JPWO2005104853A1 - 植物病害の発生を抑制する微生物農薬 - Google Patents

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Abstract

植物病原菌に対して生育抑制を奏する糸状菌バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)を含有する微生物農薬を果実・野菜等の植物に散布することにより、植物病害の防除を行うことができる微生物農薬や、糸状菌バーティシリウム・レカニを含有する土壌病害抑制用微生物農薬を土壌に適用して土壌改良効果を奏する土壌改良剤を提供するものである。糸状菌バーティシリウム・レカニ、好ましくは植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株を微生物農薬として植物に適用することにより、植物につく害虫のみならず、植物病原菌に対し、その生育を顕著に抑制することができ、さらに、土壌に施与することにより植物根茎及びその根圏にいる病原菌の生育抑制を奏し、移植後の土壌においても病原菌の発生がなく、土壌を改良することができる。

Description

本発明は、植物病害の発生を抑制する微生物農薬、詳しくは、昆虫寄生糸状菌バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)を含有する微生物農薬や、かかる微生物農薬を果実・野菜等の植物に散布し、あるいは植物の栽培土壌に施与することにより、植物病害菌の生育抑制及び土壌改良効果を奏する微生物農薬に関する。
野菜、果実、稲・麦、果樹など植物の有害生物の防除、或いは、植物の根茎に取り付く土壌有害生物には、化学物質を用いた防除の開発が進展し、現在、化学殺虫剤、殺菌剤による防除がその主流を占めている。しかしながら、化学物質を用いた農薬は、その効果が優れている反面、人畜に対して毒性を有しているものや、自然環境に残留して、他の生態系に影響を及ぼすものがあり、更には、長期間の使用によって抵抗性を持った病害虫が出現するものや、本来天然に存在した天敵まで殺して逆に有害生物の発生する環境を創出してしまうものがあるなど、いくつかの問題点を抱えている。このような状況の中で、微生物農薬がその問題を解決する一手段として期待されている。
微生物農薬としての利用が可能とされる微生物としては、植物が本来保持している抵抗性を賦活化して病害を防除する非病原性フザリウム(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)、病原菌に抗生作用を示すトリコデルマ(例えば、非特許文献2参照)が報告されている。また、シュードモナス属細菌を用いて植物病害を防除する方法、例えば、ナス科植物の青枯病(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、イネ苗立枯病(例えば、特許文献5参照)、ポトリチス属およびペニシリウム属の植物病原菌に起因する植物病害(例えば、特許文献6参照)、グラム陽性細菌起因の植物病害(例えば、特許文献7参照)、フザリウム属菌に起因する植物病害(例えば、特許文献8参照)に対する防除方法が知られている。さらに、シュードモナス属細菌により防除することができる菌株として、植物病原糸状菌に対して抗菌性を有するシュードモナス・エスピー CGF7菌株(例えば、特許文献9参照)、シュードモナス・エスピー CGF878菌株を有効成分とする微生物農薬(例えば、特許文献10参照)、シュードモナス属フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌を植物(例えば、レタス)に処理する、シュードモナス・チコリ(Pseudomonas cichorii)を病原菌とする腐敗病の防除方法(例えば、特許文献11参照)、シュードモナス属アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)細菌をナス科植物に接種することを含んでなるナス科植物の栽培方法(例えば、特許文献12参照)が知られている。
また、イネ科植物に対して、特にその育苗中に発生する細菌性病害に拮抗作用を有する細菌としてシュードモナス属、バチラス属、エンテロバクター属のいずれかに属する細菌を拮抗菌とする微生物農薬(例えば、特許文献13参照)が知られている。さらに、コニオスリウム(Coniothyrium)属菌及びスポリデスミウム(Sporidesmium)属菌は菌核病に効果を示し、ペニシリウム属菌はバーティシリウム病に防除効果を有する(例えば、非特許文献3参照)ことが報告されている。トリコデルマ属菌株によるタバコ白絹病の防除、トリコデルマ属菌株およびグリオクラディウム属菌株を立枯病及び斑点病の防除に使用した報告(例えば、非特許文献4参照)がされている。アグロバクテリウム・ラジオバクター剤(バクテローズ)は、根頭がんしゅ病菌に対する拮抗微生物アグロバクテリウム・ラジオバクター84株の培養生菌よりなる殺菌剤であり、キク、バラの苗の根部に施与し効果を奏することが、また、野生の軟腐病菌を変異処理した非病原性エルビニア・カラトボーラ剤(バイオキーパー)は白菜軟腐病の病除に効果を示す微生物農薬であり、既に登録されいる。同じく登録されているバチルスズブチリス剤(ボトキラー)は、植物の灰色かび病菌に対して予防効果を示すことが知られている(例えば、非特許文献5参照)。
土壌病害に関し、野菜の土壌病原菌に対し、従来はクロールピクリン(臭化メチル)等を用いて土壌消毒をしたり、トリコデルマ属に属する微生物を土壌崩壊性を有する材料で製造した容器に収容して、土壌病害の防除剤とすること(例えば、特許文献14参照)や植物を栽培するに際し、前記植物及び/又は栽培土壌にグリオクラディウム属に属する真菌及びVA菌根菌を施用し、グリオクラディウム属に属する真菌を植物の根圏に定着させ及びVA菌根菌を植物と共生させることにより植物の土壌病害を防除する方法(例えば、特許文献15参照)が知られている。
