JPWO2005082182A1 - 空調衣服 - Google Patents
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Abstract
本発明は、着用者の行動が制約されることなく、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易で、快適な空調衣服を提供する。この空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体10と、衣服本体10の内面の所定位置に取り付けられた複数のスペーサと、複数のスペーサによって衣服本体10と身体又は下着との間に形成された、衣服本体10内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段30と、送風手段30に電力を供給する電源手段40と、衣服本体10内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シート50とを備える。ここで、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分10を、透湿性シート50を用いて形成している。
Description
本発明は、例えば人体を外部空間と遮断するために着用する防護服や防塵服等に用いることができる空調衣服に関する。
従来から、有毒ガス・細菌・ウィルス・放射能などから人体を保護するために、防護服が用いられている。また、人体及びその衣服から出る埃や髪の毛などを外部に出さないために、防塵服が用いられている。これらの防護服や防塵服は、全身が衣服で覆われるために体温により衣服内の温度が上昇する。このため、従来から、冷却機能を備える防護服や防塵服が開発されている。かかる防護服等の冷却方法として、例えば、コンプレッサを用いた冷風源からホースを介して冷風を服内に導く方法や、服内に保冷剤を入れる方法がある。
尚、近年では、暑い季節でも消費電力が少なく、かつ快適に過ごすことのできる衣服として冷却衣服が提案されている(PCT/JP01/01360)。
しかしながら、上述した従来の冷風源を用いる冷却方法は、冷風源が服と分離して設けられており、ホースを経由して冷風を服内に送り込むので、作業者の行動がホースの届く範囲に限定され、またホースが作業の邪魔になるという問題がある。また、保冷剤を使用する冷却方法では、保冷剤が重くかさばり、しかも冷却効果が短時間しか持続しないなどの問題がある。
本発明は、このような技術的背景のもとになされたものであり、着用者の行動が制約されることなく、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易で、快適な空調衣服を提供することを目的とするものである。
尚、近年では、暑い季節でも消費電力が少なく、かつ快適に過ごすことのできる衣服として冷却衣服が提案されている(PCT/JP01/01360)。
しかしながら、上述した従来の冷風源を用いる冷却方法は、冷風源が服と分離して設けられており、ホースを経由して冷風を服内に送り込むので、作業者の行動がホースの届く範囲に限定され、またホースが作業の邪魔になるという問題がある。また、保冷剤を使用する冷却方法では、保冷剤が重くかさばり、しかも冷却効果が短時間しか持続しないなどの問題がある。
本発明は、このような技術的背景のもとになされたものであり、着用者の行動が制約されることなく、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易で、快適な空調衣服を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記一又は複数のスペーサによって前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段と、前記送風手段に電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シートを有する除湿手段と、を具備することを特徴とするものである。
ここで、少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分を前記透湿性シートを用いて形成するようにしてもよい。
また、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部を前記透湿性シートを用いて形成し、且つ、前記除湿手段として、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用送風手段とを有するものを用いるようにしてもよい。
更に、前記除湿手段として、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有するものを用い、前記送風手段によって、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしてもよい。
請求項1記載の発明では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、本発明の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、送風手段としてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
上記の目的を達成するための請求項7記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記一又は複数のスペーサによって前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段と、前記送風手段に電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、を具備し、前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明も、上記請求項1記載の発明と同様に、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。特に、請求項7記載の発明に係る空調衣服は、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。
ここで、少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分を前記透湿性シートを用いて形成するようにしてもよい。
また、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部を前記透湿性シートを用いて形成し、且つ、前記除湿手段として、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用送風手段とを有するものを用いるようにしてもよい。
更に、前記除湿手段として、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有するものを用い、前記送風手段によって、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしてもよい。
請求項1記載の発明では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、本発明の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、送風手段としてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
上記の目的を達成するための請求項7記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記一又は複数のスペーサによって前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段と、前記送風手段に電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、を具備し、前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明も、上記請求項1記載の発明と同様に、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。特に、請求項7記載の発明に係る空調衣服は、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。
図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
図3Aはその空調衣服に用いられるスペーサ部の一部の概略平面図、同図Bはそのスペーサ部の一部の概略側面図である。
図4はその空調衣服に用いられる送風手段の概略斜視図である。
図5はその送風手段のファンの概略側面図である。
図6は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と温度との関係の一例を示すグラフである。
図7は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と湿度との関係の一例を示すグラフである。
図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図である。
図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。
図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。
図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図である。
図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図である。
図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。
図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
図3Aはその空調衣服に用いられるスペーサ部の一部の概略平面図、同図Bはそのスペーサ部の一部の概略側面図である。
図4はその空調衣服に用いられる送風手段の概略斜視図である。
図5はその送風手段のファンの概略側面図である。
図6は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と温度との関係の一例を示すグラフである。
図7は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と湿度との関係の一例を示すグラフである。
図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図である。
図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。
図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。
図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図である。
図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図である。
図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図、図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
第一実施形態の空調衣服は、図1及び図2に示すように、衣服本体10と、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段50とを備えるものである。第一実施形態では、かかる空調衣服を、防護服や防塵服等に適用した場合について説明する。ここで、防護服とは、有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐための衣服である。また、防塵服とは、人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないための衣服であるである。かかる防護服や防塵服は、図1に示すように、体全体を覆うようにして着用される。そして、通常、防護服や防塵服は、着用時に内部の空気が外部に漏出しない密閉式になっている。このため、防護服又は防塵服を着用すると、体温により衣服内の温度が上昇し、衣服内に熱がこもり、また、外気温が高い等、汗をかく状況では、汗が蒸発し、衣服内に水蒸気がこもってしまう。しかし、第一実施形態では、後に詳述するように、空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能により、空調衣服の着用者は蒸し暑さから逃れることができる。
この空調不服を使用する場合、通常、空調衣服を身体の上に直接着用するが、空調衣服を下着の上に着用してもよい。ここで、「下着」とは、空調衣服の下に着用される衣類を意味する。例えば、空調衣服の下にワイシャツを着ることにすれば、そのワイシャツは、ここでいう「下着」である。
衣服本体10の内面の所定位置には、三つのスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられている。第一実施形態では、各スペーサ部20a,20b,20cを、汗のかきやすい箇所、例えば左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部に対応する衣服本体10の位置に取り付けている。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空気を流通させるための空気流通路を形成する。この空気流通路は、人が空調衣服を着用したときに体表に略平行な空間を構成する。また、第一実施形態では、送風手段30を用いて、衣服本体10内の空気を空気流通路内に流通させ、その流通する空気を空気流通路内で循環させる。したがって、かかる空気流通路は、循環用空気流通路ということができる。
ここで、空調衣服を着用したときにその前部を閉じる手段としては、例えばファスナー(不図示)が用いられる。ファスナーは簡単に開閉することができ、しかもファスナーを閉じたときにそのファスナーの部分から外部へ空気がほとんど漏れないからである。
衣服本体10は身体の所定部位を覆うものである。衣服本体10の素材としては、空調衣服の使用目的に応じた素材が用いられる。例えば、空調衣服を防護服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防護服による防護対象となる化学物質等を通さない素材を用いる。また、空調衣服を防塵服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防塵服による防塵対象となる埃等を通さない素材を用いる。
また、第一実施形態では、衣服本体10は、身体又は下着との間の空間(循環用空気流通路)において、送風手段30により発生した空気の流れを身体又は下着の表面に沿って案内するという役割をも果たす。すなわち、衣服本体10は、身体を覆う衣服としての役割と共に、空気案内手段としての役割をも果たす。衣服本体10を空気案内手段として用いるためには、衣服本体10の素材として、空気が循環用空気流通路内を流通する途中で実質的に衣服本体10から外部に漏れないような素材を用いる必要がある。
更に、第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分、すなわち、体の胴部に対応する衣服本体10の部分は、透湿性シートを用いて形成されている。かかる透湿性シートが用いられた衣服本体10の部分は、空気案内手段としての役割を果たすと共に、除湿手段50として機能する。すなわち、第一実施形態では、除湿手段50は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分に用いられた透湿性シートである。この透湿性シート50を介して、衣服本体10内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出すことができる。透湿性シート50の素材としては、多孔性を有するシート状素材であって水蒸気分子をそのまま透過させるものや、繊維材料で作られたシート状素材であって水蒸気分子を吸着し、凝縮して水の状態に変えた後に透過させるものを用いることができる。前者の代表的な例としては、ゴアテックス(登録商標)等を挙げることができ、後者の例としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、アクリル、レーヨン、セロファン、ポリビニルアルコール、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート等を挙げることができる。
次に、衣服本体10に取り付けられるスペーサ部20a,20b,20cの構造について説明する。図3Aは第一実施形態の空調衣服に用いられるスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略平面図、図3Bはそのスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略側面図である。この図3では、スペーサ部20a,20b,20cとして、プラスチック製のメッシュからなるメッシュスペーサ20を用いた場合を示している。メッシュスペーサ20は、略平面状のものであって、網目状シート(網目状部材)21と、複数の凸部22とを有する。ここで、複数の凸部22は規則的に形成されている。このメッシュスペーサ20を製造するには、軟質プラスチックの網目状シートを凸の金型と凹の金型との間に入れて、熱成形する。これにより、網目状シート21上には、その厚さ方向に突出した複数の凸部22が形成される。このように、メッシュスペーサ20は簡単に作ることができる。
また、メッシュスペーサ20の厚さ(凸部22の高さ)Wは2mm以上30mm以下であることが望ましい。メッシュスペーサ20の厚さWが2mmより小さいと、一定流量の空気を流すためには、空気の圧力をかなり高める必要があり、実用的でないからである。一方、メッシュスペーサ20の厚さWが30mmよりも大きいと、見栄えや着心地が悪くなってしまうからである。
メッシュスペーサ20は、材料となる網目状シート自体が安価で軽量なこと、成型が容易なこと、身体又は下着と衣服本体10との間のスペースを確保するための凸部22それ自体が網目状であり、空気抵抗が少ないこと等により、空調衣服用のスペーサ部として用いるのに最適である。
三つのスペーサ部20a,20b,20cは、左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部のそれぞれに対応する衣服本体10の位置に糸で縫い付けられる。具体的には、まず、各スペーサ部20a,20b,20cを、その網目状シート21が衣服本体10の内面に対向するようにして、衣服本体10の所定部位に配置する。そして、例えばミシン等を用い、各スペーサ部20a,20b,20cを衣服本体10に縫い付ける。尚、糸で縫い付ける方法の他に、接着、融着等の方法を用いて、スペーサ部20a,20b,20cを、衣服本体10に取り付けるようにしてもよい。
こうしてスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられた空調衣服を着用すると、複数の凸部22が身体又は下着に接するようになる。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空間(循環用空気流通路)を確保し、スペーサ部20a,20b,20c内に空気を流通させるという目的を有する。
尚、スペーサ部20a,20b,20cを必ずしも循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分の全体に取り付ける必要はない。例えば、衣服本体10と体の形状の違いで必然的にスペースが空いてしまうところでは、当然、スペーサ部20a,20b,20cを取り付ける必要性はないからである。
送風手段30は、循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるためのものである。図4は第一実施形態の空調衣服に用いられる送風手段30の概略斜視図、図5はその送風手段30のファンの概略側面図である。
送風手段30は、図4に示すように、帯状部材31と、複数のファン32とを有する。帯状部材31は、複数のファン32を取り付けるためのものであり、帯状部材31の長手方向に垂直な平面で切ったときの帯状部材31の断面形状は略矩形状である。この帯状部材31は、図1及び図2に示すように、衣服本体10の内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。また、この帯状部材31の材質としては例えばポリウレタン等が用いられており、したがって、帯状部材31はクッション性を有する。帯状部材31は、衣服本体10の内面に着脱自在に取り付けられる。例えば、第一実施形態では、帯状部材31を粘着テープで衣服本体10の内面に取り付けている。
各ファン32は、図5に示すように、プロペラ32aと、モータ32bと、ファンガード32cとを有する。モータ32bはプロペラ32aを駆動するものであり、ファンガード32cはプロペラ32a及びモータ32bを収納するものである。プロペラ32aは、空気をプロペラ32aの回転軸方向から吸入し、その吸入側と反対側において回転軸方向に略平行に空気を送り出す。各ファン32は、プロペラ32aの回転軸が人体の表面と略平行となるように、且つ、帯状部材31の長手方向と略直交するように、帯状部材31に取り付けられる。また、複数のファン32は、帯状部材31に一定の間隔で配置されている。
電源手段40は、送風手段30に電力を供給するためのものである。電源手段40としては、経済性の観点から二次電池を用いている。電源手段40と送風手段30とは電源ケーブルにより接続されている。また、電源手段40と送風手段30との間には、電源スイッチ(不図示)が設けられている。この電源スイッチは、電源手段40から送風手段30に供給する電力をオン・オフするものである。
第一実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、複数のファン32のモータ32bが回転し、その回転力によりプロペラ32aが回転する。このとき、各プロペラ32aは、循環用空気流通路内の空気を帯状部材31の一方の側から他方の側に送り出す方向に回転する。各プロペラ32aにより当該他方の側に送り出された空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に戻ってくる。このように、衣服本体10内の空気は、循環用空気流通路内で循環する。
次に、第一実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能について説明する。第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。温度勾配の大小は、人体から放出される熱の量を左右し、人の温度の感じ方に大きな影響を与える。すなわち、人は、温度勾配が大きいほど涼しさを強く感じる。また、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流れる空気の熱を効率よく外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。このような人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図6は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と温度との関係の一例を示すグラフである。図6において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は温度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と温度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と温度との関係を示している。ここで、外部の空気は人の体温よりも低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、温度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気温に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、温度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、温度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気温に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな温度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進することができ、しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、循環用空気流通路内を流通する空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第一実施形態の空調衣服では、空調衣服を汗をかくような状況で使用する場合に、上述した大きな温度勾配による冷却作用に加えて、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。すなわち、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、身体が必要とする放熱量に対応する量の汗を気化させ、その気化の際に人体から気化熱が奪われることを利用して人体を冷却する。この冷却作用は、人間が本来的に有している、発汗により身体を冷却する機能(生理的冷却機能)を利用したものである。しかも、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。このような人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおける大きな湿度勾配も、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図7は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と湿度との関係の一例を示すグラフである。図7において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は湿度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示している。ここで、人は汗をかく環境下におり、人体表面の湿度は約100%であるとする。また、外部の湿度は100%より低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、湿度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、湿度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、湿度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな湿度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな湿度勾配によって、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。これは、結果的に、人が本来的に有している生理的冷却機能を持続させることにもなる。
このように、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍において大きな温度勾配及び湿度勾配を実現することができるので、着用者は、涼しさ、快適さを得ることができる。
第一実施形態の空調衣服では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、送風手段としてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
尚、上記の第一実施形態では、衣服本体内の空気を、体の胴部に形成された循環用空気流通路内で循環させる場合について説明したが、例えば、循環用空気流通路を、体の胴部に加えて、他の部分をも含むように形成し、衣服本体内の空気をその循環用空気流通路内で循環させるようにしてもよい。
また、上記の第一実施形態において、透湿性シートを蛇腹状に折り曲げるようにしてもよい。このとき、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように透湿性シートを設ける必要がある。これにより、衣服本体内の空気が透湿性シートと接触する面積を増やし、その空気に含まれる湿気を効率よく外部に放出することができる。
また、上記の第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分のみに透湿性シートを用いた場合について説明したが、少なくとも循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分が透湿性シートを用いて形成されていればよい。例えば、衣服本体全体を透湿性シートを用いて形成してもよい。
更に、上記の第一実施形態では、三つのスペーサ部によって循環用空気流通路を形成する場合について説明したが、一つ、二つ又は四つ以上のスペーサ部によって循環用空気流通路を形成するようにしてもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図、図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図、図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第二実施形態の空調衣服は、図8及び図9に示すように、衣服本体10aと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段500と、空気出口部61と、空気入口部62と、セパレーター63とを備えるものである。ここで、図9では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10aは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10aの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
背中右側の胴部に対応する衣服本体10aの部分と、背中左側の胴部に対応する衣服本体10aの部分とにはそれぞれ開口部が形成されている。前者の開口部が空気出口部61であり、後者の開口部が空気入口部62である。空気出口部61は、循環用空気流通路内を流通する空気を除湿手段500に取り出すためのものである。空気入口部62は、除湿手段500で除湿された空気を循環用空気流通路内に取り入れるためのものである。また、セパレーター63は、空気入口部62から流入した空気が直接に空気出口部61側に流れるのを防ぐためのものである。かかるセパレーター63は、衣服本体10aの内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。
除湿手段500は、衣服本体10a内の空気に含まれる水蒸気を除湿するものであり、図8及び図10に示すように、服内空気入口部501と、服内空気出口部502と、外気入口部503と、外気出口部504と、外気送風用ファン505と、湿度交換手段506と、バンド(背負い手段)507とを備える。また、湿度交換手段506は、少なくとも一つの服内空気用流通路506aと、少なくとも一つの外気用流通路506bとを有する。
少なくとも一つの服内空気用流通路506aと少なくとも一つの外気用流通路506bとは、透湿性シートを一定の間隔で積層することによって交互に形成されている。各服内空気用流通路506aは、衣服本体10a内の空気を流通させるためのものであり、各外気用流通路506bは、外気を流通させるためのものである。また、服内空気用流通路506a内における空気の流れ方向と外気用流通路506b内における外気の流れ方向とは、互いに直交する方向となるように設計されている。
服内空気入口部501は循環用空気流通路内を流通する空気を各服内空気用流通路506a内に取り入れるためのものであり、服内空気出口部502は服内空気用流通路506a内を流通する空気を循環用空気流通路内に取り出すためのものである。また、外気入口部503は外気を外気用流通路506b内に取り入れるためのものであり、外気出口部504は外気用流通路506b内を流通する空気を外部に取り出すためのものである。外気送風用ファン505は、外気用入口部503内に流入するような外気の流れを強制的に生じさせるためのものであり、外気入口部503の近傍に設けられている。
第二実施形態では、送風手段30によって、循環用空気流通路と服内空気用流通路506aとにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしている。したがって、循環用空気流通路を流通する衣服本体10a内の空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して服内空気用流通路506aに入り込み、服内空気用流通路506aを流通した後、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して再び循環用空気流通路内に流入する。
また、除湿手段500は、衣服本体10aに着脱可能に構成されている。除湿手段500は、服内空気入口部501と空気出口部61との位置を合わせると共に服内空気出口部502と空気入口部62との位置を合わせて衣服本体10aに装着される。また、バンド507は、除湿手段500を背負うためのものである。
第二実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、送風手段30が駆動し、循環用空気流通路内に空気の流れが生じる。循環用空気流通路内を流通する空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して除湿手段500の服内空気用流通路506a内に流入する。そして、循環用空気流通路内を流通する空気が服内空気用流通路506aを流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に移動し、外気用流通路506b内を流通する外気に吸収される。このようにして、湿度交換手段506によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気と外気用流通路506b内を流通する外気との間で湿度が交換される。その後、その除湿された服内空気用流通路506a内の空気は、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して循環用空気流通路内に流入する。このとき、空気入口部62から流入した空気は、セパレーター63の存在により、直接に空気出口部61の側に流れることはない。その後、空気入口部62から循環用空気流通路内に流入した空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に送られる。
第二実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10aの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10aの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10a内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び服内空気用流通路506aを構成する透湿性シートの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シートの表面近傍における大きな湿度勾配によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に放出することができるので、除湿手段500の除湿能率の向上を図ることができる。
第二実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第二実施形態の空調衣服は、第一実施形態の空調衣服に比べて、除湿能率の点で優れている。
尚、上記の第二実施形態において、除湿手段に、服内空気用流通路内に空気の流れを強制的に生じさせるための服内空気用送風手段を設けてもよい。この服内空気用送風手段は、例えば、服内空気入口部の近傍に設けられる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について図面を参照して説明する。図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図、図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。尚、第三実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第三実施形態の空調衣服は、図11及び図12に示すように、衣服本体10bと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段510とを備えるものである。ここで、図12では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10bは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。また、背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は透湿性シート511を用いて形成されている。かかる透湿性シート511で形成された衣服本体10bの部分は、除湿手段510の一部を構成する。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
