JPWO2004099418A1 - 融合蛋白質 - Google Patents

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Abstract

う蝕病巣を形成する主要な病原菌の1つであるS.sobrinusに対する抗体を産生させることにより、効果的なう蝕予防を可能とする融合蛋白質、抗う蝕抗体製剤、及び、蛋白質製剤を提供する。 Streptococcus sobrinusの、高分子菌体表層タンパク質のアラニン繰り返し領域と、グルカン合成酵素のグルカン結合領域と、を含む融合蛋白質を作成する。また、当該融合蛋白質を哺乳動物に投与して、融合蛋白質に対する抗体を回収する。これらの融合蛋白質、および、抗体を用いることにより、S.sobrinusの歯面への付着が抑制される。

Description

本発明は融合蛋白質に関し、特にう蝕菌に対する抗体を誘導する融合蛋白質に関する。
従来、う蝕予防として、例えば、フッ化物を歯磨剤に添加したり、スクロースに代わる代用甘味料を菓子に添加することなどが行われてきた。
更に、近年においては、ワクチン投与などによって、う蝕病原菌やう蝕病原菌により産生されるう蝕原因物質等に対する免疫反応を誘導するう蝕予防法が注目されている。このような技術の一例として、う蝕病原菌の1つであるStreptococcus mutans(以下、「S.mutans」と表記することもある)の菌体表層に局在する2つの物質のそれぞれの機能部位をつなぎ合わせて融合蛋白質を作成する技術が非特許文献1に示されている。当該融合蛋白質を抗原として作成された抗体は、実際にS.mutansの唾液被覆ハイドロキシアパタイトへの付着を強く阻害することが確認されている。
また、非特許文献2には、S.mutansの菌体表層の付着因子(PAc)に対するモノクローナル抗体を、組み換え植物により大量生成する技術が示されている。
上述のように、S.mutansに特異的に作用する免疫学的方法を用いることにより、口腔内の他の細胞等を傷めることなく、S.mutansの歯面への付着やS.mutansによる酸生成を抑制することが可能となる。
しかしながら、う蝕の病原菌はS.mutansに限られるものではなく、口腔内に存在する複数種類の細菌によりう蝕が誘発されると考えられている。特に、ヒトのう蝕病巣からは、S.mutansと、更にStoreptococcuss sobrinusと、が高頻度に分離されている。
このため、上述のように免疫学的手法を用いる場合には、特定の病原菌に対して特異的に作用させることができる反面、その特異性は非常に厳密であるためS.mutans以外の病原菌に作用させることができない。すなわち、たとえ上述の抗体によって、S.mutansの歯面への付着や、S.mutansの増殖を抑制できても、これに代わってその他のう蝕病原菌、特にS.sobrinusが増殖することとなり、効果的にう蝕予防を行うことができない。
本発明の目的は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、う蝕病巣を形成する主要な病原菌の1つであるS.sobrinusに対する抗体を誘導することにより、効果的なう蝕予防を可能とする融合蛋白質を提供することにある。
:HAO YU、他4名、"Effects of Antibodies against Cell Surface ProteinAntigen PAc−Glucosyltransferase Fusion Protein on Glucan Synthesis and Cell Adhesion of Streptococcus mutans",INFECTION AND IMMUNITY,America,American Society for Microbiology,June 1997,Vol.65,No.6,p.2292−2298 :Ma、他2名、"Immunotherapeutic potential of antibodies produced in plants",TIBTECH,1995,Vol.13,p.522−527
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、S.sobrinusの歯面への定着を効果的に阻害する抗体を誘導可能な融合蛋白質を開発するに至った。
すなわち、本発明にかかる融合蛋白質は、Streptococcus sobrinus(以下、「S.sobrinus」と表記することもある)の、高分子菌体表層蛋白質のアラニン繰り返し領域と、グルカン合成酵素のグルカン結合領域と、を含む。
また、前記アラニン繰り返し領域が、以下の(a)又は(b)の蛋白質からなることを特徴とする。
(a)配列表の配列番号:1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質。
また、前記グルカン結合領域が、以下の(a)又は(b)の蛋白質からなることを特徴とする。
(a)配列表の配列番号:2に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質。
