JPWO2004063752A1 - 微粒子表面電荷制御剤を含む組成物、それを利用した微粒子分離方法および微粒子分離装置 - Google Patents

微粒子表面電荷制御剤を含む組成物、それを利用した微粒子分離方法および微粒子分離装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、当該改変された表面電荷量に基づいて、当該試料中の当該目的の微粒子を分離または定量するための組成物であって、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含む、組成物に関する。本発明はまた、試料中の目的の微粒子を分離または定量する方法に関する。この方法は、目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合工程、および前記混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、前記電荷制御剤が結合した前記目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された表面電荷に基づいて分離または定量する工程、を包含する。

Description

本発明は、微粒子の表面電荷を制御するための組成物、それを利用して微粒子を分離する方法、および微粒子分離装置に関する。
細胞、バクテリア、ウイルス、有機あるいは無機ポリマーなどの微粒子を分離するための方法として、イオン交換液体クロマトグラフィーおよび電気泳動を利用する方法が知られている。これらの方法は、測定対象物である上記それぞれの微粒子の表面電荷の差を利用して、固相との電気的相互作用あるいは電気移動度によって分離する。例えば、キャピラリー電気泳動デバイスを利用してTリンパ細胞とBリンパ細胞を分離した報告(日本エム・イー学会雑誌、Vol.15、No.10(2001)、p12−16)があるが、それぞれの細胞は完全には分離されておらず、簡便かつ正確な微粒子分離技術が求められている。
一方、微粒子表面を修飾して、その表面電荷を人為的に変化させる方法が知られている。
例えば、タンパク質を電気泳動法で分析する際に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDSと略記)をタンパク表面に疎水結合的に結合させて分離する方法(SDS電気泳動法)は周知である。
また、細胞の活動度を測定するために、細胞内または細胞破砕液に標識化(例えば、蛍光もしくは放射性物質による標識)した基質を注入するという方法が知られている。標識化した基質を細胞内へ注入すると、細胞内に存在している酵素によりその基質が改変(例えば、燐酸化)されるため、基質の表面電荷が変化する。そのため、基質の細胞内または細胞破砕液への注入の前後において、その基質の電気移動度が変化するため、キャピラリー電気泳動法により、その変化した基質量を測定することにより細胞の活動度を検出することができる(例えば、米国特許出願公開第2002/0142323A1号明細書、および米国特許出願公開第2002/0037542A1号明細書を参照)。
上記の日本エム・イー学会雑誌、Vol.15、No.10(2001)、p2−7に記載される従来技術を利用した場合、測定対象となる微粒子を、それ自身の表面電荷のみに依存して分離するため、夾雑物質との分離が不十分である場合が多く見られる。これは、異なった微粒子のそれぞれの表面を構成する物質の間に著しい差がなく、しかもそれら物質の有する電荷が比較的弱いため、微粒子を電気的に分離しようとしてもそれらの電気移動度に有意な差が生じないためである。
一方、上記SDS電気泳動法は、SDSを蛋白質表面に非特異的に結合するため、原則的に蛋白質の大きさに依存して結合するSDS量が変化する。よって、人為的に結合量を制御することが不可能であるという問題がある。また、SDSはイオン性の界面活性剤であり、蛋白質をはじめとする生体物質を変性させてしまうため、現在では変性した蛋白質に対してのみ利用される方法である。
また、上記細胞活動度測定法では、細胞中の酵素を利用して基質の表面電荷を変化させており、細胞内酵素の量および、種類により表面電荷量が制御されており、人為的に電荷制御できないという欠点があった。また、この方法は、細胞中の酵素及び、その酵素と反応する基質のみを利用するため、細胞表面を修飾することも、細胞表面電荷を変化させることもできない。
本発明は、上記従来技術の課題を解決する手段を提供する。
本発明は、1つの局面において、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、その改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量するための組成物を提供する。この組成物は、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含んでいる。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。好ましくは、前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。さらに好ましくは、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の組成物のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
別のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
別のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
好ましくは、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。
好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子に可逆的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、イオン結合または水素結合によって前記目的の微粒子に特異的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である。好ましくは、上記リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞のいずれかである。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体の免疫機能を検査するために使用される。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体の疲労または被検体が受けているストレスの程度を検査するために使用される。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体がウイルス感染しているか否かを検査するために使用される。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである。好ましくは、前記細菌は、病原性大腸菌、サルモネラ菌、エルシニア菌、腸炎ビブリオ菌、セレウス菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、および黄色ブドウ球菌からなる群から選択される。
本発明の組成物は、好ましくは、食中毒の予防または検査のために使用される。
本発明は、別の局面において、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、当該改変された表面電荷量に基づいて、当該試料中の当該目的の微粒子を分離または定量するための電荷制御剤の製造方法を提供する。
本発明の電荷制御剤の製造方法は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に、溶液中で正または負の電荷を有し得る標識物質を結合させる工程を包含することを特徴とする。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記タンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物は、目的の微粒子表面上に存在する有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記タンパク質は、抗体である。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記核酸は、アプタマーである。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記タンパク質は、目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記標識物質は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。好ましくは、前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である。
本発明の電荷制御剤の製造方法の別の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、タンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に対して、結合させる前記標識物質の割合または量を調節し得る。
本発明はさらに別の局面において、試料中の目的の微粒子を分離または定量する方法を提供する。この方法は、目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合工程、およびそのように混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、上記電荷制御剤が結合した目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された表面電荷に基づいて分離または定量する工程を包含することを特徴とする。
好ましくは、上記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について別個に独立して行われる。
好ましくは、上記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について互いに異なる電荷制御剤を用いて行われる。
本発明の分離または定量方法の好ましい実施形態では、上記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の分離または定量方法のさらに別の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。さらに好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
本発明の分離または定量方法のさらに別の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。さらに好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明はさらに別の局面において、試料中の目的の微粒子を分離または定量する装置を提供する。この装置は、目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合手段、およびこのように混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、前記電荷制御剤が結合した前記目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された当該目的の微粒子の表面電荷に基づいて分離または定量するための分離・定量手段を備えることを特徴とする。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記混合手段に、目的の微粒子を含む試料および電荷制御剤を、それぞれ別々に注入するための複数の注入手段をさらに備える。
本発明の装置の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する。
本発明の装置の好ましい実施形態では、電荷制御剤は、上記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。好ましくは、前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本明細書において、抗体などのタンパク質またはペプチドホルモンなどのペプチドに関して「機能的等価物」とは、元のタンパク質またはペプチドのアミノ酸配列とは1つ以上のアミノ酸の置換、付加、または欠失によって異なるが、元のタンパク質またはペプチドと同じ標的分子(例えば、抗原または細胞表面レセプター)に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得るポリペプチドまたはペプチドのことをいう。さらに、元のタンパク質もしくはペプチドまたは上記の機能的等価物を、リン酸化(Ser、Thr、Tyr)、アセチル化(N末、Lys)、またはC末端アミド化などのペプチド修飾基により修飾したものであっても、元のタンパク質またはペプチドと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る限り、上記「機能的等価物」に含まれるものとする。
本明細書において、アプタマーに関して「機能的等価物」とは、元のアプタマーの塩基配列とは1つ以上の塩基の置換、付加、または欠失によって異なるが、元のアプタマーと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る核酸(RNAまたはDNA)のことをいう。さらに、元のアプタマーまたは上記の機能的に等価な核酸を、修飾(例えば、蛍光色素により5’末端を修飾)したものであっても、元のアプタマーと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る限り、上記「機能的等価物」に含まれるものとする。
本発明において、「目的の微粒子に対して特異的に結合する」とは、他の微粒子に対してよりも、目的の微粒子に対して、より高い結合親和性で結合するような結合のことを意味する。その特異的結合親和性は、Ka(結合定数)=[A−B]/([A]・[B])(但し、AおよびBは2種の分子、A−BはAとBの複合体である)で表した場合、少なくとも約10、10、10、10、10または1010−1であることが好ましい。
本発明により、簡便かつ正確な微粒子分離技術が提供される。本発明は、表面電荷制御剤を使用することによって微粒子表面電荷の効率よい制御を可能にし、微粒子の正確かつ簡便な分離および測定を実現し得る。
本発明により、標的微粒子に対して特異的な電荷付与が可能である。従って、試料中の標的微粒子と他の分子との大きさが同じくらいであっても、電気泳動によって分離することができる。
本発明の電荷制御剤と標的微粒子との結合は可逆的な結合であるとともに、本発明ではSDSなどの界面活性剤を使用しないため分離・検出後の細胞、細菌を無傷で回収することが可能である。
図1は、本発明の原理の概略を示す図である。
図2は、本発明によるヘルパーT細胞とキラーT細胞との分離を示すクロマトグラムである。
図3は、本発明によるバクテリア細胞の分離を示すクロマトグラムである。
図4は、本発明による微粒子分離装置の概略を示す図である。
本発明は、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、その改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量するための組成物に関し、この組成物は、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含んでいる。
