JP4057425B2 - 多糖を利用する遺伝子キャリヤーとその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、多糖に核酸が結合した複合体から成る遺伝子キャリヤーに関し、詳述すれば核酸と相互作用して複合体を形成することによって該核酸を担持することのできるアンチセンス試薬等として有用な新規な人工材料(化合物)に関する。
背景技術
ヒトゲノムの解読が21世紀初頭に終了すると言われている。この成果を応用するには、核酸を人工的に操作(核酸の搬送、配列認識、転写や翻訳の制御、分離など)する技術の開発が不可欠である。核酸を操作するための材料として、最も重要と考えられるのは、DNAなどの核酸と複合体を形成して該核酸を搬送することのできる材料である。しかし、従来、in vivoにおける人工材料を用いた遺伝子キャリヤーは、ヒトの臨床研究ではなんら有意な効果をもたらさなかった。その理由は、▲1▼低い遺伝子伝達効率、▲2▼遺伝子の結合解離の制御の困難さ[cottonら、Meth.Enzymol.217:618−644(1993)]、および▲3▼カチオン担体材料の細胞毒性[Choksakulnimitrら、J.Control.Rel.34:233−241(1995)]に見出される。
レトロウイルス[Miller,Nature 357:455−460(1992)]またはアデノウイルス[Mulligan,Science 260:926−932(1993)]等は、遺伝子キャリヤーとしてin vitroでは極めて見込みのある結果を与えたが、これら天然由来のウイルスの炎症性、免疫原的性質、ならびに突然変異誘発および細胞ゲノム中への組み込みの危険性が特に原因してこれらのin vivoにおける使用は制限されている[Crystal,Science 270:404−410(1995)]。そこで、天然由来の遺伝子キャリヤーの代替物として、ウイルス系よりも取り扱いが簡単であるのみならず、細胞へDNAを確実に効率良く集中させることが可能な人工材料の非ウイルスキャリヤーの使用が提示された[TomlinsonおよびRolland,J.Contr.Rel.39:357−372(1996)]。
現在、非ウイルス性の人工キャリヤーとして最も検討されているのはポリエチレンイミン(PEI)である。多数の異なった付着細胞および浮遊細胞ライン中では、3次元的分岐構造のカチオンポリマーであるPEIは、ある場合には平均以上のトランスフェクション率を引き起こす結果になった[Boussifら、Gene Therapy 3:1074−1080(1996)]。例えば3T3繊維芽細胞の95%形質転換がin vitroで達成された。in vivoでの遺伝子のマウス脳中へのPEI仲介伝達では、ニューロンおよびグリア細胞中のリポーター遺伝子およびBcl2遺伝子の長期発現が起きる結果になり、アデノウイルスによる遺伝子伝達の場合と同じ程度のものであった[Abdallahら、Hum.Gene Ther.7:1947−1954(1996)]。
しかし、ポリエチレンイミンなどのカチオン性高分子の安全性は確認されていない。カチオン性を有するには、アミノ基の存在が不可欠であるが、アミノ基は生理活性が高く、体内毒性等の危険がある。事実、今まで検討されたいかなるカチオン性ポリマーも未だ実用に供されておらず、事実「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)に記載されていない。
一方、筋肉内注射製剤として臨床薬として実際の使用されている多糖として、β−1,3−グルカンが存在する。この多糖は天然では3重螺旋構造をとっていることが古くから知られている(例えば、Theresa M.Mclntire David A.Brant J.Am.Chem.Soc.120巻、6909ページ、1998年)。さらに、この多糖は、既に生体内での安全性が確認されており、筋肉内注射薬として約20年の使用実績がある(清水、陳、荷見、増淵、Biotherapy4巻、1390ページ、1990年;長谷川、Oncology and Chemotherapy 8巻、225ページ、1992年)。
PCT/US95/14800には、このようなβ−1,3−グルカンを化学修飾して、DNA等の生体材料とのコンジュゲイトを作成し、これを遺伝子キャリヤーに使用できることが述べられている。この先行技術には、天然のβ−1,3−グルカン、すなわち、3重螺旋構造を有するβ−1,3−グルカンをそのまま使用し、これと生化学活性のある材料を、共有結合を介して、β−1,3−グルカン/生体材料のコンジュゲイトを製造する方法が述べられているに過ぎない。
最近、本発明者らによって、β−1,3−グルカンを人工的に処理することにより核酸と新しいタイプの複合体を形成することが見出された(PCT/JP00/07875;櫻井、新海、J.Am.Chem.Soc.122巻、4520ページ、2000年;木村、甲元、櫻井、新海、Chem.Lett.1242ページ、2000年)。すなわち、もともと天然では、3重螺旋で存在するこの多糖を極性溶媒に溶解してばらばらの1本鎖にした後に、1本鎖の核酸を加え、溶媒を水に戻すこと(再生過程)によって、核酸1本・多糖2本からなる、3重螺旋複合体が形成することを見出した。この場合、当該多糖と遺伝子の複合体は主として水素結合に因ると考えられている(櫻井和朗、井口律子、木村太郎、甲元一也、水雅美、新海征治、Polym.Preprints,Jpn.49巻、4054ページ、2000年)。この結合エネルギーは比較的弱く、容易に複合体が解離する。したがって、この複合体を遺伝子キャリヤーとして利用するには核酸との親和性を向上させる必要があった。
本発明の目的は、DNAやRNAなどの核酸と相互作用し、核酸を破壊することなく、核酸と結合して生体内の条件下に適用され得るような水溶性の複合体を形成し高い防御機能を有するとともに、必要に応じてそれらの核酸を解離や再結合し得る優れた易放出性を有する、新しいタイプ遺伝子キャリヤーを提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を行い、β−1,3−グルカンに僅かな核酸結合性官能基を導入することにより、当該多糖が、DNAやRNAなどの核酸と相互作用し核酸・高分子複合体を形成して、遺伝子の運搬、核酸の分離、転写・翻訳の制御などに有用であることを見出し本発明を導き出した。
かくして、本発明に従えば、繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有するβ−1,3−グルカンであって、二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合した複合体から成る遺伝子キャリヤーを製造する方法において、(i)β−1,3−グルカンを化学修飾することにより前記1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基を付与する工程、(ii)3重螺旋のβ−1,3−グルカンを極性有機溶媒に溶解することにより1本鎖にする工程、および(iii)核酸の存在下に、化学修飾後の1本鎖のβ−1,3−グルカンを含有する溶液の溶媒を極性有機溶媒から水に交換することにより、二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合した複合体を形成する工程、を含む方法が提供される。
