JPWO2003073127A1 - 気象観測ライダーシステム - Google Patents
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Abstract
本発明は、観測対象に向けて発射したレーザ光に対する観測光に基づいてライダー観測を行う気象観測ライダーシステムであって、前記観測光を前記レーザ光の波長帯域の光とそれ以外の波長帯域の光とに分光する分光器と、前記分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第1のフィルタを透過した第1の周波数成分の光を検出する第1の光検出手段と、前記分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第2のフィルタを透過した第2の周波数成分の光を検出する第2の光検出手段と、前記分光された前記レーザ光の波長帯域の光を検出する第3の光検出手段と、前記分光された前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光を検出する第4の光検出手段と、を備える気象観測ライダーシステムを提供する。
Description
技術分野
本発明は、気象観測システムおよびこれを用いた気象観測方法に関し、特にライダー(レーザーレーダー)による気象観測システム(気象観測ライダーシステム)およびこれを用いた気象観測方法ならびに気象観測ライダー解析方法に関する。
背景技術
ライダー(LIDAR;Light Detection and Ranging)は、観測領域の大気中に短いパルスのレーザ光を照射し、その散乱光をライダー信号として測定し、解析することにより、大気の状態を観測する技術である。ライダー観測のためのレーザ光には、一般には、Nd:YAGレーザが用いられる。レーザ光の照射による散乱の種類には、エアロゾル(浮遊粒子状物質)によるミー散乱、大気構成分子によるレイリー散乱やラマン散乱などがあり、これらを利用して大気温度やエアロゾルの空間分布、大気密度、大気成分の濃度分布などの観測要素を解析することができる。このような解析は、具体的には、ライダー信号を表現したライダー方程式と呼ばれる式を解くことにより行われる。
ミー散乱は、照射されるレーザ光の波長と同程度の大きさの物質によって起こる散乱現象である。また、レイリー散乱は、照射されるレーザ光の波長よりも小さな物質によって起こる散乱現象である。エアロゾルが存在する観測領域からのライダー信号にはミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とが重畳されており、レイリー散乱ライダーにおいて高精度な観測を行うためには、ミー散乱信号成分を効率的に分離または遮断(分光)する必要がある。ミー散乱信号成分を分光する手法には、一般に、高遮断率を持つフィルタとして知られるヨウ素吸収フィルタが用いられる。ヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法は、照射するレーザ光の波長が特定のヨウ素ガスの吸収スペクトル線に合うように、シーダ光の波長を掃引した後、そのレーザ光を大気中に照射して、そのライダー信号をヨウ素吸収フィルタに導くというものである。これによって、ライダー信号に含まれるミー散乱信号成分は、ヨウ素吸収フィルタにより吸収され、レイリー散乱信号成分のみが透過する。
また、物質にレーザ光を照射させると入射光と異なる波長の散乱光が観測される。これはラマン散乱と呼ばれる。ラマン散乱ライダーは、大気温度の観測や水蒸気分布の観測に有効である。例えば、大気温度を解析する場合には、窒素分子等の振動ラマン散乱を用いて大気密度を求め、レイリー散乱ライダーと同様の解析により求めたり、回転ラマン散乱のスペクトルの強度分布から求めている。また、水蒸気分布を解析する場合には、水蒸気を構成する水分子と大気を構成する窒素分子の振動ラマン散乱を同時に解析して大気密度の減衰率を補正し、窒素分子の平均密度の高度分布から水蒸気分布を求めている。
レイリー散乱ライダーによる高精度な観測を行うためには、重畳されているミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とを効率的に分光する必要がある。高度30km以上の成層圏では、大気を構成する分子によるレイリー散乱がほとんどであり、比較的簡単に測定が可能であるが、対流圏では、エアロゾルによる強力なミー散乱光が存在し、その散乱強度も不均一である。従って、レイリー散乱ライダー観測を行うためには、実用上、ミー散乱信号成分に対して数桁の遮断率が要求されていた。
一方、ヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法では、該吸収フィルタの透過特性の不安定性が大きな問題となっていた。これは、主に、該吸収フィルタ内のヨウ素ガスの密度分布が不均等であるため、吸収スペクトル特性が不安定であることが原因である。
また、このような高遮断率のフィルタは、スペクトル分解能の目安であるフィネスを高めるため、高反射率の誘電体多層膜でコーティングされている。しかしながら、このようなコーティングにより反射率を高めると、フィルタの最大透過率が低下してしまい、微弱なライダー信号を測定するライダー観測にとって致命的な問題となっていた。
さらに、従来の気象観測ライダーシステムは、各種の観測要素の状態を解析するために、個々の観測要素の観測に適したレーザ光をそれぞれ光源としていた。つまり、従来の気象観測ライダーシステムは、1つのレーザ光を光源として、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を解析することはできなかった。例えば、水蒸気分布を求めるためには、差分吸収法や振動ラマン散乱を用いることが有効である。ところが、前者の差分吸収法では、特殊な2つの波長のレーザ光が必要であり、これらのレーザ光は他の観測要素に利用することができなかった。また、後者の振動ラマン散乱では、水蒸気の振動ラマン散乱の強度がレイリー散乱の強度よりも約3桁ほど小さいことから、観測システムの信号対ノイズ比(S/N比)を高めるために高出力レーザーと高感度の光学望遠鏡が必要となり、その結果、装置が大型化し、コストパフォーマンスが低下するという問題があった。また、上述したヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法では、Nd:YAGレーザの第2高調波成分(λ=532nm)付近にヨウ素の吸収スペクトル線があるため、レーザ光の波長はこれに制限されるといった問題があった。
さらにまた、ライダー観測においては、その光源にレーザ光を用いるため、人体に対する安全性(アイセーフ特性)を十分に考慮する必要がある。従って、ライダー観測では、上述のようなさまざまな散乱現象を効率的に観測することができるレーザ光を選択する一方で、アイセーフ特性を考慮したシステムを開発する必要がある。
そこで、本発明は、これらの課題を解決するために、新たな気象観測ライダーシステムおよびこれを用いた気象観測方法を提案することを目的としている。
より具体的には、本発明の第1の目的は、レイリー散乱ライダーによる高精度な観測を行うため、重畳されているミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とを効率的かつ安定的に分離・遮断することができる気象観測ライダーシステムを実現することである。
また、本発明の第2の目的は、1つのレーザ光により、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を解析することができる気象観測ライダーシステムを実現することである。
さらに、本発明の第3の目的は、効率的なライダー観測ができるようにしつつ、アイセーフ特性を考慮した気象観測ライダーシステムを実現することである。
発明の開示
上記課題を解決するための本発明は、レーザ装置から所定の中心周波数を有するパルス状のレーザ光を照射して、その反射光を観測する気象観測ライダーシステムであって、観測される反射光を、前記レーザ光の波長帯域の光と前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光とに分光する分光器と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第1の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第1のフィルタと、前記第1のフィルタを透過した前記第1の周波数成分の光を検出する第1の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第2の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第2のフィルタと、前記第2のフィルタを透過した前記第2の周波数成分の光を検出する第2の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光を検出する第3の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光を検出する第4の光検出手段と、を備えることを特徴とする気象観測ライダーシステムである。
ここで、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光が前記第1のフィルタを少なくと2回透過させるように構成している。
また、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数成分は、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数成分よりも、前記レーザ光の所定の中心周波数に近い位置に設定されることが好ましい。
より好ましくは、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数と前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数とは、所定のレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトルにおける温度変化に対してそのスペクトルパワーの変化量が最小である周波数位置を中心とした両側にそれぞれ設定される。
具体的には、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数は略1.0[GHz]であり、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数は略3.5[GHz]に設定される。
また、本発明に係る気象観測ライダーシステムは、前記レーザ装置から発射されたレーザ光の出力を監視する監視装置と、前記監視装置によって監視される前記レーザ光の出力に基づいて、前記レーザ光の中心周波数が一定になるように、前記レーザ光の出力を制御する制御手段と、をさらに備える。
ここで、前記レーザ装置は、所定の印加電圧に基づくシーダ光をロッドに供給するシーダを有し、前記制御手段は、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする。
また、前記監視装置は、所定の中心周波数の光を選択的に透過する第3のフィルタと、前記レーザ装置から発射されたレーザ光を第1の監視信号として検出する第1の光検出器と、前記第3のフィルタを透過した光を第2の監視信号として検出する第2の光検出器と、前記第1の光検出器により検出される第1の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第1のピーク値と、前記第2の光検出器により検出される第2の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第2のピーク値とをそれぞれ検出するピーク検出手段と、を備える。
