JPWO2004102243A1 - プラスチック光ファイバコード - Google Patents
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Abstract
Description
光ファイバは裸のままでは実用的ではない。光ファイバの保護、多芯化、コネクタ付け等の必要性から、光ファイバに被覆を施したり、銅線等の金属抗張力体またはアラミド繊維等の繊維抗張力体等と複合化されて、コードまたはケーブルの形態として敷設され使用される。
このうち、プラスチック光ファイバと繊維抗張力体とを有する通信用のプラスチック光ファイバコードとしては、例えば特開平10−96840号公報に記載の技術が例示できる。ここでは、コアおよびクラッドがプラスチックであるプラスチック光ファイバ母材を延伸成形してなるPOF芯線の外周に、抗張力体を配してなる抗張力体層を有し、該抗張力体層の外周に熱可塑性樹脂層が押出し被覆されてなるプラスチック光ファイバコードが開示されており、抗張力体としてアラミド繊維を用いることが記載されている。
また特開平9−243886号公報には、光ファイバ心線の周囲にアラミド繊維が配され、該アラミド繊維の周上にシースが設けられており、かつ該シース内に無機繊維強化プラスチックからなる抗張力体が挿通されていることを特徴とするノンメタリック光ファイバケーブルが開示されている。
光ファイバを樹脂製チューブ内またはスロット内に収納する構成のケーブル形態では、直接POFと繊維抗張力体を接触させる必要はない。しかし、細い外径と高い操作性が必要とされるコード形態では、POFと繊維抗張力体とをできるだけ近接した配置とする必要がある。
このため、上記の特開平10−96840号公報や特開平9−243886号公報に記載されたプラスチック光ファイバコードにおいては、芯線となるPOFの外周に接するように、アラミド繊維等の繊維抗張力体が直接配置されている。
しかし、上記のような構成においては、繊維抗張力体に含有されている繊維集束剤と、POFとが化学反応して、POFの物性が劣化する場合があることが判明した。特にこのPOFの物性の劣化によって、プラスチック光ファイバコードを長距離で使用する場合に伝送損失が増大することが問題である。
具体的には例えば、POFとして、フッ素樹脂からなる中心部(コアおよびクラッド)とその外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる中心被覆部とを有する屈折率分布型のプラスチック光ファイバ(以下フッ素樹脂系POFという)を用い、繊維抗張力体としてアラミド繊維を用い、フッ素樹脂系POFの外周とアラミド繊維とが直接接触している構成においては、高温、高湿条件に長時間放置するとアクリル系樹脂が劣化し、これによって伝送損失が増大する。
この原因は、アラミド繊維に含有されている集束剤(収束剤)の主成分である低分子量のポリエーテルによって、アクリル系樹脂が化学的に劣化して脆化が生じることによる。アクリル系樹脂が脆化することで、アクリル系樹脂の被覆部分にクラックが発生し、導光部である中心部に不要な応力をおよぼすために、伝送損失が増大すると考えられる。また中心被覆部が脆化することにより、POF自体の耐荷重性能も劣化する。
上記の伝送特性の劣化の問題は、従来の数十mといった比較的短距離での適用においては影響が小さい。しかし、数百m以上で使用される低伝送損失POFでは、わずかな化学的劣化でも伝送特性の劣化が大きくなり、実システムへの影響が大きくなるといった問題点がある。
したがって、本発明の目的は、繊維抗張力体に用いられている集束剤がPOFに及ぼす化学的影響を抑制し、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することを主目的とする。
第1の態様のプラスチック光ファイバコードによれば、繊維抗張力体には実質的に集束剤が含まれないので、集束剤とPOFとの反応を大幅に抑制できる。すなわち、化学反応によるPOF外周の脆化を防止できるので、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
上記第1の態様においては、前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下であることが好ましい。これによれば、化学反応によるPOF外周の脆化を特に防止し、伝送特性の劣化が非常に少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
