JPWO2004022744A1 - tRNAのアミノアシル化方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、これまでとは全く異なった、アミノアシルtRNAの化学的合成法であって、遺伝子工学的手法を必要とせず、簡便で、且つどのような非天然アミノ酸でもアミノアシル化することが出来、更には、放射性同位体を用いずに検出することが出来る、アミノアシルtRNAの効率的で且つ実用性の高い合成法を提供することを目的とする。本発明は、tRNAとアミノ酸をミセル中の界面近傍に閉じこめ、両者を近接させて反応させるか、又は、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることによりtRNAとアミノ酸を近接させて反応させる、上記アミノアシル化方法に関する。
Description
本発明は、tRNAのアミノアシル化方法に関する。詳しくは、本発明は、非天然アミノ酸を蛋白質に導入する際に必須となる、アミノ酸(非天然アミノ酸)のtRNA(転移RNA、トランスファーRNA)への付加方法(tRNAのアミノアシル化法)に関するものである。なお、本方法は当然のことながら天然アミノ酸にも適用可能である。
ゲノム研究が進み、総合的なプロテオーム研究が現実的なものとなってきている。とは言え、構造が複雑で、数も多い蛋白質の働きを把握しようというのは並大抵の難しさではない。そこで蛋白質の機能解析方法として蛋白質のある特定部位に機能性アミノ酸を導入することで複雑な蛋白質に人工的な機能を付加し、蛋白質の構造及び機能を解明することが必要とされるようになってきた。
一方、非天然アミノ酸を導入した蛋白質の作成が、プロテオーム解析、薬効など有意な性能を示す蛋白質の創製、などから、必要視されている。
非天然アミノ酸含有蛋白質の作製には、非天然アミノ酸のtRNAへの付加(tRNAのアミノアシル化)が、必須である。これについては、多くの研究がなされているが、その代表的手法も非常に煩雑なものである。これが、非天然アミノ酸含有蛋白質の開発のネックとなっている。
現在、世界中の研究者達がアミノアシル化を様々な手法で試みている。最も一般的な手法として用いられているのはHechtらが開発した化学的アミノアシル化である。この手法は通常のtRNAよりも2残基短いtruncated tRNAを生化学的手法にて作製し、一方で化学的にアミノアシル化した2残基を化学合成し、次に両者を連結酵素リガーゼで結合させる、という煩雑で、高度な技術が必要とされる手法である(例えば、先行技術文献1参照。)。また、この手法では合成、できるアミノアシルtRNAの収量も少なく、収率アップもあまり期待出来ない。
また、Schultzらは遺伝子工学的手法を用いて天然のアミノアシルtRNA合成酵素を改変し非天然アミノ酸の導入を試みている(例えば、先行技術文献2参照。)。この手法は高度な技術が必要とされ、収率も低い。そして種々の側鎖構造を持ち得る非天然アミノ酸を基質とする為には技術的に限界がある。
更に、菅らはHechtらとは異なった手法でアミノアシル化を試みている。この手法は試験管内で進化させた機能性RNA(リボザイム)を作製し、tRNAをアミノアシル化させる(例えば、先行技術文献3参照。)。この手法では非天然アミノ酸を用いたアミノアシル化は成功しておらず、また、tRNAに対して基質となるアミノ酸−RNAを100倍等量加えなくては生成物を得られない。そして、何よりも操作が煩雑である。
山下らはアミノアシルtRNAヒドロラーゼを利用したアミノアシル化を報告している(例えば、先行技術文献4参照。)。この手法は実用性に乏しく、現実には殆ど用いられていない。理由としては、基質特異性の問題も含めてアミノアシル化の収率が低いこと、酵素の安定性が低いこと等が挙げられる。
また、本発明者らは、先にアンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化について検討した結果を日本化学会で発表しているが(例えば、先行技術文献5参照。)、ここではその可能性について発表したに過ぎず、この段階では、未だtRNAのアミノアシル化に成功したわけではなく、tRNAのアミノアシル化の新規で効果的な方法が見出されたわけでも、tRNAのアミノアシル化の具体的な操作手順が確立されたわけでもない。
本出願の発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
1. Heckler,T.G.;Chang,L.H.;Zama,Y.;Naka,T.;Chorghade,M.S.;Hecht,S.M.バイオケミストリー(Biochemistry),1984,23,1468−.
2. Noren,C.J,;Anthony−Cahill,S.J.;Griffith,M.C.;Schultz,P.G.サイエンス(Science),1989,244,282−.
3. Bessho,Y.;Hodgson,D.R−W;Suga,H.ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology),2002,20,723−728.
4. 特開平6−261756号公報
5. 日本化学会講演予稿集,VOL.79th,No.2,873頁,2001年
一方、非天然アミノ酸を導入した蛋白質の作成が、プロテオーム解析、薬効など有意な性能を示す蛋白質の創製、などから、必要視されている。
非天然アミノ酸含有蛋白質の作製には、非天然アミノ酸のtRNAへの付加(tRNAのアミノアシル化)が、必須である。これについては、多くの研究がなされているが、その代表的手法も非常に煩雑なものである。これが、非天然アミノ酸含有蛋白質の開発のネックとなっている。
現在、世界中の研究者達がアミノアシル化を様々な手法で試みている。最も一般的な手法として用いられているのはHechtらが開発した化学的アミノアシル化である。この手法は通常のtRNAよりも2残基短いtruncated tRNAを生化学的手法にて作製し、一方で化学的にアミノアシル化した2残基を化学合成し、次に両者を連結酵素リガーゼで結合させる、という煩雑で、高度な技術が必要とされる手法である(例えば、先行技術文献1参照。)。また、この手法では合成、できるアミノアシルtRNAの収量も少なく、収率アップもあまり期待出来ない。
また、Schultzらは遺伝子工学的手法を用いて天然のアミノアシルtRNA合成酵素を改変し非天然アミノ酸の導入を試みている(例えば、先行技術文献2参照。)。この手法は高度な技術が必要とされ、収率も低い。そして種々の側鎖構造を持ち得る非天然アミノ酸を基質とする為には技術的に限界がある。
更に、菅らはHechtらとは異なった手法でアミノアシル化を試みている。この手法は試験管内で進化させた機能性RNA(リボザイム)を作製し、tRNAをアミノアシル化させる(例えば、先行技術文献3参照。)。この手法では非天然アミノ酸を用いたアミノアシル化は成功しておらず、また、tRNAに対して基質となるアミノ酸−RNAを100倍等量加えなくては生成物を得られない。そして、何よりも操作が煩雑である。
山下らはアミノアシルtRNAヒドロラーゼを利用したアミノアシル化を報告している(例えば、先行技術文献4参照。)。この手法は実用性に乏しく、現実には殆ど用いられていない。理由としては、基質特異性の問題も含めてアミノアシル化の収率が低いこと、酵素の安定性が低いこと等が挙げられる。
また、本発明者らは、先にアンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化について検討した結果を日本化学会で発表しているが(例えば、先行技術文献5参照。)、ここではその可能性について発表したに過ぎず、この段階では、未だtRNAのアミノアシル化に成功したわけではなく、tRNAのアミノアシル化の新規で効果的な方法が見出されたわけでも、tRNAのアミノアシル化の具体的な操作手順が確立されたわけでもない。