さらに、前記制御手段は、前記第3のフィルタが透過させる光の中心周波数をν0、前記第3のフィルタが透過させる光のスペクトルにおける半値幅をΔνとしたとき、前記ピーク検出手段により検出される第1のピーク値および第2のピーク値に基づいて、前記レーザ光の中心周波数がν0+Δν/2になるように、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする。
なお、前記レーザ装置は、Nd:YAGレーザ装置であることが好ましく、生成したレーザ光の第3高調波成分が所定の光学素子によって取り出されて、発射されるように構成される。
さらにまた、本発明に係る気象観測ライダーシステムは、前記第1乃至第4の光検出手段によってそれぞれ検出される応答信号に基づいて、所定の解析処理を行う解析手段をさらに備える。
ここで、前記解析手段は、前記第1の光検出手段および前記第3の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づいて、エアロゾルの分布状態を求めることを特徴とする。
また、前記解析手段は、前記第1の光検出手段および前記第2の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式に基づいて、所定の応答関数および所定の気温計測感度を求め、前記求めた所定の応答関数および所定の気温計測感度に基づいて大気温度の分布状態を求めることを特徴とする。
さらに、前記解析手段は、前記第2の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式および前記第4の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のラマン散乱ライダー方程式に基づいて、水蒸気の分布状態を求めることを特徴とする。
さらにまた、前記解析手段は、予め収集されるノイズデータに基づいて前記応答信号を補正することを特徴とする。
本明細書において、「手段」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェア(プログラム)によってコンピュータに実現させる場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
なお、上記システムの発明は、方法の発明としても把握することができる。また、各手段を、プログラムがコンピュータに実現させる機能としても把握した場合には、プログラムの発明またはプログラムを記録した記録媒体の発明としても成立する。
発明を実施するための最良の形態
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
図1は、本実施形態に係る気象観測ライダーシステムの基本構成を示す概略図である。本気象観測ライダーシステムは、ライダー観測に適した単一のパルスレーザ光を発生させて、観測領域の大気中(観測対象)に向けてこれを発射する送信系1と、送信系1から発射されたレーザ光の反射光(散乱光)を応答信号(ライダー信号)として受信する受信系2と、受信系2により受信された応答信号を各種のライダー観測に必要な応答信号にそれぞれ分光し、検出する分光系3と、これら各系を構成する機器を制御するとともに、分光系3により検出した応答信号に基づいて観測領域の各観測要素についての解析処理を行う制御/処理系4と、から構成されている。本実施形態では、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルを観測対象として観測するものとする。
送信系1の中核をなすレーザ装置11は、シーダ光を供給するシーダ12を備えたQスイッチNd:YAGレーザである。本例のレーザ装置11の平均出力パワーの変動(出力パワーの許容値)は±5%に抑えられている。また、レーザ装置11は、後述するように、シーダ12に対する外部からの印加電圧を制御するフィードバック制御を行うことで、安定的な発振周波数のレーザ光を生成することができるように構成されている。レーザ装置11は、生成した高周波パルスのレーザ光の第3高調波成分(λ=355nm)を、図示していない非線形光学素子により取り出して、出力エネルギーE0で外部に射出する。このように、本実施形態では、アイセーフ特性を考慮したレーザ光を光源として使用している。
レーザ装置11から射出されるレーザ光の光路上には、ビームスプリッタ13が配置されている。ビームスプリッタ13は、ライダー観測のための主レーザ光と、生成しているレーザ光の発振周波数の安定化制御のためのレーザ光(以下「監視用レーザ光」という。)とに分光する。主レーザ光は、ビームエクスパンダ14を介して適宜の径に成形された後、所定の位置から大気に向けて発射される。一方、ビームスプリッタ13によって取り出された監視用レーザ光は、光ファイバにより周波数モニタ装置15に誘導される。周波数モニタ装置15には、高分解能のフィルタが設けられている。周波数モニタ15は、現に生成されているレーザ光の周波数スペクトルを監視するため、誘導された監視用レーザ光を2チャンネル(フィルタを通過したものとそうでないもの)に分けて、図示していない2つの光検出器によりそれぞれ検出し、その検出結果を制御/処理系4に送出する。制御/処理系4では、コンピュータ16が、周波数モニタ装置15から送出される検出結果に基づいて、レーザ光の発振周波数が安定化するように、シーダ12に対する印加電圧を制御している。
受信系2は、大気に向けて発射されたレーザ光の反射光(散乱光)を集光する反射望遠鏡である。本実施形態では、有効径250mm、焦点距離3000mm、波長λ=355nmに対する反射率90%以上の反射望遠鏡を用いている。この反射望遠鏡により集光された観測光(応答信号)は、光ファイバーを介して分光系3に誘導される。
分光系3は、受信系2から光ファイバーを介して導入される応答信号を各種のライダー観測、すなわち、レイリー散乱ライダー、ラマン散乱ライダーおよびミー散乱ライダーの3種類のライダー観測に必要な信号にそれぞれ分光し、検出可能なように構成されている。分光系3の各光検出手段(図示せず)によりそれぞれ検出された応答信号は、制御/処理系4に送出され、解析処理される。これにより、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルの分布等が得られることになる。
制御/処理系4は、コンピュータ16を中心にして、ディスプレイ17、キーボード18およびプリンタ19等から構成されている。このコンピュータ16には入出力ポートが設けられており、コンピュータ16は、この入出力ポートを介して、各系を構成する機器から送出される信号をそれぞれ受け取り、また、機器に対して制御信号をそれぞれ出力する。コンピュータ16の基本的な役割は、本気象観測ライダーシステムに対する統括的な制御の下、周波数モニタ装置15からの監視信号に基づいて、レーザ光の発振周波数が安定化されるように、シーダ12に対する印加電圧を制御すること、および分光系3の各光検出手段からの応答信号に基づいて、大気の気温や水蒸気等の状態を解析することである。
図2は、本実施形態に係る周波数モニタ装置15の構成を示す図である。同図に示すように、周波数モニタ装置15は高分解能フィルタとしてのエタロン21を備えている。エタロン21は、特定の周波数の整数倍の光のみを選択的に透過するように構成されたフィルタである。エタロン21には連続運転による温度変化による周波数透過特性の不安定性を解消するための温度コントローラ(図示せず)が設けられていることが好ましい。
光ファイバを介して周波数モニタ装置15に導入された監視用レーザ光は、さらに、内部のビームスプリッタ22で分光され、その一方は集光レンズを介して直接的に第1の光検出器23aに入射される。光検出器23aはフォトダイオード(PD)であり、入射されたレーザ光を第1の電気信号に変換する。変換された第1の電気信号は、ピーク検出器24に入力される。また、ビームスプリッタ22で分光されたもう一方のレーザ光は、エタロン21に入射され、そこを通過した後、集光レンズを介して第2の光検出器23bに入射される。光検出器23bもまたフォトダイオードであり、これにより変換された第2の電気信号はピーク検出器24に入力される。
ピーク検出器24は、パルスごとに入力される第1の電気信号及び第2の電気信号についてそれぞれの電力の最大値(ピーク値)を検出する。検出される第2の電気信号の最大値はエタロン21の透過率関数に比例している。ピーク検出器24により検出されたそれぞれのピーク値は、そのパルスごとにコンピュータ16に送出される。
このように、周波数モニタ装置15は、実際の観測に使用されるレーザ光とエタロン21を介して得られるレーザ光のそれぞれについて、そのピーク値を検出する2チャンネル構造になっている。
コンピュータ16は、入力されるそれぞれのピーク値に基づいて、シーダ12に対する印加電圧をフィードバック制御している。すなわち、シーダ12の中心周波数を外部からの印加電圧によって変動させることが可能であるという特性を利用して、コンピュータ16は、図3(a)に示すように、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトル幅の半値幅の付近にくるように制御している。同図中、エタロン21の透過スペクトルの中心周波数をν0、その半値全幅をΔνとするとき、コンピュータ16は、レーザ光の中心周波数がその半値半幅Δν/2になるまで制御する。これにより、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数はν0+Δν/2となる。より具体的には、同図(b)に示すように、2つのピーク値比の変化率Si(Si=dRi/dν)は、レーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトルの半値幅に近づくほど大きくなり、離れるほど小さくなり、半値幅のところで最大となる。そこで、本実施形態では、コンピュータ16は、2つのピーク値比の変化率Siの絶対値が最大になるようにシーダ12に対する印加電圧を制御して、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトル幅の半値幅の付近にくるように制御している。
このように、周波数モニタ装置15から得られる2つのピーク値の比は、エタロン21の透過率の変化にのみ依存し、レーザ光の出力パワーの変化に依存しないので、これらに基づいてシーダ12に対するフィードバック制御を行うことで、レーザ装置11により出力されるレーザ光の出力エネルギー変動によるピーク値への影響を除去できるようになる。
図4は、本発明の一実施形態に係る分光系3の構成を説明するための図である。分光系3は、1つの観測光(応答信号)を、各種のライダー観測、すなわち、レイリー散乱ライダー、ラマン散乱ライダーおよびミー散乱ライダーの3種類のライダー観測のために必要な光に分光し、検出する。