第三実施形態では、除湿手段510として湿度放出器を用いている。湿度放出器510は、衣服本体10b内の湿った空気に含まれる水蒸気を外部に放出するものである。かかる湿度放出器510は、第二実施形態で説明した湿度交換器の構造を簡易にしたものと考えることができる。湿度放出器510は、図11及び図12に示すように、透湿性シート511と、外気用送風手段512とを備える。
循環用空気流通路に対応する衣服本体10bの部分の一部、第三実施形態では背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は、透湿性シート511を用いて形成されている。この透湿性シート511は、蛇腹状に折り曲げられており、しかも、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように衣服本体10bに設けられている。これにより、衣服本体10b内の空気が当該透湿性シート511と接触する面積を大きくすることができる。
外気用送風手段512は、透湿性シート511の外側に設けられている。かかる外気用送風手段512は、透湿性シート511に向かう外気の流れを強制的に生じさせるためのものである。衣服本体10b内の湿った空気が除湿手段510の透湿性シート511の内面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シート511を介して外部に放出される。そして、その外部に放出された水蒸気は、外気用送風手段512によって透湿性シート511の外側から透湿性シート511の外面に略垂直に吹き付けられる外気に吸収される。
第三実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10bの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10bの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10b内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート511の表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート511の表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10b内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート511を介して外部に効率よく放出することができるので、除湿手段510の除湿能率の向上を図ることができる。
第三実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第三実施形態の空調衣服の除湿能率は、第一実施形態の空調衣服の除湿能率より高いが、第二実施形態の空調衣服の除湿能率よりは低い。
尚、上記の第三実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の一部を透湿性シートを用いて形成した場合について説明したが、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全部を透湿性シートを用いて形成するようにしてもよい。
また、上記の第三実施形態において、透湿性シートを折り曲げずに衣服本体に設けるようにしてもよい。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について図面を参照して説明する。図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図、図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図、図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図、図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。尚、第四実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第四実施形態の空調衣服は、図13及び図14に示すように、衣服本体10cと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段520とを備えるものである。ここで、図14では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10cは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10cの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。また、背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分を、その内側に除湿手段520を取り付けることができるように外側に突出させている。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
除湿手段520は、図13、図14及び図15に示すように、水蒸気を吸着する吸湿剤521と、吸湿剤521を収納する収納手段522とを備える。一般に、吸湿剤には、水蒸気を吸収して体積が変化するものと、水蒸気を吸収してもあまり体積が変化しないものとがある。前者の吸湿剤としては、例えば、潮解性を有する物質が用いられる。その代表例は塩化カルシウムである。すなわち、塩化カルシウムは、水蒸気を吸収してその中に溶けることにより、吸湿剤として作用する。一方、後者の吸湿剤には、代表的なものとしてシリカゲル、ゼオライト等がある。尚、前者の吸湿剤は後者の吸湿剤に比べて吸湿効率の点で優れている。
収納手段522は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10cの部分のうちの所定部分、ここでは背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分であって、その内面に取り付けられる。ここで、収納手段522を取り付ける際には、循環用空気流通路を塞がないように注意する必要がある。また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面は、例えばセロファン等の透湿性シート522aを用いて形成されている。吸湿剤521は、この透湿性シート522aの内面に配されている。
衣服本体10c内の湿った空気が除湿手段520の透湿性シート522aの表面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は透湿性シート522aを介して収納手段522内に入り込み、吸湿剤521に吸収される。こうして、衣服本体10c内の空気は除湿される。
ところで、吸湿剤521として、例えば、潮解性を有する塩化カルシウムを用いた場合には、塩化カルシウムは水蒸気を吸収して、その中に溶けて、液体に変化する。このように吸湿剤521が液体に変化すると、その体積は増加することになる。このため、吸湿剤521の体積増加を予め考慮し、収納手段522として、例えば底面積の大きなものを用いることが考えられるが、かかる収納手段522を用いた場合には次のような問題がある。すなわち、吸湿剤521が液体に変化すると、その液体は収納手段522の下に溜まってしまうので、収納手段522の底面積が大きい場合には、その液体の高さはあまり高くならず、透湿性シート522aに対向する吸湿剤(固体のものと液化したもの)521の部分の面積が小さくなってしまうことがある。これでは、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって吸湿効果が低下してしまう。そこで、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、収納手段522として次のようなものを用いることが望ましい。すなわち、収納手段522として、図15に示すように、透湿性シート522aで形成した面とそれと反対側の衣服本体10cに取り付ける面とを除く他の面を、蛇腹状に形成したものを用いる。これにより、収納手段522は透湿性シート522aの表面に垂直な方向に沿って伸縮することができる。最初、収納手段522は、図16Aに示すように、その体積が最も小さくなるようにして衣服本体10cの所定位置に取り付けられる。そして、収納手段522内の吸湿剤521が水蒸気を吸収し、液化した吸湿剤521が収納手段522の下に溜まるにしたがって、図16Bに示すように、収納手段522の蛇腹が徐々に開いてくる。このため、吸湿剤521が液体になって収納手段522の下に溜まっても、収納手段522の体積が徐々に大きくなるので、その液体を収納手段522内に収納することができると共に、その液体の高さを常にある程度高く維持することができる。したがって、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、かかる収納手段522を用いることにより、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって除湿手段520の吸湿効果が低下してしまうのを防止することができる。
また、吸湿剤521が水蒸気を吸着できなくなったときは、吸湿剤521を交換する。特に、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いた場合には、吸湿剤521を加熱することにより吸湿能力を再生することができる。
尚、ここでは、除湿手段520を衣服本体10cの内面に取り付けた場合について説明したが、衣服本体10cの所定部分を切り欠き、その切り欠いた部分に除湿手段520を取り付けるようにしてもよい。
また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面を、必ずしも透湿性シート522aを用いて形成する必要はない。例えば、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いる場合には、収納手段522としてメッシュ状の素材で形成された袋等を用い、循環用空気流通路内を流通する空気が直接、収納手段522内の吸湿剤521と接することができるようにしてもよい。
第四実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10cの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10c内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート522aの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート522aの表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10c内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート522aを介して収納手段522内に効率よく取り込むことができるので、除湿手段520の吸湿能率の向上を図ることができる。
尚、吸湿剤521が水蒸気を吸着する際には吸湿剤521が発熱するため、その熱により衣服本体10c内の空気の温度が上昇してしまう。しかし、第四実施形態では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内に循環させているので、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配を利用して、衣服本体10c内の空気の熱を外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。
第四実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。
ところで、第四実施形態の空調衣服は、防護服や防塵服として利用する他、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。第四実施形態の空調衣服は、衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に放出するのではなく、吸湿剤に吸着させることにより、衣服本体内の空気を除湿するからである。
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
上記の各実施形態では、電源手段として二次電池を用いた場合について説明したが、電源手段としては、例えば燃料電池やキャパシターを用いるようにしてもよい。燃料電池は、二次電池に比べて、小型であり、充電する手間もかからないという利点がある。一方、キャパシターは、寿命が非常に長く、ごく短時間に充電でき、しかも、安全性が高いという利点がある。このため、燃料電池やキャパシターは、空調衣服用の電源として用いるのにとても適している。
また、電源手段として二次電池を用いると共に、太陽電池を用いて二次電池を充電するようにしてもよい。この場合、例えば、太陽電池を、衣服本体の外面側であって、例えば背中上部に対応する位置に取り付ける。そして、二次電池と送風手段とを電源ケーブルにより接続すると共に、太陽電池と二次電池とを電源ケーブルにより接続する。これにより、太陽電池が二次電池を充電し、その二次電池から送風手段に電力を供給することができる。かかる電源手段を用いた空調衣服は、着用者が野外で長時間活動する場合に用いるのに好適である。
更に、上記の各実施形態では、スペーサ部としてメッシュスペーサを用いた場合について説明したが、メッシュスペーサ以外にもさまざまなスペーサを用いることができる。一般に、スペーサ部は、衣服本体と身体又は下着との間に循環用空気流通路を形成することができるものであれば、どのような構造のものであってもよい。この場合、スペーサ部を、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全体に取り付ける必要はなく、循環用空気流通路を形成するために必要とされる最小限の範囲に取り付ければ十分である。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図、図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
第一実施形態の空調衣服は、図1及び図2に示すように、衣服本体10と、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段50とを備えるものである。第一実施形態では、かかる空調衣服を、防護服や防塵服等に適用した場合について説明する。ここで、防護服とは、有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐための衣服である。また、防塵服とは、人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないための衣服であるである。かかる防護服や防塵服は、図1に示すように、体全体を覆うようにして着用される。そして、通常、防護服や防塵服は、着用時に内部の空気が外部に漏出しない密閉式になっている。このため、防護服又は防塵服を着用すると、体温により衣服内の温度が上昇し、衣服内に熱がこもり、また、外気温が高い等、汗をかく状況では、汗が蒸発し、衣服内に水蒸気がこもってしまう。しかし、第一実施形態では、後に詳述するように、空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能により、空調衣服の着用者は蒸し暑さから逃れることができる。
この空調不服を使用する場合、通常、空調衣服を身体の上に直接着用するが、空調衣服を下着の上に着用してもよい。ここで、「下着」とは、空調衣服の下に着用される衣類を意味する。例えば、空調衣服の下にワイシャツを着ることにすれば、そのワイシャツは、ここでいう「下着」である。
衣服本体10の内面の所定位置には、三つのスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられている。第一実施形態では、各スペーサ部20a,20b,20cを、汗のかきやすい箇所、例えば左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部に対応する衣服本体10の位置に取り付けている。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空気を流通させるための空気流通路を形成する。この空気流通路は、人が空調衣服を着用したときに体表に略平行な空間を構成する。また、第一実施形態では、送風手段30を用いて、衣服本体10内の空気を空気流通路内に流通させ、その流通する空気を空気流通路内で循環させる。したがって、かかる空気流通路は、循環用空気流通路ということができる。
ここで、空調衣服を着用したときにその前部を閉じる手段としては、例えばファスナー(不図示)が用いられる。ファスナーは簡単に開閉することができ、しかもファスナーを閉じたときにそのファスナーの部分から外部へ空気がほとんど漏れないからである。
衣服本体10は身体の所定部位を覆うものである。衣服本体10の素材としては、空調衣服の使用目的に応じた素材が用いられる。例えば、空調衣服を防護服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防護服による防護対象となる化学物質等を通さない素材を用いる。また、空調衣服を防塵服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防塵服による防塵対象となる埃等を通さない素材を用いる。
また、第一実施形態では、衣服本体10は、身体又は下着との間の空間(循環用空気流通路)において、送風手段30により発生した空気の流れを身体又は下着の表面に沿って案内するという役割をも果たす。すなわち、衣服本体10は、身体を覆う衣服としての役割と共に、空気案内手段としての役割をも果たす。衣服本体10を空気案内手段として用いるためには、衣服本体10の素材として、空気が循環用空気流通路内を流通する途中で実質的に衣服本体10から外部に漏れないような素材を用いる必要がある。
更に、第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分、すなわち、体の胴部に対応する衣服本体10の部分は、透湿性シートを用いて形成されている。かかる透湿性シートが用いられた衣服本体10の部分は、空気案内手段としての役割を果たすと共に、除湿手段50として機能する。すなわち、第一実施形態では、除湿手段50は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分に用いられた透湿性シートである。この透湿性シート50を介して、衣服本体10内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出すことができる。透湿性シート50の素材としては、多孔性を有するシート状素材であって水蒸気分子をそのまま透過させるものや、繊維材料で作られたシート状素材であって水蒸気分子を吸着し、凝縮して水の状態に変えた後に透過させるものを用いることができる。前者の代表的な例としては、ゴアテックス(登録商標)等を挙げることができ、後者の例としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、アクリル、レーヨン、セロファン、ポリビニルアルコール、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート等を挙げることができる。
