30 mM 酢酸ナトリウム(pH 4.6)、280 mM NaCl、1 mM ZnSO4)中で、14〜37℃で10〜120分で行うことができる。
【0049】
この分解反応の結果、スプライシングバリアント3と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、図2(e)に示すとおり分解されない。一方、スプライシングバリアントでないターゲット4と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、図2(e)に示すとおり分解反応を受ける。これにより、「一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアントでないターゲット8」が得られる。
【0050】
なお、この分解反応により、mRNA被検サンプルと未反応のまま残っていた標識第一プローブ2も、一本鎖であるため分解され消失する。
【0051】
この結果、スプライシングバリアント3については、第一プローブ2aの第一の標識物質2bおよび第二プローブ5aの第二の標識物質5bの両方が残る。一方、スプライシングバリアントでないターゲット4については、第一プローブ2aの第一の標識物質2bのみが残る。
【0052】
{第五の工程}
この工程では、第一プローブ2aと第二プローブ5aをそれぞれ標識している第一の標識物質2bおよび第二の標識物質5bの量を測定する。第一の標識物質2bの量は、スプライシングバリアント3とスプライシングバリアントでないターゲット4の存在の総和を示し、第二の標識物質5bの量は、スプライシングバリアント3のみの存在を示す。ここで得られた値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することができる。
【0053】
第一の標識物質2bおよび第二の標識物質5bが蛍光物質である場合、各標識物質を励起する励起波長をサンプル溶液に照射することにより、各標識物質の量を測定することができる。
【0054】
また、第二の工程(第二プローブと被検サンプルとをハイブリダイズさせる工程)の後、もしくは第三の工程(ライゲーション工程)の後に、第二の標識物質5bの量を測定しておき、この量を第五の工程(即ち一本鎖特異的核酸分解酵素による処理工程の後)で測定された第二の標識物質5bの量と比較することにより、ここで減少した値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することもできる。なお、このとき、第一の標識物質2bの量を測定することは必要ではない。
【0055】
更に、標識第二プローブ5をハイブリダイズさせる前に、第一の標識物質2bの量を測定しておき、この量を第四の工程の分解反応後の第一の標識物質2bの量と比較することにより、ここで減少した値から被検サンプル中の目的遺伝子(即ちスプライシングバリアントを検出している遺伝子)の発現頻度を知ることもできる。
【0056】
{洗浄工程について}
本発明の検出方法は、各反応工程の間、すなわち、前記第一の工程と前記第二の工程との間、前記第二の工程と前記第三の工程との間、前記第三の工程と前記第四の工程との間、および前記第四の工程と前記第五の工程との間に、適切な緩衝液で各反応に関与しなかった物質や反応試薬等を洗浄しておくことが望ましい。具体的には、前記第一の工程と前記第二の工程との間の洗浄により、ハイブリダイズしなかったmRNA被検サンプルを反応溶液から除去し、前記第二の工程と前記第三の工程との間の洗浄により、反応しなかった第二プローブを除去し、前記第三の工程と前記第四の工程との間の洗浄により、ライゲーション反応に使用した試薬を除去し、前記第四の工程と前記第五の工程との間の洗浄により、分解されたヌクレオチドおよび分解反応に使用した試薬を除去しておくことが望ましい。
【0057】
[第二の実施の形態]
以上、第一の実施の形態においては、第一プローブと第二プローブがそれぞれ識別可能に標識されているものを用いて、エクソン部分が欠失したスプライシングバリアントを検出する方法について説明したが、本実施形態では、未標識の第一プローブと標識された第二プローブを用いて、エクソン部分が欠失したスプライシングバリアントを検出する方法について説明する。ただし本発明は本実施形態に限定されない。
【0058】
すなわち、本実施形態は、
1)未標識の第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
2)標識物質で標識された第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
3)前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせる第三の工程と、
4)前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する第四の工程と、
5)前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備する。
【0059】
本実施形態を模式的に図3に示す。本実施形態も、欠損エクソン部分4bを欠損しているスプライシングバリアント3を検出する例であり、第一プローブが未標識である点を除けば第一の実施の形態と同じである。従って、第一の実施の形態と異なる点についてのみ以下で説明し、その他については、適宜第一の実施の形態の説明を参照されたい。
【0060】
第一の工程から第四の工程については、第一プローブ12が未標識である点を除けば第一の実施の形態と同じである。
【0061】
本実施形態では、ライゲーションの第三の工程において、図3(d)に示すとおり、スプライシングバリアント3と二本鎖を形成している第一プローブ12(未標識)および標識第二プローブ5が連結される。これにより、「ライゲーション反応により連結した第一プローブと標識第二プローブ16」がつくられる。一方、図3(d)に示すとおり、スプライシングバリアントでないターゲット4と二本鎖を形成している第一プローブ12(未標識)および標識第二プローブ5は、連結されない。これにより、「ライゲーション反応により連結しなかった第一プローブと標識第二プローブ17」が残る。
【0062】
