JPWO2005084581A1 - 医療用3次元構造物、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

医療用3次元構造物、その製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

生体適合性を有する生分解性樹脂からなり、成形に50μm以下の分解能を要する医療用3次元構造物。微小なシリンジに生体適合性の生分解性樹脂の細粒を充填して熱溶融させ、3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データに基づいて、熱溶融した生分解性樹脂のノズルからの吐出とノズルに対向する造形用ステージの平面方向への移動を制御して2次元スライス層の内の1層を形成し、次いで造形用ステージを2次元スライス層の1層分の厚さだけ縦方向へ離隔移動させた後に同様の工程を反復し、この繰り返しにより3次元構造物を形成する製造方法。以上の構成により、生体適合性の生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具として利用できる極めて微細な医療用3次元構造物を提供できる。

Description

本発明は医療用3次元構造物と、その製造方法及び製造装置に関する。更に詳しくは、本発明は、生体適合性を有する生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意の複雑形状を有する微細な医療用3次元構造物と、このような医療用3次元構造物を正確に、かつ有害物質の混入を許さずに製造することができる製造方法と、このような製造方法を実行可能とする製造装置に関する。
いわゆる生分解性樹脂のうち、例えば乳酸やグリコール酸のような生体適合性を有するモノマーの重合体であるものは、体内で経時的に完全に分解され、しかも分解産物が生体に有害な作用を及ぼすことなく排出される。
このため以前から、生体適合性を有する生分解性樹脂は、手術後に除去不要な縫合糸や、一時的に必要な生体埋設型の治療具又は治療補助具として使用されている。最近では、再生医工学分野における組織再生の足場材や、骨格の構成用材料としても使用されている。
但し、従来のこの種の部材の形態としては、例えば糸状、シート状、スポンジ状等の簡単な形状のものに限られ、その形状を精密に仕上げることも余り要求されていなかった。今後、上記材料の医療応用の拡大や革新的な医療デバイス群を実現するためには、非常に微細で3次元の複雑形状を有する部材を正確に加工する技術、即ち3次元マイクロファブリケーション技術が要求される。
これまでの代表的な3次元マイクロファブリケーション技術として、マイクロ光造形法を挙げることができる。現在の2光子マイクロ光造形法では、数ミクロンのギアやピンセットまで開発されている。下記の文献1にはこのようなマイクロ光造形法が開示されている。
文献1:K.Ikuta & K.Hirowatari:Real Three Dimensional Micro Fabrication Using Stereo Lithography and Metal Molding.Proc.of IEEE International Workshop on Micro Electro Mechanical System(MEMS−93),42/47(1993)
一方、従来の一般的な生分解性樹脂の3次元加工法としては、加熱溶融積層造形法、インクジェットバインダ法、シート積層法等が開発されている。この内、「加熱溶融積層造形去」とは、概略、加熱して溶融した樹脂を何らかの方法により細線棒状にして供給し、細線棒状作成部もしくはステージを走査して2次元スライス層を形成し、これを繰り返すことにより3次元構造物を得ると言う方法であって、例えば下記の文献2にその開示がある。
文献2:D.W.Hutmacher,S.H.Teoh,I.Zein,K.W.Ng,J.T.Schantz & J.C.Leahy:Design and fabrication of a 3D scafold for tissue engineering bone,In:Agrawal CM,Parr JE,Lin ST.Editors.Synthetic bioabsorbable polymers for implants,STP 1396, American Society for Testing and Materials,West Conshohocken,PA,152/167(2000)
又、「インクジェットバインダ法」とは、概略、微細な粉末により形成した薄い層にバインダ(接着剤)を目的とする2次元スライス層に合わせて吹き付け、これを繰り返して積層していくことにより3次元構造物を作製すると言う方法である。更に、「シート積層法」とは、概略、断面形状(2次元スライス層)に合わせて切断したシートを一層ずつ積層して任意の3次元形状を作製すると言う方法である。
