JPWO2004087645A1 - カロテノイド乳化液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法に関する。本発明によって、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造することができる。
Description
本発明はカロテノイド乳化液の製造方法に関する。
カロテノイドは天然に幅広く存在し、それらが有する黄色ないし赤色の特徴を生かして食品の着色剤用途などに幅広く使用されている。また、カロテノイドの種類によってはプロビタミンA活性やガン抑制効果などを示すことが知られており、薬学的見地からも注目を浴びている化合物群である。これらのカロテノイドにはそれらが有している多くの炭素−炭素二重結合に基づく多数の異性体が存在するが、着色剤用途、あるいはプロビタミンA活性剤などの生理活性剤用途として考えた場合、全トランス体比率が高いカロテノイドが好まれる。
カロテノイドは常温では結晶状態でかつ高融点であり、水に不溶性で、有機溶媒や油脂に対する溶解度も極めて低い上、熱により異性化を起こしやすく、また酸素、光によって容易に変質しやすい化合物である。よって、カロテノイドを食品の着色剤用途として、あるいは生理活性剤用途として用いる場合、安定でかつ利用し易い形態に加工する必要がある。その一つの方法として、有機溶媒または油脂にカロテノイドを溶解して得られた溶液を、乳化剤の存在下に水と混合することによりカロテノイドの乳化液を調製する方法がある。
カロテノイドの乳化液を製造する方法としては、
(1)カロテノイドをハロゲン化炭化水素、二硫化炭素などの水と非混和性の揮発性溶媒に溶解させた溶液を、膨潤性コロイド水溶液中に乳濁し、得られた乳濁液より揮発性溶媒を除去する方法(特公昭37−12428号公報参照)、
(2)約20〜40℃で液状の食用油中のカロテノイドの過飽和溶液であって100〜160℃に加熱したものを水性ゼラチン物質中に乳化する方法(米国特許2861891号明細書参照)、
(3)カロテノイドをハロゲン化炭化水素などの揮発性有機溶媒に溶解させた溶液を、ラウリル硫酸ナトリウムなどを含む水溶液と混合しながら揮発性溶媒を除去する方法(特開昭51−41732号公報および特開昭52−84232号公報参照)、
(4)カロテノイドを、カロテノイドに対し1.5〜20倍質量の食用油及び適量の乳化剤と共に、揮発性の水と混合しうる有機溶媒に50〜240℃の温度で急速に溶解し、得られる溶液を直ちに保護コロイドの水溶液と0〜50℃の温度で混合することにより、親水性溶媒成分を水相に移行させ、その際カロテノイドを溶解含有する疎水性油相を微細分散相となす方法(特開昭63−196242号公報参照)、
(5)高沸点油中のカロテノイドの懸濁物を最大30秒の間過熱蒸気と接触させ、得られた混合物をコロイドの水溶液中で乳化する方法(特開平3−66615号公報参照)、
(6)トランス体β−カロチン、油脂類およびリモネンを加熱溶解した後、リモネンを回収し、得られたトランス体β−カロチン溶解油脂層を乳化剤の存在下に乳化液とする方法(特開平8−119933号公報参照)、
(7)カロテノイドを水非混和性有機溶媒中に懸濁させた懸濁液を滞留時間5秒未満で熱交換器に供給して該懸濁液を100〜250℃に加熱し、得られる溶液を20〜100℃の範囲の温度にて膨潤性コロイドの水性溶液と急速に混合した後、有機溶媒を除去する方法(特開2000−186224号公報参照)、
(8)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜700℃の範囲の温度に加熱した内径が0.1〜50mmの導管中へ滞留時間0.05〜5秒の範囲で流通させることによって加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特開2002−302479号公報参照)、
(9)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜500℃に加熱した高沸有機液体と0.05〜10秒間の時間内で混合してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特開2002−316924号公報参照)、
が知られている。
カロテノイドは常温では結晶状態でかつ高融点であり、水に不溶性で、有機溶媒や油脂に対する溶解度も極めて低い上、熱により異性化を起こしやすく、また酸素、光によって容易に変質しやすい化合物である。よって、カロテノイドを食品の着色剤用途として、あるいは生理活性剤用途として用いる場合、安定でかつ利用し易い形態に加工する必要がある。その一つの方法として、有機溶媒または油脂にカロテノイドを溶解して得られた溶液を、乳化剤の存在下に水と混合することによりカロテノイドの乳化液を調製する方法がある。
カロテノイドの乳化液を製造する方法としては、
(1)カロテノイドをハロゲン化炭化水素、二硫化炭素などの水と非混和性の揮発性溶媒に溶解させた溶液を、膨潤性コロイド水溶液中に乳濁し、得られた乳濁液より揮発性溶媒を除去する方法(特公昭37−12428号公報参照)、
(2)約20〜40℃で液状の食用油中のカロテノイドの過飽和溶液であって100〜160℃に加熱したものを水性ゼラチン物質中に乳化する方法(米国特許2861891号明細書参照)、
(3)カロテノイドをハロゲン化炭化水素などの揮発性有機溶媒に溶解させた溶液を、ラウリル硫酸ナトリウムなどを含む水溶液と混合しながら揮発性溶媒を除去する方法(特開昭51−41732号公報および特開昭52−84232号公報参照)、
(4)カロテノイドを、カロテノイドに対し1.5〜20倍質量の食用油及び適量の乳化剤と共に、揮発性の水と混合しうる有機溶媒に50〜240℃の温度で急速に溶解し、得られる溶液を直ちに保護コロイドの水溶液と0〜50℃の温度で混合することにより、親水性溶媒成分を水相に移行させ、その際カロテノイドを溶解含有する疎水性油相を微細分散相となす方法(特開昭63−196242号公報参照)、
(5)高沸点油中のカロテノイドの懸濁物を最大30秒の間過熱蒸気と接触させ、得られた混合物をコロイドの水溶液中で乳化する方法(特開平3−66615号公報参照)、
(6)トランス体β−カロチン、油脂類およびリモネンを加熱溶解した後、リモネンを回収し、得られたトランス体β−カロチン溶解油脂層を乳化剤の存在下に乳化液とする方法(特開平8−119933号公報参照)、
(7)カロテノイドを水非混和性有機溶媒中に懸濁させた懸濁液を滞留時間5秒未満で熱交換器に供給して該懸濁液を100〜250℃に加熱し、得られる溶液を20〜100℃の範囲の温度にて膨潤性コロイドの水性溶液と急速に混合した後、有機溶媒を除去する方法(特開2000−186224号公報参照)、
(8)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜700℃の範囲の温度に加熱した内径が0.1〜50mmの導管中へ滞留時間0.05〜5秒の範囲で流通させることによって加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特開2002−302479号公報参照)、
(9)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜500℃に加熱した高沸有機液体と0.05〜10秒間の時間内で混合してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特開2002−316924号公報参照)、
が知られている。
上記(1)および(3)の方法は、カロテノイドに対して常温でも溶解度が比較的高いクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素や二硫化炭素などの有機溶媒を用いているが、これらの溶媒は毒性が高く、さらに近年環境問題などの観点から使用に関して厳しい管理が要求されており、工業的に使用することが困難であるという問題を有する。上記(2)の方法は、製造される乳化液から得られるカロテノイド乾燥粉末の可視吸収スペクトルが低くなり、例えば食品の着色剤として用いる場合には、要求する色濃度値を得るためにかかるカロテノイド乾燥粉末の使用量を多くしなければならず、経済的に不利であるという問題を有する。
上記(4)および(7)の方法においては、用いている有機溶媒は最終製品には不要であるため、除去しなければならない上、有機溶媒を多量に用いなければならず生産性が低いという問題点を有する。上記(5)の方法は、高温・高圧である過熱蒸気を取り扱うために高価な装置を必要とする上、コロイドの水溶液に含まれる水以外にも過熱蒸気に由来する水が得られる乳化液に加わり、該乳化液からカロテノイド粉末を製造しようとした場合、多量の水を除去しなければならないという問題点を有する。
上記(6)の方法は、トランス体β−カロチンを加熱して溶解させる際にトランス体β−カロチンの異性化を抑制する観点からリモネンを用いているが、かかるリモネンは油脂類と同量またはそれ以上の量を用いなければならない上、最終製品には不要であるため、これを除去する工程が必須であり、さらには得られる乳化液中のβ−カロチンの全トランス体比率は60〜67%程度と低いという問題点を有する。また、上記(8)および(9)の方法は、高温を発生させるための付帯設備が、過大となるため、かかる観点からは、なお、これらの方法には改良の余地がある。
しかして、本発明の目的は、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を行った。その結果、カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液を、加熱した導管中へ短時間流通させることによって特定の温度範囲に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む特定の温度範囲の水溶液中に加えて乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する方法を用いることで、最終製品に不要な有機溶媒や多量な水を含まないカロテノイド乳化液を製造し得ることを見出した。また、かかる方法で得られる乳化液を噴霧乾燥、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体は食品などの着色剤用途、あるいは生理活性剤用途に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〈1〉カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液[以下、これをカロテノイド懸濁液と称する]を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法、
