JPWO2004087210A1 - 抗cd52抗体による調節性t細胞分化誘導・増殖方法およびそのための医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、4C8mAbの新たな機能として調節性T細胞の誘導能が報告された(Masuyama,J.et al.,(2002)J.Immunol.,169,3710)。単独ではT細胞活性化能をもたない程度の低濃度のCD3アゴニストでT細胞を刺激するときに、同時に適切な副刺激を加えることでT細胞を活性化させることができる。副刺激はCD3アゴニストの活性化能の亢進を行うのみならず、活性化後のT細胞の機能にも大きな影響を与える。CD3アゴニストとして抗CD3抗体であるOKT3を用いたとき、4C8mAbによる刺激は副刺激として機能し、CD4陽性T細胞を活性化、増殖させた。さらに、CD3、4C8mAbの同時刺激による活性化後の細胞はin vitroにおいてポリクローナル刺激によるCD4陽性T細胞の増殖に対して抑制活性を示し、調節性T細胞が誘導されていることが判った。
1.調節性T細胞
種々の病原体に対する生体防御のシステムとしての免疫系の中心的役割を担う細胞群の一つにT細胞がある。T細胞は大別してCD4陽性のヘルパーT細胞とCD8陽性の細胞傷害性T細胞に分けられるが、前者は特に抗原刺激後の特定の分化成熟段階でのサイトカイン産生パターンによって、主にIFN−γを産生するTh1細胞、IL−4を産生するTh2細胞などに分類可能である。一般的に前者は細胞性免疫、後者は液性免疫として生体防御に深く関与している。免疫応答はこのような性質の異なるT細胞の働きによって巧妙なバランスのもとに病原体の排除や感染抵抗性の獲得に深く関与している。通常健全な免疫応答においては外来の非自己抗原に対してはそれらを排除する機構が働き、生体を形成する自己抗原に対しては免疫学的寛容が成立しており排除機構が働かないことが知られている。しかしながら自己抗原に対する過剰な免疫応答が働くことによって自己免疫疾患が生ずる。このように自己抗原に対する免疫学的寛容は絶対的なものではないが、T細胞レベルにおいても種々の免疫学的寛容が誘導される仕組みが分かっている。一つは、中枢寛容(central tolerance)と呼ばれる胸腺における自己反応性T細胞クローンの排除の機構(Kisielow,P.et al.,1988.Nature.333:742−746.)、他方は末梢寛容(peripheral tolerance)と呼ばれる機構による自己反応性T細胞の胸腺外での制御である。後者には、細胞死の誘導あるいは自己抗原に対する不応答性(anergy)の誘導(Rocha,B.,and H.von Boehmer.1991.Science.251:1225−1228.;Jenkins,M.K.,and R.H.Schwartz.1987.J.Exp.Med.165:302−319.)と共に、調節性T細胞(regulatory T cell)による能動的な抑制(Shevach,E.M.2000.Annu.Rev.Immunol.18:423−449.)の機構が知られている。調節性T細胞とは、近年提唱されたT細胞の新たな概念であり、他のT細胞に対して抑制的な作用を有するということによって定義付けられる。免疫応答は巧妙なバランスのもとに成り立っており、例えば上述のTh1細胞およびTh2細胞はお互いにそれぞれの免疫応答に拮抗的に働き、一方が他方に対する調節性T細胞として作用することが知られるようになってきた。反面、調節性T細胞としての細胞集団の存在の検証とその性状解析については免疫学の近年の歴史においても多くの議論があるところである。このような調節性T細胞はin vitroまたはin vivoにおいて特定の免疫応答を抑制または調節する機能を有する細胞として研究され、細胞表面マーカー、産生するサイトカインの種類や抑制・調節の機構などによって種々の細胞集団として報告されてきている(Roncarolo,M.G.,and M.K.Levings.2000.Curr.Opinion.Immunol.12:676−683.)。
これらの調節性T細胞の中でも近年最もよく研究されている細胞集団は、以下に述べるCD4陽性CD25陽性であることをマーカーとするT細胞集団であり、主にマウスおよびラットなどのヒト以外の生物種で研究されてきた。即ち、正常マウスまたはラットのCD4陽性脾臓細胞からCD25陽性、RT6.1陽性(ラットの成熟T細胞の大部分に発現)、CD5強陽性、またはCD45RB弱陽性(マウス)若しくはCD45RC弱陽性(ラット)の細胞を除去して、残りのT細胞を免疫不全の動物に移入することで臓器特異的自己免疫疾患が誘導されることが明らかとなった。これまでこのような調節性T細胞特異的なマーカーは見出されておらず、上記のマーカーは調節性T細胞の機能とは直接関連付けられない、細胞が活性化されている状態、抗原刺激を受けた状態、免疫学的記憶状態にあることを表すマーカーにしか過ぎない。しかしながら、免疫不全動物に臓器特異的自己免疫疾患を誘導する機能のみならず、逆に特定の細胞集団を移入することで自己免疫疾患および自己免疫性炎症を抑制する機能を有することを指標として調節性T細胞集団の解析が進み、CD4、CD25共に陽性であるT細胞集団が調節性T細胞のマーカーとなり得ることが知られるに至った(Sakaguchi,S.,et al.,1985.J.Exp.Med.161:72;Itoh,M.,et al.,1999.J.Immunol.162:5317−5326;Sakaguchi.S.et al.,1995.J.Immunol.155:1151−1164;Asano,M.et al.,1996.J.Exp.Med.184:387−396;Read,S.et al.,2000.J.Exp.Med.192:295−302;Salomon,B.et al.,2000.Immunity.12:431−440;Stephens,L.A.,and D.Mason.2000.J.Immunol.165:3105−3110.)。
上記のようにマウスおよびラットにおいて、CD4陽性CD25陽性の調節性T細胞が同定された一方で、ヒトにおける同様の細胞の存在はようやく2001年になって複数のグループから報告されたに過ぎない(Jonuleit,H.et al.,2001.J.Exp.Med.193:1285−1294;Levings,M.K.et al.,2001.J.Exp.Med.193:1295−1301;Dieckmann,D.et al.,2001.J.Exp.Med.193:1303−1310;Taama,L.S.et al.,2001.Eur.J.Immunol.31:1122−1131;Stephens,L.A.et al.,2001.Eur.J.Immunol.31:1247−1245;Baecher−Allan,C.et al.,2001.J.Immunol.167:1245−1253.)。これらの報告はマウスで知られているCD4およびCD25の発現を指標にヒト末梢血から分離された細胞集団を用いて種々の細胞表面マーカー、細胞の活性化刺激に対する不応答性(anergy)、産生されるサイトカインの種類、in vitroにおける通常T細胞の増殖抑制機能およびその機構などの点においてマウスでの報告と同等であることを根拠としている。即ち、ヒト末梢血から分離されたCD4陽性CD25陽性T細胞は、CD45RO陽性のメモリーT細胞マーカーを発現しており、CD4陽性CD25陰性T細胞と比較してHLA−DRなどの活性化マーカーの発現が高い。また細胞内には定常的にCTLA−4を発現しており、刺激によりその発現が上昇する。更に抗CD3抗体刺激、抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激、同種異系の成熟樹状細胞(allogeneic mature DC)による刺激などでは、CD4陽性CD25陽性の調節性T細胞のDNA合成およびサイトカインの産生は見られず、抗原刺激に対する不応答状態(anergy)となっている。抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激にIL−2、IL−4、IL−15などのサイトカインを加えることで、CD4陽性CD25陽性調節性T細胞のDNA合成能は高まるが、CD4陽性CD25陰性T細胞のそれには及ばない。CD4陽性CD25陽性調節性T細胞存在下にCD4陽性CD25陰性T細胞を抗CD3抗体または同種異系の成熟樹状細胞(allogeneic mature DC)によって刺激した場合、CD4陽性CD25陽性調節性T細胞非存在下と比較してCD4陽性CD25陽性調節性T細胞細胞数依存的な増殖抑制作用が見られる。マウスに比較して低いものの、CD4陽性CD25陽性調節性T細胞はIL−10、TGFβ1のような抑制性のサイトカインを産生する能力があるが、CD4陽性CD25陰性T細胞に対する増殖抑制作用は、これらサイトカインに対する中和抗体では解除されないこと、抑制作用にはCD4陽性CD25陰性T細胞とCD4陽性CD25陽性調節性T細胞の直接的細胞間接触が必要であることが報告されている。マウス、ラットおよびヒトにおいてCD4陽性CD25陽性調節性T細胞の存在が報告され性状解析が進んではいるものの、これら細胞の詳細な分化機構および抑制作用機構の解明は途上にあり、特異的なマーカーも見出されていないのが現状である。
