JPWO2005046900A1 - 薄板形状記憶合金およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図5は特開平6−137458に記載の図1に相当するものである。図5において、符号61は流出路、62は流入路、63は可動永久磁石、64、65は連通孔、66は固定永久磁石、67は形状記憶合金の圧縮コイルばねである。本発明では符号63ないし67が流出路61と流入路62の間に介装されて開閉弁を形成している。すなわち圧縮コイルばね67の温度が変態温度よりも低いときは、その弾拡力が可動永久磁石63と固定永久磁石66との間の磁気引力よりも小さく、可動永久磁石63は図5(1)に示す位置に保持される。圧縮コイルばね67の温度が高くなって変態温度に達すると、圧縮コイルばね67にはその形状記憶合金に記憶されている圧縮コイルばね形状に復元しようとする力が生じて圧縮コイルばね67の弾拡力が両永久磁石63、66との間の磁気引力よりも大きくなるため、可動永久磁石63は図5(2)に示す位置に移動する。このように本発明に係る「ばね装置」は作動し、温度変化によって往復運動するアクチュエータの役割を担っている。
しかし、形状記憶合金アクチュエータを高出力化する場合には、形状記憶合金コイルばねの線径を太くする必要があるが、形状記憶合金コイルばねの線径を太くすると加熱冷却に時間が掛かり、アクチュエータの応答時間が長くなるという問題がある。
そこで、本願発明者らは、「線材の形状記憶合金よりも板状の形状記憶合金のほうが放熱面積が大きく形状記憶合金自体の加熱冷却の時間が短縮できるのではないか」との着想のもとに、波形形状の板(以下「波板」という。)を製作するための研究を行った。そして、波板を作るべくNi−Ti薄板形状記憶合金を図6に示すような凹凸状の波形に形成された雄型金型71、雌型金型72の間に挟み込み、プレス成形後加熱処理することによって、形状記憶合金の波板の製造を試みた。しかし、プレス成形中あるいはプレス成形後加熱処理中にNi−Ti薄板形状記憶合金が破断してしまい、形状記憶合金の波板を製造することはできなかった。
また、本願請求項2に係る発明は、薄板形状記憶合金の製造方法に係り、所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金に対し、外側に凸状当接面を有する複数個の棒状あるいは板状の押圧子を所定の間隔で対状に二列に並べて、第1の押圧子、第3の押圧子、第5の押圧子・・・を奇数列の押圧子とし、第2の押圧子、第4の押圧子、第6の押圧子・・・を偶数列の押圧子としてそれぞれ配設させた固定治具に対し、前記第1の押圧子の前記凸状当接面に薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第2の押圧子側に曲折され、続いて、該第2の押圧子の前記凸状当接面に当該薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第3の押圧子側に曲折され、以下順次奇数列の押圧子と偶数列の押圧子との間で当該薄板形状記憶合金が押し当てられ曲折される工程を繰り返すことにより波板状に形成され、しかる後、所定時間加熱保持され、さらに、所定時間急冷されることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、前記請求項2に係る薄板形状記憶合金の製造方法において、前記奇数列の押圧子及び前記偶数列の押圧子とがそれぞれ配設された固定治具は、前記薄板形状記憶合金の長さ方向の略中心線上に略円形の孔が複数個穿設されて第1の孔、第2の孔、第3の孔・・・の孔構造を有する固定治具からなり、前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第1の孔に挿通され、つぎに前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第2の孔に挿通されることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に係る薄板形状記憶合金において、前記所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金が所定径と所定長さを有する線状形状記憶合金であることを特徴とする。
本願請求項5に係る発明は、前記請求項2または3に係る薄板形状記憶合金の製造方法において、前記所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金が所定径と所定長さを有する線状形状記憶合金であることを特徴とする。
