JPWO2005095613A1 - Rad51の発現抑制剤、該発現抑制剤を有効成分として含む医薬、及びその使用 - Google Patents
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Abstract
特定の塩基配列を有する2本鎖RNAが、細胞増殖性疾患の治療に有用である。この2本鎖RNAは、Rad51遺伝子のsiRNAとして作用する。本発明における2本鎖RNAは、それ自身が細胞増殖を抑制する。また本発明の2本鎖RNAを化学療法剤とともに投与することによって、その薬理作用を更に増強する。核酸合成阻害作用、あるいは核酸障害作用を有する薬剤との併用は、特に効果的である。
Description
本発明は、Rad51の発現抑制剤、該発現抑制剤を有効成分として含む医薬、該医薬を調製する方法、あるいはがんまたは悪性腫瘍の治療方法に関する。
ここ10余年来、日本における死亡原因の第1位はがんによって占められている。がん細胞は、細胞分裂の制御機構に異常を生じた細胞が、際限の無い分裂増殖を開始した状態と説明することができる。がん細胞の無秩序な増殖が正常な組織やその機能を障害する疾患が、がんである。
がんの治療には、物理科学的な治療、外科的な治療、および投薬による治療などが行われている。物理科学的な治療は、放射線や陽子線をがん病巣に照射し、その細胞障害作用によって、がん細胞を攻撃する。外科的な治療は、固形がんを手術によって取り除く治療方法である。投薬による治療は、がん細胞の生存あるいは増殖に対して阻害的に作用する薬剤の投与によって行われる。
化学的に合成された化合物、あるいはヒト以外の生物から単離された化合物を有効成分として含有する薬剤の投与によってがんを治療する方法は、特に化学療法(chemotherapy)と呼ばれている。化学療法に用いられる薬剤が、化学療法剤(chemotherapeutic agent)である。更に化学療法剤は、その作用によって以下のように分類することができる。
制がん剤(carcinostatic agent):がん細胞の増殖を抑制する作用を有する薬剤。がん細胞は、その無秩序な増殖が疾患の原因となっている。したがって、たとえがん細胞を死滅させることができなくても、増殖を抑制することが可能であれば、治療効果を期待できる。
抗がん剤(anticancer agent):制がん剤ががん細胞の増殖を抑制するのに対して、がん細胞に対して殺傷効果を有する薬剤を特に抗がん剤と言う。制がん剤ではがんの拡大は抑制されるが、縮退効果は小さい。これに対して抗がん剤においては、がんの縮退効果が期待できる。抗がん剤は制がん剤に含まれる概念である。
抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent):制がん剤あるいは抗がん剤は、がん、すなわち悪性腫瘍に対する作用を有する薬剤を指す用語である。これに対して抗腫瘍剤は、良性腫瘍を含む腫瘍全般に対する作用を有する薬剤を言う。抗腫瘍剤は、増殖性細胞(proliferative cell)を抑制する薬剤と言うこともできる。
抗がん剤(anticancer agent):制がん剤ががん細胞の増殖を抑制するのに対して、がん細胞に対して殺傷効果を有する薬剤を特に抗がん剤と言う。制がん剤ではがんの拡大は抑制されるが、縮退効果は小さい。これに対して抗がん剤においては、がんの縮退効果が期待できる。抗がん剤は制がん剤に含まれる概念である。
抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent):制がん剤あるいは抗がん剤は、がん、すなわち悪性腫瘍に対する作用を有する薬剤を指す用語である。これに対して抗腫瘍剤は、良性腫瘍を含む腫瘍全般に対する作用を有する薬剤を言う。抗腫瘍剤は、増殖性細胞(proliferative cell)を抑制する薬剤と言うこともできる。
その他、宿主に抗腫瘍免疫を誘導する、いわゆるがんワクチンや、免疫増強剤の投与も、投薬による治療に含まれる。更に、がんを傷害する抗体、あるいはがんに結合する抗体を細胞障害性化合物で標識した抗体の投与も、投薬による治療に含まれる。これらの治療方法は、がんの種類、進行状態、そして宿主の状態などを考慮して、適切な治療方法が選択される。また、一般にこれらの治療方法は、複数の治療方法が併用される。
更に、がんの発生や増殖に関与する遺伝子の発現を調節によるがんの治療は、既に臨床応用が検討されている。たとえば以下の遺伝子の発現阻害による、がんの治療が公知である。遺伝子の発現阻害には、アンチセンスやリボザイムが利用された。
c−myc
H−ras
c−rafキナーゼ
c−myc
H−ras
c−rafキナーゼ
その他に、がんが有する細胞の修復機構の阻害によって、がんの治療効果を高める試みも報告された。細胞は、電離放射線やある種の抗がん剤によっておこるDNAの損傷を修復する機構を備えている。たとえば、相同組換え修復機構、あるいは非相同組換え修復機構は、DNA二本鎖の切断を修復する。相同組換え修復機構においては、2本鎖切断時に相同染色体や姉妹染色体分体を鋳型として組換えが行われ、切断部分が修復される。相同組換え修復に必要な酵素として次のような酵素が知られている。これらの酵素の中で、Rad51の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドで抑制すると腫瘍の放射線感受性を増強できることが知られている(US2003/0229004、WO 03/13488)。更にRAD51の阻害によってp53の遺伝子治療効果が高まることも公知である(WO 02/58738)。
Rad51 Rad52 Rad54 Rad51B Rad51C Rad51D
XRCC2 XRCC3
Rad51 Rad52 Rad54 Rad51B Rad51C Rad51D
XRCC2 XRCC3
一方、遺伝子の発現制御技術としてRNA干渉(RNA interference;RNAi)が注目されている。RNAiは、mRNAと同じ塩基配列を含む2本鎖構造を有するRNAによって、そのmRNAが切断される結果、蛋白質の発現が抑制される現象である(Nature,1998 Feb 19;391(6669):806−11;Nature,2001 May 24;411(6836):494−8)。同じ遺伝子の発現制御技術であるアンチセンスオリゴヌクレオチドによる発現抑制効果と比較して、その効果は103〜107倍に及ぶと報告されている(Biochem.Biophys.Res.Commun.296:1000−1004,2002)。RNAi効果を示す2本鎖RNAを、特にsiRNA(small interfering RNA)と呼ぶ。たとえば、その変異ががんの原因となっていることが知られている以下のような遺伝子について、siRNAによるがんの治療効果が明らかにされている。
k−ras(Nucleic Acids Res.,31:700−707,2003)
p53(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,99:14849−14854,2002)
US 2003/0229004 WO 03/13488 WO 02/58738 Fire A.et al.,Nature,1998 Feb 19;391(6669):806−11 Elbashir SM.et al.,Nature,2001 May 24;411(6836):494−8 Biochem.Biophys.Res.Commun.296:1000−1004,2002 Nucleic Acids Res.,31:700−707,2003 Martinez LA et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,99:14849−14854,2002
k−ras(Nucleic Acids Res.,31:700−707,2003)
p53(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,99:14849−14854,2002)
本発明の課題は、細胞増殖性疾患の治療技術の提供である。より具体的には、本発明は、Rad51の発現制御によるがんの治療技術の提供を課題とする。
Rad51は、大腸菌のRecAの哺乳類におけるホモログである。Rad51をノックアウトしたマウスは、胎生致死となることが報告されている。これらの情報から、Rad51が生体で極めて重要な機能を果たしていることが強く示唆されている。更に、Rad51の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドで抑制すると、腫瘍の放射線感受性を増強できることが知られている。
本発明者らは、Rad51のsiRNAによる発現抑制を実現すれば、腫瘍の治療に有用であると考え、効果的なsiRNAの探索を重ねた。その結果、配列番号:1に記載の塩基配列を含む2本鎖RNAが、Rad51のsiRNAとして有効であることを見出した。更に、当該siRNAと化学療法剤との併用によって著しい細胞増殖抑制作用が見られることを明らかにした。加えて本発明者は、siRNAあるいは化学療法剤との組成物の投与に、ウイルスエンベロープベクターの利用が有利であることを見出した。すなわち本発明は、以下の医薬組成物、あるいはsiRNAとして有用な2本鎖RNA、並びにそれらの使用に関する。
〔1〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNA。
〔2〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNAを発現するベクター。
〔3〕〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターを有効成分として含有する、Rad51遺伝子の発現抑制剤。
〔4〕Rad51遺伝子がヒトRad51遺伝子である〔3〕に記載のRad51遺伝子の発現抑制剤。
〔5〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物。
〔6〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物。
〔7〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔6〕に記載の医薬組成物。
〔8〕化学療法剤が、制がん剤(Carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される〔6〕に記載の医薬組成物。
〔9〕化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である〔6〕に記載の医薬組成物。
〔10〕化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、〔6〕に記載の医薬組成物。
〔11〕ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である〔10〕に記載の医薬組成物。
〔12〕ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔10〕に記載の医薬組成物。
〔13〕シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔10〕に記載の医薬組成物。
〔14〕化学療法剤が、2本鎖RNAとともにウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、〔6〕に記載の医薬組成物。
〔15〕ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、〔14〕に記載の医薬組成物。
〔16〕ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、〔14〕に記載の医薬組成物。