他方、昆虫病原性糸状菌を用いて、植物害虫の駆除を行う植物害虫駆除剤(微生物農薬)が既に登録され、上市されている。その一つがバーティシリウム・レカニを用いた微生物農薬で、「バータレック」や「マイコタール」のような商標名で販売されている。糸状菌のバーティシリウム・レカニは、最初、カイガラムシの寄生菌として見い出されたものであり、その後、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類等のさまざまな昆虫、ダニ類から分離されている。また、シストセンチュウ、ネコブセンチュウ、植物病原菌のさび病菌、うどんこ病菌などに対しても寄生したり、拮抗作用を示すことが知られている(例えば、非特許文献6参照)。バーティシリウム・レカニを用いた微生物農薬は、アブラムシ類(半翅目)やコナジラミ類(半翅目)、及びアザミウマ類(総翅目)やハダニ類などに有効で、特に、さまざまな害虫で薬剤抵抗性の進展が深刻化している施設園芸での利用が期待されている。
バーティシリウム・レカニを用いた微生物農薬は、水和剤のような形で、製剤化され、これを使用する場合には、水に溶かして散布する。製剤には、バーティシリウム・レカニの胞子が含まれており、これを散布して害虫に接触させると、胞子が発芽して害虫に寄生し、その後菌糸が害虫の体内で生長、充満して、害虫を死に至らしめる。従来のバーティシリウム・レカニの菌株は、葉面等の植物体表面での定着能力が小さいために、微生物薬剤が直接害虫の体表に接触しないと、その寄生能力を消失してしまうため、したがって、該微生物薬剤の散布に当たっては、散布液が直接害虫の体表にかかるように、丁寧に散布する必要があった。また、発生する害虫に直接散布する必要があることから、害虫の発生時機に合わせ、更には害虫の発生場所に合わせ、何回もの微生物薬剤の散布が必要であった。そこで、本発明者らは、葉面等の植物体表面での定着能力をもつ糸状菌バーティシリウム・レカニの菌株について鋭意探索した結果、自然界より、植物の葉面等で高い定着能力を持ち、かつ害虫に対する病原性の能力においては、従来のバーティシリウム・レカニの菌株と遜色の無い菌株を分離することに成功した。すなわち、新たに分離したバーティシリウム・レカニ A−2株(MAFF238426)、バーティシリウム・レカニ B−2株(MAFF238429)、及びバーティシリウム・レカニ C−1株(MAFF238430)のような植物体表面定着能力を有するバーティシリウム・レカニの菌株を、害虫寄生菌として含有させた微生物農薬とすることを提案している(例えば、特許文献16参照)。
特公平7−096485号公報 特開平6−9325号公報 特開平6−86668号公報 特公平6−17291号公報 特開平4−104783号公報 特開平4−77405号公報 特開平5−310521号公報 特公平6−6523号公報 特開平09−255513号公報 特開平11−187866号公報 特開2001−247423号公報 特開2002−233246号公報 再表99/016859 特開平06−024925号公報 特開平08−225419号公報 特開2003−335612号公報 ベイカー、ハンキー、ドッテラー:ファイトパソロジー(Baker, Hanchey, Dottara;Phytopathology)1978年 農林水産省登録第7023号 バイオ農薬・生育調節剤開発利用マニュアル、LIC Plant Pathology、38、227、1989 「農薬ハンドブック 2001年版」、p.352−353、社団法人日本植物防疫協会 平成13年11月1日 第11版発行 「今月の農業」2001、9月号、P72−77
本発明の課題は、植物病原菌に対して生育抑制を奏する糸状菌バーティシリウム・レカニを含有する微生物農薬を果実・野菜等の植物に散布することにより、植物病害の防除を行うことができる微生物農薬や、糸状菌バーティシリウム・レカニを含有する土壌病害抑制用微生物農薬を、従来の土壌消毒剤である化学薬剤のクロールピクリン(臭化メチル)等に代えて、土壌に適用して土壌改良効果を奏する土壌改良剤を提供することにある。
前記のように、本発明者らは、先に植物体表面定着能力を有する糸状菌バーティシリウム・レカニを微生物農薬として、植物に散布することにより、病害虫に対する高い抑制効果を奏することを報告したが、更に該糸状菌のもつ有用性を利用すべく鋭意研究したところ、植物につく害虫のみならず、植物病原菌に対し、その生育を顕著に抑制する作用を有することを見い出した。さらに、糸状菌バーティシリウム・レカニを土壌に施与することにより植物根茎につく病原菌の生育抑制効果を奏し、移植後の土壌においても病原菌の発生がなく、土壌を改良することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)植物病原菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)の菌株を有効成分として含有することを特徴とする微生物農薬や、(2)バーティシリウム・レカニの菌株が、植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株であることを特徴とする前記(1)記載の微生物農薬や、(3)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)であることを特徴とする前記(2)記載の微生物農薬や、(4)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニB−2株(MAFF238429)であることを特徴とする前記(2)記載の微生物農薬や、(5)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)であることを特徴とする前記(2)記載の微生物農薬や、(6)植物病原菌が、野菜・果実のうどんこ病菌、灰色かび病菌、つる割れ病菌、又は半身萎凋病菌であることを特徴とする前記(1)〜(5)記載の微生物農薬や、(7)イチゴ灰色かび病菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニB−2株(MAFF238429)を有効成分として含有することを特徴とする前記(4)又は(6)記載の微生物農薬や、(8)前記(1)〜(7)記載の微生物農薬を植物の葉面に散布することを特徴とする植物の病害抑制方法に関する。
