JPWO2004032641A1 - チーズの製造法 - Google Patents
チーズの製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2004032641A1 JPWO2004032641A1 JP2004542864A JP2004542864A JPWO2004032641A1 JP WO2004032641 A1 JPWO2004032641 A1 JP WO2004032641A1 JP 2004542864 A JP2004542864 A JP 2004542864A JP 2004542864 A JP2004542864 A JP 2004542864A JP WO2004032641 A1 JPWO2004032641 A1 JP WO2004032641A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cheese
- protease
- ripening
- milk
- curd
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A23—FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
- A23C—DAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
- A23C19/00—Cheese; Cheese preparations; Making thereof
- A23C19/06—Treating cheese curd after whey separation; Products obtained thereby
- A23C19/063—Addition of, or treatment with, enzymes or cell-free extracts of microorganisms
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Dairy Products (AREA)
Abstract
プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することを特徴とする呈味、風味の優れたチーズを短期間に製造する方法。
Description
本発明は、チーズの製造法、さらに詳しくは熟成が促進され、しかも得られるチーズが風味に優れるチーズの製造法に関する。
周知のように、チーズは原料乳の種類(牛乳、山羊乳、羊乳、水牛乳、トナカイ乳、ロバ乳、ラクダ乳、また全乳、半脱脂乳、脱脂乳など)、凝固方式(乳酸発酵主体、レンネット併用)、使用微生物(カビ、細菌)、熟成方式(熟成、非熟成)、硬さ(水分や脂質含量)などにより分類される。一般には、硬さ(水分含量)と熟成の特徴により、例えば、次のように分類されることが多い。すなわち、水分50%以上の軟質チーズ(カテージチーズなど非熟成(フレッシュ)チーズ及びリンブルガーチーズやカマンベールチーズなどの細菌や白カビを使用して熟成するもの)、水分40〜50%の半硬質チーズ(チルジットチーズなどの細菌熟成によるもの及びロックホールチーズなどの青カビ熟成によるもの)、水分25〜40%の硬質チーズ(ゴーダチーズなどの乳酸発酵によるものやエメンタールチーズなどのプロピオン酸発酵によるもの)、そして水分20%以下の超硬質チーズ(パルメザンチーズなどの細菌熟成によるもの)である。
そして、チーズの製造法は、例えば、次のように解説されている。すなわち、「チーズの製造法は、個々により独特のものであるが、基本的な共通の工程と独自の工程との組合せにより、特徴ある個性的なチーズが生み出される。例えば、細菌による熟成チーズの製造工程の例を示すと、原料乳は、製造しようとするチーズに合わせ標準化(脂質と無脂乳固形分の比を調整)し、遠心除菌・均質化し、71〜75℃・15秒程度の加熱による軽い殺菌をする。スターター(0.05〜0.5%)・カルシウム(140〜160mg/原料乳100mlになるよう)を添加し、15分〜2時間後(非熟成チーズは長い)にレンネットを加えカードを生成させる。30℃前後に約30分静置後、カードの細切(カッティング)を行い、穏かに撹拌(かくはん)してホエーの排出をはかりホエーの一部を除く。さらに撹拌しながら昇温(加温、クッキング)させ、細切されたカードの収縮と酸生成によりカード内部からホエーを排出させ丸みのあるカード粒とし、ホエーと分離させる。木製または金属製の型にカード粒をいれ圧搾すると、カード粒は結着して緻密な組織となり整形される(生チーズ、green cheese)。加塩は食塩を直接加えるか食塩水(ブライン)に浸漬する。細菌による熟成されるチーズは、7〜15℃・湿度75〜85%で3か月から長いものでは、1年以上熟成され複雑な発酵風味が醸成される。かび熟成チーズでは、4〜14℃、湿度85〜90%で15〜90日と細菌熟成チーズに比べ低温、高湿度、短期間で熟成される。熟成期間中は反転を繰り反し、上下左右の差ができないようにする。また表面を、拭いたり、洗浄したり、油を塗ったり、パラフィンワックス処理したりする。最近では、チーズの表面を、酸素や水分透過性の少ない熱収縮性のフィルムで真空密着包装したリンド(チーズの表面の堅い部分)のない製品も多い。