〔17〕(a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔18〕(a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔19〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔17〕または〔18〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔20〕化学療法剤が、制がん剤(carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔21〕化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔22〕化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔23〕ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔24〕ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔25〕シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔26〕2本鎖RNAが、ウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、〔17〕または〔18〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔27〕ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、〔26〕に記載の組み合わせ物。
〔28〕ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、〔26〕に記載の組み合わせ物。
〔29〕〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターを細胞に投与する工程を含む、Rad51の発現抑制方法。
〔30〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程を含む、がんまたは悪性腫瘍の治療方法。
〔31〕2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAおよび化学療法剤が封入されたウイルスエンベロープベクターを投与する工程である、〔30〕に記載の治療方法。
〔32〕2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を別々に投与する工程である、〔30〕に記載の治療方法。
〔33〕がんまたは悪性腫瘍を治療するための医薬組成物の調製のための、〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターの使用。
〔34〕医薬組成物が化学療法剤を含む、〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターの使用。
〔35〕ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
〔36〕シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
〔37〕(a)ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔38〕(a)シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔39〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔37〕または〔38〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔2〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNAを発現するベクター。
〔3〕〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターを有効成分として含有する、Rad51遺伝子の発現抑制剤。
〔4〕Rad51遺伝子がヒトRad51遺伝子である〔3〕に記載のRad51遺伝子の発現抑制剤。
〔5〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物。
〔6〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物。
〔7〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔6〕に記載の医薬組成物。
〔8〕化学療法剤が、制がん剤(Carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される〔6〕に記載の医薬組成物。
〔9〕化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である〔6〕に記載の医薬組成物。
〔10〕化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、〔6〕に記載の医薬組成物。
〔11〕ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である〔10〕に記載の医薬組成物。
〔12〕ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔10〕に記載の医薬組成物。
〔13〕シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔10〕に記載の医薬組成物。
〔14〕化学療法剤が、2本鎖RNAとともにウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、〔6〕に記載の医薬組成物。
〔15〕ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、〔14〕に記載の医薬組成物。
〔16〕ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、〔14〕に記載の医薬組成物。
〔17〕(a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔18〕(a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔19〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔17〕または〔18〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔20〕化学療法剤が、制がん剤(carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔21〕化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔22〕化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、〔17〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔23〕ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔24〕ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔25〕シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、〔22〕に記載の組み合わせ物。
〔26〕2本鎖RNAが、ウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、〔17〕または〔18〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
〔27〕ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、〔26〕に記載の組み合わせ物。
〔28〕ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、〔26〕に記載の組み合わせ物。
〔29〕〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターを細胞に投与する工程を含む、Rad51の発現抑制方法。
〔30〕配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程を含む、がんまたは悪性腫瘍の治療方法。
〔31〕2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAおよび化学療法剤が封入されたウイルスエンベロープベクターを投与する工程である、〔30〕に記載の治療方法。
〔32〕2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を別々に投与する工程である、〔30〕に記載の治療方法。
〔33〕がんまたは悪性腫瘍を治療するための医薬組成物の調製のための、〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターの使用。
〔34〕医薬組成物が化学療法剤を含む、〔1〕に記載の2本鎖RNA、または〔2〕に記載のベクターの使用。
〔35〕ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
〔36〕シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
〔37〕(a)ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔38〕(a)シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
〔39〕がんまたは悪性腫瘍の治療用である〔37〕または〔38〕のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
本発明により、Rad51のsiRNAとして有用な2本鎖RNAが提供された。本発明の2本鎖RNAは、Rad51の発現を効果的に抑制する。本発明の2本鎖RNAは、がん細胞の増殖抑制剤として有用である。あるいは放射線や陽子線の照射によるがんの治療方法において、その治療効果を高める効果を有する。Rad51のアンチセンスががんの放射線に対する感受性を増強することが知られている。本発明の2本鎖RNAは、アンチセンスよりもはるかに強力に遺伝子発現を抑制する。したがって、放射線に対する感受性の増強効果もより強力であると予測される。
また本発明の2本鎖RNAは、化学療法剤との併用によって、更に顕著な制がん作用を示す。すなわち本発明によって、2本鎖RNAと化学療法剤を含む医薬組成物が提供された。本発明の医薬組成物は、がんの治療に有用である。
また本発明の2本鎖RNAは、化学療法剤との併用によって、更に顕著な制がん作用を示す。すなわち本発明によって、2本鎖RNAと化学療法剤を含む医薬組成物が提供された。本発明の医薬組成物は、がんの治療に有用である。
[図1]5種類のRad51 siRNAの標的部位を示した図である。siRNA 321、462、989、89、及び828は、それぞれ配列番号:1、2、3、4、及び5に対応する。siRNA 321(配列番号:1)のみで発現抑制効果が見られ、他のsiRNAでは抑制効果は見られなかった。