またマウスおよびヒトにおいて、IL−10存在下での同種異系の(allogeneic)抗原刺激や同種異系の未成熟樹状細胞(allogeneic immature DC)による繰り返し刺激によって誘導される調節性T細胞についても報告されている(Groux,H.et al.,1997.Nature.389:737−742;Jonuliet,H.et al.,2000.J.Exp.Med.192:1213−1222.)。これらの細胞は、Th1、Th2細胞とは異なり大量のIL−10を産生するものの、TGF−β1、IFN−γ、IL−5の産生は高くなく、低レベルのIL−2を産生し、IL−4を産生しないことを特徴としており、Tr1細胞と呼ばれている。Tr1細胞もCD4陽性CD25陽性調節性T細胞と同様にanergicであるが、T細胞抑制機構は産生されるIL−10やTGF−β1によって一部説明可能である。しかしながら、Tr1細胞とCD4陽性CD25陽性調節性T細胞が全く異なるT細胞サブセットであるのか、或いは分化活性化段階の異なる同一の細胞であるかについては不明な点が多い。
マウスおよびラットで知られている調節性T細胞マーカーであるCD4、CD25の発現を指標として、ヒトにおいても末梢血などからCD4陽性、CD25陽性のT細胞を分離して見たところ、マウスやラットで知られているその他の細胞表面マーカーや機能と照らし合わせて同様であることが確認された。このことから、ヒトにおけるCD4陽性、CD25陽性の調節性T細胞の存在が示唆された。
これら細胞は、末梢血CD4陽性T細胞の5〜10%を占めるに過ぎない希少細胞集団である上に、活性化・増殖刺激に対して不応答状態である。この場合、抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激にIL−2、IL−4またはIL−15などのサイトカインを加えることで細胞増殖を促すことは可能である。しかしながら、細胞数を増幅させヒトに移入するなどの臨床応用には十分なレベルではない。
調節性T細胞は、動物実験ではそれら細胞を移入することによって自己免疫疾患に抑制的に働くこと、移植拒絶反応や移植片対宿主病(GvHD)に抑制的に働くこと(Hara,M.et al.,2001.J.Immunol.166:3789−3796;Taylor,P.A.et al.,2001.J.Exp.Med.193:1311−1317.)から、調節性T細胞の免疫抑制作用を利用した細胞医療による自己免疫疾患、臓器移植などにおける治療への応用が考えられる。調節性T細胞の増殖を促進する医薬組成物、または患者もしくは別のヒトから採取した末梢血、骨髄細胞を生体外で処理することにより、調節性T細胞を増殖させ、患者の体内に戻す療法の開発が期待されている。
2.4C8抗原
4C8抗原は元々ヒトT細胞が血管内皮細胞に接着した後の内皮下への遊走に関与する分子を同定する目的で発見された、免疫系細胞の一部に発現する膜タンパク質である。ヒトT細胞をマウスに免疫することによって得られたモノクローナル抗体を、T細胞のin vitro血管外遊走を抑制することを指標にスクリーニングすることにより、4C8抗原を認識するモノクローナル抗体が取得された(Masuyama,J.et al.,1999.J.Exp.Med.189:979−989;WO99/12972号公報)。T細胞が炎症局所などの末梢組織に移行するためには、血管内皮細胞にインテグリン分子を介して強固に接着した後に細胞運動に適した形態に変化し、血管内皮細胞間間隙をすり抜けて遊走する過程が必要である。血管内皮細胞に接着したT細胞全てが内皮下へ遊走するのではなく、CD4陽性CD45RO陽性CD26強陽性の活性化メモリーT細胞が選択的に遊走することが知られている。即ち抗4C8モノクローナル抗体(mAb)はT細胞の血管内皮細胞への接着は抑制せずに、T細胞サブセット選択的な内皮下への遊走を特異的に抑制するmAbであり、4C8抗原はこのような遊走に必須の機能分子であると考えられる。4C8mAbにより4C8抗原の発現を検証したところ、4C8抗原はCD3陽性T細胞に強く発現し、B細胞、NK細胞、単球、好酸球にも発現するが、好中球や内皮細胞には発現しない。4C8mAbによる架橋はT細胞のアクチン重合を促進し細胞形態に極性をもたせるのみならず、細胞運動を刺激する。
3.CD52(campath−1抗原)
Campath−1はヒトの骨髄移植片からリンパ球を除去できるラット抗体としてWaldmannらによって発見された(Hale,G.et al.(1983)Blood,62,873)。Campath−1の抗原(CD52)は長く不明であったが、1991年にXiaらによって新規分子として同定された(Xia,M.Q.et al.,(1991)European J.Immunol.,21,1677)。また、Kirchhoffらによって雄性生殖管上皮特異的分子として同定されたHE5もCD52と同一の分子であったことが1993年に報告されている(Kirchhoff,C.et al.,(1993)Molecular Reproduction and Development,34,8)。
Campath−1はリンパ球上に高発現しているCD52に結合し、補体による細胞障害あるいは抗体依存的細胞性細胞傷害(ADCC)を引き起こすことによってリンパ球を除去する作用を持つ。非常に効率の良いリンパ球除去抗体として、GvHD軽減を目的とした骨髄移植片からのリンパ球除去や、リンパ腫治療への応用が熱心に研究され、ラット抗体Campath−1Gをヒト化したCampath−1HであるCampath(登録商標)(Alemtuzumab)がB細胞リンパ腫の治療薬としてMillennium社より上市されている(Pangolis GA et al,(2001)Medical Oncology,18,99)。
しかしながら、その抗原であるCD52の機能についてはあまり明らかになっていない。T細胞において、CD52を抗体によって架橋すると、抗原受容体を刺激した場合と類似したタンパク質のリン酸化が見られるという報告(Hederere RA et al.,(2000)International Immunology,12,505)がある他、抗CD3抗体あるいは抗CD2抗体に対する刺激に対してCD52の抗体による架橋が副刺激として作用し、T細胞の増殖を亢進するという報告がある(Valentin H et al.,(1992)Transplantation,54,97、Rowan WC et al.,(1994)International Immunology,7,69)。しかしCD52からどのようなシグナルが入っているのか、またCD52からの副刺激が細胞の機能にどのような影響を与えるのかについては判っていない。
CD52はリンパ球、単球、マクロファージの他に、前述のように雄性生殖管の上皮にも発現している。雄性生殖管上皮に発現するCD52は上皮細胞から放出され、精子の成熟の過程で精子表面の糖衣にとりこまれる。CD52に付加された糖鎖のシアル酸の陰電荷が精子同士の凝集を防ぐ役割を果たしているのではないかと考えられている。またCD52に対する抗体が不妊の原因となっている例も報告されているが、精子の機能におけるCD52の役割などはまだ不明な点が多い(Kirchhoff C et al.,(2001)Cells Tissues Organs,168,93)。
CD52は12アミノ酸からなるペプチドであり、GPIアンカーにより細胞膜に結合している(Xia,M.Q.et al.,(1991)European J.Immunol.,21,1677)。分子自体が非常に小さく、また細胞内ドメインも持たないため、構造から機能を推測することが困難であり、このことがCD52の機能に関する研究が進んでいないことの一因であると考えられる。
本発明者らは、4C8抗体により認識される4C8抗原について鋭意検討を行い、該抗原がCD52分子であることを見出した。従来のCD52についての知見からは、CD52が活性化T細胞の経血管内皮細胞遊走抑制や調節性T細胞誘導に関与することは予測できなかった。本発明者らは、さらに抗CD52抗体について鋭意検討を行い、それまでB細胞リンパ腫患者等からのリンパ球除去抗体活性のみ知られていた抗CD52抗体が驚くべきことに経血管内皮細胞遊走抑制活性や調節性T細胞誘導活性を有していることを新たに見出し、抗CD52抗体の活性化T細胞の経血管内皮細胞遊走抑制活性や調節性T細胞誘導活性を広く免疫療法に利用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである:
1.4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、免疫抑制のための医薬組成物;
2.4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、調節性T細胞の分化誘導および/または増殖促進のための医薬組成物;
3.調節性T細胞が抗原選択的な抑制活性を有するものである、上記2記載の医薬組成物;
4.CD3アゴニストをさらに含む、上記1〜3のいずれかに記載の医薬組成物;
5.CD3アゴニストが抗CD3抗体またはそのフラグメントである、上記4記載の医薬組成物;
6.抗CD3抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、上記5記載の医薬組成物;
7.4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制のための医薬組成物;
