JPWO2004112208A1 - 半導体レーザ - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、量子井戸構造の活性層とは、バンドギャップの小さな井戸層とバンドギャップの大きなバリア層を交互に積層して、井戸層の領域に量子井戸を形成したものである。そして、量子井戸構造の活性層を備えた半導体レーザにおいては、キャリアの有効質量を小さくすることによって、発振しきい値を下げることができると共に微分利得を上げることができ、変調速度を高速化できることが知られている。
従来の半導体装置は、キャリアの有効質量を低減するために、バリア層のライトホールに対する価電子帯と井戸層のライトホールに対する価電子帯との間のバンド不連続量を、ライトホールに対して量子井戸を形成しない大きさとし、バリア層のヘビーホールに対する価電子帯と井戸層のヘビーホールに対する価電子帯との間の不連続量を、ヘビーホールに対して量子井戸を形成する大きさとしている。この構成によれば、価電子帯のライトホールは井戸層に閉じ込められることなく活性層全体にわたって自由に運動することができるのに対して、ヘビーホールは井戸層に閉じ込められる。その結果、ライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングが小さくなり、キャリアの有効質量を小さくすることができる。このような半導体装置は、例えば、日本特許公開公報平7−249828号に開示されている。
以下、第1図及び第2図を参照して従来の半導体レーザについて説明する。
第1図は従来の半導体レーザ101のレーザ光出射方向に垂直な方向の断面図である。この半導体レーザ101は、以下のようにして製造される。
まず、n型InP基板102を用意し、その上面に、バリア層103と井戸層104とを交互に積層する。バリア層103はノンドープInxGa1−x−yAlyAsであり、井戸層104はノンドープInzGa1−zAswP1−wである。バンドギャップの小さな井戸層104を、バンドギャップの大きなバリア層103で挟むことにより、井戸層104に量子井戸が形成される。なお、バリア層103及び井戸層104は、活性層105を構成する。
次に、活性層105の上に、p型InPクラッド層106を設ける。そしてこれらの活性層105とp型InPクラッド層106を選択的に除去(エッチング)してメサストライプ構造を形成し、その両側をp型InP層107とn型InP層108とからなる電流狭窄層109で埋めこむ。
最後に、p型InPクラッド層106の上面にp側電極110を、n型InP基板102の下面にn側電極111を設け、半導体レーザ101が完成する。
第2図は第1図に示す半導体レーザ101の活性層105(その一部)におけるバンド構造(CB:伝導帯、VB:価電子帯)を示す図である。
第2図において、横軸はある井戸層104とそれに隣接するバリア層103との境界を原点としたときの原点からの距離(膜厚方向の厚さ)t[nm]を示す。また縦軸は真空準位を0としたときのポテンシャルエネルギーE[eV]を示す。また、伝導帯の底はCB、ライトホールの価電子帯の最上部はLH、ヘビーホールの価電子帯の最上部はHHでそれぞれ示されている。
第2図に示されるバンド構造の特徴は、ライトホールの価電子帯の最上部(LH)が井戸層104とバリア層103とで連続していること、即ち、価電子帯にライトホールの井戸が無いことである。価電子帯にライトホールの井戸が無いので、価電子帯のライトホールは井戸層104に閉じ込められることなく活性層105全体にわたり自由に運動することができる。その一方で、ヘビーホールは価電子帯に井戸があるため井戸層104に閉じ込められる。この結果、従来の半導体レーザでは、ライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングが小さくなるのでキャリアの有効質量が小さくなる。