次に、衣服本体10に取り付けられるスペーサ部20a,20b,20cの構造について説明する。図3Aは第一実施形態の空調衣服に用いられるスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略平面図、図3Bはそのスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略側面図である。この図3では、スペーサ部20a,20b,20cとして、プラスチック製のメッシュからなるメッシュスペーサ20を用いた場合を示している。メッシュスペーサ20は、略平面状のものであって、網目状シート(網目状部材)21と、複数の凸部22とを有する。ここで、複数の凸部22は規則的に形成されている。このメッシュスペーサ20を製造するには、軟質プラスチックの網目状シートを凸の金型と凹の金型との間に入れて、熱成形する。これにより、網目状シート21上には、その厚さ方向に突出した複数の凸部22が形成される。このように、メッシュスペーサ20は簡単に作ることができる。
また、メッシュスペーサ20の厚さ(凸部22の高さ)Wは2mm以上30mm以下であることが望ましい。メッシュスペーサ20の厚さWが2mmより小さいと、一定流量の空気を流すためには、空気の圧力をかなり高める必要があり、実用的でないからである。一方、メッシュスペーサ20の厚さWが30mmよりも大きいと、見栄えや着心地が悪くなってしまうからである。
メッシュスペーサ20は、材料となる網目状シート自体が安価で軽量なこと、成型が容易なこと、身体又は下着と衣服本体10との間のスペースを確保するための凸部22それ自体が網目状であり、空気抵抗が少ないこと等により、空調衣服用のスペーサ部として用いるのに最適である。
三つのスペーサ部20a,20b,20cは、左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部のそれぞれに対応する衣服本体10の位置に糸で縫い付けられる。具体的には、まず、各スペーサ部20a,20b,20cを、その網目状シート21が衣服本体10の内面に対向するようにして、衣服本体10の所定部位に配置する。そして、例えばミシン等を用い、各スペーサ部20a,20b,20cを衣服本体10に縫い付ける。尚、糸で縫い付ける方法の他に、接着、融着等の方法を用いて、スペーサ部20a,20b,20cを、衣服本体10に取り付けるようにしてもよい。
こうしてスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられた空調衣服を着用すると、複数の凸部22が身体又は下着に接するようになる。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空間(循環用空気流通路)を確保し、スペーサ部20a,20b,20c内に空気を流通させるという目的を有する。
尚、スペーサ部20a,20b,20cを必ずしも循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分の全体に取り付ける必要はない。例えば、衣服本体10と体の形状の違いで必然的にスペースが空いてしまうところでは、当然、スペーサ部20a,20b,20cを取り付ける必要性はないからである。
送風手段30は、循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるためのものである。図4は第一実施形態の空調衣服に用いられる送風手段30の概略斜視図、図5はその送風手段30のファンの概略側面図である。
送風手段30は、図4に示すように、帯状部材31と、複数のファン32とを有する。帯状部材31は、複数のファン32を取り付けるためのものであり、帯状部材31の長手方向に垂直な平面で切ったときの帯状部材31の断面形状は略矩形状である。この帯状部材31は、図1及び図2に示すように、衣服本体10の内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。また、この帯状部材31の材質としては例えばポリウレタン等が用いられており、したがって、帯状部材31はクッション性を有する。帯状部材31は、衣服本体10の内面に着脱自在に取り付けられる。例えば、第一実施形態では、帯状部材31を粘着テープで衣服本体10の内面に取り付けている。
各ファン32は、図5に示すように、プロペラ32aと、モータ32bと、ファンガード32cとを有する。モータ32bはプロペラ32aを駆動するものであり、ファンガード32cはプロペラ32a及びモータ32bを収納するものである。プロペラ32aは、空気をプロペラ32aの回転軸方向から吸入し、その吸入側と反対側において回転軸方向に略平行に空気を送り出す。各ファン32は、プロペラ32aの回転軸が人体の表面と略平行となるように、且つ、帯状部材31の長手方向と略直交するように、帯状部材31に取り付けられる。また、複数のファン32は、帯状部材31に一定の間隔で配置されている。
電源手段40は、送風手段30に電力を供給するためのものである。電源手段40としては、経済性の観点から二次電池を用いている。電源手段40と送風手段30とは電源ケーブルにより接続されている。また、電源手段40と送風手段30との間には、電源スイッチ(不図示)が設けられている。この電源スイッチは、電源手段40から送風手段30に供給する電力をオン・オフするものである。
第一実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、複数のファン32のモータ32bが回転し、その回転力によりプロペラ32aが回転する。このとき、各プロペラ32aは、循環用空気流通路内の空気を帯状部材31の一方の側から他方の側に送り出す方向に回転する。各プロペラ32aにより当該他方の側に送り出された空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に戻ってくる。このように、衣服本体10内の空気は、循環用空気流通路内で循環する。
次に、第一実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能について説明する。第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。温度勾配の大小は、人体から放出される熱の量を左右し、人の温度の感じ方に大きな影響を与える。すなわち、人は、温度勾配が大きいほど涼しさを強く感じる。また、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流れる空気の熱を効率よく外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。このような人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図6は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と温度との関係の一例を示すグラフである。図6において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は温度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と温度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と温度との関係を示している。ここで、外部の空気は人の体温よりも低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、温度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気温に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、温度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、温度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気温に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな温度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進することができ、しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、循環用空気流通路内を流通する空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第一実施形態の空調衣服では、空調衣服を汗をかくような状況で使用する場合に、上述した大きな温度勾配による冷却作用に加えて、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。すなわち、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、身体が必要とする放熱量に対応する量の汗を気化させ、その気化の際に人体から気化熱が奪われることを利用して人体を冷却する。この冷却作用は、人間が本来的に有している、発汗により身体を冷却する機能(生理的冷却機能)を利用したものである。しかも、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。このような人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおける大きな湿度勾配も、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図7は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と湿度との関係の一例を示すグラフである。図7において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は湿度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示している。ここで、人は汗をかく環境下におり、人体表面の湿度は約100%であるとする。また、外部の湿度は100%より低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、湿度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、湿度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、湿度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな湿度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな湿度勾配によって、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。これは、結果的に、人が本来的に有している生理的冷却機能を持続させることにもなる。
このように、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍において大きな温度勾配及び湿度勾配を実現することができるので、着用者は、涼しさ、快適さを得ることができる。
第一実施形態の空調衣服では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、送風手段としてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
尚、上記の第一実施形態では、衣服本体内の空気を、体の胴部に形成された循環用空気流通路内で循環させる場合について説明したが、例えば、循環用空気流通路を、体の胴部に加えて、他の部分をも含むように形成し、衣服本体内の空気をその循環用空気流通路内で循環させるようにしてもよい。
また、上記の第一実施形態において、透湿性シートを蛇腹状に折り曲げるようにしてもよい。このとき、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように透湿性シートを設ける必要がある。これにより、衣服本体内の空気が透湿性シートと接触する面積を増やし、その空気に含まれる湿気を効率よく外部に放出することができる。
また、上記の第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分のみに透湿性シートを用いた場合について説明したが、少なくとも循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分が透湿性シートを用いて形成されていればよい。例えば、衣服本体全体を透湿性シートを用いて形成してもよい。
更に、上記の第一実施形態では、三つのスペーサ部によって循環用空気流通路を形成する場合について説明したが、一つ、二つ又は四つ以上のスペーサ部によって循環用空気流通路を形成するようにしてもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図、図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図、図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第二実施形態の空調衣服は、図8及び図9に示すように、衣服本体10aと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段500と、空気出口部61と、空気入口部62と、セパレーター63とを備えるものである。ここで、図9では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10aは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10aの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
背中右側の胴部に対応する衣服本体10aの部分と、背中左側の胴部に対応する衣服本体10aの部分とにはそれぞれ開口部が形成されている。前者の開口部が空気出口部61であり、後者の開口部が空気入口部62である。空気出口部61は、循環用空気流通路内を流通する空気を除湿手段500に取り出すためのものである。空気入口部62は、除湿手段500で除湿された空気を循環用空気流通路内に取り入れるためのものである。また、セパレーター63は、空気入口部62から流入した空気が直接に空気出口部61側に流れるのを防ぐためのものである。かかるセパレーター63は、衣服本体10aの内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。
除湿手段500は、衣服本体10a内の空気に含まれる水蒸気を除湿するものであり、図8及び図10に示すように、服内空気入口部501と、服内空気出口部502と、外気入口部503と、外気出口部504と、外気送風用ファン505と、湿度交換手段506と、バンド(背負い手段)507とを備える。また、湿度交換手段506は、少なくとも一つの服内空気用流通路506aと、少なくとも一つの外気用流通路506bとを有する。
少なくとも一つの服内空気用流通路506aと少なくとも一つの外気用流通路506bとは、透湿性シートを一定の間隔で積層することによって交互に形成されている。各服内空気用流通路506aは、衣服本体10a内の空気を流通させるためのものであり、各外気用流通路506bは、外気を流通させるためのものである。また、服内空気用流通路506a内における空気の流れ方向と外気用流通路506b内における外気の流れ方向とは、互いに直交する方向となるように設計されている。
服内空気入口部501は循環用空気流通路内を流通する空気を各服内空気用流通路506a内に取り入れるためのものであり、服内空気出口部502は服内空気用流通路506a内を流通する空気を循環用空気流通路内に取り出すためのものである。また、外気入口部503は外気を外気用流通路506b内に取り入れるためのものであり、外気出口部504は外気用流通路506b内を流通する空気を外部に取り出すためのものである。外気送風用ファン505は、外気用入口部503内に流入するような外気の流れを強制的に生じさせるためのものであり、外気入口部503の近傍に設けられている。
第二実施形態では、送風手段30によって、循環用空気流通路と服内空気用流通路506aとにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしている。したがって、循環用空気流通路を流通する衣服本体10a内の空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して服内空気用流通路506aに入り込み、服内空気用流通路506aを流通した後、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して再び循環用空気流通路内に流入する。
また、除湿手段500は、衣服本体10aに着脱可能に構成されている。除湿手段500は、服内空気入口部501と空気出口部61との位置を合わせると共に服内空気出口部502と空気入口部62との位置を合わせて衣服本体10aに装着される。また、バンド507は、除湿手段500を背負うためのものである。
第二実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、送風手段30が駆動し、循環用空気流通路内に空気の流れが生じる。循環用空気流通路内を流通する空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して除湿手段500の服内空気用流通路506a内に流入する。そして、循環用空気流通路内を流通する空気が服内空気用流通路506aを流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に移動し、外気用流通路506b内を流通する外気に吸収される。このようにして、湿度交換手段506によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気と外気用流通路506b内を流通する外気との間で湿度が交換される。その後、その除湿された服内空気用流通路506a内の空気は、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して循環用空気流通路内に流入する。このとき、空気入口部62から流入した空気は、セパレーター63の存在により、直接に空気出口部61の側に流れることはない。その後、空気入口部62から循環用空気流通路内に流入した空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に送られる。