また本発明は、(9)土壌病害菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)の菌株を有効成分として含有することを特徴とする土壌病害抑制用微生物農薬や、(10)バーティシリウム・レカニの菌株が、植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株であることを特徴とする前記(9)記載の微生物農薬や、(11)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)であることを特徴とする前記(10)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(12)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニ B−2株(MAFF238429)であることを特徴とする前記(10)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(13)植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)であることを特徴とする前記(10)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(14)土壌病害菌が、つる割れ病菌又は半身萎凋病菌であることを特徴とする前記(9)〜(13)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(15)メロンつる割れ病菌に起因する土壌病害を抑制するバーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)を有効成分として含有することを特徴とする前記(11)又は(14)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(16)トマト半身萎凋病菌に起因する土壌病害を抑制するバーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)を有効成分として含有することを特徴とする前記(13)又は(14)記載の土壌病害抑制用微生物農薬や、(17)前記(9)〜(16)記載の土壌病害抑制用微生物農薬を植物の根近傍に施与することを特徴とする土壌病害の抑制方法に関する。
さらに本発明は、(18)前記(9)〜(16)記載の土壌病害抑制用微生物農薬を主成分として含有することを特徴とする土壌改良剤や、(19)前記(18)記載の土壌改良剤を土壌に施用することを特徴とする土壌改良方法に関する。
バーティシリウム・レカニ4菌株とイチゴ灰色かび病菌との二相培養による阻止アッセイの結果を示す図である。 実験室におけるバーティシリウム・レカニ菌撒布後のイチゴ灰色かび侵食部分の程度を示す図である。 圃場におけるバーティシリウム・レカニ菌接種後のイチゴ灰色かび病発病率の結果を示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのイチゴ灰色かび病菌感染土壌における定着性をcfu数で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのメロン根表面定着性をcfu数で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのメロン根圏内定着性をcfu数で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのメロンつる割れ病の発病抑制作用を症状重症度指数(DSI)で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのメロンつる割れ病の発病抑制作用を生植物体重量で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのトマト半身萎凋病菌感染土壌における定着性をcfu数で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのトマト根表面定着性をcfu数で示す図である。 本発明のバーティシリウム・レカニのトマト根圏内定着性をcfu数で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのトマト半身萎凋病の発病抑制作用を外観病徴指数で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのトマト半身萎凋病の発病抑制作用を内部病徴度で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのトマト半身萎凋病の発病抑制作用を植物体生重量で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのトマト半身萎凋病の発病抑制作用を植物体乾燥重量で示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのキュウリうどんこ病の発病抑制作用をうどんこ病菌接種後の2〜4週間後の病徴の推移を病徴指数として示す図である。 本発明のパーティシリウム・レカニのキュウリうどんこ病の発病抑制作用について、対照区とバーティシリウム・レカニ B−2株(50ml処理区)における、3週間後の第3葉の羅病状況を示す写真である。