非熟成チーズ(フレッシュチーズ、fresh cheese)では、撹拌によりカードは細切され、55℃前後に加温しホエーの排出を促し、布袋や遠心力によりホエーを排除し、堆積または圧搾したのち、食塩、クリーム、安定剤などを必要に応じて加えて製品とする」(以上、丸善(株)平成10年発行「丸善食品総合辞典」第679頁)。
さて、半硬質チーズあるいは硬質チーズの熟成促進のために、リパーゼやプロテアーゼ、エステラーゼ等の酵素を用いる技術が知られている(例えば、高藤「月刊フードケミカル」7巻54頁(1989)およびN.Y.Farke and P.F.Fox;J.Dairy Research,59巻209頁(1992)。しかしながら、従来のプロテアーゼを用いる方法では、製品のチーズに強い苦味が付与されるという問題点があった。
そして、チーズの製造法は、例えば、次のように解説されている。すなわち、「チーズの製造法は、個々により独特のものであるが、基本的な共通の工程と独自の工程との組合せにより、特徴ある個性的なチーズが生み出される。例えば、細菌による熟成チーズの製造工程の例を示すと、原料乳は、製造しようとするチーズに合わせ標準化(脂質と無脂乳固形分の比を調整)し、遠心除菌・均質化し、71〜75℃・15秒程度の加熱による軽い殺菌をする。スターター(0.05〜0.5%)・カルシウム(140〜160mg/原料乳100mlになるよう)を添加し、15分〜2時間後(非熟成チーズは長い)にレンネットを加えカードを生成させる。30℃前後に約30分静置後、カードの細切(カッティング)を行い、穏かに撹拌(かくはん)してホエーの排出をはかりホエーの一部を除く。さらに撹拌しながら昇温(加温、クッキング)させ、細切されたカードの収縮と酸生成によりカード内部からホエーを排出させ丸みのあるカード粒とし、ホエーと分離させる。木製または金属製の型にカード粒をいれ圧搾すると、カード粒は結着して緻密な組織となり整形される(生チーズ、green cheese)。加塩は食塩を直接加えるか食塩水(ブライン)に浸漬する。細菌による熟成されるチーズは、7〜15℃・湿度75〜85%で3か月から長いものでは、1年以上熟成され複雑な発酵風味が醸成される。かび熟成チーズでは、4〜14℃、湿度85〜90%で15〜90日と細菌熟成チーズに比べ低温、高湿度、短期間で熟成される。熟成期間中は反転を繰り反し、上下左右の差ができないようにする。また表面を、拭いたり、洗浄したり、油を塗ったり、パラフィンワックス処理したりする。最近では、チーズの表面を、酸素や水分透過性の少ない熱収縮性のフィルムで真空密着包装したリンド(チーズの表面の堅い部分)のない製品も多い。
非熟成チーズ(フレッシュチーズ、fresh cheese)では、撹拌によりカードは細切され、55℃前後に加温しホエーの排出を促し、布袋や遠心力によりホエーを排除し、堆積または圧搾したのち、食塩、クリーム、安定剤などを必要に応じて加えて製品とする」(以上、丸善(株)平成10年発行「丸善食品総合辞典」第679頁)。
さて、半硬質チーズあるいは硬質チーズの熟成促進のために、リパーゼやプロテアーゼ、エステラーゼ等の酵素を用いる技術が知られている(例えば、高藤「月刊フードケミカル」7巻54頁(1989)およびN.Y.Farke and P.F.Fox;J.Dairy Research,59巻209頁(1992)。しかしながら、従来のプロテアーゼを用いる方法では、製品のチーズに強い苦味が付与されるという問題点があった。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、呈味や風味の優れたチーズをしかも短期間に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前項記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することにより前記の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することを特徴とするチーズの製造法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のチーズの製造法において熟成促進のために使用されるプロテアーゼD3とは元々ダイズ由来チオールプロテアーゼで、ダイズの発芽時に発現する酵素であり、種子中の貯蔵タンパク質を効率的に分解することのできるプロテアーゼである(特開平8−264号公報)。本発明者は、チオールプロテアーゼD3を単独でタンパク質に作用させて加水分解することにより、遊離アミノ酸量が少なく、苦味の弱いペプチドを得ることに成功し、既に特許出願を行っている(特開2000−83695号公報)。また、プロテアーゼD3の大量生産のため、大腸菌や酵母での発現と製造に成功し、既に特許出願を行っている(特開平9−121870号公報)。なお、本発明において使用するプロテアーゼD3は、ダイズ由来のプロテアーゼD3でも組み換えプロテアーゼD3でもどちらを用いてもよいことは言うまでもない。すなわち、プロテアーゼD3活性を有する限りいずれの方法にて調製したものでも、本発明ではプロテアーゼD3とする。