第2図のバンド構造は、バリア層103に適切な圧縮歪みを、井戸層104に適切な引張り歪みを導入することにより得ることができる。例えば、バリア層103を膜厚7nmのノンドープInxGa1−x−yAlyAs、(x=0.429、y=0.118)とし、井戸層104を膜厚7nmのInzGa1−zAswP1−w、(z=0.717、w=0.826)とすればよい。このような構成とすることで、バリア層103には0.7%の圧縮歪みが、井戸層104には0.7%の引張り歪みが導入され、ライトホールの価電子帯の最上部(LH)が井戸層104とバリア層103で連続し、ライトホールの井戸を無くすることができる。その結果、価電子帯のライトホールは井戸層104に閉じ込められることなく活性層105全体にわたり自由に運動することができ、ライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングが小さくなってキャリアの有効質量を小さくできる。これにより、微分利得を大きくすることができ、半導体レーザの変調速度を高速化することができる。
しかしながら、最近の変調速度高速化の要求は非常に強く、従来の半導体レーザでは、その要求に答えることができないという問題点がある。
そこで、本発明は、従来の半導体レーザよりも、微分利得を大きくすることができ、より変調速度を高速化することができる半導体レーザを提供することを目的とする。
本発明によれば、歪みのある井戸層と歪みのあるバリア層を交互に積層して形成した歪み量子井戸層を活性層とする半導体レーザにおいて、井戸層にヘビーホールおよびライトホールのエネルギーの井戸を形成するとともに、バリア層のライトホールの連続準位が井戸層のヘビーホールの量子準位より低く、かつ井戸層のライトホールの量子準位がバリア層のライトホールの連続準位とほぼ等しくなるようにしたことを特徴とする半導体レーザが得られる。
具体的には、この半導体レーザは、前記井戸層は圧縮歪みを、前記バリア層は引張り歪みを有し、前記井戸層の圧縮歪み量e(W)が、0.9%≦e(W)≦1.1%、前記バリア層の引張り歪み量e(B)が、0.3%≦e(B)≦0.5%とすることにより実現できる。
この半導体レーザは、井戸層におけるライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングをほぼゼロにすることができる。
第2図は、第1図の半導体レーザの活性層における伝導帯と価電子帯のバンド構造を示す図であり、
第3図(a)は、無歪み量子井戸構造のバンド構造を説明するための図であり、
第3図(b)は、従来の半導体レーザの歪み量子井戸構造のバンド構造を説明するための図であり、
第3図(c)は、本発明の半導体レーザの歪み量子井戸構造のバンド構造を説明するための図であり、
第4図(a)は、無歪み量子井戸構造のバンド構造を示す図であり、
第4図(b)は、歪み導入によるバンド構造の変化を説明するための模式図であって、井戸層に圧縮歪みを、バリア層に引張り歪みをそれぞれ導入した場合のバンド構造を示す図であり、
第5図は、ライトホールとヘビーホールとの間にバンドミキシングが有る場合と無い場合の価電子サブバンドを示す図であり、
第6図は、微分利得のバリア層の引張り歪み量依存性を表わすグラフであり、
第7図は、微分利得の井戸層の圧縮歪み量依存性を表わすグラフであり、
第8図は、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザの、レーザ光出射方向に垂直な方向の断面図である。
まず、始めに本発明の原理について説明する。
第3図(a)は無歪み量子井戸構造の井戸層のバンド構造、第3図(b)は従来の半導体レーザ(従来の歪み量子井戸構造)における井戸層のバンド構造、及び第3図(c)は本発明の半導体レーザ(本発明の歪み量子井戸構造)における井戸層のバンド構造をそれぞれ模式的に示す図である。これらはいずれも価電子帯のエネルギー準位を定性的に示している。
第3図(a)のバンド構造には、ライトホールの井戸301とヘビーホールの井戸302がある。このバンド構造では、ライトホールもヘビーホールもそれぞれの井戸の中に閉じ込められる。また、井戸の中にライトホールの量子準位303とヘビーホールの量子準位304とがともに存在するので、ライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングは非常に大きい。そのため、無歪み量子井戸においては、キャリアの有効質量が大きく微分利得は小さい。