本発明の電荷制御剤は、例えば、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、またはカルボン酸基等の水溶液中で電離し得る基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有することが好ましい。本発明において好適な電荷制御剤としては、例えば、細胞表面に存在する抗原に対して特異的に結合する抗体と、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質との複合体、あるいはそれ自体で特異的に他の物質に結合し、かつ溶液中で電荷を有するアプタマーなどが挙げられる。
本発明において測定対象となる目的の微粒子は、一般に、被検対象となる赤血球、白血球、血小板などの血液細胞、バクテリア、ウイルス、真菌などの微生物細胞を包含するがこれらに限定されるわけではなく、本発明は、試料中で微粒子形態にある任意の物質に適用可能である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に本発明の原理の概略を示す。一般に、固体(微粒子)と液体が相対運動をするとき、固体に密着して動く層(固定層)の最外面(滑り面)の電位と、液体内部の電位との差は、ζ電位または界面動電電位(electrokinetic potential)と呼ばれる。言い換えれば、ζ電位は、固体と液体との間に相対運動がおこるときの界面動電現象を支配する。
図1の(a)は、電荷制御剤として標識抗体を用いた場合の例を模式的に示し、そして図1の(b)は、電荷制御剤としてアプタマーを用いた場合の例を模式的に示している。
図1の(a)に示すように、被検対象である血球細胞などの微粒子(図1の(a)および(b)の左に丸で示される。血球細胞、微生物菌体などは一般に負に荷電している)は、溶液中を移動するとき、その微粒子に固有のζ電位であるζ1を生じる。この微粒子に、免疫反応によって特異的に結合する抗体分子1を結合させると(図1の(a)の真ん中に示される)、この抗体・微粒子複合体もまた、溶液中を移動するとき、ζ電位ζ2を生じる。通常、抗体分子1は有意な有効電荷をもっていないので、ζ2はζ1とほぼ等しくなる。ここで、抗体分子1が電荷を有する標識物質2を有している場合(図1(a)に示す例ではマイナス電荷をもっている)、標識抗体・微粒子複合体が溶液中を移動するとき生じるζ電位ζ3は、標識物質2のマイナス電荷に起因してζ1より小さくなる(例えば、ζ1=−10mVのとき、ζ2=−11mV、そしてζ3=−20mVなど)。これによって、電気泳動や電気浸透のような動電現象における微粒子の挙動が増大され得る。被検対象が正に荷電している微粒子である場合であっても、プラス電荷を有する標識物質を用いて微粒子の挙動を改変し得る。
被検対象である微粒子に特異的に結合する抗体は、当該分野で公知の方法によって調製され得るか、または市販の抗体を利用し得る。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体、キメラ抗体であり得る。このような抗体は、微粒子上の有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質のエピトープを特異的に認識し得、そしてそれに結合し得る。本発明において使用する抗体は、Ka(結合定数)=[Ag−Ab]/([Ag]・[Ab])(但し、Agは抗原、Abは抗体、そしてAg−Abは抗原抗体複合体を表す)で表した場合、例えば、被検対象である微粒子に対して少なくとも約10、10、10、10、10または1010−1の特異的結合親和性を示すことが好ましい。
このような抗体は、当該分野で公知の方法によって調製され得る。すなわち、ヤギ、ヒツジ、ウシ、モルモット、ウサギ、ラット、マウスのような宿主を、微粒子またはその一部分を用い、肉趾、筋肉内、皮内、リンパ節周辺または腹腔内に投与し、アフィニティー精製を含む慣用的な方法によって、宿主中で産生された免疫グロブリンを沈殿、単離、および精製して得ることができる。
あるいは、このような抗体は、KoehlerおよびMilstein(Nature 256:495、1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunol.Today 4 72;Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:2026)、およびEBVハイブリドーマ技術(Coleら、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R Liss Inc.、New York、NY、77−96頁、1985)などを含む公知技術を用い、モノクローナル抗体として得ることができる。モノクローナル抗体を得るための具体的な手順は、例えば、Godingら、MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Acad.Press、N.Y.などに記載されている。
上述の抗体の「機能的等価物」には、測定対象粒子に特異的に結合する抗体の結合部位のみを切り出した断片などが含まれる。抗体はH鎖とL鎖からなり、それぞれに3箇所の抗原(本発明の目的の微粒子に相当)結合部位(CDR:complementary determinant region)が存在する。それぞれの結合部位のみで抗原に特異的に結合することができる。この結合形態は、蛋白質(ペプチドを含む)−蛋白質間結合形態(例えば、抗原抗体結合、またはペプチドホルモン−レセプター結合など)と同様であり、水素結合、イオン結合および疎水結合からなる複合的な結合形態である。一般的に、このような結合部位を切り出すには、抗体をコードするDNAあるいは、RNAからそれぞれのCDRに相当するポリヌクレオチド鎖を作製し、それを公知の分子生物学的手法によって発現させることにより、目的のペプチド断片を得ることができる。
抗体またはその機能的等価物は、溶液中で電荷を有する適当な標識物質(蛍光物質であることが好ましい)で標識して、本発明の電荷制御剤として使用され得る。これらの標識物質が結合した抗体は、代表的には、例えば、細胞表面などに存在する有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、核酸などの生体機能性物質に、イオン結合、疎水結合、水素結合、またはそれらの組み合わせによって結合する。
測定対象の微粒子に特異的に結合し得る、抗体以外の他の物質もまた、本発明の電荷制御剤として使用され得る。そのような例としては、目的の微粒子が細胞である場合では、例えば、細胞表面に存在するレセプターに特異的に結合するリガンドが挙げられる。そのようなリガンドとしては、例えば、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンなどが挙げられる。これらの分子は、形質膜上に存在する受容体(細胞表面レセプター)に特異的に結合してその作用を発現するものである。これらの分子は、それ自身が溶液中で電荷を有する場合には、単独で本発明の電荷制御剤として使用し得る。また、他の物質に結合し得る官能基を有し、溶液中で電荷を有する標識物質との複合体の形態でも、本発明の電荷制御剤として使用し得る。
図1の(b)は、電荷制御物質としてマイナス電荷をもつアプタマーを用いた場合を模式的に示す。アプタマーは、リン酸基が水溶液中で電離しているために生理的pHでマイナスの電荷を帯びている。図示されるように、アプタマー分子は直接微粒子に結合し、それによって、微粒子・アプタマー複合体のもつζ電位ζ3が、微粒子単独の場合のζ電位ζ1より小さくなる。このため、上記図1の(a)に示されるのと同様に、電気泳動や電気浸透のような動電現象における微粒子の挙動が増大され得る。被検対象が正に荷電している微粒子である場合であっても、プラス電荷を有するアプタマーを用いて同様に微粒子の挙動を改変し得る。
上記のように、アプタマーはそれ自体が水溶液中で電荷を有しているため、電荷を有する標識物質で標識しなくても、アプタマー単独で本発明の電荷制御剤として使用し得る。さらに、アプタマーに、電荷を有する標識物質を結合させた標識アプタマーとしても、本発明の電荷制御剤として使用し得ることはもちろんである。
なお、本明細書で用いる用語「アプタマー」は、当該分野で用いられる通常の意味で用いられ、細胞内でDNAと結合し、標的とするタンパク質の働きを抑える物質を指し、2本鎖DNAや1本鎖RNAでこの性質をもつ物質が知られている。
アプタマーは、一般に、以下の手順で得られ得る。
まず、ランダムにオリゴDNA(60塩基)を合成する。理論的に10兆種類以上あるオリゴDNAのプールから、次に目的のタンパク質と結合するオリゴDNAをアフィニティー・カラムで分離する。分離したオリゴDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅し、再び、アフィニティー・カラムで分離することを繰り返す。この操作を5回以上繰り返すことによって、目的のタンパク質に親和性の強いアプタマーを選抜し得る。あるいは、必要に応じて、市販のアプタマーを利用し得る。例えば、Molecular Probe社製などからアプタマーが市販されている。一般に、これらのアプタマーは、溶液または粉末の形態で市販されている。
RNAアプタマーあるいは、DNAアプタマーを利用する場合において、試料中あるいはバッファ中のリボヌクレアーゼによりアプタマーが分解され、アプタマーが所有する電荷が変化する場合が多々ある。このため、通常リボヌクレアーゼを阻害する物質(リボヌクレアーゼインヒビター;例えば、RNasin(Promega社製))をあらかじめ添加しておくことが好ましい。
一方、抗体やペプチドなどの蛋白質を利用する場合においても、適宜、蛋白質分解酵素阻害物質を添加することが好ましい。
目的の微粒子に特異的に結合するタンパク質(例えば、抗体、もしくは細胞表面レセプターに対するリガンド)または核酸(例えば、アプタマー)に電荷(プラスまたはマイナス)を付与する標識物質の例としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、またはカルボン酸基等の水溶液中で電離し得る基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有する化合物が好適である。
スルホン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、カスケードブルー(登録商標)、タウリン、2−ヒドロキシ−5−スルホアニリンサリチリデン、1−(2−ヒドロキシ−4−スルホナフチルアゾ)2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、ルシファーイエロー、モンダントブルー31、または5−スルホ−8−キノリノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体が挙げられる。そのうち、とりわけカスケードブルー、1−(2−ヒドロキシ−4−スルホナフチルアゾ)2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、ルシファーイエロー、モンダントブルー31、または5−スルホ−8−キノリノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
リン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アデノシンモノリン酸、ウラシルモノリン酸、チミジルモノリン酸、グアニジルモノリン酸、またはオレゴングリーン488あるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけオレゴングリーン488またはその化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物としては、3級アミノ基または4級アミノ基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有する化合物が好ましい。
3級アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルグリシン、ジメチルフェニレンジアンモニウム、カルセイン、ダンシルクロライド、またはジエチルアミノクマリンカルボン酸ヒドラジドあるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけカルセイン、ダンシルクロライド、またはジエチルアミノクマリンカルボン酸ヒドラジドあるいはそれぞれの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
4級アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物としては、例えば、FM3−25(登録商標)、ベタイン、カルチニン、テトラメチルロダミンカダベリン、またはローダミンXあるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけFM3−25、テトラメチルロダミンカダベリン、またはローダミンXあるいはそれぞれの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
アルコール基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノエタノール、アミノブタノール、アミノプロパノール、またはアミノベンジルアルコールなどがある。
フェノール基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノメチルフェノール、8−キノリノール、またはサリチリデンアミノフェノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけ8−キノリノール、またはサリチリデンアミノフェノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
カルボン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノ酪酸、アミノ安息香酸、またはカルセインなどがある。そのうち、とりわけカルセインは、多価のカルボン酸を有する物質で、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
多くの色素標識が市販されている。以下に示す実施例では、カスケードブルー(登録商標)誘導体、FM(登録商標)3−25を使用している。
目的の微粒子に特異的に結合し得る分子(例えば、抗体、もしくは細胞表面レセプターに対するリガンド、あるいはアプタマー)に結合し、マイナス電荷またはプラス電荷を有する標識物質のその他の例としては、例えば、金コロイド、ラテックスなどが挙げられる。
このような標識物質で上記のタンパク質、ペプチドまたは核酸等を標識する技術は当該分野で公知である。市販されている色素標識を用いる場合、通常、製造業者の指示書に従って色素標識をこれらの分子に結合する。
本発明の電荷制御剤を使用する場合、適宜最適な試料液のpHを選択することに注意すべきである。例えば、カルボン酸基のpKaはおよそ2〜5であり、試料液のpHが2〜5以上の範囲ではプロトンがとれてマイナス電荷を有する。そのため、カルボン酸基を有する電荷制御剤を、マイナス電荷を有する状態で目的の微粒子と反応させる場合には、試料液のpHを4以上に設定しておくことが好ましい。
同様に、フェノール基あるいは、アルコール基を含む電荷制御剤を使用する場合には、フェノール基およびアルコール基のpKaがおよそ9〜11であるため、マイナス電荷を有する状態で使用するには、pHを9〜11以上の範囲に設定することが好ましい。