受光系2から光ファイバを介して誘導された観測光は、レンズL1を介して回折格子41に入射され、所定の波長の光ごとに所定の方向に反射される。回折格子41による回折光は、レンズL2を利用して、所定の波長帯域の光ごとに所定の方向に集光され、ミラーM1とミラーM2とによりレーザ光の波長帯域の光とそれ以外の波長帯域の光とがそれぞれ取り出される。ミラーM1により取り出されたレイリー散乱光、ミー散乱光および355nm波長付近の背景光が重畳された光は、レンズL3を介してバンドパスフィルタ42に入射され、バンドパスフィルタ42は、このうち背景光を遮断する。バンドパスフィルタ42は、スペクトル分布が広い背景光のカットに使用されるフィルタであり、一般には、その透過スペクトル幅はエタロンのそれよりかなり広くなるように設計されている。バンドパスフィルタ42を通過した光は、ビームスプリッタBS1で2つに分離され、その一方の光は、ビームスプリッタBS2でさらに2つに分離される。
ビームスプリッタBS2で分離された光は、エタロン44aおよびエタロン44bにそれぞれ入射される。エタロン44aおよびエタロン44bは、それぞれ異なる周波数の光を選択的に透過するフィルタである。エタロン44aおよびエタロン44bには連続運転による温度変化による周波数透過特性の不安定性を解消するための温度コントローラ(図示せず)が設けられていることが好ましい。
エタロン44aが透過させる光の中心周波数(以下、「透過中心周波数」という。)ν1は、エタロン44bの透過中心周波数ν2よりもミー散乱スペクトルの中心周波数ν0に近くなるように設定される。好ましくは、図5(a)に示すように、温度に依存するレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトル(これはガウシアン分布曲線を形成する。)において、温度変化に対してそのスペクトルパワーの変化量が最小になる周波数fを中心として、その両側に、エタロン44aとエタロン44bのそれぞれの透過中心周波数ν1およびν2が設定される。
すなわち、温度に依存するレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトルは、図5(b)に示すように、温度の変化に対して周波数fをほぼ中心にして逆変化特性を示すガウシアン分布曲線を形成する。具体的には、大気温度が−50〜30[℃]の範囲で変化する場合に、そのスペクトルパワーの変化量が最小になる周波数fは、レイリー散乱スペクトルの半値半幅(HWHM)が約1.7〜1.95[GHz]の範囲となる。そこで、本実施形態では、エタロン44aにおける透過光の中心周波数ν1を1.0[GHz]に設定し、エタロン44bにおける透過光の中心周波数ν2を3.5[GHz]に設定している。
ビームスプリッタBS2からエタロン44aに入射され、ここを通過した光は、プリズム45により偏向され、重なり合うことなく、もう一度、エタロン44aを通過する。このため、エタロン44aは、ライダー観測のために検出しようとする光を、重なり合うことなく、少なくとも2回通過させることができるように、大口径ものが採用されている。検出しようとする光をエタロン44aに少なくとも2回通過させる分光方式を、ここでは2重パス分光方式と呼ぶことにする。
上述したように、エタロン44aの透過中心周波数ν1はミー散乱スペクトルの中心周波数に近いため、エタロン44に光が1回通過しただけではミー散乱の遮断率は十分なものでないが、2重パス分光方式によりミー散乱の遮断率は飛躍的に向上することになる。
エタロン44aを再度通過した光は、ミラーM3およびレンズL4を介して第1の光電子増倍管(PMT)43aにより入射され、電気信号に変換される。また、ビームスプリッタBS2からエタロン44bに入射され、ここを通過した光は、レンズL5を介して第2の光電子増倍管43bにより入射され、電気信号に変換される。
また、ビームスプリッタBS1で分離された一方の光は、レンズL6を介して第3の光電子増倍管43cに入射され、散乱信号光子数に応じた電気信号に変換される。
図4に示した回折格子41による回折光のうち、レンズL2を介してミラーM2により取り出された光は、レンズL7を介して干渉フィルタ46に入射される。干渉フィルタ46を通過した光は、レンズL8を介して第4の光電子増倍管43dに入射され、電気信号に変換される。
それぞれの光電子増倍管43a〜43dにより検出された応答信号は、コンピュータ16に入力され、A/D変換された後、観測要素ごとに適宜選択的に使用され、解析処理される。
すなわち、高度別の大気温度については、コンピュータ16は、エタロン44aとエタロン44bとによりそれぞれ分光された2チャンネルの応答信号に基づいて、レイリー散乱ライダー方程式を解くことにより求めている。また、高度別の水蒸気量については、コンピュータ16は、回折格子41および干渉フィルタ46により分光された1チャンネルの応答信号およびエタロン44aにより分光された1チャンネルのレイリー散乱応答信号に基づいて、振動ラマン散乱ライダー方程式を解いている。さらに、高度別のエアロゾルについては、コンピュータ16は、回折格子41により分光された1チャンネルの応答信号およびエタロン44aにより分光された1チャンネルの応答信号に基づいて、ミー散乱ライダー方程式を解いている。
より具体的には、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルの状態は、次のようにして求められる。
すなわち、一般のライダー方程式よって、光電子増倍管43のゲート時間あたりの散乱信号光子数N(z)は、
で表される。ここで、
E0:レーザ装置の出力エネルギー
Y(z):距離zにおける送受信光学系の視野の重なり関数
q:対応するチャンネルの効率(光学系の効率×PMTの量子効率)
α(z):大気の消散係数
β(z):体積後方散乱係数(散乱体密度および散乱断面積の関数)
fd:フィルタの透過関数
A:受信系の開口面積
z:高度
Δz:高度分解能
である。このうち、大気の消散係数α(z)および体積後方散乱係数β(z)以外のパラメータはシステムに与えられた既知の値である。
光電子増倍管43a〜43dで検出されるレイリー散乱光、ミー散乱光および振動ラマン散乱光は、それぞれ次のようなライダー方程式で表される。
まず、光電子増倍管43aおよび43bによるレイリー散乱チャンネルである受信光子数N1(z)およびN2(z)は、
で表される。ここで、
R(ν,T,P):レイリー散乱スペクトル関数(T:大気温度、P:気圧)
Fi:各エタロンの透過スペクトル関数
B(v):バンドパスフィルタの透過スペクトル関数
βm(z):大気分子の散乱係数
である。このうち、各エタロンの透過スペクトル関数Fiおよびバンドパスフィルタの透過スペクトル関数B(ν)はシステムに与えられた既知の値である。
また、光電子増倍管43cによるエネルギーチャンネルである受信光子数N3(z)は
で表される。ここで、
βa(z):エアロゾルの散乱係数
である。
さらに、光電子増倍管43dによる水蒸気ラマン散乱チャンネルである受信光子数N4(z)は、
で表される。ここで、
βH20(z):水蒸気の散乱係数
である。
ミー散乱およびレイリー散乱における散乱係数は、次のように導出される。すなわち、式3および式5より、ミー散乱とレイリー散乱との散乱比S(z)は、
で表される。この式8を、i=1の場合の式3に取り入れると、レイリー散乱における大気分子の散乱係数βm(z)は、
となる。また、この式9で得られたβm(z)を式7に代入すると、ミー散乱におけるエアロゾルの散乱係数βa(z)は、
となる。ここで、
f1:システムの校正により得られるパラメータ
である。
このように得られたライダー方程式に基づいて、大気温度は次のように導出される。まず、応答関数Rsおよび気温計測感度STは、
で表される。ここで、
a:エタロン44aおよび44bのミー散乱成分に対する透過率の比
であり、システムの校正により得られるパラメータである。
このように、本実施形態では、応答関数Rsは、相互に逆変化特性を有する散乱信号光子数N1と散乱信号光子数N2との差分により求められるので、システムのS/N比を増大させることができ、また、ミー散乱の遮断率をさらに向上させることができる。これに伴って、気温観測感度Srも増大させることができる。
また、大気の絶対気温T(z)は、
となる。ここで、T(z0)は基準温度(高度Z0における気温)である。
なお、応答関数Rsと気温計測感度STは、他の計測計(例えばバルーンを用いたラジオゾンデ)による校正実験により取得されるデータに基づいて校正されることが好ましい。
また、水蒸気密度の高度分布は次のように導出される。すなわち、水蒸気の振動ラマン散乱に関する式6および大気分子のレイリー散乱に関する式3により、その2つのチャンネルの出力比を求めることにより、
となる。また、αλ0とαH2O(z)とはほぼ等しいと仮定することができるので、水蒸気の散乱係数βH2Oは、
となる。また、水蒸気密度の高度分布nH2O(z)は、
となる。
このように、本実施形態では、大気分子のレイリー散乱ライダー方程式(式3)に加え、水蒸気のラマン散乱ライダー方程式(式6)を解くことにより、水蒸気密度の高度分布を求めることができる。従って、従来の水蒸気ラマン散乱ライダーで必要とされる窒素分子の振動ラマン散乱を利用する場合に比較して、本実施形態は、高出力のレイリー散乱を利用することにより、高精度かつ長距離に亘った観測が可能になる。
次に、上記のように構成される気象観測ライダーシステムの処理の流れについて、図6〜図8に示すフローチャートを参照しつつ、説明する。
本気象観測ライダーシステムを用いた気象観測は、準備・観測処理のフェーズと、収集した観測データの解析処理のフェーズに分けることができる。図6は、気象観測ライダーシステムにおける準備・観測処理を説明するためのフローチャートである。
気象観測ライダーシステムに電源が投入されると、各機器が稼動し始める。この場合、レーザ装置11および各機器に設けられた温度調節器には、十分な予熱が与えられることが好ましい。電源が投入されたコンピュータ16は、まず、計測高度、分解能、サンプリング時間、積算回数、光電子増倍管43に対する印加電圧等の計測条件の設定を受け付ける(STEP601)。次に、コンピュータ16は、レーザ装置11のレーザ光の中心周波数とエタロン21の透過中心周波数の初期調整を行う(STEP602)
図7は、レーザ装置11のレーザ光の中心周波数とエタロン21の透過中心周波数の調整処理を説明するためのフローチャートである。コンピュータ16は、レーザ装置11によりレーザ光がショットされたときの光検出器23aおよび23bの出力電圧Viを収集し、その平均値を算出する(STEP701)。ここでは、レーザ光100ショット当たりの出力電圧Viの平均値を求めるものとする。続いて、コンピュータ16は、光検出器23aと光検出器23bの出力電圧比Riを算出し(STEP702)、シーダ12に対するオフセット電圧ΔVを算出する(STEP703)。オフセット電圧ΔVは、
ΔV=ΔV0+δV
で求められる。ここで、ΔV0はシーダ12に対する初期印加電圧、δVはシーダ12に対するシフト電圧であり、δV<<ΔV0である。なお、電源が投入された直後は、オフセット電圧ΔVはΔV0である。
コンピュータ16は、光検出器23aおよび23bの出力電圧Vi+1を、例えば100ショット分積算し(STEP704)、光検出器23aと光検出器23bの出力電圧比Ri+1を算出する(STEP705)。次に、コンピュータ16は、出力電力比の変化率Siを算出する(STEP706)。出力電力比の変化率Siは、
で求められる。
さらに、現在得られている電圧比の変化率Siとエタロン21の透過特性の構成により得られた設定変化率S0との差分を計算し、その差分値が実質的に0、つまり所定の許容値以内に収まっているか否かを判断する(STEP707)。具体的には、コンピュータ16は、現在の出力電圧比の変化率Siと構成により得られた設定変化率S0との差分が5%以下であるか否かを判断している。コンピュータ16は、5%以内に収まっていないと判断する場合には、続いて出力電圧比Ri+1と出力電圧比Riのどちらが大きいか判断する(STEP708)。