さて、先に述べたように、チーズの製造法にはチーズの種類の多様なるに一致して、基本的な共通の工程と独自の工程との組合せにより多種のものがある。そこで、ゴーダチーズタイプのチーズを例にとって、本発明の方法を説明する。
先ず、低温殺菌牛乳に乳酸菌(スターター)を加え、攪拌混合する。ついで、レンネット(キモシン)を加えて常法によりチーズカードを作成する。チーズカードをカッテイングし、分離ホエーを排除した後、加塩、型詰、圧搾する。そして、これを15℃前後で熟成することにより目的とするチーズを得る。
本発明に従ってチーズの熟成を促進するためには、熟成促進の効果が奏される限り、チーズ製造のいずれの工程でプロテアーゼD3をチーズカードに添加してもよいが、例えば、分離ホエーを排除した後の工程の加塩や型詰の工程でプロテアーゼD3をチーズカードに添加混合するなどして処理すればよい。
酵素D3はSDS−PAGEで単一バンドになる純度に調整し、カード重量に対して0.005〜5重量%(タンパク質量換算)のD3を添加することで所期の目的を達せられるが0.01〜1重量%が特に好ましい効果が得られる。なお、タンパク質濃度の測定にはProtein Assay Kit(BIO−RAD)を用いた。また、StandardとしてIgG(BIO−RAD)を用いた。
また、本発明のプロテアーゼD3を使用してチーズの熟成を促進するチーズの製造法の適用すべき対象チーズとしては半硬質、硬質および超硬質チーズのような熟成に時間のかかるチーズであればどれでもよく、例えばチェダー、ゴーダ、エダム、サムソー、エメンタール等を挙げることができる。また、各チーズによって製造方法が異なるが、熟成促進効果の奏される限りはチーズ作成中のいずれかの段階でプロテアーゼD3を添加することにより目的を達することができる。
本発明者は、前項記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することにより前記の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することを特徴とするチーズの製造法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のチーズの製造法において熟成促進のために使用されるプロテアーゼD3とは元々ダイズ由来チオールプロテアーゼで、ダイズの発芽時に発現する酵素であり、種子中の貯蔵タンパク質を効率的に分解することのできるプロテアーゼである(特開平8−264号公報)。本発明者は、チオールプロテアーゼD3を単独でタンパク質に作用させて加水分解することにより、遊離アミノ酸量が少なく、苦味の弱いペプチドを得ることに成功し、既に特許出願を行っている(特開2000−83695号公報)。また、プロテアーゼD3の大量生産のため、大腸菌や酵母での発現と製造に成功し、既に特許出願を行っている(特開平9−121870号公報)。なお、本発明において使用するプロテアーゼD3は、ダイズ由来のプロテアーゼD3でも組み換えプロテアーゼD3でもどちらを用いてもよいことは言うまでもない。すなわち、プロテアーゼD3活性を有する限りいずれの方法にて調製したものでも、本発明ではプロテアーゼD3とする。
さて、先に述べたように、チーズの製造法にはチーズの種類の多様なるに一致して、基本的な共通の工程と独自の工程との組合せにより多種のものがある。そこで、ゴーダチーズタイプのチーズを例にとって、本発明の方法を説明する。
先ず、低温殺菌牛乳に乳酸菌(スターター)を加え、攪拌混合する。ついで、レンネット(キモシン)を加えて常法によりチーズカードを作成する。チーズカードをカッテイングし、分離ホエーを排除した後、加塩、型詰、圧搾する。そして、これを15℃前後で熟成することにより目的とするチーズを得る。
本発明に従ってチーズの熟成を促進するためには、熟成促進の効果が奏される限り、チーズ製造のいずれの工程でプロテアーゼD3をチーズカードに添加してもよいが、例えば、分離ホエーを排除した後の工程の加塩や型詰の工程でプロテアーゼD3をチーズカードに添加混合するなどして処理すればよい。
酵素D3はSDS−PAGEで単一バンドになる純度に調整し、カード重量に対して0.005〜5重量%(タンパク質量換算)のD3を添加することで所期の目的を達せられるが0.01〜1重量%が特に好ましい効果が得られる。なお、タンパク質濃度の測定にはProtein Assay Kit(BIO−RAD)を用いた。また、StandardとしてIgG(BIO−RAD)を用いた。