3級アミン基を含む電荷制御剤を使用する場合には、3級アミン基のpKaが10〜12であるため、プラス電荷を有する状態で使用するには、pH10〜12以下のpHで使用することが好ましい。
一方、スルホン酸基、リン酸基及び4級アミノ基の場合には、pH2〜13の溶液中で電荷を有しているため、広範囲なpHで使用可能である。マイナス電荷を欲する場合にはスルホン酸基あるいは、リン酸基を、プラス電荷を欲する場合には4級アミノ基を有する化合物を使用することが最も望ましい。
本発明の電荷制御剤で表面電荷を改変した測定対象の微粒子を分離および/または定量するための方法は、微粒子の表面電荷に基づいて分離または定量するものであればよい。代表的には、キャピラリー電気泳動法が、最も好適に使用され得る。本発明の目的のためには、市販のキャピラリー電気泳動装置が使用され得るが、本願の図4に概略を示したような、電荷制御剤と試料とを混合する手段を備えたものがより好適である。
その他、本発明の電荷制御剤を用いて試料中の目的の微粒子を分離および/または定量するために使用し得る方法および装置としては、例えば、キャピラリー電気泳動を利用したチップを用いるもの等が挙げられる。
血液細胞が測定対象物の場合、本発明は、以下のような用途に適用され得る。
(疲労およびストレスの診断)
慢性疲労や過重労働、強い精神的なストレスにより体の免疫機能が影響を受け感染症などに罹りやすくなるということが一般的に知られている。そこで免疫系の細胞を調べることにより、労働要因に起因するところの現在受けている健康に対する影響、特に、蓄積されつつある疲労やストレスの度合を測ることが可能である。
免疫機能の検査として、比較的簡便に調べることのできるリンパ球表面抗原の解析が知られている。リンパ球細胞の中でもNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、急性ストレスが与えられると抹消血液中の数が増加しその活性も上昇、また慢性ストレスを受けたときに数は減少しその活性も低下するということが知られている。例えば、うつ病患者に、NK細胞機能の低下が報告されている(河野友信編、「ストレス診断ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。また、試験に伴うストレスによりNK細胞活性の低下とインターフェロン産生低下が報告されている(河野友信編、「ストレス診断ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。
NK細胞は、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用など人体において生体防御機構の中心的役割を担っている。ナチュラルキラー活性は前もって感染源にさらされなくても存在し、先天性の防御機構に特徴的なあらゆる性質を示す。よって、NK細胞の役割は免疫機構における一次防衛ラインであり、このようなナチュラルキラー活性あるいは、NK細胞数の変化を検出することにより、被験者の免疫機能の変化を検出し得る(例えば、D.M.ワイア著、「免疫学概説」、共立出版株式会社、1999年4月、P36−37;河野友信編、「ストレス診療ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。
NK細胞表面に表現されるCD抗原は、CD16、CD56、CD57等あるが、なかでもCD56はその90%以上がNK細胞に見られるということから、単独でもNK細胞のマーカーとして有用である。本発明の電荷制御剤を利用して被験者のNK細胞数を測定するには、例えば、このCD56に特異的に結合する抗体などの物質に電荷を有する標識物質で標識するという改変をし(すなわち、本発明の電荷制御剤を作製し)、この改変抗体と被験者からの血液とを混合して、その血液中のNK細胞にその改変抗体を結合させる。次いで、その改変抗体の結合したNK細胞を、キャピラリー電気泳動によって分離および定量することにより、NK細胞数を測定し得る。
(ウイルス感染の診断)
ウイルス感染するとリンパ球の組成が変化することが知られている。例えば、ローゼンベルグらは、エイズウイルスに感染すると血液中のCD4発現T細胞数の減少及びCD4/CD8比率の減少が起こることを示している(Immunology Today Vol 19,Issue1,1998,p10−17)。AIDS感染の場合には、CD4陽性細胞が減少し、その他のウイルス感染の場合は、CD8陽性細胞が増加する。そのため、これらリンパ球の数の増減を検出することにより、被験者がAIDSウイルスまたはその他のウイルスに感染しているか否かを検出し得る。
本発明の電荷制御剤を利用して、そのような検出を行うには、まず、CD4およびCD8に特異的に結合する物質(例えば、これらに対する抗体)を改変して電荷を付与するという改変を行い(すなわち、本発明の電荷制御剤を作製し)、この改変抗体と測定対象者の血液を混合して、その血液中のCD4およびCD8陽性細胞にその改変抗体を結合させる。次いで、その改変抗体の結合したNK細胞を、キャピラリー電気泳動によって分離および定量することにより、CD4およびCD8陽性細胞の数を測定し得る。
一方、測定対象ウイルスに特異的に結合する物質を用いる場合には、直接的にウイルスの数を検出することができる。例えば、測定対象ウイルスに特異的に結合する抗体に電荷を有する標識物質を結合させた本発明の電荷制御剤を、目的のウイルスに結合させ、それをキャピラリー電気泳動などの手法により分離および定量することにより、ウイルスの数を直接測定することが可能である。
一方、微生物である細菌が測定対象物の場合、本発明は、以下のような用途に適用可能である。
(食中毒の予防および診断)
微生物である細菌が測定対象物の場合、食中毒関連細菌の検出に本発明が適用され得る。食中毒細菌としては、以下のようなものがあり、それぞれに汚染しやすい食品が存在する。
病原性大腸菌は、家畜、主に牛が感染していることの多く、牛肉がこの細菌による食中毒の原因食品となることが普通である。それ以外には、レタス、カイワレ等、あらゆる食品および水が原因となる可能性がある。
サルモネラ菌は、もともと人畜共通疾患の原因菌であるため、家畜および家禽の腸管に高率に保菌されている。また、鶏、豚、および牛に限らず、トカゲやカメ等のペットも保菌していることがある。サルモネラ菌が付着した肉や卵を原材料として使用したときに、加熱調理が不十分であったためにサルモネラが残存したり、調理済食品を汚染したりして、食中毒を引き起すこともある。また、サルモネラ菌を保菌したねずみの糞や尿により、調理場や食品が汚染されることによって、食中毒を引き起すこともある。原因食品としては、うなぎ、レバー刺身、卵焼き、自家製マヨネーズ、ローストチキンなど、食肉や卵等の畜産食品が多く見られる。
エルシニア菌は、哺乳動物をはじめとして、鳥類、は虫類、淡水魚等多くの動物や水から検出されるため、人への感染はこれらの動物との接触、またはこの菌に汚染された肉、特に豚肉などの食品を介して感染する。
腸炎ビブリオ菌は、海水中や海泥中に存在し、海水温度が20度以上、最低気温が15度以上になると海水中で大量に増殖し、魚介類に付着して陸上に運ばれる。原因となる食品は、魚介類の刺身やすし類が代表的だが、野菜の一夜漬けが原因食品となるケースもあり、生の魚介類を調理した後の調理器具や手指等を介してこの菌に汚染されることがある。
セレウス菌は、土壌、ほこり、水中など自然界に広範囲に分布する菌で、土にかかわりのある穀類、豆類、香辛料等から高率に検出される。原因食品は、チャーハン、スパゲティー、やきそば、およびオムライス等で、前日に一度炊いたものや茹でたものを翌日に使用したときに起こり易い。
カンピロバクター菌は、家畜、家禽または鳩等のペットの腸管内に存在し、特に鶏の保菌率が高いことから、鶏肉から検出されることが多くなっている。また豚肉や牛肉からも検出される。また、野鳥、ペット類等の保菌動物の糞便由来からか、河川水や井戸水から検出されることもある。鶏のささみ、バーベキュー、焼肉等、肉の生食や加熱不足によることが多くサラダや生水等も原因食品となる。
ウエルシュ菌は、土壌細菌の一種であるが、海水等自然界にも広く分布し、人や動物の腸管にも高率に存在する。「給食病」の異名のとおり大量に調理加熱されたカレー、シチュー、めんつゆなどが原因食品となる。
黄色ブドウ球菌は化膿した傷に限らず、おでき、水虫、にきび、喉や鼻の中、皮膚、および毛髪等に常在しており、健康な人でも保菌している。手指などから食品を汚染する機会が多いため、あらゆる食品が原因食品となる可能性があるが、特に握り飯が多くを占め、その他弁当、和菓子、シュークリームなどが原因食品となる。
このような細菌に感染した食品から細菌を検出する場合には、例えば、各食品検体25gにノボビオシン加EC培地を225ml加え、ストマッキングした溶液から適当量取り出す(このような手順は、当該分野で慣用されている)。これに測定対象細菌に特異的に結合する抗体を用いて作製した本発明の電荷制御剤を混合して、細菌と電荷制御剤との複合体を形成させた後に、キャピラリー電気泳動を実施することにより上記細菌−電荷制御剤複合体を検出することが可能である。このようにして、食中毒が発生した場合にも、それの原因菌を検出することが可能となる。さらに、そのような原因菌を予め検出することにより、そのような食中毒の原因菌を含んだ食品が市場に出回ることを予防することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の例示であって本発明を制限するものではない。
(血液細胞の分離)
ヘルパーT細胞特有に発現するCD4(cluster of differentiation 4)に対する抗体と、キラーT細胞特有に発現するCD8に対する抗体に、以下の手順に従って、式1で示されるカスケードブルー(登録商標)誘導体(Molecular Probe社製:アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩:C2718Na12:以下、単にカスケードブルー誘導体と記す)を結合した。
Figure 2004063752
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なお、式1に示されるように、カスケードブルー誘導体は、スルホン酸基を有している。
シグマ社から入手した抗CD4抗体(1mg/ml、pH7.0のリン酸緩衝液(PBS)中)と、抗体量に対して10倍モル量のカスケードブルー誘導体(5.1μg/ml、pH7.0のPBS中)を添加し、室温で3時間放置することによりカスケードブルー誘導体を抗CD4抗体に結合させた。次いで、得られた反応液を、ゲルろ過(SephadexG−25)に供することにより、未結合カスケードブルー誘導体を除去した。その結果、抗CD4抗体分子あたり2個のカスケードブルー誘導体が結合した抗CD4抗体が得られた。
同様に、シグマ社から入手した抗CD8抗体を処理し、抗CD8抗体分子あたり8個のカスケードブルー誘導体が結合した抗CD8抗体が得られた。
なお、カスケードブルー誘導体が抗体に結合した数は、以下の式から算出した。
カスケードブルー誘導体の抗体への結合数=[Cb410nm]/([Ab−Cb280nm]−α×[410nm])
ここで、
[Ab280nm]:抗体の280nmにおける吸光度、
[Cb280nm]:カスケードブルー誘導体の280nmにおける吸光度、
[Cb410nm]:カスケードブルー誘導体の410nmにおける吸光度、
[Ab−Cb280nm]:カスケードブルー誘導体標識化抗体の280nmにおける吸光度、
α=[Cb280nm]/[Cb410nm]である。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、血液から得られたT細胞を含む試料とインキュベート(25℃、1時間)した後、その混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACEシステム MDQ)に導入した。その結果、図2に示すようにヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離することができた。なお、図2は、電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度をスキャンした結果を示したものである。
(電荷制御剤と血液細胞との接触および血液細胞の分離)
CD4を発現した細胞を含む溶液500μlおよびCD8を発現した細胞を含む溶液500μlを1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗CD4抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗CD8抗体溶液(1mg/ml)5μlを加え、室温、暗所で3時間放置した後、以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径100μm、総長32.0cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1g塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター
その結果、それぞれのピークは、BacLightSYTO9(Molecular Probe社製)を入れたときと同じ移動度で検出され、これらピーク画分を収集し、蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発するそれぞれの細胞が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗CD4抗体およびカスケードブルー標識抗CD8抗体が、CD4細胞およびCD8細胞とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。なお、100mMトリス−ホウ酸緩衝液にカスケードブルー標識抗CD4抗体溶液、カスケードブルー標識抗CD8抗体溶液だけを入れたコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間にピークが検出され、他のピークは観察されなかった。
(バクテリアの分離)
実施例1と同様にして、サルモネラ チフィリミウム(S.typhimurium、以下S.T.と記す)に対する抗体(常法に従って調製)と、サルモネラ エンテリティディス(S.enteritidis、以下S.E.と記す)(常法に従って調製)に対する抗体とに、カスケードブルー誘導体を結合させた。その結果、1分子あたり1.5個のカスケードブルー誘導体が結合した抗ST抗体、および1分子あたり9個のカスケードブルー誘導体が結合した抗SE抗体が得られた。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、サルモネラ菌を含む試料とインキュベート(37℃、30分間)した後、得られた混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACE システム MDQ)に導入した。その結果、図3に示すようにそれぞれのサルモネラ菌を分離することができた。なお、図3もまた、電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度をスキャンした結果を示したものである。
(電荷制御剤とサルモネラ菌との接触およびサルモネラ菌の分離)