8.CD52アゴニストが抗CD52抗体またはそのフラグメントである、上記1〜7のいずれかに記載の医薬組成物;
9.抗CD52抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、上記8記載の医薬組成物;
10.上記ヒト化抗体がラットヒト化抗体Campath−1Hである、上記9記載の医薬組成物;
11.自己免疫疾患、アレルギー疾患または移植免疫応答の予防または治療のための、上記1〜10のいずれかに記載の医薬組成物;
12.免疫細胞の表面に発現するCD52に4C8抗体以外のCD52アゴニストを作用させることにより調節性T細胞の分化誘導および/または増殖を促進する方法;
13.調節性T細胞が抗原選択的な抑制活性を有するものである、上記12記載の調節性T細胞の分化誘導および/または増殖を促進する方法;
14.CD52アゴニストが抗CD52抗体またはそのフラグメントである、上記12記載の方法;
15.抗CD52抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、上記14記載の方法;
16.上記ヒト化抗体がラットヒト化抗体Campath−1Hである、上記15記載の方法;
17.上記免疫細胞の表面に発現するCD3にCD3アゴニストを作用させることをさらに含む、上記12に記載の方法;
18.CD3アゴニストが抗CD3抗体またはそのフラグメントである、上記17記載の方法;
19.抗CD3抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、上記18記載の方法;
20.上記免疫細胞が、末梢血、リンパ節または胸腺に含まれるものである、上記12〜19のいずれかに記載の方法;
21.上記免疫細胞がT細胞である、上記20記載の方法;
22.上記免疫細胞が末梢血単核球である、上記21記載の方法;
23.免疫細胞へのCD3アゴニスト刺激およびCD52アゴニスト刺激が、生体外で行われるものである上記12〜22のいずれかに記載の方法;
24.免疫細胞へのCD3アゴニスト刺激およびCD52アゴニスト刺激が、生体内で行われるものである上記12〜22のいずれかに記載の方法;
25.免疫抑制効果、調節性T細胞の分化誘導および/もしくは増殖促進ならびに/または免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制効果を有する薬剤となる、抗CD52ヒト化抗体またはヒト抗体を作製する方法;
26.免疫抑制効果、調節性T細胞の分化誘導および/もしくは増殖促進ならびに/または免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制効果を有する薬剤を、CD52との相互作用を指標にスクリーニングする方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2003−95765号ならびに日本国特許出願第2003−413786号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図2は、4C8mAbまたはCampath−1HをCD3と共に副刺激した細胞を添加してCD4陽性T細胞の抗CD3抗体刺激による増殖をチミジンの取り込みにより測定したところ、4C8mAb副刺激細胞およびCampath−1H副刺激細胞ともに添加した細胞数に依存的に、CD4陽性T細胞の抗CD3抗体刺激による増殖を抑制することを示す図である。
図3は、4C8mAbまたはCampath−1H添加によるCD3陽性T細胞のヒト臍帯静脈血管単層内皮細胞下のコラーゲンゲル内への遊走抑制を調べた結果である。4C8mAbおよびCampath−1Hともに、CD3陽性T細胞の経内皮細胞遊走性を抑制した。
図4は、4C8mAb副刺激細胞の混合リンパ球培養反応の抑制を調べた結果である。4C8mAb副刺激細胞はCD4陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
図5は、Campath−1Hを用いて誘導した調節性T細胞による、アロ抗原刺激CD4陽性T細胞の反応の抑制を調べた結果である。Campath−1H副刺激細胞はCD4陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
図6は、抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞のCD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応に対する抑制を調べた結果である。4C8mAb副刺激細胞はCD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
図7は、Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞の、CD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応に対する抑制を調べた結果である。Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞はCD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
図8は、アロ抗原反応後のCD4陽性T細胞からの調節性T細胞の誘導を調べた結果である。アロ抗原反応に用いた単球由来成成熟樹状細胞の提供者である提供者Bに対する反応において、アロ抗原反応後調節性T細胞はコントロール調節性T細胞よりも強い抑制活性を示したが、第三者である提供者Cに対する反応において、両者の抑制活性は同等であった。
図9は、抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞のin vitro増幅時の細胞数の変化である。培養3日目から8日目までIL−2存在下で培養することにより調節性T細胞の増幅が認められた。
図10は、培養8日目(day8)における調節性T細胞の抑制アッセイの結果である。増幅された調節性T細胞ではその抑制能の減少が認められた。
図11は、再度抗CD52抗体副刺激を施した後(day15)の調節性T細胞の抑制アッセイの結果である。増幅された調節性T細胞の抑制能は、コントロール細胞に比較して同等であった。
図12は、Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞のin vitroにおける増幅を調べた結果である。IL−2存在下での培養によってCampath−1H副刺激細胞は4C8mAb副刺激細胞同様、10倍以上に増幅した。
図13は、Campath−1H副刺激細胞の増幅後の抑制活性を調べた結果である。Campath−1H副刺激細胞は4C8mAb副刺激細胞同様に増幅後も抑制活性を保持していた。
図14は、TM−β1抗体投与翌日に、亜致死量の放射線を照射したSCIDマウスに、ヒトPBMCの1もしくは2X107個を単独で投与、4C8mAb副刺激により誘導した調節性T細胞の1X107もしくは2X107個を単独で投与、またはPBMCと4C8mAb副刺激により誘導した調節性T細胞の各1X107個(合計2X107個)を混じて腹腔内投与したマウスの体重の推移を示す。
図15は、TM−β1抗体投与翌日に、亜致死量の放射線を照射したSCIDマウスに、ヒトPBMCの1X107もしくは2X107個を単独で投与、4C8mAb副刺激により誘導した調節性T細胞の1X107もしくは2X107個を単独で投与、あるいはPBMCと4C8mAb副刺激により誘導した調節性T細胞の各1X107個(合計2X107個)を混じて腹腔内投与したマウスの生存率を示す。
図16は、TM−β1抗体投与翌日に、亜致死量の放射線を照射したSCIDマウスに、ヒトPBMCの1.2X107個を単独、Campath−1H副刺激により誘導した調節性T細胞の1.2X107個を単独、あるいはPBMCとCampath−1H副刺激により誘導した調節性T細胞の各1.2X107個(合計2.4X107個)を混じて腹腔内投与したマウスの体重の推移を調べた結果である。PBMC単独投与群では約1週間後に一過性の体重回復傾向を示したが、その後また継続的に体重が減少した。一方、PBMCと調節性T細胞混合投与群では細胞非投与群と同様な体重変動を示した。なお、調節性T細胞単独投与群は12日目に剖検を行ったため12日目までしか体重を測定していない。
図17は、TM−β1抗体投与翌日に、亜致死量の放射線を照射したSCIDマウスに、ヒトPBMCの1.2X107個を単独、Campath−1H副刺激により誘導した調節性T細胞の1.2X107個を単独、あるいはPBMCとCampath−1H副刺激により誘導した調節性T細胞の各1.2X107個(合計2.4X107個)を混じて腹腔内投与したマウスの生存率を示す。PBMC単独投与群は、21日目に全例が死亡し、細胞非投与群ならびにPBMCと調節性T細胞混合投与群は全例が観察期間中生存した。
図18は、PBMC単独投与群のマウスとPBMCと調節性T細胞混合投与群のマウスの消化管(盲腸)の組織所見を示す。試験期間の中間で実施した消化管の組織所見の観察において、PBMC単独投与群(左図)では、特に盲腸で粘膜下層における単核細胞浸潤と水腫、毛細血管の拡張などが種々の程度で認められたが、PBMCと調節性T細胞混合投与群(右図)や調節性T細胞単独投与群ならびに細胞非投与群ではそれらの変化が認められなかった。
