JPWO2005037915A1 - 可塑剤およびポリマー組成物 - Google Patents

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Abstract

可塑剤としての性能が良好で、安全性と経済性に優れた可塑剤、およびそれを用いたポリマー組成物を提供する。高度水素分解工程残査を20〜100質量%含有し、軟化点30℃以上、100℃における動粘度が3000 mm2/s以下であることを特徴とする可塑剤とする。

Description

本発明は、可塑剤およびそれを添加してなるポリマー組成物並びにタイヤに関する。
ゴム等のポリマー加工においては、成形、押出等の加工に必要な伸展性や流動性等の柔軟性を向上させたり、各種添加剤を均一に分散させるための成分が必要になる。業界や工程によってこの成分の呼び名が異なり、例えば、プロセスオイル、工程油、増量剤、可塑剤、滑剤、伸展油、軟化剤、希釈油等と呼ばれる。本明細書においてはこれらを含め、ポリマー加工段階の高温状態で、ポリマーの流動性を向上させたり、各種配合剤を均一に分散させるために加える成分を総称して可塑剤という。
従来、可塑剤は、可塑効果が要求されることから、低粘度である液体状の可塑剤が使用されてきた。しかし、近年これら可塑剤の安全性が問題視されている。
例えば、カップ麺や学校給食に使用される容器等として用いられているポリマーには可塑剤が添加されている。使用の際にこれらの可塑剤が微量づつながら表面に溶出することにより、人体に悪影響を及ぼすとして社会問題となっている。
また、タイヤ等のゴム加工製品に使用されている可塑剤(プロセスオイル等)についても、国内・外において安全性が問われている。現在使用されているゴム用の可塑剤は、溶剤抽出油(Solvent Extract/芳香族系潤滑油)が中心である。これは低粘度の液体で、性能が良好であり、製品物性を損なわず、またコスト的にも優れた可塑剤である。しかし、可塑剤の溶出による汚染、及びその中に含まれる多環芳香族系の有害物質成分(以下PCAという。)が問題視されているのである。
これを受け、特許文献1では、溶剤抽出油から、PCAを選択的に水添処理する方法が開示されている。しかし、水添処理で目的組成まで精製するには、水添前の溶剤抽出油のPCA含有量が一定以下である必要があるため、結局水添前に精密な精製を行うことが必要になり、根本的な解決にはなっていない。
また、特許文献2には、溶剤抽出油をDMSO(ジメチルスルホオキシド)で再抽出して有害物質の除去を行う方法が開示されている。この方法によれば、PCAが二十数%とかなり多く含まれる溶剤抽出油でも、約3%以下にまでPCAを除去できるとされている。しかし、再抽出による工程の増加や、溶剤抽出油自体のロスが大きく、コストの点で現実的ではない。
また、いずれの精製法も、生産効率が低いため、業界の多量の需要に対して応えることができない。さらに、これらの精製法による溶剤抽出油は、可塑剤としての性能も下がり、添加されるゴム製品等のポリマー加工品の物性自体も劣ることになる。加えて、精製による相溶性低下により、未精製の溶剤抽出油よりも余計にポリマー表面に溶剤抽出油がブリードアウトしやすくなってしまうため、溶剤抽出油中のPCAの含量を減らしても、結局PCA溶出による汚染問題は解決しない。
特開平11−80755号公報 特開2000−63849号公報
そこで、本発明は、可塑剤としての性能が良好で、安全性と経済性に優れた可塑剤、およびそれを用いたポリマー組成物を提供することを課題とする。
可塑剤が環境や人体に有害な影響を与える大きな要因は、可塑剤自身の軟化点の低さにある。各種環境条件で使用・放置及びタイヤ摩耗粉として飛散されたときに、液状である可塑剤は、ポリマーから溶出しやすく、溶出した可塑剤が直接人体や環境に悪影響を与えることになる。例えば、前出のタイヤ等のゴム製品においては、屋外の自然環境に長時間おかれた際、その熱・紫外線により、液状の、あるいは非常に低粘度である溶剤抽出油が遊離、分離、溶出等して、溶剤抽出油中に含まれる有害物質が人体に直接被害を及ぼしたり、土壌や地下水脈の汚染を起こしたりするのである。