S.T.の斜面固体培養物から、菌体を1白金耳とり、常法に従って調製したEEMブイヨン培地(Enterbacteriaceae Enrichment Mannitol(EEM)ブイヨン培地:4.35g/100ml)50mlを含む200ml容の三角フラスコに別個に接種し、37℃で16時間振盪培養した。同様に、S.E.についてもその培養液を調製した。得られた培養液の各500μlを、1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗ST抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗SE抗体溶液(1mg/ml)を各5μl加え、37℃で30分間暗所に放置してサルモネラ菌と各サルモネラ菌に対する標識化抗体とを接触させた。次いで以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径75μm、総長31.2cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1gおよび塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター
また、100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに、上記の2つのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のいずれかを含む溶液5μlを添加したもの(コントロール標品)、ならびにBrucella sp.strain KYM−1、Stenotrophomonas sp.strain KYM2、Acinetobactersp.strain KYM3、Commanonas sp.strain KYM4、Aureobacterium sp.strain KYM6、Cellulomonas sp.strain KYM7、Acinetobacterium sp.strain KYM8、3種のEscherichia coliの合計10種類のバクテリアをそれぞれ10個/mlとなるように100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに溶解し、上記2つのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のいずれかを含む溶液5μlを加え、室温で15分間暗所に放置したもの(比較標品)についても同様にして蛍光キャピラリー電気泳動を行った。その結果、トリス−ホウ酸緩衝液中にカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体だけを含むコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間に、フリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークが検出され、他のピークは観察されなかった。同様に、10種類のバクテリアを含む溶液(比較標品)についても、コントロールと同様にフリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークのみが検出された。
これに対し、サルモネラ菌を含む試料においては、フリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体に相当するピークのほかに、BacLightSYTO9を入れたときと同じ移動度にピークが検出され、このピーク画分を収集し蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発する各サルモネラ菌が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗サルモネラ抗体の各々が、各サルモネラ菌とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。
カスケードブルー誘導体の代わりに、プラス電荷を有する、以下の式2に示すFM(登録商標)3−25:N−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネート(C68113Cl)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離した。電気泳動後のキャピラリーについて、波長510nmの光で励起し、上記に由来する波長624nmの蛍光強度をスキャンすることにより、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離して検出することができた。
Figure 2004063752
Figure 2004063752
図4に概略を示した構成の微粒子分離装置を用いて実施例1と同様に血球を分離した。ここで、図4に電荷制御剤1で示される槽には、2個のカスケードブルー誘導体が結合したCD4抗体を入れ、図4に電荷制御剤2で示される槽には、10個のカスケードブルー誘導体が結合したCD8抗体を入れ、図4に電荷制御剤3で示される槽には、20個のカスケードブルー誘導体が結合したCD45抗体を入れ、そして図4のサンプルで示される槽には、血球サンプルを入れた。図に示すすべてのポンプを作動させ、これらポンプに連結されるミキサーでそれぞれの標識化抗体を混合した後、キャピラリー電気泳動装置に導入した。電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、上記化合物に由来する波長430nmの蛍光強度をスキャンすることにより、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離して検出することができた。
(グラム陽性菌の分離)
ストレプトコッカス サーモフィラス(S.Thermophilus、以下STと記す)に対する抗体(常法に従って調製)と、ストレプトコッカス ミュータンス(S.Mutans、以下SMと記す)(常法に従って調製)に対する抗体とに、カスケードブルー誘導体を結合させた。その結果、1分子あたり2個のカスケードブルー誘導体が結合した抗ST抗体、および1分子あたり5個のカスケードブルー誘導体が結合した抗SM抗体が得られた。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、それぞれのストレプトコッカス菌を含む試料とインキュベート(37℃、30分間)した後、得られた混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACEシステム MDQ)に導入した。その結果、それぞれのストレプトコッカス菌を分離することができた(不図示)。検出について、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度を測定した。
(電荷制御剤とストレプトコッカス菌との接触および菌の分離)
STの斜面固体培養物から、菌体を1白金耳とり、常法に従って調製したtryptic soybean培地200ml容の三角フラスコに別個に接種し、二酸化炭素95%雰囲気下、37℃で16時間静置培養した。同様に、SMについてもその培養液を調製した。得られた培養液の各500μlを、1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗ST抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗SM抗体溶液(1mg/ml)を各5μl加え、37℃で30分間暗所に放置してストレプトコッカス菌と各ストレプトコッカス菌に対する標識化抗体とを接触させた。次いで以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径75μm、総長31.2cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1gおよび塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター。
また、100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに、上記の2つのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のいずれかを含む溶液5μlを添加したもの(コントロール標品)、ならびにBrucella sp.strain KYM−1、Stenotrophomonas sp.strain KYM2、Acinetobactersp.strain KYM3、Commanonas sp.strain KYM4、Aureobacterium sp.strain KYM6、Cellulomonas sp.strain KYM7、Acinetobacterium sp.strain KYM8、3種のEscherichia coliの合計10種類のバクテリアをそれぞれ10個/mlとなるように100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに溶解し、上記2つのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のいずれかを含む溶液5μlを加え、室温で15分間暗所に放置したもの(比較標品)についても同様にして蛍光キャピラリー電気泳動を行った。その結果、トリス−ホウ酸緩衝液中にカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体だけを含むコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間に、フリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークが検出され、他のピークは観察されなかった。同様に、10種類のバクテリアを含む溶液(比較標品)についても、コントロールと同様にフリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークのみが検出された。
これに対し、ストレプトコッカス菌を含む試料においては、フリーのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体に相当するピークのほかに、BacLightSYTO9を入れたときと同じ移動度にピークが検出され、このピーク画分を収集し蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発する各ストレプトコッカス菌が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体の各々が、各ストレプトコッカス菌とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。
本発明の電荷制御剤は、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変することに有用である。本発明はさらに、前記改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量することに有用である。本発明は、簡便かつ正確な微粒子分離技術として有用である。
本発明はまた、疲労またはストレスの検査、ウイルス感染の検査、食中毒の予防もしくは検査等のために有用である。
本発明は、微粒子の表面電荷を制御するための組成物、それを利用して微粒子を分離する方法、および微粒子分離装置に関する。
細胞、バクテリア、ウイルス、有機あるいは無機ポリマーなどの微粒子を分離するための方法として、イオン交換液体クロマトグラフィーおよび電気泳動を利用する方法が知られている。これらの方法は、測定対象物である上記それぞれの微粒子の表面電荷の差を利用して、固相との電気的相互作用あるいは電気移動度によって分離する。例えば、キャピラリー電気泳動デバイスを利用してTリンパ細胞とBリンパ細胞を分離した報告(非特許文献1:日本エム・イー学会雑誌、Vol.15、No.10(2001)、p12−16)があるが、それぞれの細胞は完全には分離されておらず、簡便かつ正確な微粒子分離技術が求められている。
一方、微粒子表面を修飾して、その表面電荷を人為的に変化させる方法が知られている。
例えば、タンパク質を電気泳動法で分析する際に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDSと略記)をタンパク表面に疎水結合的に結合させて分離する方法(SDS電気泳動法)は周知である。
また、細胞の活動度を測定するために、細胞内または細胞破砕液に標識化(例えば、蛍光もしくは放射性物質による標識)した基質を注入するという方法が知られている。標識化した基質を細胞内へ注入すると、細胞内に存在している酵素によりその基質が改変(例えば、燐酸化)されるため、基質の表面電荷が変化する。そのため、基質の細胞内または細胞破砕液への注入の前後において、その基質の電気移動度が変化するため、キャピラリー電気泳動法により、その変化した基質量を測定することにより細胞の活動度を検出することができる(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
米国特許出願公開第2002/0142323A1号明細書 米国特許出願公開第2002/0037542A1号明細書 日本エム・イー学会雑誌、Vol.15、No.10(2001)、p2−7、p12−16
上記の非特許文献1(日本エム・イー学会雑誌、Vol.15、No.10(2001)、p2−7に記載される従来技術を利用した場合、測定対象となる微粒子を、それ自身の表面電荷のみに依存して分離するため、夾雑物質との分離が不十分である場合が多く見られる。これは、異なった微粒子のそれぞれの表面を構成する物質の間に著しい差がなく、しかもそれら物質の有する電荷が比較的弱いため、微粒子を電気的に分離しようとしてもそれらの電気移動度に有意な差が生じないためである。
一方、上記SDS電気泳動法は、SDSを蛋白質表面に非特異的に結合するため、原則的に蛋白質の大きさに依存して結合するSDS量が変化する。よって、人為的に結合量を制御することが不可能であるという問題がある。また、SDSはイオン性の界面活性剤であり、蛋白質をはじめとする生体物質を変性させてしまうため、現在では変性した蛋白質に対してのみ利用される方法である。
また、上記細胞活動度測定法では、細胞中の酵素を利用して基質の表面電荷を変化させており、細胞内酵素の量および、種類により表面電荷量が制御されており、人為的に電荷制御できないという欠点があった。また、この方法は、細胞中の酵素及び、その酵素と反応する基質のみを利用するため、細胞表面を修飾することも、細胞表面電荷を変化させることもできない。
本発明は、上記従来技術の課題を解決する手段を提供する。
本発明は、1つの局面において、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、その改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量するための組成物を提供する。この組成物は、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含んでいる。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。好ましくは、前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。さらに好ましくは、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の組成物のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
別のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
別のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
好ましくは、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。