第3図(b)のバンド構造には、ヘビーホールの井戸305はあるが、ライトホールの井戸は無い(ライトホールの価電子帯の最上部306は井戸層とバリア層とで段差がない)。したがって、このバンド構造を持つ従来の歪み量子井戸では、ライトホールが井戸に閉じ込められない。しかし、本発明者らによる実験・計算によれば、このバンド構造では、ライトホールの連続準位307が高い位置にあり、ヘビーホールの量子準位308と重なっている。そのためライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングは、無歪み量子井戸構造(第3図(a))の場合よりは小さくなるが最小ではなく、もっと小さくできる余地がある。
第3図(c)のバンド構造には、第3図(b)のバンド構造とは異なり、ヘビーホールの井戸309だけでなくライトホールの井戸310もある。しかし、ある歪み条件の下では(この歪み条件が本発明の特徴である。)、バリア層のライトホールの連続準位311が井戸層のヘビーホールの量子準位312より低くなり、しかも井戸層のライトホールの量子準位をバリア層のライトホールの連続準位111とほぼ等しく(等しいか、等しいとみなせる程度に)することができる。このようにすると井戸層においてライトホールの準位とヘビーホールの準位が重なる確率が非常に少なくなる。その結果、バンドミキシングを従来の歪み量子井戸構造(第3図(b))のものよりはるかに小さく、ほぼゼロに(ゼロか、ゼロとみなせる程度に小さく)することができる。これによりキャリアの有効質量を従来の歪み量子井戸のものより小さくし、また微分利得を従来の歪み量子井戸のものより高くすることができる。
第4図は井戸層401およびバリア層402にそれぞれ歪みを加えることにより、量子井戸構造の伝導帯(CB)と価電子帯(VB)のバンド構造が変化する様子を表わす模式図である。第4図(a)は無歪み時、第4図(b)は井戸層401に圧縮歪みを導入するとともにバリア層402に引張り歪みを導入した時のバンド構造をそれぞれ示している。
井戸層401及びバリア層402にそれぞれ歪みを導入すると、価電子帯(VB)のバンドは歪みによりヘビーホール(HH)とライトホール(LH)に分裂する。このとき、井戸層401では価電子帯(VB)のバンドが全体として下がりながら、ヘビーホール(HH)が上に、ライトホール(LH)が下に来る。また、バリア層402では価電子帯(VB)のバンドが全体として上がりながら、ヘビーホール(HH)が下に、ライトホール(LH)が上に来る。その結果、ヘビーホール(HH)の井戸も浅くなるが、それ以上にライトホール(LH)の井戸が浅くなり、井戸層401のライトホール(LH)の量子準位が下がる。井戸層401及びバリア層402の歪みが大きいほどライトホール(LH)の井戸は浅い。歪みを大きくしてライトホールをある程度以上浅くすると、井戸層401のライトホール(LH)の量子準位がバリア層402のライトホール(LH)の連続準位とほぼ等しくできる。その状態ではライトホール(LH)は井戸内に閉じ込められなくなり、実質的に井戸層401とバリア層402を貫く連続準位となる(第3図(c)の状態)。
このような状態になるとヘビーホール(HH)とライトホール(LH)との間のバンドミキシングがほとんど消え、利得特性に大きく影響する価電子サブバンドの形が変わる。
第5図にヘビーホール(HH)とライトホール(LH)との間にバンドミキシングがある場合と無い場合の価電子サブバンド(計算結果)を示す。第5図において、横軸は波動ベクトル|k|[nm−1]、縦軸はエネルギーE[eV]である。
第5図において、実線501は井戸層の圧縮歪み量が1%、バリア層の引張り歪み量が0%(歪み無し)の場合(以下、ケース1)、破線502は井戸層の圧縮歪み量が1%、バリア層の引張り歪み量が0.4%の場合(以下、ケース2)、及び点線503は井戸層の圧縮歪み量が1.5%、バリア層の引張り歪み量が0.4%の場合(ケース3)をそれぞれ示している。また、エネルギーの高い方の3本がヘビーホール(HH)のサブバンド、低い方の3本がライトホール(LH)のサブバンドを示す。
