JPWO2005100437A1 - 特異な発光性を示すポリフルオレン誘導体およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

新規なポリフルオレン誘導体の提供、複数のフルオレン系化合物を混合・調整することなく、単独のポリフルオレン誘導体の使用で白色又は白色に近い発光するポリフルオレン誘導体の提供。9位にカルボン酸鎖又はエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体、9位に両親媒性エステル鎖を有する新規なポリフルオレン誘導体、それらの製法、該ポリフルオレン誘導体からなる蛍光発光材料、及び一定量の両親媒性ユニットを有する白色発光する蛍光発光材料。

Description

本発明は、9位にカルボキシル基、エステル鎖又は両親媒性基(ユニット)を有する新規なポリフルオレン誘導体、その製造方法、9位にカルボキシル基、エステル鎖又は両親媒性エステル鎖を有するポリフルオレン誘導体のポリマーからなる蛍光発光材料、並びに一定量の両親媒性ユニット(鎖)を有するポリフルオレン誘導体からなる白色発光する蛍光発光材料に関する。
更に詳しくは、フイルム形成能を有し、優れた加工性を有し、9位に両親媒性基を有することによって白色又は白色に近い領域で強い蛍光発光を示す優れた蛍光発光材料に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと称す。)に用いられる材料には、高分子系と低分子系の発光材料が用いられている。高分子系発光材料の特徴は、スピンコート法やインクジェット法などにより大面積で膜厚の均一な薄膜を比較的容易に製膜できることにあり、それらの方法により高分子系発光素子はディスプレイなどの適用が期待されている。
有機高分子系ELの発光原理は、低分子系ELと基本的には同じであり、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機発光材料中で出会い励起子即ちエキシトンを形成し、この励起子の発光再結合によりELが得られる。
このような有機高分子系蛍光材料としては多数の共役系環状化合物が知られており、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリアルキルチオフェン誘導体(PAT)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリカルバゾール誘導体(PVK)等が挙げられる(非特許文献1)。そして、PPVはオレンジ色の発光を、PATは赤色、PPPは青色の発光を示し、ポリフルオレン誘導体の内のポリ(9,9’−ジアルキルフルオレン)(PDAF)は青色の発光を示す。
これらの中にあって特に、当初は青色ELとして報告された9位がジアルキルで置換されたPDAFは、その高い発光効率が再び注目を集めている。ポリマー系の発色材料の特徴は、ポリマー骨格が同じでも側鎖の違いや、共重合体を形成することにより発光波長を容易に制御できることにあり、フルオレン骨格を有するポリマーで青色から赤色までの発色をカバーできている。
この蛍光特性はデバイスに応用され、特に、ポリフルオレン系材料は無機材料でも作り出すのが困難と言われてきた青色発光が容易に得られ、溶液中でも非常に高い蛍光量子効率を示す。また、加工性に優れており、且つフィルム状態でもその効率が維持されるため、有機系青色発光材料として注目されている。
そして、ポリフルオレン誘導体の中でも、その9位に種々の置換基を有するポリフルオレン誘導体が注目されているが、これら置換基の多くは、特許文献1、2及び非特許文献1に開示されているように、アルキル基、カルボニル基であり、9位にカルボン酸エステル基を含有するポリフルオレン誘導体は知られていなかった。
また上述の如く、有機系EL材料においては種々の色調を有する材料が得られているが、単一の材料で白色発光する材料は得られておらず、白色発光のEL材料を得るには、青色、赤色、緑色、黄色等に発光をする複数の有機系EL材料を一定割合で物理的に混合調合して制作しているのが現状であり、組み合わせる材料の選択や調合に手間が掛かり、単一の材料で白色発光する材料の出現が望まれていた。
特開平3−28220号公報 特開平2−269734号公報 「高分子」52巻、8月号、第551〜554頁
本発明の第1の課題は、フルオレン化合物の9位にカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基を含有する新規なポリフルオレン誘導体を提供することにある。
該ポリフルオレン誘導体は、そのカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基を種々のエステル形成性化合物とエステル化反応もしくはエステル交換反応させることにより、種々のエステル基を任意の量で含有するエステル鎖含有ポリフルオレン誘導体を容易に提供することが可能となる。
更に、本発明の第2の課題は、複数のフルオレン系化合物を混合・調整することなく単独のポリフルオレン誘導体の使用で白色又は白色に近い発光をするポリフルオレン誘導体を提供することである。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、9位にカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基を有するフルオレン化合物を酸化重合することにより新規なポリフルオレン誘導体が得られることを見出し、本発明を完成した。
