JPWO2005105994A1 - ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法 - Google Patents

ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005105994A1
JPWO2005105994A1 JP2006512879A JP2006512879A JPWO2005105994A1 JP WO2005105994 A1 JPWO2005105994 A1 JP WO2005105994A1 JP 2006512879 A JP2006512879 A JP 2006512879A JP 2006512879 A JP2006512879 A JP 2006512879A JP WO2005105994 A1 JPWO2005105994 A1 JP WO2005105994A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
protein synthesis
redox
reagent
purity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006512879A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4945239B2 (ja
Inventor
英文 桑田
英文 桑田
Original Assignee
株式会社ポストゲノム研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社ポストゲノム研究所 filed Critical 株式会社ポストゲノム研究所
Priority to JP2006512879A priority Critical patent/JP4945239B2/ja
Publication of JPWO2005105994A1 publication Critical patent/JPWO2005105994A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4945239B2 publication Critical patent/JP4945239B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/107General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length by chemical modification of precursor peptides
    • C07K1/113General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length by chemical modification of precursor peptides without change of the primary structure
    • C07K1/1133General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length by chemical modification of precursor peptides without change of the primary structure by redox-reactions involving cystein/cystin side chains

Abstract

本発明の課題は、ジスルフィド結合を持つタンパク質を、再構成タンパク質合成系で簡便且つ高効率に製造する方法を提供することにある。 チオレドキシンレダクターゼ[EC1.6.4.5]及びグルタレドキシンレダクターゼ[EC1.6.4.2]を含む還元状態を維持する種々の酵素や基質が存在するために酸化還元状態の調製が難しい細胞抽出液又はその粗画分を用いることに代え、これら酸化還元状態に影響の与える酵素及び基質を除去し、精製した構成成分からなる再構成タンパク質合成系において、ジスルフィド及びチオールの間の酸化還元の平衡状態を人為的に調整した再構成タンパク質合成系を用いることにより、活性のあるタンパク質を効率的に合成できることを見出したものである。