〈2〉〈1〉で得られたカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体、
に関する。
上記(4)および(7)の方法においては、用いている有機溶媒は最終製品には不要であるため、除去しなければならない上、有機溶媒を多量に用いなければならず生産性が低いという問題点を有する。上記(5)の方法は、高温・高圧である過熱蒸気を取り扱うために高価な装置を必要とする上、コロイドの水溶液に含まれる水以外にも過熱蒸気に由来する水が得られる乳化液に加わり、該乳化液からカロテノイド粉末を製造しようとした場合、多量の水を除去しなければならないという問題点を有する。
上記(6)の方法は、トランス体β−カロチンを加熱して溶解させる際にトランス体β−カロチンの異性化を抑制する観点からリモネンを用いているが、かかるリモネンは油脂類と同量またはそれ以上の量を用いなければならない上、最終製品には不要であるため、これを除去する工程が必須であり、さらには得られる乳化液中のβ−カロチンの全トランス体比率は60〜67%程度と低いという問題点を有する。また、上記(8)および(9)の方法は、高温を発生させるための付帯設備が、過大となるため、かかる観点からは、なお、これらの方法には改良の余地がある。
しかして、本発明の目的は、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を行った。その結果、カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液を、加熱した導管中へ短時間流通させることによって特定の温度範囲に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む特定の温度範囲の水溶液中に加えて乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する方法を用いることで、最終製品に不要な有機溶媒や多量な水を含まないカロテノイド乳化液を製造し得ることを見出した。また、かかる方法で得られる乳化液を噴霧乾燥、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体は食品などの着色剤用途、あるいは生理活性剤用途に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〈1〉カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液[以下、これをカロテノイド懸濁液と称する]を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法、
〈2〉〈1〉で得られたカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体、
に関する。
図1に本発明の製造方法の一実施態様を示す。図1において各符号は以下の意味を表す。
1 フィード槽(攪拌機付き)
2 定量送液ポンプ
3,7,10 温度計
4 導管
5 熱媒入り容器
6 加熱装置
8 コック
9 調合槽(ホモジナイザー付き)
11 圧力計
12 留出配管
13 コンデンサー
14 受槽
15 減圧ポンプ
1 フィード槽(攪拌機付き)
2 定量送液ポンプ
3,7,10 温度計
4 導管
5 熱媒入り容器
6 加熱装置
8 コック
9 調合槽(ホモジナイザー付き)
11 圧力計
12 留出配管
13 コンデンサー
14 受槽
15 減圧ポンプ
本発明に用いるカロテノイドとしては、α−カロチン、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アポカロテナール、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、リコペン、ゼアキサンチンなどを例示することができる。これらのカロテノイドは1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。使用するカロテノイドの形態は、カロテノイドをトルエンへ円滑に溶解させる観点から、粒径として50μm以下の結晶であるのが好ましく、15μm以下の結晶であるのがより好ましい。
本発明においてカロテノイド懸濁液を得るのに使用する溶媒はトルエンである。トルエンはカロテノイドの溶解度が常温と加熱時とで大幅に異なるという利点を有する。
カロテノイドは酸素に対して敏感であるため、カロテノイド懸濁液を調製する際に、抗酸化剤を添加するのが好ましい。かかる抗酸化剤としては、例えばt−ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE、エトキシキンなどが挙げられるが、これらの中でもビタミンEを使用するのが好ましい。これらの抗酸化剤は上記のトルエンと任意の割合で混合して使用することができるが、通常、使用するカロテノイドに対して10質量倍以下の範囲で使用するのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を調製する際のカロテノイドとトルエンとの割合には特に制限はないが、カロテノイドの溶解性、生産性などの観点から、カロテノイドの使用量がトルエンに対して0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
本発明では、まず、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ流通させることによって短時間で加熱してカロテノイドを溶解させる。
カロテノイド懸濁液の加熱温度および加熱時間は、該懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイドが熱によって異性化するのを抑制する観点から、加熱温度は50〜120℃の範囲であり、加熱時間は10〜600秒の範囲であることが必要であり、加熱温度が60〜110℃の範囲であり、加熱時間が10〜30秒の範囲であることが好ましい。
導管の加熱温度は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、通常、50〜200℃の範囲であるのが好ましく、70〜150℃の範囲であるのがより好ましい。導管の加熱手段としては、ガスバーナー、電気ヒーター、電磁誘導などを用いる方法;通常の熱媒オイルなどの有機熱媒体、HTS(Heat Transfer Salt:亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの混合物)などの無機熱媒体を用いて加熱する方法;スチーム、加熱空気などの高温ガスを用いる方法などの通常の加熱手段を採用することができる。
導管の材質は、本発明の方法で使用可能なものである限り特に制限はなく、例えば鉄、ステンレス、チタンなどの金属、ガラス類などを挙げることができる。導管の形状は例えば直線状、コイル状に巻かれたものなど、どのような形状であってもよい。また、生産性をより向上させる観点から、複数の導管を並列状に接続して使用することも可能である。
本発明の方法においては、使用する導管の内径に関して特に制限はないが、通常、0.1〜500mmの範囲であるのが好ましく、0.5〜100mmの範囲であるのがより好ましい。導管の内径が0.1mm未満である細い導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を流通させる際に導管内での詰まりが生じやすくなり、一方、導管の内径が500mmを超える導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を、カロテノイドがトルエンに溶解し得る温度まで短時間で加熱することが困難となる。
導管の厚さに特に制限はないが、カロテノイド懸濁液へ効率的に熱量を供給する観点、該懸濁液を流通させる際に導管にかかる圧力に耐え得る観点から、通常、導管の内径の1/10〜10倍の範囲であるのが好ましく、1/5〜5倍の範囲であるのがより好ましい。
所定温度の範囲に加熱された部分の導管の長さは、流通させるカロテノイド懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイド懸濁液がかかる導管内を流通する間に、カロテノイドをトルエンに溶解させ得る十分な熱量を供給する観点、また、カロテノイドが熱により異性化するのをできる限り抑制する観点からは、通常、0.1〜20mの範囲であるのが好ましく、0.5〜10mの範囲であるのがより好ましい。
カロテノイド懸濁液を所定温度に加熱された部分の導管へ送液する手段としては、定量送液ポンプ、圧縮ガスなど、通常液体を輸送する際に用いる手段を適用することができる。カロテノイド懸濁液の送液量は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、導管の加熱温度、懸濁液の加熱時間などによって異なるが、通常、0.1g〜10kg/分の範囲であるのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を加熱された導管部の入り口に導入するまでの導管の大きさおよび長さには特に制限はない。一方、加熱された導管部の出口から乳化装置までの導管の長さは、カロテノイドが熱により異性化するのを抑制する観点などから、通常、0.01〜20mの範囲であるのが好ましい。有利には、例えばカロテノイド懸濁液を仕込んだタンクから加熱した導管への導入部分までの導管、加熱した導管、および加熱した導管から乳化装置までの導管を同材質、同一径の導管とすることができる。
上記したとおり、カロテノイド懸濁液を加熱した導管中に流通させることで、カロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液[以下、これをカロテノイド溶液と称する]を調製することができ、かかる溶液は次いで直ちに、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程に付す。