しかし、上記の文献1に記載されたマイクロ光造形法は優れた加工技術ではあるが、対象材料が光硬化性ポリマーであるため、生分解性ではないし、生体適合性も期待できない。従って生体埋設型の治療具や治療補助具の製造には適しない。
一方、上記の文献2に記載された加熱溶融積層造形法や、その他のインクジェットバインダ法、シート積層法等は、加工分解能が不十分であったり、製造効率が不十分であったりするため、微細な3次元構造物を正確にかつ迅速に形成することが困難である。しかも、材料の前加工に用いる溶媒(生体毒性がある)が3次元構造物の材料中に残留すると言う不具合がある。そのため、仮にポリ乳酸等の生体適合性の生分解性樹脂を用いた場合でも、得られた製品は生体適合性が低いと言う問題があった。
本発明の目的は、材料自体の特性としても毒性物質の混入がないと言う意味でも生体適合性を有する生分解性樹脂からなる極めて微細な構造物であって、体内埋設型の治療具又は治療補助具として複雑形状を有する3次元構造物を提供し、更には、そのような3次元構造物の有効な製造方法及び製造装置を提供することである。
本願の第1発明は、生体適合性を有する生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意の形状を有する3次元構造物であって、その成形に50μm以下の分解能を要する医療用3次元構造物である。
第1発明に係る医療用3次元構造物は、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意形状を有する構造物、例えば手術時に一時的に必要な外科的治療具、組織再生の足場材、骨格の構成用材料等である。即ち医療の現場において非常に有用な構造材料である。
次に、この医療用3次元構造物は生体適合性を有する生分解性樹脂からなる。従って、体内に埋設して所期の機能を果たした後に、体内で経時的に完全に分解され、しかも分解産物が生体に有害な作用を及ぼすことなく排出される。このため、手術後等において構造物を除去する必要がない。ある程度以上の期間にわたり埋設効果を期待するタイプの構造物であっても、その期間の経過後に摘出手術を行う必要がない。なお、この3次元構造物の構成材料には生体に有害な物質は混入していないため、この意味でも生体適合性が高い。
更に、この医療用3次元構造物は、非常に微細な加工を要するものであって、その成形に50μm以下の分解能を要する。即ち、医療用3次元構造物が50μm以下のサイズであるか、あるいはそれ以上のサイズであっても構造物の全部又は一部を成形するに当たり50μm以下の分解能を以て加工する必要のあるものである。そのため、従来の製造技術では着想することも提供することも困難であった新規なカテゴリーの微細な治療具又は治療補助具を提供できる可能性が開かれた。
本願の第2発明は、前記第1発明に係る生体適合性を有する生分解性樹脂が、乳酸、グリコール酸、カプロラクトンのいずれか1種のモノマーからなるホモポリマー、あるいはこれらの2種以上のモノマーからなるコポリマーである、医療用3次元構造物である。
上記の第1発明における「生体適合性を有する生分解性樹脂」としては、良く知られた乳酸やグリコール酸のホモポリマーの他、カプロラクトンのホモポリマーや、以上のいずれか2種以上のモノマーからなるコポリマーを好ましく例示することができる。
本願の第3発明は、前記第1発明又は第2発明に係る体内埋設型の治療具又は治療補助具が、外科的治療具、組織再生の足場材、骨格の構成用材料、薬物送達システム(DDS)又は遺伝子導入用デバイスである、医療用3次元構造物である。ここに薬物送達システム(DDS:ドラッグデリバリーシステム)とは、いわゆるドラッグデリバリーシステムを構成するデバイスの全体、又は薬物送達システムを構成する個々の部材を言う。
上記の第1発明又は第2発明における「体内埋設型の治療具又は治療補助具」としては、そのごく一部の例示として、外科的治療具、組織再生の足場材、骨格の構成用材料、薬物送達デバイス(DDS)、遺伝子導入用デバイスを挙げることができる。
その他にも、本願発明に係る医療用3次元構造物が提供可能になることによって、従来は着想することも提供することも困難であった新規カテゴリーの多様な治療具又は治療補助具が着想され、発明され、提供される可能性がある。これらの治療具、部材又はデバイスは、一定期間体内で機能した後、分解・吸収されるため、その取り出しのための再手術が不要である。
本願の第4発明は、前記第3発明に係る組織再生の足場材が、血管再生用ないしは毛細血管再生用の足場材としての分岐部を有する中空管状体である、医療用3次元構造物である。