Description

本発明はタンパク質のin vitro転写・翻訳系による合成方法に関し、更に詳しくは分子間/分子内にジスルフィド結合を持つタンパク質のin vitro転写・翻訳系による効率的な合成方法に関するものである。
医薬品や試薬として利用可能なタンパク質を遺伝子組換え技術を用いて生産する試みが広く行われている。遺伝子組換え技術では、取扱いの簡便さや効率の面から、現在のところ大腸菌、枯草菌、カビ、又は酵母等の微生物、蚕等の昆虫、ウシ等の哺乳動物、或は培養可能な植物細胞、昆虫細胞、動物細胞が好んで用いられている。遺伝子組換え技術を用いてタンパク質を生産させる方法は汎用されているが、目的のタンパク質の発現量が少ない、発現できても活性を持たない、或は凝集体を形成する等の問題があり、培養条件、生育条件、及び誘導条件の検討や、種々の発現系を試す等の試行錯誤が必要である。そのような種々の条件検討を行っても、生産することが難しいタンパク質も数多く報告されている。
一方、このような生物や細胞を使わない、無細胞タンパク質合成よばれるタンパク質合成方法が知られている。無細胞タンパク質合成系はin vitro転写・翻訳系とも呼ばれ、大腸菌、ウサギ網状赤血球、又はコムギ胚芽細胞等から調製した抽出液又はこれらの粗画分を利用することによって、鋳型遺伝子が転写・翻訳されタンパク質が合成される。無細胞タンパク質合成系においては、生物や細胞の機能を乱すようなタンパク質も合成できる可能性が高いこと、96穴や384穴のフォーマットに適応させ多品種なタンパク質を合成したり、多様な合成反応条件を一度にたくさん試すことが可能である等、生物や細胞を用いることによる種々の制限を解除できるという特徴がある。
これら無細胞タンパク質合成系を用いても、合成されたタンパク質が、凝集体を形成する、本来あるべき構造をとらないという問題が従来より知られていた。その原因の一つとして、分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合を持つタンパク質が正しくジスルフィド結合を架橋できないということが考えられた。タンパク質には分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合を持つものと持たないものとがあるが、細胞の表面や細胞の外へ輸送・分泌されるタンパク質の多くはジスルフィド結合を持っており、このようなタンパク質は特に応用面での有用性が高いと言われている。例えば、現在市販されているタンパク質製剤のうち、インスリン、サイトカインや血球増殖因子等、大半の製剤は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質を成分としている。
このような分子内/分子間にジスルフィド結合を持つタンパク質についても効率よく生産するため、従来より無細胞タンパク質合成系の改良が行われてきた。例えば、細胞抽出液にミクロソーム画分を添加する方法(非特許文献1:Biochem.J.254:805−810(1988)、以下従来技術1と記載する)、細胞抽出液を透析する方法、酸化型グルタチオン及び還元型グルタチオンを添加する方法、ゲルろ過する方法、又は酸化還元電位を調整する方法(非特許文献2:FEBS Lett.514:290−4(2002)、非特許文献3:Nature Biotech.15:79−84(1997)、特許文献1:特開2003−116590、特許文献2:WO 03/072796 A1、以下従来技術2と記載する)が行われてきた。
また、還元状態を維持する酵素の欠失変異株を用いることによって、ジスルフィド結合を形成させる方法が従来より知られている(Proc.Natl.Acad.Sci.96:13703−13708(1999)、以下従来技術3)。この方法ではチオレドキシンレダクターゼ及びグルタチオンレダクターゼが欠損した大腸菌により目的のタンパク質は発現できるが、このような酵素の欠損株は一般的に生育が極端に遅いか、特殊な培養条件が必要であり、産業上利用する上で大きな障害となっていた。この方法は、大腸菌に遺伝子を組換え、タンパク質を発現させる系であるが、前述したように生物を直接用いることによる種々の制限もあった。また、多くの生物にはチオレドキシンレダクターゼ及びグルタチオンレダクターゼ以外にも未同定であるが多くの酸化還元を司る酵素や基質が存在するため(非特許文献4:Nature Review Molecular Cell Biology 3:836−847(2002))、このような欠損変異株で外来遺伝子を発現させたり、或は仮にその細胞抽出液を用いて無細胞のタンパク質合成系でタンパク質を合成したとしても、安定してジスルフィド結合を形成させることは困難であると考えられた。このような酵素や基質を不活性化するために、細胞抽出液をヨードアセタミドで処理する方法が従来から知られている(US 6,548,276 B2以下従来技術4)。この方法では、グルタチオンレダクターゼやチオレドキシンレダクターゼだけでなく、細胞内の酸化還元を調節している多くの酵素や基質を不活性化することが可能である。しかしながら、ヨードアセタミドはチオール基を非特異的に修飾するため、例えば転写翻訳に関わる因子や酵素群及びリボソーマルタンパク質等も修飾し、結果としてin vitroタンパク質合成反応の効率や精度が落ちるという問題が考えられた。
一方、生物や細胞を用いて組換え生産させたタンパク質、化学合成により合成したペプチド、又は無細胞タンパク質合成系で合成したタンパク質を、いったん変性剤で完全に変性させた後、再生するという方法が広く行われている(非特許文献5:Biochemistry 26:3129−3134(1987).従来技術5)。従来技術5ではタンパク質は化学合成されるか、或は生物を用いた場合でも一旦不活性な不溶化物として回収されることから、毒性のあるようなタンパク質の生産も可能である。タンパク質を再生する際には細胞を使わないので、試薬や塩類を自由に組み合わせることで、ジスルフィド結合を持つタンパク質に正しいジスルフィド結合を導入することも可能である。しかしながらこの方法では、タンパク質の合成とタンパク質の構造を再生する別々のステップが必要であるということ、タンパク質の構造を再生するステップは長時間(数日〜1週間)を要するという問題点があった。
ジスルフィド結合の促進及び/又はジスルフィド結合の異性化を触媒する酵素の活性測定法としては、基質となるリボヌクレアーゼA(RNaseA)を一旦還元し変性させ、続いて活性を測定する酵素と共にRNaseAをリフォールディングし再生して得られるRNase活性を指標とすることが従来より知られている(非特許文献6:Biochem J.1976 159:377−384)。
特開2003−116590 WO 03/072796 A1 US 6,548,276 B2 Biochem.J.254:805−810(1988) FEBS Lett.514:290−294(2002) Nature Biotech.15:79−84(1997) Nature Review Molecular Cell Biology 3:836−847(2002))) Biochemistry 26:3129−3134(1987) Biochem J.159:377−384(1976)
[タンパク質合成]
従来からの無細胞タンパク質合成系は、分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合を持つタンパク質を製造する場合には、次に記載する通りの問題があった。従来技術1ではすい臓等からホモジナイズ及び遠心分離でミクロソーム画分を調製する手間が必要であること、ミクロソーム画分はジスルフィド結合の形成が細胞内で本来起きる小胞体と呼ばれる細胞小器官が破壊された画分であり、小胞体で形成されるジスルフィド結合とくらべると効率が悪いこと、形成されたジスルフィド結合のパターンが異なりタンパク質に活性がみられない場合があるという問題が考えられる。従来技術2では、ミクロソーム画分を調製する必要はなく、酸化型グルタチオン及び還元型グルタチオンの添加もしくは透析といった簡単な方法で細胞抽出液を調製することができるが、反応液の酸化還元状態を再現性よく調整し、効率よくジスルフィド結合を架橋することは困難であった。その原因として、通常用いられる無細胞タンパク質合成系である細胞抽出液には、チオレドキシンレダクターゼ[EC 1.6.4.5]及びグルタチオンレダクターゼ[EC 1.6.4.2]を含む還元状態を維持する種々の酵素や基質が存在し(Nature Review Molecular Cell Biology 3:836−847(2002))、それらの働きにより透析やグルタチオンの添加によっても、酸化還元状態を調整することが難しいことが考えられる。無細胞タンパク質合成系において酸化剤、例えば酸化型グルタチオン(GSSG)を添加する場合、GSSGと還元型グルタチオン(GSH)の酸化還元緩衝液が従来用いられてきた。その比率はおおむね、GSSG:GSH=1:5−10程度である場合が多い。これは、RNaseAやリゾチームを一旦還元的に変性させ、リフォールディングし、構造と活性の相関を調べた数々の研究(Biochemistry.1991 30:613−619、Biochemistry 1970 9:5015−5023))から得られた酸化剤の濃度と比率を模倣しており、必ずしも無細胞タンパク質合成系に適したものとはいえない。また、酸化還元電位とは、可逆的な電子の授受が成り立っている平衡状態において、酸化体と還元体の化学ポテンシャル差により発生する電位を白金等の電極を用いて測定したものであるが、その溶液中の酸化還元に関わる様々な無機・有機化合物(例えば酸素、金属、システイン、ヘム)の酸化還元の平衡状態を、電位としてまとめて観察したものに過ぎず、チオールとジスルフィドの平衡状態を表す指標ではないため、タンパク質の酸化還元状態を表してはいなかった。そのため、従来技術2のように単に酸化還元電位を特定の値に調節したとしても、タンパク質へのジスルフィド結合の形成を調節することは極めて困難であった。
従来法1、2に共通する問題点として、ミクロソームの添加、透析、酸化型グルタチオン及び還元型グルタチオンの添加といった本来の細胞内の環境とは異なった処理を細胞抽出液に施すと、タンパク質合成が行われる本来の細胞内の環境とは異なるために、タンパク質の合成効率そのものが低下するという恐れがあり、産業レベルで無細胞タンパク質合成系の利用を著しく困難なものとしていた。
本発明者らは、細胞を用いないin vitroでのDNA転写・翻訳系又はRNA翻訳系において、反応系を構成するタンパク質成分の一部又は全部が、相互に付着しあう関係の一方でラベルされている方法(特開2003−102495号、以下、再構成タンパク質合成系という)、を既に開示している。この方法は、従来の無細胞系やin vitroタンパク質合成系(以下、無細胞タンパク質合成系という)とは全く異なる方法、すなわち細胞抽出液を使わずにタンパク質合成に関わる様々な成分をそれぞれ精製し、再構成することでタンパク質合成を可能とし、分子内にジスルフィド結合を持たないタンパク質の合成や迅速な精製が可能であるという特徴がある(Nature Biotechnology 19:732−734(2001))。しかしながら、分子内/分子間にジスルフィド結合を持つタンパク質を本来あるべき構造や活性を持ち、且つ効率よく合成するには様々な成分をどのような濃度で再構成すればよいかについては報告がなされていなかった。
このため、より簡便で、分子内及び/又は分子間にジスルフィド結合を持つタンパク質の高効率製造法が希求されていた。本発明の課題は、ジスルフィド結合を持つタンパク質を、再構成タンパク質合成系で簡便且つ高効率に製造する方法を提供することにある。
[酵素活性測定]
前記従来方法は、RNaseAを一旦変性させる必要があること、リフォールディングのための時間が長時間必要であるという問題点があった。
[タンパク質合成方法]
本発明者等は、前記課題に鑑みて鋭意検討した結果、分子内/分子間にジスルフィド結合を持つタンパク質を本来あるべき構造や活性を持ち、且つ効率よく合成するには、チオレドキシンレダクターゼ[EC 1.6.4.5]及びグルタチオンレダクターゼ[EC 1.6.4.2]を含む還元状態を維持する種々の酵素や基質が存在するために酸化還元状態の調整が難しい細胞抽出液又はその粗画分を用いることに代え、これら酸化還元状態に影響を与える酵素及び基質を除去し、ジスルフィド及びチオールの間の酸化還元の平衡状態を人為的に調整した再構成タンパク質合成系を用いることにより達成できることを見出したものである。
再構成タンパク質合成系としては、90%以上の純度のリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水を成分とすることを特徴とすることが特に好適であることを見出し本発明を完成させた。
通常細胞内のタンパク質合成部位では、酸化還元状態が還元側に偏っており、細胞内で合成されたタンパク質は還元状態で存在する。無細胞タンパク質合成系ではこのような細胞内の状態を模倣しているためDTTや他の還元試薬が通常は含まれており、還元試薬が含まれていない場合には抽出液の保存が悪くなったり、翻訳効率が低下することが報告されている(Eur.J Biochem.270:4780−4786(2003))。
一方、チオール基をジスルフィド結合させるには、還元状態は望ましくないので、in vitro転写・翻訳系では、タンパク質にジスルフィド結合を形成させるために、還元剤であるDTTを透析等で除去するか、添加量を低く抑える試みがなされてきた。しかしながら、上述のように、その効果は限定的なものであった。
他方、本発明による方法では、再構成タンパク質合成系にジスルフィド及びチオール間での平衡に影響を与える成分の存在量が特定されているので、DTTを数μMから更に1mM迄添加しても良く、またDTTを全く添加しないことも可能である。