乳化剤としては、カロテノイド溶液と水とを乳化させることが可能であれば特に制限はなく、例えばアスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸モノオレートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステル;ショ糖パルミテート、ショ糖モノオレートなどのショ糖脂肪酸エステル;ソルビタンパルミテート、ソルビタンモノオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンモノオレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、アスコルビン酸パルミテートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステルを用いるのが特に好ましい。これらの乳化剤は予め水中に添加してもよいし、カロテノイド懸濁液またはカロテノイド溶液に混ぜて使用してもよい。なお、アスコルビン酸脂肪酸エステルを予め水中に添加して用いる場合には、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解しやすくするため、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性アルカリ金属化合物を添加してもよい。
乳化剤および水の使用量はカロテノイド溶液を乳化できる量、すなわち安定なO/Wエマルジョンが形成される程度であれば特に制限はないが、通常、乳化剤の使用量は、使用する水に対して、0.05〜15質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。水の使用量は、カロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合などによって異なるが、カロテノイドに対して1〜2000質量倍となる範囲であるのが好ましく、10〜500質量倍となる範囲であるのがより好ましい。
また、製造するカロテノイド乳化液の安定性を向上させる観点から、水中に、ゼラチン、糖、アラビアゴム、デンプンなどを添加してもよい。糖としては砂糖、転化糖などが挙げられる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる際の水の温度は、5〜60℃の範囲であることが必要であり、30〜50℃の範囲であるのが好ましい。水の温度が5℃未満では乳化状態が悪くなり、60℃を超えるとカロテノイド乳化液の品質劣化が激しくなる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程は、例えば、攪拌型の乳化機を装着した容器に乳化剤の水溶液を予め仕込んでおき、ここにカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;攪拌型の乳化機を装着した容器に水を予め仕込んでおき、ここに乳化剤を含むカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;カロテノイド溶液と、乳化液の水溶液を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法;乳化剤を含むカロテノイド溶液と、水を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法などにより行うことができる。
次いで、上記したように、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して得られた、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行う。
トルエンを留去する温度は、5〜60℃の範囲であるのが好ましく、30〜50℃の範囲であるのがより好ましい。トルエンを留去する際の減圧度は、上記の温度範囲内においてトルエンが留去可能である減圧度を適宜選択すればよい。トルエンの留去はカロテノイドの乳化液中にトルエンが無くなるまで行う。なお、トルエンが水と共に共沸して留出するので、留出した水をトルエンと分離し、再び該カロテノイドの乳化液へ戻すことも可能である。
なお、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる工程と同時に、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行うことも可能である。
本発明の方法は、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する工程までが一連の操作であり、簡便な操作でカロテノイド乳化液を得ることができる。
得られたカロテノイド乳化液は、そのまま食品着色剤、飼料添加剤などの用途に使用することができる。また、かかるカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、またはかかるカロテノイド乳化液をヘキサン、トルエン、パラフィンなどの非極性溶媒中で攪拌して粒子化し、濾過後、乾燥することによって、カロテノイドを含む粉体を得ることができ、かかるカロテノイド粉体は食品の着色剤、生理活性剤などの用途に使用することができる。
本発明においてカロテノイド懸濁液を得るのに使用する溶媒はトルエンである。トルエンはカロテノイドの溶解度が常温と加熱時とで大幅に異なるという利点を有する。
カロテノイドは酸素に対して敏感であるため、カロテノイド懸濁液を調製する際に、抗酸化剤を添加するのが好ましい。かかる抗酸化剤としては、例えばt−ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE、エトキシキンなどが挙げられるが、これらの中でもビタミンEを使用するのが好ましい。これらの抗酸化剤は上記のトルエンと任意の割合で混合して使用することができるが、通常、使用するカロテノイドに対して10質量倍以下の範囲で使用するのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を調製する際のカロテノイドとトルエンとの割合には特に制限はないが、カロテノイドの溶解性、生産性などの観点から、カロテノイドの使用量がトルエンに対して0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
本発明では、まず、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ流通させることによって短時間で加熱してカロテノイドを溶解させる。
カロテノイド懸濁液の加熱温度および加熱時間は、該懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイドが熱によって異性化するのを抑制する観点から、加熱温度は50〜120℃の範囲であり、加熱時間は10〜600秒の範囲であることが必要であり、加熱温度が60〜110℃の範囲であり、加熱時間が10〜30秒の範囲であることが好ましい。
導管の加熱温度は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、通常、50〜200℃の範囲であるのが好ましく、70〜150℃の範囲であるのがより好ましい。導管の加熱手段としては、ガスバーナー、電気ヒーター、電磁誘導などを用いる方法;通常の熱媒オイルなどの有機熱媒体、HTS(Heat Transfer Salt:亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの混合物)などの無機熱媒体を用いて加熱する方法;スチーム、加熱空気などの高温ガスを用いる方法などの通常の加熱手段を採用することができる。
導管の材質は、本発明の方法で使用可能なものである限り特に制限はなく、例えば鉄、ステンレス、チタンなどの金属、ガラス類などを挙げることができる。導管の形状は例えば直線状、コイル状に巻かれたものなど、どのような形状であってもよい。また、生産性をより向上させる観点から、複数の導管を並列状に接続して使用することも可能である。
本発明の方法においては、使用する導管の内径に関して特に制限はないが、通常、0.1〜500mmの範囲であるのが好ましく、0.5〜100mmの範囲であるのがより好ましい。導管の内径が0.1mm未満である細い導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を流通させる際に導管内での詰まりが生じやすくなり、一方、導管の内径が500mmを超える導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を、カロテノイドがトルエンに溶解し得る温度まで短時間で加熱することが困難となる。
導管の厚さに特に制限はないが、カロテノイド懸濁液へ効率的に熱量を供給する観点、該懸濁液を流通させる際に導管にかかる圧力に耐え得る観点から、通常、導管の内径の1/10〜10倍の範囲であるのが好ましく、1/5〜5倍の範囲であるのがより好ましい。
所定温度の範囲に加熱された部分の導管の長さは、流通させるカロテノイド懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイド懸濁液がかかる導管内を流通する間に、カロテノイドをトルエンに溶解させ得る十分な熱量を供給する観点、また、カロテノイドが熱により異性化するのをできる限り抑制する観点からは、通常、0.1〜20mの範囲であるのが好ましく、0.5〜10mの範囲であるのがより好ましい。
カロテノイド懸濁液を所定温度に加熱された部分の導管へ送液する手段としては、定量送液ポンプ、圧縮ガスなど、通常液体を輸送する際に用いる手段を適用することができる。カロテノイド懸濁液の送液量は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、導管の加熱温度、懸濁液の加熱時間などによって異なるが、通常、0.1g〜10kg/分の範囲であるのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を加熱された導管部の入り口に導入するまでの導管の大きさおよび長さには特に制限はない。一方、加熱された導管部の出口から乳化装置までの導管の長さは、カロテノイドが熱により異性化するのを抑制する観点などから、通常、0.01〜20mの範囲であるのが好ましい。有利には、例えばカロテノイド懸濁液を仕込んだタンクから加熱した導管への導入部分までの導管、加熱した導管、および加熱した導管から乳化装置までの導管を同材質、同一径の導管とすることができる。