コンピュータ16は、出力電圧比Ri+1の方が大きいと判断する場合(STEP708のYes)、出力電圧比Riを出力電圧比Ri+1とした後(STEP709)て、現在のオフセット電圧ΔVをδVだけ上げるため、STEP703に戻る。一方、出力電圧比Ri+1の方が小さいと判断する場合(STEP708のNo)、コンピュータ16は、現在のオフセット電圧ΔVをδVだけ下げて(STEP710)、STEP704に戻る。
以上のように、コンピュータ16は、シーダ12に対するオフセット電圧ΔVの初期調整をシステム許容値に収まるまで行った後、システムによる計測を稼動し始める。コンピュータ16は、システムの稼働中は、シーダ12に対する一定のオフセット電圧ΔVを安定的に印加している。
コンピュータ16は、レーザ光の中心周波数の初期調整を終了すると、レーザ光をカットオフして(STEP603)、4chの各光電子増倍管43a〜43dから信号を受信し始め、これをノイズデータとして蓄積していく(STEP604)。レーザ光のカットオフとは、レーザ光が発射されているが、それが観測対象に向けて発射されていない状態である。これは、システムに潜在する暗電流とともに背景光そのものを受信して、それをノイズの低減処理に用いるためである。
このようにしてノイズデータを収集、蓄積した後、コンピュータ16は、観測対象に向けて実際にレーザ光を照射して(STEP605)、計時しながら4chの各光電子増倍管43a〜43dから信号を受信し始め、これを観測データとして蓄積していく(STEP606)。つまり、この観測データは、時間−電力波形として表現されるデータ列である。
必要な観測データを収集、蓄積した後、コンピュータ16は、先に収集、蓄積したノイズデータに基づいて、観測データに対するノイズの低減処理を行う(図8のSTEP801)。本例では、コンピュータ16は、ノイズデータと観測データとの差分を算出している。次に、コンピュータ16は、高度分解能に基づくデータの平滑化処理を行う(STEP802)。本例では、コンピュータ16は、収集、蓄積した時間軸領域の観測データを光速cで高度軸領域のデータに変換した後、所定のサンプリング間隔に従って平滑重なりデータ個数を算出し、さらに移動平均法を適用することにより、高度−電力波形としてのデータを平滑化する。続いて、コンピュータ16は、Y(z)およびz2を補正する(STEP803)。ここで、Y(z)は距離zにおける送受信系の視野の重なり関数である。
ライダー方程式による解析に必要なデータを準備した段階で、コンピュータ16は、エアロゾル解析処理(STEP804)、大気温度解析処理(STEP805)を行った後、水蒸気解析処理(STEP806)を行う。
図9は、エアロゾル分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。同図に示すように、コンピュータ16は、光電子増倍管43aおよび43cから収集された観測データを読み出す(STEP901)。コンピュータ16は、レイリー散乱における散乱係数βm(z)を算出するとともに(STEP902)、大気分子の散乱断面積の平均値を用いて、平均大気分子密度nを算出する(STEP903)。次に、コンピュータ16は、大気の消散係数α(z)に対して補正処理を行った後(STEP904)、ミー散乱における散乱係数βa(z)を算出し(STEP905)、これら算出したレイリー散乱における散乱係数βm(z)、ミー散乱における散乱係数βa(z)および平均大気分子密度nを解析結果として出力する(STEP906)。
図10は、大気温度分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。コンピュータ16は、光電子増倍管43aおよび43bによるレイリー散乱チャンネルから収集、蓄積したデータを読み出して(STEP1001)、これに対してミー散乱の影響を遮断するための補正を行う(STEP1002)。次に、コンピュータ16は、応答関数ΔRSおよびRsを求めた後(STEP1003)、大気温度TおよびΔTを求め、これを解析結果として出力する(STEP1004)。
図11は、水蒸気分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。コンピュータ16は、光電子増倍管43dによるラマン散乱チャンネルから収集、蓄積したデータを読み出して(STEP1101)、これに対してシステムパラメータの補正を行う(STEP1102)。次に、コンピュータ16は、消散係数の補正を行った後(STEP1103)、レイリー散乱チャンネルのデータを用いて水蒸気密度nH2O(z)を求め、これを解析結果として出力する(STEP1104)。
なお、これらのフローチャートにおいては、処理の流れをシーケンシャルに構成したが、特にこれに限定されるものでなく、処理の結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を適宜入れ替え、または並行的に処理するように構成してもよい。
以上のように、本実施形態によれば、ヨウ素吸収フィルタに代えてエタロンフィルタを用いているので、ミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とをより安定的かつ効率的に分光することができるようになる。また、本実施形態によれば、エタロンフィルタを用いたこのような物理的な分光手法のみでは十分にミー散乱信号成分を遮断することができないという新たに生じる課題に対処すべく、さらに2チャンネルのレイリー散乱信号を差分処理しているので、ミー散乱信号成分をきわめて高い遮断率で遮断することができるようになる。
また、本実施形態によれば、従来の気象観測ライダーシステムではなしえなかった、アイセーフ特性を考慮した1つのレーザ光を光源として同時に各種のライダー観測を行う気象観測ライダーシステムが実現されることになる。
産業上の利用可能性
本発明によれば、1つのレーザ光により、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を、きわめて効率的に解析することができる気象観測ライダーシステムが実現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの基本構成を示す概略図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る周波数モニタ装置の構成を示す図である。
図3は、実際の観測に使用されるレーザ光とフィルタを介して得られるレーザ光との周波数スペクトルの関係を説明するための図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る分光系の構成を説明するための図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る2重パス分光方式を説明するための図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの処理の流れを説明するためフローチャートである。
図7は、レーザ光の中心周波数に対する初期調整処理を説明するためのフローチャートである。
図8は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの処理の流れを説明するためフローチャートである。
図9は、本発明の一実施形態に係るエアロゾル分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
図10は、本発明の一実施形態に係る大気温度分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
図11は、本発明の一実施形態に係る水蒸気分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
本発明は、気象観測システムおよびこれを用いた気象観測方法に関し、特にライダー(レーザーレーダー)による気象観測システム(気象観測ライダーシステム)およびこれを用いた気象観測方法ならびに気象観測ライダー解析方法に関する。
背景技術
ライダー(LIDAR;Light Detection and Ranging)は、観測領域の大気中に短いパルスのレーザ光を照射し、その散乱光をライダー信号として測定し、解析することにより、大気の状態を観測する技術である。ライダー観測のためのレーザ光には、一般には、Nd:YAGレーザが用いられる。レーザ光の照射による散乱の種類には、エアロゾル(浮遊粒子状物質)によるミー散乱、大気構成分子によるレイリー散乱やラマン散乱などがあり、これらを利用して大気温度やエアロゾルの空間分布、大気密度、大気成分の濃度分布などの観測要素を解析することができる。このような解析は、具体的には、ライダー信号を表現したライダー方程式と呼ばれる式を解くことにより行われる。
ミー散乱は、照射されるレーザ光の波長と同程度の大きさの物質によって起こる散乱現象である。また、レイリー散乱は、照射されるレーザ光の波長よりも小さな物質によって起こる散乱現象である。エアロゾルが存在する観測領域からのライダー信号にはミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とが重畳されており、レイリー散乱ライダーにおいて高精度な観測を行うためには、ミー散乱信号成分を効率的に分離または遮断(分光)する必要がある。ミー散乱信号成分を分光する手法には、一般に、高遮断率を持つフィルタとして知られるヨウ素吸収フィルタが用いられる。ヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法は、照射するレーザ光の波長が特定のヨウ素ガスの吸収スペクトル線に合うように、シーダ光の波長を掃引した後、そのレーザ光を大気中に照射して、そのライダー信号をヨウ素吸収フィルタに導くというものである。これによって、ライダー信号に含まれるミー散乱信号成分は、ヨウ素吸収フィルタにより吸収され、レイリー散乱信号成分のみが透過する。
また、物質にレーザ光を照射させると入射光と異なる波長の散乱光が観測される。これはラマン散乱と呼ばれる。ラマン散乱ライダーは、大気温度の観測や水蒸気分布の観測に有効である。例えば、大気温度を解析する場合には、窒素分子等の振動ラマン散乱を用いて大気密度を求め、レイリー散乱ライダーと同様の解析により求めたり、回転ラマン散乱のスペクトルの強度分布から求めている。また、水蒸気分布を解析する場合には、水蒸気を構成する水分子と大気を構成する窒素分子の振動ラマン散乱を同時に解析して大気密度の減衰率を補正し、窒素分子の平均密度の高度分布から水蒸気分布を求めている。
レイリー散乱ライダーによる高精度な観測を行うためには、重畳されているミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とを効率的に分光する必要がある。高度30km以上の成層圏では、大気を構成する分子によるレイリー散乱がほとんどであり、比較的簡単に測定が可能であるが、対流圏では、エアロゾルによる強力なミー散乱光が存在し、その散乱強度も不均一である。従って、レイリー散乱ライダー観測を行うためには、実用上、ミー散乱信号成分に対して数桁の遮断率が要求されていた。
一方、ヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法では、該吸収フィルタの透過特性の不安定性が大きな問題となっていた。これは、主に、該吸収フィルタ内のヨウ素ガスの密度分布が不均等であるため、吸収スペクトル特性が不安定であることが原因である。