[図2]siRNAによるRad51のノックダウンを示す写真である。HVJエンベロープベクターによりRad51 siRNA(ターゲット321)をHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現を経日的に調べた。対照として、スクランブルsiRNA(配列番号:6)を用いた。蛋白質量の内部標準としてβ−アクチンを検出した。Rad51 siRNA(321)は、長期にわたってRad51蛋白の発現を抑制できることが示されている。
[図3]アンチセンスオリゴ核酸に対するsiRNAの優位性を示す写真である。(A)Rad51 siRNA(321)、スクランブル配列(配列番号:6)からなるsiRNA(SC siRNA)、またはウイルスベクターのみ(Empty HVJ−E)をそれぞれ導入したHeLa細胞のノーザンブロットを示す。(B)同様に、従来使われてきたRad51のアンチセンスオリゴ核酸(Rad51 AS#1またはRad51 AS#2)またはRad51のアンチセンスオリゴ核酸のスクランブル配列(SCAS)をそれぞれ導入したHeLa細胞のノーザンブロットを示す。
[図4]Rad51 siRNAとブレオマイシンとの併用による抗腫瘍効果を示す図である。(A)実験のスケジュールを示す。(B)Rad51 siRNA(ターゲット321)(Rad51 siRNA)または対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA)をHVJエンベロープベクターによりそれぞれ導入したがん細胞における生存細胞数を示す。Rad51 siRNA(321)の導入は、抗がん剤効果を約2倍増強することが示されている。
[図5]Rad51 siRNAによるがん細胞のシスプラチン感受性の増強を示す図である。(A)実験のスケジュールを示す。(B)HVJエンベロープベクターにより、Rad51 siRNA(ターゲット321)(HVJ−Rad51 siRNA)または対照のスクランブルsiRNA(HVJ−SC siRNA)をHeLa細胞に導入し、経日的に細胞相対数の変化を調べた細胞増殖曲線を示す。(C)また、シスプラチンを図示した濃度で添加し、相対コロニー数を調べたコロニー形成能を示す。Rad51 siRNAとシスプラチンとの併用により、がん細胞のコロニー形成が有意に抑制されることが示されている。
[図6]Rad51 siRNA(321)及びシスプラチン(CDDP)の併用による、各種ヒトがん細胞のシスプラチン感受性の増強を示す図および写真である。(A)各種ヒトがん細胞として、PANC−1(pancreatic cancer)、AsPC−1(pancreatic cancer)、A549(lung cancer)、DU145(prostate cancer)、MCF7(mammary carcinoma)、及びHeLa S−3(cervical cancer)における蛋白レベルを示す。内部標準として用いたKu70及びβアクチンはほぼ同レベルであるのに対し、Rad51蛋白レベルは様々であることが示されている。(B)siRNAに加えてCDDP(0.1μg/ml)を投与した場合の細胞の生存率を示す。対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA+0.1μg/ml CDDP)の場合は80%以上の細胞が生存したのに対し、Rad51 siRNA(321)(Rad51 siRNA+0.1μg/ml CDDP)の場合はどのがん細胞においてもCDDP感受性が30%以上増加した。
[図7]Rad51 siRNA(321)を正常ヒト細胞またはがん細胞に導入したときの、シスプラチン(CDDP)感受性の変化を示す図である。(A)Rad51 siRNA(321)を導入したヒト正常2倍体繊維芽細胞(Normal human diploid fibroblast、NHDF)またはHeLa細胞におけるシスプラチン濃度依存性を示す。NHDFでは、シスプラチン濃度の上昇に伴う感受性の変化は観察されず、約90%の細胞が生存していたのに対し、HeLa細胞ではCDDPの濃度依存性に感受性が増強された。(B)Rad51 siRNA(321)を導入したNHDFまたはHeLa細胞において、CDDPの有無によるアポトーシスの率の相違を、アネキシンV(AnnexinV)陽性細胞の割合として測定した。CDDP非存在下(Rad51 siRNA+Medium)ではアポトーシス細胞の率はHeLa細胞(4.0±1.1%)とNHDF(3.2 ±0.5%)とで変化がなかった。しかしCDDP存在下(Rad51 siRNA+0.1μg/ml CDDP)では、アポトーシス細胞の率はHeLa細胞で15.0%に増加したのに対し、NHDFではほとんど増加しなかった(4.9%)。
[図8]Rad51 siRNA(321)とシスプラチンとの併用によるインビボにおける抗腫瘍効果を示す図である。マウスにHeLa細胞を移植して形成させた腫瘍塊に、Rad51 siRNA(ターゲット321)(Rad51 siRNA)、対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA)をHVJエンベロープベクターにより導入し、さらにシスプラチン(CDDP)を腹腔内投与して腫瘍体積の変化を調べた。Rad51 siRNA(321)とシスプラチンの併用により、腫瘍増殖が完全に抑制できることが示されている。
[図2]siRNAによるRad51のノックダウンを示す写真である。HVJエンベロープベクターによりRad51 siRNA(ターゲット321)をHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現を経日的に調べた。対照として、スクランブルsiRNA(配列番号:6)を用いた。蛋白質量の内部標準としてβ−アクチンを検出した。Rad51 siRNA(321)は、長期にわたってRad51蛋白の発現を抑制できることが示されている。
[図3]アンチセンスオリゴ核酸に対するsiRNAの優位性を示す写真である。(A)Rad51 siRNA(321)、スクランブル配列(配列番号:6)からなるsiRNA(SC siRNA)、またはウイルスベクターのみ(Empty HVJ−E)をそれぞれ導入したHeLa細胞のノーザンブロットを示す。(B)同様に、従来使われてきたRad51のアンチセンスオリゴ核酸(Rad51 AS#1またはRad51 AS#2)またはRad51のアンチセンスオリゴ核酸のスクランブル配列(SCAS)をそれぞれ導入したHeLa細胞のノーザンブロットを示す。
[図4]Rad51 siRNAとブレオマイシンとの併用による抗腫瘍効果を示す図である。(A)実験のスケジュールを示す。(B)Rad51 siRNA(ターゲット321)(Rad51 siRNA)または対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA)をHVJエンベロープベクターによりそれぞれ導入したがん細胞における生存細胞数を示す。Rad51 siRNA(321)の導入は、抗がん剤効果を約2倍増強することが示されている。
[図5]Rad51 siRNAによるがん細胞のシスプラチン感受性の増強を示す図である。(A)実験のスケジュールを示す。(B)HVJエンベロープベクターにより、Rad51 siRNA(ターゲット321)(HVJ−Rad51 siRNA)または対照のスクランブルsiRNA(HVJ−SC siRNA)をHeLa細胞に導入し、経日的に細胞相対数の変化を調べた細胞増殖曲線を示す。(C)また、シスプラチンを図示した濃度で添加し、相対コロニー数を調べたコロニー形成能を示す。Rad51 siRNAとシスプラチンとの併用により、がん細胞のコロニー形成が有意に抑制されることが示されている。
[図6]Rad51 siRNA(321)及びシスプラチン(CDDP)の併用による、各種ヒトがん細胞のシスプラチン感受性の増強を示す図および写真である。(A)各種ヒトがん細胞として、PANC−1(pancreatic cancer)、AsPC−1(pancreatic cancer)、A549(lung cancer)、DU145(prostate cancer)、MCF7(mammary carcinoma)、及びHeLa S−3(cervical cancer)における蛋白レベルを示す。内部標準として用いたKu70及びβアクチンはほぼ同レベルであるのに対し、Rad51蛋白レベルは様々であることが示されている。(B)siRNAに加えてCDDP(0.1μg/ml)を投与した場合の細胞の生存率を示す。対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA+0.1μg/ml CDDP)の場合は80%以上の細胞が生存したのに対し、Rad51 siRNA(321)(Rad51 siRNA+0.1μg/ml CDDP)の場合はどのがん細胞においてもCDDP感受性が30%以上増加した。
[図7]Rad51 siRNA(321)を正常ヒト細胞またはがん細胞に導入したときの、シスプラチン(CDDP)感受性の変化を示す図である。(A)Rad51 siRNA(321)を導入したヒト正常2倍体繊維芽細胞(Normal human diploid fibroblast、NHDF)またはHeLa細胞におけるシスプラチン濃度依存性を示す。NHDFでは、シスプラチン濃度の上昇に伴う感受性の変化は観察されず、約90%の細胞が生存していたのに対し、HeLa細胞ではCDDPの濃度依存性に感受性が増強された。(B)Rad51 siRNA(321)を導入したNHDFまたはHeLa細胞において、CDDPの有無によるアポトーシスの率の相違を、アネキシンV(AnnexinV)陽性細胞の割合として測定した。CDDP非存在下(Rad51 siRNA+Medium)ではアポトーシス細胞の率はHeLa細胞(4.0±1.1%)とNHDF(3.2 ±0.5%)とで変化がなかった。しかしCDDP存在下(Rad51 siRNA+0.1μg/ml CDDP)では、アポトーシス細胞の率はHeLa細胞で15.0%に増加したのに対し、NHDFではほとんど増加しなかった(4.9%)。
[図8]Rad51 siRNA(321)とシスプラチンとの併用によるインビボにおける抗腫瘍効果を示す図である。マウスにHeLa細胞を移植して形成させた腫瘍塊に、Rad51 siRNA(ターゲット321)(Rad51 siRNA)、対照のスクランブルsiRNA(SC siRNA)をHVJエンベロープベクターにより導入し、さらにシスプラチン(CDDP)を腹腔内投与して腫瘍体積の変化を調べた。Rad51 siRNA(321)とシスプラチンの併用により、腫瘍増殖が完全に抑制できることが示されている。
本発明は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNAに関する。本発明の2本鎖RNAを構成するセンス鎖の長さは、少なくとも19塩基(配列番号:1)、通常19〜50塩基、たとえば19〜30塩基、好ましくは19〜25塩基、あるいは19〜23塩基である。本発明の2本鎖RNAを構成するセンス鎖の塩基配列には、2本鎖RNAがRad51の発現を抑制する機能を有する限り、ヒトRad51のmRNAを構成する塩基配列と完全に同一でない塩基配列が含まれる。たとえば、1−5塩基の変異は許容される。より具体的には、配列番号:1における1塩基の変異は許容される。
本発明の2本鎖RNAにおいて、センス鎖の塩基配列が配列番号:1に記載の塩基配列よりも長い塩基配列で構成される場合には、配列番号:1の塩基配列に対して任意の塩基配列が付加される。本発明において、配列番号:1の塩基配列に付加される塩基配列は、好ましくは、ヒトRad51のmRNAを構成する塩基配列から選択することができる。配列番号:1に示した塩基配列は、ヒトRad51のmRNAを構成する塩基配列中、321〜339塩基に相当する領域の塩基配列である。したがって、当該領域を含む連続する塩基配列は、本発明における付加される塩基配列として好ましい。