本発明の微生物農薬としては、植物病原菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニの菌株を有効成分として含有する微生物農薬であれば特に制限されず、本発明の植物の病害抑制方法としては、かかる本発明の微生物農薬を植物の葉面に散布する方法であれば特に制限されず、また、本発明の土壌病害抑制用微生物農薬としては、土壌病害菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニの菌株を有効成分として含有する微生物農薬特に制限されず、本発明の土壌病害の抑制方法としては、かかる本発明の土壌病害抑制用微生物農薬を植物の根近傍に施与する方法であれば特に制限されるものでなく、上記植物病原菌としては、キュウリうどんこ病菌、メロンうどんこ病菌等の野菜・果実のうどんこ病菌、イチゴ灰色かび病菌等の野菜・果実の灰色かび病菌の他、黒星病菌、立枯病菌、菌核病菌、白絹病菌などを挙げることができ、また、上記土壌病害菌としては、メロンつる割れ病菌等の野菜・果実のつる割れ病菌、トマト半身萎凋病菌等の野菜・果実の半身萎凋病菌の他、軟腐病、腐敗病、青枯病、根こぶ病、疾病、苗立枯病、紫紋羽病、白紋羽病、萎凋病、根頭かんしゅ病、そうか病などを挙げることができる。
上記バーティシリウム・レカニの菌株としては、A−1株、A−2株(MAFF238426)、B−1株、B−2株(MAFF238429)、C−1株(MAFF238430)、C−2株、ATCC22611株、ATCC22612株、ATCC58907株、ATCC58908株、ATCC58909株、MAFF235690株、MAFF235693株、MAFF235694株、MAFF235696株、MAFF235699株、MAFF235701株等を挙げることができる。これらのバーティシリウム・レカニの菌株の中でも、A−1株、A−2株(MAFF238426)、B−1株)、B−2株(MAFF238429)、C−1株(MAFF238430)、C−2株等の植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株であることが好ましい。ここで、「植物体表面での定着能力」とは、菌株を植物体表面に散布した場合に、菌株が植物体表面に所定期間定着する能力をいい、「植物体根表面及び/又は根圏内定着能力」とは、菌株を植物体の根の近傍に施与した場合に、菌株が植物体根表面や根圏内に所定期間定着する能力をいう。これらのバーティシリウム・レカニの菌株は、独立行政法人 農業生物資源研究所の農業生物資源ジーンバンクやアメリカンタイプカルチャーコレクションから入手することができる。
上記バーティシリウム・レカニの菌株の中でも、B−2株(MAFF238429)はイチゴ灰色かび病菌に対して有用である。イチゴ灰色かび病は、病原菌 ボトリティス・シネレー(Botrytis cinerea)により引き起こされるイチゴの重要病害である。これまで化学農薬で防除してきたが、その影響で続々と薬害耐性菌が出現し、現在難病除病害とされている。
また、A−2株(MAFF238426)はメロンつる割れ病菌に起因する土壌病害に対して有用である。メロンつる割れ病は、温室栽培で多発する病気の一つである。この病気を引き起こすのがFOM(Fusarium oxysporum f.sp.melonis)である。この病原菌は土壌中に生息しており、例えば生存不利な環境となっても厚膜胞子を形成し、環境が好条件になるまで4〜5年間は発病する危険性が残る。この病気の予防法として化学農薬や抵抗性の品種を利用しているが、これらにはすぐに耐性を持った新しい病原菌が発現するという問題点がある。
さらに、C−1株(MAFF238430)はトマト半身萎凋病菌に起因する土壌病害に対して有用である。トマト半身萎凋病は糸状菌(Verticillium dahliae vdt-2)の土壌汚染によりはじめ下葉が部分的に萎え、葉の縁が上にそりかえる。その後、萎えた部分が黄化し、症状が葉脈に広がっていく。病状が進むと下葉の方から徐々に枯れあがる。導管の変色は見られるが、あまり顕著ではない。露地栽培、ハウス栽培を問わず発生し、つる割れ病の発生条件に比べれば、低温、多湿のときの発生が多い。現在、この病気の対策として化学農薬や抵抗性の品種を利用しているが、これらにはすぐに耐性を持った新しい病原菌が発現するという問題がある。
本発明のバーティシリウム・レカニの菌株を、微生物農薬や土壌病害抑制用微生物農薬として製剤化するには、一般の微生物農薬として製剤化するために用いられる方法を用いることができる。例えば、胞子等を含む菌体を、セライト、カオリン等の鉱物質担体、デンプン、蔗糖、ブドウ糖などの糖類、及び界面活性剤等を適宜組み合わせて粉剤化し、使用にあたってこれを水に溶かして散布する、水和剤のような形で製剤化することができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが用いられ、散布時の菌体の分散性や展着性の改善を図ることができる。
本発明の微生物農薬は、葉等の植物体表面における定着性のあるバーティシリウム・レカニの菌株を植物の病原菌防除として用いるため、植物体への散布後の定着性にすぐれ、従来の菌株を用いた場合のように、散布時期を病原菌の発生に合わせて、植物に散布しなければならないというような制約を解消することができる。従って、本発明の微生物農薬は、植物病原菌による病害が発生する前に、予め散布しておくことが可能であるため、従来のもののように厳密な散布時期の特定を回避し、また植物病害の発生の都度、散布が必要ということも無くなる。さらに、本発明の微生物農薬を植物の栽培ポットに施与すると、植物の根表面や根圏内に定着し、その後病原菌(Fusarium菌、Verticillium菌)汚染土に移植しても、土壌病害(Fusarium病、Verticillium病)の発生を抑制する。このため、従来のものに比べて、散布回数を減少することができるとともに、植物病害防除における費用の削減と省力化を計ることができ、さらに植物及び土壌の病害を同時に防除できる。因みに、従来のものでは、植物病原菌による病害発生後、2週間おきに散布することが必要であったが、本発明の微生物農薬は、一度散布しておけば、植物の栽培期間中、更に散布する必要はなくなる。なお、根圏とは、植物の根の周りの3mm〜5mm程度の領域と呼ぶ。この領域は、土壌と植物の接点の領域であり、植物からも土壌からも極めて強い影響を受けている。