本願請求項6に係る発明は、形状記憶合金組立構造体に係り、前記請求項1に係る薄板形状記憶合金が平面的ないしは三次元的に格子状に組立てられたことを特徴とする。
11 実施例1において使用される薄板形状記憶合金
12 実施例2において使用される薄板形状記憶合金
20 本願発明の実施例1において使用される固定治具
22 押圧子
30 本願発明の実施例1において使用される他の固定治具
32 押圧子
42 線状体
43 圧縮体
本願発明の上記実施例に係る形状記憶合金組立波板を利用して、これを平面的にまたは三次元的に適宜接合することにより、省スペースで格納しておいて、使用の際に所定の熱条件に至った際に、平面的ないしは三次元的に拡張して、構造物とする構造体として使用できるものである。
[技術分野]
[0001]
本願発明は薄板形状記憶合金を波形形状とした薄板形状記憶合金波板の製造方法に関する。
[背景技術]
[0002]
形状記憶合金はある設定温度になるとマルテンサイト逆変態を起こし、予め記憶処理された形状に回復するという特性を有するが、この特性を利用したものにコイルばねがある。このコイルばねには、形状記憶合金の線材をコイル状に巻いて作ったばねを引張り状態で形状記憶処理したものと圧縮状態で形状記憶処理したものがあり、前者のコイルばねを利用したものとして、たとえば発明の名称を「ばね装置」とする特開平6−137458がある。
図5は特開平6−137458に記載の図1に相当するものである。図5において、符号61は流出路、62は流入路、63は可動永久磁石、64、65は連通孔、66は固定永久磁石、67は形状記憶合金の圧縮コイルばねである。この従来装置では符号63ないし67が流出路61と流入路62の間に介装されて開閉弁を形成している。すなわち圧縮コイルばね67の温度が変態温度よりも低いときは、その弾拡力が可動永久磁石63と固定永久磁石66との間の磁気引力よりも小さく、可動永久磁石63は図5(1)に示す位置に保持される。圧縮コイルばね67の温度が高くなって変態温度に達すると、圧縮コイルばね67にはその形状記憶合金に記憶されている圧縮コイルばね形状に復元しようとする力が生じて圧縮コイルばね67の弾拡力が両永久磁石63、66との間の磁気引力よりも大きくなるため、可動永久磁石63は図5(2)に示す位置に移動する。このように本発明に係る「ばね装置」は作動し、温度変化によって往復運動するアクチュエータの役割を担っている。
[0003]
上述のように、形状記憶合金アクチュエータには、構成部品数が少なく小型化できること、電源が不要であるため外部からの配線が不要となり密閉空間内に設けることができるといった特性を有することから、さまざまな分野で使用されてきており、今後は、形状記憶合金アクチュエータの高出力化が要請されるようになると予想される。
しかし、形状記憶合金アクチュエータを高出力化する場合には、形状記憶合金コイルばねの線径を太くする必要があるが、形状記憶合金コイルばねの線径を太くすると加熱冷却に時間が掛かり、アクチュエータの応答時間が長くなるという問題がある。
そこで、本願発明者らは、「線材の形状記憶合金よりも板状の形状記憶合金のほうが放熱面積が大きく形状記憶合金自体の加熱冷却の時間が短縮できるのではないか」との着想のもとに、波形形状の板(以下「波板」という。)を製作するための研究を行った。そして、波板を作るべくNi−Ti薄板形状記憶合金を図6に示すような凹凸状の波形に形成された雄型金型71、雌型金型72の間に挟み込み、プレス成形後加熱処理することによって、形状記憶合金の波板の製造を試みた。しかし、プレス成形中あるいはプレス成形後加熱処理中にNi−Ti薄板形状記憶合金が破断してしまい、形状記憶合金の波板を製造することはできなかった。
[特許文献1]特開平6−137458
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
[0004]
そこで、本願発明は、形状記憶合金の波板を簡便な装置で製造する方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
[0005]
また、本願請求項2に係る発明は、薄板形状記憶合金の製造方法において、外側に凸状当接面を有する複数個の棒状あるいは板状の押圧子を所定の間隔で対状に二列に並べて、第1の押圧子、第3の押圧子、第5の押圧子・・・を奇数列の押圧子とし、第2の押圧子、第4の押圧子、第6の押圧子・・・を偶数列の押圧子としてそれぞれ配設させた固定治具を用い、所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金を、前記固定治具の第1の押圧子の前記凸状当接面に押し当てられながら前記固定治具の第2の押圧子側に曲折され、続いて、該第2の押圧子の前記凸状当接面に当該薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第3の押圧子側に曲折され、以下順次奇数列の押圧子と偶数列の押圧子との間で当該薄板形状記憶合金が押し当てられ曲折される工程を繰り返すことにより波板状に形成され、しかる後、所定時間加熱保持され、さらに、所定時間急冷されることを特徴とす