さらに、本発明に従えば、上記の方法によって製造される遺伝子キャリヤーであって、二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合された複合体から成り、前記β−1,3−グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有し、その1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーが提供される。本発明の好ましい態様として、核酸結合性官能基は、カチオン性官能基、ステロイド性官能基、アミノ酸性官能基、またはインターカレーター性官能基である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、3重螺旋構造を有する天然のβ−1,3−グルカンを人工的に処理することにより2本鎖のβ−1,3−グルカンに目的の核酸(DNA、RNA)を結合させた複合体から成る新しいタイプの遺伝子キャリヤーを提供するものである。第1図には、PCT/US95/14800に記載されている先行技術と比較して本発明の原理を模式的に示している。図1の(A)は、PCT/US95/14800に記載の遺伝子キャリヤーであり、3重螺旋のβ−1,3−グルカンをそのまま化学修飾し、目的の生化学活性のある物質、例えば、アンチセンスDNAを加水分解性の共有結合を介して結合させている。図2の(B)は、本発明者によるものであり、3重螺旋のβ−1,3−グルカンを極性有機溶媒に溶解して1本鎖にする。(I)は、本発明者らによる先行特許出願(PCT/JP00/07875)に開示された複合体を示し、1本鎖のβ−1,3−グルカンを含有する溶媒を直接、DNA等の核酸の存在下に水に交換することにより核酸−糖(2本鎖)複合体を生成させているが、この複合体の結合力は、主として水素結合に因るものであり、比較的弱く容易に核酸と糖が解離するのが幾分難点であった。本発明は、この難点を解消するものであり、(II)に示すように、β−1,3−グルカンの分枝(側鎖)を化学修飾することにより核酸結合性官能基(例えば、カチオン性官能基)を付与した後、溶媒を水に交換して、2本鎖のβ−1,3−グルカンに目的の核酸が結合した複合体を形成させる。この複合体におけるβ−1,3−グルカンと核酸の結合力は、水素結合に因るものの他、核酸結合性官能基と核酸との相互作用(例えば、イオン結合)に因るものが付加されているので、(I)の場合に比べて向上している。
すなわち、本発明の複合体においては、β−1,3−グルカンを1本鎖にすることにより、水中で2本鎖になる再生工程でβ−1,3−グルカンのもつ水素結合サイトが発現し、この水素結合サイトと核酸結合性官能基とを介して核酸を適度な結合力で2本鎖のβ−1,3−グルカンに結合させ、後の操作に際して(例えば、生体や培養組織への導入)該核酸が脱離し得るようになっている。これに対して、PCT/US95/14800に記載の複合体では3重螺旋のβ−1,3−グルカン(水素結合により3重螺旋構造が形成されているので水素結合サイトは存しない)に化学修飾のみによる加水分解性の共有結合を介して核酸のような生化学活性物質を結合させ、加水分解を受け得るような条件下でのみ該生化学活性物質が脱離され得るようになっている。
β−1,3−グルカンは、グルコース環がβ結合で1位と3位の水酸基間が結合した多糖の総称であり、このうち、本発明で用いられるβ−1,3−グルカンは、繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有するものである。本発明で用いられるのに好適なこのような構造を有するβ−1,3−グルカンの例としては、シゾフィラン、レンチナン、パーキマン、グリホランまたはスクレログリカンなどの名で知られる多糖が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、本発明で用いられるβ−1,3−グルカンとしては、それらの天然由来のβ−1,3−グルカンを化学的に加工して得られる化合物であって、上で定義した繰り返し単位を10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有するものも包含する。以下、本発明で用いられるこのようなβ−1,3−グルカンを「本発明の多糖」ということがある。
本発明に従いβ−1,3−グルカンの1,6−グルコピラノシド分枝に付与される「核酸結合性官能基」とは、核酸と相互作用して本発明の多糖と当該核酸との結合(親和性)を向上させる官能基または原子団を指称する。本発明で用いられるのに好適なこのような官能基は、カチオン性官能基、ステロイド性官能基、アミノ酸性官能基、またはインターカレーター性官能基である。本発明の多糖の分枝に付与されたカチオン性官能基は、DNAやRNAのような核酸の持つ負電荷と静電的相互作用により多糖と核酸との結合を高める。ステロイド性官能基およびアミノ酸性官能基は、核酸との疎水的相互作用を介して多糖と核酸との結合力を増加させる。インターカレーター性官能基とは、DNAやRNAの塩基対の間に挿入(インターカレート)し水素結合または疎水的相互作用を介してそれらのDNAやRNAと多糖の結合性を高めるものである。
先に述べたように、カチオン性の官能基、特にアミノ基は生理活性があるため毒性を示すことがある。しかし、毒性は量によって決まる。アミノ基自身は生体中に無数に存在し、それ自身が有害というわけではない。従来から人工キャリヤーとして検討されていたポリエチレンイミンのように、繰り返し単位ごとにアミノ基が存在する場合は毒性を示すことが多い。本発明では、できるだけカチオン性官能基をはじめとする核酸結合性官能基のβ−1,3−グルカンの分枝への導入率を減らして、糖の持つ生体内安全性を極力保持しているところに特徴がある。導入率は、核酸結合性官能基の種類に応じて、毒性、易放出性、複合体安定性の3要因を勘案して決定される。易放出性、複合安定性は、目的とするアンチセンスDNAの塩基配列と塩基数に依存するので一概には規定できなく、目的に応じて決まる。通常、本発明での核酸結合性官能基の導入率は、本発明の多糖を構成する繰り返し単位のモル%換算で、通常50%以内、好ましくは30%以内、さらに好ましくは15%以内、最も好ましくは10%以内である。
通常、ポリエチレンイミン(PEI)にカチオン性官能基を導入した場合、10%以下の導入率になると、PEIと核酸とから成る複合体の安定性が損なわれる。これは、複合体形成の駆動力がイオン対間の静電力のみに因るためである。本発明では、核酸結合性官能基と核酸との結合は複合体形成のきっかけを与えるに過ぎず、駆動力はあくまで、糖と核酸との間の水素結合(+疎水性相互作用)である。事実、実施例3、比較例2で示すように、化学修飾してカチオン性官能基を付与した本発明の多糖と核酸との複合体のCDスペクトルは、未修飾の本発明の多糖と核酸との複合体と変わらない。一方、比較例4に示すようにポリエチレンイミンの場合は、核酸本来のコンフォメーションが喪失し、CDスペクトルが大幅に減少する。遺伝子キャリヤーとして比較した場合、分枝に核酸結合性官能基が付与されたβ−1,3−グルカンを用いる本発明の遺伝子キャリヤーと従来のポリカチオンベクターとの最大の相違点はここにある。