更に驚くべきことには、従来のDTTを除去した無細胞タンパク質合成系を用いる方法ではタンパク質にジスルフィド結合を形成させることができたとしても、該条件下ではタンパク質自体の合成量は低下し目的とする活性を持ったタンパク質の合成効率は低下すると一般的に考えられていたが、本発明の様に、再構成タンパク質合成系を用いるとタンパク質の合成量は変わらないか、むしろ増加する場合があり、より効率的にタンパク質を合成することが可能であった。
すなわち本発明は、従来法とは異なり、細胞抽出液を使わずに、酸化還元状態に影響を与える不純物を含まない、存在量及び純度がそれぞれ特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水をタンパク質合成基本試薬として再構成し、この再構成タンパク質合成系においてジスルフィド及びチオールの間の酸化還元の平衡状態を人為的に調整することでジスルフィド結合を有するタンパク質の高効率な合成方法を提供する。
なお、好適には、上記の再構成したタンパク質合成基本試薬は、高度に精製された90%以上の純度のリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水を、それぞれ予め決められた量だけ含有するように再構成されている。タンパク質合成基本試薬としては、たとえば、DTTを除いたピュアシステム(ポストゲノム社製)を利用することができる。前記タンパク質の合成方法において、ジスルフィド及びチオール間の酸化還元平衡状態の人為的調整は、前記タンパク質合成基本試薬に(イ)酸化還元状態を調節する試薬を添加する、及び/又は(ロ)酸化還元を触媒する酵素を添加することにより行うことができる。これらの添加は、反応開始前、反応中、反応後のいずれに添加しても良い。
更に具体的には、(イ)酸化還元状態を調節する試薬としては、DTT、酸化型グルタチオン等を挙げることができる。又、(ロ)酸化還元を触媒する酵素としては、プロテインジスルフィドイソメラーゼ類、ジスルフィドインターチェインジタンパク質類を挙げることができる。
なお、本発明のタンパク質合成方法をタンパク質製造方法と呼ぶこともある。
[タンパク質活性測定法、及びそれを利用したタンパク合成方法]
さらに本発明は、製造されるタンパク質の活性度、酸化還元を触媒する酸化還元酵素試薬の添加量、および酸化還元試薬の添加量の3者の相関を測定する試験方法を提供する。存在量及び純度がそれぞれ特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水は、それぞれ予め決められた特定の量を再構成して、タンパク質合成基本試薬とする。該タンパク質合成基本試薬に、酸化還元を触媒する酸化還元酵素試薬濃度、および酸化還元試薬濃度を変化させることができることが好ましい。このようにして酸化還元の平衡状態を変化させることのできる試薬群を再構成タンパク質合成系に所望の最終濃度となるように添加することにより、製造されるタンパク質のジスルフィド結合架橋を形成させたり、逆に形成をさせないようにしたりすることを可能とした。
すなわち本発明により所望のジスルフィド結合架橋形態のタンパク質を製造するのに必要な条件を、再構成タンパク質合成系において正確に知ることができるようになった。このようにして得られた情報は、前記タンパク質合成の条件として用いることが可能である。
酸化還元酵素試薬および酸化還元試薬の添加は、反応開始前、反応中または反応後のいずれの時点において行なっても良い。
酸化還元酵素試薬としては、DTT、GSSG等を挙げることができる。酸化還元試薬としては、プロテインジスルフィドイソメラーゼ類、ジスルフィドインターチェインジタンパク質類を挙げることができる。
複数濃度の試薬をあらかじめ作製しておいて、それぞれの反応系に対して、反応開始前(鋳型核酸添加前)、反応開始後、又は反応終了後に添加することが可能である。
[酵素活性測定法]
活性の測定法の詳細は、前述したタンパク質合成系、活性を測定したいジスルフィド結合の促進や異性化を触媒する酵素を翻訳と同時または翻訳後に添加する以外は、全て同じ方法で行えば良い。基質として用いるタンパク質はそれをコードする鋳型DNAまたはRNAとして添加される。基質として用いるタンパク質の種類は特段の制限はないが、構造が既知であることが好ましく、酵素であることがより好ましい。このような基質の例として、リゾチームやアルカリフォスファターゼ等を例示することができる。また、この方法ではジスルフィド結合の促進及び/又はジスルフィド結合の異性化を触媒する酵素の活性を測定できるが、逆にその活性を阻害する物質をスクリーニングする目的でも使用可能である。この場合、ジスルフィド結合の促進や異性化を触媒する酵素と共に被検物質を用いることで、スクリーニングを行うことができる。
[キット]
さらに本発明は、以下の(1)a)及びb)、(2)a)及びc)、又は(3)a)、b)及びc)からなるキットが包含される。
a) 存在量および純度がそれぞれ特定されている成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、
b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
具体的には、a) 存在量および純度がそれぞれ特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、及びc) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬、からなるキットを提供する。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2004−136520号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、リボソーム粗抽出液の6〜36%のショ糖密度勾配による分画を示す。
図2は、His−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼ(AlaRS)、アルギニンtRNAシンテターゼ(ArgRS)、アスパラギンtRNAシンテターゼ(AsnRS)、アスパラギン酸tRNAシンテターゼ(AspRS)、システインtRNAシンテターゼ(CysRS)、グルタミンtRNAシンテターゼ(GlnRS)及びグルタミン酸tRNAシンテターゼ(GluRS)の12%SDS−PAGE・クマシーブリリアントブルー染色後の写真を示す。
図3は、ヒトリゾチームの合成 電気泳動写真(矢印は合成されたヒトリゾチームを示す)を示す。
図4は、合成されたヒトリゾチームの比活性を示す。
図5は、合成されたmIL6のタンパク質の量を示す。
図6は、合成されたDHFRのタンパク質の量を示す。
図7は、合成されたヒトリゾチームの比活性(PDI濃度による影響)を示す。
図8は、合成されたヒトリゾチームの比活性(0.13μM PDIの存在下でのDTT濃度による影響)を示す。
図9は、合成されたアルカリフォスファターゼの活性(0.13μM PDI及び1mM DTT存在下におけるGSSG濃度による影響)を示す。
図10は、合成されたアルカリフォスファターゼの活性(PDI存在下でのDTT濃度変化による影響)を示す。
図11は、合成されたリゾチームの活性(DsbC添加または添加なしによる影響)を示す。
図12は、合成されたアルカリフォスファターゼの活性(本発明による方法と細胞抽出液を用いた方法との比較)を示す。
図13はEF−Tuの溶出画分の電気泳動写真を示す。
図14は精製したDsbA(レーン1)及びDsbC(レーン2)の電気泳動写真を示す。
以下、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明におけるin vitroでのDNA転写・翻訳系又はRNA翻訳系は、mRNA又はcDNA等の目的とするタンパク質をコードする鋳型を添加することでタンパク質を合成させるための基本的成分からなるタンパク質合成基本試薬、並びにジスルフィド及びチオール間の酸化還元平衡状態の人為的調整をするための(イ)酸化還元状態を調節する試薬、及び/又は(ロ)酸化還元を触媒する酵素からなる。
[分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法]
本発明の方法は、(1)下記a)及びb)からなる反応系、(2)下記a)、b)及びc)からなる反応系、(3)下記a)、b)及びd)からなる反応系、又は(4)下記a)、b)、c)及びd)からなる反応系を用いた、分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法を包含している。
a) 目的とするタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸、
b) 存在量および純度がそれぞれ特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
[1−1 タンパク質合成基本試薬]
タンパク質合成基本試薬は、その成分として、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水をそれぞれ予め決められた純度の成分を決められた量だけ含むことを特徴とするが、全ての成分が必要でなく、成分は適宜選択することができる。
系を構成するこれらの成分は、細胞抽出液又はその粗画分を用いないことはもちろんであるが、タンパク質のジスルフィド結合形成に影響を与える物質濃度を計算可能であることが望ましい。
本発明の再構成タンパク質合成系は、系を構成する全ての成分を再構成するため、このような成分を特定し、その含有量を計算することは容易である。
本発明におけるタンパク質合成反応基本試薬は、DNAからの転写・翻訳、或は、RNAの翻訳を行わせるタンパク質合成のための反応系として使用できる。本発明に言うタンパク質とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものを言い、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドを含む。本発明に言うRNAは化学合成されたRNA及びmRNAを含み、DNAは、合成されたDNA、DNAベクター、ゲノムDNA、PCR産物及びcDNAを含む。
本発明におけるタンパク質合成反応基本試薬において、存在量および純度がそれぞれ特定されている成分を含むとは、それぞれの成分について、個々に精製され、その純度が測定可能であり、かつ定量可能であることを意味している。本発明では、存在量および純度がそれぞれ特定された複数の成分とは、予め塩析、クロマトグラフィー、電気泳動、溶解度の差、再結晶、遠心等の物質の精製法により、それぞれが精製された物質であって、クロマトグラフィー、電気泳動、質量分析、遠心等の分析方法により、それぞれの純度がおおむね80%以上、好適には90%以上である物質を言う。例えば、タンパク質であれば、主にクロマトグラフィーにより精製され、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により純度が決定され、リボソームであれば、主に超遠心法により精製され、超遠心分離による沈降分析により純度が決定される。リボソームは複数のRNA分子(原核生物では、23S,5S,及び16Sの3つ、真核生物では28S,5.8S,5S,18Sの4つのRNA分子)と複数のリボソーマルタンパク質(原核生物では約50個、真核生物では約80個のタンパク質)とからなる分子量数百万の集合体分子であるが、沈降分析によって集合体分子として分子を同定し純度を測定することが可能である。tRNA類はほとんどが74から94ヌクレオチドから成り、複数の塩基配列をもつ分子であるが、電気泳動などにより分子を分離・同定し、260nm及び280nmの吸光度測定により純度を測定することが可能である。その他、アミノ酸や塩等の低分子の物質はいずれもクロマトグラフィー、融点測定、元素分析、質量分析等の常法により、物質を同定し純度を測定することが可能である。
タンパク質合成基本試薬としての転写/翻訳のための因子・酵素としては、大腸菌等の原核細胞由来のものに限らず、真核細胞由来のものも使用でき、(1)RNAからの翻訳の場合は、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、tRNA類、アデノシン3リン酸(ATP),グアノシン3リン酸(GTP),アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水であり、大腸菌等の原核細胞由来の反応系である場合は更にメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類を含む;(2)DNAからの転写/翻訳の場合は、(1)に加えウリジン3リン酸(UTP),シチジン3リン酸(CTP)及びRNAポリメラーゼ類、例えばT7RNAポリメラーゼを含む。
本発明の反応系を構成する各種因子・酵素は、大腸菌、カビ、酵母、及び培養細胞等全ての生物が本来備えているものであるから、これをそれぞれ高度に精製し、成分として用いることもできるが、各タンパク質が多量に得られ、未知の不要又は阻害成分が反応系内に持ち込まれる可能性が低くなることから、組換え生産されたものを用いることがより好ましい。
具体的には開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、又はRNAポリメラーゼ類をコードする遺伝子を適切なベクターにつなぎ、大腸菌、枯草菌、カビ、又は酵母等に形質転換し、発現誘導を行い、該タンパク質を精製し、本発明の反応系を構成する成分とすることができる。組換え体により、各種因子・酵素を生産する場合、インタクトな状態でそのタンパク質を発現させても良いが、融合タンパク質として発現しても良い。そのような融合タンパク質として、ヒスチジンタグ(以下His−Tag)、ストレプトタグ、GSTタグ、及びFLAGタグ等を例示することができる。(Appl Microbiol Biotechnol.60(5):523−533(2003))