上記したとおり、カロテノイド懸濁液を加熱した導管中に流通させることで、カロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液[以下、これをカロテノイド溶液と称する]を調製することができ、かかる溶液は次いで直ちに、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程に付す。
乳化剤としては、カロテノイド溶液と水とを乳化させることが可能であれば特に制限はなく、例えばアスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸モノオレートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステル;ショ糖パルミテート、ショ糖モノオレートなどのショ糖脂肪酸エステル;ソルビタンパルミテート、ソルビタンモノオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンモノオレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、アスコルビン酸パルミテートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステルを用いるのが特に好ましい。これらの乳化剤は予め水中に添加してもよいし、カロテノイド懸濁液またはカロテノイド溶液に混ぜて使用してもよい。なお、アスコルビン酸脂肪酸エステルを予め水中に添加して用いる場合には、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解しやすくするため、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性アルカリ金属化合物を添加してもよい。
乳化剤および水の使用量はカロテノイド溶液を乳化できる量、すなわち安定なO/Wエマルジョンが形成される程度であれば特に制限はないが、通常、乳化剤の使用量は、使用する水に対して、0.05〜15質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。水の使用量は、カロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合などによって異なるが、カロテノイドに対して1〜2000質量倍となる範囲であるのが好ましく、10〜500質量倍となる範囲であるのがより好ましい。
また、製造するカロテノイド乳化液の安定性を向上させる観点から、水中に、ゼラチン、糖、アラビアゴム、デンプンなどを添加してもよい。糖としては砂糖、転化糖などが挙げられる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる際の水の温度は、5〜60℃の範囲であることが必要であり、30〜50℃の範囲であるのが好ましい。水の温度が5℃未満では乳化状態が悪くなり、60℃を超えるとカロテノイド乳化液の品質劣化が激しくなる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程は、例えば、攪拌型の乳化機を装着した容器に乳化剤の水溶液を予め仕込んでおき、ここにカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;攪拌型の乳化機を装着した容器に水を予め仕込んでおき、ここに乳化剤を含むカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;カロテノイド溶液と、乳化液の水溶液を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法;乳化剤を含むカロテノイド溶液と、水を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法などにより行うことができる。
次いで、上記したように、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して得られた、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行う。
トルエンを留去する温度は、5〜60℃の範囲であるのが好ましく、30〜50℃の範囲であるのがより好ましい。トルエンを留去する際の減圧度は、上記の温度範囲内においてトルエンが留去可能である減圧度を適宜選択すればよい。トルエンの留去はカロテノイドの乳化液中にトルエンが無くなるまで行う。なお、トルエンが水と共に共沸して留出するので、留出した水をトルエンと分離し、再び該カロテノイドの乳化液へ戻すことも可能である。
なお、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる工程と同時に、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行うことも可能である。
本発明の方法は、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する工程までが一連の操作であり、簡便な操作でカロテノイド乳化液を得ることができる。
得られたカロテノイド乳化液は、そのまま食品着色剤、飼料添加剤などの用途に使用することができる。また、かかるカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、またはかかるカロテノイド乳化液をヘキサン、トルエン、パラフィンなどの非極性溶媒中で攪拌して粒子化し、濾過後、乾燥することによって、カロテノイドを含む粉体を得ることができ、かかるカロテノイド粉体は食品の着色剤、生理活性剤などの用途に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
図1に、本発明の製造方法の一実施態様を示す。フィード槽1に、カロテノイド懸濁液および乳化剤を仕込む。フィード槽1から定量送液ポンプ2を介して、加熱装置6で加熱された熱媒入り容器5中の熱媒に浸された導管4へ乳化剤を含むカロテノイド懸濁液をフィードすると、該懸濁液は、かかる加熱された導管4内で、乳化剤を含みかつカロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液となり、この溶液は次いで直ちに、調合槽9に間欠的または連続的にフィードされる。減圧ポンプ15は、調合槽9まで減圧可能であり、該調合槽9で調製された、トルエンを含むカロテノイド乳化液より減圧下に留去されたトルエンは、留出配管12、コンデンサー13を介して受槽14に回収される。
実施例1 β−カロチン乳化液の製造
図1において、導管4として、内径2mm、外径3mm、長さ4mのコイル形状ステンレス製導管を用いた。この導管4を熱媒入り容器5に入れ90℃に加熱した。
調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1に、β−カロチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて18g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管内での滞留時間は約36秒で、加熱された導管4の出口におけるβ−カロチン溶液の温度は86℃であり、溶け残ったβ−カロチンの結晶はほとんど見られなかった。
フィード開始後しばらくして、留出してくるトルエンおよび水を受槽14に受けながらフィード槽1の懸濁液のフィードを続けたが、途中3回、該懸濁液のフィードを一時的に停止し、調合槽9内の液量が適切になったのち、フィードを再開する作業を繰り返した。また受槽に溜まった水は適宜抜き取り、トルエンと分液した後、再び調合槽9へ戻した。フィード開始後7時間でフィード槽1内のβ−カロチン懸濁液が無くなったが、引き続き留出操作を続け、さらに5時間後に、調合槽9内のトルエンが0.1%以下となったことを確認後、調合槽9から受槽14までの減圧を解除して、ホモジナイザーの撹拌を停止した。得られた橙色の乳化液760gを分析したところ、この乳化液にはβ−カロチンが3.6%含まれており、その全トランス体比率は90%であった。
実施例2 カンタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を95℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはカンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約41秒で、加熱された導管4の出口におけるカンタキサンチン溶液の温度は90℃であり、溶け残ったカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液763gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は85%であった。
実施例3 アスタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を108℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはアスタキサンチン28g、トルエン2000g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約45秒で、加熱された導管4の出口におけるアスタキサンチン溶液の温度は103℃であり、溶け残ったアスタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液736gを分析したところ、この乳化液にはアスタキサンチンが3.7%含まれており、その全トランス体比率は84%であった。
比較例1 カンタキサンチン乳化液の製造(加熱に導管を用いない条件)
図1において、調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で攪拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌させた。
一方、還流冷却器を取り付けた内容積3000mlの三つ口フラスコに、カンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れ、攪拌しながら130℃の熱媒浴で混合液を加熱し、15分間トルエン還流条件に保ち、カンタキサンチンを溶解させた。次いで、得られたカンタキサンチンのトルエン溶液の全量を直ちに、常圧で前記の調合槽9に一気に注ぎ込んだ。なお、注ぎ込んだトルエン溶液には未溶解のカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。30分間ホモジナイザー攪拌を続けた後、実施例1と同様にしてトルエンおよび水の留出操作を行い、得られた橙色の乳化液780gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は38%であった。
図1に、本発明の製造方法の一実施態様を示す。フィード槽1に、カロテノイド懸濁液および乳化剤を仕込む。フィード槽1から定量送液ポンプ2を介して、加熱装置6で加熱された熱媒入り容器5中の熱媒に浸された導管4へ乳化剤を含むカロテノイド懸濁液をフィードすると、該懸濁液は、かかる加熱された導管4内で、乳化剤を含みかつカロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液となり、この溶液は次いで直ちに、調合槽9に間欠的または連続的にフィードされる。減圧ポンプ15は、調合槽9まで減圧可能であり、該調合槽9で調製された、トルエンを含むカロテノイド乳化液より減圧下に留去されたトルエンは、留出配管12、コンデンサー13を介して受槽14に回収される。
実施例1 β−カロチン乳化液の製造
図1において、導管4として、内径2mm、外径3mm、長さ4mのコイル形状ステンレス製導管を用いた。この導管4を熱媒入り容器5に入れ90℃に加熱した。
調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1に、β−カロチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて18g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管内での滞留時間は約36秒で、加熱された導管4の出口におけるβ−カロチン溶液の温度は86℃であり、溶け残ったβ−カロチンの結晶はほとんど見られなかった。
フィード開始後しばらくして、留出してくるトルエンおよび水を受槽14に受けながらフィード槽1の懸濁液のフィードを続けたが、途中3回、該懸濁液のフィードを一時的に停止し、調合槽9内の液量が適切になったのち、フィードを再開する作業を繰り返した。また受槽に溜まった水は適宜抜き取り、トルエンと分液した後、再び調合槽9へ戻した。フィード開始後7時間でフィード槽1内のβ−カロチン懸濁液が無くなったが、引き続き留出操作を続け、さらに5時間後に、調合槽9内のトルエンが0.1%以下となったことを確認後、調合槽9から受槽14までの減圧を解除して、ホモジナイザーの撹拌を停止した。得られた橙色の乳化液760gを分析したところ、この乳化液にはβ−カロチンが3.6%含まれており、その全トランス体比率は90%であった。
実施例2 カンタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を95℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはカンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約41秒で、加熱された導管4の出口におけるカンタキサンチン溶液の温度は90℃であり、溶け残ったカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液763gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は85%であった。
実施例3 アスタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を108℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはアスタキサンチン28g、トルエン2000g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約45秒で、加熱された導管4の出口におけるアスタキサンチン溶液の温度は103℃であり、溶け残ったアスタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液736gを分析したところ、この乳化液にはアスタキサンチンが3.7%含まれており、その全トランス体比率は84%であった。
比較例1 カンタキサンチン乳化液の製造(加熱に導管を用いない条件)
図1において、調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で攪拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌させた。
一方、還流冷却器を取り付けた内容積3000mlの三つ口フラスコに、カンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れ、攪拌しながら130℃の熱媒浴で混合液を加熱し、15分間トルエン還流条件に保ち、カンタキサンチンを溶解させた。次いで、得られたカンタキサンチンのトルエン溶液の全量を直ちに、常圧で前記の調合槽9に一気に注ぎ込んだ。なお、注ぎ込んだトルエン溶液には未溶解のカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。30分間ホモジナイザー攪拌を続けた後、実施例1と同様にしてトルエンおよび水の留出操作を行い、得られた橙色の乳化液780gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は38%であった。
食品の着色剤として幅広く使用され、また薬学的見地からの使用も考慮されているカロテノイドは、溶解性や安定性の観点から、安定でかつ利用し易い形態に加工する必要があり、その一つの方法として、カロテノイドの乳化液を調製する方法がある。
本発明によれば、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造することができる。
本発明によれば、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造することができる。
本発明はカロテノイド乳化液の製造方法に関する。
カロテノイドは天然に幅広く存在し、それらが有する黄色ないし赤色の特徴を生かして食品の着色剤用途などに幅広く使用されている。また、カロテノイドの種類によってはプロビタミンA活性やガン抑制効果などを示すことが知られており、薬学的見地からも注目を浴びている化合物群である。これらのカロテノイドにはそれらが有している多くの炭素−炭素二重結合に基づく多数の異性体が存在するが、着色剤用途、あるいはプロビタミンA活性剤などの生理活性剤用途として考えた場合、全トランス体比率が高いカロテノイドが好まれる。
カロテノイドは常温では結晶状態でかつ高融点であり、水に不溶性で、有機溶媒や油脂に対する溶解度も極めて低い上、熱により異性化を起こしやすく、また酸素、光によって容易に変質しやすい化合物である。よって、カロテノイドを食品の着色剤用途として、あるいは生理活性剤用途として用いる場合、安定でかつ利用し易い形態に加工する必要がある。その一つの方法として、有機溶媒または油脂にカロテノイドを溶解して得られた溶液を、乳化剤の存在下に水と混合することによりカロテノイドの乳化液を調製する方法がある。
カロテノイドの乳化液を製造する方法としては、
(1)カロテノイドをハロゲン化炭化水素、二硫化炭素などの水と非混和性の揮発性溶媒に溶解させた溶液を、膨潤性コロイド水溶液中に乳濁し、得られた乳濁液より揮発性溶媒を除去する方法(特許文献1参照)、
(2)約20〜40℃で液状の食用油中のカロテノイドの過飽和溶液であって100〜160℃に加熱したものを水性ゼラチン物質中に乳化する方法(特許文献2参照)、
(3)カロテノイドをハロゲン化炭化水素などの揮発性有機溶媒に溶解させた溶液を、ラウリル硫酸ナトリウムなどを含む水溶液と混合しながら揮発性溶媒を除去する方法(特許文献3および特許文献4参照)、
(1)カロテノイドをハロゲン化炭化水素、二硫化炭素などの水と非混和性の揮発性溶媒に溶解させた溶液を、膨潤性コロイド水溶液中に乳濁し、得られた乳濁液より揮発性溶媒を除去する方法(特許文献1参照)、
(2)約20〜40℃で液状の食用油中のカロテノイドの過飽和溶液であって100〜160℃に加熱したものを水性ゼラチン物質中に乳化する方法(特許文献2参照)、
(3)カロテノイドをハロゲン化炭化水素などの揮発性有機溶媒に溶解させた溶液を、ラウリル硫酸ナトリウムなどを含む水溶液と混合しながら揮発性溶媒を除去する方法(特許文献3および特許文献4参照)、
(4)カロテノイドを、カロテノイドに対し1.5〜20倍質量の食用油及び適量の乳化剤と共に、揮発性の水と混合しうる有機溶媒に50〜240℃の温度で急速に溶解し、得られる溶液を直ちに保護コロイドの水溶液と0〜50℃の温度で混合することにより、親水性溶媒成分を水相に移行させ、その際カロテノイドを溶解含有する疎水性油相を微細分散相となす方法(特許文献5参照)、
(5)高沸点油中のカロテノイドの懸濁物を最大30秒の間過熱蒸気と接触させ、得られた混合物をコロイドの水溶液中で乳化する方法(特許文献6参照)、
(6)トランス体β−カロチン、油脂類およびリモネンを加熱溶解した後、リモネンを回収し、得られたトランス体β−カロチン溶解油脂層を乳化剤の存在下に乳化液とする方法(特許文献7参照)、
(5)高沸点油中のカロテノイドの懸濁物を最大30秒の間過熱蒸気と接触させ、得られた混合物をコロイドの水溶液中で乳化する方法(特許文献6参照)、
(6)トランス体β−カロチン、油脂類およびリモネンを加熱溶解した後、リモネンを回収し、得られたトランス体β−カロチン溶解油脂層を乳化剤の存在下に乳化液とする方法(特許文献7参照)、
(7)カロテノイドを水非混和性有機溶媒中に懸濁させた懸濁液を滞留時間5秒未満で熱交換器に供給して該懸濁液を100〜250℃に加熱し、得られる溶液を20〜100℃の範囲の温度にて膨潤性コロイドの水性溶液と急速に混合した後、有機溶媒を除去する方法(特許文献8参照)、