更に、本発明の2本鎖RNAを構成するアンチセンス鎖は、センス鎖に対して高度な相補性を有する塩基配列で構成される。本発明において高度な相補性とは、たとえば90%以上、通常95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の相補性を言う。塩基配列の相補性は、blastnなどの公知のアルゴリズムによって決定することができる。本発明の2本鎖RNAを構成するアンチセンス鎖の塩基配列には、2本鎖RNAがRad51の発現を抑制する機能を有する限り、センス鎖に対して完全に相補的でない塩基配列が含まれる。たとえば、1−5塩基の変異は許容される。より具体的には、アンチセンス鎖における1塩基の変異は許容される。
本発明において、2本鎖RNAとは、塩基対結合によって相補鎖をともなった構造を有するRNAを言う。2本鎖RNAを構成するセンス鎖とアンチセンス鎖は、異なる分子であっても良いし、同一の分子であることもできる。同一の分子の場合には、互いに相補的な塩基配列が同一のRNA分子の上に配置される。通常、このような分子は、センス鎖とアンチセンス鎖の間の塩基対結合によって、ステムループ構造を構成する。すなわち本発明の2本鎖RNAには、2本鎖RNA構造を部分構造として含むステムループRNAが含まれる。
本発明の2本鎖RNAは、RNAポリメラーゼを利用して酵素的にRNAを合成することによって得ることができる。RNAの酵素的な合成方法は公知である。すなわち、RNAポリメラーゼの認識配列(プロモーター)の下流に目的とするRNAをコードするDNAを配置した鋳型DNAを合成する。2本鎖RNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を異なる分子として発現させる場合には、それぞれをコードするDNAがプロモーターの制御下に発現するようにデザインする。センス鎖とアンチセンス鎖を同一のベクターに配置することもできるし、異なるベクターに組み込んで同一の細胞に共形質転換することもできる。あるいは、同一分子として両者を発現させるには、目的とするステムループを構成するRNAをコードするDNAをベクターに組み込めばよい。ステムループ構造を与えるRNAにおいて、ループ部分を構成する塩基配列は任意である。一般には、5−20塩基程度の任意の塩基配列が利用される。たとえば、5’−ugugcuguc−3’(9塩基)などの塩基配列は、効果的なステムループ構造のsiRNAを与える。
鋳型DNAに、リボヌクレオチド基質の存在下、RNAポリメラーゼを作用させれば、鋳型DNAの塩基配列がRNAに転写される。RNAポリメラーゼは、細胞内、あるいは細胞外において、鋳型DNAに作用させることができる。RNAの転写には、T7RNAポリメラーゼなどを利用することができる。細胞外で転写されたセンス鎖とアンチセンス鎖は、ハイブリダイズさせることによって2本鎖RNAを構成する。
鋳型DNAに、リボヌクレオチド基質の存在下、RNAポリメラーゼを作用させれば、鋳型DNAの塩基配列がRNAに転写される。RNAポリメラーゼは、細胞内、あるいは細胞外において、鋳型DNAに作用させることができる。RNAの転写には、T7RNAポリメラーゼなどを利用することができる。細胞外で転写されたセンス鎖とアンチセンス鎖は、ハイブリダイズさせることによって2本鎖RNAを構成する。
細胞内で目的とするRNAを合成するためには、通常、目的とするRNAをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターが細胞に導入される。siRNAを細胞内で発現させるためのベクターは公知である。たとえば、以下の報告においては、PolIII転写系を利用したsiRNAの発現ベクターとして、U6プロモーター、あるいはH1プロモーターなどを含む発現ベクターが利用されている。PolIII転写系によって転写されたRNAは、転写産物の3’末端に4つのuが付加される。
Brummelkamp et al.,:Science,296:550−553,2002
Lee et al.,:Nature Biotechnol.,20:500−505,2002
Miyagishi et al.,:Nature Biotechnol.,20:497−500,2002
Paddison et al.,:Genes & Dev.,16:948−958,2002
Sui et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:5515−5520,2002
Paul et al.,:Nature Biotechnol.,20:505−508,2002
Yu et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:6047−6052,2002
Tuschl et al.,:Nature Biotechnol.,20:446−448,2002
McManus et al.,:Nature Rev.Genet.,3:737−747,2002
Dykxhoorn et al.,:Nature Rev.Mol.Cell Biol.,77:7174−7181,2003
Brummelkamp et al.,:Science,296:550−553,2002
Lee et al.,:Nature Biotechnol.,20:500−505,2002
Miyagishi et al.,:Nature Biotechnol.,20:497−500,2002
Paddison et al.,:Genes & Dev.,16:948−958,2002
Sui et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:5515−5520,2002
Paul et al.,:Nature Biotechnol.,20:505−508,2002
Yu et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:6047−6052,2002
Tuschl et al.,:Nature Biotechnol.,20:446−448,2002
McManus et al.,:Nature Rev.Genet.,3:737−747,2002
Dykxhoorn et al.,:Nature Rev.Mol.Cell Biol.,77:7174−7181,2003
PolIII転写系を利用したsiRNA発現用ベクターとして、以下の市販のベクター(宝バイオ製)を利用することもできる。U6プロモーターを利用したsiRNA発現ベクター:
pBAsi−hU6 DNA:human U6 promoter(Accession X07425)
pBAsi−mU6 DNA:mouse U6 promoter(Accession X06980)
H1プロモーターを利用したsiRNA発現ベクター:
pBAsi−hH1 DNA:human H1 promoter(Accession S68670)
pBAsi−hU6 DNA:human U6 promoter(Accession X07425)
pBAsi−mU6 DNA:mouse U6 promoter(Accession X06980)
H1プロモーターを利用したsiRNA発現ベクター:
pBAsi−hH1 DNA:human H1 promoter(Accession S68670)
更に、次のようなウイルスベクターにsiRNAコンストラクトを導入し、長期にわたって細胞中でsiRNAを発現させる試みも知られている。これらのウイルスベクターも、本発明の2本鎖RNAを発現させるためのベクターとして利用することができる。
アデノウイルス(Zender et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:7797−7802,2003;Xia.et al.,Nature Biotechnol.,20:1006−1010,2002)
レンチウイルス(Qin et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:183−188,2003)
レトロウイルス(Barton et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14943−14945,2002)
アデノ随伴ウイルス(Nature Med.,9:1539−1544,2003)
その他、RNAを化学的に合成することもできる。RNAを化学的に合成する方法は公知である。
アデノウイルス(Zender et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:7797−7802,2003;Xia.et al.,Nature Biotechnol.,20:1006−1010,2002)
レンチウイルス(Qin et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,100:183−188,2003)
レトロウイルス(Barton et al.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14943−14945,2002)
アデノ随伴ウイルス(Nature Med.,9:1539−1544,2003)
その他、RNAを化学的に合成することもできる。RNAを化学的に合成する方法は公知である。
本発明の2本鎖RNAはRNAi効果によって、Rad51遺伝子を発現する細胞において、その発現を抑制する。すなわち本発明の2本鎖RNAは、Rad51の発現を制御するsiRNAとして有用である。すなわち本発明は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖(アンチセンス鎖)とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNA、またはそれを発現するベクターを含有する、ヒトRad51遺伝子の発現抑制剤を提供する。あるいは本発明は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNA、またはそれを発現するベクターを投与する工程を含む、Rad51の発現抑制方法に関する。
がん細胞におけるRad51の発現抑制が、がん細胞の放射線感受性を増強することがアンチセンスヌクレオチドを用いた実験で明らかにされている。本発明の2本鎖RNAは、アンチセンスヌクレオチドよりも強力にRad51の発現を抑制する。したがって本発明の2本鎖RNAは、Rad51の発現抑制を通じて、細胞増殖性疾患の治療に利用することができる。すなわち本発明は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
更に本発明者は、本発明の2本鎖RNAが、化学療法剤の治療効果を増強することを確認した。すなわち本発明は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤の両方を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
さらに本発明の医薬組成物は、配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤のそれぞれを有効成分として含有する別々の医薬組成物の組み合わせ物としても提供される。本発明の医薬組成物は、特に細胞増殖性疾患の治療に有用である。本発明における細胞増殖性疾患には、たとえばがんが含まれる。