一例として、His−Tagとニッケルカラムを利用した、His−Tagを付したタンパク質成分の精製方法の概略を示せば次の通りである。これ以外にも様々なバリエーションが知られており、適宜選択して使用できる。
1.遺伝子工学的手法により、目的タンパク質のN末にHis−Tag(6個のHisよりなる)を結合させた融合タンパク質を得る。
2.タグをつけたタンパク質が発現している細胞を氷中で超音波処理し、ローディングバッファー(300mM NaCl,50mM NaHPO,pH8.0)に懸濁させる。
3.細胞の溶解物を遠心分離する(30,000g、4℃で30分間)。
4.上記で得られた上清に、氷で冷やしたローディングバッファーの中で平衡化した50%のNi2+−NTA slurry(Qiagen社製)を加える。4℃で1時間撹拌する。
5.樹脂をカラムにロードし、カラム容量の20倍のローディングバッファーで、4℃でカラムの洗浄を行う。
6.カラム容量の20倍のローディングバッファー(10mM imidazole,pH8.0を含む)で、4℃でカラムの洗浄を行う。
7.カラム容量の20倍のローディングバッファーを用いて、imidazoleの濃度勾配を10から250mMになるように設定し、カラムから目的タンパク質の溶出を行わせ、1mlずつフラクションを集める。SDS−PAGEで目的タンパク質を確認する。
また、反応系を構成する各種因子・酵素として、直接タンパク質の合成反応には関わらないが、クレアチンキナーゼ類、ミオキナーゼ類又はヌクレオシドジフォスフェートキナーゼ類といったエネルギー再生に関わる酵素、及び無機ピロフォスファターゼ類といった、転写・翻訳反応で生じる無機ピロリン酸の分解のための酵素類も、同様な方法で該タンパク質を精製し、本発明の反応系に加えることがより好ましい。
塩類としては、転写・翻訳に必須な陽イオン・陰イオンを含むことが必須であり、グルタミン酸カリウム、塩化アンモニウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム等が通常使用される。なお、上記以外にも適宜選択して使用できることは言うまでもない。水はイオンや微生物類、酵素類を含まないもので、例えばミリポア社製のミリQ水製造装置によって製造される水や市販の純水を挙げることができる。
リボソームは、ペプチド合成の場であり、mRNAと結合し、アミノアシルtRNAをA部位に、フォルミルメチオニルtRNA又はペプチジルtRNAをP部位にそれぞれ配位してペプチド結合を形成させる反応を行う(Science289:920−930(2000))。本発明においては、かかる機能を有するものであれば、由来を問わず使用することが可能である。例えば、大腸菌由来のリボソームが使用されるが、真核細胞由来のものも使用できる。本発明において用いられるリボソームの好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌A19株、MRE600株から得られるものを挙げることができる。
本発明のin vitroタンパク質合成系で使用される開始因子類には、翻訳開始複合体の形成に必須であるか、又は、これを著しく促進する因子であり、大腸菌由来のものとして、IF1、IF2及びIF3が知られている(Biochemistry29:5881−5889(1990))。開始因子IF3は、翻訳の開始に必要な段階である、70Sリボソームの30Sサブユニットと50Sサブユニットへの解離を促進し、また、翻訳開始複合体の形成の際に、フォルミルメチオニルtRNA以外のtRNAのP部位への挿入を阻害する。開始因子IF2は、フォルミルメチオニルtRNAと結合し、30SリボソームサブユニットのP部位へフォルミルメチオニルtRNAを運び、翻訳開始複合体を形成する。開始因子IF1は開始因子IF2,IF3の機能を促進する。本発明において用いられる開始因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
延長因子EF−Tuは、GTP型とGDP型の2種類があり、GTP型はアミノアシルtRNAと結合してこれをリボソームのA部位へ運ぶ。EF−Tuがリボソームから離れる際にGTPが加水分解され、GDP型へ転換する。(EMBOJ.17:7490−7497(1998))。延長因子EF−Tsは、EF−Tu(GDP型)に結合し、GTP型への転換を促進する(ArchivesofBiochemistryandBiophysics348:157−162(1997))。延長因子EF−Gは、ペプチド鎖伸長過程において、ペプチド結合形成反応の後の転位(translocation)反応を促進する(Nature Structure Biology 6:643−647(1999),FEMS Microbiology Reviews 23:317−333(1999))。本発明において用いられる延長因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
終結因子は蛋白質合成の終結、翻訳されたペプチド鎖の解離、更に次のmRNAの翻訳開始へのリボソームの再生に必須である。これを含まない反応系でタンパク合成を行った場合は、終始コドンの手前で反応が止まり、リボソーム・ペプチド・mRNAの安定な3者複合体の形成が容易に行われる(ポリソームディスプレイ法、リボソームディスプレイ法、インビトロバイラス法)。またペプチド鎖への非天然アミノ酸の導入は、RF1及び/又はRF2を反応系から省くことにより行われる。即ち、RF1を省いた場合はUAGコドン、RF2を省いた場合はUGAコドンへの非天然アミノ酸の導入が高い効率で行われる。
終結因子RF1及びRF2は、リボソームのA部位に終止コドン(UAA,UAG,UGA)が来た時、A部位に入ってペプチジルtRNA(P部位にある)からのペプチド鎖の解離を促進する。RF1は終止コドンのうちUAA,UAGを認識し、RF2はUAA,UGAを認識する。終結因子RF3は、RF1,RF2によるペプチド鎖の解離反応後の、RF1,RF2のリボソームからの解離を促進する。リボソーム再生因子(RRF)は、蛋白質合成の停止後、P部位に残っているtRNAの脱離と、次の蛋白質合成へのリボソームの再生を促進する。本発明においては、RRFも終結因子類の一つとして取扱うことにする。なお、終結因子RF1,RF2,RF3及びRRFの機能については、EMBOJ.16:4126−4133(1997)、EMBOJ.16:4134−4141(1997)に解説されている。本発明において用いられる終結因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
アミノアシルtRNAシンテターゼは、ATPの存在下でアミノ酸とtRNAを共有結合させ、アミノアシルtRNAを合成する酵素である(RNA 3:954−960(1997),蛋白質核酸酵素39:1215−1225(1994))。本発明において用いられるアミノアシルt RNAシンテターゼの好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。また、非天然アミノ酸を認識する人工アミノアシルtRNAシンテターゼ(特許2668701号)を用いることもできる。
メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTF)は原核生物におけるタンパク質合成においてメチオニルtRNAのアミノ基にフォルミル基がついたN−フォルミルメチオニル(fMet)tRNAを合成する酵素である。即ち、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼは、N10−フォルミルテトラヒドロ葉酸のフォルミル基を、開始コドンに対応するメチオニルtRNAのN末端に転移させ、fMet−tRNAにする(Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:875−880(1999))。付加されたフォルミル基は開始因子IF2により認識され、タンパク質合成の開始シグナルとして作用する。真核生物の細胞質における合成系にはMTFはないが、真核生物のミトコンドリア及び葉緑体における合成系には存在する。本発明において用いられるMTFの好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものである。
RNAポリメラーゼは、DNA配列をRNAに転写する酵素であり、様々な生物に存在することが知られている。その一例として、T7ファージ由来の、T7RNAポリメラーゼを挙げることができ、このポリメラーゼはT7プロモーターと呼ばれる特異的なDNA配列に結合してその下流のDNA配列をRNAに転写する酵素である。本発明者等は、T7RNAポリメラーゼのN末端にヒスタグを付加して、融合タンパク質として大腸菌BL21株において大量発現を行い、ニッケルカラムを用いるアフィニティクロマトグラフィーにより精製を行った。本発明においては、T7RNAポリメラーゼ以外にも種々のRNAポリメラーゼを用いることができる。例えば、T3RNAポリメラーゼやSP6RNAポリメラーゼが市販されており、これ等を利用することもできる。
アミノ酸類としては天然型又は非天然型アミノ酸、天然型又は非天然型アミノ酸でチャージされたtRNAが挙げられる。非天然アミノ酸でチャージされたtRNAを用いることで、タンパク質に非天然アミノ酸を導入することが可能となる。
tRNA類としては、大腸菌、酵母等の細胞から精製したtRNAを用いることができる。またアンチコドンやその他の塩基を任意に変更した人工tRNAも用いることができる(J.Am.Chem.Soc.121:34−40(1996),Nature Biotech.20:177−182(2002))。例えば、CUAをアンチコドンとして持つtRNAに非天然のアミノ酸をチャージすることで、本来終止コドンであるUAGコドンを非天然アミノ酸に翻訳することが可能である。この方法ではタンパク質に点特異的に非天然アミノ酸を導入することができる。
その他、緩衝液としては、リン酸カリウム緩衝液、(pH7.3)が通常使用される。
[1−2 ジスルフィド結合形成に影響を与える物質]
ジスルフィド結合形成に影響を与える物質の例として、ジスルフィド結合の酸化還元を触媒する酵素である酸化還元酵素及び/又はジスルフィド結合の酸化還元状態を調節する試薬である酸化還元試薬が挙げられる。より具体的には、ジスルフィド結合形成に影響を与える酵素及び又は試薬として、(イ)酸化還元を触媒する酵素:グルタチオンレダクターゼ類、チオレドキシンレダクターゼ類、プロテインジスルフィドイソメラーゼ類、ジスルフィドインターチェインジタンパク質類、チオレドキシン様タンパク質等のタンパク質及び/又は(ロ)酸化還元状態を調節する試薬:還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、DTT、2−メルカプトエタノール及びチオレドキシン等の低分子化合物を例示することができる。本発明における酸化還元試薬とはジスルフィドを還元しチオールにしたり、逆にチオールを酸化しジスルフィドを形成させることのできる試薬を言う。
ジスルフィド結合形成に影響を与える物質の例としての、(イ)酸化還元酵素(酸化還元を触媒する酵素)及び/又は(ロ)酸化還元試薬(酸化還元状態を調節する試薬)は、タンパク質のジスルフィド結合の架橋を促進・調整する酵素類及び/又はその基質を用いることが望ましい。なお、(イ)酸化還元を触媒する酵素及び/又は(ロ)酸化還元状態を調節する試薬は、必ずしも翻訳反応中に加える必要はなく、翻訳終了後に加えても良い。翻訳終了後に添加する場合には、添加後更に数十分から1時間程度37℃に静置するのが好ましい。
酸化還元状態を調節する試薬として、DTTを用いる場合は濃度が0〜1mM、好適には0.001〜0.5mMであることが好ましい。更に好適には、0.060〜0.5mMであることが好ましい。
酸化還元状態を調節する試薬として、酸化型グルタチオンを用いる場合は濃度が0〜8mM、好適には、0.1〜4mMであることが好ましい。更に好適には1〜4mMであることが好ましい。
前記タンパク質の合成方法おいて、ジスルフィドインターチェインジタンパク質類はDsbA及び/又はDsbCであることが好ましい。
プロテインジスルフィドイソメラーゼ(EC 5.3.4.1.)は真核生物の小胞体内膜に存在する約55kDaのジスルフィド結合の形成や異性化・還元反応を触媒する酵素であり、シャペロン様の活性も持つと言われている。このタンパク質は前述の通り、生物から精製し、成分として用いることもできるが、組換え生産されたものを用いてもよい。ウシの肝臓から精製したプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PIRデータベース アクセッション番号ISBOSS)、酵母のプロテインジスルフィドイソメラーゼ遺伝子を大腸菌に組換え発現させ、精製したタンパク質等を用いることができる。
その他にプロテインジスルフィドイソメラーゼ類として下記のタンパク質知られており、本発明のプロテインジスルフィドイソメラーゼ質類として使用可能である。
ヒトのprotein disulfide−isomerase PIRデータベース アクセッションナンバーISHUSS
ヒトのprotein disulfide isomerase related protein GenBankアクセッションナンバー4758304
酵母のprotein disulfide isomerase homolog PIRデータベースA44483