また上記第1の態様においては、前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維であることが好ましい。
アラミド繊維に含有される低分子量のポリエーテルからなる集束剤と、プラスチック光ファイバの外周を被覆するアクリル系樹脂との組み合わせは、上記の化学反応による脆化を生じ易いので、上記のプラスチック光ファイバと繊維抗張力体との組み合わせは、本発明に特に好適に用いることができる。
また本発明の第2の態様は、単一または複数のプラスチック光ファイバと、繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、前記繊維抗張力体が、該繊維抗張力体に含まれる集束剤を除去する処理を行なったものであることを特徴とする。
第2の態様のプラスチック光ファイバコードによれば、繊維抗張力体に含まれる集束剤を除去する処理を行なうので、集束剤とPOFとの反応を大幅に抑制できる。すなわち、化学反応によるPOF外周の脆化を防止できるので、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
上記第2の態様においては、除去処理後の前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下であることが好ましい。これによれば、化学反応によるPOF外周の脆化を特に防止し、伝送特性の劣化が非常に少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
また上記第2の態様においては、前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維であることが好ましい。
アラミド繊維に含有される低分子量のポリエーテルからなる集束剤と、プラスチック光ファイバの外周を被覆するアクリル系樹脂との組み合わせは、上記の化学反応による脆化を生じ易いので、上記のプラスチック光ファイバと繊維抗張力体との組み合わせは、本発明に特に好適に用いることができる。
また本発明の第3の態様は、単一または複数のプラスチック光ファイバと、繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードの製造方法において、前記繊維抗張力体から集束剤を除去する工程と、単一または複数のプラスチック光ファイバと集束剤を除去した繊維抗張力体とを用いてコード化を行う工程とを有することを特徴とする。
第3の態様のプラスチック光ファイバコードの製造方法によれば、繊維抗張力体に含まれる集束剤を除去する処理を行なうので、集束剤とPOFとの反応を大幅に抑制できる。すなわち、化学反応によるPOF外周の脆化を防止できるので、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
上記第3の態様においては、除去処理後の前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下であることが好ましい。この製造方法によれば、化学反応によるPOF外周の脆化を特に防止し、伝送特性の劣化が非常に少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
また上記第3の態様においては、前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維であることが好ましい。
アラミド繊維に含有される低分子量のポリエーテルからなる集束剤と、プラスチック光ファイバの外周を被覆するアクリル系樹脂との組み合わせは、上記の化学反応による脆化を生じ易いので、上記のプラスチック光ファイバと繊維抗張力体との組み合わせは、本発明に特に好適に用いることができる。
また本発明の第4の態様は、単一または複数のプラスチック光ファイバと、集束剤を含む繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、前記単一または複数のプラスチック光ファイバの集束物の外周が、前記集束剤に対して化学的に安定な材質からなるテープ状物によって隙間なく巻きつけられており、前記プラスチック光ファイバと前記繊維抗張力体とが前記テープ状物を介して隔離された構成となっていることを特徴とする。
第4の態様のプラスチック光ファイバコードによれば、単一または複数のプラスチック光ファイバの集束物の外周に巻きつけられたテープ状物によって、プラスチック光ファイバと繊維抗張力体とが隔離された構成となっているので、集束剤とPOFとの反応を遮断できる。したがって、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