一方、本発明において、化学療法剤は、制がん剤(carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agent,or antineoplastic agent)を含む。本発明における望ましい化学療法剤は、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である。本発明において、核酸合成阻害作用とは、DNAあるいはRNAの合成を阻害することを言う。核酸障害作用には、核酸の修飾、あるいは切断などの作用が含まれる。具体的には、たとえば以下の化学療法剤を好ましい化学療法剤として示すことができる。以下に示す化学療法剤の中で、ブレオマイシンとシスプラチンは、2本鎖RNAとの組み合わせによって、特にがん細胞に対する障害作用に優れる組成物とすることができる。すなわち、ブレオマイシンまたはシスプラチンは、本発明における化学療法剤として好ましい。
ブレオマイシン類(Bleomycins):
ブレオマイシン類は、Streptomyces verticillusから得られた抗生物質群である。構造的には、水溶性塩基性の糖ペプチド化合物である。ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、並びにペプロマイシンなどが制がん剤として実用化されている。DNA分子の切断作用、並びにATP依存性DNAリガーゼの阻害作用を有する。扁平上皮がんの治療などに用いられている。ブレオマイシン類の薬学的に許容される塩としては、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンなどを示すことができる。
ブレオマイシン類は、Streptomyces verticillusから得られた抗生物質群である。構造的には、水溶性塩基性の糖ペプチド化合物である。ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、並びにペプロマイシンなどが制がん剤として実用化されている。DNA分子の切断作用、並びにATP依存性DNAリガーゼの阻害作用を有する。扁平上皮がんの治療などに用いられている。ブレオマイシン類の薬学的に許容される塩としては、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンなどを示すことができる。
アントラキノン系制がん剤:
Strepotomyces属の産物で、特に急性白血病に対して治療効果を持つものが多い。更にダウノシルビシンの構造を化学的に修飾して得られたドキソルビシンが合成され、固形腫瘍にも強い薬理活性を持つことがわかった。アントラキノン系制がん剤の薬理作用には、多くのメカニズムが関与することが明らかにされている。具体的には、DNA内への挿入、トポイソメラーゼIIとの相互作用、フリーラジカルの産生、あるいは細胞膜への作用などが報告されている。ミトキサントロンは、骨髄性白血病や乳がんの治療に用いられる。イダルビシンは経口投与が可能である。
塩酸ミトキサントロン(mitoxantrone)
塩酸アクラルビシン(aciarubicin)
塩酸イダルビシン(idarubicin)
Strepotomyces属の産物で、特に急性白血病に対して治療効果を持つものが多い。更にダウノシルビシンの構造を化学的に修飾して得られたドキソルビシンが合成され、固形腫瘍にも強い薬理活性を持つことがわかった。アントラキノン系制がん剤の薬理作用には、多くのメカニズムが関与することが明らかにされている。具体的には、DNA内への挿入、トポイソメラーゼIIとの相互作用、フリーラジカルの産生、あるいは細胞膜への作用などが報告されている。ミトキサントロンは、骨髄性白血病や乳がんの治療に用いられる。イダルビシンは経口投与が可能である。
塩酸ミトキサントロン(mitoxantrone)
塩酸アクラルビシン(aciarubicin)
塩酸イダルビシン(idarubicin)
マイトマイシン類(mitomycins):
Streptomyces caespitosusから単離された抗生物質、およびその誘導体である。分子構造中に、キノン、ウレタン、アジリジンという3つの制がん作用を有する構造を持つ。DNAのアルキル化によってDNAの側鎖に結合し合成を阻害する。作用スペクトルが広く、多様ながんに対する有効性が知られている。
Streptomyces caespitosusから単離された抗生物質、およびその誘導体である。分子構造中に、キノン、ウレタン、アジリジンという3つの制がん作用を有する構造を持つ。DNAのアルキル化によってDNAの側鎖に結合し合成を阻害する。作用スペクトルが広く、多様ながんに対する有効性が知られている。
アクチノマイシン類(actinomysins):
Streptomyces属の放線菌から単離された複数の化合物、並びにその誘導体が知られている。たとえば、Streomyces paraullusから単離されたアクチノマイシンDは、橙黄色発色団とペプチドが結合した構造を有する巨大分子である。DNAの二重らせん構造のグアニンとアクチノマイシンDが結合し、転写を阻害する。ウイルスムス腫瘍やホジキン病等の治療に用いられる。
Streptomyces属の放線菌から単離された複数の化合物、並びにその誘導体が知られている。たとえば、Streomyces paraullusから単離されたアクチノマイシンDは、橙黄色発色団とペプチドが結合した構造を有する巨大分子である。DNAの二重らせん構造のグアニンとアクチノマイシンDが結合し、転写を阻害する。ウイルスムス腫瘍やホジキン病等の治療に用いられる。
カンプトテシン類:
クロタキカズラ科クサミズキ(Nothapodytes foetida)、ヌマミズキ科カンレンボク(Camptotheca acuminata)などから抽出された植物アルカロイド、並びにその類縁化合物である。分子構造に、キノリン骨格を有する。イリノテカン(トポテシン)、ノギテカン、エキサテカンは、植物カンプトテシンの誘導体である。
クロタキカズラ科クサミズキ(Nothapodytes foetida)、ヌマミズキ科カンレンボク(Camptotheca acuminata)などから抽出された植物アルカロイド、並びにその類縁化合物である。分子構造に、キノリン骨格を有する。イリノテカン(トポテシン)、ノギテカン、エキサテカンは、植物カンプトテシンの誘導体である。
シスプラチン類(cisplatins):
シスプラチンは、構造中に白金を含む錯体化合物で、がんの成長を抑制する働きがある。シスプラチン類に含まれる制がん剤として、カルボプラチン、およびネダプラチンなどが知られている。いずれの化合物も、DNAのグアニンと結合することによって制がん作用をもたらすと考えられている。シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)などが知られている。
シスプラチンは、構造中に白金を含む錯体化合物で、がんの成長を抑制する働きがある。シスプラチン類に含まれる制がん剤として、カルボプラチン、およびネダプラチンなどが知られている。いずれの化合物も、DNAのグアニンと結合することによって制がん作用をもたらすと考えられている。シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)などが知られている。
ストレプトゾトシン:
メチルニトロソウレアとして膵島細胞に直接の毒性はあるものの、臨床的に抗がん剤として有用であることが確認された。ストレプトゾトシンは、膵のインスリノーマや消化管内分泌腫瘍の治療手段の一つとなりうる。
メチルニトロソウレアとして膵島細胞に直接の毒性はあるものの、臨床的に抗がん剤として有用であることが確認された。ストレプトゾトシンは、膵のインスリノーマや消化管内分泌腫瘍の治療手段の一つとなりうる。
5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体:
ピリミジン代謝拮抗物質(antipyrimidines)に分類される制がん剤には、以下のような化合物が知られている。これらの化合物はDNA合成においてピリミジンと拮抗し、DNAポリメラーゼを阻害する。各種の固形がんや白血病に対する有効性が確認されている。
5−フルオロウラシル(5−FU)
5−フルオロデオキシウリジン(FUDR)
テガフール
シタラビン
アンシタビン
アザウリジン
ピリミジン代謝拮抗物質(antipyrimidines)に分類される制がん剤には、以下のような化合物が知られている。これらの化合物はDNA合成においてピリミジンと拮抗し、DNAポリメラーゼを阻害する。各種の固形がんや白血病に対する有効性が確認されている。
5−フルオロウラシル(5−FU)
5−フルオロデオキシウリジン(FUDR)
テガフール
シタラビン
アンシタビン
アザウリジン
ピラルビシン:
心毒性の少ない新しいアンスラサイクリン抗生物質を微生物(放線菌)の培養液中から探索し、1975年にアクラルビシン(aclarubicin)(アクラシノマイシンA)が発見された。さらにアドリアマイシン誘導体の合成研究から得られた心毒性の弱いピラルビシン(pirarubicin)は、現在有用ながん化学療法剤として使用されている。
心毒性の少ない新しいアンスラサイクリン抗生物質を微生物(放線菌)の培養液中から探索し、1975年にアクラルビシン(aclarubicin)(アクラシノマイシンA)が発見された。さらにアドリアマイシン誘導体の合成研究から得られた心毒性の弱いピラルビシン(pirarubicin)は、現在有用ながん化学療法剤として使用されている。
本発明者らの知見によれば、化学療法剤であるブレオマイシンあるいはシスプラチンの抗がん作用が、Rad51の発現を抑制することによって増強された。言い換えれば、Rad51インヒビターは、ブレオマイシンあるいはシスプラチンの抗がん作用を増強する。すなわち本発明は、ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、若しくはシスプラチンまたはその薬学的に許容される塩と、Rad51インヒビターを含む、医薬組成物を提供する。あるいは本発明は、ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、若しくはシスプラチンまたはその薬学的に許容される塩と、Rad51インヒビターの、細胞増殖性疾患の治療のための医薬組成物の製造における使用に関する。また本発明は、ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、若しくはシスプラチンまたはその薬学的に許容される塩と、Rad51インヒビターとを投与する工程を含む、細胞増殖性疾患の治療方法を提供する。本発明における好ましい細胞増殖性疾患は、がんである。
本発明において、Rad51インヒビターとは、Rad51の発現、および活性のいずれか、または両方を抑制することができる任意の化合物を含む。好ましいRad51インヒビターは、siRNAである。たとえば配列番号:1に示す塩基配列をセンス鎖に含む2本鎖RNAは、Rad51の発現を強力に抑制する。また、Rad51の発現を抑制するアンチセンス核酸が公知である(US 2003/0229004)。
本発明の2本鎖RNA、あるいは2本鎖RNAを発現することができるDNAは、がん細胞に導入することにより、がんの治療に利用することができる。がん細胞への導入には、任意の方法を利用することができる。たとえば、各種のトランスフェクション用の試薬が公知である。あるいはリポソームやウイルスエンベロープベクターに封入し、がん細胞に導入することもできる。
また2本鎖RNAと化学療法剤とを含む本発明の医薬組成物も同様に、任意の方法によってがん細胞に導入し、その治療に利用することができる。たとえば、リポソームやウイルスエンベロープベクターは、2本鎖RNAと化学療法剤とを含む本発明の医薬組成物をがん細胞に導入するためのキャリアとして好ましい。
また2本鎖RNAと化学療法剤とを含む本発明の医薬組成物も同様に、任意の方法によってがん細胞に導入し、その治療に利用することができる。たとえば、リポソームやウイルスエンベロープベクターは、2本鎖RNAと化学療法剤とを含む本発明の医薬組成物をがん細胞に導入するためのキャリアとして好ましい。