ジスルフィドインターチェインジタンパク質類は、ジスルフィドインターチェインジタンパク質A、B、C、D(DsbA,B,C,D)の4種のタンパク質が大腸菌等で知られている。DsbAは、21kDaのチオレドキシン様フォールド構造を持つ、ジスルフィド結合の形成を触媒すると考えられている酵素である。DsbBは4個の膜貫通部位と、2個のペリプラズムドメインを持つ20kDaのタンパク質で、DsbAを酸化型に維持すると言われている。DsbCはホモ2量体を形成するペリプラズムタンパク質であり、チオレドキシン様のフォールドを持ち、主にジスルフィド結合の異性化を担う酵素であると言われているが、他にシャペロンとしての働きもあると考えられている。DsbDは分子量59kDaのタンパク質で2つのペリプラズムドメイン、8個の膜貫通領域からなるタンパク質で、DsbCの活性中心のシステインを還元型に維持する働きを持っていると考えられる。
ジスルフィドインターチェインジタンパク質類として下記のタンパク質が知られており、本発明のジスルフィドインターチェインジタンパク質類として使用可能である。
E.coliのDsbA SWISS−PROTprotein database Accession P24991
E.coliのDsbC SWISS−PROTprotein database Accession P21892
Salmonella typhimuriumのprotein disulfide−isomerase dsbA homolog PIRデータベース アクセッションナンバーS32895
Neisseria meningitidisのthiol−disulfide interchange protein dsbA homolog NMB0278 PIRデータベース アクセッションナンバーC81217
Caenorhabditis elegansのprotein disulphide isomerase isoform I Gene Bank アクセッションナンバー AAB94647
Datisca glomerataのprotein disulfide isomerase homolog Gene Bank アクセッションナンバーAAD28260
これらジスルフィドインタージェインジタンパク質類は前述の通り、生物から精製し、成分として用いることもできるが、組換え生産されたものを用いてもよい。
酸化還元酵素としてプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を用いる場合、濃度が0μM〜10μMであることが好ましい。好適には0.001〜5μMであることが好ましい。更に好適には0.001μM〜2μMであることが好ましい。酸化還元酵素としてジスルフィドインターチェインジタンパクを用いた場合、0μM〜10μMであることが好ましい。好適には0.01から10μMであることが好ましい。更に好適には0.1μM〜10μMであることが好ましい。
なお、グルタチオンレダクターゼ類、チオレドキシンレダクターゼ類については、できるだけ含まないことが望ましく、タンパク質合成系を構成する成分におけるチオレドキシンレダクターゼ及び/又はグルタチオンレダクターゼの含量が100ng/ml以下であることが好ましい。
また、上記された各成分の純度については、測定法を以下に例示する。
上記した開始因子類、延長因子類、終結因子類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、並びにDsbA及びDsbCなどタンパク質からなる成分は、例えば、前記した、His tagとニッケルカラムを利用した、His tagを付したタンパク質成分の精製方法により精製した後、SDS−PAGEで目的タンパク質を確認し、各レーンの泳動パターンをデンシトメーターで読み取って算出することができる。
精製したリボソームは、ショ糖密度勾配による分析で純度を測定できる。
tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類及びFD、その他緩衝液、DTT,酸化型グルタチオンなど通常試薬として市販されている試薬は、市販試薬の純度で使用可能である。なお、市販の試薬はいずれも、純度はいずれも80%以上であった。
[試験方法、及びそれを利用した合成方法]
本発明の試験方法は、上記した[分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法]の反応系を用いることができる。
本発明の酸化還元酵素、酸化還元試薬濃度及び1個のジスルフィド結合による架橋形成が可能でその架橋形成様式により活性が支配される1または複数のペプチド鎖からなる合成されたタンパク質の活性の3者の相関を測定する試験方法は、次のa)〜d)のから成る反応系、具体的には、(1)a),b)及びc)、(2)a)、b)およびd)、または(3)a)、b)、c)及びd)からなる反応系によることができる。
a) 1または複数の鋳型核酸、
b) 存在量および純度がそれぞれ特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
以上の反応系で合成されたタンパク質の活性を測定し、添加したc)酸化還元酵素及びd)酸化還元試薬との相関を求める。ここで測定されるタンパク質の活性は酵素活性に限らず、例えばレセプターとタンパク質の結合活性、細胞の増殖活性、これらの比活性等を含む。
より具体的には、まず濃度を様々に変化させたc)酸化還元酵素及びd)酸化還元試薬を準備する。その際、c)及びd)はそれぞれ単独の物質でも良いが、複数の物質の混合物であっても良い。このような酸化還元酵素の例として、プロテインジスルフィドイソメラーゼ類、ジスルフィドインターチェインジタンパク質類、或はそのホモログ酵素等を例示することができる。酸化還元試薬としては、DTT、GSSG、GSH、チオレドキシン等を例示することができる。続いて、タンパク質の合成反応を開始するが、c)及びd)はタンパク質の合成反応の最初に加えても良いが、合成反応の途中で加えても良く、更に合成反応が終了してから加えても良い。合成反応が終了してから加える場合には、添加後更に数十分から1時間程度37℃に静置するのが好ましい。このようにして合成したそれぞれの場合について、反応液中の合成されたタンパク質の活性を測定する。ここで合成されるタンパク質は分子内及び/又は分子間に少なくとも1つのジスルフィド結合の架橋形成が可能であるタンパク質であれば特に制限はなく、複数のタンパク質を同じ反応液中で合成しヘテロオリゴマー等を形成させ活性を測定することも可能である。
このようにして、タンパク質の活性と、c)酸化還元酵素及び/又はd)酸化還元試薬の濃度との相関関係を明らかにすることができる。
こうして得た、相関関係を利用し、予め決められた値の活性(所望の活性値)を得るために必要なc)酸化還元酵素及び/又はd)酸化還元試薬の濃度を決定し、当該所望の活性を奏する濃度になるようにb)タンパク質合成反応基本試薬にc)酸化還元酵素及び/又はd)酸化還元試薬を添加した、更にa)目的タンパク質をコードする鋳型核酸を添加した反応系で、効率的に目的タンパク質を生産することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、もとよりこれらは例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
リボソーム調製
対数増殖期中期のE.coli A19株の細胞300gをアルミナ破砕した。破砕した細胞を緩衝液A(pH7.6の10mMヘペス−水酸化カリウム(HEPES−KOH)、10mM塩化マグネシウム(MgCl)、50mM塩化カリウム(KCl)、1mM DTTに懸濁し、アルミナと細胞破砕物を遠心分離(30,000g、4℃で1時間)して除いた。得られた上清画分に終濃度が1μg/mlになるようにデオキシリボンクレアーゼ(DNase)を加えた後、遠心(100,000g,4℃で4時間)した。ペレットを緩衝液Aに懸濁しリボソームの粗抽出液とした。このリボソーム粗抽出液を6〜36%(w/v)のショ糖密度勾配遠心にかけ,図1に示した画分を分取した。このリボソーム画分を100,000gで遠心分離し、そのペレットをリボソーム緩衝液(pH7.6の20mM HEPES−KOH、6mM MgOAc、30mM NHCl、7mM β−メルカプトエタノール(mercaptoethanol))に懸濁し精製リボソームを調製した。精製したリボソームの一部を6〜36%(w/v)のショ糖密度勾配で分析したところ、単一のピークを形成し、その純度は90%以上であった。
アミノアシルtRNAシンテターゼ(ARS)高発現用プラスミドの構築と形質転換体の作成
E.coli A19株より抽出したゲノムを鋳型としてアラニルtRNAシンテターゼをコードする遺伝子配列をPCR法により増幅し、5′端にSphI、3′端にHindIIIが認識する配列を持ったDNA断片を得た。得られたDNA断片をあらかじめSphI及びHindIIIで切断したプラスミドpQE30(QIAGEN社製)に挿入し、N末端にHis−Tagが融合したアラニルtRNAシンテターゼを高発現させるためのベクターを得た。得られたベクターでE.coli BL21/pREP4を形質転換した。その他のARSを高発現するベクターも同様の手法で構築した。表1に使用したベクター、制限酵素、His−Tagの位置を示す。なお、表1におけるプラスミドのpQEシリーズはE.coli BL21/pREP4の、pETシリーズはE.coli BL21/DE3の形質転換にそれぞれ用いられた。
Figure 2005105994
その他のタンパク質因子・酵素の高発現プラスミドの構築
実施例2と同様な方法で次に示すタンパク質因子・酵素の高発現プラスミドを構築した。MTF、T7 RNAポリメラーゼ、IF1、IF2、IF3、EF−G,EF−Tu,EF−Ts及びRF1。なお、表1に記載していないタンパク質因子・酵素についても同様な方法でプラスミドを構築した。なお、ベクターはpQEシリーズまたはpETシリーズを用い、E.coli BL21/pREP 4またはE.coli BL21/DE3の形質転換にそれぞれ用いられた。
タンパク質因子・酵素の高発現と精製
His−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼを高発現させるために、実施例2で得られた形質転換体E.coli BL21/pREP4細胞を6リットルのLB培地で660nmの吸光度が0.7になるまで培養した。この培養液に終濃度が0.1mMになるようにイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を添加し、更に37℃で4時間培養した。この培養液を遠心分離し、得られた細胞を懸濁緩衝液(pH7.6の50mM HEPES−KOH、1M NHCl、10mM MgCl、0.3mg/ml卵白リゾチーム、0.1% TritonX−100、0.2mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、6mM β−mercaptoethanol)に懸濁した。この懸濁液を超音波処理し、細胞を破壊した。超音波処理した懸濁液を遠心分離(100,000g,4℃で1時間)し、細胞破砕物を除いた。得られた上清画分をNi2+でプレチャージされた10mlのHi−Trap chelatingカラム(ファルマシア社製)に供し、10mMのイミダゾールを含む100mlのHT緩衝液(pH7.6の50mM HEPES−KOH、1M NHCl、10mM MgCl)で洗浄した。HT緩衝液に含まれるイミダゾール濃度を10から400mMまで直線的に勾配をつけて、His−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼをカラムから溶出した。精製されたタンパク質を含む画分を合わせて、Stock緩衝液(pH7.6の50mM HEPES−KOH、100mM KCl、10mM MgCl、30%グリセロール(glycerol))で透析した。精製したHis−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼの濃度はProtein Assay Kit(Bio−Rad社製)を用いてウシ血清アルブミン(BSA)を基準に作成した検量線から算出した。精製したHis−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼは1mlずつ小分けして液体窒素で急冷凍した後−80℃で保存した。その他のHis−Tagが付されたアラニルtRNAシンテターゼ(AlaRS)、アルギニンtRNAシンテターゼ(ArgRS)、アスパラギンtRNAシンテターゼ(AsnRS)、アスパラギン酸tRNAシンテターゼ(AspRS)、システインtRNAシンテターゼ(CysRS)、グルタミンtRNAシンテターゼ(GlnRS)及びグルタミン酸tRNAシンテターゼ(GluRS)も同様の手法で精製を行った。His−Tagが付された因子の12%SDS−PAGEによる分離(クマシーブリリアントブルーで染色)を図2に示す。デンシトメーターで純度を算出したところ、いずれの因子も、純度は90%以上であった。なお、図2に示していない表1のその他の因子・酵素も、SDS−PAGEによる分離し、デンシトメーターで純度を算出する同様な方法で調べたこところ、いずれも純度は90%以上であった。
翻訳実験(一般的方法)
タンパク質合成反応基本試薬50μlあたりの組成は以下のとおりである。2mM ATP、2mM GTP、1mM CTP,1mM UTP,10mMクレアチンリン酸(creatine phosphate)、2.8 A 260unit tRNA mix、0.5μgFD、0.1mM各アミノ酸、9mM酢酸マグネシウム、pH7.3の5mMリン酸カリウム、95mMグルタミン酸カリウム、5mM塩化アンモニウム、0.5mM塩化カルシウム、1mMスペルミジン(spermidine)、8mMプトレッシン(putrescine),12pmolリボソーム、1μg IF1、2μg IF2、0.75μg IF3、1μg EF−G、2μg EF−Tu、1μg EF−Ts、0.5μg RF1、0.5μg RF3、0.5μg RRF、30−300units各ARS及びMTF、0.2μgクレアチンキナーゼ(CK;creatine kinase)、0.15μgミオキナーゼ(MK;myokinase)、0.054μgヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDK;nucleoside diphosphate kinase),1.78units PPiase及び0.5μg T7 RNAポリメラーゼ。このタンパク質合成反応基本試薬に、1pmolの鋳型DNAを加え、37℃で1時間反応を行った。