さらに本発明の第5の態様は、単一または複数のプラスチック光ファイバと、集束剤を含む繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、前記単一または複数のプラスチック光ファイバのそれぞれの外周が、前記集束剤に対して化学的に安定な樹脂で被覆されており、前記プラスチック光ファイバと前記繊維抗張力体とが前記樹脂を介して隔離された構成となっていることを特徴とする。
第5の態様のプラスチック光ファイバコードによれば、単一または複数のプラスチック光ファイバのそれぞれの外周に被覆された樹脂によって、プラスチック光ファイバと繊維抗張力体とが隔離された構成となっているので、集束剤のPOFへの浸透を遮断できる。したがって、伝送特性の劣化が少ないプラスチック光ファイバコードを提供することができる。
上記第4の態様または第5の態様においては、前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維であることが好ましい。
アラミド繊維に含有される低分子量のポリエーテルからなる集束剤と、プラスチック光ファイバの外周を被覆するアクリル系樹脂との組み合わせは、上記の化学反応による脆化を生じ易いので、上記のプラスチック光ファイバと繊維抗張力体との組み合わせは、本発明に特に好適に用いることができる。
図2は、本発明の第4の態様に係るプラスチック光ファイバコードの一実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明の第5の態様に係るプラスチック光ファイバコードの一実施形態を示す断面図である。
1:POF、 2a、2b:繊維抗張力体、 3:被覆部、 4:テープ、
5:被覆樹脂、 10、20、30:プラスチック光ファイバコード。
図1は、本発明の第1、第2、第3の態様に係るプラスチック光ファイバコードの一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、このプラスチック光ファイバコード10は、中心部に配置される2本のPOF1と、POF1の外周を囲むように隣接して配置される、集束剤を実質的に含まない繊維抗張力体2aと、更に繊維抗張力体2aの外周に被覆される被覆部3とで構成される2心コードとなっている。
POF1の構造は、コアおよびクラッドからなる中心部、および、中心部の外周を被覆する中心被覆部(POF外周)からなることが好ましい。中心部の構造としては、ステップインデックス(Step Index)型(SI型)の構造であっても、屈折率分布(Graded Index)型(GI型)の構造であってもよい。しかし帯域が高帯域であり通信容量が多く確保できるGI型であることが好ましい。
上記中心部の材質としては特に限定されず、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、フッ素化PMMA樹脂、重水素化PMMA樹脂等が例示できる。なかでも非晶質透明フッ素樹脂が好ましく、主鎖に環構造を有する非晶質透明フッ素樹脂が、伝送損失が低く、使用できる光の波長領域が広く、実質的使用可能温度範囲も広く最も好ましい。ここでPOFの中心部の材質が、例えばフッ素樹脂であり、POFの中心部がフッ素樹脂からなるという表現は、中心部を構成する基礎となる樹脂がフッ素樹脂であることを意味する。すなわち中心部の材料は、基礎となるフッ素樹脂に加えて屈折率調整剤(ドーパント)等を含む光学樹脂組成物であることを意味する。
上記中心被覆部の材料としては、価格、強度等の点からPMMA樹脂が好ましい。またPMMA樹脂は、集束剤の影響を受けやすい点から、本発明の対象として好適である。
また、POF1の外径としては400〜1000μmであることが好ましい。またコードに配置されるPOF1の本数は、1、2または4本が好ましい。
繊維抗張力体2aの繊維としては、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が使用できる。このうち、アラミド繊維を用いることが、剛性、柔軟性、繰り返し曲げによる繊維の破断を防止する点から好ましい。またアラミド繊維のうち、ヤング率が高い、いわゆる高モジュラス仕様のものが、少ない本数で抗張力体として高荷重に耐えられ、コードを細く設計できるため好ましい。ここで高モジュラス仕様とは、初期モジュラスとして、ASTM−D885Mで測定されるコードモジュラスが、100GPa以上であることが好ましい。アラミド繊維の代表例としては、東レ・デュポン社製の商品名「KEVLAR (K−49)」、帝人社製の商品名「Twaron (D2200)」が挙げられる。