本発明の土壌改良剤としては、本発明の土壌病害抑制用微生物農薬を主成分として含有するものであればどのようなものでもよく、また本発明の土壌改良方法としては、かかる本発明の土壌改良剤を土壌に施用する方法であれば特に制限されない。本発明の土壌改良剤は、土壌病害菌による汚染前、あるいは汚染後に施用することができ、土壌病害菌による土壌病害を防除することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。以下、実施例1として、バーティシリウム・レカニによるイチゴ灰色かび病のバイオコントロールについて、実施例2として、バーティシリウム・レカニによるメロンフザリウムつる割れ病のバイオコントロールについて、実施例3として、バーティシリウム・レカニによるトマト半身萎凋病のバイオコントロールについて、それぞれ説明する。
[イチゴ灰色かび病のバイオコントロール]
(供試微生物)
本発明者らが分離したバーティシリウム・レカニA−2株、バーティシリウム・レカニB−2株、市販のバーティシリウム・レカニ微生物農薬バータレック及びマイコタールのバーティシリウム・レカニ4菌株を以下の実験に供試した。
(インビトロでのバーティシリウム・レカニの拮抗作用)
イチゴ灰色かび病菌に対するバーティシリウム・レカニのインビトロにおける拮抗性を培地上で調べた。バーティシリウム・レカニ4菌株を、イチゴ灰色かび病菌と二相培養(dual culture)することにより試験した。イチゴ灰色かび病菌のアガーディスクをポテトデキストロースアガー(PDA:シグマ社製)プレートの片側に置き、同じプレートの反対側に、ポテトスクロースアガー(PSA)上で培養したバーティシリウム・レカニのアガーディスクを載置した。5日間25℃で培養した後に阻止帯幅(mm)を測定した。同じ実験を3回行った。バーティシリウム・レカニとイチゴ灰色かび病菌との間にみられる菌糸相互作用をオリンパス光学顕微鏡下で観察した。
PDA上におけるバーティシリウム・レカニを用いるイチゴ灰色かび病菌阻止アッセイの結果、バーティシリウム・レカニの全菌株が強い中間阻止帯幅を形成していた(図1)。図1中、aはA−2株を、bはB−2株を、cはバータレックを、dはマイコタールをそれぞれ示す。阻止帯幅は5日後に明瞭に識別可能となったが、数週間を経る間に帯幅域は縮小した。バーティシリウム・レカニとイチゴ灰色かび病菌との菌糸相互作用は二相培養において認められなかった。
(実験室におけるイチゴ灰色かび病菌のアンタゴニストによるコントロール)
健常イチゴ果実を5%アンチホルミン(antiformin)で5分間表面殺菌し、蒸留水で洗浄した。これらのイチゴ果実に、アンタゴニストとしてバーティシリウム・レカニA−2株及びB−2株の胞子懸濁液(1×107spores/ml)と、イチゴ灰色かび病菌の胞子懸濁液(1×106spores/ml)とを撒布した。1回の処理に10個の果実を使用した。蒸留水を撒布した果実を対照とした。上記懸濁液及び蒸留水に表面活性剤としてTween 80を加えた。処理済果実をインキュベーターにて25℃下で保持した。接種4日後、各イチゴ果実における病変部を画像から推定し、灰色かびに侵された範囲の割合(%)に基づいて0〜5点で接種処理した果実の点数評価を行った。0=各果実における灰色かび侵食部分が0%、1=>0=<20%、2=>20=<40%、3=>40=<60%、4=>60=<80%、5=>80%.
バーティシリウム・レカニで果実を処理したときの灰色かび指数は0.9〜1.0だった(図2)。全菌株による結果と、蒸留水を用いて得た結果に顕著な違いは認められなかった。バーティシリウム・レカニで処理した果実における灰色かび指数は低かったものの、これらの果実は他のかびに覆われていた。
(圃場における天然型灰色かび病のコントロール)
イチゴの“エラン(Eran)”品種の苗を5月23日(2003年)に、列間隔を1m、苗間を40cmとして植苗した。各実験プロットは2列に2本ずつの苗計4本で構成した。バーティシリウム・レカニ懸濁液を1×107spores/mlで接種した。対照苗には水道水を撒布し、抗病虫害剤プロットにはダコニール(殺菌剤)とオルトラン(殺虫剤)(住化武田農薬(株)製)の混合物を撒布した。懸濁液1Lにつき、20mlの界面活性剤(20mlにつきTween 80を一適)を加えた。懸濁液は7月11日、7月25日、8月8日、及び8月22日の夕方に塗布した。熟した果実は主として1週間に2回、時折1週間に3回、収穫し、果実総数と感染果実数を計数した。
バーティシリウム・レカニB−2株が最も良好な拮抗性を有することが結果から示された(図3)。B−2株は、灰色かび病の発病率を5.0%まで抑制し、バータレック、マイコタールよりも抑制作用があることが示された。また、実験を実施している間の帯広の平均温度及び相対湿度と灰色かび発病率の平均値との相関を調べたところ、イチゴ灰色かび病菌の発病率は、相対湿度と相関していた。
[メロンフザリウムつる割れ病のバイオコントロール]
(供試微生物)
市販のバータレック及びマイコタールを含む表1に列挙されるバーティシリウム・レカニの単離株20株を供試した。かかる真菌を暗所にて25±1℃で2週間、ポテトスクロースキチン寒天(PSCA:1リットル当たり、ポテト200g、スクロース20g、キチン10g、寒天20g)プレート上で培養し、その後、湿潤下の園芸用土壌及びふすま(4:1、w/w)でこれらの菌株を2週間増殖させた。他方、十勝農業試験場のメロン果樹よりメロンフザリウムつる割れ病菌(FOM)を分離した。ポテトデキストロース寒天(PDA)上で、かかる病原菌を5±1℃にて維持し、増殖させた。
(供試植物)