本出願の発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
1. Heckler,T.G.;Chang,L.H.;Zama,Y.;Naka,T.;Chorghade,M.S.;Hecht,S.M.バイオケミストリー(Biochemistry),1984,23,1468−.
2. Noren,C.J,;Anthony−Cahill,S.J.;Griffith,M.C.;Schultz,P.G.サイエンス(Science),1989,244,282−.
3. Bessho,Y.;Hodgson,D.R−W;Suga,H.ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology),2002,20,723−728.
4. 特開平6−261756号公報
5. 日本化学会講演予稿集,VOL.79th,No.2,873頁,2001年
本発明は、これまでとは全く異なった、アミノアシルtRNAの化学的合成法であって、遺伝子工学的手法を必要とせず、簡便で、且つどのような非天然アミノ酸でもアミノアシル化することが出来、更には、放射性同位体を用いずに検出することが出来る(従来技術として記載した上記4例(先行技術文献1〜4)は何れも放射性同位体を用いている。)、アミノアシルtRNAの効率的で且つ実用性の高い合成法を提供することを目的とする。
本発明は、tRNAを選択的にアミノアシル化してアミノアシルtRNAを製造するに際し、tRNAとアミノ酸を近接させて反応させることを特徴とする、tRNAのアミノアシル化方法に関する。
より具体的には、本発明は、tRNAとアミノ酸をミセル中の界面近傍に閉じこめ、両者を近接させて反応させるか、又は、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることにより両者を近接させて反応させる、上記アミノアシル化方法に関する。
また、本発明は、下記一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物を用いてtRNAとの反応を行う上記アミノアシル化方法に関する。
更に、本発明は、上記アミノアシル化方法に使用し得る上記一般式[1]で示される化合物に関する。
本発明は、tRNAを選択的にアミノアシル化してアミノアシルtRNAを製造するに際し、tRNAとアミノ酸を近接させて反応させることを特徴とする、tRNAのアミノアシル化方法に関する。
より具体的には、本発明は、tRNAとアミノ酸をミセル中の界面近傍に閉じこめ、両者を近接させて反応させるか、又は、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることにより両者を近接させて反応させる、上記アミノアシル化方法に関する。
また、本発明は、下記一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物を用いてtRNAとの反応を行う上記アミノアシル化方法に関する。
更に、本発明は、上記アミノアシル化方法に使用し得る上記一般式[1]で示される化合物に関する。
第1図は、ミセル系でのアミノアシル化に用いるペプチド核酸の構造を示す。
第2図は、アンチセンス分子によるtRNAアミノアシル化の反応機構を示す。
第3図は、アンチセンス分子を用いたtRNAアミノアシル化方法において用いられるアミノ酸−アンチセンス分子の構造を示す。
第4図は、アンチセンス分子を用いた二元系におけるアミノアシル化の解析方法を示す。
第5図は、DNAをテンプレートとしたペプチド核酸によるアミノアシル化(アンチセンス分子を用いた三元系アミノアシル化)の解析方法を示す。
第6図は、各種非天然アミノ酸の例示である。
第7図は、HPLC及びTOF−MSによるアミノアシル化の検出を示す。
第2図は、アンチセンス分子によるtRNAアミノアシル化の反応機構を示す。
第3図は、アンチセンス分子を用いたtRNAアミノアシル化方法において用いられるアミノ酸−アンチセンス分子の構造を示す。
第4図は、アンチセンス分子を用いた二元系におけるアミノアシル化の解析方法を示す。
第5図は、DNAをテンプレートとしたペプチド核酸によるアミノアシル化(アンチセンス分子を用いた三元系アミノアシル化)の解析方法を示す。
第6図は、各種非天然アミノ酸の例示である。
第7図は、HPLC及びTOF−MSによるアミノアシル化の検出を示す。
tRNAとアミノ酸を近接させて反応させる方法としては、例えば、tRNAとアミノ酸をミセル中の界面近傍に閉じこめ、両者を近接させて反応させる方法(以下、方法1と呼ぶ。)、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることにより両者を近接させて反応させる方法(以下、方法2と呼ぶ。)等がある。
方法1には、アミノ酸のカルボキシル基を活性化して、これをミセル中に閉じこめ、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる方法(方法1−1)と、アミノ酸のカルボキシル基をミセル内部で縮合剤を用いて活性化し、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中の界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる方法(方法1−2)とが有る。
即ち、アミノアシル化反応とはtRNAの3’末端の水酸基(2’−,3’−何れも可)とアミノ酸のカルボキシル基とが脱水縮合することを言うのであるが、ここで問題になるのは、どちらも反応性が低いtRNAの水酸基とカルボキシル基とを副反応(例えば溶媒に用いている水とカルボキシル基との縮合等)させることなく両者を反応させることである。その為にアミノ酸のカルボキシ基を反応性が高い構造(活性化)にした上でこれを用いている。活性化の方法としては二つ有り、その一つは有機合成的手法を用いてアミノ酸を活性化する方法(即ち、上記方法1−1)で有り、他の一つはミセル内部で縮合剤を用い、アミノ酸を活性化する方法(即ち、上記方法1−2)である。
どちらの方法で行うかは任意であるが、方法1−2のメリットとしては、例えば、1)アミノ酸を活性化させずに用いることが出来る、2)ミセル中で活性エステルを形成させるので活性化アミノ酸のように単離精製する必要が無く不安定な活性化アミノ酸でも用いることが出来る、等の点が挙げられる。
方法1−1で用いられる活性化アミノ酸としては、例えば、以下の如きものが挙げられる。
a)エステル系
アミノ酸シアノメチルエステル(Nvoc−aa−OCM)
アミノ酸フェノールエステル(Nvoc−aa−OPhe)
b)スクシンイミド系
アミノ酸スクシンイミドエステル(Nvoc−aa−OSu)
c)チオエステル系
アミノ酸チオエステル(Nvoc−aa−SE)
アミノ酸チオフェノールエステル(Nvoc−aa−SPhe)
d)イミダゾール系
アミノ酸イミダゾライド(Nvoc−aa−Im)
e)酸無水物系
アミノ酸対称酸無水物((Nvoc−aa)2O)
アミノ酸混合酸無水物(Nvoc−aa−O−X)
注)Nvoc:6−ニトロベラトリル基、−aa−:アミノ酸残基
方法1−2(ミセル内部で縮合剤を用い、アミノ酸を活性化する方法)で用いられる縮合剤としては、例えば、以下の如きものが挙げられる。
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジウム ヘキサフルオロホスフェイト:CIP
N,N’−カルボニルジイミダゾール:CDI
ジエチルホスフォロシアニデート:DEPC
ジシクロヘキシルカルボジイミド:DCC
なお、方法1で用いられるアミノ酸は、アミノ基を保護して用いることが好ましい。保護基導入が必要な理由は、アミノ酸の活性化部位とアミノ基とを分子間で反応させないためである。アミノ基の保護基としては、アミノアシル化後、容易に除去可能なもので有れば、何れの保護基でも良いが、例えば6−ニトロベラトリル基(Nvoc:354nmの紫外光を照射することで脱離可能)やペンテノイル基(Pentenoyl)等が好ましいものとして挙げられる。前者はアミノアシル化後蛋白質合成系に用いる際、UVランプを10分ほど照射することで脱離可能である。また、後者はアミノアシル化後、蛋白質合成系に用いる際、約10mMのヨウ素液で10分位室温で処理することにより簡単に脱離可能である。
本発明の方法1は、通常、界面活性剤の存在下で行われる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の何れでも良く、また、数種の界面活性剤を混合した系(例えば非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤)も使用可能であるが、カチオン性界面活性剤を用いた系が最も高収率でアミノアシルtRNAを得ることが出来る。カチオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTACl)等が挙げられる。アニオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、例えばホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等何れのものでも良いが、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型の非イオン性界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。より具体的な商品名としては、Tween#−20,40,60,85等が挙げられる。
また、界面活性剤を使用する代りに、ポリエチレンイミンや表面にカチオン性基を持ったデンドリマーを使用した系も可能である。
ミセルはO/W(水中油滴)型が好ましいが、W/O型(逆ミセル)やオイルフリーの系等も可能である。なお、オイルフリーの系で用いられる溶剤としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
また、O/W(水中油滴)型でのオイル分としては、例えば、トルエンや酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
本発明の方法1において、ミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入する方法としては、例えば、ペプチド核酸(PNA)末端へ疎水性官能基を導入したものを、tRNAの3’末端近傍へ疎水基が来るように、tRNAへ部位特異的相補結合させて、3’末端基部分を疎水性にする方法が挙げられる。
本発明の方法1において用いられるペプチド核酸(PNA)としては、合成し易くtRNAとの結合を制御しやすい、鎖長n=4〜10のものが挙げられる。
また、PNAに導入する官能基としては、例えば、リトコール酸等のコール酸残基(ステロイド骨格を有する)、デカン酸等の水に難溶性の脂肪族カルボン酸残基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)等のアミノ保護基等が挙げられる。
疎水性官能基をアミド結合によりペプチド核酸に導入する方法としては固相合成を用いる方法が一般的である。
方法1で用いられるペプチド核酸(PNA)の他端は、通常、水溶性を高めるため、及びポリアニオンであるtRNAとの親和性を高めるためにカチオン性アミノ酸、例えばリジン等が1乃至数分子(通常2分子、例えばLysLys等)導入される。
方法1で用いられるPNAの構造の具体例を第1図に示す。
本発明の方法1におけるtRNAのアミノアシル化反応は、通常、エステル交換触媒の存在下に行われる。
本発明の方法において用いられるエステル交換触媒としては、中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒が挙げられ、より具体的には、例えば、イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられ、イミダゾール(pKa6.8)が特に好ましい。