第二実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10aの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10aの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10a内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び服内空気用流通路506aを構成する透湿性シートの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シートの表面近傍における大きな湿度勾配によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に放出することができるので、除湿手段500の除湿能率の向上を図ることができる。
第二実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第二実施形態の空調衣服は、第一実施形態の空調衣服に比べて、除湿能率の点で優れている。
尚、上記の第二実施形態において、除湿手段に、服内空気用流通路内に空気の流れを強制的に生じさせるための服内空気用送風手段を設けてもよい。この服内空気用送風手段は、例えば、服内空気入口部の近傍に設けられる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について図面を参照して説明する。図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図、図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。尚、第三実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第三実施形態の空調衣服は、図11及び図12に示すように、衣服本体10bと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段510とを備えるものである。ここで、図12では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10bは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。また、背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は透湿性シート511を用いて形成されている。かかる透湿性シート511で形成された衣服本体10bの部分は、除湿手段510の一部を構成する。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
第三実施形態では、除湿手段510として湿度放出器を用いている。湿度放出器510は、衣服本体10b内の湿った空気に含まれる水蒸気を外部に放出するものである。かかる湿度放出器510は、第二実施形態で説明した湿度交換器の構造を簡易にしたものと考えることができる。湿度放出器510は、図11及び図12に示すように、透湿性シート511と、外気用送風手段512とを備える。
循環用空気流通路に対応する衣服本体10bの部分の一部、第三実施形態では背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は、透湿性シート511を用いて形成されている。この透湿性シート511は、蛇腹状に折り曲げられており、しかも、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように衣服本体10bに設けられている。これにより、衣服本体10b内の空気が当該透湿性シート511と接触する面積を大きくすることができる。
外気用送風手段512は、透湿性シート511の外側に設けられている。かかる外気用送風手段512は、透湿性シート511に向かう外気の流れを強制的に生じさせるためのものである。衣服本体10b内の湿った空気が除湿手段510の透湿性シート511の内面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シート511を介して外部に放出される。そして、その外部に放出された水蒸気は、外気用送風手段512によって透湿性シート511の外側から透湿性シート511の外面に略垂直に吹き付けられる外気に吸収される。
第三実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10bの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10bの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10b内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート511の表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート511の表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10b内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート511を介して外部に効率よく放出することができるので、除湿手段510の除湿能率の向上を図ることができる。
第三実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第三実施形態の空調衣服の除湿能率は、第一実施形態の空調衣服の除湿能率より高いが、第二実施形態の空調衣服の除湿能率よりは低い。
尚、上記の第三実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の一部を透湿性シートを用いて形成した場合について説明したが、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全部を透湿性シートを用いて形成するようにしてもよい。
また、上記の第三実施形態において、透湿性シートを折り曲げずに衣服本体に設けるようにしてもよい。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について図面を参照して説明する。図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図、図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図、図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図、図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。尚、第四実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第四実施形態の空調衣服は、図13及び図14に示すように、衣服本体10cと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段520とを備えるものである。ここで、図14では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10cは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10cの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。また、背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分を、その内側に除湿手段520を取り付けることができるように外側に突出させている。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
除湿手段520は、図13、図14及び図15に示すように、水蒸気を吸着する吸湿剤521と、吸湿剤521を収納する収納手段522とを備える。一般に、吸湿剤には、水蒸気を吸収して体積が変化するものと、水蒸気を吸収してもあまり体積が変化しないものとがある。前者の吸湿剤としては、例えば、潮解性を有する物質が用いられる。その代表例は塩化カルシウムである。すなわち、塩化カルシウムは、水蒸気を吸収してその中に溶けることにより、吸湿剤として作用する。一方、後者の吸湿剤には、代表的なものとしてシリカゲル、ゼオライト等がある。尚、前者の吸湿剤は後者の吸湿剤に比べて吸湿効率の点で優れている。
収納手段522は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10cの部分のうちの所定部分、ここでは背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分であって、その内面に取り付けられる。ここで、収納手段522を取り付ける際には、循環用空気流通路を塞がないように注意する必要がある。また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面は、例えばセロファン等の透湿性シート522aを用いて形成されている。吸湿剤521は、この透湿性シート522aの内面に配されている。
衣服本体10c内の湿った空気が除湿手段520の透湿性シート522aの表面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は透湿性シート522aを介して収納手段522内に入り込み、吸湿剤521に吸収される。こうして、衣服本体10c内の空気は除湿される。
ところで、吸湿剤521として、例えば、潮解性を有する塩化カルシウムを用いた場合には、塩化カルシウムは水蒸気を吸収して、その中に溶けて、液体に変化する。このように吸湿剤521が液体に変化すると、その体積は増加することになる。このため、吸湿剤521の体積増加を予め考慮し、収納手段522として、例えば底面積の大きなものを用いることが考えられるが、かかる収納手段522を用いた場合には次のような問題がある。すなわち、吸湿剤521が液体に変化すると、その液体は収納手段522の下に溜まってしまうので、収納手段522の底面積が大きい場合には、その液体の高さはあまり高くならず、透湿性シート522aに対向する吸湿剤(固体のものと液化したもの)521の部分の面積が小さくなってしまうことがある。これでは、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって吸湿効果が低下してしまう。そこで、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、収納手段522として次のようなものを用いることが望ましい。すなわち、収納手段522として、図15に示すように、透湿性シート522aで形成した面とそれと反対側の衣服本体10cに取り付ける面とを除く他の面を、蛇腹状に形成したものを用いる。これにより、収納手段522は透湿性シート522aの表面に垂直な方向に沿って伸縮することができる。最初、収納手段522は、図16Aに示すように、その体積が最も小さくなるようにして衣服本体10cの所定位置に取り付けられる。そして、収納手段522内の吸湿剤521が水蒸気を吸収し、液化した吸湿剤521が収納手段522の下に溜まるにしたがって、図16Bに示すように、収納手段522の蛇腹が徐々に開いてくる。このため、吸湿剤521が液体になって収納手段522の下に溜まっても、収納手段522の体積が徐々に大きくなるので、その液体を収納手段522内に収納することができると共に、その液体の高さを常にある程度高く維持することができる。したがって、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、かかる収納手段522を用いることにより、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって除湿手段520の吸湿効果が低下してしまうのを防止することができる。
また、吸湿剤521が水蒸気を吸着できなくなったときは、吸湿剤521を交換する。特に、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いた場合には、吸湿剤521を加熱することにより吸湿能力を再生することができる。
尚、ここでは、除湿手段520を衣服本体10cの内面に取り付けた場合について説明したが、衣服本体10cの所定部分を切り欠き、その切り欠いた部分に除湿手段520を取り付けるようにしてもよい。
また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面を、必ずしも透湿性シート522aを用いて形成する必要はない。例えば、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いる場合には、収納手段522としてメッシュ状の素材で形成された袋等を用い、循環用空気流通路内を流通する空気が直接、収納手段522内の吸湿剤521と接することができるようにしてもよい。
第四実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10cの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10c内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート522aの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート522aの表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10c内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート522aを介して収納手段522内に効率よく取り込むことができるので、除湿手段520の吸湿能率の向上を図ることができる。
尚、吸湿剤521が水蒸気を吸着する際には吸湿剤521が発熱するため、その熱により衣服本体10c内の空気の温度が上昇してしまう。しかし、第四実施形態では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内に循環させているので、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配を利用して、衣服本体10c内の空気の熱を外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。
第四実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。
ところで、第四実施形態の空調衣服は、防護服や防塵服として利用する他、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。第四実施形態の空調衣服は、衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に放出するのではなく、吸湿剤に吸着させることにより、衣服本体内の空気を除湿するからである。
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
上記の各実施形態では、電源手段として二次電池を用いた場合について説明したが、電源手段としては、例えば燃料電池やキャパシターを用いるようにしてもよい。燃料電池は、二次電池に比べて、小型であり、充電する手間もかからないという利点がある。一方、キャパシターは、寿命が非常に長く、ごく短時間に充電でき、しかも、安全性が高いという利点がある。このため、燃料電池やキャパシターは、空調衣服用の電源として用いるのにとても適している。
また、電源手段として二次電池を用いると共に、太陽電池を用いて二次電池を充電するようにしてもよい。この場合、例えば、太陽電池を、衣服本体の外面側であって、例えば背中上部に対応する位置に取り付ける。そして、二次電池と送風手段とを電源ケーブルにより接続すると共に、太陽電池と二次電池とを電源ケーブルにより接続する。これにより、太陽電池が二次電池を充電し、その二次電池から送風手段に電力を供給することができる。かかる電源手段を用いた空調衣服は、着用者が野外で長時間活動する場合に用いるのに好適である。
更に、上記の各実施形態では、スペーサ部としてメッシュスペーサを用いた場合について説明したが、メッシュスペーサ以外にもさまざまなスペーサを用いることができる。一般に、スペーサ部は、衣服本体と身体又は下着との間に循環用空気流通路を形成することができるものであれば、どのような構造のものであってもよい。この場合、スペーサ部を、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全体に取り付ける必要はなく、循環用空気流通路を形成するために必要とされる最小限の範囲に取り付ければ十分である。
以上説明したように、本発明の空調衣服によれば、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。したがって、本発明の空調衣服は、有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐための防護服や人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないための防塵服、或いは、外部の湿度が高い等の劣悪な環境下で作業する場合の作業服に適用することができる。
【0002】
定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分に形成された、前記空気を身体又は下着の表面に沿って案内すると共に前記衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シートを有する除湿手段と、を具備することを特徴とするものである。
また、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部を前記透湿性シートを用いて形成し、且つ、前記除湿手段として、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用ファンとを有するものを用いるようにしてもよい。
更に、前記除湿手段として、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有するものを用い、前記ファンによって、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしてもよい。
請求項1記載の発明では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空
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定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分に形成された、前記空気を身体又は下着の表面に沿って案内すると共に前記衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シートを有する除湿手段と、を具備することを特徴とするものである。