本発明で用いられるβ−1,3−グルカンの分子量は、使用目的に応じて異なるが、一般に、重量平均分子量として2000以上であることが好ましい。分子量が低過ぎると、高分子効果が現れず、複合体の形成が起こりにくい点で不利である。
本発明の遺伝子キャリヤーとなる複合体を製造する方法の特徴の1つは、上で定義したような分枝を有し3重螺旋のβ−1,3−グルカンを極性溶媒に溶解することにより1本鎖にする工程を含むことにある。使用する極性有機溶媒は、3重螺旋の解離ができる溶剤であればいずれでもよいが、好ましくは、ジメチルスルホキホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネイト、メチレンカーボネイト、スルフォラン、さらに好ましくは、ジメチルスルホキホキシド、ジメチルホルムアミドである。3重螺旋を解離するためには、本発明のβ−1,3−グルカンを上述の極性有機溶媒に溶解するだけでよいが、必要に応じて加熱してもよい。また、目的によってはpH10以上、好ましくはpH12以上のアルカリ水溶液に溶解して、加熱して3重螺旋の解離をしてもよい。またオートクレーブを用いて中性のβ−1,3−グルカン水溶液を100℃以上、好ましくは120℃以上に加熱してもよい。3重螺旋から1本鎖への解離は、GPC(ゲルフィルトレーションクロマトグラム)や、光散乱法、沈降平衡法で、分子量を測定して解離に伴い、分子量が1/3になることにより確認することができる。
本発明の遺伝子キャリヤーとなる複合体を製造する方法の更なる特徴は、本発明の多糖、すなわち、繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有するβ−1,3−グルカンを化学修飾することにより、該1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に既述したような核酸結合性官能基を導入する工程を含むことにある。
本発明の多糖を化学修飾して、核酸結合性官能基を付与する方法としては、通常の有機化学の手法であればいかなる方法を使うこともできる。例えば、水酸基へのウィリアムソン反応、付加反応、水酸基を酸化して得られるアルデヒド、カルボン酸への付加、縮合反応、水酸基を活性化(ハロゲン化、トシル化、メシル化など)してのウィリアムソン反応などの水酸基を利用した一般的な有機反応、および、糖鎖還元末端への還元的アミノ化および還元末端を酸化して得られるラクトンへのアミノリシスであれば特に制限はない。
この中で好ましい方法は、本発明の多糖の1,6−グルコピラノシド分枝を過ヨウ素酸酸化した後、過ヨウ素酸酸化された1,6−グルコピラノシド分枝に還元的アミノ化により核酸結合性を結合させることである。この過ヨウ素酸酸化および還元的アミノ化は、第1図に沿って既述した場合のように、極性有機溶媒に溶解することによって得られた1本鎖のβ−1,3−グルカンについて行なってもよいが、過ヨウ素酸酸化は3重螺旋のβ−1,3−グルカンについて行ない、還元的アミノ化は1本鎖のβ−1,3−グルカンについて行なってもよい。別のやり方として、過ヨウ素酸酸化および還元的アミノ化の両方を3重螺旋のβ−1,3−グルカンについて行なうこともできる。
過ヨウ素酸酸化は、1,2−ジオールを定量的にアルデヒドへと変換する反応であり、使用できる試薬としては、過ヨウ素酸のアルカリ金属塩であれば特に制限はなく、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ルビジウムなどの中から適当に選択することができる。その中でも、溶解性および価格的な面から過ヨウ素酸ナトリウムがもっとも好ましく用いられる。この反応は本発明の多糖に適用する場合は、溶媒としては多糖が溶解し、且つ、反応に影響を与えない極性溶媒であれば特に制限はない。この点を考慮すると、水がもっとも好ましい。極性有機溶媒に溶解させることにより得られた1本鎖のβ−1,3−グルカンについて、過ヨウ素酸酸化を行なう場合には、1本鎖生成工程に用いられた極性有機溶媒、特にジメチルスルホキシドを用いるのが便利である。また、反応温度も過ヨウ素酸の自己分解反応が進行しない条件下であれば特に制限されることはないが、一般的には、0〜50℃の温度下に行なわれる。かくして、第2図に示されるように、β−1,3−グルカンの1,6−グルコピラノシド分枝の3位と4位もしくは2位と3位の間が切断され、それらの位置にある水酸基がアルデヒドに変換される。このとき、前述したように、過ヨウ素酸酸化反応の特徴は、1,2−ジオール間のC−C結合のみに反応することにある。β−1,3−グルカンの場合は、主鎖に1,2−ジオールはなく、したがって、本反応では主鎖は切断されたり変性することはない。
次に、上記のようにして得られ分枝にアルデヒド基を有するβ−1,3−グルカンに還元的アミノ化を行なうことにより核酸結合性官能基を結合させる。還元的アミノ化とは、アルデヒドとアミノ基の縮合反応に引き続き還元することで官能基を共有結合を介して導入する反応のことであり、一級アミンもしくは二級アミン、または、ヒドラジンを有するあらゆる化合物が適用できるが、還元反応に影響されるような官能基、例えば、ビニルケトンを有するものはさけることが好ましい。還元反応に用いられる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアン化ホウ素ナトリウムであれば、特に制限なく使用することができる。この反応は本発明の多糖に適用する場合は、溶媒としては多糖が溶解し、且つ、反応に影響を与えないものであれば特に制限はないが、これらの点を考慮すると水またはジメチルスルホキシドが最も好ましい。
かくして、本発明の好ましい態様に従い、過ヨウ素酸酸化と還元的アミノ化とから成る化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の本発明の多糖の1,6−グルコピラノシド分枝は下記の一般式(1)で表わすことができる。式(1)において2つのXは、通常、同種の核酸結合性官能基であるが、異種の核酸結合性官能基とすることも可能である。
以上のことから理解されるように、本発明の好ましい態様に従い、過ヨウ素酸酸化に引き続く還元的アミノ化により、β−1,3−グルカンの1,6−グルコピラノシド分枝に導入される核酸結合性官能基は、還元的アミノ化が適用されるような一級アミン、二級アミンまたはヒドラジンを有する化合物由来のものである。
例えば、本発明で用いられるのに好適なカチオン性官能基としては、下記に示すような1級もしくは2級のアミノ基を少なくとも1つ含む鎖状または環状の化合物由来のものであるが、無論これらに限定されるものではない。これらは、市販のアミノ基をもつ化合物から容易に合成することができる。
第3図は、本発明において核酸結合性官能基としてカチオン性官能基を導入するカチオン性修飾多糖を得る方法の例を示す。図中(i)は過ヨウ素酸での酸化を示し、(ii)はシッフ塩基の形成を示し、(iii)はシッフ塩基の水素化ホウ素ナトリウムによる還元を示す。未反応の3位水酸基を含む側鎖を有するβ−1,3−グルカンの場合は、2.X、3.X、4.Xで表わされる反応物が得られる。5と6は、この反応が、側鎖の一部に起こることを示す。
また、本発明に従い、過ヨウ素酸酸化に引き続く還元的アミノ化により本発明の多糖の分枝に付加されるステロイド性官能基として好ましいのは、下記の式(2)で表わされる化合物由来のものである。