血管や毛細血管は、足場材を用いて再生させたとしても、その後に足場材が消失しなければ意味がない。従って第4発明に係る血管再生用ないしは毛細血管再生用の足場材は、再生医療の分野において非常に有用である。なお、この足場材においては、中空管状体の各端末部において管が閉止された形状とすることも好ましい。
本願の第5発明は、以下の(1)〜(3)のプロセスを含む、医療用3次元構造物の製造方法である。
(1)加熱手段を付設した微小なシリンジの下端のノズルを造形用ステージに接近して対向させ、前記シリンジに生体適合性を有する生分解性樹脂の細粒を充填して前記加熱手段により熱溶融させる。
(2)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データに基づき、熱溶融した生分解性樹脂を前記ノズルから細線状に吐出させると共に前記シリンジ又は造形用ステージを平面方向(X−Y方向)へ移動させることにより、多数の2次元スライス層(X−Y方向スライス層)の内の1層を形成する。
(3)前記シリンジ又は造形用ステージを前記2次元スライス層の1層分の厚さだけ縦方向(Z方向)へ離隔移動させた後に前記第2工程を反復し、この繰り返しにより3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の全てを形成する。
第5発明においては、シリンジに生分解性樹脂の細粒を充填して熱溶融させ、そのままノズルから細線状に吐出させることにより、医療用3次元構造物の製造に供する。即ち、原料をバッチ式でシリンジに充填し、次いで熱溶融させて成形に使用するため、従来技術である加熱溶融積層造形法、インクジェットバインダ法、シート積層法等のように、生体毒性がある溶媒で生分解性樹脂を前加工する必要がない。つまり毒性溶媒が構造物の構成材料中に残留する恐れがない。
又、3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データに基づき、微細なノズルから熱溶融した生分解性樹脂を細線状に吐出させると共に、シリンジ又は造形用ステージを平面方向へ移動させて、多数の2次元スライス層を順次形成するので、これらの動作を精密に協調して行わせる公知のメカニズムを応用することで、非常に微細で複雑形状を持つ3次元構造物を正確に製造することができる。
本願の第6発明は、前記第5発明における(1)〜(3)の各プロセスを、以下の(4)〜(6)の内の少なくとも1以上の条件に従って行う、医療用3次元構造物の製造方法である。
(4)前記ノズルからの細線状吐出物の直径が200μm以下である。
(5)前記ノズルからの細線状吐出物の吐出量が1.5μL/min.以下である。
(6)前記造形用ステージ上が生分解性樹脂の熱溶融点温度よりも30°C以上低い温度である。
樹脂を熱溶融させてノズルから吐出させ、目的物を成形すると言う方法自体は一般的なものであるが、通常、このような樹脂成形は成形型との組み合わせで行う。しかし、50μm以下の分解能を要する医療用3次元構造物を型成形することは、成形型の製造が困難である点から、事実上不可能である。このため従来は、極めて微細な対象物を熱溶融による吐出成形で製造すると言う提案は行なわれていない。
本願発明者は、前記した文献1に係るマイクロ光造形法によって、そのための一つの解決策を既に提示している。しかしながら、マイクロ光造形法は光硬化性ポリマーを対象とするので、生分解性ポリマーを用いる生体埋設型の治療具や治療補助具の製造には適用できない。そこで本願発明者は、ノズルからの吐出物が細線状であることに着目した。そして前記第5発明の製造方法を利用する場合において、吐出物を迅速に冷却固化させ得る一定の条件を設定すれば、成形型を用いることなく成形体を迅速に冷却固化させることができ、従って高精度の成形体が得られることを突き止めた。その条件が、第6発明の(4)〜(6)の内の少なくとも1以上の条件、とりわけ(4)及び/又は(5)の条件である。
本願の第7発明は、前記第5発明又は第6発明に係る3次元構造物が分岐部を有する中空管状体である場合において、当該分岐部に相当する複数の2次元スライス層の各層の形状を、1個の円形から、順次、楕円形、中央に括れを持つ楕円形、「8」の字状、2個の円形に変化させて行くことにより、中空管状体の分岐部を形成する、医療用3次元構造物の製造方法である。
血管再生用ないしは毛細血管再生用の足場材等のように、極めて微細でしかも分岐部を有する中空管状体を成形できる効率的な方法は、未だ提案されていない。本願発明者は、前記第5発明の製造方法を利用することを前提として、第7発明の製造方法によれば、極めて微細でしかも分岐部を有する中空管状体を効率良く成形できることを見出した。
本願の第8発明は、以下の(a)〜(e)の要素を含む、医療用3次元構造物の製造装置である。
(a)下端にノズルを備えた微小なシリンジと、このシリンジの外周に設けた加熱手段からなる吐出部。
(b)前記ノズルからのシリンジ内容物の吐出を制御する吐出制御手段。