また、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部を前記透湿性シートを用いて形成し、且つ、前記除湿手段として、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用ファンとを有するものを用いるようにしてもよい。
更に、前記除湿手段として、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有するものを用い、前記ファンによって、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしてもよい。
請求項1記載の発明では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空
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【0003】
気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、本発明の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、ファンとしてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
上記の目的を達成するための請求項7記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、を具備し、前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明も、上記請求項1記載の発明と同様に、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。特に、請求項7記載の発明に係る空調衣服は、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
図3Aはその空調衣服に用いられるスペーサ部の一部の概略平面図、同図Bは
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気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、本発明の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、ファンとしてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
上記の目的を達成するための請求項7記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、を具備し、前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられていることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明も、上記請求項1記載の発明と同様に、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。特に、請求項7記載の発明に係る空調衣服は、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図である。
図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
図3Aはその空調衣服に用いられるスペーサ部の一部の概略平面図、同図Bは
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本発明は、例えば人体を外部空間と遮断するために着用する防護服や防塵服等に用いることができる空調衣服に関する。
従来から、有毒ガス・細菌・ウィルス・放射能などから人体を保護するために、防護服が用いられている。また、人体及びその衣服から出る埃や髪の毛などを外部に出さないために、防塵服が用いられている。これらの防護服や防塵服は、全身が衣服で覆われるために体温により衣服内の温度が上昇する。このため、従来から、冷却機能を備える防護服や防塵服が開発されている。かかる防護服等の冷却方法として、例えば、コンプレッサを用いた冷風源からホースを介して冷風を服内に導く方法や、服内に保冷剤を入れる方法がある。
尚、近年では、暑い季節でも消費電力が少なく、かつ快適に過ごすことのできる衣服として冷却衣服が提案されている(PCT/JP01/01360)。
しかしながら、上述した従来の冷風源を用いる冷却方法は、冷風源が服と分離して設けられており、ホースを経由して冷風を服内に送り込むので、作業者の行動がホースの届く範囲に限定され、またホースが作業の邪魔になるという問題がある。また、保冷剤を使用する冷却方法では、保冷剤が重くかさばり、しかも冷却効果が短時間しか持続しないなどの問題がある。
本発明は、このような技術的背景のもとになされたものであり、着用者の行動が制約されることなく、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易で、快適な空調衣服を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分に形成された、前記空気を身体又は下着の表面に沿って案内すると共に前記衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シートを有する除湿手段と、を具備し、前記循環用空気流通路は身体の胴部の周りに形成されたものであり、前記ファンは身体の胴部の周りを回るように空気を循環させるものであることを特徴とするものである。
また、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部を前記透湿性シートを用いて形成し、且つ、前記除湿手段として、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用ファンとを有するものを用いるようにしてもよい。
更に、前記除湿手段として、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有するものを用い、前記ファンによって、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしてもよい。
請求項1記載の発明では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、本発明の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、ファンとしてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
上記の目的を達成するための請求項6記載の発明に係る空調衣服は、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、前記衣服本体の内面に取り付けられた、前記衣服本体内の空気を前記循環用空気流通路内で強制的に循環させるためのファンと、前記ファンに電力を供給する電源手段と、前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、を具備し、前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられており、前記循環用空気流通路は身体の胴部の周りに形成されたものであり、前記ファンは身体の胴部の周りを回るように空気を循環させるものであることを特徴とするものである。
請求項6記載の発明も、上記請求項1記載の発明と同様に、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。特に、請求項6記載の発明に係る空調衣服は、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図、図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態である空調衣服の概略背面図、図2はその空調衣服のA−A矢視方向概略断面図である。
第一実施形態の空調衣服は、図1及び図2に示すように、衣服本体10と、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段50とを備えるものである。第一実施形態では、かかる空調衣服を、防護服や防塵服等に適用した場合について説明する。ここで、防護服とは、有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐための衣服である。また、防塵服とは、人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないための衣服であるである。かかる防護服や防塵服は、図1に示すように、体全体を覆うようにして着用される。そして、通常、防護服や防塵服は、着用時に内部の空気が外部に漏出しない密閉式になっている。このため、防護服又は防塵服を着用すると、体温により衣服内の温度が上昇し、衣服内に熱がこもり、また、外気温が高い等、汗をかく状況では、汗が蒸発し、衣服内に水蒸気がこもってしまう。しかし、第一実施形態では、後に詳述するように、空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能により、空調衣服の着用者は蒸し暑さから逃れることができる。
この空調不服を使用する場合、通常、空調衣服を身体の上に直接着用するが、空調衣服を下着の上に着用してもよい。ここで、「下着」とは、空調衣服の下に着用される衣類を意味する。例えば、空調衣服の下にワイシャツを着ることにすれば、そのワイシャツは、ここでいう「下着」である。
衣服本体10の内面の所定位置には、三つのスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられている。第一実施形態では、各スペーサ部20a,20b,20cを、汗のかきやすい箇所、例えば左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部に対応する衣服本体10の位置に取り付けている。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空気を流通させるための空気流通路を形成する。この空気流通路は、人が空調衣服を着用したときに体表に略平行な空間を構成する。また、第一実施形態では、送風手段30を用いて、衣服本体10内の空気を空気流通路内に流通させ、その流通する空気を空気流通路内で循環させる。したがって、かかる空気流通路は、循環用空気流通路ということができる。
ここで、空調衣服を着用したときにその前部を閉じる手段としては、例えばファスナー(不図示)が用いられる。ファスナーは簡単に開閉することができ、しかもファスナーを閉じたときにそのファスナーの部分から外部へ空気がほとんど漏れないからである。
衣服本体10は身体の所定部位を覆うものである。衣服本体10の素材としては、空調衣服の使用目的に応じた素材が用いられる。例えば、空調衣服を防護服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防護服による防護対象となる化学物質等を通さない素材を用いる。また、空調衣服を防塵服として使用する場合には、衣服本体10の素材として、その防塵服による防塵対象となる埃等を通さない素材を用いる。
また、第一実施形態では、衣服本体10は、身体又は下着との間の空間(循環用空気流通路)において、送風手段30により発生した空気の流れを身体又は下着の表面に沿って案内するという役割をも果たす。すなわち、衣服本体10は、身体を覆う衣服としての役割と共に、空気案内手段としての役割をも果たす。衣服本体10を空気案内手段として用いるためには、衣服本体10の素材として、空気が循環用空気流通路内を流通する途中で実質的に衣服本体10から外部に漏れないような素材を用いる必要がある。
更に、第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分、すなわち、体の胴部に対応する衣服本体10の部分は、透湿性シートを用いて形成されている。かかる透湿性シートが用いられた衣服本体10の部分は、空気案内手段としての役割を果たすと共に、除湿手段50として機能する。すなわち、第一実施形態では、除湿手段50は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分に用いられた透湿性シートである。この透湿性シート50を介して、衣服本体10内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出すことができる。透湿性シート50の素材としては、多孔性を有するシート状素材であって水蒸気分子をそのまま透過させるものや、繊維材料で作られたシート状素材であって水蒸気分子を吸着し、凝縮して水の状態に変えた後に透過させるものを用いることができる。前者の代表的な例としては、ゴアテックス(登録商標)等を挙げることができ、後者の例としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、アクリル、レーヨン、セロファン、ポリビニルアルコール、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート等を挙げることができる。
次に、衣服本体10に取り付けられるスペーサ部20a,20b,20cの構造について説明する。図3Aは第一実施形態の空調衣服に用いられるスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略平面図、図3Bはそのスペーサ部20a,20b,20cの一部の概略側面図である。この図3では、スペーサ部20a,20b,20cとして、プラスチック製のメッシュからなるメッシュスペーサ20を用いた場合を示している。メッシュスペーサ20は、略平面状のものであって、網目状シート(網目状部材)21と、複数の凸部22とを有する。ここで、複数の凸部22は規則的に形成されている。このメッシュスペーサ20を製造するには、軟質プラスチックの網目状シートを凸の金型と凹の金型との間に入れて、熱成形する。これにより、網目状シート21上には、その厚さ方向に突出した複数の凸部22が形成される。このように、メッシュスペーサ20は簡単に作ることができる。
また、メッシュスペーサ20の厚さ(凸部22の高さ)Wは2mm以上30mm以下であることが望ましい。メッシュスペーサ20の厚さWが2mmより小さいと、一定流量の空気を流すためには、空気の圧力をかなり高める必要があり、実用的でないからである。一方、メッシュスペーサ20の厚さWが30mmよりも大きいと、見栄えや着心地が悪くなってしまうからである。
メッシュスペーサ20は、材料となる網目状シート自体が安価で軽量なこと、成型が容易なこと、身体又は下着と衣服本体10との間のスペースを確保するための凸部22それ自体が網目状であり、空気抵抗が少ないこと等により、空調衣服用のスペーサ部として用いるのに最適である。
三つのスペーサ部20a,20b,20cは、左前側の胴部、右前側の胴部、背中側の胴部のそれぞれに対応する衣服本体10の位置に糸で縫い付けられる。具体的には、まず、各スペーサ部20a,20b,20cを、その網目状シート21が衣服本体10の内面に対向するようにして、衣服本体10の所定部位に配置する。そして、例えばミシン等を用い、各スペーサ部20a,20b,20cを衣服本体10に縫い付ける。尚、糸で縫い付ける方法の他に、接着、融着等の方法を用いて、スペーサ部20a,20b,20cを、衣服本体10に取り付けるようにしてもよい。
こうしてスペーサ部20a,20b,20cが取り付けられた空調衣服を着用すると、複数の凸部22が身体又は下着に接するようになる。スペーサ部20a,20b,20cは、衣服本体10と身体又は下着との間に空間(循環用空気流通路)を確保し、スペーサ部20a,20b,20c内に空気を流通させるという目的を有する。
尚、スペーサ部20a,20b,20cを必ずしも循環用空気流通路に対応する衣服本体10の部分の全体に取り付ける必要はない。例えば、衣服本体10と体の形状の違いで必然的にスペースが空いてしまうところでは、当然、スペーサ部20a,20b,20cを取り付ける必要性はないからである。
送風手段30は、循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるためのものである。図4は第一実施形態の空調衣服に用いられる送風手段30の概略斜視図、図5はその送風手段30のファンの概略側面図である。
送風手段30は、図4に示すように、帯状部材31と、複数のファン32とを有する。帯状部材31は、複数のファン32を取り付けるためのものであり、帯状部材31の長手方向に垂直な平面で切ったときの帯状部材31の断面形状は略矩形状である。この帯状部材31は、図1及び図2に示すように、衣服本体10の内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。また、この帯状部材31の材質としては例えばポリウレタン等が用いられており、したがって、帯状部材31はクッション性を有する。帯状部材31は、衣服本体10の内面に着脱自在に取り付けられる。例えば、第一実施形態では、帯状部材31を粘着テープで衣服本体10の内面に取り付けている。
各ファン32は、図5に示すように、プロペラ32aと、モータ32bと、ファンガード32cとを有する。モータ32bはプロペラ32aを駆動するものであり、ファンガード32cはプロペラ32a及びモータ32bを収納するものである。プロペラ32aは、空気をプロペラ32aの回転軸方向から吸入し、その吸入側と反対側において回転軸方向に略平行に空気を送り出す。各ファン32は、プロペラ32aの回転軸が人体の表面と略平行となるように、且つ、帯状部材31の長手方向と略直交するように、帯状部材31に取り付けられる。また、複数のファン32は、帯状部材31に一定の間隔で配置されている。
電源手段40は、送風手段30に電力を供給するためのものである。電源手段40としては、経済性の観点から二次電池を用いている。電源手段40と送風手段30とは電源ケーブルにより接続されている。また、電源手段40と送風手段30との間には、電源スイッチ(不図示)が設けられている。この電源スイッチは、電源手段40から送風手段30に供給する電力をオン・オフするものである。
第一実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、複数のファン32のモータ32bが回転し、その回転力によりプロペラ32aが回転する。このとき、各プロペラ32aは、循環用空気流通路内の空気を帯状部材31の一方の側から他方の側に送り出す方向に回転する。各プロペラ32aにより当該他方の側に送り出された空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に戻ってくる。このように、衣服本体10内の空気は、循環用空気流通路内で循環する。