ここで、R1、R2、R3は水素または炭素、酸素、窒素もしくは水素を含む置換基である。また、R4はスペーサーであり、水素または炭素、酸素、窒素もしくは水素を含む環状または直鎖状の化合物由来のものである。R4がステロイド骨格に結合する位置はいずれでもよい。また、上記の一般式に当てはまらなくても、ステロイド骨格を有するものはいずれでも使用できる。例えば、コルチコステロン、コルチゾールの誘導体などである。
このようなステロイド性官能基は、第4図に示す反応式に従って、ステロイド環に付加している水酸基にジアミンを結合させた後に、上述した方法に従って、還元的アミノ化法で、β−1,3−グルカンの分枝にステロイド性官能基を導入する。
本発明の好ましい態様に従い、過ヨウ素酸酸化と還元的アミノ化によりβ−1,3−グルカンの分枝に導入されるアミノ酸性官能基とは、下記の一般式(3)で表わされるアミノ酸または複数のアミノ酸が結合したペプチド由来のものである。
ここで、R5はアミノ酸の側鎖であり、例えば、CH3(アラニンの場合)、CH2Ph(フェニルアラニンの場合:Phはフェニル基)、(CH3)2CH(バリンの場合)、(CH3)2CHCH2(ロイシンの場合)、CH2OH(セリンの場合)、CH3(OH)CH(トレオニンの場合)、CH2−SH(システインの場合)等を表わす。
式(3)で表わされるアミノ酸性官能基は、第5図に示す反応式に従って、エステル化したアミノ酸のアミノ基を利用して、β−1,3−グルカンの分枝にアミノ酸基を導入する。アミノ酸をエステル化する目的は、アミノ基は通常両性イオンとして振舞うため、還元的アミノ化法が使用できないためである。また、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸は側鎖の保護が必須である。これら側鎖の保護に関しては、通常のアミノ酸化学で知られた手法のいずれを用いてもよい。例えば、実験化学講座(丸善)や生化学実験講座(東京化学同人)を参考にすればよい。
結合させるアミノ酸はその目的に応じて使い分けることができる。例えば、核酸とのイオンペア形成による親和性を高めるためには、塩基性アミノ酸が好ましい。また、疎水性相互作用を利用して、トランスフェクション効率を高めるためにはアルギニン等の疎水性アミノ酸を導入することが好ましい。第5図では、説明の便宜上、直接N端をβ−1,3−グルカンの側鎖(分枝)に結合させているが、必要に応じて適当な長さのスペーサーを入れてもよい。また、本発明に従うアミノ酸性官能基として複数のアミノ酸から成るペプチド由来のものを用いることもできる。例えば、フィブロイネクチンや、インテグリン群から選ばれるタンパク、インテグリン結合ペプチド(システイン−チロシン−グリシン−グリシン−アルギニン−グリシン−アスパラギン酸−トレオニン−プロリン)や、DNAと相互作用するペプチド核酸(PNA)、その他の核酸と特異的相互作用をするペプチドならいずれを導入してもよい。本発明の多糖の分枝への導入法は、第5図に沿って上述したアミノ酸の場合と全く同様である。
本発明の好ましい態様に従い、過ヨウ素酸酸化後に還元的アミノ化を行なうことにより、本発明の多糖の分枝に導入されるインターカレーター性官能基としては、アミノ基またはカルボキシル基を有するインターカレーターであればいずれでもよいが、好ましくはアクリジン、プロフラビン、エチジウムの構造を有するものであり、次の式(4)〜(6)のいずれかで表わすことができるものである。
アミノ基を有するこれらの化合物はこのままでも既述したように、過ヨウ素酸酸化に引き続く還元的アミノ化により本発明の多糖の分枝(側鎖)に結合させることも可能であるが、DNA等の核酸と相互作用しうる距離に配置するためのスペーサー部位を導入したものを用いることが望ましい。アミノ基を末端に有するスペーサーであれば連結法に制限はないが、アミノアルカンカルボン酸などを適当な縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミドなど、実験化学講座、丸善)を用い、アミド結合を介して導入する方法が簡便で好ましい。導入は、例えば、アクリジンについては第6図に示すスキームに従って既述のように還元的アミノ化することにより本発明の多糖の分枝に結合させる。カルボン酸を有するインターカレーターを用いる場合は、適当なスペーサーを有するジアミンを同様に縮合剤により導入し、既述のように、還元的アミノ化することにより本発明の多糖の分枝に結合させることができる。
本発明に従い遺伝子キャリヤーの製造する方法の第3の重要な特徴は、核酸の存在下に、化学修飾後の1本鎖のβ−1,3−グルカンを含有する溶液の溶媒を極性有機溶媒から水に交換することにより、二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合した複合体を形成する工程を含むことにある。すなわち、極性有機溶媒中で1本鎖を呈していたβ−1,3−グルカンは、水中で3本鎖に戻る過程(再生工程)において、核酸が存在すると、核酸1+多糖2本からなる新たな複合体が形成される。この再生工程は、一般に、透析法若しくは限外ろ過にて、溶媒を水に置き換えることによって行なわれるが、単純に極性有機溶媒中を水で薄めてもよい。また、既述の説明から明かなように、この極性有機溶媒から水への交換工程は、3重螺旋のβ−1,3−グルカンを過ヨウ素酸酸化した後、極性溶媒に溶解し、これに還元的アミノ化を行なうことによって得られた化学修飾後の1本鎖のβ−1,3−グルカン;3重螺旋のβ−1,3−グルカンを極性有機溶媒に溶解して1本鎖にした後、過ヨウ素酸酸化および還元的アミノ化を行なうことによって得られた化学修飾後の1本鎖のβ−1,3−グルカン;または、当初に3重螺旋のβ−1,3−グルカンに過ヨウ素酸酸化および還元的アミノ化を行ない、その後に極性有機溶媒に溶解することによって得られた化学修飾後の1本鎖のβ−1,3−グルカンについて行なうことができる。
以上のようにして得られ分枝に核酸結合性官能基が付与された本発明の多糖は、DNAやRNAなどの核酸と相互作用し、該核酸と複合体を形成する。この複合体の形成は、例えばCD(円偏光二色性)スペクトルを測定することにより、コンホメーション変化を調べることによって確認することができる。
以上のようにして得られ、二本鎖のβ−1,3−グルカンに、その分枝に付与された核酸結合性反応基を介して核酸が結合された本発明の複合体は、一般に水溶性であり、温度変化やpHの変化によって解離および再結合し、さらに、DNAやRNAの化学構造(A、T、G、C、U)の違いに対応して結合能が異なるという性質を有する。この複合体は核酸分解酵素に対する耐性を有し、核酸(遺伝子)が破壊されることもない。かくして、本発明の複合体は、核酸のキャリヤーとして各種の核酸操作に供され遺伝子マニピュレーターとして用いることができる。β−1,3−グルカンに核酸が結合した複合体から成る本発明の遺伝子キャリヤーは、所定の遺伝子(DNA、RNA)、例えばアンチセンス核酸を担持して生体や培養組織などに注入されることにより、疾病の診断や治療などを目的とした薬剤や試薬などとしての有用性が期待される。また、加水分解酵素への耐性向上の効果があることにより、保護剤への応用がある。