また、得られたポリフルオレン誘導体に種々のエステル形成性化合物を反応させることにより、種々のエステル基を任意の範囲量で容易に導入することができる。
さらに、9位に親水性鎖と親油性鎖を有する両親媒性基(以下、必要に応じて両親媒性ユニット、両親媒性鎖と称するが本発明においては同義語である)を含有するポリフルオレン誘導体が新規であって、且つこれ単独の使用でも優れて強い白色又は白色に近い発光を行うことを見出し本発明を完成した。
本発明に係るポリフルオレン誘導体は、下記一般式(1)又は(2)で表される繰返単位を骨格とする重合体であって、数平均分子量が400〜1,000,000であることを特徴とする。
Figure 2005100437
ただし、式中R〜Rはそれぞれ重合体の中において同一でも異なる基でもよく、水素、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基、アシル基、アリール基、ポリエチレングリコール残基、ポリ(メタ)アクリル酸残基、ポリ(2−アルキルー2−オキサゾリン)残基、ポリ(2−フッ化アルキルー2ーオキサゾリン)残基、ポリスチレン残基、両親媒性基、フッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基から選ばれる少なくとも1種の基である。
式中、R〜Rのいずれかが両親媒性基である場合については後で詳述するが、フッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を導入すると界面活性を付与できる。
本発明においては、両親媒性基が一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1記載のポリフルオレン誘導体が特徴的である。
Figure 2005100437
式中、R は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基であり、ランダム又はブロック体も含まれる。R は、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアシル基であり、Xは、1〜1000であるのが好ましい。
両親媒性基よる置換率が10〜100%であるのがよく、理想的には置換率が75〜100%である。
好ましい製造方法としては、下記一般式(4)又は(5)で表されるフルオレン誘導体モノマーを酸化重合し、ホモポリマー又はコポリマーを得ることを特徴とする。
Figure 2005100437
ただし、式中R〜Rは、請求項1記載の一般式(1)又は(2)と同じである。

ここで、(1)又は(2)に記載のポリフルオレン誘導体と上記一般式(3)で表される両親媒性基を有する化合物とをエステル化またはエステル交換反応させてもよい。
(1)又は(2)記載の9位にエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体と末端ハロゲン化アルカノールとをエステル交換反応して、得られたハロゲン化末端含有ポリフルオレン誘導体のハロゲン化末端に(2−アルキル−2−オキサゾリン)、(2−フッ化アルキルー2ーオキサゾリン)、アクリル酸のアルキル、アルケニル、アリールエステル又は金属塩、スチレンから選ばれた重合性モノマーをグラフト重合してもよい。
このようなポリフルオレン誘導体は優れた蛍光発光材料となる。
本発明に係る9位にカルボン酸エステル基又は両親媒性基(鎖)を有する新規なポリフルオレン誘導体は、それ自体が発光し、蛍光発光材料として有用であるが、特に、9位に両親媒性ユニットを含有するポリフルオレン誘導体にあっては、両親媒性ユニットの置換の割合や、ユニット中の親水性や親油性の両親媒性の割合を変化させることによって発光領域および発光強度を制御することができ、それにより、種々の蛍光発光材料となり得るし、特にその置換割合が75%以上と高い場合には、単一材料でも白色発光を示すという効果を奏する。
本発明のように、単一の材料で白色発光を実現する蛍光発光材料を提供することが可能となれば、その加工性や均一性が高く、取扱性に優れ、材料的な価値が高い。また、溶液中での蛍光量子収率も0.2〜0.5程度と比較的高い値を示すことも利点の1つである。また、従来のポリフルオレン誘導体のように、9位に単にアルキル基を導入したPDAFでは、本発明と同じ現象は起こらず、ポリフルオレン誘導体にカルボン酸基を介して両親媒性ユニットを導入したことによって初めて起こる特異な現象である。
実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチルエステル)の 1H−NHRスペクトルのチャートである。 実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチルエステル)のFT−IRスペクトルのチャートである。 実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチルエステル)のUV−Visスペクトルのチャートである。 実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチルエステル)の蛍光スペクトルのチャートである。 実施例2で得られた低い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5の 1H−NHRスペクトルのチャートである。 実施例2で得られた低い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5のFT−IRスペクトルのチャートである。 