アミノアシル化反応における反応温度は、通常0〜50℃である。
反応温度の決定は用いるPNAの鎖長に依存する。即ち、短い鎖長を用いる場合は低温、長い鎖長は高温で、となる。
反応pHは生理的条件範囲、即ち、pH7付近(±1.0)で行われる。
以下に、方法1のアミノアシル化方法の操作手順の一例を示す。
アミノアシル化操作手順:
1.イミダゾール緩衝液をマイクロチューブに入れ、次に界面活性剤を加える。
2.超音波処理を5分間行いミセル化する。
3.アミノ酸活性エステルを加え激しく撹拌する。
4.tRNAを加えて撹拝し室温にて反応を開始させる(1時間)
反応後は、抽出(フェノールクロロホルム抽出)によりペプチド核酸をtRNAから除去後、塩析(エタノール沈殿)によりtRNAを沈殿させることで単離する。
以下に、本発明のアミノアシル化方法全てに、ほぼ共通した単離精製方法の操作手順の一例を示す。
単離精製法操作手順
1.反応混合液(〜20μL)に40μLの1.5M NaOAc(pH4.5)を加える。
2.溶液と同量のフェノールを加える。
3.激しく撹拌後、4℃、15000rpmで、10分間遠心する。
4.上層(水層)を取り他のマイクロチューブに移す。このときPNAは界面にあるので一緒に取らないようにする。
5.下層(フェノール層)に40μLの1.5M NaOAc(pH4.5)を加える。
6.激しく撹拌(ボルテツクスで)後に40℃、15000rpmで、10分間遠心する。
7.上層(水層)を取り他のマイクロチューブに移す。このときPNAは界面にあるので一緒に取らないようにする。集めた上層と同量のクロロホルムを加え、撹拌後に4℃、15000rpmで、2分間遠心しクロロホルム層(下層)を除去する。
8.溶液の3倍量の100%エタノールを加え、軽く撹拌し−30℃で,30分間放置する。
9.4℃、15000rpmで、30分間遠心する。
10.上清(上澄液)をピペットマンで取り除く。このときに下の沈殿物(核酸)を取らないように注意する。
11.90%エタノール200μLを静かに加える。
12.4℃、15000rpmで、5分間遠心する。
13.上清(上澄液)をピペットマンで取り除く。このときに下の沈殿物(核酸)を取らないように注意する。
14.乾燥(減圧下)する。
アミノアシル化の解析はHPLC及びTOF−MSを用いて行えば良い。方法としてはアンチセンス分子によりアミノアシル化されたtRNAをnuclease S1にてアミノアシル末端をモノヌクレオチドに分解する方法が好適である。
もし、アミノアシル化されているのであればアミノアシルAMPを検出出来る。
次に、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることによりtRNAとアミノ酸を近接させて反応させる方法(方法2)について述べる。
tRNAの3’末端水酸基とアミノ酸を反応させるために、tRNAに対して相補的配列をもつアンチセンス分子としてペプチド核酸(PNA)を用い、且つ、このPNA末端に予めアミノ酸活性化エステルを結合させておき(必要に応じてリンカーなども併用)、このアミノ酸結合PNAを、アミノ酸がtRNAの3’水酸基に近接するように、tRNAへ相補結合させる、このようにして、エステル交換反応させれば、3’水酸基が選択的にアミノアシル化されることを本発明者らは見出した。
また、DNAをアンチセンス分子として併用し、このDNAへ、上記のアミノ酸結合PNAを相補結合させると共に、アミノ酸が3’水酸基に近接するようにDNAをtRNAに相補結合させる、これを、同様にエステル交換させて、3’水酸基がアミノアシル化出来ることも確認した。
便宜上、前者を二元系、後者を三元系と呼ぶ。
いずれにおいても、アンチセンス分子は、反応後、離脱させる。
それぞれの特徴は反応停止剤が異なる点であり、前者(二元系)の場合はアンチセンス分子と相補対形成するアンチセンス分子を用いる点であり、後者(三元系)は温度を上昇させる(例えば25℃)点である。
また、前者は、DNAを用いないため、反応場の環境対応性に巾がある(PNAがより安定)点であり、後者は、より多種類の非天然アミノ酸に対応出来る点である。
アミノアシル化の反応機構を第2図に示す。
アンチセンス分子(AOと記載)は1)混合することでtRNAを塩基配列特異的に結合する、2)反応開始剤を加えることでアミノアシル化活性を発現する、3)反応停止剤を加えることでtRNAと解離する、の三段階にて目的とするtRNAを完璧な制御の下にアミノアシル化する。
以下、二元系、三元系で用いられるアンチセンス分子の構造について順を追って説明する。
(1)二元系で用いられるアンチセンス分子について
好ましいアンチセンス分子(AO)の構造:
PNAとしては、tRNAと結合する配列として、鎖長4〜10(合成し易くtRNAとの結合を制御しやすい鎖長範囲)のものが好ましい。具体例としては、例えば、鎖長n=9のAAGCGTGGT、鎖長n=8のAGCGTGGT、鎖長n=7のGCGTGGT、鎖長n=6のCGTGGT等が好ましいものの例として挙げられる。
水溶性を高めるため、そしてポリアニオンであるtRNAとの親和性を高めるために末端にはカチオン性アミノ酸、例えばリジン等を1乃至数分子(通常2分子)導入することが好ましい。また、活性エステルとtRNAの水酸基とを近接させるためにリンカーを用いるのが好ましい。
リンカーとしては、例えば、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2CH2−、或いは、下式
で示される基(abZと略す。)等が挙げられる。
上記abZはペプチド結合とフエニル環との間が共役系になっているためにPNA−tRNAの塩基対の共役系とπ電子系相互作用することが期待され、結果として反応部位の近接が狙える可能性がある。
活性エステル化の方法としては、固相合成によりこれを行えばよい。
アミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の合成法の一例を以下に示す。
Fmoc−SAL−PEG−Resin(WATANABE chemical)にPNAモノマー(アプライド バイオシステム社)を合成する配列に従い伸長させる。
縮合剤としては、例えば、o−(7−アゾベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート:HATU(WATANABE Chemical)、ジイソプロピルエチルアミン:DIEA(WATANABE chemical)等が使用し得る。
溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド:DMAA(WADNABE chemical)を使用)等が好ましく使用し得る。
次いでリンカー、活性エステル、アミノ酸を順次縮合させることで合成し、合成後はトリフルオロ酢酸(TFA)にて切り出しを行い、HPLCにて精製することにより目的物が得られる。
活性エステルとしては、例えば、チオエステル誘導体、シアノメチルエステル誘導体、スクシンイミドエステル、m−(又はp−)置換フェニルエステル誘導体等が好ましく用いられる(第3図に構造式記載)。
本発明で用いられるアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の好ましい例としては、例えば、下記一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物が挙げられる。
各構成成分の詳細については既に述べた通りである。
なお、tRNAに導入すべきアミノ酸は、天然、非天然の何れにても良いが、これまでtRNAへの付加(tRNAのアミノアシル化)が非常に困難とされていた非天然アミノ酸に適用するのがより効果的である。
適用可能な非天然アミノ酸としては、例えば、蛍光性アミノ酸、電子供与性アミノ酸、電子受容性アミノ酸、光分解性アミノ酸、光異性化アミノ酸等種々のアミノ酸が挙げられる。
本発明で用いられるアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の好ましい例を構造式で示すと第3図のようになる。
(2)三元系で用いられるアンチセンス分子について、
ペプチド核酸(PNA)と併用するアンチセンス分子としては、DNAが好ましい。RNAは高価(DNAの10倍程度)であり、安定性がDNAと比較して低く、tRNAとの結合がDNAと比較して弱いので好ましくない。また、PNAは、長鎖PNAになると合成が容易ではなく、また、tRNAとの結合が強すぎるので温度での制御が難しい等の問題点がある。
好ましいDNAの鎖長としては(7〜12)+(0〜2)+(10〜23)のものが挙げられる。
(7〜12):PNAと結合(ハイブリッド)する配列。制御し易い長さに限定。
(0〜2):活性エステル部位の長さに対応したスペーサー配列。
(10〜23):tRNAと結合する配列。制御し易い長さに限定。
一方、アンチセンス分子(AO)のPNAとしては、DNAと結合し、tRNAとは結合しない配列(鎖長7〜12)のものが好ましい。
長すぎるとDNAとの結合が強すぎる結果、結合を温度で解離することが難しくなり、一方、短すぎるとDNAとの結合が弱すぎる結果、アミノアシル化が起こらなくなる。
なお、三元系で用いられる好ましいアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の構造及び合成法は、2元系におけるそれに準ずる。
次に、アンチセンス分子を用いた本発明のアミノアシル化法の反応条件について述べる。
反応温度は、通常、アミノアシル化活性がある0〜20℃で行われる。37℃では不活性である。結合が完全に切れるのは45℃であるが、それぞれの成分がしっかりと結合しないと反応効率は低下する。
反応温度の決定は用いるPNAの鎖長に依存する。即ち短い鎖長を用いる場合は低温、長い鎖長は高温で、となる。反応pHは生理的条件範囲、つまりpH7付近(±1.0)で行う。
反応は、反応開始剤(触媒)の存在下で行われるが、用いられる反応開始剤としては、中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒が挙げられ、より具体的には、例えば、イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられ、イミダゾール(pKa6.8)が特に好ましい。
また、本反応においては、酢酸ナトリウム緩衝液等も反応開始剤として効果的に使用し得る。
反応の停止は、2元系では反応停止剤を用いて行われる。
反応停止剤としては、aa−PNAと相補対を形成するPNAオリゴマー(cPNA)が好ましく用いられる。二重鎖を形成するときの安定性はPNA−PNA>PNA−RNA>PNA−DNAであることが知られている。従って、cPNAはtRNAと結合したaa−PNAをtRNAから引き剥がしてPNA二重鎖を形成し得る。これにより反応を停止させることが出来る。
3元系では、反応の停止は、温度を上昇させることにより行われる。上昇させる温度としては、通常25℃乃至それ以上の温度である。
以下に、方法2のアミノアシル化方法の操作手順の一例を示す。
アミノアシル化操作手順:
2元系の場合
1.バッファーをマイクロチューブに入れ、tRNA、aa−PNAを加える。
2.氷上に5分間静置し、tRNAとaa−PNAとを結合させる。
3.反応開始剤(イミダゾール緩衝液)を加え氷上にて反応させる(通常1〜2時間)。
1〜2時間反応させた後、反応停止剤cPNAを加え、反応を停止させる。
また、3元系の場合は概略、以下の通りである。
1.バッファーをマイクロチューブに入れ、tRNA及びテンプレートDNAを加えて、ボルテックス撹拌し、スピンダウンして、両者をハイブリッドさせる。
2.これにaa−PNAを加えて、ボルテックス撹拌し、スピンダウンして、氷上に5分間静置する。
3.反応開始剤(イミダゾール緩衝液)を加え氷上にて反応させる(通常2時間)。