(c)前記シリンジの下端のノズルに対向して位置する造形用ステージ。
(d)前記吐出部及び/又は造形用ステージの平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への移動を制御する移動制御手段。
(e)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データが入力されており、このデータに基づいて前記移動制御手段と吐出制御手段とを協調して作動させるコントローラ。
第8発明に係る医療用3次元構造物の製造装置は、第5発明〜第7発明の製造方法を実行するに必要な前記(a)〜(e)の要素を含むので、第1発明〜第4発明に係る医療用3次元構造物を有効に製造することができる。
なお、(a)〜(e)の各要素をどの程度のサイズに構成するかは任意であるが、本願発明物は、既に、装置全体の平面サイズが縦方向に30cm以下であり、横方向に50cm以下であり、装置全体の高さが50cm以下である有効に作動する装置を試作している。又、医療用3次元構造物のサイズ設定に直接に影響するシリンジ及びノズルのサイズも、必要に応じて極めて微細に設計することができる。
本願の第9発明は、前記第8発明に係る移動制御手段による制御方式が、吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への移動を制御する方式であるか、あるいは吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)への移動を制御すると共に他方の縦方向(Z方向)への移動を制御する方式である、医療用3次元構造物の製造装置である。
上記した第8発明に係る医療用3次元構造物の製造装置において、移動制御手段による吐出部及び/又は造形用ステージの制御方式は任意に選択することができる。その内、代表的な第1の制御方式として、吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への移動を制御する方式を例示できる。代表的な第2の制御方式として、吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)への移動を制御すると共に他方の縦方向(Z方向)への移動を制御する方式を例示できる。
第1図は、医療用3次元構造物の製造装置を簡略化して示す図である。第2図は、医療用3次元構造物のスライスデータ取得プロセスを示す図である。第3図は、医療用3次元構造物の製造プロセスを示す図である。第4図〜第7図は、それぞれ3次元構造物の作製例を示す図である。第8図は、医療用3次元構造物の生体適合性を実証するグラフ図である。第9図は、分岐部を有する中空管状体の作製例を説明する図である。
次に、本願の第1発明〜第9発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。以下において、単に「本発明」と言う時は、本願の各発明を一括して指している。
〔生体適合性を有する生分解性樹脂〕
本発明において使用する材料は生体適合性を有する生分解性樹脂である。医療関連以外の産業分野では、生体適合性を有しないモノマーからなる生分解性樹脂がしばしば使用されるが、このような生体適合性を有しない生分解性樹脂は本発明では使用しない。
本発明において「生体適合性を有する」とは、生分解性樹脂自体の特性として生体適合性を有するだけでなく、生分解性樹脂が生体に対して有毒な添加物や含有物を含まないことをも意味する。
生体適合性を有する生分解性樹脂の代表的な例として、乳酸のポリエステル重合体(ホモポリマー)であるポリ乳酸が挙げられる。又、グリコール酸のポリエステル重合体(ホモポリマー)であるポリグリコール酸も挙げられる。その他にもカプロラクトンのホモポリマーも挙げられる。これらのホモポリマーの重合度あるいは分子量は別段に限定されない。
更には、上記のいずれか2種以上のモノマーが重合した各種のコポリマー(共重合体)も例示することができる。コポリマーにおいては、2種以上のモノマーのモル比は限定されないし、2種以上のモノマーが正確に交互に重合したものでけでなく、いわゆるブロックコポリマーやランダムコポリマーも使用することができる。これらのコポリマーにおいても、その重合度あるいは分子量は別段に限定されない。
〔医療用3次元構造物〕
本発明において、「医療用3次元構造物」とは、上記の生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意の形状を有する3次元構造物であって、その成形に50μm以下の分解能を要するものを言う。即ち、50μm以下のサイズであり、又は、全体のサイズが50μmを超える場合でも3次元構造物の少なくとも一部には50μm以下のサイズで正確に成形すべき部分を有する構造物である。