ケース1(実線501)のとき、ヘビーホール(HH)とライトホール(LH)との間にバンドミキシングがある(グラフが放物線とならない)。一方、ケース2(破線502)及びケース3(点線503)のときは、ヘビーホール(HH)とライトホール(LH)との間にはバンドミキシングが無い(グラフが放物線を描く)。
ヘビーホール(HH)とライトホール(LH)との間にバンドミキシングがあるとき(実線501)に比べ、バンドミキシングが無いとき(破線502、点線503)は状態密度が極めて少なく、微分利得は非常に大きい。すなわち井戸層の圧縮歪み量が1%、バリア層の引張り歪み量が0%(歪み無し)の場合(実線501)は微分利得が低いが、井戸層の圧縮歪み量が1%、バリア層の引張り歪み量が0.4%の場合(破線502)および井戸層の圧縮歪み量が1.5%、バリア層の引張り歪み量が0.4%の場合(点線503)は微分利得が高い。
第5図の破線502(井戸層の圧縮歪み量1%)と点線503(井戸層の圧縮歪み量1.5%)との比較から、井戸層の圧縮歪みが1.5%以上になっても価電子サブバンドの形はあまり変化しないと予想される。しかしながら、第5図はバリア層内におけるライトホールの連続準位の影響を考慮していない。バリア層内におけるライトホールの連続準位との間のバンドミキシング効果を考慮すると、バリア層の歪みが大きくなるに従い、そのグラフは、第5図の破線502・点線503のものとは異なってくる。実際にはバリア層内におけるライトホールの連続準位の影響により、バリア層の引張り歪みを更に増やすと、ライトホールの連続準位が上昇しヘビーホールの量子準位に近づくため、ライトホールとヘビーホールとの間のバンドミキシングが増える。その結果、ヘビーホールのサブバンドの形が放物線から崩れ、微分利得が減少する。従って、歪み量が多過ぎるのは良くない。つまり、従来の半導体レーザのように、ライトホールに対する価電子帯のバンド不連続量を0にしようとすると、かえって微分利得を低下させてしまう。
第6図に井戸層の圧縮歪み量が1%の場合の、微分利得のバリア層の引張り歪み量依存性を表わすグラフを示す。第6図のグラフにおいて横軸はバリア層の引張り歪み量、縦軸は微分利得を表わす。また、◆は井戸層の膜厚Lwが4.5nmの場合、□は6.0nmの場合を示す。
第6図から分かるように、微分利得はバリア層の引張り歪みが0%(無歪み)から約0.35%までの範囲ではほぼリニアに増加し、約0.35%を超えるとほぼ一定になる。先に述べたようにバリア層の歪み量が0.5%を超えて大きくなるとバリア層のライトホールと井戸層内のヘビーホールとの間のバンドミキシング効果によって微分利得は第6図に破線で示すように減少する。従って、バリア層の引張り歪み量e(B)は0.3%≦e(B)≦0.5%の範囲にあることが望ましく、0.35%付近にあることがより望ましい。これは井戸層の膜厚が4.5nmのときと6.0nmのときに共通して言えることである。
第7図にバリア層の引張り歪み量が0%(無歪み)の場合と0.4%の場合の、微分利得の井戸層の圧縮歪み量依存性を表わすグラフを示す。第7図のグラフの横軸は井戸層の圧縮歪み量、縦軸は微分利得を示す。第7図において○及び●は井戸層の膜厚が4.5nmの場合、◇及び◆は井戸層の膜厚が6.0nmの場合をそれぞれ示す。また、●及び◆はバリア層が歪量0%(無歪み)のとき、○及び◇はバリア層が歪量0.4%の引張り歪みのときである。
第7図から分かるように、バリア層が無歪みのときは井戸層の圧縮歪み量が1.3%付近で微分利得が最大になる。またバリア層が0.4%の引張り歪みのときは井戸層の圧縮歪み量が0.95%付近で微分利得が最大になる。したがって井戸層の圧縮歪み量e(W)は0.9%≦e(W)≦1.1%の範囲にあることが望ましく、0.95%付近にあることがより望ましい。なお、前述したように、微分利得が最大になるときの井戸層の最適圧縮歪み量は、井戸層の膜厚が4.5nmと6.0nmで変わらない。
第6図、第7図から、微分利得を最大にするにはバリア層の引張り歪み量を0.35%付近とし、井戸層の圧縮歪み量を0.9%付近とするとよい。また、井戸層の圧縮歪み量e(W)が、0.9%<e(W)≦1.1%、バリア層の引張り歪み量e(B)が、0.3%≦e(B)<0.5%、の範囲にあればほぼ同等の微分利得を得ることができる。即ち、井戸層及びバリア層の歪量をこのようにすることで、そのバンド構造を、井戸層のライトホール(LH)の量子準位がバリア層のライトホール(LH)の連続準位とほぼ等しく、ライトホール(LH)が井戸内に閉じ込められなくなり、実質的に井戸層とバリア層を貫く連続準位となる状態(第3図(c)の状態)とすることができる。