次いで、前記第三の工程後の被検サンプルを一本鎖特異的核酸分解酵素で処理すると、図3(e)に示すとおり、スプライシングバリアント3と二本鎖を形成している第一プローブ12および標識第二プローブ5は分解されない。一方、スプライシングバリアントでないターゲット4と二本鎖を形成している第一プローブ12および標識第二プローブ5は、図3(e)に示すとおり分解反応を受ける。これにより、「一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアントでないターゲット18」が得られる。
【0063】
この結果、スプライシングバリアント3については、第二プローブ5aの標識物質5b’が残る。一方、スプライシングバリアントでないターゲット4については、標識物質は残らない。
【0064】
標識物質の量を測定する第五の工程において、第二プローブを標識している標識物質5b’の量を測定する。ここで測定される標識物質5b’の量は、スプライシングバリアント3の存在を示す。ここで得られた値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することができる。
【0065】
また、第二の工程(第二プローブと被検サンプルとをハイブリダイズさせる工程)の後、もしくは第三の工程(ライゲーション工程)の後に、標識物質5b’の量を測定しておき、この量を第五の工程(即ち一本鎖特異的核酸分解酵素による処理工程の後)で測定された標識物質5b’の量と比較することにより、ここで減少した値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することもできる。
【0066】
[第三の実施の形態]
以下、第三の実施の形態においては、複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法について説明する。
【0067】
本実施形態においては、「(2)イントロン挿入スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したプローブを使用する。異なる標識物質でそれぞれ標識され、かつ上述のとおり設計された第一プローブおよび第二プローブを用いて、イントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する本実施形態は、以下の5つの工程を具備する。
1)第一の標識物質で標識された前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
2)第二の標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
3)前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせる第三の工程と、
4)前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する第四の工程と、
5)前記第一プローブと前記第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程。
【0068】
本実施形態を模式的に図4に示す。本実施形態は、挿入イントロン部分24bが挿入されているスプライシングバリアント24を検出する例である。本実施形態は、検出するスプライシングバリアントが、本来スプライシングにより除去されるはずのイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているものである点を除けば、第一の実施の形態と同じである。従って、第一の実施の形態と異なる点についてのみ以下で説明し、その他については、適宜第一の実施の形態の説明を参照されたい。
【0069】
以下、順に各工程を、図4を参照しながら説明する。図4(a)において、図2(a)と同様、第一の標識物質で標識された第一プローブ2(以下、標識第一プローブという)は、その5’端で基板1上に固相化されている。ただし、標識第一プローブは必ずしも固相化されている必要はない。また、標識第一プローブ2は、その3’端で基板上に固相化されていてもよい。
【0070】
{第一の工程}
標識第一プローブ2は、上記「(2)イントロン挿入スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したとおりであり、例えば、Cy3標識した20〜30bpの一本鎖DNAであり得る。
【0071】
標識第一プローブ2とmRNA被検サンプルとのハイブリダイズさせる際の条件については、第一の実施の形態の説明を参照されたい。
【0072】
mRNA被検サンプル中にスプライシングバリアントとスプライシングバリアントでないターゲットが含まれる場合、これらは、この工程において、図4(b)に示すとおり標識第一プローブ2と反応する。すなわち、挿入イントロン部分24が挿入されているスプライシングバリアント24は、第一の隣接エクソン部分24aにおいて標識第一プローブ2とハイブリダイズする。スプライシングバリアントでないターゲット23も、第一の隣接エクソン部分23aにおいて標識第一プローブ2とハイブリダイズする。
【0073】
{第二の工程}
第二の標識物質で標識された第二プローブ5(以下、標識第二プローブという)は、上記「(2)イントロン挿入スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」の欄で説明したとおりであり、例えばCy5標識した20〜30bpの一本鎖DNAであり得る。この標識第二プローブ5と、第一の工程後の被検サンプルとのハイブリダイゼーションは、第一の工程のハイブリダイゼーションと同じ条件で行うことができる。
【0074】
この工程では、図4(c)に示すとおり、スプライシングバリアント24およびスプライシングバリアントでないターゲット23のそれぞれに、標識第二プローブ5がハイブリダイズする。すなわち、挿入イントロン部分24bが挿入されているスプライシングバリアント24は、第二の隣接エクソン部分24cにおいて標識第二プローブ5とハイブリダイズする。スプライシングバリアントでないターゲット23も、第二の隣接エクソン部分23cにおいて標識第二プローブ5とハイブリダイズする。
【0075】
{第三の工程}
この工程では、第二の工程後の被検サンプルにおいて、標識第一プローブ2と標識第二プローブ5とをライゲーションさせる。このライゲーション反応の際の条件については、第一の実施の形態の説明を参照されたい。
【0076】
このライゲーション反応の結果、図4(d)に示すとおり、スプライシングバリアント24と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は連結されない。これにより、「ライゲーション反応により連結しなかった標識第一プローブと標識第二プローブ27」が残る。