また、このような高遮断率のフィルタは、スペクトル分解能の目安であるフィネスを高めるため、高反射率の誘電体多層膜でコーティングされている。しかしながら、このようなコーティングにより反射率を高めると、フィルタの最大透過率が低下してしまい、微弱なライダー信号を測定するライダー観測にとって致命的な問題となっていた。
さらに、従来の気象観測ライダーシステムは、各種の観測要素の状態を解析するために、個々の観測要素の観測に適したレーザ光をそれぞれ光源としていた。つまり、従来の気象観測ライダーシステムは、1つのレーザ光を光源として、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を解析することはできなかった。例えば、水蒸気分布を求めるためには、差分吸収法や振動ラマン散乱を用いることが有効である。ところが、前者の差分吸収法では、特殊な2つの波長のレーザ光が必要であり、これらのレーザ光は他の観測要素に利用することができなかった。また、後者の振動ラマン散乱では、水蒸気の振動ラマン散乱の強度がレイリー散乱の強度よりも約3桁ほど小さいことから、観測システムの信号対ノイズ比(S/N比)を高めるために高出力レーザーと高感度の光学望遠鏡が必要となり、その結果、装置が大型化し、コストパフォーマンスが低下するという問題があった。また、上述したヨウ素吸収フィルタを用いた分光手法では、Nd:YAGレーザの第2高調波成分(λ=532nm)付近にヨウ素の吸収スペクトル線があるため、レーザ光の波長はこれに制限されるといった問題があった。
さらにまた、ライダー観測においては、その光源にレーザ光を用いるため、人体に対する安全性(アイセーフ特性)を十分に考慮する必要がある。従って、ライダー観測では、上述のようなさまざまな散乱現象を効率的に観測することができるレーザ光を選択する一方で、アイセーフ特性を考慮したシステムを開発する必要がある。
そこで、本発明は、これらの課題を解決するために、新たな気象観測ライダーシステムおよびこれを用いた気象観測方法を提案することを目的としている。
より具体的には、本発明の第1の目的は、レイリー散乱ライダーによる高精度な観測を行うため、重畳されているミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とを効率的かつ安定的に分離・遮断することができる気象観測ライダーシステムを実現することである。
また、本発明の第2の目的は、1つのレーザ光により、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を解析することができる気象観測ライダーシステムを実現することである。
さらに、本発明の第3の目的は、効率的なライダー観測ができるようにしつつ、アイセーフ特性を考慮した気象観測ライダーシステムを実現することである。
発明の開示
上記課題を解決するための本発明は、レーザ装置から所定の中心周波数を有するパルス状のレーザ光を照射して、その反射光を観測する気象観測ライダーシステムであって、観測される反射光を、前記レーザ光の波長帯域の光と前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光とに分光する分光器と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第1の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第1のフィルタと、前記第1のフィルタを透過した前記第1の周波数成分の光を検出する第1の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第2の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第2のフィルタと、前記第2のフィルタを透過した前記第2の周波数成分の光を検出する第2の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光を検出する第3の光検出手段と、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光を検出する第4の光検出手段と、を備えることを特徴とする気象観測ライダーシステムである。
ここで、前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光が前記第1のフィルタを少なくと2回透過させるように構成している。
また、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数成分は、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数成分よりも、前記レーザ光の所定の中心周波数に近い位置に設定されることが好ましい。
より好ましくは、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数と前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数とは、所定のレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトルにおける温度変化に対してそのスペクトルパワーの変化量が最小である周波数位置を中心とした両側にそれぞれ設定される。
具体的には、前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数は略1.0[GHz]であり、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数は略3.5[GHz]に設定される。
また、本発明に係る気象観測ライダーシステムは、前記レーザ装置から発射されたレーザ光の出力を監視する監視装置と、前記監視装置によって監視される前記レーザ光の出力に基づいて、前記レーザ光の中心周波数が一定になるように、前記レーザ光の出力を制御する制御手段と、をさらに備える。
ここで、前記レーザ装置は、所定の印加電圧に基づくシーダ光をロッドに供給するシーダを有し、前記制御手段は、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする。
また、前記監視装置は、所定の中心周波数の光を選択的に透過する第3のフィルタと、前記レーザ装置から発射されたレーザ光を第1の監視信号として検出する第1の光検出器と、前記第3のフィルタを透過した光を第2の監視信号として検出する第2の光検出器と、前記第1の光検出器により検出される第1の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第1のピーク値と、前記第2の光検出器により検出される第2の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第2のピーク値とをそれぞれ検出するピーク検出手段と、を備える。
さらに、前記制御手段は、前記第3のフィルタが透過させる光の中心周波数をν0、前記第3のフィルタが透過させる光のスペクトルにおける半値幅をΔνとしたとき、前記ピーク検出手段により検出される第1のピーク値および第2のピーク値に基づいて、前記レーザ光の中心周波数がν0+Δν/2になるように、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする。
なお、前記レーザ装置は、Nd:YAGレーザ装置であることが好ましく、生成したレーザ光の第3高調波成分が所定の光学素子によって取り出されて、発射されるように構成される。
さらにまた、本発明に係る気象観測ライダーシステムは、前記第1乃至第4の光検出手段によってそれぞれ検出される応答信号に基づいて、所定の解析処理を行う解析手段をさらに備える。
ここで、前記解析手段は、前記第1の光検出手段および前記第3の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づいて、エアロゾルの分布状態を求めることを特徴とする。
また、前記解析手段は、前記第1の光検出手段および前記第2の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式に基づいて、所定の応答関数および所定の気温計測感度を求め、前記求めた所定の応答関数および所定の気温計測感度に基づいて大気温度の分布状態を求めることを特徴とする。
さらに、前記解析手段は、前記第2の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式および前記第4の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のラマン散乱ライダー方程式に基づいて、水蒸気の分布状態を求めることを特徴とする。
さらにまた、前記解析手段は、予め収集されるノイズデータに基づいて前記応答信号を補正することを特徴とする。
本明細書において、「手段」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェア(プログラム)によってコンピュータに実現させる場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
なお、上記システムの発明は、方法の発明としても把握することができる。また、各手段を、プログラムがコンピュータに実現させる機能としても把握した場合には、プログラムの発明またはプログラムを記録した記録媒体の発明としても成立する。
発明を実施するための最良の形態
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
図1は、本実施形態に係る気象観測ライダーシステムの基本構成を示す概略図である。本気象観測ライダーシステムは、ライダー観測に適した単一のパルスレーザ光を発生させて、観測領域の大気中(観測対象)に向けてこれを発射する送信系1と、送信系1から発射されたレーザ光の反射光(散乱光)を応答信号(ライダー信号)として受信する受信系2と、受信系2により受信された応答信号を各種のライダー観測に必要な応答信号にそれぞれ分光し、検出する分光系3と、これら各系を構成する機器を制御するとともに、分光系3により検出した応答信号に基づいて観測領域の各観測要素についての解析処理を行う制御/処理系4と、から構成されている。本実施形態では、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルを観測対象として観測するものとする。
送信系1の中核をなすレーザ装置11は、シーダ光を供給するシーダ12を備えたQスイッチNd:YAGレーザである。本例のレーザ装置11の平均出力パワーの変動(出力パワーの許容値)は±5%に抑えられている。また、レーザ装置11は、後述するように、シーダ12に対する外部からの印加電圧を制御するフィードバック制御を行うことで、安定的な発振周波数のレーザ光を生成することができるように構成されている。レーザ装置11は、生成した高周波パルスのレーザ光の第3高調波成分(λ=355nm)を、図示していない非線形光学素子により取り出して、出力エネルギーE0で外部に射出する。このように、本実施形態では、アイセーフ特性を考慮したレーザ光を光源として使用している。