本発明に従い複合体を形成する核酸は目的に応じて様々な核酸を使用することができる。例えば、「遺伝子治療、開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス」に記載されているようなアンチセンス核酸であればいずれでもよい。また、通常のデオキシリボ核酸以外に、ホスホロチオエート型DNA、ホスホロアミデート型DNA、ペプチド核酸、プリンリボース型DNA、メトキシエトキシ型DNA等が使用できる。また、必要に応じては2重鎖のDNAを使うこともできる。2重鎖のDNAに結合するメカニズムは定かではないが、ループやバルジ部分等の1本鎖部分に本発明の化学修飾多糖が部分的に結合するものと推定される。
実施例
以下、本発明の特徴をさらに明らかにするため実施例および比較例を示すが、これらの例は本発明を例示するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。
実施例1は本発明の多糖の代表例である分子量150000のシゾフィランへ核酸結合性官能基としてカチオン性官能基を付与した例を示す。実施例2は得られたカチオン性多糖のキャラクタリゼーション(分子量測定、導入率測定)の結果、および、単一鎖DNAとの化学量論の検討により、2本のシゾフィラン鎖と1本のpoly(dA)が結合していることを示す。実施例3と比較例1,2は、得られたカチオン性多糖と単一鎖RNAのpoly(C)とのCDスペクトルを示し、本発明の化学修飾ではCDスペクトルに変化が無いことを示す。実施例4では融解挙動を示し、カチオン性修飾多糖の複合体安定性の増大効果を具体的に示す。実施例5は、poly(C)以外のホモ核酸、アンチセンスDNAの例としてヘテロ核酸との複合体形成能と融解温度を、未修飾多糖と対比させながら示す。さらに、実施例6は、本発明の修飾多糖(シゾフィラン)から成る遺伝子キャリアーがアンチセンスDNAの遺伝子キャリヤーとして機能し、タンパク質の発現を制御し得ることを示す実験例である。実施例7は、実地例6の遺伝子キャリアーがアンチセンスDNAの遺伝子ベクターとして機能したときの、タンパク質の発現を制御の経時変化を示す。さらに、実施例8は、核酸分解酵素への耐性を調べた実験例を示す。また、実施例9は、本発明の修飾多糖(シゾフィラン)から成る遺伝子キャリアーが、タンパク質の発現を制御し、且つ核酸分解酵素への耐性も得ることを示す実験例である。実施例10は本発明の修飾シゾフィランから成る遺伝子キャリアーが核酸と複合体を形成するとともに、該複合体が相補鎖の出現によって解離し得ることを示す実験例である。
実施例11は、核酸結合性官能基としてステロイド性官能基を導入した本発明の多糖の合成例を示す。実施例12は、核酸結合性官能基としてペプチドを導入した本発明の多糖の合成例を示す。実施例13は、核酸結合性官能基としてインターカレーター性官能基を導入した本発明の多糖の合成例を示す。実施例14は、実施例11で得られた本発明の多糖が核酸と複合体を形成することを示す。実施例15は、実施例12で得られた本発明の多糖が核酸と複合体を形成して肝細胞内に導入され得ることを示す実験例である。実施例16は、実施例1で得られた本発明の多糖が核酸と複合体を形成してガン細胞内に導入され得ることを示す。
実施例1:カチオン性官能基の化学修飾によるカチオン性多糖の合成(アミノ基修飾シゾフィラン)
第3図のスキームに従い、本発明に従うカチオン性多糖を合成した。アミノ基の導入率の制御は過ヨウ素酸酸化に使用する過ヨウ素酸ナトリウムの等量数により制御することが可能である。従って、あらゆる導入率に対して合成法には相違は生じない。ここでは、シゾフィランへ約2.5%および約17%、約37%のアミノ基を導入したカチオン性官能基修飾シゾフィランの合成例を示す。また、導入するアミノ基として2−アミノエタノールを使用した。アミノ基の導入率は分枝グルコースに対する過ヨウ素酸ナトリウムの当量数によって制御することが可能であり、その実験結果は実施例2に示した。
3重螺旋シゾフィランを文献(A.C.S.38(1),253(1997);Carbohydrate Research,89,121−135(1981))から入手したSchizophyllum commune.Fries(ATCC 44200)を最少培地を用いて7日間静置培養した後、細胞成分および不溶残渣を遠心分離して得られた上清を超音波処理して分子量45万のシゾフィランを得た。このシゾフィラン100mgを水100mlに溶解させた。そこへ過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(シゾフィラン側鎖グルコースに対して4%および40%の当量数若しくは、過乗量である500%)をゆっくりと加え、4℃で2日間攪拌した。反応溶液を透析膜(排除限界12000)で透析後、凍結乾燥した。得られた白色固体を極性有機溶媒であるジメチルスルホキシド20mlに溶解させ、2−アミノエタノール2ml(大過剰、10000等量以上)を加え、室温で2日間攪拌を続けた。その後、水素化ホウ素ナトリウム100mgを加え、1日室温で攪拌を続けた。過乗の水素化ホウ素ナトリウムを酢酸で失括させた後、メタノール再沈することでカチオン性官能基が付与された修飾多糖(シゾフィラン)を得た。
実施例2:カチオン性多糖のキャラクタリゼーション
実施例1により得られカチオン性官能基が導入された多糖のキャラクタリゼーション(分子量、導入率測定)を行った。分子量についてはゲル排除クロマトグラフィー(GPC)および粘土測定から検討した。得られた分子量の値は、15万であり、原料の3重螺旋シゾフィランの1/3であった。導入率の決定については元素分析による窒素の微量分析(検出下限0.05%)により行った。窒素の微量分析実験は全て3回の測定を行い、その上限および下限の値を窒素含有率に示している。
実施例3:アミノ基修飾シゾフィランとポリ(C)との相互作用
上記のようにして得られた2.5%アミノ基(カチオン性官能基)修飾シゾフィランおよび17%アミノ基修飾シゾフィラン、37%アミノ基修飾シゾフィランをそれぞれ極性有機溶媒であるジメチルスルホキシドに溶解させ、濃度を0.5g/dLに調製した。この溶液100マイクロLと、900マイクロLの純水、10mMのトリス緩衝溶液100マイクロLと0.1g/dLのポリ(C)[Poly(C)](ファルマシア製)核酸溶液100マイクロLを混合した。得られた溶液は透明で、均一であった。
比較例1:未修飾(天然)シゾフィランとポリ(C)との相互作用
未修飾シゾフィランを用いて実施例3と同様の混合溶液を作成した。得られた溶液は透明で、均一であった。
比較例2:ポリエチレンイミンとポリ(C)との相互作用
シゾフィランの代わりに、ポリエチレンイミン(アルドリッチ製)を用いて実施例3と同様の混合溶液を作成した。得られた溶液は白濁していた。
実施例3および比較例1−2において得られた溶液を一晩冷蔵庫内で熟成させた後、円偏光二色性測定装置(JASCO製)を用いて、CDスペクトル測定を行い、複合体形成を確認した。
第8図に、実施例3および比較例2−3のCDスペクトル(5℃)をシゾフィランを添加していない系(ポリ(C)のみ)と比較して示す。また、測定した円偏光二色性の値を通例(日本生化学会編、生化学実験講座二巻、核酸の化学III、東京化学同人)に従って、分子楕円率に変換した。