また、本発明のプロテアーゼD3を使用してチーズの熟成を促進するチーズの製造法の適用すべき対象チーズとしては半硬質、硬質および超硬質チーズのような熟成に時間のかかるチーズであればどれでもよく、例えばチェダー、ゴーダ、エダム、サムソー、エメンタール等を挙げることができる。また、各チーズによって製造方法が異なるが、熟成促進効果の奏される限りはチーズ作成中のいずれかの段階でプロテアーゼD3を添加することにより目的を達することができる。
図1は熟度の経時的変化を示す(実施例1)。
図2は熟成8週目の熟度を示す(実施例1)。
図3はチーズの硬さを示す(実施例1)。
図2は熟成8週目の熟度を示す(実施例1)。
図3はチーズの硬さを示す(実施例1)。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の技術的範囲は下記実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1:
ゴーダチーズタイプのチーズを製造した。牛乳は市販の低温殺菌牛乳(成分無調整)を用い、スターターとしてクリスチャンハンセン社のスターターを使用し、そして凝乳酵素としてレンネットを用いた。得られたチーズカードをカッテイングし、分離ホエーを排除した後、カード重量に対し0.03%のプロテアーゼD3を添加しよく混合した。次いで、加塩、型詰、圧搾し、一晩放置した後、15℃で熟成した。
なお、以下においてこのようにしてプロテアーゼD3酵素を添加した製造したチーズをD3チーズといい、同様の方法で、しかしながら酵素無添加で作成したチーズをノーマルチーズ、そして、その他のプロテアーゼの「プロテアーゼS」および「パパインW−40」(何れも天野エンザイム製)を添加使用して製造したチーズを、それぞれ、PSチーズおよびPWチーズと呼ぶ。他酵素の添加量はD3と同じくカード重量に対して0.03%である(タンパク質量換算)。
このようにして試作した4種類のチーズについて、タンパク質分解率の測定、硬さの測定および官能評価を行なった。
試作したチーズの熟成の程度(熟度)はタンパク質分解率であらわすことにした。すなわち、タンパク質分解率は、全窒素(TN)および水溶性窒素(SN)をケルダール法によって測定し、タンパク質分解の程度を表す指数としてSN/TN(熟度)を算出した。各チーズの熟度の経時的な変化を後掲図1および2に示す。本数値が高い程、熟成していることを示す。
硬さについては、テクスチャーアナライザー(Stable Micro System社製)を用い、5mmの球形プランジャーにて圧縮による荷重測定を実施し、その積分値を硬さとした。その結果を後掲図3に示す。
最後に官能検査については、熟成8週目の各チーズを5名からなる官能検査団(n=5)で苦味、硬さ(軟らかさ)および風味の点で官能評価した。その結果を下記第1表に示す。
以上の結果から理解できるように、D3チーズはノーマルチーズに比べ大幅に熟度が上昇した。また、他のプロテアーゼ添加チーズと比較すると、PSチーズより大きく熟度は上昇し、PWよりはやや熟度が上昇している。
硬さに関しては、D3チーズとPWチーズはノーマルチーズのほぼ2倍軟らかくなり、PSチーズはノーマルチーズとD3チーズの中間の軟らかさであった。
官能評価によると、ノーマルチーズとPSチーズは熟成途中でチーズになり切っていない感じで、硬い。一方、D3チーズとPWチーズはやわらかく熟成したチーズとなっていた。しかし、PWチーズはきわめて強い苦味と異風味がしたのに対し、D3チーズはPWチーズに比べかなり弱い苦味を後味として感じる程度(いわゆるチーズ独特の好ましい苦味)で、風味は非常によかった。
実施例1:
ゴーダチーズタイプのチーズを製造した。牛乳は市販の低温殺菌牛乳(成分無調整)を用い、スターターとしてクリスチャンハンセン社のスターターを使用し、そして凝乳酵素としてレンネットを用いた。得られたチーズカードをカッテイングし、分離ホエーを排除した後、カード重量に対し0.03%のプロテアーゼD3を添加しよく混合した。次いで、加塩、型詰、圧搾し、一晩放置した後、15℃で熟成した。
なお、以下においてこのようにしてプロテアーゼD3酵素を添加した製造したチーズをD3チーズといい、同様の方法で、しかしながら酵素無添加で作成したチーズをノーマルチーズ、そして、その他のプロテアーゼの「プロテアーゼS」および「パパインW−40」(何れも天野エンザイム製)を添加使用して製造したチーズを、それぞれ、PSチーズおよびPWチーズと呼ぶ。他酵素の添加量はD3と同じくカード重量に対して0.03%である(タンパク質量換算)。
このようにして試作した4種類のチーズについて、タンパク質分解率の測定、硬さの測定および官能評価を行なった。
試作したチーズの熟成の程度(熟度)はタンパク質分解率であらわすことにした。すなわち、タンパク質分解率は、全窒素(TN)および水溶性窒素(SN)をケルダール法によって測定し、タンパク質分解の程度を表す指数としてSN/TN(熟度)を算出した。各チーズの熟度の経時的な変化を後掲図1および2に示す。本数値が高い程、熟成していることを示す。