たとえば、リポソームをウイルス外膜と共に利用するin vivo遺伝子導入方法、あるいはHVJ−リポソーム媒介遺伝子導入法が開発されている(Science,243:375−378(1989);Anal.NY Acad.Sci.772:126−139(1995))。既に、該方法を用いて肝臓、腎臓、血管壁、心臓及び脳を含む種々の組織へのin vivoでの遺伝子導入が成功している(Gene Therapy 7:417−427(2000);Science 243:375−378(1989);Biochem.Biophys.Res.Commun.186:129−134(1992);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8474−8478(1993);Am.J.Physiol.271(Regulatory Integrative Comp.Physiol.40):R1212−R1220(1996))。
ところが、HVJ−リポソーム法においては、ウイルス及びリポソームという異なるビヒクルが必須であり、準備が複雑である。また、HVJをリポソームと融合することによってウイルス粒子よりも平均直径が1.3倍大きくなる。その結果、細胞との融合活性が野生型ウイルスの10%以下に減少すること、及び遺伝子導入が不可能な組織、または導入効率の悪い組織が存在することが知られている。そこで、より安全で高効率な遺伝子治療を可能にする方法として、ウイルスエンベロープベクターを用いた遺伝子導入法が開発されている(特開2001−286282)。この方法では、ウイルス蛋白質を複製しない不活性化ウイルスをウイルスエンベロープとし、その中へ遺伝子などを封入することにより、培養細胞、生体組織等への遺伝子導入ベクターとして用いることができる。このようなウイルスエンベロープベクターを使用することにより、肝臓、骨格筋、子宮、脳、眼部、頚動脈、皮膚、血管、肺、心臓、腎臓、脾臓、がん組織、神経、Bリンパ球、呼吸器官の組織、浮遊細胞等に安全、且つ高効率に遺伝子を導入できることが知られている。
ウイルスエンベロープは、精製されたウイルスに目的とする医薬組成物を界面活性剤存在下で混和するか、または、ウイルスと医薬組成物との混合液を凍結融解することにより調製することができる(特開2001−286282)。ここで医薬組成物とは、2本鎖RNA、2本鎖RNAを発現するDNA、あるいは2本鎖RNAと化学療法剤を含む医薬組成物を用いることができる。
ウイルス−エンベロープ法において用いることができるウイルスとしては、例えば、レトロウイルス、トガウイルス、コロナウイルス、フラビウイルス、パラミクソウイルス、オルトミクソウイルス、ブニヤウイルス、ラブドウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、ヘパドナウイルス等の科に属するウイルスを挙げることができる。より具体的には、センダイウイルス(HVJ)、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスを用いることができる。ウイルスとしては、野生型及び組換え型のいずれのウイルスを用いることができる。特にHVJとしては、Hasan M.K.ら(J.General Virol.78:2813−2820(1997))、または、Yonemitsu Y.ら(Nature Biotech.18:970−973(2000))等により報告されている組換え型のHVJを用いることもできる。
一般に、HVJ−リポソーム法及びHVJ−エンベロープ法において用いるHVJとしてはZ株(ATCCより入手可能)が好ましいが、基本的には他のHVJ株(例えばATCC VR−907やATCC VR−105等)も用いることができる。また、ウイルスエンベロープの調製する際に、精製されたウイルスをUV照射等により不活性化した後に、所望の発現ベクターを混和しても良い。ウイルスと医薬組成物を混和する際に用いることができる界面活性剤としては、例えば、オクチグルコシド、Triton X−100、CHAPS、NP−40等が挙げられる。このようにして調製されたウイルスエンベロープベクターは、注射等により治療または予防の標的となる組織に導入することができる。また、−20℃で凍結することにより、少なくとも2〜3ヶ月保存することも可能である。
本発明の医薬組成物を含むウイルスエンベロープベクターの患者への導入法としては、遺伝子治療剤を直接体内に導入するin vivo法及びヒトからある種の細胞を取り出して体外で遺伝子治療剤を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法が挙げられる(日経サイエンス、1994年4月号:20−45頁;月刊薬事36(1):23−48(1994);実験医学増刊12(15):(1994);日本遺伝学治療学会編 遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス(1999))。本発明では、in vivo法が特に好ましい。
製剤形態としては、上記の各投与形態に合った種々の公知の製剤形態(例えば液剤等)をとり得る。例えば有効成分である2本鎖RNA、あるいは2本鎖RNAと化学療法剤を含有する注射剤として製剤する場合、このような注射剤は定法により調製することができ、例えば適切な溶剤(PBS等の緩衝液、生理食塩水、滅菌水等)に溶解した後、必要に応じてフィルター等で濾過滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。必要に応じて、注射剤には慣用の担体等を加えても良い。また、HVJ−リポソーム等のリポソーム製剤としては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等の形態が挙げられる。
本発明の医薬組成物は治療目的のがんの、症状等に応じた適当な投与方法及び投与部位が選択される。特に、非経口的な投与が好ましい。本発明における2本鎖RNAの投与量の範囲は、通常、0.5〜100mmol/腫瘍、たとえば1〜50mmol/腫瘍を例示することができる。また2本鎖RNAを発現するDNAとして投与される場合には、通常、1〜1000μg/腫瘍、たとえば10〜500μg/腫瘍を例示することができる。更に、化学療法剤を組み合わせる場合には、各化学療法剤において設定されている標準的な投与スケジュールを適用することができる。たとえば化学療法剤としてブレオマイシンを組み合わせる場合、成人1人(体重60kg)あたり、通常、0.1〜100mg(力価)/day、たとえば1〜50mg(力価)/day、好ましくは5〜30mg(力価)/dayを例示することができる。あるいはシスプラチンを組み合わせる場合、成人1人(体重60kg)あたり、通常1〜1000mg/m2(体表面積)、たとえば5〜500mg/m2(体表面積)、好ましくは10〜100mg/m2(体表面積)を例示することができる。
更に本発明における投与スケジュールとしては、たとえば以下のようなスケジュールを示すことができる。すなわち、化学療法剤としてブレオマイシンを用いる場合には、15〜30mg(静脈注射、筋肉内注射、あるいは皮下注射の場合)、あるいは5〜15mg(動脈注射)を、1週間2回を原則として、1日1回投与することができる。投与回数は、経過を観察しながら、1週間1回に調節することもできる。
またシスプラチンを化学療法剤として用いる場合には、15〜20mg/m2(体表面積)を5日投与(1日1回))し、2週間の休養の後、同じスケジュールの投与を繰り返す(反復投与)ことができる。反復投与のスケジュールは、適宜調節することができる。たとえば、70−90mg/m2(体表面積)を5日投与(1日1回))し、3週間の休養の後、同じスケジュールの投与を繰り返す(反復投与)こともできる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
[実施例1]Rad51 siRNAの作成と細胞への導入
ヒトのRad51(Accession number NM_002875)のsiRNAとして、米国Dharmacon社に製造を依頼し、以下に示した5種類の塩基配列からなるセンス鎖と、その相補配列からなるアンチセンス鎖で構成されたsiRNAを合成した(図1)。
これら5種類のsiRNAを、HVJエンベロープベクターを用いてHeLa細胞(ATCC.CCL−2;Gey,G.O.et al.,Cancer Res.,12:264−265,1952)に導入した。
[実施例1]Rad51 siRNAの作成と細胞への導入
ヒトのRad51(Accession number NM_002875)のsiRNAとして、米国Dharmacon社に製造を依頼し、以下に示した5種類の塩基配列からなるセンス鎖と、その相補配列からなるアンチセンス鎖で構成されたsiRNAを合成した(図1)。
これら5種類のsiRNAを、HVJエンベロープベクターを用いてHeLa細胞(ATCC.CCL−2;Gey,G.O.et al.,Cancer Res.,12:264−265,1952)に導入した。
Rad51 siRNAは以下の条件で導入した。siRMAのトランスフェクションの前日に、1x105のHeLa細胞を6ウェルプレートに撒いた。
公知の方法(Kaneda Y.et al.,Mol Ther.2002 Aug;6(2):219−26.)にしたがって、不活化HVJを調製した。6000 HAU(hemagglutinating units)の不活化HVJを含むサンプルチューブに、60μlの40μM Rad51 siRNA(配列番号:1〜5のいずれかを含む)または対照のスクランブル配列(5’−gcgcgcuuuguaggauucg−3’)からなるsiRNA(配列番号:6)を加え、さらに6μlの2% Triton X−100を加えた。10000 xgで10分間遠心した後、上清を除き、沈殿を180μlのPBS(phosphate buffered saline)に懸濁した。15μlの10mg/ml硫酸プロタミンを加え(終濃度50μg/ml)、3mlのDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)を加えた。このHVJエンベロープベクターおよび各siRNAを含む溶液500μl(1000HAU)を、各ウェル中のHeLa細胞に加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、HVJエンベロープベクター溶液を除去し、37℃、5% CO2で細胞を培養した。
公知の方法(Kaneda Y.et al.,Mol Ther.2002 Aug;6(2):219−26.)にしたがって、不活化HVJを調製した。6000 HAU(hemagglutinating units)の不活化HVJを含むサンプルチューブに、60μlの40μM Rad51 siRNA(配列番号:1〜5のいずれかを含む)または対照のスクランブル配列(5’−gcgcgcuuuguaggauucg−3’)からなるsiRNA(配列番号:6)を加え、さらに6μlの2% Triton X−100を加えた。10000 xgで10分間遠心した後、上清を除き、沈殿を180μlのPBS(phosphate buffered saline)に懸濁した。15μlの10mg/ml硫酸プロタミンを加え(終濃度50μg/ml)、3mlのDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)を加えた。このHVJエンベロープベクターおよび各siRNAを含む溶液500μl(1000HAU)を、各ウェル中のHeLa細胞に加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、HVJエンベロープベクター溶液を除去し、37℃、5% CO2で細胞を培養した。
各siRNA導入1日後のRad51 mRNAをノーザンブロットで調べた結果、Rad51発現に対して抑制効果のあったsiRNAは1種類で、その配列はコドン321からの19塩基(+2塩基のオーバーハング)を持つGAGCUUGACAAACUACUUC(配列番号:1)であった(図1;以後「321」とも称す)。その他の4候補(配列番号:2〜5)は全く抑制効果がなかった。そこで、抑制効果のあったRad51 siRNA(321、配列番号:1)を用いて以降の実験を行った。