(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質。
ここで、S.sobrinusの高分子菌体表層蛋白質(以下、「PAg」と表記することもある。)のアラニン繰り返し領域(以下、「A−repeat領域」と表記することもある。)は、PAgの機能領域すなわち口腔内ペリクルの唾液糖蛋白質に結合する唾液結合領域を構成し、そのN末付近において局在するアラニンを高濃度に含む領域である。この唾液結合領域は、S.sobrinusが歯面に初期定着に関与している。
また、S.sobrinusのグルカン合成酵素(以下、「GTF」と表記することもある。)は、スクロースから非水溶性グルカンを合成することにより、S.sobrinusの唾液で処理したハイドロキシアパタイト粒子への付着をより強固にするものであり、グルコース結合領域(以下、「glucan−binding領域」と表記することもある。)は、グルコースに結合する当該酵素の機能領域である。
本発明者らは、口腔内に誘導されたS.sobrinusに対する抗体がう蝕抑制において果たす作用機序、すなわち菌体の歯面への付着阻害、抗体が結合した菌体の白血球による貪食促進、及び、菌体の代謝阻害機序などのうち、特に菌体の歯面への付着阻害機序に着目した。そして、当該作用機序の強化すべく、この付着の際に重要な役割をなす2つの蛋白質の機能領域でありかつ特異的な2つの領域を結合した融合蛋白を作成し、抗原として用いることとした。この結果、後述するように、本発明による融合蛋白質を投与後に得られた抗体は、S.sobrinusの歯面への付着を高率で阻害することが確認された。
ここで、本発明は、上記アラニン繰り返し領域及びグルコース結合領域の結合順序、すなわちアミノ酸配列を考慮したときにどちらの領域が上流に配列するか、上記2領域を連結する他のペプチドの挿入、上記2領域の前後へのペプチドの付加等について、特に限定するものではない。例えば、S.sobrinusのグルカン合成酵素について、グルカン結合領域の前後の1以上のアミノ酸をも含めて、融合蛋白質に組み入れるようにしてもよい。
また、上記2領域について1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたものも、本発明の融合蛋白質に含められる。これは例えば、特定のアミノ酸を置換又は欠失する方法としては、後述の組み換えDNAについて行うポイントミューテーション法、Kunkel法などの公知の方法が用いることができる。
また、上記2領域のアミノ酸について、例えば、上記領域がC末端となる場合にそのC末端をエステル化やアミド化し、上記領域の分子内のアミノ酸の側鎖にあるOH、COOH、NH、SHなどをホルミル基などの適当な保護基で保護するなど、若干の化学的修飾を行うことも可能である。
尚、このようにして作成された本発明による融合蛋白質は、例えば、本発明による融合蛋白質を有効成分として含む医薬組成物としての利用することができる。すなわち、免疫誘導可能な有効量の本発明の融合蛋白質をヒトを含む哺乳動物に直接投与することにより、ヒト等の免疫応答を誘導し、長期的なう蝕予防を行うことが可能になる。あるいは、後述のように、本発明による融合蛋白質を投与した哺乳動物から抗体を回収し、当該抗体を口腔内に投与することによりう蝕予防を行うことも可能である。
この場合には、融合蛋白質をそのまま使用してもよいが、通常は、製剤学的に許容しうる製剤用添加剤や賦形剤などを用いて上記融合蛋白質を有効成分として含む医薬組成物として製造し、用いることが好ましい。この医薬組成物の投与経路としては、例えば、経鼻粘膜投与などの免疫応答が誘導可能な局所投与を挙げることができる。このため本発明の融合蛋白質は経鼻免疫などの局所投与剤の医薬組成物の有効成分として用いられる。
さらに、本発明による組み換えDNAは、本発明による融合蛋白質をコードする。
また、本発明による組み換えDNAは、前記融合蛋白質を構成するStreptococcus sobrinusの高分子菌体表層蛋白質のアラニン繰り返し領域をコードする以下の(a)又は(b)の塩基配列を有することを特徴とする。
(a)配列表の配列番号:3に示される塩基配列。
(b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列。
また、前記融合蛋白質を構成するStreptococcus sobrinusのグルカン合成酵素のグルカン結合領域をコードする以下の(a)又は(b)の塩基配列を有することを特徴とする。
(a)配列表の配列番号:4に示される塩基配列。
(b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列。
更に、本発明による組み換えDNAを含有する発現ベクター、及び、当該発現ベクターを保持する形質転換体が提供される。