【0077】
一方、図4(d)に示すとおり、スプライシングバリアントでないターゲット23と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、連結される。これにより、「ライゲーション反応により連結した標識第一プローブと標識第二プローブ26」がつくられる。
【0078】
{第四の工程}
この工程では、第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する。一本鎖特異的核酸分解酵素について、および当該酵素による処理条件については、第一の実施の形態の説明を参照されたい。
【0079】
この分解反応の結果、スプライシングバリアント24と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、図4(e)に示すとおり分解反応を受ける。これにより、「一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアント28」が得られる。一方、スプライシングバリアントでないターゲット23と二本鎖を形成している標識第一プローブ2および標識第二プローブ5は、図4(e)に示すとおり分解されない。
【0080】
なお、この分解反応により、mRNA被検サンプルと未反応のまま残っていた標識第一プローブ2も、一本鎖であるため分解され消失する。
【0081】
この結果、スプライシングバリアント24については、第一プローブ2aの第一の標識物質2bのみが残る。一方、スプライシングバリアントでないターゲット23については、第一プローブ2aの第一の標識物質2bおよび第二プローブ5aの第二の標識物質5bの両方が残る。
【0082】
{第五の工程}
この工程では、第一プローブ2aと第二プローブ5aをそれぞれ標識している第一の標識物質2bおよび第二の標識物質5bの量を測定する。第一の標識物質2bの量は、スプライシングバリアント24とスプライシングバリアントでないターゲット23の存在の総和を示し、第二の標識物質5bの量は、スプライシングバリアントでないターゲット23のみの存在を示す。ここで得られた値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することができる。
【0083】
また、第一の実施の形態で説明したとおり、第二の工程後もしくは第三の工程後に、第二の標識物質5bの量を測定しておき、この量を第五の工程で測定された第二の標識物質5bの量と比較することにより、ここで減少した値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することもできる。なお、このとき、第一の標識物質2bの量を測定することは必要ではない。
【0084】
更に、標識第二プローブ5をハイブリダイズさせる前に、第一の標識物質2bの量を測定しておき、この量を第五の工程で測定された第一の標識物質2bの量と比較することにより、ここで減少した値から被検サンプル中の目的遺伝子(即ちスプライシングバリアントを検出している遺伝子)の発現頻度を知ることもできる。
【0085】
{第四の実施の形態}
以上、第三の実施の形態においては、第一プローブと第二プローブがそれぞれ識別可能に標識されているものを用いて、イントロン部分が挿入されたスプライシングバリアントを検出する方法について説明したが、本実施形態では、未標識の第一プローブと標識された第二プローブを用いて、イントロン部分が挿入されたスプライシングバリアントを検出する方法について説明する。ただし本発明は本実施形態に限定されない。
【0086】
すなわち、本実施形態は、
1)未標識の第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
2)標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
3)前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせる第三の工程と、
4)前記第二の工程後もしくは前記第三の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する工程と、
5)前記ライゲーション工程を経た後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理する第四の工程と、
6)前記第四の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
を具備する。
【0087】
本実施形態を模式的に図5に示す。本実施形態も、挿入イントロン部分24bが挿入されているスプライシングバリアント24を検出する例であり、第一プローブが未標識である点を除けば第三の実施の形態と同じである。従って、第三の実施の形態と異なる点についてのみ以下で説明し、その他については、適宜第三の実施の形態の説明を参照されたい。
【0088】
第一の工程から第三の工程については、第一プローブ12が未標識である点を除けば第三の実施の形態と同じである。
【0089】
本実施形態では、ライゲーションの第三の工程において、図5(d)に示すとおり、スプライシングバリアントでないターゲット23と二本鎖を形成している第一プローブ12(未標識)および標識第二プローブ5は連結される。これにより、「ライゲーション反応により連結した第一プローブと標識第二プローブ36」がつくられる。一方、図5(d)に示すとおり、スプライシングバリアント24と二本鎖を形成している第一プローブ12(未標識)および標識第二プローブ5は、連結されない。これにより、「ライゲーション反応により連結しなかった第一プローブと標識第二プローブ37」が残る。
【0090】
次いで、前記ライゲーション工程を経た後の被検サンプルを一本鎖特異的核酸分解酵素で処理すると、図5(e)に示すとおり、スプライシングバリアント24と二本鎖を形成している第一プローブ12および標識第二プローブ5は、図5(e)に示すとおり分解反応を受ける。これにより、「一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアント38」が得られる。一方、スプライシングバリアントでないターゲット23と二本鎖を形成している第一プローブ12および標識第二プローブ5は分解されない。
【0091】