(8)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜700℃の範囲の温度に加熱した内径が0.1〜50mmの導管中へ滞留時間0.05〜5秒の範囲で流通させることによって加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特許文献9参照)、
(9)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜500℃に加熱した高沸有機液体と0.05〜10秒間の時間内で混合してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特許文献10参照)、
が知られている。
(8)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜700℃の範囲の温度に加熱した内径が0.1〜50mmの導管中へ滞留時間0.05〜5秒の範囲で流通させることによって加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特許文献9参照)、
(9)カロテノイドを高沸有機液体中に懸濁させた懸濁液を、120〜500℃に加熱した高沸有機液体と0.05〜10秒間の時間内で混合してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む水溶液中に加えて乳化させることを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法(特許文献10参照)、
が知られている。
上記(1)および(3)の方法は、カロテノイドに対して常温でも溶解度が比較的高いクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素や二硫化炭素などの有機溶媒を用いているが、これらの溶媒は毒性が高く、さらに近年環境問題などの観点から使用に関して厳しい管理が要求されており、工業的に使用することが困難であるという問題を有する。上記(2)の方法は、製造される乳化液から得られるカロテノイド乾燥粉末の可視吸収スペクトルが低くなり、例えば食品の着色剤として用いる場合には、要求する色濃度値を得るためにかかるカロテノイド乾燥粉末の使用量を多くしなければならず、経済的に不利であるという問題を有する。
上記(4)および(7)の方法においては、用いている有機溶媒は最終製品には不要であるため、除去しなければならない上、有機溶媒を多量に用いなければならず生産性が低いという問題点を有する。上記(5)の方法は、高温・高圧である過熱蒸気を取り扱うために高価な装置を必要とする上、コロイドの水溶液に含まれる水以外にも過熱蒸気に由来する水が得られる乳化液に加わり、該乳化液からカロテノイド粉末を製造しようとした場合、多量の水を除去しなければならないという問題点を有する。
上記(6)の方法は、トランス体β−カロチンを加熱して溶解させる際にトランス体β−カロチンの異性化を抑制する観点からリモネンを用いているが、かかるリモネンは油脂類と同量またはそれ以上の量を用いなければならない上、最終製品には不要であるため、これを除去する工程が必須であり、さらには得られる乳化液中のβ−カロチンの全トランス体比率は60〜67%程度と低いという問題点を有する。また、上記(8)および(9)の方法は、高温を発生させるための付帯設備が、過大となるため、かかる観点からは、なお、これらの方法には改良の余地がある。
しかして、本発明の目的は、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を行った。その結果、カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液を、加熱した導管中へ短時間流通させることによって特定の温度範囲に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに乳化剤を含む特定の温度範囲の水溶液中に加えて乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する方法を用いることで、最終製品に不要な有機溶媒や多量な水を含まないカロテノイド乳化液を製造し得ることを見出した。また、かかる方法で得られる乳化液を噴霧乾燥、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体は食品などの着色剤用途、あるいは生理活性剤用途に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1>カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液[以下、これをカロテノイド懸濁液と称する]を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法、
<2><1>で得られたカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体、
に関する。
<1>カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液[以下、これをカロテノイド懸濁液と称する]を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法、
<2><1>で得られたカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体、
に関する。
食品の着色剤として幅広く使用され、また薬学的見地からの使用も考慮されているカロテノイドは、溶解性や安定性の観点から、安定でかつ利用し易い形態に加工する必要があり、その一つの方法として、カロテノイドの乳化液を調製する方法がある。
本発明によれば、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造することができる。
本発明によれば、カロテノイドを有効成分として有する乳化液を、該カロテノイドの高い全トランス体比率を保ち、生産性よく、簡便に、工業的に有利に製造することができる。
本発明に用いるカロテノイドとしては、α−カロチン、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アポカロテナール、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、リコペン、ゼアキサンチンなどを例示することができる。これらのカロテノイドは1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。使用するカロテノイドの形態は、カロテノイドをトルエンへ円滑に溶解させる観点から、粒径として50μm以下の結晶であるのが好ましく、15μm以下の結晶であるのがより好ましい。
本発明においてカロテノイド懸濁液を得るのに使用する溶媒はトルエンである。トルエンはカロテノイドの溶解度が常温と加熱時とで大幅に異なるという利点を有する。
カロテノイドは酸素に対して敏感であるため、カロテノイド懸濁液を調製する際に、抗酸化剤を添加するのが好ましい。かかる抗酸化剤としては、例えばt−ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE、エトキシキンなどが挙げられるが、これらの中でもビタミンEを使用するのが好ましい。これらの抗酸化剤は上記のトルエンと任意の割合で混合して使用することができるが、通常、使用するカロテノイドに対して10質量倍以下の範囲で使用するのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を調製する際のカロテノイドとトルエンとの割合には特に制限はないが、カロテノイドの溶解性、生産性などの観点から、カロテノイドの使用量がトルエンに対して0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
本発明では、まず、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ流通させることによって短時間で加熱してカロテノイドを溶解させる。
カロテノイド懸濁液の加熱温度および加熱時間は、該懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイドが熱によって異性化するのを抑制する観点から、加熱温度は50〜120℃の範囲であり、加熱時間は10〜600秒の範囲であることが必要であり、加熱温度が60〜110℃の範囲であり、加熱時間が10〜30秒の範囲であることが好ましい。
導管の加熱温度は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、通常、50〜200℃の範囲であるのが好ましく、70〜150℃の範囲であるのがより好ましい。導管の加熱手段としては、ガスバーナー、電気ヒーター、電磁誘導などを用いる方法;通常の熱媒オイルなどの有機熱媒体、HTS(Heat Transfer Salt:亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの混合物)などの無機熱媒体を用いて加熱する方法;スチーム、加熱空気などの高温ガスを用いる方法などの通常の加熱手段を採用することができる。
導管の材質は、本発明の方法で使用可能なものである限り特に制限はなく、例えば鉄、ステンレス、チタンなどの金属、ガラス類などを挙げることができる。導管の形状は例えば直線状、コイル状に巻かれたものなど、どのような形状であってもよい。また、生産性をより向上させる観点から、複数の導管を並列状に接続して使用することも可能である。
本発明の方法においては、使用する導管の内径に関して特に制限はないが、通常、0.1〜500mmの範囲であるのが好ましく、0.5〜100mmの範囲であるのがより好ましい。導管の内径が0.1mm未満である細い導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を流通させる際に導管内での詰まりが生じやすくなり、一方、導管の内径が500mmを超える導管を用いる場合には、カロテノイド懸濁液を、カロテノイドがトルエンに溶解し得る温度まで短時間で加熱することが困難となる。