硬さについては、テクスチャーアナライザー(Stable Micro System社製)を用い、5mmの球形プランジャーにて圧縮による荷重測定を実施し、その積分値を硬さとした。その結果を後掲図3に示す。
最後に官能検査については、熟成8週目の各チーズを5名からなる官能検査団(n=5)で苦味、硬さ(軟らかさ)および風味の点で官能評価した。その結果を下記第1表に示す。
以上の結果から理解できるように、D3チーズはノーマルチーズに比べ大幅に熟度が上昇した。また、他のプロテアーゼ添加チーズと比較すると、PSチーズより大きく熟度は上昇し、PWよりはやや熟度が上昇している。
硬さに関しては、D3チーズとPWチーズはノーマルチーズのほぼ2倍軟らかくなり、PSチーズはノーマルチーズとD3チーズの中間の軟らかさであった。
官能評価によると、ノーマルチーズとPSチーズは熟成途中でチーズになり切っていない感じで、硬い。一方、D3チーズとPWチーズはやわらかく熟成したチーズとなっていた。しかし、PWチーズはきわめて強い苦味と異風味がしたのに対し、D3チーズはPWチーズに比べかなり弱い苦味を後味として感じる程度(いわゆるチーズ独特の好ましい苦味)で、風味は非常によかった。
本発明に従ってプロテアーゼD3を使用することでチーズの熟成期間を大幅に短縮することができ、また熟度が同程度の、他のプロテアーゼを使用したものと比べると苦味が少なく、かつ風味のよいチーズの製造が可能となった。
Claims (2)
- プロテアーゼD3を用いて熟成を促進することを特徴とするチーズの製造法。
- プロテアーゼD3の使用量が分離ホエー排除後のカードに対し0.005〜5重量%(タンパク質量換算)であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のチーズの製造法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002299438 | 2002-10-11 | ||
JP2002299438 | 2002-10-11 | ||
PCT/JP2003/013016 WO2004032641A1 (ja) | 2002-10-11 | 2003-10-09 | チーズの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2004032641A1 true JPWO2004032641A1 (ja) | 2006-03-02 |
Family
ID=32089342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004542864A Pending JPWO2004032641A1 (ja) | 2002-10-11 | 2003-10-09 | チーズの製造法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2004032641A1 (ja) |
AU (1) | AU2003271164A1 (ja) |
WO (1) | WO2004032641A1 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2009001443A1 (ja) * | 2007-06-27 | 2010-08-26 | ニチニチ製薬株式会社 | 発酵豆乳より得られるチーズ様食品とその製造法 |
JP5800328B2 (ja) * | 2007-09-27 | 2015-10-28 | 株式会社明治 | 熟成型ナチュラルチーズの製造方法 |
JP6914018B2 (ja) * | 2016-09-16 | 2021-08-04 | 株式会社明治 | 軟質カビ系チーズの組織検査方法及び検査装置 |
KR102396235B1 (ko) * | 2021-12-08 | 2022-05-10 | 강보라 | 약콩을 이용한 그릭 요거트 제조방법 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06261682A (ja) * | 1993-03-12 | 1994-09-20 | Riyoushiyoku Kenkyukai | 果実プロテア−ゼによるチ−ズの熟成促進方 法 |
JP2000083695A (ja) * | 1998-09-16 | 2000-03-28 | Ajinomoto Co Inc | 低苦味ペプチドの製造法 |
-
2003
- 2003-10-09 AU AU2003271164A patent/AU2003271164A1/en not_active Abandoned
- 2003-10-09 WO PCT/JP2003/013016 patent/WO2004032641A1/ja active Application Filing