次に第8図を参照して、本発明の一実施の形態に係る半導体レーザについて説明する。
第8図は本発明の一実施の形態に係る半導体レーザの801の、レーザ出射方向に垂直な方向の断面図である。図示の半導体レーザは、以下のようにして製造される。
まず、n型InP基板802上にn型InPクラッド層803(厚さ300nm)、n型AlGaInAs光ガイド層804(厚さ50nm)、ノンドープ活性層805、p型AlGaInAs光ガイド層806(厚さ50nm)、p型AlInAs電子ストップ層807(厚さ20nm)、及びp型InP第1クラッド層808(厚さ300nm)を順次形成する。
次にn型InPクラッド層803からp型InP第1クラッド層808までをメサストライプ形状に加工し、その両側をp型InP電流ブロック層809(厚さ600nm)、n型InP電流ブロック層810(厚さ400nm)で埋め込む。
続いて、p型InP第1クラッド層808とn型InP電流ブロック層810(厚さ400nm)の表面上にp型InP第2クラッド層811(厚さ1000nm)を形成し、その上にp型GaInAsコンタクト層812(厚さ300nm)を形成する。
そして、n型InP基板802を150μm程度に薄膜化し、その下面にはn側電極813を形成する。また、p型GaInAsコンタクト層812の上面にはp側電極814を形成する。こうして半導体レーザが完成する。
第8図の半導体レーザにおいて、ノンドープ活性層805は、例えば、1.0%の圧縮歪を有するAl0.14Ga0.18In0.68Asからなる井戸層815(厚さ4.5nm)と、0.4%の引張り歪みを有するAl0.34Ga0.19In0.47Asからなるバリア層816(厚さ8nm)とを交互に積層した多重量子井戸活性層である。井戸層及びバリア層の積層数は、例えば、それぞれ10層と9層である。
各層の形成には、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE法)を用いることができる。III族原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルガリウム(TMGa)およびトリメチルインジウム(TMIn)を用いることができる。また、V族原料としては、例えば、アルシン(AsH3)およびフォスフィン(PH3)を用いることができる。またドーピングガスには、例えば、ジシラン(Si2H6)およびジメチル亜鉛(DMZn)を用いることができる。MOVPE法では成長層の組成がIII族原料の供給量の比により決まるため、組成制御が容易であり、所望の歪み量をもつ層が容易に形成できる。
再び第7図を参照して、本実施の形態に係る半導体レーザ801(第8図)の微分利得の改善効果を井戸層およびバリア層が無歪みの従来の半導体レーザと比較して説明する。
第7図から分かるように、井戸層およびバリア層が無歪みの従来の半導体レーザの微分利得は、井戸層の厚さが4.5nmの場合(●)は1.2E−15(cm2)であり、6nmの場合(◆)0.9E−15(cm2)である。一方井戸層が1%の圧縮歪み、バリア層が0.4%の引張り歪みの本実施の形態に係る半導体レーザの微分利得は、井戸層の厚さが4.5nmの場合(○)は1.7E−15(cm2)であり、6nmの場合(◇)1.35E−15(cm2)である。したがって本実施の形態に係る半導体レーザの微分利得と従来の半導体レーザの微分利得との比は、井戸層の厚さが4.5nmの場合、1.7/1.2=142%、6nmの場合、1.35/0.9=150%である。このように、本実施の形態に係る半導体レーザは、その微分利得が従来の半導体レーザのものより42%〜50%高くなっている。