未修飾(天然)シゾフィランはポリ(C)と複合体を形成することで245nmに新しいバンドがあらわれ、275nmのバンドのCD強度が1.5倍に上昇する。2.5%および17%、37%アミノ基修飾シゾフィランについても245nmの強度が幾分大きいものの非常に類似した変化が確認された。この変化には高い再現性が確認され、このスペクトル変化がカチオンの静電的な相互作用に伴う非特異的な吸着ではないことが示され、これら2.5%および17%、37%アミノ基修飾シゾフィランについても未修飾(天然)シゾフィランと変わらない複合体形成を示すことが明らかと成った。また、ポリエチレンイミンではCDスペクトルの強度の減少が確認された。
UV吸収測定により複合体の化学量論的検討も行なった。17%アミノ基修飾シゾフィランをジメチルスルホキシドに溶解させて濃度を0.5g/dLに調整した。次に、この多糖1本鎖溶液を、0.1g/dLのポリ(dA)〔poly(dA)〕の純水100マイクロリッターの核酸溶液に、混合比がモル濃度換算で、核酸:シゾフィランの組成を様々に変え混合溶液を調整した。その後、10mMのトリス緩衝溶液(pH8.0)を加えたて、溶液中の核酸の濃度が一定になるように調整した。次に、限外ろ過にて系ないのDMSOを水に置き換えた。DMSOの消失は230nmのUV吸収で確認した。この方法で、核酸の濃度の変化が無いことは、予備実験でおこなった、溶質と溶媒の重量変化から確かめてある。
次に、この試料に関して270nmの紫外線吸収を測定した。複合体の形成はUV吸収の淡色効果(複合体の形成により吸収係数が低下する現象)より調べた。結果を図7に示す。この結果より、繰り返し単位(図7の下方参照)のモル数でβ−1,3−グルカン2モルに対して核酸3モルより、即ち、多糖2本と核酸1本からなる複合体が形成されていることが示されている。
実施例4:未修飾、アミノ基修飾シゾフィランの融解挙動
実地例3および比較例1において調製した溶液のCDスペクトルの温度依存性の測定を行った。第9図に得られたCDスペクトルの275nmにおける分子楕円率を温度に対してプロットしたデータを示す。●はポリ(C)のみの場合、■はポリ(C)と未修飾シゾフィランの場合、▲はポリ(C)と2.5%アミノ基修飾シゾフィランの場合、◆はポリ(C)と17%アミノ基修飾シゾフィランの場合、▼はポリ(C)と37%アミノ基修飾シゾフィランの結果を示す。
第9図より得られたポリ(C)とそれぞれのアミノ基修飾シゾフィランの複合体はポリ(C)と未修飾(天然)シゾフィランと同様の融解挙動を示した。また、融解温度(Tm)は2.5%アミノ着修飾シゾフィランで未修飾のシゾフィランより7℃、17%アミノ基修飾シゾフィランで14℃、37%アミノ基修飾シゾフィランで20℃もの安定化をもたらすことが明らかとなった。
実施例5:様々な核酸とアミノ基修飾シゾフィランとの相互作用
実施例1で得られた2.5%アミノ基修飾シゾフィランとのその他の様々な核酸との相互作用について検討を行った。2.5%アミノ基修飾シゾフィランをジメチルスルホキシドに溶解させ、濃度を0.5g/dLに調整し、この溶液100マイクロL、900マイクロLの純水、10mMのトリス緩衝液(pH8.0)100マイクロLと、0.1g/dLの核酸溶液100マイクロLを混合した。得られた溶液はすべて透明で、均一であった。
使用した核酸は、ホモ核酸のポリ(A)(ファルマシア製)、ポリ(U)(ヤマサ製)、ポリ(G)(シグマ製)、ポリ(dA)(ファルマシア製)、ポリ(dT)(ファルマシア製)、ポリ(dC)(ファルマシア製)、ポリ(dG)(固相合成品)を使用した。また、アンチセンスDNAとしては、CTTTAAGAAGGAGATATACAT(配列番号:1)の3’末端に40のdAをつけたシークエンスをアンチセンスDNAとした。このアンチセンスDNAは、T7ファージの持つT7プロモータのリソーム結合部位のGAAATTCTTCCTCTATATGTAに対する相補的な配列を含んでいる。
実施例4に従って、これらの核酸についても融解曲線を測定を行った。得られた全てのスペクトルの波形は未修飾シゾフィランと2.5%アミノ基修飾シゾフィランで変化は無く、融解温度の上昇のみが確認されている。得られた融解曲線から算出した融解温度の結果を表2に示す。
実施例6および比較例3,4:アンチセンス効果試験
実施例1で得られた2.5%アミノ基修飾シゾフィラン(以下、本実施例および実施例7〜10では、本発明の修飾シゾフィランまてゃSPGと略称することがある)について、良く知られた、無細胞(Cell−free)系でのE.Coli T7 S30の細胞抽出液中を用いた転写、翻訳反応を利用してアンチセンス効果試験を行った。アンチセンス効果の指標としてレポーター遺伝子として広く利用されている、蛍光タンパク質のGFP(Green Fluorescence Protein)をコードするプラスミドpQBI63(宝酒造製)をテンプレートDNAに使用した。また、転写、翻訳反応はE.coli T7 S30 in vitro transcription/translationキット(プロメガ製)を利用した。アンチセンス鎖は、実施例5に記載のアンチセンスDNA、CTTTAAGAAGGAGATATACAT(配列番号:1)の末端に40のdAをつけたシークエンスを使用した。モル数で、0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、2.0、3.0、5.0倍の本発明の修飾シゾフィラン(SPG)を実施例5に示した方法でアンチセンスDNAに加えた。5日間冷蔵庫内で熟成させた後、限外ろ過膜(排除限界3000)でろ過してジメチルスルホキシドを除去した(実施例6)。また、モル数で、0.1、0.5、1.0、5、10、50倍のポリエチレンイミン(PEI)を加えて比較した(比較例3)。さらに、シゾフィラン単独の影響について実施例5に示した方法で調製したシゾフィランを、透析膜(排除限界12000)で透析(蒸留水)したもので比較した(比較例4)。テンプレートDNAおよび転写、翻訳反応溶液の混合溶液に上記のアンチセンスDNA又は、SPG複合体、PEI複合体、シゾフィランを混合し反応溶液を調整した。これらの反応溶液を37℃で保ち転写翻訳反応を行った後、これらの反応溶液中のGFPを蛍光スペクトル(日立製)で測定を行い、アンチセンスDNAを入れないときの507nmの蛍光強度を100として比較した。
結果を第10図に示す。図に示されるように、アンチセンスDNAの添加によりGFPの発現に起因する蛍光強度が減少している。さらに、アンチセンスDNAに添加したSPGの量が多くなると、GFPレポーター遺伝子の転写、翻訳がさらに抑制されている。このアンチセンス効果の向上は、アンチセンスDNAとSPGとの間で複合体を形成し、アンチセンスDNAが保護され、且つ易放性が保たれているためと理解される。SPGの場合は2倍以上入れてもそれ以上、抑制効果の向上が見られなかった。これは、化学量論的な複合体を形成するために、複合体形成必要量以上いれても効果がないか、若しくは溶解性の低下があるためと考えられる。一方、PEIの場合は、添加量が多くなっても抑制効果の向上が見られず、PEI無添加の場合とほぼ同じであり、本発明の多糖の優位性を実証している。さらに、過剰のPEIを添加した場合では、抑制効果が低下しており、これはPEIのカチオン電荷が過剰なために、複合体の不溶化、解離能の低下、PEIの静電的相互作用による非特異的な結合によると解釈される。また、シゾフィランのみをアンチセンスDNAと等量若しくは過乗量添加しても顕著な蛍光発光の低下はほとんど無く、シゾフィランによる、GFPレポーター遺伝子の転写、翻訳への影響はほとんど無いと結論できる。