本発明の医療用3次元構造物が、その成形に50μm以下の分解能を要すべき必然的な理由はないが、このような体内埋設型の治療具又は治療補助具において、微細な3次元複雑形状を正確に形成すると言う、本発明の特徴が最も良好に発現される。
体内埋設型の治療具又は治療補助具の種類及び内容は限定されない。好ましい具体例として、外科的治療具、組織再生の足場材、骨格の構成用材料、薬物送達デバイス(DDS)、遺伝子導入用デバイス等が例示される。
上記の組織再生の足場材として、例えば、血管再生用ないしは毛細血管再生用の足場材としての、分岐部を有する中空管状体を特に好ましく例示することができる。これらの中空管状体は、その管状体の各端末部が開放された形状とすることもできるし、管状体の各端末部が閉止された形状とすることもできる。後者の場合、管状体の外周部には組織細胞が着生するが内周部には着生しない。この中空管状体は、血管や毛細血管の再生用のものだけでなく、他の管腔状の器管、とりわけ尿細管等の微細な管腔状器管の再生用の足場材としても提供することができる。
〔医療用3次元構造物の製造方法〕
本発明に係る医療用3次元構造物の製造方法は、以下の(1)〜(3)のプロセスを少なくとも含む方法である。
(1)加熱手段を付設した微小なシリンジの下端のノズルを造形用ステージに接近して対向させ、前記の微小なシリンジに生体適合性を有する生分解性樹脂の細粒(マイクロペレット)を充填して、前記加熱手段により熱溶融させる。
(2)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データに基づき、熱溶融した生分解性樹脂をノズルから細線状に吐出させると共にシリンジ又は造形用ステージを平面方向(X−Y方向)へ移動させることにより、多数の2次元スライス層(X−Y方向スライス層)の内の1層を形成する。
(3)シリンジ又は造形用ステージを、前記した2次元スライス層の1層分の厚さだけ縦方向(Z方向)へ離隔移動させた後に、前記第2工程を反復し、この繰り返しによって3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の全てを形成する。
以上のプロセスの結果、熱溶融樹脂を以て形成されるそれぞれの2次元スライス層は互いに融着して一体化し、次いで冷却・固化されるため、目的とする形状の3次元構造物が正確に形成されるのである。
〔吐出量制御による迅速固化〕
上記の(1)〜(3)の各プロセスは、以下の(4)〜(6)の内の少なくとも1以上の条件に従って行うことが、特に好ましい。これらの条件に従うことにより、微小な医療用3次元構造物を迅速に冷却固化させ、成形型を用いることなく、熱溶融樹脂吐出後の「形崩れ」を有効に防止して、極めて正確に目的とする形状の3次元構造物を製造することができる。
(4)前記ノズルからの細線状吐出物の直径が200μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、特に好ましくは5μm以下である。
(5)前記ノズルからの細線状吐出物の吐出量が1.5μL/min.以下であり、より好ましくは0.1μL/min.以下であり、特に好ましくは3.8nL/min.以下である。
(6)前記造形用ステージ上が生分解性樹脂の熱溶融点温度よりも30°C以上低い温度である。より好ましくは造形用ステージ上は20°C以下である。必要な場合には、適宜な冷却装置が使用される。
〔分岐管の製法〕
3次元構造物が分岐部を有する中空管状体である場合、例えば血管や毛細血管の足場材として分岐部を有する中空管状体である場合、当該分岐部に相当する複数の2次元スライス層の各層の形状を、1個の円形から、順次、楕円形、中央に括れを持つ楕円形、「8」の字状、2個の円形に変化させて行くことにより、中空管状体の分岐部を自由に形成することができる。
〔医療用3次元構造物の製造装置〕
本発明に係る医療用3次元構造物の製造装置は、以下の(a)〜(e)の要素を少なくとも含む装置である。
(a)下端にノズルを備えた微小なシリンジと、このシリンジの外周に設けた加熱手段からなる吐出部。このシリンジやノズルのサイズは目的に合わせて適宜に設定することができるが、ノズルの内径については、例えば200μm以下、より好ましくは20μm以下、特に好ましくは5μm以下の範囲内に設定することが好ましい。ノズルの内径の下限値は限定されず、製造技術的に可能であれば、1μmあるいはそれ以下の内径に設定しても良い。
加熱手段の構成は限定されないが、例えば、シリンジの外周を包囲したアルミニウム製等の金属製のブロックを介してニクロム線等の電熱線で加熱する方式が例示される。加熱手段による加熱の温度域は、生分解性樹脂のガラス転移点や融点を考慮して、適宜に設定される。なお、この加熱手段も、後述するコントローラによって移動制御手段と吐出制御手段と共に協調制御される方式が、一層好ましい。そのことにより、医療用3次元構造物の製造装置全体を自動制御することが可能となる。