本明細書において、CD52アゴニストとは、免疫細胞表面に発現するCD52抗原に作用することにより、CD52を介した細胞内へシグナルを伝達し得る物質を意味する。CD52アゴニスト刺激により誘導されたシグナルにより、1)当該細胞の調節性T細胞への分化および/もしくは2)調節性T細胞としての特性を保持した状態での増殖、ならびに/または3)当該細胞の経血管内皮細胞遊走の抑制という応答が惹起され得る。CD52アゴニストは、CD52抗原に対する天然または合成のリガンド、すなわちCD52分子を介してシグナルを誘導するあらゆる分子、およびCD52抗原に対する抗体を包含する。かかる抗体は、CD52のいずれの部位を認識するものであっても、CD52を介するシグナルを誘導するものであればよい。本発明において使用される抗体は、益山らの報告(Masuyama,J.et al.,1999.J.Exp.Med.189:979−989;WO99/12972号公報)に従い、ヒトT細胞を免疫した動物より得られたモノクローナル抗体から、T細胞のin vitro血管外遊走を抑制することを指標に選抜することにより得られる、CD52抗原アゴニスト機能を有する抗体などが挙げられる。また、抗体分子の抗原認識部位を保持する抗CD52抗体フラグメントもまた、本発明のCD52アゴニストとして有用である。
また、本発明に有用なCD52アゴニストとして、ラットヒト化抗体Campath−1H(アレツズマブ;Alemtuzumab)が挙げられる。これは、Campath(登録商標)として市販されており入手可能であり、また、その詳細な作製法については特許公報特表平2−503514に記載されている。
抗原として使用されるT細胞にはヒトから採取された末梢血単核球画分を、コラーゲンゲル上で単層に培養されたヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)と共培養した後、該単層を通過して遊走した単核球を用いることにより、効率的に所望の抗体を取得しうる。ハイブリドーマの選抜にあたっては、ハイブリドーマJM−1(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに2001年9月26日付けで受託番号FERM BP−7757で寄託)により産生される抗4C8抗体を競合試薬として用いることにより、被検抗体によるT細胞染色が抑制されること(すなわちハイブリドーマJM−1により産生される抗CD52抗体と同一エピトープを認識すること)を指標にした選抜を組み合わせることにより、取得はさらに容易となる。また、抗4C8抗体と同一エピトープを認識する抗体の選抜工程と、本発明の実施例に記載した調節性T細胞の分化・増殖誘導能を評価する工程を組み合わせることによっても、本発明に使用する抗体を容易に取得することができる。また、例えばハイブリドーマJM−1により産生される抗CD52抗体の可変領域をヒト抗体のフレームワークに移植することにより、本発明に使用する抗体としていわゆるヒト化抗体を取得することも可能である。また、再配列されていないヒト抗体遺伝子を保持し、抗原の感作により当該抗原に特異的なヒト抗体を産生するマウス(例えばTomizuka et al.,2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:722)を使用することにより、本発明に使用する抗体としてヒト抗体を取得することも可能である。
本発明の方法において、CD52を発現する免疫細胞に対して、CD52に加えて、CD3アゴニストを作用させることによって、CD52の調節性T細胞への分化誘導能およびその増殖促進能が発揮され得る。これは、T細胞の分化に関わる主たる刺激伝達経路であるCD3分子を介した信号伝達系を主刺激経路とすれば、CD52を介した経路がいわゆる副刺激経路となる。本明細書において、CD3分子を介した刺激に加えてCD52を介した刺激をもたらすことを、CD52副刺激と称することがある。本明細書においてCD3アゴニストとは、免疫細胞の表面に発現したCD3分子に作用し、CD3を介した細胞内への信号伝達により、当該細胞の分化が促進されるという反応を惹起しうる物質を意味する。CD3アゴニストの例としてアゴニスティックな抗CD3抗体、例えばOKT3(ATCC CRL−8001)、UCHT1(B.D.PharMingen)、HIT3a(B.D.PharMingen)が挙げられる。また、種々のT細胞抗原受容体に対するアゴニスト、特にアゴニスト作用を有する抗体またはそのフラグメントも、T細胞抗原受容体とCD3の複合体形成をもたらし、CD3を介した細胞内への信号伝達をもたらすので、本発明におけるCD3アゴニストとして使用することができる。具体的には、ヒトT細胞抗原受容体Vbeta6.7に対する抗体であるOT145(Posnett et al.,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,83(20):7888−92)などが挙げられる。また、可溶性のHLA分子あるいはHLA分子と抗原ペプチドのテトラマー分子のような、T細胞抗原受容体が認識してアゴニスト作用を及ぼす物質も使用し得る。
T細胞やマクロファージなどの炎症細胞が血管内皮を通過して血管外の炎症部位へ遊走することは炎症反応の重要なステップである。このステップに関わることが知られているケモカインや接着因子などの分子の作用を低分子アンタゴニストや抗体などを用いて阻害することにより、アレルギーや各種免疫疾患を制御しようという試みは既に多く行われている(Yang,G.X.et al.,(2003)Med.Res.Rev.23:369−392;Aydt,E.et al.,(2002−2003)70:297−301;Erin,E.M.et al.,(2002)Cuur.Drug Targets Inflamm.Allergy 1:201−214;Saeki,T.et al.,(2003)Curr.Pham.Des.9:1201−1208)。今回、新たにCD52がT細胞の経血管内皮細胞遊走に関わることが明らかとなったことにより、CD52に対する抗体もしくはリガンド、または低分子アゴニストもしくはアンタゴニストを投与することでT細胞の血管外への遊走を阻害し、ひいては炎症反応・免疫反応を抑制する可能性が示された。
抗CD52抗体であるCampath−1H(アレツズマブ;Alemtuzumab)については既に免疫を抑制する抗体として関節リウマチ、多発性硬化症、腎移植拒絶などを対象に臨床研究が実施されているが(Isaacs,J.D.et al.2001.Arthritis Rheum.44:1998−2008;Coles,A.J.et al.,(1999)Lancet 354:1691−1695;Calne,R.et al.,(1999)Transplantation 68:1613−1616)、その作用機序は補体による細胞傷害または抗体依存的細胞性細胞傷害によるCD52発現リンパ球の除去である(Hale,G.2001.Cytotherapy.3:137−143)。リンパ球を除去すると、新たなリンパ球が再び分化してくるまでの間、リンパ球減少状態に陥る。関節リウマチを対象としたCampath−1Hの臨床試験において、Campath−1Hによって引き起こされる低リンパ球状態は非常に長期にわたることが明らかとなっており、Campath−1H投与後に減少した各種リンパ球が正常な細胞数に回復するまでに要する時間は、NK細胞や単球で1ヶ月、B細胞で3−6ヶ月であり、T細胞においては3年後にも正常より低い細胞数であった(Isaacs,J.D.et al.2001.Arthritis Rheum.44:1998−2008)。すなわち、Campath−1Hによる治療を停止したあとも、感染などのリスクが高い状態が継続するという副作用が生じる。これに対し、今回新たに得られた知見により、細胞除去作用を持たない抗CD52抗体にも免疫抑制作用が期待されることが明らかとなった。経血管内皮細胞遊走抑制を作用機序とする、リンパ球除去効果を持たないような抗CD52抗体を投与すれば、Campath−1Hの場合と異なり長期にわたるリンパ球減少状態を引き起こすことなく免疫抑制効果を得ることが可能であると考えられる。
リンパ球除去効果を持たない抗CD52抗体の選別は、例えば次のような方法で可能である。まず、抗体による細胞除去の主要な作用機序である補体による細胞傷害および抗体依存的細胞性細胞傷害活性はいずれも抗体のサブクラスに大きく依存することが知られている。例えば、ヒト抗体ではIgG4、マウス抗体ではIgG1が補体による細胞傷害および抗体依存的細胞性細胞傷害活性の低いサブクラスである(Maloney,D.G.(1998)“Unconjugated monoclonal antibody therapy of lymphoma.”In:Grossbard ML,ed.Monoclonal antibody−based therapy of cancer.New York:Dekker:53−79.)。そのような細胞除去活性を有さないサブクラスの抗体を選択、あるいはそのようなサブクラスのFc部分を遺伝子組換え技術により導入・置換した上で、in vitroで抗体の細胞傷害活性スクリーニングを実施する。補体による細胞傷害活性のスクリーニングは次のような方法で可能である。CD52を発現しているターゲット細胞を51Crと共に37℃で1時間インキュベートし、ターゲット細胞を51Crで標識する。この細胞を洗浄後、96wellプレートに播種し、抗CD52抗体とヒト補体とを添加して37℃で2時間インキュベートする。インキュベート後に上清を回収し、トップカウント(Packard)などを用いて上清中に放出された51Crのカウントを測定することによってその抗体の補体による細胞傷害活性を評価可能である。また、抗体依存的細胞性細胞傷害活性は次のような方法でスクリーニングできる。CD52を発現しているターゲット細胞を51Crと共に37℃で1時間インキュベートし、ターゲット細胞を51Crで標識する。この細胞を洗浄後、96wellプレートに播種し、抗CD52抗体とヒト末梢血単核球とを添加して37℃で4時間インキュベートする。インキュベート後に上清を回収し、トップカウントなどを用いて上清中に放出された51Crのカウントを測定することによってその抗体の抗体依存的細胞性細胞傷害活性を評価可能である。上述の方法で選別された抗体がリンパ球除去活性を持たないことは、最終的にはヒトに投与した際のリンパ球数をモニターすることで確認できる。