この結果、スプライシングバリアントでないターゲット23については、第二プローブ5aの標識物質5b’が残る。一方、スプライシングバリアント24については、標識物質は残らない。
【0092】
標識物質の量を測定する各工程において、第二プローブを標識している標識物質の量を測定する。第五の工程(一本鎖特異的核酸分解酵素による処理後)において測定される標識物質5b’の量は、スプライシングバリアントでないターゲット23の存在を示す。第二の工程後もしくは第三の工程後に予め測定される標識物質の量は、スプライシングバリアント24とスプライシングバリアントでないターゲット23の総和を示す。この量を第五の工程で測定された標識物質5b’の量と比較することにより、ここで減少した値からスプライシングバリアントの有無やその存在割合を検出することができる。
【0093】
[キャピラリーアレイを用いたスプライシングバリアントの検出方法]
以上説明した本発明のスプライシングバリアント検出方法は、キャピラリーアレイを用いて行うことが好ましい。
【0094】
キャピラリーアレイの一例を図6に示す。図6(a)は、本発明の検出方法に使用可能なキャピラリーアレイを示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A’線の断面図であり、図6(c)は、図6(a)のB−B’線の断面図である。
【0095】
図6に示すキャピラリーアレイの一例は、キャピラリー42を形成する溝を有するガラス基板41と、スライドガラス形状のキャピラリーカバー46とを具備する。キャピラリーアレイのサイズとしては、例えば、スライドガラスサイズ(25mm×76mm)とすることができる。
【0096】
図6において、キャピラリーアレイは、8本のキャピラリー42を有しているが、少なくとも一のキャピラリーを有していればよく、キャピラリーの数は任意であり得る。キャピラリー42は、図6(c)に示すように、当該キャピラリーの長手方向に垂直な断面が円形である円筒状の管であってもよいし、当該断面が矩形である管であってもよい。あるいはキャピラリー42は、当該断面が、幅を広くして深さを浅くした偏平な円形もしくは矩形である管であってもよい。
【0097】
キャピラリー42は、その両端に、キャピラリー内に溶液を注入するための注入用開口部43、およびキャピラリー内から溶液を排出するための排出用開口部44を有する。
【0098】
プローブ45は、図6に示すとおり、キャピラリー42の内壁、好ましくは内壁の底部に固相化される。プローブ45は、例えば、基板41中央の約20mm×20mmの範囲を固相化領域として固相化してもよいし、より広い範囲を固相化領域としてもよい。
【0099】
キャピラリーアレイの材質は、標識プローブの標識を測定することを考慮して光透過性に優れたもの(シリコン、ガラス、プラスチック類、ポリマー等)であることが望ましい。ただし、部分的に光反射性もしくは遮光性であってもよい。
【0100】
キャピラリーのサイズは、例えばその内径(もしくは幅)が約0.1mmから約5mmまで種々のサイズが用いられるが、内径が約0.1mm〜約0.2mmのものが好適である。またキャピラリーの流路長は、例えば約5mm〜約100mmとすることができるが、流路長約40mm〜約50mmとすることが好ましい。キャピラリの内径や流路長は、測定する試料の容量、液体の流動しやすさ、固相化するプローブの数などに応じて適宜設計することができる。また各キャピラリーの間隔は、約0.5mm〜約2mmとすることができる。
【0101】
このようなキャピラリーは、その流路をガラスまたはシリコン基板上にエッチング加工することにより形成することができる。
【0102】
キャピラリーアレイの別の例を図7に示す。図7(a)は、本発明の検出方法に使用可能なキャピラリーアレイを示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A’線の断面図であり、図7(c)は、図7(a)のB−B’線の断面図である。以下、図7を参照しながらキャピラリーアレイの別の例について説明するが、上述のキャピラリーアレイ(図6)の説明も適宜参照されたい。
【0103】
図7に示すキャピラリーアレイの一例は、スライドガラス形状のガラス基板41と、キャピラリー42を形成する溝を有するキャピラリーカバー46と、加熱体47と、温度センサー48とを具備する。
【0104】
図6に示すキャピラリーアレイと同様、キャピラリー42は、その両端に、キャピラリー内に溶液を注入するための注入用開口部43、およびキャピラリー内から溶液を排出するための排出用開口部44を有する。
【0105】
プローブ45は、図7(a)に示すとおり、キャピラリー42の内壁、好ましくは内壁の底部に固相化される。ただし、図7に示すキャピラリーアレイの場合、キャピラリカバー46のキャピラリー形成用の溝部分に対応するように、予めプローブ45を基板41上に固相化しておくことが好ましい。
【0106】
図7において、基板41は、光透過性に優れたもの(シリコン、ガラス、プラスチック類、ポリマー等)であり得、キャピラリーカバー46は、剥離可能な粘着性を有するPDMS(polydimethylsiloxane)を主成分としたシリコーンゴムであり得る。PDMSを主成分としたシリコーンゴムは、それを型取ってキャピララリーを形成する溝をつくることが可能なものであればよく、例えば、信越化学工業(株)製の型取り用シリコーンRTVゴム「KE−1310ST」を使用することができる。
【0107】
キャピラリーカバー46の材質としてPDMSを主成分とした場合、その粘着性により、キャピラリーカバー46と基板41とを貼り合わせることができ、また、所定の反応後(即ち測定時)にキャピラリーカバー46を基板41から剥がすことができる。これにより接着剤を使用する必要がなく、単にスライドガラス形状の基板41にキャピラリーカバー46をかぶせるだけで簡単にキャピラリーアレイをつくることができる。更に、このような材質を用いることにより、キャピラリー42並びに注入用開口部43および排出用開口部44を安価に型形成することが可能となる。
【0108】
また、ガラス基板41内には、図7(b)および(c)に示すとおり、キャピラリー42内の温度を制御するための加熱体47と温度センサー48が組込まれている。本発明の検出方法は、ハイブリダイゼーション反応、ライゲーション反応、一本鎖特異的核酸分解反応を含むため、これらの反応をそれぞれに最適な温度で行うために、キャピラリーアレイが、キャピラリー内の温度を制御する手段、例えば図7に示すような加熱体47と温度センサー48を備えていることが好ましい。このような温度制御手段を備えている場合、キャピラリー内の正確な温度コントロールが可能である。この温度制御手段は、図7に示すように、キャピラリーごとの温度制御を可能にする手段とすることもできるし、あるいは、全てのキャピラリーの温度制御を一括して行う手段とすることもできる。