メロンフザリウムつる割れ病菌(FOM)に感染しやすいメロン品種“キングメルティー”をすべての実験に使用した。鉢に移植する前に、種子を暗室のpetrel皿にて2日間成長させた。これらの鉢は、温度と湿度が調節された温室で成長させた。
(インビトロでのバーティシリウム・レカニの拮抗作用)
メロンフザリウムつる割れ病菌に対するバーティシリウム・レカニのインビトロにおける拮抗性を培地上で調べた。バーティシリウム・レカニ20菌株を、メロンフザリウムつる割れ病菌と二相培養(dual culture)することにより試験した。メロンフザリウムつる割れ病菌のアガーディスクをポテトデキストロースアガー(PDA:シグマ社製)プレートの片側に置き、同じプレートの反対側に、ポテトスクロースアガー(PSA)上で培養したバーティシリウム・レカニのアガーディスクを載置した。10日間25℃で培養した後に阻止帯幅(mm)を測定した。同じ実験を3回行った。バーティシリウム・レカニとメロンフザリウムつる割れ病菌との間にみられる菌糸相互作用をオリンパス光学顕微鏡下で観察した。
メロンフザリウムつる割れ病菌に対するバーティシリウム・レカニのインビトロにおける拮抗性試験の結果を表1に示す。表1からわかるように、バーティシリウム・レカニのA−2株、B−1株、C−1株、MAFF235693株において強い阻止帯幅が示された。
(土壌、根表面及び根圏でのコロニーの形成)
バーティシリウム・レカニの単離株20菌株をこの実験に使用した。これら20菌株で処理した20の処理済土壌をそれぞれ非殺菌土壌(3%)に入れた。非殺菌土壌のみをコントロールとした。メロンの種子を鉢一つにつき3個ずつ植えた(3複製)。30日後、希釈平板法を用いて、それらのコロニーを検出した。各鉢の苗3本のうち2本の根を抜いた。試験管中で、これらの根を5mlの蒸留水で1分間震盪した。45mlの蒸留水を入れたエルレンマイヤーフラスコに5gの根圏土壌を入れた。根と土壌を、それぞれ4倍と3倍に希釈した。硫酸ストレプトマイシンを含むローズベンガル寒天培地に1mlの懸濁液を滴下し、25℃で3日間インキュベーションした。インキュベーション後、バーティシリウム・レカニのコロニーを計数した。各実験を3回ずつ行った。
バーティシリウム・レカニのコロニーを土壌、根表面、及び根圏内で検出した。コロニー(cfu)数の結果をそれぞれ4〜6図に示す。土壌では、すべての株が検出され、高いコロニー形成能力を充分に示した(図4)。中でも、ATCC22612株、A−2株及びA−3株は、5×108cfu/gを超えていた。根表面では、A−2株及びB−1株が高いコロニー形成能力を有し、定着性に優れていた(図5)。また、根圏において、MAFF235701株、ATCC58908株、ATCC22612株は、他のものよりも大規模なコロニー形成し、定着性に優れていた(図6)。
(温室内での接種実験)
この実験では、6株のバーティシリウム・レカニ(MAFF235690、MAFF235693、ATCC58908、A−2、B−2、及びC−1)を使用した。ペトリ皿で種子を成長させ、約16gの苗培土(タキイ種苗社製)で満たしたポットに、3%のバーティシリウム・レカニの培養液を混合した処理土壌を含む各ジフィーポット(サカタのタネ社製;6cm)に移植した。苗に子葉が生じたときに、これら鉢を1%の病原菌FOM感染土壌を入れたプラスチックのトレーに移した。これらの植物を温室に30日間置いた後、症状重症度指数(DSI)及び植物生重量で評価した。DSI(%)は、立ち枯れ葉数/全葉数×100で求められ、それぞれの植物について、植物葉の外見の評価に基づいて、0という等級の植物は健常であり、100という等級の植物は死亡しているというように、0〜100までの等級づけを行った。
以前の実験から、拮抗作用が顕著であるとの理由によりバーティシリウム・レカニの3株(MAFF235690株、MAFF235693株及びATCC58908株)を選んだ。また、本発明者らの研究において評価を行った、葉表面でのコロニー形成能力を有する3株(A−2株、B−2株及びC−1株)をこの実験に使用した。これらの6菌株は、優れたバイオコントロール作用を示した(図7)。ポットへの移植の16日後、コントロールを除き、病原体コントロール及びすべての株がFOMに感染した。24日目から病原体コントロールは急激に障害を示すようになり、DSI値は最終的に80%になった。バーティシリウム・レカニ株のなかでは、A−2株がもっともよくコントロールすることがわかった。A−2株だけではなくB−2株、ATCC235693株、MAFF58908株は、初期段階で充分にコントロールしていた。病原体コントロール由来の植物の生重量(図8)は、1つの植物につき0.7gであった。これに比べて、コントロール由来の植物の生重量は、1つの植物につき4.5gであった。A−2株で処理した植物の生重量は、1つの植物につき2.0gであった。
[トマト半身萎凋病のバイオコントロール]
(供試微生物)
実施例2と同様に、市販のバータレック及びマイコタールを含む表2に列挙されるバーティシリウム・レカニの単離株20株を供試した。
(インビトロでのバーティシリウム・レカニの拮抗作用)
トマト半身萎凋病菌に対するバーティシリウム・レカニのインビトロにおける拮抗性を培地上で調べた。バーティシリウム・レカニ20菌株を、トマト半身萎凋病菌と二相培養(dual culture)することにより試験した。トマト半身萎凋病菌のアガーディスクをポテトデキストロースアガー(PDA:シグマ社製)プレートの片側に置き、同じプレートの反対側に、ポテトスクロースアガー(PSA)上で培養したバーティシリウム・レカニのアガーディスクを載置した。3週間25±0.1℃で培養した後に阻止帯幅(mm)を測定した。同じ実験を3回行った。バーティシリウム・レカニとトマト半身萎凋病菌との間にみられる菌糸相互作用をオリンパス光学顕微鏡下で観察した。