[実施例2]siRNAによるRad51蛋白の発現抑制
効果のあった1種類(321、配列番号:1)のRad51 siRNAを、実施例1のようにしてHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現抑制効果を経日的に調べた。対照として、スクランブル配列からなるsiRNA(配列番号:6)を同様にHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現を経日的に調べた。Rad51 siRNA(321)は、4日間は完全にRad51蛋白の発現を検出感度以下に抑制した。5日目においてもその発現量は導入前の10%以下であった(図2)。
効果のあった1種類(321、配列番号:1)のRad51 siRNAを、実施例1のようにしてHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現抑制効果を経日的に調べた。対照として、スクランブル配列からなるsiRNA(配列番号:6)を同様にHeLa細胞に導入し、Rad51蛋白の発現を経日的に調べた。Rad51 siRNA(321)は、4日間は完全にRad51蛋白の発現を検出感度以下に抑制した。5日目においてもその発現量は導入前の10%以下であった(図2)。
[実施例3]siRNAまたはアンチセンス核酸によるRad51蛋白の発現抑制の比較
Rad51のアンチセンスオリゴ核酸として、文献(Ohnishi,T.,Taki,T.,Hiraga,S.,Arita,N.,Morita,T.In vitro and in vivo potentiation of radiosensitivity of malignant gliomas by antisense inhibition of the Rad51 gene.Biochem.Biophys.Res.Comm.1998;245:319−324.)に基づき、15bpからなるRad51 AS#1(5’ggcttcactaattcc 3’)及びRad51 AS#2(5’ cgtatgacagatctg 3’)を作成した。Rad51 AS#1は、Rad51遺伝子の368〜382番目の塩基に相当し、Rad51 AS#2は、Rad51遺伝子の578〜592番目の塩基に相当する。
Rad51のアンチセンスオリゴ核酸として、文献(Ohnishi,T.,Taki,T.,Hiraga,S.,Arita,N.,Morita,T.In vitro and in vivo potentiation of radiosensitivity of malignant gliomas by antisense inhibition of the Rad51 gene.Biochem.Biophys.Res.Comm.1998;245:319−324.)に基づき、15bpからなるRad51 AS#1(5’ggcttcactaattcc 3’)及びRad51 AS#2(5’ cgtatgacagatctg 3’)を作成した。Rad51 AS#1は、Rad51遺伝子の368〜382番目の塩基に相当し、Rad51 AS#2は、Rad51遺伝子の578〜592番目の塩基に相当する。
Rad51 siRNA(321)、Rad51 AS#1、またはRad51 AS#2のそれぞれ約80pmoleを、実施例1のようにして10万個のHeLa細胞に導入した。対照として、スクランブル配列(配列番号:6)からなるsiRNA(SC siRNA)、ウイルスベクターのみ(Empty HVJ−E)、またはRad51のアンチセンスオリゴ核酸のスクランブル配列(SC AS、5’tcgcgatcaccttat 3’)を同様にHeLa細胞に導入した。内部標準として、G3PDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase)を用いた。
Rad51蛋白の発現抑制効果をノーザンブロットで調べたところ、Rad51 siRNA(321)を導入したHeLa細胞においては、1日後にRad51のmRNAはノーザンブロットで完全に同定できない程度まで抑制された(図3A)。これに対し、Rad51のアンチセンスオリゴ核酸(Rad51 AS#1またはRad51 AS#2)は効果が低く(図3B)、アンチセンスオリゴ核酸に対するsiRNAの優位性が示された。
[実施例4]ブレオマイシンとの併用によるRad51 siRNAの抗がん作用の増強
Rad51 siRNA(321)または対照のスクランブルsiRNA(配列番号:6)を、HVJエンベロープベクターによりそれぞれ実施例1のようにしてHeLa細胞に導入し、2日後に抗がん剤のブレオマイシン(BLM、1μg/ml)で18時間処理した(図4A)。ブレオマイシン(BLM)で処理した場合、ブレオマイシン処理しなかったものと比較して、その抗がん剤効果は約2倍増強された(図4B)。
Rad51 siRNA(321)または対照のスクランブルsiRNA(配列番号:6)を、HVJエンベロープベクターによりそれぞれ実施例1のようにしてHeLa細胞に導入し、2日後に抗がん剤のブレオマイシン(BLM、1μg/ml)で18時間処理した(図4A)。ブレオマイシン(BLM)で処理した場合、ブレオマイシン処理しなかったものと比較して、その抗がん剤効果は約2倍増強された(図4B)。
[実施例5]シスプラチンとの併用によるRad51 siRNAの抗がん作用の増強
また、本発明者らは、Rad51はシスプラチン(cis−diamminedichloroplatinum(II);CDDP)による二重鎖切断の修復にも関与していることを見出した。本発明者らは、CDDPをがん細胞に添加するとRad51が約2倍増強されること、およびRad51遺伝子を強発現させるとCDDPに耐性になることを突き止めた。したがって、Rad51の発現を阻害することは、細胞のCDDPへの耐性を減少させると考えられる。そこで、Rad51が強く発現しているがん細胞であるHeLaにRad51 siRNA(321)または対照のスクランブル配列(配列番号:6)を導入し、経日的に細胞相対数の変化を調べた。導入2日後にシスプラチン(CDDP)で3時間処理し、9日後にコロニー数を計測した(図5A)。Rad51 siRNA(321)を導入した細胞は、対照と比較して、細胞増殖能がやや低下した(図5B)。しかし図5Cに示すように、Rad51のsiRNA(321)を導入し、2日後に図示した濃度のシスプラチン(CDDP)で3時間処理すると、対照のスクランブル配列と比較して、Rad51 siRNA(321)導入群ではコロニー形成能が著明に低下し、がん細胞のコロニー形成能が有意に抑制されることが示された。
また、本発明者らは、Rad51はシスプラチン(cis−diamminedichloroplatinum(II);CDDP)による二重鎖切断の修復にも関与していることを見出した。本発明者らは、CDDPをがん細胞に添加するとRad51が約2倍増強されること、およびRad51遺伝子を強発現させるとCDDPに耐性になることを突き止めた。したがって、Rad51の発現を阻害することは、細胞のCDDPへの耐性を減少させると考えられる。そこで、Rad51が強く発現しているがん細胞であるHeLaにRad51 siRNA(321)または対照のスクランブル配列(配列番号:6)を導入し、経日的に細胞相対数の変化を調べた。導入2日後にシスプラチン(CDDP)で3時間処理し、9日後にコロニー数を計測した(図5A)。Rad51 siRNA(321)を導入した細胞は、対照と比較して、細胞増殖能がやや低下した(図5B)。しかし図5Cに示すように、Rad51のsiRNA(321)を導入し、2日後に図示した濃度のシスプラチン(CDDP)で3時間処理すると、対照のスクランブル配列と比較して、Rad51 siRNA(321)導入群ではコロニー形成能が著明に低下し、がん細胞のコロニー形成能が有意に抑制されることが示された。
[実施例6]各種ヒトがん細胞におけるRad51 siRNAとシスプラチンとの併用による抗がん作用の増強
Rad51 siRNA(321)或いはスクランブルsiRNA(配列番号:6)をHVJエンベロープベクターを用いて各種ヒトがん細胞、PANC−1(pancreatic cancer),AsPC−1(pancreatic cancer),A549(lung cancer),DU145(prostate cancer),MCF7(mammary carcinoma),HeLa S−3(cervical cancer)に導入しシスプラチン(CDDP)を同時投与して、2日後に細胞増殖アッセイを行った。内部標準として、Ku70及びβアクチンを用いた。各細胞の蛋白レベルを調べた結果、各種ヒトがん細胞のKu70、βアクチンはほぼ同レベルであったが、Rad51蛋白レベルは様々であった(図6A)。シスプラチン(CDDP、0.1μg/ml)を同時投与すると、スクランブルsiRNAを導入した場合には80%以上の細胞が生存したのに対し、Rad51 siRNA(321)を導入した場合はどのがん細胞においても細胞の生存率が減少し、CDDP感受性が30%以上増加したことが示された(図6B)。したがって、Rad51 siRNA(321)は多くのヒトがん細胞においても同様のシスプラチン感受性増強効果を発揮することが示された。
Rad51 siRNA(321)或いはスクランブルsiRNA(配列番号:6)をHVJエンベロープベクターを用いて各種ヒトがん細胞、PANC−1(pancreatic cancer),AsPC−1(pancreatic cancer),A549(lung cancer),DU145(prostate cancer),MCF7(mammary carcinoma),HeLa S−3(cervical cancer)に導入しシスプラチン(CDDP)を同時投与して、2日後に細胞増殖アッセイを行った。内部標準として、Ku70及びβアクチンを用いた。各細胞の蛋白レベルを調べた結果、各種ヒトがん細胞のKu70、βアクチンはほぼ同レベルであったが、Rad51蛋白レベルは様々であった(図6A)。シスプラチン(CDDP、0.1μg/ml)を同時投与すると、スクランブルsiRNAを導入した場合には80%以上の細胞が生存したのに対し、Rad51 siRNA(321)を導入した場合はどのがん細胞においても細胞の生存率が減少し、CDDP感受性が30%以上増加したことが示された(図6B)。したがって、Rad51 siRNA(321)は多くのヒトがん細胞においても同様のシスプラチン感受性増強効果を発揮することが示された。
[実施例7]正常ヒト細胞とがん細胞とのシスプラチン感受性の比較
Rad51 siRNA(321)をHVJエンベロープベクターを用いて正常ヒト細胞またはがん細胞に導入し、CDDP感受性の相違を調べた。正常ヒト細胞として用いたヒト正常2倍体繊維芽細胞(NHDF、Normal human diploid fibroblast)にRad51 siRNA(321)を導入した場合、シスプラチンの濃度の上昇に伴う感受性の変化は観察されず、約90%の細胞が生存していた。一方、がん細胞として用いたHeLa細胞では、Rad51 siRNA(321)の導入後、シスプラチン濃度の上昇に伴って生存細胞が減少し、CDDPの濃度に依存して感受性が増強されることが示された(図7A)。そこで、Rad51 siRNA(321)導入後、NHDFとHeLa細胞において0.1μg/ml CDDPの有無によるアポトーシスの率を、アネキシンV(AnnexinV)陽性細胞の割合で測定した(図7B)。CDDP非存在下では、アポトーシス細胞の率はHeLa細胞(4.0±1.1%)とNHDF(3.2±0.5%)とで変化がなかった。これに対しCDDP存在下では、アポトーシス率はHeLa細胞で15.0%に増加したのに対し、NHDFではほとんど増加しなかった(4.9%)。以上のデータより、Rad51 siRNA(321)によるCDDPの感受性増強はがん細胞に選択的に見られる現象であり、治療法としての安全性は高いことが示された。