【0109】
なお、図6および図7に示すように複数の部材(基板とキャピラリーカバー)からキャピラリーアレイが構成されていてもよいし、1つの部材から構成される一体型であってもよい。
【0110】
キャピラリー内壁へのプローブの固相化は、当業者に公知の手法を用いて行うことができ、化学的、静電的、疎水的、特異的結合によりプローブを基板に結合することができる。例えば、プローブ末端にアミノ基等を修飾し、基板上にアミノ基と反応するような官能基(例えばカルボジイミド)を導入しておくことにより、両者を反応させて基板上にプローブを固相化することができる。
【0111】
また、後述の実施例で記載するとおり、市販のアビジンコートされたスライドガラスを基板として用いて、プローブの一端をビオチンコートし、このプローブを基板に固相化することもできる。
【0112】
キャピラリー内に固相化されたプローブとサンプル核酸とのハイブリダイゼーションは、公知の手法に従って、例えば蛍光標識の場合には蛍光スキャナーを用いて、プローブの蛍光を測定することにより検出することができる。
【0113】
本発明の検出方法を、複数のキャピラリーを備えたキャピラリーアレイを用いて行うことにより、以下の利点を奏する。すなわち、キャピラリーごとに異なるサンプルを流すことが可能となり、キャピラリーの数のサンプルを同一基板上で一度に測定することが可能である。すなわち多検体を同時に比較することができる。
【0114】
また、キャピラリーすべてに同じ第一プローブを固相化し、キャピラリごとに異なる第二プローブを流すことにより、同一基板上で第一プローブと第二プローブの種々の組み合わせが可能となり、種々のスプライシングバリンアントを検出することが可能となる。ここで1本のキャピラリー内に種々の第一プローブを固相化しておけば、第一プローブと第二プローブの組み合わせを更に増やすことができる。
【0115】
例えば、図1に示すプローブセットAの第一プローブ(これはプローブセットBおよびDの第一プローブと同じである)とプローブセットCの第一プローブを、第一のキャピラリー内のそれぞれ異なる位置で固相化する。第二のキャピラリー内にも同様に、プローブセットAの第一プローブとプローブセットCの第一プローブを固相化する。第一のキャピラリーには、プローブセットAの第二プローブを流し、第二のキャピラリーにはプローブセットBの第二プローブ(これはプローブセットCの第二プローブと同じである)を流すことにより、第一プローブと第二プローブの種々の組み合わせが可能になる。
【0116】
このように複数のキャピラリーを備えたキャピラリーアレイは、第一プローブと第二プローブを様々な組み合わせで反応させることを可能にするため、種々のスプライシングバリアントを検出する際に特に優れた効果を発揮する。
【0117】
また、上記キャピラリーアレイは、キャピラリー内の溶液を容易に置換することが可能であるため、キャピラリー内への溶液の分注、キャピラリー内での各反応、キャピラリー内の溶液の洗浄等、各操作を自動化することが可能である。例えば、特開2001−136963に記載のキャピラリ処理装置に、キャピラリーアレイをセットし、各反応、洗浄等を自動で行うことができる。具体的にキャピラリ処理装置として、(1)キャピラリーアレイを保持する手段と、(2)当該保持手段に保持されたキャピラリーアレイのキャピラリーに所望の液体を分注する手段と、(3)当該キャピラリー内の液体を排出する手段と、(4)前述の(1)〜(3)に記載の手段の動作を制御するための制御系手段とを具備しているものを使用することができる。
【0118】
[スプライシングバリアントを検出するためのキット]
本発明は、更に、スプライシングバリアントを検出するためのキットを提供する。該キットは、
上述の「(1)エクソン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」に記載のとおり設計される第一のプローブを、標識もしくは未標識の状態でキャピラリー内壁に固相化したキャピラリーアレイと、
上述の「(2)イントロン欠損スプライシングバリアントを検出するためのプローブ設計方法」に記載のとおり設計される第二プローブと
を具備する。検出したいスプライシングバリアントに応じた第一のプローブおよび第二のプローブを該キットが具備することにより、エクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出したり、イントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出したりすることができる。
【0119】
該キットは、更に、検出反応に使用する2種類の酵素、すなわち、第一プローブと第二プローブをライゲーションさせるためのリガーゼ酵素、および一本鎖特異的分解酵素を具備していてもよい。
【0120】
【実施例】
以下、本発明の実施例について記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例1は、上述の第一の実施の形態に対応し、実施例2は、上述の第三の実施の形態に対応する例である。実施例1および実施例2ともに、キャピラリーアレイを用いてスプライシングバリアントの検出を行った例である。
【0121】
〈実施例1〉
ストレプトアビジンコートスライド((株)グライナー・ジャパン)に、5’端をビオチン標識し3’端から10番目のTをCy3標識した第一プローブ
{ビオチン-GGGGGCTATAAATTCTTTGC(T−Cy3)GACCTGCTG(配列番号1)}
を10nMで点着装置を用いてスポッティングし、ビオチンアビジン反応で固相化した。第一プローブを固相化したスライドに、両端に溶液を出し入れ出来る穴を有した長さ3〜4cm、幅1mm、高さ0.1〜0.2mmのキャピラリー形状をしたものをかぶせ、DNAキャピラリーとした。
【0122】
サンプルとしては、
ATGTACCCATACGACGTCCCAGACTACGCTCAGCAGGTCAGCAAAGAATTTATAGCCCCC(配列番号2)
を、スプライシングバリアントターゲットとした。一方、