導管の厚さに特に制限はないが、カロテノイド懸濁液へ効率的に熱量を供給する観点、該懸濁液を流通させる際に導管にかかる圧力に耐え得る観点から、通常、導管の内径の1/10〜10倍の範囲であるのが好ましく、1/5〜5倍の範囲であるのがより好ましい。
所定温度の範囲に加熱された部分の導管の長さは、流通させるカロテノイド懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、該懸濁液の流通量、流通速度などによって異なるが、カロテノイド懸濁液がかかる導管内を流通する間に、カロテノイドをトルエンに溶解させ得る十分な熱量を供給する観点、また、カロテノイドが熱により異性化するのをできる限り抑制する観点からは、通常、0.1〜20mの範囲であるのが好ましく、0.5〜10mの範囲であるのがより好ましい。
カロテノイド懸濁液を所定温度に加熱された部分の導管へ送液する手段としては、定量送液ポンプ、圧縮ガスなど、通常液体を輸送する際に用いる手段を適用することができる。カロテノイド懸濁液の送液量は、流通させる懸濁液を構成するカロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合、導管の加熱温度、懸濁液の加熱時間などによって異なるが、通常、0.1g〜10kg/分の範囲であるのが好ましい。
カロテノイド懸濁液を加熱された導管部の入り口に導入するまでの導管の大きさおよび長さには特に制限はない。一方、加熱された導管部の出口から乳化装置までの導管の長さは、カロテノイドが熱により異性化するのを抑制する観点などから、通常、0.01〜20mの範囲であるのが好ましい。有利には、例えばカロテノイド懸濁液を仕込んだタンクから加熱した導管への導入部分までの導管、加熱した導管、および加熱した導管から乳化装置までの導管を同材質、同一径の導管とすることができる。
上記したとおり、カロテノイド懸濁液を加熱した導管中に流通させることで、カロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液[以下、これをカロテノイド溶液と称する]を調製することができ、かかる溶液は次いで直ちに、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程に付す。
乳化剤としては、カロテノイド溶液と水とを乳化させることが可能であれば特に制限はなく、例えばアスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸モノオレートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステル;ショ糖パルミテート、ショ糖モノオレートなどのショ糖脂肪酸エステル;ソルビタンパルミテート、ソルビタンモノオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンモノオレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、アスコルビン酸パルミテートなどのアスコルビン酸脂肪酸エステルを用いるのが特に好ましい。これらの乳化剤は予め水中に添加してもよいし、カロテノイド懸濁液またはカロテノイド溶液に混ぜて使用してもよい。なお、アスコルビン酸脂肪酸エステルを予め水中に添加して用いる場合には、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解しやすくするため、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性アルカリ金属化合物を添加してもよい。
乳化剤および水の使用量はカロテノイド溶液を乳化できる量、すなわち安定なO/Wエマルジョンが形成される程度であれば特に制限はないが、通常、乳化剤の使用量は、使用する水に対して、0.05〜15質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。水の使用量は、カロテノイドの種類、カロテノイドとトルエンとの使用割合などによって異なるが、カロテノイドに対して1〜2000質量倍となる範囲であるのが好ましく、10〜500質量倍となる範囲であるのがより好ましい。
また、製造するカロテノイド乳化液の安定性を向上させる観点から、水中に、ゼラチン、糖、アラビアゴム、デンプンなどを添加してもよい。糖としては砂糖、転化糖などが挙げられる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる際の水の温度は、5〜60℃の範囲であることが必要であり、30〜50℃の範囲であるのが好ましい。水の温度が5℃未満では乳化状態が悪くなり、60℃を超えるとカロテノイド乳化液の品質劣化が激しくなる。
カロテノイド溶液を、乳化剤の存在下に、水と混合して乳化させる工程は、例えば、攪拌型の乳化機を装着した容器に乳化剤の水溶液を予め仕込んでおき、ここにカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;攪拌型の乳化機を装着した容器に水を予め仕込んでおき、ここに乳化剤を含むカロテノイド溶液を間欠的または連続的に加えて乳化させる方法;カロテノイド溶液と、乳化液の水溶液を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法;乳化剤を含むカロテノイド溶液と、水を一緒にインラインミキサーへ導入して乳化させる方法などにより行うことができる。
次いで、上記したように、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して得られた、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行う。
トルエンを留去する温度は、5〜60℃の範囲であるのが好ましく、30〜50℃の範囲であるのがより好ましい。トルエンを留去する際の減圧度は、上記の温度範囲内においてトルエンが留去可能である減圧度を適宜選択すればよい。トルエンの留去はカロテノイドの乳化液中にトルエンが無くなるまで行う。なお、トルエンが水と共に共沸して留出するので、留出した水をトルエンと分離し、再び該カロテノイドの乳化液へ戻すことも可能である。
なお、カロテノイド溶液を乳化剤の存在下に水と混合して乳化させる工程と同時に、トルエンを含有するカロテノイドの乳化液から、減圧下にトルエンを留去する工程を行うことも可能である。
本発明の方法は、カロテノイド懸濁液を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去する工程までが一連の操作であり、簡便な操作でカロテノイド乳化液を得ることができる。
得られたカロテノイド乳化液は、そのまま食品着色剤、飼料添加剤などの用途に使用することができる。また、かかるカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、またはかかるカロテノイド乳化液をヘキサン、トルエン、パラフィンなどの非極性溶媒中で攪拌して粒子化し、濾過後、乾燥することによって、カロテノイドを含む粉体を得ることができ、かかるカロテノイド粉体は食品の着色剤、生理活性剤などの用途に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
図1に、本発明の製造方法の一実施態様を示す。フィード槽1に、カロテノイド懸濁液および乳化剤を仕込む。フィード槽1から定量送液ポンプ2を介して、加熱装置6で加熱された熱媒入り容器5中の熱媒に浸された導管4へ乳化剤を含むカロテノイド懸濁液をフィードすると、該懸濁液は、かかる加熱された導管4内で、乳化剤を含みかつカロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液となり、この溶液は次いで直ちに、調合槽9に間欠的または連続的にフィードされる。減圧ポンプ15は、調合槽9まで減圧可能であり、該調合槽9で調製された、トルエンを含むカロテノイド乳化液より減圧下に留去されたトルエンは、留出配管12、コンデンサー13を介して受槽14に回収される。
図1に、本発明の製造方法の一実施態様を示す。フィード槽1に、カロテノイド懸濁液および乳化剤を仕込む。フィード槽1から定量送液ポンプ2を介して、加熱装置6で加熱された熱媒入り容器5中の熱媒に浸された導管4へ乳化剤を含むカロテノイド懸濁液をフィードすると、該懸濁液は、かかる加熱された導管4内で、乳化剤を含みかつカロテノイドがトルエンに溶解した状態の溶液となり、この溶液は次いで直ちに、調合槽9に間欠的または連続的にフィードされる。減圧ポンプ15は、調合槽9まで減圧可能であり、該調合槽9で調製された、トルエンを含むカロテノイド乳化液より減圧下に留去されたトルエンは、留出配管12、コンデンサー13を介して受槽14に回収される。
実施例1 β−カロチン乳化液の製造
図1において、導管4として、内径2mm、外径3mm、長さ4mのコイル形状ステンレス製導管を用いた。この導管4を熱媒入り容器5に入れ90℃に加熱した。
調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1に、β−カロチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて18g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管内での滞留時間は約36秒で、加熱された導管4の出口におけるβ−カロチン溶液の温度は86℃であり、溶け残ったβ−カロチンの結晶はほとんど見られなかった。
図1において、導管4として、内径2mm、外径3mm、長さ4mのコイル形状ステンレス製導管を用いた。この導管4を熱媒入り容器5に入れ90℃に加熱した。
調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1に、β−カロチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて18g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管内での滞留時間は約36秒で、加熱された導管4の出口におけるβ−カロチン溶液の温度は86℃であり、溶け残ったβ−カロチンの結晶はほとんど見られなかった。