2時間反応させた後、氷浴を外し、温度を25℃に上昇させて、反応を停止させる。
どちらの場合も、反応後の単離精製方法は、ミセル系での方法(方法1)のところで記載した単離精製法に準じてこれを行うことで足りる。
2元系におけるアミノアシル化及び3元系におけるアミノアシル化(DNAをテンプレートしたPNAによるアミノアシル化)のそれぞれについて解析し、図示化した結果を第4図及び第5図にそれぞれ示す。
本発明の方法によれば(方法1及び2の何れの方法においても)、天然、非天然を問わず、種々のアミノ酸を効率よくtRNAに導入、アミノアシル化することが出来るが、特に、従来のアミノアシルtRNA合成酵素ではtRNAに結合出来なかった非天然アミノ酸、例えば天然アミノ酸と大きく構造が異なる非天然アミノ酸や、蛍光性を有するアミノ酸、光異性化能を有するアミノ酸、酸化能力を有するアミノ酸、HIVウィルスに薬効があるアミノ酸等をtRNAに導入するのがより効果的である。
第6図に本発明の方法によりtRNAに導入可能な非天然アミノ酸を例示する。
第6図中、1,8,21〜23,30〜35のアミノ酸は、蛍光性を有するアミノ酸であり、25のアミノ酸は光異性化能を有するアミノ酸であり、28のアミノ酸は酸化能力を有するアミノ酸であり、15のアミノ酸はHIVウィルスに薬効があるアミノ酸である。
なお、特願2002−262301明細書に記載された内容を、本明細書にすべて取り込む。
方法1には、アミノ酸のカルボキシル基を活性化して、これをミセル中に閉じこめ、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる方法(方法1−1)と、アミノ酸のカルボキシル基をミセル内部で縮合剤を用いて活性化し、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中の界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる方法(方法1−2)とが有る。
即ち、アミノアシル化反応とはtRNAの3’末端の水酸基(2’−,3’−何れも可)とアミノ酸のカルボキシル基とが脱水縮合することを言うのであるが、ここで問題になるのは、どちらも反応性が低いtRNAの水酸基とカルボキシル基とを副反応(例えば溶媒に用いている水とカルボキシル基との縮合等)させることなく両者を反応させることである。その為にアミノ酸のカルボキシ基を反応性が高い構造(活性化)にした上でこれを用いている。活性化の方法としては二つ有り、その一つは有機合成的手法を用いてアミノ酸を活性化する方法(即ち、上記方法1−1)で有り、他の一つはミセル内部で縮合剤を用い、アミノ酸を活性化する方法(即ち、上記方法1−2)である。
どちらの方法で行うかは任意であるが、方法1−2のメリットとしては、例えば、1)アミノ酸を活性化させずに用いることが出来る、2)ミセル中で活性エステルを形成させるので活性化アミノ酸のように単離精製する必要が無く不安定な活性化アミノ酸でも用いることが出来る、等の点が挙げられる。
方法1−1で用いられる活性化アミノ酸としては、例えば、以下の如きものが挙げられる。
a)エステル系
アミノ酸シアノメチルエステル(Nvoc−aa−OCM)
アミノ酸フェノールエステル(Nvoc−aa−OPhe)
b)スクシンイミド系
アミノ酸スクシンイミドエステル(Nvoc−aa−OSu)
c)チオエステル系
アミノ酸チオエステル(Nvoc−aa−SE)
アミノ酸チオフェノールエステル(Nvoc−aa−SPhe)
d)イミダゾール系
アミノ酸イミダゾライド(Nvoc−aa−Im)
e)酸無水物系
アミノ酸対称酸無水物((Nvoc−aa)2O)
アミノ酸混合酸無水物(Nvoc−aa−O−X)
注)Nvoc:6−ニトロベラトリル基、−aa−:アミノ酸残基
方法1−2(ミセル内部で縮合剤を用い、アミノ酸を活性化する方法)で用いられる縮合剤としては、例えば、以下の如きものが挙げられる。
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジウム ヘキサフルオロホスフェイト:CIP
N,N’−カルボニルジイミダゾール:CDI
ジエチルホスフォロシアニデート:DEPC
ジシクロヘキシルカルボジイミド:DCC
なお、方法1で用いられるアミノ酸は、アミノ基を保護して用いることが好ましい。保護基導入が必要な理由は、アミノ酸の活性化部位とアミノ基とを分子間で反応させないためである。アミノ基の保護基としては、アミノアシル化後、容易に除去可能なもので有れば、何れの保護基でも良いが、例えば6−ニトロベラトリル基(Nvoc:354nmの紫外光を照射することで脱離可能)やペンテノイル基(Pentenoyl)等が好ましいものとして挙げられる。前者はアミノアシル化後蛋白質合成系に用いる際、UVランプを10分ほど照射することで脱離可能である。また、後者はアミノアシル化後、蛋白質合成系に用いる際、約10mMのヨウ素液で10分位室温で処理することにより簡単に脱離可能である。
本発明の方法1は、通常、界面活性剤の存在下で行われる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の何れでも良く、また、数種の界面活性剤を混合した系(例えば非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤)も使用可能であるが、カチオン性界面活性剤を用いた系が最も高収率でアミノアシルtRNAを得ることが出来る。カチオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTACl)等が挙げられる。アニオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、例えばホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等何れのものでも良いが、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型の非イオン性界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。より具体的な商品名としては、Tween#−20,40,60,85等が挙げられる。
また、界面活性剤を使用する代りに、ポリエチレンイミンや表面にカチオン性基を持ったデンドリマーを使用した系も可能である。
ミセルはO/W(水中油滴)型が好ましいが、W/O型(逆ミセル)やオイルフリーの系等も可能である。なお、オイルフリーの系で用いられる溶剤としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
また、O/W(水中油滴)型でのオイル分としては、例えば、トルエンや酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
本発明の方法1において、ミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入する方法としては、例えば、ペプチド核酸(PNA)末端へ疎水性官能基を導入したものを、tRNAの3’末端近傍へ疎水基が来るように、tRNAへ部位特異的相補結合させて、3’末端基部分を疎水性にする方法が挙げられる。
本発明の方法1において用いられるペプチド核酸(PNA)としては、合成し易くtRNAとの結合を制御しやすい、鎖長n=4〜10のものが挙げられる。
また、PNAに導入する官能基としては、例えば、リトコール酸等のコール酸残基(ステロイド骨格を有する)、デカン酸等の水に難溶性の脂肪族カルボン酸残基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)等のアミノ保護基等が挙げられる。
疎水性官能基をアミド結合によりペプチド核酸に導入する方法としては固相合成を用いる方法が一般的である。
方法1で用いられるペプチド核酸(PNA)の他端は、通常、水溶性を高めるため、及びポリアニオンであるtRNAとの親和性を高めるためにカチオン性アミノ酸、例えばリジン等が1乃至数分子(通常2分子、例えばLysLys等)導入される。
方法1で用いられるPNAの構造の具体例を第1図に示す。
本発明の方法1におけるtRNAのアミノアシル化反応は、通常、エステル交換触媒の存在下に行われる。
本発明の方法において用いられるエステル交換触媒としては、中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒が挙げられ、より具体的には、例えば、イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられ、イミダゾール(pKa6.8)が特に好ましい。
アミノアシル化反応における反応温度は、通常0〜50℃である。
反応温度の決定は用いるPNAの鎖長に依存する。即ち、短い鎖長を用いる場合は低温、長い鎖長は高温で、となる。
反応pHは生理的条件範囲、即ち、pH7付近(±1.0)で行われる。
以下に、方法1のアミノアシル化方法の操作手順の一例を示す。
アミノアシル化操作手順:
1.イミダゾール緩衝液をマイクロチューブに入れ、次に界面活性剤を加える。
2.超音波処理を5分間行いミセル化する。
3.アミノ酸活性エステルを加え激しく撹拌する。
4.tRNAを加えて撹拝し室温にて反応を開始させる(1時間)
反応後は、抽出(フェノールクロロホルム抽出)によりペプチド核酸をtRNAから除去後、塩析(エタノール沈殿)によりtRNAを沈殿させることで単離する。
以下に、本発明のアミノアシル化方法全てに、ほぼ共通した単離精製方法の操作手順の一例を示す。
単離精製法操作手順
1.反応混合液(〜20μL)に40μLの1.5M NaOAc(pH4.5)を加える。
2.溶液と同量のフェノールを加える。
3.激しく撹拌後、4℃、15000rpmで、10分間遠心する。
4.上層(水層)を取り他のマイクロチューブに移す。このときPNAは界面にあるので一緒に取らないようにする。
5.下層(フェノール層)に40μLの1.5M NaOAc(pH4.5)を加える。
6.激しく撹拌(ボルテツクスで)後に40℃、15000rpmで、10分間遠心する。
7.上層(水層)を取り他のマイクロチューブに移す。このときPNAは界面にあるので一緒に取らないようにする。集めた上層と同量のクロロホルムを加え、撹拌後に4℃、15000rpmで、2分間遠心しクロロホルム層(下層)を除去する。
8.溶液の3倍量の100%エタノールを加え、軽く撹拌し−30℃で,30分間放置する。
9.4℃、15000rpmで、30分間遠心する。
10.上清(上澄液)をピペットマンで取り除く。このときに下の沈殿物(核酸)を取らないように注意する。
11.90%エタノール200μLを静かに加える。
12.4℃、15000rpmで、5分間遠心する。
13.上清(上澄液)をピペットマンで取り除く。このときに下の沈殿物(核酸)を取らないように注意する。
14.乾燥(減圧下)する。
アミノアシル化の解析はHPLC及びTOF−MSを用いて行えば良い。方法としてはアンチセンス分子によりアミノアシル化されたtRNAをnuclease S1にてアミノアシル末端をモノヌクレオチドに分解する方法が好適である。
もし、アミノアシル化されているのであればアミノアシルAMPを検出出来る。
次に、tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることによりtRNAとアミノ酸を近接させて反応させる方法(方法2)について述べる。
tRNAの3’末端水酸基とアミノ酸を反応させるために、tRNAに対して相補的配列をもつアンチセンス分子としてペプチド核酸(PNA)を用い、且つ、このPNA末端に予めアミノ酸活性化エステルを結合させておき(必要に応じてリンカーなども併用)、このアミノ酸結合PNAを、アミノ酸がtRNAの3’水酸基に近接するように、tRNAへ相補結合させる、このようにして、エステル交換反応させれば、3’水酸基が選択的にアミノアシル化されることを本発明者らは見出した。