(b)ノズルからのシリンジ内容物の吐出を制御する吐出制御手段。この吐出制御手段は、熱溶融した生分解性樹脂のノズルからの吐出のON/OFFや、吐出時における吐出量を制御するものである。吐出制御手段の構成も別段に限定されないが、例えば、シリンジ内を往復動する樹脂押出し用のピストンロッドの動作を、送りネジを介するステッピングモータにより制御する方式とすることができる。この場合、ステッピングモータの回転又はその回転速度により、生分解性樹脂のノズルからの吐出やその停止、あるいは吐出量の制御が行われる。
(c)シリンジの下端のノズルに対向して位置する造形用ステージ。この造形用ステージは、例えば、3次元方向(X−Y−Z方向)への移動を制御できるものが好ましいが、上記の吐出部側にこのような移動制御機構の一部又は全部を設定した場合には、その限りにおいて造形用ステージの移動制御機構の一部又は全部を不要とすることができる。
(d)前記吐出部及び/又は造形用ステージは、それらのいずれかに設けた平面方向(X−Y方向)への移動を制御する手段と縦方向(Z方向)への移動を制御する手段とによって、3次元方向(X−Y−Z方向)への相対的な移動を制御できるようになっている必要がある。よって、吐出部及び造形用ステージのいずれか一方が3次元方向(X−Y−Z方向)への制御された移動が可能である場合、他方は固定式であっても構わない。
(e)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データが入力されており、このデータに基づいて前記移動制御手段と吐出制御手段とを協調して作動させるコントローラ。ここに、「3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データ」とは、3次元CADもしくはCT(computer Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等を用いて得られるような、3次元構造物の「輪切り」の形状データを言う。
又、「移動制御手段と吐出制御手段との協調した作動」とは、例えば、吐出部又は造形用ステージが平面方向へ移動している際には吐出制御手段からの生分解性樹脂の吐出を継続させ、吐出部又は造形用ステージが縦方向へ移動している際には吐出制御手段からの生分解性樹脂の吐出を停止させる、と言った作動内容を言う。
なお、上記の3次元構造物の製造装置において、造形用ステージ上を適当な冷却手段で低い温度域に維持し、ノズルから吐出された熱溶融状態の生分解性樹脂の迅速な固化により、3次元構造物の成形の精度を確保することも好ましい。例えば冷風の流通等の手段により、造形用ステージ上を生分解性樹脂の熱溶融点温度よりも30°C以上低い温度、より好ましくは室温(20°C)以下に冷却しておくことができる。
(実施例1:医療用3次元構造物の製造装置)
第1図に本発明の一実施例である医療用3次元構造物の製造装置1を簡略化して示す。この製造装置1において、非常に細いシリンジ2は、その下端に微小なノズル3を備えている。上記のノズル3の孔径は約50μmである。ノズル3からの細線状吐出物の直径は約45μmである。シリンジ2の外周は、アルミニウム製の筒状体4を介して、スパイラルに巻かれたニクロム線5により包囲されている。ニクロム線5は加熱制御部6により加熱のON/OFF及び加熱温度を制御される。
シリンジ2の上端開口部からはピストンロッド7が挿入可能とされ、このピストンロッド7は、ステッピングモータ8によりシリンジ2内部を上下方向へ駆動される。そしてステッピングモータ8は中央制御装置であるコントローラ9によって動作を制御されるようになっている。コントローラ9は、前記の加熱制御部6もコントロールするように構成しても良い。
一方、前記シリンジ2のノズル3の直下には、造形用ステージ10が設置されている。この造形用ステージ10は、平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への任意かつ精密な平行移動が可能であって、それらの動作を前記コントローラ9により制御される。
コントローラ9には、造形の目的物である3次元構造物を平面方向沿いに多数の層にスライス(輪切り)した状態における多数の2次元スライス層の平面形状データが入力されており、コントローラ9はこのデータに基づいて、前記ステッピングモータ8と造形用ステージ10とを協調して作動させる。
(実施例2:医療用3次元構造物の製造方法)
上記の製造装置1を用いて医療用3次元構造物を製造する方法を、第2図及び第3図に基づいて説明する。