フィード開始後しばらくして、留出してくるトルエンおよび水を受槽14に受けながらフィード槽1の懸濁液のフィードを続けたが、途中3回、該懸濁液のフィードを一時的に停止し、調合槽9内の液量が適切になったのち、フィードを再開する作業を繰り返した。また受槽に溜まった水は適宜抜き取り、トルエンと分液した後、再び調合槽9へ戻した。フィード開始後7時間でフィード槽1内のβ−カロチン懸濁液が無くなったが、引き続き留出操作を続け、さらに5時間後に、調合槽9内のトルエンが0.1%以下となったことを確認後、調合槽9から受槽14までの減圧を解除して、ホモジナイザーの撹拌を停止した。得られた橙色の乳化液760gを分析したところ、この乳化液にはβ−カロチンが3.6%含まれており、その全トランス体比率は90%であった。
実施例2 カンタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を95℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはカンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約41秒で、加熱された導管4の出口におけるカンタキサンチン溶液の温度は90℃であり、溶け残ったカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液763gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は85%であった。
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を95℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはカンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約41秒で、加熱された導管4の出口におけるカンタキサンチン溶液の温度は90℃であり、溶け残ったカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液763gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は85%であった。
実施例3 アスタキサンチン乳化液の製造
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を108℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはアスタキサンチン28g、トルエン2000g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約45秒で、加熱された導管4の出口におけるアスタキサンチン溶液の温度は103℃であり、溶け残ったアスタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液736gを分析したところ、この乳化液にはアスタキサンチンが3.7%含まれており、その全トランス体比率は84%であった。
実施例1と同様な装置を用い、熱媒の温度を108℃とした。調合槽9に水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で撹拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加えた。また、フィード槽1にはアスタキサンチン28g、トルエン2000g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れてゆっくり撹拌した。減圧ポンプ15にて調合槽9から受槽14までを13.3kPa(100mmHg)に減圧した後、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌し、フィード槽1の懸濁液を定量送液ポンプ2にて16g/分の送液量で調合槽9へ送液した。このときフィード液の導管4内での滞留時間は約45秒で、加熱された導管4の出口におけるアスタキサンチン溶液の温度は103℃であり、溶け残ったアスタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。フィードおよび留出操作は実施例1と同様にして行い、得られた橙色の乳化液736gを分析したところ、この乳化液にはアスタキサンチンが3.7%含まれており、その全トランス体比率は84%であった。
比較例1 カンタキサンチン乳化液の製造(加熱に導管を用いない条件)
図1において、調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で攪拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌させた。
一方、還流冷却器を取り付けた内容積3000mlの三つ口フラスコに、カンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れ、攪拌しながら130℃の熱媒浴で混合液を加熱し、15分間トルエン還流条件に保ち、カンタキサンチンを溶解させた。次いで、得られたカンタキサンチンのトルエン溶液の全量を直ちに、常圧で前記の調合槽9に一気に注ぎ込んだ。なお、注ぎ込んだトルエン溶液には未溶解のカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。30分間ホモジナイザー攪拌を続けた後、実施例1と同様にしてトルエンおよび水の留出操作を行い、得られた橙色の乳化液780gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は38%であった。
図1において、調合槽9に、水700gおよび砂糖35gを入れ、さらにゼラチン30gを入れて40℃で攪拌してゼラチンを溶解させた後、pHが7〜8となるように1規定の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、調合槽9のホモジナイザーを9000回転/分で攪拌させた。
一方、還流冷却器を取り付けた内容積3000mlの三つ口フラスコに、カンタキサンチン28g、トルエン1400g、アスコルビン酸パルミテート5.6gおよびビタミンE5.6gを入れ、攪拌しながら130℃の熱媒浴で混合液を加熱し、15分間トルエン還流条件に保ち、カンタキサンチンを溶解させた。次いで、得られたカンタキサンチンのトルエン溶液の全量を直ちに、常圧で前記の調合槽9に一気に注ぎ込んだ。なお、注ぎ込んだトルエン溶液には未溶解のカンタキサンチンの結晶はほとんど見られなかった。30分間ホモジナイザー攪拌を続けた後、実施例1と同様にしてトルエンおよび水の留出操作を行い、得られた橙色の乳化液780gを分析したところ、この乳化液にはカンタキサンチンが3.5%含まれており、その全トランス体比率は38%であった。
1 フィード槽(攪拌機付き)
2 定量送液ポンプ
3,7,10 温度計
4 導管
5 熱媒入り容器
6 加熱装置
8 コック
9 調合槽(ホモジナイザー付き)
11 圧力計
12 留出配管
13 コンデンサー
14 受槽
15 減圧ポンプ
2 定量送液ポンプ
3,7,10 温度計
4 導管
5 熱媒入り容器
6 加熱装置
8 コック
9 調合槽(ホモジナイザー付き)
11 圧力計
12 留出配管
13 コンデンサー
14 受槽
15 減圧ポンプ
Claims (14)
- カロテノイドをトルエン中に懸濁させた懸濁液を、加熱した導管中へ滞留時間10〜600秒の範囲で流通させることによって50〜120℃の範囲の温度に加熱してカロテノイドを溶解させ、得られる溶液を次いで直ちに、乳化剤の存在下に、5〜60℃の範囲の温度の水と混合して乳化させた後、減圧下にトルエンを留去することを特徴とするカロテノイド乳化液の製造方法。
- カロテノイドの粒径が50μm以下である請求の範囲1記載の製造方法。
- トルエンに対するカロテノイドの使用量が0.1〜10質量%の範囲である請求の範囲1または2記載の製造方法。
- カロテノイドの懸濁液が抗酸化剤を含有する請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加熱した導管の出口から水との混合の直前までの該溶液の経路も導管で形成されている請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 導管の内径が0.1〜500mmの範囲である請求の範囲1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 導管の厚さが導管の内径の1/10〜10倍の範囲である請求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加熱した導管の長さが0.1〜20mの範囲である請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加熱した導管の出口から水との混合の直前までの導管の長さが0.01〜20mの範囲である請求の範囲5〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 乳化剤がアスコルビン酸脂肪酸エステル、ショ糖酸脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求の範囲1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 乳化剤の使用量が使用する水に対して0.1〜5質量%の範囲である請求の範囲1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 水の使用量がカロテノイドに対して1〜2000質量倍の範囲である請求の範囲1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 水中にゼラチン、糖、アラビアゴムおよびデンプンから選ばれる少なくとも1種を添加する請求の範囲1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求の範囲1〜13のいずれか1項に記載の製造方法で得られたカロテノイド乳化液を噴霧乾燥するか、または非極性溶媒中で攪拌して粒子化した後、濾過、乾燥して得られるカロテノイド粉体。
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