実施例7:アンチセンス効果の経時的変化
シゾフィランをジメチルスルホキシドに溶解させ、実施例5,6に記載のアンチセンスDNAと同様の、CTTTAAGAAGGAGATATACAT(配列番号:1)の3’末端に40のdAをつけたもの(アンチセンスDNA)及び、CTTTAAGAAGGAGATATACAT(配列番号:1)の両末端にそれぞれ40のdAをつけたもの(アンチセンスDNA−2)、に加えた。混合比は、モル数で、1.0倍の本発明の修飾シゾフィランを実施例5に示した方法でアンチセンスDNAに加えた。5日間冷蔵庫内で熟成させた後、限外ろ過膜(排除限界3000)でろ過してジメチルスルホキシドを除去した(+SPG複合体)。アンチセンス効果試験は、実施例6と同様の方法でを評価した。すなわち、テンプレートDNAおよび転写、翻訳反応溶液の混合溶液にアンチセンスDNA若しくは、上記の+SPG複合体を混合し反応溶液を調整した。37℃で転写翻訳反応を行い、反応開始0、0.5、1.0、2.0、3.0時間後のGFPの蛍光測定を行い、反応開始3時間後のアンチセンスDNAを入れないときの507nmの蛍光強度を100として比較した。
これらの結果を第11図に示す。図に示されるように、反応開始30分後以降において、GFPの発現に起因する507nmの蛍光強度はリファレンスと比べて+SPG複合体の方が低く、GFPの発現の抑制が向上している。アンチセンス効果の差は3時間後まで、ほぼ同程度である。また、アンチセンス鎖につけたdAの部位の違いによる差は見られない。
実施例8:複合体の核酸分解酵素耐性の評価
本発明の修飾シゾフィランをジメチルスルホキシドに溶解させ、緩衝液で溶解させた実施例5、6に記載のアンチセンスDNAを加えた。5日間冷蔵庫内で熟成させた後、限外ろ過膜(排除限界3000)でろ過してジメチルスルホキシドを除去した。最終的なシゾフィランの濃度が6.1×10−4Mに、アンチセンスDNAの濃度が6.1×10−4Mに、硫酸亜鉛の濃度が10mMになる条件で、一本鎖核酸を特異的に分解するS1 Nuclase(宝酒造製)を3U添加した後、アンチセンスDNAの分解を吸収スペクトル(JASCO製)で核酸由来の260nmにおける吸光度を追跡した(+SPG)。次にシゾフィランが無い条件で、同様に260nmにおける吸光度を追跡した(リファレンス)。
これらの結果を第12図に示す。260nmの吸光度の上昇は、リファレンスと比べて+SPGの方が明らかに低くなっている。この結果は、実施例7の結果と同様に、アンチセンスDNAとSPGが複合体を形成することによる分解酵素への耐性化により、アンチセンス効果が向上していると理解される。
実施例9:核酸分解酵素耐性によるアンチセンス効果の向上
本発明の修飾シゾフィランをジメチルスルホキシドに溶解させ、実施例5、6に記載のアンチセンスDNAを加えた。混合比は、モル数で、1.0倍のシゾフィランを実施例5に示した方法でアンチセンスDNAに加えた。5日間冷蔵庫内で熟成させた後、限外ろ過膜(排除限界3000)でろ過してジメチルスルホキシドを除去した(+SPG複合体)。実施例6,7と同様の方法でアンチセンス効果を評価した。すなわち、テンプレートDNAおよび転写、翻訳反応溶液、塩化マグネシウムの混合溶液にアンチセンスDNA(リファレンス)若しくは、上記のSPG複合体を混合し反応溶液を調整した。これらの反応溶液に一本鎖DNA分解酵素であるエキソヌクレアーゼI(ファルマシア製)を1U添加した後、37℃で保ち転写翻訳反応を行った後、GFPの蛍光測定を行い、アンチセンスDNAを入れないときの507nmの蛍光強度を100(コントロール)として比較した。
これらの結果を第13図に示す。図に示されるように、GFPの発現に起因する507nmの蛍光強度はリファレンスと比べてSPG複合体の方が低く、GFPの発現が抑制されており、その差は実施例6の時よりも大きくなっている。
実施例10:相補鎖出現による複合体の解離と相補鎖への置換
実施例3と同様の方法にて、本発明の修飾シゾフィランとpoly(dT)の混合溶液1200マイクロLを調整した。次に、この混合液中のpoly(dT)と等量モルのpoly(dA)を、0.05Mから0.5Mまで濃度を変化させた食塩水溶液1200マイクロLに溶解した。これらのpoly(dA)の溶液を、先に作製した、シゾフィラン−poly(dT)の混合溶液に滴下した。溶液の温度を10度に保ち、3時間後にCDを測定したところ、良く知られたpoly(dA)/poly(dT)2重螺旋のCDスペクトルが観察された。また、そのときの紫外吸収スペクトルの値も、典型的なpoly(dA)/poly(dT)2重螺旋(実験化学講座、核酸II)の吸光係数を示した。即ち、本発明の修飾シゾフィラン−poly(dT)の複合体はpoly(dA)添加により解消し、新たにpoly(dA)−poly(dT)複合体が形成した。この実施例より、相補鎖の出現によって、速やかにハイブリダイゼーションが進行することが分かる。
実施例11:コレステロール修飾シゾフィランの合成
コレステロール(1mg)の水酸基を過剰のホスゲン(トリホスゲン)と反応させることで、クロロギ酸エステルへと変換した(収率80%)。次に、このクロロギ酸エステル置換のコレステロールを、等モルのエチレンジアンと反応させた。このように合成されたアミノ基を有するコレステロール誘導体を、実施例1に示す方法にて、1本鎖のシゾフィランに導入した。コレステロールの導入率は、仕込みの重量比で制御した。元素分析の結果、2mol%、10mol%、30mol%であった。これを、それぞれC−s−SPG−02、C−s−SPG−30とする。
実施例12:ペプチド修飾シゾフィランの合成
アミノ酸性官能基の一例として、インテグリン結合ペプチド(システイン−チロシン−グリシン−グリシン−アルギニン−グリシン−アスパラギン酸−トレオニン−プロリン)をシゾフィランに導入した。C端をエステル化で保護した当該ペプチドを1mg、実施例1に記載のように過ヨウ素酸酸化された後の3重螺旋のシゾフィラン1mgをDMSO20mLに加え、室温で1時間攪拌した。その後、多量の水素化ホウ素ナトリウムで処理し、メタノール再沈した後、凍結乾燥した。このサンプルを、InG−s−SPGとする。
実施例13:インターカレーター修飾シゾフィランの合成
インターカレーター性官能基としてアクリジン誘導体でシゾフィランを化学修飾した。第6図に示す反応スキームに従い、アミノアルカンカルボン酸(第6図においてRxはC2H4を表わす)をスペーサーとし、縮合剤ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてアクリジンに導入した。得られたアミノ化アクリジンを、実施例1と同様に、過ヨウ素酸酸化された後の1本鎖シゾフィランとともに還元的アミノ化反応に供した。得られたサンプルをAc−s−SPGとする。元素分析より求めた導入率6%であった。
実施例14:複合体の形成確認
実施例11および実施例13で得られた修飾シゾフィランの核酸との複合体の形成能をCD、蛍光偏光解消度およびゲル電気泳動法を用いて調べた。実験条件および実験方法は、大略、次のとおりである。