上述のとおり、経血管内皮細胞遊走は、CD52アゴニストをCD52に作用させることにより抑制されるので、免疫応答が抑制され得る。また、CD3とCD52とを共に刺激することによって調節性T細胞の分化誘導が促進され、かつ/または調節性T細胞の増殖が促進されることから、このCD3とCD52との同時刺激もまた、免疫応答の抑制をもたらす。したがって、本発明により提供される、CD52アゴニストを有効成分として含有する医薬組成物、およびCD52アゴニストとCD3アゴニストとを有効成分として含有する医薬組成物は、免疫抑制剤として有用であり得る。該医薬組成物は、さらに特定の免疫系の作用機序を標的とする薬剤として、調節性T細胞の分化誘導および/または増殖促進剤として有用であり得る。
また、本発明によって提供される、医薬組成物は、生体内に投与されるものであってもよいし、患者または別のヒトから採取した免疫細胞、特にT細胞、あるいは免疫細胞を含む末梢血、リンパ液、リンパ節細胞、胸腺細胞を生体外で処理するためのものであっても良い。本発明の医薬組成物は、周知の方法で製剤化されうる。すなわち治療効果上許容される種々の添加物、例えば担体、pH緩衝剤、安定化剤、賦形剤等を添加した医薬製剤が製造される。このような製剤は、好ましくは、生理学的に許容され得る希釈剤またはキャリアを含んでおり、適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、および緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、CD52アゴニストは凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要なときに上記の緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。上記製剤の投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、または、注射剤、点滴剤、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。
上記医薬組成物の投与方法、投与量は、前臨床試験、臨床試験の過程において適宜決定されうる。例えば、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、成人に対して、1日約0.01mg〜1000mgであり、これらを1回、または数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg〜1000mgを皮下注射、筋肉注射または静脈注射によって投与することができる。
治療の対象となる疾患は、免疫抑制効果をもたらす処置が必要とされる疾患であり、具体的には移植片対宿主病(GvHD)あるいは移植片拒絶の治療または予防を目的とした臓器又は細胞移植前後における処置、リウマチなどの自己免疫疾患、あるいは接触過敏症などのアレルギー性疾患の治療または予防が挙げられる。
本発明において、患者または別のヒトから採取した免疫細胞、あるいは免疫細胞を含む末梢血、リンパ液、リンパ節細胞、胸腺細胞を生体外で処理することにより、調節性T細胞を増殖させ、患者の体内に戻す療法を採用することができる。末梢血または骨髄細胞を生体より採取し、患者の体内に戻す幹細胞移植療法はすでに実施されている。また、免疫細胞の1種である樹状細胞(dendritic cell)に人為的処理を施し、患者の体内に戻す癌治療も行われている(M.Jefford,et al.,The Lancet Oncology,2:343−353,June,2001)。採取された免疫細胞にCD52アゴニストおよびCD3アゴニストを作用させることにより、調節性T細胞の分化誘導および/または増殖を促進することができ、該調節性T細胞を増殖させた後に患者の体内に戻すことにより治療または予防効果を奏することができる。このようないわゆるエクスビボ(ex vivo)の方法は、基礎研究の場において開発された実験系をほぼそのまま治療の場において再現するものであるとも言える。薬剤の生体内への投与が、体内吸収、代謝、または未知の因子による干渉作用などの影響により、期待した治療効果を奏しえない場合がありうることと比較すると、より実用化へのリスクの低い方法であるといえる。
さらに、本発明は、調節性T細胞の分化誘導および/もしくは増殖促進ならびに/または免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制効果を有する薬剤の開発のために、CD52を発現している細胞と候補化合物を接触させて、その相互作用またはCD52刺激応答を検出することにより、CD52との相互作用を指標にしてCD52アゴニストとなる化合物をスクリーニングすることも包含する。
実施例1:4C8抗原の同定
ヒトT細胞が血管内皮細胞に接着した後の内皮下への遊走に関与する分子を同定する目的で最初に発見された免疫系細胞の一部に発現する膜タンパク質である4C8抗原に対するモノクローナル抗体4C8抗体が、T細胞のin vitro血管外遊走を抑制することを、すでに本発明者らは明らかにしている(Masuyama,J.et al.,1999.J.Exp.Med.189:979−989;WO99/12972号公報)。
まず、この4C8抗原の正体の同定を試みた。4C8抗原は、4C8mAb陽性細胞画分であるCD3陽性細胞を遺伝子源としてcDNAライブラリーを作製し、ライブラリーを一過性に発現させたCOS−1細胞を4C8mAbとMACS(Miltenyi Biotec)を用いて濃縮することにより、単離・同定した。
ヘパリン添加ヒト末梢血からFicoll−Hypaqueによる密度勾配遠心法により末梢血単核球を分離し、CD3陽性T細胞を抗CD3抗体(Miltenyi Biotec)とMACSを用いて調製した。108個のCD3陽性T細胞からRNeasy Mini Kit(QIAGEN Inc)を用い、90μgの総RNAを得た。poly(A)+RNAはOligotexTM−dT30<Super>mRNA Purification Kit(TAKARA BIO Inc.)を用いて精製し、90μgの総RNAから1.7μgのpoly(A)+RNAを得た。このpoly(A)+RNAからSuperscriptTMChoice System for cDNA Synthesis(Invitorogen Co.)を用いて合成したcDNAはアガロースゲル電気泳動によりサイズ分画を行い、1Kbから10KbのcDNAを真核細胞発現ベクターpEF18S(Ohashi,H.et al.,1994.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:158−162)にクローン化した。その結果、7×106個の独立クローンからなるCD3陽性T細胞由来cDNAライブラリーを得た。
上記ライブラリーのLB(Luria−Bertani)培養液500mlから、Endofree Plasmid Maxi Kit(QIAGEN Inc.)を用いて270μgのプラスミドを得た。このうち100μgを2×107のCOS−1細胞にTransIT−LT1(TAKARA BIO Inc.)を用いて一過性に導入した。ライブラリーを一過性に発現させたCOS−1細胞から4C8mAb陽性細胞を当該抗体とMACSとを用いて精製した。4C8mAb陽性COS−1細胞からHirt法(Hirt B.,1967.J.Mol.Biol.,26:365−369)によりプラスミドを回収し、大腸菌(ElectroMAX DH10B,Invitrogen Co.)に導入して増幅した後プラスミドを上記と同様に調製した。上記COS−1細胞導入からプラスミド回収までの工程を更に3回繰り返した。
こうして得られた濃縮ライブラリーより無作為に384個の独立プラスミドクローンを単離し、上記と同様にCOS−1細胞に一過性に導入した後、FACSCalibur(Becton−Dickinson)を用いて4C8陽性クローンを判別した。その結果、3個のクローンが4C8陽性となることが判明した(図1)。