レーザ装置11から射出されるレーザ光の光路上には、ビームスプリッタ13が配置されている。ビームスプリッタ13は、ライダー観測のための主レーザ光と、生成しているレーザ光の発振周波数の安定化制御のためのレーザ光(以下「監視用レーザ光」という。)とに分光する。主レーザ光は、ビームエクスパンダ14を介して適宜の径に成形された後、所定の位置から大気に向けて発射される。一方、ビームスプリッタ13によって取り出された監視用レーザ光は、光ファイバにより周波数モニタ装置15に誘導される。周波数モニタ装置15には、高分解能のフィルタが設けられている。周波数モニタ15は、現に生成されているレーザ光の周波数スペクトルを監視するため、誘導された監視用レーザ光を2チャンネル(フィルタを通過したものとそうでないもの)に分けて、図示していない2つの光検出器によりそれぞれ検出し、その検出結果を制御/処理系4に送出する。制御/処理系4では、コンピュータ16が、周波数モニタ装置15から送出される検出結果に基づいて、レーザ光の発振周波数が安定化するように、シーダ12に対する印加電圧を制御している。
受信系2は、大気に向けて発射されたレーザ光の反射光(散乱光)を集光する反射望遠鏡である。本実施形態では、有効径250mm、焦点距離3000mm、波長λ=355nmに対する反射率90%以上の反射望遠鏡を用いている。この反射望遠鏡により集光された観測光(応答信号)は、光ファイバーを介して分光系3に誘導される。
分光系3は、受信系2から光ファイバーを介して導入される応答信号を各種のライダー観測、すなわち、レイリー散乱ライダー、ラマン散乱ライダーおよびミー散乱ライダーの3種類のライダー観測に必要な信号にそれぞれ分光し、検出可能なように構成されている。分光系3の各光検出手段(図示せず)によりそれぞれ検出された応答信号は、制御/処理系4に送出され、解析処理される。これにより、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルの分布等が得られることになる。
制御/処理系4は、コンピュータ16を中心にして、ディスプレイ17、キーボード18およびプリンタ19等から構成されている。このコンピュータ16には入出力ポートが設けられており、コンピュータ16は、この入出力ポートを介して、各系を構成する機器から送出される信号をそれぞれ受け取り、また、機器に対して制御信号をそれぞれ出力する。コンピュータ16の基本的な役割は、本気象観測ライダーシステムに対する統括的な制御の下、周波数モニタ装置15からの監視信号に基づいて、レーザ光の発振周波数が安定化されるように、シーダ12に対する印加電圧を制御すること、および分光系3の各光検出手段からの応答信号に基づいて、大気の気温や水蒸気等の状態を解析することである。
図2は、本実施形態に係る周波数モニタ装置15の構成を示す図である。同図に示すように、周波数モニタ装置15は高分解能フィルタとしてのエタロン21を備えている。エタロン21は、特定の周波数の整数倍の光のみを選択的に透過するように構成されたフィルタである。エタロン21には連続運転による温度変化による周波数透過特性の不安定性を解消するための温度コントローラ(図示せず)が設けられていることが好ましい。
光ファイバを介して周波数モニタ装置15に導入された監視用レーザ光は、さらに、内部のビームスプリッタ22で分光され、その一方は集光レンズを介して直接的に第1の光検出器23aに入射される。光検出器23aはフォトダイオード(PD)であり、入射されたレーザ光を第1の電気信号に変換する。変換された第1の電気信号は、ピーク検出器24に入力される。また、ビームスプリッタ22で分光されたもう一方のレーザ光は、エタロン21に入射され、そこを通過した後、集光レンズを介して第2の光検出器23bに入射される。光検出器23bもまたフォトダイオードであり、これにより変換された第2の電気信号はピーク検出器24に入力される。
ピーク検出器24は、パルスごとに入力される第1の電気信号及び第2の電気信号についてそれぞれの電力の最大値(ピーク値)を検出する。検出される第2の電気信号の最大値はエタロン21の透過率関数に比例している。ピーク検出器24により検出されたそれぞれのピーク値は、そのパルスごとにコンピュータ16に送出される。
このように、周波数モニタ装置15は、実際の観測に使用されるレーザ光とエタロン21を介して得られるレーザ光のそれぞれについて、そのピーク値を検出する2チャンネル構造になっている。
コンピュータ16は、入力されるそれぞれのピーク値に基づいて、シーダ12に対する印加電圧をフィードバック制御している。すなわち、シーダ12の中心周波数を外部からの印加電圧によって変動させることが可能であるという特性を利用して、コンピュータ16は、図3(a)に示すように、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトル幅の半値幅の付近にくるように制御している。同図中、エタロン21の透過スペクトルの中心周波数をν0、その半値全幅をΔνとするとき、コンピュータ16は、レーザ光の中心周波数がその半値半幅Δν/2になるまで制御する。これにより、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数はν0+Δν/2となる。より具体的には、同図(b)に示すように、2つのピーク値比の変化率Si(Si=dRi/dν)は、レーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトルの半値幅に近づくほど大きくなり、離れるほど小さくなり、半値幅のところで最大となる。そこで、本実施形態では、コンピュータ16は、2つのピーク値比の変化率Siの絶対値が最大になるようにシーダ12に対する印加電圧を制御して、実際の観測に使用されるレーザ光の中心周波数がエタロン21の透過スペクトル幅の半値幅の付近にくるように制御している。
このように、周波数モニタ装置15から得られる2つのピーク値の比は、エタロン21の透過率の変化にのみ依存し、レーザ光の出力パワーの変化に依存しないので、これらに基づいてシーダ12に対するフィードバック制御を行うことで、レーザ装置11により出力されるレーザ光の出力エネルギー変動によるピーク値への影響を除去できるようになる。
図4は、本発明の一実施形態に係る分光系3の構成を説明するための図である。分光系3は、1つの観測光(応答信号)を、各種のライダー観測、すなわち、レイリー散乱ライダー、ラマン散乱ライダーおよびミー散乱ライダーの3種類のライダー観測のために必要な光に分光し、検出する。
受光系2から光ファイバを介して誘導された観測光は、レンズL1を介して回折格子41に入射され、所定の波長の光ごとに所定の方向に反射される。回折格子41による回折光は、レンズL2を利用して、所定の波長帯域の光ごとに所定の方向に集光され、ミラーM1とミラーM2とによりレーザ光の波長帯域の光とそれ以外の波長帯域の光とがそれぞれ取り出される。ミラーM1により取り出されたレイリー散乱光、ミー散乱光および355nm波長付近の背景光が重畳された光は、レンズL3を介してバンドパスフィルタ42に入射され、バンドパスフィルタ42は、このうち背景光を遮断する。バンドパスフィルタ42は、スペクトル分布が広い背景光のカットに使用されるフィルタであり、一般には、その透過スペクトル幅はエタロンのそれよりかなり広くなるように設計されている。バンドパスフィルタ42を通過した光は、ビームスプリッタBS1で2つに分離され、その一方の光は、ビームスプリッタBS2でさらに2つに分離される。
ビームスプリッタBS2で分離された光は、エタロン44aおよびエタロン44bにそれぞれ入射される。エタロン44aおよびエタロン44bは、それぞれ異なる周波数の光を選択的に透過するフィルタである。エタロン44aおよびエタロン44bには連続運転による温度変化による周波数透過特性の不安定性を解消するための温度コントローラ(図示せず)が設けられていることが好ましい。
エタロン44aが透過させる光の中心周波数(以下、「透過中心周波数」という。)ν1は、エタロン44bの透過中心周波数ν2よりもミー散乱スペクトルの中心周波数ν0に近くなるように設定される。好ましくは、図5(a)に示すように、温度に依存するレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトル(これはガウシアン分布曲線を形成する。)において、温度変化に対してそのスペクトルパワーの変化量が最小になる周波数fを中心として、その両側に、エタロン44aとエタロン44bのそれぞれの透過中心周波数ν1およびν2が設定される。
すなわち、温度に依存するレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトルは、図5(b)に示すように、温度の変化に対して周波数fをほぼ中心にして逆変化特性を示すガウシアン分布曲線を形成する。具体的には、大気温度が−50〜30[℃]の範囲で変化する場合に、そのスペクトルパワーの変化量が最小になる周波数fは、レイリー散乱スペクトルの半値半幅(HWHM)が約1.7〜1.95[GHz]の範囲となる。そこで、本実施形態では、エタロン44aにおける透過光の中心周波数ν1を1.0[GHz]に設定し、エタロン44bにおける透過光の中心周波数ν2を3.5[GHz]に設定している。
ビームスプリッタBS2からエタロン44aに入射され、ここを通過した光は、プリズム45により偏向され、重なり合うことなく、もう一度、エタロン44aを通過する。このため、エタロン44aは、ライダー観測のために検出しようとする光を、重なり合うことなく、少なくとも2回通過させることができるように、大口径ものが採用されている。検出しようとする光をエタロン44aに少なくとも2回通過させる分光方式を、ここでは2重パス分光方式と呼ぶことにする。
上述したように、エタロン44aの透過中心周波数ν1はミー散乱スペクトルの中心周波数に近いため、エタロン44に光が1回通過しただけではミー散乱の遮断率は十分なものでないが、2重パス分光方式によりミー散乱の遮断率は飛躍的に向上することになる。
エタロン44aを再度通過した光は、ミラーM3およびレンズL4を介して第1の光電子増倍管(PMT)43aにより入射され、電気信号に変換される。また、ビームスプリッタBS2からエタロン44bに入射され、ここを通過した光は、レンズL5を介して第2の光電子増倍管43bにより入射され、電気信号に変換される。
また、ビームスプリッタBS1で分離された一方の光は、レンズL6を介して第3の光電子増倍管43cに入射され、散乱信号光子数に応じた電気信号に変換される。
図4に示した回折格子41による回折光のうち、レンズL2を介してミラーM2により取り出された光は、レンズL7を介して干渉フィルタ46に入射される。干渉フィルタ46を通過した光は、レンズL8を介して第4の光電子増倍管43dに入射され、電気信号に変換される。
それぞれの光電子増倍管43a〜43dにより検出された応答信号は、コンピュータ16に入力され、A/D変換された後、観測要素ごとに適宜選択的に使用され、解析処理される。
すなわち、高度別の大気温度については、コンピュータ16は、エタロン44aとエタロン44bとによりそれぞれ分光された2チャンネルの応答信号に基づいて、レイリー散乱ライダー方程式を解くことにより求めている。また、高度別の水蒸気量については、コンピュータ16は、回折格子41および干渉フィルタ46により分光された1チャンネルの応答信号およびエタロン44aにより分光された1チャンネルのレイリー散乱応答信号に基づいて、振動ラマン散乱ライダー方程式を解いている。さらに、高度別のエアロゾルについては、コンピュータ16は、回折格子41により分光された1チャンネルの応答信号およびエタロン44aにより分光された1チャンネルの応答信号に基づいて、ミー散乱ライダー方程式を解いている。
より具体的には、大気温度、水蒸気量およびエアロゾルの状態は、次のようにして求められる。
すなわち、一般のライダー方程式よって、光電子増倍管43のゲート時間あたりの散乱信号光子数N(z)は、
で表される。ここで、
E0:レーザ装置の出力エネルギー
Y(z):距離zにおける送受信光学系の視野の重なり関数
q:対応するチャンネルの効率(光学系の効率×PMTの量子効率)
α(z):大気の消散係数