次に、第一実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能について説明する。第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。温度勾配の大小は、人体から放出される熱の量を左右し、人の温度の感じ方に大きな影響を与える。すなわち、人は、温度勾配が大きいほど涼しさを強く感じる。また、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における温度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流れる空気の熱を効率よく外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。このような人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図6は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と温度との関係の一例を示すグラフである。図6において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は温度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と温度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と温度との関係を示している。ここで、外部の空気は人の体温よりも低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、温度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気温に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、温度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、温度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気温に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな温度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進することができ、しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、循環用空気流通路内を流通する空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第一実施形態の空調衣服では、空調衣服を汗をかくような状況で使用する場合に、上述した大きな温度勾配による冷却作用に加えて、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、人体を冷却することができる。すなわち、人体の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、身体が必要とする放熱量に対応する量の汗を気化させ、その気化の際に人体から気化熱が奪われることを利用して人体を冷却する。この冷却作用は、人間が本来的に有している、発汗により身体を冷却する機能(生理的冷却機能)を利用したものである。しかも、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10の表面近傍における湿度勾配を大きくすることにより、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。このような人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおける大きな湿度勾配も、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより実現することができる。以下に、この点について詳しく説明する。
図7は空調衣服を着用している場合に人体表面からの距離と湿度との関係の一例を示すグラフである。図7において、横軸は人体表面からの距離を表し、縦軸は湿度を表す。また、実線は、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示し、点線は衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させた場合における人体表面からの距離と湿度との関係を示している。ここで、人は汗をかく環境下におり、人体表面の湿度は約100%であるとする。また、外部の湿度は100%より低いものとする。
衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させていない場合には、湿度は、人体の表面から遠ざかるにつれて緩やかに下がっていき、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。これに対し、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させている場合には、湿度は、人体の表面近傍において急激に下がり、そこから衣服本体10の表面の近くまでとても緩やかに下がる。そして、湿度は、衣服本体10の表面近傍において再び急激に下がり、衣服本体10の表面で略外気湿度に達する。すなわち、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、その循環用空気流通路の境界である人体の表面近傍と衣服本体10の表面近傍とにおいて大きな湿度勾配を実現することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服では、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。しかも、衣服本体10の表面近傍における大きな湿度勾配によって、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シート50を介して効率よく外部に放出することができる。これは、結果的に、人が本来的に有している生理的冷却機能を持続させることにもなる。
このように、第一実施形態の空調衣服では、衣服本体10内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10の表面近傍において大きな温度勾配及び湿度勾配を実現することができるので、着用者は、涼しさ、快適さを得ることができる。
第一実施形態の空調衣服では、衣服本体内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体の表面近傍において大きな温度勾配を実現し、しかも人体の表面近傍及び透湿性シートの表面近傍において大きな湿度勾配を実現することができるので、人体を効果的に冷却すると共に、循環用空気流通路内を流通する空気に含まれる水蒸気を透湿性シートを介して効率よく外部に放出することができる。したがって、第一実施形態の空調衣服は、従来のようなコンプレッサを用いて冷却する衣服に比べて、着用者の行動が制約されることがなく、構造も簡易である。また、従来のような保冷剤を用いて冷却する衣服に比べて、冷却効果が長続きする。更に、送風手段としてそれ程能力の高いものを用いる必要がないので、少ない消費電力で十分な冷却効果を得ることができる。
尚、上記の第一実施形態では、衣服本体内の空気を、体の胴部に形成された循環用空気流通路内で循環させる場合について説明したが、例えば、循環用空気流通路を、体の胴部に加えて、他の部分をも含むように形成し、衣服本体内の空気をその循環用空気流通路内で循環させるようにしてもよい。
また、上記の第一実施形態において、透湿性シートを蛇腹状に折り曲げるようにしてもよい。このとき、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように透湿性シートを設ける必要がある。これにより、衣服本体内の空気が透湿性シートと接触する面積を増やし、その空気に含まれる湿気を効率よく外部に放出することができる。
また、上記の第一実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分のみに透湿性シートを用いた場合について説明したが、少なくとも循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分が透湿性シートを用いて形成されていればよい。例えば、衣服本体全体を透湿性シートを用いて形成してもよい。
更に、上記の第一実施形態では、三つのスペーサ部によって循環用空気流通路を形成する場合について説明したが、一つ、二つ又は四つ以上のスペーサ部によって循環用空気流通路を形成するようにしてもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図、図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図、図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。図8は本発明の第二実施形態である空調衣服の概略背面図、図9はその空調衣服のB−B矢視方向概略断面図、図10はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略構成図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第二実施形態の空調衣服は、図8及び図9に示すように、衣服本体10aと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段500と、空気出口部61と、空気入口部62と、セパレーター63とを備えるものである。ここで、図9では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10aは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10aの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
背中右側の胴部に対応する衣服本体10aの部分と、背中左側の胴部に対応する衣服本体10aの部分とにはそれぞれ開口部が形成されている。前者の開口部が空気出口部61であり、後者の開口部が空気入口部62である。空気出口部61は、循環用空気流通路内を流通する空気を除湿手段500に取り出すためのものである。空気入口部62は、除湿手段500で除湿された空気を循環用空気流通路内に取り入れるためのものである。また、セパレーター63は、空気入口部62から流入した空気が直接に空気出口部61側に流れるのを防ぐためのものである。かかるセパレーター63は、衣服本体10aの内面に、背中中央を通り上下方向に沿って循環用空気流通路を遮断するように取り付けられている。
除湿手段500は、衣服本体10a内の空気に含まれる水蒸気を除湿するものであり、図8及び図10に示すように、服内空気入口部501と、服内空気出口部502と、外気入口部503と、外気出口部504と、外気送風用ファン505と、湿度交換手段506と、バンド(背負い手段)507とを備える。また、湿度交換手段506は、少なくとも一つの服内空気用流通路506aと、少なくとも一つの外気用流通路506bとを有する。
少なくとも一つの服内空気用流通路506aと少なくとも一つの外気用流通路506bとは、透湿性シートを一定の間隔で積層することによって交互に形成されている。各服内空気用流通路506aは、衣服本体10a内の空気を流通させるためのものであり、各外気用流通路506bは、外気を流通させるためのものである。また、服内空気用流通路506a内における空気の流れ方向と外気用流通路506b内における外気の流れ方向とは、互いに直交する方向となるように設計されている。
服内空気入口部501は循環用空気流通路内を流通する空気を各服内空気用流通路506a内に取り入れるためのものであり、服内空気出口部502は服内空気用流通路506a内を流通する空気を循環用空気流通路内に取り出すためのものである。また、外気入口部503は外気を外気用流通路506b内に取り入れるためのものであり、外気出口部504は外気用流通路506b内を流通する空気を外部に取り出すためのものである。外気送風用ファン505は、外気用入口部503内に流入するような外気の流れを強制的に生じさせるためのものであり、外気入口部503の近傍に設けられている。
第二実施形態では、送風手段30によって、循環用空気流通路と服内空気用流通路506aとにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるようにしている。したがって、循環用空気流通路を流通する衣服本体10a内の空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して服内空気用流通路506aに入り込み、服内空気用流通路506aを流通した後、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して再び循環用空気流通路内に流入する。
また、除湿手段500は、衣服本体10aに着脱可能に構成されている。除湿手段500は、服内空気入口部501と空気出口部61との位置を合わせると共に服内空気出口部502と空気入口部62との位置を合わせて衣服本体10aに装着される。また、バンド507は、除湿手段500を背負うためのものである。
第二実施形態の空調衣服では、電源手段40と送風手段30との間に設けた電源スイッチをオンにすると、送風手段30が駆動し、循環用空気流通路内に空気の流れが生じる。循環用空気流通路内を流通する空気は、空気出口部61及び服内空気入口部501を介して除湿手段500の服内空気用流通路506a内に流入する。そして、循環用空気流通路内を流通する空気が服内空気用流通路506aを流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に移動し、外気用流通路506b内を流通する外気に吸収される。このようにして、湿度交換手段506によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気と外気用流通路506b内を流通する外気との間で湿度が交換される。その後、その除湿された服内空気用流通路506a内の空気は、服内空気出口部502及び空気入口部62を介して循環用空気流通路内に流入する。このとき、空気入口部62から流入した空気は、セパレーター63の存在により、直接に空気出口部61の側に流れることはない。その後、空気入口部62から循環用空気流通路内に流入した空気は、体の前側に対応する循環用空気流通路を通って、再び背中に対応する循環用空気流通路内に送られる。
第二実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10aの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10aの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10a内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第二実施形態の空調衣服では、衣服本体10a内の空気を循環用空気流通路及び服内空気用流通路506a内で循環させることにより、人体の表面近傍及び服内空気用流通路506aを構成する透湿性シートの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シートの表面近傍における大きな湿度勾配によって、服内空気用流通路506a内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シートを介して外気用流通路506b内に放出することができるので、除湿手段500の除湿能率の向上を図ることができる。
第二実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第二実施形態の空調衣服は、第一実施形態の空調衣服に比べて、除湿能率の点で優れている。
尚、上記の第二実施形態において、除湿手段に、服内空気用流通路内に空気の流れを強制的に生じさせるための服内空気用送風手段を設けてもよい。この服内空気用送風手段は、例えば、服内空気入口部の近傍に設けられる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について図面を参照して説明する。図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図、図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。尚、第三実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について図面を参照して説明する。図11は本発明の第三実施形態である空調衣服の概略背面図、図12はその空調衣服のC−C矢視方向概略断面図である。尚、第三実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第三実施形態の空調衣服は、図11及び図12に示すように、衣服本体10bと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段510とを備えるものである。ここで、図12では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10bは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。また、背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は透湿性シート511を用いて形成されている。かかる透湿性シート511で形成された衣服本体10bの部分は、除湿手段510の一部を構成する。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
第三実施形態では、除湿手段510として湿度放出器を用いている。湿度放出器510は、衣服本体10b内の湿った空気に含まれる水蒸気を外部に放出するものである。かかる湿度放出器510は、第二実施形態で説明した湿度交換器の構造を簡易にしたものと考えることができる。湿度放出器510は、図11及び図12に示すように、透湿性シート511と、外気用送風手段512とを備える。
循環用空気流通路に対応する衣服本体10bの部分の一部、第三実施形態では背中の中央部に対応する衣服本体10bの部分は、透湿性シート511を用いて形成されている。この透湿性シート511は、蛇腹状に折り曲げられており、しかも、その折り目の方向が循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように衣服本体10bに設けられている。これにより、衣服本体10b内の空気が当該透湿性シート511と接触する面積を大きくすることができる。