- 2003-10-09 JP JP2004542864A patent/JPWO2004032641A1/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2004032641A1 (ja) | 2004-04-22 |
AU2003271164A1 (en) | 2004-05-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Alichanidis et al. | Suitability of some microbial coagulants for Feta cheese manufacture | |
Fox et al. | Factors that affect the quality of cheese | |
NZ202514A (en) | Whey protein recovery process | |
EP3763220A1 (en) | Coagulation of milk | |
CN107205414B (zh) | 用于制作奶酪类食品,特别是奶酪、奶酪特制品或奶酪替代品的方法 | |
COONEY et al. | Effect of somatic cell count and polymorphonuclear leucocyte content of milk on composition and proteolysis during ripening of Swiss-type cheese | |
Guinee et al. | Reducing salt in cheese and dairy spreads | |
US20100092609A1 (en) | method for producing cheese | |
Irigoyen et al. | Influence of calf or lamb rennet on the physicochemical, proteolytic, and sensory characteristics of an ewe's-milk cheese | |
Green | Effect of milk pretreatment and making conditions on the properties of Cheddar cheese from milk concentrated by ultrafiltration | |
KR101200183B1 (ko) | 막걸리를 첨가한 경질 치즈의 제조방법 | |
Ibáñez et al. | Low-and reduced-fat milled curd, direct-salted Gouda cheese: Comparison of lactose standardization of cheesemilk and whey dilution techniques | |
Khanal et al. | Cheese: Importance and introduction to basic technologies | |
WIUM et al. | Proteolysis and its role in relation to texture of Feta cheese made from ultrafiltered milk with different amounts of rennet | |
Reis et al. | Applicability of extracts from Centaurea calcitrapa in ripening of bovine cheese | |
Kalit et al. | Proteolysis of Livanjski cheese during ripening | |
JPWO2004032641A1 (ja) | チーズの製造法 | |
Katsiari et al. | Manufacture of low-fat Kefalograviera cheese | |
JP4014346B2 (ja) | ナチュラルチーズ及びその製造方法 | |
AU599978B2 (en) | Process for the treatment of milk for cheesemaking | |
JPH0642814B2 (ja) | チーズ類の製造方法 | |
Medina et al. | Characteristics of Burgos and Hispánico cheeses manufactured with calf rennet or with recombinant chymosin | |
JP3092909B2 (ja) | 半硬質又は硬質チーズ及びその製造法 | |
JP6696500B2 (ja) | チーズの製造方法及びチーズ改質用の製剤 | |
JP2622864B2 (ja) | 乳酸発酵食品の製造および凝乳酵素組成物 |