実施例2で得られた低い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5の蛍光スペクトルのチャートである。 実施例2で得られた高い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5’UV/Visのスペクトルのチャートである。 実施例3で得られた高い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5’の 1H−NHRスペクトルのチャートである。 実施例3で得られた高い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5’のFT−IRスペクトルのチャートである。 実施例3で得られた高い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5’及び実施例2で得られた低い導入率で両親媒性ユニット成分を持つポリフルオレン誘導体であるポリマー5の蛍光スペクトルのチャートである。 実施例4で得られたポリエチレングリコールを側鎖に持つポリフルオレン誘導体の 1H−NHRスペクトルのチャートである。 実施例4で得られたポリエチレングリコールを側鎖に持つポリフルオレン誘導体のFT−IRスペクトルのチャートである。 実施例4で得られたポリエチレングリコールを側鎖に持つポリフルオレン誘導体のUV−Visスペクトルのチャートである。 実施例4で得られたポリエチレングリコールを側鎖に持つポリフルオレン誘導体の蛍光スペクトルのチャートである。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
(I)ポリフルオレン誘導体
本発明のポリフルオレン誘導体は、下記一般式(1)又は(2)で表される繰返単位を骨格とする重合体であって、数平均分子量が400〜1,000,000であることを特徴とする。
Figure 2005100437
該ポリフルオレン誘導体は、その数平均分子量が400〜1,000,000の重合体であり、好ましくは1,000〜70,000、より好ましくは1,500〜50,000の範囲である。
共重合体は、一般式(1)又は(2)において、ランダムコポリマーやブロックコポリマーでもよく、また、一般式(1)と(2)とのランダムコポリマーやブロックコポリマーでもよい。
一般式(1)又は(2)を規定するR1 〜R が、炭素数1〜40のアルキル基としては、直鎖アルキル基や分岐アルキル基が含まれ、好ましくは炭素数1〜18、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、セチル、ステアリル等が挙げられる。これらのアルキル基は、その後のエステル交換反応において、アルコール成分として留去されるものであり、揮発性の高いアルコ−ルとなり得る低級アルキル基が好ましく、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの基である。
炭素数2〜40のアルケニル基としては、直鎖アルケニル、分岐アルケニルがあり、直鎖アルケニルが好ましく、具体的には上記アルキル基に相当する炭素数2〜40のアルケニル基が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等が挙げられ、アセチル、プロピオニルなどの基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ナフチル等が挙げられ、アルキルフェニル、アルコキシフェニルなどの基が好ましい。
また、R1 〜R 中の、ポリ(メタ)アクリル酸残基は、ポリアクリル酸でもポリメタアクリル酸でも良い趣旨で、アルキル、アルケニル、アリール等のエステルでよく、これらを構成するアルキル、アルケニル、アリールとしては、前記R1 〜Rの基として挙げた基と同じである。
更に、ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩中の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Ni、Mg,Mn等の金属を挙げることができる。
また、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−フッ化アルキルー2ーオキサゾリン)、中のアルキル基としては、炭素数1〜18、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜4の直鎖アルキル、分岐アルキルが挙げられ、直鎖アルキルが好ましく、例えばメチル、エチル、プロピルなどの基である。
特に、本発明において特徴的なポリフルオレン誘導体は、下記一般式(1)又は(2)で示されるR1 〜Rが一般式(3)で表される両親媒性基で置換された重合体である。
Figure 2005100437
該一般式(3)で表される両親媒性基は、親水性成分と親油性成分を有する両親媒性ユニットであり、R を含むポリエーテル部分が親水性を示す成分であり、R 基が親油性を示す成分である。該両親媒性基はその構成単位が互いにランダム、ブロック、グラフトで結合していてもよい。
式中、R は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基から選ばれる少なくとも1種の基であり、例えば、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、n−ブチレン、iso−ブチレン、t−ブチレン、ペンチレン、ヘキセレンなどが挙げられ、特にエチレン、プロピレン鎖が好ましい。