トマト半身萎凋病菌に対するバーティシリウム・レカニのインビトロにおける拮抗性試験の結果を表2に示す。バーティシリウム・レカニのコロニーを取り囲む抑制帯で病原体の成長が制限されていることによって、抑制がはっきりと識別された。表2からわかるように、ATCC22611株、ATCC58908株、MAFF235696株、MAFF235699株、MAFF235701株を除くバーティシリウム・レカニの菌株は、トマト半身萎凋病菌(V. dahliae)に対して抗真菌性の活性を示した。特に、バータレック株、B−1株、B−2株、MAFF235690株、ATCC58907株は、トマト半身萎凋病菌の成長を顕著に抑制した。
(土壌、根表面及び根圏でのコロニーの形成)
バーティシリウム・レカニの単離株20菌株をこの実験に使用した。これら20菌株で処理した20の処理済土壌をそれぞれ非殺菌土壌(3%)に入れた。非殺菌土壌のみをコントロールとした。トマトの種子を鉢一つにつき3個ずつ植えた(3複製)。4週間25℃で生育させた後、希釈平板法を用いて、それらのコロニーを検出した。各鉢の苗3本のうち2本の根を抜いた。試験管中で、これらの土壌が付着した根5gを蒸留水を用いてすすぎ、根表面の真菌コロニーを水中へ遊離するために、super micro wave washing machine を用いて、これらの根を1分間撹拌した。また、付着している土壌を、ブレンダーを用いてホモジナイズした。撹拌した根と付着している土壌を滅菌蒸留水で連続的に希釈し、硫酸ストレプトマイシンを含むローズベンガル寒天培地に1mlの希釈懸濁液を滴下し、25℃で3日間インキュベーションした。インキュベーション後、バーティシリウム・レカニのコロニーを計数した。各実験を3回ずつ行った。
バーティシリウム・レカニのコロニーを土壌、根表面、及び根圏内で検出した。コロニー(cfu)数の結果をそれぞれ9〜11図に示す。土壌では、すべての株が検出され、高いコロニー形成能力を充分に示した(図9)。中でも、ATCC22612株、A−1株、A−3株、C−1株、ATCC589095株は高いコロニー形成能力を示したが、バータレック株、ATCC58908株、MAFF235701株は高いコロニー形成能力を示さなかった。根表面では、B−2株、A−3株、ATCC22612株、ATCC58909株、MAFF235696株、MAFF235699株、MAFF235701株が、1.83×104〜2.29×104胞子/mlという高いコロニー形成能力を有し、定着性に優れていた(図10)。また、根圏において、B−2株、C−1株、バータレック株、ATCC58908株、MAFF235690株及びMAFF235696株が、0.67×105〜0.73×105胞子/mlという高いコロニー形成能力を有し、定着性に優れていた(図11)。
(温室内での接種実験)
この実験では、6株のバーティシリウム・レカニ(MAFF235690、ATCC58908、A−2、B−2、B−1及びC−1)を使用した。ペトリ皿で種子を成長させ、約16gの苗培土(タキイ種苗社製)で満たしたポットに、3%のバーティシリウム・レカニの培養液を混合した処理土壌を含む各ジフィーポット(サカタのタネ社製;6cm)に移植した。苗に子葉が生じたときに、これら鉢を5%の病原菌(V. dahliae)感染土壌200gを入れたプラスチックのトレーに移した。これらの植物を20〜25℃の温室に10週間置いた。トマト半身萎凋病菌で処理(pathogen)又は処理されない苗(control)を対照として準備した。実験終了時に茎と葉を回収し、生重量及び乾燥重量を計量した。各処理について、3個の複製が作られたが、各複製は4個の植物から構成された。多くの枯れた茎を用いて、茎の病徴を外観病徴指数及び内部病徴度で評価した。この実験の対照が他の処理と比較して成長しなかったため、播種の2週間後にV.dahliae懸濁液1mlを、また、播種の8週間後にハイポネックス(1ml/ポット)を注入した。上記外観病徴指数は、萎れた茎数/全茎数×100で求め、内部病徴度は、植物の変色の度合いに基づいて、0〜3までの等級づけを行った。
以前の実験から、拮抗作用が顕著であるとの理由によりバーティシリウム・レカニの2株(MAFF235690株及びATCC58908株)を選んだ。また、本発明者らの研究において評価を行った、葉表面でのコロニー形成能力を有する4株(A−2株、B−2株、B−1株及びC−1株)をこの実験に使用した。その結果を図12(外部病微指数(%))、及び図13(内部病微度)に示す。これらの菌株は、優れたバイオコントロール作用を示した(図12,13)。ポットへの移植後、コントロールを除き、病原体コントロール及びすべての株がトマト半身萎凋病菌に感染した。バーティシリウム・レカニC−1株は、トマト半身萎凋病の萎凋の抑制作用において最も効果的であった。B−1株、MAFF235690株は、初期段階のトマト半身萎凋病の萎凋に対して効果的であった。B−1株は、病原菌の対照と比較して、トマトの実生の生重量(g/植物)及び乾燥重量(g/植物)の増加を示した(図14,15)。バーティシリウム・レカニの菌株によって内部の病徴の重症度が減少したという結果は、外観における病徴の発生率とほぼ等しかった。全ての菌株が、病原体の対照と比較して、内部の病徴数の減少を顕著に示した。しかし、B−2株及びC−1株は、対照と同様に内部病徴の重症度の減少を示した。
[インビトロでのバーティシリウム・レカニの拮抗作用]
実施例1〜3におけると同様に、インビトロでのバーティシリウム・レカニの拮抗作用を調べた。その結果、バーティシリウム・レカニB−2株は、キュウリうどんこ病及びメロンうどんこ病に対して強い拮抗作用を示し、バーティシリウム・レカニA−2株は、キュウリうどんこ病に対して拮抗作用を示した。
[キュウリうどんこ病のバイオコントロール]
(供試微生物)
供試微生物として、バーティシリウム・レカニ B−2株(Verticillium lecanii B-2)を用いた。
(温室内での接種実験)