なお、反応後、リボソームを除去する必要がある時は、100kDa以下の物質を通す限外ろ過膜に通し、リボソームを除去した。
なお、上記組成のうち、リボソーム及び表1記載のものは、実施例1及び実施例4で調製され、純度が測定された。その他の成分は市販の精製試薬を使用した。
また、本組成を以下の実施例6から12において利用する場合も、表1に記載のもの、リボソーム、DsbA及びDsbCは、実施例1,4及び13で調製され純度が測定された。それ以外の成分は市販の精製試薬を利用した。
ヒトリゾチームの合成
リゾチームは本来分子内に4本のジスルフィド結合を持つタンパク質であり、4つのうち2つ以上のジスルフィド結合が架橋しなければ活性を示さないことが報告されており(J Biol Chem 251:3147−3153(1976) )、古くから構造と活性の相関を調べるためのモデルタンパク質として広く使用されている。ここでは、本発明による方法及び従来法でヒトリゾチームを合成しタンパク質の合成量と比活性を調べた。
ヒトリゾチームのcDNAクローン(human gene collection,Stratagene社)より、次の2つのプライマーを用いPCR法により約0.42kbpの成熟型ヒトリゾチームに相当する遺伝子を増幅した。
フォワードプライマーの配列は次の通り:AAGGAGATATACCAATGAAGGTCTTTGAAAGGTGTG。
リバースプライマーの配列は次の通り:GGATTAGTTATTCATTACACTCCACAACCTTGAACAT。
次にGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACCAの配列を持つフォワードプライマー及び上記リバースプライマーを用い、PCR法により、T7プロモーター領域を含む約0.51kbpの鋳型DNAを増幅した。鋳型DNAの配列を配列表、配列番号4に示した。
実施例5に記載したタンパク質合成反応基本試薬(本発明による方法)及びその反応試薬に1mM DTTを添加した反応液50μl(従来法)に、作成した鋳型DNA1pmolをそれぞれ添加し、タンパク質合成反応を行った。
合成されたタンパク質はSDS−PAGEで分離し、SYPRO Orange(アマシャムファルマシア社製)で染色した。分子量17000のヒトリゾチームのバンドを、既知濃度のBSAと比較し、合成されたヒトリゾチームの濃度を求めた。ヒトリゾチームの活性は、Micrococcus luteus ATCC 4698株の凍結乾燥菌末(SIGMA社製)を用い、450nmの吸光度を1分当たり0.001低下させる量を1unitとして測定した(Imoto T.,Johnson L.N.,North A.T.C.,Phillips D.C.,Rupley J.A.,The Enzymes,3rd ed.,7,665−868(1972))。図3に合成されたタンパク質の電気泳動写真を、図4に比活性をそれぞれ示した。図3及び図4から明らかなように、従来法では電気泳動で合成されたタンパク質は確認できるものの活性は全く認められないが、本発明による方法では約300units/mgの比活性が認められ、本発明による方法でジスルフィド結合を本来有するタンパク質が正しくフォールディングされることが分かった。なお、ジスルフィド結合を持つほかのタンパク質についても調べたところ、ほぼ同様な結果が得られた。
マウスインターロイキン6(mIL6)の合成
マウスcDNAラブラリーを用い実施例6と同様の方法でmIL6を作成した。また、大腸菌ゲノムDNAを用い実施例6と同様の方法で大腸菌ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の鋳型DNAを作成した。実施例5のタンパク質合成反応基本試薬に1mMのDTTを添加した反応溶液(従来法)、実施例5のタンパク質合成反応基本試薬、実施例5の基本試薬に最終濃度2,4,8mMのGSSGをそれぞれ添加した計5種類の反応溶液を用意し、そのそれぞれに1pmolの鋳型DNAを添加し、それぞれのタンパク質を合成した。DHFRを合成した場合は、合成後に限外ろ過膜を通過した溶液を、mIL6を合成した場合は合成反応液をそれぞれSDS−PAGEに供し、SYPRO Redによりタンパク質を蛍光染色した。染色パターンをフルオロイメージャーで解析し、mIL6とDHFRの染色濃度より、溶液中のタンパク質の量を計算した。図5に求めたmIL6のタンパク質の量を、図6にDHFRのタンパク質の量をそれぞれ示した。図5及び図6から明らかなように、分子内にジスルフィド結合を持たないDHFRを合成した場合は従来法による生産量が最も多く、本発明による方法ではタンパク質合成量が低下しているが、逆に分子内にジスルフィド結合を持つmIL6を合成した場合には、従来法よりも、本発明による方法が生産されたタンパク質の量が多いことが判明した。なお、mIL6の鋳型DNAに代えて、他のジスルフィド結合を持つタンパク質の鋳型DNAを用いて同じ実験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)の影響
実施例5のタンパク質合成反応基本試薬に2mMのGSSGを添加した反応溶液を用意した。この反応溶液を4本用意した。この反応溶液に更にウシ由来PDI(タカラバイオ社製)を最終濃度0μM,0.0325μM,0.13μM,0.52μMとなるようにそれぞれ添加した。これらの反応溶液それぞれ50μlにヒトリゾチームの鋳型DNAを1pmol添加しタンパク質を合成した。実施例6と同様の方法でリゾチームの比活性を求めた。図7には反応系に添加したPDIの濃度と合成されたヒトリゾチームの比活性の関係を示した。この図から明らかなように、PDIを0.0325μM以上添加することで、ジスルフィド結合を持つタンパク質の比活性がより高くなることが分かった。また、本発明の方法を使って、PDIの活性が測定できることが分かった。なお、ウシのPDIに代えて他種のPDI及びジスルフィドインターチェインジタンパク質類を使った場合も、ほぼ同様な結果が得られた。
ジチオスレイトール(DTT)濃度の影響
実施例5のタンパク質合成反応基本試薬に0.13μMのPDIを添加した反応溶液を6本作成した。この反応溶液に更に最終濃度1000μM,500μM,250μM,125μM,62.5μM,0μMのDTTをそれぞれ添加した。これらの反応溶液それぞれ50μlにヒトリゾチームの鋳型DNAを1pmol添加しタンパク質を合成した。2実施例6と同様の方法でリゾチームの活性を求めた。図8に結果を示した。この図から明らかなように、DTTの濃度が125μM以下であれば、リゾチームが強い活性を示すことが明らかとなった。
アルカリフォスファターゼの合成
アルカリフォスファターゼは分子内に2つのジスルフィド結合を持つタンパク質で、ジスルフィド結合の形成とその酵素活性との関係について古くから良く調べられているモデルタンパク質である。ここではアルカリフォスファターゼを合成した。
大腸菌ゲノムDNA及び大腸菌アルカリフォスファターゼに特異的なPCRプライマーを用いて、実施例6と同様の方法で大腸菌アルカリフォスファターゼの鋳型DNAを作成した。実施例5のタンパク質反応基本試薬に1mM DTT及び0.13μM PDIを添加した反応溶液を5本用意し、0,1,2,3,4mMのGSSGをそれぞれ添加した。
この反応溶液それぞれ50μlにアルカリフォスファターゼ遺伝子の鋳型DNAを1pmol添加しタンパク質を合成した。合成されたタンパク質濃度は実施例5と同様の方法により求めた。合成されたアルカリフォスファターゼはp−nitrophenyl phosphate disodium saltを基質として用い、405nmの吸光度を測定することで活性を測定した(Biochim Biophys Acta.258:178−87(1972)。図9にアルカリフォスファターゼの相対活性を示した。図9から明らかなように、アルカリフォスファターゼは従来法、すなわち1mM DTT及び0.13μM PDIを添加したタンパク質反応基本試薬では全く活性を示さないのに対し、本発明による方法,すなわちGSSGを1mMまたは2mM添加した反応溶液では活性が認められた。DTTが系に1mM存在していても、アルカリフォスファターゼが活性を示し、合成されたタンパク質が正しくフォールディングしていることが明らかとなった。また、実施例5の反応液に1000μM,500μM,250μM,125μM,0μMのDTTを添加した反応液をそれぞれ作成した。上記と同様に鋳型DNAを添加し、タンパク質を合成後、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。その結果を図10に示した。PDI非存在下で、DTTのみ濃度を変化させたところ、500μM以下でアルカリフォスファターゼが活性を示すことが明らかとなった。
DsbCの影響
大腸菌のDsbCをPCRにより増幅し、5′端にBamHI、3′端にHindIIIが認識する配列を持ったDNA断片を得た点を除き、実施例2と同様の方法にてdsbCを高発現させるベクターを構築し、得られたベクターでE.coli BL21/pREP4を形質転換した。実施例4と同様な方法で、精製したDsbCを得た。タンパク質の純度は90%以上であった。実施例5のタンパク質合成基本試薬に1mM DTT及び2mMGSSGを添加した反応溶液50μlを3本作成した。これら反応溶液にそれぞれ0,0,0.5μMのDsbC及び0,1,1pmolの実施例6のヒトリゾチーム遺伝子の鋳型DNAをそれぞれ添加した。実施例6と同様の方法で合成されたタンパク質の量とリゾチームの活性を測定した。図11に比活性を示した。図11から明らかなように、DsbCを添加することで、リゾチームの比活性は大幅に上昇するが明らかとなった。なお、DsbCに代えて、他のジスルフィドインターチェインジタンパク質を用いた場合、及び複数種類のジスルフィドインターチェインジタンパク質を同時に用いた場合もほぼ同様な結果が得られた。
本発明のタンパク質合成基本試薬と従来の細胞抽出液との比較
大腸菌の細胞抽出液を使うin vitroタンパク質合成系(Rapid Translation System 100;ロッシュ社製)を用いて、GSSGを最終濃度0,1,2,3mMになるように添加した点を除き、製品の説明書に従い、大腸菌のアルカリフォスファターゼを合成した。また、実施例10と同様に、本発明の方法で大腸菌のアルカリフォスファターゼを合成した。合成したアルカリフォスファターゼの比活性を図12に示した。図12から明らかなように、大腸菌の細胞中抽出液を使うシステムでは、アルカリフォスファターゼの活性はGSSGをさまざまな濃度で添加しても全く認められないのに対し、本発明の合成方法では高い活性が認められた。
EF−Tu、並びにDsbA及びDsbCの純度の確認
EF−TuにHisタグをつけたタンパク質が発現している細胞を氷中で超音波処理し、ローディングバッファー(300mM NaCl,50mM NaH2PO4,pH8.0)に懸濁させ、細胞の溶解物を遠心分離した(30,000g、4℃で30分間)。上記で得られた上清に、氷で冷やしたローディングバッファーの中で平衡化した50%のNi2+−NTA slurry(Qiagen社製)を加えた。4℃で1時間撹拌した。樹脂をカラムにロードし、カラム容量の20倍のローディングバッファーで、4℃でカラムの洗浄を行った。カラム容量の20倍のローディングバッファー(10mM imidazole,pH8.0を含む)で、4℃でカラムの洗浄を行った。カラム容量の20倍のローディングバッファーを用いて、imidazoleの濃度勾配を10から250mMになるように設定し、カラムから目的タンパク質の溶出を行わせ、1mlずつフラクションを集めった。SDS−PAGEで目的タンパク質を確認した。各レーンの泳動パターンをデンシトメーターで読み取って純度を算出した。図13にEF−Tuの溶出画分の電気泳動写真を示した。レーンの泳動パターンをデンシトメーターで読み取り、純度90%以上のEF−Tu画分を集めた。
また、図14には、精製したDsbA(レーン1)及びDsbC(レーン2)の電気泳動写真を示した。いずれの酵素も、純度は90%以上であった。
[タンパク質合成方法]
本発明による方法では、従来反応液から除去したほうが良いとされていたDTTを数μMから更に1mM迄添加しても良く、またDTTを全く添加しないことも可能である。
更に、従来のDTTを除去した無細胞タンパク質合成系を用いる方法ではタンパク質にジスルフィド結合を形成させることができても、該条件下ではタンパク質自体の合成量は低下し目的とする活性を持ったタンパク質の合成効率は悪くなると一般的に考えられていたが、本発明の様に、再構成タンパク質合成系を用いるとタンパク質の合成量は変わらないか、むしろ増加する場合があり、より効率的にタンパク質を合成することが可能であった。
[酵素測定法]
本発明による活性測定法では、基質はタンパク質合成反応によりジスルフィド結合を持たない一本鎖のポリペプチドとして合成されるため還元し変性させるステップが必要なく、合成と同時又は合成後に活性を測定する酵素を添加しフォールディングされたタンパク質の活性や構造を指標とする。そのため必要なステップと時間が従来法に比べて大幅に少ないという特徴がある。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (37)