陽性クローンの塩基配列をABI PRISM 3700 DNA Analyzer(Applied Biosystems)を用いて決定し、BLASTによりヌクレオチドデータベースの検索を行ったところ、3つの陽性クローンはいずれもCD52(Xia,M.Q.et al.,1991.Eur.J.Immunol.21:1677−1684)をコードすることが判明した。当該cDNAをCOS−1細胞で発現させたものは、抗CD52抗体であることが知られているCampath−1Hによっても染色された。また、CD52と同じGPIアンカータンパク質であるCD48、CD58、CD59のcDNAをCOS−1細胞で発現させ、4C8mAbによる染色性をFACSCaliburで解析したところ陰性となり、4C8mAbがGPIアンカータンパク質に共通の構造を認識していないことが確認された(図示せず)。これらのことから、4C8はCD52であると断定された。
実施例2:Campath−1H副刺激による調節性T細胞の誘導
CD52を抗原とするモノクローナル抗体Campath−1H(C1H)を副刺激として用いたときに、4C8mAbを用いたときと同様にCD4陽性T細胞から調節性T細胞が誘導されるかどうかを検討した。
健常人ボランティア末梢血からFicoll−Paque Plus(Amersham Pharmacia)による密度勾配遠心法により末梢血単核球を分離した。CD4陽性T細胞は、末梢血単核球よりMACS CD4+T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec)を用いて試薬製造者の操作手順書に従ってネガティブセレクションによって調製した。
プレートへの抗体の固相化は次のように行った。PBSを用いて100ng/mlに調製した抗CD3抗体(ORTHOCLONE OKT3,Ortho Biotech)を48wellプレート(Costar)に分注して4℃で24時間インキュベージョンを行って固相化した後、PBSを用いて10μg/mlに調製した4C8mAbあるいはCampath−1H(CAMPATH,Berlex)を同様に固相化した。
前述の方法により調製したCD4陽性T細胞はRPMI1640(GIBCO)に10%FCSと15mMのHEPESバッファーを添加した培地に懸濁し、上記の方法で抗体を固相化したプレートに8×105cells/wellとなるように播種し、CO2インキュベータ中で37℃/5%CO2で3日間培養した。培養後に細胞を回収し洗浄した後、培地に再懸濁して24wellプレート(Costar)に1×106cells/wellとなるように播種し、更に4日間無刺激下で培養して休止状態にしたものを4C8mAb副刺激細胞あるいはCampath−1H副刺激細胞として抑制アッセイに供した。
抑制アッセイは次のように行った。96wellU底プレート(ICN)にCD4陽性T細胞1×105cells/wellをX線照射(5000rad)した末梢血単核球4×105cells/wellと共に播種し、抗CD3抗体を最終濃度25ng/mlで添加して3日間培養した。このとき、調節性T細胞を加えなかった対照群と調節性T細胞としてX線照射(5000rad)した4C8mAb副刺激細胞またはCampath−1H副刺激細胞を0.5〜2×105cells/wellで添加した群とで[3H]チミジン取り込みを比較して抑制活性を評価した。[3H]チミジン取り込みは、培養3日目に0.2μCi/wellの[3H]チミジンを添加して8時間後に細胞を回収し、細胞に取り込まれた[3H]チミジンのカウントをベータプレート(PerkinElmer)で測定することにより評価した。1回のアッセイに用いた細胞は全て同一提供者由来である。
図2に示したように、Campath−1H副刺激細胞は4C8mAb副刺激細胞と同様にCD4陽性T細胞の抗CD3抗体刺激による増殖を添加細胞数依存的に抑制した。
実施例3:Campath−1HによるCD3陽性T細胞の経血管内皮細胞遊走の抑制
4C8mAbで報告されているCD3陽性T細胞の経内皮細胞遊走に対する抑制活性(Masuyama,J.et al.,1999,Journal of Experimental Medicine,189(6),979−989)が他の抗CD52抗体でも見られるかどうかをCampath−1Hを用いて検討した。方法は上記論文で報告した方法に基づいて以下のように行った。
CD3陽性T細胞は末梢血単核球からナイロンウールカラムを用いてCD3陽性T細胞画分を濃縮した後、抗CD16磁気抗体(Advanced Magnetics,Inc.)を用いたネガティブセレクションにより調製した。
50μl/wellのコラーゲンゲルを敷いた96well平底プレート(Becton Dickinson)にヒト臍帯静脈血管内皮細胞をコンフルエントになるまで培養したものをアッセイに供した。CD3陽性T細胞はM199(GIBCO)に0.5%BSAを添加した培地中に0.3〜3μg/mlの4C8mAbまたはCampath−1Hを加え、20分間氷上に静置して前処置を行った。このCD3陽性T細胞(3×105/well)を抗体処置後、洗浄せずに前述のヒト臍帯静脈血管内皮細胞を敷いたプレートに播種した。このプレートを50×gで1分間遠心した後、37℃で3時間インキュベーションを行い、未接着CD3陽性T細胞と血管内皮細胞をEDTAで処理して洗浄除去後、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞層下のコラーゲンゲル内へ遊走しているT細胞数を位相差顕微鏡下で計数し、単位面積あたりの遊走細胞数を抗体処置群と未処置群で比較した。実験はすべてトリプリケートで行った。
図3に示したように、Campath−1Hは4C8mAb同様にCD3陽性T細胞の経内皮細胞遊走を抑制した。したがって、抗CD52抗体であるCampath−1Hは4C8mAbともに、経内皮細胞遊走抑制を誘導することが判明した。
実施例4−1:抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞のCD4陽性T細胞 混合リンパ球培養反応に対する抑制
抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞がアロ抗原刺激によるCD4陽性T細胞の反応を抑制するかどうかを検討するため、CD4陽性T細胞混合リンパ球培養反応アッセイを行った。抗CD52抗体としては4C8mAbを使用した。
調節性T細胞は実施例2に示した方法で誘導した。刺激細胞として用いた単球由来成熟樹状細胞は次のように誘導した。末梢血単核球よりMACSマイクロビーズCD14(Miltenyi Biotec)を用いて試薬製造者の操作手順書に従ってポジティブセレクションによってCD14陽性細胞を調製した。CD14陽性細胞をRPMI1640に10%FCS、2−メルカプトエタノール(GIBCO)、100ng/mlのIL−4、50ng/mlのGM−CSFを添加した培地に懸濁し、6wellプレート(Falcon)に3×106cells/wellで播種して、5日間培養後、最終濃度10ng/mlのLPSを添加し、更に24時間培養を行って単球由来成熟樹状細胞を誘導した。細胞の一部はフローサイトメータ(FACScan,Becton Dickinson)解析に供し、成熟樹状細胞マーカーの発現を確認した。
混合リンパ球培養反応は提供者Aから調製したCD4陽性T細胞(1×105cells/well)と異なる提供者Bから調製した単球由来成熟樹状細胞(1×104cells/well)を96wellU底プレートに播種し、4日間培養した。このとき、調節性T細胞を加えなかった対照群と調節性T細胞としてX線照射(5000rad)した4C8mAb副刺激細胞を1〜2×105cells/wellで添加した群とで[3H]チミジン取り込みを比較し抑制活性を評価した。[3H]チミジン取り込み測定は実施例1と同様に行った。但し、[3H]チミジン添加から細胞回収までの培養時間は16時間とした。
図4に示したように、4C8mAb副刺激細胞はCD4陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
実施例4−2:Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞のCD4陽性T細 胞混合リンパ球培養反応に対する抑制
抗CD52抗体としてCampath−1Hを用いて誘導した調節性T細胞によってもアロ抗原刺激によるCD4陽性T細胞の反応が抑制されるかどうかを検討した。実験は上記実施例4−1と同様の方法で実施した。ただし、反応期間は3日間とした。
図5に示したように、Camapth−1H副刺激細胞はCD4陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
したがって、Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞は、4C8mAb副刺激により誘導される調節性T細胞と同様に、アロ抗原刺激によるCD4陽性T細胞の反応を抑制することが示された。
実施例5−1:抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞のCD8陽性T 細胞混合リンパ球培養反応に対する抑制
抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞がアロ抗原刺激によるCD8陽性T細胞の反応に対しても抑制を示すかどうかを検討するため、CD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応アッセイを行った。抗CD52抗体としては4C8mAbを使用した。