また、DNAをアンチセンス分子として併用し、このDNAへ、上記のアミノ酸結合PNAを相補結合させると共に、アミノ酸が3’水酸基に近接するようにDNAをtRNAに相補結合させる、これを、同様にエステル交換させて、3’水酸基がアミノアシル化出来ることも確認した。
便宜上、前者を二元系、後者を三元系と呼ぶ。
いずれにおいても、アンチセンス分子は、反応後、離脱させる。
それぞれの特徴は反応停止剤が異なる点であり、前者(二元系)の場合はアンチセンス分子と相補対形成するアンチセンス分子を用いる点であり、後者(三元系)は温度を上昇させる(例えば25℃)点である。
また、前者は、DNAを用いないため、反応場の環境対応性に巾がある(PNAがより安定)点であり、後者は、より多種類の非天然アミノ酸に対応出来る点である。
アミノアシル化の反応機構を第2図に示す。
アンチセンス分子(AOと記載)は1)混合することでtRNAを塩基配列特異的に結合する、2)反応開始剤を加えることでアミノアシル化活性を発現する、3)反応停止剤を加えることでtRNAと解離する、の三段階にて目的とするtRNAを完璧な制御の下にアミノアシル化する。
以下、二元系、三元系で用いられるアンチセンス分子の構造について順を追って説明する。
(1)二元系で用いられるアンチセンス分子について
好ましいアンチセンス分子(AO)の構造:
PNAとしては、tRNAと結合する配列として、鎖長4〜10(合成し易くtRNAとの結合を制御しやすい鎖長範囲)のものが好ましい。具体例としては、例えば、鎖長n=9のAAGCGTGGT、鎖長n=8のAGCGTGGT、鎖長n=7のGCGTGGT、鎖長n=6のCGTGGT等が好ましいものの例として挙げられる。
水溶性を高めるため、そしてポリアニオンであるtRNAとの親和性を高めるために末端にはカチオン性アミノ酸、例えばリジン等を1乃至数分子(通常2分子)導入することが好ましい。また、活性エステルとtRNAの水酸基とを近接させるためにリンカーを用いるのが好ましい。
リンカーとしては、例えば、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2CH2−、或いは、下式
で示される基(abZと略す。)等が挙げられる。
上記abZはペプチド結合とフエニル環との間が共役系になっているためにPNA−tRNAの塩基対の共役系とπ電子系相互作用することが期待され、結果として反応部位の近接が狙える可能性がある。
活性エステル化の方法としては、固相合成によりこれを行えばよい。
アミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の合成法の一例を以下に示す。
Fmoc−SAL−PEG−Resin(WATANABE chemical)にPNAモノマー(アプライド バイオシステム社)を合成する配列に従い伸長させる。
縮合剤としては、例えば、o−(7−アゾベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート:HATU(WATANABE Chemical)、ジイソプロピルエチルアミン:DIEA(WATANABE chemical)等が使用し得る。
溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド:DMAA(WADNABE chemical)を使用)等が好ましく使用し得る。
次いでリンカー、活性エステル、アミノ酸を順次縮合させることで合成し、合成後はトリフルオロ酢酸(TFA)にて切り出しを行い、HPLCにて精製することにより目的物が得られる。
活性エステルとしては、例えば、チオエステル誘導体、シアノメチルエステル誘導体、スクシンイミドエステル、m−(又はp−)置換フェニルエステル誘導体等が好ましく用いられる(第3図に構造式記載)。
本発明で用いられるアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の好ましい例としては、例えば、下記一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物が挙げられる。
各構成成分の詳細については既に述べた通りである。
なお、tRNAに導入すべきアミノ酸は、天然、非天然の何れにても良いが、これまでtRNAへの付加(tRNAのアミノアシル化)が非常に困難とされていた非天然アミノ酸に適用するのがより効果的である。
適用可能な非天然アミノ酸としては、例えば、蛍光性アミノ酸、電子供与性アミノ酸、電子受容性アミノ酸、光分解性アミノ酸、光異性化アミノ酸等種々のアミノ酸が挙げられる。
本発明で用いられるアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の好ましい例を構造式で示すと第3図のようになる。
(2)三元系で用いられるアンチセンス分子について、
ペプチド核酸(PNA)と併用するアンチセンス分子としては、DNAが好ましい。RNAは高価(DNAの10倍程度)であり、安定性がDNAと比較して低く、tRNAとの結合がDNAと比較して弱いので好ましくない。また、PNAは、長鎖PNAになると合成が容易ではなく、また、tRNAとの結合が強すぎるので温度での制御が難しい等の問題点がある。
好ましいDNAの鎖長としては(7〜12)+(0〜2)+(10〜23)のものが挙げられる。
(7〜12):PNAと結合(ハイブリッド)する配列。制御し易い長さに限定。
(0〜2):活性エステル部位の長さに対応したスペーサー配列。
(10〜23):tRNAと結合する配列。制御し易い長さに限定。
一方、アンチセンス分子(AO)のPNAとしては、DNAと結合し、tRNAとは結合しない配列(鎖長7〜12)のものが好ましい。
長すぎるとDNAとの結合が強すぎる結果、結合を温度で解離することが難しくなり、一方、短すぎるとDNAとの結合が弱すぎる結果、アミノアシル化が起こらなくなる。
なお、三元系で用いられる好ましいアミノ酸−アンチセンス分子(aa−PNA)の構造及び合成法は、2元系におけるそれに準ずる。
次に、アンチセンス分子を用いた本発明のアミノアシル化法の反応条件について述べる。
反応温度は、通常、アミノアシル化活性がある0〜20℃で行われる。37℃では不活性である。結合が完全に切れるのは45℃であるが、それぞれの成分がしっかりと結合しないと反応効率は低下する。
反応温度の決定は用いるPNAの鎖長に依存する。即ち短い鎖長を用いる場合は低温、長い鎖長は高温で、となる。反応pHは生理的条件範囲、つまりpH7付近(±1.0)で行う。
反応は、反応開始剤(触媒)の存在下で行われるが、用いられる反応開始剤としては、中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒が挙げられ、より具体的には、例えば、イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられ、イミダゾール(pKa6.8)が特に好ましい。
また、本反応においては、酢酸ナトリウム緩衝液等も反応開始剤として効果的に使用し得る。
反応の停止は、2元系では反応停止剤を用いて行われる。
反応停止剤としては、aa−PNAと相補対を形成するPNAオリゴマー(cPNA)が好ましく用いられる。二重鎖を形成するときの安定性はPNA−PNA>PNA−RNA>PNA−DNAであることが知られている。従って、cPNAはtRNAと結合したaa−PNAをtRNAから引き剥がしてPNA二重鎖を形成し得る。これにより反応を停止させることが出来る。
3元系では、反応の停止は、温度を上昇させることにより行われる。上昇させる温度としては、通常25℃乃至それ以上の温度である。
以下に、方法2のアミノアシル化方法の操作手順の一例を示す。
アミノアシル化操作手順:
2元系の場合
1.バッファーをマイクロチューブに入れ、tRNA、aa−PNAを加える。
2.氷上に5分間静置し、tRNAとaa−PNAとを結合させる。
3.反応開始剤(イミダゾール緩衝液)を加え氷上にて反応させる(通常1〜2時間)。
1〜2時間反応させた後、反応停止剤cPNAを加え、反応を停止させる。
また、3元系の場合は概略、以下の通りである。
1.バッファーをマイクロチューブに入れ、tRNA及びテンプレートDNAを加えて、ボルテックス撹拌し、スピンダウンして、両者をハイブリッドさせる。
2.これにaa−PNAを加えて、ボルテックス撹拌し、スピンダウンして、氷上に5分間静置する。
3.反応開始剤(イミダゾール緩衝液)を加え氷上にて反応させる(通常2時間)。
2時間反応させた後、氷浴を外し、温度を25℃に上昇させて、反応を停止させる。
どちらの場合も、反応後の単離精製方法は、ミセル系での方法(方法1)のところで記載した単離精製法に準じてこれを行うことで足りる。
2元系におけるアミノアシル化及び3元系におけるアミノアシル化(DNAをテンプレートしたPNAによるアミノアシル化)のそれぞれについて解析し、図示化した結果を第4図及び第5図にそれぞれ示す。
本発明の方法によれば(方法1及び2の何れの方法においても)、天然、非天然を問わず、種々のアミノ酸を効率よくtRNAに導入、アミノアシル化することが出来るが、特に、従来のアミノアシルtRNA合成酵素ではtRNAに結合出来なかった非天然アミノ酸、例えば天然アミノ酸と大きく構造が異なる非天然アミノ酸や、蛍光性を有するアミノ酸、光異性化能を有するアミノ酸、酸化能力を有するアミノ酸、HIVウィルスに薬効があるアミノ酸等をtRNAに導入するのがより効果的である。
第6図に本発明の方法によりtRNAに導入可能な非天然アミノ酸を例示する。
第6図中、1,8,21〜23,30〜35のアミノ酸は、蛍光性を有するアミノ酸であり、25のアミノ酸は光異性化能を有するアミノ酸であり、28のアミノ酸は酸化能力を有するアミノ酸であり、15のアミノ酸はHIVウィルスに薬効があるアミノ酸である。
なお、特願2002−262301明細書に記載された内容を、本明細書にすべて取り込む。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1(非イオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
非天然アミノ酸として側鎖にナフチル基を有する2−ナフチルアラニンを活性エステル化して用い、これをペプチド核酸(PNA)の存在下、tRNAと反応させてアミノアシル化を行った。なお、PNAとしては、疎水基としてFmoc基を、また、可溶化部位としてLysLys基を導入した、鎖長n=6のCGTGGTを用いた。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
0.5M Tween#20 5μL(最終濃度=250mM)
Nvoc−napAla−OCM(1M/トルエン)
1μL(最終濃度=100mM)
4Mイミダゾール−AcOH PH6.5 1μL(最終濃度=400mM)
0.4mM tRNA 2μL(最終濃度=80μM)
0.8mM Fmoc−PNA 1μL(最終濃度=80μM)
10μL
〈操作手順〉
イミダゾール緩衝液、次いでTween#20を加え、超音波によりミセル化させた。次に活性化アミノ酸Nvoc−napAla−OCMを加え、ピペッチングにて混合した。透明になっていることを確認後、tRNA及びFmoc−PNAを加えて反応を開始した。
1時間反応させた後、段落[0016]に記載の単離精製法の操作手順に従ってフェノールクロロホルム処理及びエタノール沈殿によるtRNA精製を行なった。収率:14%。
〈nuclease処理及びHPLC分析〉
得られた化合物にnuclease S1緩衝液(PH4.5)を10μL加え、これにnuclease S1(100units/μL)を0.5μLピベッティングしながら加えた。37℃で10分間インキュベートした後、HPLCで分析した。
(HPLC測定条件)
0.1M酢酸アンモニウム/MeOH、流速=0.6ml/min、CI8カラム、2%up(0−100%)。