好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子に可逆的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、イオン結合または水素結合によって前記目的の微粒子に特異的に結合する。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である。好ましくは、上記リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞のいずれかである。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体の免疫機能を検査するために使用される。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体の疲労または被検体が受けているストレスの程度を検査するために使用される。
本発明の組成物は、好ましくは、被検体がウイルス感染しているか否かを検査するために使用される。
本発明の組成物の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである。好ましくは、前記細菌は、病原性大腸菌、サルモネラ菌、エルシニア菌、腸炎ビブリオ菌、セレウス菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、および黄色ブドウ球菌からなる群から選択される。
本発明の組成物は、好ましくは、食中毒の予防または検査のために使用される。
本発明は、別の局面において、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、当該改変された表面電荷量に基づいて、当該試料中の当該目的の微粒子を分離または定量するための電荷制御剤の製造方法を提供する。
本発明の電荷制御剤の製造方法は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に、溶液中で正または負の電荷を有し得る標識物質を結合させる工程を包含することを特徴とする。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記タンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物は、目的の微粒子表面上に存在する有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記タンパク質は、抗体である。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記核酸は、アプタマーである。
本発明の電荷制御剤の製造方法のさらに好ましい実施形態では、上記タンパク質は、目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記標識物質は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。好ましくは、前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である。
本発明の電荷制御剤の製造方法の別の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである。
本発明の電荷制御剤の製造方法の好ましい実施形態では、タンパク質もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に対して、結合させる前記標識物質の割合または量を調節し得る。
本発明はさらに別の局面において、試料中の目的の微粒子を分離または定量する方法を提供する。この方法は、目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合工程、およびそのように混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、上記電荷制御剤が結合した目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された表面電荷に基づいて分離または定量する工程を包含することを特徴とする。
好ましくは、上記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について別個に独立して行われる。
好ましくは、上記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について互いに異なる電荷制御剤を用いて行われる。
本発明の分離または定量方法の好ましい実施形態では、上記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の分離または定量方法のさらに別の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。さらに好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
本発明の分離または定量方法のさらに別の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の分離または定量方法のさらに好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。さらに好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本発明はさらに別の局面において、試料中の目的の微粒子を分離または定量する装置を提供する。この装置は、目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合手段、およびこのように混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、前記電荷制御剤が結合した前記目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された当該目的の微粒子の表面電荷に基づいて分離または定量するための分離・定量手段を備えることを特徴とする。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記混合手段に、目的の微粒子を含む試料および電荷制御剤を、それぞれ別々に注入するための複数の注入手段をさらに備える。
本発明の装置の好ましい実施形態では、目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、電荷制御剤は、目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する。
本発明の装置の好ましい実施形態では、電荷制御剤は、上記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む。好ましくは、前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、上記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、上記標識物質とが結合して成る複合体である。好ましくは、上記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である。
本発明の装置の好ましい実施形態では、上記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである。好ましくは、上記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである。
本明細書において、抗体などのタンパク質またはペプチドホルモンなどのペプチドに関して「機能的等価物」とは、元のタンパク質またはペプチドのアミノ酸配列とは1つ以上のアミノ酸の置換、付加、または欠失によって異なるが、元のタンパク質またはペプチドと同じ標的分子(例えば、抗原または細胞表面レセプター)に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得るポリペプチドまたはペプチドのことをいう。さらに、元のタンパク質もしくはペプチドまたは上記の機能的等価物を、リン酸化(Ser、Thr、Tyr)、アセチル化(N末、Lys)、またはC末端アミド化などのペプチド修飾基により修飾したものであっても、元のタンパク質またはペプチドと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る限り、上記「機能的等価物」に含まれるものとする。
本明細書において、アプタマーに関して「機能的等価物」とは、元のアプタマーの塩基配列とは1つ以上の塩基の置換、付加、または欠失によって異なるが、元のアプタマーと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る核酸(RNAまたはDNA)のことをいう。さらに、元のアプタマーまたは上記の機能的に等価な核酸を、修飾(例えば、蛍光色素により5’末端を修飾)したものであっても、元のアプタマーと同じ標的分子に対して同様の特異性および親和性をもって結合し得る限り、上記「機能的等価物」に含まれるものとする。
本発明において、「目的の微粒子に対して特異的に結合する」とは、他の微粒子に対してよりも、目的の微粒子に対して、より高い結合親和性で結合するような結合のことを意味する。その特異的結合親和性は、Ka(結合定数)=[A−B]/([A]・[B])(但し、AおよびBは2種の分子、A−BはAとBの複合体である)で表した場合、少なくとも約105 、106 、107 、108 、109 または1010-1であることが好ましい。
本発明により、簡便かつ正確な微粒子分離技術が提供される。本発明は、表面電荷制御剤を使用することによって微粒子表面電荷の効率よい制御を可能にし、微粒子の正確かつ簡便な分離および測定を実現し得る。
本発明により、標的微粒子に対して特異的な電荷付与が可能である。従って、試料中の標的微粒子と他の分子との大きさが同じくらいであっても、電気泳動によって分離することができる。
本発明の電荷制御剤と標的微粒子との結合は可逆的な結合であるとともに、本発明ではSDSなどの界面活性剤を使用しないため分離・検出後の細胞、細菌を無傷で回収することが可能である。
本発明は、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、その改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量するための組成物に関し、この組成物は、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含んでいる。
本発明の電荷制御剤は、例えば、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、またはカルボン酸基等の水溶液中で電離し得る基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有することが好ましい。本発明において好適な電荷制御剤としては、例えば、細胞表面に存在する抗原に対して特異的に結合する抗体と、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質との複合体、あるいはそれ自体で特異的に他の物質に結合し、かつ溶液中で電荷を有するアプタマーなどが挙げられる。
本発明において測定対象となる目的の微粒子は、一般に、被検対象となる赤血球、白血球、血小板などの血液細胞、バクテリア、ウイルス、真菌などの微生物細胞を包含するがこれらに限定されるわけではなく、本発明は、試料中で微粒子形態にある任意の物質に適用可能である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に本発明の原理の概略を示す。一般に、固体(微粒子)と液体が相対運動をするとき、固体に密着して動く層(固定層)の最外面(滑り面)の電位と、液体内部の電位との差は、ζ電位または界面動電電位(electrokinetic potential)と呼ばれる。言い換えれば、ζ電位は、固体と液体との間に相対運動がおこるときの界面動電現象を支配する。
図1の(a)は、電荷制御剤として標識抗体を用いた場合の例を模式的に示し、そして図1の(b)は、電荷制御剤としてアプタマーを用いた場合の例を模式的に示している。
図1の(a)に示すように、被検対象である血球細胞などの微粒子(図1の(a)および(b)の左に丸で示される。血球細胞、微生物菌体などは一般に負に荷電している)は、溶液中を移動するとき、その微粒子に固有のζ電位であるζ1を生じる。この微粒子に、免疫反応によって特異的に結合する抗体分子1を結合させると(図1の(a)の真ん中に示される)、この抗体・微粒子複合体もまた、溶液中を移動するとき、ζ電位ζ2を生じる。通常、抗体分子1は有意な有効電荷をもっていないので、ζ2はζ1とほぼ等しくなる。ここで、抗体分子1が電荷を有する標識物質2を有している場合(図1(a)に示す例ではマイナス電荷をもっている)、標識抗体・微粒子複合体が溶液中を移動するとき生じるζ電位ζ3は、標識物質2のマイナス電荷に起因してζ1より小さくなる(例えば、ζ1=−10mVのとき、ζ2=−11mV、そしてζ3=−20mVなど)。これによって、電気泳動や電気浸透のような動電現象における微粒子の挙動が増大され得る。被検対象が正に荷電している微粒子である場合であっても、プラス電荷を有する標識物質を用いて微粒子の挙動を改変し得る。
被検対象である微粒子に特異的に結合する抗体は、当該分野で公知の方法によって調製され得るか、または市販の抗体を利用し得る。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体、キメラ抗体であり得る。このような抗体は、微粒子上の有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質のエピトープを特異的に認識し得、そしてそれに結合し得る。本発明において使用する抗体は、Ka(結合定数)=[Ag−Ab]/([Ag]・[Ab])(但し、Agは抗原、Abは抗体、そしてAg−Abは抗原抗体複合体を表す)で表した場合、例えば、被検対象である微粒子に対して少なくとも約105 、106 、107 、108 、109 または1010-1の特異的結合親和性を示すことが好ましい。
このような抗体は、当該分野で公知の方法によって調製され得る。すなわち、ヤギ、ヒツジ、ウシ、モルモット、ウサギ、ラット、マウスのような宿主を、微粒子またはその一部分を用い、肉趾、筋肉内、皮内、リンパ節周辺または腹腔内に投与し、アフィニティー精製を含む慣用的な方法によって、宿主中で産生された免疫グロブリンを沈殿、単離、および精製して得ることができる。
あるいは、このような抗体は、KoehlerおよびMilstein(Nature 256:495、1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunol.Today 4 72;Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:2026)、およびEBVハイブリドーマ技術(Coleら、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R Liss Inc.、New York、NY、77−96頁、1985)などを含む公知技術を用い、モノクローナル抗体として得ることができる。モノクローナル抗体を得るための具体的な手順は、例えば、Godingら、MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Acad.Press、N.Y.などに記載されている。