CD8陽性T細胞は、末梢血単核球よりMACS CD8+T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec)を用いて試薬製造者の操作手順書に従いネガティブセレクションによって調製した。調節性T細胞は実施例2に示した方法で誘導した。刺激細胞として用いた単球由来成熟樹状細胞は実施例4−1と同様に誘導した。
混合リンパ球培養反応は提供者Aから調製したCD8陽性T細胞(1x105cells/well)と異なる提供者Bから調製した単球由来成熟樹状細胞(1x104cells/well)を96wellU底プレートに播種し、3日間培養した。このとき、調節性T細胞を加えなかった対照群と調節性T細胞としてX線照射(5000rad)した4C8mAb副刺激細胞を1−2x105cells/wellで添加した群とで[3H]チミジン取り込みを比較し抑制活性を評価した。[3H]チミジン取り込み測定は上記実施例4−2と同様に行った。
図6に示したように、4C8mAb副刺激細胞はCD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
実施例5−2:Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞のCD8陽性T細 胞混合リンパ球培養反応に対する抑制
抗CD52抗体としてCampath−1Hを用いて誘導した調節性T細胞によってもアロ抗原刺激によるCD8陽性T細胞の反応に対しても抑制を示すかどうかを検討するため、CD8陽性T細胞混合リンパ球培養反応アッセイを行った。実験は実施例5−1と同様の方法で実施した。
図7に示したように、Campath−1H副刺激細胞は混合リンパ球培養反応を添加細胞数依存的に抑制した。
したがって、Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞は、4C8mAb副刺激により誘導される調節性T細胞と同様に、アロ抗原刺激によるCD8陽性T細胞の反応を抑制することが示された。
実施例6:アロ抗原反応後のCD4陽性T細胞からの調節性T細胞の誘導
アロ抗原反応後のCD4陽性T細胞に抗CD52抗体副刺激を加えることによって、抗原選択的な抑制活性をもった調節性T細胞を誘導することが可能であるかどうかを検討した。
刺激細胞として用いた単球由来成熟樹状細胞は次のように誘導した。実施例4−1に示した方法で調製したCD14陽性細胞を、X−VIVO−15培地(Cambrex)に1%熱非働化済自己血漿、100ng/ml IL−4、50ng/ml GM−CSFを添加した培地に懸濁し、6wellプレートに3×106cells/wellで7日間培養後、細胞を回収・洗浄し、前述の培地に10ng/ml IL−1β(R&D systems)、3μg/ml IL−6(キリン社内施設にて生産)、10ng/ml TNFα(PeproTech)、1μg/mlプロスタグランジンE2(Sigma)を添加した培地に懸濁して1×106cells/wellで6wellプレートに播種し、更に2日間培養して単球由来成熟樹状細胞を誘導した。CD4陽性CD45RA陽性T細胞は上記実施例2に記載の方法で単離したCD4陽性T細胞から、MACS CD45RA MicroBeads(Miltenyi Biotec)を用いて、試薬製造者の操作手順書に従いポジティブセレクションによって調製した。
アロ抗原反応およびその後の調節性T細胞誘導は次のように行った。提供者Aから調製したCD4陽性CD45RA陽性T細胞(1×106cells/well)と異なる提供者Bから調製した単球由来成熟樹状細胞(1×105cells/well)を、ピルビン酸(Gibco)およびMEM非必須アミノ酸溶液(Gibco)を添加したX−VIVO−15培地に懸濁して24wellプレートに播種した。6日間培養後、細胞を回収し、1×106cells/wellになるように再調製し、更に4日間培養した細胞をアロ抗原反応後T細胞として、この細胞集団から調節性T細胞の誘導を行った。調節性T細胞の誘導は実施例2に示した方法で行った。ただし、CD4陽性T細胞の代わりにアロ反応後T細胞を用いた。対照群として、提供者Aから調製したCD4陽性T細胞から調節性T細胞を誘導した。以下、アロ反応後T細胞から誘導した調節性T細胞をアロ抗原反応後調節性T細胞、CD4陽性T細胞から誘導した調節性T細胞をコントロール調節性T細胞と記す。
各調節性T細胞の抑制活性の評価は実施例4に記載の混合リンパ球培養反応によって行った。ただし、刺激細胞として、アロ抗原反応後T細胞の作製の際に用いた提供者Bから調製した単球由来成熟樹状細胞、あるいは第三者である提供者Cから調製した単球由来成熟樹状細胞を用いた。反応の際の培地としてはX−VIVO−15培地にピルビン酸と非必須アミノ酸溶液を添加したものを用い、培養期間は3日間とした。
図8に示したように、提供者Bに対する反応において、アロ抗原反応後調節T細胞はコントロール調節性T細胞よりも強い抑制活性を示した。しかしながら、第三者である提供者Cに対する反応において、両者の抑制活性は同等であった。以上のことから、アロ抗原反応後T細胞から抗CD52抗体を用いて調節性T細胞を誘導することで、アロ抗原選択的な抑制活性を示す調節性T細胞が得られることが判った。
実施例7−1:抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞のin vitroに おける増幅
抗CD52抗体副刺激により誘導される調節性T細胞をIL−2存在下で培養することにより増幅が可能であるかどうかを検討した。
抗CD3抗体および4C8 mAbを実施例2に記載の方法で固相化したプレートに、CD4陽性T細胞を8×105cells/wellとなるように播種して3日間培養した。培養後に細胞を回収・洗浄した後、100U/ml IL−2(Chiron)含有培地に再懸濁して24wellプレートに1×106cells/wellとなるように播種した。2日間の培養の後、細胞を回収し、100U/ml IL−2含有培地で1×106cells/wellになるよう再調製して、更に3日間培養した。計8日間の培養後の細胞を回収し、一部を用いて1回目の抑制アッセイ(day8)を実施例2に記載の方法で実施した。更に、8日間培養後の細胞の一部は、洗浄したのち、抗CD3抗体および4C8mAbを固相化したプレートでの3日間の培養と無刺激下での4日間の培養を実施例2に示した方法で行い、得られた細胞を用いて2回目の抑制アッセイ(day15)を実施した。対照群として、培養3日目から8日目までの期間をIL−2不含培地で培養する点以外は全く同じ処理を行った細胞を、それぞれの抑制アッセイで用いた。
図9に示したように、IL−2存在下で5日間培養することによって、細胞数は10倍以上に増加したが、図10に示したように、IL−2存在下での培養直後に実施した1回目の抑制アッセイ(day8)では、対照群に較べて抑制活性が大きく減弱していた。しかしながら、図11に示したように、この細胞に再度抗CD52抗体副刺激を施した後の2回目の抑制アッセイ(day15)では、抑制活性の回復が見られた。15日間の全培養期間で細胞数は30倍に増加した。
実施例7−2:Campath−1H副刺激により誘導される調節性T細胞のin vitroに おける増幅
抗CD52抗体としてCampath−1Hを用いて誘導した調節性T細胞もIL−2存在下で培養することにより増幅が可能であるかどうかを検討した。
調節性T細胞の誘導および増幅は実施例7−1に記載の方法で実施した。ただし、副刺激としてCampath−1H(30μg/mlまたは100μg/mlにてプレートに固相化)を用いた。また、IL−2存在下での培養期間はこの実施例では4日間、抑制アッセイはday14でのみ実施した。IL−2非添加群は設けず、実施例7同様に副刺激として4C8mAbを用いたものを対照群とした。Campath−1Hは4C8mAbに較べて活性化能が若干弱い傾向があったため、充分な活性化を得るため、この実施例においては固相化の際の条件として30μg/mlあるいは100μg/mlと高い濃度を設定した。
図12に示したように、IL−2存在下での培養によってCampath−1H副刺激細胞は4C8mAb副刺激細胞同様、10倍以上に増幅した。また、図13に示したようにCampath−1H副刺激細胞は4C8mAb副刺激細胞同様に増幅後も抑制活性を保持していた。
したがって、IL−2存在下での増幅後に抗CD52抗体副刺激を繰り返すことによって、抑制活性を保持した調節性T細胞を増幅することが可能であることが示された。
実施例8−1:SCIDマウスへのヒト末梢血移入によるマウス致死作用の調節性T 細胞同時移入による抑制と調節性T細胞の生体内における安全性
SCIDマウス(6週齢、オス、日本クレアから入手)に対し、NK細胞の活性を抑制しヒト細胞を生着しやすくするためにIL−2受容体β鎖を認識するTM−β1抗体(20μg/マウス,Pharmingen)をヒト細胞移入前日に腹腔内投与し、ヒト細胞移入日に亜致死量(2.5Gy)の放射線を照射した後、ヒト細胞の移入を行った。健常人からアフェレーシスによって採取した末梢血をLymphoprep(AXIS−SHIELD)による比重遠心法によって得た単核細胞(PBMC)、または同一ドナーのPBMCから実施例2に記載の方法で分離したCD4陽性T細胞から4C8mAbで増幅・誘導した(実施例7で示した方法による)調節性T細胞を用意し、PBMC 1X107もしくは2X107個を単独で投与、調節性T細胞1X107もしくは2X107個を単独で投与、またはPBMCと調節性T細胞各1X107個(合計2X107個)を混じて腹腔内投与する各群を設けた。その他に、細胞非移入群を設けた。なお、移入したPBMCを抗CD3抗体(Pharmingen)で染色しFACSCalibur flow cytometer(Becton Dickinson)にて測定することにより、PBMCに含まれるCD3陽性T細胞の割合は、42%であることを確認している。何れの群も5匹のマウスを用いた。マウスの体重測定と状態の観察を細胞移入後30日間行った。