また、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基でもよく、好ましくは、上記アルキレン基に対応したものが良い。
その重合単位数Xは1〜1000、好ましくは2〜100、更に好ましくは3〜50である。なお、重合単位数は一定の整数ではなく、複数のユニット数を有する混合物であり、Xは各ユニット数が複数成分におけるユニット数の平均値である。
また、R は炭素数1〜40のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アシル基であり、前述のR1 〜R についてのアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基で述べた基と対応するが、本発明の両親媒性基含有ポリフルオレン誘導体が白色発光を呈するためには、該基が両親媒性基の親油性成分となることから、炭素数6〜40、より好ましくは炭素数8〜24のアルキル基が好ましく、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、セチル、ステアリル等の基が挙げられ、好ましくはセチル、ステアリルなどの基である。
〔II〕ポリフルオレン誘導体の製造
本発明のポリフルオレン誘導体は、一般式(4)又は(5)で表されるフルオレン誘導体モノマーから選ばれた少なくとも1種を、下記反応式(1)、(2)に従って酸化重合して、一般式(1)又は(2)で表される9位にエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体を製造する。
Figure 2005100437
Figure 2005100437
上記反応式(2)において、RとR’とは異なる基を意味し、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。
このような一般式(4)又は(5)で表したフロオレン誘導体モノマーは、例えば、以下の如くして得ることができる。
まず、モノカルボン酸エステル基含有モノマーについては、フルオレンに不活性ガス雰囲気下で攪拌しながらn−ブチルリチウム(BuLi)を反応させ、9位モノLiフルオレンを得る。この場合、フルオレンとBuLiとの配合割合(モル比)は前者/後者で1.0〜0.5、好ましくは0.9〜0.75である。次いで、モノリチウムフルオレンに炭酸ガスを反応させて、モノカルボン酸リチウムフルオレンを得る。更に、該フルオレン化合物にBr化R1 もしくはR2 基含有アルコキシBrを反応させて、前記一般式(4)で表されるモノカルボン酸エステル置換フルオレンモノマ−を得る。
一方、一般式(5)で表されるジカルボン酸エステルフルオレンモノマーを得る方法は種々あるが、上記の如くして得られたモノカルボン酸R エステル置換フルオレンモノマ−にn−ブチルリチウムを反応させ、9位の残りのHをリチウムに置換し、更に炭酸ガスを反応さぜてカルボン酸Liとし、次いでR 基含有アルコキシBrを反応させて一般式(5)で表されるジカルボン酸エステル置換フルオレンモノマ−を得る。もちろんフルオレンにBuLiを反応させ、9位の2個のHをLi化し、R 、R 基含有アルコキシBrを反応させて一般式(5)で表されるジカルボン酸エステル置換フルオレンモノマ−を得てもよい。
本発明においては、上記で得られたカルボン酸エステル置換フルオレンモノマーを原料として,該モノマーを酸化重合してポリフルオレン誘導体を得るのであるが、酸化重合には、化学的酸化重合と電気化学的酸化重合が挙げられる。
化学的酸化重合は、酸化剤を重合触媒として用いる方法であり、酸化剤としてはFeCl3 (第2塩化鉄)、MoCl3 ,WCl3 等単独であっても良いが、AlCl3 −CuCl2 、AlCl3 −MnO3 などとルイス酸と組合わせ等を用いることができるが、FeCl3 の使用が好適である。これらの酸化剤(触媒)をクロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化溶媒に溶解させ、これを、上記モノ、ジカルボン酸エステル置換モノマー及びその混合物に加え、これをアルゴン等の不活性雰囲気下で0〜100℃、好ましくは20〜50℃の温度で、5〜200時間、好ましくは50〜100時間攪拌して酸化重合を行う。得られた反応液を非溶剤に添加し、沈殿させ濾別して、本発明の新規なポリフルオレン誘導体を得ることができる。
一方、電気化学的酸化重合は、上記モノ或いはジカルボン酸エステル置換のフルオレン誘導体と電解質を溶媒に溶かし、その中に一対の電極を浸漬させ、この電極に電圧を印加するこにより電極表面に重合体を生成せしめるものである。
本発明におては、化学的酸化重合によりポリフルオレン誘導体を製造するの好ましく、特に、FeCl3 を触媒とする上記反応式(1)、(2)で表される酸化重合によりポリフルオレン誘導体を製造するのか好ましい。
以上のようにして、本発明では数平均分子量が400〜1,000,000の一般式(1)又は(2)の繰返単位を骨格とするポリフルオレン誘導体を製造するものである。
Figure 2005100437
〔III〕エステル交換法により、9位にエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体に両親媒性エステル鎖を付加したポリフルオレン誘導体の製造
本発明では、前記のようにして得られた、上記一般式(1)又は(2)で表される9位にエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体の前記繰返単位中のR1 〜R4 の一部もしくは全部を一般式(3)で表される両親媒性ユニット含有化合物でエステル交換することにより、両親媒性ユニットを有する(で置換した)ポリフルオレン誘導体を製造する。