ここで、配列番号:3あるいは配列番号:4で表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:3あるいは配列番号:4で表される塩基配列と約80%以上、好ましくは90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、例えばDIG核酸検出システム(Roche社)のマニュアル記載の方法に従って行わせることができる。この場合において、約20%のミスマッチを許容するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(約80%の相同性を保証する)としては、50%フォルムアミド(脱イオン)、5×SSC(ナトリウム濃度0.975M)、0.1%(w/v)N−lauroylsarcosine、0.02%(w/v)SDSで、温度が42℃である。さらにハイブリダイゼーション温度を1.4℃上げることでミスマッチを1%下げることができる。
また、本発明の組み換えDNAは、S.sobrinus由来のゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、S.sobrinus由来のcDNAより公知の方法により単離されたものをDNAライゲース等を用いて結合したもの、合成DNAのいずれでもよい。
また、配列番号:3あるいは配列番号:4で表される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAを作成するためには、例えば、市販のキットなどを用いて、Kunkel法などの公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って、塩基配列の変換を行うことができる。
尚、上記形質転換体を用いれば融合蛋白質を容易かつ大量に精製させることができるが、上記融合蛋白質は、上記組み換えDNAを形質転換体に導入し、作成されるものに限定されないことはいうまでもない。蛋白質合成の公知の方法、例えば、蛋白質合成用樹脂に、上述のアミノ酸配列通りに、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を縮合させていき、縮合反応終了後に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施することにより、本発明による融合蛋白質を合成することなども可能である。
また、本発明の発現ベクターは、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどいずれであってもよい。発現ベクターには、宿主細胞に応じたプロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカーなどを含有しているものを用いることができる。
また、本発明の形質転換体に用いられる宿主細胞としては、例えば、大腸菌などの細菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などのいずれでもよい。
更に、本発明の抗体製剤によれば、上述の融合蛋白質に対する抗体を含む。
すなわち、本発明による融合蛋白質に対する抗体は、S.sobrinusの歯面への付着阻害作用を有するものであり、当該作用は、ヒトを含む他の哺乳動物等により作成された当該抗体を含む抗体製剤として口腔内へ投与した場合にも有効に発揮しうるものである。
また、本発明による抗体製剤に含有される抗体は、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。例えば、ポリクローナル抗体であれば、哺乳動物に対して上記融合蛋白質をそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与し、免疫された哺乳動物から抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行うことにより取得する。免疫を行う哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどが挙げられる。例えば、ウシ、ニワトリなどの家畜動物である場合には、乳や卵等をそのまま回収し、融合蛋白質に対する抗体を含む食品として口腔内に投与することが可能である。特に、ウシからは大量に牛乳を回収することができるため、分離精製して用いることもできる。この場合には、ヒト人工染色体(HAC)を、細胞融合や核移植等公知の方法を経て作成されるヒトポリクローナル抗体産生HACウシ等に融合蛋白質を投与して免疫し、ヒト抗体を作成させることとしてもよい。このように、歯面への付着阻害に関与する抗体を、同時に作成されるポリクローナル抗体として取得することが望ましいが、免疫された動物から抗体産生細胞を回収し、公知の方法によりモノクローナル抗体を産生してもよい。また、本発明による抗体製剤の形態としては、、例えば、口腔用の軟膏、ゼリー製剤、洗口剤、若しくは噴霧剤などが挙げられる。
[図1](a)は、PAgA遺伝子領域を説明する図、(b)は、pQE80L−pagAの構成を説明する図、(c)は、gtfI−GB遺伝子領域を説明する図、(d)は、pQE80L−pagA−gtfI−GBの構成を説明する図である。
[図2]融合蛋白質を発現した大腸菌のSDS−PAGE像である。
[図3]精製後の融合蛋白質のSDS−PAGE像である。