上述の抗体の「機能的等価物」には、測定対象粒子に特異的に結合する抗体の結合部位のみを切り出した断片などが含まれる。抗体はH鎖とL鎖からなり、それぞれに3箇所の抗原(本発明の目的の微粒子に相当)結合部位(CDR:complementary determinant region)が存在する。それぞれの結合部位のみで抗原に特異的に結合することができる。この結合形態は、蛋白質(ペプチドを含む)−蛋白質間結合形態(例えば、抗原抗体結合、またはペプチドホルモンーレセプター結合など)と同様であり、水素結合、イオン結合および疎水結合からなる複合的な結合形態である。一般的に、このような結合部位を切り出すには、抗体をコードするDNAあるいは、RNAからそれぞれのCDRに相当するポリヌクレオチド鎖を作製し、それを公知の分子生物学的手法によって発現させることにより、目的のペプチド断片を得ることができる。
抗体またはその機能的等価物は、溶液中で電荷を有する適当な標識物質(蛍光物質であることが好ましい)で標識して、本発明の電荷制御剤として使用され得る。これらの標識物質が結合した抗体は、代表的には、例えば、細胞表面などに存在する有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、核酸などの生体機能性物質に、イオン結合、疎水結合、水素結合、またはそれらの組み合わせによって結合する。
測定対象の微粒子に特異的に結合し得る、抗体以外の他の物質もまた、本発明の電荷制御剤として使用され得る。そのような例としては、目的の微粒子が細胞である場合では、例えば、細胞表面に存在するレセプターに特異的に結合するリガンドが挙げられる。そのようなリガンドとしては、例えば、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンなどが挙げられる。これらの分子は、形質膜上に存在する受容体(細胞表面レセプター)に特異的に結合してその作用を発現するものである。これらの分子は、それ自身が溶液中で電荷を有する場合には、単独で本発明の電荷制御剤として使用し得る。また、他の物質に結合し得る官能基を有し、溶液中で電荷を有する標識物質との複合体の形態でも、本発明の電荷制御剤として使用し得る。
図1の(b)は、電荷制御物質としてマイナス電荷をもつアプタマーを用いた場合を模式的に示す。アプタマーは、リン酸基が水溶液中で電離しているために生理的pHでマイナスの電荷を帯びている。図示されるように、アプタマー分子は直接微粒子に結合し、それによって、微粒子・アプタマー複合体のもつζ電位ζ3が、微粒子単独の場合のζ電位ζ1より小さくなる。このため、上記図1の(a)に示されるのと同様に、電気泳動や電気浸透のような動電現象における微粒子の挙動が増大され得る。被検対象が正に荷電している微粒子である場合であっても、プラス電荷を有するアプタマーを用いて同様に微粒子の挙動を改変し得る。
上記のように、アプタマーはそれ自体が水溶液中で電荷を有しているため、電荷を有する標識物質で標識しなくても、アプタマー単独で本発明の電荷制御剤として使用し得る。さらに、アプタマーに、電荷を有する標識物質を結合させた標識アプタマーとしても、本発明の電荷制御剤として使用し得ることはもちろんである。
なお、本明細書で用いる用語「アプタマー」は、当該分野で用いられる通常の意味で用いられ、細胞内でDNAと結合し、標的とするタンパク質の働きを抑える物質を指し、2本鎖DNAや1本鎖RNAでこの性質をもつ物質が知られている。
アプタマーは、一般に、以下の手順で得られ得る。
まず、ランダムにオリゴDNA(60塩基)を合成する。理論的に10兆種類以上あるオリゴDNAのプールから、次に目的のタンパク質と結合するオリゴDNAをアフィニティー・カラムで分離する。分離したオリゴDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅し、再び、アフィニティー・カラムで分離することを繰り返す。この操作を5回以上繰り返すことによって、目的のタンパク質に親和性の強いアプタマーを選抜し得る。あるいは、必要に応じて、市販のアプタマーを利用し得る。例えば、Molecular Probe社製などからアプタマーが市販されている。一般に、これらのアプタマーは、溶液または粉末の形態で市販されている。
RNAアプタマーあるいは、DNAアプタマ−を利用する場合において、試料中あるいはバッファ中のリボヌクレアーゼによりアプタマ−が分解され、アプタマーが所有する電荷が変化する場合が多々ある。このため、通常リボヌクレアーゼを阻害する物質(リボヌクレアーゼインヒビター;例えば、RNasin(Promega社製))をあらかじめ添加しておくことが好ましい。
一方、抗体やペプチドなどの蛋白質を利用する場合においても、適宜、蛋白質分解酵素阻害物質を添加することが好ましい。
目的の微粒子に特異的に結合するタンパク質(例えば、抗体、もしくは細胞表面レセプターに対するリガンド)または核酸(例えば、アプタマー)に電荷(プラスまたはマイナス)を付与する標識物質の例としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アルコール基、フェノール基、またはカルボン酸基等の水溶液中で電離し得る基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有する化合物が好適である。
スルホン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、カスケードブルー(登録商標)、タウリン、2−ヒドロキシ−5−スルホアニリンサリチリデン、1−(2−ヒドロキシ−4−スルホナフチルアゾ)2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、ルシファーイエロー、モンダントブルー31、または5−スルホ−8−キノリノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体が挙げられる。そのうち、とりわけカスケードブルー、1−(2−ヒドロキシ−4−スルホナフチルアゾ)2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、ルシファーイエロー、モンダントブルー31、または5−スルホ−8−キノリノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
リン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アデノシンモノリン酸、ウラシルモノリン酸、チミジルモノリン酸、グアニジルモノリン酸、またはオレゴングリーン488あるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけオレゴングリーン488またはその化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物としては、3級アミノ基または4級アミノ基を有し、かつ他の物質に結合可能な官能基を有する化合物が好ましい。
3級アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルグリシン、ジメチルフェニレンジアンモニウム、カルセイン、ダンシルクロライド、またはジエチルアミノクマリンカルボン酸ヒドラジドあるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけカルセイン、ダンシルクロライド、またはジエチルアミノクマリンカルボン酸ヒドラジドあるいはそれぞれの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
4級アミノ基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物としては、例えば、FM3−25(登録商標)、ベタイン、カルニチン、テトラメチルロダミンカダべリン、またはローダミンXあるいはそれぞれの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけFM3−25、テトラメチルロダミンカダべリン、またはローダミンXあるいはそれぞれの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
アルコール基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノエタノール、アミノブタノール、アミノプロパノール、またはアミノベンジルアルコールなどがある。
フェノール基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノメチルフェノール、8−キノリノール、またはサリチリデンアミノフェノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体などがある。そのうち、とりわけ8−キノリノール、またはサリチリデンアミノフェノールなど、あるいはそれらの化合物誘導体は、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
カルボン酸基および他の物質に結合可能な官能基を有する化合物の例としては、例えば、アミノ酪酸、アミノ安息香酸、またはカルセインなどがある。そのうち、とりわけカルセインは、多価のカルボン酸を有する物質で、蛍光物質であり、それ自体で検出手段(色素標識)として利用できるため好ましい。
多くの色素標識が市販されている。以下に示す実施例では、カスケードブルー(登録商標)誘導体、FM(登録商標)3−25を使用している。
目的の微粒子に特異的に結合し得る分子(例えば、抗体、もしくは細胞表面レセプターに対するリガンド、あるいはアプタマー)に結合し、マイナス電荷またはプラス電荷を有する標識物質のその他の例としては、例えば、金コロイド、ラテックスなどが挙げられる。
このような標識物質で上記のタンパク質、ペプチドまたは核酸等を標識する技術は当該分野で公知である。市販されている色素標識を用いる場合、通常、製造業者の指示書に従って色素標識をこれらの分子に結合する。
本発明の電荷制御剤を使用する場合、適宜最適な試料液のpHを選択することに注意すべきである。例えば、カルボン酸基のpKaはおよそ2〜5であり、試料液のpHがそのpKaよりも大きい場合にはプロトンがとれてマイナス電荷を有する。そのため、カルボン酸基を有する電荷制御剤を、マイナス電荷を有する状態で目的の微粒子と反応させる場合には、試料液のpHを4以上に設定しておくことが好ましい。
同様に、フェノール基あるいは、アルコール基を含む電荷制御剤を使用する場合には、フェノール基およびアルコール基のpKaがおよそ9〜11であるため、マイナス電荷を有する状態で使用するには、pHをそのpKaよりも大きくなるように設定することが好ましい。
3級アミン基を含む電荷制御剤を使用する場合には、3級アミン基のpKaが10〜12であるため、プラス電荷を有する状態で使用するには、そのpKaよりも小さいpHで使用することが好ましい。
一方、スルホン酸基、リン酸基及び4級アミノ基の場合には、pH2〜13の溶液中で電荷を有しているため、広範囲なpHで使用可能である。マイナス電荷を欲する場合にはスルホン酸基あるいは、リン酸基を、プラス電荷を欲する場合には4級アミノ基を有する化合物を使用することが最も望ましい。
本発明の電荷制御剤で表面電荷を改変した測定対象の微粒子を分離および/または定量するための方法は、微粒子の表面電荷に基づいて分離または定量するものであればよい。代表的には、キャピラリー電気泳動法が、最も好適に使用され得る。本発明の目的のためには、市販のキャピラリー電気泳動装置が使用され得るが、本願の図4に概略を示したような、電荷制御剤と試料とを混合する手段を備えたものがより好適である。
その他、本発明の電荷制御剤を用いて試料中の目的の微粒子を分離および/または定量するために使用し得る方法および装置としては、例えば、キャピラリー電気泳動を利用したチップを用いるもの等が挙げられる。
血液細胞が測定対象物の場合、本発明は、以下のような用途に適用され得る。
(疲労およびストレスの診断)
慢性疲労や過重労働、強い精神的なストレスにより体の免疫機能が影響を受け感染症などに罹りやすくなるということが一般的に知られている。そこで免疫系の細胞を調べることにより、労働要因に起因するところの現在受けている健康に対する影響、特に、蓄積されつつある疲労やストレスの度合を測ることが可能である。
免疫機能の検査として、比較的簡便に調べることのできるリンパ球表面抗原の解析が知られている。リンパ球細胞の中でもNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、急性ストレスが与えられると末梢血液中の数が増加しその活性も上昇、また慢性ストレスを受けたときに数は減少しその活性も低下するということが知られている。例えば、うつ病患者に、NK細胞機能の低下が報告されている(河野友信編、「ストレス診断ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。また、試験に伴うストレスによりNK細胞活性の低下とインターフェロン産生低下が報告されている(河野友信編、「ストレス診断ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。
NK細胞は、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用など人体において生体防御機構の中心的役割を担っている。ナチュラルキラー活性は前もって感染源にさらされなくても存在し、先天性の防御機構に特徴的なあらゆる性質を示す。よって、NK細胞の役割は免疫機構における一次防衛ラインであり、このようなナチュラルキラー活性あるいは、NK細胞数の変化を検出することにより、被験者の免疫機能の変化を検出し得る(例えば、D.M.ワイア著、「免疫学概説」、共立出版株式会社、1999年4月、P36−37;河野友信編、「ストレス診療ハンドブック」、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1990年1月、p11、表2−2)。
NK細胞表面に表現されるCD抗原は、CD16、CD56、CD57等あるが、なかでもCD56はその90%以上がNK細胞に見られるということから、単独でもNK細胞のマーカーとして有用である。本発明の電荷制御剤を利用して被験者のNK細胞数を測定するには、例えば、このCD56に特異的に結合する抗体などの物質に電荷を有する標識物質で標識するという改変をし(すなわち、本発明の電荷制御剤を作製し)、この改変抗体と被験者からの血液とを混合して、その血液中のNK細胞にその改変抗体を結合させる。次いで、その改変抗体の結合したNK細胞を、キャピラリー電気泳動によって分離および定量することにより、NK細胞数を測定し得る。
(ウイルス感染の診断)
ウイルス感染するとリンパ球の組成が変化することが知られている。例えば、ローゼンベルグらは、エイズウイルスに感染すると血液中のCD4発現T細胞数の減少及びCD4/CD8比率の減少が起こることを示している(Immunology Today Vol 19,Issue1,1998,p10−17)。AIDS感染の場合には、CD4陽性細胞が減少し、その他のウイルス感染の場合は、CD8陽性細胞が増加する。そのため、これらリンパ球の数の増減を検出することにより、被験者がAIDSウイルスまたはその他のウイルスに感染しているか否かを検出し得る。
本発明の電荷制御剤を利用して、そのような検出を行うには、まず、CD4およびCD8に特異的に結合する物質(例えば、これらに対する抗体)を改変して電荷を付与するという改変を行い(すなわち、本発明の電荷制御剤を作製し)、この改変抗体と測定対象者の血液を混合して、その血液中のCD4およびCD8陽性細胞にその改変抗体を結合させる。次いで、その改変抗体の結合したNK細胞を、キャピラリー電気泳動によって分離および定量することにより、CD4およびCD8陽性細胞の数を測定し得る。