なお本発明において、繊維抗張力体とは、鋼線等の金属抗張力体ではなく、繊維状の抗張力体であることを意味する。一般にこれらの繊維は、細い繊維が離散してしまうのを防止し、作業性を良好に保つために集束剤を含む。すなわち集束剤は、アラミド繊維等の繊維抗張力体を集束してヤーン化する際に通常必要とされるものである。市販の繊維抗張力体に含まれる集束剤の含有量は、集束剤を含めた全体の質量のうちの好ましくは0.1〜1%程度と言われている。なお集束剤としては、種々のものが知られているが、高モジュラス仕様の繊維抗張力体においては、低分子量のポリエーテル等を主成分とするものが多用されている。
被覆部3としては、例えば、ポリ塩化ビニルや難燃性ポリエチレン等が使用可能であり特に限定されない。被覆部3の厚さは0.2〜1.0mmであることが好ましい。また被覆部3の外径、すなわちコードの直径は、1〜5mmが好ましい。
ここで、この実施形態においては、上記の繊維抗張力体2aとして、集束剤を実質的に含まない繊維抗張力体を用いる点が特徴である。特に上記の繊維抗張力体2aとして、繊維抗張力体に含まれる集束剤を除去する処理を行なった繊維抗張力体を用いる点が特徴である。
すなわち、この実施形態のコードを製造する方法としては、繊維抗張力体2aから集束剤を除去した後、POF1と繊維抗張力体2aとを用いて、被覆部3を被覆しコード化することで光ファイバコードを製造する。
集束剤の除去方法としては、特に限定されず、使用されている集束剤の種類に応じた適切な除去法を適用すればよい。具体的な除去方法としては、加熱処理および/または温水処理を行なうことが好ましい。加熱処理と温水処理とは、それぞれ単独で行ってもよく、併用してもよい。特に連続処理に好適であり、廃水抑制の観点から、集束剤の除去方法としては、加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理を行なう場合には、加熱温度は300〜600℃、より好ましくは400〜600℃、特に好ましくは450〜520℃である。また、加熱時間は連続処理の場合2〜9秒間、好ましくは5〜9秒間とすることが好ましい。具体的な加熱処理の方法としては、繊維抗張力体をバッチ処理してもよく、連続処理してもよい。バッチ処理は、例えば300℃のオーブンに10分〜1時間程度入れて加熱処理を行うことが例示できる。また連続処理としては、繊維抗張力体を繰り出した後、POFと合わせてコード化する直前に、例えばトンネル炉を通過させることで処理できる。この連続処理方法としては、例えば500℃に保った長さが約3〜6mのトンネル炉の中を2〜9秒程度かけて通過させることが例示できる。
一方、ポリエーテル等の集束剤は親水性であるので、温水処理を行なうことも好ましい。この場合の処理条件としては、30〜100℃で10分〜24時間の浸漬処理を行なうことが好ましい。また、浸漬処理の後、水分除去のため105℃×12時間以上の乾燥処理を行なうことか好ましい。
本発明においては、集束剤の含有量は、繊維抗張力体全体に対する質量割合で好ましくは200ppm以下、さらには150ppm以下であることが好ましい。集束剤の含有量が200ppm以下であれば、集束剤とPOF中心被覆部との反応によるPOFの脆化が抑制でき、伝送損失の増加も抑制できて好ましい。すなわち集束剤含有量の少ない繊維抗張力体を用いて、または、集束剤の除去処理をした繊維抗張力体を用いてプラスチック光ファイバコードを製造することが好ましい。費用および作業性の観点から、集束剤の除去処理を行い集束剤含有量を少なくした繊維抗張力体を用いることが最も好ましい。
ただし集束剤の含有量とは、コード化に用いた繊維抗張力体における集束剤の含有量を意味する。すなわち集束剤の除去処理を行った場合には、除去処理後の含有量、すなわち残存量をもって集束剤の含有量とする。また測定の基準量は繊維抗張力体全体であり、繊維抗張力体と(含まれている場合には)集束剤との合計の質量とする。
また集束剤の含有量の定量方法としては、熱重量/示差熱分析法(TG/DTA)、示差走査熱量分析法(DSC)、抽出法で測定できる。抽出法は具体的には、繊維抗張力体をソックスレイ抽出器を用いて抽出処理する。抽出に用いる溶媒は水または重水(抽出時間は10時間)、アセトン(抽出時間は6時間)が使用できる。抽出量の算出は、抽出処理後の抽出液より溶媒を蒸発により除去して、抽出された集束剤を精密に秤量する。また抽出処理後の抽出液より溶媒を蒸発により除去して、プロトンNMRで測定してもよい。これらの定量方法のうち、最も好ましいのは、アセトンを抽出溶媒として用い抽出された集束剤を秤量して抽出量を算出する抽出法である。