本発明者は、これら液状の可塑剤を、生体温度領域、使用温度領域において固体にする事による効果に着目した。製造・加工温度領域で液体であっても、生体温度領域や使用温度領域で固体であれば、生体に対して濡れ性がなく、皮膚や粘膜からの有害物質の浸透が起こらない。具体的には、アスファルト・ビチューメンの処理物である高度水素分解工程残査を配合した可塑剤等を使用することで、ポリマー加工段階での高温条件では低粘度、即ち液体で可塑効果を十分に発揮し、生体温度や使用温度領域では固体となって有害物質の溶出等を防ぐことが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、請求項1の発明では、高度水素分解工程残査を20〜100質量%含有し、軟化点30℃以上、100℃における動粘度が3000mm/s以下であることを特徴とする可塑剤を提供して前記課題を解決する。
ここで、「高度水素分解工程残査」とは、原油の減圧蒸留残査を温度350℃以上、圧力12.0MPa以上、雰囲気水素濃度70〜90%、および流動触媒床の下で水素添加処理し、さらに温度300℃以上、圧力13.8kPa以下の条件下で50質量%以上の軽質分を除去した残査をいう。
また、温度350℃以上、圧力12.0MPa以上、雰囲気水素濃度70〜90%、および流動触媒床の下で水素添加処理する工程は、原油の減圧蒸留残査を高度水素分解する工程である。また、温度300℃以上、圧力13.8kPa以下の条件下で50質量%以上の軽質分を除去する工程は、前記高度水素分解工程において、減圧蒸留残査の一部が分解して生成された中間留分と残査とを分ける工程である。
この発明によれば、可塑効果が優れた高度水素分解工程残査を有しているので、性能が優れた可塑剤とすることができる。また、本発明の可塑剤は常温では固体状であるので、使用、保存状態において可塑剤の有害成分の遊離、分離、溶出等を防ぐことができ、安全性に優れた可塑剤とすることができる。さらに、比較的安価な高度水素分解工程残査を添加するだけなので、工程の複雑化、原料コストの上昇がなく、経済性に優れた可塑剤とすることもできる。
請求項2の発明は、鉱油系可塑剤100質量部に対し、高度水素分解工程残査20〜400質量部添加したことを特徴とする可塑剤を提供して前記課題を解決する。
ここで、「鉱油系可塑剤」とは、本発明にいう可塑剤としての機能を有する、化学反応(水素添加反応を除く)による工程を経ずに原油を常圧蒸留、減圧蒸留、抽出等の処理をすることによって得られた炭化水素を主成分とする混合物で、引火点が200℃以上のもののことをいう。
この発明によれば、可塑効果の優れた鉱油系可塑剤と高度水素分解工程残査からなるので、性能が非常に優れた可塑剤とすることができる。また、本発明の可塑剤は常温では固体状であるので、使用、保存状態において可塑剤の有害成分の遊離、分離、溶出等を防ぐことができ、安全性に優れた可塑剤とすることができる。さらに、比較的安価な高度水素分解工程残査を添加するだけなので、工程の複雑化、原料コストの上昇がなく、経済性に優れた可塑剤とすることもできる。
請求項3の発明は、請求項2に記載の可塑剤において、鉱油系可塑剤が、溶剤抽出油であることを特徴とする。
ここで、「溶剤抽出油」とは、鉱油系潤滑油を精製する工程の一つである溶剤抽出工程において、減圧蒸留塔で分留された軽、中、重質油や減圧蒸留残査油から溶剤により抽出される芳香族炭化水素に富んだ成分、およびこれら抽出された成分の2種以上の混合物をいう。
この発明によれば、高温におけるポリマーとの相溶性を向上させることができ、より優れた可塑剤とすることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の可塑剤を添加したことを特徴とするポリマー組成物を提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、加工性、安全性、経済性に優れたポリマー組成物を提供することができる。
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の可塑剤を添加したことを特徴とするゴム組成物を提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、加工性、安全性、経済性に優れたゴム組成物を提供することができる。
請求項6の発明は、請求項5に記載のゴム組成物を加工したタイヤを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、加工性、安全性、経済性に優れたタイヤを提供することができる。