検出波長:260nm(UV−vis検出器),285/330nm(蛍光検出器)
その結果、HPLCによりナフチルアラニルAMPと思われるピークを検出し、そしてそのピークをTOF−MSで分子量分析した結果、目的物であることが同定出来た(第7図参照)。
実施例2(非イオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
アミノアシル化反応液の組成を下記の如くした以外は実施例1と全く同様にして、反応及び後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:13%。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
0.5M Tween#40 5μL(最終濃度=250mM)
Nvoc−napAla−OCM(IM/トルエン)
1μL(最終濃度=100mM)
4Mイミダゾール−AcOH PH6.5 1μL(最終濃度=400mM)
0.4mM tRNA 2μL(最終濃度=80μM)0.8mM Fmoc−PNA 1μL(最終濃度=80μM)
10μL
実施例3(カチオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
20mM CTACl/100mMイミダゾール(pH7.5) 18μL
100mM Pentenoyl−napAla−OCM/DMF 1μL
200μM tRNA 1μL
20μL
上記の反応液をボルテックスミキサーを用いて10分間撹拌した。なお、撹拌を20−40秒行う毎に卓上遠心器で遠心し、壁面に付着した溶液を落とした。反応液に1.5M AcOK 60μLを加え、更にフェノール/クロロホルム(1:1)80μLを加えボルテックスミキサーで数秒間撹拌した(白色の懸濁液になった)。続いて15000rpm、4℃で数秒間遠心し、上清を取った。採取した上清にCHCl3/i−PrOH(24:1)80μLを加えボルテックスミキサーで数秒間撹拌した(白色の懸濁液になった)。先程と同様に15000rpm、4℃で数秒間遠心し、上清を取った。上清にエタノール360μLを加えて軽く混合し、−30℃で1時間放置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心し、上清を除いた。
70%エタノール(−30℃)200mLを加えて15000rpm,4℃で数秒間遠心し、上清を除いた。最期に15分間程度減圧乾燥して、エタノールを完全に蒸発させたのを確認した。乾燥した試料は使用時まで−30℃で保存した。
乾燥した試料に10×nuclease S1緩衝液10mL、nuclease S1 1mLを加えて、37℃で15分間インキュベートした後、実施例1と同様にしてHPLC分析を行ない、実施例1と同様の結果を得た。収率:50%。
実施例4(アニオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
10mM SDS/milliQ(超純水) 17μL
200μM tRNA 1μL
100mM Pentenoyl−napAla−OCM/THF 1μL
100mM イミダゾール緩衝液(pH7.5) 1μL
20μL
上記の反応液を室温で5時間撹拌反応させた。その後、反応液に1.5M AcOKを60μL加え、フェノール/クロロホルム80μLで抽出し、更に、クロロホルム80μLで抽出した。
エタノール360μLを加え、軽く混合し、−30℃で一時間静置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心して、上清を除いた。70%エタノール(−30℃)200μLを加えて、15000rpm、4℃で5秒間遠心し、上清を除いた後、減圧乾燥した。10×nuclease S1緩衝液10μL及び、nuclease S1 1μLを加え、37℃で15分間インキュベートした後、実施例1と同様にしてHPLC分析を行ない、実施例1と同様の結果を得た。収率:7%。
実施例5[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(2元系)]
非天然アミノ酸として側鎖にナフチル基を有する2−ナフチルアラニンを選択し、これをアンチセンス分子に導入したaa−PNAを用いて、tRNAのアミノアシル化を行った。なお、使用したaa−PNAは、前記第3図に示したaa−PNAの構造式において、リンカーが前記したabZ(パラ体)のものである。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
aa−PNA(1mM) 0.5μL
tRNA(500μM) 1uL
1mMイミダゾール 1μL
(500mM又は1M)イミダゾール 1μL
反応停止剤(mLM) 0.5μL
4μl
〈操作手順〉
aa−PNA、tRNA、1mMイミダゾール(pH7.0)を混合し、4℃で5分間静置した。次に1M(又は500mM)イミダゾール(pH7.0)を加え、室温で2時間静置しアミノアシル化を行った。反応停止剤であるcPNA、nuclease S1緩衝液4μlを加え、37℃で1分間インキュベートして二重鎖PNAを形成させた。5℃に急冷後、100倍に希釈したnuclease S1(100units/μL)1μl加え、37℃で15分間インキュベートした。
反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:約5%。
実施例6[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(2元系)]
実施例5において、aa−PNAとして、第3図に記載の鎖長=6のaa−PNAを用いる代りに鎖長=9(AAGCGTGGT)のaa−PNAを用いて反応を行った。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
aa−PNA(400μM) 1μL
tRNA(200μM) 2uL
1mMリン酸緩衝液 2μL
リン酸ナトリウム 3μL
milliQ(超純水) 2μL
10μL
反応停止剤
400μM cPNA 1μL
〈操作手順〉
1mMリン酸緩衝液、milliQ及びtRNAを混合し、80℃で2分間インキュベートした後、aa−PNAを加え、5℃で2分間静置してハイブリダイゼーションさせた。
次いで、リン酸ナトリウムを加え、アミノアシル化を行った。
反応停止剤であるcPNA及び300mM AcOK(pH4.5)9μLを加え、反応停止した後、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿を行った。
沈殿物をMilliQ 10μlに溶かし、10×nuclease S1緩衝液9μL及びnuclease S1 1μl加え、37℃で15分間インキュベートした。
反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率19%。
実施例7[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(3元系)]
実施例3で用いたものと同じaa−PNAを用い、PNAとtRNAとを近接させるテンプレートとしてDNA14(RNAと結合するDNAの鎖長が14のもの)を用いて、tRNAのアミノアシル化を行った。
(1)tRNAとテンプレートDNAとのハイブリダイゼーション
マイクロチューブに以下の溶液をピベッティングにより混合し、ボルテックス撹拌し、スピンダウンした。
tRNA(500μM/Q) 25μL(最終濃度=357μM)
DNA14(0.86mM/Q) 7.26μL(最終濃度=178μM)
100mMトリス緩衝液 pH6.8 1.75μL(最終濃度=5mM)
milliQ(超純水) 0.98μL
35μL
この溶液を80℃で10分間インキュベーション後、PCRの装置中にて室温まで冷却した。
(2)次に、1.6mLのマイクロチューブを用意しそれに上記ハイブリダイゼーション溶液13.5μLを加えて氷上に静置した。
(3)aa−PNA/10mMトリス緩衝液pH6.8を氷上にて調製した。
次いで、マイクロチューブに以下の溶液をピベッティングにより混合し、ボルテックス撹拌し、スピンダウンした。
aa−PNA(1.5mM/DMSO) 0.52μL(室温に戻ってから開ける)
milliQ(超純水) 1.56μL
2.08μL
(4)上記(2)のマイクロチューブに上記(3)で調製したaa−PNAを0.5μLづつ加えピペッティング、ボルテックス撹拌、スピンダウンし、氷上に5分間静置した。
(5)上記マイクロチューブに4Mイミダゾール−AcOH緩衝液PH6.5を1.93μL加え、氷上にて反応を開始させた。反応時間は2時間とした。
(6)反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:6%。
なお、上記(5)において、イミダゾール−AcOH緩衝液の代りに酢酸ナトリウム緩衝液を使用したところ、収率が9%に向上した。
実施例8[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(3元系)]
実施例4において、tRNAとテンプレートDNAとのハイブリダイゼーション溶液における、テンプレートとしてのDNA14(0.86mM/Q)7.26μL(最終濃度=178μM)の代りに、DNA23(RNAと結合するDNAの鎖長が23のもの)(0.92mM/Q)6.79μL(最終濃度=178μM)を用い、milliQ(超純水)0.98μLを1.46μLとした以外は、実施例4と全く同様にして、反応及び後処理を行ない、得られた生成物を実施例4と同様にして分析して、実施例4と同様の結果を得た。収率:5%。
実施例9(ポリエチレンイミンを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
ポリエチレンイミン(1.09mg)/milliQ 17μL
tRNA 1μL
0.1M Pentenoyl−napAla−OCM/DMF 1μL
100mMイミダゾール(pH7.5) 1uL
20uL
上記の反応液を室温で3.5時間撹拌反応させた。その後、反応液に1.5M AcOK 70μLを加え、フェノール/クロロホルムを等量加えて抽出し、更に、クロロホルムを等量加えて抽出した。エタノール360μLを加えて軽く混合し、−30℃で1時間静置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心して上清を除いた。70%エタノール(−30℃)200μLを加えて、15000rpm、4℃で5秒間遠心し、上清を除いた後、減圧乾燥した。10×nuclease S1緩衝液10uL加え、10×nuclease S1 1μLでモノマーに分解した。分解した溶液11μLと酢酸アンモニウム溶液40μLを取り、これを実施例1と同様にしてHPLC分析し、実施例1と同様の結果を得た。収率:5%。
実施例10(表面にカチオン性基をもったデンドリマーを用いたアミノアシル 化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
A液:0.45mMデンドリマー/100mMイミダゾール緩衝液 18μL
(G3−C6NMe 31.2mg,G3−C11NMe 31.4mg,G4−C6NMe 32.4mg,G4−C11NMe 32.8mgをそれぞれ100mMイミダゾール緩衝液に加えて溶解した。)
B液:100mM Pentenoyl−napAla−OCM/DMF
1μL
C液:0.2mM tRNA/H 2 O 1μL
20μL
上記A液,B液,C液の3液をマイクロチューブ中で混合し、室温で5分間、ボルテックスミキサー(超音波)で撹拌した。その後、反応液に1.5MAcOK 60μLを加えて反応を停止させ、フェノール/クロロホルム80μLを加えて抽出した。上清を回収し、クロロホルム60μLを加えて抽出した。次いで、エタノール360μLを加えて−30℃で1時間静置した。15000ppm、4℃で30分間遠心し、上清を取り除いて70%エタノール(−30℃)加え、15000ppm、4℃で5秒間遠心した。上清を取り除き、15分間減圧乾燥して目的物を得た。収率21%。