まず、3次元構造物の多数の2次元スライス層の平面形状データを取得する方法は、第2図の通りである。即ち、例えば第2図(a)の形状であると想定された3次元構造物11について、3次元CADもしくはCTやMRI等の断層撮像法の原理により、その形状を第2図(b)のように平面方向沿いに多数の層にスライスするデータ上の処理を行い、第2図(c)のように個々の2次元スライス層の平面形状データを取得する。これらのデータは、前記のコントローラ9に入力される。
次に、ポリ乳酸等の生分解性樹脂のマイクロペレットをシリンジ2に適当量充填し、ニクロム線5の加熱により溶融させる。このような熱溶融状態を保って、生分解性樹脂をノズル3から細線状に吐出させると共に、造形用ステージ10を第3図(a)のように平面方向(X−Y方向)へ所定の要領で移動させる。この際のノズル3からの生分解性樹脂の吐出と造形用ステージ10の移動はコントローラ9により制御されているため、吐出された細線状の生分解性樹脂は互いに融着して、全体として正確に2次元スライス層12を形成する。
最初に第1段目(最下層)の2次元スライス層12を形成した後、コントローラ9に制御されて、ノズル3からの生分解性樹脂の吐出が一時的に停止されると共に造形用ステージ10が2次元スライス層12の一層分だけ下降移動し、次いで上記と同じ要領により、第3図(b)のように第2段目以降の2次元スライス層12を順次積層して形成して行く。この繰り返しにより、最初に想定された通りの3次元構造物11が形成されるのである。
なお、本願発明者が実際に作製した3次元構造物11の2,3の具体例として、第4図にSEM画像を示すマイクロパイプ(外径500μm、内径400μm、高さ1.5mm)、第5図に示すマイクロ屈曲パイプ(外径1.5mm、高さ4mm)、第6図に示すコイルスプリング(代表径0.5mm、ピッチ0.8mm)、等を挙げることができる。第7図に示す上部が開口した箱体(4.5mm平方で、深さが5mm)等を例示することができる。これらの第4図〜第7図に示す3次元構造物は、いずれも生分解性樹脂としてポリ乳酸を用いて作製したものであり、それらの製造時における前記ノズル3からの生分解性樹脂の吐出量は0.1μL/min.以下とした。
(実施例3:生体適合性の評価)
上記の第7図に示す箱体を細胞培養の容器として使用することにより、その生体適合性を評価した。比較実験の容器として、市販の96穴マイクロウエルプレートを用いた。
培養に供した細胞は、ラット褐色細胞腫由来のPC12細胞である。この細胞は神経成長因子NGFを添加すると神経様の振るまいをすることから、神経機能の研究に用いられている。そしてこの細胞を生育可能であれば、上記の第7図に示す箱体は十分な生体適合性を有することが確認される。
評価実験の詳細は記載を省略するが、実施例の箱体と比較例のマイクロウエルプレートそれぞれ数例について、底面の単位面積当たり同一細胞数となるようにPC12細胞を播種し、同一の一般的な環境下(37°C、5%CO)で培養して、播種後89時間経過までの細胞の観察と個体数のカウントを行った。
その結果、実施例と比較例において細胞の形状等には顕著な差異を認めず、個体数のカウント結果については第8図の通りであった。第8図は縦軸に細胞個体数(Number of cell)の推移を、横軸に播種後の経過時間(Time[hour])を示し、「3D microfabricated PLA vessel」と表記したグラフに上記数例の実施例における平均値が示され、「Non−biodegradable well plate for comparison」と表記したグラフに上記数例の比較例における平均値が示されている。
第8図の結果より、本実施例に係る医療用3次元構造物たる箱体は、十分な生体適合性を有することが実証された。
(実施例4:分岐部を有する中空管状体の作製)
第9図(a)に示す毛細血管再生用の足場材13は、生分解性樹脂であるポリ乳酸からなり、前記の実施例1の製造装置を用いて、前記の実施例2の製造方法により製造されたものである。この足場材13は、管壁部15が直径50μm以下のほぼ円形の断面形状を呈する中空の管状体であるが、分岐部14を伴っている。
これらの分岐部14は、第9図(b)に示すように、当該分岐部14に相当する管壁部15について、前記した2次元スライス層の各層の形状を、1個の円形から、順次、楕円形、中央に括れを持つ楕円形、「8」の字状、2個の円形と変化させて行くことにより、形成したものである。この足場材13の製造に当たり、熱溶融させたポリ乳酸を孔径20μmのノズル3から1.5μL/min.以下の吐出量で吐出させた。又、吐出されたポリ乳酸を迅速に固化させるため、冷却装置を用いて造形用ステージ10上を20°C以下の温度に冷却した。
(実施例5:分岐部を有する極めて微細な中空管状体の作製)