本発明の可塑剤は、加工時の高温においては従来の可塑剤と同等の性能を発揮しながらも、製品として使用する際の温度においては固体状であるので、中に取り込まれている有害物質が遊離、分離、溶出等を起こしにくく、安全性に優れている。また、比較的安価な高度水素分解工程残査を混入させるだけなので、生産性、経済性に優れている。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明の可塑剤は、高度水素分解工程残査を含むことを特徴とする。高度水素分解工程残査とは、原油の減圧蒸留残査を温度350℃以上、圧力12.0MPa以上、雰囲気水素濃度70〜90%、および流動触媒床の下で水素添加処理し、さらに温度300℃以上、圧力13.8kPa以下の条件下で50質量%以上の軽質分を除去した残査をいう。したがって、高度水素分解工程残査は、いわばアスファルトを所定条件のもと、水素添加して得られる物質である。
図1は、針入度の異なる一般的な3種のストレートアスファルトと、高度水素分解工程残査とについての、動粘度と温度との関係を表したグラフである。これをみると、80℃以下の温度では両者に大きな粘度の違いはないが、高温になると、高度水素分解工程残査はアスファルトと比較して、粘度が低くなっている事が分かる。すなわち、アスファルトと比較して、高度水素分解工程残査は、高温でのポリマー類との相溶性、ひいては可塑性に優れていることが分かる。また、高度水素分解工程残査は水素添加処理工程を経ているので、可塑剤として使用する際にポリマーとの副反応を起こしやすい極性物質が少なく、その反射的効果として硫黄分も低い、という利点も有する。
図2は、高度水素分解工程残査と、ゴムの可塑剤として一般的に使用されている市販の代表的な鉱油系可塑剤とについての、動粘度と温度との関係を表したグラフである。いずれも温度が下がるにつれて粘度が上昇する。特に高度水素分解工程残査ではその上昇が著しく、90℃付近から半固相となり、70℃近い温度でほぼ固体となる。一方、鉱油系可塑剤は、室温付近でも依然として粘度が低いままであり、液相であることが分かる。また、このグラフから、高度水素分解工程残査と他の鉱油系可塑剤の粘度の差が、特に室温領域で顕著になることが分かる。
本発明の可塑剤は、高温で可塑性に優れ、室温で固体状態となる、これら高度水素分解工程残査の性質を生かしたものである。すなわち、本発明の可塑剤は、高度水素分解工程残査自身が可塑性を発揮するだけでなく、可塑剤中に高度水素分解工程残査を含有させることにより、他の液状の可塑剤成分も取り込んで固め、ポリマーから可塑剤が遊離、分離、溶出等をするのを防ぐことができるのである。
可塑剤中でこの固体化効果を発現させるためには、可塑剤中に高度水素分解工程残査を20〜100質量%含有する必要がある。また、可塑剤全体として、軟化点30℃以上、100℃における動粘度が3000 mm/s以下であることが必要である。なお、ここでいう「軟化点」とは、JIS K 2207の、「石油アスファルト軟化点試験法」に準じて測定した値である。また、「動粘度」とは、JIS K 2283の、「動粘度試験方法および粘度指数算出方法」に準じて測定した値である。軟化点は、ポリマーの実際の加工温度から考えて、90℃以下であることが好ましい。
本発明の可塑剤が高度水素分解工程残査以外の成分を含有する場合、その物質としては、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、脂肪酸エステル系、鉱油系等、通常ポリマーに可塑剤として使用されている物質いずれも挙げることができるが、高度水素分解工程残査との相溶性の観点から、鉱油系可塑剤を主成分としたものであることが特に好ましい。
鉱油系可塑剤とは、可塑剤としての機能を有する、化学反応(水素添加反応を除く。)による工程を経ずに原油を常圧蒸留、減圧蒸留、抽出等の処理をすることによって得られた炭化水素を主成分とする混合物であり、代表的には、その主成分により、ナフテン系、パラフィン系、芳香族系、およびそれらの混合物系等に分類される。例えば、市販品として、FLEXON819(パラフィン系、エクソンモービル社製)、AROMAX#3(芳香族系、冨士興産社製)、SNH220(精製ナフテン系、三共油化工業社製)等が挙げられる。中でも、鉱油系潤滑油を精製する工程の一つである溶剤抽出工程において、減圧蒸留塔で分留された軽、中、重質油や、減圧蒸留残査油から溶剤により抽出される芳香族炭化水素に富んだ成分、あるいはこれら抽出された成分の2種以上の混合物である溶剤抽出油、すなわち芳香族系の鉱油系可塑剤がポリマーとの相溶性の観点から好ましい。