ATGTACCCATACGACGTCCCAGACTACGCTagtgtcgtgtCAGCAGGTCAGCAAAGAATTTATAGCCCCC(配列番号3)
をスプライシングバリアントでないターゲットとした。ここで小文字で表記した部分を、スプライシングバリアントは欠損している。本実施例では欠損部分を有している方の配列を便宜的にスプライシングバリアントとした。なお、本実施例では、人工ターゲットとして、その作製が容易であるDNAを使用したが、人工ターゲットとしてRNAを使用した場合と反応に大きな差はない。
【0123】
次に、キャピラリー内にこれらのターゲット(1×SSC溶液(0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム)中)を1:1の割合で含むサンプル溶液を入れ、42℃で1時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、1×SSC溶液で十分洗浄して未反応のターゲットをキャピラリー内から取り除いた。次に、5’端をリン酸化し3’端から11番目のTをCy5標識した第二プローブ
{P−AGCGTAGTCTGGGACGTCG(T−Cy5)ATGGGTACAT(配列番号4)}
を、10nM(1×SSC溶液)キャピラリーに入れ、42℃で1時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、1×SSC溶液で十分洗浄して未反応のターゲットをキャピラリー内から取り除いた。
【0124】
次に、ligation kit(TAKARA)をキャピラリー内に入れ、16℃で1時間ライゲーション反応を行った。1×SSC溶液で十分洗浄してCy5の蛍光を測定した。
【0125】
次に、S1ヌクレアーゼ溶液(30 mM Sodium acetate(pH 4.6), 280 mM NaCl, ZnSO4の緩衝液中)をキャピラリー内に入れ、37℃で1時間反応させた。反応後、0.1×SSCで十分洗浄して未反応物質を取り除き、Cy3とCy5の蛍光をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
Figure 0004242637
【0127】
表1は、スプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットを1:1で混合したときの結果を、一番強い蛍光強度(すなわち、サンプルをハイブリダイズさせる反応前の第一プローブ蛍光強度)を1とした相対値で示す。
【0128】
表1において「反応前のCy3蛍光強度」は、サンプルをハイブリダイズさせる反応前の第一プローブの量を示す。「ライゲーション後のCy5蛍光強度」および「S1ヌクレアーゼ処理後のCy3蛍光強度」は、第一プローブとハイブリダイズしたスプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットの存在の総和を示す。「S1ヌクレアーゼ処理後のCy5蛍光強度」は、スプライシングバリアントターゲットの存在を示す。表1のデータより、スプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットとがほぼ1:1の比率で存在することが確認された。
【0129】
〈実施例2〉
ストレプトアビジンコートスライド((株)グライナー・ジャパン)に、5’端をビオチン標識した第一プローブ
{ビオチン-GGGGGCTATAAATTCTTTGCGACCTGCTG}
を10nMで点着装置を用いてスポッティングし、ビオチンアビジン反応で固相化した。第一プローブを固相化したスライドに、両端に溶液を出し入れ出来る穴を有した長さ3〜4cm、幅1mm、高さ0.1〜0.2mmのキャピラリー形状をしたものをかぶせ、DNAキャピラリーとした。
【0130】
サンプルとしては、
ATGTACCCATACGACGTCCCAGACTACGCTCAGCAGGTCAGCAAAGAATTTATAGCCCCC
を、スプライシングバリアントターゲットとした。一方、
ATGTACCCATACGACGTCCCAGACTACGCTagtgtcgtgtCAGCAGGTCAGCAAAGAATTTATAGCCCCC
をスプライシングバリアントでないターゲットとした。ここで小文字で表記した部分を、スプライシングバリアントは欠損している。本実施例では欠損部分を有している方の配列を便宜的にスプライシングバリアントとした。なお、本実施例においても、人工ターゲットとして、その作製が容易であるDNAを使用したが、人工ターゲットとしてRNAを使用した場合と反応に大きな差はない。
【0131】
次に、キャピラリー内にこれらのターゲット(1×SSC溶液(0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム)中)を1:1の割合で含むサンプル溶液を入れ、42℃で1時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、1×SSC溶液で十分洗浄して未反応のターゲットをキャピラリー内から取り除いた。次に、5’端をリン酸化し3’端から11番目のTをCy5標識した第二プローブ
{P−AGCGTAGTCTGGGACGTCG(T−Cy5)ATGGGTACAT}
を、10nM(1×SSC溶液)キャピラリーに入れ、42℃で1時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、1×SSC溶液で十分洗浄して未反応のターゲットをキャピラリー内から取り除いた。
【0132】
次に、ligation kit(TAKARA)をキャピラリー内に入れ、16℃で1時間ライゲーション反応を行った。1×SSC溶液で十分洗浄してCy5の蛍光を測定した。
【0133】
次に、S1ヌクレアーゼ溶液(30 mM Sodium acetate(pH 4.6), 280 mM NaCl, ZnSO4の緩衝液中)をキャピラリー内に入れ、37℃で1時間反応させた。反応後、0.1×SSCで十分洗浄して未反応物質を取り除き、Cy5の蛍光を測定した。その結果を表2に示す。
【0134】
【表2】
Figure 0004242637
【0135】
表2は、スプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットを1:1で混合したときの結果を、一番強い蛍光強度(すなわち、第一のプローブと第二のプローブをライゲーションさせた後の第二プローブ蛍光強度)を1とした相対値で示す。