該両親媒性ユニットを有するポリフルオレン誘導体を製造するには、一般式(4)又は(5)で表されるエステル鎖含有フルオレンモノマーを予め一般式(3)で表される両媒性ユニット含有化合物でエステル交換して、両親媒性ユニット含有カルボン酸エステル置換フルオレンモノマーとし、該モノマーを上記の酸化重合によりポリフルオレン誘導体を得ることも可能であるが、上記一般式(1)又は(2)で表される繰返単位の少なくとも1種からなるポリフルオレン誘導体と上記一般式(3)で表される両親媒性ユニット含有エステル形成性化合物とをエステル交換反応させて、一般式(1)又は(2)で表される繰返単位のR1 〜R4 の一部ないしは全部が上記一般式(3)で表される両媒性ユニットで置換されているポリフルオレン誘導体を製造するのが好ましい。
該エステル交換反応により製造することによって、その置換率(両親媒性ユニット導入率のこと)が10〜100%、好ましくは75〜100%の範囲にコントロールすることが容易となり、また、エステル交換反応に用いる両親媒性ユニット含有エステル形成性化合物としてその親水性成分と親油性成分との割合が種々の比率の化合物を選択使用することによって、その発光特性を調整することが可能となる。
以上の製造方法により、本発明に係るR1 〜R4 が両親媒性ユニットで75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上置換された白色発光を呈するポリフルオレン誘導体を容易に製造することが出来る。
エステル交換反応により、上記一般式(3)で示されるR のポリ(アルキレングリコール)鎖含有親水性成分とR で表されるアルキル基又はアルケニル基、アリール基である親油性成分とを含有する両親媒性ユニットを有するポリフルオレン誘導体は、例えば、下記の反応式(3)に従うエステル交換反応によって製造される。
Figure 2005100437

このエステル交換反応は、具体的には、トルエン、キシレン、クロロホルム等の有機溶媒中に、必要なら、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の硫酸系触媒の存在下で、50〜200℃の温度で行う。
〔IV〕9位にエステル鎖、特に両親媒性ユニットを有するポリフルオレン誘導体の蛍光発光特性
本発明に係る9位にエステル鎖又は両親媒性ユニットを有するポリフルオレン誘導体は、ポリフルオレンポリマー自体が青色発光するため、青色発光を基本に9位の置換基の種類、嵩高基の有無等に応じて緑色、黄色、赤色等に発光するものであるから、9位にエステル鎖ポリフルオレン誘導体もいずれかの色調に発光をするものと考えられていた。
しかしながら、9位に両親媒性ユニットを導入し、その導入割合が高い場合には、そのポリフルオレン誘導体は、N,N’−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の極性溶媒中及びフィルム状態で白色に近い発光を示す。
具体的には、両親媒性ユニットであって、ポリフルオレンの主鎖骨格に近い側に親水性成分がある場合に、発光領域の拡大現象が起こり白色発光する。
親水性成分としては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールや、ポリ(2−メチル−2−オキザゾリン)、ポリ(2−フルオロメチルー2ーオキサゾリン)等の高分子鎖が適しており、また、疎水性成分としては長鎖アルキル基が適している。
特に、(b)一般式(7)で表されるポリエチレングリコール成分と長鎖アルキル基成分とからなる両親媒性ユニットを導入したポリフルオレン誘導体で、両親媒性ユニットが75%以上のものが発光波長領域の拡大に作用し、安定で優れた白色発光を示す。
しかしながら、両親媒性ユニットの導入率が10%以下と低い場合、発光波長領域の拡大効果を有せず、9位にアルキルエステル鎖を有する他のポリフルオレン誘導体と同じく青色発光を示す。
両親媒性ユニットの導入率が75%以上と高い場合に、発光波長領域の拡大効果を有する。両親媒性ユニットの導入割合が50%程度の場合、そのポリフルオレン誘導体は弱い黄色発光を示す。
ただ、両親媒性ユニットを構成するR基がメチル、ブチル基等の嵩高性の低い基の場合には、たとえ両親媒性ユニットの導入率(置換率)が75%に近い値であっても、実施例4、5に示されるように白色発光はしない。
また、両親媒性ユニットの親水性と親油性の割合を変化させることにより、発光領域及び発光強度を調整することができる。
更に、ポリフルオレン自体は青色領域に強い発光を示すポリマーであるが、下記(a)一般式(6)、(b)一般式(7)、(c)一般式(8)の場合、緑色、黄色領域にも強い発光を示すために白色に近い発光を示す。
Figure 2005100437
本発明のポリフルオレン誘導体における該発光挙動は、その原因は明らかでなく、これ迄に共役系高分子の蛍光発光領域が高波長又は低波長に移動すると言う現象は良く知られているが、例えば、本願の実施例2で得られたポリマー5と実施例3で得られたポリマー5’の蛍光スペクトルの比較で明らかの如く、両親媒性ユニットの導入率によって、蛍光発光領域が可視光線領域全体に広がる現象は初めてのことである。
単独のポリマーで白色発光が実現することが可能となれば、その蛍光発光材料は、加工性、均一性が高く、取扱性が容易となり、材料的に価値が高い。
また、溶液中での蛍光量子収率も0.2〜0.5程度と比較的高い値を示すことも利点の1つである。