  1. 下記a)及びb)並びにc)及び/又はd)からなる反応系を用いた、分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法。
    a) 目的とするタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸、
    b) 存在量および純度がそれぞれ特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数のジスルフィド結合の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数のジスルフィド結合の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  2. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水を含むことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質合成方法。
  3. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNA トランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水を含むことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質合成方法。
  4. 酸化還元酵素がタンパク質のジスルフィド結合の促進及び/又はジスルフィド結合の異性化を触媒する酵素であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質合成方法。
  5. 酸化還元酵素がプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)類またはジスルフィドインターチェインジタンパク質類からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質合成方法。
  6. プロテインジスルフィドイソメラーゼの濃度が0μM〜10μMであることを特徴とする請求項5記載のタンパク質合成方法。
  7. ジスルフィドインターチェインジタンパク質の濃度が0μM〜10μMであることを特徴とする請求項5または6記載のタンパク質合成方法。
  8. 酸化還元試薬がジチオスレイトールまたは酸化型グルタチオンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタンパク質合成方法。
  9. 酸化型グルタチオン濃度が0〜8mMであることを特徴とする請求項8記載のタンパク質合成方法。
  10. ジチオスレイトールの濃度が0〜1mMである請求項8または9記載のタンパク質合成方法。
  11. 反応系に含まれるチオレドキシンレダクターゼ濃度が100ng/mlを越えないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質合成方法。
  12. 反応系に含まれるグルタチオンレダクターゼ濃度が100ng/mlを越えないことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のタンパク質合成方法。
  13. 下記a)及びb)並びにc)及び/又はd)からなる反応系において、酸化還元酵素試薬濃度および酸化還元試薬濃度を変化させて、分子内または分子間に少なくとも1個のジスルフィド結合による架橋形成が可能でその架橋形成様式により活性が支配される1または複数のペプチド鎖からなるタンパク質を合成し、該タンパク質の活性を測定することにより、該タンパク質の活性、酸化還元酵素試薬濃度および酸化還元試薬濃度の3者の相関を測定する試験方法。
    a) 目的のタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸、
    b) 存在量および純度がそれぞれ特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  14. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項13に記載の試験方法。
  15. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項13に記載の試験方法。
  16. 酸化還元酵素がタンパク質のジスルフィド結合の促進及び/又はジスルフィド結合の異性化を触媒する酵素であることを特徴とする請求項13〜15に記載の試験方法。
  17. 酸化還元酵素がプロテインジスルフィドイソメラーゼ類またはジスルフィドインターチェインジタンパク質類からなることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の試験方法。
  18. 酸化還元酵素が濃度0μM〜10μMのプロテインジスルフィドイソメラーゼ類であることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の試験方法。
  19. 酸化還元酵素が濃度0μM〜10μMのジスルフィドインターチェインジタンパク質であることを特徴とする請求項13〜18記載の試験方法。
  20. 酸化還元試薬がジチオスレイトールまたは酸化型グルタチオンであることを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の試験方法。
  21. 酸化型グルタチオン濃度が0〜8mMであることを特徴とする請求項20に記載の試験方法。
  22. 反応系に含まれるチオレドキシンレダクターゼ濃度が100ng/mlを越えないことを特徴とする請求項13〜21のいずれか1項に記載の試験方法。
  23. 反応系に含まれるグルタチオンレダクターゼ濃度が100ng/mlを越えないことを特徴とする請求項13〜21のいずれか1項に記載の試験方法。
  24. 下記a)、b)及びc)からなるタンパク質のジスルフィド結合の促進及び/又はジスルフィド結合の異性化を触媒する酵素の活性測定法。
    a) 1または複数の鋳型核酸
    b) 化合物、存在量および純度が特定されている複数の化合物群からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬
    c) 化合物、存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する試薬を含む、酸化還元試薬。
  25. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項24に記載の活性測定法。
  26. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項24に記載の活性測定法。
  27. 下記a)及びb)からなる基本タンパク合成反応系に対して、c)酸化還元を触媒する酵素の濃度および/又はd)酸化還元状態を調節する試薬の濃度を変化するように添加し、分子内または分子間に少なくとも1個のジスルフィド結合による架橋形成が可能でその架橋形成様式により活性が支配される1または複数のタンパク質を合成し、該タンパク質の活性を測定することにより、該タンパク質の活性、酸化還元を触媒する酵素の濃度及び酸化還元状態を調節する試薬の濃度の3者の相関を測定することにより、目的のタンパク質の活性が予め決められた活性を越えるc)及び又はd)の濃度を決定する方法。
    a) 目的とする1又は複数のタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸、
    b) 存在量および純度が特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  28. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 次の工程を含む分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法。
    (1)a) 目的とする1又は複数のタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸及びb) 存在量および純度が特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬、
    並びに
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、及び/又は
    d) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬
    からなるタンパク合成反応系において、c)酸化還元を触媒する酵素の濃度および/又はd)酸化還元状態を調節する試薬の濃度を変化させた複数の合成条件下で、分子内または分子間に少なくとも1個のジスルフィド結合による架橋形成が可能でその架橋形成様式により活性が支配される1または複数のポリペプチドからなるタンパク質を合成し、該タンパク質の活性を測定することにより、該タンパク質の活性と、酸化還元を触媒する酵素の濃度及び酸化還元状態を調節する試薬の濃度の3者の相関を決定し、目的のタンパク質の活性と予め決められた活性より大きくなるc)及び又はd)の濃度を決定する工程、並びに
    (2)前記決定されたc)及び/又はd)濃度となるように調製した上記a)及びb)並びにc)及び/又はd)からなるタンパク質合成反応系を目的のタンパク質を合成する工程。
  30. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項29記載のタンパク質合成方法。
  31. タンパク質合成反応基本試薬が、リボソーム、開始因子類、延長因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類および水を含むことを特徴とする請求項29記載のタンパク質合成方法。
  32. 以下のa)並びにb)及び/又はc)からなるキット。
    a) 存在量および純度が特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、リボヌクレオシド3リン酸類、アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、
    b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  33. 以下のa)並びにb)及び/又はc)からなるキット。
    a) 存在量および純度が特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、リボヌクレオシド3リン酸類、アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、
    b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  34. 以下のa)並びにb)及び/又はc)からなるキット。
    a) 存在量および純度が特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、終結因子類、RNAポリメラーゼ類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、リボヌクレオシド3リン酸類、アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、
    b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  35. 以下のa)並びにb)及び/又はc)からなるキット。
    a) 存在量および純度が特定されているリボソーム、開始因子類、延長因子類、RNAポリメラーゼ類、アミノアシルtRNAシンターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、tRNA類、リボヌクレオシド3リン酸類、アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類、および水からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じるタンパク質合成反応基本試薬、
    b) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元を触媒する酸化還元酵素、
    c) 存在量および純度が特定されている一つまたは複数の酸化還元状態を調節する酸化還元試薬。
  36. コントロール用にコントロールタンパク質をコードする鋳型核酸を含む請求項32〜35いずれか1項に記載のキット。
  37. 下記a)及びb)からなる反応系を用いた、分子間又は分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質合成方法。
    a) 目的とするタンパク質をコードする1または複数の鋳型核酸、
    b) 存在量および純度がそれぞれ特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる、タンパク質合成反応基本試薬。
JP2006512879A 2004-04-30 2005-04-28 ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法 Active JP4945239B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006512879A JP4945239B2 (ja) 2004-04-30 2005-04-28 ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004136520 2004-04-30
JP2004136520 2004-04-30
PCT/JP2005/008571 WO2005105994A1 (ja) 2004-04-30 2005-04-28 ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法
JP2006512879A JP4945239B2 (ja) 2004-04-30 2005-04-28 ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2005105994A1 true JPWO2005105994A1 (ja) 2008-03-13
JP4945239B2 JP4945239B2 (ja) 2012-06-06