【0136】
表2において「ライゲーション後のCy5蛍光強度」は、第一プローブとハイブリダイズしたスプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットの存在の総和を示す。「S1ヌクレアーゼ処理後のCy5蛍光強度」は、スプライシングバリアントターゲットの存在を示す。表2のデータより、スプライシングバリアントでないターゲットとスプライシングバリアントターゲットとがほぼ1:1の比率で存在することが確認された。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のスプライシングバリアント検出方法は、スプライシングバリアントの有無を検出できるだけでなく、スプライシングバリアントの発現頻度を検出することも可能である。本発明は、2種類のプローブ(上記第一および第二のプローブ)を使用することにより、従来のように検出したい領域の前後を大きめにカバーするようなプローブを用意する必要がない。従って、本発明の検出方法は、プローブの準備が簡易である点で優れている。また、本発明ではプローブを標識して用いるため、サンプルRNAの方を標識する手間が省けるとともに、生のサンプルRNAを標識工程を経ることなく試料として使用可能である点で、従来法と比べて測定精度は高く、得られるデータの信頼性は高い。
【0138】
更に、好ましい態様として説明したように、本発明の検出方法をキャピラリーアレイを用いて行うことにより、多検体を同一基板上で調べることが可能であるだけでなく、種々のプローブの組み合わせにより多種類のスプライシングバリアントを同一基板上で検出することも可能である。また、キャピラリーアレイの溶液置換が容易な利点を生かして、本発明の検出方法の各反応を自動化して行うことも可能である。また、キャピラリーアレイを利用することにより、試料が微量ですむ等、その他、キャピラリーアレイが有している利点を本発明に生かすこともできる。
【0139】
【配列表】
Figure 0004242637
Figure 0004242637
Figure 0004242637

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一プローブおよび第二プローブを設計する方法を説明する模式図。
【図2】 本発明の第一実施形態を示す模式図。
【図3】 本発明の第二実施形態を示す模式図。
【図4】 本発明の第三実施形態を示す模式図。
【図5】 本発明の第四実施形態を示す模式図。
【図6】 (a)本発明の検出方法に使用可能なキャピラリーアレイの一例を表す平面図;(b)図6(a)のA−A’線の断面図;(c)図6(a)のB−B’線の断面図。
【図7】 (a)本発明の検出方法に使用可能なキャピラリーアレイの別の例を表す平面図;(b)図7(a)のA−A’線の断面図;(c)図7(a)のB−B’線の断面図。
【符号の説明】
1…基板、
2…第一の標識物質で標識された第一プローブ、2a…第一プローブ、2b…第一の標識物質、
3…スプライシングバリアント、3a…第一の隣接エクソン部分、3c…第二の隣接エクソン部分
4…スプライシングバリアントでないターゲット、4a…第一の隣接エクソン部分、4b…欠損エクソン部分、4c…第二の隣接エクソン部分
5…第二の標識物質で標識された第二プローブ、5a…第二プローブ、5b…第二の標識物質、5b’…標識物質、
6…ライゲーション反応により連結した標識第一プローブと標識第二プローブ7…ライゲーション反応により連結しなかった標識第一プローブと標識第二プローブ
8…一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアントでないターゲット
12…第一プローブ、
16…ライゲーション反応により連結した第一プローブ(未標識)と標識第二プローブ、
17…ライゲーション反応により連結しなかった第一プローブ(未標識)と標識第二プローブ、
18…一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアントでないターゲット、
23…スプライシングバリアントでないターゲット、23a…第一の隣接エクソン部分、23c…第二の隣接エクソン部分、
24…スプライシングバリアント、24a…第一の隣接エクソン部分、24b…挿入イントロン部分、24c…第二の隣接エクソン部分、
26…ライゲーション反応により連結した標識第一プローブと標識第二プローブ、
27…ライゲーション反応により連結しなかった標識第一プローブと標識第二プローブ、
28…一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアント、
36…ライゲーション反応により連結した第一プローブ(未標識)と標識第二プローブ、
37…ライゲーション反応により連結しなかった第一プローブ(未標識)と標識第二プローブ、
38…一本鎖特異的核酸分解酵素で分解されたスプライシングバリアント、
41…基板、42…キャピラリー、43…注入用開口部、44…排出用開口部、45…プローブ、46…キャピラリーカバー、47…加熱体、48…温度センサー

Claims (7)

  1. 複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてエクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
    前記スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分)に本来隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、第一の標識物質で標識され、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
    前記欠損エクソン部分に本来隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、第二の標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
    前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルがスプライシングバリアントである場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
    前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