また、従来のポリフルオレン誘導体のように、9位の側鎖に単にアルキル基やエチレングリコールユニットを導入しても、上記と同じ現象は起こらず、両親媒性エステル鎖を含有する両親媒性ユニットを導入したポリフルオレン誘導体の場合にのみ起こる特異な現象である。
本発明の特定のポリフルオレン誘導体は、発光・蛍光材料、EL素子、高分子LED、有機半導体材料等広い応用がある。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
〔構造等の確認手段、及びその測定条件〕
本発明の実施例で得られたポリフルオレン誘導体は、その構造等の確認を 1H−NMR、FT−IR、GPC、UV/Vis、蛍光スペクトルにより行った。これらの測定手段、測定条件などを以下に示す。
(イ) 1H−NMRスペクトル(270MHz)は、日本電子フーリエ変換NMR分光光度計(JNM−EX−270)を使用して25℃で測定した。溶媒として重水素化クロロホルムを、内部標準物質としてテトラメチルシランを使用した。
(ロ)FT−IRスペクトルは、日本分光フーリエ変換分光光度計(FT-IR 460 plus)を使用して、KBr錠剤法および液膜法で測定した。
(ハ)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による分子量の確定には、カラムとして東ソー製ポリスチレンゲル充填カラムTSKgelG300OH XLを用い、ポンプは島津LC−6Aを用いた。
(ニ)検出器は東ソー社製紫外分光光度計(UV−8011、測定波長270nm)を用い、THFを溶離液とし流速1.0ml/分、室温で測定した。
(ホ)紫外−可視吸収スペクトル測定は、日立製作所製100−50型ダブルビーム分光光度計を用いて溶液状態での測定を行った。
(ヘ)蛍光スペクトル測定は、日立製作所製F−3010型分光蛍光光度計(光源150wXe−ランプ)を用いて溶液状態での測定を行った。
(ト)ポリマーの蛍光量子収率は、アントラセン−9−カルボン酸を標準試料として、同じ溶媒(クロロホルムまたはDMF)、濃度(10-5M)で測定した場合の相対蛍光量子収率を求めた。
(チ)両親媒性ユニットの導入率(置換率)は、H−NMRのピークの積分比により容易に算出できる。
(リ)蛍光発光の確認は、非特許文献の551〜552頁に記載されるように、陰極とITO透明カソード電極の間に介在して蛍光材料からなる発光フィルム層とキャリア輸送層とから構成されるLEDセルを用いた。
(実施例1)
・ポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル)の製造
窒素雰囲気下100ml容量の三つ口フラスコに9−フルオレンカルボン酸ブチル2.5g(9.4nmol)、1,2−ジクロロエタン125mlを入れ、この溶液に三塩化鉄4.6 g(28.2nmol)を加え、室温で98時間攪拌した。得られた反応物をメタノール中への再沈殿を繰り返し、ポリマーを1.9g(収率75%)を得た。
得られたポリマーの構造は、 1H−NMR、FT−IR、UV/Visの各スペクトルを分析することで下記の繰り返し単位を有するポリフルオレン誘導体であることを確認したところ、ポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル)であった。GPCを測定したところ数平均分子量(Mn)は3500であり、ポりマーの分子量分布を表す「重量平均分子量/数平均分子量の比率」としての分散度(Mw/Mn)は1.1であった。
クロロホルム中で蛍光を測定したところ、λex=355nmでλem=448nm(蛍光量子収率Φ=0.46)であった。得られたポリマーの 1H−NMRスペクトルを図1に、FT−IRのスペクトルを図2に、UV/Visのスペクトルを図3に、蛍光スペクトルを図4に示す。
この9位にカルボン酸ブチルエステル鎖を含有ポリフルオレン誘導体は、それ自体で蛍光発光を示すが、以下の実施例の中間体として有用である。
(実施例2)
・両親媒性ユニットを低い導入率で9位に持つポリフルオレンの合成
ディー・シュターク管を備えた100ml容量のナス型フラスコに実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル) (Mn=3500) 0.5g(1.9mmol)とポリオキシエチレンモノセチルエーテル(商品名「Brij56」;エチレンオキサイド単位=5)1.3g(1.9mmol)、クロロホルム75mlを入れ、室温でしばらく攪拌した。そこへp−トルエンスルホン酸を少量加え、還流温度で一晩攪拌した。反応溶液を濃縮し、メタノールに再沈すると、0.48gの下記構造式(9)で表されるポリマー5が得られた。
Figure 2005100437
1H−NMRのスペクトル分析によると両親媒性ユニット成分の導入率は12%であって、白色発光に必要な導入率75%以上には程遠い極めて低い導入率であった。
得られたポリマー5の構造は、 1H−NMRスペクトル、FT−IRスペクトル、UV/Visスペクトルで確認した。GPCを測定したところ数平均分子量(Mn)は6100であり、分散度(Mw/Mn)は1.3であった。
クロロホルム中で蛍光を測定したところλex=355nmでλem=459nm(蛍光量子収率Φ= 0.28)であった。
得られたポリマー5の 1H−NMRスペクトルを図5に、FT−IRのスペクトルを図6に、蛍光スペクトルを図7に、UV/Visのスペクトルを図8に、に示した。
なお、次の実施例3で得られたポリマー5’の蛍光スペクトルと共に図11にも示す。
(実施例3)
・高い導入率で両親媒性ユニットを9位に持つポリフルオレンの合成