一方、測定対象ウイルスに特異的に結合する物質を用いる場合には、直接的にウイルスの数を検出することができる。例えば、測定対象ウイルスに特異的に結合する抗体に電荷を有する標識物質を結合させた本発明の電荷制御剤を、目的のウイルスに結合させ、それをキャピラリー電気泳動などの手法により分離および定量することにより、ウイルスの数を直接測定することが可能である。
一方、微生物である細菌が測定対象物の場合、本発明は、以下のような用途に適用可能である。
(食中毒の予防および診断)
微生物である細菌が測定対象物の場合、食中毒関連細菌の検出に本発明が適用され得る。食中毒細菌としては、以下のようなものがあり、それぞれに汚染しやすい食品が存在する。
病原性大腸菌は、家畜、主に牛が感染していることの多く、牛肉がこの細菌による食中毒の原因食品となることが普通である。それ以外には、レタス、カイワレ等、あらゆる食品および水が原因となる可能性がある。
サルモネラ菌は、もともと人畜共通疾患の原因菌であるため、家畜および家禽の腸管に高率に保菌されている。また、鶏、豚、および牛に限らず、トカゲやカメ等のペットも保菌していることがある。サルモネラ菌が付着した肉や卵を原材料として使用したときに、加熱調理が不十分であったためにサルモネラが残存したり、調理済食品を汚染したりして、食中毒を引き起すこともある。また、サルモネラ菌を保菌したねずみの糞や尿により、調理場や食品が汚染されることによって、食中毒を引き起すこともある。原因食品としては、うなぎ、レバー刺身、卵焼き、自家製マヨネーズ、ローストチキンなど、食肉や卵等の畜産食品が多く見られる。
エルシニア菌は、哺乳動物をはじめとして、鳥類、は虫類、淡水魚等多くの動物や水から検出されるため、人への感染はこれらの動物との接触、またはこの菌に汚染された肉、特に豚肉などの食品を介して感染する。
腸炎ビブリオ菌は、海水中や海泥中に存在し、海水温度が20度以上、最低気温が15度以上になると海水中で大量に増殖し、魚介類に付着して陸上に運ばれる。原因となる食品は、魚介類の刺身やすし類が代表的だが、野菜の一夜漬けが原因食品となるケースもあり、生の魚介類を調理した後の調理器具や手指等を介してこの菌に汚染されることがある。
セレウス菌は、土壌、ほこり、水中など自然界に広範囲に分布する菌で、土にかかわりのある穀類、豆類、香辛料等から高率に検出される。原因食品は、チャーハン、スパゲティー、やきそば、およびオムライス等で、前日に一度炊いたものや茹でたものを翌日に使用したときに起こり易い。
カンピロバクター菌は、家畜、家禽または鳩等のペットの腸管内に存在し、特に鶏の保菌率が高いことから、鶏肉から検出されることが多くなっている。また豚肉や牛肉からも検出される。また、野鳥、ペット類等の保菌動物の糞便由来からか、河川水や井戸水から検出されることもある。鶏のささみ、バーベキュー、焼肉等、肉の生食や加熱不足によることが多くサラダや生水等も原因食品となる。
ウエルシュ菌は、土壌細菌の一種であるが、海水等自然界にも広く分布し、人や動物の腸管にも高率に存在する。「給食病」の異名のとおり大量に調理加熱されたカレー、シチュー、めんつゆなどが原因食品となる。
黄色ブドウ球菌は化膿した傷に限らず、おでき、水虫、にきび、喉や鼻の中、皮膚、および毛髪等に常在しており、健康な人でも保菌している。手指などから食品を汚染する機会が多いため、あらゆる食品が原因食品となる可能性があるが、特に握り飯が多くを占め、その他弁当、和菓子、シュークリームなどが原因食品となる。
このような細菌に感染した食品から細菌を検出する場合には、例えば、各食品検体25gにノボビオシン加EC培地を225ml加え、ストマッキングした溶液から適当量取り出す(このような手順は、当該分野で慣用されている)。これに測定対象細菌に特異的に結合する抗体を用いて作製した本発明の電荷制御剤を混合して、細菌と電荷制御剤との複合体を形成させた後に、キャピラリー電気泳動を実施することにより上記細菌−電荷制御剤複合体を検出することが可能である。このようにして、食中毒が発生した場合にも、それの原因菌を検出することが可能となる。さらに、そのような原因菌を予め検出することにより、そのような食中毒の原因菌を含んだ食品が市場に出回ることを予防することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の例示であって本発明を制限するものではない。
(血液細胞の分離)
ヘルパーT細胞特有に発現するCD4(cluster of differentiation 4)に対する抗体と、キラーT細胞特有に発現するCD8に対する抗体に、以下の手順に従って、式1で示されるカスケードブルー(登録商標)誘導体(Molecular Probe社製:アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩:C27185Na3123:以下、単にカスケードブルー誘導体と記す)を結合した。
Figure 2004063752
なお、式1に示されるように、カスケードブルー誘導体は、スルホン酸基を有している。
シグマ社から入手した抗CD4抗体(1mg/ml、pH7.0のリン酸緩衝液(PBS)中)と、抗体量に対して10倍モル量のカスケードブルー誘導体(5.1μg/ml、pH7.0のPBS中)を添加し、室温で3時間放置することによりカスケードブルー誘導体を抗CD4抗体に結合させた。次いで、得られた反応液を、ゲルろ過(SephadexG−25)に供することにより、未結合カスケードブルー誘導体を除去した。その結果、抗CD4抗体分子あたり2個のカスケードブルー誘導体が結合した抗CD4抗体が得られた。
同様に、シグマ社から入手した抗CD8抗体を処理し、抗CD8抗体分子あたり8個のカスケードブルー誘導体が結合した抗CD8抗体が得られた。
なお、カスケードブルー誘導体が抗体に結合した数は、以下の式から算出した。
カスケードブルー誘導体の抗体への結合数=[Cb410nm]/([Ab−Cb280nm]−α×[410nm])
ここで、
[Ab280nm]:抗体の280nmにおける吸光度、
[Cb280nm]:カスケードブルー誘導体の280nmにおける吸光度、
[Cb410nm]:カスケードブルー誘導体の410nmにおける吸光度、
[Ab−Cb280nm]:カスケードブルー誘導体標識化抗体の280nmにおける吸光度、
α=[Cb280nm]/[Cb410nm]である。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、血液から得られたT細胞を含む試料とインキュベート(25℃、1時間)した後、その混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACEシステム MDQ)に導入した。その結果、図2に示すようにヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離することができた。なお、図2は、電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度をスキャンした結果を示したものである。
(電荷制御剤と血液細胞との接触および血液細胞の分離)
CD4を発現した細胞を含む溶液500μlおよびCD8を発現した細胞を含む溶液500μlを1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗CD4抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗CD8抗体溶液(1mg/ml)5μlを加え、室温、暗所で3時間放置した後、以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径100μm、総長32.0cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1g塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター
その結果、それぞれのピークは、BacLightSYTO9(Molecular Probe社製)を入れたときと同じ移動度で検出され、これらピーク画分を収集し、蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発するそれぞれの細胞が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗CD4抗体およびカスケードブルー標識抗CD8抗体が、CD4細胞およびCD8細胞とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。なお、100mMトリス−ホウ酸緩衝液にカスケードブルー標識抗CD4抗体溶液、カスケードブルー標識抗CD8抗体溶液だけを入れたコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間にピークが検出され、他のピークは観察されなかった。
(バクテリアの分離)
実施例1と同様にして、サルモネラ チフィリミウム(S.typhimurium、以下S.T.と記す)に対する抗体(常法に従って調製)と、サルモネラ エンテリティディス(S.enteritidis、以下S.E.と記す)(常法に従って調製)に対する抗体とに、カスケードブルー誘導体を結合させた。その結果、1分子あたり1.5個のカスケードブルー誘導体が結合した抗ST抗体、および1分子あたり9個のカスケードブルー誘導体が結合した抗SE抗体が得られた。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、サルモネラ菌を含む試料とインキュベート(37℃、30分間)した後、得られた混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACE システム MDQ)に導入した。その結果、図3に示すようにそれぞれのサルモネラ菌を分離することができた。なお、図3もまた、電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度をスキャンした結果を示したものである。
(電荷制御剤とサルモネラ菌との接触およびサルモネラ菌の分離)
S.T.の斜面固体培養物から、菌体を1白金耳とり、常法に従って調製したEEMブイヨン培地(Enterbacteriaceae Enrichment Mannitol(EEM)ブイヨン培地:4.35g/100ml)50mlを含む200ml容の三角フラスコに別個に接種し、37℃で16時間振盪培養した。同様に、S.E.についてもその培養液を調製した。得られた培養液の各500μlを、1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗ST抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗SE抗体溶液(1mg/ml)を各5μl加え、37℃で30分間暗所に放置してサルモネラ菌と各サルモネラ菌に対する標識化抗体とを接触させた。次いで以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径75μm、総長31.2cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1gおよび塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター
また、100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに、上記の2つのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のいずれかを含む溶液5μlを添加したもの(コントロール標品)、ならびにBrucella sp.strain KYM−1、Stenotrophomonas sp.strain KYM2、Acinetobactersp.strain KYM3、Commanonas sp.strain KYM4、Aureobacterium sp.strain KYM6、Cellulomonas sp.strain KYM7、Acinetobacterium sp.strain KYM8、3種のEscherichia coliの合計10種類のバクテリアをそれぞれ105 個/mlとなるように100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに溶解し、上記2つのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のいずれかを含む溶液5μlを加え、室温で15分間暗所に放置したもの(比較標品)についても同様にして蛍光キャピラリー電気泳動を行った。その結果、トリス−ホウ酸緩衝液中にカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体だけを含むコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間に、フリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークが検出され、他のピークは観察されなかった。同様に、10種類のバクテリアを含む溶液(比較標品)についても、コントロールと同様にフリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体のピークのみが検出された。
これに対し、サルモネラ菌を含む試料においては、フリーのカスケードブルー標識抗サルモネラ抗体に相当するピークのほかに、BacLightSYTO9を入れたときと同じ移動度にピークが検出され、このピーク画分を収集し蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発する各サルモネラ菌が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗サルモネラ抗体の各々が、各サルモネラ菌とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。
カスケードブルー誘導体の代わりに、プラス電荷を有する、以下の式2に示すFM(登録商標)3−25:N−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネート(C68113Cl2362)を用いたことを除いて、実施例1と同様に、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離した。電気泳動後のキャピラリーについて、波長510nmの光で励起し、上記に由来する波長624nmの蛍光強度をスキャンすることにより、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離して検出することができた。
Figure 2004063752
図4に概略を示した構成の微粒子分離装置を用いて実施例1と同様に血球を分離した。ここで、図4に電荷制御剤1で示される槽には、2個のカスケードブルー誘導体が結合したCD4抗体を入れ、図4に電荷制御剤2で示される槽には、10個のカスケードブルー誘導体が結合したCD8抗体を入れ、図4に電荷制御剤3で示される槽には、20個のカスケードブルー誘導体が結合したCD45抗体を入れ、そして図4のサンプルで示される槽には、血球サンプルを入れた。図に示すすべてのポンプを作動させ、これらポンプに連結されるミキサーでそれぞれの標識化抗体を混合した後、キャピラリー電気泳動装置に導入した。電気泳動後のキャピラリーについて、波長410nmの光で励起し、上記化合物に由来する波長430nmの蛍光強度をスキャンすることにより、ヘルパーT細胞とキラーT細胞とを分離して検出することができた。
(グラム陽性菌の分離)