    前記第四の工程後に、固相化されている前記第一プローブと、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程と
    を具備することを特徴とする方法。
  2. 複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてエクソン部分の少なくとも一部が欠損しているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
    前記スプライシングバリアントにおいて欠損しているエクソン部分(欠損エクソン部分)に本来隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
    前記欠損エクソン部分に本来隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記欠損エクソン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
    前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルがスプライシングバリアントである場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
    前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
    前記第四の工程後に、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
    を具備することを特徴とする方法。
  3. 複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
    前記スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分)に隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、第一の標識物質で標識され、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
    前記挿入イントロン部分に隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、第二の標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
    前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルが、スプライシングバリアントでない(すなわち前記挿入イントロン部分を含んでいない)場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
    前記第三の工程後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
    前記第四の工程後に、固相化されている前記第一プローブと、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブをそれぞれ標識している第一の標識物質および第二の標識物質の量を測定する第五の工程と
    を具備することを特徴とする方法。
  4. 複数のエクソン部分が連結されて合成される成熟mRNAにおいてイントロン部分の少なくとも一部が挿入されているスプライシングバリアントを検出する方法であって、
    前記スプライシングバリアントにおいて挿入されているイントロン部分(挿入イントロン部分)に隣接する両端のエクソン部分の何れか一方(第一の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第一の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第一プローブとして用いて、固相化されている前記第一プローブとmRNA被検サンプルとをハイブリダイズさせる第一の工程と、
    前記挿入イントロン部分に隣接する両端のエクソン部分のうち、前記第一プローブとして採用しなかった他方(第二の隣接エクソン部分)の配列に相補的な配列を有する一本鎖DNAであって、該一本鎖DNAの一端が、前記第二の隣接エクソン部分の前記挿入イントロン部分側の一端と相補的であるものを第二プローブとして用いて、標識物質で標識された前記第二プローブと前記第一の工程後の被検サンプルとをハイブリダイズさせる第二の工程と、
    前記第二の工程後の被検サンプルにおいて、前記第一プローブと前記第二プローブとをライゲーションさせ、ここで被検サンプルが、スプライシングバリアントでない(すなわち前記挿入イントロン部分を含んでいない)場合のみライゲーションが起こる第三の工程と、
    前記第二の工程後もしくは前記第三の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する工程と、
    前記ライゲーション工程を経た後の被検サンプルを、一本鎖特異的核酸分解酵素により処理し、ここでライゲーションされなかった第二プローブを遊離させる第四の工程と、
    前記第四の工程後に、第一プローブを介して固相化されている前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する第五の工程と
    を具備することを特徴とする方法。
  5. 前記第二の工程後もしくは前記第三の工程後に、前記第二プローブを標識している標識物質の量を測定する工程を更に具備することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記方法の全工程が、キャピラリーアレイを用いて行われることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記第一の工程と前記第二の工程との間、前記第二の工程と前記第三の工程との間、前記第三の工程と前記第四の工程との間、および前記第四の工程と前記第五の工程との間に、洗浄工程を更に具備することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
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