TM−β1抗体を投与したSCIDマウスにヒトPBMCを腹腔内投与すると、マウス体内でヒトT細胞が活性化して増殖する結果、マウスが異種移植片対宿主症様を呈し衰弱死亡することを事前に確認している。今回の実験においてもPBMCを単独で1X107もしくは2X107個移入されたマウスは、実験開始時に行った放射線照射による一過性の体重減少から回復することなく(図14)、何れの群においても全例が約2週間で死亡した(図15)。一方、調節性T細胞を単独で1X107もしくは2X107個移入されたマウスでは、死亡例は認められず、細胞非移入群とほぼ同様な体重変動を示しながら(図14)、全例が30日間の観察期間終了まで生存した(図15)。PBMCと調節性T細胞を混じて投与された群では、PBMC単独移入群よりやや遅れて3/5例が死亡したが、残りの2/5例は観察期間終了時まで生存し、PBMC単独投与した何れの群よりも有意な生存延長(Logrank testによる)を示した(図15)。
実施例8−2:SCIDマウスへのヒト末梢血投与によるマウス致死作用の調節性T 細胞同時投与による抑制と調節性T細胞の生体内における安全性
SCIDマウス(8週齢、メス、日本クレアから入手)に対し、NK細胞の活性を抑制してヒト細胞を生着しやすくするために、IL−2β受容体を認識するTM−β1抗体(20μg/マウス,Pharmingen)をヒト細胞投与前日に腹腔内投与し、ヒト細胞投与日に亜致死量(2.5Gy)の放射線を照射した後、ヒト細胞の投与を行った。健常人からアフェレーシスによって採取した末梢血を、Lymphoprep(AXIS−SHIELD)による比重遠心法に供し、得られた単核細胞(PBMC)または同一ドナーのPBMCから実施例2記載の方法で単離したCD4陽性細胞からCampath−1Hで増幅・誘導した(実施例7−2参照)調節性T細胞を用意した。PBMC1.2X107個を単独で投与する群、調節性T細胞1.2X107個を単独で投与する群、PBMCと調節性T細胞とをそれぞれ1.2X107個(合計2.4X107個)を混じて腹腔内投与する群、および細胞を投与しない細胞非投与群を設けた。調節性T細胞単独投与群を除いた各群は、細胞投与後11日目で剖検を行い急性期の症状(組織所見を含む)を観察する群とマウスの体重測定と状態を21日間観察する群とに分け、それぞれの群には5匹のマウスを用いた。なお、得られた細胞数の関係から調節性T細胞単独投与群(2匹)は、細胞投与後12日目における剖検のみを行った。なお、投与したPBMC中に含まれるCD3陽性T細胞の割合は、抗CD3抗体(Pharmingen)で染色しFACSCalibur flow cytometer(Becton Dickinson)を測定することにより、49.4%であることが予め確認されている。
我々は、TM−β1抗体を投与したSCIDマウスにヒトPBMCを腹腔内投与すると、マウス体内でヒトT細胞が活性化して増殖する結果、マウスが異種移植片対宿主症様を呈し衰弱死亡することが事前に確認されている。今回の実験においても、PBMCを単独で投与されたマウスは、実験開始時に行った放射線照射による一過性の体重減少から回復することなく(図16)、何れの群においても全例が21日目までに死亡した(図17)。PBMCと調節性T細胞を混じて投与された群では、単純には合計2倍量のヒト細胞を投与されたにもかかわらず細胞非投与群とほぼ同様な体重の推移を示し(図16)、全例が生存した(図17)。なお、調節性T細胞を単独で投与されたマウスでは、細胞非投与群を上回る体重増加の回復傾向を示し(図16)、マウスに対する急性期の侵襲を示すことは少ないことが示唆された。また、試験期間中の剖検時において、PBMC単独投与群では消化管における単核細胞浸潤、水腫や毛細血管の拡張などがみられたが、PBMCと調節性T細胞混合投与群や調節性T細胞単独投与群ではそのような変化が認められなかった(図18)。
以上の成績から、本in vivoモデル系において調節性T細胞はPBMCと異なり、単独ではマウスに対して全く病原性を示さないこと、および単独投与で起こるPBMCのマウスに対する致死作用が調節性T細胞を同時に投与することにより顕著に抑制されることが明らかになった。またこれらのことから、抗CD52抗体により誘導された調節性T細胞は、生体内においても過度なヒトT細胞の活性化を抑制することから、その投与はT細胞の異常活性化に伴い発症する各種疾患に対し、有効な治療法となることが示唆された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
また、本発明によって示された、抗原選択性を持った調節性T細胞を用いることにより、従来の免疫抑制剤の使用で起こる可能性がある免疫系全般に対する抑制に伴う副作用を回避しつつ、標的抗原特異的な免疫反応のみを抑制することが期待できる。
Claims (26)
- 4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、免疫抑制のための医薬組成物。
- 4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、調節性T細胞の分化誘導および/または増殖促進のための医薬組成物。
- 調節性T細胞が抗原選択的な抑制活性を有するものである、請求項1または2記載の医薬組成物。
- CD3アゴニストをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
- CD3アゴニストが抗CD3抗体またはそのフラグメントである、請求項4記載の医薬組成物。
- 抗CD3抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項5記載の医薬組成物。
- 4C8抗体以外のCD52アゴニストを有効成分として含有する、免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制のための医薬組成物。
- CD52アゴニストが抗CD52抗体またはそのフラグメントである、請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 抗CD52抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項8記載の医薬組成物。
- 上記ヒト化抗体がラットヒト化抗体Campath−1Hである、請求項9記載の医薬組成物。
- 自己免疫疾患、アレルギー疾患または移植免疫応答の予防または治療のための、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 免疫細胞の表面に発現するCD52に4C8抗体以外のCD52アゴニストを作用させることにより調節性T細胞の分化誘導および/または増殖を促進する方法。
- 調節性T細胞が抗原選択的な抑制活性を有するものである、請求項12記載の調節性T細胞の分化誘導および/または増殖を促進する方法。
- CD52アゴニストが抗CD52抗体またはそのフラグメントである、請求項12記載の方法。
- 抗CD52抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項14記載の方法。
- 上記ヒト化抗体がラットヒト化抗体Campath−1Hである、請求項15記載の方法。
- 上記免疫細胞の表面に発現するCD3にCD3アゴニストを作用させることをさらに含む、請求12記載の方法。
- CD3アゴニストが抗CD3抗体またはそのフラグメントである、請求項17記載の方法。
- 抗CD3抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項18記載の方法。
- 上記免疫細胞が、末梢血、リンパ節または胸腺に含まれるものである、請求項12〜19のいずれか1項記載の方法。
- 上記免疫細胞がT細胞である、請求項20記載の方法。
- 上記免疫細胞が末梢血単核球である、請求項21記載の方法。
- 免疫細胞へのCD3アゴニスト刺激およびCD52アゴニスト刺激が、生体外で行われるものである請求項12〜22のいずれか1項記載の方法。
- 免疫細胞へのCD3アゴニスト刺激およびCD52アゴニスト刺激が、生体内で行われるものである請求項12〜22のいずれか1項記載の方法。
- 免疫抑制効果、調節性T細胞の分化誘導および/もしくは増殖促進ならびに/または免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制効果を有する薬剤となる、抗CD52ヒト化抗体またはヒト抗体を作製する方法。
- 免疫抑制効果、調節性T細胞の分化誘導および/もしくは増殖促進ならびに/または免疫細胞の経血管内皮細胞遊走抑制効果を有する薬剤を、CD52との相互作用を指標にスクリーニングする方法。
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