この実験では、ポット内で生育させたキュウリの本葉3枚のものを供試植物として用いた。供試植物の根の回りの土壌に、バーティシリウム・レカニ B−2株の胞子(胞子濃度は、1×10/ml)を用いて、1株当たり、10ml若しくは50mlの量で処理した。対照区(コントロール)として、未処理のものを用いた。バーティシリウム・レカニ B−2株の胞子で処理した植物に対して、処理後、24時間後に、キュウリうどんこ病菌の胞子(104の分生子/ml)を葉面に散布して、接種した(接種葉)、接種後、2〜4週間後の病徴の推移を観察した。また、同様に、対照区の植物に対しても、キュウリうどんこ病菌の胞子(104の分生子/ml)を葉面に散布して、接種し、接種後、2〜4週間後の病徴の推移を観察した。更に、バーティシリウム・レカニ B−2株の胞子で処理した植物及び対照区の植物に対して、キュウリうどんこ病菌の胞子の接種を行わずに(未接種葉)、2〜4週間後の病徴の推移を観察した(うどんこ病菌の空気伝染による羅病の観察)。
(病徴の推移)
上記接種実験の結果を、図16及び図17に示す。図16に、キュウリうどんこ病菌の接種後、2〜4週間後の病徴の推移を、グラフに病徴指数として示す。図16に示されるように、いずれも対照区と有意な差が認められた。図17に、対照区とバーティシリウム・レカニ B−2株(50ml処理区)における、3週間後の第3葉の羅病状況を示す写真を示す。
本発明のバーティシリウム・レカニを含有する微生物農薬は、植物に施与することにより地上部の植物病原菌の生育を抑制し、また、本発明のバーティシリウム・レカニを含有する土壌病害抑制用微生物農薬を植物の根近傍に施与することにより土壌病害であるFusarium病、Verticillium病等の発病も抑制し、植物が生育する周りの環境における病害を防除することができる。

Claims (19)

  1. 植物病原菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)の菌株を有効成分として含有することを特徴とする微生物農薬。
  2. バーティシリウム・レカニの菌株が、植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株であることを特徴とする請求項1記載の微生物農薬。
  3. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)であることを特徴とする請求項2記載の微生物農薬。
  4. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニB−2株(MAFF238429)であることを特徴とする請求項2記載の微生物農薬。
  5. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)であることを特徴とする請求項2記載の微生物農薬。
  6. 植物病原菌が、野菜・果実のうどんこ病菌、灰色かび病菌、つる割れ病菌、又は半身萎凋病菌であることを特徴とする請求項1〜5記載の微生物農薬。
  7. イチゴ灰色かび病菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニB−2株(MAFF238429)を有効成分として含有することを特徴とする請求項4又は6記載の微生物農薬。
  8. 請求項1〜7記載の微生物農薬を植物の葉面に散布することを特徴とする植物の病害抑制方法。
  9. 土壌病害菌に対して生育抑制作用を有するバーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)の菌株を有効成分として含有することを特徴とする土壌病害抑制用微生物農薬。
  10. バーティシリウム・レカニの菌株が、植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株であることを特徴とする請求項9記載の微生物農薬。
  11. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)であることを特徴とする請求項10記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  12. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニ B−2株(MAFF238429)であることを特徴とする請求項10記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  13. 植物体表面定着能力を有する菌株、並びに/又は、植物体根表面及び/又は根圏内定着能力を有する菌株が、バーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)であることを特徴とする請求項10記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  14. 土壌病害菌が、つる割れ病菌又は半身萎凋病菌であることを特徴とする請求項9〜13記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  15. メロンつる割れ病菌に起因する土壌病害を抑制するバーティシリウム・レカニA−2株(MAFF238426)を有効成分として含有することを特徴とする請求項11又は14記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  16. トマト半身萎凋病菌に起因する土壌病害を抑制するバーティシリウム・レカニC−1株(MAFF238430)を有効成分として含有することを特徴とする請求項13又は14記載の土壌病害抑制用微生物農薬。
  17. 請求項9〜16記載の土壌病害抑制用微生物農薬を植物の根近傍に施与することを特徴とする土壌病害の抑制方法。
  18. 請求項9〜16記載の土壌病害抑制用微生物農薬を主成分として含有することを特徴とする土壌改良剤。
  19. 請求項18記載の土壌改良剤を土壌に施用することを特徴とする土壌改良方法。
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