β(z):体積後方散乱係数(散乱体密度および散乱断面積の関数)
fd:フィルタの透過関数
A:受信系の開口面積
z:高度
Δz:高度分解能
である。このうち、大気の消散係数α(z)および体積後方散乱係数β(z)以外のパラメータはシステムに与えられた既知の値である。
光電子増倍管43a〜43dで検出されるレイリー散乱光、ミー散乱光および振動ラマン散乱光は、それぞれ次のようなライダー方程式で表される。
まず、光電子増倍管43aおよび43bによるレイリー散乱チャンネルである受信光子数N1(z)およびN2(z)は、
で表される。ここで、
R(ν,T,P):レイリー散乱スペクトル関数(T:大気温度、P:気圧)
Fi:各エタロンの透過スペクトル関数
B(v):バンドパスフィルタの透過スペクトル関数
βm(z):大気分子の散乱係数
である。このうち、各エタロンの透過スペクトル関数Fiおよびバンドパスフィルタの透過スペクトル関数B(ν)はシステムに与えられた既知の値である。
また、光電子増倍管43cによるエネルギーチャンネルである受信光子数N3(z)は
で表される。ここで、
βa(z):エアロゾルの散乱係数
である。
さらに、光電子増倍管43dによる水蒸気ラマン散乱チャンネルである受信光子数N4(z)は、
で表される。ここで、
βH20(z):水蒸気の散乱係数
である。
ミー散乱およびレイリー散乱における散乱係数は、次のように導出される。すなわち、式3および式5より、ミー散乱とレイリー散乱との散乱比S(z)は、
で表される。この式8を、i=1の場合の式3に取り入れると、レイリー散乱における大気分子の散乱係数βm(z)は、
となる。また、この式9で得られたβm(z)を式7に代入すると、ミー散乱におけるエアロゾルの散乱係数βa(z)は、
となる。ここで、
f1:システムの校正により得られるパラメータ
である。
このように得られたライダー方程式に基づいて、大気温度は次のように導出される。まず、応答関数Rsおよび気温計測感度STは、
で表される。ここで、
a:エタロン44aおよび44bのミー散乱成分に対する透過率の比
であり、システムの校正により得られるパラメータである。
このように、本実施形態では、応答関数Rsは、相互に逆変化特性を有する散乱信号光子数N1と散乱信号光子数N2との差分により求められるので、システムのS/N比を増大させることができ、また、ミー散乱の遮断率をさらに向上させることができる。これに伴って、気温観測感度Srも増大させることができる。
また、大気の絶対気温T(z)は、
となる。ここで、T(z0)は基準温度(高度Z0における気温)である。
なお、応答関数Rsと気温計測感度STは、他の計測計(例えばバルーンを用いたラジオゾンデ)による校正実験により取得されるデータに基づいて校正されることが好ましい。
また、水蒸気密度の高度分布は次のように導出される。すなわち、水蒸気の振動ラマン散乱に関する式6および大気分子のレイリー散乱に関する式3により、その2つのチャンネルの出力比を求めることにより、
となる。また、αλ0とαH2O(z)とはほぼ等しいと仮定することができるので、水蒸気の散乱係数βH2Oは、
となる。また、水蒸気密度の高度分布nH2O(z)は、
となる。
このように、本実施形態では、大気分子のレイリー散乱ライダー方程式(式3)に加え、水蒸気のラマン散乱ライダー方程式(式6)を解くことにより、水蒸気密度の高度分布を求めることができる。従って、従来の水蒸気ラマン散乱ライダーで必要とされる窒素分子の振動ラマン散乱を利用する場合に比較して、本実施形態は、高出力のレイリー散乱を利用することにより、高精度かつ長距離に亘った観測が可能になる。
次に、上記のように構成される気象観測ライダーシステムの処理の流れについて、図6〜図8に示すフローチャートを参照しつつ、説明する。
本気象観測ライダーシステムを用いた気象観測は、準備・観測処理のフェーズと、収集した観測データの解析処理のフェーズに分けることができる。図6は、気象観測ライダーシステムにおける準備・観測処理を説明するためのフローチャートである。
気象観測ライダーシステムに電源が投入されると、各機器が稼動し始める。この場合、レーザ装置11および各機器に設けられた温度調節器には、十分な予熱が与えられることが好ましい。電源が投入されたコンピュータ16は、まず、計測高度、分解能、サンプリング時間、積算回数、光電子増倍管43に対する印加電圧等の計測条件の設定を受け付ける(STEP601)。次に、コンピュータ16は、レーザ装置11のレーザ光の中心周波数とエタロン21の透過中心周波数の初期調整を行う(STEP602)
図7は、レーザ装置11のレーザ光の中心周波数とエタロン21の透過中心周波数の調整処理を説明するためのフローチャートである。コンピュータ16は、レーザ装置11によりレーザ光がショットされたときの光検出器23aおよび23bの出力電圧Viを収集し、その平均値を算出する(STEP701)。ここでは、レーザ光100ショット当たりの出力電圧Viの平均値を求めるものとする。続いて、コンピュータ16は、光検出器23aと光検出器23bの出力電圧比Riを算出し(STEP702)、シーダ12に対するオフセット電圧ΔVを算出する(STEP703)。オフセット電圧ΔVは、
ΔV=ΔV0+δV
で求められる。ここで、ΔV0はシーダ12に対する初期印加電圧、δVはシーダ12に対するシフト電圧であり、δV<<ΔV0である。なお、電源が投入された直後は、オフセット電圧ΔVはΔV0である。
コンピュータ16は、光検出器23aおよび23bの出力電圧Vi+1を、例えば100ショット分積算し(STEP704)、光検出器23aと光検出器23bの出力電圧比Ri+1を算出する(STEP705)。次に、コンピュータ16は、出力電力比の変化率Siを算出する(STEP706)。出力電力比の変化率Siは、
で求められる。
さらに、現在得られている電圧比の変化率Siとエタロン21の透過特性の構成により得られた設定変化率S0との差分を計算し、その差分値が実質的に0、つまり所定の許容値以内に収まっているか否かを判断する(STEP707)。具体的には、コンピュータ16は、現在の出力電圧比の変化率Siと構成により得られた設定変化率S0との差分が5%以下であるか否かを判断している。コンピュータ16は、5%以内に収まっていないと判断する場合には、続いて出力電圧比Ri+1と出力電圧比Riのどちらが大きいか判断する(STEP708)。
コンピュータ16は、出力電圧比Ri+1の方が大きいと判断する場合(STEP708のYes)、出力電圧比Riを出力電圧比Ri+1とした後(STEP709)て、現在のオフセット電圧ΔVをδVだけ上げるため、STEP703に戻る。一方、出力電圧比Ri+1の方が小さいと判断する場合(STEP708のNo)、コンピュータ16は、現在のオフセット電圧ΔVをδVだけ下げて(STEP710)、STEP704に戻る。
以上のように、コンピュータ16は、シーダ12に対するオフセット電圧ΔVの初期調整をシステム許容値に収まるまで行った後、システムによる計測を稼動し始める。コンピュータ16は、システムの稼働中は、シーダ12に対する一定のオフセット電圧ΔVを安定的に印加している。
コンピュータ16は、レーザ光の中心周波数の初期調整を終了すると、レーザ光をカットオフして(STEP603)、4chの各光電子増倍管43a〜43dから信号を受信し始め、これをノイズデータとして蓄積していく(STEP604)。レーザ光のカットオフとは、レーザ光が発射されているが、それが観測対象に向けて発射されていない状態である。これは、システムに潜在する暗電流とともに背景光そのものを受信して、それをノイズの低減処理に用いるためである。
このようにしてノイズデータを収集、蓄積した後、コンピュータ16は、観測対象に向けて実際にレーザ光を照射して(STEP605)、計時しながら4chの各光電子増倍管43a〜43dから信号を受信し始め、これを観測データとして蓄積していく(STEP606)。つまり、この観測データは、時間−電力波形として表現されるデータ列である。
必要な観測データを収集、蓄積した後、コンピュータ16は、先に収集、蓄積したノイズデータに基づいて、観測データに対するノイズの低減処理を行う(図8のSTEP801)。本例では、コンピュータ16は、ノイズデータと観測データとの差分を算出している。次に、コンピュータ16は、高度分解能に基づくデータの平滑化処理を行う(STEP802)。本例では、コンピュータ16は、収集、蓄積した時間軸領域の観測データを光速cで高度軸領域のデータに変換した後、所定のサンプリング間隔に従って平滑重なりデータ個数を算出し、さらに移動平均法を適用することにより、高度−電力波形としてのデータを平滑化する。続いて、コンピュータ16は、Y(z)およびz2を補正する(STEP803)。ここで、Y(z)は距離zにおける送受信系の視野の重なり関数である。
ライダー方程式による解析に必要なデータを準備した段階で、コンピュータ16は、エアロゾル解析処理(STEP804)、大気温度解析処理(STEP805)を行った後、水蒸気解析処理(STEP806)を行う。
図9は、エアロゾル分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。同図に示すように、コンピュータ16は、光電子増倍管43aおよび43cから収集された観測データを読み出す(STEP901)。コンピュータ16は、レイリー散乱における散乱係数βm(z)を算出するとともに(STEP902)、大気分子の散乱断面積の平均値を用いて、平均大気分子密度nを算出する(STEP903)。次に、コンピュータ16は、大気の消散係数α(z)に対して補正処理を行った後(STEP904)、ミー散乱における散乱係数βa(z)を算出し(STEP905)、これら算出したレイリー散乱における散乱係数βm(z)、ミー散乱における散乱係数βa(z)および平均大気分子密度nを解析結果として出力する(STEP906)。
図10は、大気温度分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。コンピュータ16は、光電子増倍管43aおよび43bによるレイリー散乱チャンネルから収集、蓄積したデータを読み出して(STEP1001)、これに対してミー散乱の影響を遮断するための補正を行う(STEP1002)。次に、コンピュータ16は、応答関数ΔRSおよびRsを求めた後(STEP1003)、大気温度TおよびΔTを求め、これを解析結果として出力する(STEP1004)。
図11は、水蒸気分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。コンピュータ16は、光電子増倍管43dによるラマン散乱チャンネルから収集、蓄積したデータを読み出して(STEP1101)、これに対してシステムパラメータの補正を行う(STEP1102)。次に、コンピュータ16は、消散係数の補正を行った後(STEP1103)、レイリー散乱チャンネルのデータを用いて水蒸気密度nH2O(z)を求め、これを解析結果として出力する(STEP1104)。
なお、これらのフローチャートにおいては、処理の流れをシーケンシャルに構成したが、特にこれに限定されるものでなく、処理の結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を適宜入れ替え、または並行的に処理するように構成してもよい。
以上のように、本実施形態によれば、ヨウ素吸収フィルタに代えてエタロンフィルタを用いているので、ミー散乱信号成分とレイリー散乱信号成分とをより安定的かつ効率的に分光することができるようになる。また、本実施形態によれば、エタロンフィルタを用いたこのような物理的な分光手法のみでは十分にミー散乱信号成分を遮断することができないという新たに生じる課題に対処すべく、さらに2チャンネルのレイリー散乱信号を差分処理しているので、ミー散乱信号成分をきわめて高い遮断率で遮断することができるようになる。