ソックスレー抽出用150mlフラスコにポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル)(Mn=2800) 1.0g(3.8mmol)、ポリオキシエチレンモノセチルエーテル(商品名「Brij56」)2.6g(3.8mmol)、クロロホルム30mlとp−キシレン120mlの混合溶媒を入れた。この溶液にp−トルエンスルホン酸を少量加え還流温度で2日間攪拌した。遊離するn−ブタノールを吸着するためにモレキュラーシーブ(5A 1/16)を入れた円筒ろ紙を挿入した。溶媒を留去し、析出した固体をメタノ
ールで洗浄すると、1.6gの下記構造式(10)で表されるポリマー5’が得られた。得られたポリマー5’は茶色の粘性固体であった。
Figure 2005100437
1H−NMRによると両親媒性成分の導入率は78%であった。この導入率は、白色発光に必要な75%を超えており、極めて高い導入率であった。
ポリマー5’の構造は、 1H−NMR、FT−IR、UV/Visで確認した。GPCを測定したところ数平均分子量(Mn)は6800であり、分散度(Mw/Mn)は1.3であった。クロロホルム中で蛍光を測定したところλex=354nmでλem=508n
m(蛍光量子収率Φ=0.25)であった。得られたポリマー5’のUV/Visのスペクトルを図8に、 1H−NMRスペクトルを図9に、FT−IRのスペクトルを図10に、蛍光スペクトルを前の実施例2で得られたポリマー5の蛍光スペクトルと共に図11に示す。
(実施例4)
・ポリオキシエチレン残基を側鎖に持つポリフルオレンの合成
ソックスレー抽出用150mlフラスコにポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル) (Mn=2800) 0.5g(1.9nmol)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量350)0.7g(1.9nmol)、クロロホルム30mlとp−キシレン120mlの混合溶媒を入れ、この溶液にp−トルエンスルホン酸を少量加え、実施例3と同様の方法で反応させ、後処理を行った。
0.6g(収率59%)の下記の構造式(11)で表されるポリマー6が0.6g(収率59%)得られ、オキシエチレン鎖の導入率が72%であった。
このポリマー6は、導入率72%と白色発光に必要な75%以上に近い値であるが、両親媒性ユニット中の親水性成分はポリエステルポリエチレングリコール残基であるものの、親油性成分のアルキル基がメチル基と極めて嵩高性が低い基なので白色発光とはならない。
Figure 2005100437
このポリマー6の構造は、 1H−NMR、FT−IR、UV/Visで確認した。GPCを測定したところ数平均分子量(Mn)は6000であり、分散度(Mw/Mn)は1.4であった。クロロホルム中で蛍光を測定したところλex=352nmでλem=458nm(蛍光量子収率Φ= 0.20)であった。得られたポリマーの 1H−NMRスペクトルを図12に、FT−IRのスペクトルを図13に、UV/Visのスペクトルを図14に、蛍光スペクトルを図15に示す。
(実施例5)
実施例1で使用した9−フルオレンカルボン酸ブチルの代わりに9,9’−フルオレンジカルボン酸ジブチル9.4nmolを用いて、実施例1と同様に反応を行ったところ、収率60%で下記構造式(12)で表されるポリ(9,9’−フルオレンジカルボン酸ジブチルエステル)ポリマーが得られた。
このポリフルオレン誘導体は、エステル鎖のアルキル基がブチル基と嵩高性が低い上に両親媒性ユニットがないので白色発光とはならない。
Figure 2005100437
得られたポリマーは、数平均分子量(Mn)は2400であり、分散度(Mw/Mn)は1.2であった。クロロホルム中で蛍光を測定したところλex=352nmでλem=450nm(蛍光量子収率Φ= 0.36)であった。
(実施例6)
・オキサゾリンのグラフト重合単位を含有する例
0℃で、窒素雰囲気下100ml容のなす型フラスコに、実施例1で得られたポリ(9−フルオレンカルボン酸ブチル)と3−ブロモプロピルアルコールとエステル交換して得られた下記構造式(13)で表されるポリ(9−フルオレンカルボン酸3−ブロモプロピルエステル)(Mn=3500)200mg、2−メチル−2−オキサゾリン5mlを入れ密閉し、良く攪拌した。系全体を120℃にし、10時間加熱した。得られた溶液をジクロロエーテル中に注ぎ固体生成物を得た。ポリマーの精製は固体を少量のクロロホルムに溶解し、エーテル中に再沈殿することにより行った。収量は1.80gで下記構造式(14)で表されるポリフルオレン誘導体ポリマーが得られた。 1H−NMRにより側鎖のグラフトポリマーは平均10ユニットであった。クロロホルム中で蛍光を測定したところ入ex=355nmで入em=455nm(蛍光量子収率Φ=0.30)であった。
Figure 2005100437
Figure 2005100437
(実施例7)
・アクリル酸エチルのグラフト重合単位を含有する例
窒素雰囲気下100ml容のなす型フラスコに上記構造式(13)で表されるポリ(9−フルオレンカルボン酸3−ブロモプロピルエステル)(Mn=3500)200mg、アクリル酸エチル5ml、ビス(4,4’−ジノニル−2,2’−ピピリジル)銅(1)を入れ密閉し、良く攪拌した。系全体を120℃にし、10時間加熱した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、不溶部を除去後、濃縮した。得られた下記構造式(15)で表されるポリフルオレン誘導体ポリマーの精製は、固体を少量のクロロホルムに溶解し、メタノール中に繰り返し再沈殿することにより行った。