外気用送風手段512は、透湿性シート511の外側に設けられている。かかる外気用送風手段512は、透湿性シート511に向かう外気の流れを強制的に生じさせるためのものである。衣服本体10b内の湿った空気が除湿手段510の透湿性シート511の内面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は、透湿性シート511を介して外部に放出される。そして、その外部に放出された水蒸気は、外気用送風手段512によって透湿性シート511の外側から透湿性シート511の外面に略垂直に吹き付けられる外気に吸収される。
第三実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10bの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10bの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10b内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第三実施形態の空調衣服では、衣服本体10b内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート511の表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート511の表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10b内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート511を介して外部に効率よく放出することができるので、除湿手段510の除湿能率の向上を図ることができる。
第三実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。尚、第三実施形態の空調衣服の除湿能率は、第一実施形態の空調衣服の除湿能率より高いが、第二実施形態の空調衣服の除湿能率よりは低い。
尚、上記の第三実施形態では、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の一部を透湿性シートを用いて形成した場合について説明したが、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全部を透湿性シートを用いて形成するようにしてもよい。
また、上記の第三実施形態において、透湿性シートを折り曲げずに衣服本体に設けるようにしてもよい。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について図面を参照して説明する。図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図、図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図、図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図、図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。尚、第四実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について図面を参照して説明する。図13は本発明の第四実施形態である空調衣服の概略背面図、図14はその空調衣服のD−D矢視方向概略断面図、図15はその空調衣服に用いられる除湿手段の概略斜視図、図16Aはその除湿手段の吸湿前の状態を説明するための図、同図Bはその除湿手段の吸湿後の状態を説明するための図である。尚、第四実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
第四実施形態の空調衣服は、図13及び図14に示すように、衣服本体10cと、三つのスペーサ部20a,20b,20cと、送風手段30と、電源手段40と、除湿手段520とを備えるものである。ここで、図14では、スペーサ部20a,20b,20cを省略している。
衣服本体10cは、第一実施形態の衣服本体と同様に、身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するためのものである。但し、第一実施形態と異なり、体の胴部に対応する衣服本体10cの部分は透湿性シートを用いて形成されていない。また、背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分を、その内側に除湿手段520を取り付けることができるように外側に突出させている。
スペーサ部20a,20b,20c、送風手段30、電源手段40の構成は、上記の第一実施形態のものと同様である。但し、送風手段30は、衣服本体10aの内面であって背中の右側に対応する位置に取り付けられている。
除湿手段520は、図13、図14及び図15に示すように、水蒸気を吸着する吸湿剤521と、吸湿剤521を収納する収納手段522とを備える。一般に、吸湿剤には、水蒸気を吸収して体積が変化するものと、水蒸気を吸収してもあまり体積が変化しないものとがある。前者の吸湿剤としては、例えば、潮解性を有する物質が用いられる。その代表例は塩化カルシウムである。すなわち、塩化カルシウムは、水蒸気を吸収してその中に溶けることにより、吸湿剤として作用する。一方、後者の吸湿剤には、代表的なものとしてシリカゲル、ゼオライト等がある。尚、前者の吸湿剤は後者の吸湿剤に比べて吸湿効率の点で優れている。
収納手段522は、循環用空気流通路に対応する衣服本体10cの部分のうちの所定部分、ここでは背中の中央部に対応する衣服本体10cの部分であって、その内面に取り付けられる。ここで、収納手段522を取り付ける際には、循環用空気流通路を塞がないように注意する必要がある。また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面は、例えばセロファン等の透湿性シート522aを用いて形成されている。吸湿剤521は、この透湿性シート522aの内面に配されている。
衣服本体10c内の湿った空気が除湿手段520の透湿性シート522aの表面に沿って略平行に流れる際に、その空気に含まれる水蒸気は透湿性シート522aを介して収納手段522内に入り込み、吸湿剤521に吸収される。こうして、衣服本体10c内の空気は除湿される。
ところで、吸湿剤521として、例えば、潮解性を有する塩化カルシウムを用いた場合には、塩化カルシウムは水蒸気を吸収して、その中に溶けて、液体に変化する。このように吸湿剤521が液体に変化すると、その体積は増加することになる。このため、吸湿剤521の体積増加を予め考慮し、収納手段522として、例えば底面積の大きなものを用いることが考えられるが、かかる収納手段522を用いた場合には次のような問題がある。すなわち、吸湿剤521が液体に変化すると、その液体は収納手段522の下に溜まってしまうので、収納手段522の底面積が大きい場合には、その液体の高さはあまり高くならず、透湿性シート522aに対向する吸湿剤(固体のものと液化したもの)521の部分の面積が小さくなってしまうことがある。これでは、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって吸湿効果が低下してしまう。そこで、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、収納手段522として次のようなものを用いることが望ましい。すなわち、収納手段522として、図15に示すように、透湿性シート522aで形成した面とそれと反対側の衣服本体10cに取り付ける面とを除く他の面を、蛇腹状に形成したものを用いる。これにより、収納手段522は透湿性シート522aの表面に垂直な方向に沿って伸縮することができる。最初、収納手段522は、図16Aに示すように、その体積が最も小さくなるようにして衣服本体10cの所定位置に取り付けられる。そして、収納手段522内の吸湿剤521が水蒸気を吸収し、液化した吸湿剤521が収納手段522の下に溜まるにしたがって、図16Bに示すように、収納手段522の蛇腹が徐々に開いてくる。このため、吸湿剤521が液体になって収納手段522の下に溜まっても、収納手段522の体積が徐々に大きくなるので、その液体を収納手段522内に収納することができると共に、その液体の高さを常にある程度高く維持することができる。したがって、吸湿剤521として潮解性を有する物質を用いる場合には、かかる収納手段522を用いることにより、吸湿剤521が水蒸気を吸収するにしたがって除湿手段520の吸湿効果が低下してしまうのを防止することができる。
また、吸湿剤521が水蒸気を吸着できなくなったときは、吸湿剤521を交換する。特に、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いた場合には、吸湿剤521を加熱することにより吸湿能力を再生することができる。
尚、ここでは、除湿手段520を衣服本体10cの内面に取り付けた場合について説明したが、衣服本体10cの所定部分を切り欠き、その切り欠いた部分に除湿手段520を取り付けるようにしてもよい。
また、循環用空気流通路に対向する側の収納手段522の面を、必ずしも透湿性シート522aを用いて形成する必要はない。例えば、吸湿剤521としてシリカゲルやゼオライト等を用いる場合には、収納手段522としてメッシュ状の素材で形成された袋等を用い、循環用空気流通路内を流通する空気が直接、収納手段522内の吸湿剤521と接することができるようにしてもよい。
第四実施形態の空調衣服の有する冷却機能及び除湿機能は、第一実施形態で説明したものと略同様である。すなわち、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び衣服本体10cの表面近傍における温度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面からの熱の放出を促進し、人体を冷却することができる。一方、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配によって、人体の表面から放出され、衣服本体10c内の空気によって吸収された熱を効率よく外部に放出することができる。
また、第四実施形態の空調衣服では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内で循環させることにより、人体の表面近傍及び透湿性シート522aの表面近傍における湿度勾配を大きくすることができる。そして、人体の表面近傍における大きな湿度勾配によって、人体からの汗の蒸発が促進され、人は涼しく感じることができる。一方、透湿性シート522aの表面近傍における大きな湿度勾配によって、衣服本体10c内を流通する空気に含まれる水蒸気を、透湿性シート522aを介して収納手段522内に効率よく取り込むことができるので、除湿手段520の吸湿能率の向上を図ることができる。
尚、吸湿剤521が水蒸気を吸着する際には吸湿剤521が発熱するため、その熱により衣服本体10c内の空気の温度が上昇してしまう。しかし、第四実施形態では、衣服本体10c内の空気を循環用空気流通路内に循環させているので、衣服本体10cの表面近傍における大きな温度勾配を利用して、衣服本体10c内の空気の熱を外部に放出し、その空気の温度を下げることができる。
第四実施形態の空調衣服では、上記の第一実施形態のものと同様に、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。
ところで、第四実施形態の空調衣服は、防護服や防塵服として利用する他、外部の湿度がとても高い等、外部環境が劣悪なところで作業をする場合に着用する服として利用するのに適している。第四実施形態の空調衣服は、衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に放出するのではなく、吸湿剤に吸着させることにより、衣服本体内の空気を除湿するからである。
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
上記の各実施形態では、電源手段として二次電池を用いた場合について説明したが、電源手段としては、例えば燃料電池やキャパシターを用いるようにしてもよい。燃料電池は、二次電池に比べて、小型であり、充電する手間もかからないという利点がある。一方、キャパシターは、寿命が非常に長く、ごく短時間に充電でき、しかも、安全性が高いという利点がある。このため、燃料電池やキャパシターは、空調衣服用の電源として用いるのにとても適している。
また、電源手段として二次電池を用いると共に、太陽電池を用いて二次電池を充電するようにしてもよい。この場合、例えば、太陽電池を、衣服本体の外面側であって、例えば背中上部に対応する位置に取り付ける。そして、二次電池と送風手段とを電源ケーブルにより接続すると共に、太陽電池と二次電池とを電源ケーブルにより接続する。これにより、太陽電池が二次電池を充電し、その二次電池から送風手段に電力を供給することができる。かかる電源手段を用いた空調衣服は、着用者が野外で長時間活動する場合に用いるのに好適である。
更に、上記の各実施形態では、スペーサ部としてメッシュスペーサを用いた場合について説明したが、メッシュスペーサ以外にもさまざまなスペーサを用いることができる。一般に、スペーサ部は、衣服本体と身体又は下着との間に循環用空気流通路を形成することができるものであれば、どのような構造のものであってもよい。この場合、スペーサ部を、循環用空気流通路に対応する衣服本体の部分の全体に取り付ける必要はなく、循環用空気流通路を形成するために必要とされる最小限の範囲に取り付ければ十分である。
以上説明したように、本発明の空調衣服によれば、着用者がそれを着用しても、着用者の行動が制約されることがなく、また、少ない消費電力で長時間冷却効果が持続し、しかも構造が簡易であるという利点がある。したがって、本発明の空調衣服は、有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐための防護服や人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないための防塵服、或いは、外部の湿度が高い等の劣悪な環境下で作業する場合の作業服に適用することができる。
Claims (13)
- 身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、
前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、
前記一又は複数のスペーサによって前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、
前記循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段と、
前記送風手段に電力を供給する電源手段と、
前記衣服本体内の空気に含まれる水蒸気を外部に取り出す透湿性シートを有する除湿手段と、
を具備することを特徴とする空調衣服。 - 少なくとも前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分が前記透湿性シートを用いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の空調衣服。
- 前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分の一部又は全部が前記透湿性シートを用いて形成されており、前記除湿手段が、前記透湿性シートと、前記透湿性シートの外側に設けられた、前記透湿性シートに向かう外気の流れを強制的に生じさせるための外気用送風手段とを有するものであることを特徴とする請求項1記載の空調衣服。
- 前記透湿性シートは、蛇腹状に折り曲げられており、その折り目の方向が前記循環用空気流通路内を流通する空気の流れと略平行となるように設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の空調衣服。
- 前記除湿手段は、前記循環用空気流通路内を流通する空気を取り入れるための服内空気入口部と、前記透湿性シートを一定の間隔で積層することによって前記服内空気入口部から取り入れた空気を流通させるための少なくとも一つの服内空気用流通路と外気を流通させるための少なくとも一つの外気用流通路とが交互に形成されており、前記服内空気用流通路内を流通する空気と前記外気用流通路内を流通する外気との間で湿度を交換する湿度交換手段と、前記服内空気用流通路内を流通する空気を前記循環用空気流通路内に取り出すための服内空気出口部とを有し、
前記送風手段は、前記循環用空気流通路と前記服内空気用流通路とにより構成される流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるものであることを特徴とする請求項1記載の空調衣服。 - 前記除湿手段は、前記服内空気用流通路内に空気の流れを強制的に生じさせるための服内空気用送風手段を有することを特徴とする請求項5記載の空調衣服。
- 身体の所定部位を覆うと共に、身体又は下着との間の空間において空気を身体又は下着の表面に沿って案内するための衣服本体と、
前記衣服本体の内面の所定位置に取り付けられた一又は複数のスペーサと、
前記一又は複数のスペーサによって前記衣服本体と身体又は下着との間に形成された、前記衣服本体内の空気が循環するように当該空気を流通させるための循環用空気流通路と、
前記循環用空気流通路内に空気の循環的な流れを強制的に生じさせるための送風手段と、
前記送風手段に電力を供給する電源手段と、
前記衣服本体内の空気を除湿する除湿手段と、
を具備し、
前記除湿手段は、水蒸気を吸着する吸湿剤と、前記吸湿剤を収納する収納手段とを有するものであり、前記収納手段が、前記循環用空気流通路に対応する前記衣服本体の部分のうちの所定部分であってその内面に取り付けられていることを特徴とする空調衣服。 - 前記吸湿剤として潮解性を有する物質を用いたことを特徴とする請求項7記載の空調衣服。
- 前記電源手段として燃料電池又はキャパシターを用いたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の空調衣服。
- 前記電源手段として二次電池を用いると共に、太陽電池を用いて前記二次電池を充電することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の空調衣服。
- 有害な化学物質や病原体が体に付着するのを防ぐために体全体を覆うようにして着用される防護服に適用したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の空調衣服。
- 人体及びその人の着用している服から埃や塵を外部に出さないために体全体を覆うようにして着用される防塵服に適用したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の空調衣服。
- 前記衣服本体は、着用時に内部の空気が外部に漏出しない密閉式のものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の空調衣服。
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