Family

ID=35241674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006512879A Active JP4945239B2 (ja) 2004-04-30 2005-04-28 ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US8603775B2 (ja)
EP (1) EP1757688A4 (ja)
JP (1) JP4945239B2 (ja)
KR (1) KR20070015216A (ja)
CN (1) CN1997739A (ja)
CA (1) CA2564831C (ja)
WO (1) WO2005105994A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4564926B2 (ja) 2005-01-25 2010-10-20 エワ ユニバーシティ−インダストリー コラボレーション ファウンデーション ヒスタミン分泌能を有する欠失型IgE依存的ヒスタミン放出因子、HRF結合ペプチドおよびその利用方法
DE102010056289A1 (de) 2010-12-24 2012-06-28 Geneart Ag Verfahren zur Herstellung von Leseraster-korrekten Fragment-Bibliotheken
CN111378708B (zh) * 2018-12-28 2022-07-19 康码(上海)生物科技有限公司 一种体外无细胞蛋白合成体系及其应用
CN110685020B (zh) * 2019-11-11 2020-09-04 南宁雄晋生物科技有限公司 一种用于天然彩色蚕丝脱胶固色的复合酶及其使用方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003102495A (ja) * 2000-12-28 2003-04-08 Post Genome Institute Co Ltd invitro転写/翻訳系によるペプチド等の製造方法
JP2003116590A (ja) * 2001-08-06 2003-04-22 Toyota Central Res & Dev Lab Inc タンパク質の生産方法、タンパク質のスクリーニング方法、及びタンパク質の機能検索方法
WO2003072796A1 (fr) * 2002-02-28 2003-09-04 Yaeta Endo Solution de reaction pour la synthese de proteines sans cellule, procede de preparation de cette solution et procede de synthese de cette proteine utilisant cette solution

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6548276B2 (en) 2000-09-06 2003-04-15 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Enhanced in vitro synthesis of active proteins containing disulfide bonds
US20030113835A1 (en) 2001-08-06 2003-06-19 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Methods for protein synthesis, protein screening and retrieval of protein function

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003102495A (ja) * 2000-12-28 2003-04-08 Post Genome Institute Co Ltd invitro転写/翻訳系によるペプチド等の製造方法
JP2003116590A (ja) * 2001-08-06 2003-04-22 Toyota Central Res & Dev Lab Inc タンパク質の生産方法、タンパク質のスクリーニング方法、及びタンパク質の機能検索方法
WO2003072796A1 (fr) * 2002-02-28 2003-09-04 Yaeta Endo Solution de reaction pour la synthese de proteines sans cellule, procede de preparation de cette solution et procede de synthese de cette proteine utilisant cette solution

Also Published As

Publication number Publication date
US20090162884A1 (en) 2009-06-25
WO2005105994A1 (ja) 2005-11-10
CA2564831C (en) 2014-02-25
CA2564831A1 (en) 2005-11-10
CN1997739A (zh) 2007-07-11
JP4945239B2 (ja) 2012-06-06
KR20070015216A (ko) 2007-02-01
EP1757688A4 (en) 2009-07-08
EP1757688A1 (en) 2007-02-28
US8603775B2 (en) 2013-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10774354B2 (en) Expression of biologically active proteins in a bacterial cell-free synthesis system using bacterial cells transformed to exhibit elevated levels of chaperone expression
JP4889185B2 (ja) ジスルフィド結合を含む活性タンパク質の向上したインビトロ合成方法
CA2400735C (en) Process for producing peptides by using in vitro transcription/translation system
US7871794B2 (en) Enhanced cell-free synthesis of active proteins containing disulfide bonds
JP4945239B2 (ja) ジスルフィド架橋形成型インビトロタンパク質合成方法
EP1412504A2 (en) Methods of rna and protein synthesis
Nag et al. Strategies to improve the expression and solubility of recombinant proteins in E. coli
JP2011188776A (ja) invitro再構成タンパク質合成系による膜タンパク質合成方法
JP2006340694A (ja) 分子シャペロンを用いたinvitro転写・翻訳系によるタンパク質合成方法
JP2006180701A (ja) チロシルtRNA合成酵素の変異体及びその作製方法
US20220275028A1 (en) Systems, Methods And Compositions For Recombinant In Vitro Transcription And Translation Utilizing Thermophilic Proteins
KAPLAN et al. High-Level Production of MMLV Reverse Transcriptase Enzyme in Escherichia coli
WO2021015095A1 (ja) タンパク質の製造方法及び無細胞タンパク質合成系キット
US20040248238A1 (en) Method for increasing the solubility, expression rate and the acitivity of proteins during recombinant production
JP2023060701A (ja) タンパク質の製造方法
Tienson Mechanistic analysis of the redox dependent import of proteins into the mitochondrial intermembrane space

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080423

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091118

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110104

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110131

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110506

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110705

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111122

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111209

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20111222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4945239

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250