[図4]ハイドロキシアパタイトへの付着菌数と、IgG抗体の添加量と、の関係を示したグラフである。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等の部分が同一符号によって示されている。
[実施例1]融合蛋白質発現ベクターの作成
(1)PAgのA−repeat領域(以下、「PAgA」と表記することもある。)をコードするDNA断片の調整
この断片は、S.sobrinus菌株OMZ176から単離された染色体DNAについて、以下のフォワードプライマー1及びリバースプライマー1を用いて、PCR反応を行うことにより取得した。
プライマーの合成は、DNA合成機を用いて行った。
フォワードプライマー1:ATATGGATCCGCTAATAATGACAGTCAAGCA(配列表の配列番号:5に記載の塩基配列、開始コドン及びBamHIサイトを含む)
リバースプライマー1:ATATGAGCTCCTTCTTGTACTGAGCAAGC(配列表の配列番号:6に記載の塩基配列、SacIサイトを含む)
PCR反応は、98℃で10秒間、60℃で30秒間、72℃で1.0分間を1サイクルとして30サイクル行った。
これにより、図1(a)に示されるように、PAgAをコードする遺伝子領域(以下、「pagA」と表記することもある)の5’末端側にBamHIサイト及び3’末端側にSacIサイトを有するDNA断片1を作成した。
(2)GTF−Iのglucan−binding領域をコードするDNA断片の調整
S.sobrinus由来のGTFの1種類である非水溶性グルカン合成酵素GTF−Iのglucan−binding領域をコードする遺伝子領域(以下、「gtfI−GB」と表記することもある。)は、S.sobrinus菌株OMZ176から単離された染色体DNAについて、以下のフォワードプライマー2及びリバースプライマー2を用いて、PCR反応を行うことにより取得した。
プライマーの合成は、DNA合成機を用いて行った。
フォワードプライマー2:ATATGAGCTCCTATACTACTTCGGTAAAGAC(配列表の配列番号:7に記載の塩基配列、SacIサイトを含む)
リバースプライマー2:TTTTAAGCTTAGTTCCAGCCACGGTAGAT(配列表の配列番号:8に記載の塩基配列、HindIIIサイトを含む)
PCR反応は、98℃で10秒間、65℃で30秒間、72℃で2.0分間を1サイクルとして30サイクル行った。
これにより、図1(c)に示されるように、gtfI−GBの5’末端側にSacIサイト及び3’末端側にHindIIIサイトを有するDNA断片2を作成した。
(3)pagA及びgtfI−GBのベクターへの挿入
上記(1)及び(2)により得られたDNA断片を以下のようにして、6個の連続するHis残基をコードするプラスミド発現ベクターpQE80L(キアゲン社製)に組み込んだ。
上記(1)で得られたDNA断片、及び、pQE80Lを、それぞれ制限酵素BamHI及びSacIにより切断反応を行い、切断後のそれぞれの反応液についてそれぞれ電気泳動を行い、組み込みに使用するバンドを切り出し、ゲルからそれぞれのDNA断片を溶出、精製した。
そして、精製後の(1)のDNA断片と精製後のベクターとをDNAライゲース(宝酒造(株)製)を用いて結合させた。これにより、図1(b)に示されるように、pagA遺伝子領域を挿入したベクターpQE80L−pagAが作成された。
また、上記(2)においてられたDNA断片、及び、ベクターpQE80L−pagAについて、制限酵素SacI及びHindIIIを用いて切断反応を行った。切断後の反応液についても上述のようにそれぞれ電気泳動を行い、対応するバンドを切り出し、溶出精製した。
さらに、精製後の(2)のDNA断片と精製後のpQE80L−pagAとを、DNAライゲース(宝酒造(株)製)を用いて、結合させた。これにより、図1(d)に示されるように、更にgtfI−GB遺伝子領域を挿入したベクターpQE80L−pagA−gtfI−GBが作成された。
[実施例2]形質転換体の作成、融合蛋白質の発現、及び、融合蛋白質の精製
(1)形質転換体の作成、及び、融合蛋白質の発現
上述の[実施例1]において得られた形質転換体をコンピテント大腸菌DH5−αに混合し、形質転換した。得られた形質転換体を、アンピシリン濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを加えた2×YT培地にて1晩培養し、この培養液を新たに準備した2×YT培地(アンピシリンを100μg/ml含む)に1:20の割合で加え、37℃で1時間培養した。更に、この培養液にIPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を終末濃度1mMになるように加えた後、37℃で3時間培養し、発現誘導を行った。
その後、培養液を3500×g、20分間、遠心機にかけて沈殿し集菌し、さらにPBS(phosphate−buffered saline)にて3回洗浄した。
(2)SDS−PAGEによる融合蛋白質の発現の確認