ストレプトコッカス サーモフィラス(S.Thermophilus、以下STと記す)に対する抗体(常法に従って調製)と、ストレプトコッカス ミュータンス(S.Mutans、以下SMと記す)(常法に従って調製)に対する抗体とに、カスケードブルー誘導体を結合させた。その結果、1分子あたり2個のカスケードブルー誘導体が結合した抗ST抗体、および1分子あたり5個のカスケードブルー誘導体が結合した抗SM抗体が得られた。
これらのカスケードブルー誘導体で標識した抗体を、以下に詳細に示す手順に従って、それぞれのストレプトコッカス菌を含む試料とインキュベート(37℃、30分間)した後、得られた混合液をキャピラリー電気泳動装置(ベックマン社製、P/ACEシステム MDQ)に導入した。その結果、それぞれのストレプトコッカス菌を分離することができた(不図示)。検出について、波長410nmの光で励起し、カスケードブルー誘導体に由来する波長430nmの蛍光の強度を測定した。
(電荷制御剤とストレプトコッカス菌との接触および菌の分離)
STの斜面固体培養物から、菌体を1白金耳とり、常法に従って調製したtryptic soybean培地を含む200ml容の三角フラスコに別個に接種し、二酸化炭素95%雰囲気下、37℃で16時間静置培養した。同様に、SMについてもその培養液を調製した。得られた培養液の各500μlを、1.5ml容量のサンプルチューブにとり、カスケードブルー標識抗ST抗体溶液(1mg/ml)およびカスケードブルー標識抗SM抗体溶液(1mg/ml)を各5μl加え、37℃で30分間暗所に放置してストレプトコッカス菌と各ストレプトコッカス菌に対する標識化抗体とを接触させた。次いで以下の条件下で蛍光キャピラリー電気泳動を行った。
<キャピラリー電気泳動および検出条件>
装置 : P/ACE system MDQ(Beckman Coulter)
キャピラリー: ヒューズドシリカ管(Beckman社製)内径75μm、総長31.2cm、有効長21cm
泳動条件 : 10kV、20分
泳動緩衝液 : トリス10.8g、ホウ酸5.5g、0.5M EDTA(pH8)4ml、アルギン酸ナトリウム0.1gおよび塩化ナトリウム2gを水に溶解して1000mlに調整
検出条件 : 励起波長410nm、蛍光波長430nm
検出器 :MDQレーザ誘導蛍光(LIF)ディテクター。
また、100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに、上記の2つのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のいずれかを含む溶液5μlを添加したもの(コントロール標品)、ならびにBrucella sp.strain KYM−1、Stenotrophomonas sp.strain KYM2、Acinetobactersp.strain KYM3、Commanonas sp.strain KYM4、Aureobacterium sp.strain KYM6、Cellulomonas sp.strain KYM7、Acinetobacterium sp.strain KYM8、3種のEscherichia coliの合計10種類のバクテリアをそれぞれ107 個/mlとなるように100mMトリス−ホウ酸緩衝液500μlに溶解し、上記2つのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のいずれかを含む溶液5μlを加え、室温で15分間暗所に放置したもの(比較標品)についても同様にして蛍光キャピラリー電気泳動を行った。その結果、トリス−ホウ酸緩衝液中にカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体だけを含むコントロール標品は、電気浸透流とほぼ同じ保持時間に、フリーのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のピークが検出され、他のピークは観察されなかった。同様に、10種類のバクテリアを含む溶液(比較標品)についても、コントロールと同様にフリーのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体のピークのみが検出された。
これに対し、ストレプトコッカス菌を含む試料においては、フリーのカスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体に相当するピークのほかに、BacLightSYTO9を入れたときと同じ移動度にピークが検出され、このピーク画分を収集し蛍光顕微鏡により観察したところ、蛍光を発する各ストレプトコッカス菌が確認できた。これにより、カスケードブルー標識抗ストレプトコッカス抗体の各々が、各ストレプトコッカス菌とそれぞれ特異的に結合して検出されたことが判明した。
本発明の電荷制御剤は、試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変することに有用である。本発明はさらに、前記改変された表面電荷量に基づいて、試料中の目的の微粒子を分離または定量することに有用である。本発明は、簡便かつ正確な微粒子分離技術として有用である。
本発明はまた、疲労またはストレスの検査、ウイルス感染の検査、食中毒の予防もしくは検査等のために有用である。
本発明の原理の概略を示す図 本発明によるヘルパーT細胞とキラーT細胞との分離を示すクロマトグラム 本発明によるバクテリア細胞の分離を示すクロマトグラム 本発明による微粒子分離装置の概略を示す図
符号の説明
1.抗体
2.標識物質
3.アプタマー

Claims (60)

  1. 試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、当該改変された表面電荷量に基づいて、当該試料中の当該目的の微粒子を分離または定量するための組成物であって、溶液中で正または負の電荷を有し、当該目的の微粒子に特異的に結合し得る電荷制御剤を含む、組成物。
  2. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記電荷制御剤は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
  7. 前記電荷制御剤は、前記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項6に記載の組成物。
  11. 前記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである、請求項6に記載の組成物。
  12. 前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子に可逆的に結合する、請求項1に記載の組成物。
  14. 前記電荷制御剤は、イオン結合または水素結合によって前記目的の微粒子に特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
  15. 前記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である、請求項1に記載の組成物。
  16. 前記リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞のいずれかである、請求項15に記載の組成物。
  17. 被検体の免疫機能を検査するための、請求項16に記載の組成物。
  18. 被検体の疲労または被検体が受けているストレスの程度を検査するための、請求項16に記載の組成物。
  19. 被検体がウイルス感染しているか否かを検査するための、請求項16に記載の組成物。
  20. 前記目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである、請求項1に記載の組成物。
  21. 前記細菌は、病原性大腸菌、サルモネラ菌、エルシニア菌、腸炎ビブリオ菌、セレウス菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、および黄色ブドウ球菌からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
  22. 食中毒の予防または検査のための、請求項21に記載の組成物。
  23. 試料中の目的の微粒子の表面電荷量を改変し、当該改変された表面電荷量に基づいて、当該試料中の当該目的の微粒子を分離または定量するための電荷制御剤の製造方法であって、
    前記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に、溶液中で正または負の電荷を有し得る標識物質を結合させる工程を包含する、方法。
  24. 前記タンパク質、ペブチド、もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物は、前記目的の微粒子表面上に存在する有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に特異的に結合する、請求項23に記載の方法。
  25. 前記タンパク質は、抗体である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記核酸は、アプタマーである、請求項24に記載の方法。
  27. 前記タンパク質または前記ペプチドは、前記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドである、請求項24に記載の方法。
  28. 前記標識物質は、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール基、アルコール基、3級アミノ基、および4級アミノ基からなる群から選択される基を含む、請求項23に記載の方法。
  29. 前記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである、請求項23に記載の方法。
  30. 前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞である、請求項23に記載の方法。
  32. 前記目的の微粒子は、細菌、ウイルス、または真菌のいずれかである、請求項23に記載の方法。
  33. 前記タンパク質、ペプチド、もしくは核酸、またはそれらの機能的等価物に対して、結合させる前記標識物質の割合または量を調節し得ることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  34. 試料中の目的の微粒子を分離または定量する方法であって、
    目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合工程、および
    前記混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、前記電荷制御剤が結合した前記目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された表面電荷に基づいて分離または定量する工程、を包含する、方法。
  35. 前記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について別個に独立して行われる、請求項34に記載の方法。
  36. 前記混合工程は、複数種の微粒子の各々の種について互いに異なる電荷制御剤を用いて行われる、請求項34に記載の方法。
  37. 前記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である、請求項34に記載の方法。
  38. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する、請求項37に記載の方法。
  39. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む、請求項39に記載の方法。
  42. 前記電荷制御剤は、前記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項41に記載の方法。
  44. 前記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項41に記載の方法。
  46. 前記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである、請求項41に記載の方法。
  47. 前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである、請求項46に記載の方法。
  48. 試料中の目的の微粒子を分離または定量する装置であって、
    目的の微粒子を含む試料と、当該目的の微粒子に特異的に結合し、かつ当該試料中で正または負の電荷を有する電荷制御剤とを混合し、それにより当該目的の微粒子に当該電荷制御剤を結合させる、混合手段、および
    前記混合して得られた試料に電圧または電流を印加し、前記電荷制御剤が結合した前記目的の微粒子を、当該電荷制御剤の結合によって改変された当該目的の微粒子の表面電荷に基づいて分離または定量するための分離・定量手段、を備える、装置。
  49. 前記混合手段に、前記目的の微粒子を含む試料および前記電荷制御剤を、それぞれ別々に注入するための複数の注入手段をさらに備える、請求項48に記載の装置。
  50. 前記目的の微粒子は、白血球、リンパ球、血小板、および赤血球からなる群から選択される細胞、または細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される微生物である、請求項48に記載の装置。
  51. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面上に存在する、有機ポリマー、タンパク質、糖、脂質、および核酸からなる群から選択される生体機能性物質に結合する、請求項50に記載の装置。
  52. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子に特異的に結合し得るタンパク質、ペプチド、または核酸を含む、請求項51に記載の装置。
  53. 前記核酸は、アプタマーまたはその機能的等価物である、請求項52に記載の装置。
  54. 前記電荷制御剤は、溶液中で正または負の電荷を有する標識物質をさらに含む、請求項52に記載の装置。
  55. 前記電荷制御剤は、前記生体機能性物質に特異的に結合し得る抗体またはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項54に記載の装置。
  56. 前記電荷制御剤は、前記目的の微粒子表面に存在するレセプターに対するリガンドまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項54に記載の装置。
  57. 前記リガンドは、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカイン、またはカテコールアミンである、請求項56に記載の装置。
  58. 前記電荷制御剤は、アプタマーまたはその機能的等価物と、前記標識物質とが結合して成る複合体である、請求項54に記載の装置。
  59. 前記標識物質は、色素標識、金コロイド、またはラテックスである、請求項54に記載の装置。
  60. 前記色素標識は、アミノエチル4−アジドベンズアミド三ナトリウム塩、またはN−(3−トリエチルアンモニウムプロピル)−4−(4−(ジオクタデシルアミノ)スチリル)ピリジニウムジ−4−クロロベンゼンスルホネートである、請求項59に記載の装置。
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