図2は、本発明の第4の態様に係るプラスチック光ファイバコードの一実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明においては、図1で説明したものと同一部分には同符合を付して、その説明を省略することにする。
このプラスチック光ファイバコード20においては、2本のプラスチック光ファイバコード1の集合体の外周がテープ4で隙間無く巻きつけられ、その周囲に繊維抗張力体2bが配置されている点が、図1のプラスチック光ファイバコード10と異なっている。なお、繊維抗張力体2bは集束剤の除去処理を行なう必要はなく、除去処理を省くことができる。
この場合、繊維抗張力体2bに含有される集束剤が除去されていなくても、このテープ4を隙間なく巻きつけることによって、POF1の外周(中心被覆部)は繊維抗張力体2bと隔離されている。したがってPOF1の中心被覆部は、集束剤と直接接触することはないので、集束剤がPOF1と反応することを防止することができる。したがって、POF1の表面の化学的劣化を防止して、安定した伝送特性が得られる。
テープ4としては、集束剤に対して化学的に安定な材質からなるテープ状物であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。テープ4の幅や厚さは適宜選択可能であるが、幅は2.5〜10mmが好ましい。厚さは化学的安定性を保てる最小の厚さでよく、具体的には厚さ5〜100μmが好ましく、長手方向で均一な厚さとなることが好ましい。厚さが上記範囲より厚くなったり、長手方向で厚さが不均一な場合、POFとテープ状物の線膨張係数の差により、環境温度等の変化で、POFにマイクロベンドが発生し、結果的に伝送損失を増大させる可能性があるので好ましくない。巻きつけピッチは2重巻きつけ等が好ましく、また、テープ4の長手方向には若干の弾性を有することが好ましい。
図3は、本発明の第5の態様に係るプラスチック光ファイバコードの一実施形態を示す断面図である。このプラスチック光ファイバコード30においては、2本のプラスチック光ファイバコード1のそれぞれの外周が被覆樹脂5で被覆されており、その周囲に繊維抗張力体2bが配置されている点が、図2のプラスチック光ファイバコード20と異なっている。
被覆樹脂5としては、集束剤に対して化学的に安定な材質からなる樹脂であればよく、例えば、アクリル系UV硬化樹脂、シリコン系UV硬化樹脂、シリコン系シーリング剤、エポキシ樹脂等を用いることができる。
また、被覆厚さは、集束剤の種類とPOF1の外周の材質との組み合わせ等によって適宜設定できる。例えば、繊維抗張力体2bがアラミド繊維で被覆樹脂5がアクリル系UV樹脂の場合、10〜50μmであることが好ましい。被覆厚さが10μm未満であると、集束剤成分とPOF1の外周樹脂との反応を完全に防止できず、化学変化による伝送損失が増加するので好ましくない。また、50μmを超えると、上記の図2の場合と同様に、被覆樹脂とPOFとの線膨張係数の差により、環境温度等の変化で、光ファイバにマイクロベンドが発生し、結果的に伝送損失を増大させる可能性があるので好ましくない。
POF1としては、フッ素樹脂系POF(ファイバ外径500μm、コア径120μm、クラッド径250μm、クラッドの外周をファイバ外径500μmとなるようにアクリル系樹脂で被覆、NAは0.185、旭硝子株式会社製:商品名「ルキナ」)を用いた。
繊維抗張力体2aとしては、集束剤を含有するアラミド繊維(1270デシテックス、4本使用)を、巻取状態のまま70℃で24時間温水処理して集束剤の除去処理を行ない、繊維抗張力体2bとして用いた。集束剤の残存量をソックスレイ抽出(溶媒はアセトン、抽出時間は6時間)後に秤量により測定したところ、103ppmであった。
なお、被覆部3としては、軟質塩化ビニル樹脂を用い、内径が2.0mm、外径が3.0mmとなるように被覆した。
比較例1
実施例1において、集束剤を含有するアラミド繊維をそのまま用い、集束剤の除去処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様の条件で、図1に示すような構成のプラスチック光ファイバコードを製造した。集束剤の残存量は5980ppmであった。
試験例1