る。
本願請求項3に係る発明は、薄板形状記憶合金の長さ方向にかつ前記薄板形状記憶合金の略中心線上に略円形の孔が複数個穿設されて第1の孔、第2の孔、第3の孔・・・が前記薄板形状記憶合金に設けられており、前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第1の孔に線上体が挿通され、つぎに前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第2の孔に線上体が挿通され、さらに前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第3の孔に線上体が挿通され、以下順次繰り返すことにより前記薄板形状記憶合金が串刺し状態にされ、当該串刺し状態の前記薄板形状記憶合金の両端から一対の押圧体で所定の長さまで圧縮させて波板状に形成され、しかる後、所定時間加熱保持され、さらに、所定時間急冷されることを特徴とする。
[発明の効果]
Claims (6)
- 所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金に対し、外側に凸状当接面を有する複数個の棒状あるいは板状の押圧子を所定の間隔で対状に二列に並べて、第1の押圧子、第3の押圧子、第5の押圧子・・・を奇数列の押圧子とし、第2の押圧子、第4の押圧子、第6の押圧子・・・を偶数列の押圧子としてそれぞれ配設させた固定治具に対し、前記第1の押圧子の前記凸状当接面に前記薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第2の押圧子側に曲折され、続いて、該第2の押圧子の前記凸状当接面に当該薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第3の押圧子側に曲折され、以下順次奇数列の押圧子と偶数列の押圧子との間で当該薄板形状記憶合金が押し当てられ曲折される工程を繰り返すことにより波板状に形成され、しかる後、所定時間加熱保持され、さらに、所定時間急冷されて形成されたことを特徴とする薄板形状記憶合金。
- 所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金に対し、外側に凸状当接面を有する複数個の棒状あるいは板状の押圧子を所定の間隔で対状に二列に並べて、第1の押圧子、第3の押圧子、第5の押圧子・・・を奇数列の押圧子とし、第2の押圧子、第4の押圧子、第6の押圧子・・・を偶数列の押圧子としてそれぞれ配設させた固定治具に対し、前記第1の押圧子の前記凸状当接面に薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第2の押圧子側に曲折され、続いて、該第2の押圧子の前記凸状当接面に当該薄板形状記憶合金が押し当てられながら前記第3の押圧子側に曲折され、以下順次奇数列の押圧子と偶数列の押圧子との間で当該薄板形状記憶合金が押し当てられ曲折される工程を繰り返すことにより波板状に形成され、しかる後、所定時間加熱保持され、さらに、所定時間急冷されることを特徴とする薄板形状記憶合金の製造方法。
- 前記奇数列の押圧子及び前記偶数列の押圧子とがそれぞれ配設された固定治具は、前記薄板形状記憶合金の長さ方向の略中心線上に略円形の孔が複数個穿設されて第1の孔、第2の孔、第3の孔・・・の孔構造を有する固定治具からなり、前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第1の孔に挿通され、つぎに前記薄板形状記憶合金が曲折されながら前記第2の孔に挿通されることを特徴とする前記請求項2に記載の薄板形状記憶合金の製造方法。
- 前記所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金が所定径と所定長さを有する線状形状記憶合金であることを特徴とする請求項1の薄板形状記憶合金。
- 前記所定幅と所定長さとを有する薄板形状記憶合金が所定径と所定長さを有する線状形状記憶合金であることを特徴とする前記請求項2または3に記載の薄板形状記憶合金の製造方法。
- 前記請求項1に係る薄板形状記憶合金が平面的にないしは三次元的に格子状に組立てられたことを特徴とする形状記憶合金組立構造体。
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