(1)のようにして得られた菌体に2×SDS−PAGE sample bufferを添加して溶解し、100℃にて5分間加熱後、10%ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動を行った。100V(定電圧)、1時間の泳動後、クーマシーブリリアントブルーを用いて蛋白質染色したゲルの像が図2に示されている。
同図において、レーンMは、マーカーレーンであり、レーン1は、上述のようにIPTGを加えて培養した菌体の溶解反応液を泳動させたレーンであり、レーン2は、IPTGを加えずに、すなわち発現誘導せずに、そのまま培養した菌体の溶解反応液を泳動させたレーンである。
同図に示されるように、レーン1には、レーン2には確認できない82kDa付近の太いバンドが出現しており、約82kDaの融合蛋白質の発現が確認された。
(3)融合蛋白質の精製
又、(1)のようにして得られた菌体を溶解し、Ni−nitrilotriacetic acid(Ni−NTA)樹脂カラム(キアゲン社製)を用いて精製した。この操作は、キアゲン社のマニュアルに従って行った。
簡潔に記載すれば、菌体に溶解Buffer(100mM NaHPO,10mM Tris−Cl,8Murea,pH8)を菌体1g当たり5ml添加して懸濁したうえに、10,000×gで20分〜30分間遠心機にかけて細胞片を破砕した。更に、2×SDS−PAGE sample bufferを添加して溶解し、100℃にて5分間加熱したあと、この溶菌液とカラムベッドとを混合してカラムに導入し、精製操作を行った。この吸着反応後のカラムに、Buffer(100mM NaHPO,10mM Tris−Cl,8Murea,pH6.3)を流して未吸着の物質を洗浄した。その後、pH5.9及びpH4.5に調整された同組成のBufferをそれぞれ順に流し、カラムに吸着しているHis残基を含む蛋白質を溶出した。
溶出した蛋白質画分を上述と同様に10%ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動を行った。100V(定電圧)、1時間の泳動後、クーマシーブリリアントブルーを用いて蛋白質染色したゲルの像が図3に示されている。
同図において、レーンMは、マーカーレーンであり、レーン1は、精製を行う前の溶菌液を泳動させたレーンであり、レーン2は、上記精製操作における非蛋白質画分を泳動させたレーンであり、レーン3は、蛋白質画分を泳動させたレーンである。
同図に示されるように、レーン3には、レーン1と同様に82kDa付近に太いバンドが出現しており、6個のHis残基を付加した融合蛋白質の発現が確認された。また、レーン1、2に出現する融合蛋白質以外の蛋白質のバンドはほとんど確認することができず、pH4.5条件での溶出により、その他の蛋白質は除去され、融合蛋白質が精製されていることが確認された。
[実施例3]抗体の作成、及び、S.sobrinusの歯面成分への付着抑制効果の確認
(1)抗体の作成
[実施例2]において作成された融合蛋白質を家兎(日本白色種、メス)に投与することにより抗体を作成した。融合蛋白質は2週間毎に6回にわたって0.3mgずつ完全フロイントアジュバントと共に皮内注射により投与し、血中からIgG抗体を精製、取得した。IgG抗体の精製はAffi−Gel Protein A MAPS II Kit(Bio−Rad社)を用いて、マニュアル記載の方法で行った。すなわちkitに付属しているbinding buffer(pH9.0に調整)で平衡化したAffi−Gel protein A アガロースをカラムに充填した。その後、融合蛋白質で免疫されたウサギの血清に等量のbinding bufferを加えた後、カラムに添加してウサギIgGをAffi−Gel protein A アガロースに吸着させた。平衡bufferでカラムを十分洗浄した後、kitに付属したelution buffer(pH3.0に調整)でウサギIgGを溶出し、phosphate buffered saline(pH7.4)で透析後、10mg/mlに濃縮して精製IgG抗体として用いた。
(2)S.sobrinusの歯面成分への付着抑制実験
(1)により作成されたIgG抗体を用いて行った、S.sobrinusの歯面成分への付着抑制効果を確認するための実験結果が図4及び表1に示されている。
Figure 2004099418
図4は、唾液でコートしたハイドロキシアパタイト10mgに、S.sobrinus(菌数3×10)及びIgG抗体を加え、3時間、37℃で保温後に測定されたハイドロキシアパタイトへの付着菌数と、IgG抗体の添加量(μg)と、の関係を示したグラフである。また、表1は、IgG抗体の各添加量における付着菌数の測定値を示している。