生分解性樹脂であるポリ乳酸からなり、上記の実施例4の場合と同一形状の毛細血管再生用の足場材であって、管壁部が直径5μm以下であると言う極めて微細な中空管状体を作製した。作製方法は実施例4の場合と同様であるが、熱溶融させたポリ乳酸を吐出するノズルの直径は2μmとし、吐出量を0.15μL/min.とした。又、吐出されたポリ乳酸を迅速に固化させるため、冷却装置を用いて造形用ステージ10上を20°C以下の温度に冷却した。その結果、第9図(a)に示すものと同様で、サイズがほぼ一ケタ小さい毛細血管再生用の足場材を作製することができた。
以上のように、本発明によれば、生体適合性を有する生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意の複雑形状を有する微細な医療用3次元構造物が提供される。又、その有利な製造方法と、このような製造方法を実行可能とする製造装置が提供される。

Claims (9)

  1. 生体適合性を有する生分解性樹脂からなり、体内埋設型の治療具又は治療補助具としての任意の形状を有する3次元構造物であって、その成形に50μm以下の分解能を要する医療用3次元構造物。
  2. 前記生体適合性を有する生分解性樹脂が、乳酸、グリコール酸、カプロラクトンのいずれか1種のモノマーからなるホモポリマー、あるいはこれらの2種以上のモノマーからなるコポリマーである請求の範囲1項に記載の医療用3次元構造物。
  3. 前記体内埋設型の治療具又は治療補助具が、外科的治療具、組織再生の足場材、骨格の構成用材料、薬物送達システム又は遺伝子導入用デバイスである請求の範囲1項又は2項に記載の医療用3次元構造物。
  4. 前記組織再生の足場材が、血管再生用ないしは毛細血管再生用の足場材としての、分岐部を有する中空管状体である請求の範囲3項に記載の医療用3次元構造物。
  5. 以下の(1)〜(3)の各プロセスを含む医療用3次元構造物の製造方法。
    (1)加熱手段を付設した微小なシリンジの下端のノズルを造形用ステージに接近して対向させ、前記シリンジに生体適合性を有する生分解性樹脂の細粒を充填して前記加熱手段により熱溶融させる。
    (2)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データに基づき、熱溶融した生分解性樹脂を前記ノズルから細線状に吐出させると共に前記シリンジ又は造形用ステージを平面方向(X−Y方向)へ移動させることにより、多数の2次元スライス層(X−Y方向スライス層)の内の1層を形成する。
    (3)前記シリンジ又は造形用ステージを前記2次元スライス層の1層分の厚さだけ縦方向(Z方向)へ離隔移動させた後に前記第2工程を反復し、この繰り返しにより3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の全てを形成する。
  6. 前記(1)〜(3)の各プロセスを、以下の(4)〜(6)の内の少なくとも1以上の条件に従って行う請求の範囲5項に記載の医療用3次元構造物の製造方法。
    (4)前記ノズルからの細線状吐出物の直径が200μm以下である。
    (5)前記ノズルからの細線状吐出物の吐出量が1.5μL/min.以下である。
    (6)前記造形用ステージ上が生分解性樹脂の熱溶融点温度よりも30°C以上低い温度である。
  7. 前記3次元構造物が分岐部を有する中空管状体である場合において、当該分岐部に相当する複数の2次元スライス層の各層の形状を、1個の円形から、順次、楕円形、中央に括れを持つ楕円形、「8」の字状、2個の円形に変化させて行くことにより、中空管状体の分岐部を形成する請求の範囲5項又は6項に記載の医療用3次元構造物の製造方法。
  8. 以下の(a)〜(e)の要素を含む医療用3次元構造物の製造装置。
    (a)下端にノズルを備えた微小なシリンジと、このシリンジの外周に設けた加熱手段からなる吐出部。
    (b)前記ノズルからのシリンジ内容物の吐出を制御する吐出制御手段。
    (c)前記シリンジの下端のノズルに対向して位置する造形用ステージ。
    (d)前記吐出部及び/又は造形用ステージの平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への移動を制御する移動制御手段。
    (e)3次元構造物を構成する多数の2次元スライス層の平面形状データが入力されており、このデータに基づいて前記移動制御手段と吐出制御手段とを協調して作動させるコントローラ。
  9. 前記移動制御手段による制御方式が、吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)及び縦方向(Z方向)への移動を制御する方式であるか、あるいは吐出部及び造形用ステージのいずれか一方の平面方向(X−Y方向)への移動を制御すると共に他方の縦方向(Z方向)への移動を制御する方式である請求の範囲8項に記載の医療用3次元構造物の製造装置。
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