図3は、市販の代表的な鉱油系可塑剤(芳香族系)単独と、高度水素分解工程残査との混合物である可塑剤(高度水素分解工程残査:鉱油系可塑剤=60:40(芳香族系)および70:30(ナフテン系))の、動粘度と温度の関係を表したグラフである。鉱油系可塑剤も、混合系の可塑剤も、ポリマーの加工・製造を行う高温領域では、ほぼ同じ粘度を有しており、このグラフからも、高温状態における混合系の可塑剤の可塑効果が従来の鉱油系可塑剤と同じであることが推測できる。ところが、混合系の可塑剤は温度が低下するに従って急激に粘度が上昇し、ポリマーの使用温度領域や生体温度領域においては固体状態になることが分かった。これは、鉱油系可塑剤と高度水素分解工程残査との混合物が、可塑剤の効果の発現が必要な高温では可塑剤としての効果を十分に発揮しながら、使用時、保存時においては固体となって有害物質を遊離、分離、溶出させない、即ち性能と安全性を両立する優れた可塑剤であることを示している。
鉱油系可塑剤と高度水素分解工程残査とを混合することよる可塑剤の固定化効果を発現させるためには鉱油系可塑剤100質量部に対して、高度水素分解工程残査を20〜400質量部添加させることが好ましく、より安全性を考慮すると、30〜200質量部であることがさらに好ましい。
本発明の可塑剤を添加する相手ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂:天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムなどのゴム類:オレフィン系エラストマー(TPO)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマー(SIS)のなどの熱可塑性エラストマー:およびこれらのブレンドポリマー等が挙げられる。本発明の可塑剤を添加する量は、添加する相手ポリマーにより異なるが、ポリマー100質量部に対し、通常5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部である。
本発明の可塑剤は、屋外の過酷な条件において使用、放置され、またタイヤ摩耗粉塵での、可塑剤の安全性が大きな問題となっている、タイヤ用のゴム組成物へのプロセスオイル等として特に有用である。
(実施例1)高度水素化分解工程残査による鉱油系可塑剤の固定化効果
例として、市販の鉱油系可塑剤に高度水素化分解工程残査を添加して、鉱油系可塑剤の高度水素化分解工程残査による固定化効果について確認実験を行った。
高度水素化分解工程残査と、AROMAX♯3(富士興産社製、芳香族系鉱油)各200ccを200℃で10分撹拌した。これを6時間静置した後、「100℃の湯浴中で1時間静置後、23時間室温静置」の操作を1ヶ月間繰り返し、1ヶ月経過後の相分離の有無を外観目視および触診で評価した(可塑剤1A)。
同様に、鉱油系可塑剤をそれぞれFLEXON819(エクソンモービル社製、高粘度パラフィン系鉱油、ブライトストック)、SNH220(三共油化工業社製、精製ナフテン系鉱油)に代え、実施例と同様に実験および評価を行った(可塑剤1B、1C)。結果を表1に示す。
Figure 2005037915
表1から明らかなように、1ヶ月経過後においても、いずれにおいても液体である鉱油系可塑剤の相分離がみられず、高度水素化分解工程残査に完全に取り込まれていることが分かった。
(実施例2)ゴム組成物(タイヤ用)評価
本発明の可塑剤を使用して表2の組成となるようにゴム組成物の作成を行い、その性能試験を行った。可塑剤としては、表3に記載の可塑剤2A〜2Eを使用した。なお、表3における「FLEXON848」は、エクソンモービル社製の、パラフィン系、鉱油系の可塑剤である。なお、可塑剤2A及び2Bは、高度水素分解残査と、AROMAX#3、又は、FLEXON 848とを約200℃に加熱して混合した。
表2に記載の組成となるように、原料をB型バンバリーミキサー(10インチφロールS入れ)で混合し、常法に従って押出、成型、加硫(160℃、20分)を行い、可塑剤の異なる5種のJIS K 6521に記載のダンベル状(3号形)試験片を作成した。
Figure 2005037915
得られた試験片について、ゴム組成物製造段階における加工性(短期ブリード性、練段階の作業性、加硫特性)、およびゴム組成物のゴム物性(引張強度、伸び、燃費、グリップ性、耐摩耗性)を、可塑剤2Cを基準とした4段階で評価した。なお、評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
◎:優れている
○:可塑剤2Cと同等の性能である。