生成物に10×nuclease S1緩衝液10μLと10×nuclease S1 1μLを加え、37℃で15分間インキュベートしてS1分解を行った。
分解した溶液に酢酸アンモニウム溶液を加えて全量を50μLにし、これを実施例1と同様にしてHPLC分析し、実施例1と同様の結果を得た。
実施例11(Pentenoyl−napAla−OSuを用いたアミノアシル 化)
活性エステルとして、シアノメチルエステル(OCM)の代りにスクシンイミドエステル(OSu)を用いて、実施例3と同様にしてtRNAのアミノアシル化を行った。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
20mM CTACl/100mMイミダゾール(pH7.5) 18μL
100mM Pentenoyl−2−napAla−OSu/DMF 1μL
200μM tRNA 1μL
20μL
上記試料を混合し実施例3と同様に超音波で撹拌し反応させた後、実施例3と同様にして後処理を行ない、実施例1と同様にしてHPLC分析を行なって、実施例1と同様の結果を得た。収率30%。
実施例1(非イオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
非天然アミノ酸として側鎖にナフチル基を有する2−ナフチルアラニンを活性エステル化して用い、これをペプチド核酸(PNA)の存在下、tRNAと反応させてアミノアシル化を行った。なお、PNAとしては、疎水基としてFmoc基を、また、可溶化部位としてLysLys基を導入した、鎖長n=6のCGTGGTを用いた。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
0.5M Tween#20 5μL(最終濃度=250mM)
Nvoc−napAla−OCM(1M/トルエン)
1μL(最終濃度=100mM)
4Mイミダゾール−AcOH PH6.5 1μL(最終濃度=400mM)
0.4mM tRNA 2μL(最終濃度=80μM)
0.8mM Fmoc−PNA 1μL(最終濃度=80μM)
10μL
〈操作手順〉
イミダゾール緩衝液、次いでTween#20を加え、超音波によりミセル化させた。次に活性化アミノ酸Nvoc−napAla−OCMを加え、ピペッチングにて混合した。透明になっていることを確認後、tRNA及びFmoc−PNAを加えて反応を開始した。
1時間反応させた後、段落[0016]に記載の単離精製法の操作手順に従ってフェノールクロロホルム処理及びエタノール沈殿によるtRNA精製を行なった。収率:14%。
〈nuclease処理及びHPLC分析〉
得られた化合物にnuclease S1緩衝液(PH4.5)を10μL加え、これにnuclease S1(100units/μL)を0.5μLピベッティングしながら加えた。37℃で10分間インキュベートした後、HPLCで分析した。
(HPLC測定条件)
0.1M酢酸アンモニウム/MeOH、流速=0.6ml/min、CI8カラム、2%up(0−100%)。
検出波長:260nm(UV−vis検出器),285/330nm(蛍光検出器)
その結果、HPLCによりナフチルアラニルAMPと思われるピークを検出し、そしてそのピークをTOF−MSで分子量分析した結果、目的物であることが同定出来た(第7図参照)。
実施例2(非イオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
アミノアシル化反応液の組成を下記の如くした以外は実施例1と全く同様にして、反応及び後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:13%。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
0.5M Tween#40 5μL(最終濃度=250mM)
Nvoc−napAla−OCM(IM/トルエン)
1μL(最終濃度=100mM)
4Mイミダゾール−AcOH PH6.5 1μL(最終濃度=400mM)
0.4mM tRNA 2μL(最終濃度=80μM)0.8mM Fmoc−PNA 1μL(最終濃度=80μM)
10μL
実施例3(カチオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
20mM CTACl/100mMイミダゾール(pH7.5) 18μL
100mM Pentenoyl−napAla−OCM/DMF 1μL
200μM tRNA 1μL
20μL
上記の反応液をボルテックスミキサーを用いて10分間撹拌した。なお、撹拌を20−40秒行う毎に卓上遠心器で遠心し、壁面に付着した溶液を落とした。反応液に1.5M AcOK 60μLを加え、更にフェノール/クロロホルム(1:1)80μLを加えボルテックスミキサーで数秒間撹拌した(白色の懸濁液になった)。続いて15000rpm、4℃で数秒間遠心し、上清を取った。採取した上清にCHCl3/i−PrOH(24:1)80μLを加えボルテックスミキサーで数秒間撹拌した(白色の懸濁液になった)。先程と同様に15000rpm、4℃で数秒間遠心し、上清を取った。上清にエタノール360μLを加えて軽く混合し、−30℃で1時間放置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心し、上清を除いた。
70%エタノール(−30℃)200mLを加えて15000rpm,4℃で数秒間遠心し、上清を除いた。最期に15分間程度減圧乾燥して、エタノールを完全に蒸発させたのを確認した。乾燥した試料は使用時まで−30℃で保存した。
乾燥した試料に10×nuclease S1緩衝液10mL、nuclease S1 1mLを加えて、37℃で15分間インキュベートした後、実施例1と同様にしてHPLC分析を行ない、実施例1と同様の結果を得た。収率:50%。
実施例4(アニオン性ミセルを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
10mM SDS/milliQ(超純水) 17μL
200μM tRNA 1μL
100mM Pentenoyl−napAla−OCM/THF 1μL
100mM イミダゾール緩衝液(pH7.5) 1μL
20μL
上記の反応液を室温で5時間撹拌反応させた。その後、反応液に1.5M AcOKを60μL加え、フェノール/クロロホルム80μLで抽出し、更に、クロロホルム80μLで抽出した。
エタノール360μLを加え、軽く混合し、−30℃で一時間静置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心して、上清を除いた。70%エタノール(−30℃)200μLを加えて、15000rpm、4℃で5秒間遠心し、上清を除いた後、減圧乾燥した。10×nuclease S1緩衝液10μL及び、nuclease S1 1μLを加え、37℃で15分間インキュベートした後、実施例1と同様にしてHPLC分析を行ない、実施例1と同様の結果を得た。収率:7%。
実施例5[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(2元系)]
非天然アミノ酸として側鎖にナフチル基を有する2−ナフチルアラニンを選択し、これをアンチセンス分子に導入したaa−PNAを用いて、tRNAのアミノアシル化を行った。なお、使用したaa−PNAは、前記第3図に示したaa−PNAの構造式において、リンカーが前記したabZ(パラ体)のものである。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
aa−PNA(1mM) 0.5μL
tRNA(500μM) 1uL
1mMイミダゾール 1μL
(500mM又は1M)イミダゾール 1μL
反応停止剤(mLM) 0.5μL
4μl
〈操作手順〉
aa−PNA、tRNA、1mMイミダゾール(pH7.0)を混合し、4℃で5分間静置した。次に1M(又は500mM)イミダゾール(pH7.0)を加え、室温で2時間静置しアミノアシル化を行った。反応停止剤であるcPNA、nuclease S1緩衝液4μlを加え、37℃で1分間インキュベートして二重鎖PNAを形成させた。5℃に急冷後、100倍に希釈したnuclease S1(100units/μL)1μl加え、37℃で15分間インキュベートした。
反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:約5%。
実施例6[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(2元系)]
実施例5において、aa−PNAとして、第3図に記載の鎖長=6のaa−PNAを用いる代りに鎖長=9(AAGCGTGGT)のaa−PNAを用いて反応を行った。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
aa−PNA(400μM) 1μL
tRNA(200μM) 2uL
1mMリン酸緩衝液 2μL
リン酸ナトリウム 3μL
milliQ(超純水) 2μL
10μL
反応停止剤
400μM cPNA 1μL
〈操作手順〉
1mMリン酸緩衝液、milliQ及びtRNAを混合し、80℃で2分間インキュベートした後、aa−PNAを加え、5℃で2分間静置してハイブリダイゼーションさせた。
次いで、リン酸ナトリウムを加え、アミノアシル化を行った。
反応停止剤であるcPNA及び300mM AcOK(pH4.5)9μLを加え、反応停止した後、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿を行った。
沈殿物をMilliQ 10μlに溶かし、10×nuclease S1緩衝液9μL及びnuclease S1 1μl加え、37℃で15分間インキュベートした。
反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率19%。
実施例7[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(3元系)]
実施例3で用いたものと同じaa−PNAを用い、PNAとtRNAとを近接させるテンプレートとしてDNA14(RNAと結合するDNAの鎖長が14のもの)を用いて、tRNAのアミノアシル化を行った。
(1)tRNAとテンプレートDNAとのハイブリダイゼーション
マイクロチューブに以下の溶液をピベッティングにより混合し、ボルテックス撹拌し、スピンダウンした。
tRNA(500μM/Q) 25μL(最終濃度=357μM)
DNA14(0.86mM/Q) 7.26μL(最終濃度=178μM)
100mMトリス緩衝液 pH6.8 1.75μL(最終濃度=5mM)
milliQ(超純水) 0.98μL
35μL
この溶液を80℃で10分間インキュベーション後、PCRの装置中にて室温まで冷却した。
(2)次に、1.6mLのマイクロチューブを用意しそれに上記ハイブリダイゼーション溶液13.5μLを加えて氷上に静置した。
(3)aa−PNA/10mMトリス緩衝液pH6.8を氷上にて調製した。
次いで、マイクロチューブに以下の溶液をピベッティングにより混合し、ボルテックス撹拌し、スピンダウンした。
aa−PNA(1.5mM/DMSO) 0.52μL(室温に戻ってから開ける)
milliQ(超純水) 1.56μL
2.08μL
(4)上記(2)のマイクロチューブに上記(3)で調製したaa−PNAを0.5μLづつ加えピペッティング、ボルテックス撹拌、スピンダウンし、氷上に5分間静置した。
(5)上記マイクロチューブに4Mイミダゾール−AcOH緩衝液PH6.5を1.93μL加え、氷上にて反応を開始させた。反応時間は2時間とした。