CDスペクトルに関しては、比較例2と同様の方法にておこなった。また、蛍光偏光解消度に関しては、JACSFP−715を用いておこなった。修飾シゾフィランに蛍光マーカーをつける方法は、実施例15に記載の方法にて行った。測定濃度は、蛍光測定に合うように適時希釈し、複合体の形成は、蛍光偏光解消度P値が、蛍光マーカーをつけたのみのシゾフィランの値の50%になるところで判断した。また、ゲル電気泳動は、3.5wt%のアガロースゲルで行い、3時間泳動した後に、ゲルスター(FMC Bioproduct)で染色した。複合体を形成すると、ほとんど泳動しなくなるのに反して、フリーの核酸は、泳動する。
結果を表3にまとめて示す。
実施例15:細胞への複合体の導入
ヒト由来の肝細胞であるHepG2細胞(ATCC:American Type Culture Collectionより入手)をイーグルの最小基本培地(EMEM培地:シグマ製)に10%仔牛胎児血清(FBS和光純薬製)を添加した培地を用いて37℃、5%CO2の条件下で培養を行い、これをHepG2細胞培養上清とする。次に、実施例12で得た、InG−s−SPGおよびs−SPGを無水DMSO中に溶解し、微量のフルオレセインイソシアネートと加えて、糖鎖に蛍光マーカーをつけた。これらサンプルをInG−s−SPG−FITCおよびs−SPG−FITCとする。次に、実施例6で使用したアンチセンス核酸CTTTAAGAAGGAGATATACAT−(dA)40(配列番号:1)の3’末端にローダミンをマーカーとして修飾した。このDNAをR−DNA1とする。
R−DNA1とInG−s−SPG−FITC、及び、R−DNA1とs−SPG−FITCをDMSO溶液中で混合した。このとき多糖を化学量論の1.5倍の過剰量入れた(複合体の形成を確実にするためであり、過剰量で複合体を形成しない糖は実験系になんら影響を与えないことを確認している)。また、複合体の形成はゲル電気泳動で確認した。これらサンプルをHepG2細胞培養上清に添加し、37℃、5%CO2の条件下で培養を行った。
サンプルの細胞への接触開始4時間後の時点で、培地を除去しリン酸緩衝液で洗浄後、4%パラホルムアルデヒドで細胞の固定化処理を行い、蛍光顕微鏡(Olympus製 IX70−22PH)で観察を行った。その結果、細胞内でのフルオロセインの蛍光の集積はInG−s−SPG−FITC添加の方が、ペプチドを付加していないs−SPG−FITC添加よりも10倍から100倍多くなっているのが見られた。また、ローダミンの発色から見積もった、アンチセンスDNAの細胞内への移行も、InG−s−SPG−FITC添加の方が、ペプチドを付加していないs−SPG−FITC添加よりも10倍から100倍多くなっていることが確認できた。
実施例16:細胞への複合体の導入
ヒト由来のメラノーマ細胞であるC32細胞(ATCCより入手)をEMEM培地に10%FBSおよび10%非必須アミノ酸(ギブコ製)を添加した培地を用いて37℃、5%CO2の条件下で培養を行った。これをC32細胞培養上清とする。次に、実施例1で得た、17%アミノ基が修飾されたカチオン性シゾフィラン(N−s−SPG17)を実施例15と同様の用法で蛍光マーカーをつけ、これをN−s−SPG17−FITCとする。また、実施例15と同様の用法で、ローダミン修飾のR−DNA1を作成し、N−s−SPG17−FITCとR−DNA1の複合体を作った。この複合体をC32細胞培養上清に添加し、37℃、5%CO2の条件下で培養を行った。細胞へのN−s−SPG17−FITCの接触を開始後3時間の時点で細胞の固定化処理を行い、蛍光顕微鏡下で観察を行った。その結果、細胞内にフルオレセインの蛍光が集積されていることからN−s−SPG17−FITCが細胞内に取り込まれていることが確認された。また、ローダミンの発色から見積もった、アンチセンスDNAの細胞内への移行も、N−s−SPG−FITC添加の方が、なにも付加していないs−SPG−FITC添加よりも10倍から100倍多くなっていることが確認できた。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の遺伝子キャリヤーが作製される過程を従来技術と比較して模式的に示す。
第2図は、本発明に従い、β−1,3−グルカンの分枝が過ヨウ素酸酸化される反応スキームを示す。
第3図は、本発明に従い、β−1,3−グルカンの分枝にカチオン性官能基を付与してカチオン性修飾多糖を得る工程を示す。
第4図は、本発明において用いられるステロイド性官能基となる化合物の合成スキームを示す。
第5図は、本発明に従い、の分枝にアミノ酸性官能基を付与するための反応スキームを示す。
第6図は、本発明においてインターカレーター性官能基として用いられるスペーサーを有するアクリジン誘導体の合成スキームを示す。
第7図は、本発明の複合体の化学量論比を評価するために行なったUV吸収実験の結果を示す。
第8図は、本発明に従うアミノ基(カチオン性官能基)修飾シゾフィランがポリ(C)と複合体を形成したときのCDスペクトルを未修飾シゾフィランおよびポリエチレンイミンと比較して示す。
第9図は、本発明に従うアミノ基修飾シゾフィランがポリ(C)と複合体を形成したときの融解挙動を未修飾シゾフィランおよびポリ(C)と比較して示す。
第10図は、本発明に従う修飾シゾフィランとアンチセンスDNAから成る複合体について行ったアンチセンス効果試験の結果を示す。
第11図は、本発明に従う修飾シゾフィランの遺伝子キャリヤーとしての機能の経時的変化の実験結果を示す。
第12図は、本発明に従う核酸−多糖複合体が核酸加水分解酵素に対して耐性を示すことを表わした実験結果を示す。
第13図は、本発明に従う核酸−多糖複合体が核酸加水分解酵素に対して耐性を示し、アンチセンス効果が上昇する結果を示す。
Claims (4)
- 二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β−1,3−グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有し、その1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6−グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
- 二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β−1,3−グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有し、その1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6−グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
- 二本鎖のβ−1,3−グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β−1,3−グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6−グルコピラノシド分枝を有し、その1,6−グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6−グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
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