△:使用可能ではあるが、やや劣っている
×:性能がきわめて劣り、実用不可能である
Figure 2005037915
表3の結果から、本発明の高度水素分解工程残査を有する可塑剤を使用したゴム組成物は、タイヤとしての実用に遜色ない性能を有していることが分かる。さらに、上記作成した可塑剤2D以外の4つ試験片について、50℃でキセノンアーク灯(300〜800nm、550W)照射を行い、可塑剤2Cを用いた試験片のゴム表面が劣化して液状の可塑剤がブリードアウトするまで強制劣化試験を行った。その結果、可塑剤2Eを用いた試験片は、可塑剤2Cと同様にゴム表面に可塑剤のブリードアウトが見られ、また手で触るとべたつきがあった。一方、可塑剤2A、2Bを用いた試験片では、試験片は同程度に劣化しているものの、外観からは可塑剤のブリードアウトが全く見られず、また触診しても手にべたつきを感じることはなかった。これは、可塑剤2A、及び2Bを高温(200℃)で混合したため、高度水素分解残査と、AROMAX#3、又は、FLEXON 848とが一体化して、混合物可塑剤のガラス転移温度の転移点がなだらかになり、タイヤの物性を安定化できた効果によるものと思われる。
(実施例3)ゴム組成物(レーシングタイヤ用)評価
実施例2と同様にして、表4に記載の原料を用いてダンベル状試験片の作成および性能試験を行った。可塑剤としては、表5に記載の可塑剤3A〜3Cを使用した。
Figure 2005037915
得られた試験片について、ゴム組成物製造段階における加工性(押出性、加硫特性、ゴム弾性)、およびゴム組成物のゴム物性(引張強度、耐摩耗性、制動性)を、可塑剤3Cを基準とした4段階で評価した。なお、評価基準は以下の通りである。結果を表5に示す。
◎:優れている
○:可塑剤3Cと同等の性能である。
△:使用可能ではあるが、やや劣っている
×:性能がきわめて劣り、実用不可能である
Figure 2005037915
表5の結果から、本発明の高度水素分解工程残査を有する可塑剤を使用したゴム組成物は、レーシングタイヤとしても実用に遜色ない性能を有していることが分かる。さらに、試験片を実施例2と同様に3Cを標準とした強制劣化試験を実施したところ、やはり実施例(可塑剤3A、3B)の可塑剤を使用した試験片の表面には、可塑剤のべたつきが外観、触診どちらによっても全く見られなかった。これは、可塑剤3A、及び3Bを高温(200℃)で混合したため、高度水素分解残査と、AROMAX#3とが一体化して、混合物可塑剤のガラス転移温度の転移点がなだらかになり、タイヤの物性を安定化できた効果によるものと思われる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う可塑剤、ポリマー組成物、ゴム組成物およびタイヤもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明にかかる可塑剤、ポリマー組成物、ゴム組成物、及びタイヤは、安全性に優れ、また、生産性や経済性にも優れているので、産業上の利用価値が極めて大きい。
高度水素分解工程残査とアスファルトとに関する、動粘度と温度との関係を表したグラフである。 高度水素分解工程残査と市販の代表的な鉱油系可塑剤とに関する、動粘度と温度との関係を表したグラフである。 芳香族系の鉱油系可塑剤単独と、高度水素分解工程残査との混合物である可塑剤の、動粘度と温度との関係を表したグラフである。

Claims (6)

  1. 高度水素分解工程残査を20〜100質量%含有し、軟化点30℃以上、100℃における動粘度が3000 mm/s以下であることを特徴とする可塑剤。
  2. 鉱油系可塑剤100質量部に対し、高度水素分解工程残査20〜400質量部添加したことを特徴とする可塑剤。
  3. 前記鉱油系可塑剤が、溶剤抽出油であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の可塑剤。
  4. 請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の可塑剤を添加したことを特徴とするポリマー組成物。
  5. 請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の可塑剤を添加したことを特徴とするゴム組成物。
  6. 請求の範囲第5項に記載のゴム組成物を加工したタイヤ。
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