以上、本発明の実施の形態について、特定組成の井戸層及びバリア層を有する半導体レーザについて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、上述したように井戸層の圧縮歪みは、0.9%<e(W)≦1.1%であればよいので、x1y1平面を想定した場合に、井戸層のAl組成とGa組成が、(x1,y1)=(0.10,0.20)、(0.20,0.11)、(0.19,0.15)、(0.08,0.26)の4点を結んで囲まれた領域内の任意の点で定まるAl組成、Ga組成であればよい。また、バリア層の引張り歪み量は0.3%≦e(B)<0.5%であればよいので、同じくx1y1平面を想定した場合に、(x1,y1)=(0.15,0.35)、(0.42,0.09)、(0.42,0.13)、(0.15,0.40)の4点を結んで囲まれた領域内の任意の点で定まるAl組成、Ga組成であればよい。なお、この組成範囲の半導体レーザの発振波長は、1.25〜1.34μmである。
また、井戸層の膜厚は4〜6nmであれば、上述した場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施例では、井戸層とバリア層を構成する半導体としてAlGaInAsを用いた場合について説明したが、井戸層にInAsx2P1−x2層をバリア層にAlGaInAs層を用いてもよいし、井戸層にInx3Ga1−x3Asy3N1−y3を、バリア層にGaAs層を用いてもよい。何れの場合も、井戸層にヘビーホールおよびライトホールのエネルギーの井戸を形成し、前記バリア層のライトホールの連続準位が前記井戸層のヘビーホールの量子準位より低く、かつ前記井戸層のライトホールの量子準位が前記バリア層のライトホールの連続準位とほぼ等しくなるようにすることで、本発明の効果を得ることができる。
Claims (7)
- 歪みのある井戸層と歪みのあるバリア層を交互に積層して形成した歪み量子井戸層を活性層とする半導体レーザにおいて、前記井戸層にヘビーホールおよびライトホールのエネルギーの井戸を形成するとともに、前記バリア層のライトホールの連続準位が前記井戸層のヘビーホールの量子準位より低く、かつ前記井戸層のライトホールの量子準位が前記バリア層のライトホールの連続準位と等しくなるようにしたことを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項1に記載の半導体レーザにおいて、前記井戸層は圧縮歪みを、前記バリア層は引張り歪みを有していることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項2に記載の半導体レーザにおいて、前記井戸層および前記バリア層がAlx1Gay1In1−x1−y1Asで表わされる組成の4元系半導体であり、前記井戸層の圧縮歪み量e(W)が、0.9%≦e(W)≦1.1%、前記バリア層の引張り歪み量e(B)が、0.3%≦e(B)≦0.5%であることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項3に記載の半導体レーザにおいて、前記井戸層の膜厚が4〜6nmであることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項3に記載の半導体レーザにおいて、発振波長が1.25〜1.34μmであることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項3に記載の半導体レーザにおいて、前記井戸層のAl組成及びGa組成が、x1y1平面を想定した場合に、(x1,y1)=(0.10,0.20)、(0.20,0.11)、(0.19,0.15)、及び(0.08,0.26)の4点を結んで囲まれる領域内の任意の点により定まることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項3に記載の半導体レーザにおいて、前記バリア層のAl組成及びGa組成が、x1y1平面を想定した場合に、(x1,y1)=(0.15,0.35)、(0.42,0.09)、(0.42,0.13)、及び(0.15,0.40)の4点を結んで囲まれた領域内の任意の点で定まることを特徴とする半導体レーザ。
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