また、本実施形態によれば、従来の気象観測ライダーシステムではなしえなかった、アイセーフ特性を考慮した1つのレーザ光を光源として同時に各種のライダー観測を行う気象観測ライダーシステムが実現されることになる。
産業上の利用可能性
本発明によれば、1つのレーザ光により、同時に各種のライダー観測を行って、各種の観測要素の状態を、きわめて効率的に解析することができる気象観測ライダーシステムが実現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの基本構成を示す概略図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る周波数モニタ装置の構成を示す図である。
図3は、実際の観測に使用されるレーザ光とフィルタを介して得られるレーザ光との周波数スペクトルの関係を説明するための図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る分光系の構成を説明するための図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る2重パス分光方式を説明するための図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの処理の流れを説明するためフローチャートである。
図7は、レーザ光の中心周波数に対する初期調整処理を説明するためのフローチャートである。
図8は、本発明の一実施形態に係る気象観測ライダーシステムの処理の流れを説明するためフローチャートである。
図9は、本発明の一実施形態に係るエアロゾル分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
図10は、本発明の一実施形態に係る大気温度分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
図11は、本発明の一実施形態に係る水蒸気分布の解析処理の流れを説明したフローチャートである。
Claims (18)
- レーザ装置から所定の中心周波数を有するパルス状のレーザ光を照射して、その反射光を観測する気象観測ライダーシステムであって、
観測される反射光を、前記レーザ光の波長帯域の光と前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光とに分光する分光器と、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第1の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第1のフィルタと、
前記第1のフィルタを透過した前記第1の周波数成分の光を検出する第1の光検出手段と、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第2の周波数成分を中心とする光を選択的に透過させる第2のフィルタと、
前記第2のフィルタを透過した前記第2の周波数成分の光を検出する第2の光検出手段と、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光を検出する第3の光検出手段と、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光を検出する第4の光検出手段と、
を備えることを特徴とする気象観測ライダーシステム。 - 前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光が前記第1のフィルタを少なくと2回透過させるように構成することを特徴とする請求項1記載の気象観測ライダーシステム。
- 前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数成分は、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数成分よりも、前記レーザ光の所定の中心周波数に近い位置に設定されることを特徴とする請求項1または2記載の気象観測ライダーシステム。
- 前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数と前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数とは、所定のレイリー散乱スペクトル関数によるレイリー散乱スペクトルにおける温度変化に対してそのスペクトルパワーの変化量が最小である周波数位置を中心した両側にそれぞれ設定されることを特徴とする請求項3記載の気象観測ライダーシステム。
- 前記第1のフィルタが透過させるべき第1の中心周波数は略1.0[GHz]であり、前記第2のフィルタが透過させるべき第2の中心周波数は略3.5[GHz]に設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。
- 前記レーザ装置から発射されたレーザ光の出力を監視する監視装置と、
前記監視装置によって監視される前記レーザ光の出力に基づいて、前記レーザ光の中心周波数が一定になるように、前記レーザ光の出力を制御する制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記レーザ装置は、所定の印加電圧に基づくシーダ光をロッドに供給するシーダを有し、
前記制御手段は、
前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする請求項6記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記監視装置は、
所定の中心周波数の光を選択的に透過する第3のフィルタと、
前記レーザ装置から発射されたレーザ光を第1の監視信号として検出する第1の光検出器と、
前記第3のフィルタを透過した光を第2の監視信号として検出する第2の光検出器と、
前記第1の光検出器により検出される第1の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第1のピーク値と、前記第2の光検出器により検出される第2の監視信号に基づきスペクトル解析を行って得られるスペクトルパワーの第2のピーク値とをそれぞれ検出するピーク検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項7記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記制御手段は、
前記第3のフィルタが透過させる光の中心周波数をν0、
前記第3のフィルタが透過させる光のスペクトルにおける半値幅をΔνとしたとき、
前記ピーク検出手段により検出される第1のピーク値および第2のピーク値に基づいて、前記レーザ光の中心周波数がν0+Δν/2になるように、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする請求項8記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記制御手段は、
前記第1のピーク値と前記第2のピーク値との比の変化率の絶対値が最大になるように、前記シーダに対する印加電圧を制御することを特徴とする請求項8または請求項9記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記レーザ装置は、Nd:YAGレーザ装置であり、
生成したレーザ光の第3高調波成分を所定の光学素子によって取り出して、発射することを特徴とする請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記第1乃至第4の光検出手段によってそれぞれ検出される応答信号に基づいて、所定の解析処理を行う解析手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至11のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。
- 前記解析手段は、
前記第1の光検出手段および前記第3の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づいて、エアロゾルの分布状態を求めることを特徴とする請求項12記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記解析手段は、
前記第1の光検出手段および前記第2の光検出手段によりそれぞれ検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式に基づいて、所定の応答関数および所定の気温計測感度を求め、前記求めた所定の応答関数および所定の気温計測感度に基づいて大気温度の分布状態を求めることを特徴とする請求項12または13記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記解析手段は、
前記第1の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のレイリー散乱ライダー方程式および前記第4の光検出手段により検出される応答信号に基づく所定のラマン散乱ライダー方程式に基づいて、水蒸気の分布状態を求めることを特徴とする請求項12乃至14のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。 - 前記解析手段は、
予め収集されるノイズデータに基づいて前記応答信号を補正することを特徴とする請求項12乃至15のうち何れか一項に記載の気象観測ライダーシステム。 - レーザ装置から所定の中心周波数を有するパルス状のレーザ光を照射して、その反射光を観測する気象観測ライダーシステムを用いた気象観測方法であって、
観測される反射光を、分光器によって、前記レーザ光の波長帯域の光と前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光とに分光するステップと、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第1の周波数成分を中心とする光を第1のフィルタによって選択的に抽出し、検出するステップと、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光のうち、第2の周波数成分を中心とする光を第2のフィルタによって選択的に抽出し、検出するステップと、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域の光を検出するステップと、
前記分光器によって分光された前記レーザ光の波長帯域以外の波長帯域の光を検出するステップと、
を備えることを特徴とする気象観測ライダーシステムを用いた気象観測方法。 - レーザ装置から所定の中心周波数を有するパルス状のレーザ光を照射して、その反射光を観測する気象観測ライダーシステムを用いた気象観測方法であって、
前記レーザ光をカットオフした状態で測定される応答信号をノイズデータとして収集するステップと、
前記レーザ光を観測対象に照射した状態で測定される応答信号を観測データとして収集するステップと、
前記収集したノイズデータに基づいて、前記観測データを補正するステップと、を備えることを特徴とする気象観測方法。
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