Rad51 siRNA(321)をHVJエンベロープベクターを用いて正常ヒト細胞またはがん細胞に導入し、CDDP感受性の相違を調べた。正常ヒト細胞として用いたヒト正常2倍体繊維芽細胞(NHDF、Normal human diploid fibroblast)にRad51 siRNA(321)を導入した場合、シスプラチンの濃度の上昇に伴う感受性の変化は観察されず、約90%の細胞が生存していた。一方、がん細胞として用いたHeLa細胞では、Rad51 siRNA(321)の導入後、シスプラチン濃度の上昇に伴って生存細胞が減少し、CDDPの濃度に依存して感受性が増強されることが示された(図7A)。そこで、Rad51 siRNA(321)導入後、NHDFとHeLa細胞において0.1μg/ml CDDPの有無によるアポトーシスの率を、アネキシンV(AnnexinV)陽性細胞の割合で測定した(図7B)。CDDP非存在下では、アポトーシス細胞の率はHeLa細胞(4.0±1.1%)とNHDF(3.2±0.5%)とで変化がなかった。これに対しCDDP存在下では、アポトーシス率はHeLa細胞で15.0%に増加したのに対し、NHDFではほとんど増加しなかった(4.9%)。以上のデータより、Rad51 siRNA(321)によるCDDPの感受性増強はがん細胞に選択的に見られる現象であり、治療法としての安全性は高いことが示された。
[実施例8]Rad51 siRNAによるがん治療効果の増強
ヌードマウスにHeLa細胞を移植して腫瘍塊をつくらせた。まずRad51 siRNA(321)を腫瘍塊に導入後、2日後に腹腔内にCDDP 200μgを投与し、同時にsiRNA(321)を腫瘍塊内に再注入した。さらにその2日後にもRad51 siRNA(321)を腫瘍塊に注入した。Rad51 siRNA(321)注入のみでは腫瘍増殖抑制作用はかなり弱く、さらにスクランブルsiRNAおよびCDDPの併用ではその腫瘍の増殖は一部抑制されたのみであったが、Rad51 siRNA(321)とCDDPとの併用では腫瘍の増殖がほぼ完全に抑制され、顕著な制がん作用が示された(図8)。なおRad51 siRNAをHVJエンベロープベクターで投与したとき、その腫瘍塊に対する導入効率は40−50%であった。
ヌードマウスにHeLa細胞を移植して腫瘍塊をつくらせた。まずRad51 siRNA(321)を腫瘍塊に導入後、2日後に腹腔内にCDDP 200μgを投与し、同時にsiRNA(321)を腫瘍塊内に再注入した。さらにその2日後にもRad51 siRNA(321)を腫瘍塊に注入した。Rad51 siRNA(321)注入のみでは腫瘍増殖抑制作用はかなり弱く、さらにスクランブルsiRNAおよびCDDPの併用ではその腫瘍の増殖は一部抑制されたのみであったが、Rad51 siRNA(321)とCDDPとの併用では腫瘍の増殖がほぼ完全に抑制され、顕著な制がん作用が示された(図8)。なおRad51 siRNAをHVJエンベロープベクターで投与したとき、その腫瘍塊に対する導入効率は40−50%であった。
本発明の2本鎖RNA、あるいはそれを含む組成物は、Rad51の発現制御に有用である。Rad51の発現制御により、がん細胞の増殖抑制、あるいはがん細胞そのものの障害が可能である。またRad51の発現抑制は、がん細胞の放射線に対する感受性の増強に有用である。更に、本発明の2本鎖RNAは化学療法剤との併用によって、強力な制がん作用を発揮することが明らかにされた。以上のように、本発明は、がんの治療に有用である。
Claims (39)
- 配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNA。
- 配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAであって、センス鎖の長さが100塩基以下である2本鎖RNAを発現するベクター。
- 請求項1に記載の2本鎖RNA、または請求項2に記載のベクターを有効成分として含有する、Rad51遺伝子の発現抑制剤。
- Rad51遺伝子がヒトRad51遺伝子である請求項3に記載のRad51遺伝子の発現抑制剤。
- 配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物。
- 配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNA、またはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物。
- がんまたは悪性腫瘍の治療用である請求項6に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤が、制がん剤(carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される請求項6に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である請求項6に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、請求項6に記載の医薬組成物。
- ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である請求項10に記載の医薬組成物。
- ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、請求項10に記載の医薬組成物。
- シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 化学療法剤が、2本鎖RNAとともにウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
- ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、請求項14に記載の医薬組成物。
- ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、請求項14に記載の医薬組成物。
- (a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
- (a)配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び(b)化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
- がんまたは悪性腫瘍の治療用である請求項17または18のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
- 化学療法剤が、制がん剤(carcinostatic agent)、抗がん剤(anticancer agent)、および抗腫瘍剤(antitumor agentまたはantineoplastic agent)からなる群から選択される請求項17〜19のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
- 化学療法剤が、核酸合成阻害作用、および核酸障害作用のいずれか、または両方を有する化学療法剤である請求項17〜19のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
- 化学療法剤が、ブレオマイシン類、アントラキノン系制がん剤、マイトマイシン類、アクチノマイシン類、カンプトテシン類、シスプラチン類、ストレプトゾトシン、5−フルオロウラシル(5−FU)およびその誘導体、ピラルビシン、およびそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択されるいずれかの化合物の少なくとも1つである、請求項17〜19のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
- ブレオマイシン類が、ブレオマイシン、およびペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である請求項22に記載の組み合わせ物。
- ブレオマイシン類の薬理学的に許容される塩が、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、および硫酸ペプロマイシンからなる群から選択されるいずれかの化合物である、請求項22に記載の組み合わせ物。
- シスプラチン類が、シスプラチン、パラプラチン(Paraplatin)、およびブリプラチン(Briplatin)からなる群から選択されるいずれかの化合物である、請求項22に記載の組み合わせ物。
- 2本鎖RNAが、ウイルスエンベロープベクターに封入されていることを特徴とする、請求項17または18のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
- ウイルスエンベローブベクターが、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属するウイルスのエンベロープで構成されている、請求項26に記載の組み合わせ物。
- ウイルスエンベローブベクターが、センダイウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルスまたはインフルエンザウイルスからなる群から選択されたいずれかのウイルスのエンベロープで構成されている、請求項26に記載の組み合わせ物。
- 請求項1に記載の2本鎖RNA、または請求項2に記載のベクターを細胞に投与する工程を含む、Rad51の発現抑制方法。
- 配列番号:1を含むセンス鎖とその相補鎖とで構成される2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程を含む、がんまたは悪性腫瘍の治療方法。
- 2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAおよび化学療法剤が封入されたウイルスエンベロープベクターを投与する工程である、請求項30に記載の治療方法。
- 2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクター、および化学療法剤を投与する工程が、2本鎖RNAまたはそれを発現することができるベクターを有効成分として含有する医薬組成物、及び化学療法剤を有効成分として含有する医薬組成物を別々に投与する工程である、請求項30に記載の治療方法。
- がんまたは悪性腫瘍を治療するための医薬組成物の調製のための、請求項1に記載の2本鎖RNA、または請求項2に記載のベクターの使用。
- 医薬組成物が化学療法剤を含む、請求項1に記載の2本鎖RNA、または請求項2に記載のベクターの使用。
- ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
- シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、およびRad51インヒビターを含む、医薬組成物。
- (a)ブレオマイシンまたはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
- (a)シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩有効成分として含有する医薬組成物、および(b)Rad51インヒビターを有効成分として含有する医薬組成物を含む、組み合わせ物。
- がんまたは悪性腫瘍の治療用である請求項37または38のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
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