同図中のanti PAgA−GTF−IGB IgGは、上述の(1)のように作成されたIgG抗体であり、preimmunized IgG(以下、「preimm.IgG」と表記することもある)は、融合蛋白質を投与しない非免疫ウサギの血中から精製したIgG抗体である。contorolは、IgG抗体を加えなかった場合の測定値である。唾液コートハイドロキシアパタイトには、口腔における歯面と同様の状態とするため、歯面成分であるハイドロキシアパタイトで表面加工されたセラミックビーズ(直径80μm、Biorad社製)を唾液に浸して、1時間、37℃で保温したものを用いた。また、付着菌数は、S.sobrinusをBCECF−AM(2’、7’−bis[2−carboxyethyl]−5[6]−carboxyfluorescein acetoxymethyl ester)で蛍光ラベルし、付着反応時間後においてハイドロキシアパタイトに付着する当該菌をフォトカウンターで測定することにより取得した。
表1及び図4に示されるように、preimm.IgG添加時の菌の付着数は1.0×10〜0.7×10であったのに対し、anti PAgA−GTF−IGB IgG添加時では0.6×10〜0.2×10であり、IgGの各添加量におけるそれぞれの付着菌数について統計的有意差が認められた(P<0.05)。このことから、anti PAgA−GTF−IGB IgGによって、S.sobrinusの唾液コートハイドロキシアパタイトへの付着が有意に抑制されることが確認された。
産業状の利用可能性
以上説明詳細に説明したように、本発明の融合蛋白質によれば、例えば、本発明による融合蛋白質を有効成分として含む医薬組成物としてヒトに投与することにより、ヒト等の免疫応答を誘導し、口腔内あるいは血中等に抗体が長期的に生成されて、う蝕予防を行うことが可能になる。あるいは、本発明による融合蛋白質を投与することにより、哺乳動物からS.sobrinusの歯面への付着阻害に関与する複数種の抗体を効率的に生成させて、回収することが可能になる。
本発明による組み換えDNA、ベクター、及び、形質転換体によれば、融合蛋白質の効率的な生産が可能になる。
本発明による抗体製剤によれば、口腔内に投与することにより、S.sobrinusの歯面への付着を阻害し、あるいは、菌体の代謝阻害や白血球等による菌体の貪食をもたらして、う蝕予防が可能になる。このため、抗体によりう蝕予防のために、皮下注射等により上記融合蛋白質を含むワクチンを投与しなくても、簡便にう蝕予防を行うことが可能になる。

Claims (9)

  1. Streptococcus sobrinusの、高分子菌体表層タンパク質のアラニン繰り返し領域と、グルカン合成酵素のグルカン結合領域と、を含む融合蛋白質。
  2. 前記アラニン繰り返し領域が、以下の(a)又は(b)のタンパク質からなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の融合蛋白質。
    (a)配列表の配列番号:1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)アミノ酸配列(a)において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
  3. 前記グルカン結合領域が、以下の(a)又は(b)のタンパク質からなることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の融合蛋白質。
    (a)配列表の配列番号:2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)アミノ酸配列(a)において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
  4. 請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載の融合蛋白質をコードする組み換えDNA。
  5. 前記融合蛋白質を構成するStreptococcus sobrinusの高分子菌体表層タンパク質のアラニン繰り返し領域をコードする以下の(a)又は(b)の塩基配列を有することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の組み換えDNA。
    (a)配列表の配列番号:3に示される塩基配列。
    (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列。
  6. 前記融合蛋白質を構成するStreptococcus sobrinusのグルカン合成酵素のグルカン結合領域をコードする以下の(a)又は(b)の塩基配列を有することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載の組み換えDNA。
    (a)配列表の配列番号:4に示される塩基配列。
    (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列。
  7. 請求の範囲第4項から第6項のいずれかに記載の組み換えDNAを含有する発現ベクター。
  8. 請求の範囲第7項に記載の発現ベクターを保持する形質転換体。
  9. 請求の範囲第1項から第8項のいずれかに記載の融合蛋白質に対する抗体を含む抗体製剤。
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