(6)反応後は実施例1と同様にして後処理を行ない、得られた生成物を実施例1と同様にして分析して、実施例1と同様の結果を得た。収率:6%。
なお、上記(5)において、イミダゾール−AcOH緩衝液の代りに酢酸ナトリウム緩衝液を使用したところ、収率が9%に向上した。
実施例8[アンチセンス分子を用いたtRNAのアミノアシル化(3元系)]
実施例4において、tRNAとテンプレートDNAとのハイブリダイゼーション溶液における、テンプレートとしてのDNA14(0.86mM/Q)7.26μL(最終濃度=178μM)の代りに、DNA23(RNAと結合するDNAの鎖長が23のもの)(0.92mM/Q)6.79μL(最終濃度=178μM)を用い、milliQ(超純水)0.98μLを1.46μLとした以外は、実施例4と全く同様にして、反応及び後処理を行ない、得られた生成物を実施例4と同様にして分析して、実施例4と同様の結果を得た。収率:5%。
実施例9(ポリエチレンイミンを用いたtRNAのアミノアシル化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
ポリエチレンイミン(1.09mg)/milliQ 17μL
tRNA 1μL
0.1M Pentenoyl−napAla−OCM/DMF 1μL
100mMイミダゾール(pH7.5) 1uL
20uL
上記の反応液を室温で3.5時間撹拌反応させた。その後、反応液に1.5M AcOK 70μLを加え、フェノール/クロロホルムを等量加えて抽出し、更に、クロロホルムを等量加えて抽出した。エタノール360μLを加えて軽く混合し、−30℃で1時間静置した後、15000rpm、4℃で30分間遠心して上清を除いた。70%エタノール(−30℃)200μLを加えて、15000rpm、4℃で5秒間遠心し、上清を除いた後、減圧乾燥した。10×nuclease S1緩衝液10uL加え、10×nuclease S1 1μLでモノマーに分解した。分解した溶液11μLと酢酸アンモニウム溶液40μLを取り、これを実施例1と同様にしてHPLC分析し、実施例1と同様の結果を得た。収率:5%。
実施例10(表面にカチオン性基をもったデンドリマーを用いたアミノアシル 化)
〈アミノアシル化反応液の組成〉
A液:0.45mMデンドリマー/100mMイミダゾール緩衝液 18μL
(G3−C6NMe 31.2mg,G3−C11NMe 31.4mg,G4−C6NMe 32.4mg,G4−C11NMe 32.8mgをそれぞれ100mMイミダゾール緩衝液に加えて溶解した。)
B液:100mM Pentenoyl−napAla−OCM/DMF
1μL
C液:0.2mM tRNA/H 2 O 1μL
20μL
上記A液,B液,C液の3液をマイクロチューブ中で混合し、室温で5分間、ボルテックスミキサー(超音波)で撹拌した。その後、反応液に1.5MAcOK 60μLを加えて反応を停止させ、フェノール/クロロホルム80μLを加えて抽出した。上清を回収し、クロロホルム60μLを加えて抽出した。次いで、エタノール360μLを加えて−30℃で1時間静置した。15000ppm、4℃で30分間遠心し、上清を取り除いて70%エタノール(−30℃)加え、15000ppm、4℃で5秒間遠心した。上清を取り除き、15分間減圧乾燥して目的物を得た。収率21%。
生成物に10×nuclease S1緩衝液10μLと10×nuclease S1 1μLを加え、37℃で15分間インキュベートしてS1分解を行った。
分解した溶液に酢酸アンモニウム溶液を加えて全量を50μLにし、これを実施例1と同様にしてHPLC分析し、実施例1と同様の結果を得た。
実施例11(Pentenoyl−napAla−OSuを用いたアミノアシル 化)
活性エステルとして、シアノメチルエステル(OCM)の代りにスクシンイミドエステル(OSu)を用いて、実施例3と同様にしてtRNAのアミノアシル化を行った。
〈アミノアシル化反応液の組成〉
20mM CTACl/100mMイミダゾール(pH7.5) 18μL
100mM Pentenoyl−2−napAla−OSu/DMF 1μL
200μM tRNA 1μL
20μL
上記試料を混合し実施例3と同様に超音波で撹拌し反応させた後、実施例3と同様にして後処理を行ない、実施例1と同様にしてHPLC分析を行なって、実施例1と同様の結果を得た。収率30%。
従来のアミノアシル化法の欠点は、1)天然アミノ酸に類似した構造を持つアミノ酸しか導入できない、2)導入したいアミノ酸に対応する人工アミノアシル合成酵素をそれぞれ作製しなくてはならず、また、作製する為に膨大な労力が必要とされる、という点が主に挙げられる。
これに対し、本発明の方法によれば、それぞれのアミノ酸に対応する人工アミノアシル合成酵素を作製、使用する必要が無く、有機化学的手法を用いて所望のアミノ酸をtRNAに導入することが出来るので、従来のアミノアシルtRNA合成酵素ではtRNAに結合出来なかった非天然アミノ酸、例えば天然アミノ酸と大きく構造が異なる非天然アミノ酸や、蛍光性を有するアミノ酸、光異性化能を有するアミノ酸、酸化能力を有するアミノ酸、HIVウィルスに薬効があるアミノ酸等々、どの様なアミノ酸でも効率よくアミノアシル化することが出来る。
アミノアシル化tRNAが容易に得られるようになれば、非天然アミノ酸導入蛋白質の実用化が進むであろうが、このとき、本発明者らが先に特許出願しているランダム挿入削除DNA変異法(特願2001−57478号明細書)の技術や、本発明者らが先に文献発表している4塩基コドン法[Appl Microbiol Biotechnol(2001)57:274−281]の技術を用いて、有用な蛋白質合成がより効果的に行ない得る。
これに対し、本発明の方法によれば、それぞれのアミノ酸に対応する人工アミノアシル合成酵素を作製、使用する必要が無く、有機化学的手法を用いて所望のアミノ酸をtRNAに導入することが出来るので、従来のアミノアシルtRNA合成酵素ではtRNAに結合出来なかった非天然アミノ酸、例えば天然アミノ酸と大きく構造が異なる非天然アミノ酸や、蛍光性を有するアミノ酸、光異性化能を有するアミノ酸、酸化能力を有するアミノ酸、HIVウィルスに薬効があるアミノ酸等々、どの様なアミノ酸でも効率よくアミノアシル化することが出来る。
アミノアシル化tRNAが容易に得られるようになれば、非天然アミノ酸導入蛋白質の実用化が進むであろうが、このとき、本発明者らが先に特許出願しているランダム挿入削除DNA変異法(特願2001−57478号明細書)の技術や、本発明者らが先に文献発表している4塩基コドン法[Appl Microbiol Biotechnol(2001)57:274−281]の技術を用いて、有用な蛋白質合成がより効果的に行ない得る。
Claims (25)
- tRNAを選択的にアミノアシル化してアミノアシルtRNAを製造するに際し、tRNAとアミノ酸を近接させて反応させることを特徴とする、tRNAのアミノアシル化方法。
- tRNAとアミノ酸をミセル中の界面近傍に閉じこめ、両者を近接させて反応させる、請求の範囲第1項に記載のアミノアシル化方法。
- アミノ酸のカルボキシル基を活性化して、これをミセル中に閉じこめ、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる請求の範囲第2項に記載のアミノアシル化方法。
- アミノ酸のカルボキシル基をミセル内部で縮合剤を用いて活性化し、このミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入することにより、ミセル中の界面近傍で、当該3’末端水酸基と活性化されたカルボキシル基とを近接させて反応させる請求の範囲第2項に記載のアミノアシル化方法。
- ペプチド核酸末端へ疎水性官能基を導入したものを、tRNAの3’末端近傍へ疎水基が来るように、tRNAへ部位特異的相補結合させて、3’末端基部分を疎水性にすることにより、ミセル中の界面近傍へtRNAの3’末端水酸基部分のみを挿入する、請求の範囲第3項又は第4項に記載のアミノアシル化方法。
- アミノ基を保護したアミノ酸を用いる請求の範囲第2項〜第5項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 界面活性剤の存在下で反応を行う請求の範囲第2項〜第6項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- ポリエチレンイミン又は表面にカチオン性基を持ったデンドリマーの存在下で反応を行う請求の範囲第2項〜第6項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- O/W(水中油滴)型のミセル中で反応を行う請求の範囲第2項〜第8項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- オイルフリーの系で反応を行う請求の範囲第2項〜第8項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒を用いて反応を行う請求の範囲第2項〜第10項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸をアンチセンス分子として介在させることによりtRNAとアミノ酸を近接させて反応させる、請求の範囲第1項に記載のアミノアシル化方法。
- アミノ酸を予めエステル結合によりアンチセンス分子に結合させて、tRNAと反応させる請求の範囲第12項に記載のアミノアシル化方法。
- アミノ酸を活性エステルを介してアンチセンス分子に結合させたものを用いて反応を行う、請求の範囲第13項に記載のアミノアシル化方法。
- アンチセンス分子と活性エステルの間にリンカーを存在させたものを用いて反応を行う、請求の範囲第14項に記載のアミノアシル化方法。
- アンチセンス分子の他端にカチオン性アミノ酸が導入されたものを用いる請求の範囲第13項〜第15項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 下記一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物を用いてtRNAと反応を行う請求の範囲第12項に記載のアミノアシル化方法。 - 中性付近で高い触媒活性を示すエステル交換触媒を用いて反応を行う請求の範囲第12項〜第17項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 反応停止剤を用いる請求の範囲第12項〜第18項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 反応停止剤がtRNAと特異的相補結合するペプチド核酸と相補対を形成するペプチド核酸である請求の範囲第19項に記載のアミノアシル化方法。
- tRNAと特異的相補結合するペプチド核酸以外に、更に、DNAをアンチセンス分子として用いて反応を行う請求の範囲第12項〜第18項の何れかに記載のアミノアシル化方法。
- 反応系の温度を上昇させて反応を停止させる請求の範囲第21項に記載のアミノアシル化方法。
- 反応系の温度を25℃に上昇させて反応を停止させる請求の範囲第22項に記載のアミノアシル化方法。
- 一般式[1]
H−cAm−PNA−L−E−Am [1]
[式中、−cAm−はカチオン性アミノ酸残基又は2〜5のカチオン性アミノ酸から成るオリゴペプチド残基を表し、−PNA−はペプチド核酸残基を表し、−L−はリンカーを表し、−E−は活性エステル残基を表し、−AmはtRNAに導入すべきアミノ酸残基を表す。]で示される化合物。 - 一般式[1]において、−cAm−が−LysLys−であり、−PNA−が−CGTGGT−であり、−Amが非天然アミノ酸である請求の範囲第24項に記載の化合物。
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