実施例1〜6、比較例1のプラスチック光ファイバコードについて、70℃、95%RH、336時間の高温高湿試験を実施した後の損失変化を、JIS C−6823に規定されるカットバック法により測定した。その結果を表1に示す。
表1より、集束剤の除去処理を行なった実施例1〜4、および、POF1と繊維抗張力体2bとを隔離した実施例5、6においては、集束剤の除去処理を行なわなかった比較例1よりも損失変化が小さいことがわかる。
また、実施例1〜4のなかでは、450℃×2秒間の加熱処理である実施例4に比べて、温水処理の実施例1、400℃×9秒間の加熱処理である実施例2、600℃×2秒間の加熱処理である実施例3のほうが、集束剤の残存が少なく、損失変化への影響も少ないことがわかる。このことから、集束剤の残存量を200ppm以下に除去することがより好ましいことがわかる。
Claims (12)
- 単一または複数のプラスチック光ファイバと、繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、
前記繊維抗張力体が集束剤を実質的に含まないことを特徴とするプラスチック光ファイバコード。 - 前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下である請求項1に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維である請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 単一または複数のプラスチック光ファイバと、繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、
前記繊維抗張力体が、該繊維抗張力体に含まれる集束剤を除去する処理を行なったものであることを特徴とするプラスチック光ファイバコード。 - 除去処理後の前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下である請求項4に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維である請求項4または5に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 単一または複数のプラスチック光ファイバと、繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードの製造方法において、
前記繊維抗張力体から集束剤を除去する工程と、
単一または複数のプラスチック光ファイバと集束剤を除去した繊維抗張力体とを用いてコード化を行う工程とを有することを特徴とするプラスチック光ファイバコードの製造方法。 - 除去処理後の前記集束剤の含有量が、前記繊維抗張力体全体に対する質量割合で200ppm以下である請求項7に記載のプラスチック光ファイバコードの製造方法。
- 前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維である請求項7または8に記載のプラスチック光ファイバコードの製造方法。
- 単一または複数のプラスチック光ファイバと、集束剤を含む繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、
前記単一または複数のプラスチック光ファイバの集束物の外周が、前記集束剤に対して化学的に安定な材質からなるテープ状物によって隙間なく巻きつけられており、前記プラスチック光ファイバと前記繊維抗張力体とが前記テープ状物を介して隔離された構成となっていることを特徴とするプラスチック光ファイバコード。 - 単一または複数のプラスチック光ファイバと、集束剤を含む繊維抗張力体とを有するプラスチック光ファイバコードにおいて、
前記単一または複数のプラスチック光ファイバのそれぞれの外周が、前記集束剤に対して化学的に安定な樹脂で被覆されており、前記プラスチック光ファイバと前記繊維抗張力体とが前記樹脂を介して隔離された構成となっていることを特徴とするプラスチック光ファイバコード。 - 前記プラスチック光ファイバが、フッ素樹脂からなる中心部と、その外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型の光ファイバであって、前記繊維抗張力体がアラミド繊維である請求項10または11に記載のプラスチック光ファイバコード。
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