1H−NMRにより側鎖のグラフトポリマーは平均15ユニットであった。クロロホルム中で蛍光を測定したところ入ex=355nmで入em=450nm(蛍光量子収率Φ=0.48)であった。
Figure 2005100437
(実施例8)
・スチレンのグラフト重合単位を含有する例
窒素雰囲気下100ml容のなす型フラスコに上記構造式(13)で表されるポリ(9−フルオレンカルボン酸3−ブロモプロピルエステル)(Mn=3500)200mg、スチレン7ml、ビス(4,4’−ジノニル−2,2’−ピピリジル)銅(1)を入れ密閉し、良く攪拌した。系全体を120℃にし、10時間加熱した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、不溶部を除去後、濃縮した。得られた構造式(16)で表されるポリフルオレン誘導体ポリマーの精製は、固体を少量のクロロホルムに溶解し、メタノール中に繰り返し再沈殿することにより行った。
1H−NMRにより側鎖のグラフトポリマーは平均20ユニットであった。クロロホルム中で蛍光を測定したところ入ex=355nmで入em=460nm(蛍光量子収率Φ=0.33)であった。
Figure 2005100437
(実施例9)
・フッ化アルキルを9位に有するポリフルオレンの合成例
ディーン・シュターク管を備えた100mL容器のナスフラスコに実施例1で得られたポリ(9-フルオレンカルボン酸ブチル)0.5g(1.9mmol),2-(パーフルオロオクチル)エタノール0.88g(1.9mmol),クロロホルム30mL,キシレン30mL,硫酸0.5mLを入れ、還流温度で24時間撹拌した。
反応溶液を濃縮し,メタノールに再沈すると,0.57gの下記構造式(17)で表されるポリマーが得られた。
1H-NMRスペクトル分析によると,フッ化アルキルユニットの導入率は72%であった。
Figure 2005100437
本発明によるポリフルオレン誘導体は、発光・蛍光材料、EL素子、高分子LED、有機半導体材料等の幅広い用途に応用が可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表される繰返単位を骨格とする重合体であって、数平均分子量が400〜1,000,000であることを特徴とするポリフルオレン誘導体。
    Figure 2005100437
    ただし、式中R〜Rはそれぞれ重合体の中において同一でも異なる基でもよく、水素、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基、アシル基、アリール基、ポリエチレングリコール残基、ポリ(メタ)アクリル酸残基、ポリ(2−アルキルー2−オキサゾリン)残基、ポリ(2−フッ化アルキルー2ーオキサゾリン)残基、ポリスチレン残基、両親媒性基、フッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基から選ばれる少なくとも1種の基である。
  2. 両親媒性基が一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1記載のポリフルオレン誘導体。
    Figure 2005100437
    (式中、R は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基であり、ランダム又はブロック体も含まれる。R は、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数2〜40のアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアシル基であり、Xは、1〜1000である。)
  3. 下記一般式で表されるフルオレン誘導体モノマーを酸化重合し、ホモポリマー又はコポリマーを得ることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリフルオレン誘導体の製造方法。
    Figure 2005100437
    ただし、式中R〜Rは、請求項1記載の一般式(1)又は(2)と同じである。
  4. 請求項1又は2に記載のポリフルオレン誘導体と上記一般式(3)で表される両親媒性基を有する化合物とをエステル化またはエステル交換反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフルオレン誘導体の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の9位にエステル鎖を有するポリフルオレン誘導体と末端ハロゲン化アルカノールとをエステル交換反応して、得られたハロゲン化末端含有ポリフルオレン誘導体のハロゲン化末端に(2−アルキル−2−オキサゾリン)、(2−フッ化アルキルー2ーオキサゾリン)、アクリル酸のアルキル、アルケニル、アリールエステル又は金属塩、スチレンから選ばれた重合性モノマーをグラフト重合することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリフルオレン誘導体の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載のいずれかに記載のポリフルオレン誘導体からなることを特徴とする蛍光発光材料。
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